(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010677
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20250116BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
E02F3/43 A
E02F9/22 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112785
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀典
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BA03
2D003BB11
2D003CA02
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】先端アタッチメントが目標施工面よりも深く掘り過ぎるのを抑制することが可能な作業機械を提供する。
【解決手段】操作手段への操作が所定操作の場合に、バケット33で施工される施工面73が予め設定された目標施工面71に近づくように、アタッチメント30の動作を半自動または自動で制御する制御手段と、施工面73が目標施工面71に近づく方向とは逆方向に目標施工面71から離れた位置に進入禁止面72を設定する設定手段と、制御手段がアタッチメント30の動作を制御していないときに、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作を制限する動作制限手段と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体と、
前記機械本体に設けられ、先端アタッチメントを備えたアタッチメントと、
前記アタッチメントを操作するための操作手段と、
前記操作手段への操作が所定操作の場合に、前記先端アタッチメントで施工される施工面が予め設定された目標施工面に近づくように、前記アタッチメントの動作を半自動または自動で制御する制御手段と、
前記施工面が前記目標施工面に近づく方向とは逆方向に前記目標施工面から離れた位置に進入禁止面を設定する設定手段と、
前記制御手段が前記アタッチメントの動作を制御していないときに、前記進入禁止面よりも前記目標施工面側に前記先端アタッチメントが侵入しないように、前記アタッチメントの動作を制限する動作制限手段と、
を有することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記動作制限手段は、前記先端アタッチメントが前記進入禁止面に近づくほど、前記アタッチメントの動作を制限することを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記動作制限手段は、前記先端アタッチメントが前記進入禁止面に近づくほど、前記アタッチメントの動作速度を制限することを特徴とする請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記動作制限手段は、前記アタッチメントの動作を制限しているときに、前記進入禁止面に沿って前記先端アタッチメントが移動するのを許容することを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記動作制限手段は、前記アタッチメントの動作を制限しているときに、前記進入禁止面に対向する範囲内から前記先端アタッチメントが外れた場合に、前記アタッチメントの動作の制限を解除することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記動作制限手段は、前記アタッチメントの動作の制限を解除しているときに、前記進入禁止面に対向する範囲内に前記先端アタッチメントが入った場合に、前記アタッチメントの動作を再び制限することを特徴とする請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記動作制限手段による前記アタッチメントの動作の制限の有効と無効とを切り換える切り換え手段を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項8】
オペレータの操作に応じて、前記目標施工面と前記進入禁止面との距離を設定する距離設定手段を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項9】
前記進入禁止面の範囲を設定する範囲設定手段を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメントの動作を半自動または自動で制御することが可能な作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、目標の形状にバケットの刃先が侵入しないようにアタッチメントを制御することが開示されている。施工対象の仕上がりの目標形状である目標施工地形から所定距離離れたオフセット地形を設定し、掘削時にはオフセット地形を目標の形状とし、押し固め作業時には目標施工地形を目標の形状としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業機械では、施工面が目標施工面に近づくように、アタッチメントの動作を半自動または自動で制御することが行われている。ところが、アタッチメントに動作を開始させた際に、シリンダの圧籠り、構造的ながたつき、車体の揺動などによって、アタッチメントが目標とする挙動とは異なる挙動(バケット(先端アタッチメント)が僅かに落下する挙動など)をする場合がある。この場合、目標施工面にバケットが近いと、目標施工面にバケットが接触することで、目標施工面よりも深く掘り過ぎてしまう恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、先端アタッチメントが目標施工面よりも深く掘り過ぎるのを抑制することが可能な作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機械本体と、前記機械本体に設けられ、先端アタッチメントを備えたアタッチメントと、前記アタッチメントを操作するための操作手段と、前記操作手段への操作が所定操作の場合に、前記先端アタッチメントで施工される施工面が予め設定された目標施工面に近づくように、前記アタッチメントの動作を半自動または自動で制御する制御手段と、前記施工面が前記目標施工面に近づく方向とは逆方向に前記目標施工面から離れた位置に進入禁止面を設定する設定手段と、前記制御手段が前記アタッチメントの動作を制御していないときに、前記進入禁止面よりも前記目標施工面側に前記先端アタッチメントが侵入しないように、前記アタッチメントの動作を制限する動作制限手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、操作手段による操作が所定操作の場合に、先端アタッチメントで施工される施工面が予め設定された目標施工面に近づくように、アタッチメントの動作が半自動または自動で制御される。一方、アタッチメントの動作が制御されていないときに、進入禁止面よりも目標施工面側に先端アタッチメントが侵入しないように、アタッチメントの動作が制限される。アタッチメントの動作が制御される前に、先端アタッチメントが、例えば、進入禁止面の近傍の制御開始位置に移動される場合がある。このときに、進入禁止面よりも目標施工面側に先端アタッチメントが侵入しないように、アタッチメントの動作が制限されるので、目標施工面と先端アタッチメントとが離れた状態になる。よって、この状態でアタッチメントの動作の制御が開始された際に、アタッチメントが目標とする挙動とは異なる挙動(先端アタッチメントが僅かに落下する挙動など)をしても、先端アタッチメントが目標施工面に当たるのを抑制することができる。これにより、先端アタッチメントが目標施工面よりも深く掘り過ぎるのを抑制することができる。また、アタッチメントの動作が制御される前に、例えば、誤操作などにより、先端アタッチメントが、進入禁止面に向かって移動する場合などがある。この場合にも、進入禁止面よりも目標施工面側に先端アタッチメントが侵入しないように、アタッチメントの動作が制限されるので、先端アタッチメントが目標施工面に当たるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】アタッチメントの動作が半自動制御された作業機械の側面図である。
【
図4】アタッチメントの動作が半自動制御されていない作業機械の側面図である。
【
図5】相対距離Lとy方向の速度の最大値との関係を示す図である。
【
図6】相対距離Lとx軸の正方向の速度の最大値との関係を示す図である。
【
図7】相対距離Lとx軸の負方向の速度の最大値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(作業機械の構成)
本実施形態による作業機械は、アタッチメントの動作を半自動または自動で制御することが可能である。作業機械1の側面図である
図1に示すように、作業機械1は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械1は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0011】
下部走行体21は、作業機械1を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0012】
キャブ23内には、複数の操作レバー(操作手段)29が設けられている。操作レバー29は、オペレータにより操作される。操作レバー29は、アタッチメント30を操作するためのものである。
【0013】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、アタッチメント30の先端部である先端アタッチメントであり、上部旋回体22の前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。
【0014】
バケット33の種類としては、標準バケット、標準バケットよりも横幅が広い幅広バケット、標準バケットよりも横幅が狭い幅狭バケット、底が平たくなっている法面バケットなどがある。なお、先端アタッチメントは、バケット33に限定されない。
【0015】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。なお、シリンダ40は、電動シリンダであってもよい。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0016】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0017】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0018】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0019】
また、作業機械1は、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0020】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の現在の旋回角度である現在角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0021】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、上部旋回体傾斜角センサ(図示せず)と、を備える。
【0022】
ブーム傾斜角センサ61および上部旋回体傾斜角センサは、例えば傾斜(加速度)センサである。ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、水平線に対するブーム31の傾斜角度を検出する。上部旋回体傾斜角センサは、上部旋回体22に設けられ、水平線に対する上部旋回体22の傾斜角度を検出する。ブーム傾斜角センサ61が検出した、水平線に対するブーム31の傾斜角度と、上部旋回体傾斜角センサが検出した、水平線に対する上部旋回体22の傾斜角度とに基づいて、上部旋回体22に対するブーム31の角度が算出される。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0023】
アーム傾斜角センサ62は、例えば傾斜(加速度)センサである。アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、水平線に対するアーム32の傾斜角度を検出する。アーム傾斜角センサ62が検出した、水平線に対するアーム32の傾斜角度と、上部旋回体傾斜角センサが検出した、水平線に対する上部旋回体22の傾斜角度とに基づいて、上部旋回体22に対するアーム32の角度が算出される。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
バケット傾斜角センサ63は、例えば傾斜(加速度)センサである。バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、水平線に対するバケット33の傾斜角度を検出する。バケット傾斜角センサ63が検出した、水平線に対するバケット33の傾斜角度と、上部旋回体傾斜角センサが検出した、水平線に対する上部旋回体22の傾斜角度とに基づいて、上部旋回体22に対するバケット33の角度が算出される。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
(作業機械の機能構成)
作業機械1の機能構成図である
図2に示すように、作業機械1は、コントローラ11と、記憶装置13と、を有している。
【0026】
記憶装置13は、目標施工面71(
図3参照)を記憶している。また、記憶装置13は、目標施工面71に対して設定される進入禁止面72(
図3参照)を記憶する。
【0027】
コントローラ11には、角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、バケット傾斜角センサ63が検出した、バケット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0028】
コントローラ11は、アタッチメント30の動作を、手動操作モードとマシンコントロール(MC)モードとの間で切り換える。コントローラ11は、モード切換スイッチ(図示せず)が操作されると、アタッチメント30の動作を、手動操作モードとMCモードとの間で切り換える。モード切換スイッチは、操作レバー29に設けられていてもよいし、各種情報を表示する表示装置や、スイッチコンソール等に設けられていてもよい。
【0029】
コントローラ11は、手動操作モードでは、各種の操作レバー29へのオペレータの操作量に応じて、ブーム31、アーム32、および、バケット33をそれぞれ動作させる。つまり、手動操作モードでは、オペレータは、ブーム31、アーム32、および、バケット33を自在に動作させることが可能である。なお、後述するように、手動操作モードでは、アタッチメント30の動作が制限される。詳細は後述する。
【0030】
一方、コントローラ(制御手段)11は、MCモードでは、アタッチメント30の動作を半自動で制御する。コントローラ11は、操作レバー29への操作が所定操作の場合に、アタッチメント30の動作を半自動で制御する。ここで、本実施形態において、所定操作とは、MCモードにおいて、オペレータによって、アーム32を上部旋回体22側に引き寄せる方向に、アーム32用の操作レバー29が操作されることである。コントローラ11は、MCモードでは、アーム32用の操作レバー29への操作量に応じたアーム32の動きに伴って、ブーム31およびバケット33の動作を制御する。コントローラ11は、バケット33で施工される施工面が予め設定された目標施工面に近づくように、アタッチメント30の動作を半自動で制御する。この半自動制御では、角度センサ52および傾斜角センサ60の検出値が使用されてもよい。
【0031】
アタッチメント30の動作が半自動制御された作業機械1の側面図を
図3に示す。
図3では、法面を含む施工面73の下方に目標施工面71が設定されている。MCモードでは、バケット33で施工される施工面73が目標施工面71に近づくように、アタッチメント30の動作が半自動で制御される。これにより、
図3では、法面整形が行われる。
【0032】
MCモードでのアタッチメント30の半自動制御は、いわゆるマシンコントロールである。マシンコントロールは、施工の仕上げに用いられるアシスト機能である。
【0033】
ここで、目標施工面71は、掘削対象である地盤の目標形状であって、3次元の設計地形を特定する面である。目標施工面71は、平面に限定されず、曲面などであってもよい。目標施工面71は、CIM(Construction Information Modeling/Management)などの外部データによって特定されてもよいし、上部旋回体22の位置を基準にして設定されたものでもよい。
【0034】
MCモードにおいて、アタッチメント30の動作が半自動制御される前に、手動操作モードにおいて、バケット33が制御開始位置に移動されて、アタッチメント30の動作が一時停止される。制御開始位置は、例えば、施工面73の近傍である。この状態で、手動操作モードからMCモードに切り換えられる。その後、アタッチメント30に動作を開始させた際に、シリンダ40の圧籠り、構造的ながたつき(例えば、バケット33とリンク部材34とのがたつき)、機械本体24の揺動などによって、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動(バケット33が僅かに落下する挙動など)をする場合がある。この場合、目標施工面71にバケット33が近いと、目標施工面71にバケット33が接触することで、目標施工面71よりも深く掘り過ぎてしまう恐れがある。
【0035】
ここで、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をするとは、バケット33の目標位置に対してバケット33の実際の位置がばらついたり、バケット33の目標速度に対してバケット33の実際の速度がばらついたりすることである。また、バケット33が落下するとは、アーム32用の操作レバー29への操作量で決定される速度以上の速度でアーム32が下方に落ちることを意味する。目標とする挙動とは異なる挙動には、バケット33が僅かに落下することだけでなく、バケット33の実際の位置が目標位置よりも高くなることも含まれる。
【0036】
なお、目標とする挙動とは異なる挙動は、MCモードに限って起こるものではない。アタッチメント30を一時停止させた状態から、アタッチメント30に動作を開始させた際に、手動操作モードやMCモードに関わらず、目標とする挙動とは異なる挙動をする場合がある。
【0037】
そこで、
図3に示すように、本実施形態では、コントローラ(設定手段)11は、施工面73が目標施工面71に近づく方向とは逆方向に目標施工面71から離れた位置に進入禁止面72を設定する。目標施工面71と同様に、進入禁止面72は、平面に限定されず、曲面などであってもよい。本実施形態において、目標施工面71と進入禁止面72との間隔は一定であるが、一定でなくてもよい。例えば、目標施工面71の平面部分と斜面部分とがなす角部では、アタッチメント30の姿勢変化を考慮して、目標施工面71と進入禁止面72との間隔を他よりも広くしてよい。
【0038】
アタッチメント30の動作が半自動制御されていない作業機械1の側面図を
図4に示す。コントローラ(動作制限手段)11は、手動操作モードであって、自身がアタッチメント30の動作を半自動で制御していないときに、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作を制限する。
【0039】
MCモードにおいて、アタッチメント30の動作が半自動で制御される前に、手動操作モードにおいて、バケット33が制御開始位置に移動されて、アタッチメント30の動作が一時停止される。制御開始位置は、例えば、進入禁止面72の近傍である。このときに、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作が制限されるので、目標施工面71とバケット33とが離れた状態になる。よって、この状態でMCモードに切り換えられて、アタッチメント30の動作の半自動制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動(バケット33が僅かに落下する挙動など)をしても、バケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。これにより、バケット33が目標施工面71よりも深く掘り過ぎるのを抑制することができる。
【0040】
ここで、作業機械1は、フィードバック制御されている。フィードバック制御とは、バケット33の先端部の速度を逐次検出して、この速度が目的の速度となるようにシリンダ40を制御することである。アタッチメント30の動作が一時停止された状態から、アタッチメント30の動作の半自動制御が開始された際に、バケット33が落下するなどしても、このフィードバック制御によって、アタッチメント30の速度が補正される。よって、バケット33が目標施工面71に到達する前に、バケット33が停止される。
【0041】
また、アタッチメント30の動作が半自動制御される前に、例えば、誤操作などにより、バケット33が、進入禁止面72に向かって移動する場合などがある。この場合にも、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作が制限されるので、バケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。
【0042】
なお、MCモードでアタッチメント30の動作が半自動制御されているときであっても、オペレータは、操作レバー29を操作することで、ブーム31やバケット33を動作させることが可能である。そして、これらの動作は、アタッチメント30の動作の半自動制御よりも優先される。これは、障害物を避けたりする必要があるからである。さらに、MCモードでアタッチメント30の動作が半自動制御されているときには、進入禁止面72に対するアタッチメント30の動作の制限は解除される。
【0043】
なお、コントローラ(制御手段)11は、MCモードでは、アタッチメント30の動作を自動で制御してもよい。この場合、例えば、手動操作モードにおいて、バケット33を制御開始位置に移動させた後に、MCモードに切り換えると、コントローラ(制御手段)11は、バケット33で施工される施工面73が予め設定された目標施工面71に近づくように、アタッチメント30の動作を自動で制御する。このとき、オペレータは、何の操作も行う必要がない。
【0044】
図4に示すように、コントローラ(動作制限手段)11は、手動操作モードにおいて、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作を制限する。具体的には、コントローラ(動作制限手段)11は、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作速度を制限する。なお、アタッチメント30の動作を制限する仕方は、アタッチメント30の動作速度の制限に限定されない。
【0045】
図4に示すように、進入禁止面72に平行な方向にx軸をとり、x軸に直交する方向にy軸をとる。x軸の正方向は、進入禁止面72に沿って上から下に向かう方向である。y軸の正方向は、進入禁止面72から離れる方向である。y方向におけるバケット33と進入禁止面72との相対距離をLとする。
【0046】
相対距離Lとy方向の速度の最大値との関係を
図5に示す。オペレータは、y方向において、最大値以下の速度でアタッチメント30を動作させることが可能である。
図5に示すように、相対距離Lが小さくなるほど、y方向の速度の最大値は小さくなる。そして、相対距離Lがゼロになると、y方向の速度の最大値はゼロとなる。つまり、コントローラ(動作制限手段)11は、y方向に沿って進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入するのを抑制する。
【0047】
進入禁止面72の付近でアタッチメント30を急に減速させたり、急停止させたりすると、機械本体24の揺動やシリンダ40の圧籠りが発生する。この状態でアタッチメント30の動作の半自動制御が開始されると、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動(バケット33が僅かに落下する挙動など)をする場合がある。そこで、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作を制限する。このように、進入禁止面72に近いほどアタッチメント30の動作を制限することで、アタッチメント30を緩やかに停止させることができる。これにより、アタッチメント30を急に減速させたり、急停止させたりすることによるシリンダ40の圧籠りの発生を抑制することができる。よって、その後にアタッチメント30の動作の半自動制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をするのを抑制することができる。
【0048】
一方、
図5に示すように、相対距離Lが大きくなるほど、y方向の速度の最大値は大きくなる。つまり、コントローラ(動作制限手段)11は、y方向に沿って進入禁止面72から離れる方向にバケット33が移動するのを許容する。これにより、アタッチメント30の動作が制限されているときでも、進入禁止面72から離れる方向にバケット33を移動させることができる。よって、例えば、制御開始位置の方にバケット33を移動させることができる。
【0049】
相対距離Lとx方向の速度の最大値との関係を
図6、
図7に示す。
図6は、x軸の正方向の速度の最大値と相対距離Lとの関係を示している。
図7は、x軸の負方向の速度の最大値と相対距離Lとの関係を示している。オペレータは、x方向において、最大値以下の速度でアタッチメント30を動作させることが可能である。
図6、
図7に示すように、相対距離Lが小さくなるほど、x方向の速度の最大値は小さくなる。このように、進入禁止面72に近いほどアタッチメント30の動作を制限することで、アタッチメント30を緩やかに停止させることができる。これにより、アタッチメント30を急に減速させたり、急停止させたりすることによるシリンダ40の圧籠りの発生を抑制することができる。なお、本実施形態では、相対距離Lが小さくなるほど、x方向の速度の最大値を小さくしているが、このような制限を設けなくてもよい。
【0050】
ここで、相対距離Lがゼロになっても、x方向の速度の最大値はゼロにはならない。つまり、コントローラ(動作制限手段)11は、アタッチメント30の動作を制限しているときに、進入禁止面72に沿ってバケット33が移動するのを許容する。これにより、アタッチメント30の動作が制限されているときでも、進入禁止面72に沿ってバケット33を移動させることができる。よって、例えば、制御開始位置の方にバケット33を移動させることができる。
【0051】
相対距離Lと上部旋回体22の旋回速度の最大値との関係は、
図6、
図7に示した関係と同様である。上部旋回体22の右旋回を正方向、上部旋回体22の左旋回を負方向とすると、正方向の旋回速度の最大値と相対距離Lとの関係は、
図6のようになり、負方向の旋回速度の最大値と相対距離Lとの関係は、
図7のようになる。相対距離Lが小さくなるほど、旋回速度の最大値は小さくなる。このように、進入禁止面72に近いほどアタッチメント30の動作を制限することで、アタッチメント30を緩やかに停止させることができる。これにより、アタッチメント30を急に減速させたり、急停止させたりすることによるシリンダ40の圧籠りの発生を抑制することができる。なお、本実施形態では、相対距離Lが小さくなるほど、旋回速度の最大値を小さくしているが、このような制限を設けなくてもよい。
【0052】
ここで、相対距離Lがゼロになっても、旋回速度の最大値はゼロにはならない。つまり、コントローラ(動作制限手段)11は、アタッチメント30の動作を制限しているときに、上部旋回体22が旋回するのを許容する。これにより、アタッチメント30の動作が制限されているときでも、上部旋回体22を旋回させることができる。よって、例えば、制御開始位置の方にバケット33を移動させることができる。また、上部旋回体22を旋回させることで、目標施工面71にバケット33が接触するのを抑制することができる。
【0053】
作業機械1および進入禁止面72の上面図を
図8に示す。コントローラ(動作制限手段)11は、手動操作モードにおいて、アタッチメント30の動作を制限しているときに、進入禁止面72に対向する範囲内からバケット33が外れた場合に、アタッチメント30の動作の制限を解除する。ここで、進入禁止面72に対向する範囲と、進入禁止面72との対向方向は、上下方向や、進入禁止面72に直交する方向であってよい。
【0054】
例えば、上部旋回体22を旋回させたり、下部走行体21を走行させたりすることで、進入禁止面72に対向する範囲内からバケット33が外れる場合がある。また、上部旋回体22の方にバケット33を近づけたり、上部旋回体22からバケット33を遠ざけたりすることで、進入禁止面72に対向する範囲内からバケット33が外れる場合がある。そして、進入禁止面72に対向する範囲外では、地面を整地したり、盛り土を移動させたりする作業が行われる場合がある。そこで、進入禁止面72に対向する範囲外では、アタッチメント30の動作の制限を解除することで、これらの作業を好適に行うことができる。
【0055】
コントローラ(動作制限手段)11は、手動操作モードにおいて、アタッチメント30の動作の制限を解除しているときに、進入禁止面72に対向する範囲内にバケット33が入った場合に、アタッチメント30の動作を再び制限する。これにより、進入禁止面72に対向するバケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。コントローラ(動作制限手段)11は、アタッチメント30の動作を再び制限する際に、進入禁止面72に対向する範囲内にバケット33が入ったことを、キャブ23内に設けられたディスプレイへの表示や、スピーカからの音声や、操作レバー29の振動によって、オペレータに報知してよい。
【0056】
図2に示すように、作業機械1は、操作制限切換スイッチ27を有している。操作制限切換スイッチ27は、キャブ23内に設けられている。コントローラ(切り換え手段)11は、操作制限切換スイッチ27のオンオフに応じて、自身によるアタッチメント30の動作の制限の有効と無効とを切り換える。アタッチメント30の動作の制限が有効と無効のどちらであるかは、キャブ23内に設けられたディスプレイに表示される。これにより、オペレータは、アタッチメント30の動作の制限が有効と無効のどちらであるのかを把握することができる。なお、キャブ23内に設けられたスピーカからの音声や、操作レバー29の振動などで、アタッチメント30の動作の制限が有効と無効のどちらであるのかがオペレータに報知されてもよい。
【0057】
施工面73が目標施工面71に近づくようにアタッチメント30を動作させる作業(半自動制御による作業)とは異なる作業が、施工面73の近傍で行われる場合がある。例えば、施工面73に盛り土をして施工面73を埋め直すなどの作業が行われる場合がある。そこで、例えば、施工面73が目標施工面71に近づくようにアタッチメント30を動作させる作業とは異なる作業が行われる場合などに、アタッチメント30の動作の制限を無効にすることで、このような作業を好適に行うことができる。
【0058】
また、
図2に示すように、作業機械1は、入力装置28を有している。入力装置28は、例えばタッチパネルであり、キャブ23内に設けられている。オペレータは、目標施工面71と進入禁止面72との距離を入力装置28に入力することが可能である。コントローラ(距離設定手段)11は、入力装置28へのオペレータの操作に応じて、目標施工面71と進入禁止面72との距離を設定する。
【0059】
例えば、目標施工面71と進入禁止面72との距離は、入力装置28に入力された距離(mm)だけ目標施工面71から上方に離れた位置に進入禁止面72を配置することで設定される。また、目標施工面71と進入禁止面72との距離は、バケット33の現在の爪先の位置に進入禁止面72を配置することで設定される。また、目標施工面71と進入禁止面72との距離は、アタッチメント30の動作の制限が有効に切り換えられたときのバケット33の爪先の位置に進入禁止面72を配置することで設定される。また、目標施工面71と進入禁止面72との距離は、タッチパネルを指でなぞった線など、入力装置28に入力された位置に進入禁止面72を配置することで設定される。
【0060】
作業機械1では、用途に応じてバケット33が交換される。アタッチメント30の動作の半自動制御が開始された際に生じる、バケット33の位置のばらつき量は、バケット33の質量や形状によって変化する。よって、例えば、使用されるバケット33の種類に応じて、オペレータは、目標施工面71と進入禁止面72との距離を設定する。この場合、アタッチメント30の動作の半自動制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をしても、バケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。
【0061】
なお、コントローラ(距離設定手段)11は、アーム32に取り付けられたバケット33の種類に応じて、目標施工面71と進入禁止面72との距離を自動で設定してもよい。アーム32に取り付けられたバケット33の種類に関する情報は、オペレータによって入力装置28に入力されてもよいし、自動で取得されてもよい。
【0062】
また、オペレータは、進入禁止面72の範囲(座標など)を入力装置28に入力することが可能である。コントローラ(範囲設定手段)11は、入力装置28へのオペレータの操作に応じて、進入禁止面72の範囲を設定する。なお、ティーチングによって、進入禁止面72の範囲が設定されてもよい。ティーチングでは、バケット33が施工面73上の2点以上の位置に手動で位置される。このときのバケット33の爪先位置がそれぞれ記憶装置13に登録されることで、進入禁止面72の範囲が画定される。また、上部旋回体22の旋回角度やアタッチメント30が届く範囲に基づいて、進入禁止面72の範囲が設定されてもよい。
【0063】
例えば、
図3に示すように、二次元の断面で進入禁止面72を設定した場合、進入禁止面72は、断面に直交する方向に無限の長さになってしまう。そこで、進入禁止面72の範囲を設定することで、進入禁止面が過剰に広くならないようにすることができる。
【0064】
なお、入力装置28への入力前には、進入禁止面72の範囲はデフォルトの範囲に設定されてもよい。デフォルトの範囲は、例えば、上部旋回体22の旋回角度やアタッチメント30が届く範囲に基づいて、上部旋回体22の前方に設定される。この場合、オペレータは、入力装置28への入力によって、デフォルトの範囲を広狭させてよい。
【0065】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業機械1によれば、
図3に示すように、操作レバー29による操作が所定操作の場合に、バケット33で施工される施工面73が予め設定された目標施工面71に近づくように、アタッチメント30の動作が半自動または自動で制御される。一方、
図4に示すように、アタッチメント30の動作が制御されていないときに、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作が制限される。アタッチメント30の動作が制御される前に、バケット33が、例えば、進入禁止面72の近傍の制御開始位置に移動される場合がある。このときに、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作が制限されるので、目標施工面71とバケット33とが離れた状態になる。よって、この状態でアタッチメント30の動作の制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動(バケット33が僅かに落下する挙動など)をしても、バケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。これにより、バケット33が目標施工面71よりも深く掘り過ぎるのを抑制することができる。また、アタッチメント30の動作が制御される前に、例えば、誤操作などにより、バケット33が、進入禁止面72に向かって移動する場合などがある。この場合にも、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作が制限されるので、バケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。
【0066】
また、
図5~
図7に示すように、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作が制限される。例えば、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作速度が制限される。進入禁止面72の付近でアタッチメント30を急に減速させたり、急停止させたりすると、機械本体24の揺動やシリンダ40の圧籠りが発生する。この状態でアタッチメント30の動作の制御が開始されると、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動(バケット33が僅かに落下する挙動など)をする場合がある。そこで、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作を制限する。これにより、その後にアタッチメント30の動作の制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をするのを抑制することができる。
【0067】
また、
図5~
図7に示すように、バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作速度が制限される。バケット33が進入禁止面72に近づくほど、アタッチメント30の動作速度を制限することで、その後にアタッチメント30の動作の制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をするのを抑制することができる。
【0068】
また、
図6、
図7に示すように、アタッチメント30の動作が制限されているときに、進入禁止面72に沿ってバケット33が移動するのが許容される。これにより、アタッチメント30の動作が制限されているときでも、進入禁止面72に沿ってバケット33を移動させることができる。よって、例えば、制御開始位置の方にバケット33を移動させることができる。
【0069】
また、
図8に示すように、アタッチメント30の動作を制限しているときに、進入禁止面72に対向する範囲内からバケット33が外れた場合に、アタッチメント30の動作の制限が解除される。進入禁止面72に対向する範囲外では、地面を整地したり、盛り土を移動させたりする作業が行われる場合がある。そこで、進入禁止面72に対向する範囲外では、アタッチメント30の動作の制限を解除することで、これらの作業を好適に行うことができる。
【0070】
また、
図8に示すように、アタッチメント30の動作の制限を解除しているときに、進入禁止面72に対向する範囲内にバケット33が入った場合に、アタッチメント30の動作が再び制限される。これにより、進入禁止面72に対向するバケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。
【0071】
また、操作制限切換スイッチ27およびコントローラ11によって、アタッチメント30の動作の制限の有効と無効とが切り換えられる。施工面73が目標施工面71に近づくようにアタッチメント30を動作させる作業(制御による作業)とは異なる作業が、施工面73の近傍で行われる場合がある。例えば、施工面73に盛り土をして施工面73を埋め直すなどの作業が行われる場合がある。そこで、例えば、施工面73が目標施工面71に近づくようにアタッチメント30を動作させる作業とは異なる作業が行われる場合などに、アタッチメント30の動作の制限を無効にすることで、このような作業を好適に行うことができる。
【0072】
また、オペレータの操作に応じて、目標施工面71と進入禁止面72との距離が設定される。作業機械1では、用途に応じてバケット33が交換される。アタッチメント30の動作の制御が開始された際に生じる、バケット33の位置のばらつき量は、バケット33の質量や形状によって変化する。よって、例えば、使用されるバケット33の種類に応じて、オペレータは、目標施工面71と進入禁止面72との距離を設定する。この場合、アタッチメント30の動作の制御が開始された際に、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をしても、バケット33が目標施工面71に当たるのを抑制することができる。
【0073】
また、進入禁止面72の範囲が設定される。例えば、二次元の断面で進入禁止面72を設定した場合、進入禁止面72は、断面に直交する方向に無限の長さになってしまう。そこで、進入禁止面72の範囲を設定することで、進入禁止面72が過剰に広くならないようにすることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0075】
例えば、MCモードで操作レバー29への操作が所定操作の場合に、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33は侵入することができるが、コントローラ11は、作業機械1の応答性が悪い状態(例えば、作動油の温度が低い状態など)を検出した場合には、進入禁止面72よりも目標施工面71側にバケット33が侵入しないように、アタッチメント30の動作を制限してもよい。これにより、アタッチメント30が目標とする挙動とは異なる挙動をするのを抑制することができるので、施工精度を安定させることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 作業機械
11 コントローラ(制御手段、設定手段、動作制限手段、切り換え手段、距離設定手段、範囲設定手段)
13 記憶装置
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
27 操作制限切換スイッチ
28 入力装置
29 操作レバー(操作手段)
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット(先端アタッチメント)
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
71 目標施工面
72 進入禁止面
73 施工面