(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105729
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システム、移動体、半導体基板
(51)【国際特許分類】
H04N 25/617 20230101AFI20250703BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20250703BHJP
【FI】
H04N25/617
H04N25/77
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025069467
(22)【出願日】2025-04-21
(62)【分割の表示】P 2023076187の分割
【原出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆典
(57)【要約】
【課題】 画素列毎の特性差・画素行毎の特性差や混色や電源変動などに起因する画質劣化を抑制する列回路の配置を提案する。
【解決手段】 複数の画素を含む画素アレイを有し、複数の画素のうち第一の画素と第二の画素とは異なる色に対応し、複数の画素のうち第一の画素と第三の画素とは同一の色に対応し、第一の画素に接続される第一の回路群と、第三の画素に接続される第三の回路群と、を有し、第一の回路群に含まれる第一の回路と、第二の回路と、第三の回路群に含まれ、第一の回路と同一の機能を持った第三の回路を有し、上面視において、第一の回路と第二の回路との間に第三の回路が配置されることを特徴とする光電変換装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を含む画素アレイを有し、
前記複数の画素のうち第一の画素と第二の画素とは第一の方向に並んで配され、異なる色に対応し、
前記第一の画素は、第一の回路群と接続され、
前記第二の画素は、第二の回路群と接続され、
前記第一の回路群に含まれる第一の回路と、第二の回路と、前記第二の回路群に含まれ、第一の回路と同一の機能を持った第三の回路と、を有し、
上面視において、前記第一の回路と前記第三の回路との間に前記第二の回路が配置されることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第一の画素を覆う第一のカラーフィルタと、前記第二の画素を覆う第二のカラーフィルタとの対応する色が異なることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第一の回路はトランジスタであり、
前記第三の回路は前記第一の回路と同一の機能を持ったトランジスタであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第一の回路群及び第二の回路群のそれぞれは、比較器と、前記比較器の出力に応じた信号を保持する第一のメモリと、前記第一のメモリの出力を取り込む第二のメモリと、
を含み、
前記第一の回路群の前記第一のメモリと前記第二の回路群の第一のメモリとの間に前記第一の回路群の前記第二のメモリが配されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
第一の画素と、第二の画素と、を含む画素アレイを有し、
前記第一の画素に接続される第一の回路群と、
前記第二の画素に接続される第二の回路群と、を有し
前記第一の回路群及び第二の回路群のそれぞれは、比較器と、前記比較器の出力に応じた信号を保持する第一のメモリと、前記第一のメモリの出力を取り込む第二のメモリと、
を含み、
前記第一の回路群の前記第一のメモリと前記第一の回路群の前記第二のメモリとの間に前記第二の回路群の少なくとも一部が配されることを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
前記第一の回路群の前記第一のメモリと前記第一の回路群の前記第二のメモリとの間に前記第二の回路群の前記第一のメモリが配されることを特徴とする請求項5記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第一の回路群と前記第二の回路群とは、異なる色に応じた信号を処理することを特徴とする請求項5または請求項6のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第一の回路群の一部の配置は、前記第二の回路群の一部を反転させた配置であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記第一の画素及び前記第二の画素は第一の半導体基板に形成され、
前記第一の回路群及び第二の回路群は第二の半導体基板に形成され、
前記第一の半導体基板及び前記第二の半導体基板を含む複数の半導体基板を積層して構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記第一の回路群及び第二の回路群に含まれる回路のそれぞれは、アナログ部と、デジタル部とを含み、
前記回路の前記アナログ部を配置した半導体基板と、前記デジタル部を配置した半導体基板とが異なることを特徴とする請求項9記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記アナログ部は電流源もしくは比較器を含むことを特徴とする請求項10記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記デジタル部はラッチ回路を含むことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第一の回路群及び前記第二の回路群は前記第一の画素に接続された第一の信号線の電流源及び前記第二の画素に接続された第二の信号線の電流源を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記第一の回路群及び前記第二の回路群のそれぞれは比較器を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて画像を生成する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【請求項17】
第一の方向に並んで配され、異なる色に対応する第一の画素と第二の画素とを含む画素アレイを有する半導体基板に積層される半導体基板であって、
第一の回路群と、第二の回路群と、を有し、
前記第一の画素は、前記第一の回路群と接続され、
前記第二の画素は、前記第二の回路群と接続され、
前記第一の回路群に含まれる第一の回路と、第二の回路と、前記第二の回路群に含まれ、第一の回路と同一の機能を持った第三の回路と、を有し、
上面視において、前記第一の回路と前記第三の回路との間に前記第二の回路が配置されることを特徴とする半導体基板。
【請求項18】
複数の画素を含む画素アレイを有する半導体基板に積層される半導体基板であって、
第一の画素に接続される第一の回路群と、
第二の画素に接続される第二の回路群と、を有し
前記第一の回路群及び第二の回路群のそれぞれは、比較器と、前記比較器の出力に応じた信号を保持する第一のメモリと、前記第一のメモリの出力を取り込む第二のメモリとを含み、
前記第一の回路群の前記第一のメモリと前記第二のメモリとの間に前記第二の回路群の少なくとも一部が配されることを特徴とする半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、この光電変換装置を備えた光電変換システム、移動体、半導体基板に関する。
【背景技術】
【0002】
各画素列に1本の信号線を設け、奇数列の信号線を画素アレイの下方に配置した列回路で読み出し、偶数列の信号線を画素アレイの上方に配置した列回路で読み出す固体撮像装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の固体撮像装置では、素子同士のプロセスばらつき、チップ内の温度分布、電源抵抗等に起因する画素列毎の特性差・画素行毎の特性差、もしくは混色や電源変動、デジタル信号伝送がアナログ回路に干渉することに起因する画質劣化が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの側面は、光電変換装置であって、同一の色に対応した複数の画素を含む画素アレイを有し、前記複数の画素は第一の信号線と、第二の信号線と、第三の信号線と、第四の信号線と、を有し、前記第一の信号線は第一の回路群に接続され、前記第二の信号線は第二の回路群に接続され、前記第三の信号線は第三の回路群に接続され、前記第四の信号線は第四の回路群に接続され、前記第一の回路群に含まれる第一の回路と、前記第二の回路群に含まれ前記第一の回路と同一の機能を有する第二の回路と、前記第三の回路群に含まれ前記第一の回路と同一の機能を有する第三の回路と、前記第四の回路群に含まれ前記第一の回路と同一の機能を有する第四の回路と、を有し、前記第一の回路と、前記第二の回路と、前記第三の回路と、前記第四の回路と、が複数行複数列にわたって配置されることを特徴とする。
【0006】
本発明の他の側面は、光電変換装置であって、複数の画素を含む画素アレイを有し、前記複数の画素のうち第一の画素と第二の画素とは第一の方向に並んで配され、異なる色に対応し、前記第一の画素と第二の画素とは異なる信号線に接続され、記第一の画素に接続される第一の回路群と、前記第二の画素に接続される第二の回路群と、を有し、前記第一の回路群に含まれる第一の回路と、第二の回路と、前記第二の回路群に含まれ、第一の回路と同一の機能を持った第三の回路とを有し、上面視において、前記第一の回路と前記第三の回路との間に前記第二の回路が配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明の更に他の側面は、光電変換装置であって、複数の画素を含む画素アレイを有し、第一の画素に接続される第一の回路群と、第二の画素に接続される第二の回路群と、を有し、前記第一及び第二の回路群は、比較器と、前記比較器の出力に応じた信号を保持する第一のメモリと、前記第一のメモリの出力を取り込む第二のメモリとを含み、前記第一の回路群の前記第一のメモリと前記第二のメモリとの間に前記第二の回路群の少なくとも一部が配されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、画質劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図2】第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図3】第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図4】第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図5】第一の実施形態に係る光電変換装置の比較例の概略図である。
【
図6】第二の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図7】第三の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図8】第四の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図9】第五の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図10】第六の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【
図11】第六の実施形態に係る光電変換システムの構成を示す図である。
【
図12】第七の実施形態に係る移動体の構成、動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら各実施形態を説明する。
【0011】
以下に述べる各実施形態では、光電変換装置の一例として、撮像装置を中心に説明する。ただし、各実施形態は、撮像装置に限られるものではなく、光電変換装置の他の例にも適用可能である。例えば、測距装置(焦点検出やTOF(Time Of Flight)を用いた距離測定等の装置)、測光装置(入射光量の測定等の装置)などがある。
【0012】
(第一の実施形態)
図1~
図4は第一の実施形態に係る光電変換装置の概略図である。
【0013】
図1に示す光電変換装置は、画素10、画素アレイ20、信号線30、信号線31、電流源40、電流源41、ランプ信号生成回路50、ランプ信号生成回路51、比較器60、比較器61を含む。さらに第一のメモリ70、第一のメモリ71、第二のメモリ80、第二のメモリ81、カウンタ90、カウンタ91、出力回路100、出力回路101を有する。
【0014】
画素アレイ20には複数行及び複数列にわたって複数の画素10がアレイ状に配されている。画素10のRはレッド画素、Gはグリーン画素、Bはブルー画素である。各画素は、例えばその光入射側に、1画素毎にレッド、グリーン、ブルーの特定の一色の可視光の波長域に対応するカラーフィルタを配されることで色と対応付けられている。言い換えれば、同一の色に対応する画素同士はそのカラーフィルタのピーク波長が重複する。ここではカラーフィルタによる色分離を例に挙げたが、色分離の方法はカラーフィルタに限られない。
【0015】
画素アレイ20の各列には、列方向(
図1において縦方向)に延在して、信号線が配されている。信号線は、列方向に並ぶ画素10にそれぞれ接続され、これら画素10に共通の信号線をなしている。
【0016】
画素アレイ20を構成する画素10の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列の画素10で画素アレイ20を構成してもよく、1行に並べた複数の画素10で画素アレイ20を構成してもよい。
【0017】
画素10から読み出された画素信号は、信号線30あるいは信号線31を介して信号処理回路に入力される。信号処理回路は画素10から読み出された画素信号をランプ信号生成回路から出力された参照信号と比較する比較器(60、61)や、信号を保持するメモリ(70、71、80、81)等を含む回路群である。画素信号は信号処理回路を介して列毎に順次出力される。
【0018】
(画素の構成)
本実施形態に係る画素10の構成について説明する。
【0019】
【0020】
画素10のそれぞれは、フォトダイオード400、転送トランジスタ410、フローティングディフュージョン420、ソースフォロワトランジスタ430を有する。さらに、選択トランジスタ440、GNDノード450、リセットトランジスタ455、電源ノード460を有する。
【0021】
GNDノードは接地電位であるグラウンドに接続されている。以下グラウンドをGNDとも呼ぶ。
【0022】
フォトダイオード400はGNDノード450で接地している。フォトダイオード400は転送トランジスタ410に接続される。転送トランジスタ410のゲートには制御信号線TXから制御信号が入力される。転送トランジスタ410はリセットトランジスタ455及びソースフォロワトランジスタ430のゲートと共通のノードを有し、該共通のノードがフローティングディフュージョン420となる。リセットトランジスタ455及びソースフォロワトランジスタ430は共に電源ノード460に接続される。リセットトランジスタ455のゲートにはリセット信号線RESからリセット信号が入力される。ソースフォロワトランジスタ430は選択トランジスタ440に接続され、選択トランジスタ440のゲートには選択信号線SELから選択信号が入力される。選択トランジスタ440は信号線30に接続される。
【0023】
(各要素の機能)
本実施形態に係る光電変換装置の各要素の機能について説明する。
【0024】
フォトダイオード400は、入射した光を光電変換し、電荷を発生させる。
【0025】
フォトダイオード400で光電変換された電荷は、転送トランジスタ410を介してフローティングディフュージョン420に転送され、フローティングディフュージョン420に付随する容量で信号電圧に変換される。該信号電圧は、ソースフォロワトランジスタ430のゲートに入力され、選択トランジスタ440を介して信号線30へ出力される。
ソースフォロワトランジスタ430は、
図1の電流源40とともにソースフォロワを構成し、フローティングディフュージョン420上の信号電圧は、該ソースフォロワでバッファされて信号線30に出力される。
【0026】
比較器60は、信号線30の信号をランプ生成回路50から出力されるランプ信号と比較する。比較器60が反転するタイミングで第一のメモリ70はカウンタ90からのカウント信号を取り込む。これにより、画素10で生成された電荷に基づく信号はAD変換される。第一のメモリ70に保持されたデジタル信号は、第二のメモリ80へ転送された後、チップ外へ出力される。
【0027】
本実施形態では複数の回路で共通のカウンタ90、91を用いた例を示しているが、共通のカウントクロックを各信号処理回路に供給し、各信号線に対応する回路ごとにカウンタを配する構成も一般的である。このような構成においても本発明の適用は可能である。
【0028】
図3に、電流源40の具体的な回路構成の一例を示す。
【0029】
図3に示す電流源は電流源トランジスタ140、カスコードトランジスタ150、スイッチトランジスタ160を含む。電流源トランジスタ140は接地しており、カスコードトランジスタ150に接続されている。カスコードトランジスタ150はスイッチトランジスタ160に接続され、スイッチトランジスタは信号線30に接続される。
【0030】
電流源トランジスタ140は、ゲート電圧に応じた電流をカスコードトランジスタ、スイッチトランジスタを介して信号線30に供給する。
【0031】
カスコードトランジスタ150は、ゲート電圧に応じて、電流源トランジスタ140のドレインソース間電圧を定める。これにより、信号線30の電位が変動しても、電流源トランジスタ140のドレインソース間電圧が変動するのを抑えることが可能になり、電流変動を低減できる。
【0032】
スイッチトランジスタ160は、パワーセーブを行う際にオフし、電力の低減を行う。
【0033】
信号線31に電流を供給する電流源41についても電流源40と同様の回路を用いることができる。
【0034】
図4に、電流源40、電流源41のレイアウト配置の一例を示す。
【0035】
以下の説明では図の下側から1行目とし、左側から1列目として説明する。以後の実施形態においても同様である。また、
図5にレイアウト配置の比較例を示す。
【0036】
図5では、特許文献1同様、偶数列に対応する信号線30の信号を画素アレイ20の下方へ読み出し、奇数列に対応する信号線31の信号を画素アレイ20の上方へ読み出している。
図5に示すようなベイヤ状のカラーフィルタ配置の場合、信号線30からレッド画素の信号を読み出す際、信号線31からはグリーン画素の信号を読み出す。
【0037】
また、各出力線において、電流源であるスイッチトランジスタ160、カスコードトランジスタ150、電流源トランジスタ140を列方向に配置している。この場合、各電流源中の電流源トランジスタ140同士は行方向に1次元の配置となっている。
【0038】
これに対し、
図4に示す本実施形態に係る光電変換装置においては、信号線30に接続された3種のトランジスタと、別の信号線30に接続された3種のトランジスタとを、同一の機能を有するトランジスタ同士が列方向に隣接するように配置している。このとき、トランジスタ同士は行方向に1次元に並ぶ配置を保ったままである。このような配置では、素子同士の重心位置をより近づけて近接配置させることが可能となり、素子同士のプロセスばらつき、温度差、電源抵抗差等を低減することで素子同士の特性を揃え、同色内の列間差を抑制することが可能となる。
【0039】
なお、ここでトランジスタの機能が同一であるとは、各トランジスタの接続関係が同じであることをいう。例えばある2つのトランジスタそれぞれのゲートが共通の制御線に繋がっていて、ソース・ドレインの一方は対応する信号線に繋がり、他方には共通のバイアスが供給されるとき、これら2つのトランジスタの機能は同一である。機能が同一のトランジスタはそのサイズも同じである。
【0040】
このように、本実施形態においては、画素列毎の特性差による画質劣化を抑制することが可能となる。
【0041】
本実施形態においては、スイッチトランジスタ160、カスコードトランジスタ150、電流源トランジスタ140の各々を列方向に隣接させる例を説明した。しかし、本発明はこれに限られず、電流源に含まれる3つのトランジスタのうち一部のみを列方向に隣接させても構わない。
【0042】
図4では信号線30に接続された3種のトランジスタと、別の信号線30に接続された3種のトランジスタとがそれぞれ交互に配置されているが、同一の機能を有するトランジスタが隣接していれば配置はこれに限られない。たとえば信号線30に接続されたスイッチトランジスタ160と、カスコードトランジスタ150との間に別の信号線30に接続されたイッチトランジスタ160とカスコードトランジスタ150が配されてもよい。
【0043】
また、その際より特性差に寄与しうる素子を優先的に列方向に隣接させても構わない。
例えば、スイッチトランジスタ160は
図5同様の配置とする一方、カスコードトランジスタ150、電流源トランジスタ140は列方向に隣接させても構わない。
【0044】
また、電流源40、電流源41は
図3に示した例に限られない。例えば、電流源トランジスタ140のゲートに電圧を保持するサンプルホールド回路を有しても構わない。
【0045】
さらに、本実施形態では、電流源40、電流源41に含まれるトランジスタを列方向に隣接させて配置する例を示したが、このように配される回路は電流源に限られず、例えば比較器60、61に含まれる素子の配置において実施しても構わない。ここで、素子とは例えばトランジスタである。また、第一のメモリ70、第一のメモリ71、第二のメモリ80、第二のメモリ81を1次元状に配置する一方、電流源40、電流源41、比較器60、比較器61を複数行複数列にわたる2次元アレイ状としてもよい。
【0046】
(第二の実施形態)
図6に第二の実施形態に係る光電変換装置の概略図を示す。以下では、第一の実施形態と共通する説明は省略し、主に
図4との相違点について説明する。
【0047】
図6に示す光電変換装置は、画素アレイ20において、1画素列が2本の信号線を有している。信号線30、信号線32が偶数列に対応し、信号線31、信号線33が奇数列に対応する。
【0048】
信号線30は偶数列、奇数行の画素を画素アレイ20の下方へ読み出し、信号線31は奇数列、偶数行の画素を画素アレイ20の下方へ読み出している。信号線32は偶数列、偶数行の画素を画素アレイ20の上方へ、信号線33は奇数列、奇数行の画素を画素アレイ20の上方の回路へと読み出している。
【0049】
ベイヤ状のカラーフィルタ配置の場合、信号線30からレッド画素の信号を読み出すとき、信号線31からはブルー画素の信号を読み出す。このように、本実施形態においては、実施形態1と異なり、画素アレイ20の下方へ同時に読み出される画素の信号が異なる2色に対応する。信号線30から読み出された信号は比較器60に入力され、信号線31から読み出された信号は比較器61に入力される。
【0050】
この時、読み出された信号をAD変換する比較器が隣接して配されていると、比較器の出力が変化する際に互いに干渉しあい、混色が発生する場合がある。
【0051】
そこで、
図6に示す光電変換装置においては、比較器60と比較器61とが隣り合わないよう、各列で比較器と電流源とが上面視で交互に並ぶよう配することで比較器同士を分離している。つまり、上面視で電流源40と電流源41との間に比較器60が配され、電流源41の後段に比較器61が配される。このような配置により、比較器60、比較器61の出力が変化する際に互いに干渉しあうことによる混色の発生を抑制することが可能となっている。なお、ここで上面視とは半導体基板の光入射面を俯瞰して見ることをいう。
【0052】
また、電流源40、電流源41の位置を列方向にずらさず近接して配置する場合と比べて、同色に対応する信号の読み出しに使用する電流源40同士、あるいは電流源41同士をより近接させて配置することができる。言い換えれば、奇数列に対応する電流源の領域と、偶数列に対応する電流源の領域とを分離して配置することが可能となる。比較器60、比較器61の配置についても同様である。このような配置により、同色の画素における列毎の特性差による画質劣化を抑制することが可能となる。
【0053】
このように、本実施形態においては、混色の発生と、同色内での画素列毎の特性差による画質劣化を抑制することが可能となる。
【0054】
(第三の実施形態)
図7に第三の実施形態に係る光電変換装置の概略図を示す。以下では、第二の実施形態までと共通する説明は省略し、主に
図6との相違点について説明する。
【0055】
図7に示す光電変換装置は積層型の構造をとり、画素基板200と、回路基板210を有する。画素基板200は画素アレイ20を有し、電流源40、41,42、43及び比較器60、61、62、63を回路基板210に設けている。また、画素基板200の信号線30、31、32、33と回路基板210の電流源40、41、42、43を、基板間接合220、230、240、250を用いて接続している。
【0056】
第二の実施形態を示す
図6の素子配置では、画素アレイ20から電流源40までの距離と、画素アレイ20から電流源41までの距離とが異なるため、信号線31の長さは信号線30の長さよりも長い。したがって、信号線31に付随する寄生容量が信号線30に付随する寄生容量よりも大きくなり、画質劣化や動作速度劣化を引き起こしうる。
【0057】
そこで、本実施形態においては光電変換装置を積層型の構成とすることにより、電流源40、電流源41を分離して配置した場合の信号線の長さおよび寄生容量を各列で揃えている。
【0058】
このように、本実施形態では信号線の寄生容量差に起因する画質劣化や動作速度劣化を抑制することが可能となっている。
【0059】
(第四の実施形態)
図8に第四の実施形態に係る光電変換装置の概略図を示す。以下では、第三の実施形態までと共通する説明は省略し、主に
図4との相違点について説明する。
【0060】
図8に示す光電変換装置は、画素アレイ20の1列に配される画素群が8本の信号線を有している。第一の実施形態と比較して、偶数列、奇数行のレッド画素を読み出す信号線30が4本に増えている。また、奇数列、偶数行のブルー画素を読み出す信号線31も4本に増えている。したがって、画素1列に対し4つの電流源が配される。
【0061】
本実施形態では、4つの電流源40を構成する4つのスイッチトランジスタ160、4つのカスコードトランジスタ150、4つの電流源トランジスタ140の各々を、複数行複数列にわたる2次元アレイ状に配置している。同様に、4つの電流源41を構成するスイッチトランジスタ161、4つのカスコードトランジスタ151、4つの電流源トランジスタ141の各々を複数行複数列にわたる2次元アレイ状に配置している。
【0062】
たとえば4つの信号線30のそれぞれを信号線30(a)、信号線30(b)、信号線30(c)、信号線30(d)とし、各線に配された電流源とその素子も同様に、対応する(a)~(c)をつけて区別する。信号線30(a)にはスイッチトランジスタ160(a)、カスコードトランジスタ150(a)、電流源トランジスタ140(a)が配されている。信号線30(a)~(c)についても同様である。
【0063】
これらのトランジスタを、各列の同一の機能を有する素子が集約されるように、二次元アレイ状に配置する。
【0064】
具体的な配置は以下の通りである。まず上面視で列方向にスイッチトランジスタ160(a)、スイッチトランジスタ160(c)、カスコードトランジスタ150(a)、カスコードトランジスタ150(c)、電流源トランジスタ140(a)、電流源トランジスタ140(c)の順に配する。さらに信号線30(b)と信号線30(d)についても同様である。つまり上面視で列方向にスイッチトランジスタ160(b)、スイッチトランジスタ160(d)、カスコードトランジスタ150(b)、カスコードトランジスタ150(d)、電流源トランジスタ140(b)、電流源トランジスタ140(d)の順に配する。
【0065】
このとき、スイッチトランジスタ160(a)とスイッチトランジスタ160(c)、スイッチトランジスタ160(b)とスイッチトランジスタ160(d)は行方向に隣接している。カスコードトランジスタ150、電流源トランジスタ140についても同様である。
【0066】
つまり、4つのスイッチトランジスタ160に着目した場合、スイッチトランジスタ160(a)とスイッチトランジスタ160(c)とが列方向に隣接し、スイッチトランジスタ160(a)とスイッチトランジスタ160(d)とが行方向に隣接する。4つのスイッチトランジスタは複数行複数列にわたる2次元アレイ状に配されている。4つのカスコードトランジスタ150、4つの電流源トランジスタ140も同様にそれぞれ複数行複数列にわたる2次元アレイ状に配されている。
【0067】
これにより、同色の異なる行を読み出す素子同士を近接配置させることが可能となり、素子同士のプロセスばらつき、温度差、電源抵抗差等を低減することで素子同士の特性を揃えて、同色内の画素行間差を抑制することが可能となる。
【0068】
このように、本実施形態においては、画素の行毎の特性差による画質劣化を抑制することが可能となる。
【0069】
尚、本実施形態においては、スイッチトランジスタ160と161、カスコードトランジスタ150と151、電流源トランジスタ140と141を近接して配置している。しかし、第二の実施形態及び第三の実施形態に示したように、異なる色の信号を処理する回路同士を分離して配置しても構わない。これにより、更に混色の発生と、同色内の列間差を改善することが可能となる。
【0070】
また、第三の実施形態に示したように積層型の構成としてもよい。これにより、更に信号線の寄生容量差に起因する画質劣化や動作速度低下を抑制することが可能となる。
【0071】
さらに、本実施形態では画素1列あたりの信号線が8本の場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限られない。例えば画素1列あたりの信号線が12、16、20、24本等、4本以上の任意の本数で構わない。
【0072】
(第五の実施形態)
図9に第五の実施形態に係る光電変換装置の概略図を示す。以下では、第四の実施形態までと共通する説明は省略し、主に
図7との相違点について説明する。
【0073】
図9に示す光電変換装置は
図7同様積層型の構造をとる。
図7に図示された素子に加え、第一のメモリ70、71、72、73、第二のメモリ80、81、82、83、出力回路100及び101が図示されている。第一のメモリ、第二のメモリのそれぞれはラッチ回路である。
【0074】
回路基板210の下半分について説明する。信号線後段の素子は電流源40、比較器60、第一のメモリ70、電流源41、比較器61、第一のメモリ70、第二のメモリ80、第二のメモリ81という順番で配置されている。
【0075】
つまり、第一の列回路群(電流源40、比較器60、第一のメモリ70、第二のメモリ80)の第一のメモリ70と第二のメモリ80との間に、第二の列回路群(電流源41、比較器61、第一のメモリ71、第二のメモリ81)の一部を配置している。
【0076】
比較器60と第一のメモリ70を近接配置することにより、比較器60の出力の配線長及び寄生容量を低減することができる。これにより、比較器の出力が変化する際の電源変動を抑制することで比較器60同士の干渉を抑制し、画質劣化の抑制が可能となっている。
【0077】
また、第二のメモリ80を第一のメモリ71の下方に配置することで、第二のメモリと出力回路100との距離を短縮し、出力回路100へ信号を水平転送する際の転送に問題が起こることを防止できる。回路基板210の上半分も同様である。
【0078】
このように、本実施形態においては、第一の列回路群の第一のメモリ70と第二のメモリ80との間に、第二の列回路群の一部を配置している。これにより、電源変動に起因する画質劣化を抑制している。
【0079】
(第六の実施形態)
図10に第六の実施形態に係る光電変換装置の概略図を示す。第五の実施形態までと共通する説明は省略し、以下では、主に
図9との相違点について説明する。
【0080】
図10に示す光電変換装置は、画素基板200、回路基板210に加え第二の回路基板300を更に有する。第二のメモリ80、81、82、83、出力回路100,101、フレームメモリ310を第二の回路基板300に配置している。画素基板200は
図9と同様のため、省略している。
【0081】
第二の回路基板300の下半分について説明する。回路基板210に配された第一のメモリ70、71と第二の回路基板300に配された第二のメモリ80、81とは基板間接合320、321によって各々接続される。第二のメモリ80、81に保持された信号はフレームメモリ310に転送された後、出力回路100からチップ外へ出力される。
【0082】
本実施形態においては、第二のメモリ80、81を第二の回路基板300に設けることにより、第一のメモリ70から第二のメモリ80への信号転送線が電流源41、比較器61の中を通らない配置が可能となる。これにより、デジタル信号伝送から電流源41、比較器61への干渉が生じないようにすることができる。第二の回路基板300の上半分も同様である。
【0083】
このように、本実施形態においては、第一の列回路群の第一のメモリ70と第二のメモリ80との間に、第二の列回路群の一部を配置する構成において、3層の積層構造を採用している。これにより、アナログ信号を扱うアナログ部とデジタル信号を扱うデジタル部とを分離し、第一の列回路群のデジタル信号伝送が第二の列回路群のアナログ回路へ干渉し、画質劣化が生じることを抑制している。
【0084】
尚、本実施形態においては、第二のメモリ80、81以降を第二の回路基板300に設けたが、本発明はこれに限られない。例えば、第一のメモリ70、71も第二の回路基板300に設け、比較器60、61と第一のメモリ70、71を基板間接合で接続しても構わない。
【0085】
また、本実施形態においては、電流源40、比較器60、第一のメモリ70の配置順に対して、電流源41、比較器61、第一のメモリ71が上下方向に逆の配置になっている。言い方を変えると、上下方向にフリップした配置になっている。これにより、第二の回路基板において、第二のメモリ80、81同士を近接配置させることが可能であり、第二のメモリ80、81の不図示の制御回路を共通にできる、もしくは制御線を共通にできる等の効果により省面積化することが可能となっている。
【0086】
(第七の実施形態)
本実施形態による光電変換システムについて、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0087】
上記第一の実施形態~第六の実施形態で述べた光電変換装置は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。
図15には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0088】
図11に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002を有する。さらに、レンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0089】
光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004とは別の半導体基板に形成されていてもよい。
【0090】
光電変換システムは、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0091】
更に光電変換システムは、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0092】
撮像装置1004は、撮像信号を信号処理部1007に出力する。信号処理部1007は、撮像装置1004から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。光電変換システムは、この画像データを用いて、画像を生成する。
【0093】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0094】
(第八の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、
図12を用いて説明する。
図12は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0095】
図12(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置(撮像装置)である。光電変換システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、光電変換システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、光電変換システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0096】
光電変換システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御部である制御ECU330が接続されている。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0097】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム300で撮像する。
図12(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置320が、光電変換システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0098】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0099】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0100】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0101】
また、上記第六の実施形態、第七の実施形態に示した光電変換システムは、光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものであって、本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは
図11及び
図12に示した構成に限定されるものではない。
【0102】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 画素
30 信号線
40 電流源
60 比較器
70 第一のメモリ
80 第二のメモリ