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特開2025-106805マスク組立体およびそれを用いた有機発光素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025106805
(43)【公開日】2025-07-16
(54)【発明の名称】マスク組立体およびそれを用いた有機発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20250709BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250709BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20250709BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H10K59/10
H10K71/16 166
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024228589
(22)【出願日】2024-12-25
(31)【優先権主張番号】10-2024-0001342
(32)【優先日】2024-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ダ フィ
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン ハ
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG33
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BD01
4K029CA01
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
(57)【要約】
【課題】マスク組立体およびそれを用いた有機発光素子の製造方法が提供される。
【解決手段】一実施形態によるマスク組立体は、マスクフレーム、前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック、前記複数の短辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック、および前記複数の長辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、前記複数の長辺スティックは前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、前記第1長辺スティックは前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように前記マスクフレームの短辺方向に延びた羽根部を含み、前記マスクフレームの長辺は前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク組立体において、
マスクフレーム;
前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック;
前記複数の短辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック;および
前記複数の長辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、
前記複数の長辺スティックは、前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および、前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、
前記第1長辺スティックは、前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように前記マスクフレームの短辺への方向へと延びた羽根部を含み、
前記マスクフレームの長辺は、前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む、マスク組立体。
【請求項2】
前記マスクフレームの短辺は、前記複数の長辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる長辺スティック溝を含み、
前記マスクフレームの長辺は、前記複数の短辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる短辺スティック溝を含む、請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項3】
前記羽根溝と前記短辺スティック溝とは、互いに重なるように配置される、請求項2に記載のマスク組立体。
【請求項4】
前記短辺スティック溝に、前記短辺スティックの端部が据え付けられ、
前記羽根部は、前記短辺スティック溝の上方に位置した前記羽根溝に据え付けられる、請求項3に記載のマスク組立体。
【請求項5】
前記羽根部は、前記羽根溝に据え付けられる第1羽根部、および、前記長辺スティックの延長方向を基準として前記第1羽根部と線対称に配置される第2羽根部を含む、請求項4に記載のマスク組立体。
【請求項6】
前記長辺スティック溝の高さは、前記羽根溝の高さと同じである、請求項2に記載のマスク組立体。
【請求項7】
前記羽根溝の幅は、前記短辺スティック溝の幅より大きい、請求項2に記載のマスク組立体。
【請求項8】
前記マスクフレームの内側の側面から延びる前記羽根溝の第1長さは、前記マスクフレームの内側の側面から延びる前記長辺スティック溝の第2長さより短い、請求項2に記載のマスク組立体。
【請求項9】
前記蒸着マスクは前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される、請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項10】
前記蒸着マスクは、
前記蒸着マスクの両端部に位置する固定部;
前記固定部の間に位置し、複数のパターン開口を含む少なくとも一つの蒸着パターン部;および
前記蒸着パターン部の周辺に位置するリブ部を含む、請求項1に記載のマスク組立体。
【請求項11】
マスク組立体において、
マスクフレーム;
前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック;
前記複数の長辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック;および
前記複数の短辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、
前記複数の長辺スティックは、前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および、前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、
前記第1長辺スティックは、前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように前記マスクフレームの短辺への方向へと延びた羽根部を含み、
前記マスクフレームの長辺は前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む、マスク組立体。
【請求項12】
前記マスクフレームの短辺は、前記複数の長辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる長辺スティック溝を含み、
前記マスクフレームの長辺は、前記複数の短辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる短辺スティック溝を含む、請求項11に記載のマスク組立体。
【請求項13】
前記羽根溝と前記短辺スティック溝とは互いに重なるように配置される、請求項12に記載のマスク組立体。
【請求項14】
前記短辺スティック溝に前記短辺スティックの端部が据え付けられ、
前記羽根部は、前記短辺スティック溝の下方に位置した前記羽根溝に据え付けられる、請求項13に記載のマスク組立体。
【請求項15】
前記羽根部は、前記羽根溝に据え付けられる第1羽根部、および前記長辺スティックの延長方向を基準として前記第1羽根部と対称に配置される第2羽根部を含む、請求項14に記載のマスク組立体。
【請求項16】
前記長辺スティック溝の高さは前記羽根溝の高さと同じである、請求項12に記載のマスク組立体。
【請求項17】
前記羽根溝の幅は、前記短辺スティック溝の幅より大きい、請求項12に記載のマスク組立体。
【請求項18】
前記マスクフレームの内側の側面から延びる前記羽根溝の第1長さは、前記マスクフレームの内側の側面から延びる前記長辺スティック溝の第2長さより短い、請求項12に記載のマスク組立体。
【請求項19】
前記蒸着マスクは、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される、請求項11に記載のマスク組立体。
【請求項20】
前記蒸着マスクは、
前記蒸着マスクの両端部に位置する固定部;
前記固定部の間に位置し、複数のパターン開口を含む少なくとも一つの蒸着パターン部;および
前記蒸着パターン部の周辺に位置するリブ部を含む、請求項11に記載のマスク組立体。
【請求項21】
有機発光素子の製造方法において、
マスク組立体の一面上に基板を配置する段階;
前記マスク組立体の他面と対向するように蒸着源を配置する段階;および
前記蒸着源に収容された蒸着物質を気化し、前記気化した蒸着物質が前記マスク組立体を通過して前記基板に蒸着されるようにする段階を含み、
前記マスク組立体は、
マスクフレーム;
前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック;
前記複数の短辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック;および
前記複数の長辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、
前記複数の長辺スティックは、前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および、前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、
前記第1長辺スティックは、前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように前記マスクフレームの短辺への方向へと延びた羽根部を含み、
前記マスクフレームの長辺は、前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む、有機発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記マスクフレームの短辺は、前記複数の長辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる長辺スティック溝を含み、
前記マスクフレームの長辺は、前記複数の短辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる短辺スティック溝を含む、請求項21に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項23】
前記羽根溝と前記短辺スティック溝とは互いに重なるように配置される、請求項22に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項24】
前記短辺スティック溝に前記短辺スティックの端部が据え付けられ、
前記羽根部は、前記短辺スティック溝の上方に位置した前記羽根溝に据え付けられる、請求項23に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク組立体およびそれを用いた有機発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、自発光素子である有機発光素子が放出する光を用いて映像表示を実現する。対向する電極層の間に介在する発光層などを含む有機発光素子は正孔と電子が再結合して生成されたエキシトンが励起状態から基底状態に変化して光を放出することができる。
【0003】
前記電極層および/または発光層などを製造する方法としては、蒸着マスクを用いる蒸着工程を例示することができる。例えば、形成しようとする層のパターンと実質的に同じ形状のパターン開口を有する蒸着マスクを基板上に整列し、蒸着用物質を、蒸着マスクの開口部を介して基板上に蒸着して、所望する形状のパターン層を形成することができる。蒸着マスクは、マスクフレームにより支持されて基板上に密着することができる。
【0004】
一方、有機発光表示装置がますます高解像度化されるにつれて、有機発光素子の電極および発光層の大きさが小さくなり、そのため、より精密な蒸着方法が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2019-0142460号公報(KR2019-0142460A)
【特許文献2】韓国公開特許第2017-0086160号公報(KR2017-0086160A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、蒸着マスクを安定的に支持することによって、蒸着工程の精密度を高めることができるマスク組立体およびそれを用いた有機発光素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための一実施形態によるマスク組立体は、マスクフレーム、前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に(延びるように)配置される複数の短辺スティック、前記複数の短辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に(延びるように)配置される複数の長辺スティック、および、前記複数の長辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、前記複数の長辺スティックは前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、前記第1長辺スティックは、前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように、前記マスクフレームの短辺への方向へと延びた羽根部を含み、前記マスクフレームの長辺(長辺をなす部分)は、前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む。本願において、「溝」の語は、細長い線状のものに限らず、スティックの端部を組み付けるための凹部または穴を意味するものとする。
【0009】
前記マスクフレームの短辺(長方形フレームの短辺部分)は、前記複数の長辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる長辺スティック溝を含み、前記マスクフレームの長辺(長方形フレームの長辺部分)は前記複数の短辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる短辺スティック溝を含む。
【0010】
前記羽根溝と前記短辺スティック溝とは、互いに重なるように配置される。
【0011】
前記短辺スティック溝に前記短辺スティックの端部が安着し、前記羽根部は、前記短辺スティック溝の上方に位置した前記羽根溝に据え付けられる。
【0012】
前記羽根部は、前記羽根溝に据え付けられる第1羽根部、および、前記長辺スティックの延長方向を基準として前記第1羽根部と線対称に配置される第2羽根部を含む。
【0013】
前記長辺スティック溝の高さは前記羽根溝の高さと同じである。
【0014】
前記羽根溝の幅は、前記短辺スティック溝の幅より大きい。本願において、「溝の幅」の語は、マスクフレームにおける短辺部分上の溝である場合には、この短辺部分に沿った方向の寸法を意味し、マスクフレームにおける短辺部分上の溝である場合には、この短辺部分に沿った方向の寸法を意味するものとする。
【0015】
前記マスクフレームの内側側面から延びる前記羽根溝の第1長さは、前記マスクフレームの内側側面から延びる前記長辺スティック溝の第2長さより短い。
【0016】
前記蒸着マスクは前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される。
【0017】
前記蒸着マスクは、前記蒸着マスクの両端部に位置する固定部、前記固定部の間に位置し、複数のパターン開口を含む少なくとも一つの蒸着パターン部、および前記蒸着パターン部の周辺に位置するリブ部を含む。
【0018】
前記課題を解決するための一実施形態によるマスク組立体は、マスクフレーム、前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック、前記複数の長辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック、および前記複数の短辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、前記複数の長辺スティックは前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、前記第1長辺スティックは前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように前記マスクフレームの短辺への方向へと延びた羽根部を含み、前記マスクフレームの長辺は前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む。
【0019】
前記マスクフレームの短辺は、前記複数の長辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる長辺スティック溝を含み、前記マスクフレームの長辺は、前記複数の短辺スティックのそれぞれの端部が据え付けられる短辺スティック溝を含む。
【0020】
前記羽根溝と前記短辺スティック溝とは互いに重なるように配置される。
【0021】
前記短辺スティック溝に前記短辺スティックの端部が据え付けられ、前記羽根部は前記短辺スティック溝の下部に位置した前記羽根溝に据え付けられる。
【0022】
前記羽根部は、前記羽根溝に据え付けられる第1羽根部、および前記長辺スティックの延長方向を基準として前記第1羽根部と対称に配置される第2羽根部を含む。
【0023】
前記長辺スティック溝の高さは前記羽根溝の高さと同じである。
【0024】
前記羽根溝の幅は前記短辺スティック溝の幅より大きい。
【0025】
前記マスクフレームの内側の側面から延びる前記羽根溝の第1長さは、前記マスクフレームの内側側面から延びる前記長辺スティック溝の第2長さより短い。
【0026】
前記蒸着マスクは前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される。
【0027】
前記蒸着マスクは、前記蒸着マスクの両端部に位置する固定部、前記固定部の間に位置し、複数のパターン開口を含む少なくとも一つの蒸着パターン部、および前記蒸着パターン部の周辺に位置するリブ部を含む。
【0028】
前記課題を解決するための一実施形態による有機発光素子の製造方法は、マスク組立体の一面上に基板を配置する段階、前記マスク組立体の他面と対向するように蒸着源を配置する段階、および前記蒸着源に収容された蒸着物質を気化し、前記気化した蒸着物質が前記マスク組立体を通過して前記基板に蒸着されるようにする段階を含み、前記マスク組立体は、マスクフレーム、前記マスクフレーム上に配置され、前記マスクフレームの短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック、前記複数の短辺スティック上に配置され、前記マスクフレームの長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック、および前記複数の長辺スティック上に配置される蒸着マスクを含み、前記複数の長辺スティックは前記マスクフレームの前記長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック、および前記マスクフレームの前記長辺と離隔するように配置された第2長辺スティックを含み、前記第1長辺スティックは前記蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするように前記マスクフレームの短辺への方向へと延びた羽根部を含み、前記マスクフレームの長辺は前記羽根部が据え付けられる羽根溝を含む。
【0029】
前記マスクフレームの短辺は前記複数の長辺スティックそれぞれの端部が据え付けられる長辺スティック溝を含み、前記マスクフレームの長辺は前記複数の短辺スティックそれぞれの端部が据え付けられる短辺スティック溝を含む。
【0030】
前記羽根溝と前記短辺スティック溝は互いに重なるように配置される。
【0031】
前記短辺スティック溝に前記短辺スティックの端部が据え付けられ、前記羽根部は前記短辺スティック溝の上部に位置した前記羽根溝に据え付けられる。
【0032】
その他実施形態の具体的な内容は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0033】
実施形態によるマスク組立体およびそれを用いた有機発光素子の製造方法によれば、蒸着マスクを安定的に支持することによって、蒸着工程の精密度を高めることができる。
【0034】
実施形態による効果は以上で例示した内容によって制限されず、より多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一実施形態による表示装置の平面図である。
図2】一実施形態による表示装置の断面図である。
図3】一実施形態による表示装置の平面図である。
図4】一実施形態による表示パネルの表示領域の一部分を切断した断面構造を示す図である。
図5】一実施形態によるマスク組立体の斜視図である。
図6】一実施形態によるマスク組立体の分解斜視図である。
図7】一実施形態による蒸着マスクの斜視図である。
図8】比較例によるマスク組立体の平面図である。
図9】比較例による長辺スティックの反りを説明する図である。
図10】一実施形態によるマスク組立体の一部分を概略的に示す斜視図である。
図11図10のA-A’線に沿ったマスク組立体の断面図である。
図12】一実施形態による羽根溝の長さを説明する図である。
図13】一実施形態によるマスク組立体の分解斜視図である。
図14図13に示す一実施形態によるマスク組立体の一部分を概略的に示す斜視図である。
図15図14のB-B’線に沿ったマスク組立体の断面図である。
図16】一実施形態によるマスク組立体を用いた蒸着工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0037】
素子(elements)または層が他の素子または層の「上(on)」と称される場合は、他の素子のすぐ上または中間に他の層または他の素子が介在する場合をすべて含む。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指すものとする。実施形態を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであるから、本発明が図示された事項に限定されるものではない。
【0038】
第1、第2などが多様な構成要素を叙述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されないのはもちろんである。これらの用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用する。したがって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得るのはもちろんである。
【0039】
本発明の様々な実施形態のそれぞれ特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせることが可能であり、技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各実施形態が互いに対して独立して実施することもでき、互いに連携して実施することもできる。
【0040】
以下、添付する図面を参照して具体的な実施形態について説明する。
【0041】
図1は一実施形態による表示装置1の平面図である。図2は一実施形態による表示装置1の断面図である。図3は一実施形態による表示装置1の平面図である。例えば、図3はサブ領域SRがベンディング領域BRの一端部からベンディングされた状態を示す図であり得る。
【0042】
図1の平面図では、説明の便宜上、上、下、左、右の方向が定義されている。上下方向は縦方向または列方向として第1方向DR1、左右方向は横方向または行方向として第2方向DR2、垂直方向は第3方向DR3と定義する。
【0043】
表示装置1は動画や静止映像を表示する装置であり得る。表示装置1は、モバイルフォン、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、およびスマートウォッチ、ウォッチフォン、移動通信端末機、電子手帳、電子ブック、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション、UMPC(Ultra Mobile PC)などといった携帯用電子機器だけでなくテレビ、ノートパソコン、モニター、広告板、モノのインターネットなどの多様な製品に適用することができる。表示装置1の例としては、有機発光表示装置、液晶表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置、電気泳動表示装置、エレクトロウェッティング表示装置、量子ドット発光表示装置、マイクロLED表示装置などであり得る。以下では、表示装置1として、有機発光表示装置を例として説明するが、実施形態はそれに制限されるものではない。
【0044】
図1ないし図3を参照すると、一実施形態による表示装置1は表、示パネル10を含み得る。表示パネル10はポリイミドなどのような可撓性高分子物質を含む基板SUBを含み得る。そのため、表示パネル10は反ったり、折り曲げられたり、折り畳まれたり、丸められたりすることができる。
【0045】
表示パネル10は、メイン領域MR、メイン領域MRの一側から延びるベンディング領域BR、及び、ベンディング領域BRの一側から延びるサブ領域SRを含み得る。ベンディング領域BRは、メイン領域MRとサブ領域SRとの間に配置される領域であり、指定された曲率でベンディングされた状態を有することができる。サブ領域SRは、ベンディング領域BRがベンディングされることにより、メイン領域MRと厚さ方向(例:第3方向DR3)に重なるように配置され得る。
【0046】
表示パネル10における画面を表示する表示領域DAは、メイン領域MR内に配置される。表示パネル10における画面を表示しない非表示領域NDAは、表示領域DAを除く残りの領域であり得る。メイン領域MRは、概して、表示装置1の平面上の外形と類似の形状を有することができる。メイン領域MRは、一平面に位置する平坦領域であり得る。
【0047】
表示パネル10の表示領域DAは、メイン領域MRの中央部に配置され得る。表示領域DAは、複数の画素を含み得る。表示領域DAは、長方形形状または隅角が丸められた長方形形状を有することができる。
【0048】
メイン領域MRにおける表示領域DAの周辺には、非表示領域NDAが位置し得る。メイン領域MRの非表示領域NDAは、表示領域DAの外側境界から表示パネル10のエッジまでの領域に置かれ得る。メイン領域MRの非表示領域NDAには、表示領域DAに信号を印加するための信号配線や駆動回路が配置され得る。
【0049】
ベンディング領域BRは、メイン領域MRの一端部と連結され得る。ベンディング領域BRの幅は、メイン領域MRの幅(短辺の幅)より小さくてもよい。ベンディング領域BRにて、表示パネル10は、厚さ方向に下側方向、例えば、表示面の逆方向に曲率を有してベンディングされることができる。
【0050】
サブ領域SRは、ベンディング領域BRの一端部からメイン領域MRと平行な方向に延び得る。サブ領域SRは表示パネル10の厚さ方向にメイン領域MRと重なり得る。サブ領域SRはメイン領域MRのエッジの非表示領域NDAと重なり、さらにメイン領域MRの表示領域DAにまで重なり得る。
【0051】
表示パネル10のサブ領域SR上には駆動チップ20が配置され得る。駆動チップ20は表示パネル10を駆動する集積回路を含み得る。駆動チップ20はサブ領域SRで表示パネル10に実装し得る。
【0052】
駆動チップ20は異方性導電フィルムにより表示パネル10上に付着するか、超音波接合ボンディングにより表示パネル10上に付着し得る。
【0053】
表示パネル10のサブ領域SRの端部にはパッド部(図示せず)が配置され得る。表示パネル10はパッド部を介して表示駆動基板30と連結され得る。表示駆動基板30はフレキシブル印刷回路基板やフィルムであり得る。
【0054】
サブ領域SR、ベンディング領域BRおよびメイン領域MRには複数の信号配線が配置され得る。信号配線はメイン領域MRからベンディング領域BRを経てサブ領域SRのパッド部に延び得る。
【0055】
このように、図1ないし図3に示す一実施形態による表示装置1は、表示パネル10のベンディング領域BRがベンディングされることにより、パッド部および駆動チップ20が配置されるサブ領域SRが厚さ方向に下側方向に向かうように配置する。
【0056】
図4は一実施形態による表示パネル10の表示領域DAの一部分を切断した断面構造を示す図である。
【0057】
図4を参照した説明における「~上に」という表現は、表示パネル10の前面が向かう第3方向DR3を意味する。表示パネル10の前面は表示パネル10に含まれた発光素子が映像を表示するための光を放出する方向を意味する。
【0058】
図4を参照すると、表示パネル10はフレキシブルな基板SUBをベース基板とする。基板SUBは高分子樹脂などの絶縁物質からなる。例えば、基板SUBはポリイミド(polyimide)からなる。したがって、基板SUBは、ベンディング(bending)、フォールディング(folding)、ローリング(rolling)などが可能である。基板SUBは、第1基板SUB1および第2基板SUB2とそれらの間に配置されたバリア膜BRを含むマルチ層を含み得る。例えば、表示パネル10の基板SUBは、第1基板SUB1、第1基板SUB1上に配置されたバリア膜BR、及び、バリア膜BR上に配置された第2基板SUB2を含む。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、ポリイミド(polyimide)といったフレキシブルな材質を含むことができる。
【0059】
バリア膜BRは、浸透する水分から薄膜トランジスタ層TFTLのトランジスタと発光素子層EMLの発光層172を保護するための膜である。バリア膜BRは、交互に積層された複数の無機膜911からなる。例えば、バリア膜BRは、シリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、およびアルミニウムオキシド層のうちの一つ以上の無機膜911が交互に積層された多重(積層)膜で形成されうる。
【0060】
第2基板SUB2上には、薄膜トランジスタを含む薄膜トランジスタ層TFTL、発光素子LELを含む発光素子層EML、発光素子LELを封止する封止層TFEL、およびタッチ感知部TDUが順次積層され得る。図示していないが、表示パネル10の非表示領域NDAには、図4に示す少なくとも一部の層が配置されなくてもよい。薄膜トランジスタ層TFTL、発光素子層EML、および封止層TFELは、画像を表示するための機能を遂行するため、表示部DUと命名できるが、その名称はこれに制限されない。
【0061】
第2基板SUB2上には、各画素を駆動するための画素駆動回路の薄膜トランジスタが配置される。図4は、画素駆動回路の薄膜トランジスタのうちの任意の第1薄膜トランジスタTFT1を示す。例えば、第1薄膜トランジスタTFT1は、画素駆動回路において駆動トランジスタの役割を果たすことができる。
【0062】
第1薄膜トランジスタTFT1は、第1アクティブ層ACT1と第1ゲート電極G1を含み得る。第1アクティブ層ACT1は、多結晶シリコン、単結晶シリコン、低温多結晶シリコン、非晶質シリコン、または酸化物半導体を含むことができる。
【0063】
第1アクティブ層ACT1は、第1ソース領域S1、および第1ドレイン領域D1を含み得る。第1チャネル領域CHA1は基板SUBの厚さ方向である第3方向DR3で第1ゲート電極G1と重なる領域であり得る。第1ソース領域S1は第1アクティブ層ACT1の一側に配置され、第1ドレイン領域D1は第1アクティブ層ACT1の他側に配置され得る。第1ソース領域S1と第1ドレイン領域D1は、第3方向DR3で第1ゲート電極G1と重ならない領域であり得る。第1ソース領域S1と第1ドレイン領域D1は、シリコン半導体または酸化物半導体にイオンまたは不純物がドープされて導電性を有する領域であり得る。
【0064】
第1薄膜トランジスタTFT1の第1アクティブ層ACT1上にはゲート絶縁膜130が配置され得る。ゲート絶縁膜130は、無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されることができる。
【0065】
ゲート絶縁膜130上には、第1薄膜トランジスタTFT1の第1ゲート電極G1と第1キャパシタ電極CAE1が配置され得る。第1ゲート電極G1は第3方向DR3で第1アクティブ層ACT1と重なり得る。図4では、第1ゲート電極G1と第1キャパシタ電極CAE1とが、互いに離れて配置された場合が示されているが、第1ゲート電極G1と第1キャパシタ電極CAE1とは、互いに連結されてもよい。第1ゲート電極G1と第1キャパシタ電極CAE1は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つ、またはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0066】
第1薄膜トランジスタTFT1の第1ゲート電極G1と第1キャパシタ電極CAE1の上には、層間絶縁膜140が配置され得る。具体的には、第1薄膜トランジスタTFT1の第1ゲート電極G1と第1キャパシタ電極CAE1上には第1層間絶縁膜141が配置され得る。第1層間絶縁膜141は無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されうる。第1層間絶縁膜141は複数の無機膜で形成されうる。
【0067】
第1層間絶縁膜141上には第2キャパシタ電極CAE2が配置され得る。第2キャパシタ電極CAE2は第3方向DR3で第1薄膜トランジスタTFT1の第1キャパシタ電極CAE1と重なり得る。第1キャパシタ電極CAE1が第1ゲート電極G1と連結された場合、第2キャパシタ電極CAE2は第3方向DR3で第1ゲート電極G1と重なり得る。第1層間絶縁膜141が所定の誘電率を有するので、第1キャパシタ電極CAE1、第2キャパシタ電極CAE2、およびそれらの間に配置された第1層間絶縁膜141によりキャパシタが形成されうる。第2キャパシタ電極CAE2は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0068】
第2キャパシタ電極CAE2上には第2層間絶縁膜142が配置され得る。第2層間絶縁膜142は無、機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されることができる。第2層間絶縁膜142は複数の無機膜で形成されうる。
【0069】
第2層間絶縁膜142上には第1アノード連結電極ANDE1が配置され得る。第1アノード連結電極ANDE1は、ゲート絶縁膜130、第1層間絶縁膜141、および第2層間絶縁膜142を貫通する第1連結コンタクトホールANCT1を介して第1薄膜トランジスタTFT1の第1ドレイン領域D1に連結され得る。第1アノード連結電極ANDE1はモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0070】
第1アノード連結電極ANDE1上には、第1薄膜トランジスタTFT1による段差を平坦化するための第1平坦化膜160が配置され得る。第1平坦化膜160は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0071】
第1平坦化膜160上には第2アノード連結電極ANDE2が配置され得る。第2アノード連結電極ANDE2は、第1平坦化膜160を貫通する第2連結コンタクトホールANCT2を介して、第1アノード連結電極ANDE1に連結され得る。第2アノード連結電極ANDE2は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0072】
第2アノード連結電極ANDE2上には第2平坦化膜180が配置され得る。第2平坦化膜180は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されることができる。
【0073】
第2平坦化膜180上には発光素子LELとバンク190が配置され得る。発光素子LELのそれぞれは、画素電極171、発光層172、および共通電極173を含む。
【0074】
画素電極171は第2平坦化膜180上に配置され得る。画素電極171は、第2平坦化膜180を貫通する第3連結コンタクトホールANCT3を介して第2アノード連結電極ANDE2に連結され得る。
【0075】
発光層172を基準として共通電極173の方向へと発光する上部発光(top emission)構造であって、画素電極171はアルミニウムとチタンの積層構造(Ti/Al/Ti)、アルミニウムとITO(Indium Tin Oxide)の積層構造(ITO/Al/ITO)、APC合金、およびAPC合金とITOの積層構造(ITO/APC/ITO)のような反射率が高い金属物質で形成されうる。APC合金は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、および銅(Cu)の合金である。
【0076】
バンク190は、各画素の発光領域、例えば発光部を画定(定義)するために第2平坦化膜180上で画素電極171を画するように形成されることができる。発光部(例:EA1,EA2)は画素電極171、発光層172、および共通電極173が順次積層されて画素電極171からの正孔と共通電極173からの電子が発光層172で再結合することによって発光する領域を示す。
【0077】
図4は、バンク190が、互いに隣接する第1画素の第1発光部EA1と、第2画素の第2発光部EA2とを区画することを例示的に示している。このようなバンク190は、画素電極171の縁を覆うように配置され得る。バンク190は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。バンク190は、画素画定(定義)膜(PDL:Pixel Definition Layer)と命名してもよい。図示していないが、表示パネル10は、第1画素、第2画素、および第3画素を含む複数の画素を含む。例えば、第1画素は第1カラーを発光する第1発光部を含み、第2画素は第2カラーを発光する第2発光部を含み、第3画素は第3カラーを発光する第3発光部を含み得る。いくつかの実施形態によれば、複数の画素は第4画素をさらに含み得、第4画素は第4カラーを発光する第4発光部を含み得る。
【0078】
画素電極171とバンク190上には発光層172が配置され得る。発光層172は有機物質を含んで所定の色を発光し得る。例えば、発光層172は、正孔輸送層(hole transporting layer)、有機物質層、および電子輸送層(electron transporting layer)を含む。
【0079】
共通電極173は発光層172上に配置され得る。共通電極173は、発光層172を覆うように配置され得る。共通電極173は第1発光部EA1、第2発光部EA2、および第3発光部(図示せず)に共通して配置される共通層であり得る。共通電極173上にはキャッピング層(capping layer)が形成され得る。
【0080】
上部発光構造において共通電極173は、光を透過させるITO、IZOといった透明な金属物質(TCO,Transparent Conductive Material)、または、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、またはマグネシウム(Mg)と銀(Ag)の合金といった半透過金属物質(Semi-transmissive Conductive Material)で形成されうる。共通電極173が半透過金属物質で形成される場合、マイクロキャビティ(micro cavity)により出光効率が高くなる。
【0081】
バンク190上にはスペーサ191が配置され得る。スペーサ191は、発光層172を製造する工程中にマスクを支持する役割をすることができる。スペーサ191は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0082】
共通電極173上には、封止層TFELが配置され得る。封止層TFELは、発光素子層EMLに酸素または水分が浸透することを防止するために、少なくとも一つの無機膜を含む。また、封止層TFELは、ゴミのような異物から発光素子層EMLを保護するために少なくとも一つの有機膜を含む。例えば、封止層TFELは第1封止無機膜TFE1、封止有機膜TFE2、および第2封止無機膜TFE3を含む。
【0083】
第1封止無機膜TFE1は共通電極173上に配置され、封止有機膜TFE2は第1封止無機膜TFE1上に配置され、第2封止無機膜TFE3は封止有機膜TFE2上に配置され得る。第1封止無機膜TFE1と第2封止無機膜TFE3は、シリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、およびアルミニウムオキシド層のうちの一つ以上の無機膜が、交互に積層された多重膜で形成されうる。封止有機膜TFE2は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜であり得る。
【0084】
封止層TFEL上にはタッチ感知部TDUが配置され得る。タッチ感知部TDUは、相互静電容量方式のタッチセンサであるか、または自己静電容量方式のタッチセンサであり得る。図4は、相互静電容量方式のタッチセンサを示しているが、本発明はこれに制限されない。タッチ感知部TDUは、第1タッチ絶縁膜TINS1、連結電極BE1、第2タッチ絶縁膜TINS2、駆動電極TE、感知電極RE、および第3タッチ絶縁膜TINS3を含む。
【0085】
第1タッチ絶縁膜TINS1は、無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成さうる。
【0086】
第1タッチ絶縁膜TINS1上には、連結電極BE1が配置され得る。連結電極BE1は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる、単一層または多重層で形成されうる。
【0087】
連結電極BE1上には、第2タッチ絶縁膜TINS2が配置される。第2タッチ絶縁膜TINS2は無機膜、例えばシリコンナイトライド層、シリコンオキシナイトライド層、シリコンオキシド層、チタンオキシド層、またはアルミニウムオキシド層で形成されることができる。または、第2タッチ絶縁膜TINS2は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0088】
第2タッチ絶縁膜TINS2上には、駆動電極TEと感知電極REが配置され得る。駆動電極TEと感知電極REはモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)および銅(Cu)のいずれか一つまたはこれらの合金からなる単一層または多重層で形成されうる。
【0089】
駆動電極TEと感知電極REは第3方向DR3で連結電極BE1と重なり得る。駆動電極TEは第1タッチ絶縁膜TINS1を貫通するタッチコンタクトホールTCNT1を介して連結電極BE1に連結され得る。
【0090】
駆動電極TEと感知電極REの上には、第3タッチ絶縁膜TINS3が形成される。第3タッチ絶縁膜TINS3は、駆動電極TE、感知電極RE、および連結電極BE1により形成された段差を平坦化する役割をすることができる。第3タッチ絶縁膜TINS3は、アクリル樹脂(acryl resin)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、フェノール樹脂(phenolic resin)、ポリアミド樹脂(polyamide resin)、ポリイミド樹脂(polyimide resin)などの有機膜で形成されうる。
【0091】
以下、図5ないし図16を関連して説明する一実施形態によるマスク組立体500は、図4を参照して説明した表示パネル10の発光層172の蒸着工程で用いられる。
【0092】
図5は一実施形態によるマスク組立体の斜視図である。図6は一実施形態によるマスク組立体の分解斜視図である。
【0093】
図5および図6を参照すると、一実施形態によるマスク組立体500は、マスクフレーム610と、マスクフレーム610上に配置され、マスクフレーム610の短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック620と、複数の短辺スティック620上に配置され、マスクフレーム610の長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック630と、複数の長辺スティック630上に配置される蒸着マスク640を含む。
【0094】
本明細書では長辺スティックを「第1スティック」と命名し、短辺スティックを「第2スティック」と命名してもよい。または、本明細書では長辺スティックを「第2スティック」と命名し、短辺スティックを「第1スティック」と命名してもよい。
【0095】
マスクフレーム610は、蒸着マスク640と結合して蒸着マスク640を支持し得る。マスクフレーム610は、蒸着マスク640などを安定的に支持できるように、所定の第3方向Zへの厚さを有することができる。
【0096】
マスクフレーム610は、一対の長辺と一対の短辺を含み、中央にフレーム開口610pが形成された四角帯形状であり得る。例えば、一対の長辺は第1方向Xに延びて第2方向Yに互いに対向し、また、一対の短辺は第2方向Yに延びて第1方向Xに互いに対向し得る。
【0097】
フレーム開口610pの平面上の形状は略長方形であり得る。フレーム開口610pは、蒸着物質が通過する経路を提供することができる。
【0098】
一実施形態によれば、マスクフレーム610は2対の辺の長さがいずれも同じ四角帯形状であり、フレーム開口610pの平面上の形状は正方形であってもよい。
【0099】
マスクフレーム610は、剛性が大きい材料、例えばステンレス鋼などの金属からなる。
【0100】
マスクフレーム610は、長辺スティック630および短辺スティック620と結合して、長辺スティック630および短辺スティック620を支持し得る。例示的な実施形態で、マスクフレーム610は、長辺スティック630を少なくとも部分的に収容するための一つ以上の溝611,612,613を含む。
【0101】
短辺スティック620は、マスクフレーム610の一面(図面上の上面)上に配置される。短辺スティック620は、長辺スティック630と共に上部に配置される蒸着マスク640を付加的に支持するように構成された支持部材であり得る。
【0102】
短辺スティック620の一面(図面上の上面)は、上方の蒸着マスク640と突き合わされて接することで効果的に支持できるように、所定の面積を有する平坦面であり得る。例示的な実施形態で、短辺スティック620の径方向断面の形状は上辺(すなわち、一面)と下辺(すなわち、他面)の長さが長く、両側辺の長さが短い扁平な長方形であり得る。
【0103】
短辺スティック620は、第2方向Yに延びて長辺スティック630と交差してフレーム開口610pを横断し得る。例えば、短辺スティック620は、長さが幅より大きい、概略、棒形状であり得る。
【0104】
長辺スティック630は、短辺スティック620の一面(図面上の上面)上に配置される。長辺スティック630は、上方に配置される蒸着マスク640を付加的に支持するように構成された支持部材であり得る。
【0105】
長辺スティック630の一面(図面上の上面)は、上方の蒸着マスク640と突き合わされて接することで効果的に支持できるように所定の面積を有する平坦面であり得る。例示的な実施形態で、長辺スティック630の径方向断面の形状は上辺(すなわち、一面)と下辺(すなわち、他面)の長さが長く、両側辺の長さが短い扁平な長方形であり得る。
【0106】
長辺スティック630は、第1方向Xに延びてフレーム開口610pを横断し得る。例えば、長辺スティック630は、長さ(例えば、第1方向Xへの長さ)が幅(例えば、第2方向Yへの幅)より大きい略棒(bar)形状であり得る。
【0107】
長辺スティック630は第1方向Xに延びて両端部631がマスクフレーム610の短辺に配置された第1溝(例:長辺スティック溝)611に挿入配置され得る。長辺スティック630は蒸着マスク640の蒸着パターン部642と重ならないように配置され得る。例えば、長辺スティック630は後述する蒸着マスク640のリブ部643と重なって配置され得る。蒸着工程において熱膨張特性の差異による変形を防止するためにマスクフレーム610と長辺スティック630は同じ材質からなる。なお、マスクフレーム610の第1溝611は長辺スティック630のうち最外側に配置された第1長辺スティック(図10の820)の羽根部(図10の821a)を収容するための羽根溝(例:第3溝,613)と重なるように配置され得る。
【0108】
マスクフレーム610が、第1方向Xの長辺および第2方向Yの短辺を含む場合の短辺スティック620の長さは、長辺スティック630の長さより短くてもよい。後述するように、短辺スティック620は、第2方向Yに延びて両端部621がマスクフレーム610の長辺に配置された第2溝(例:短辺スティック溝,612)に挿入配置され得る。短辺スティック620は、長辺スティック630と同様に蒸着マスク640の蒸着パターン部642と重ならないように配置され得る。例えば、短辺スティック620は、互いに隣接して配置された2個の蒸着マスク640の境界と、重なって配置され得る。短辺スティック620は、長辺スティック630と同じ材質からなる。
【0109】
図7は、一実施形態による蒸着マスクの斜視図である。
【0110】
蒸着マスク640は、マスクフレーム610の短辺に沿った方向に延びるように配置される。蒸着マスク640は、長辺スティック630の一面および短辺スティック620の一面の上に配置され得る。蒸着マスク640は、一面(図面上の上面)と他面(図面上の下面)を有する。一面は、蒸着工程の際に基板(図示せず)と接触する面であり、他面は、一面の反対側の面であり、蒸着物質が提供される面であり得る。蒸着マスク640の他面は、マスクフレーム610、長辺スティック630または短辺スティック620のうちの一つ以上と突き合わされて接し得る。
【0111】
蒸着マスク640は、長さ(例えば、第2方向Yへの長さ)が幅(例えば、第1方向Xへの幅)より大きい形状であり得る。蒸着マスク640は、いずれも第1方向Xに延び、複数個が第2方向Yに互いに隣接するように配置された、分割マスクであり得る。他の実施形態で、蒸着マスク640は、フレーム開口610pをカバーする平面上の面積を有し、一体に形成された一枚板式のマスク(「マザーマスク」)であり得る。例示的な実施形態で、蒸着マスク640は、金属材質からなるファインメタルマスク(Fine Metal Mask)であり得る。蒸着マスク640は、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらの合金などの金属からなるのでありうる。いくつかの実施形態で、蒸着マスク640は磁性を帯びることもできる。
【0112】
蒸着マスク640は、その長手方向(すなわち、第2方向)の両端部に位置する固定部641、固定部641に比べて中央側に位置する複数の蒸着パターン部642、および、蒸着パターン部642同士の間に位置するリブ部643を含み得る。
【0113】
固定部641は、マスクフレーム610と突き合わされて接して結合する部分である。例えば、固定部641は、マスクフレーム610に溶接されて結合し得る。溶接方法は、特に制限されないが、レーザ溶接、抵抗加熱溶接などを例示することができる。
【0114】
蒸着パターン部642は、蒸着物質が通過する経路を提供する複数のパターン開口642pが形成された部分である。蒸着パターン部642は、蒸着マスクの長手方向(すなわち、第2方向Y)に離隔して複数配置され得る。
【0115】
第2方向Yに隣接した蒸着パターン部642同士の間には、リブ部643が画定(定義)される。すなわち、リブ部643は、第2方向Yに互いに隣接した蒸着パターン部642を区画する基準になりうる。リブ部643は、パターン開口642pが形成されず、蒸着物質が通過することを遮蔽することができる。例示的な実施形態で、リブ部643は、第1方向Xに延びた長辺スティック630と重なり得る。
【0116】
パターン開口642pは、蒸着マスク640の一面と他面とを貫通する開口部である。基板(図示せず)上に整列される蒸着マスク640のパターン開口642pは、基板の蒸着対象領域を露出させ得る。すなわち、パターン開口642pは、形成しようとする蒸着パターンと実質的に同じである平面上の形状を有することができる。図1などは、パターン開口642pが、第1方向Xおよび第2方向Yに互いに離隔され、平面上でドット形状を有することで、略マトリックス状に配列されて蒸着パターン部642をなす場合を例示しているのであるが、本発明はこれに制限されるものではなく、パターン開口642pは、平面上の第1方向Xまたは第2方向Yに延びたスリット形状であり得る。
【0117】
図8は比較例によるマスク組立体500の平面図である。図9は比較例による長辺スティック630の反りを説明する図である。
【0118】
図8および図9を参照すると、比較例によるマスク組立体500は、マスクフレーム610と結合される複数の長辺スティック630を含む。複数の長辺スティック630はマスクフレーム610の長辺と並んで配置され、蒸着マスクの蒸着パターン部642の一部分をマスキングするように配置され得る。例えば、蒸着パターン部642の4個の隅角は、平面視で指定された曲率を有するラウンド形状を有することができる。
【0119】
複数の長辺スティック630は、蒸着パターン部642の隅角をラウンド(丸められた)形状にマスキングするようにマスクフレーム610の短辺方向に延びた羽根部811,821を含み得る。複数の長辺スティック630は、マスクフレーム610の長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック820、および、マスクフレーム610の長辺と離隔するように配置された第2長辺スティック810を含み得る。例えば、第1長辺スティック820は、複数の長辺スティック630のうちの、最外側に配置された長辺スティック630であり得る。第2長辺スティック810は、第1長辺スティック820の間に配置された長辺スティック630であり得る。
【0120】
本明細書において羽根部は、「延長部」または「突出部」などといった用語で命名されうる。
【0121】
比較例によれば、第1長辺スティック820は、最外側に配置されることにより、非対称状の羽根部821を含む。例えば、第1長辺スティック820は、片方向にのみ突出した羽根部821(例:非対称状の羽根部)を含む。なお、第2長辺スティック810は、両側の第1長辺スティック820の間に配置されるのに伴い、長手方向の中心軸に対して線対称状の羽根部811を含む。例えば、第2長辺スティック810は、両方向(例:図8の上下方向)に突出した羽根部811(例:対称形の羽根部)を含む。第2長辺スティック810は、羽根部811が両方向に突出することにより、平面視で対称的な形状を有する。
【0122】
比較例によるマスク組立体500は、第1長辺スティック820が非対称状の羽根部821を含むことにより、第1長辺スティック820に反り(湾曲)が発生し得る。例えば、第1長辺スティック820をマスクフレーム610と結合する際、第1長辺スティック820に加えられる引張力は、第1長辺スティック820が特定の方向(例:図9の901)に反るようにさせる。このような第1長辺スティック820の反りは、第1長辺スティック820に含まれた羽根部821が非対称の形状を有するからである。第1長辺スティック820の反りは蒸着工程で不良を発生させ得る。
【0123】
本発明の一実施形態は、比較例で説明したような第1長辺スティック820の反りを防止するように、第1長辺スティック820が対称状の羽根部821を含むようにする(図10など)。また、第1長辺スティック820の羽根部821が挿入されるように、マスクフレーム610に羽根溝613(例:第3溝)を形成する。マスクフレーム610の羽根溝613は、短辺スティック620が挿入される第2溝612と重なるように配置される。したがって、蒸着マスクの端部が溶接されるマスクフレーム610の表面は、長辺スティック630の羽根部821が、その上部に配置されても高さの段差が生じない。このような本発明の一実施形態は、蒸着マスクの破れのような不良を防止して蒸着工程の信頼性を高めることができる。
【0124】
以下、図10ないし図16を参照して、本発明の一実施形態によるマスク組立体500をより具体的に説明する。
【0125】
図10は、一実施形態によるマスク組立体500の一部分を概略的に示す斜視図である。図11は、図10のA-A’線に沿ったマスク組立体500の断面図である。
【0126】
図10および図11に示す本発明の一実施形態は、図8に示す比較例とは異なり、マスクフレーム610の長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック820が、対称状の羽根部821を含むのであり、第1長辺スティック820の羽根部821が挿入されるようにマスクフレーム610に、羽根溝613(例:第3溝)を形成するという点で差異がある。以下では、図8に示す比較例と異なる本発明の一実施形態のみを説明する。
【0127】
図10および図11を参照すると、マスク組立体500は、マスクフレーム610と結合される複数の長辺スティック630を含む。複数の長辺スティック630は、マスクフレーム610の長辺と並んでマスクフレーム610の長辺方向(例:図6のX方向)に配置され、蒸着マスクの蒸着パターン部642の一部分をマスキングするように配置され得る。例えば、各蒸着パターン部642の4個の隅角は、平面視で、指定された曲率を有するラウンド形状を有することができる。
【0128】
複数の長辺スティック630は、蒸着パターン部642の隅角をラウンド形状にマスキングするように、マスクフレーム610の短辺方向(例:図6のY方向)に延びた羽根部811,821を含み得る。複数の長辺スティック630は、マスクフレーム610の長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック820、およびマスクフレーム610の長辺と離隔するように配置された第2長辺スティック810を含み得る。例えば、第1長辺スティック820は、複数の長辺スティック630のうちの最外側に配置された長辺スティック630であり得る。第2長辺スティック810は、第1長辺スティック820の間に配置された長辺スティック630であり得る。
【0129】
一実施形態によれば、第1長辺スティック820は、対称状の羽根部821を含む。例えば、第1長辺スティック820は、両方向に突出した羽根部821を含む。一方、第2長辺スティック810は第1長辺スティック820の間に配置され、対称状の羽根部811を含む。第1長辺スティック820と第2長辺スティック810それぞれは羽根部811,821が両方向に突出することにより、平面視で対称的な形状を有する。
【0130】
マスクフレーム610の長辺は、第1長辺スティック820の羽根部821が据え付けられる羽根溝613を含む。ここで、羽根部821は羽根溝613に据え付けられる第1羽根部821a、および長辺スティック630の延長方向を基準として第1羽根部821aと対称に配置される第2羽根部821bを含む。マスクフレーム610の長辺は、第1長辺スティック820の第1羽根部821aおよび第2羽根部821bのうちの第1羽根部821aが挿入されるように羽根溝613を含み得る。
【0131】
マスクフレーム610の長辺は複数の短辺スティック620のそれぞれの端部が据え付けられる第2溝612(例:短辺スティック溝)を含む。羽根溝613と第2溝612は互いに重なるように配置される。例えば、第1長辺スティック820の第1羽根部821aが据え付けられる羽根溝613は短辺スティック620の端部(図6の621)が据え付けられる第2溝612の上方に位置し得る。
【0132】
第2溝612に短辺スティック620の端部(図6の621)は据え付けられ、羽根部821(すなわち、第1羽根部821a)は、第2溝612の上方に位置した羽根溝613に据え付けられる。例えば、第2溝612の底面1110の高さは、羽根溝613の底面1120の高さより低くてもよい。
【0133】
羽根溝613の幅W2は、第2溝612の幅W1より大きい。
【0134】
なお、マスクフレーム610の短辺には第1溝611(例:長辺スティック溝)が配置されるが、第1溝611の高さは羽根溝613の高さと同じである。
【0135】
一実施形態によれば、長辺スティック630は、第1溝611に挿入されて溶接工程が行われることにより、マスクフレーム610と結合され得る。反面、長辺スティック630の第1羽根部821aは、羽根溝613に挿入されても、溶接工程が行われなくてもよい。長辺スティック630の第1羽根部821aに対する溶接工程を行わないのは、溶接工程による長辺スティック630のねじれを防止するためである。例えば、第1羽根部821aに対する溶接を行う場合、溶接が行われていない第2羽根部821bの浮き上がりが発生し得る。
【0136】
図12は一実施形態による羽根溝613の長さを説明する図である。
【0137】
図12の実施形態は、図10の実施形態とは異なり、羽根溝613の長さd1が第1溝611の長さd2と異なる点で差異がある。ここで、羽根溝613の長さd1とは、羽根溝613がマスクフレーム610の内側の側面から延びる長さを意味する。また、第1溝611の長さd2とは、第1溝611がマスクフレーム610の内側の側面から延びる長さを意味する。羽根溝613の長さd1は、羽根溝613がマスクフレーム610と重なる長さを意味する。また、第1溝611の長さd2は、第1溝611がマスクフレーム610と重なる長さを意味する。
【0138】
図10の実施形態では、羽根溝613の長さd1が第1溝611の長さd2と同一であり得る。反面、図12の実施形態では、羽根溝613の長さd1を第1溝611の長さd2より短くする。例えば、マスクフレーム610の内側の側面から延びる羽根溝613の第1長さd1は、マスクフレーム610の内側の側面から延びる第1溝611の第2長さd2より短い。
【0139】
本発明の一実施形態は、羽根溝613の長さd1を第1溝611の長さd2より短くすることによって、マスクフレーム610の短辺にて、蒸着マスクが溶接される空間の確保が容易である。例えば、図12において、点線1201は、蒸着マスクが溶接されるマスクフレーム610の一領域を示し、蒸着マスクの溶接部は、羽根溝613がマスクフレーム610の内側の側面から延びる長さd1を相対的に短くすることによって確保された領域であり得る。
【0140】
図13は一実施形態によるマスク組立体500の分解斜視図である。図14図13に示す一実施形態によるマスク組立体500の一部分を概略的に示す斜視図である。図15図14のB-B’線に沿ったマスク組立体500の断面図である。
【0141】
図13ないし図15の実施形態は、図6ないし図12で説明した本発明の一実施形態とは異なり、長辺スティック630上に短辺スティック620が配置されるという点で差異がある。以下では、図13ないし図15の実施形態で変わることとなった特徴のみを説明する。図13ないし図15で説明していない特徴は、図6ないし図12を参照した一実施形態に係る説明で代えることとする。
【0142】
図13ないし図15を参照すると、一実施形態によるマスク組立体500は、マスクフレーム610、マスクフレーム610上に配置され、マスクフレーム610の長辺に沿った方向に配置される複数の長辺スティック630、複数の長辺スティック630上に配置され、マスクフレーム610の短辺に沿った方向に配置される複数の短辺スティック620、および、複数の短辺スティック620上に配置される蒸着マスクを含む。
【0143】
複数の長辺スティック630は、マスクフレーム610の長辺と隣接するように配置された第1長辺スティック820、および、マスクフレーム610の長辺と離隔するように配置された第2長辺スティック810を含む。
【0144】
第1長辺スティック820は、蒸着マスクの開口部の一部分をマスキングするようにマスクフレーム610の短辺への方向へと延びた羽根部811,821を含む。マスクフレーム610の長辺は、羽根部811,821のうちの一部821が据え付けられる羽根溝613を含む。
【0145】
マスクフレーム610の短辺は、複数の長辺スティック630のそれぞれの端部が据え付けられる第1溝611を含む。マスクフレーム610の長辺は、複数の短辺スティック620それぞれの端部が据え付けられる第2溝612を含む。
【0146】
マスクフレーム610の長辺にて、羽根溝613と第2溝612とは互いに重なるように配置される。羽根溝613の幅は、第2溝612の幅と実質的に同一であり得る。例えば、羽根溝613と第2溝612とは、実質的に一体に形成された溝であり得る。
【0147】
羽根溝613および第2溝612で、長辺スティック820の第1羽根部821aが据え付けられ、長辺スティック820の第1羽根部821a上には、短辺スティック620の端部(図6の621)が据え付けられ得る。
【0148】
第1溝611の高さは、羽根溝613の高さと同じである。ここで、第1溝611の高さは、マスクフレーム610の上部表面から第1溝611の底面に至る深さを意味する。羽根溝613の高さは、マスクフレーム610の上部表面から羽根溝613の底面に至る深さを意味する。
【0149】
マスクフレーム610の内側の側面から延びる羽根溝613の第1長さ(例:図12のd1)は、マスクフレーム610の内側の側面から延びる第1溝611の第2長さ(例:図12のd2)より短い。羽根溝613の長さd1は、羽根溝613がマスクフレーム610と重なる長さを意味する。また、第1溝611の長さd2は、第1溝611がマスクフレーム610と重なる長さを意味する。
【0150】
図16は、一実施形態によるマスク組立体を用いた蒸着工程を示す概略図である。
【0151】
図16を参照すると、マスク組立体500は、フレームホルダ1610上に配置されて固定される。フレームホルダ1610は、マスクフレーム610の外側部の少なくとも一部と重なってマスクフレーム610を支持することができる。
【0152】
マスク組立体500の一面(図面上の上面)、すなわち、蒸着マスク640の一面上には基板1620が配置される。基板1620は蒸着対象であり得る。例えば、基板1620は、図1ないし図4を参照して説明した表示パネル10の基板SUBであり得る。
【0153】
基板1620の他面(図面上の下面)は、蒸着マスク640の一面と対向するように配置され得る。例えば、基板1620の他面(図面上の下面)は、蒸着マスク640の一面と突き合わされて接するように配置され得る。
【0154】
マスク組立体500の他面(図面上の下面)上には蒸着源1600が配置される。例えば、蒸着源1600は、マスク組立体500の他面(図面上の下面)と対向するように配置され得る。蒸着源1600は、内部に蒸着物質を収容し、蒸着工程時に蒸着物質を気化して基板1620側に提供することができる。
【0155】
蒸着物質は、マスクフレーム610のフレーム開口および蒸着マスク640のパターン開口(図7の642p)を通過し、蒸着マスク640のパターン開口642pにより露出した基板1620における他面に蒸着されてパターン化された薄膜層を形成することができる。例えば、基板1620に蒸着されるパターン化された薄膜層は、図4を参照して説明した、発光層172の少なくとも一部の層であり得る。
【0156】
一実施形態によれば、マスク組立体500を用いた蒸着工程、例えば有機発光素子の製造方法は次のような段階を含むことができる。例えば、有機発光素子の製造方法は、マスク組立体500の一面上に基板1620を配置する段階、マスク組立体500の他面と対向するように蒸着源1600を配置する段階、および蒸着源1600に収容された蒸着物質を気化し、気化した蒸着物質が、マスク組立体500を通過して基板1620に蒸着されるようにする段階を含むことができる。
【0157】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【0158】
好ましい一実施形態によると、下記のとおりである。
【0159】
本件の背景は下記(i)~(xii)のとおりである。
【0160】
(i) 有機発光素子(OLED)が配列された有機発光表示パネルが、スマホ、タブレットPC、スマートウォッチなどのモバイル機器に広く用いられている。また、大型テレビなどにも用いられている。
【0161】
(ii) 有機発光表示パネルを製造するにあたり、サブ画素(画素ドット)に対応する領域(特には画素開口)ごとに、所定色に発光させるための、有機発光層を構成する材料物質を蒸着させることが行われている。
【0162】
(iii) この蒸着の工程では、画素ドットごとの開口が備えられた蒸着マスク(640)が用いられている。
【0163】
(iv) この蒸着マスク(640)は、所定の開口が配列されたプレートであり、典型的には、細長い矩形状に形成され、複数の細長いプレート状の蒸着マスク(640)が、矩形状のマスクフレーム(610)に取り付けられる。
【0164】
(v) また、比較的厚みの小さい蒸着マスク(640)が撓むのを防止するために、縦横(長手方向及び幅方向)の桟(さん;長辺スティック(630)及び短辺スティック(620))が、マスクフレーム(610)と、プレート状の蒸着マスク(640)との間に備え付けられる。
【0165】
(vi) この際、一般に、横桟(短辺スティック(620))の上に、縦桟(長辺スティック(630))が重ね合わされた状態で互いに溶接される。また、縦桟(長辺スティック(630))の両端部、及び、横桟(短辺スティック(620))の両端部を受け入れるように、マスクフレーム(610)に凹部(「溝」)が備えられる。そして、少なくとも、縦桟(長辺スティック(630))の両端部が、マスクフレーム(610)に溶接される。
【0166】
(vii) 特許文献1の図3などによると、縦桟(ST1:本願「長辺スティック(630)」)の間に、各表示パネルに対応する領域が配列されるのであり、縦桟(ST1)には、表示パネルの表示領域の隅角部を丸めることなどに対応して、横方向に突き出した部分(本願の羽根部(811,812)に対応)が備えられる。
【0167】
(viii) 特許文献1の図3などによると、プレート状の蒸着マスク(MSK;本願640)は、マスクフレーム(610)における両側の長辺部分の間に掛け渡される短冊状の分割マスクであり、マスクフレーム(610)の長辺方向に互いに突きわされて配列される。
そして、横桟(短辺スティック(620))は、短冊状の分割マスクの境界部分に位置する。
【0168】
(ix) 特許文献1の図3などによると、さらには、次のとおりである。すなわち、最も外側の2つの縦桟(長辺スティック(630))は、蒸着領域(画素ドットに対応する開口が配列された領域であって、表示パネルの一つの表示領域に対応する領域)がマトリクス状に配列された領域の両端に位置する。そして、内側に位置する他の縦桟(長辺スティック(630))は、蒸着領域同士を互いに分離する境界に位置する。
【0169】
(x) このようなマスク組立体は、これを組み立てる工程、または使用中に、縦桟(長辺スティック(630))が横方向に撓(たわ)むことがある(図9)。
【0170】
(xi) 横方向の撓(たわ)みは、最も外側の縦桟(長辺スティック(630))、すなわち、マスクフレーム(610)の長辺部分に近接したものに生じている。
(xii) 最も外側の縦桟(長辺スティック(630))は、横方向に突き出す部分(羽根部821)が、内側にのみ備えられるものである。
【0171】
そこで、特に好ましい一実施形態によると、下記A1~A8少なくともいずれかまたは任意の組み合わせとすることができる。
A1 最も外側の縦桟(長辺スティック(630))が、内側のみならず、外側にも、同様に横方向に突き出す部分(羽根部821a)を備え付ける。好ましくは、縦桟(長辺スティック(630))の中心軸に対して、実質上、線対称をなすように備え付ける。
【0172】
A2 最も外側の縦桟(長辺スティック(630))から横方向外側に突き出す部分(羽根部821a)は、その先端部が、横桟(短辺スティック(620))の端部とともに、マスクフレーム(610)の長辺部分にある受入凹部(「溝」(612,613))中に受け入れられる。
【0173】
A3 「羽根部821」の先端部は、横桟(短辺スティック(620))の端部よりも幅が広い。
特には、横桟(短辺スティック(620))は、その全長にわたって幅が一定でありうる。
そこで、マスクフレーム(610)の長辺部分にある受入凹部(「溝」(612,613))は、下部が狭く、上部が広くなっており、両側壁に段部が形成されている。
ここで、この段部までの深さ(「第3溝(613)」の深さ)は、マスクフレーム(610)の短辺部分の受入凹部(「第1溝(611)」)の深さと同じである。
【0174】
A4 最も外側の縦桟(長辺スティック(630))は、内側にある他の縦桟(長辺スティック(630))と同様に、両端部が、マスクフレーム(610)の短辺部分中の受入凹部(「溝」(611))中に受け入れられた状態で溶接される。
【0175】
A5 最も外側の縦桟(長辺スティック(630))は、横桟(短辺スティック(620))と重なる領域にて、横桟(短辺スティック(620))の上面に溶接される。
【0176】
A6 「羽根部821」の先端部は、横桟(短辺スティック(620))の上面に溶接されるが、マスクフレーム(610)(の段部)には溶接されない。
【0177】
A7 「羽根部821」の先端部は、マスクフレーム(610)の内側の側面から外側へと延びる寸法が、横桟(短辺スティック(620))の一端部におけるよりも、小さい。
なお、「羽根部821」が延びる寸法は、表示領域に対応する蒸着領域における角を丸めた部分の寸法に対応する。
【0178】
A8 上記(vi)及びA3に代えて、横桟(短辺スティック(620))が縦桟(長辺スティック(630))の上に重ね合わされて、互いに溶接されるのであっても良い(本願図13~14)。
その場合、マスクフレーム(610)の長辺部分にある受入凹部(「溝」(612,613))は、下部及び上部にわたって、「羽根部821」の先端部に対応する同一の幅を有するようにすることができる。
【符号の説明】
【0179】
10 表示装置
100 表示パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16