(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025106091
(43)【公開日】2025-07-11
(54)【発明の名称】ユーザ装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20250704BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20250704BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20250704BHJP
【FI】
H04W16/28 130
H04W28/18 110
H04W88/02 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025068105
(22)【出願日】2025-04-17
(62)【分割の表示】P 2025033101の分割
【原出願日】2023-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】生田 耕嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】秦 光孝
(57)【要約】
【課題】スループットが低下してしまうことを抑制できること。
【解決手段】ユーザ装置は、移動通信システムにおいてノードとの無線通信を行うユーザ装置であって、ノードにより送信された第1の参照信号を受信する受信部と、第1の参照信号のリソースを測定し、第1の参照信号のリソースの測定に基づいて、物理上りリンク共有チャネルの送信に用いるプレコーダを算出し、プレコーダを物理上りリンク共有チャネルに適用する制御部と、プレコーダを適用した物理上りリンク共有チャネルをノードに送信する送信部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおいてノードとの無線通信を行うユーザ装置であって、
前記ノードにより送信された第1の参照信号を受信する受信部と、
前記第1の参照信号のリソースを測定し、前記第1の参照信号のリソースの測定に基づいて、物理上りリンク共有チャネルの送信に用いるプレコーダを算出し、前記プレコーダを前記物理上りリンク共有チャネルに適用する制御部と、
前記プレコーダを適用した前記物理上りリンク共有チャネルを前記ノードに送信する送信部と、
を備えるユーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標。以下同じ))により策定された第5世代(5G)の規格であるNR(New Radio)では、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)の送信の方法として、Codebook型とNon-codebook型の送信方法が規定されている。Non-codebook型では、ノードによって決定されたプレコーダがPUSCHの送信に適用される。
【0003】
Non-codebook型の送信方法では、プレコーダがPUSCHに適用されるまでに多くの時間を要するという課題がある。Non-codebook型の送信方法では、移動通信システムのネットワークのノード(単に「ノード」とも称する)がユーザ装置(UE)にCSI-RSを送信してから、プレコーダが適用されたPUSCHを受信するまでに、ノードとUEとの間の通信が2往復行われる。
【0004】
これにより、特に伝搬チャネルが激しく変動する環境では、プレコーダが算出されたときから、該プレコーダが適用されるまでの間に伝搬チャネルが大きく変動してしまい、プレコーダが最適ではなくなる場合がある。伝搬チャネルが激しく変動する環境とは、例えば、UEが高速で移動する場合の環境、もしくは、ミリ波又はサブテラヘルツ波など高周波数帯を使用した無線通信が用いられる場合の環境などである。後者の高周波数帯を使用した無線通信では、低周波数帯と比べて、ビームが鋭くなるため、わずかな環境変化でより大きなチャネル変動が発生し得る。プレコーダが最適ではなくなると、受信信号においてストリーム間干渉が増大し変調精度が劣化することでスループットが低下してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP技術仕様書:TS 38.214 V18.0.0(2023-09)
【発明の概要】
【0006】
第1の態様に係るユーザ装置は、移動通信システムにおいてノードとの無線通信を行うユーザ装置であって、前記ノードにより送信された第1の参照信号を受信する受信部と、前記第1の参照信号のリソースを測定し、前記第1の参照信号のリソースの測定に基づいて、物理上りリンク共有チャネルの送信に用いるプレコーダを算出し、前記プレコーダを前記物理上りリンク共有チャネルに適用する制御部と、前記プレコーダを適用した前記物理上りリンク共有チャネルを前記ノードに送信する送信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】データを取り扱うUプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
【
図3】シグナリング(制御信号)を取り扱うCプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
【
図4】Non-codebook型において決定されたプレコーダが適用されて物理上りリンク共有チャネルの送信が行われる一般的なプロシージャを示す図である。
【
図5】実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るノードの構成例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係るシステム動作例を示す図である。
【
図8】第1実施形態の変形例に係るシステム動作例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係るシステム動作例を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係るシステム動作例を示す図である。
【
図11】第4実施形態に係るシステム動作例を示す図である。
【
図12】第5実施形態に係るシステム動作例を示す図である。
【
図13】第5実施形態の変形例に係るシステム動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0009】
(1)第1実施形態
図1乃至
図7を参照して第1実施形態について説明する。
【0010】
(1.1)システム構成例
図1は、実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。実施形態に係る移動通信システムは、3GPP規格に準拠するシステムである。例えば、実施形態に係る移動通信システムは、第5世代(5G)システム又は第6世代(6G)システムであってもよい。
【0011】
移動通信システムは、ネットワーク(NW)1と、ユーザ装置(UE)100とを有する。UE100は、移動可能な通信装置であって、NW1との無線通信を行う。UE100は、ユーザにより利用される装置であればよく、例えば、携帯電話端末(スマートフォンを含む)又はタブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ又はセンサに設けられる装置、車両又は車両に設けられる装置(Vehicle UE)、若しくは、飛行体又は飛行体に設けられる装置(Aerial UE)であってもよい。
【0012】
NW1は、無線アクセスネットワーク(RAN)10と、コアネットワーク(CN)20とを含む。移動通信システムが第5世代システム(5GS:5th Generation System)である場合、RAN10はNG-RAN(Next Generation Radio Access Network)と称され、CN20は5GC(5G Core Network)と称される。
【0013】
RAN10は、複数のノード200(図示の例では、ノード200a乃至200c)を含む。ノード200は、ノード間インターフェイスを介して相互に接続される。ノード200は、基地局とも称される。ノード200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がフロントホールインターフェイスで接続されていてもよい。移動通信システムが5GSである場合、ノード200はgNBと称され、ノード間インターフェイスはXnインターフェイスと称され、フロントホールインターフェイスはF1インターフェイスと称される。
【0014】
各ノード200は、1又は複数のセルを管理する。ノード200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。各ノード200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(単に「データ」とも称する)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数(単に「周波数」とも称する)に属する。
【0015】
CN20は、CN装置300を含む。CN装置300は、制御プレーン(Cプレーン)に対応するCプレーン装置と、ユーザプレーン(Uプレーン)に対応するUプレーン装置と、を含んでもよい。Cプレーン装置は、UE100に対する各種モビリティ制御及びページング等を行う。Cプレーン装置は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信する。Uプレーン装置は、データの転送制御を行う。移動通信システムが5GSである場合、Cプレーン装置はAMF(Access and Mobility Management Function)と称され、Uプレーン装置はUPF(User Plane Function)と称され、ノード200とCN装置300との間のインターフェイスはNGインターフェイスと称される。
【0016】
図2は、データを取り扱うUプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
【0017】
Uプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、例えば、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0018】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとノード200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。なお、UE100のPHYレイヤは、ノード200から物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される下りリンク制御情報(DCI)を受信する。具体的には、UE100は、無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてPDCCHのブラインド復号を行い、復号に成功したDCIを自UE宛てのDCIとして取得する。ノード200から送信されるDCIには、RNTIによってスクランブルされたCRCパリティビットが付加されている。
【0019】
MACレイヤは、データの優先制御及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理等を行う。UE100のMACレイヤとノード200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。ノード200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0020】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとノード200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0021】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化等を行う。
【0022】
SDAPレイヤは、CN20がQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0023】
図3は、シグナリング(制御信号)を取り扱うCプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
【0024】
Cプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、例えば、
図2に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0025】
UE100のRRCレイヤとノード200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとノード200のRRCとの間にコネクション(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態である。UE100のRRCとノード200のRRCとの間にコネクション(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドル状態である。UE100のRRCとノード200のRRCとの間のコネクションがサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態である。
【0026】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤ(単に「NAS」とも称する)は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとCN装置300のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。また、NASレイヤよりも下位のレイヤをASレイヤと称する(単に「AS」とも称する)。
【0027】
図4は、Non-codebook型による物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)の送信の一般的なプロシージャを示す図である。
【0028】
ステップS10において、ノード200は、SRS(サウンディング参照信号)のリソース設定をUE100に送信する。UE100は、SRSのリソース設定を受信する。このリソース設定により、SRSのリソース(周波数、時間、アンテナポート)が設定される。
【0029】
ステップS20において、ノード200は、CSI-RSをUE100に送信する。UE100は、CSI-RSを受信する。
【0030】
ステップS30において、UE100は、ステップS20で送信されたCSI-RSのリソースを測定する。UE100は、CSI-RSのリソースの測定に基づいて、SRSの送信に用いられるプレコーダを算出する。
【0031】
ステップS40において、UE100は、算出したプレコーダを適用して、最大4つのSRSをノード200に送信する。これらのSRSの送信には、ステップS10で受信したリソース設定により設定されたSRSリソースが用いられる。また、各SRSのSRSリソースに対して1つのSRSのアンテナポートが設定される。
【0032】
ステップS50において、ノード200は、受信したSRSに基づいて、PUSCHの送信に用いるプレコーダに対応する1つ又は複数のSRI(SRS Resource Indicator)を決定する。
【0033】
ステップS60において、ノード200は、決定した1つ又は複数のSRIをUE100に送信する。ここで1つ又は複数のSRIは、物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される下りリンク制御情報(DCI)に含まれて送信される。ここで1つ又は複数のSRIは、DCIに含まれる領域のうちSRSリソース指示子の領域に格納される。UE100は、1つ又は複数のSRIを受信する。また、Non-codebook型の送信方法では、ノード200からTRI(Transmit Rank Indicator)が通知されないが、UE100はSRIの数からTRIを判断する。
【0034】
ステップS70において、UE100は、SRSのアンテナポートと同じアンテナポートを用いてPUSCHをノード200に送信する。SRSのアンテナポートは、受信した1つ又は複数のSRIによって示される。これにより、PUSCHの送信には、受信したSRIが示すSRSリソースのSRSと同じプレコーダが適用される。
【0035】
このようなプロシージャによれば、ノード200がUE100にCSI-RSを送信してから、プレコーダが適用されたPUSCHを受信するまでに、ノード200とUE100との間の通信が2往復行われる。これにより、特に伝搬チャネルが激しく変動する環境では、プレコーダが最適ではなくなる場合があるという課題がある。その結果、ストリーム間干渉が増大し変調精度が劣化することでスループットが低下してしまう場合がある。
【0036】
(1.2)ユーザ装置の構成例
図5は、実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
【0037】
UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を有する。受信部110及び送信部120は、ノード200との無線通信を行う無線通信部140を構成する。
【0038】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0039】
制御部130は、UE100における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述のUE100の動作は、制御部130の制御による動作であってもよい。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0040】
このように構成されたUE100は、移動通信システムにおいてノード200との無線通信を行う。受信部110は、ノード200により送信された第1の参照信号を受信する。制御部130は、第1の参照信号のリソースを測定し、第1の参照信号のリソースの測定に基づいて、PUSCHの送信に用いるプレコーダを算出し、当該プレコーダをPUSCHに適用する。送信部120は、当該プレコーダを適用したPUSCHをノード200に送信する。
【0041】
本実施形態において、第1の参照信号は、PUSCHの送信に適用するプレコーダを算出するために用いられる下りリンクの参照信号である。第1の参照信号は、例えば、3GPPにおけるCSI-RSであるが、DM-RS、PT-RS、第6世代で導入される新たな参照信号など、他の参照信号であってもよい。以下では、第1の参照信号がCSI-RSである場合の一例について説明する。
【0042】
これにより、UE100は、
図4のプロシージャよりも少ない通信の往復数で、PUSCHを送信できる。UE100は、伝搬チャネルが激しく変動する環境であっても、通信の往復数を減らすことで、ストリーム間干渉が増大し変調精度が劣化することでスループットが低下してしまうことを抑制できる。
【0043】
また、本実施形態では、制御部130は、第1の参照信号のリソースの測定に基づいて、PUSCHのレイヤ数を決定する。また、本実施形態では、制御部130は、第1の参照信号のリソースの測定に基づいて、第2の参照信号の送信に用いられるプレコーダを算出し、決定したPUSCHのレイヤ数のアンテナポートを第2の参照信号のアンテナポートから選択し、選択した当該レイヤ数のアンテナポートをPUSCHの送信に用いる。これにより、第2の参照信号の送信に適用されるプレコーダのうち、選択したアンテナポートの第2の参照信号に用いられる部分が、PUSCHの送信に用いられる。
【0044】
本実施形態において、第2の参照信号は、ノード200がPUSCHを受信するために用いる上りリンクの参照信号である。第2の参照信号は、例えば、3GPPにおけるサウンディング参照信号(SRS)であるが、DM-RS、PT-RS、第6世代で導入される新たな参照信号などの他の参照信号であってもよい。以下では、第2の参照信号がSRSである場合の一例について説明する。
【0045】
(1.3)ノードの構成例
図6は、実施形態に係るノード200(基地局、gNB)の構成例を示す図である。
【0046】
ノード200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びNW通信部240を有する。送信部210及び受信部220は、UE100との無線通信を行う無線通信部250を構成する。
【0047】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0048】
制御部230は、ノード200における各種の制御及び処理を行う。上述及び後述のノード200の動作は、制御部230の制御による動作であってもよい。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0049】
NW通信部240は、ノード間インターフェイスを介して隣接ノードと接続される。NW通信部240は、ノード-CN間のインターフェイスを介してCN装置300と接続される。
【0050】
このように構成されたノード200は、移動通信システムにおいてUE100との無線通信を行う。送信部210は、第1の参照信号をUE100に送信する。受信部220は、PUSCHをUE100から受信する。当該PUSCHは、UE100が第1の参照信号のリソースの測定に基づいて算出したプレコーダを適用して送信したPUSCHである。
【0051】
(1.4)システム動作例
図7は、第1実施形態に係るシステム動作例を示す図である。第1実施形態に係るシステム動作とは、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法、すなわちUE100が決定したプレコーダを適用したPUSCHの送信方法である。なお、
図4と同様な動作については重複する説明を省略する。
【0052】
ステップS110において、ノード200は、PUSCHのリソース設定及びSRSのリソース設定をUE100に送信する。ノード200は、例えば、RRCレイヤで当該リソース設定をUE100に送信する。なお、ノード200は、MACレイヤで当該リソース設定をUE100に送信してもよいし、DCIに含めて当該リソース設定をUE100に送信してもよい。UE100は、PUSCHのリソース設定及びSRSのリソース設定を受信する。
【0053】
ステップS120において、ノード200は、CSI-RSをUE100に送信する。UE100は、CSI-RSを受信する。
なお、ノード200は、上述したPUSCHのリソース設定及びSRSのリソース設定を送信する前に、CSI-RSをUE100に送信してもよい。つまり、ステップS120の処理、及びステップS110の処理が実行される順番は、
図7に示した順番と逆であってもよい。
【0054】
ステップS130において、UE100は、ステップS120で送信されたCSI-RSのリソースを測定する。UE100は、CSI-RSのリソースの測定に基づいて、PUSCH及びSRSの送信に適用されるプレコーダを算出する。UE100は、CSI-RSのリソースの測定に基づいて、PUSCHのレイヤ数を決定する。
【0055】
UE100がCSI-RSのリソースの測定に基づいてPUSCH及びSRSの送信に適用されるプレコーダを算出する方法は、例えば、特異値分解に基づく方法である。UE100は、CSI-RSのリソースの測定の結果を、ノード200のアンテナポートの数の行と、UE100のアンテナポートの数(PUSCHの最大レイヤ数)の列とを有する行列として表現する。UE100は、当該行列を特異値分解する。UE100は、特異値分解によって得られる特異値の大きさが所定の閾値より大きいか否かを判定する。UE100は、特異値の大きさが所定の閾値より大きい場合に、ビームを送信可能と判定する。送信可能と判定された特異値に対応する固有ベクトルが、送信可能と判定されたビーム(レイヤ)のプレコーダのウェイトに対応し、当該固有ベクトルの個数が送信可能なレイヤ数に対応する。
なお、UE100がCSI-RSのリソースの測定に基づいてPUSCHの送信に適用されるプレコーダを算出する方法は特異値分解に基づく方法に限られず、他の方法が用いられてもよい。
【0056】
ステップS140において、UE100は、算出したプレコーダを適用したPUSCHをノード200に送信する。ノード200は、PUSCHを受信する。なお、UE100がPUSCHをノード200に送信する時期は、例えば、DCIでスケジュールされる。また、UE100は、ステップS110においてノード200から受信したPUSCHのリソース設定で設定されたリソースを用いて、PUSCHをノード200に送信する。
【0057】
UE100は、PUSCHをノード200に送信する前の時期に、SRSをノード200に送信してもよい。なお、UE100は、少なくとも上述のレイヤ数のSRSリソースを用いてSRSをノード200に送信する。なお、UE100は、決定したPUSCHのレイヤ数のアンテナポートをSRSのアンテナポートから選択し、選択したアンテナポートをPUSCHの送信に用いる。これにより、選択したアンテナポートのSRSの送信に用いたプレコーダと同じプレコーダを適用して上述のレイヤ数のPUSCHがノード200に送信される。
【0058】
なお、ステップS140におけるSRS、及びPUSCHのUE100からノード200への送信は、ステップS110からステップS130までの処理が次回に実行される前に、複数回実行されてよい。また、SRSとPUSCHの送信回数は一致していなくてもよい。
【0059】
ここで本実施形態では、
図7に示したUE決定プレコーダを適用したPUSCH送信方法、すなわちUE100が決定したプレコーダを適用したPUSCHの送信方法においてもTDD(時分割複信、Time Division Duplex)が想定されている。UE100は、ノード200から受信したCSI-RSを測定できる(つまり、チャネル推定ができる)。UE100は、TDDによるチャネル相反性を利用して、CSI-RSの測定に基づいてPUSCHの送信に用いるプレコーダを算出し、またPUSCHのレイヤ数を決定する。つまり、UE100はPUSCHの送信に用いるプレコーダ(ビーム)を決定する能力を持つ。UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法の利点は、TDDによるチャネル相反性を利用して、送信に用いるプレコーダを受信信号から算出できる点にある。つまり、PUSCHの送信についての一連の制御をノード200と通信することなく、UE100において実行することによって、
図4に示した従来のプロシージャに比べて短時間でプレコーダを決定できる。
【0060】
なお、本実施形態では、UE100(制御部130)が第1の参照信号(CSI-RS)のリソースの測定に基づいて、PUSCHのレイヤ数を決定する場合の一例について説明したが、これに限られない。PUSCHのレイヤ数は、UE100によって決定されなくてもよい。その場合、例えば、ノード200がPUSCHのレイヤ数を決定し、ノード200は、決定したレイヤ数をUE100に通知する。別の一例として、PUSCHのレイヤ数が予め決定されており、UE100が当該レイヤ数を予め記憶していてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、UE100(制御部130)は、第1の参照信号(CSI-RS)のリソースの測定に基づいて、第2の参照信号(SRS)の送信に用いられるプレコーダを算出し、決定したPUSCHのレイヤ数のアンテナポートを第2の参照信号(SRS)のアンテナポートから選択し、選択したアンテナポートを用いてPUSCHを送信する場合の一例について説明したが、これに限られない。UE100は、第2の参照信号(SRS)のアンテナポート以外のアンテナポートを用いてPUSCHを送信してもよい。
【0062】
(1.5)第1実施形態の変形例
図8を参照して、第1実施形態の変形例について、第1実施形態との相違点を主として説明する。第1実施形態の変形例では、送信部120は、第1情報をノード200から受信部110が受信している場合、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法によりPUSCHを送信する。つまり、送信部120は、第1情報をノード200から受信部110が受信している場合、PUSCHの送信に第1の参照信号のリソースの測定に基づいて制御部130が算出したプレコーダを適用する。第1情報とは、PUSCHの送信にUE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いることを示す情報である。
【0063】
図8は、第1実施形態の変形例に係るシステム動作例を示す図である。なお、ステップS210、ステップS230、及びステップS240の各処理は、
図7におけるステップS110、ステップS130、及びステップS140の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
ステップS220において、ノード200は、CSI-RSをUE100に送信する。第1情報は、CSI-RSに含まれる。ここで第1情報がCSI-RSに含まれるとは、PUSCHの送信にUE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いることに応じたシーケンスに基づいたCSI-RSが送信されることである。すなわち、CSI-RSには、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いることを示すCSI-RSと、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いないことを示すCSI-RSの2種類がある。これら2種類のCSI-RSは、CSI-RSを生成するためのシーケンスが互いに異なる。
【0065】
UE100は、1種類目のCSI-RSを受信した場合、PUSCHの送信にUE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いる、すなわちUE100が決定したプレコーダを適用すると判定する。一方、UE100は、2種類目のCSI-RSを受信した場合、PUSCHの送信にUE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いない、すなわち
図4に示すような一般的なNon-codebook型の送信方法を用いると判定する。
【0066】
UE100は、CSI-RSに第1情報が含まれると判定した場合、ステップS230、及びステップS240各処理を実行する。一方、UE100は、CSI-RSに第1情報が含まれていないと判定した場合、以降の処理をNon-codebook型において決定されたプレコーダが適用されてPUSCHの送信が行われる一般的なプロシージャ(
図4におけるステップS30以降の処理)に基づいて実行する。
【0067】
なお、第1実施形態の変形例では、第1情報がCSI-RSに含まれる場合の一例について説明したが、これに限られない。第1情報は、ノード200からUE100に送信されるDCIに含まれてもよいし、RRCレイヤで送信されてもよい。また、第1情報は、以降に送信される全てのPUSCHの送信に対して送信されてもよいし、1回のPUSCHの送信に対して送信されてもよい。
【0068】
また、制御部130は、上りリンクと下りリンクとのチャネル相反性が満たされていると判断した場合に、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いてもよい。その場合、制御部130は、チャネル相反性が満たされているか否かを、例えば、以下のよう判定する。制御部130は、例えば、通信方式として時分割複信(Time Division Duplex:TDD)を使用し上りリンクと下りリンクの周波数が同じあるいは差が閾値内である場合、チャネル相反性が満たされていると判定する。別の一例として、制御部130は、UE100の移動速度がチャネルモデル相反性を実現する程度に低速である場合、チャネル相反性が満たされていると判定する。
【0069】
また、制御部130は、時分割複信を使用することを、UE100がノード200との通信に用いるコンポーネントキャリアが属する周波数帯(バンド)に基づき判定してもよい。
【0070】
(2)第2実施形態
図9を参照して、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。上述した第1実施形態では、UE100が送信するPUSCHのレイヤ数が、ノード200とUE100との間で共有されていない。そのため、ノード200は、レイヤ数の最大値を想定して受信処理を実行しなければならない。換言すれば、ノード200は、ブラインドデコーディングを実行しなければならない。ノード200は、ノード200自身のアンテナポートの数、もしくは、UE100のアンテナポートの数、又はUE100の能力上の最大レイヤ数を知っている。しかしながら、ノード200は、UE100が決定したレイヤ数は分からない。よって、ノード200は、ノード200自身のアンテナポートの数、もしくは、UE100のアンテナポートの数、又はUE100の能力上の最大レイヤ数に基づいて受信処理を実行しなければならない。例えば、レイヤ数が1でUE100によって送信が行われている場合であっても、ノード200は、レイヤ数として8を想定した受信処理を行わなければならない。これにより、ノード200がレイヤ数を知っている場合と比べて、消費電力が悪化することがあるという課題がある。
【0071】
本実施形態では、受信部110は、最大レイヤ数情報をノード200から受信する。最大レイヤ数情報は、送信部120が送信するPUSCHのレイヤ数の最大値を示す情報である。制御部130は、PUSCHのレイヤ数を最大レイヤ数情報が示す最大値以下に制御する。
【0072】
(2.1)システム動作例
図9を参照して、第2実施形態に係るシステム動作例について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
図9は、第2実施形態に係るシステム動作例を示す図である。なお、ステップS310、ステップS320、及びステップS350の各処理は、
図7におけるステップS110、ステップS120、及びステップS140の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
ステップS330において、ノード200は、最大レイヤ数情報をUE100に送信する。最大レイヤ数情報が示すレイヤ数の最大値は、例えば、2である。ノード200は、最大レイヤ数情報を、例えば、DCIに含めてUE100に送信する。なお、3GPPでは、Codebook型の送信方法の場合、ノード200は、DCIの所定のフォーマットにおける所定の領域を用いて最大レイヤ数情報をUE100に送信する。一方、3GPPでは、Non-codebook型の送信方法において、当該領域は用いられない。そこで、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法においても、最大レイヤ数情報が当該領域を用いて送信されることによって、DCIのリソースは有効に活用される。
【0074】
また、最大レイヤ数情報は、MACレイヤで送信されてもよい。最大レイヤ数情報は、RRCレイヤで送信されてもよい。
【0075】
なお、本実施形態では、最大レイヤ数情報はCSI-RSが送信されるよりも後に送信されるが、これに限られない。最大レイヤ数情報は、CSI-RSが送信されるよりも前に送信されてもよい。つまり、ステップS330の処理がステップS320の処理の前に実行されてもよい。
【0076】
なお、UE100(制御部130)は、最大レイヤ数情報をノード200から受信部110が受信した場合に、PUSCHの送信に、UE決定プレコーダを適用したPUSCHの送信方法を用いてもよい。つまり、UE100は、最大レイヤ数情報を上述した第1情報として用いてもよい。
【0077】
ステップS340において、UE100は、PUSCHのレイヤ数を最大レイヤ数情報が示す最大値以下に制御しながら、上述したステップS130の処理を実行する。
【0078】
UE100は、例えば以下のように、PUSCHのレイヤ数を最大レイヤ数情報が示す最大値以下に制御する。例えば、特異値分解の結果得られた4つの特異値全てが所定の閾値より大きい場合、レイヤ数は4となる。特異値分解の結果によればレイヤ数は4であるが、最大レイヤ数情報が示す最大値が2の場合、UE100は、レイヤ数を2とし、4つの特異値のうち大きい方から2つの特異値を選択し、選択した特異値に対応する固有ベクトルを選ぶ。
【0079】
なお、ステップS350においてPUSCHを受信する場合に、ノード200は、レイヤ数として最大レイヤ数情報が示す最大値を想定して受信処理を行う。
【0080】
(3)第3実施形態
図10を参照して、第3実施形態について、第2実施形態との相違点を主として説明する。上述した第2実施形態では、ノード200は、UE100に最大レイヤ数情報を送信することによって、受信処理において消費電力の悪化を低減する場合について説明した。しかしながら、第2実施形態の制御によれば、UE100が送信しようとするPUSCHのデータ量が増加した場合、上りリンクのチャネル状態が良くなった場合においても、レイヤ数を最大レイヤ数情報が示す最大値より大きくすることができない。例えば、実際はレイヤ数を6としてPUSCHを送信が可能な状況においても、最大レイヤ数情報が示す最大値が4の場合、レイヤ数を4としてしか送信できない。その結果、第2実施形態の制御には、チャネル容量を最大限活用できないという課題がある。
【0081】
本実施形態では、送信部120は、希望レイヤ数情報をノード200に送信する。希望レイヤ数情報とは、UE100が希望する最大レイヤ数である希望レイヤ数を示す情報である。本実施形態では、送信部120は、希望レイヤ数が最大レイヤ数情報が示す最大値より大きい場合に、希望レイヤ数情報をノード200に送信する。
【0082】
(3.1)システム動作例
図10を参照して、第3実施形態に係るシステム動作例について、第2実施形態との相違点を主として説明する。
図10において、必須ではないステップを破線で示している。
図10は、第3実施形態に係るシステム動作例を示す図である。なお、ステップS410、ステップS420、ステップS430、ステップS440、及びステップS450の各処理は、
図9におけるステップS310、ステップS320、ステップS330、ステップS340、及びステップS350の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0083】
ステップS460において、UE100は、希望レイヤ数情報をノード200に送信する。希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数は、例えば、4である。UE100は、例えば、以下のように希望レイヤ数を決定する。
【0084】
UE100は、PUSCHを用いて送信するデータ量(バッファ量)が所定のデータ量以上になったと判定した場合、希望レイヤ数を現在のレイヤ数より大きい数と決定する。別の一例では、UE100は、CSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数を希望レイヤ数と決定してもよい。別の一例では、UE100は、PUSCHを用いて送信するデータ量(バッファ量)が所定のデータ量以上になったと判定した場合、CSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数を希望レイヤ数と決定してもよい。
【0085】
ステップS470において、ノード200は、最大レイヤ数情報をUE100に再度送信する。最大レイヤ数情報が示すレイヤ数の最大値は、例えば、4である。ここでノード200は、UE100から受信した希望レイヤ数情報に基づいて最大レイヤ数を決定する。ノード200は、決定した最大レイヤ数を示す最大レイヤ数情報をUE100に送信する。
なお、ノード200は、最大レイヤ数情報をUE100に再度送信する代わりに、希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数を最大レイヤ数として許可することを示す応答(ACK)をUE100に送信してもよい。
【0086】
なお、ステップS460において、UE100は、希望レイヤ数を送信する代わりに、最大レイヤ数を増やすことあるいは増加量を示す要求をノード200に送信してもよい。
【0087】
なお、ステップS460、及びステップS470の処理は、ステップS440の処理の前に実行されてもよいし、ステップS450の前に実行されてもよい。
【0088】
ステップS480において、UE100は、ノード200から再送された最大レイヤ数情報、又は希望レイヤ数に基づいてレイヤ数を決定し、PUSCH、及びSRSをノード200に送信する。ステップS470において最大レイヤ数情報がノード200からUE100に送信されている場合、UE100は、当該最大レイヤ数情報に基づいてレイヤ数を決定する。ステップS470において、希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数を許可することを示す応答がノード200からUE100に送信されている場合、UE100は、希望レイヤ数を最大レイヤ数として決定する。なお、ステップS450(ステップS140)と同様に、UE100は、PUSCHをノード200に送信する前の時期に、SRSをノード200に送信する。
【0089】
ノード200は、再送した最大レイヤ数情報が示す最大値、又はUE100から受信した希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数をレイヤ数として想定して受信処理を実行する。
【0090】
なお、ステップS450の後の時期であってステップS460の前の時期に、ノード200は、CSI-RSをUE100に再度送信してもよい。CSI-RSが再度送信される場合、ステップS460において、UE100は、再度送信されたCSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数を希望レイヤ数と決定してもよい。
【0091】
(4)第4実施形態
図11を参照して、第4実施形態について、第2実施形態との相違点を主として説明する。上述した第2実施形態では、ノード200は、UE100に最大レイヤ数情報を送信することによって、受信処理において消費電力の悪化を低減する場合について説明した。しかしながら、第2実施形態の制御によれば、UE100が送信しようとするPUSCHのデータ量が減少した場合、上りリンクのチャネル状態が悪くなった場合においても、ノード200は、レイヤ数として最大レイヤ数情報が示す最大値を想定して受信処理を実行しなければならない。その結果、第2実施形態の制御には、無駄な消費電力が発生してしまうことがあるという課題がある。
【0092】
本実施形態では、送信部120は、希望レイヤ数が最大レイヤ数情報が示す最大値より小さい場合に、希望レイヤ数情報をノード200に送信する。
【0093】
(4.1)システム動作例
図11を参照して、第4実施形態に係るシステム動作例について、第2実施形態との相違点を主として説明する。
図11において、必須ではないステップを破線で示している。
図11は、第4実施形態に係るシステム動作例を示す図である。なお、ステップS510、ステップS520、ステップS530、ステップS540、及びステップS550の各処理は、
図9におけるステップS310、ステップS320、ステップS330、ステップS340、及びステップS350の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
ステップS560において、UE100は、希望レイヤ数情報をノード200に送信する。希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数は、例えば、1である。UE100は、例えば、以下のように希望レイヤ数を決定する。
【0095】
UE100は、PUSCHを用いて送信するデータ量(バッファ量)が所定のデータ量以下になったと判定した場合、希望レイヤ数を現在のレイヤ数より小さい数と決定する。別の一例では、UE100は、CSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数を希望レイヤ数と決定してもよい。別の一例では、UE100は、PUSCHを用いて送信するデータ量(バッファ量)が所定のデータ量以下になったと判定した場合、CSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数を希望レイヤ数と決定してもよい。
【0096】
ステップS570において、ノード200は、最大レイヤ数情報をUE100に再度送信する。最大レイヤ数情報が示すレイヤ数の最大値は、例えば、1である。ここでノード200は、UE100から受信した希望レイヤ数情報に基づいて最大レイヤ数を決定する。ノード200は、決定した最大レイヤ数を示す最大レイヤ数情報をUE100に送信する。
なお、ノード200は、最大レイヤ数情報をUE100に再度送信する代わりに、希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数を最大レイヤ数として許可することを示す応答(ACK)をUE100に送信してもよい。
【0097】
なお、ステップS560において、UE100は、希望レイヤ数を送信する代わりに、最大レイヤ数を減らすことあるいは減少量を示す要求をノード200に送信してもよい。
【0098】
なお、ステップS560、及びステップS570の処理は、ステップS540の処理の前に実行されてもよいし、ステップS550の前に実行されてもよい。
【0099】
ステップS580において、UE100は、ノード200から再送された最大レイヤ数情報、又は希望レイヤ数に基づいてレイヤ数を決定し、PUSCH、及びSRSをノード200に送信する。ステップS570において最大レイヤ数情報がノード200からUE100に送信されている場合、UE100は、当該最大レイヤ数情報に基づいてレイヤ数を決定する。ステップS570において、希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数を許可することを示す応答がノード200からUE100に送信されている場合、UE100は、希望レイヤ数を最大レイヤ数として決定する。なお、ステップS550(ステップS140)と同様に、UE100は、PUSCHをノード200に送信する前の時期に、SRSをノード200に送信する。
【0100】
ノード200は、再送した最大レイヤ数情報が示す最大値、又はUE100から受信した希望レイヤ数情報が示す希望レイヤ数をレイヤ数として想定して受信処理を実行する。
【0101】
なお、ステップS550の後の時期であってステップS560の前の時期に、ノード200は、CSI-RSをUE100に再度送信してもよい。CSI-RSが再度送信される場合、ステップS560において、UE100は、再度送信されたCSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数を希望レイヤ数と決定してもよい。
【0102】
(5)第5実施形態
図12を参照して、第5実施形態について、第2実施形態との相違点を主として説明する。上述した第2実施形態では、ノード200は、UE100に最大レイヤ数情報を送信することによって、受信処理において消費電力の悪化を低減する場合について説明した。しかしながら、第2実施形態の制御によれば、レイヤ数を動的に変更できないという課題がある。
【0103】
本実施形態では、送信部120は、PUSCHのレイヤ数を示すレイヤ数情報をノード200に送信する。
【0104】
これにより、UE100がレイヤ数を動的に変更することによって、ミリ波又はサブテラヘルツ波など高周波数帯を使用した無線通信が用いられる場合の環境においてチャネル状態が急激に変化する場合であっても、システム容量を増加させ、ノード200の消費電力を抑えることができる。
【0105】
(5.1)システム動作例
図12を参照して、第5実施形態に係るシステム動作例について、第2実施形態との相違点を主として説明する。
図12において、必須ではないステップを破線で示している。
図12は、第5実施形態に係るシステム動作例を示す図である。なお、ステップS610、ステップS620、ステップS630、及びステップS660の各処理は、
図9におけるステップS310、ステップS320、ステップS340、及びステップS350の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0106】
ステップS640において、UE100は、レイヤ数情報をノード200に送信する。ノード200は、レイヤ数情報を受信する。ここでUE100は、例えば、CSI-RSのリソースの測定に基づいて決定したPUSCHのレイヤ数をレイヤ数情報が示すレイヤ数として決定する。
【0107】
ステップS650において、ノード200は、レイヤ数情報を受信したことを示す応答(ACK)をUE100に送信する。ノード200は、例えば、当該応答をDCIに含めて送信してもよい。なお、ノード200は、ステップS640においてレイヤ数情報を受信しなかった場合、UE100から最後に受信したレイヤ数情報が示すレイヤ数がPUSCHの送信に継続して用いられていると判定してもよい。
【0108】
ステップS670、ステップS680、ステップS690、ステップS6100、及びステップS6110の各処理は、ステップS620、ステップS630、ステップS640、ステップS650、及びステップS660の各処理と同様であるため、説明を省略する。以降、これらのステップS670、ステップS680、ステップS690、ステップS6100、及びステップS6110の各処理が繰り返し実行される。
【0109】
なお、
図12では、1回のステップS660の処理に対して、ステップS640、及びステップS650からなる処理が1回実行される場合の一例について説明した。つまり、PUSCHの送信と、レイヤ数情報の送信及びレイヤ数情報を受信したことを示す応答の送信からなる処理とが1対1に対応している場合の一例について説明したが、これに限られない。複数回のステップS660の処理に対して、ステップS640、及びステップS650からなる処理が1回実行されてもよい。つまり、複数回のPUSCHの送信と、レイヤ数情報の送信及びレイヤ数情報を受信したことを示す応答の送信からなる1回の処理とが対応してもよい。
【0110】
図13を参照して、第5実施形態の変形例について、第5実施形態との相違点を主として説明する。第5実施形態の変形例では、送信部120は、PUSCHに、次回送信するPUSCHのレイヤ数を示すレイヤ数情報を含めてノード200に送信する。
【0111】
(5.2)第5実施形態の変形例
図13は、第5実施形態の変形例に係るシステム動作例を示す図である。なお、ステップS710、ステップS720、ステップS730、ステップS750、及びステップS760の各処理は、
図12におけるステップS610、ステップS620、ステップS630、ステップS670、及びステップS680の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0112】
ステップS740において、UE100は、次回送信するPUSCHのレイヤ数を示すレイヤ数情報をPUSCHの送信に含めてノード200に送信する。次回送信するPUSCHとは、ステップS770においてUE100が送信するPUSCHである。
なお、ステップS550(ステップS140)と同様に、UE100は、PUSCHをノード200に送信する前の時期に、SRSをノード200に送信する。
【0113】
ステップS770の処理は、ステップS740の処理と同様であるため、説明を省略する。以降、上述したステップS750、ステップS760、及びステップS770の各処理が繰り返し実行される。
【0114】
なお、本変形例では、次回送信するPUSCHのレイヤ数を示すレイヤ数情報がPUSCHの送信に含められる場合の一例について説明したが、これに限られない。UE100は、次回送信するPUSCHのレイヤ数を示すレイヤ数情報をPUCCHの送信に含めてノード200に送信してもよい。
【0115】
上述の実施形態に係る動作をコンピュータ(UE100、ノード200)に実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0116】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0117】
1…ネットワーク
10…RAN
20…CN
100…UE
110…受信部
120…送信部
130…制御部
140…無線通信部
200…ノード
210…送信部
220…受信部
230…制御部
240…NW通信部
250…無線通信部
300…CN装置