(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001059
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】マットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置
(51)【国際特許分類】
G01N 3/40 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
G01N3/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100409
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】306026980
【氏名又は名称】株式会社タイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】豊島 直和
(57)【要約】 (修正有)
【課題】幅広い荷重条件範囲においてマットレスの使用条件と関連付けて測定し評価するためのマットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置を提供する。
【解決手段】予め加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化して加圧治具と第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、接触圧力と荷重との比を疲労スコア(a)とし、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化して加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、接触圧力と荷重との比を疲労スコア(s)として、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態として判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態として判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法であって、
予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化させて前記加圧治具と前記第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とし、
前記加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて前記加圧治具と前記評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)とし、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定することを特徴とするマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項2】
マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法であって、
予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化させて前記加圧治具と前記第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とし、
予め、前記加圧治具を用いて注意判定相当の第2の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化させて前記加圧治具と前記第2の基準マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とし、
前記加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を変化させて前記加圧治具と前記評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)とし、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とをさらに比較し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合、かつ前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定することを特徴とするマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項3】
マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法であって、
予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を変化させて前記加圧治具と前記第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を疲労スコア(a)として、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、
前記加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて前記加圧治具と前記評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)として、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定することを特徴とするマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項4】
マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法であって、
予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を変化させて前記加圧治具と前記第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を疲労スコア(a)として、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、
予め、前記加圧治具を用いて注意判定相当の第2の基準マットレスに対して荷重を変化させて前記加圧治具と前記第2の基準マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を疲労スコア(b)として、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成し、
前記加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて前記加圧治具と前記評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)として、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とをさらに比較し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合、かつ前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、
前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定することを特徴とするマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項5】
前記加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を変化させて前記加圧治具と前記評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を疲労スコア(s)とし、各荷重に対応する疲労スコアで評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較することを特徴とする請求項3に記載のマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項6】
前記加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を変化させて前記加圧治具と前記評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、前記計測した接触圧力と前記荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)とし、各荷重に対応する疲労スコアで評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、
同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とをさらに比較することを特徴とする請求項4に記載のマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項7】
前記荷重に前記マットレスの使用者の体重に換算し、該体重に対応する疲労スコアで前記マットレスが正常状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項8】
前記マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、複数の荷重領域を設定し、
前記使用者の体重に対応する疲労スコアがどの荷重領域にあるかを判定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のマットレスの疲労劣化評価方法。
【請求項9】
マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価装置であって、
下面が前記マットレスの表面に当接し加圧するための加圧子と、
前記加圧子の上面から前記マットレスの厚み方向に荷重を印加する加圧手段と、
前記加圧手段により印加された荷重を計測する荷重計測手段と、
前記加圧子の下面に設けられ、前記荷重に応じた前記加圧子と前記マットレスとの接触圧力を計測する圧力計測手段と、
前記荷重計測手段により計測された複数の荷重データと圧力計測手段による計測された複数の圧力データとをそれぞれ対応させて記憶する計測データ記憶手段と、
前記荷重データ及び前記圧力データに基づいて前記接触圧力と前記荷重との比で前記マットレスの疲労スコアを算出する演算手段と、
前記算出された疲労スコアに基づいてマットレスの疲労劣化状態を判定する判定手段とを備え、
前記演算手段は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を計算し、さらに評価対象マットレスの疲労スコア(s)を計算し、
前記判定手段は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定するように構成されていることを特徴とするマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項10】
前記演算手段は、注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を計算し、
前記判定手段は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、さらに前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とを比較し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合、かつ前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記前記第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、前記第2の基準マットレスの疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項11】
前記演算手段は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、
前記判定手段は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、前記評価対象の疲労スコアが前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項12】
前記演算手段は、注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成するように構成され、
前記判定手段は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、さらに前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とを比較し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合、かつ前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、前記評価対象の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項13】
前記演算手段は、さらに評価対象マットレスの疲労スコア(s)を計算し、前記評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成するように構成され、
前記判定手段は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項14】
前記演算手段は、注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成するように構成され、
前記判定手段は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、さらに前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とを比較し、前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合、かつ前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が前記第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、前記第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定することを特徴とする請求項13に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項15】
前記演算手段は、前記荷重に前記マットレスの使用者の体重に換算し、
前記判定手段は、前記体重に対応する疲労スコアで前記マットレスが正常状態であるか否かを判定するように構成されていることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【請求項16】
前記演算手段は、前記マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、複数の荷重領域を設定し、
前記判定手段は、前記使用者の体重に対応する疲労スコアがどの荷重領域にあるかを判定するように構成されていることを特徴とする請求項9から14のいずれか1項に記載のマットレスの疲労劣化評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用マットレスの疲労状態(劣化の度合い)を測定し評価するためのマットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療、介護現場において体圧分散マットレス等の床ずれ防止用具が使用されており、このようなマットレスは、樹脂フォームからなるフォームマットレスであり、その使用状態に応じてフォーム材の疲労による劣化(所謂へたり現象)が経時的に発生する。マットレスの疲労による劣化が著しく進むと、使用時の接触圧が大きくなり(体圧分散性が低下)、床ずれのリスクが増加する。そのため、マットレスの疲労による劣化の進行状態を把握することが重要である。
【0003】
従来、マットレスで用いられている弾性体の厚みを測定することにより、弾性劣化を容易に測定することができる厚み測定装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載されている厚み測定装置は、発泡体等の測定箇所の密度変化に応じて反射量が変化する光を出射する発光部と、この発光部から出射され発泡体等により反射した光を受光する受光部とを備える波動センサ部で、発泡体等の加圧変形時の厚みを測定するように構成されている。手軽に弾性体の厚みを測定することにより、弾性劣化を容易に測定することができる。
【0005】
また、マットレスの外形状の変形状態や疲労による劣化などの性能低下を測定して数値的に判断できるようにしたマットレスの性能測定装置及び性能測定方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
特許文献2に記載されているマットレスの性能測定装置及び性能測定方法は、水平な状態で載置されたマットレスの上面を跨ぐ状態で設置されると共にこのマットレスの上面に対向する水平部に支持部が形成された門型の架台と、支持部にスライド自在に挿入支持され下端を上記マットレスの上面に当てることでマットレスの外形の変形量を測定するスケールと、支持部にスライド自在に挿入支持されたスケール部及びこのスケールの下端に設けられマットレスを加圧する重りが載置される受け部を有しこの受け部に載置される重りの重さに応じたマットレスの変形量をスケール部で測定するへたり測定具とを具備した構成であり、加重の変化と変形量との関係を測定することで、へたり状態を確実に知ることができる。
【0007】
また、マットレス、ソファ、椅子の座面等種々の弾性体の劣化度をこれらの使用中でも簡単な操作で測定することができる弾性体の劣化度測定装置が提案されている(特許文献3)。
【0008】
特許文献3に記載されている弾性体の劣化度測定装置は、下面の弾性体当接面に開口する開口部を有し、内部が収容部になったハウジングと、圧力センサ及び被測定物である弾性体に先端面が当接する検圧子を有し、この検圧子が開口部から弾性体当接面に出没可能なようにハウジング内に設けた圧力センサユニットと、ハウジングに設けられ、圧力センサユニットを昇降させる出没機構と、ハウジングの上部側に設けられた劣化度表示部と、ハウジング内に設けられ、圧力センサからの検出信号を変換して劣化度表示部に弾性体の弾性を表示させる測定判定部とから構成されている。弾性体の劣化度を、試験片を採取することなく、これらの上に本装置を置くだけの簡単な操作で測定することができる。
【0009】
さらに、マットレス等の弾性体の劣化度を簡単に測定できる弾性体の劣化度測定装置が提案されている(特許文献4)。
【0010】
特許文献4に記載されている弾性体の劣化度測定装置は、下面が弾性体当接面になり、中央に開口部が形成してある基準板と、この基準板の上側に設けたケーシングと、開口部に臨んでケーシング内に配置した圧力センサと、この圧力センサに弾性体の弾発力を伝達すべく、下端を基準板の弾性体当接面より下方に突出した状態で開口部に挿装され、上部側がケーシング側に支持された弾発力伝達体と、ケーシングに設けられた劣化度表示部と、ケーシングに収納され、圧力センサからの検知信号を変換して劣化度表示部に表示させる測定判定部とから構成されている。この弾性体の劣化度測定装置は、弾性体を使用中でも劣化度を簡単な操作で測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010-151722号公報
【特許文献2】特開平11-313734号公報
【特許文献3】特許第4026147号公報
【特許文献4】特開2003-322608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されている厚み測定装置では、フォームマットレスの厚み変化だけではマットレス内部の疲労による劣化状態の評価はできない。
【0013】
また、特許文献2~4に記載されているマットレスの性能測定装置(及び弾性体の劣化度測定装置)におけるマットレスに荷重を印加した時の沈み込み量(厚み変形量)を測定する方法は、マットレス内部の疲労による劣化状態の評価は可能であるが、疲労による劣化を誘発する要因の一つである荷重条件は多様であるため、評価検体ごとに荷重条件を変えた評価が必要である。そのため、評価作業量の負担が多く、時間もかかるという問題点もあった。
【0014】
従って、本発明は従来技術の上述した問題点を解消するものであり、その目的は、新たな疲労スコアの概念に基づいて、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労による劣化(以下、疲労劣化または単に疲労とも称する。)の状態(度合い)を容易に測定し評価するためのマットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度の使用条件を考量し、マットレスの疲労劣化の状態(度合い)をマットレスの使用条件と関連付けて評価し、使用リスクを判定することができるマットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、マットレスの疲労劣化の状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法は、予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とし、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)とし、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定する。ここで、「同じ荷重における」とは、±5%の範囲を含むものとする(本願の以下の各発明も同様とする。)。
【0017】
接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を測定し、評価対象マットレスを評価する際に、評価対象の疲労スコア(s)を測定し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較することにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。
【0018】
本発明によれば、マットレスの疲労劣化の状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法は、予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と前記第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とし、予め、加圧治具を用いて注意判定相当の第2の基準マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と第2の基準マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とし、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)とし、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とをさらに比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合、かつ第2の基準マットレスの疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、第2の基準マットレスの疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定する。
【0019】
接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を測定し、さらに各荷重に対応する注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を測定し、評価対象マットレスを評価する際に、評価対象の疲労スコア(s)を測定し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、さらに同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とを比較することにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。
【0020】
本発明によれば、マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法は、予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を変化させて加圧治具と第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を疲労スコア(a)として、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)として、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定する。
【0021】
接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する疲労スコア(a)で第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、評価対象マットレスを評価する際に、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)の比較対象を第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とすることにより、第1の基準マットレスの疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきの影響を小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0022】
このマットレスの疲労劣化評価方法において、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を変化させて加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を疲労スコア(s)とし、各荷重に対応する疲労スコアで評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較することも好ましい。
【0023】
接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する疲労スコア(a)で第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、評価対象マットレスを評価する際に、評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較することにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。また、第1の基準マットレス及び評価対象マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)及び疲労スコア(s)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきと、評価対象マットレスの疲労スコアの測定ばらつきの影響が小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)及び評価対象の疲労スコア曲線(S)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0024】
本発明によれば、マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価方法は、予め、加圧治具を用いて異常判定相当の第1の基準マットレスに対して荷重を変化させて加圧治具と第1の基準マットレスとの接触圧力を計測し、接触圧力と荷重との比を疲労スコア(a)として、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、予め、加圧治具を用いて注意判定相当の第2の基準マットレスに対して荷重を変化させて加圧治具と第2の基準マットレスとの接触圧力を計測し、接触圧力と荷重との比を疲労スコア(b)として、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成し、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を固定又は変化させて加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)として、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とをさらに比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合、かつ第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定する。
【0025】
接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する疲労スコア(a)で第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、さらに各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成し、評価対象マットレスを評価する際に、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)の比較対象を第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)及び第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とすることにより、第1の基準マットレス及び第2の基準マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)及び疲労スコア(b)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきの影響を小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)及び第2の基準疲労スコア曲線(B)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0026】
このマットレスの疲労劣化評価方法において、加圧治具を用いて評価対象マットレスに対して荷重を変化させて加圧治具と評価対象マットレスとの接触圧力を計測し、計測した接触圧力と荷重との比を評価対象の疲労スコア(s)とし、各荷重に対応する疲労スコアで評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアと第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とをさらに比較することも好ましい。
【0027】
接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、さらに各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成し、評価対象マットレスを評価する際に、評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とをさらに比較することにより、又は、評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とをさらに比較することにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。また、第1の基準マットレス、第2の基準マットレス及び評価対象マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)、疲労スコア(b)、疲労スコア(s)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきと、評価対象マットレスの疲労スコアの測定ばらつきの影響が小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)、第2の基準疲労スコア曲線(B)、評価対象の疲労スコア曲線(S)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0028】
荷重をマットレスの使用者の体重に換算し、該体重に対応する疲労スコアでマットレスが正常状態であるか否かを判定することが好ましい。これにより、マットレスの使用者の体重を考慮し、マットレスの疲労状態をマットレスの使用者の体重条件と関連付けて評価し、使用リスクを判定することができる。
【0029】
マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、複数の荷重領域を設定し、使用者の体重に対応する疲労スコアがどの荷重領域にあるかを判定することが好ましい。これにより、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度の使用条件を考量し、マットレスの疲労状態をマットレスの使用条件と関連付けて評価し、使用リスクを判定することができる。
【0030】
本発明によれば、マットレスの疲労状態を評価するマットレスの疲労劣化評価装置は、下面がマットレスの表面に当接し加圧するための加圧子と、加圧子の上面からマットレスの厚み方向に荷重を印加する加圧手段と、加圧手段により印加された荷重を計測する荷重計測手段と、加圧子の下面に設けられ、荷重に応じた加圧子とマットレスとの接触圧力を計測する圧力計測手段と、荷重計測手段により計測された複数の荷重データと圧力計測手段により計測された複数の圧力データとをそれぞれ対応させて記憶する計測データ記憶手段と、荷重データ及び圧力データに基づいて接触圧力と荷重との比でマットレスの疲労スコアを算出する演算手段と、算出された疲労スコアに基づいてマットレスの疲労劣化状態を判定する判定手段とを備え、演算手段は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を計算し、さらに評価対象マットレスの疲労スコア(s)を計算し、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定するように構成されている。
【0031】
本発明のマットレスの疲労劣化評価装置は、加圧子と、加圧手段と、荷重計測手段と、圧力計測手段と、計測データ記憶手段と、荷重データ及び圧力データに基づいて接触圧力と荷重との比でマットレスの疲労スコアを算出する演算手段と、疲労スコアに基づいてマットレスの疲労劣化状態を判定する判定手段とを備え、演算手段は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を計算し、さらに評価対象マットレスの疲労スコア(s)を計算し、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較することにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を容易に測定し評価することができる。
【0032】
演算手段は、注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を計算し、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、さらに評価対象の疲労スコア(s)と第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)より小さい場合、かつ第2の基準マットレスの疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の基準マットレスの疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、第2の基準マットレスの疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定するように構成されていることが好ましい。これにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。
【0033】
演算手段は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、さらに評価対象マットレスの疲労スコア(s)を計算し、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定するように構成されていることも好ましい。これにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を容易に測定し評価することができる。また、第1の基準マットレスの疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきの影響を小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)及び評価対象の疲労スコア曲線(S)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価することもできる。
【0034】
演算手段は、注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成するように構成され、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、さらに評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とを比較し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合、かつ第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定するように構成されていることも好ましい。これにより、幅広い荷重条件範囲において、床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。また、第1の基準マットレス及び第2の基準マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)及び疲労スコア(b)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきの影響を小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)と第2の基準疲労スコア曲線(B)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0035】
演算手段は、さらに評価対象マットレスの疲労スコア(s)を計算し、評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成するように構成され、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定するように構成されていることが好ましい。これにより、幅広い荷重条件範囲において、床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。また、第1の基準マットレス及び評価対象マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)及び疲労スコア(s)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきと、評価対象マットレスの疲労スコアの測定ばらつきの影響が小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)、評価対象の疲労スコア曲線(S)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0036】
演算手段は、注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)をさらに作成するように構成され、判定手段は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較し、さらに評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とを比較し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)より小さい場合、かつ第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)より大きい場合は、正常状態と判定し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)が第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)以上の場合は、第1の異常状態と判定し、第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)以下の場合は、第2の異常状態と判定するように構成されていることが好ましい。これにより、幅広い荷重条件範囲において、床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。また、第1の基準マットレス、第2の基準マットレス及び評価対象マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)、疲労スコア(b)、疲労スコア(s)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきと、評価対象マットレスの疲労スコアの測定ばらつきの影響が小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)、第2の基準疲労スコア曲線(B)、評価対象の疲労スコア曲線(S)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0037】
演算手段は、荷重をマットレスの使用者の体重に換算し、判定手段は、体重に対応する疲労スコアで前記マットレスが正常状態であるか否かを判定するように構成されていることが好ましい。これにより、マットレスの使用者の体重を考量し、マットレスの疲労状態をマットレスの使用者の体重条件と関連付けて評価し、使用リスクを判定することができる。
【0038】
演算手段は、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、複数の荷重領域を設定し、判定手段は、使用者の体重に対応する疲労スコアがどの荷重領域にあるかを判定するように構成されていることが好ましい。これにより、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度の使用条件を考量し、マットレスの疲労状態をマットレスの使用条件とより関連付けて評価し、使用リスクを判定することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明のマットレスの疲労劣化評価方法は、接触圧力と荷重との比を疲労スコアとして導入し、予め各荷重に対応する異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を測定し、評価対象マットレスを評価する際に、評価対象マットレスの評価対象の疲労スコア(s)を測定し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較することにより、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。
【0040】
また、さらに各荷重に対応する注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を測定し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第2の基準マットレスの疲労スコア(b)との比較結果と組合せることで、幅広い荷重条件範囲においてマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じてより容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。
【0041】
また、予め各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)と第2の基準疲労スコア曲線(B)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコアと第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアとを比較、もしくは、さらに同じ荷重における評価対象の疲労スコアと第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアとを比較することにより、幅広い荷重条件範囲において床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じて容易に測定し評価することができる。また、評価作業量の負担が少なく、短時間で評価することができる。また、第1の基準マットレス及び第2の基準マットレスの各疲労スコアの測定ばらつきを考慮した疲労スコア(a)及び疲労スコア(b)を用いた比較判断となるため、判断基準値(閾値)の測定ばらつきの影響を小さい状態での評価が可能となる。また、未測定の荷重での疲労スコアデータがある場合でも、第1の基準疲労スコア曲線(A)、第2の基準疲労スコア曲線(B)から得られる未測定荷重時の各疲労スコアの推定値を用いて評価できる。
【0042】
また、評価対象マットレスを評価する際に、評価対象マットレスの各荷重に対応する疲労スコア(s)で評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成し、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコア(s)と第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコア(a)とを比較、もしくは、さらに同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア(b)とを比較することにより、幅広い荷重条件範囲において床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労状態を疲労劣化レベルに応じて容易に測定し評価することができる。
【0043】
また、荷重をマットレスの使用者の体重に換算し、該体重に対応する疲労スコアでマットレスが正常状態であるか否かを判定することで、マットレスの使用者の体重を考量し、マットレスの疲労状態をマットレスの使用者の体重条件と関連付けて評価し、使用リスクを判定することができる。
【0044】
さらに、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、複数の荷重領域を設定し、使用者の体重に対応する疲労スコアがどの荷重領域にあるかを判定することで、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度の使用条件を考量し、マットレスの疲労状態をマットレスの使用条件とより関連付けて評価し、使用リスクを判定することができる。
【0045】
本発明のマットレスの疲労劣化評価装置は、加圧子と、加圧手段と、荷重計測手段と、圧力計測手段と、計測データ記憶手段と、荷重データ及び圧力データに基づいて接触圧力と荷重との比でマットレスの疲労スコアの算出と、各荷重に対応する疲労スコアから疲労スコア曲線を算出する演算手段と、算出した疲労スコアまたは疲労スコア曲線から得られる疲労スコアに基づいてマットレスの疲労劣化状態を判定する判定手段とを備え、評価対象マットレスを評価する際に、同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)とを比較し、又は同じ荷重における評価対象の疲労スコア(s)と第1の基準マットレスの疲労スコア(a)及び第2の基準マットレスの疲労スコア(b)とを比較することにより、上記の本発明のマットレスの疲労劣化評価方法を実行でき、該マットレスの疲労劣化評価方法の発明効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価装置の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。
【
図3】疲労度合いと接触圧力の関係を示す図である。
【
図4】疲労スコア曲線と判定領域を概略的に示す図である。
【
図5】荷重領域の設定を概略的に示す図であり、(A)荷重領域を3領域に分ける例で、(B)疲労スコア曲線と荷重領域を示す図である。
【
図6】判定モードの説明図であり、(A)単荷重領域判定モードで、(B)総合領域判定モードである。
【
図7】総合領域判定モードにおける判定補正の例を示す図である。(A)総合判定モード、(B)仮判定パターン、(C)判定補正後を示す図である。
【
図8】マットレスの使用者の体重を考慮した判定を説明する図である。
【
図9】評価対象マットレスの構成例を概略的に示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第1の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア(a)を測定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第1の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、評価対象マットレスの疲労スコア(s)を測定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の第1の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、比較、評価の処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第2の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第2の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、異常(注意)判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア(b)を測定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第2の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、比較、評価の処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の第3の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の第3の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコア曲線(A)を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の第3の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、評価対象マットレスの疲労スコア曲線(S)を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図20】本発明の第3の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、比較、評価の処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の第3の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、比較、評価の処理手順(他の例)を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の第4の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図23】本発明の第4の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順(他の例)を示すフローチャートである。
【
図24】本発明の第4の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、異常(注意)判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコア曲線(B)を作成する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図25】本発明の第4の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、比較、評価及び判定補正の処理手順を示すフローチャートである。
【
図26】本発明の第4の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法において、比較、評価及び判定補正の処理手順(他の例)を示すフローチャートである。
【
図27】
図9の評価対象マットレスの疲労スコア曲線の実測例を示す図である。
【
図28】本発明のマットレスの疲労劣化評価装置を用いて、マットレスの疲労状態を測定する際の処理手順(その1)を示すフローチャートである。
【
図29】本発明のマットレスの疲労劣化評価装置を用いて、マットレスの疲労状態を測定する際の処理手順(その2)を示すフローチャートである。
【
図30】本発明のマットレスの疲労劣化評価装置を用いて、マットレスの疲労状態を測定する際の処理手順(その3)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明に係るマットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置の実施形態を、図を参照して説明する。本発明は、疲労スコア又は疲労スコアから得られる疲労スコア曲線を用いてマットレスの疲労状態を評価するものである。はじめに、本発明に係るマットレスの疲労劣化評価方法及び評価装置の基本原理について
図1~
図4を参照して説明する。
【0048】
図1は本発明の一実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価装置100の構成を示している。
図2は本発明のマットレスの疲労劣化評価方法に用いられる疲労スコア曲線を概略的に示しており、
図3は疲労度合いと接触圧力の関係を模式的に示しており、
図4は疲労スコア曲線と判定領域を概略的に示している。
【0049】
本発明において、疲労スコアは、式:疲労スコア(Sf)=圧力P/荷重Fで定義される。式中、荷重Fは加圧子10の上面からマットレスMの厚み方向に荷重を印加する荷重である。圧力Pは圧力計測手段10による計測された荷重Fに応じた加圧子10とマットレスMとの接触圧力である。なお、以下の説明において、所定の荷重Fに対応する疲労スコア(a)、(b)及び(s)を疲労スコア(Sfa)、(Sfb)及び(Sfs)とも記す。
【0050】
本発明において、もっとも基礎的なマットレスの疲労劣化評価方法は、判定の閾値となる疲労スコアと、検体である評価対象マットレスの疲労スコア(Sfs)とを比較する方法である。具体的には、疲労劣化評価として「安全」、「危険」の二水準とした例では、評価対象マットレスと同じ構造であって、同じ荷重における危険レベルと判定したい疲労劣化状態のものを検体(第1の基準マットレスともいう。)として測定して得られた疲労スコア(Sfa)と、評価対象マットレスの疲労スコア(Sfs)とを比較して、疲労スコア(Sfs)が、疲労スコア(Sfa)未満であれば「安全」と判定し、疲労スコア(Sfs)が、疲労スコア(Sfa)以上であれば「危険」と判定する。疲労劣化評価として「安全」、「注意」、「危険」の3水準とした場合は、評価対象マットレスと同じ構造であって、注意レベルと判定したい疲労劣化状態のものを検体(第2の基準マットレスともいう。)として測定して得られた疲労スコア(Sfb)とともに、上記疲労スコア(Sfs)と比較して、疲労スコア(Sfs)が疲労スコア(Sfa)以上の場合は「危険」、疲労スコア(Sfs)が疲労スコア(Sfb)以下の場合は「注意」、疲労スコア(Sfs)が疲労スコア(Sfa)と疲労スコア(Sfb)との間の場合は「安全」と判断する。ここで、「同じ荷重における」とは、±5%の範囲を含むものであり、より精度を高めた判断をする観点から±3%以下が好ましい(以下の説明においても同様とする。)。
【0051】
次に、疲労スコアから得られる疲労スコア曲線を用いた実施形態を例に評価原理を説明する。本発明において、疲労スコア曲線は、
図2に示すように、荷重Fを荷重F1からF2まで変化させたときの疲労スコア(Sf)を荷重Fに対してプロットすることにより得られた曲線である。
【0052】
一般的に、マットレスの疲労劣化の度合いと接触圧力Pの関係は、
図3(A)に示すような曲線(X)となり、疲労の度合いが増加していくと、圧力は単調減少した後に単調増加に転じる。これは、疲労劣化の度合いが進んで圧力が小さくなるほど、マットレスの沈み込み量(荷重変形量)が大きくなるため、ベッドの床板などの硬い下層の影響を受けて硬くなっているように振る舞うことによって、圧力が単調増加に転じるのである。一般的に介護用マットレスにおいては、床ずれ防止のため使用者の体と接触した箇所の圧力は小さいことが好ましいため、床ずれリスクと関連付けた疲労劣化評価として「安全」、「危険」の二水準の場合には、疲労劣化評価と上記曲線(X)関係は、
図3(B)に示すとおりとなる。一方、圧力が小さい状態でもマットレスの疲労劣化が進行している場合が存在するため、床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労劣化評価を「安全」、「注意」、「危険」の三水準とした場合、疲労劣化評価と上記曲線(X)関係は、
図3(C)に示すとおりとなり、圧力と疲労劣化の状態をより反映した領域を設定することができる。
【0053】
上記の
図3(C)で説明した疲労劣化評価の考え方を、本発明における荷重Fと疲労スコア(Sf)の関係に展開すると、
図4に概略的に示すように、疲労スコア曲線を用いて、「安全判定領域」、「危険判定領域」及び「注意判定領域」を形成した、疲労劣化リスクの状態を判定するための判定マップが得られる。
図4中の疲労スコア曲線(A)は、危険レベルと判定したい疲労劣化状態のものを検体として測定して得られた曲線であり、疲労スコア曲線(B)は、注意レベルと判定したい疲労劣化状態のものを検体(第1の基準マットレス)として測定して得られた曲線であり、疲労スコア曲線(B)は、注意レベルと判定したい疲労劣化状態のものを検体(第2の基準マットレス)として測定して得られた曲線であり、第1の基準マットレスと第2の基準マットレスは、評価対象マットレスと同じ構造のマットレスである。即ち、疲労スコア曲線(A)以上の領域は「危険判定領域」とし、疲労スコア曲線(B)以下の領域は「注意判定領域」とし、疲労スコア曲線(A)と疲労スコア曲線(B)との間の領域は「安全判定領域」とする。また、
図3(B)に示した「安全」、「危険」の二水準の考え方を、本発明の荷重Fと疲労スコアの関係に展開すると、
図4に概略的に示す判定マップとなり、疲労スコア曲線(A)以上の領域は「危険判定領域」とし、疲労スコア曲線(A)より下の領域は「安全判定領域」となる。このように、疲労スコア曲線を用いることによって、疲労スコアの比較のみで評価する上記の基礎的な疲労劣化評価方法では成し得なかった床ずれリスクと関連付けたマットレスの疲労劣化評価を実現できる。なお、
図4の各判定領域の設定において、各疲労スコア曲線をどちらの判定領域に属させるかは適宜選択できる。
【0054】
本発明において、上記の判定マップには、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、疲労スコア曲線を作成する際の荷重範囲に対して、複数の荷重領域を設定することができる。
図5(A)は荷重領域の設定として、(B)は
図4に荷重領域を設定した判定マップを概略的に示している。
図5に示すように、マットレスの使用者の体重に対して、高(60kg)、中(50kg)、低(40kg)の3段階に分けて、使用時のベッドの背上げ角度を、30度、45度、60度の3種に設定する場合、疲労スコア曲線の荷重範囲を高荷重のH領域、中荷重のM領域、低荷重のL領域に設定することができる。
【0055】
本発明の疲労スコア曲線を用いたマットレスの疲労劣化評価は、疲労スコア曲線(A)、又は疲労スコア曲線(A)と疲労スコア曲線(B)の何れかに基づいて構成された判定マップに対して、検体である評価対象マットレスの疲労スコア又は疲労スコアから得られる疲労スコア曲線がどの判定領域に属するかによって、疲労劣化状態のリスクを評価する。
図6に示すように、疲労スコア曲線を用いたマットレスの疲労劣化評価は、単荷重領域判定モードと総合領域判定モードがある。
図6(A)は単荷重領域判定モードを示しており、(B)は総合領域判定モードを示している。単荷重領域判定モードでは、評価対象マットレスの測定スコアが属する判定領域でマットレスの疲労(疲労劣化)状態を判定する。一方、総合領域判定モードでは、評価対象の疲労スコア曲線(S)でH領域、M領域及びL領域の全荷重範囲に対してマットレスの疲労(疲労劣化)状態を判定する。なお、
図3(B)に示すように、圧力と疲労劣化の状態をより反映した疲労劣化評価をする場合には、総合領域判定モードが好ましい。
【0056】
総合領域判定モードにおいて、判定水準が3個以上の場合には、以下に述べる判定補正を要する場合があるため、
図7を用いて説明する。
図7において、(A)は複数の評価対象マットレスの疲労スコア曲線(S)の例を示しており、(B)は仮判定の結果を示しており、(C)は判定補正後の結果を示している。この場合、評価対象マットレスの疲労スコア曲線(S)を測定し、疲労スコア曲線(S)の判定領域の位置で疲労劣化状態を仮判定する。そして、「注意」判定の高荷重側に「安全」(即ち、正常)判定がある場合又は「安全」判定の低荷重側に「注意」判定がある場合は、「安全」から「注意」(準危険でもOK)に判定補正する。ここで、
図7(B)中のパターン4、パターン8、パターン9、及びパターン10の中荷重、高荷重の「安全」を、「注意」に補正した(
図7(C)参照)。
【0057】
図8は総合領域判定モードの判定結果にマットレスの使用者の体重別の判定結果を加えた例を示している。
図8に示すように、マットレスの使用者の体重を考慮した判定は、総合領域判定モードの判定結果と使用者の体重に基づいて、使用者の体重が低体重の場合、低荷重領域の判定結果を出力し、使用者の体重が中体重の場合、低荷重領域から中荷重領域の判定結果を選択して出力し、使用者の体重が高体重の場合、低荷重領域から高荷重領域の判定結果を選択して出力する。これにより、マットレスの使用条件とより関連付けて判定結果を得ることができる。
【0058】
以下、本発明の一実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価装置100の構成を説明する。
【0059】
図1に示すように、本実施形態に係るマットレスの疲労劣化評価装置100は、下面がマットレスMの表面に当接し加圧するための加圧子10と、加圧子10の上面からマットレスMの厚み方向に荷重を印加する加圧手段20と、加圧手段20により印加された荷重を計測する荷重計測手段30と、加圧子10の下面に設けられ、荷重Fに応じた加圧子10とマットレスMとの接触圧力を計測する圧力計測手段40と、荷重計測手段30による計測された複数の荷重データと圧力計測手段10による計測された複数の圧力データとをそれぞれ対応させて記憶する記憶手段50と、荷重データ及び圧力データに基づいて接触圧力と荷重との比でマットレスMの疲労スコアを算出する演算手段60と、疲労スコアに基づいてマットレスMの疲労劣化状態を判定する判定手段70と、出力手段80とを備えている。
【0060】
加圧子10は、水平の円板部と、この円板部の下部同軸に形成された曲面部とから構成されている。加圧子10の具体例としては、JIS規格(JIS T9256)の床ずれ防止用具の体圧低減性能の評価方法で用いられる直径300mm、厚さ14mmの円盤状の基板から突出する凸球面(高さ28mm、R200mm)を有する加圧子が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記円板部の上面には加圧手段20が設けられている。また、上記曲面部の軸上の先端部に圧力計測手段40が設けられている。この加圧子10は、十分な剛性を有する基盤(床、ベッドの床板、検体を載置するステージなど)上に載置されたマットレスMの使用面(使用者と接して使用された面)の疲労劣化評価したい箇所に垂直に接触させ、加圧子10に荷重を加えてマットレスを厚さ方向に圧縮する。疲労劣化評価する箇所としては、寝姿勢において体重(荷重)が多く掛かる箇所を選択することが好ましく、腰部周辺を支える領域がより好ましい。
【0061】
加圧手段20は、マットレスMの厚み方向に荷重Fで加圧子10を押付・加圧するものであれば特に限定されずに公知の手段を適用でき、例えば、電動アクチュエータ、分銅等を用いることができる。
【0062】
荷重計測手段30は、マットレスMに加圧子10を押し込むための力として、荷重Fを計測するものである。例えば、力の大きさを電気信号に変えるロードセル等を用いることができる。なお、荷重Fに換算可能な面圧、応力、反力などを計測してもよい。
【0063】
圧力計測手段40は、加圧子10の下面(マットレスMに接触する側)に設けられ、荷重に応じた加圧子10とマットレスMとの接触圧力を計測するものである。圧力計測手段40は、特に限定されず、公知の各種圧力センサを用いることができる。
【0064】
記憶手段50は、ハードディスクドライブ(HDD)、並びにROM、RAM及びフラッシュメモリ等から構成されており、マットレスの疲労劣化評価を行うためのプログラム以外に、荷重計測手段30による計測された複数の荷重データと圧力計測手段10による計測された複数の圧力データとをそれぞれ対応させて記憶するものである。また、記憶手段50は、演算手段60による算出された疲労スコアのデータ、及び判定手段70による判断結果も記憶するように構成されている。
【0065】
演算手段60は、マットレスの疲労劣化評価装置100のハード資源(メモリやCPU)を用いて実行されるプログラムである。この演算手段60は、荷重データ及び圧力データに基づいて接触圧力と荷重との比であるマットレスMの疲労スコアを算出するように構成されている。即ち、本発明において疲労スコアは、式:疲労スコア(Sf)=圧力P/荷重Fで計算する。式中、荷重Fは加圧子10の上面からマットレスMの厚み方向に荷重を印加する荷重である。圧力Pは圧力計測手段10による計測された荷重Fに応じた加圧子10とマットレスMとの接触圧力である。
【0066】
また、演算手段60は、各荷重に対応する疲労スコアデータから疲労スコア曲線(
図2参照)を作成するように構成されている。例えば、演算手段60は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコアを計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、さらに評価対象マットレスの疲労スコアを計算し、評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成するように構成されている。また例えば、演算手段60は、異常判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコアを計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成し、さらに注意判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコアを計算し、各荷重に対応する疲労スコアで第2の基準疲労スコア曲線(B)を作成し、そして評価対象マットレスの疲労スコアを計算し、評価対象の疲労スコア曲線(S)を作成するように構成されている。
【0067】
判定手段70は、疲労スコアに基づいてマットレスMの疲労劣化状態を判定するように構成されている。例えば、判定手段70は、同じ荷重における前記評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアと第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアとを比較し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアが第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコアより小さい場合は、正常状態として判定し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアが第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア以上の場合は、第1の異常状態として判定するように構成されている。また例えば、判定手段70は、同じ荷重における評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアと第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアとを比較し、さらに評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアと第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアとを比較し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアが第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコアより小さい場合、かつ第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアより大きい場合は、正常状態として判定し、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアが第1の疲労スコア曲線(A)の疲労スコア以上の場合は、第1の異常状態として判定し、第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコア以下の場合は、第2の異常状態として判定するように構成されている。
【0068】
出力手段80は、演算結果の表示、判定結果の表示を行うものである。出力手段80として、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)等を用いることができる。本実施形態においては、例えば、複数の発光ダイオード(LED)から構成されている。この出力手段80は、判定手段70の判定結果によって、正常状態の場合、緑色のLEDが点灯し、異常状態の場合、赤色のLEDが点灯し、注意状態の場合、黄色のLEDが点灯するように構成されている。なお、出力手段80として、スピーカを用いて音又は音声によって判定結果を出力するようにしても良い。
【0069】
以下、本発明のマットレスの疲労劣化評価方法具体的な実施形態について、
図9から
図26を参照して説明する。
【0070】
図9は評価対象マットレスの構成例を概略的に示している。
図10から
図13は本発明の第1の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図14から
図16は本発明の第2の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図17から
図21は本発明の第3の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図22から
図26は本発明の第4の実施形態におけるマットレスの疲労劣化評価方法でマットレスの疲労劣化評価を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図27は
図9の評価対象マットレスの疲労スコア曲線の実測例を示している。
【0071】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態のマットレスの疲労劣化評価方法は、
図10に示すように、予め異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコアSfa(即ち、第1の基準疲労スコア)を測定する(ステップS10)。次いで、マットレスの疲労状態を測定する際に、同様の方法で評価対象マットレスMの疲労スコアSfs(即ち、評価対象の疲労スコア)を測定する(ステップS20)。次いで、評価対象マットレスMの疲労スコアSfsと基準疲労スコアSfaとを比較する(ステップS30)。次いで、評価対象マットレスMの疲労状態を判定する(ステップS40)。そして、判定結果を出力する(ステップS50)。さらに、ステップS60で、次の評価対象マットレスがあるか否かを判断する。ここで、同じ構造の評価対象マットレスMが複数ある場合(Yesの場合)には、ステップS20に戻ってステップS50まで実行する。なお、第1の基準マットレス及び評価対象のマットレスは、使用面を加圧子10側にしてセットする。
【0072】
ステップS10において、
図11に示すように、まず、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスをセットする(ステップS11)。次いで、第1の基準マットレスに対して荷重を変化させて加圧子10を介して加圧する(ステップS12)。ここで、加圧すると共に、測定データ番号を設定する。例えば、データ番号i(i=1~N、整数)とする。次いで、荷重Faiを測定し、読み込む(ステップS13)。ここで、Faiは、i番目の荷重データFaである。次いで、圧力Paiを測定し、読み込む(ステップS14)。ここで、Paiは、i番目の圧力データPaである。次いで、疲労スコアSfaiを計算する(ステップS15)。ここで、Sfaiは、i番目の疲労スコアSFaである。次いで、荷重Faiデータと、対応する疲労スコアSfaiデータとをセットで記憶手段50に記憶する(ステップS16)。次いで、測定が完了したか否かを判断する(ステップS17)。ここで、測定が未完了であると判断された場合(Noの場合)は、ステップS13に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、測定が完了したと判断された場合(Yesの場合)は、加圧を終了し、ステップS20へ進む。
【0073】
ステップS20において、
図12に示すように、まず、評価対象のマットレスをセットする(ステップ21)。次いで、評価対象のマットレスの使用面に対して荷重を変化させて加圧子10を介して加圧する(ステップS22)。ここで、加圧すると共に、測定データ番号を設定する。例えば、データ番号k(k=1~N、整数)とする。次いで、荷重Fakを測定し、読み込む(ステップS23)。ここで、Fskは、k番目の荷重データFsである。次いで、圧力Pskを測定し、読み込む(ステップS24)。ここで、Pskは、k番目の圧力データPaである。次いで、疲労スコアSfakを計算する(ステップS25)。ここで、Sfskは、k番目の疲労スコアSfaである。次いで、荷重Fskデータと、対応する疲労スコアSfskデータとをセットでデータ記憶手段50に記憶する(ステップS26)。次いで、測定が完了したか否かを判断する(ステップS27)。ここで、測定が未完了であると判断された場合(Noの場合)は、ステップS23に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、測定完了したと判断された場合(Yesの場合)は、加圧を終了し、ステップS30へ進む(
図13参照)。
【0074】
図13に示すように、ステップS30及びステップS40において、まず、記憶手段50から第1の基準疲労スコアSfaのデータを読み込む(ステップS31)。次いで、記憶手段50から評価対象の疲労スコアSfsのデータを読み込む(ステップS32)。荷重Fskと同一の荷重Faを抽出する(ステップS33)。即ち、荷重Fa=Fskに設定する。次いで、評価対象の疲労スコアSfskと第1の基準疲労スコアSfakとを取得する(ステップS34)。次いで、評価対象の疲労スコアSfak≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS35)。ここで、Sfak≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、「正常」と判断する(ステップS42)。一方、Sfak≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常」と判断する(ステップS41)。次いで、ステップS41及びステップS42での判断結果を記憶する(ステップS43)。次いで、データ数k=Nであるか否かを判断する(ステップS44)。ここで、k=Nではないと判断された場合(Noの場合)は、k+1にして、ステップS33に戻り、k+1番目のデータを読み込み、上述した処理を繰り返す。一方、k=Nであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS50へ進み、判定結果を出力する。判定結果出力のステップS50では、例えば、「異常」の場合、赤色のLEDが点灯し、「正常」の場合、緑色のLEDが点灯する。そして、処理が終了する。なお、
図13には示していないが、kが3以上の場合において、荷重Fと評価対象の疲労スコアSfsのデータ群から得られる荷重Fと疲労スコアSfs関係において、疲労スコアSfsが、荷重Fの増加に伴い単調減少後に単調増加して最小値を有する場合には、「正常」判定ではあるが、疲労劣化は進行していることを付加情報として得ることもできる。また、
図11から
図13の処理フローは一例であり、判定結果に影響しないステップの順番を入れ替えるなど、同様の判定結果に到達し得る他の処理フローを適用してもよい。また、本実施形態では、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスは単枚で測定した例として説明したが、マットレス間のばらつきを考慮して、複数の第1の基準マットレスの測定から求められた複数の疲労スコアを統計処理(例えば平均値)した値を疲労スコア(a)としてもよい。
【0075】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のマットレスの疲労劣化評価方法は、
図14に示すように、予め異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコアSfaを測定する(ステップS10a)。次いで、同様な方法で、予め異常(注意)判定相当の第2の基準マットレスの疲労スコアSfbを測定する(ステップS10b)。次いで、マットレスの疲労状態を測定する際に、同様な方法で評価対象マットレスMの疲労スコアSfs(即ち、評価対象の疲労スコア)を測定する(ステップS20)。次いで、評価対象マットレスMの疲労スコア(Sfs)と第1の基準マットレスの疲労スコアSfaとを比較する(ステップS30a)。次いで、評価対象マットレスMの疲労スコアSfsと第2の基準マットレスの疲労スコアSfbとを比較する(ステップS30b)。次いで、評価対象マットレスMの疲労状態を判定する(ステップS40)。そして、判定結果を出力する(ステップS50)。さらに、ステップS60で、次の評価対象マットレスがあるか否かを判断する。ここで、同じ構造の評価対象マットレスMが複数ある場合(Yesの場合)には、ステップS20に戻ってステップS50まで実行する。なお、第1の基準マットレス、第2の基準マットレス、評価対象のマットレスは、使用面を加圧子10側にしてセットする。また、各基準のマットレスの疲労スコアを測定するステップS10aとステップS10bは順番を入れ替えてもよい。
【0076】
ステップS10aにおいて、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスの疲労スコアSfaを測定する手順は、上述した
図11に示す手順と同じである。ここで、詳細の説明を省略する。
【0077】
ステップS10bにおいて、
図15に示すように、まず、異常(注意)判定相当の第2の基準マットレスをセットする(ステップS11b)。次いで、第1の基準マットレスに対して荷重を変化して加圧子10を介して加圧する(ステップS12b)。ここで、加圧すると共に、測定データ番号を設定する。例えば、データ番号j(j=1~N、整数)とする。次いで、荷重Fajを測定し、読み込む(ステップS13b)。ここで、Fajは、j番目の荷重データFaである。次いで、圧力Pbjを測定し、読み込む(ステップS14b)。ここで、Pbjは、j番目の圧力データPbである。次いで、疲労スコアSfbjを計算する(ステップS15b)。ここで、Sfbjは、j番目の疲労スコアSfbである。次いで、荷重Fbjデータと、対応する疲労スコアSfbjデータとをセットで記憶手段50に記憶する(ステップS16b)。次いで、測定が完了したか否かを判断する(ステップS17b)。ここで、測定が未完了であると判断された場合(Noの場合)は、ステップS13bに戻り、上述した処理を繰り返す。一方、測定が完了したと判断された場合(Yesの場合)は、加圧を終了し、ステップS20へ進む。
【0078】
ステップS20において、評価対象マットレスMの疲労スコアSfsを測定する手順は、上述した
図12に示す手順と同じである。ここで、詳細の説明を省略する。
【0079】
ステップS30a、ステップS30b及びステップS40bにおいて、
図16に示すように、まず、記憶手段50から第1の基準疲労スコアSfaのデータを読み込む(ステップS31a)。次いで、記憶手段50から第2の基準疲労スコアSfbのデータを読み込む(ステップS31b)。次いで、記憶手段50から評価対象の疲労スコアSfsのデータを読み込む(ステップS32)。次いで、荷重Fskと同一の荷重Fa及びFbを抽出する。即ち、荷重Fa=Fb=Fskに設定する(ステップS33)。次いで、評価対象の疲労スコアSfskと第1の基準疲労スコアSfakとを取得する(ステップS34a)。次いで、評価対象の疲労スコアSfskと第2の基準疲労スコアSfbkとを取得する(ステップS34b)。次いで、評価対象の疲労スコアSfak≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS35a)。ここで、Sfak≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常(危険)」と判断する(ステップS41)。一方、Sfak≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS35bで、Sfsk≦Sfbkであるか否かを判断する。ここで、SFsk≦SFbkであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常(注意)」と判断する(ステップS41)。一方、Sfsk≦Sfbkではないと判断された場合(Noの場合)は、以前に異常(注意)判定された履歴があるか否かを判断(ステップS35c)し、異常(注意)判定された履歴があると判断された場合(Yesの場合)は、「異常(注意)」と判断(ステップS41)し、異常(注意)判定された履歴が無いと判断された場合(Noの場合)は、「正常」と判断する(ステップS42)。このステップS35cを実行した判定ステップ(S41、S42)の実行は、上述の判定補正の実行に相当する。次いで、ステップS41、S42での判断結果を記憶する(ステップS43)。次いで、データ数k=Nであるか否かを判断する(ステップS44)。ここで、k=Nではないと判断された場合(Noの場合)は、k+1にして、ステップS33に戻り、k+1番目のデータを読み込み、上述した処理を繰り返す。一方、k=Nであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS50へ進み、判定結果を出力する。判定結果出力のステップS50では、例えば、「異常」の場合、赤色のLEDが点灯し、「正常」の場合、緑色のLEDが点灯する。そして、処理が終了する。なお、
図15及び
図16の処理フローは一例であり、判定結果に影響しないステップの順番を入れ替えるなど、同じ判定結果に到達し得る他の処理フローを適用してもよい。なお、本実施形態では、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレス及び異常(注意)判定相当の第2の基準マットレスは、各単枚で測定した例として説明したが、マットレス間のばらつきを考慮して、複数の第1の基準マットレスの測定から求められた複数の疲労スコアを統計処理(例えば平均値)した値を疲労スコア(a)及び疲労スコア(b)としてもよい。
【0080】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態のマットレスの疲労劣化評価方法は、
図17に示すように、予め異常(危険)判定境界線となる基準疲労スコア曲線(A)(即ち、第1の基準疲労スコア曲線)を作成する(ステップS110)。次いで、マットレスの疲労状態を測定する際に、同様の方法で評価対象マットレスMの疲労SFs(即ち、評価対象の疲労スコア)を測定する(ステップS120)。次いで、評価対象マットレスMの疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfsと第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアSfaとを比較する(ステップS130)。次いで、評価対象マットレスMの疲労状態を判定する(ステップS140)。そして、判定結果を出力する(ステップS150)。さらに、ステップS160で、次の評価対象マットレスがあるか否かを判断する。ここで、同じ構造の評価対象マットレスMが複数ある場合(Yesの場合)には、ステップS120に戻ってステップS150まで実行する。なお、第1の基準マットレス及び評価対象のマットレスのセット方法は、第1の実施形態と同様である。
【0081】
ステップS110において、
図18に示すように、まず、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスをセットする(ステップS111)。次いで、第1の基準マットレスに対して荷重を変化して加圧子10を介して加圧する(ステップS112)。ここで、加圧すると共に、測定データ番号を設定する。例えば、データ番号i(i=1~N、整数)とする。次いで、荷重Faiを測定し、読み込む(ステップS113)。ここで、Faiは、i番目の荷重データFaである。次いで、圧力Paiを測定し、読み込む(ステップS114)。ここで、Paiは、i番目の圧力データPaである。次いで、疲労スコアSfaiを計算する(ステップS115)。ここで、Sfaiは、i番目の疲労スコアSfaである。次いで、荷重Faiデータと、対応する疲労スコアSfaiデータとをセットで記憶手段50に記憶する(ステップS116)。次いで、測定が完了したか否かを判断する(ステップS117)。ここで、測定が未完了であると判断された場合(Noの場合)は、ステップS113に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、測定が完了したと判断された場合(Yesの場合)は、加圧を終了する。次いで、記憶された荷重Faiデータと、対応する疲労スコアSfaiデータで疲労スコア曲線(A)を作成する(ステップS118)。ここで、関数Sfa=f(Fa)を導出し、関数Sfa=f(Fa)の近似式を計算する。次いで、疲労スコア曲線(A)を記憶手段50に記憶する(ステップS119)。そして、ステップS120へ進む。近似式の計算は、線型近似、指数近似、対数近似、多項式近似、累乗近似などの公知の方法が使用でき、疲労スコアの荷重系列データの分布パターンや疲労劣化評価の結果の精度等に応じて適宜選択できる。なお、本実施形態では、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスは単枚で測定した例として説明したが、マットレス間のばらつきを考慮して、複数の第1の基準マットレスの測定から求められた疲労スコアを用いて疲労スコア曲線(A)を形成してもよい。
【0082】
ステップS120において、
図19に示すように、まず、評価対象のマットレスをセットする(ステップS121)。次いで、評価対象のマットレスに対して荷重を変化して加圧子10を介して加圧する(ステップS122)。ここで、加圧すると共に、測定データ番号を設定する。例えば、データ番号k(k=1~N、整数)とする。次いで、荷重Fakを測定し、読み込む(ステップS123)。ここで、Fskは、k番目の荷重データFsである。次いで、荷重Pskを測定し、読み込む(ステップS124)。ここで、Pskは、k番目の荷重データPaである。次いで、疲労スコアSfakを計算する(ステップS125)。ここで、Sfskは、k番目の疲労スコアSFaである。次いで、荷重Fskデータと、対応する疲労スコアSfskデータとをセットでデータ記憶手段50に記憶する(ステップS126)。次いで、測定が完了したか否かを判断する(ステップS127)。ここで、測定が未完了であると判断された場合(Noの場合)は、ステップS123に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、測定完了したと判断された場合(Yesの場合)は、加圧を終了する。次いで、必要に応じて、記憶された荷重Fskデータと、対応する疲労スコアSfskデータで疲労スコア曲線(S)を作成する(ステップS128)。ここで、関数Sfs=f(Fs)を導出し、関数Sfs=f(Fs)の近似式を計算する。次いで、疲労スコア曲線(A)をデータ記憶手段50に記憶する(ステップS129)。
【0083】
ステップS130において、最初にステップS120におけるステップS128及びS129を実行しなかった場合(疲労スコア曲線(S)を作成しない場合)について説明する。
図20に示すように、まず、記憶手段50から疲労スコア曲線(A)のデータを読み込む(ステップS131)。次いで、記憶手段50から荷重Fskにおける評価対象の疲労スコアSFsのデータを読み込む(ステップS132)。荷重Fskと同一の荷重Faを抽出する(ステップS133)。即ち、荷重Fa=Fskに設定する。次いで、第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアSfakを取得する(ステップS134)。次いで、評価対象の疲労スコアSfak≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS135)。ここで、Sfak≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、「正常」と判断する(ステップS141)。一方、Sfak≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常」と判断する(ステップS142)。次いで、ステップS141及びステップS142での判断結果を記憶する(ステップS143)。次いで、データ数k=Nであるか否かを判断する(ステップS144)。ここで、k=Nではないと判断された場合(Noの場合)は、k+1にして、ステップS133に戻り、k+1番目のデータを読み込み、上述した処理を繰り返す。一方、k=Nであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS150へ進み、判定結果を出力する。判定結果出力のステップS150では、例えば、「異常」の場合、赤色のLEDが点灯し、「正常」の場合、緑色のLEDが点灯する。そして、処理が終了する。
【0084】
次に、ステップS130において、ステップS120におけるステップS128及びS129(
図19参照)を実行して、疲労スコア曲線(S)を作成した場合について説明する。
図21に示すように、まず、記憶手段50から疲労スコア曲線(A)のデータを読み込む(ステップS131)。次いで、記憶手段50から評価対象の疲労スコア曲線(S)のデータを読み込む(ステップ132a)。荷重Fskと同一の荷重Faを抽出する(ステップS133)。即ち、荷重Fa=Fskに設定する。次いで、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfskと第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアSfakとを取得する(ステップS134a)。次いで、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfak≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS135)。ここで、Sfak≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、「正常」と判断する(ステップS141)。一方、Sfak≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常」と判断する(ステップS142)。次いで、ステップS141及びステップS142での判断結果を記憶する(ステップS143)。次いで、データ数k=Nであるか否かを判断する(ステップS144)。ここで、k=Nではないと判断された場合(Noの場合)は、k+1にして、ステップS133に戻り、k+1番目のデータを読み込み、上述した処理を繰り返す。一方、k=Nであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS150へ進み、判定結果を出力する。判定結果出力のステップS150では、例えば、「異常」の場合、赤色のLEDが点灯し、「正常」の場合、緑色のLEDが点灯する。そして、処理が終了する。なお、
図20及び
図21には示していないが、kが3以上の場合において、荷重Fと評価対象の疲労スコアSfsのデータ群から得られる荷重Fと疲労スコアSfs関係において、疲労スコアSfsが、荷重Fの増加に伴い単調減少後に単調増加して最小値を有する場合には、「正常」判定ではあるが、疲労劣化は進行していることを付加情報として得ることもできる。
【0085】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態のマットレスの疲労劣化評価方法は、
図22に示すように、予め異常(危険)判定境界線となる基準疲労スコア曲線(A)(即ち、第1の基準疲労スコア曲線)を作成する(ステップS210)。次いで、予め異常(注意)判定境界線となる基準疲労スコア曲線(B)(即ち、第2の基準疲労スコア曲線)を作成する(ステップS220)。次いで、マットレスの疲労状態を測定する際に、同様の方法で評価対象マットレスMの疲労スコア(s)(即ち、評価対象の疲労スコア)を測定する(ステップS230)。次いで、評価対象マットレスMの疲労スコアと基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアとを比較する(ステップS240)。次いで、評価対象マットレスMの疲労スコアと第1の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアとを比較する(ステップS250)。次いで、評価対象マットレスMの疲労状態を判定する(ステップS260)。次いで、判定補正処理を行う(ステップS270)。そして、判定結果を出力する(ステップS280)。さらに、ステップS290で、次の評価対象マットレスがあるか否かを判断する。ここで、同じ構造の評価対象マットレスMが複数ある場合(Yesの場合)には、ステップS230に戻ってステップS280まで実行する。なお、第1の基準マットレス、第2の基準マットレス及び評価対象のマットレスのセット方法は、第2の実施形態と同様である。
【0086】
図23は、評価対象マットレスMの疲労スコア曲線(S)を作成する場合の処理手順を示している。この場合、ステップS230aにおいて、評価対象マットレスMの疲労スコア曲線(S)を作成する。ステップS240aで、評価対象マットレスMの疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfsと第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアSfaとを比較する。ステップS250aで、評価対象マットレスMの疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfsと第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアSfbとを比較する。
【0087】
ステップS210において、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレスに関する異常判定境界線となる第1の基準疲労スコア曲線(A)を作成する手順は、上述した
図18に示す手順と同じである。ここで、詳細の説明を省略する。
【0088】
ステップS220において、
図24に示すように、まず、異常(注意)判定相当の第2の基準マットレスをセットする(ステップS221)。次いで、第2の基準マットレスに対して荷重を変化して加圧子10を介して加圧する(ステップS222)。ここで、加圧すると共に、測定データ番号を設定する。例えば、データ番号j(j=1~N、整数)とする。次いで、荷重Fbjを測定し、読み込む(ステップS223)。ここで、Fbjは、j番目の荷重データFbである。次いで、圧力Pbjを測定し、読み込む(ステップS224)。ここで、Pbjは、j番目の圧力データPbである。次いで、疲労スコアSfbjを計算する(ステップS225)。ここで、Sfbjは、j番目の疲労スコアSfbである。次いで、荷重Fbjデータと、対応する疲労スコアSfbjデータとをセットでデータ記憶手段50に記憶する(ステップS226)。次いで、測定が完了したか否かを判断する(ステップS227)。ここで、測定が未完了であると判断された場合(Noの場合)は、ステップS223に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、測定が完了したと判断された場合(Yesの場合)は、加圧を終了する。次いで、記憶された荷重Fbjデータと、対応する疲労スコアSfbjデータで疲労スコア曲線(B)を作成する(ステップS228)。ここで、関数Sfb=f(Fb)を導出し、関数Sfb=f(Fb)の近似式を計算する。次いで、疲労スコア曲線(B)をデータ記憶手段50に記憶する(ステップS229)。近似式の計算は、線型近似、指数近似、対数近似、多項式近似、累乗近似などの公知の方法が使用でき、疲労スコアの荷重系列データの分布パターンや疲労劣化評価の結果の精度等に応じて適宜選択できる。また、疲労スコア曲線(A)と疲労スコア曲線(B)を得るための荷重-疲労スコアの散布状態が異なる場合には、疲労スコア曲線(A)と疲労スコア曲線(B)の近似計算方法(フィッティング方法)を互いに異ならせてもよい。なお、本実施形態では、異常(危険)判定相当の第1の基準マットレス及び異常(注意)判定相当の第2の基準マットレス、はそれぞれ単枚で測定した例として説明したが、各マットレスのばらつきを考慮して、複数の第1の基準マットレスの測定から求められた疲労スコアを用いて疲労スコア曲線(A)を形成し、複数の第2の基準マットレスの測定から求められた疲労スコアを用いて疲労スコア曲線(B)を形成してもよい。
【0089】
ステップS230及びステップS230aにおいて、評価対象のマットレスの疲労スコアSfsを測定する手順は、上述した
図19に示す手順と同じである。ここで、詳細の説明を省略する。また、ステップS230aは、第3の実施形態と同様に、記憶された荷重Fskデータと、対応する疲労スコアSfskデータで疲労スコア曲線(S)を作成する(ステップS128)。ここで、関数Sfs=f(Fs)を導出し、関数Sfs=f(Fs)の近似式を計算する。次いで、疲労スコア曲線(S)をデータ記憶手段50に記憶する(ステップS129)ステップを実行する。
【0090】
ステップS240及びS250において、最初にステップS230において、
図19のステップS128及びS129を実行しなかった場合(疲労スコア曲線(S)を作成しない場合)について説明する。
図25に示すように、まず、データ記憶手段50から第1の基準疲労スコア曲線(A)のデータを読み込む(ステップS241)。次いで、第2の基準疲労スコア曲線(B)のデータを読み込む(ステップS242)。次いで、記憶手段50から荷重Fskにおける評価対象の疲労スコアSfsのデータを読み込む(ステップS243)。荷重Fskと同一の荷重Fa及びFbを抽出する(ステップS244)。即ち、荷重Fa=Fb=Fskに設定する。次いで、第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアSfakを取得する(ステップS245)。次いで、Sfak≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS246)。ここで、Sfak≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常」と判断する(ステップS261)。一方、Sfak≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアSfbkを取得する(ステップS251)。次いで、Sfbk≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS252)。ここで、Sfbk≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「注意」と判断する(ステップS262)。一方、Sfbk≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、荷重Fskよりも低い荷重Fでの判定結果に異常(注意)と判定された履歴がある否かを判断する(ステップS271)。ここで、荷重Fskよりも低い荷重Fで「注意」と判定された場合があると判断された場合(Yesの場合)は、「注意」判定とする(ステップS262)。一方、ステップS271で、荷重Fskよりも低い荷重Fで「注意」と判定された履歴がないと判断された場合(Noの場合)は、「正常」と判断する(ステップS264)。次いで、ステップS261、ステップS262及びステップS264での判断結果を記憶する(ステップS265)。次いで、データ数k=Nであるか否かを判断する(ステップS266)。ここで、k=Nではないと判断された場合(Noの場合)は、k+1にして、ステップS244に戻り、k+1番目のデータを読み込み、上述した処理を繰り返す。一方、k=Nであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS280へ進み、判定結果を出力する。なお、仮判定で「正常」と判定するステップS263を省略して、ステップ272で直接「注意」判定としてもよい。
【0091】
次に、ステップS240及びS250において、最初にステップS230において、
図19のステップS128及びS129を実行して、疲労スコア曲線(S)を作成した場合について説明する。
図26に示すように、まず、データ記憶手段50から第1の基準疲労スコア曲線(A)のデータを読み込む(ステップS241)。次いで、第2の基準疲労スコア曲線(B)のデータを読み込む(ステップS242)。次いで、評価対象の疲労スコア曲線(S)のデータを読み込む(ステップS243a)。荷重Fskと同一の荷重Fa及びFbを抽出する(ステップ244)。即ち、荷重Fa=Fb=Fskに設定する。次いで、第1の基準疲労スコア曲線(A)の疲労スコアSfakと、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfskとを取得する(ステップS245a)。次いで、Sfak≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS246)。ここで、Sfak≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「異常」と判断する(ステップS261)。一方、Sfak≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、第2の基準疲労スコア曲線(B)の疲労スコアSfbkと、評価対象の疲労スコア曲線(S)の疲労スコアSfskとを取得する(ステップS251a)。次いで、Sfbk≦Sfskであるか否かを判断する(ステップS252)。ここで、Sfbk≦Sfskであると判断された場合(Yesの場合)は、「注意」と判断する(ステップS262)。一方、Sfbk≦Sfskではないと判断された場合(Noの場合)は、仮判定で「正常」と判定する(ステップS263)。次いで、荷重Fskよりも低い荷重Fでの判定結果に「注意」と判定された履歴がある否かを判断する(ステップS271)。ここで、荷重Fskよりも低い荷重Fで「注意」と判定された履歴があると判断された場合(Yesの場合)は、仮の「正常」判定を「注意」判定に補正する(ステップS272)。一方、ステップ271で、荷重Fskよりも低い荷重Fで「注意」と判定された場合がないと判断された場合(Noの場合)は、「正常」と判断する(ステップS264)。次いで、ステップS261、ステップS262及びステップS264での判断結果を記憶する(ステップS265)。次いで、データ数k=Nであるか否かを判断する(ステップS266)。ここで、k=Nではないと判断された場合(Noの場合)は、k+1にして、ステップS244に戻り、k+1番目のデータを読み込み、上述した処理を繰り返す。一方、k=Nであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS280へ進み、判定結果を出力する。また、ステップS263とステップS272を実行せずにステップS271でYes判断の場合にステップS262の「注意」判定とするフローとしてもよい。
【0092】
なお、
図24~
図26の処理フローは一例であり、判定結果に影響しないステップの順番を入れ替えるなど、同じ判定結果に到達し得る他の処理フローを適用してもよい。
【0093】
さらに、第1実施形態~第4の実施形態では、荷重Fを変化させて計測した圧力Pデータから計算して得られる疲労スコアの荷重系列データのばらつきを考慮して、荷重系列における疲労スコアの移動平均値に基づいて、本願の疲労劣化評価を実行してもよい。移動平均の方式は、系列データの散布状況などに応じて、単純移動平均、加重移動平均、指数移動平均のいずれかを選択できるが、単純移動平均が好ましい。単純移動平均を計算するデータ数は、本願発明の評価精度の観点から5以下とすることが好ましい。なお、圧力Pの荷重系列データに移動平均を導入して得られた圧力PMAを用いて算出した疲労スコアを用いて本願の疲労劣化評価を実行してもよい。
【0094】
図27は、
図9に示すマットレスMを用いて、本発明のマットレスの疲労劣化評価方法で得られた第1の基準疲労スコア曲線(A)、第2の基準疲労スコア曲線(B)、評価対象のマットレスの疲労スコア曲線(S)の実測例を示している。各疲労スコア曲線は、各荷重と疲労スコアのデータ群を、関数Sf=f(F)による近似式として対数近似計算した結果である。マットレスMは、
図9に示すように、床ずれ防止用の体圧分散式マットレス(株式会社タイカ製、アルファプラF)であり、主に三層のウレタンフォームから構成されている。このマットレスMにおいて、上層M1は柔らかめの高弾性無膜ウレタンフォームであり、中層M2は硬めの高弾性無膜ウレタンフォームであり、下層M3は高弾性無膜ウレタンフォームであり、さらに上層と中層との間にアルファゲル(αGEL、登録商標)層Gが設けられている。
【0095】
以下、本発明のマットレスの疲労劣化評価装置100を用いて、
図9に示すマットレスMの疲労劣化状態を荷重領域と関連付けて評価する測定例を、
図28~
図30を参照して説明する。なお、荷重領域は
図5に示した使用者の体重と背上げ角度に応じて設定している。また、
図28~
図30において、評価対象の疲労スコアSfsを疲労スコアSF、第1の基準疲労スコアSfaを危険境界値SA、第2の基準疲労スコアSfbを危険境界値SBに、それぞれ言い換えている。
【0096】
マットレスMの疲労劣化状態を測定する際に、
図28に示すように、まず、ステップS301で、加圧手段20によりマットレスMに対して加圧した荷重値(F)を読み込む。次いで、ステップS302で、圧力計測手段10による計測された荷重Fに応じた圧力値Pを読み込む。次いで、ステップS303で、疲労スコア(評価対象の疲労スコア)SFを算出する。次いで、ステップS304で、予め測定された荷重Fに対応する注意境界値(第2の基準疲労スコア)SBを読み出す。次いで、ステップS305で、予め測定された荷重Fに対応する危険境界値(第1の基準疲労スコア)SAを読み出す。この例において、荷重領域ごとに判定するモードと全荷重領域での総合判定モードとがある。
【0097】
荷重領域ごとに判定するモードにおいて、これらのデータに基づいて、まず、低荷重のL領域における判断を行う。
【0098】
ここで、まず、荷重F<L領域下限であるか否かを判断する(ステップS306)。ここで、荷重F<L領域下限であると判断された場合(Yesの場合)は、処理せず、ステップS301に戻り、次にデータを読み込む。一方、荷重F<L領域下限ではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS307で、荷重F≧L領域下限であり、かつ荷重F<M領域下限であるか否かを判断する。ここで、荷重F<M領域下限ではないと判断された場合(Noの場合)は、後述する中荷重のM領域判断(ステップS321)へ進む。一方、荷重F<M領域下限であると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS308で、SB<SF<SAであるか否かを判断する。ここで、注意境界値SB<疲労スコアSF、かつ疲労スコアSF<危険境界値SAであると判断された場合(Yesの場合)は、L領域の青色LEDが点灯する(ステップS309)。一方、SB<SF<SAではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS310で、SF≦SBであるか否かを判断する。ここで、疲労スコアSF≦注意境界値SBであると判断された場合(Yesの場合)は、L域の黄色LEDが点灯する(ステップS311)。一方、疲労スコアSF≦注意境界値SBではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS312で、SF≧SAであるか否かを判断する。ここで、疲労スコアSF≧危険境界値SAであると判断された場合(Yesの場合)は、L域の赤色LEDが点灯する(ステップS313)。
【0099】
次いで、中荷重のM領域における判断を行う。ここで、
図29に示すように、まず、ステップS321で、荷重F≧M領域下限であり、かつ荷重F<M領域上限であるか否かを判断する。ここで、荷重F≧M領域下限、かつ荷重F<M領域上限ではないと判断された場合(Noの場合)は、後述する高荷重のH領域判断(ステップS331)へ進む。一方、荷重F≧M領域下限、かつ荷重F<M領域上限でと判断された場合(Yesの場合)は、ステップS322で、SB<SF<SAであるか否かを判断する。ここで、注意境界値SB<疲労スコアSF、かつ疲労スコアSF<危険境界値SAであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS323で、補正があったか否かを判断する。ここで、補正があったと判断された場合(Yesの場合)は、M領域の黄色LEDが点灯する(ステップS324)。一方、補正がないと判断された場合(Noの場合)は、M領域の青色LEDが点灯する(ステップS325)。一方、SB<SF<SAではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS326で、SF≦SBであるか否かを判断する。ここで、疲労スコアSF≦注意境界値SBであると判断された場合(Yesの場合)は、M域の黄色LEDが点灯する(ステップS327)。一方、疲労スコアSF≦注意境界値SBではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS328で、SF≧SAであるか否かを判断する。ここで、疲労スコアSF≧危険境界値SAであると判断された場合(Yesの場合)は、M域の赤色LEDが点灯する(ステップS329)。
【0100】
次いで、高荷重のH領域における判断を行う。ここで、
図30に示すように、まず、ステップS331で、荷重F≧H領域下限であり、かつ荷重F<H領域上限であるか否かを判断する。ここで、荷重F≧H領域下限、かつ荷重F<H領域上限ではないと判断された場合(Noの場合)は、動作を終了する。一方、荷重F≧H領域下限、かつ荷重F<H領域上限でと判断された場合(Yesの場合)は、ステップS332で、SB<SF<SAであるか否かを判断する。ここで、注意境界値SB<疲労スコアSF、かつ疲労スコアSF<危険境界値SAであると判断された場合(Yesの場合)は、ステップS333で、補正があったか否かを判断する。ここで、補正があったと判断された場合(Yesの場合)は、M領域の黄色LEDが点灯する(ステップS334)。一方、補正がないと判断された場合(Noの場合)は、H領域の青色LEDが点灯する(ステップS335)。一方、SB<SF<SAではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS336で、SF≦SBであるか否かを判断する。ここで、疲労スコアSF≦注意境界値SBであると判断された場合(Yesの場合)は、H域の黄色LEDが点灯する(ステップS337)。一方、疲労スコアSF≦注意境界値SBではないと判断された場合(Noの場合)は、ステップS338で、SF≧SAであるか否かを判断する。ここで、疲労スコアSF≧危険境界値SAであると判断された場合(Yesの場合)は、H域の赤色LEDが点灯する(ステップS339)。
【0101】
このように、本発明のマットレスの疲労劣化評価装置100を用いて、低荷重のL領域、中荷重のM領域及び高荷重のH領域のそれぞれにおいて、マットレスMの疲労状態を測定し評価することができる。そのため、使用者の体重と背上げ角度で設定された荷重領域と関連付けて、マットレスMの疲労劣化状態を評価し、その評価結果からマットレスMの使用リスクを判定することができる。
【0102】
また、全荷重領域での総合判定モードは、荷重領域ごとに判定するモードの判定結果に基づいて、以下の例の通り総合判断する。低荷重のL領域、中荷重のM領域、高荷重のH領域の3つの荷重領域の判定結果が全て「安全」判断の場合は、総合判定が「安全」として、青色LEDが点灯する。次に、上記の3つの荷重領域の判定結果のうち、「危険」判定が無く、かつ少なくとも一つの「注意」判定がある場合は、総合判定が「注意」として、黄色LEDが点灯する。次に、上記の3つの荷重領域の判定結果のうち、少なくとも一つの「危険」判定がある場合は、総合判定が「危険」として、赤色LEDが点灯する。
【0103】
このように、本発明のマットレスの疲労劣化評価装置100を用いて、全荷重領域において、マットレスMの疲労劣化状態を使用時の荷重領域と関連付けて、総合的に判定することができる。
【0104】
また、荷重をマットレスの使用者の体重に換算し、体重に対応する疲労スコアでマットレスの疲労劣化状態を判定することで、マットレスの使用者の体重を考量し、マットレスの使用条件と関連付けて疲労劣化状態を評価し、使用リスクを判定することができる。
【0105】
さらに、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度に基づいて、複数の荷重領域を設定し、使用者の体重に対応する疲労スコアがどの荷重領域にあるかを判定することで、マットレスの使用者の体重及び使用時のベッド背上げ角度の使用条件を考量し、マットレスの使用条件とより詳細に関連付けて疲労劣化状態を評価し、使用リスクを判定することができる。
【0106】
また、上述した実施形態のマットレスの疲労劣化評価方法において、評価対象のマットレスMは、三層のウレタンフォームから構成された床ずれ防止用の体圧分散式マットレス(株式会社タイカ製、アルファプラF)を用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。他種の樹脂フォームからなるフォームマットレスに対しても、本発明を適用することができる。
【0107】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、医療、介護現場において、介護用マットレスの疲労状態(劣化の度合い)を簡単に測定し評価する目的に利用できる。
【符号の説明】
【0109】
10 加圧子
20 加圧手段
30 荷重計測手段
40 圧力計測手段
50 記憶手段
60 演算手段
70 判定手段
80 出力手段
100 マットレスの疲労劣化評価装置
G アルファゲル層
M マットレス
M1 上層
M2 中層
M3 下層
Sf 疲労スコア
Sfa、(a) 第1の基準マットレスの疲労スコア
Sfb、(b) 第2の基準マットレスの疲労スコア
Sfs、(s) 評価対象の疲労スコア
(A) 第1の基準疲労スコア曲線
(B) 第2の基準疲労スコア曲線
(S) 評価対象の疲労スコア曲線