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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010593
(43)【公開日】2025-01-22
(54)【発明の名称】処理設備の監視システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20250115BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20250115BHJP
   G05D 1/229 20240101ALI20250115BHJP
   G05D 1/225 20240101ALN20250115BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G05D1/46
G05D1/229
G05D1/225
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024184959
(22)【出願日】2024-10-21
(62)【分割の表示】P 2020215724の分割
【原出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】山森 直毅
(72)【発明者】
【氏名】藤本 好宏
(72)【発明者】
【氏名】武内 利樹
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁
(72)【発明者】
【氏名】三木 一浩
(72)【発明者】
【氏名】陳 巨壹
(57)【要約】
【課題】簡単に処理場を監視することができる処理設備の監視システムを提供する。
【解決手段】無人飛行体と、飛行ルート上で無人飛行体を飛行させ、飛行ルート上にある監視ポイントを無人飛行体に巡回させる飛行制御部と、監視ポイントの稼働の状態を検出する検出装置と、監視ポイントの異常の有無を診断する異常診断装置と、を備え、飛行制御部は、無人飛行体の2回目以降の巡回において、少なくとも先の巡回時に得られた監視ポイントにおける異常診断装置の診断結果が異常の可能性あり又は異常ありであった場合、異常の可能性あり又は異常ありとされた監視ポイントには無人飛行体を飛行させずに、該監視ポイントとは異なる監視ポイントを次の飛行先として決定し、無人飛行体を決定した次の飛行先に飛行させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体と
複数の処理場のそれぞれに設定された監視ポイントを結ぶ飛行ルート上で前記無人飛行体を飛行させる飛行制御部であって、前記飛行ルート上にある前記監視ポイントを前記無人飛行体に巡回させる飛行制御部と、
前記飛行ルート上にある前記監視ポイントの稼働の状態を検出する検出装置と、
前記監視ポイントの異常の有無を診断する異常診断装置と、を備え、
前記異常診断装置は、前記検出装置の検出結果に基づき、前記監視ポイントの異常の可能性又は異常の有無を診断し
前記飛行制御部は、
前記無人飛行体を前記飛行ルート上で少なくとも2回巡回させ、
2回目以降の巡回において、少なくとも先の巡回時に得られた前記監視ポイントにおける前記異常診断装置の診断結果が異常の可能性あり又は異常ありであった場合、前記異常の可能性あり又は前記異常ありとされた前記監視ポイントには前記無人飛行体を飛行させずに、該監視ポイントとは異なる監視ポイントを次の飛行先として決定し、前記無人飛行体を決定した前記次の飛行先に飛行させる処理設備の監視システム。
【請求項2】
前記飛行制御部は、
2回目以降の巡回において、前記無人飛行体を前記飛行ルート上の前記次の飛行先に飛行させないと判断した場合、先の巡回時に得られた前記監視ポイントにおける前記検出装置の検出結果に基づき、前記飛行ルート上にある前記次の飛行先である前記監視ポイントとは異なる監視ポイントを前記無人飛行体の飛行先として決定し、前記無人飛行体を決定した飛行先に飛行させる請求項1に記載の処理設備の監視システム。
【請求項3】
前記飛行制御部は、
2回目以降の巡回において、先の巡回時に得られた前記監視ポイントにおける前記異常診断装置の診断結果が予め設定された条件を満たした場合に、前記飛行ルート上にある前記次の飛行先である前記監視ポイントに前記無人飛行体を飛行させると判断する請求項1又は請求項2に記載の処理設備の監視システム。
【請求項4】
前記無人飛行体には、巡回時に取得した前記複数の処理場に設定された前記監視ポイントに対する前記検出装置の検出時刻とともに検出結果を監視情報として記憶する記憶装置が設けられ、
前記飛行制御部は、前記記憶装置に記憶された監視情報に基づき、前記次の飛行先である前記監視ポイントに前記無人飛行体を飛行させるか否かを判断する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の処理設備の監視システム。
【請求項5】
前記飛行制御部は、
2回目以降の巡回において、先の巡回時に前記異常診断装置の診断結果として異常の可能性あり又は異常ありとされた前記監視ポイントが前記次の飛行先である場合、先の巡回時における前記検出装置の検出時刻が、現時点から遡って所定の時間内にある場合には、前記異常の可能性あり又は前記異常ありとされた前記監視ポイントには前記無人飛行体を飛行させずに、該監視ポイントとは異なる監視ポイントを次の飛行先として決定し、前記無人飛行体を決定した前記次の飛行先に飛行させる請求項~請求項4のいずれか1項に記載の処理設備の監視システム。
【請求項6】
前記飛行制御部は、
2回目以降の巡回において、先の巡回時に前記異常診断装置の診断結果として異常の可能性あり、又は異常ありとされた前記監視ポイントが前記次の飛行先である場合、異常の
可能性あり、又は異常ありとされた先の巡回時における前記検出装置の検出時刻が、現時点から遡って所定の時間を超える場合には、前記無人飛行体を前記異常の可能性あり又は異常ありとされた前記次の飛行先である前記監視ポイントに飛行させる請求項5に記載の処理設備の監視システム。
【請求項7】
前記監視ポイントは、前記処理場に設置された回転駆動する機器である請求項1~6のいずれか1項に記載の処理設備の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理設備の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水処理設備には攪拌機、ポンプおよび脱水機等の多くの回転機器が使用されている。上水設備、下水処理設備および工場等における排水処理設備において、回転機器の状態を正確に把握することは重要である。
特許文献1は、被試験装置に設置されたセンサで測定した物理量によって転がり軸受の状態監視を行なう状態監視方法であって、センサによって測定した測定波形のデータに対して高速フーリエ変換を少なくとも1回実行して、変換後波形を生成するステップと、 変換後波形の少なくとも3か所のピークを中心とした、少なくとも3つの特徴量算出範囲における変換後波形の部分波形から第1特徴量を算出するステップと、第1特徴量を用いて、転がり軸受の異常を検出するステップとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-45472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、被試験装置に設置されたセンサによって回転機器の状態を把握しているが、全ての回転機器にセンサを設けなければならないし、異常の回転機器を探さなければならず、監視が非常に大変であった。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、簡単に処理場を監視することができる処理設備の監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
処理設備の監視システムは、無人飛行体と、複数の処理場のそれぞれに設定された監視ポイントを結ぶ飛行ルート上で前記無人飛行体を飛行させる飛行制御部であって、前記飛行ルート上にある前記監視ポイントを前記無人飛行体に巡回させる飛行制御部と、前記飛行ルート上にある前記監視ポイントの稼働の状態を検出する検出装置と、前記監視ポイントの異常の有無を診断する異常診断装置と、を備え、前記異常診断装置は、前記検出装置の検出結果に基づき、前記監視ポイントの異常の可能性又は異常の有無を診断し前記飛行制御部は、前記無人飛行体を前記飛行ルート上で少なくとも2回巡回させ、2回目以降の巡回において、少なくとも先の巡回時に得られた前記監視ポイントにおける前記異常診断装置の診断結果が異常の可能性あり又は異常ありであった場合、前記異常の可能性あり又は前記異常ありとされた前記監視ポイントには前記無人飛行体を飛行させずに、該監視ポイントとは異なる監視ポイントを次の飛行先として決定し、前記無人飛行体を決定した前記次の飛行先に飛行させる。
【0006】
前記飛行制御部は、2回目以降の巡回において、前記無人飛行体を前記飛行ルート上の前記次の飛行先に飛行させないと判断した場合、先の巡回時に得られた前記監視ポイントにおける前記検出装置の検出結果に基づき、前記飛行ルート上にある前記次の飛行先である前記監視ポイントとは異なる監視ポイントを前記無人飛行体の飛行先として決定し、前記無人飛行体を決定した飛行先に飛行させる
前記飛行制御部は、2回目以降の巡回において、先の巡回時に得られた前記監視ポイントにおける前記異常診断装置の診断結果が予め設定された条件を満たした場合に、前記飛
行ルート上にある前記次の飛行先である前記監視ポイントに前記無人飛行体を飛行させると判断する
前記無人飛行体には、巡回時に取得した前記複数の処理場に設定された前記監視ポイントに対する前記検出装置の検出時刻とともに検出結果を監視情報として記憶する記憶装置が設けられ、前記飛行制御部は、前記記憶装置に記憶された監視情報に基づき、前記次の飛行先である前記監視ポイントに前記無人飛行体を飛行させるか否かを判断する
【0007】
前記飛行制御部は、2回目以降の巡回において、先の巡回時に前記異常診断装置の診断結果として異常の可能性あり又は異常ありとされた前記監視ポイントが前記次の飛行先である場合、先の巡回時における前記検出装置の検出時刻が、現時点から遡って所定の時間内にある場合には、前記異常の可能性あり又は前記異常ありとされた前記監視ポイントには前記無人飛行体を飛行させずに、該監視ポイントとは異なる監視ポイントを次の飛行先として決定し、前記無人飛行体を決定した前記次の飛行先に前記無人飛行体を飛行させる
【0008】
前記飛行制御部は、2回目以降の巡回において、先の巡回時に前記異常診断装置の診断結果として異常の可能性あり、又は異常ありとされた前記監視ポイントが前記次の飛行先である場合、異常の可能性あり、又は異常ありとされた先の巡回時における前記検出装置の検出時刻が、現時点から遡って所定の時間を超える場合には、前記無人飛行体を前記異常の可能性あり又は異常ありとされた前記次の飛行先である前記監視ポイントに前記無人飛行体を飛行させ
前記監視ポイントは、前記処理場に設置された回転駆動する機器である
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単に処理場を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】処理設備の監視システムを示す図である。
図2】水処理設備の一例を示す図である。
図3】水処理設備及び水処理設備の設備図を上面から見たレイアウトの一例を示す図である。
図4】無人飛行体の拡大図である。
図5A】監視ポイントPnにて回転機器に第1検出装置を向けた図である。
図5B】異常候補機器に第2検出装置を近づけた状態を示す図である。
図6】異常候補機器の振動のスペクトルの一例を示す図である。
図7A】吸着部(電磁石)の吸着面を外側(側方)に向くように取り付けた図である。
図7B】吸着部(電磁石)の吸着面を外側(上側)に向くように取り付けた図である。
図7C】吸着部(電磁石)を下方に突出するステーに取り付けた図である。
図8】無人飛行体の動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、処理設備の監視システム1を示す図である。
図1に示す処理設備の監視システム1は、水処理設備2等の処理設備を監視するシステムである。
まず、水処理設備2を例にとり処理設備について説明する。
図2図3に示すように、水処理設備2は、水に関する処理をする設備であって、上水処理設備、下水処理設備などである。例えば、水処理設備2が下水処理設備である場合、図2に示すように、水処理設備2は、複数の処理場、例えば、取水処理場11、第1沈殿処理場12、反応処理場13、第2沈殿処理場14、放流処理場15を備えている。
【0012】
取水処理場11は、下水を取り込んで処理を行う処理場であって、例えば、第1取水槽11a、第2取水槽11bを含んでいる。第1取水槽11a及び第2取水槽11bには、取水処理場11の下水(処理水)を、第1沈殿処理場12に流すポンプ等の複数の回転機器21が設けられている。なお、第1取水槽11a及び第2取水槽11bは、一例であり、取水槽の数、位置、大きさなどは限定されない。
【0013】
第1沈殿処理場12は、下水(処理水)に含まれる汚泥等を沈殿させる処理場であって、第1沈殿槽12a、第2沈殿槽12b、第3沈殿槽12cを含んでいる。第1沈殿槽12a、第2沈殿槽12b及び第3沈殿槽12cには、掻き寄せ機を駆動させるモータ等の複数の回転機器22が設けられている。なお、第1沈殿槽12a、第2沈殿槽12b及び第3沈殿槽12cは、一例であり、沈殿槽の数、位置、大きさなどは限定されない。
【0014】
反応処理場13は、微生物等によって下水(処理水)を分解する処理場であって、第1反応槽13a、第2反応槽13b、第3反応槽13cを含んでいる。第1反応槽13a、第2反応槽13b及び第3反応槽13cには、下水(処理水)を攪拌させる撹拌機を駆動させるモータ等の複数の回転機器23が設けられている。また、第1反応槽13a、第2反応槽13b及び第3反応槽13cには、ブロア用のモータ等の複数の回転機器24が設けられている。第1反応槽13a、第2反応槽13b及び第3反応槽13cは、一例であり、反応槽の数などは限定されない。
【0015】
第2沈殿処理場14は、反応処理場13によって形成された泥(活性汚泥)を沈殿させる処理場であって、第1沈殿槽14a、第2沈殿槽14bを含んでいる。第1沈殿槽14a、第2沈殿槽14bには、掻き寄せ機を駆動させるモータ等の複数の回転機器25が設けられている。なお、第1沈殿槽14a及び第2沈殿槽14bは、一例であり、反応槽の数、位置、大きさなどは限定されない。
【0016】
放流処理場15は、下水(処理水)に対して最終の処理を行う処理場であって、第1放流槽15a、第2放流槽15bを含んでいる。第1放流槽15a及び第2放流槽15bには、放流処理場15の下水(処理水)を、河川に放流するポンプ等の複数の回転機器26が設けられている。なお、第1放流槽15a及び第2放流槽15bは、一例であり、放流槽の数、位置、大きさなどは限定されない。
【0017】
処理設備の監視システム1は、水処理設備2等の設備の監視を行うシステムである。処理設備の監視システム1は、例えば、水処理設備2に設置された回転機器21~26等の機器の監視を行うシステムである。なお、説明の便宜上、回転機器21~26の監視について説明をするが、機器は、回転機器21~26に限定されず、設備に設置された機器であれば何でもよい。
【0018】
図4に示すように、処理設備の監視システム1は、第1検出装置31と、第2検出装置32とを備えている。
第1検出装置31は、回転機器21~26から離れた位置において、当該回転機器21~26の第1稼働状態を検出する装置である。第1検出装置31は、例えば、CCDカメラ、赤外線カメラ等の撮像装置、音検出センサなどであり、回転機器21~26の撮像画像(機器撮像画像)、処理場を含む回転機器21~26の周囲の撮像画像(周囲撮像画像)、回転機器21~26の音(駆動音)などを、第1稼働状態として検出する。
【0019】
第2検出装置32は、第1稼働状態によって回転機器21~26の異常の可能性があると判断された場合に、回転機器21~26から離れた位置から近づいて回転機器21~26の第2稼働状態を検出する装置である。第2検出装置32は、回転機器21~26が回転しているときの振動を検出する装置である。第2検出装置32は、例えば、測定部分の加速度を検出する加速度検出センサ、測定部分の速度を検出する速度検出センサ、測定部分の変位量を検出する変位検出センサなどである。即ち、第2検出装置32は、測定部分の加速度、測定部分の速度、測定部分の変位量等によって、測定部分の振動を検出する装置である。
【0020】
図1、4に示すように、第1検出装置31及び第2検出装置32は、飛行体(無人飛行体)70に設けられている。次に、飛行体(無人飛行体)70について説明する。
無人飛行体70は、例えば、マルチコプターなどである。無人飛行体(マルチコプター)70は、本体70aと、本体70aに設けられたアーム70bと、アーム70bに設けられた複数の回転翼70cと、本体70aに設けられたスキッド70dとを有している。複数の回転翼70cは、飛行するための揚力を発生させる装置である。無人飛行体70には、少なくとも2以上、好ましくは、4以上の回転翼70cが設けられている。複数の回転翼70cのそれぞれは、回転力を付与するロータとローラの駆動によって回転するブレード(プロペラ)とを含んでいる。
【0021】
図1に示すように、無人飛行体70は、蓄電装置71と、位置検出装置73と、記憶装置74と、通信装置75と、制御装置(飛行制御部)76とを有している。蓄電装置71は、バッテリ、コンデンサ等であって電力を蓄電する装置である。蓄電装置71は、例えば、本体70aの内部、又は、本体70aに取り付けられている。
また、位置検出装置73は、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出する装置であり位置検出装置73と同様の構成である。位置検出装置73で検出した自己の位置のことを「飛行位置」ということがある。また、位置検出装置73によって、高さ情報(高度)を検出することができる。位置検出装置75は、ライントレーサ、距離を検出する装置であってもよい。
【0022】
通信装置75は、外部機器に対して直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置75は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0023】
制御装置(飛行制御部)76は、複数の回転翼70cを制御する装置であり、CPU等から構成されている。制御装置(飛行制御部)76は、無人飛行体70が、少なくとも2つの回転翼70cを有している場合、ロータに制御信号を出力することにより、一方側のブレードの回転数を、他方のブレードの回転数よりも小さくすることによって、一方側のブレード側に無人飛行体を進行させたり、他方側のブレードの回転数を、一方のブレードの回転数よりも小さくすることによって、他方側のブレード側に無人飛行体を進行させる。即ち、制御装置(飛行制御部)76は、複数のブレードのうち、進行方向側のブレードの回転数を、進行方向とは反対側のブレードの回転数よりも小さくすることによって、無人飛行体70の進行方向を制御する。また、制御装置(飛行制御部)76は、複数のブレードの回転数を一定にすることによって、無人飛行体70をホバリングさせる。
【0024】
なお、無人飛行体70は、遠隔操縦装置によって操縦される飛行体であっても、自立して飛行する飛行体であってもよく、限定されない。
図4に示すように、第1検出装置31は、無人飛行体70の本体70aの下部に着脱自在、或いは、本体70aにブラケット78を介して設けられている。第1検出装置31は、本体70aに内蔵されていてもよい。第1検出装置31は、ブラケット78によって垂直方向Y1又は水平方向X1に揺動自在であって、撮像する方向、集音する方向、即ち、監視する方向を変更することができる。なお、第1検出装置31の水平方向、垂直方向の揺動の制御は、制御装置(飛行制御部)76によって行うことができる。例えば、遠隔操縦装置によって無人飛行体70を操縦する場合、制御装置(飛行制御部)76は、遠隔操縦装置から送信された制御信号を、通信装置75を介して取得すると、取得した制御信号に応じて第1検出装置31を水平方向又は垂直方向に揺動させる。
【0025】
無人飛行体70のアーム70bの先端部には、回転機器21~26に吸着可能な吸着部が設けられている。吸着部は電磁石81であって、アーム70bの先端部であって、電磁石81の近傍には、第2検出装置32が設けられている。電磁石81は、図示省略のコイルに電流を流すと、磁力が発生して少なくとも吸着面81aが磁石になり、コイルへの電流の付与を停止すると、磁力が消失して吸着面81aは磁石として働かない。電磁石81のコイルへの電流の付与は、制御装置(飛行制御部)76によって行う。
【0026】
処理設備の監視システム1では、第1検出装置31及び第2検出装置32によって、水処理設備2等の監視を行う。第1検出装置31及び第2検出装置32を有する無人飛行体70を、例えば、図3に示す飛行ルートFR1に応じて、水処理設備2の上空を飛行させることによって監視を行うことができる。
以下、飛行ルートFR1の設定について説明する。
【0027】
処理設備の監視システム1は、表示装置41を有するコンピュータ40を備えている。コンピュータ40は、クラウドサーバ、オンプレミスサーバ等の固定型コンピュータ、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の携帯型コンピュータ等である。コンピュータ40は、飛行ルートFR1を作成する飛行作成部40Aを有している。飛行作成部40Aは、コンピュータ40に設けられた電気電子回路、コンピュータ40に格納されたプログラム等から構成されている。表示装置41は、液晶パネル、有機ELパネル等で構成されている。コンピュータ40は、飛行ルートFR1を作成する飛行作成部40Aを有している。
【0028】
飛行作成部40Aは、所定の操作が行われると、表示装置41に図3に示す設定画面M1を表示させる。設定画面M1には、水処理設備2を模した設備図D1(処理場(取水処理場11、第1沈殿処理場12、反応処理場13、第2沈殿処理場14、放流処理場15を模した図)が表示される。また、設定画面M1のフィールドには、位置情報(緯度、経度、高度、X,Y,Zの座標系等)が対応付けられていて、例えば、飛行作成部40Aは、ポインタ42によって画面上に位置が選択されると、選択された位置を飛行位置として設定する。飛行作成部40Aは、複数の飛行位置が設定されると、複数の飛行位置を結ぶ線を飛行ルートFR1として作成する。このように、飛行作成部40Aによって、水処理設備2(設備図D1)上に飛行ルートFR1を作成することができる。
【0029】
また、飛行作成部40Aは、複数の飛行位置のうち、任意の飛行位置を監視するポイント(監視ポイント)Pn(n=1,2,3・・・)として設定する。監視ポイントPnとは、第1検出装置31によって、回転機器21~26の第1稼働状態(回転機器21~26の機器撮像画像、周囲撮像画像、駆動音など)を検出する位置を示していて、監視ポイントPnにおいて、回転機器21~26の第1段階の監視を行う。
【0030】
飛行作成部40Aは、回転機器21~26が設置された複数の処理場、即ち、処理する槽(11a、11b、12a、12b、12c、13a、13b、13c、14a、14b、15a、15b)のそれぞれに対応して、監視ポイントPnを設定する。飛行作成部40Aは、例えば、図3の水処理設備2では、12個の監視ポイントPn(n=1~12)を設定する。このように、飛行作成部40Aが設定した監視ポイントPnを含む飛行ルートFR1は、無人飛行体70に送信される。
【0031】
無人飛行体70の制御装置(飛行制御部)76は、飛行ルートFR1を取得すると、無人飛行体70を離発着ステーション85から離陸させ、飛行ルートFR1に割り当てられた監視ポイントPnに向けて飛行させる。制御装置(飛行制御部)76は、監視ポイントPnに達すると、図5Aに示すように、制御装置(飛行制御部)76は、第1検出装置31を回転機器21~26が設置されている方向に向ける。第1検出装置31は、回転機器21~26の第1稼働状態(機器撮像画像、周囲撮像画像、駆動音など)を検出する。無人飛行体70は、第1稼働状態を取得すると、当該第1稼働状態から回転機器21~26の異常の可能性があるか否かを判断する。
【0032】
具体的には、無人飛行体70は、異常診断装置79を備えている。異常診断装置79は、電気電子回路、CPU等から構成されていて、回転機器21~26等の異常を判断することができる。異常診断装置79は、回転機器21~26の機器撮像画像、又は、周囲撮像画像を解析して、回転機器21~26の外観から異常の可能性があるかを判断する。異常診断装置79は、回転機器21~26の外観が予め設計時、メンテナンス時等の外観と大きくことなる場合、例えば、回転機器21~26の本体の変形、軸受け部の変形や油漏れ、制御盤の変形等が見受けられる場合、異常の可能性があると判断する。一方、異常診断装置79は、回転機器21~26の本体の変形、軸受け部の変形、制御盤の変形等が見受けられない場合、異常の可能性が無いと判断する。
【0033】
或いは、異常診断装置79は、回転機器21~26の音を解析して、回転機器21~26から発生する音(駆動音)から異常の可能性があるかを判断する。異常診断装置79は、回転機器21~26の駆動音が設計時、メンテナンス時と大きくことなる場合、例えば、回転機器21~26の駆動音が異音である場合、異常の可能性があると判断する。一方、異常診断装置79は、回転機器21~26の駆動音が異音でない場合、異常の可能性が無いと判断する。
【0034】
なお、上述した異常診断装置79において、異常の可能性の判断は一例であり限定されない。例えば、撮像画像(機器撮像画像、周囲撮像画像)、駆動音から異常を判断する学習済みモデルに適用して、学習済みモデルによって、故障の可能性があるか否かを判断する。学習済みモデルの構築は、回転機器21~26の故障時の撮像画像(機器撮像画像、周囲撮像画像)、駆動音をコンピュータ等に入力して、深層学習をさせることで構築することができる。
【0035】
無人飛行体70の制御装置(飛行制御部)76は、異常診断装置79が回転機器21~26の異常の可能性であると判断した場合、無人飛行体70を、異常の可能性があると判断した回転機器(異常候補機器)に向けて飛行させる。無人飛行体70が異常候補機器に吸着すると、第2検出装置32は、異常候補機器の第2稼働状態(振動)を検出する。
図3に示すように、例えば、異常候補機器が第2取水槽11bに設置された回転機器21aである場合、無人飛行体70は、予め定められた飛行ルートFR1から離脱して、飛行ルートFR2に示したように飛行し、回転機器21aに近づく。また、図5Bに示すように、無人飛行体70が異常候補機器(回転機器21a)の近くにくると、マーカの画像認識や詳細座標の情報によって吸着ポイントを特定する。制御装置(飛行制御部)76は、電磁石81にコイルに電流を流すことによって、吸着面81aを回転機器21aの本体に吸着させる。即ち、無人飛行体70は、電磁石81を異常候補機器(回転機器21a)に吸着させることで第2検出装置32を当該異常候補機器に近づける。
【0036】
無人飛行体70は、第2稼働状態を取得すると、当該第2稼働状態から異常候補機器(回転機器21a)の異常の可能性があるか否かを判断する。異常診断装置79は、第2稼働状態に基づいて、異常候補機器(回転機器21a)の異常を診断する。例えば、異常診断装置79は、第2稼働状態(検出対象)が振動である場合、振動を示す振動波形に対して高速フーリエ変換等を行うことにより、図6に示す異常候補機器(回転機器21a)の振動のスペクトル(振動強度を示すスペクトル)を求める。異常診断装置79は、所定の周波数における異常候補機器(回転機器21a)の振動のスペクトルが閾値以上である場合に、異常候補機器(回転機器21a)が異常であると判断し、異常候補機器(回転機器21a)の振動のスペクトルが閾値未満である場合、異常候補機器(回転機器21a)は異常でないと判断する。
【0037】
なお、上述した異常診断装置79において、異常の判断は一例であり限定されない。例えば、回転機器21~26の振動から異常を判断する学習済みモデルに適用して、学習済みモデルによって、故障があるか否かを判断する。学習済みモデルの構築は、回転機器21~26の故障時の振動波形等をコンピュータ等に入力して、深層学習をさせることで構築することができる。
【0038】
異常診断装置79は、異常候補機器(回転機器21a)が異常である場合、異常候補機器(回転機器21a)が異常であることを示す情報(異常情報)をコンピュータ40に送信する。コンピュータ40は、異常情報を取得すると、表示装置41が表示する画面等に、異常候補機器(回転機器21a)の場所と、異常である旨を表示する。
なお、第2稼働状態によって、異常候補機器(回転機器21a)が異常であると判断した場合において、無人飛行体70を異常候補機器(回転機器21a)に吸着した状態で、第1検出装置31を異常候補機器(回転機器21a)に向けて、異常候補機器(回転機器21a)の第1稼働状態を再度検出し、再検出した第1稼働状態をコンピュータ40に送信する。このようにすれば、第2稼働状態によって、異常候補機器(回転機器21a)が異常であると判断した場合に、第1稼働状態がどうなっていたかを再確認することができる。
【0039】
一方で、異常診断装置79が異常候補機器(回転機器21a)は異常でないと判断した場合、制御装置(飛行制御部)76は、電磁石81への電流の印加を停止した後、無人飛行体70を異常候補機器(回転機器21a)から遠ざかるように上昇させ、図3に示すように、飛行ルートFR3に示したように飛行し、飛行ルートFR1に戻る。
無人飛行体70が飛行ルートFR1に戻ると、制御装置(飛行制御部)76は、次の監視ポイントP3に向けて、無人飛行体70を飛行させる。なお、上述した実施形態では、回転機器21aを例に挙げて異常候補機器について説明をしたが、異常候補機器は限定されず、また、飛行ルートFR2、FR3は一例であり限定されない。
【0040】
図7A図7Cは、吸着部(電磁石)81及び第2検出装置32の変形例を示している。
図7Aに示すように、吸着部(電磁石)81の吸着面81aを側方に向くように、無人飛行体70のアーム70bに吸着部(電磁石)81を固定し、吸着部(電磁石)81に垂直方向に並ぶように、第2検出装置32を固定してもよい。
【0041】
図7Bに示すように、無人飛行体70の本体70aに上方に突出するステー86を設け、ステー86に、吸着部(電磁石)81及び第2検出装置32を固定してもよい。この場合、吸着面81aが上方に向くようにステー86に吸着部(電磁石)81を固定する。
図7Cに示すように、スキッド70dの代わりに無人飛行体70の本体70aに下方に突出するステー87を設け、ステー87に、吸着部(電磁石)81及び第2検出装置32を固定してもよい。この場合、吸着面81aが下方に向くようにステー87に吸着部(電磁石)81を固定する。
【0042】
なお、図7A図7Cに示すように、吸着部(電磁石)81の吸着面81aと、第2検出装置32の外面とが揃えても(吸着面81aと第2検出装置32の外面とが同一平面状
になるようにする)よいし、吸着面81aと第2検出装置32とが異なっていてもよい。
図8は、水処理設備2を監視する無人飛行体70の動作フローを示している。図8に示すように、飛行制御部76は、飛行ルートFR1を取得すると(S1)、無人飛行体70を離発着ステーション85から離陸させ、監視ポイントPnに向けて飛行させる(S2)。飛行ルートFR1は、無人飛行体70からコンピュータ40に問い合わせてもよいし、コンピュータ40から無人飛行体70に送信してもよい。
【0043】
無人飛行体70が監視ポイントPnに到達すると、第1検出装置31は、第1稼働状態(機器撮像画像、周囲撮像画像、駆動音など)を検出する(S3)。異常診断装置79は、第1稼働状態に基づいて、監視ポイントPnの処理場に対応する回転機器が異常の可能性があるか否かを判断する(S4)。回転機器が異常の可能性がある場合(S4、Yes)、異常診断装置79は、監視ポイントPnの処理場に対応する回転機器を異常候補機器に設定し(S5)、飛行制御部76は、異常候補機器に向けて無人飛行体70を飛行させ(S6)、第2検出装置32は、異常候補機器の第2稼働状態(振動)を検出する(S7)。異常診断装置79は、第2稼働状態に基づいて、異常候補機器が異常であるか否かを判断する(S8)。無人飛行体70は、通信装置75を介して異常候補機器が異常である場合(S8、Yes)、異常候補機器の位置及び異常を示す異常情報をコンピュータ40に送信する(S9)。また、飛行制御部76は、監視ポイントPnの処理場に対応する回転機器21が他にある場合(S10、Yes)、他の回転機器21に向けて無人飛行体70を飛行させ(S11)、処理をS5に戻す。
【0044】
一方、回転機器が異常の可能性がない場合(S4、No)、飛行制御部76は、全ての監視ポイントPnを監視したか否かを判断し(S12)、全ての監視ポイントPnを監視していない場合(S12、No)、飛行制御部76は、nをカウントアップし(S13)、処理をS2に戻すことで、次の監視ポイントPnに向けて飛行させる。全ての監視ポイントPnを監視した場合(S12、Yes)、離発着ステーション85に戻って着陸を行うか、又は、最初の監視ポイントP1に戻ってS2~S12を繰り返すことで巡回しながら監視を行ってもよいし、飛行ルートFR1を取得毎に1回巡回してもよい。また、正常結果をまとめてコンピュータ40に送信してもよい。
【0045】
以上のように、無人飛行体70は、飛行ルートFR1に設定された監視ポイントPnを移動しながら監視を行うことができる。
無人飛行体70の記憶装置74は、監視ポイントPnにおいて第1稼働状態を取得する毎、又は、異常候補機器の第2稼働状態を取得する毎に、第1稼働状態及び第2稼働状態を時刻とともに監視情報として記憶してもよい。この場合、監視ポイントPnにおいて、回転機器が異常の可能性があるとき(S4、Yes)、飛行制御部76は、監視ポイントPnに対応する監視情報を参照し、参照した監視情報に基づいて、異常候補機器に向かうか否かを判断する。例えば、飛行制御部76は、監視情報の時刻を参照し、現在から遡って異常の可能性があると判断した時間(経過時間)を計算し、経過時間が所定時間内、例えば、数十分前、数時間前、1日前などの場合、無人飛行体70を異常候補機器に向かわせず、次の監視ポイントPnに移動させる。即ち、例えば、1日以内の巡回の監視の中で同じような異常の可能性がある場合には、既に異常候補機器に近づいて監視を行っているため、無人飛行体70は、異常候補機器に近づかず、巡回の監視を続ける。一方、飛行制御部76は、経過時間が数日以上である場合は、無人飛行体70を異常候補機器に近づけて、異常候補機器の第2稼働状態を検出する。
【0046】
また、上述した実施形態では、第1検出装置31及び第2検出装置32を無人飛行体70に設けていたが、第2検出装置32を無人飛行体70に設けて、無人飛行体70に設けていない第1検出装置31を処理場に設けてもよい。言い換えれば、第1検出装置31又は第2検出装置32を無人飛行体70に設けてもよい。処理場に第1検出装置31を設けた場合、第1検出装置31の第1稼働状態は、無人飛行体70に送信され、無人飛行体70は、第1稼働状態を取得して、取得した第1稼働状態から異常の可能性があるか判断し、可能性がある場合に、異常候補機器に向けて飛行させる。
【0047】
異常診断装置79を無人飛行体70に設けていたが、コンピュータ40に設けてもよい。この場合、異常診断装置79と無人飛行体70とは通信を行うことで、第1稼働状態及び第2稼働状態から異常の可能性又は異常を判断する。異常診断装置79が判断した結果は、無人飛行体70に送信され、飛行制御部76は、異常診断装置79が判断した結果に基づいて、図8の動作と同様に、無人飛行体70の飛行を制御する。
【0048】
また、過去の巡回結果(異常の可能性、異常、正常)等について、コンピュータ40に入力することにより深層学習を行い、異常が多い機器については、第2検出装置32にて測定を行ったり、第1検出装置31において測定を行うようにしてもよい。
処理設備の監視システム1は、設備に設置された機器から離れた位置において、当該機器(回転機器21~26)の第1稼働状態を検出する第1検出装置31と、第1稼働状態によって機器(回転機器21~26)の異常の可能性があると判断された場合に、機器(回転機器21~26)から離れた位置から近づいて機器(回転機器21~26)の第2稼働状態を検出する第2検出装置32と、第2検出装置32で検出された第2稼働状態に基づいて、機器(回転機器21~26)の異常を診断する異常診断装置79と、を備えている。これによれば、第1段階として、機器(回転機器21~26)から離れた場所から取得した第1稼働状態によって機器(回転機器21~26)の異常の可能性があるかを判断したのち、第2段階として、機器(回転機器21~26)に近づいた場所から取得した第2稼働状態によって機器(回転機器21~26)の異常があるか否かを判断することができる。即ち、機器(回転機器21~26)の異常を監視するにあたって、第1段階と第2段階とに分けているため、効率よく機器(回転機器21~26)の異常を監視することができる。
【0049】
第1検出装置31及び/又は第2検出装置32は、機器(回転機器21~26)の周囲を飛行可能な飛行体(無人飛行体70)に設けられている。これによれば、無人飛行体70を飛行させることによって、簡単に機器(回転機器21~26)の異常を監視することができる。
処理設備の監視システム1は、飛行体(無人飛行体70)に設けられ且つ機器(回転機器21~26)に吸着可能な電磁石81を備え、電磁石81を機器(回転機器21~26)に吸着させることで第2検出装置32を当該機器(回転機器21~26)に近づける。これによれば、機器(回転機器21~26)の上空を飛行する無人飛行体70で監視する場合において、第2検出装置32を当該機器(回転機器21~26)に簡単に近づけることができる。
【0050】
処理設備の監視システム1は、飛行体(無人飛行体70)が機器(回転機器21~26)に近接した状態において、第1検出装置31において第1稼働状態を検出する。これによれば、第1稼働状態も機器(回転機器21~26)に近づけた状態で取得することができる。
飛行体(無人飛行体70)は、第1稼働状態に基づいて機器(回転機器21~26)の異常の可能性がある場合に飛行体(無人飛行体70)を機器(回転機器21~26)に近づける飛行を制御する飛行制御部76を有している。これによれば、機器(回転機器21~26)の上空を飛行する無人飛行体70で監視する場合において、第2検出装置32を当該機器(回転機器21~26)に簡単に近づけることができる。
【0051】
第1検出装置31は、機器(回転機器21~26)の周囲の音を検出する音検出センサ、CCDカメラ、赤外線カメラであり、第2検出装置32は、機器(回転機器21~26)の振動を検出する振動検出センサである。これによれば、第1段階において、機器(回転機器21~26)から離れた場所でも音(駆動音)により異常であるかを判断でき、第2段階において、機器(回転機器21~26)の振動により異常であるかを判断することができる。
【0052】
飛行体(無人飛行体70)は、本体70aと、本体70aに設けられたアーム70bと、アーム70bに設けられた回転翼70cと、設備に設置された機器(回転機器21~26)から離れた位置から当該機器(回転機器21~26)の第1稼働状態を検出する第1検出装置31と、第1稼働状態に基づいて機器(回転機器21~26)の異常の可能性がある場合に、機器(回転機器21~26)から離れた位置から近づいて機器(回転機器21~26)の第2稼働状態を検出する第2検出装置32と、を備えている。これによれば、飛行体(無人飛行体70)を飛行させることで、第1段階として、機器(回転機器21~26)から離れた場所から取得した第1稼働状態によって機器(回転機器21~26)の異常の可能性があるかを判断したのち、第2段階として、機器(回転機器21~26)に近づいた場所から取得した第2稼働状態によって機器(回転機器21~26)の異常があるか否かを判断することができる。即ち、機器(回転機器21~26)の異常を監視するにあたって、第1段階と第2段階とに分けているため、効率よく機器(回転機器21~26)の異常を監視することができる。
【0053】
飛行体(無人飛行体70)は、機器(回転機器21~26)に吸着可能な電磁石81を備え、第2検出装置32は、電磁石81が機器(回転機器21~26)に吸着したときに当該機器(回転機器21~26)に近づく。これによれば、機器(回転機器21~26)の上空を飛行する無人飛行体70で監視する場合において、第2検出装置32を当該機器(回転機器21~26)に簡単に近づけることができる。
【0054】
飛行体(無人飛行体70)は、第1稼働状態に基づいて機器(回転機器21~26)の異常の可能性がある場合に飛行体(無人飛行体70)を機器(回転機器21~26)に近づける飛行を制御する飛行制御部76を備えている。これによれば、機器(回転機器21~26)の異常の可能性があるときのみ、機器(回転機器21~26)に近づいて第2稼働状態を取得することができ、監視の効率を向上させることができる。
【0055】
また、過去の巡回結果(異常の可能性、異常、正常)等について、コンピュータ40に入力することにより深層学習を行い、異常が多い機器については、第2検出装置32にて測定を行ったり、第1検出装置31において測定を行うようにしてもよい。
処理設備の監視システム1は、複数の処理場が設けられた設備を、飛行体(無人飛行体70)によって監視する処理設備の監視システム1であって、少なくとも飛行体(無人飛行体70)が飛行する飛行ルートFR1と、複数の処理場のうち、所定の処理場に対して監視する監視ポイントPnを作成する飛行作成部と、飛行作成部で作成された監視ポイントPnに向けて飛行体(無人飛行体70)を飛行させる飛行制御部76と、を備えている。これによれば、飛行体(無人飛行体70)を飛行ルートFR1に応じて飛行させながら、監視ポイントPnにて所定の処理場の監視を簡単に行うことができる。
【0056】
飛行制御部76は、監視ポイントPnで異常を検出した場合、処理場に設置された機器(回転機器21~26)に向けて飛行体(無人飛行体70)を飛行させる。これによれば、監視ポイントPnで異常を検出したのみ、飛行体(無人飛行体70)を機器(回転機器21~26)に近づけて、機器(回転機器21~26)の監視を行うことができ、監視の効率を向上させることができる。
【0057】
飛行制御部76は、機器(回転機器21~26)に異常がないと判断した場合、機器(回転機器21~26)が設置された処理場とは異なる別の処理場に対応する監視ポイントPnに、飛行体(無人飛行体70)を移動させる。これによれば、複数の処理場がある場合に順番に処理場の監視を行うことができる。
飛行制御部76は、機器(回転機器21~26)に異常がないと判断した場合、処理場に異常でないと判断した機器(回転機器21~26)とは別の機器(回転機器21~26)が設置されている場合は、別の機器(回転機器21~26)に向けて、飛行体(無人飛行体70)を移動させる。これによれば、処理場に複数の機器(回転機器21~26)がある場合に、処理場に設置した機器(回転機器21~26)を隈なく監視することができる。
【0058】
飛行体(無人飛行体70)は、機器(回転機器21~26)の異常を診断する異常診断装置79を備えている。これによれば、異常診断装置79によって飛行体(無人飛行体70)を飛行させながら機器(回転機器21~26)の異常を判断することができ、機器(回転機器21~26)の異常の監視の効率を向上させることができる。
処理設備の監視システム1は、監視ポイントPnにおける監視情報を記憶する記憶装置74を備え、飛行制御部76は、記憶装置74に記憶された監視情報に基づいて、飛行体(無人飛行体70)を機器(回転機器21~26)へ向けて飛行させるか否かを判断する。これによれば、過去の監視情報を参照して、機器(回転機器21~26)へ向けて飛行させるかを判断することができるため、例えば、少し前に異常と判断された機器(回転機器21~26)を重複して監視することを抑制することができ、監視の効率を向上させることができる。
【0059】
飛行体(無人飛行体70)は、機器(回転機器21~26)又は処理場を撮像する撮像装置を備え、撮像装置は、監視ポイントPnにおいて、機器(回転機器21~26)又は処理場を撮像する。これによれば、機器(回転機器21~26)又は処理場を撮像した撮像画像によって、機器(回転機器21~26)又は処理場の状態を把握することができる。
【0060】
処理設備の監視システム1は、機器(回転機器21~26)に異常を検出した場合、撮像装置で撮像した撮像画像を、監視するコンピュータ40に送信する。これによれば、監視者がコンピュータ40に送信された撮像画像を見ることによって、異常の状態を素早く把握することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 :監視システム
40 :コンピュータ
40A :飛行作成部
74 :記憶装置
76 :飛行制御部
79 :異常診断装置
FR1 :飛行ルート
FR2 :飛行ルート
FR3 :飛行ルート
P1 :監視ポイント
P3 :監視ポイント
Pn :監視ポイント
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8