(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001061
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】木質トラス梁
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20241225BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
E04B1/58 M
E04B1/26 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100411
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519378768
【氏名又は名称】株式会社ホルツストラ一級建築士事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】相馬 智明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 英一
(72)【発明者】
【氏名】上野 那穂子
(72)【発明者】
【氏名】稲山 正弘
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA15
2E125AA57
2E125AA62
2E125AB12
2E125AC23
(57)【要約】
【課題】コストを低減しつつ、長さ方向に強固な構造を実現し、かつ他の構造を、強度の低減を抑制しつつ交差させることができる、木質トラス梁を提供する。
【解決手段】木質トラス梁100は、上弦材110と下弦材120、束材130と斜材140を備え、上弦材110と下弦材120は、長さ方向に軸材113、114、123、124を並べて形成された第1軸部111、121と第2軸部112、122を備え、第1軸部111、121が第2軸部112、122よりも束材130側に位置するように上下に並んで設けられ、第1軸部111、121と第2軸部112、122は、軸材113、123の端部113s、123sと、軸材114、124の端部114s、124sが長さ方向に異なる位置となるように、軸材113、123と、軸材114、124が長さ方向にずらして配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の屋根または床を形成する木質トラス梁であって、
木質の上弦材と下弦材、及び、前記上弦材と前記下弦材とを上下方向と斜め方向にそれぞれ連結させる、束材と斜材と、を備え、
前記上弦材と前記下弦材のいずれか一方または双方は、各々が長さ方向に軸材を並べて形成された第1軸部と第2軸部を備え、前記第1軸部と前記第2軸部は、前記第1軸部が前記第2軸部よりも前記束材側に位置するように、上下に並んで設けられ、
前記第1軸部と前記第2軸部は、前記軸材の端部が前記長さ方向に異なる位置となるように、前記軸材が前記長さ方向にずらして配置されて、前記軸材相互が上下に接合されていることを特徴とする木質トラス梁。
【請求項2】
前記第1軸部の前記軸材の中間部には、前記束材と前記斜材の端部が接合され、
平板状の接合金物を更に備え、前記接合金物は、前記長さ方向に延在して前記第1軸部の内部に設けられる基部と、前記基部から前記束材と前記斜材の各々に向けて張り出すように設けられて、前記束材と前記斜材の各々の内部に設けられる張出部と、を備え、
前記接合金物により、前記第1軸部と前記束材、及び前記斜材の各々が剛接合されていることを特徴とする請求項1に記載の木質トラス梁。
【請求項3】
前記斜材は、第1斜材と第2斜材を、前記長さ方向に直交する幅方向に重ね合わせて接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の木質トラス梁。
【請求項4】
前記長さ方向に並べられた前記軸材相互は、前記端部が互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の木質トラス梁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質トラス梁に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋根や床を、トラス構造で実現することがある。特に、このようなトラス構造を木材により形成することで、体育館や倉庫等の、広い空間の屋根や床を構成することがある。
例えば、特許文献1には、上弦材、下弦材、束材、及び斜材からなるトラス腹材を含んで構成されるトラス梁が梁幅方向に並置され、並置されたトラス梁相互が起立状態の継ぎ板材を介して連結された構成が記載されている。特許文献1には、上弦材及び下弦材に一枚物の板材でなく、複数の板材を連結したものを使用することもできると記載されている。
また、特許文献2には、上弦材、下弦材、及び中間材からなる木製トラス梁構造体が記載されている。特許文献2には、木製トラス梁構造体が長くなった場合には、上弦材と下弦材に、いずれも繋いだものを使用することが記載されている。
【0003】
このように、特許文献1、2には、上弦材や下弦材として、一枚物の板材を使用することや、繋いだものを使用することが記載されている。
ここで、上弦材や下弦材として、一枚物の、長尺の板材を使用しようとすると、コストが嵩む。また、一枚の板材の長さには限りがあるため、長スパン化を実現することが容易ではない。
これに対し、複数の板材を連結して上弦材や下弦材を実現する場合、長スパン化を実現する強固な構造を実現しようとすると、これらの板材の接合部においては、上弦材や下弦材に作用する応力に抗するだけの接合強度を得るために、接合構造を工夫する必要がある。しかし、これには板材の特殊な加工や、特別な接合金物等を必要とする場合が多いため、コストが嵩む。
【0004】
これに対し、特許文献3には、複数のトラス架構が、幅方向に間隔をあけて配置され、繋ぎ機構によって繋がれている構成が記載されている。また、特許文献3には、トラス架構の上部材、下部材が、軸方向にずらして幅方向に重ね合わせて接合されていることが記載されている。
特許文献3においては、上部材、下部材が、軸方向にずれて幅方向に重ねられ接合されて、上弦材や下弦材が形成される構造となっている。このような構造においては、上弦材や下弦材として一枚物の板材を使用せずに済み、なおかつ長さ方向のどの部分においても、上部材や下部材が長さ方向に延在して、通し材となっている状態であるため、コストを低減しつつ、強固な構造を実現できる可能性がある。
【0005】
ここで、このトラス架構に他の梁等の構造を交差させる場合においては、特許文献3の繋ぎ機構のように、上弦材や下弦材の側面に、他の構造の部材を接合することになる。このため、この交差する方向における他の構造は、トラス架構の側面に接合されることで、トラス架構によって分断される構成となる。したがって、この分断された部分において、交差する方向に作用する応力に抗するだけの強度が得られず、交差する方向における他の構造を強固なものとすることが容易ではない可能性がある。強度を補うために、トラス架構と他の構造との接合構造を工夫することも考えられるが、これには部材の特殊な加工や、特別な接合金物等を必要とする場合が多いため、コストが嵩む。
コストを低減しつつ、長さ方向に強固な構造を実現し、かつ他の構造を、強度の低減を抑制しつつ交差させることができる、木質トラス梁が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-209725号公報
【特許文献2】特許第4614151号公報
【特許文献3】特開2019-124097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、コストを低減しつつ、長さ方向に強固な構造を実現し、かつ他の構造を、強度の低減を抑制しつつ交差させることができる、木質トラス梁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の木質トラス梁は、構造物の屋根または床を形成する木質トラス梁であって、木質の上弦材と下弦材、及び、前記上弦材と前記下弦材とを上下方向と斜め方向にそれぞれ連結させる、束材と斜材と、を備え、前記上弦材と前記下弦材のいずれか一方または双方は、各々が長さ方向に軸材を並べて形成された第1軸部と第2軸部を備え、前記第1軸部と前記第2軸部は、前記第1軸部が前記第2軸部よりも前記束材側に位置するように、上下に並んで設けられ、前記第1軸部と前記第2軸部は、前記軸材の端部が前記長さ方向に異なる位置となるように、前記軸材が前記長さ方向にずらして配置されて、前記軸材相互が上下に接合されていることを特徴とする。
上記のような構成によれば、木質トラス梁の上弦材と下弦材のいずれか一方または双方は、長さ方向に軸材を並べて第1軸部と第2軸部を形成し、これらを上下に並べて、軸材相互を上下に接合することで、構築されている。ここで、第1軸部と第2軸部は、軸材の端部が長さ方向に異なる位置となるように、軸材が長さ方向にずらして配置されている。このため、第1軸部と第2軸部が形成された上弦材と下弦材のいずれか一方または双方においては、長さ方向のどの部分においても、第1軸部と第2軸部のいずれかの軸材が、長さ方向に延在して、通し材となっている。これにより、長さ方向のどの部分においても、この通し材となった軸材が、軸力、せん断力、曲げの、各種応力を負担することができる。したがって、長さ方向において強固な構造を実現することができる。
このような構造を実現するに際しては、軸材を長さ方向に並べて、軸材相互を上下に接合することで、第1軸部と第2軸部を実現すればよいため、上弦材や下弦材を実現するのに一枚板が不要となる。また、このような構成によって、既に説明したように強固な構造を実現することができるため、軸材相互の連結のために、軸材の特殊な加工や、特別な接合金物等を必要としない。これにより、木質トラス梁を構築するためのコストを低減することができる。
特に、木質トラス梁に他の梁等の構造を交差させる場合においては、他の構造の部材を、第1軸部と第2軸部で長さ方向に並べられた軸材相互の、端部の間に設けて、他の構造の部材が木質トラス梁を貫いて交差する方向に延在する通し材となるように、設けることが可能となる。このように、交差する方向の他の構造が、木質トラス梁によって分断されないため、木質トラス梁を交差する方向に貫く、通し材として設けられた部材に、交差する方向における、軸力、せん断力、曲げの、各種応力を負担させることができる。したがって、交差する方向においても、その構造を強固なものとすることができる。
このようにして、コストを低減しつつ、長さ方向に強固な構造を実現し、かつ他の構造を、強度の低減を抑制しつつ交差させることができる、木質トラス梁を提供することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記第1軸部の前記軸材の中間部には、前記束材と前記斜材の端部が接合され、平板状の接合金物を更に備え、前記接合金物は、前記長さ方向に延在して前記第1軸部の内部に設けられる基部と、前記基部から前記束材と前記斜材の各々に向けて張り出すように設けられて、前記束材と前記斜材の各々の内部に設けられる張出部と、を備え、前記接合金物により、前記第1軸部と前記束材、及び前記斜材の各々が剛接合されている。
このような構成によれば、第1軸部の軸材の中間部に束材と斜材の端部が接合される部分において、接合金物により、第1軸部と、束材及び斜材の各々とが剛接合されている。しかも、接合金物の基部は、第1軸部の内部に設けられ、接合金物の張出部は、束材と斜材の各々の内部に設けられている。これにより、第1軸部の軸材の中間部と、束材と斜材の端部とを、接合金物により強固に接合しつつ、接合金物が露呈して外観を損なうのを抑えることができる。
特に、斜材が接合されている対象が、軸材が継がれた部分ではなく、軸材が長さ方向に延在して通し材となっている中間部であるため、斜材に作用する応力が第1軸部に作用しても、軸材がこれに、効率的に抗し得る。したがって、長さ方向の強度をより強固なものとすることができる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記斜材は、第1斜材と第2斜材を、前記長さ方向に直交する幅方向に重ね合わせて接合されている。
このような構成によれば、斜材が、第1斜材と第2斜材とを、幅方向に重ね合わせる、いわゆる二丁合せになっている。このため、上弦材、下弦材、及び束材を組んだ後に、最後に、第1斜材、第2斜材を、幅方向からはめ込むように組むことができ、組み立て作業性が向上する。
【0011】
本発明の一態様においては、前記長さ方向に並べられた前記軸材相互は、前記端部が互いに離間して設けられている。
このような構成によれば、軸材相互の端部が互いに離間して設けられている。これにより、互いに離間した軸材相互の端部間に、木質トラス梁に交差するように設けられた他の構造の部材を通すことができる。これにより、他の構造の連続性を確保し、他の構造の強度が低減されるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コストを低減しつつ、長さ方向に強固な構造を実現し、かつ他の構造を、強度の低減を抑制しつつ交差させることができる、木質トラス梁を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る木質トラス梁を備えたトラス架構において、下弦材の第1軸部を構成する軸材の配置を示す概略図である。
【
図2】
図1のトラス架構において、上弦材の第1軸部を構成する軸材の配置を示す概略図である。
【
図3】第1トラス梁を構成する木質トラス梁の構成を示す図である。
【
図4】第2トラス梁を構成する木質トラス梁の構成を示す図である。
【
図5】第3トラス梁を構成する木質トラス梁の構成を示す図である。
【
図7】軸材と、束材、及び斜材との接合部の斜視展開図である。
【
図8】
図1、及び
図2において、円K1、K2で囲まれた部分のトラス架構を示す斜視図である。
【
図9】木質トラス梁の端部の固定構造を示す断面図である。
【
図10】トラス架構の組立手順を示す図であり、下弦材をトラス架構の中心部から組む状態を示す平面図である。
【
図11】同、下弦材の第2軸部を組んだ状態を示す図である。
【
図12】同、下弦材の第2軸部上に第1軸部を組んだ状態を示す図である。
【
図13】同、下弦材上に束材を組んだ状態を示す図である。
【
図14】同、束材上に、上弦材の第1軸部を組んだ状態を示す図である。
【
図15】同、上弦材の第1軸部上に第2軸部を組んだ状態を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る木質トラス梁の変形例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る木質トラス梁の他の変形例を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る木質トラス梁の更に他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、木質トラス梁として、トラス梁が木質の上弦材、下弦材、及び上弦材と下弦材を連結する連結材(束材、斜材)とで構成されており、上弦材と下弦材のいずれか一方または双方は、長さ方向に軸材を並べて形成された第1軸部と第2軸部が上下2段に重ねられて形成され、かつ当該第1軸部と当該第2軸部は継ぎ手位置がずらして配置されている。
以下、添付図面を参照して、本発明による木質トラス梁を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る木質トラス梁を備えたトラス架構において、下弦材の第1軸部を構成する軸材の配置を示す概略図を
図1に示す。
図2は、
図1のトラス架構において、上弦材の第1軸部を構成する軸材の配置を示す概略図である。後に
図3以降を用いて説明するように、本実施形態のトラス架構においては、上弦材が下弦材よりも短く構成されている。このため、
図2に示される上弦材の配置に要する領域の面積は、
図1に示される下弦材の配置に要する領域の面積よりも小さい。
図1において、上弦材が配置された
図2に相当する領域の部分は、二点鎖線で囲われて示されている。
本実施形態に係る木質トラス梁は、体育館、ホール等の構造物1の広い屋根や床を構成するトラス架構2に適用される。本実施形態において、トラス架構2は、例えば構造物1の屋根を構成する。トラス架構2は、構造物1の外周部に沿って設けられた外周壁4、または構造物1の外周部に沿って間隔をあけて配置された複数本の柱(図示無し)によって、下方から支持されている。構造物1の屋根は、トラス架構2と、トラス架構2の上方を覆うように設けられた屋根材(図示無し)と、を備えている。
【0015】
本実施形態において、トラス架構2は、例えば、平面視6角形状をなしている。トラス架構2は、平面視6角形状に限らず、平面視矩形状等、他の形状であってもよい。
トラス架構2は、複数本の第1トラス梁10と、複数本の第2トラス梁20と、複数本の第3トラス梁30を、を有している。複数本の第1トラス梁10は、水平面内で第1方向D1に延びている。複数本の第1トラス梁10は、水平面内で第1方向D1に直交する第1直交方向D1wに等間隔をあけて、互いに平行に設けられている。複数本の第2トラス梁20は、水平面内で第1方向D1に対して交差する第2方向D2に延びている。複数本の第2トラス梁20は、水平面内で第2方向D2に直交する第2直交方向D2wに等間隔をあけて、互いに平行に設けられている。複数本の第3トラス梁30は、水平面内で第1方向D1、および第2方向D2の双方に対して交差する第3方向D3に延びている。複数本の第3トラス梁30は、水平面内で第3方向D3に直交する第3直交方向D3wに等間隔をあけて、互いに平行に設けられている。本実施形態において、第1方向D1と第2方向D2、第2方向D2と第3方向D3、第3方向D3と第1方向D1は、それぞれ、水平面内で120°ずつ角度を異ならせた方向となっている。
【0016】
本実施形態において、第1トラス梁10として、7本の第1トラス梁10A~10Gが設けられている。
7本の第1トラス梁10A~10Gのうち、第1直交方向D1wにおいて、中央部に位置する第1トラス梁10Dが、第1方向D1における梁長さが最も長い。第1トラス梁10Dは、平面視6角形状のトラス架構2において、対角状に位置する二つの角部C1、C4を結ぶように設けられている。
7本の第1トラス梁10A~10Gのうち、第1トラス梁10Dに対して第1直交方向D1wの一方側に配置された3本の第1トラス梁10C、10B、10Aは、第1トラス梁10Dから離れるにしたがって、第1方向D1における梁長さが、この順で順次短くなっている。
7本の第1トラス梁10A~10Gのうち、第1トラス梁10Dに対して第1直交方向D1wの他方側に配置された3本の第1トラス梁10E、10F、10Gは、第1トラス梁10Dから離れるにしたがって、第1方向D1における梁長さが、この順で順次短くなっている。
第1直交方向D1wで最も外側に位置する第1トラス梁10A、10Gは、トラス架構2において、角部C2と角部C3を結ぶ辺H1、角部C5と角部C6を結ぶ辺H4に対して、第1直交方向D1wでトラス架構2の中心部2c寄りに離れて設けられている。
【0017】
本実施形態において、第2トラス梁20として、7本の第2トラス梁20A~20Gが設けられている。
7本の第2トラス梁20A~20Gのうち、第2直交方向D2wにおいて、中央部に位置する第2トラス梁20Dが、第2方向D2における梁長さが最も長い。第2トラス梁20Dは、平面視6角形状のトラス架構2において、対角状に位置する二つの角部C2、C5を結ぶように設けられている。
7本の第2トラス梁20A~20Gのうち、第2トラス梁20Dに対して第2直交方向D2wの一方側に配置された3本の第2トラス梁20C、20B、20Aは、第2トラス梁20Dから離れるにしたがって、第2方向D2における梁長さが、この順で順次短くなっている。
7本の第2トラス梁20A~20Gのうち、第2トラス梁20Dに対して第2直交方向D2wの他方側に配置された3本の第2トラス梁20E、20F、20Gは、第2トラス梁20Dから離れるにしたがって、第2方向D2における梁長さが、この順で順次短くなっている。
第2直交方向D2wで最も外側に位置する第2トラス梁20A、20Gは、トラス架構2において、角部C3と角部C4を結ぶ辺H2、角部C6と角部C1を結ぶ辺H5に対して、第2直交方向D2wでトラス架構2の中心部2c寄りに離れて設けられている。
【0018】
本実施形態において、第3トラス梁30として、8本の第3トラス梁30A~30Hが設けられている。
8本の第3トラス梁30A~30Hのうち、第3直交方向D3wにおいて、中央部に位置する2本の第3トラス梁30D、30Eが、第3方向D3における梁長さが最も長い。2本の第3トラス梁30D、30Eは、平面視6角形状のトラス架構2において、対角状に位置する二つの角部C3、C6に対して、第3直交方向D3wの一方側と他方側に所定寸法オフセットした位置に設けられている。
8本の第3トラス梁30A~30Hのうち、第3トラス梁30Dに対して第3直交方向D3wの一方側に配置された3本の第3トラス梁30C、30B、30Aは、第3トラス梁30Dから離れるにしたがって、第3方向D3における梁長さが、この順で順次短くなっている。
8本の第3トラス梁30A~30Hのうち、第3トラス梁30Eに対して第3直交方向D3wの他方側に配置された3本の第3トラス梁30F、30G、30Hは、第3トラス梁30Eから離れるにしたがって、第3方向D3における梁長さが、この順で順次短くなっている。
第3直交方向D3wで最も外側に位置する第3トラス梁30A、30Hは、
図2に示されるように、その上弦材110が、トラス架構2において、角部C1と角部C2を結ぶ辺H3、角部C4と角部C5を結ぶ辺H6に沿って設けられている。
【0019】
これにより、第1トラス梁10(第1トラス梁10A~10G)と第2トラス梁20(第2トラス梁20A~20G)との交差部分に対し、第3トラス梁30(第3トラス梁30A~30H)は、その交差部分を通過しないように、位置をずらして設けられている。
トラス架構2において、複数本の第1トラス梁10と複数本の第2トラス梁20、複数本の第2トラス梁20と複数本の第3トラス梁30、複数本の第3トラス梁30と複数本の第1トラス梁10、がそれぞれ交差している。例えば、最も長い第1トラス梁10Cと最も長い第2トラス梁20Cは、トラス架構2の中心部2cで交差している。これに対し、最も長い2本の第3トラス梁30D、30Eは、トラス架構2の中心部2cに対して、第3直交方向D3wでずれた位置で、第1トラス梁10、及び第2トラス梁20に交差している。このように、複数本の第3トラス梁30の各々は、複数本の第1トラス梁10と複数本の第2トラス梁20とが交差する位置に対して、第3直交方向D3wにずれた位置で、第1トラス梁10、及び第2トラス梁20に交差している。つまり、トラス架構2において、第1トラス梁10と第2トラス梁20と第3トラス梁30の全てが互いに交差する箇所は存在しない。
【0020】
図3は、第1トラス梁を構成する木質トラス梁の構成を示す図である。
図4は、第2トラス梁を構成する木質トラス梁の構成を示す図である。
図5は、第3トラス梁を構成する木質トラス梁の構成を示す図である。
図6は、木質トラス梁の一部を示す拡大図である。
図3~
図6に示されるように、第1トラス梁10(例えば第1トラス梁10C)、第2トラス梁20(例えば第2トラス梁20D)、第3トラス梁30(例えば第3トラス梁30C)の各々は、以下に示すような木質トラス梁100によって構成されている。木質トラス梁100は、上弦材110と、下弦材120と、束材130と、斜材140と、を備えている。
【0021】
上弦材110は、木質トラス梁100の上部に設けられている。上弦材110は、木質トラス梁100の長さ方向Dである軸方向D(第1トラス梁10の場合は第1方向D1、第2トラス梁20の場合は第2方向D2、第3トラス梁30の場合は第3方向D3)に延びている。下弦材120は、上弦材110の下方に、上弦材110から間隔をあけて設けられている。下弦材120は、木質トラス梁100の軸方向Dに、上弦材110と平行に延びている。下弦材120は、上弦材110よりも、軸方向Dの長さが大きい。第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、上弦材110、下弦材120の長さは、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々の軸方向Dの長さに応じて設定されている。
また、木質トラス梁100の軸方向Dの両端部には、上弦材110の端部と下弦材120の端部とを接続する、端部斜材150が設けられている。
【0022】
束材130は、木質トラス梁100の軸方向Dに等間隔をあけて設けられている。束材130は、上下方向に延び、上弦材110と下弦材120とを上下方向に連結させる。
斜材140は、木質トラス梁100の軸方向Dで隣り合う束材130相互の間に設けられている。斜材140は、上弦材110と下弦材120、及び隣り合う2本の束材130相互の間で、斜め方向に延びている。斜材140は、上弦材110、下弦材120と、束材130との接合部に、接合されている。本実施形態においては、上弦材110と下弦材120、及び隣り合う2本の束材130により形成される、矩形形状の空間の2つの対角線のうち、一方の対角線上にのみ延在するように、斜材140は設けられている。したがって、軸方向Dにおいて両端よりも内側に設けられた束材130については、軸方向Dにおける一方の側と双方の側から、2つの斜材140が、その上弦材110または下弦材120との接合部に接合されている。軸方向Dにおいて両端よりも内側に設けられた束材130に関し、軸方向Dにおける一方の側で、斜材140が、束材130と上弦材110との接合部に接合されている場合においては、軸方向Dにおける他方の側においても、斜材140は、束材130と上弦材110との接合部に接合されている。同様に、軸方向Dにおいて両端よりも内側に設けられた束材130に関し、軸方向Dにおける一方の側で、斜材140が、束材130と下弦材120との接合部に接合されている場合においては、軸方向Dにおける他方の側においても、斜材140は、束材130と下弦材120との接合部に接合されている。このようにして、木質トラス梁100の軸方向Dにおいて、隣り合う斜材140相互は、傾斜方向が互いに異なる構造となっている。
【0023】
第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、軸方向Dにおける束材130の間隔は同一とされている。第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、束材130の本数は、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々の軸方向Dの長さに応じて設定される。
【0024】
上弦材110は木質の材料から形成されている。上弦材110は、第1軸部111と第2軸部112と、を備えている。第1軸部111、及び第2軸部112の各々は、木質トラス梁100の軸方向D(第1トラス梁10の場合は第1方向D1、第2トラス梁20の場合は第2方向D2、第3トラス梁30の場合は第3方向D3)に延びている。第1軸部111と第2軸部112とは、上下方向に重ねて設けられている。第1軸部111は、第2軸部112に対して、束材130側、つまり下側に位置している。第2軸部112は、第1軸部111に対して、束材130とは反対側、つまり上側に位置している。
第1軸部111、及び第2軸部112の各々は、木質トラス梁100の軸方向D(長さ方向)に、複数本の軸材113、114を並べることで形成されている。軸材113、114の各々は、木質トラス梁100の軸方向D(長さ方向)に所定長を有している。第1軸部111を構成する軸材113と、第2軸部112を構成する軸材114とは、同じ長さを有している。より詳細には、軸材113、114は、束材130と、当該束材130の2つ隣の束材130との間の間隔と、略等しい長さを有している。軸材113、114は、その中間部113c、114c、より正確には中央部が、いずれかの束材130の上方に位置するように、設けられている。軸材113、114は、その端部113s、114sが、いずれかの束材130の上方近辺に位置して、当該束材130の上方で終端するように、設けられている。
軸材114は、軸材113に、上方から図示されないパネルビス等をねじ込むことにより、接合されている。このようにして、軸材113、114相互が、上下に接合されている。上方から見た場合に、パネルビス等は、千鳥状に、すなわち隣りあうパネルビス等において幅方向における位置が互いに異なるように、配置されている。
【0025】
第1軸部111を構成する軸材113と、第2軸部112を構成する軸材114とは、木質トラス梁100の軸方向D(長さ方向)に位置をずらして配置されている。
図6に示されるように、第1軸部111を構成する軸材113の軸方向D両側の端部113sと、第2軸部112を構成する軸材114の軸方向D両側の端部114sが、長さ方向に異なる位置となるように配置されている。
軸方向Dで隣り合う軸材113の端部113s相互は、第2軸部112を構成する軸材114の軸方向Dの中間部114cの位置で、軸方向Dに間隔をあけて、互いに離間して配置されている。後に詳述するように、軸方向Dで隣り合う軸材113の端部113s相互の間には、当該木質トラス梁100に交差する他の木質トラス梁100Xの第1軸部111を構成する軸材113が通される。
また、軸方向Dで隣り合う軸材114の端部114s相互は、第1軸部111を構成する軸材113の軸方向Dの中間部113cの位置で、軸方向Dに間隔をあけて、互いに離間して配置されている。後に詳述するように、軸方向Dで隣り合う軸材114の端部114s相互の間には、当該木質トラス梁100に交差する他の木質トラス梁100Xの第2軸部112を構成する軸材114が通される。
【0026】
このようにして、束材130の各々においては、その上方に、第1軸部111を構成する軸材113と、第2軸部112を構成する軸材114の、いずれか一方の中間部113c、114c、より正確には中央部と、他方の端部113s、114sとが、設けられた構成となっている。
このような構成により、上弦材110は、軸方向Dにおけるどの位置においても、第1軸部111を構成する軸材113と、第2軸部112を構成する軸材114の、少なくともいずれか一方が、分断されずに延在して設けられている。
【0027】
下弦材120は木質の材料から形成されている。下弦材120は、第1軸部121と第2軸部122と、を備えている。第1軸部121、及び第2軸部122の各々は、木質トラス梁100の軸方向D(第1トラス梁10の場合は第1方向D1、第2トラス梁20の場合は第2方向D2、第3トラス梁30の場合は第3方向D3)に延びている。第1軸部121と第2軸部122とは、上下方向に重ねて設けられている。第1軸部121は、第2軸部122に対して、束材130側、つまり上側に位置している。第2軸部122は、第1軸部121に対して、束材130とは反対側、つまり下側に位置している。
第1軸部121、及び第2軸部122の各々は、木質トラス梁100の軸方向D(長さ方向)に、複数本の軸材123、124を並べることで形成されている。軸材123、124の各々は、木質トラス梁100の軸方向D(長さ方向)に所定長を有している。第1軸部121を構成する軸材123と、第2軸部122を構成する軸材124とは、同じ長さを有している。より詳細には、軸材123、124は、束材130と、当該束材130の2つ隣の束材130との間の間隔と、略等しい長さを有している。軸材123、124は、その中間部123c、124c、より正確には中央部が、いずれかの束材130の上方に位置するように、設けられている。軸材123、124は、その端部123s、124sが、いずれかの束材130の下方近辺に位置して、当該束材130の下方で終端するように、設けられている。
軸材124は、軸材123に、下方から図示されないパネルビス等をねじ込むことにより、接合されている。このようにして、軸材123、124相互が、上下に接合されている。下方から見た場合に、パネルビス等は、千鳥状に、すなわち隣りあうパネルビス等において幅方向における位置が互いに異なるように、配置されている。
【0028】
第1軸部121を構成する軸材123と、第2軸部122を構成する軸材124とは、木質トラス梁100の軸方向D(長さ方向)に位置をずらして配置されている。
図6に示されるように、第1軸部121を構成する軸材123の軸方向D両側の端部123sと、第2軸部122を構成する軸材124の軸方向D両側の端部124sが、長さ方向に異なる位置となるように配置されている。
軸方向Dで隣り合う軸材123の端部123s相互は、第2軸部122を構成する軸材124の軸方向Dの中間部124cの位置で、軸方向Dに間隔をあけて、互いに離間して配置されている。後に詳述するように、軸方向Dで隣り合う軸材123の端部123s相互の間には、当該木質トラス梁100に交差する他の木質トラス梁100Xの第1軸部121を構成する軸材123が通される。
また、軸方向Dで隣り合う軸材124の端部124s相互は、第1軸部121を構成する軸材123の軸方向Dの中間部123cの位置で、軸方向Dに間隔をあけて、互いに離間して配置されている。後に詳述するように、軸方向Dで隣り合う軸材124の端部124s相互の間には、当該木質トラス梁100に交差する他の木質トラス梁100Xの第2軸部122を構成する軸材124が通される。
【0029】
このようにして、束材130の各々においては、その下方に、第1軸部121を構成する軸材123と、第2軸部122を構成する軸材124の、いずれか一方の中間部123c、124c、より正確には中央部と、他方の端部123s、124sとが、設けられた構成となっている。
このような構成により、下弦材120は、軸方向Dにおけるどの位置においても、第1軸部121を構成する軸材123と、第2軸部122を構成する軸材124の、少なくともいずれか一方が、分断されずに延在して設けられている。
【0030】
下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123は、上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114と、軸方向D(長さ方向)で同じ位置に配置されている。下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124は、上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113と、軸方向D(長さ方向)で同じ位置に配置されている。
【0031】
図6に示すように、複数の束材130は、第1束材131と、第2束材132と、を有している。第1束材131と第2束材132は、軸方向Dで交互に配置されている。
第1束材131は、その上端部(端部)131tが、上弦材110の第1軸部111の軸材113の中間部113cに接合されている。第1束材131の下端部(端部)131bは、当該木質トラス梁100に交差する他の木質トラス梁100Xの下弦材120の第1軸部121の軸材123に接合されている。
図7は、軸材と、束材、及び斜材との接合部の斜視展開図である。
図6、
図7に示すように、第2束材132は、その下端部(端部)132bが、下弦材120の第1軸部121の軸材123において、軸方向Dの中間部123cに接合されている。第2束材132の上端部(端部)132tは、当該木質トラス梁100に交差する他の木質トラス梁100Xの上弦材110の第1軸部111の軸材113に接合されている。
本実施形態において、束材130は、木質の材料から形成されている。束材130は、木質以外の、例えば金属材料から形成してもよい。本実施形態において、束材130の横断面は、六角形状である。つまり、束材130は、上下方向に延びる六角柱状をなしている。束材130の横断面は、六角形状に限らず、円形状、または矩形状等としてもよい。
【0032】
各束材130に対して軸方向Dの両側に、斜材140が設けられている。軸方向Dにおいて、木質トラス梁100の両端部に位置する束材130においては、束材130に対して軸方向Dの一方側にのみ、斜材140が設けられている。
本実施形態において、斜材140は、木質の材料から形成されている。斜材140は、木質以外の、例えば金属材料から形成してもよい。
第1束材131に対しては、斜材140の上端部(端部)140aが、第1束材131と、上弦材110の第1軸部111の軸材113の中間部113cとの接合部に接合されている。
第2束材132に対しては、斜材140の下端部(端部)140bが、第2束材132と、下弦材120の第1軸部121の軸材123の中間部123cとの接合部に接合されている。
これにより、上弦材110の第1軸部111の軸材113の中間部113cには、第1束材131の上端部131tと、斜材140の上端部140aとが接合されている。また、下弦材120の第1軸部121の軸材123の中間部123cには、第2束材132の下端部132bと斜材140の下端部140bとが接合されている。
このように、斜材140の上端部140aと下端部140bは、上弦材110と下弦材120の、第1軸部111、121を構成する軸材113、123の中間部113c、123cに接合されており、端部113s、123s近傍には接合されていない。すなわち、斜材140が接合されている対象が、軸材113、123が継がれた部分ではなく、軸材113、123が軸方向Dに延在して通し材となっている部分であるため、斜材140に作用する応力が軸材113、123に作用しても、軸材113、123がこれに抗し得る構造となっている。
【0033】
本実施形態において、軸材113と、第1束材131の上端部131tと、斜材140の上端部140aは、接合金物160Aを介して接合されている。軸材123と、第2束材132の下端部132bと、斜材140の下端部140bは、接合金物160Bを介して接合されている。なお、接合金物160Aと、接合金物160Bは、上下が反転している以外は同様の構成である。
図6、
図7に示すように、下弦材120の第1軸部121の軸材123の中間部123cには、軸材123の軸方向Dに延びる切欠き125が形成されている。切欠き125は、軸材123の上面から下方に窪んでいる。また、第2束材132の下端部132bには、第2束材132の下面から上方に窪むスリット135Bが形成されている。
図6に示すように、上弦材110の第1軸部111の軸材113の中間部113cには、軸材113の軸方向Dに延びる切欠き115が形成されている。切欠き115は、軸材113の下面から上方に窪んでいる。また、第1束材131の上端部131tには、第1束材131の上面から下方に窪むスリット135Aが形成されている。
【0034】
また、
図7に示すように、本実施形態において、斜材140は、第1斜材141と、第2斜材142と、スペーサ143と、を備えている。第1斜材141と、第2斜材142は、軸方向D、及び上下方向に交差する幅方向に間隔をあけて配置されている。スペーサ143は、例えばゴム系材料、金属材料、樹脂材料等からなり、幅方向に所定の厚さを有している。スペーサ143は、斜材140の延伸方向の中間部にのみ設けられている。これにより、
図6、
図7に示すように、斜材140の上端部140a、下端部140bには、それぞれ、第1斜材141と第2斜材142との間に、スペーサ143の厚さに応じた隙間144A、144Bが形成されている。
【0035】
接合金物160A、160Bは、例えば金属板からなり、
図6、
図7に示すように、基部161と、張出部162、163と、を一体に有している。基部161は、軸材113、123の軸方向Dに延在し、切欠き115、125内に挿入されている。
張出部162は、基部161から束材130(第1束材131、第2束材132)に向けて張り出すように設けられている。張出部162は、束材130のスリット135A、135Bに挿入されている。
張出部163は、基部161から斜材140に向けて斜めに張り出すように設けられている。張出部163は、斜材140の隙間144A、144Bに挿入されている。
このような接合金物160A、160Bは、軸材113、123、第1束材131、第2束材132、及び斜材140に、ドリフトピン(図示無し)等によって接合されている。このような接合金物160A、160Bにより、第1軸部111、121と束材130、及び斜材140の各々が剛接合されている。
【0036】
図6において、木質トラス梁100に交差して、紙面に交差する方向に延びるように、他の木質トラス梁100Xが交差して設けられている。
図6に示される木質トラス梁100が第1トラス梁10を構成するものである場合には、この、交差して設けられる他の木質トラス梁100Xは、後に
図8を用いて説明するように、第2トラス梁20や第3トラス梁30を構成するものであり得る。同様に、
図6に示される木質トラス梁100が第2トラス梁20を構成するものである場合には、この、交差して設けられる他の木質トラス梁100Xは、第3トラス梁30や第1トラス梁10を構成するものであり得る。あるいは、
図6に示される木質トラス梁100が第3トラス梁30を構成するものである場合には、この、交差して設けられる他の木質トラス梁100Xは、第1トラス梁10や第2トラス梁20を構成するものであり得る。
後に詳細に説明するように、木質トラス梁100の束材130は、これに交差する他の木質トラス梁100Xにおいても、束材130として使用される。このため、各束材130においては、他の木質トラス梁100Xの、
図6においては図示されない斜材140が、紙面に交差する方向から接合される。
【0037】
例えば、
図6の第1束材131においては、その下方に、他の木質トラス梁100Xの下弦材120の第1軸部121の軸材123が、紙面に交差する方向に延在して通し材となるように、設けられており、第1束材131の下端部131bは、この軸材123の中間部123cに接合されている。したがって、他の木質トラス梁100Xの斜材140は、紙面に交差する方向から、第1束材131の下端部131bに接合されている。このため、第1束材131の下端部131bにおいては、他の木質トラス梁100Xの下弦材120の第1軸部121の軸材123、第1束材131、及び斜材140を接合する接合金物160Bが、紙面に交差する方向に延在するように設けられている。この接合金物160Bによって、木質トラス梁100の第1束材131は、下弦材120に接合されている。
また、
図6の第2束材132においては、その下方に、他の木質トラス梁100Xの上弦材110の第1軸部111の軸材113が、紙面に交差する方向に延在して通し材となるように、設けられており、第2束材132の上端部132tは、この軸材113の中間部113cに接合されている。したがって、他の木質トラス梁100Xの斜材140は、紙面に交差する方向から、第2束材132の上端部132tに接合されている。このため、第2束材132の上端部131tにおいては、他の木質トラス梁100Xの上弦材110の第1軸部111の軸材113、第2束材132、及び斜材140を接合する接合金物160Aが、紙面に交差する方向に延在するように設けられている。この接合金物160Aによって、木質トラス梁100の第2束材132は、上弦材110に接合されている。
【0038】
図8は、
図1、及び
図2において、円K1、K2で囲まれた部分のトラス架構2を示す斜視図である。
図8に示すように、第1トラス梁10と第2トラス梁20とが交差する位置J1、第2トラス梁20と第3トラス梁30とが交差する位置J2、第1トラス梁10と第3トラス梁30とが交差する位置J3には、それぞれ、束材130が配置されている。つまり、第1トラス梁10と第2トラス梁20は、それぞれ、一の束材130Aを共有し、一の束材130Aの位置J1において、交差して設けられている。第2トラス梁20と第3トラス梁30は、二の束材130Bを共有し、二の束材130Bの位置J2において交差して設けられている。第3トラス梁30と第1トラス梁10は、三の束材130Cを共有し、三の束材130Cの位置J3において、交差して設けられている。
【0039】
第1トラス梁10と第2トラス梁20とが交差する位置J1において、一の束材130Aの上端部は、第1トラス梁10を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111の中間部に、接合金物160A(
図6参照)を介して接合されている。
この、一の束材130Aの位置J1においては、第1トラス梁10を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113と、第2トラス梁20を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114が、平面視したときにその各々の中間部で交差して設けられている。
位置J1において、第1トラス梁10の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114の端部114sは、第2トラス梁20の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114の側面114fに対向して設けられている。位置J1において、第2トラス梁20の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113の端部113sは、第1トラス梁10の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113の側面113fに対向して設けられている。
【0040】
第1トラス梁10と第2トラス梁20とが交差する位置J1において、一の束材130Aの下端部は、第2トラス梁20を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121の中間部に、接合金物160B(
図6、
図7参照)を介して接合されている。
この、一の束材130Aの位置J1においては、第1トラス梁10を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124と、第2トラス梁20を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123が、平面視したときにその各々の中間部で交差して設けられている。
位置J1において、第1トラス梁10の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123の端部123sは、第2トラス梁20の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123の側面123fに対向して設けられている。位置J1において、第2トラス梁20の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124の端部124sは、第1トラス梁10の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124の側面124fに対向して設けられている。
【0041】
第2トラス梁20と第3トラス梁30とが交差する位置J2において、二の束材130Bの上端部は、第2トラス梁20を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111の中間部に、接合金物160A(
図6参照)を介して接合されている。
この、二の束材130Bの位置J2においては、第2トラス梁20を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113と、第3トラス梁30を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114が、平面視したときにその各々の中間部で交差して設けられている。
位置J2において、第2トラス梁20の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114の端部114sは、第3トラス梁30の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114の側面114fに対向して設けられている。位置J2において、第3トラス梁30の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113の端部113sは、第2トラス梁20の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113の側面113fに対向して設けられている。
【0042】
第2トラス梁20と第3トラス梁30とが交差する位置J2において、二の束材130Bの下端部は、第3トラス梁30を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121の中間部に、接合金物160B(
図6、
図7参照)を介して接合されている。
この、二の束材130Bの位置J2においては、第2トラス梁20を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124と、第3トラス梁30を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123が、平面視したときにその各々の中間部で交差して設けられている。
位置J2において、第2トラス梁20の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123の端部123sは、第3トラス梁30の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123の側面123fに対向して設けられている。位置J2において、第3トラス梁30の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124の端部124sは、第2トラス梁20の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124の側面124fに対向して設けられている。
【0043】
第3トラス梁30と第1トラス梁10とが交差する位置J3において、三の束材130Cの上端部は、第3トラス梁30を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111の中間部に、接合金物160A(
図6参照)を介して接合されている。
この、三の束材130Cの位置J3においては、第3トラス梁30を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113と、第1トラス梁10を構成する木質トラス梁100の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114が、平面視したときにその各々の中間部で交差して設けられている。
位置J3において、第3トラス梁30の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114の端部114sは、第1トラス梁10の上弦材110の第2軸部112を構成する軸材114の側面114fに対向して設けられている。位置J3において、第1トラス梁10の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113の端部113sは、第3トラス梁30の上弦材110の第1軸部111を構成する軸材113の側面113fに対向して設けられている。
【0044】
第3トラス梁30と第1トラス梁10とが交差する位置J3において、三の束材130Cの下端部は、第1トラス梁10を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121の中間部に、接合金物160B(
図6、
図7参照)を介して接合されている。
この、三の束材130Cの位置J3においては、第3トラス梁30を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124と、第1トラス梁10を構成する木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123が、平面視したときにその各々の中間部で交差して設けられている。
位置J3において、第3トラス梁30の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123の端部123sは、第1トラス梁10の下弦材120の第1軸部121を構成する軸材123の側面123fに対向して設けられている。位置J3において、第1トラス梁10の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124の端部124sは、第3トラス梁30の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124の側面124fに対向して設けられている。
【0045】
図9は、木質トラス梁の端部の定着構造を示す断面図である。
第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、各木質トラス梁100の軸方向Dの端部100eは、構造物1の外周部に設けられた外周壁4上に、接合部材70と、アンカー部材80とを介して接合されている。接合部材70は、外周壁4の上面に沿って設けられるベースプレート71と、ベースプレート71の上面から上方に立ち上がる立ち上がりプレート72と、を一体に有している。ベースプレート71は、外周壁4の上面に、所定の厚さのモルタル73を介して設けられている。ベースプレート71には、外周壁4内に埋設されたアンカー部材80の上端部80tが定着されている。立ち上がりプレート72は、木質トラス梁100の端部100eにおいて、下弦材120の軸方向Dの端部にドリフトピン等を用いてピン接合される部分72aと、端部斜材150の下端部にドリフトピン等を用いてピン接合される部分72bと、を一体に有している。
【0046】
図10は、トラス架構の組立手順を示す図であり、下弦材をトラス架構の中心部から組む状態を示す平面図である。
図11は、同、下弦材の第2軸部を組んだ状態を示す図である。
図12は、同、下弦材の第2軸部上に第1軸部を組んだ状態を示す図である。
図13は、同、下弦材上に束材を組んだ状態を示す図である。
図14は、同、束材上に、上弦材の第1軸部を組んだ状態を示す図である。
図15は、同、上弦材の第1軸部上に第2軸部を組んだ状態を示す図である。
上記したような木質トラス梁100を用いてトラス架構2を組み立てるには、例えば、以下のようにして、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々を構成する木質トラス梁100の各構成部材を順次組み立てていく。
まず、構造物1の施工現場の床面上に複数設置した支保工(図示無し)上で、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、
図10、
図11に示すように、木質トラス梁100の下弦材120の第2軸部122を構成する軸材124を複数配置する。このとき、複数本の軸材124は、例えば、形成するトラス架構2の中心部2cから外側に向かって順次配置していくようにしてもよい。
次いで、
図12に示すように、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121の複数本の軸材123を、軸材124(下弦材120の第2軸部122)上に組む。
【0047】
次に、
図13に示すように、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、木質トラス梁100の下弦材120の第1軸部121の軸材123上に、複数本の束材130を組む。
続いて、
図14に示すように、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、木質トラス梁100の複数本の束材130上に、木質トラス梁100の上弦材110の第1軸部111の複数本の軸材113を組む。
更に、
図15に示すように、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、木質トラス梁100の第1軸部111の複数本の軸材113上に、上弦材110の第2軸部112を構成する複数本の軸材114を組む。
【0048】
その後、
図3~
図5に示すように、第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30の各々において、木質トラス梁100の上弦材110と下弦材120との間で、軸方向Dで隣り合う束材130相互の間に、それぞれ、斜材140を組み込む。斜材140は、第1斜材141と第2斜材142とを、幅方向に重ね合わせる、いわゆる二丁合せになっているため、上弦材110、下弦材120、及び束材130を組んだ後に、最後に、幅方向からはめ込むように組むことができる。このとき、斜材140の組み込みを容易におこなうため、調整代としてドリフトピンの孔開けは現場で実測後に行うなど、施工誤差を吸収できるよう配慮するのが好ましい。
【0049】
上述したような木質トラス梁100によれば、構造物1の屋根または床を形成する木質トラス梁100であって、木質の上弦材110と下弦材120、及び、上弦材110と下弦材120とを上下方向と斜め方向にそれぞれ連結させる、束材130と斜材140と、を備え、上弦材110と下弦材120の双方は、各々が長さ方向(軸方向)Dに軸材113、114、123、124を並べて形成された第1軸部111、121と第2軸部112、122を備え、第1軸部111、121と第2軸部112、122は、第1軸部111、121が第2軸部112、122よりも束材130側に位置するように、上下に並んで設けられ、上弦材110と下弦材120の双方において、第1軸部111、121と第2軸部112、122は、第1軸部111、121の軸材113、123の端部113s、123sと、第2軸部112、122の軸材114、124の端部114s、124sが長さ方向Dに異なる位置となるように、軸材113、123と、軸材114、124が長さ方向Dにずらして配置されて、第1軸部111、121の軸材113、123と、第2軸部112、122の軸材114、124が上下に接合されている。
上記のような構成によれば、木質トラス梁100の上弦材110と下弦材120の双方は、長さ方向Dに軸材113、114、123、124を並べて第1軸部111、121と第2軸部112、122を形成し、これらを上下に並べて、軸材113、114、123、124相互を上下に接合することで、構築されている。ここで、第1軸部111、121と第2軸部112、122は、軸材113、114、123、124の端部113s、114s、123s、124sが長さ方向Dに異なる位置となるように、軸材113、114、123、124が長さ方向Dにずらして配置されている。このため、第1軸部111、121と第2軸部112、122が形成された上弦材110と下弦材120の双方においては、長さ方向Dのどの部分においても、第1軸部111、121と第2軸部112、122のいずれかの軸材113、114、123、124が、長さ方向Dに延在して、通し材となっている。これにより、長さ方向Dのどの部分においても、この通し材となった軸材113、114、123、124が、軸力、せん断力、曲げの、各種応力を負担することができる。したがって、長さ方向Dにおいて強固な構造を実現することができる。
このような構造を実現するに際しては、軸材113、114、123、124を長さ方向Dに並べて、軸材113、114、123、124相互を上下に接合することで、第1軸部111、121と第2軸部112、122を実現すればよいため、上弦材110や下弦材120を実現するのに一枚板が不要となる。また、このような構成によって、既に説明したように強固な構造を実現することができるため、軸材113、114、123、124相互の連結のために、軸材113、114、123、124の特殊な加工や、特別な金物等を必要としない。これにより、木質トラス梁100を構築するためのコストを低減することができる。
特に、木質トラス梁100に他の梁等の構造(他の木質トラス梁)100Xを交差させる場合においては、他の構造100Xの部材を、第1軸部111、121と第2軸部112、122で長さ方向Dに並べられた軸材113、114、123、124相互の、端部113s、114s、123s、124sの間に設けて、他の構造100Xの部材が木質トラス梁100を貫いて交差する方向に延在する通し材となるように、設けることが可能となる。このように、交差する方向の他の構造100Xが、木質トラス梁100によって分断されないため、木質トラス梁100を交差する方向に貫く、通し材として設けられた部材に、交差する方向における、軸力、せん断力、曲げの、各種応力を負担させることができる。したがって、交差する方向においても、その構造を強固なものとすることができる。
このようにして、コストを低減しつつ、長さ方向Dに強固な構造を実現し、かつ他の構造100Xを強度の低減を抑制しつつ交差させることができる、木質トラス梁100を提供することができる。
【0050】
また、第1軸部111、121の軸材113、123の中間部113c、123cには、束材130と斜材140の端部131t、132t、131b、132b、140a、140bが接合され、平板状の接合金物160A、160Bを更に備え、接合金物160A、160Bは、長さ方向Dに延在して第1軸部111、121の内部に設けられる基部161と、基部161から束材130と斜材140の各々に向けて張り出すように設けられて、束材130と斜材140の各々の内部に設けられる張出部162、163と、を備え、接合金物160A、160Bにより、第1軸部111、121と束材130、及び斜材140の各々が剛接合されている。
このような構成によれば、第1軸部111、121の軸材113、123の中間部113c、123cに束材130と斜材140の端部131t、132t、131b、132b、140a、140bが接合される部分において、接合金物160A、160Bにより、第1軸部111、121と束材130、及び斜材140の各々が剛接合されている。接合金物160A、160Bの基部161が第1軸部111、121の内部に設けられ、接合金物160A、160Bの張出部162、163が束材130と斜材140の各々の内部に設けられている。これにより、第1軸部111、121の軸材113、123の中間部113c、123cと、束材130と斜材140の端部131t、132t、131b、132b、140a、140bとを、接合金物160A、160Bにより強固に接合しつつ、接合金物160A、160Bが露呈して外観を損なうのを抑えることができる。
特に、斜材140が接合されている対象が、軸材113、123が継がれた部分ではなく、軸材113、123が長さ方向Dに延在して通し材となっている中間部113c、123cであるため、斜材140に作用する応力が第1軸部111、121に作用しても、軸材113、123がこれに、効率的に抗し得る。したがって、長さ方向Dの強度をより強固なものとすることができる。
【0051】
また、斜材140は、第1斜材141と第2斜材142を、長さ方向Dに直交する幅方向に重ね合わせて接合されている。
このような構成によれば、斜材140が、第1斜材141と第2斜材142とを、幅方向に重ね合わせる、いわゆる二丁合せになっている。このため、上弦材110、下弦材120、及び束材130を組んだ後に、最後に、第1斜材141と第2斜材142を、幅方向からはめ込むように組むことができ、組み立て作業性が向上する。
【0052】
また、長さ方向Dに並べられた軸材113、114、123、124相互は、端部113s、114s、123s、124sが互いに離間して設けられている。
このような構成によれば、軸材113、114、123、124相互の端部113s、114s、123s、124sが互いに離間して設けられている。これにより、互いに離間した軸材113、114、123、124相互の端部113s、114s、123s、124s間に、木質トラス梁100に交差するように設けられた他の構造の部材(例えば他の木質トラス梁100Xの軸材113、114、123、124)を通すことができる。これにより、他の構造の連続性を確保し、他の構造の強度が低減されるのを抑えることができる。
【0053】
(その他の変形例)
なお、本発明の木質トラス梁は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、トラス架構2を構成する木質トラス梁100を例示したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、
図16に示すように、木質トラス梁100Bは、斜材140Bの配置が異なる、ハウトラス構造であってもよい。
また、
図17に示すように、木質トラス梁100Cは、斜材140Cの配置が異なる、プラットトラス構造であってもよい。
また、
図17に示すように、木質トラス梁100Dは、上弦材110Dの形状が異なる、曲弦プラットトラス構造であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、トラス架構2が、第1方向D1に延びる第1トラス梁10と、第2方向D2に延びる第2トラス梁20と、第3方向D3に延びる第3トラス梁30と、を備える構成としたがこれに限られない。
例えば、トラス架構2は、第1方向D1に延びる第1トラス梁10と、第2方向D2に延びる第2トラス梁20のみを備えるようにしてもよい。この場合、第1トラス梁10が延びる第1方向D1と、第2トラス梁20が延びる第2方向D2とは、互いに直交させるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、各々が木質トラス梁100によって構成される第1トラス梁10と第2トラス梁20、第2トラス梁20と第3トラス梁30、第3トラス梁30と第1トラス梁10とが交差するようにしたが、これに限られない。木質トラス梁100によって構成される第1トラス梁10、第2トラス梁20、第3トラス梁30が、他の梁材と交差する場合においても、本発明を適用可能である。
更に、木質トラス梁100は、上記実施形態で示したようなトラス架構2を構成する以外に、他の様々な用途に利用可能である。
【0056】
また、上記実施形態においては、上弦材110と下弦材120の双方が、各々が長さ方向(軸方向)Dに軸材113、114、123、124を並べて形成された第1軸部111、121と第2軸部112、122を備えるように構成されていたが、これに限られず、上弦材110と下弦材120のいずれか一方が、各々が長さ方向(軸方向)Dに軸材113、114、123、124を並べて形成された第1軸部111、121と第2軸部112、122を備えるように、構成されていてもよい。
すなわち、構造物1の屋根または床を形成する木質トラス梁100は、木質の上弦材110と下弦材120、及び、上弦材110と下弦材120とを上下方向と斜め方向にそれぞれ連結させる、束材130と斜材140と、を備え、上弦材110は、各々が長さ方向(軸方向)Dに軸材113、114を並べて形成された第1軸部111と第2軸部112を備え、第1軸部111と第2軸部112は、第1軸部111が第2軸部112よりも束材130側に位置するように、上下に並んで設けられ、第1軸部111と第2軸部112は、第1軸部111の軸材113の端部113sと、第2軸部112の軸材114の端部114sが長さ方向Dに異なる位置となるように、軸材113と、軸材114が長さ方向Dにずらして配置されて、第1軸部111の軸材113と、第2軸部112の軸材114が上下に接合されていてもよい。
あるいは、構造物1の屋根または床を形成する木質トラス梁100は、木質の上弦材110と下弦材120、及び、上弦材110と下弦材120とを上下方向と斜め方向にそれぞれ連結させる、束材130と斜材140と、を備え、下弦材120は、各々が長さ方向(軸方向)Dに軸材123、124を並べて形成された第1軸部121と第2軸部122を備え、第1軸部121と第2軸部122は、第1軸部121が第2軸部122よりも束材130側に位置するように、上下に並んで設けられ、第1軸部121と第2軸部122は、第1軸部121の軸材123の端部123sと、第2軸部122の軸材124の端部124sが長さ方向Dに異なる位置となるように、軸材123と、軸材124が長さ方向Dにずらして配置されて、第1軸部121の軸材123と、第2軸部122の軸材124が上下に接合されていてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 構造物 140、140B、140C 斜材
100、100B~100D 木質トラス梁 140a 斜材の上端部(端部)
110、110D 上弦材 140b 斜材の下端部(端部)
120 下弦材 141 第1斜材
111、121 第1軸部 142 第2斜材
113、123 第1軸部の軸材 160A、160B 接合金物
113s、123s 第1軸部の軸材の端部 161 基部
113c、123c 第1軸部の軸材の中間部 162、163 張出部
112、122 第2軸部 D 軸方向(長さ方向)
114、124 第2軸部の軸材
130、130A~130C 束材
131t、132t 束材の上端部(端部)
131b、132b 束材の下端部(端部)