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特開2025-10674取付金具および取付金具を用いた天井下地
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010674
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】取付金具および取付金具を用いた天井下地
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
E04B9/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112779
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】永松 英夫
(72)【発明者】
【氏名】湯 正明
(72)【発明者】
【氏名】津田 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】松井 邦彰
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(57)【要約】
【課題】構造材から階下の天井へ振動が伝わるのを安価に抑制できる手段を提供する。
【解決手段】取付金具22は、金属製の平板から成型されており、ランナー21を梁11に取り付ける。取付金具22は、梁11の第1側面16または第2側面17に固定される固定部34と、ランナー21が嵌合される嵌合部36と、固定部34と嵌合部36とを連結し上下方向1に弾性変形可能な連結部35と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の平板から成型されており、ランナーを構造材に取り付ける取付金具であって、
構造材の側面に固定される固定部と、
上記ランナーが嵌合される嵌合部と、
上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を備えた取付金具。
【請求項2】
上記ランナーは、上板、背板、および下板を有して一方向きに開口しており、
上記固定部は、上記第1方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、
上記連結部は、上記固定部から一方向きへ延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びる第2延部と、当該第2延部から上記一方向きと逆向きへ延びる第3延部と、を有しており、
上記嵌合部は、上記ランナーの上記上板を上下方向に挟み持つ挟持片と、上記ランナーの上記背板に当接する当接片と、を有する請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
構造材と、
上記構造材に固定された複数の取付金具と、
上記複数の取付金具に支持されたランナーと、を備えており、
上記取付金具は、
上記構造材に固定される固定部と、
上記ランナーに嵌合される嵌合部と、
上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を有している天井支持構造。
【請求項4】
上記ランナーは、上板、背板、および下板を有して一方向きに開口しており、
上記固定部は、上記第1方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、
上記連結部は、上記固定部から一方向きへ延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びる第2延部と、当該第2延部から上記一方向きと逆向きへ延びる第3延部と、を有しており、
上記嵌合部は、上記ランナーの上記上板を上下方向に挟み持つ挟持片と、上記ランナーの上記背板に当接する当接片と、を有する請求項3に記載の天井支持構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造材にランナーを取り付ける取付金具および当該取付金具を用いた天井下地に関する。
【背景技術】
【0002】
天井が構造材に支持される天井支持構造の例としては、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1の天井構造では、内壁ランナーが壁体に取り付けられた状態で野縁の端部が取り付けられ、野縁の下方に天井の面材が取り付けられる。
【0003】
また、特許文献2の第1中間構造部分では、H形鋼に防振ゴム部材を備えた中間天井吊り金具が固定され、当該中間天井吊り金具に野縁受が固定され、野縁受けに野縁が固定され、野縁に天井下地材が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3194065号公報
【特許文献2】特開2018-119326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の天井構造では、内壁ランナーが壁体に直接取り付けられるため、階上の床の振動が壁体および野縁を伝って階下の天井の面材に伝わる。このため、上階の振動は天井を介して階下へと伝わり易い。他方、特許文献2の第1中間構造部分では、防振ゴム部材によって階上から伝わる振動を吸収することができるが、野縁受を必要とする構造であるためコストが増す。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構造材から天井へ振動が伝わるのを安価に抑制できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 請求項1に係る取付金具は、金属製の平板から成型されており、ランナーを構造材に取り付ける。取付金具は、構造材の側面に固定される固定部と、上記ランナーが嵌合される嵌合部と、上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を備える。
【0008】
固定部と嵌合部とを連結する連結部が上下方向に弾性変形可能なので、構造材に生じた上下方向の振動が緩和されて嵌合部に伝わる。その結果、構造材から、階下の天井へ伝わる振動が抑制される。また、野縁受を必要としないため安価に振動の抑制を実現できる。
【0009】
(2) 請求項2は、上記ランナーが、上板、背板、および下板を有して一方向きに開口しており、上記固定部は、上記第1方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、上記連結部は、上記固定部から一方向きへ延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びる第2延部と、当該第2延部から上記一方向きと逆向きへ延びる第3延部と、を有しており、上記嵌合部は、上記ランナーの上記上板を上下方向に挟み持つ挟持片と、上記ランナーの上記背板に当接する当接片と、を有する請求項1記載の取付金具である。
【0010】
挟持片がランナーの上板を挟み持ち、当接片がランナーの背板に当接することにより、嵌合部にランナーが嵌合する。挟持片の一部がランナーの上板の下側に位置するので、ランナーと取付金具とが嵌合された状態において、野縁がランナーの開口に沿って横方向へ移動できる。
【0011】
(3) 請求項3は、構造材と、上記構造材に固定された複数の取付金具と、上記複数の取付金具に支持されたランナーと、を備える天井支持構造である。上記取付金具は、上記構造材に固定される固定部と、上記ランナーに嵌合される嵌合部と、上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を有している。
【0012】
(4) 請求項4は、上記ランナーが、上板、背板、および下板を有して一方向きに開口しており、上記固定部は、上記第1方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、上記連結部は、上記固定部から一方向きへ延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びる第2延部と、当該第2延部から上記一方向きと逆向きへ延びる第3延部と、を有しており、上記嵌合部は、上記ランナーの上記上板を上下方向に挟み持つ挟持片と、上記ランナーの上記背板に当接する当接片と、を有する請求項3記載の天井支持構造である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る取付金具によれば、構造材から階下の天井へ振動が伝わるのを安価に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、建物10の天井支持構造12を示す図である。
図2図2は、図1に示す天井支持構造12を左方から視た図である。
図3図3は、第1実施形態に係る取付金具22の斜視図である。
図4図4は、図3に示す取付金具22を後方から視た図である。
図5図5は、図3に示す取付金具22を上方から視た図である。
図6図6は、取付金具22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
図7図7は、取付金具22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
図8図8は、取付金具22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
図9図9は、取付金具22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
図10図10は、取付金具22を用いた天井ボード25の取り付け手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0016】
以下では、建物10が建築された状態を基準として上下方向1が定義される。上下方向1に直交する野縁20が延出する方向が左右方向2と定義される。上下方向1および左右方向2に直交する梁11が延出する方向が前後方向3と定義される。
【0017】
建物10は、木造軸組構造の住宅などであり、基礎に載置された土台に、複数の柱が立てられている(図示省略)。複数の柱のうち一部の柱は、梁(構造材の一例)11を支持している。梁11には、天井支持構造12が配置されている。図1図2では、2階13の床14の下に1階15の天井支持構造12が位置する場合について示されている。梁11は、2階13の床14の下方に複数配置されている。図1図2に示されるように、梁11は、前後方向3に沿って延びており、左方を向く第1側面(側面の一例)16と、右方を向く第2側面(側面の一例)17と、を有している。
【0018】
野縁20の右端部分27は、梁11の第1側面16に取り付けられたランナー21に嵌められており、野縁20の他端は、梁11の左方に位置する別の梁に固定されたランナー21に嵌められている。ランナー21および野縁20の配置は、梁11の右方についても同じであり、野縁20の左端部分28が梁11の第2側面17に取り付けられたランナー21に嵌められ、他端が梁11の右方に位置する別の梁に固定されたランナー21に嵌められている。
【0019】
梁11の左方に位置する天井支持構造12は、野縁20と、ランナー21と、取付金具22と、を備えている。野縁20、ランナー21および取付金具22はそれぞれ、鋼やアルミニウムなどの所定の厚みを有する平板の金属製材料が圧延加工されて成形されている。
【0020】
野縁20は、左右方向2から視て断面が略四角形であり、左右方向2に沿って筒状に延びている。野縁20は、前後方向3に複数が並べられている。
【0021】
ランナー21は、野縁20を支持する。ランナー21は、左方(一方向きの一例)に開口する断面U字状であり、前後方向3に沿って延びている。ランナー21は、背板30と、上板31と、下板32とを有している。
【0022】
背板30は、上下方向1および前後方向3に延びる。背板30は、梁11の第1側面16よりも左方に位置している。背板30は、第1側面16から左方に離間しており、第1側面16と対向している。背板30は、上下方向1において、梁11の下面18と重なる。上板31は、左右方向2および前後方向3に延びる。上板31は、背板30の上端から左方に延びている。上板31は、下面18よりも上方に位置している。下板32は、背板30の下端から左方に延びている。下板32は、左右方向2および前後方向3に延びる。下板32は、上板31の下方に位置しており、上板31に対向している。下板32は、下面18よりも下方に位置する。
【0023】
取付金具22は、ランナー21を梁11に取り付ける金具である。取付金具22は、第1側面16または第2側面17の下寄りの位置においてビス39,55によって固定されている。図3に示されるように、取付金具22は、固定部34と、連結部35と、嵌合部36と、を備えている。取付金具22は、上下方向1に弾性変形可能であり、荷重や負荷を受けることで撓む。
【0024】
固定部34は、取付金具22の梁11に固定される部分である。図3図4に示されるように、固定部34は、第1側面16または第2側面17に当接する主面37と、左右方向2に貫通する貫通孔38と、左右方向2に貫通し上下方向1に長い長孔40とを有している。固定部34の前後方向3における寸法は、第1側面16または第2側面17にビス39,55によって固定できる程度の寸法であればよい。
【0025】
連結部35は、ランナー21に嵌合する嵌合部36と、固定部34とを連結する。連結部35は、固定部34の左方且つ下方に位置している。連結部35は、右方に開口するU字状に折り曲げられている。
【0026】
より具体的には、図3図4図5に示されるように、連結部35は、第1延部50と、第2延部51と、第3延部52と、第4延部53とを有している。第1延部50は、固定部34の下端から左方に向かって延びている。第1延部50は、左右方向2および前後方向3に沿う。第1延部50は、前後方向3の寸法が固定部34と同じである。第2延部51は、第1延部50の左端から左方に膨らむように湾曲しつつ下方に延びている。第2延部51の前後方向3の寸法は第1延部50と同じである。
【0027】
第3延部52は、第2延部51の下端から右方に向かって延びている。第3延部52は、左右方向2および前後方向3に沿っている。第3延部52は、第1延部50の下方に位置しており、第1延部50に対向している。第3延部52は、前後方向3の寸法が第2延部51と同じである。図3図5に示されるように、第4延部53は、第3延部52の後端から後方に向かって延びている。第4延部53の左右方向2の寸法D1(図5参照)は、第3延部52の左右方向2の寸法よりも小さい。
【0028】
嵌合部36は、ランナー21に嵌合される部分である。図3に示されるように、嵌合部36は、固定部34より左方且つ後方に位置している。嵌合部36は、連結部35の後方に位置している。嵌合部36は、挟持片56と、当接片57とを有している。
【0029】
挟持片56は、ランナー21の上板31を上下方向1に挟み持つ(図1図2参照)。図4図5に示されるように、挟持片56は、第5延部60と、第6延部61と、第7延部62とを有している。第5延部60は、連結部35の第4延部53における後端から後方に向かって延びている。第5延部60は、左右方向2における寸法D2が第3延部52の左右方向2における寸法と同じであり(図3および図4参照)、上板31の左右方向2の寸法D3(図1参照)よりも小さい。また、第5延部60の左右方向2における寸法D2は、第1延部50の左右方向における寸法D4(図4参照)よりも小さい。
【0030】
第6延部61は、第5延部60の左端から左方に膨らむように湾曲しつつ上方に延びている。第6延部61は、前後方向3の寸法が第5延部60の寸法と同じである。第7延部62は、第6延部61の上端から右方に向かって延びている。第7延部62は、前後方向3の寸法が第6延部61の前後方向3の寸法と同じである。第7延部62は、対向する第5延部60の上面に向かって山形状に折れ曲がっており、第5延部60の右寄りの位置で接触している。第7延部62は、下方から負荷を受けることによって第5延部60から離間する方向に撓む。
【0031】
当接片57は、ランナー21が取付金具22から抜けるのを防止する。図3図4に示されるように、当接片57は、第8延部63と、第9延部64とを有している。第8延部63は、第7延部62の前寄りの位置における右端から右方に沿って延びている。第8延部63は、前後方向3における寸法が第7延部62の前後方向3における寸法よりも小さい。第9延部64は、第8延部63の右端から下方に沿って延びている。第9延部64の先端は、第5延部60よりも下方に位置する。第7延部62の左端から第9延部64の上端までの左右方向2に沿う寸法D5(図4参照)は、上板31の左右方向2の寸法D3(図1参照)よりも大きい。第9延部64は、第5延部60と第7延部62との間に挟持された上板31の右方に位置する(図1参照)。つまり、ランナー21が取付金具22に対して右方にずれた際に、第9延部64の左方を向く面が背板30に当接する。
【0032】
[取付金具22による天井ボード25の取付手順]
以下においては、取付金具22によって梁11に天井ボード25を取り付ける手順について図6から図10を参照しつつ説明する。
【0033】
天井ボード25を梁11に取り付けるに際して作業者は、まず、ランナー21に取付金具22を取り付ける。図6に示されるように、第5延部60と第7延部62との間にランナー21の上板31が挟持される。このとき、第9延部64と第5延部60の端との間に背板30が位置する。また、作業者は、ランナー21に対する取付金具22の位置を前後方向3に移動することが容易にできる。
【0034】
次に、作業者は、取付金具22を梁11に取り付ける。具体的には、図7に示されるように、固定部34を梁11の第1側面16に位置決めした状態で長孔40にビス39を仮留めする。このとき、ビス39は、梁11に完全に締結されず、取付金具22が梁11に対して上下方向1にスライド可能な状態となる。作業者は、この状態でランナー21を上下方向1において位置合わせし、図8に示されるように、ビス55を貫通孔38に挿通しつつ第1側面16に固定する。作業者は、ビス55を固定した後、ビス39も締め付けて第1側面16に固定する。
【0035】
作業者は、梁11の右方においても同様に、ランナー21に嵌められた取付金具22を第2側面17に位置決めした状態でビス39を長孔40に仮留めする。作業者は、仮留めした後にランナー21を、上下方向1において、第1側面16に取り付けたランナー21と同じ位置に合わせる。作業者は、位置を合わせた状態で、ビス55を貫通孔38に挿通しつつ取付金具22を第2側面17に固定する。作業者は、図10に示されるように、ビス55を固定した後、ビス39も締め付けて取付金具22を第2側面17に固定する。取付金具22によって第2側面17に取り付けられたランナー21は、梁11の左方に位置するランナー21に対して、上下方向1において同じ位置になる。
【0036】
作業者は、ランナー21に野縁20を取り付ける。図10に示されるように、作業者は、梁11の左方に位置する野縁20の右端部分27を、ランナー21の上板31と下板32との間に挟持させる。このとき、野縁20の右端は背板30に当接する。野縁20の他端は、梁11の左方に位置する別の梁に固定されたランナー21に嵌められる。野縁20は、前後方向3に複数が並んで配置される。ランナー21の上板31および下板32のそれぞれが上下方向1に弾性変形可能であるため、作業者は、ランナー21の前後方向3に並ぶそれぞれの野縁20を上板31と下板32との間に挟んだまま前後方向3に移動させて互いの間隔を調整できる。作業者は、梁11の右方に位置する野縁20の左端部分28も同様にランナー21の上板31と下板32との間に挟持させて、野縁20同士の前後方向3における間隔を調整する。
【0037】
作業者は、梁11の左方および右方に配置された野縁20の下面24に、複数の天井ボード25をビス26留めする(図1参照)。
【0038】
[実施形態の作用効果]
固定部34と嵌合部36とを連結する連結部35が上下方向1に弾性変形可能なので、2階13の床から梁11に伝わった上下方向1の振動が連結部35において緩和されて嵌合部36に伝わる。その結果、梁11から、1階15の天井ボード25まで伝わる振動が抑制される。また、野縁受を必要としないため安価に振動の抑制を実現できる。つまり、階上から階下に伝わる振動を抑制できる天井支持構造が安価に実現できる。
【0039】
ランナー21と取付金具22とが嵌合されたとき、挟持片56はランナー21の上板31を挟み持つ。当接片57は、ランナー21が取り付け金具22に対してずれたときに背板30に当接する。ランナー21に取付金具22が嵌合された状態において、第5延部60がランナー21の上板31の下側に位置する。このため、野縁20は、ランナー21の開口に沿って前後方向3へ移動できる。
【0040】
[変形例]
上述の実施形態においては、取付金具22の連結部35が固定部34の左方に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。連結部35は、取付金具22は、梁11の第1側面16よりも左方に位置していればよく、取付金具22は梁11の第2側面17よりも右方に位置していればよい。つまり、連結部35は、梁11の第1側面16および第2側面17に干渉しない方向に延びていればよい。
【0041】
また、上述の実施形態においては、取付金具22の連結部35が平板をU字状に折り曲げられて形成される場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。連結部35は、例えば断面形状がV字状、W字状、或いは波形などであってもよい。
【0042】
また、上述の実施形態においては、当接片57が、第8延部63と、第9延部64とを有しており、当接片57が嵌合部36と繋がっている場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。当接片57は、ランナー21がずれた際に背板30と当接するものであればよく、必ずしも嵌合部36と一体である必要はない。当接片57は、嵌合部36に取り付けられる別体の部材であってもよい。
【0043】
また、上述の実施形態においては、ビス55を第1側面16または第2側面17に完全に締め付けた後に、仮留めしておいたビス39も締め付けて第1側面16または第2側面17に固定する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。仮留めされたビス39は、取付金具22がビス55によって固定された後に第1側面16および第2側面17から取り外されてもよい。つまり、取付金具22は、ビス55のみによって固定されてもよい。
【0044】
また、上述の実施形態においては、固定部34が、取付金具22を梁11に固定するための貫通孔38と、梁11に対するランナー21の位置を位置決めするための長孔40とを有する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。固定部34は、貫通孔38のみを有するものであってもよい。
【0045】
また、上述の実施形態においては、第7延部62は、対向する第5延部60の上面に向かって山形状に折れ曲がっており、第5延部60の右寄りの位置で接触している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第7延部62は、上板31の厚みよりも小さい寸法だけ離間していてもよい。つまり、少なくとも第7延部62の一部の領域が第5延部60に対して、上板31を挟み持つことができる程度に近接していればよい。
【0046】
[付記1]
金属製の平板から成型されており、ランナーを構造材に取り付ける取付金具であって、
構造材の側面に固定される固定部と、
上記ランナーが嵌合される嵌合部と、
上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を備えた取付金具。
【0047】
[付記2]
上記ランナーは、上板、背板、および下板を有して一方向きに開口しており、
上記固定部は、上記第1方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、
上記連結部は、上記固定部から一方向きへ延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びる第2延部と、当該第2延部から上記一方向きと逆向きへ延びる第3延部と、を有しており、
上記嵌合部は、上記ランナーの上記上板を上下方向に挟み持つ挟持片と、上記ランナーの上記背板に当接する当接片と、を有する付記1に記載の取付金具。
【0048】
[付記3]
構造材と、
上記構造材に固定された複数の取付金具と、
上記複数の取付金具に支持されたランナーと、を備えており、
上記取付金具は、
上記構造材に固定される固定部と、
上記ランナーに嵌合される嵌合部と、
上記固定部と上記嵌合部とを連結しており、上下方向に弾性変形可能な連結部と、を有している天井支持構造。
【0049】
[付記4]
上記ランナーは、上板、背板、および下板を有して一方向きに開口しており、
上記固定部は、上記第1方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、
上記連結部は、上記固定部から一方向きへ延びる第1延部と、当該第1延部から下方へ湾曲して延びる第2延部と、当該第2延部から上記一方向きと逆向きへ延びる第3延部と、を有しており、
上記嵌合部は、上記ランナーの上記上板を上下方向に挟み持つ挟持片と、上記ランナーの上記背板に当接する当接片と、を有する付記3に記載の天井支持構造。
【符号の説明】
【0050】
11・・・梁(構造材)
12・・・天井支持構造
16・・・第1側面(側面)
17・・・第2側面(側面)
21・・・ランナー
22・・・取付金具
30・・・背板
31・・・上板
32・・・下板
34・・・固定部
35・・・連結部
36・・・嵌合部
56・・・挟持片
57・・・当接片
50・・・第1延部
51・・・第2延部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10