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  • 特開-通信システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025106702
(43)【公開日】2025-07-16
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20250709BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000203
(22)【出願日】2024-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼溝 将輝
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA13
5K048BA14
5K048CA03
5K048HA37
(57)【要約】
【課題】複数のポーリング間隔を容易に切り替えながら施設とサーバとの間での通信を行うことができる通信システムを提供する。
【解決手段】施設3に設けられる設備機器11が外部ネットワーク1を介して接続されるサーバ2とポーリングによって通信を開始する通信システムであって、設備機器11は、ポーリング間隔、及び、そのポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を含む1以上のポーリング情報を管理する情報管理部11aと、有効とされているポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短いポーリング間隔で定まるタイミングをサーバ2へのポーリングタイミングに設定するポーリングタイミング設定部11eとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられる設備機器が外部ネットワークを介して接続されるサーバとポーリングによって通信を開始する通信システムであって、
前記設備機器は、
ポーリング間隔、及び、当該ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を含む1以上のポーリング情報を管理する情報管理部と、
有効とされている前記ポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短い前記ポーリング間隔で定まるタイミングを前記サーバへのポーリングタイミングに設定するポーリングタイミング設定部とを備える通信システム。
【請求項2】
前記設備機器は、利用者による操作入力を受け付ける入力受付部を備え、
前記情報管理部は、前記入力受付部が受け付けた特定の前記ポーリング情報についての前記ポーリング間隔の有効化又は無効化についての設定情報に応じて、当該ポーリング情報の前記ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を管理する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記情報管理部は、前記ポーリングによって通信を開始している前記サーバから受け付けた特定の前記ポーリング情報についての前記ポーリング間隔の有効化又は無効化についての設定情報に応じて、当該ポーリング情報の前記ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を管理する請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記設定情報は、前記ポーリング情報の前記ポーリング間隔を有効化又は無効化するタイミングについての情報を含む請求項2又は3に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設に設けられる設備機器が外部ネットワークを介して接続されるサーバとポーリングによって通信を開始する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住戸や事業所などの施設に設置された燃料電池システム、給湯装置、床暖房装置などの施設内機器の制御を行うためのリモコンに通信モジュールを組み込んで、そのリモコンと外部のサーバとの通信を行うように構成された通信システムがある。このような通信システムが構築されている場合、利用者が携帯端末を用いて外出先から施設内機器などに対する動作指令をサーバに対して送信し、サーバがその指令をリモコンに送信するような遠隔操作を行うことができる。他にも、リモコンが施設内機器の動作に関する情報をサーバへ定期的に送信することなどが可能である。
【0003】
リモコンとサーバとの間の通信の方式には、例えば、リモコンからサーバに対して送信したいデータがあるかどうかを所定のタイミングでリクエスト(要求)するポーリングを行い、それに対してサーバがリモコンに対して送信したいデータがあるかどうかをレスポンス(応答)するような方式がある。
【0004】
リモコンが施設内機器の動作に関する情報をサーバへ送信する場合であれば、例えば1日に1回等の低頻度でリモコンからサーバへのポーリングを行う程度で構わない。そして、サーバからリモコンに応答があった後、リモコンからサーバへの情報送信を行えばよい。
【0005】
また、利用者が携帯端末を用いて外出先から施設内機器に対する動作指令を行う遠隔操作を行う場合、上述したような1日に1回などの低頻度でのポーリングでは、利用者の携帯端末からサーバに送信した動作指令がリモコンに伝達されるのが1日に1回になってしまう(即ち、最大で1日遅れとなってしまう)ため、より高頻度なポーリングがリモコンからサーバへ行われる必要がある。利用者が携帯端末を用いて外出先から施設内機器に対する動作指令などを送信することを想定した場合、リモコンが例えば5分に1回などの頻度でポーリングを行っていれば、最大でも5分遅れでサーバからリモコンへと動作指令が伝達される。
【0006】
その他には、施設の燃料電池システムなどの発電電力が、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)という概念の下で、外部のアグリゲータ事業者が定めた出力制御指令によって制御され、電力系統へと供給される場合がある。その場合、アグリゲータ事業者は、電力系統での電力需給のバランス、電力卸売市場の状況、各施設の燃料電池システムの現在の発電電力などを見ながら各施設の燃料電池システムに対する出力制御指令(例えば逆潮流電力、逆潮流時間等などの指令)を高頻度で演算して指示する必要がある。そのため、施設とサーバとは理想的にはリアルタイムで或いはそれに近い高頻度で通信を実施できる事が望ましい。但し、そのような高頻度での通信は定常的に必要になるものではなく、あくまでアグリゲータ事業者が各施設の燃料電池システムに対して出力制御指令を与える期間(例えば日中の数時間など)だけで必要になるものである。そのため、それ以外の時間帯まで施設とサーバとが高頻度の通信を実施する必要はない。
【0007】
特許文献1(特開2023-105619号公報)には、リモコンとサーバとの間の通信をポーリングを用いて行う通信システムが記載されている。具体的には、特許文献1では、リモコンがサーバとコネクションを張り続け、サーバからリモコンへの指示が即時反映されるようなロングポーリングと呼ばれる方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2023-105619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、アグリゲータ事業者が各施設の燃料電池システムに対して出力制御指令を与える場合には、上述したように施設の燃料電池システムの現在の発電電力などを確認しながらその燃料電池システムに対する出力制御指令を決定する必要がある。つまり、サーバから施設(燃料電池システム)の方向への出力制御指令のリアルタイム性だけではなく、施設の燃料電池システムの現在の発電電力などの情報をできるだけ高頻度にサーバに送信することも同時に求められている。ところが、ロングポーリングでは、施設がサーバとコネクションを張り続ける通信方式の特性上、燃料電池システムの発電電力などをサーバに高頻度で送信できない。そのため、サーバは、施設の燃料電池システムの現在の発電電力などを確認しながら出力制御指令を決定することが難しくなる。つまり、ロングポーリングを施設とサーバとの間の通信方式として採用している場合、上述したようなVPPに対応できないという問題がある。
【0010】
上述の問題を解決するためにはロングポーリングではなく、リモコンからサーバへのポーリング間隔を短くすることで対応可能である。しかし、上述したような高頻度に行われるVPPの出力制御指令が終了した場合にはリモコンからサーバへの高頻度なポーリングを行う必要がなくなるため、元の低頻度なポーリングへと戻す必要がある。その場合、サーバがリモコンに対して元の長いポーリング間隔を指令することになるが、そのためにはサーバがリモコンとサーバとの間の元のポーリング間隔を記憶していることが必要になる。特に、サーバが複数の施設のそれぞれに設けられるリモコンと通信することを考慮すると、サーバは複数のリモコンのそれぞれとの間で行われる複数のポーリング間隔を各別に管理し且つポーリング間隔の切替指令を各別に行わなければならないため、その管理が非常に煩雑になるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のポーリング間隔を容易に切り替えながら施設とサーバとの間での通信を行うことができる通信システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る通信システムの特徴構成は、施設に設けられる設備機器が外部ネットワークを介して接続されるサーバとポーリングによって通信を開始する通信システムであって、
前記設備機器は、
ポーリング間隔、及び、当該ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を含む1以上のポーリング情報を管理する情報管理部と、
有効とされている前記ポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短い前記ポーリング間隔で定まるタイミングを前記サーバへのポーリングタイミングに設定するポーリングタイミング設定部とを備える点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、情報管理部は、ポーリング間隔、及び、当該ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を含む1以上のポーリング情報を管理し、ポーリングタイミング設定部は、有効とされているポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短いポーリング間隔で定まるタイミングをサーバへのポーリングタイミングに設定する。その結果、設備機器は、各ポーリング情報についてポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかについて設定されていれば、有効とされているポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短いポーリング間隔で定まるタイミングをサーバへのポーリングタイミングに容易に切り替えることができる。つまり、サーバが複数のリモコンのそれぞれとの間で行われる複数のポーリング間隔を各別に管理し且つポーリング間隔の切替指令を各別に行うような煩雑な処理は不要になる。
従って、複数のポーリング間隔を容易に切り替えながら施設とサーバとの間での通信を行うことができる通信システムを提供できる。
【0014】
本発明に係る通信システムの別の特徴構成は、前記設備機器は、利用者による操作入力を受け付ける入力受付部を備え、
前記情報管理部は、前記入力受付部が受け付けた特定の前記ポーリング情報についての前記ポーリング間隔の有効化又は無効化についての設定情報に応じて、当該ポーリング情報の前記ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を管理する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、設備機器の情報管理部は、入力受付部が利用者から受け付けた設定情報に応じて、各ポーリング情報のポーリング間隔の有効化及び無効化の管理を行うことができる。
【0016】
本発明に係る通信システムの更に別の特徴構成は、前記情報管理部は、前記ポーリングによって通信を開始している前記サーバから受け付けた特定の前記ポーリング情報についての前記ポーリング間隔の有効化又は無効化についての設定情報に応じて、当該ポーリング情報の前記ポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を管理する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、設備機器の情報管理部は、サーバから受け付けた設定情報に応じて、各ポーリング情報のポーリング間隔の有効化及び無効化の管理を行うことができる。
【0018】
本発明に係る通信システムの更に別の特徴構成は、前記設定情報は、前記ポーリング情報の前記ポーリング間隔を有効化又は無効化するタイミングについての情報を含む点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、ポーリング情報のポーリング間隔を有効化又は無効化するタイミングついての情報を設定情報に含めておけば、ポーリング間隔を即座に変更しないこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る通信システムについて説明する。
図1は、施設3に設けられる設備機器としてのリモコン11が外部ネットワーク1を介して接続されるサーバ2とポーリングによって通信を開始する通信システムの構成を示す図である。図示するように、通信システムは、サーバ2と、そのサーバ2と通信可能なリモコン11とを備える。
【0022】
本実施形態では、リモコン11は、住戸や事業所などの施設3に設置される燃料電池システム12a、給湯装置12b、床暖房装置12cなどの施設内機器12の動作を制御及び監視可能な機器である。図1には、3つの施設3(3A,3B,3C)を描き、各施設3(3A,3B,3C)に1つのリモコン11が設けられている例を描いているが、施設3の設置数及び各施設3でのリモコン11の設置数に制限は無い。また、図示するのとは別の種類の施設内機器12が施設3に設けられていてもよい。
【0023】
各施設3(3A,3B,3C)では、内部のネットワークと施設3の外部の外部ネットワーク1とがルーター13を用いて接続されている。リモコン11は、ルーター13を介して外部ネットワーク1に接続される。また、施設3に設けられるスマートスピーカー14はルーター13に接続される。
【0024】
燃料電池システム12aは、例えば、固体高分子形や固体酸化物形などの燃料電池本体と、その燃料電池本体に対して燃料ガスとして供給される水素等を改質処理により生成する燃料改質装置などとを備えたシステムである。
【0025】
リモコン11は、取り扱う情報を管理する情報管理部11aと制御部11bと表示部11cと入力受付部11dとポーリングタイミング設定部11eとを有する。尚、図示は省略するが、リモコン11はルーター13を介してサーバ2などと情報通信を行う情報通信機能を備えている。情報管理部11aは、リモコン11で取り扱う情報を記憶する機能を有している。具体的には、情報管理部11aは、ポーリング間隔、及び、そのポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を含む1以上のポーリング情報を管理する。制御部11bは、リモコン11で取り扱う情報の演算処理などを行う機能を有している。表示部11cは、リモコン11で取り扱う情報を利用者に対して表示する機能を有している。入力受付部11dは、利用者による操作入力を受け付ける機能を有する。ポーリングタイミング設定部11eは、有効とされているポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短いポーリング間隔で定まるタイミングをサーバ2へのポーリングタイミングに設定する。
【0026】
リモコン11は、ルーター13を介して外部ネットワーク1に接続された状態で外部との情報通信を行う機能を有している通信機器でもある。そのため、各リモコン11はMAC(Media Access Control)アドレスを有している。そして、リモコン11の情報管理部11aは、施設内機器12に付与された識別情報(例えば製造番号など)及びリモコン11のそれぞれに対して固有に付与されたMACアドレスを記憶している。例えば、リモコン11はサーバ2と通信を行う場合にはそのMACアドレスを通信に含めることができる。
【0027】
スマートスピーカー14は、利用者の音声指示に応じた施設内機器12の動作制御を行うために用いられる。例えば、スマートスピーカー14は、音声入力を受け付ける音声受付部、音声受付部が受け付けた音声の内容を認識する音声認識部、音声認識部が認識した情報をサーバ2に対して送信する情報送信部などを備える。そして、利用者の音声指示はスマートスピーカー14によってサーバ2に対して送信され、サーバ2からリモコン11や施設内機器12に対する動作指令が行われる。
【0028】
サーバ2は、情報記憶機能を担う記憶部2aと、演算処理機能を担う情報処理部2bとを有するコンピュータなどを用いて実現される。また、図示は省略するが、サーバ2は、外部ネットワーク1を介して他の装置と情報通信を行うための情報通信機能も有している。そして、サーバ2は、リモコン11との間での情報通信を行うことができる。この場合、サーバ2は、リモコン11から受信した情報と、その情報を送信してきたリモコン11のMACアドレスとを関連付けて記憶することもできる。
【0029】
リモコン11とサーバ2との間で行われる情報通信は、リモコン11がサーバ2に対して行うポーリングによって開始される。そして、サーバ2は、ポーリングを行ってきたリモコン11との間で情報通信を行う。
以下に、リモコン11とサーバ2との間で行われる情報通信の例について説明する。
【0030】
<定期通信>
リモコン11は、施設内機器12の動作に関する情報を定期的にサーバ2に送信することができる。そのため、リモコン11は施設内機器12の動作に関する情報を常時収集して情報管理部11aに記憶している。そして、例えば1日に1回などの頻度でリモコン11はサーバ2に対して、収集した施設内機器12の動作に関する情報をサーバ2に対して送信する。そして、リモコン11は、例えば毎日の午前0時などのタイミングでサーバ2へのポーリングを行い、その後、施設内機器12の動作に関する情報をサーバ2へ送信する。尚、サーバ2へのアクセスが集中しないように、複数の施設3のリモコン11のそれぞれがサーバ2へのポーリングを行うタイミングは互いに異なっていることが好ましい。例えば、施設3Aのリモコン11がポーリングを行うタイミングを午前0時に設定し、施設3Bのリモコン11がポーリングを行うタイミングは午前0時10分に設定し、施設3Cのリモコン11がポーリングを行うタイミングは午前0時20分に設定するなど、ポーリングを行うタイミングが互いに異なっていることが好ましい。
【0031】
<遠隔操作>
利用者が携帯端末5を用いて外出先から施設内機器12に対する動作指令を行う遠隔操作を行うこともできる。例えば、給湯装置12bに対する風呂湯張りの遠隔操作や、床暖房装置12cに対する暖房開始の遠隔操作などを行うことができる。その場合、携帯端末5からサーバ2にアクセスしてその動作指令の内容をサーバ2に伝達し、サーバ2は、リモコン11からポーリングがあったタイミングで、その動作指令の内容をリモコン11に伝達する。そして、リモコン11の制御部11bがその動作指令を処理して、施設内機器12に対する動作指令を行う。そのため、利用者が携帯端末5を用いて外出先から施設内機器12に対する動作指令を行う場合には、利用者が行った動作指令の内容が時間的に特に遅れることなく施設内機器12に伝達されるように、リモコン11からサーバ2へのポーリング間隔を短くしておくことが好ましい。
【0032】
<VPP>
施設3の燃料電池システム12aの発電電力が、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)という概念の下で、外部のアグリゲータ事業者4が定めた指令によって制御され、電力系統へと供給される場合がある。その場合、リモコン11は、燃料電池システム12aの出力電力、施設3の負荷電力、施設3での受電点電力などの施設3の電力情報を短い時間間隔で収集して、その電力情報をサーバ2に逐次伝達する。そして、サーバ2が複数の施設3の電力情報をアグリゲータ事業者4へ伝達する。更に、アグリゲータ事業者4は、複数の施設3の電力情報に基づいて、各施設3の電源装置(燃料電池システム12a)の出力電力、或いは、施設3から電力系統への逆潮流電力を定める制御指令を決定し、サーバ2へ伝達する。そして、サーバ2は、伝達された情報を記憶部2aで記憶し、リモコン11からポーリングがあったタイミングでその制御指令をリモコン11に伝達する。このように、アグリゲータ事業者4は、各施設3の電力情報を短い間隔で繰り返し収集する必要があり、且つ、各施設3に対して制御指令を短い間隔で繰り返し伝達する必要がある。そのため、施設3の燃料電池システム12aがVPPの一部として用いられる場合には、リモコン11からサーバ2へのポーリング間隔を短くしておくことが好ましい。
【0033】
<スマートスピーカー>
利用者が、スマートスピーカー14の周囲で「床暖房装置をオンにして」などと発声した場合、その音声はスマートスピーカー14の音声受付部で受け付けられ、その内容は音声認識部で認識される。そして、スマートスピーカー14の情報送信部が、サーバ2に対して「床暖房装置をオンにする」という内容の情報を送信する。この場合、サーバ2は、「床暖房装置をオンにする」という内容の情報を記憶部2aに記憶し、リモコン11からポーリングがあったタイミングでその「床暖房装置をオンにする」という動作指令の内容をリモコン11に伝達する。そして、リモコン11の制御部11bがその動作指令を処理して、床暖房装置12cに対する動作指令を行う。このように、施設3でスマートスピーカー14が利用される場合、利用者がスマートスピーカー14に対する発声を行った後、比較的短時間の間にその発声に対する応答が施設3で行われることが好ましい。そのため、施設3でスマートスピーカー14が利用される場合には、リモコン11からサーバ2へのポーリング間隔を短くしておくことが好ましい。
【0034】
<災害発生>
台風の接近時など、施設3の停電等の災害発生の可能性が高まる場合には、台風接近に備えた注意喚起がサーバ2からリモコン11に伝達されて表示部11cに表示されることが好ましい。その場合、サーバ2は、台風接近に備えた注意喚起の情報を記憶部2aに記憶しておき、リモコン11からポーリングがあったタイミングでその注意喚起の情報をリモコン11に伝達する。そのため、施設3が災害の影響を受ける可能性が高まる場合には、リモコン11からサーバ2へのポーリング間隔を短くしておくことが好ましい。
【0035】
<緊急事態>
上述のように、通常は、施設内機器12の動作に関する情報を1日に1回などのタイミングでリモコン11からサーバ2に送信している。しかし、施設内機器12で機器故障や動作異常などのエラーが発生した場合、即ち、緊急事態の場合には、施設内機器12の動作に関する情報をサーバ2が詳細に監視するために、高頻度でリモコン11はサーバ2に対して施設内機器12の動作に関する情報を送信することが好ましい。そのため、緊急事態の場合には、リモコン11からサーバ2へのポーリング間隔を短くしておくことが好ましい。
【0036】
以上のようにリモコン11とサーバ2との間で情報通信を行うにあたって、本実施形態では、施設3のリモコン11の情報管理部11aは、ポーリング間隔、及び、そのポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を含む1以上のポーリング情報を管理する。表1は、情報管理部11aに6個のポーリング情報A~Fが記憶されて管理されている場合の例である。表1に示す例では、ポーリング情報Aのポーリング間隔(24時間毎)は有効化されているが、他のポーリング情報B~Fのポーリング間隔は無効化されている。
【0037】
【表1】
【0038】
ポーリングタイミング設定部11eは、有効とされているポーリング間隔のうち、最も時間間隔の短いポーリング間隔で定まるタイミングをサーバ2へのポーリングタイミングに設定する。表1に示す例の場合、ポーリングタイミング設定部11eは、24時間毎のタイミングをサーバ2へのポーリングタイミングに設定する。
【0039】
本実施形態では、各ポーリング情報のポーリング間隔を、利用者又はサーバ2からの指令により有効化及び無効化することができる。
【0040】
具体的に説明すると、情報管理部11aは、入力受付部11dが受け付けた特定のポーリング情報についてのポーリング間隔の有効化又は無効化についての設定情報に応じて、そのポーリング情報のポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を管理する。例えば、利用者は、リモコン11が備える入力受付部11dを用いて、特定のポーリング情報Cのポーリング間隔を有効化するための設定情報の入力を行うことができる。その場合、情報管理部11aは、利用者が行ったその入力に応じて、そのポーリング情報のポーリング間隔を有効化する。このような手順により、利用者が入力したポーリング情報のポーリング間隔の有効化がリモコン11において即座に反映される。説明は省略するが、ポーリング間隔の無効化についても同様である。
【0041】
或いは、情報管理部11aは、ポーリングによって通信を開始しているサーバ2から受け付けた特定のポーリング情報についてのポーリング間隔の有効化又は無効化についての設定情報に応じて、そのポーリング情報のポーリング間隔が有効であるか又は無効であるかの情報を管理する。例えば、利用者は、携帯端末5にインストールされているアプリケーションを用いてサーバ2にアクセスし、特定のポーリング情報についてのポーリング間隔を有効化するための設定情報の入力を行うことができる。サーバ2は、伝達された設定情報を記憶部2aで記憶し、リモコン11からポーリングがあったタイミングで、その設定情報(即ち、特定のポーリング情報のポーリング間隔を有効化するための入力)をリモコン11に伝達する。そして、リモコン11の情報管理部11aは、サーバ2から伝達された設定情報に応じて、特定のポーリング情報のポーリング間隔を有効化する。説明は省略するが、ポーリング間隔の無効化についても同様である。
【0042】
尚、少なくとも一つのポーリング情報のポーリング間隔は常に有効化されている。本実施形態では、定期通信用設定としてのポーリング情報Aのポーリング間隔が常に有効化されている。そのため、リモコン11からサーバ2へのポーリングは24時間に1回の頻度で必ず行われる。
【0043】
災害発生時設定としてのポーリング情報Bのポーリング間隔は、サーバ2が台風の接近などで施設3の停電の可能性が高まると判定した場合に行う上述したような指令(設定情報)により有効化され、そのような可能性が低下した場合に行う指令により無効化される。
【0044】
遠隔操作用設定としてのポーリング情報Cのポーリング間隔は、例えば施設内機器12の遠隔操作を行おうとする利用者がリモコン11の入力受付部11dを用いて行った上述したような指令(設定情報)により有効化され、遠隔操作を停止しようとする利用者がリモコン11の入力受付部11dを用いて行った指令により無効化される。
【0045】
スマートスピーカ連携設定としてのポーリング情報Dのポーリング間隔は、例えばスマートスピーカー14を用いた施設内機器12の操作を行おうとする利用者がリモコン11の入力受付部11dを用いて行った上述したような指令(設定情報)により有効化され、スマートスピーカー14を用いた施設内機器12の操作を停止しようとする利用者がリモコン11の入力受付部11dを用いて行った指令により無効化される。或いは、利用者がスマートスピーカー14を施設3に設置して例えば認証コードなどの発行依頼がサーバ2に送信されるのに応じて、サーバ2がポーリング情報Dのポーリング間隔を有効化するための指令(設定情報)をリモコン11に送信してもよい。
【0046】
VPP用設定としてのポーリング情報Eのポーリング間隔は、例えばアグリゲータ事業者4によって出力制御の対象とされた施設3に対してサーバ2が上述したような指令(設定情報)を行うことで有効化され、出力制御の対象ではなくなった施設3に対して行う指令により無効化される。或いは、利用者やアグリゲータ事業者4の関係者がリモコン11の入力受付部11dを操作して、ポーリング情報Eのポーリング間隔の有効化及び無効化を行ってもよい。他には、情報管理部11aは、VPP用設定としてのポーリング情報Eのポーリング間隔が有効化された後、設定期間経過した場合(即ち、燃料電池システム12aの発電電力がVPPで運用される期間が経過した場合)、又は、サーバ2との間での通信が設定期間以上途絶えた場合、特定の指令(設定情報)が無くても、ポーリング情報Eのポーリング間隔を無効化してもよい。
【0047】
リモコン11は、緊急事態が発生したと判定した場合、ポーリングタイミング設定部11eが設定しているポーリングタイミングとは関係なく、緊急事態が発生したことを示す情報をサーバ2に送信するためにサーバ2へのポーリングを行ってもよい。ここで、緊急事態の内容は適宜設定可能であり、例えば、施設内機器12で不具合が検知されたことに伴うエラー発報があったことなどを緊急事態と見なしてもい。尚、リモコン11は、複数種のエラー発報のうち、特定のエラー発報があった場合にのみ緊急事態が発生したと判定し、それ以外のエラー発報があった場合には緊急事態が発生したと判定しないような構成でもよい。
【0048】
そして、緊急事態用設定としてのポーリング情報Fのポーリング間隔は、リモコン11の情報管理部11aが自ら有効化してもよく、或いは、サーバ2からの指令によって有効化されてもよい。
【0049】
具体的には、リモコン11の情報管理部11aは、緊急事態用のポーリング情報を管理し、リモコン11からサーバ2へ緊急事態が発生したことを示す情報を送信されるのに応じて、その緊急事態用のポーリング情報Fのポーリング間隔を有効化してもよい。例えば、上述した表1に記載のように、リモコン11の情報管理部11aは、緊急事態用のポーリング情報Fを記憶しておいてもよい。そして、情報管理部11aは、リモコン11からサーバ2へ緊急事態が発生したこと(例えばエラー発報があったこと)を示す情報を送信するのに応じて、その緊急事態用のポーリング情報Fのポーリング間隔を有効化する。
【0050】
或いは、リモコン11は、緊急事態用のポーリング情報を管理し、サーバ2は、リモコン11から緊急事態が発生したことを示す情報を受信した場合、その緊急事態用のポーリング情報のポーリング間隔を有効化するための設定情報をリモコン11に送信してもよい。例えば、上述した表1に記載のように、リモコン11の情報管理部11aは、緊急事態用のポーリング情報Fを記憶しておいてもよい。サーバ2は、リモコン11から緊急事態が発生したことを示す情報を受信した場合には、緊急事態用のポーリング情報Fのポーリング間隔を有効化するための設定情報をリモコン11に送信する。そして、リモコン11の情報管理部11aは、サーバ2から受信した緊急事態用のポーリング情報Fのポーリング間隔を有効化するための設定情報に応じて、その緊急事態用のポーリング情報Fのポーリング間隔を有効化する。また、サーバ2は、適当なタイミングで、緊急事態用のポーリング情報Fのポーリング間隔を無効化する指令(設定情報)をリモコン11に送信してもよい。
【0051】
例えば、以上のようにしてポーリング情報Aのポーリング間隔(24時間毎)とポーリング情報Cのポーリング間隔(5分毎)との両方が有効になった場合、ポーリングタイミング設定部11eは、最も時間間隔の短いポーリング情報Cのポーリング間隔(5分毎)で定まるタイミングを、サーバ2へのポーリングタイミングに設定する。このようにしてポーリング間隔が変更された場合、リモコン11は、先ずはサーバ2へのポーリングを行い、その後は新たに設定されたポーリング間隔で定まるタイミングでサーバ2へのポーリングを行うことができる。
【0052】
尚、ポーリング間隔を有効化又は無効化するための設定情報は、ポーリング情報のポーリング間隔を有効化又は無効化するタイミングについての情報を含んでもよい。以下の表2に示す例では、VPP用設定のポーリング情報Eのポーリング間隔(10秒毎)が時刻10時~時刻15時の間で有効化される、即ち、時刻10時に有効化され且つ時刻15時に無効化されるとして管理されている。つまり、ポーリングタイミング設定部11eは、例えば時刻9時の時点では、ポーリング情報Aのポーリング間隔(24時間毎)が最も時間間隔が短いと判定して、その24時間毎のタイミングをサーバ2へのポーリングタイミングに設定する。そして、ポーリングタイミング設定部11eは、例えば時刻11時の時点では、ポーリング情報Eのポーリング間隔(10秒毎)が最も時間間隔が短いと判定して、その10秒毎のタイミングをサーバ2へのポーリングタイミングに設定する。
【0053】
【表2】
【0054】
<別実施形態>
上記実施形態では、通信システム及び施設3の構成について具体的に説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。例えば、燃料電池システム12a、給湯装置12b、床暖房装置12cを施設内機器12として例示したが、別の機器を施設内機器12としてもよい。
【0055】
上記実施形態では、ポーリング情報について具体例を挙げて説明したが、それらは例示目的で記載したものであり、その内容は適宜変更可能である。
【0056】
上記実施形態では、例えばポーリング間隔の値などの数値例を記載したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり、その数値は適宜変更可能である。
【0057】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、複数のポーリング間隔を容易に切り替えながら施設とサーバとの間での通信を行うことができる通信システムに利用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 :外部ネットワーク
2 :サーバ
2a :記憶部
2b :情報処理部
3 :施設
3A :施設
3B :施設
3C :施設
4 :アグリゲータ事業者
5 :携帯端末
11 :リモコン(設備機器)
11a :情報管理部
11b :制御部
11c :表示部
11d :入力受付部
11e :ポーリングタイミング設定部
12 :施設内機器
12a :燃料電池システム
12b :給湯装置
12c :床暖房装置
13 :ルーター
14 :スマートスピーカー
図1