IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合同会社PlusenNaの特許一覧

特開2025-10644パン酵母種に関わる酵母以外の原料の組成及び製造法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010644
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】パン酵母種に関わる酵母以外の原料の組成及び製造法
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/08 20060101AFI20250116BHJP
   A23L 11/45 20210101ALI20250116BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20250116BHJP
   A21D 13/00 20170101ALN20250116BHJP
【FI】
A21D2/08
A23L11/45 105Z
A23L5/00 J
A21D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112725
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】723009674
【氏名又は名称】合同会社PlusenNa
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 絵梨奈
【テーマコード(参考)】
4B020
4B032
4B035
【Fターム(参考)】
4B020LB24
4B020LC05
4B020LG06
4B020LK05
4B020LK10
4B020LK17
4B020LP15
4B020LP18
4B020LS09
4B032DB01
4B032DB24
4B032DG08
4B032DK12
4B032DK21
4B032DK31
4B032DK33
4B032DK54
4B032DP23
4B032DP33
4B032DP40
4B035LC06
4B035LG19
4B035LG32
4B035LG33
4B035LG50
4B035LP02
4B035LP07
4B035LP21
4B035LP31
4B035LP42
(57)【要約】
【課題】近年の小麦アレルギー患者の増加や健康嗜好の高まりによるグルテンフリー素材の供給に寄与するため、グルテンフリー素材を用いてパン酵母種を開発する必要が出てきた。しかしながらグルテンフリー素材を用いたパン酵母種は皆無である。そこで本発明では、パン酵母種に関わる酵母以外の原料の組成及び製造法を確立することを課題とする。
【解決手段】本発明ではこれまで皆無であったグルテンフリー素材を、高野豆腐粉末を利用することで、グルテンフリーのパン酵母種の製造を可能にした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パン酵母種に関わる酵母以外の原料の組成及び製造法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン酵母種に関わる酵母以外の原料の組成及び製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にパン酵母種の原料には小麦粉が使用される。一方で近年のアレルギー罹患者の増加や健康嗜好の高まりにより、グルテンフリー素材の需要が高まりつつある。グルテンとは、小麦アレルギー患者がアレルギーを発症するタンパク質の一つである。特に、大豆や米の粉はグルテンフリー素材として日本だけでなく国際的にも注目が集まっている。これまでに大豆と米の粉が持つ生体調節機能が研究を進めら、グルテンフリー素材としての有用性が示されてきた(非特許文献1-3)。
【0003】
一方で、大豆と米の粉の種原料としての可能性についてはこれまでに研究はなく、実用化の例は皆無であった。
【0004】
皆無である理由はパン製造の際、基本的に小麦粉が使われるため、根本的に大豆や米の粉を原料とする酵母種を開発する機運が欠如していたことに起因する。
【0005】
この改善策として、大豆加工食品である高野豆腐粉末(凍り豆腐粉末と同義)を利用してグルテンフリーパン酵母種を製造することを画策した。グルテンフリーパン酵母種の原料組成は「高野豆腐」、「糖質」、「果汁」及び「酵母」である。これまでに「高野豆腐」を用いた酵母種は皆無であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】荻田 佑ら著 「A soybean resistant protein-containing diet increased the production of Reg3γ through the regulation of the gut microbiota and enhanced the intestinal barrier function in mice」FRONTIERS IN NUTRITION 2021年
【0007】
【非特許文献2】荻田 佑著 「ダイズ難消化性たん白質の腸内細菌を介した免疫制御機構の解明」大豆たん白質研究 2019年
【0008】
【非特許文献3】荻田 佑著 「コメ難消化性タンパク質による腸管バリア機能増強効果」年報/飯島藤十郎記念食品科学振興財団 2018年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、グルテンフリー素材の需要の高まりがあるものの、パン酵母種にはグルテンフリー素材を使用したものが存在しないことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、グルテンフリー素材である高野豆腐粉末を利用することで、グルテンフリーのパン酵母種の製造を可能にした。
【発明の効果】
【0011】
高野豆腐粉末と米粉を使用することでグルテンフリーのパンや保存用パンの製造が可能となる。高野豆腐粉末と米粉にはレジスタントプロテインが含まれており整腸作用や免疫調節作用が報告されている(非特許文献1-3)。近年増加する災害時に、小麦アレルギー罹患者の非常食としての役割を担うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
酵母に下記材料を混合することでグルテンフリーパン酵母を製造することができる。すなわち、高野豆腐粉末、糖質及び果汁である。混合比率は4対0.1対1である。
【実施例0013】
パンの製造には、大豆あるいは米の粉、酵母種及び水を下記の比率で混合する。すなわち1対1対2の割合である。
【0014】
上記の材料を混合し、4℃で48時間静置し発酵させる。
【0015】
上記を48時間後、発酵物を大豆あるいは米の粉を下記の比率で混合する。すなわち1対4である。
【0016】
上記を室温で適宜発酵し、成形後、焼成する。
【0017】
高野豆腐粉末と米粉にはレジスタントプロテインが含まれており整腸作用や免疫調節作用が報告されている(非特許文献1-3)。
【0018】
レジスタントプロテインとはヒトの消化管で消化されにくいタンパク質の総称である。
【実施例0019】
保存用パン(乾パンと同義)の製造には、大豆あるいは米の粉、酵母種及び水を下記の比率で混合する。すなわち4対1対3の割合である。
【0020】
上記の材料を混合し、25℃で10分静置し発酵させる。
【0021】
上記を10分後、発酵物を成形後、焼成する。
【0022】
高野豆腐粉末と米粉にはレジスタントプロテインが含まれており、腸管上皮細胞からの抗菌ペプチドの分泌を促すことに起因する、整腸作用を発揮することを報告している(非特許文献1-3)。
【0023】
上記の抗菌ペプチドとは、腸管上皮細胞から分泌される抗菌効果のあるタンパク質の総称である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
高野豆腐粉末と米粉を使用することでグルテンフリーのパンや保存用パンの製造が可能となる。高野豆腐粉末と米粉にはレジスタントプロテインが含まれており整腸作用や免疫調節作用が報告されており(非特許文献1-3)、近年増加する災害時に、小麦アレルギー罹患者の非常食としての役割を担うことができる。
【実施例0025】
油菓子の製造には、大豆あるいは米の粉、酵母種、サラダ油、卵及び牛乳を下記の比率で混合する。すなわち4対1対0.6対、1対1の割合である。
【0026】
上記の材料を混合し、4℃で48時間静置し発酵させる。
【0027】
上記48時間後、発酵物を成形後、油で揚げる。
【符号の説明】
【0028】
1 高野豆腐
2 レジスタントプロテイン
3 抗菌ペプチド
4 保存用パン
5 腸管上皮細胞