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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010654
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H10D 89/60 20250101AFI20250116BHJP
   H10D 89/00 20250101ALI20250116BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112739
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森下 泰之
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038BH13
5F038CA03
5F038CD02
5F038CD03
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】高いESD耐性を確保し、かつ、小面積のESD保護回路によって半導体装置を保護することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体装置は、第1電源配線と第1接地配線との間に接続された入出力セルと、第2電源配線と第2接地配線との間に接続されたコアロジック回路と、第1電源配線と第1接地配線との間に接続された第1電源セルおよび第2電源セルと、第2電源配線と第2接地配線との間に接続された第3電源セルおよび第4電源セルと、を有する。第1電源セル、前記第2電源セル、前記第3電源セルおよび前記第4電源セルのおのおのは、対応する電源配線と対応する接地配線との間に接続された保護回路と、第1接地配線と第2接地配線との間に接続された双方向ダイオードと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源電位の供給される第1電源配線と、
第2電源電位の供給される第2電源配線と、
第1接地電位の供給される第1接地配線と、
第2接地電位の供給される第2接地配線と、
前記第1電源配線と前記第1接地配線との間に接続された入出力セルと、
前記第2電源配線と前記第2接地配線との間に接続されたコアロジック回路と、
前記第1電源配線と前記第1接地配線との間に接続された第1電源セルおよび第2電源セルと、
前記第2電源配線と前記第2接地配線との間に接続された第3電源セルおよび第4電源セルと、
を有し、
前記第1電源セル、前記第2電源セル、前記第3電源セルおよび前記第4電源セルのおのおのは、
対応する電源配線と対応する接地配線との間に接続された保護回路と、
前記第1接地配線と前記第2接地配線との間に接続された双方向ダイオードと、を含む、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置において、
前記第1電源セルおよび前記第2電源セルの前記双方向ダイオードは、平面視において、前記コアロジック回路と前記保護回路との間に配置され、
前記第3電源セルおよび前記第4電源セルの前記双方向ダイオードは、平面視において、前記保護回路が前記コアロジック回路と前記双方向ダイオードとの間に配置されるように、半導体チップの端部側に配置される、半導体装置。
【請求項3】
請求項2の半導体装置において、
前記入出力セルは、出力トランジスタと入出力ロジック回路とを含み、
前記第1電源配線は、
前記出力トランジスタに接続された第3電源配線と、
前記第3電源配線と分離され、前記入出力ロジック回路に接続された第4電源配線と、を含み、
前記入出力ロジック回路は、前記第4電源配線と前記第1接地配線との間に接続され、
さらに、前記第4電源配線と前記第1接地配線との間に接続された第5電源セルとを含み、
前記第5電源セルは、
前記第4電源配線と前記第1接地配線との間に接続された保護回路と、
前記第1接地配線と前記第2接地配線との間に接続された双方向ダイオードと、を含む、半導体装置。
【請求項4】
請求項3の半導体装置において、
前記第5電源セルの前記双方向ダイオードは、平面視において、前記第5電源セルの前記保護回路が前記コアロジック回路と前記双方向ダイオードとの間に配置されるように、半導体チップの端部側に配置される、半導体装置。
【請求項5】
請求項2の半導体装置において、
平面視において、前記第1電源セル、前記第2電源セル、前記入出力セル、前記第3電源セル、前記第4電源セルがこの順で、前記コアロジック回路と前記半導体チップの前記端部との間に配置される、半導体装置。
【請求項6】
請求項4の半導体装置において、
平面視において、前記第1電源セル、前記第2電源セル、前記第5電源セル、前記入出力セル、前記第3電源セル、前記第4電源セルがこの順で、前記コアロジック回路と前記半導体チップの前記端部との間に配置される、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、静電気保護回路を有する半導体装置に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
特開2020-161721号公報に示される様に、半導体装置の外部から入出力パッド電極に入力された信号は、順に、ESD保護素子(ESD:Electro-Static-Discharge)保護回路とも言う)と入出力ロジック回路とを含む入出力セル、レベルシフト回路を経由して内部回路(コアロジック回路)に転送される半導体装置がある。また、国際公開第2016/203648号に示される様に、半導体チップの外周の端部沿って設けたIO領域に、入出力セルや電源セルを配置し、半導体チップのIO領域に囲まれた中央領域に内部回路を設けた半導体装置がある。
【0003】
半導体装置のESD試験として、CDM試験がある。CDM試験は、デバイス帯電モデル(CDM法:Charged Device Model)であり、試験対象である半導体装置自身が帯電しており、試験対象の半導体装置から静電気が放電された場合を模擬した試験である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-161721号公報
【特許文献2】国際公開第2016/203648号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置に対するCDM試験において、ESD保護回路よりも先に入力ロジック回路や内部回路が電位差により破壊しやすくなることがある。
【0006】
本開示は、高いESD耐性を確保し、かつ、小面積のESD保護回路によって半導体装置を保護することが可能な技術を提供することにある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1電源配線と第1接地配線との間に接続された入出力セルと、第2電源配線と第2接地配線との間に接続されたコアロジック回路と、第1電源配線と第1接地配線との間に接続された第1電源セルおよび第2電源セルと、第2電源配線と第2接地配線との間に接続された第3電源セルおよび第4電源セルと、を有する。第1電源セル、前記第2電源セル、前記第3電源セルおよび前記第4電源セルのおのおのは、対応する電源配線と対応する接地配線との間に接続された保護回路と、第1接地配線と第2接地配線との間に接続された双方向ダイオードと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
上記一実施の形態に係る半導体装置によれば、高いESD耐性を確保し、かつ、小面積のESD保護回路によって半導体装置を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1に係る半導体装置の全体的なレイアウト配置図である。
図2図2は、実施例1に係る半導体装置の概略的なブロック図である。
図3図3は、図2の半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。
図4図4は、実施例1に係る半導体装置の効果を説明する図である。
図5図5は、実施例2に係る半導体装置の概略的なブロック図である。
図6図6は、図5の半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。
図7図7は比較例1に係る半導体装置の概略的なブロック図である。
図8図8は比較例1に係る半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。
図9図9は比較例2に係る半導体装置の概略的なブロック図である。
図10図10は比較例2に係る半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。
図11図11は、比較例1に係る半導体装置の課題を説明する図である。
図12図12は、比較例1に係る半導体装置の他の課題を説明する図である。
図13図13は、比較例2に係る半導体装置の課題を説明する図である。
図14図14は、比較例2に係る半導体装置の他の課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例0013】
実施例1に係る半導体装置10について、図1図3を用いて説明する。図1は、実施例1に係る半導体装置の全体的なレイアウト配置図である。図2は、実施例1に係る半導体装置の概略的なブロック図である。図3は、図2の半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。図1において、Vで示す点線の領域のレイアウト配置が図3に示されている。
【0014】
図1に示すように、半導体装置10は、単結晶シリコンのような矩形の半導体チップ101の外周部に、入出力セル(IOC)11および第1電源セル(IO用電源セルIOPC)12(IO用電源セル12A、IO用電源セル12B)、第2電源セル(コア用電源セルCPC)13(コア用電源セル13A、コア用電源セル13B)を備える。IO用電源セル12Aは第1電源セルと、IO用電源セル12Bは第2電源セルと、コア用電源セル13Aは第3電源セルと、コア用電源セル13Bは第4電源セルと、言い換えることができる。
【0015】
入出力セル11、第1電源セル12および第2電源セル13が配置される領域をIO領域IORという。IO領域IORは平面視で半導体チップ101のチップ端部(エッジ)の4つの辺21,22,23,24に沿って設けられる。4つの辺21,22,23,24は、第1辺21と、第1辺21に対向して設けられた第3辺23と、第1辺21と第3辺23との間に設けられた第2辺22と、第2辺22に対向して設けられた第4辺24とを含む。
【0016】
半導体装置10は、また、コアロジック回路(CORE-LOG)としての内部回路14を備える。内部回路14が配置されるコアロジック領域(中央領域、第2領域とも言う)CERは、半導体チップ101の中央部分に設けられており、IO領域に囲まれた領域である。
【0017】
入出力セル11は1つの入出力パッドに接続される入出力回路の形成領域である。電源セル12、13はESD(ESD:Electro-Static-Discharge)やノイズから半導体装置10を保護するESD保護回路(CESD、ESD)およびチップ内部へ電源電位(VDDIO,VDD)または接地電位(VSSIO、VSS)を供給する配線の形成領域である。
【0018】
電源インピーダンスを均等に小さくする必要から、電源セル12、13は、入出力セル11毎に分散して配置され、入出力セル11と入出力セル11の間へ隣接して配置される。
【0019】
電源電位(VDDIO,VDD)は、入出力セル11の第1電源電位VDDIOと、内部回路14の第2電源電位VDDと、を含む。同様に、接地電位(VSSIO、VSS)は、入出力セル11の第1接地電位VSSIOと、内部回路14の第2接地電位VSSと、を含む。第1電源電位VDDIOは、第2電源電位VDDより大きい電位(VDDIO>VDD)とすることができる。入出力セル11には、第1電源電位VDDIO、第1接地電位VSSIO、第2電源電位VDDおよび第2接地電位VSSが電源配線を介して供給される。内部回路14には、第2電源電位VDDおよび第2接地電位VSSが電源配線を介して供給される。
【0020】
IO用電源セル12Aは、ESD保護回路(ESD)とブリッジ回路15とを含み、第1電源電位VDDIOを電源配線(第1電源配線L1)へ供給する。IO用電源セル12Bは、ESD保護回路(ESD)とブリッジ回路15とを含み、第1接地電位VSSIOを電源配線(L2:第1接地配線とも言う)へ供給する。ESD保護回路(ESD)は、Nチャネル型のMOSトランジスタNMで構成することができる。
【0021】
コア用電源セル13Aは、ESD保護回路(CESD)とブリッジ回路15とを含み、第2電源電位VDDを電源配線(第2電源配線L3)へ供給する。コア用電源セル13Bは、ESD保護回路(CESD)とブリッジ回路15とを含み、第2接地電位VSSを電源配線(L4:第2接地配線とも言う)へ供給する。ESD保護回路(CESD)は、Nチャネル型のMOSトランジスタNMで構成することができる。
【0022】
ESD保護回路(ESD)(つまり、ESD保護回路(ESD)を構成するNチャネル型のMOSトランジスタNMのソースドレイン経路)は、第1電源電位VDDIOが供給された電源配線と第1接地電位VSSIOが供給された電源配線との間に接続される。ESD保護回路(CESD)(つまり、ESD保護回路(CESD)を構成するNチャネル型のMOSトランジスタNMのソースドレイン経路)は、第2電源電位VDDが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間に接続される。
【0023】
ブリッジ回路15は、第1接地電位VSSIOが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間に接続され、第1接地電位VSSIOが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線とを接続する双方向の1対のダイオードを備える。一方のダイオードのアノードは第1接地電位VSSIOが供給された電源配線に接続され、カソードは第2接地電位VSSが供給された電源配線に接続される。他方のダイオードのアノードは第2接地電位VSSが供給された電源配線に接続され、カソードは第1接地電位VSSIOが供給された電源配線に接続される。ブリッジ回路15は、双方向ダイオード15ということもできる。
【0024】
入出力セル11は入出力端子(TIO)に接続される入出力回路を内蔵する。入出力端子TIO、電源端子TVDD、TVDDIO、接地端子TVSS、TVSSIOは、それぞれ入出力セル11、IO用電源セル12、コア用電源セル13の上に配置されるが、それぞれ入出力セル11、IO用電源セル12、コア用電源セル13から離れて配置されてもよい。入出力端子TIO、電源端子TVDD、TVDDIO、接地端子TVSS、TVSSIOはボンディングワイヤ等に接続され、それぞれ入出力パッド、電源パッド、接地パッドともいう。
【0025】
入出力セル11を構成する入出力回路は、ESD保護回路を構成するダイオードD1、D2と、入出力端子TIOに接続される信号配線に出力信号を伝える出力トランジスタとしてPチャネル型トランジスタQ1及びNチャネル型トランジスタQ2を含む出力回路と、を備えている。入出力端子TIOから信号配線を介して入力された入力信号を受けるCMOSインバータを含む入出力ロジック回路IOLと、レベルシフタ回路LSCと、を備えている。入出力回路は、さらに、入出力端子TIOから信号配線を介して入力された入力信号は、入出力ロジック回路IOLを介してレベルシフタ回路LSCへ入力され、レベルシフタ回路LSCによりレベル変換されて、内部回路14へ供給される。一方、内部回路14から出力された信号はレベルシフタ回路LSCに入力されてレベル変換されて、入出力ロジック回路IOLに供給され、Pチャネル型トランジスタQ1及びNチャネル型トランジスタQ2を含む出力回路から入出力端子TIOへ出力信号として出力される。Pチャネル型トランジスタQ1及びNチャネル型トランジスタQ2は、MOS型トランジスタで構成することができる。
【0026】
Pチャネル型トランジスタQ1のソースドレイン経路は第1電源電位VDDIOの電源配線と入出力端子TIOからの信号配線との間に接続され、Nチャネル型トランジスタQ2のソースドレイン経路は信号配線と第1接地電位VSSIOの接地配線との間に接続される。ダイオードD1のアノードは入出力端子TIOからの信号配線に接続され、カソードは第1電源電位VDDIOの電源配線に接続される。ダイオードD2のアノードは第1接地電位VSSIOの接地配線に接続され、カソードは入出力端子TIOからの信号配線に接続される。ダイオードD1は、入出力端子TIOから信号配線および第1電源電位VDDIOの電源配線を介し電源端子VDDIOに向かうサージ電流を流し、ダイオードD2は、接地端子TVDDIOから第1接地電位VSSIOの接地配線および信号配線を介し入出力端子TIOに向かうサージ電流を流すようにされる。出力回路として、Pチャネル型トランジスタQ1を有さない、いわゆるオープンドレイン型であってもよい。また、入出力回路には出力回路および入力回路をいずれか一方を備えていなくてもよい。
【0027】
入出力ロジック回路IOLは、第1電源電位VDDIOの電源配線と第1接地電位VSSIOの接地配線との間に接続される。レベルシフタ回路LSCは、第1電源電位VDDIOの電源配線および第2電源電位VDDが供給された電源配線と、第2接地電位VSSが供給された電源配線との間に接続される。
【0028】
電源セル12A,13Aは電源端子(TVDDIO、TVDD)に対応するESD保護回路(CESD、ESD)を備え、電源セル12B、13Bは接地端子(TVSSIO,TVSS)に対応するESD保護回路(CESD、ESD)を備える。
【0029】
第1電源電位VDDIOは、例えば、1.8V(または3.3V)であり、第2電源電位VDDは、例えば、0.8Vである。接地端子(TVSSIO,TVSS)は、例えば、0.0Vである。
【0030】
例えば、第1電源電位VDDIOが1.8V、第2電源電位VDDが0.8Vの場合には、
1)出力回路のトランジスタQ1、Q2、入出力ロジック回路IOLは、1.8Vの耐圧を有するMOSFET(1.8V-MOSとも言う)のみで構成される。
2)内部回路14は、0.8Vの耐圧を有するMOSFET(コアMOSとも言う)のみで構成される。
3)レベルシフタ回路LSCは、1.8V-MOSとコアMOSとが混在して構成される。
4)コア用電源セル13A,13Bは、内部回路14のコアMOSやレベルシフタ回路LSCのコアMOSを保護する。
5)IO用電源セル12A,12Bは、出力回路のトランジスタQ1、Q2、入出力ロジック回路IOLの1.8V-MOSを保護する。
【0031】
図3には、IO領域IORに配置されたIO用電源セル12A,12B、1つの入出力セル11およびコア用電源セル13A,13Bと、コアロジック領域に配置された内部回路14との配置関係が示されている。図3に示すように、IO領域IORに、IO用電源セル12A,12B、1つの入出力セル11、コア用電源セル13A,13Bがこの順で配置されており、IO領域IORの上側のコアロジック領域CERには、IO領域IORに隣接して内部回路14は配置されている。
【0032】
図4は、実施例1に係る半導体装置の効果を説明する図である。ここでは、静電気試験の一つであるCDM試験においては、第2接地電位VSSが供給された電源配線に寄生する容量成分Cpkgに対して電流が流れ込む場合を検討したものである。図4では、入出力端子TIOに対する第1のCDM試験と、電源端子TVDDに対する第2のCDM試験とを想定している。
【0033】
1)第1のCDM試験では、下記のように、第1充電経路PT1と第2充電経路PT2とがある。
第1充電経路PT1:TIO->D1->第1電源電位VDDIOの電源配線->12BのESD->第1接地電位VSSIOが供給された電源配線->12Bの15->第2接地電位VSSが供給された電源配線->Cpkg。
第2充電経路PT2:TIO->D1->第1電源電位VDDIOの電源配線->12AのESD->第1接地電位VSSIOが供給された電源配線->12Aの15->第2接地電位VSSが供給された電源配線->Cpkg。
【0034】
2)第2のCDM試験では、下記のように、第3充電経路PT3と第4充電経路PT4とがある。
第3充電経路PT3:TVDD->第2電源電位VDDが供給された電源配線->13AのCESD->第2接地電位VSSが供給された電源配線->Cpkg。
第4充電経路PT4:TVDD->第2電源電位VDDが供給された電源配線->13BのCESD->第2接地電位VSSが供給された電源配線->Cpkg。
【0035】
つまり、実施例1の半導体装置10は以下の特徴を有している。
【0036】
1)第1接地電位VSSIOが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間の双方向ダイオード15は、IO用電源セル12A,12B、コア用電源セル13A,13Bの各々に配置されている。
【0037】
2)入出力端子TIOに対する第1のCDM試験において、入出力セル11とコア用電源セル13Bのレイアウト配置に依存することなく、入出力端子TIOから容量成分Cpkgが寄生する第2接地電位VSSが供給された電源配線への放電経路(PT1、2)を容易に形成することができる。
【0038】
3)上記2により、入出力端子TIOから、第2接地電位VSSが供給された電源配線に抜けるCDM電流に対しても、第1電源電位VDDIOが供給された電源配線の寄生抵抗Rvddioや第2接地電位VSSが供給された電源配線の寄生抵抗Rvssの影響を受けにくくなり、入出力ロジック回路IOLの電位差による破壊を回避できる。
【0039】
4)コア用電源セル13A,13Bの各々にESD保護回路(CESD)が配置されており、電源端子TVDDに対する第2のCDM試験においても、電源端子TVDDから容量成分Cpkgが寄生する第2接地電位VSSが供給された電源配線への十分な放電経路放電経路(PATH3、4)を確保できる。
【0040】
5)上記4により、内部回路14の電位差による破壊も回避できる。
【0041】
6)図3に示す、IO用電源セル12A,12Bの双方向ダイオード15は、内部回路14に面したIO用電源セル12A,12Bの側(図3では、上端部分)に配置されている。一方、コア用電源セル13A,13Bの双方向ダイオード15は、内部回路14に面したコア用電源セル13A,13Bの側に配置されているのではなく、コア用電源セル13A,13Bの半導体チップ101のチップエッジ側(図1のチップ端部の4つの辺21,22,23,24の側)に面した側(図3では、下端部分)に配置されている。これらの双方向ダイオード15配置箇所は、第1接地電位VSSIOが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間の放電経路を形成する上で、寄生抵抗の影響が最も小さく、最も効率的なレイアウト配置となっている。
【実施例0042】
次に、実施例2に係る半導体装置10Sについて図5および図6を用いて説明する。図5は、実施例2に係る半導体装置の概略的なブロック図である。図6は、図5の半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。
【0043】
図5に示す実施例2に係る半導体装置10Sが、図2に示す実施例1に係る半導体装置10と異なる点は、
1)第1電源電位VDDIOの電源配線(L1)が分離されて、入出力ロジック回路IOL用の電源電位VDDIOLが供給される電源配線(第4電源配線(L5)とも言う。第1電源電位VDDIOの電源配線は、第3電源配線(L1)ということできる。)が設けられている点、
2)電源電位VDDIOLには電源端子TVDDIOLが接続されている点、
3)IO用電源セルIOPCとしてのIO用電源セル(第5電源セル)12Cが、電源電位VDDIOLと第2接地電位VSSが供給された電源配線との間に接続されている点である。
【0044】
なお、ここで、IO用電源セル12Cの基本的な構成は、IO用電源セル12A,12Bと同じである。
【0045】
また、図6に示す様に、IO用電源セル12Cは、IO領域IORにおいて、IO用電源セル12Bと入出力セル11との間の領域に配置される。追加されたIO用電源セル12C内にも双方向ダイオード15を配置しており、第2接地電位VSSが供給された電源配線に抜ける放電経路の形成に寄与している。
【0046】
入出力セル11内においては、入出力ロジック回路IOLに合わせて、入出力セル11の上半分の領域に電源電位VDDIOLが供給される電源配線がレイアウトされる。
【0047】
IO用電源セル12C内には、電源電位VDDIOLが供給される電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線とが縦方向にレイアウトされている。
【0048】
このため、IO用電源セル12C内の双方向ダイオード15は、半導体チップ101のチップエッジ側(図1のチップ端部の4つの辺21,22,23,24の側)に面した側(図3では、下端部分)に配置されている。このため、IO用電源セル12C内の双方向ダイオード15の配置は、コア用電源セル13A,13Bの双方向ダイオード15の配置と同様に、第1接地電位VSSIOが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間の放電経路を形成する上で、最も効率的なレイアウト配置となっている。
【0049】
この様に構成することで、実施例1と同様な効果も得ることができる。さらに、第1電源電位VDDIOの電源配線のノイズが、入出力ロジック回路IOLに伝搬するのを軽減できるので、入出力ロジック回路IOLの高性能化(高速化)が可能となる。
【0050】
(比較例)
図7は比較例1に係る半導体装置の概略的なブロック図である。図8は比較例1に係る半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。図9は比較例2に係る半導体装置の概略的なブロック図である。図10は比較例2に係る半導体装置の概略的なレイアウト配置図である。
【0051】
図7図8に示す様に、比較例1の半導体装置10rは、図2の半導体装置10に対して、IO用電源セル12A、12Bおよびコア用電源セル13Aに、双方向ダイオード15が設けられていない構成とされている。また、半導体装置10rのコア用電源セル13Aにおいて、ESD保護回路(CESD)は第2電源電位VDDが供給された電源配線と第1接地電位VSSIOが供給された電源配線との間に接続される。半導体装置10rのコア用電源セル13Bにおいて、ESD保護回路(CESD)は第1電源電位VDDIOが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間に接続される。
【0052】
また、図9図10に示す様に、比較例2の半導体装置10r1は、比較例1の半導体装置10rに対して、コア用電源セル13AのESD保護回路(CESD)は第2電源電位VDDが供給された電源配線と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間に接続されている。半導体装置10r1のコア用電源セル13Bは、ESD保護回路(CESD)が設けられていない構成とされている。
【0053】
図11は、比較例1に係る半導体装置の課題を説明する図である。図12は、比較例1に係る半導体装置の他の課題を説明する図である。
【0054】
図11に示す様に、静電気試験の一つであるCDM試験においては、入出力端子TIOから容量成分Cpkgが寄生する第2接地電位VSSが供給された電源配線への放電経路(PT1r、PT2r)に対して電流が流れ込む。半導体デバイス構造の微細化に伴って被保護回路が脆弱になると、第1接地電位VSSIOが供給された電源配線の寄生抵抗Rvddio、第1接地電位VSSIOが供給された電源配線の寄生抵抗Rvssioおよび第2接地電位VSSが供給された電源配線の寄生抵抗Rvssの影響を受けて、CDM試験で入出力ロジック回路IOLが電位差dV1によって破壊するという課題を見出した。比較例1でこの課題を克服するには、コア用電源セル13Bのセル幅を太くして第2接地電位VSSが供給された電源配線の寄生抵抗Rvssを低減しつつ、入出力セル11とコア用電源セル13Bのセル間に厳しい配置制約を設けて第1接地電位VSSIOが供給された電源配線の寄生抵抗Rvssioも低減する必要がある。この場合、半導体装置10rのチップサイズが大きくなるとともに、設計自由度が阻害されるという課題があることもわかった。
【0055】
図12に示す様に、コア用電源セル13A内のESD保護回路(CESD)を第2電源電位VDDが供給された電源配線と第1接地電位VSSIOが供給された電源配線との間に接続している。そのため、電源端子TVDDへのCDM試験において、放電経路PT3rで示す様に、電源端子TVDDから双方向ダイオード15を経由して第2接地電位VSSが供給された電源配線に寄生する容量成分Cpkgに電流が流れ込む。また、双方向ダイオード15によって発生する電位差dV2も内部回路14をストレスすることになり、内部回路14が電位差dV2により破壊しやすくなるという問題も出てきた。特に、内部回路14では、ゲート酸化膜が比較的に薄い薄膜MOSトランジスタが複数使用されるため、電位差ストレスの影響を受けやすい。
【0056】
図13は、比較例2に係る半導体装置の課題を説明する図である。図14は、比較例2に係る半導体装置の他の課題を説明する図である。
【0057】
図13に示すように、比較例2でも、図11の比較例1の説明と同様に、放電経路PT2rが形成されるので、比較例1と同様に、CDM試験で入出力ロジック回路IOLが電位差dV1によって破壊するという課題を有する。また、図14に示す様に、比較例2でも、電源端子TVDDへのCDM試験において、電源端子TVDDから容量成分Cpkgへの放電経路PT4rが形成される。比較例2の半導体装置10r1では、コア用電源セル13AのみにESD保護回路(CESD)が配置されており、コア用電源セル13BにはESD保護回路(CESD)が存在しない。そのため、図13に示すように、電源端子TVDDへのCDM試験において、ESD保護回路(CESD)の放電性能が不十分となり、半導体デバイス構造の微細化に伴って被保護回路が脆弱になると、内部回路14が電位差dV3により破壊しやすくなるという問題もある。コア用電源セル13A内のESD保護回路(CESD)の数が少ないと、ESD保護回路(CESD)と第2接地電位VSSが供給された電源配線との間の縦方向に設けられた縦配線の寄生抵抗Rvssの影響も受けやすくなる。
【0058】
実施例1や実施例2によれば、比較例1や比較例2で説明した課題や問題は回避できるので、高いESD耐性を確保し、かつ、小面積のESD保護回路によって半導体装置を保護することができる。
【0059】
以上、本開示を実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0060】
10:半導体装置
11:入出力セル
12、12A、12B:IO用電源セル
13、13A、13B:コア電源セル
14:内部回路
15:ブリッジ回路(双方向ダイオード)
ESD,CESD:ESD保護回路
図1
図2
図3
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図5
図6
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図14