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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105694
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20250703BHJP
   H10K 59/65 20230101ALI20250703BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20250703BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20250703BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20250703BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20250703BHJP
   G06V 40/13 20220101ALI20250703BHJP
   G06V 40/145 20220101ALI20250703BHJP
   G06V 10/143 20220101ALI20250703BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
H10K59/65
H05B33/12 B
H10K50/84
H10K50/86 865
G06F3/042 472
G06V40/13
G06V40/145
G06V10/143
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025068867
(22)【出願日】2025-04-18
(62)【分割の表示】P 2022548258の分割
【原出願日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2020152939
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】江口 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(57)【要約】
【課題】タッチ検出機能と指紋または静脈形状の撮像機能を兼ね備えた表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、第1の基板、第1の発光素子、第2の発光素子、受光素子、遮光層、第1の樹脂層、第2の樹脂層、を有する。第1の発光素子と受光素子とは第1の基板上に並べて配置され、第1の樹脂層は第1の発光素子及び受光素子上に設けられる。遮光層は第1の樹脂層上に設けられ、第2の発光素子は遮光層上に設けられる。第2の樹脂層は第2の発光素子上に設けられる。第1の発光素子は上方に可視光を発し、第2の発光素子は上方に不可視光を発する。受光素子は可視光及び不可視光に感度を有する光電変換素子である。平面視において、遮光層は第1の発光素子と受光素子の間に位置する部分を有し、第2の発光素子は遮光層と重なり、且つ、遮光層の輪郭よりも内側に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、樹脂層と、を有し、
前記第1の発光素子と前記受光素子とは、前記第1の基板の上方に配置され、
前記樹脂層は、前記第1の発光素子の上方に配置された領域と、前記受光素子の上方に配置された領域と、を有し、
前記遮光層は、前記樹脂層の上方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記遮光層の上方に配置され、
前記第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有し、
前記第2の発光素子は、上方に不可視光を発する機能を有し、
前記受光素子は、前記可視光及び前記不可視光に感度を有する光電変換素子であり、
平面視において、前記遮光層は、前記第1の発光素子と前記受光素子の間に位置する部分を有し、
平面視において、前記第2の発光素子は、前記遮光層と重なり、且つ、前記遮光層の輪郭よりも内側に位置する、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記不可視光は、750nm以上1000nm以下の波長域に強度を有する光である、表示装置。
【請求項3】
第1の基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、樹脂層と、を有し、
前記第1の発光素子と前記受光素子とは、前記第1の基板の上方に配置され、
前記樹脂層は、前記第1の発光素子の上方に配置された領域と、前記受光素子の上方に配置された領域と、を有し、
前記遮光層は、前記樹脂層の上方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記遮光層の上方に配置され、
前記第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有し、
前記第2の発光素子は、上方に赤外光を発する機能を有し、
前記受光素子は、前記可視光及び前記赤外光に感度を有する光電変換素子であり、
平面視において、前記遮光層は、前記第1の発光素子と前記受光素子の間に位置する部分を有し、
平面視において、前記第2の発光素子は、前記遮光層と重なり、且つ、前記遮光層の輪郭よりも内側に位置する、表示装置。
【請求項4】
第1の基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、樹脂層と、を有し、
前記第1の発光素子と前記受光素子とは、前記第1の基板の上方に配置され、
前記樹脂層は、前記第1の発光素子の上方に配置された領域と、前記受光素子の上方に配置された領域と、を有し、
前記遮光層は、前記樹脂層の上方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記遮光層の上方に配置され、
前記第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有し、
前記第2の発光素子は、上方に紫外光を発する機能を有し、
前記受光素子は、前記可視光及び前記紫外光に感度を有する光電変換素子であり、
平面視において、前記遮光層は、前記第1の発光素子と前記受光素子の間に位置する部分を有し、
平面視において、前記第2の発光素子は、前記遮光層と重なり、且つ、前記遮光層の輪郭よりも内側に位置する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、撮像装置に関する。本発明の一態様は、タッチパネルに関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
近年、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器が広く普及している。このような情報端末機器は、個人情報などが含まれることが多く、不正な利用を防止するための様々な認証技術が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、プッシュボタンスイッチ部に、指紋センサを備える電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0056493号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯情報端末機器として機能する電子機器に、指紋認証などの認証機能を付加する場合、指紋を撮像するためのモジュールを電子機器に実装する必要がある。そのため、部品点数の増加に伴い、電子機器のコストが増大してしまう。
【0007】
本発明の一態様は、認証機能を有する電子機器のコストを低減することを課題の一とする。または、電子機器の部品点数を削減することを課題の一とする。または、指紋または静脈形状等を撮像することのできる表示装置を提供することを課題の一とする。または、タッチ検出機能と指紋または静脈形状の撮像機能を兼ね備えた表示装置を提供することを課題の一とする。または、生体認証機能を備え、且つ画面占有率の高い電子機器を提供することを課題の一とする。または、可視光と赤外光の両方を発することのできる表示装置を提供することを課題の一とする。または、可視光と赤外光の両方を光源として撮像することのできる撮像装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
本発明の一態様は、新規な構成を有する表示装置、撮像装置、または電子機器等を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、先行技術の問題点の少なくとも一を少なくとも軽減することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、第1の基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、を有する表示装置である。第1の発光素子と、受光素子とは、第1の基板上に並べて配置される。第1の樹脂層は、第1の発光素子及び受光素子上に設けられる。遮光層は、第1の樹脂層上に設けられる。第2の発光素子は、遮光層上に設けられる。第2の樹脂層は、第2の発光素子上に設けられる。第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有する。第2の発光素子は、上方に不可視光を発する機能を有する。受光素子は、可視光及び不可視光に感度を有する光電変換素子である。平面視において、遮光層は、第1の発光素子と受光素子の間に位置する部分を有する。また、平面視において、第2の発光素子は、遮光層と重なり、且つ、遮光層の輪郭よりも内側に位置する。
【0011】
また、上記において、不可視光は、750nm以上900nm以下の波長域に強度を有する光であることが好ましい。
【0012】
また、上記いずれかにおいて、さらに保護層を有することが好ましい。このとき、保護層は、無機絶縁材料を含み、且つ、第1の発光素子及び受光素子と、第1の樹脂層との間に位置することが好ましい。
【0013】
また、上記いずれかにおいて、第1の発光素子は、第1の画素電極、第1の発光層、及び第1の電極を有することが好ましい。さらに受光素子は、第2の画素電極、活性層、及び第1の電極を有することが好ましい。このとき、第1の発光層と、活性層はそれぞれ互いに異なる有機化合物を含むことが好ましい。また、第1の電極は、第1の発光層を介して第1の画素電極と重なる部分と、活性層を介して第2の画素電極と重なる部分と、を有することが好ましい。さらに、第1の画素電極と、第2の画素電極とは、同一の導電材料を含むことが好ましい。
【0014】
また、上記いずれかにおいて、第2の発光素子は、第3の画素電極、第2の発光層、及び第2の電極を有することが好ましい。このとき、第2の電極は、不可視光に対して透光性を有することが好ましい。さらに、平面視において、第2の電極は、遮光層の輪郭よりも内側に位置することが好ましい。
【0015】
または、上記第2の電極は、可視光及び不可視光に対して透光性を有することが好ましい。さらに、平面視において、第2の電極は、第2の発光層及び第3の画素電極を介して遮光層と重なる部分と、第1の発光素子と重なる部分と、受光素子と重なる部分と、を有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれかの表示装置と、コネクターまたは集積回路と、を有する、表示モジュールである。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上記表示モジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、タッチセンサ、及び操作ボタンのうち、少なくとも一つと、を有する、電子機器である。さらに、電子機器は、第1の発光素子から可視光を発したときの第1の反射光を受光素子で受光する、第1の撮像機能と、第2の発光素子から不可視光を発したときの第2の反射光を受光素子で受光する、第2の撮像機能と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、認証機能を有する電子機器のコストを低減できる。または、電子機器の部品点数を削減できる。または、指紋または静脈形状等を撮像することのできる表示装置を提供できる。または、タッチ検出機能と指紋または静脈形状の撮像機能を兼ね備えた表示装置を提供できる。または、生体認証機能を備え、且つ画面占有率の高い電子機器を提供できる。または、可視光と赤外光の両方を発することのできる表示装置等を提供できる。または、可視光と赤外光の両方を光源として撮像することのできる撮像装置等を提供できる。
【0019】
本発明の一態様によれば、新規な構成を有する表示装置、撮像装置、または電子機器等を提供できる。本発明の一態様によれば、先行技術の問題点の少なくとも一を少なくとも軽減できる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1A乃至図1Cは、表示装置の構成例を示す図である。
図2図2A及び図2Bは、表示装置の構成例を示す図である。
図3図3A及び図3Bは、表示装置の構成例を示す図である。
図4図4A及び図4Bは、表示装置の構成例を示す図である。
図5図5A乃至図5Cは、表示装置の構成例を示す図である。
図6図6A乃至図6Dは、表示装置の構成例を示す図である。
図7図7A及び図7Bは、表示装置の構成例を示す図である。
図8図8A乃至図8Gは、表示装置の構成例を示す図である。
図9図9は、表示装置の構成例を示す図である。
図10図10Aは、表示装置の構成例を示す図である。図10Bは、トランジスタの構成例を示す図である。
図11図11A乃至図11Cは、電子機器の構成例を示す図である。
図12図12は、電子機器の構成例を示す図である。
図13図13は、電子機器の構成例を示す図である。
図14図14は、システムの構成例を示す図である。
図15図15は、システムの動作方法を説明するフローチャートである。
図16図16A及び図16Bは、画素回路の構成例を示す図である。
図17図17A及び図17Bは、電子機器の構成例を示す図である。
図18図18A乃至図18Dは、電子機器の構成例を示す図である。
図19図19A乃至図19Fは、電子機器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0024】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0025】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0026】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
【0027】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0028】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0029】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示する機能と、表示面に指またはスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
【0030】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
【0031】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、コネクターまたはICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
【0033】
本発明の一態様の表示装置は、可視光を呈する第1の発光素子と、不可視光を呈する第2の発光素子と、不可視光及び可視光に感度を有する受光素子と、を有する。第1の発光素子は、可視光を用いて画像を表示するための表示素子としての機能を有する。受光素子は、光電変換素子であることが好ましい。
【0034】
第1の発光素子と、受光素子とは、同一面上に並べて配置されることが好ましい。また、第2の発光素子は、第1の発光素子及び受光素子とは、異なる面上に設けられることが好ましい。
【0035】
第1の発光素子及び第2の発光素子としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)、またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、無機化合物(量子ドット材料など)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0036】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0037】
第1の発光素子及び第2の発光素子は、例えば一対の電極間に発光層を備える積層構造とすることができる。また、受光素子は、一対の電極間に活性層を備える積層構造とすることができる。受光素子の活性層には、半導体材料を用いることができる。例えば、シリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。
【0038】
特に、第1の発光素子及び第2の発光素子としてOLEDを用い、受光素子として、有機フォトダイオード(OPD:Organic Photo Diode)を用いることが好ましい。これにより、第1の発光素子、第2の発光素子、及び受光素子を作製する生産設備、製造装置、及びこれらに用いることのできる材料を、一部共通化することができるため作製コストを低減できる。さらには、これらの作製工程を簡略化できるため製造歩留まりを向上させることができる。
【0039】
また、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、第1の発光素子と受光素子のそれぞれの一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、第1の発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、第1の発光素子と受光素子とが、共通層を有することがより好ましい。これにより、第1の発光素子と受光素子とを作製する際の作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0040】
第1の発光素子の発光層と、受光素子の活性層とを作り分けることで、第1の発光素子と、受光素子とを同一面上に作ることができる。例えば発光層と活性層とは、それぞれメタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜法により、島状または帯状に形成することができる。遮蔽マスクを用いた成膜法では、成膜される膜の広がりを考慮して、異なる遮蔽マスクで形成する2つの島状のパターンの間には、マージン(余白、許容部ともいう)を設けることがある。
【0041】
なお、このマージンには、受光素子が受光する波長の光を遮光する遮光層を設けることができる。また遮光層は、第1の発光素子の発光領域及び受光素子の受光領域を規定する開口またはスリットを有する構成とすることができる。
【0042】
マージンは、発光及び受光には寄与しない領域となるため、表示装置の表示部の面積に対する発光領域または受光領域の割合(有効発光面積率、または、有効受光面積率)の低下につながる。
【0043】
そこで、本発明の一態様は、当該マージンに相当する部分に、不可視光を発する第2の発光素子を設ける。当該不可視光は、受光素子で被写体を撮像する際の光源として用いることができる。さらに、第2の発光素子は、遮光層よりも上側(表示面側)に配置することが好ましい。さらには、第2の発光素子は、遮光層と重なり、且つ、平面視において遮光層の輪郭よりも内側に設けることが好ましい。つまり、第2の発光素子の発光領域の端部は、遮光層の端部よりも内側に位置するように、第2の発光素子を設けることが好ましい。これにより、第2の発光素子が発する不可視光の一部は、遮光層によって遮光されるため、受光素子に直接入射することを防ぐことができる。これにより、表示装置はノイズが低減された明瞭な像を撮像することができる。
【0044】
不可視光としては、例えば赤外光または紫外光などが挙げられる。特に、波長700nm以上2500nm以下の範囲に一以上のピークを有する赤外光を好適に用いることができる。特に、750nm以上1000nm以下の波長域に強度を有する光、好ましくは、この波長域に一以上のピークを有する光を用いることで、受光素子の活性層に用いる材料の選択の幅が広がるため好ましい。
【0045】
不可視光として、上述の赤外光を用いることで、表示装置は、受光素子を用いて指または手などの血管、特に静脈を撮像することもできる。例えば、波長760nm及びその近傍の光は、静脈中の還元ヘモグロビンに吸収されないため、手のひらまたは指などからの反射光を受光素子で受光して画像化することで、静脈の位置を検出することができる。本発明の一態様の表示装置を有するモジュール、または電子機器は、撮像された静脈の画像を利用して、生体認証のひとつである静脈認証を行うことができる。
【0046】
また、第1の発光素子が発する可視光を光源とすることで、手のひらの掌紋、及び指先の指紋の形状などを撮像することができる。また、赤外光の一部も皮膚の表面で反射するため、指紋などの形状の撮像に、第2の発光素子が発する赤外光を用いることもできる。本発明の一態様の表示装置を有するモジュール、または電子機器は、撮像された指紋の画像を利用して、生体認証のひとつである指紋認証を行うことができる。
【0047】
以下では、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0048】
[表示装置の構成例1]
図1Aに、表示装置10の構成例を示す。表示装置10は、基板11と、基板12との間に、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、受光素子22、発光素子23IR、及び遮光層24等を有する。また表示装置10は、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22を覆う樹脂層31と、発光素子23IR及び遮光層24を覆う樹脂層32と、を有する。
【0049】
発光素子21R、発光素子21G、発光素子21B、及び受光素子22は、基板11上に並べて配置されている。また、遮光層24は、発光素子21R、発光素子21G、発光素子21Bの上部に設けられている。発光素子23IRは、遮光層24上に重ねて配置されている。遮光層24は、平面視において、各発光素子の間に位置する部分、及び、いずれかの発光素子と受光素子22との間に位置する部分を有する。同様に、発光素子23IRも、平面視において、各発光素子の間に位置する部分、及び、いずれかの発光素子と受光素子22との間に位置する部分を有する。
【0050】
発光素子21R、発光素子21B、発光素子21Gは、それぞれ赤色(R)、青色(B)、または緑色(G)の光を発する。
【0051】
表示装置10は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子22を有する。受光素子22は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子22を有していてもよい。
【0052】
隣接する2つの発光素子間、及び、発光素子と受光素子22との間には、これらを作り分ける際に必要なマージンが設けられている。図1Aでは、発光素子21Rと、発光素子21Bとが、距離Mだけ間隔をあけて配置されている。例えば、発光素子または受光素子を構成する膜として、メタルマスクを用いた真空蒸着法により島状の有機膜を形成する場合、メタルマスクと基板の位置合わせの精度、メタルマスクのたわみ、及び蒸気の散乱などにより、島状の有機膜の形状及び位置に、設計からのずれが生じうる。そのため、隣接素子間の距離Mを、10μm以上、好ましくは20μm以上、さらには30μm以上であって、200μm以下、好ましくは100μm以下とすることが好ましい。
【0053】
なお本明細書等において、発光素子と記載した場合に、発光領域を意味する場合がある。具体的な例としては、発光素子が一対の電極と、その間の発光層と、を有する場合、これらが積層され、且つ、電界をかけた時に発光する領域を、発光素子(発光領域)と表現する場合がある。そのため、発光素子の構成要素の一部または全部は、発光領域とは異なる領域に位置していてもよい。またこれと同様に、受光素子と記載した場合に、受光領域を意味する場合がある。
【0054】
発光素子23IRは、不可視光を発する。ここでは、発光素子23IRが、赤外光IRを発する例を示している。
【0055】
受光素子22は、少なくとも発光素子23IRが発する赤外光に感度を有する光電変換素子である。受光素子22は、例えば700nm以上900nm以下の波長域内に、感度を有すればよい。
【0056】
また、受光素子22は、赤外光だけでなく、発光素子21R、発光素子21B、及び発光素子21Gがそれぞれ発する光に感度を有することが好ましい。受光素子22が可視光及び赤外光に感度を有する場合、例えば500nm以上1000nm以下の波長域、500nm以上950nm以下の波長域、または500nm以上900nm以下の波長域に、感度を有することが好ましい。
【0057】
図1Aには、基板12の表面に指60が触れている様子を示している。このとき、発光素子23IRから発せられた赤外光IRの一部は、指60の表面または内部で反射し、その反射光の一部が受光素子22に入射する。これにより、指60が触れた位置の情報を取得することができる。また、指60の静脈形状及び指紋形状の一方または双方を撮像することができる。
【0058】
また、発光素子21R、発光素子21B、及び発光素子21Gのうち、いずれかが発する光によって、指60の位置情報の取得、または指紋の撮像を行うことができる。図1Bでは、一例として、発光素子21Gから発せられた光Gのうち、指60からの反射光を受光素子22で受光する様子を示している。
【0059】
また、図1Cに示すように、指60が基板12から離れていても、指60の位置情報を取得することができる。すなわち、表示装置10は、非接触型のタッチパネルとして機能することができる。なお、指60と基板12との距離によっては、指紋または静脈の形状を取得することができる場合がある。その場合、表示装置10が適用されたモジュールまたは電子機器は、非接触型の生体認証装置として機能することができる。
【0060】
受光素子22の配列間隔を小さくするほど、より高精細な画像を撮像することができる。例えば、受光素子22の配列間隔を、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね200μmであることから、例えば受光素子22の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。
【0061】
なお、表示装置10は、指紋だけでなく、基板12の表面に接触または接近する様々な物体を撮像することができる。そのため、表示装置10はイメージセンサパネルとしても用いることができる。例えば、発光素子21R、発光素子21B、及び発光素子21Gを順次発光させ、その都度、受光素子22によって撮像し、得られる3つの画像を合成することによって、カラー画像を得ることができる。すなわち、表示装置10が適用される電子機器はカラー撮像が可能なイメージスキャナとして用いることもできる。また、発光素子23IRを発光させた状態で受光素子22によって撮像することで、赤外光を用いたイメージスキャナとして用いることができる。
【0062】
また、表示装置10は、受光素子22を用いてタッチパネルまたはペンタブレットなどとして機能させることもできる。受光素子22を用いることで、静電容量式のタッチセンサ、または電磁誘導方式のタッチセンサ等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検知体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス等の被検知体の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0063】
[表示装置の構成例2]
以下では、表示装置のより具体的な構成例について説明する。
【0064】
図2Aに、以下で例示する表示装置100を、表示面側から見た時の上面概略図を示す。また、図2Bは、図2A中の一点鎖線X1-X2で切断した切断面に対応する断面概略図を示している。
【0065】
表示装置100は、一対の基板(基板151及び基板152)の間に、受光素子110、発光素子190、発光素子160、トランジスタ131、トランジスタ132、遮光層145、樹脂層141及び樹脂層142等を有する。
【0066】
発光素子190は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれか一の光を発する。
【0067】
図2Aには、受光素子110、発光素子190、発光素子160、及び遮光層145の上面形状を示している。なお、発光素子190については、発光色毎にR、G、Bの符号を付して、区別している。また、受光素子110には、PDの符号を付している。
【0068】
図2Aでは、Rの発光素子190とGの発光素子190とが交互に配列する行と、受光素子110と、Bの発光素子190とが交互に配列する行と、が、列方向に交互に配列している。なお、各発光素子190と受光素子110の相対的な位置関係はこれに限られず、任意の2つの素子を互いに入れ替えてもよい。
【0069】
隣接する2つの発光素子190の間、及び隣接する受光素子110と発光素子190との間には、遮光層145が設けられている。また、遮光層145上には、発光素子160が重ねて配置されている。図2Aでは、格子形状の遮光層145上に、格子形状の発光素子160が設けられている。発光素子160は、図2Aに示すように、遮光層145の輪郭よりも内側に設けられていることが好ましい。言い換えると、平面視において、受光素子110と発光素子160との間には、遮光層145の端部が位置していることが好ましい。また、平面視において、発光素子190と発光素子160との間には、遮光層145の他の端部が位置していることが好ましい。
【0070】
図2Aでは、発光素子160が、表示領域全域に亘って一続きである場合の一例を示している。このような構成とすることで、表示領域全域を発光または非発光状態とすることができるため、発光素子160の駆動の制御を極めて簡略化できる。
【0071】
図3Aには、行方向に長い帯状の発光素子160が、列方向に配列している場合の例である。このような構成とすることで、帯状の発光素子160を順に発光させることができる。
【0072】
また、図3Bでは、島状の発光素子160を、マトリクス状に配置した場合の例を示している。このとき、発光素子160はパッシブマトリクス方式による駆動方法を適用することができる。または、アクティブマトリクス方式による駆動方法を適用してもよい。
【0073】
なお、図3Bでは、理解を簡単にするため、発光素子160の上面形状及び大きさを、発光素子190及び受光素子110と同じであるように示しているが、これに限られず、発光素子160、各発光素子190、及び受光素子110の上面形状及び大きさを異ならせてもよい。
【0074】
図2Bに示すように、基板151上に、トランジスタ131及びトランジスタ132が設けられ、その上に絶縁層214が設けられている。
【0075】
受光素子110は、画素電極111、光電変換層112、及び共通電極113を有する。発光素子190は、画素電極191、EL層192、及び共通電極113を有する。光電変換層112は、少なくとも活性層を有する。EL層192は、少なくとも発光層を有する。
【0076】
発光素子190は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子190は、画素電極191と共通電極113との間に電圧を印加することで、基板152側に光121を射出する電界発光素子である。
【0077】
受光素子110は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子110は、基板152を介して外部から入射される光122を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0078】
画素電極111と画素電極191とは、同一面上に設けられる。画素電極111と画素電極191とは、同一の導電膜を加工して形成されることが好ましい。画素電極111及び画素電極191は、可視光及び赤外光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極111及び画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。共通電極113は可視光及び赤外光を透過する機能を有する。
【0079】
共通電極113は、受光素子110と発光素子190に共通して設けられる。具体的には、共通電極113は、光電変換層112を介して画素電極111と重なる部分と、EL層192を介して画素電極191と重なる領域と、を有する。
【0080】
なお、受光素子110と発光素子190とは、共通電極113以外にも共通で設けられる層を有していてもよい。例えば、活性層と発光層とを作り分け、それ以外の層を全て共通に用いる構成としてもよい。
【0081】
受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層は、発光素子における機能と受光素子における機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光素子における機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、発光素子において正孔注入層として機能し、受光素子において正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光素子において電子注入層として機能し、受光素子において電子輸送層として機能する。また、正孔輸送層は、発光素子と受光素子のどちらにおいても正孔輸送層として機能する。同様に、電子輸送層は、発光素子と受光素子のどちらにおいても電子輸送層として機能する。
【0082】
受光素子110と発光素子190を覆って、共通電極113上に保護層195が設けられている。保護層195は、樹脂層141側から、水などの不純物が受光素子110及び発光素子190に拡散することを防ぐ機能を有する。また保護層195を設けることで、保護層195の形成工程以降の工程中における、受光素子110及び発光素子190へのダメージを低減することができる。
【0083】
保護層195は、少なくとも無機絶縁膜を含む単層構造または積層構造とすることができる。無機絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化物膜または窒化物膜が挙げられる。
【0084】
保護層195を覆って、樹脂層141が設けられる。樹脂層141は、平坦化膜として機能する。
【0085】
樹脂層141上に、遮光層145が設けられる。遮光層145は、可視光及び赤外光を吸収することが好ましい。遮光層145として、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層145は、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタのうち、2以上を積層した積層構造を有していてもよい。
【0086】
遮光層145上に、発光素子160が設けられる。発光素子160は、電極161、EL層162、及び電極163を有する。
【0087】
発光素子160は、赤外光を発する機能を有する。具体的には、発光素子160は、電極161と電極163との間に電圧を印加することで、基板152側に光123を射出する電界発光素子である。
【0088】
絶縁層217は、電極161と遮光層145の端部を覆って設けられる。絶縁層217は、平坦化膜として機能することが好ましい。
【0089】
図2Bでは、電極161、EL層162、及び電極163は、それぞれ平面視において、遮光層145の輪郭よりも内側に位置するように、加工されている例を示している。このとき、図2Bに示すように、EL層162の端部を、電極163が覆う構成とすることが好ましい。これにより、電極163が保護層として機能し、樹脂層142側からEL層162に水などの不純物が拡散することを防ぐことができ、発光素子160の信頼性を高めることができる。
【0090】
また、電極161は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。電極163は、赤外光を透過する機能を有することが好ましい。
【0091】
図2Bに示すように、発光素子190の上部、及び受光素子110の上部に、EL層162及び電極163を設けない構成とすることが好ましい。これにより、光121及び光122の一部がEL層162及び電極163に吸収されることなく、発光効率及び受光感度の高い表示装置を実現できる。
【0092】
発光素子160を覆って、樹脂層142が設けられている。樹脂層142上には、基板152が設けられる。樹脂層142は、基板151と基板152とを貼り合わせるための接着層として機能することが好ましい。
【0093】
トランジスタ131とトランジスタ132とは、同一の層(図2Bでは基板151)上に接している。画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ131が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。トランジスタ132は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。
【0094】
受光素子110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0095】
ここで、発光素子190と受光素子110に共通に設けられる共通電極113は、第1の電位が与えられる配線と電気的に接続することが好ましい。第1の電位としては、共通電位(コモン電位)、接地電位、基準電位などの固定電位を用いることができる。なお、共通電極113に与える第1の電位は、固定電位に限られず、異なる2つ以上の電位を選択して与えることもできる。
【0096】
受光素子110で光を受光し、電気信号に変換する場合には、画素電極111には、共通電極113に与えられる第1の電位よりも低い第2の電位を与えることが好ましい。第2の電位は、受光素子110の構成、光学特性、及び電気的な特性等に応じて、受光感度などが最適になるような電位を選択して与えることができる。すなわち、受光素子110をフォトダイオードとしてみなした場合に、逆バイアス電圧が印加されるように、カソードとして機能する共通電極113に与える第1の電位と、アノードとして機能する画素電極111に与える第2の電位とを、選択することができる。なお、受光素子110を駆動しない場合には、画素電極111には、第1の電位と同じ若しくは同程度の電位、または第1の電位よりも高い電位が与えられてもよい。
【0097】
一方、発光素子190を発光させる場合、画素電極191には、共通電極113に与えられる第1の電位よりも高い第3の電位を与えることが好ましい。第3の電位は、発光素子190の構成、しきい値電圧、及び電流-輝度特性等に応じて、要求される発光輝度となるように電位を選択して与えることができる。すなわち、発光素子190を発光ダイオードとしてみなした場合に、順バイアス電圧が印加されるように、カソードとして機能する共通電極113に与える第1の電位と、アノードとして機能する画素電極191に与える第3の電位とを、選択することができる。なお、発光素子190を発光させない場合には、画素電極191には、第1の電位と同じ若しくは同程度の電位、または第1の電位よりも低い電位が与えられてもよい。
【0098】
なお、ここでは、受光素子110及び発光素子190として、共通電極113がカソードとして機能し、各画素電極がアノードとして機能する場合の例を説明したが、これに限られず、共通電極113がアノードとして機能し、各画素電極がカソードとして機能する構成としてもよい。その場合は、受光素子110を駆動する際に上記第2の電位として第1の電位よりも高い電位を与え、発光素子190を駆動する際に上記第3の電位として第1の電位よりも低い電位を与えればよい。
【0099】
〔構成例2-2〕
図4Aには、上記と一部の構成が異なる表示装置の断面概略図を示している。図4Aに示す表示装置100Aは、発光素子160の構成が異なる点で、上記表示装置100と主に相違している。
【0100】
発光素子160が有するEL層162及び電極163は、それぞれ受光素子110と重なる部分、および発光素子190と重なる部分を有する。このような構成とすることで、EL層162及び電極163として、それぞれ一続きの膜を用いることができるため、工程を簡略化できる。また、EL層162と電極163とを連続して形成することができるため、これらの間に大気に含まれる不純物(例えば水など)が混入することを抑制でき、信頼性を高めることができる。
【0101】
EL層162及び電極163は、発光素子190が発する可視光が透過するため、それぞれ可視光に対する吸収が小さい膜を適用することが好ましい。例えば、EL層162及び電極163の積層体が、発光素子190が発する光に対して、透過率が50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下となるように、EL層162及び電極163の材料および厚さをそれぞれ選択することが好ましい。
【0102】
また、EL層162及び電極163は、発光素子160が発する赤外光を含む光123が対象物に反射された光122が透過するため、それぞれ赤外光に対する吸収が小さい膜を適用することが好ましい。例えば、EL層162及び電極163の積層体が、発光素子160が発する赤外光に対して、透過率が50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下となるように、EL層162及び電極163の材料および厚さをそれぞれ選択することが好ましい。
【0103】
EL層162及び電極163を、可視光及び赤外光に対する透過率を高くすることで、光の取り出し効率が向上するため、表示装置の表示輝度または発光輝度を高めることができる。また、受光素子110に到達する光122の照度を高めることができるため、検出感度を高めることができる。
【0104】
〔構成例2-3〕
図4Bには、上記とは異なる構成を有する表示装置100Bの断面概略図を示す。図3Bで示した上面概略図における、一点鎖線X3-X4に対応する断面概略図に相当する。
【0105】
図4Bでは、2つの発光素子160の間に、導電層167が設けられている。導電層167は、2つの発光素子160がそれぞれ有する島状の電極163を電気的に接続する配線として機能する。
【0106】
電極163に用いる導電材料は、透光性が高いほど発光素子160が発する光123の取り出し効率を高めることができるため好ましい。しかしながら、高い透光性と高い導電性とを両立することは容易ではない。電極163の電気抵抗が高いと、電圧降下が生じるため、個々の発光素子160に印加される電圧に分布が生じ、その結果、画面全体における発光輝度の均一性が損なわれる恐れがある。そのため、各発光素子160の電極163を島状の上面形状とし、それらを導電性の高い導電層167で電気的に接続することで、電圧降下を抑制することができる。
【0107】
なお、ここでは電極163を島状の上面形状としたが、上記表示装置100Aと同様に、一続きの膜としてもよい。このとき、EL層162は、島状に形成することが好ましい。
【0108】
[表示装置の構成例3]
以下では、表示装置に用いることのできる回路構成の例について説明する。
【0109】
図5Aに、表示装置50の斜視概略図を示す。本発明の一態様の表示装置は、図5Aに示すように、発光素子21及び受光素子22を有する層51と、発光素子23を有する層52とが積層された構成と捉えることもできる。
【0110】
層51には、発光素子21と受光素子22とが、それぞれマトリクス状に配置されている。ここでは、図2A等を45度回転させた配列である場合を示している。
【0111】
層52には、発光素子23が設けられている。ここでは、発光素子23がマトリクス状に配置されている例を示している。なお、発光素子23の配置方法はこれに限られず、層52全体に及ぶ一つの発光素子23を配置してもよいし、帯状の上面形状を有する発光素子23を、一方向に配列してもよい。
【0112】
続いて、表示装置50の発光及び受光を制御するための回路について説明する。
【0113】
図5Bは、層51と、その周辺回路の構成例を説明するためのブロック図を示す。層51は、画素71及び画素72を有する。画素71は、副画素として機能し、赤色、緑色、または青色のいずれかの発光素子21の発光輝度を制御するための回路である。画素72は、受光素子22の受光動作及び読み出し動作を制御するための回路である。
【0114】
画素71は、少なくとも画素の選択及び非選択を制御するためのトランジスタ(選択トランジスタ)と、発光素子21に流れる電流を制御するためのトランジスタ(駆動トランジスタ)とを有する。画素71は、アクティブマトリクス方式により駆動することができる。
【0115】
また画素72は、少なくとも画素の選択及び非選択を制御するためのトランジスタ(選択トランジスタ)を有する。画素72は、アクティブマトリクス方式により駆動することができる。
【0116】
層51には、回路部75a、回路部76a、回路部77、および回路部78が電気的に接続されている。回路部75aは、配線GLaを介して、行方向に配列する複数の画素71と電気的に接続されている。回路部76aは、配線SLaを介して、列方向に配列する複数の画素71と電気的に接続されている。回路部77は、配線CLを介して、行方向に配列する複数の画素72と電気的に接続されている。回路部78は、配線WLを介して、列方向に配列する複数の画素72と電気的に接続されている。なお、ここでは配線GLa、配線SLa、配線CL、および配線WLをそれぞれ1本の配線として明示しているが、それぞれ異なる信号または電位が供給される複数の配線であってもよい。
【0117】
回路部75aは、走査線駆動回路(ゲート線駆動回路、ゲートドライバ、スキャンドライバなどともいう)として機能する。回路部75aは、画素71を選択するための選択信号を生成し、配線GLaに出力する機能を有する。回路部76aは、信号線駆動回路(ソース線駆動回路、ソースドライバなどともいう)として機能する。回路部76aは、データ信号(データ電位)を配線SLaに出力する機能を有する。
【0118】
回路部77は、走査線駆動回路として機能する。回路部77は、画素72に供給するタイミング信号などを生成し、配線CLに出力する機能を有する。回路部78は、読出し回路として機能する。回路部78は、配線WLを介して画素72から出力される信号を、外部の機器で処理することのできるデータ(デジタルデータまたはアナログデータ)に変換して、出力する機能を有する。
【0119】
図5Cは、層52と、その周辺回路の構成例を説明するためのブロック図を示す。層52は、画素73を有する。画素73は、発光素子23の発光輝度を制御するための回路である。画素73は上記画素71と同様の構成とすることができる。画素73は、アクティブマトリクス方式により駆動することができる。
【0120】
層52には、回路部75bと、回路部76bとが電気的に接続されている。回路部75bは、配線GLbを介して、行方向に配列した複数の画素73と電気的に接続されている。回路部76bは、配線SLbを介して、列方向に配列した複数の画素73と電気的に接続されている。
【0121】
回路部75bは走査線駆動回路として機能し、回路部76bは信号線駆動回路として機能する。回路部75bと回路部76bは、それぞれ回路部75a、回路部76aの説明を援用できる。
【0122】
層52が有する発光素子23は、パッシブマトリクス方式またはセグメント方式により、発光を制御する構成としてもよい。これにより、画素の構成、および周辺回路の構成を簡略化できるため、製造コストを軽減できる。
【0123】
図6Aは、パッシブマトリクス方式の駆動方法を適用した場合の例を示す。
【0124】
図6Aに示す表示装置は、層52a、回路部79a、および回路部79bを有する。層52aには、複数の発光素子23がマトリクス状に配置されている。回路部79aは、配線SLを介して、行方向に配列する複数の発光素子23のアノードに電気的に接続されている。回路部79bは、配線SLを介して、列方向に配列する複数の発光素子23のカソードに電気的に接続されている。
【0125】
発光素子23は、配線SLを介して回路部79aから与えられるアノード電位と、配線SLを介して回路部79bから与えられるカソード電位との電位差に応じた輝度で発光することができる。
【0126】
図6Bは、セグメント方式の駆動方法を適用した場合の例を示す。
【0127】
図6Bに示す表示装置は、層52b及び回路部79cを有する。層52bには、複数の発光素子23がマトリクス状に配置されている。回路部79cは、複数の配線ALが電気的に接続されている。1本の配線ALには、1つの発光素子23のアノードが電気的に接続されている。発光素子23のアノードには、当該配線ALを介して、回路部79cからアノード電位が与えられる。また、複数の発光素子23のそれぞれは、カソードが配線CLと電気的に接続されている。配線CLには、カソード電位が与えられる。
【0128】
図6Bに示す構成は、発光素子23のそれぞれに対して、個別にアノード電位を与え、発光させることができる。
【0129】
図6Cに示す表示装置は、列方向に配列した複数の発光素子23を有する層52cと、回路部79cを有する。発光素子23のアノードには、配線ALを介して回路部79cからアノード電位が与えられる。発光素子23のカソードには、配線CLを介してカソード電位が与えられる。
【0130】
図6Cに示す表示装置は帯状の上面形状を有する発光素子23が一方向に配列した構成を好適に用いることができる。
【0131】
また、図6Dは、一つの発光素子23を備える場合の例である。層52cには、一つの発光素子23が設けられる。発光素子23のアノードには、配線ALを介して回路部79dからアノード電位が与えられ、カソードには、配線CLを介してカソード電位が与えられる。
【0132】
図6Dに示す表示装置は、発光素子23を一つ備える構成であるため、回路部79dは、発光の輝度(すなわちアノード電位の大きさ)と、発光するタイミングを制御すればよく、上記と比べて回路構成を簡略化できる。
【0133】
なお、図6A乃至図6Dにおいて、一つの回路記号で示した発光素子23を、複数の発光素子で構成することもできる。例えば直列または並列に接続された複数の発光素子を、一つの発光素子とみなすことができる。
【0134】
[デバイス構造]
次に、本発明の一態様の表示装置に用いることができる、発光素子、受光素子、及び受発光素子の詳細な構成について説明する。
【0135】
以下で例示する発光素子は、上記で例示した発光素子21に適用することができる。また、以下で例示する受光素子及び受発光素子は、上記で例示した受光素子22に適用することができる。また、以下で例示する発光素子は、上記で例示した発光素子23に適用することができる。
【0136】
本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出するトップエミッション型、発光素子が形成されている基板側に光を射出するボトムエミッション型、両面に光を射出するデュアルエミッション型のいずれであってもよい。
【0137】
本実施の形態では、トップエミッション型の表示装置を例に挙げて説明する。
【0138】
なお、本明細書等において、特に説明のない限り、要素(発光素子、発光層など)を複数有する構成を説明する場合であっても、各々の要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。例えば、発光層283R及び発光層283G等に共通する事項を説明する場合に、発光層283と記す場合がある。
【0139】
図7Aに示す表示装置280Aは、受光素子270PD、赤色(R)の光を発する発光素子270R、緑色(G)の光を発する発光素子270G、及び、青色(B)の光を発する発光素子270Bを有する。
【0140】
各発光素子は、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。発光素子270Rは、発光層283Rを有し、発光素子270Gは、発光層283Gを有し、発光素子270Bは、発光層283Bを有する。発光層283Rは、赤色の光を発する発光物質を有し、発光層283Gは、緑色の光を発する発光物質を有し、発光層283Bは、青色の光を発する発光物質を有する。
【0141】
発光素子は、画素電極271と共通電極275との間に電圧を印加することで、共通電極275側に光を射出する電界発光素子である。
【0142】
受光素子270PDは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。
【0143】
受光素子270PDは、表示装置280Aの外部から入射される光を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0144】
本実施の形態では、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子は、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受光素子に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0145】
本実施の形態の表示装置では、受光素子270PDの活性層273に有機化合物を用いる。受光素子270PDは、活性層273以外の層を、発光素子と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受光素子270PDを形成することができる。また、発光素子と受光素子270PDとを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0146】
表示装置280Aでは、受光素子270PDの活性層273と、発光素子の発光層283と、を作り分ける以外は、受光素子270PDと発光素子が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子270PDと発光素子の構成はこれに限定されない。受光素子270PDと発光素子は、活性層273と発光層283のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい。受光素子270PDと発光素子は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0147】
画素電極271と共通電極275のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0148】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0149】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。
【0150】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。なお、発光素子が近赤外光(波長750nm以上1300nm以下の光)を発する場合、これらの電極の近赤外光の透過率または反射率は、可視光の透過率または反射率と同様に、上記の数値範囲を満たすことが好ましい。
【0151】
発光素子は少なくとも発光層283を有する。発光素子は、発光層283以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、電子ブロック材料、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0152】
例えば、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を共通の構成とすることができる。また、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を互いに作り分けることができる。
【0153】
正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物、または正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料を用いることができる。
【0154】
発光素子において、正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。受光素子において、正孔輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した正孔を陽極に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)または芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0155】
発光素子において、電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。受光素子において、電子輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した電子を陰極に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0156】
電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0157】
発光層283は、発光物質を含む層である。発光層283は、1種または複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0158】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量子ドット材料などが挙げられる。
【0159】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0160】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0161】
発光層283は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0162】
発光層283は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0163】
励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性材料のHOMO準位(最高被占有軌道準位)が電子輸送性材料のHOMO準位以上の値であると好ましい。正孔輸送性材料のLUMO準位(最低空軌道準位)が電子輸送性材料のLUMO準位以上の値であると好ましい。材料のLUMO準位及びHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位及び酸化電位)から導出することができる。
【0164】
励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性材料の発光スペクトル、電子輸送性材料の発光スペクトル、及びこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長側にシフトする(または長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。または、正孔輸送性材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、または遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL、及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
【0165】
活性層273は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層273が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層283と、活性層273と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0166】
活性層273が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光素子として有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0167】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0168】
活性層273が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0169】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0170】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0171】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0172】
例えば、活性層273は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。または、活性層273は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0173】
発光素子及び受光素子には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光素子及び受光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0174】
図7Bに示す表示装置280Bは、受光素子270PDと発光素子270Rが同一の構成である点で、表示装置280Aと異なる。
【0175】
受光素子270PDと発光素子270Rは、活性層273と発光層283Rを共通して有する。
【0176】
ここで、受光素子270PDは、検出したい光よりも長波長の光を発する発光素子と共通の構成にすることが好ましい。例えば、青色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270R及び発光素子270Gの一方または双方と同様の構成にすることができる。例えば、緑色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270Rと同様の構成にすることができる。
【0177】
受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、成膜工程の数及びマスクの数を削減することができる。したがって、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。
【0178】
また、受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、位置ずれに対するマージンを狭くできる。これにより、画素の開口率を高めることができ、表示装置の光取り出し効率を高めることができる。これにより、発光素子の寿命を延ばすことができる。また、表示装置は、高い輝度を表現することができる。また、表示装置の高精細度化も可能である。
【0179】
発光層283Rは、赤色の光を発する発光材料を有する。活性層273は、赤色よりも短波長の光(例えば、緑色の光及び青色の光の一方または双方)を吸収する有機化合物を有する。活性層273は、赤色の光を吸収しにくく、かつ、赤色よりも短波長の光を吸収する有機化合物を有することが好ましい。これにより、発光素子270Rからは赤色の光が効率よく取り出され、受光素子270PDは、高い精度で赤色よりも短波長の光を検出することができる。
【0180】
また、表示装置280Bでは、発光素子270R及び受光素子270PDが同一の構成である例を示すが、発光素子270R及び受光素子270PDは、それぞれ異なる厚さの光学調整層を有していてもよい。
【0181】
図8A図8Bに示す表示装置280Cは、赤色(R)の光を発し、かつ、受光機能を有する受発光素子270SR、発光素子270G、及び、発光素子270Bを有する。発光素子270Gと発光素子270Bの構成は、上記表示装置280A等を援用できる。
【0182】
受発光素子270SRは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、発光層283R、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。受発光素子270SRは、上記表示装置280Bで例示した発光素子270R及び受光素子270PDと同一の構成である。
【0183】
図8Aでは、受発光素子270SRが発光素子として機能する場合を示す。図8Aでは、発光素子270Bが青色の光を発し、発光素子270Gが緑色の光を発し、受発光素子270SRが赤色の光を発している例を示す。
【0184】
図8Bでは、受発光素子270SRが受光素子として機能する場合を示す。図8Bでは、受発光素子270SRが、発光素子270Bが発する青色の光と、発光素子270Gが発する緑色の光を受光している例を示す。
【0185】
発光素子270B、発光素子270G、及び受発光素子270SRは、それぞれ、画素電極271及び共通電極275を有する。本実施の形態では、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する。受発光素子270SRは、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受発光素子270SRに入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0186】
受発光素子270SRは、発光素子に、活性層273を追加した構成ということができる。つまり、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受発光素子270SRを形成することができる。また、発光素子と受発光素子とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示部に撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付与することができる。
【0187】
発光層283Rと活性層273との積層順は限定されない。図8A図8Bでは、正孔輸送層282上に活性層273が設けられ、活性層273上に発光層283Rが設けられている例を示す。発光層283Rと活性層273の積層順を入れ替えてもよい。
【0188】
また、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層など、他の機能層を有していてもよい。
【0189】
受発光素子において、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0190】
受発光素子を構成する各層の機能及び材料は、発光素子及び受光素子を構成する各層の機能及び材料と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0191】
図8C乃至図8Gに、受発光素子の積層構造の例を示す。
【0192】
図8Cに示す受発光素子は、第1の電極277、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層283R、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び第2の電極278を有する。
【0193】
図8Cは、正孔輸送層282上に発光層283Rが設けられ、発光層283R上に活性層273が積層された例である。
【0194】
図8A乃至図8Cに示すように、活性層273と発光層283Rとは、互いに接していてもよい。
【0195】
また、活性層273と発光層283Rとの間には、バッファ層が設けられることが好ましい。このとき、バッファ層は、正孔輸送性及び電子輸送性を有することが好ましい。例えば、バッファ層には、バイポーラ性の物質を用いることが好ましい。または、バッファ層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、及び電子ブロック層等のうち少なくとも1層を用いることができる。図8Dには、バッファ層として正孔輸送層282を用いる例を示す。
【0196】
活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を設けることで、発光層283Rから活性層273に励起エネルギーが移動することを抑制できる。また、バッファ層を用いて、マイクロキャビティ構造の光路長(キャビティ長)を調整することもできる。したがって、活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を有する受発光素子からは、高い発光効率を得ることができる。
【0197】
図8Eは、正孔注入層281上に正孔輸送層282-1、活性層273、正孔輸送層282-2、発光層283Rの順で積層された積層構造を有する例である。正孔輸送層282-2は、バッファ層として機能する。正孔輸送層282-1と正孔輸送層281-2とは、同じ材料を含んでいてもよいし、異なる材料を含んでいてもよい。また、正孔輸送層281-2の代わりに、上述したバッファ層に用いることのできる層を用いてもよい。また、活性層273と、発光層283Rの位置を入れ替えてもよい。
【0198】
図8Fに示す受発光素子は、正孔輸送層282を有さない点で、図8Aに示す受発光素子と異なる。このように、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層など、他の機能層を有していてもよい。
【0199】
図8Gに示す受発光素子は、活性層273及び発光層283Rを有さず、発光層と活性層を兼ねる層289を有する点で、図8Aに示す受発光素子と異なる。
【0200】
発光層と活性層を兼ねる層289としては、例えば、活性層273に用いることができるn型半導体と、活性層273に用いることができるp型半導体と、発光層283Rに用いることができる発光物質と、の3つの材料を含む層を用いることができる。
【0201】
なお、n型半導体とp型半導体との混合材料の吸収スペクトルの最も低エネルギー側の吸収帯と、発光物質の発光スペクトル(PLスペクトル)の最大ピークと、は互いに重ならないことが好ましく、十分に離れていることがより好ましい。
【0202】
[表示装置の構成例4]
以下では、本発明の一態様の表示装置の、より具体的な構成について説明する。
【0203】
図9に表示装置200の斜視図を示し、図10Aに、表示装置200の断面図を示す。
【0204】
表示装置200は、基板151と基板152とが貼り合わされた構成を有する。図9では、基板152を破線で明示している。
【0205】
表示装置200は、表示部262、回路264、配線265等を有する。図9では表示装置200にIC(集積回路)274及びFPC272が実装されている例を示している。そのため、図9に示す構成は、表示装置200、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0206】
回路264としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0207】
配線265は、表示部262及び回路264に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC272を介して外部から配線265に入力されるか、またはIC274から配線265に入力される。
【0208】
図9では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式等により、基板151にIC274が設けられている例を示す。IC274は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、表示装置200及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0209】
図10Aに、図9で示した表示装置200の、FPC272を含む領域の一部、回路264を含む領域の一部、表示部262を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0210】
図10Aに示す表示装置200は、基板151と基板152の間に、トランジスタ208、トランジスタ209、トランジスタ210、発光素子190、受光素子110、および発光素子160等を有する。
【0211】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0212】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0213】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0214】
本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0215】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0216】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0217】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0218】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0219】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0220】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Inの原子数比がMの原子数比以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=10:1:3、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0221】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0222】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inを4としたとき、Gaが1以上3以下であり、Znが2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inを5としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inを1としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0223】
回路264が有するトランジスタと、表示部262が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路264が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部262が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0224】
絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0225】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水または水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0226】
図10Aには、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示している。一方、図10Bに示すトランジスタ202では、絶縁層225が、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクとして用いて絶縁層225を加工することで、図10Bに示す構造を作製できる。図10Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0227】
絶縁層211、絶縁層225、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0228】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置200の端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示装置200の端部から有機絶縁膜を介して不純物が拡散することを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置200の端部よりも内側に位置するように有機絶縁膜を形成し、表示装置200の端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0229】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0230】
図10Aに示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部262に不純物が拡散することを抑制できる。したがって、表示装置200の信頼性を高めることができる。
【0231】
発光素子190は、絶縁層214側から画素電極191、共通層114、発光層196、共通層115、及び共通電極113の順に積層された積層構造を有する。発光素子190の画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。トランジスタ208は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極113は可視光を透過する材料を含む。
【0232】
受光素子110は、絶縁層214側から画素電極111、共通層114、活性層116、共通層115、及び共通電極113の順に積層された積層構造を有する。受光素子110の画素電極111は、導電層222bを介してトランジスタ209の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極111は可視光及び赤外光を反射する材料を含み、共通電極113は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0233】
発光素子190が発する光は、基板152側に射出される。また、受光素子110には、基板152を介して、光が入射する。基板152には、可視光及び赤外光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0234】
画素電極111及び画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層114、共通層115、及び共通電極113は、受光素子110と発光素子190との双方に用いられる。受光素子110と発光素子190とは、活性層116と発光層196の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置200に受光素子110を内蔵することができる。
【0235】
また、受光素子110及び発光素子190を覆って、無機絶縁層195a、有機絶縁層195b、及び無機絶縁層195cが積層して設けられている。また、無機絶縁層195c上に、遮光層145及び発光素子160が積層して設けられている。遮光層145及び発光素子160は、受光素子110の受光領域、及び発光素子190の発光領域と重ならない位置に設けられている。
【0236】
表示装置200において、有機絶縁層195bが、上記樹脂層141に相当する。
【0237】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、受光素子110及び発光素子190を囲うことができるため、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0238】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0239】
遮光層145は、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層145を設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層145を有することで、発光素子190及び発光素子160から受光素子110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0240】
発光素子160は、遮光層145側から電極161、バッファ層164、発光層166、バッファ層165、及び電極163の順に積層された積層構造を有する。電極161の端部は、絶縁層217によって覆われている。電極161は赤外光を反射する材料を含み、電極163は可視光及び赤外光を透過する材料を含む。
【0241】
バッファ層164、発光層166、およびバッファ層165は、島状の上面形状を有する。また、電極163は、バッファ層164、発光層166、及びバッファ層165を覆って設けられている。バッファ層164、発光層166、バッファ層165、及び電極163は、受光素子110の受光領域、及び発光素子190の発光領域と重ならない位置に設けられている。
【0242】
絶縁層217及び発光素子160を覆って、樹脂層142が設けられ、樹脂層142上に基板152が設けられる。樹脂層142は、基板151と基板152とを貼り合わせるための接着層として機能する。
【0243】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線265が導電層266及び接続層242を介してFPC272と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層266が露出している。これにより、接続部204とFPC272とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0244】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0245】
基板151、及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151、及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。
【0246】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0247】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0248】
ここでは、発光素子190及び発光素子160として、トップエミッション型の発光素子を適用したが、発光素子には、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0249】
発光素子は少なくとも発光層を有する。発光素子は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子ブロック材料、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、画素電極側の共通層は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通電極側の共通層は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0250】
各共通層、及び発光層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。各共通層、及び発光層構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0251】
発光層は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0252】
受光素子110の活性層116は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光素子190の発光層196と、受光素子110の活性層116と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0253】
活性層116が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光素子として有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0254】
また、活性層116が有するn型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0255】
活性層116が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0256】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0257】
例えば、活性層116は、n型半導体とp型半導体とを共蒸着して形成することが好ましい。または、活性層116は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0258】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0259】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層、または表示素子が有する導電層(画素電極、または共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0260】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0261】
[金属酸化物について]
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0262】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0263】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0264】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)を用いることができる。
【0265】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0266】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0267】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0268】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0269】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0270】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0271】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0272】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、または金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0273】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0274】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入、または欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物または欠陥(酸素欠損(V:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0275】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSまたは非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0276】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0277】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0278】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0279】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0280】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0281】
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度が室温であると、生産性を高めることができ、好ましい。
【0282】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0283】
以上が、金属酸化物についての説明である。
【0284】
本実施の形態の表示装置は、表示部に受光素子と発光素子とを有し、表示部は画像を表示する機能と光を検出する機能との双方を有する。これにより、表示部の外部または表示装置の外部にセンサを設ける場合に比べて、電子機器の小型化及び軽量化を図ることができる。また、表示部の外部または表示装置の外部に設けるセンサと組み合わせて、より多機能の電子機器を実現することもできる。
【0285】
受光素子は、活性層以外の少なくとも一層を、発光素子(EL素子)と共通の構成にすることができる。さらには、受光素子は、活性層以外の全ての層を、発光素子(EL素子)と共通の構成にすることもできる。例えば、発光素子の作製工程に、活性層を成膜する工程を追加するのみで、発光素子と受光素子とを同一基板上に形成することができる。また、受光素子と発光素子は、画素電極と共通電極とを、それぞれ、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。また、受光素子と電気的に接続される回路と、発光素子と電気的に接続される回路と、を、同一の材料及び同一の工程で作製することで、表示装置の作製工程を簡略化できる。このように、複雑な工程を有さなくとも、受光素子を内蔵し、利便性の高い表示装置を作製することができる。
【0286】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0287】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0288】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
【0289】
[電子機器の構成例]
本発明の一態様の表示装置は、赤外光と可視光を用いて様々な生体情報を取得することができる。このような生体情報は、ユーザーの個人認証の用途と、ヘルスケアの用途の両方に用いることができる。
【0290】
本発明の一態様の表示装置を用いて取得することのできる生体情報のうち、個人認証に用いることのできる生体情報としては、代表的には、指紋、掌紋、静脈、虹彩などがある。これら生体情報は、可視光または赤外光により取得することができる。特に静脈及び虹彩の情報は、赤外光により取得することが好ましい。
【0291】
また、本発明の一態様の表示装置を用いて取得することのできる生体情報のうち、ヘルスケアの用途に用いることのできる生体情報としては、脈波、血糖値、酸素飽和度、中性脂肪濃度などがある。
【0292】
さらに、表示装置が搭載される電子機器に、他の生体情報を取得する手段を設けることが好ましい。例えば、心電図、血圧、体温などの体内の生体情報のほか、表情、顔色、瞳孔などの表面的な生体情報などがある。また、歩数、運動強度、移動の高低差、食事(摂取カロリーまたは栄養素など)の情報も、ヘルスケアには重要な情報となる。複数の生体情報等を用いることで、複合的な体調管理が可能となり、日常的な健康管理だけでなく、傷病の早期発見にもつながる。
【0293】
例えば、血圧は、心電図と、脈波の2つの拍動のタイミングのずれ(脈波伝搬時間の長さ)から算出することができる。血圧が高いと脈波伝搬時間が短く、逆に血圧が低いと脈波伝搬時間が長くなる。また、心電図及び脈波から算出される心拍数と血圧の関係から、ユーザーの身体状態を推定することもできる。例えば心拍数と血圧がいずれも高いと、緊張状態または興奮状態であると推定でき、その逆に心拍数と血圧がいずれも低いと、リラックス状態であると推定することができる。また、低血圧で且つ心拍数が高い状態が継続する場合には、心臓疾患などの可能性がある。
【0294】
ユーザーは、電子機器で測定された生体情報、またはその情報をもとに推定された自己の身体状況などを随時確認できるため、健康意識が向上する。その結果、暴飲暴食を避ける、適度な運動に気を付ける、または体調管理を行うなど、日々の習慣の見直しを行うことができる。さらには、必要に応じて医療機関による診察を受けるきっかけにもなりうる。
【0295】
〔構成例1〕
図11Aに、電子機器80の概略図を示している。電子機器80は、スマートフォンとして用いることができる。電子機器80は、少なくとも筐体82と、表示部81aと、表示部81bとを備える。表示部81aは、主表示面として機能する。表示部81bは副表示面として機能し、筐体82の側面に沿った曲面形状を有している。表示部81a及び表示部81bには、本発明の一態様の表示装置が適用されている。
【0296】
図11Aに示すように、表示部81bは、ユーザーが手60aで電子機器80を把持したときに、指60が自然に触れる位置に設けられている。このとき電子機器80は、表示部81bに触れる指60の指紋を取得して、指紋認証を実行することができる。これにより、ユーザーが意識することなく、電子機器80を持つ動作と同時に認証動作を実行することができる。したがって、ユーザーが電子機器80を手に取り、画面に目を向けたときにはすでに認証が完了してログイン状態となり、すぐに使用できる状態となるため、高い安全性と、高い利便性を兼ね備えた電子機器とすることができる。
【0297】
また、図11Bに示すように、表示部81aに指60が触れることで、指60からユーザーの生体情報を取得することができる。例えば、静脈形状の撮像、細動脈の撮像を実行することができ、撮像した情報から、脈拍または酸素濃度などの様々な生体情報を取得することが可能となる。
【0298】
なお、図11Cに示すように、表示部81bに沿って指60が触れることで、表示部81bでも、同様の生体情報を取得することもできる。
【0299】
生体情報の取得は、例えばユーザーが生体情報の取得及び管理のためのアプリケーションを実行することにより行うことができる。当該アプリケーションにより、電子機器80は、表示部81aまたは表示部81bに指60が触れることを認識し、撮像を実行することができる。また、撮像画像から、上述の生体情報を取得し、データの保存または管理などを実行することが可能となる。
【0300】
図12に示す電子機器80aは、表示部81a、表示部81bに加えて、表示部81cを有する。表示部81cは、表示部81aを挟んで表示部81bとは反対側に位置している。
【0301】
図12に示すように、表示部81cは、ユーザーが手60aで電子機器80aを把持したときに、5本の指60のうち、人差し指、中指、薬指、及び小指のうち、1つ以上が自然に触れる位置に設けられている。また、表示部81bは、親指が自然に触れる位置に設けられている。表示部81b及び表示部81cは、それぞれが指紋の撮像を実行することができる。これにより、複数の指先の指紋を用いて指紋認証を実行することができるため、より精度の高い認証を実行することができるため好ましい。
【0302】
また、電子機器80aは、左右対称な構成であるため、右手、左手を問わず、両方の手に対応することができ、好ましい。
【0303】
〔構成例2〕
図13に、電子機器80bの概略図を示している。電子機器80bは、タブレット端末として用いることができる。電子機器80bは、少なくとも筐体82と、表示部81aと、表示部81bとを備える。表示部81a及び表示部81bには、本発明の一態様の表示装置が適用されている。
【0304】
電子機器80bは、ユーザーが、表示部81aまたは表示部81bに手60aをかざす、または接触させることにより、個人認証を実行すると共に、ユーザーの生体情報を取得することができる。
【0305】
電子機器80bは、表示部81aまたは表示部81bにユーザーの手60aが置かれると、その形状を認識することができる。そして、手60aの各部位に対応する各領域に適した生体情報の取得を実行する。例えば、手60aの指先に対応する領域85aでは、指紋形状、及び、静脈形状の撮像を実行することができる。また、指の腹に対応する領域85bでは、静脈形状の撮像、細動脈の撮像などを実行することができる。また、掌に対応する領域85cでは、掌紋の撮像、静脈の撮像、細動脈の撮像、真皮の撮像などを実行することができる。指紋、掌紋、及び静脈の画像は、個人認証に用いることができる。また、細動脈、静脈、及び真皮の画像は、生体情報の取得に用いることができる。
【0306】
また、生体情報を取得する際に、表示部81aまたは表示部81bに手の形を模した画像を表示し、その画像に合わせてユーザーが手60aを置くことを促してもよい。これにより、手60aの形状の認識精度を高めることができる。
【0307】
このように、電子機器80bを起動させるための個人認証を実行するたびに、ユーザーの生体情報の取得を実行することができる。これにより、ユーザーに意識させずに継続的に生体情報を蓄積することができるため、継続的な健康管理を行うことができる。また、健康管理のためのアプリケーションソフトなどを、その都度ユーザーが実行する必要がなく、生体情報の取得及び更新が途切れてしまう恐れがないため、好ましい。
【0308】
[システムの構成例]
本発明の一態様によれば、様々な生体情報を定期的、且つ、継続的に取得することができ、これら生体情報を個人認証、または健康管理等に利用することができる。
【0309】
例えば、可視光及び赤外線を用いることで得られる生体情報としては、指紋、掌紋、静脈形状、脈波、呼吸数、脈拍、酸素飽和度、血糖値、中性脂肪濃度などが挙げられる。また、このほかに、表情、顔色、瞳孔、声紋などが挙げられる。このような様々な生体情報を用いることで、ユーザーの健康状態を総合的に判定できるため好ましい。
【0310】
生体情報を用いた個人認証の手法としては、代表的にはパターンマッチング法が挙げられる。例えば、指紋、掌紋、静脈形状などの画像から、特徴的な複数の点の座標と、これら点の座標間のベクトルなどの特徴量を算出し、あらかじめ取得したユーザーの特徴量と比較することで認証することができる。指紋、掌紋、静脈形状のうち、2つ以上の画像を用いることで、精度の高い認証を実行することができる。
【0311】
また、生体情報を用いた個人認証、または健康状態の判定には、機械学習を用いてもよい。機械学習に用いる学習モデルとしては、あらかじめ学習された学習モデルを用いてもよいし、取得したユーザーのデータを用いて更新される学習モデルを用いてもよい。機械学習の手法としては、例えば教師あり機械学習、教師なし機械学習などがある。
【0312】
以下では、本発明の一態様のシステムの構成例、及びシステムの動作例について、図面を参照して説明する。
【0313】
図14に、本発明の一態様の表示装置を備えるシステム90のブロック図を示している。システム90は、演算部91、記憶部92、入力部93、出力部94、及びバスライン95等を有する。システム90は、上述した電子機器80など、表示部を有する様々な電子機器に適用することができる。
【0314】
演算部91は、バスライン95を介して記憶部92、入力部93、及び出力部94等と接続され、これらを統括的に制御する機能を有する。
【0315】
記憶部92は、データまたはプログラムなどを格納する機能を有する。演算部91は、記憶部92からプログラムまたはデータを読み出して実行または処理することにより、入力部93及び出力部94に含まれる様々なコンポーネントを制御することができる。
【0316】
入力部93としては、様々なセンサ装置を適用することができる。ここでは、入力部93が有するコンポーネントとして、光センサ93a、カメラ93b、マイク93c、心電モニタ93d等を示している。光センサ93aとしては、上記表示装置が備える受光素子を用いたセンサを適用することができる。心電モニタ93dは、例えば心電図を測定するための一対の電極と、電極間の電圧、または電極間に流れる電流値などを測定する測定器とを含む構成とすればよい。
【0317】
出力部94としては、ユーザーに対して様々な情報を提供する機能を有する。ここでは、出力部94が有するコンポーネントとして、ディスプレイ94a、スピーカ94b、及び振動装置94c等を有する例を示している。
【0318】
本発明の一態様の表示装置は、光センサとして機能する受光素子と、表示部を構成する発光素子と、を有するため、一つの表示装置で、図14に示す入力部93の光センサ93a、及び出力部94のディスプレイ94aとを兼ねることができる。すなわちシステム90は、当該表示装置と、演算部91と、記憶部92と、を有する構成により実現することができる。
【0319】
例えば表示装置がユーザーの指紋、掌紋、または静脈などの生体情報を取得する機能を有し、演算部91が、記憶部92にあらかじめ格納されたユーザーの生体情報データと、取得した生体情報とに基づいて、指紋認証、掌紋認証、または静脈認証を実行することができる。
【0320】
以下では、本発明の一態様のシステムの動作方法の例について説明する。ここでは、生体認証を実行する動作について説明する。
【0321】
図15は、システムの動作方法に係るフローチャートである。図15に示すフローチャートは、ステップS0乃至ステップS8を有する。
【0322】
ステップS0において、動作を開始する。
【0323】
ステップS1において、システムの起動を実行するか否かを判断する。例えば、電子機器の電源が入れられること、表示部に触れられること、または、電子機器の姿勢が変化したことなどを検知したときに、システムの起動を実行すると判断する。一方、これらが検知されない場合には、ステップS8に移行し、動作を終了する。
【0324】
ステップS2において、認証が必要か否かを判断する。すでに認証が実行され、システムがログイン状態である場合には、認証は不要であると判断し、ステップS7に移行する。一方、ログオフ状態である場合には、認証が必要であると判断し、ステップS3に移行する。
【0325】
ステップS3において、認証動作を検知したか否か判断する。例えば、表示部の一部にユーザーの指または掌などが触れたことを検知した場合には、認証動作を検知したと判断し、ステップS4に移行する。一方、一定時間検知しない場合にはステップS8に移行し、動作を終了する。
【0326】
ステップS4において、認証情報を取得する。例えば、ユーザーの指紋、掌紋、静脈などの撮像し、撮像された画像から、生体情報の取得を実行する。
【0327】
ステップS5において、認証が正しく行われた否かを判定する。例えば、ステップS4において取得した指紋、掌紋、または静脈の情報と、あらかじめ登録されたユーザーの生体情報とを照合し、一致するか否かを判定する。判定は、機械学習モデルを用いないパターンマッチング法などの認証方法、または、機械学習モデルを用いた認証を行うことができる。認証が正しく行われた場合には、ステップS6に移行する。認証が正しく行われない場合にはログオフ状態が維持され、ステップS4に戻る。
【0328】
ステップS6において、システムのログインが実行される。
【0329】
ステップS7において、ログイン状態が維持される。ステップS7は、ユーザーが終了動作を行う場合、または一定期間入力がないことを検知した場合などに終了し、ステップS8に移行する。
【0330】
ステップS8において、動作を終了する。ステップS8は、少なくともログオフされた状態である。また、無通電状態、待機状態、スリープ状態であってもよい。ステップS8からの復帰は、上記ステップS1で検知される動作によって行われてもよい。
【0331】
ここで、図11Aに示す電子機器80、または図12に示す電子機器80aに適用する場合、上記ステップS3における認証動作の検知、及びステップS4における認証情報の取得は、図11A及び図12に示すように、表示部81bまたは表示部81cに指先が触れることで実行することができる。また、ステップS4において取得される生体情報は、表示部81bまたは表示部81cが有する受光素子により、指先による反射光を撮像することで得られる指紋等の画像を用いることができる。
【0332】
すなわち、本発明の一態様の電子機器(例えば電子機器80または電子機器80a)は、表示部81bまたは表示部81cにユーザーの指が触れたときに、演算部91が、表示部81bまたは表示部81cが有する受光素子が当該指による反射光を撮像することで得られる指紋の画像により、指紋認証動作を実行することができる。これにより、ユーザーが意識することなく、認証動作を実行することができるため、利便性と高い安全性を兼ね備えた電子機器を実現できる。
【0333】
以上が、本発明の一態様のシステムの構成例及び動作例についての説明である。
【0334】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用することのできる画素の構成について、図面を参照して説明する。
【0335】
本発明の一態様の表示パネルは、受光素子を有する第1の画素回路と、発光素子を有する第2の画素回路と、を有する。第1の画素回路と第2の画素回路は、それぞれ、マトリクス状に配置される。
【0336】
図16Aに、受光素子を有する第1の画素回路の一例を示し、図16Bに、発光素子を有する第2の画素回路の一例を示す。
【0337】
図16Aに示す画素回路PIX1は、受光素子PD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量素子C1を有する。ここでは、受光素子PDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0338】
受光素子PDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0339】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子PDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子PDに流れる電流に応じて上記ノードの電位が変化するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0340】
図16Bに示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量素子C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0341】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0342】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能を有する。
【0343】
なお、本実施の形態の表示パネルでは、発光素子をパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光素子の駆動時間を短縮することで、表示パネルの消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。
【0344】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、並びに、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0345】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量素子C1または容量素子C2に直列に接続されるトランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM5には、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。また、これ以外のトランジスタも同様に酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることで、作製コストを低減することができる。
【0346】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコンまたは多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0347】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM7のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0348】
なお、図16A図16Bにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0349】
画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタは、同一基板上に並べて形成されることが好ましい。特に、画素回路PIX1が有するトランジスタと画素回路PIX2が有するトランジスタとを1つの領域内に混在させて周期的に配列する構成とすることが好ましい。
【0350】
また、受光素子PDまたは発光素子ELと重なる位置に、トランジスタ及び容量素子の一方又は双方を有する層を1つまたは複数設けることが好ましい。これにより、各画素回路の実効的な占有面積を小さくでき、高精細な受光部または表示部を実現できる。
【0351】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0352】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器について、図面を参照して説明する。
【0353】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。表示装置は、光を検出する機能を有するため、表示部で生体認証を行うこと、及び、タッチもしくはニアタッチを検出することができる。本発明の一態様の電子機器は、不正使用が困難で、セキュリティレベルの極めて高い電子機器である。また、電子機器の機能性または利便性などを高めることができる。
【0354】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0355】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0356】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0357】
図17Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0358】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0359】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0360】
図17Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0361】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0362】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0363】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0364】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0365】
図18Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0366】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0367】
図18Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、または別体のリモコン操作機7111などにより行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0368】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0369】
図18Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0370】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0371】
図18C、及び図18Dに、デジタルサイネージの一例を示す。
【0372】
図18Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0373】
図18Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0374】
図18C及び図18Dにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0375】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0376】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0377】
また、図18C、及び図18Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0378】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0379】
図19A乃至図19Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0380】
図19A乃至図19Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画等を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0381】
図19A乃至図19Fに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0382】
図19Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字または画像情報等をその複数の面に表示することができる。図19Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0383】
図19Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0384】
図19Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、または充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0385】
図19D図19E、及び図19Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図19Dは携帯情報端末9201を展開した状態、図19Fは折り畳んだ状態、図19E図19D図19Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0386】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0387】
10:表示装置、11:基板、12:基板、21B:発光素子、21G:発光素子、21R:発光素子、21:発光素子、22:受光素子、23IR:発光素子、23:発光素子、24:遮光層、31:樹脂層、32:樹脂層、50:表示装置、51:層、52a:層、52b:層、52c:層、52:層、60a:手、60:指、71:画素、72:画素、73:画素、75a:回路部、75b:回路部、76a:回路部、76b:回路部、77:回路部、78:回路部、79a:回路部、79b:回路部、79c:回路部、79d:回路部、80a:電子機器、80b:電子機器、80:電子機器、81a:表示部、81b:表示部、81c:表示部、81:表示部、82:筐体、85a:領域、85b:領域、85c:領域、90:システム、91:演算部、92:記憶部、93a:光センサ、93b:カメラ、93c:マイク、93d:心電モニタ、93:入力部、94a:ディスプレイ、94b:スピーカ、94c:振動装置、94:出力部、95:バスライン、100A:表示装置、100B:表示装置、100:表示装置、110:受光素子、111:画素電極、112:光電変換層、113:共通電極、114:共通層、115:共通層、116:活性層、121:光、122:光、123:光、131:トランジスタ、132:トランジスタ、141:樹脂層、142:樹脂層、145:遮光層、151:基板、152:基板、160:発光素子、161:電極、162:EL層、163:電極、164:バッファ層、165:バッファ層、166:発光層、167:導電層、190:発光素子、191:画素電極、192:EL層、195a:無機絶縁層、195b:有機絶縁層、195c:無機絶縁層、195:保護層、196:発光層、200:表示装置、202:トランジスタ、204:接続部、208:トランジスタ、209:トランジスタ、210:トランジスタ、211:絶縁層、214:絶縁層、215:絶縁層、216:隔壁、217:絶縁層、218:絶縁層、221:導電層、222a:導電層、222b:導電層、223:導電層、225:絶縁層、228:領域、231i:チャネル形成領域、231n:抵抗領域、231:半導体層、242:接続層、262:表示部、264:回路、265:配線、266:導電層、270B:発光素子、270G:発光素子、270PD:受光素子、270R:発光素子、270SR:受発光素子、271:画素電極、272:FPC、273:活性層、274:IC、275:共通電極、277:第1の電極、278:第2の電極、280A:表示装置、280B:表示装置、280C:表示装置、281:正孔注入層、282:正孔輸送層、283B:発光層、283G:発光層、283R:発光層、283:発光層、284:電子輸送層、285:電子注入層、289:層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2025-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、樹脂層と、を有し、
前記第1の発光素子と前記受光素子とは、前記基板の上方に配置され、
前記樹脂層は、前記第1の発光素子の上方に配置された領域と、前記受光素子の上方に配置された領域と、を有し、
前記遮光層は、前記樹脂層の上方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記遮光層の上方に配置され、
前記第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有し、
前記第2の発光素子は、上方に不可視光を発する機能を有し、
前記受光素子は、前記可視光及び前記不可視光に感度を有する光電変換素子であり、
平面視において、前記遮光層は、前記第1の発光素子と前記受光素子の間に位置する部分を有し、
平面視において、前記第2の発光素子は、前記遮光層と重なり、且つ、前記遮光層の輪郭よりも内側に位置する、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記不可視光は、750nm以上1000nm以下の波長域に強度を有する光である、表示装置。
【請求項3】
基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、樹脂層と、を有し、
前記第1の発光素子と前記受光素子とは、前記基板の上方に配置され、
前記樹脂層は、前記第1の発光素子の上方に配置された領域と、前記受光素子の上方に配置された領域と、を有し、
前記遮光層は、前記樹脂層の上方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記遮光層の上方に配置され、
前記第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有し、
前記第2の発光素子は、上方に赤外光を発する機能を有し、
前記受光素子は、前記可視光及び前記赤外光に感度を有する光電変換素子であり、
平面視において、前記遮光層は、前記第1の発光素子と前記受光素子の間に位置する部分を有し、
平面視において、前記第2の発光素子は、前記遮光層と重なり、且つ、前記遮光層の輪郭よりも内側に位置する、表示装置。
【請求項4】
基板と、第1の発光素子と、第2の発光素子と、受光素子と、遮光層と、樹脂層と、を有し、
前記第1の発光素子と前記受光素子とは、前記基板の上方に配置され、
前記樹脂層は、前記第1の発光素子の上方に配置された領域と、前記受光素子の上方に配置された領域と、を有し、
前記遮光層は、前記樹脂層の上方に配置され、
前記第2の発光素子は、前記遮光層の上方に配置され、
前記第1の発光素子は、上方に可視光を発する機能を有し、
前記第2の発光素子は、上方に紫外光を発する機能を有し、
前記受光素子は、前記可視光及び前記紫外光に感度を有する光電変換素子であり、
平面視において、前記遮光層は、前記第1の発光素子と前記受光素子の間に位置する部分を有し、
平面視において、前記第2の発光素子は、前記遮光層と重なり、且つ、前記遮光層の輪郭よりも内側に位置する、表示装置。