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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010701
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】実装装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20250116BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112832
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】野村 祐大
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL05
5F044PP15
5F044PP16
5F044PP19
5F047AA17
5F047BA21
5F047BA52
5F047BB01
5F047BB11
5F047BB16
5F047FA08
5F047FA09
5F047FA59
5F047FA63
(57)【要約】
【課題】実装不良の発生を抑制可能であってコンパクトな実装装置及びそれを用いた実装方法を提供する。
【解決手段】実装装置1は、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22が載置された基板SB1,SB2を保持するように構成された第1金型1010と、第1金型10に対向して配置された第2金型20と、不活性ガスを供給するガス供給機構とを備え、第2金型20は、可動機構22A,22B,22C,22D及び弾性要素23A,23B,23C,23Dを有し、第1金型10及び第2金型20が型閉じされた状態において、可動機構22A,22B,22C,22Dによって弾性要素23A,23B,23C,23Dの弾性力に応じて電子部品CH11,CH12,CH21,CH22が加圧される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基板に1つ以上の電子部品を実装するための実装装置であって、
前記電子部品が載置された前記基板を保持するように構成された第1金型と、
前記第1金型に対向して配置された第2金型と、
前記第1金型と前記第2金型との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給機構と
を備え、
前記第2金型は、可動機構及び弾性要素を有し、
前記第1金型及び前記第2金型が型閉じされた状態において、前記可動機構によって前記弾性要素の弾性力に応じて前記電子部品が加圧される、
実装装置。
【請求項2】
前記第2金型は、複数の前記可動機構と、複数の前記弾性要素とを有し、
前記複数の可動機構のそれぞれは、互いに異なる前記弾性要素によって独立して可動する、
請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記第2金型は、複数のサポートプレートを有し、
前記複数の弾性要素の少なくとも2つは、互いに異なる前記サポートプレートに設けられている、
請求項2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記ガス供給機構は、前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方に設けられたガス供給口であって、前記電子部品及び前記基板に向けて前記不活性ガスを供給するガス供給口を有する、
請求項1に記載の実装装置。
【請求項5】
前記第1金型及び前記第2金型を囲む開閉可能な脱気チャンバをさらに備える、
請求項1に記載の実装装置。
【請求項6】
前記可動機構は、前記弾性要素から伝達された弾性力を前記電子部品に印加する可動駒を有し、
前記第2金型は、
前記可動駒を加熱するヒータと、
前記ヒータと前記弾性要素を区画する断熱部材と
をさらに有する、
請求項1に記載の実装装置。
【請求項7】
前記弾性要素は、金属材料を用いて形成されたコイルスプリングである、
請求項1に記載の実装装置。
【請求項8】
前記実装装置はシンタリング装置である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項9】
少なくとも1つの基板に1つ以上の電子部品を実装するための実装装置を用いた実装方法であって、
前記電子部品が載置された前記基板を保持するように構成された第1金型を用意することと、
前記第1金型に対向して配置された第2金型を用意することと
を含み、
前記第2金型は、可動機構及び弾性要素を有し、
前記実装方法は、
前記第1金型と前記第2金型との間の空間に不活性ガスを供給することと、
前記第1金型及び前記第2金型を型閉じすることと、
前記第1金型及び前記第2金型が型閉じされた状態において、前記可動機構によって前記弾性要素の弾性力に応じて前記電子部品を加圧することと
をさらに含む、
実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接合材を介して基板に電子部品を実装する際に、少なくとも1つの基板に対して複数の電子部品を同時に加圧する実装装置が知られている。このような実装装置においては、複数の電子部品の寸法の差異などに起因した電子部品への圧力不足又は圧力過多によって実装不良が生じないように、複数の電子部品のそれぞれを個別に加圧する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数個の半導体素子を個々に加圧する複数個の押さえブロックと、複数個の押さえブロックを直動させるための複数個のシャフトと、複数個のシャフトを介して複数個のブロックを加圧するための複数個の加圧ブロックと、複数個の加圧ブロックを一括して加圧するための弾性体とを備え、加圧バルブに空気圧もしくは圧縮ガスによる圧力を供給し、弾性体を複数個の加圧ブロック側に膨張させることによって、複数個の加圧ブロックの加圧が行われる、半導体実装装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-110744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体実装装置は、空気圧もしくは圧縮ガスの圧力を供給するためのコンプレッサ又は高圧タンク、及び、空気もしくは圧縮ガスを通す配管などを備える必要がある。したがって、装置が大型化する場合がある。
【0006】
本願発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、実装不良の発生を抑制可能であってコンパクトな実装装置及びそれを用いた実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の一態様に係る実装装置は、少なくとも1つの基板に1つ以上の電子部品を実装するための実装装置であって、電子部品が載置された基板を保持するように構成された第1金型と、第1金型に対向して配置された第2金型と、第1金型と第2金型との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給機構とを備え、第2金型は、可動機構及び弾性要素を有し、第1金型及び第2金型が型閉じされた状態において、可動機構によって弾性要素の弾性力に応じて電子部品が加圧される。
【0008】
本願発明の他の一態様に係る実装方法は、少なくとも1つの基板に1つ以上の電子部品を実装するための実装装置を用いた実装方法であって、電子部品が載置された基板を保持するように構成された第1金型を用意することと、第1金型に対向して配置された第2金型を用意することとを含み、第2金型は、可動機構及び弾性要素を有し、実装方法は、第1金型と第2金型との間の空間に不活性ガスを供給することと、第1金型及び第2金型を型閉じすることと、第1金型及び第2金型が型閉じされた状態において、可動機構によって弾性要素の弾性力に応じて電子部品を加圧することとをさらに含む。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、実装不良の発生を抑制可能であってコンパクトな実装装置及びそれを用いた実装方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る実装装置の全体概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る実装方法の一部を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態に係る実装方法の一部を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る実装方法の温度プロファイルを示すグラフである。
図5】実装方法の一ステップにおける実装装置を示す図である。
図6】実装方法の一ステップにおける実装装置を示す図である。
図7】実装方法の一ステップにおける実装装置を示す図である。
図8】実装方法の一ステップにおける実装装置を示す図である。
図9】実装方法の一ステップにおける実装装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法、形状及び数は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施の形態に限定して解するべきではない。
【0012】
<実装装置>
まず、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る実装装置1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る実装装置の全体概要を示す図である。
【0013】
実装装置1は、ワークW1,W2に実装処理を行う。ワークW1は、電子部品CH11,CH12、接合材SN11,SN12及び基板SB1を含む。ワークW2は、電子部品CH21,CH22、接合材SN21,SN22及び基板SB2を含む。すなわち、実装装置1は、接合材SN11を介して電子部品CH11を基板SB1に実装し、接合材SN12を介して電子部品CH12を基板SB1に実装し、接合材SN21を介して電子部品CH21を基板SB2に実装し、接合材SN22を介して電子部品CH22を基板SB2に実装する。実装装置1の内部において、ワークW1は基板SB1が下型10に対向し電子部品CH11,CH12が上型20に対向するように設置され、ワークW2は基板SB2が下型10に対向し電子部品CH21,CH22が上型20に対向するように設置される。実装装置1による実装処理が行われる前、電子部品CH11,CH12は基板SB1の上に載置され、電子部品CH21,CH22は基板SB2の上に載置されている。実装装置1による実装処理が行われた後、電子部品CH11,CH12は基板SB1に接合され、電子部品CH21,CH22は基板SB2に接合されている。以下の説明において、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22が設けられている側を基板SB1,SB2の表面とし、その反対側を基板SB1,SB2の裏面とする。
【0014】
複数の電子部品CH11,CH12,CH21,CH22は、例えば半導体チップである。基板SB1,SB2は、DBA(Direct Bonded Aluminum)基板(アルミニウム回路付き高放熱セラミクス絶縁基板)又はDBC(Direct Bonded Copper)基板(銅回路付き高放熱セラミクス絶縁基板)であるが、それに限定されない。接合材SN11,SN12,SN21,SN22は、例えば銀(Ag)ナノ粒子を含むシンタリング材である。実装装置1は、接合材SN11,SN12,SN21,SN22を加熱加圧して焼結させるシンタリング装置である。基板SB1,SB2それぞれの高さは、例えば互いに異なっているが、同一高さであってもよい。電子部品CH11,CH12のそれぞれの高さは、例えば互いに異なっているが、同一高さであってもよい。電子部品CH21,CH22のそれぞれの高さは、例えば互いに異なっているが、同一高さであってもよい。接合材SN11,SN12,SN21,SN22のそれぞれの厚さは、同一高さであってもよい。また、1つの基板に対して電子部品の数は少なくとも1つであり2つに限定されない。
【0015】
なお、本発明の一実施形態に係る実装装置は、電子部品を加圧するものであればシンタリング装置に限定されるものではなく、例えばフリップチップボンダなど適宜の装置であってもよい。また、本発明の一実施形態に係る電子部品は半導体チップに限定されるものではなく、例えば、レジスタ、インダクタ、キャパシタ及び水晶振動子などの受動素子であってもよく、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ又はオペアンプなどの能動素子であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る基板はセラミクス基板に限定されるものではなく、例えば、シリコン基板などの半導体基板、リードフレームなどの金属基板、又は、PCB(Printed Circuit Board)基板などの絶縁体基板であってもよい。基板には2つの電子部品が載っているが、複数の行、複数の列でマトリクスに電子部品が配置されていても良い。また、基板は電子部品であってよく、この場合、本発明の一実施形態に係る実装装置は、電子部品同士を接合する装置である。本発明の一実施形態に係る接合材は、シンタリング材に限定されるものではなく、セミシンタリング材、金属はんだ、有機系接着剤又は無機系接着剤であってもよい。接合材の形態は、例えば粉体の集合物であるが、液状、半固形状、固形状又はフィルム状であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る基板の数は2つに限定されるものではなく、少なくとも1つであればよい。同様に、電子部品の数は4つに限定されるものではなく、1つの基板上に少なくとも1つあればよい。
【0018】
図1に示すように、実装装置1は、プレス装置3と、プレス装置3に取り付けられた金型2とを備えている。図示した例では、実装装置1が、脱気チャンバ31,32を更に備えている。プレス装置3は、タイバーによって連結された上下一対のプラテン4,5を備えている。
【0019】
金型2は、上プラテン5に固定された上型ベース21Eと、下プラテン4に固定された下型ベース11Fとを備えている。上型ベース21Eと下型ベース11Fとの間には、金型2を構成する主要なプレート(サポートプレート21D,21C、上型チェイス21B、下型チェイス11B、エジェクタピンプレート11C、リテーナプレート11D等)が固定されている。
【0020】
以下の説明において、下型ベース11Fに固定された各種プレートとその部品等をまとめて下型10と呼び、上型ベース21Eに固定された各種プレートとその部品等をまとめて上型20と呼ぶ。下型10は「第1金型」の一例であり、上型20は「第2金型」の一例である。
【0021】
下型10には、主に、下型ベース11F、サポートピラー11E、リテーナプレート11D、エジェクタピンプレート11C、下型チェイス11B等が含まれる。下型ベース11Fから柱状に突出した複数のサポートピラー11Eを介して下型ベース11Fの上方に固定されている。
【0022】
下型チェイス11Bの下にはエジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dが配置されている。エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dには、サポートピラー11Eを貫通させる孔が空いている。エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dは、互いに固定されており、下型チェイス11Bと下型ベース11Fとの間において、上下に摺動可能に構成されている。
【0023】
下型チェイス11Bには、キャビティプレート11Aをはじめとした各種の部品が固定されている。図示した例では、下型チェイス11Bに、キャビティプレート11Aと、キャビティプレート11Aを固定するサイドブロック18と、キャビティプレート11Aの下面及び側面を囲繞するように配置された断熱部材15と、スプリング17B及びスプリングスリーブ17Aとが固定されている。
【0024】
エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dには、キャビティプレート11Aから突没可能な複数のリフターピン12A,12Bと、型締めしたとき上型20に当接するセットピン16とが固定されている。
【0025】
キャビティプレート11Aは、上型20に最も近い位置に設けられ、型開き時に下型10と上型20との間の空間に接している。キャビティプレート11Aの内部には、ヒータ14が設けられている。ヒータ14は、下型10及び上型20が型閉じされたとき、キャビティプレート11Aを介して基板SB1,SB2を加熱する。これにより、接合材SN11,SN12,SN21,SN22が加熱される。
【0026】
断熱部材15は、キャビティプレート11Aと下型チェイス11Bとの間、及び、キャビティプレート11Aとサイドブロック18との間に設けられている。断熱部材15は、キャビティプレート11Aから下型チェイス11Bへの直接の熱伝導を抑制し、キャビティプレート11Aから下型チェイス11Bへのサイドブロック18を介した熱伝導を抑制する。
【0027】
換言すると、断熱部材15は、下型チェイス11Bに設けられたガス配管とヒータ14とを分断するように配置され、ガス供給口13から供給される窒素ガスの昇温を抑制する。また、断熱部材15は、スプリング17Bとヒータ14とを分断するように配置され、スプリング17Bの弾性力の低下を抑制する。つまり、断熱部材15は、加熱対象をキャビティプレート11Aに限定することによって、ヒータ14による昇温を速めるとともに、他の部材が熱の影響を受け難くしている。
【0028】
サイドブロック18は、下型チェイス11Bの上型20に対向する側に設けられている。上型20から平面視したとき、サイドブロック18は、キャビティプレート11Aの外側に設けられている。サイドブロック18は、下型10及び上型20が型閉じされるとき、上型20に当接する。
【0029】
ガス供給口13は、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22及び基板SB1,SB2に向けて、窒素(N2)ガス等のガスを供給する。図示した例では、キャビティプレート11Aのヒータ14より外側の断熱部材15側に窒素(N2)ガス等のガスを供給するガス供給口13が設けられている。ガス供給口13は、キャビティプレート11Aの上型20に対向する面に設けられており、上型20に向けて開口している。このため、ガス供給口13は、加熱時のワークW1,W2の周囲から迅速に酸化性ガスを排除し、ワークW1,W2を窒素雰囲気下とする。
【0030】
また、ガス供給口13は、冷却時のワークW1,W2に窒素ガスを当てることで、ワークW1,W2のガス冷却を行う。上型20から平面視したとき、ガス供給口13は、ワークW1,W2の外側に複数設けられている。ガス供給口13が供給する窒素ガスを通過させるガス配管は、下型チェイス11Bに設けられている。ガス供給口13は、下型10と上型20との間の空間に不活性ガスを供給する「ガス供給機構」の一例である。
【0031】
ガス供給口が供給する不活性ガスは窒素ガスに限定されるものではなく、例えば、二酸化炭素、フルオロカーボン又は希ガスなどであってもよい。また、ガス供給口は、電子部品、接合材又は基板に向けて開口し、不活性ガスを直接、電子部品、接合材又は基板に吹き付けてもよい。ガス供給口は上型に設けられてもよく、下型及び上型の両方に設けられてもよい。ガス供給口は、下型及び上型の少なくとも一方のサイドブロック18、28に設けられてもよく、後述する脱気チャンバに設けられてもよい。なお、不活性ガス及び脱気は必ずしも必要なものでは無い。
【0032】
スプリング17Bは、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dを下型チェイス11Bに向かって(上動)付勢している。スプリングスリーブ17Aは、基端部(上端部)が段付きボルト(又はワッシャーとスリーブとボルト)となっており、下型チェイス11Bの下面に固定されている。スプリングスリーブ17Aの先端部(下端部)にはツバ(拡径の釘頭状)が設けてある。
【0033】
リテーナプレート11Dには、スプリングスリーブ17Aの先端部よりも大きい貫通孔が形成されている。エジェクタピンプレート11Cには、スプリングスリーブ17Aの先端部よりも大きいザグリとスプリングスリーブ17Aの基端部よりも大きい貫通孔とが形成されている。スプリングスリーブ17Aは、リテーナプレート11Dの貫通孔とエジェクタピンプレート11Cの貫通孔とに挿通されている。
【0034】
スプリング17Bは、スプリングスリーブ17Aのツバとエジェクタピンプレート11Cのザグリとの間で、スプリングスリーブ17Aの周りにらせん状に設けられている。つまり、らせん状のスプリング17Bにスプリングスリーブ17Aが挿入されている。スプリング17Bは、エジェクタピンプレート11Cとスプリングスリーブ17Aの先端部のツバとを互いに離れさせる方向の弾性力を作用させる。
【0035】
つまり、スプリング17Bは、スプリングスリーブ17Aを介して、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dを下型チェイス11Bに向かって付勢している。スプリング17Bは弾性部材の一例であり、上記弾性力を作用させ得るのであれば、弾性部材はスプリングに限定されるものではない。弾性部材は、例えば、ゴムやリーフスプリングなどであってもよい。
【0036】
リフターピン12A,12Bは、キャビティプレート11A,下型チェイス11B,エジェクタピンプレート11C及び断熱部材15を貫通する貫通孔の内部に挿通されている。リフターピン12A,12Bは同じ長さで、ワークW1を平行に保持するためには3本ないしは4本以上で保持する。上型20側を先端部、下型ベース11F側を基端部とする。リフターピン12Bとセットピン16の基端部は、エジェクタピンプレート11Cとリテーナプレート11Dとの間に挟み込まれてネジ止めされている。リフターピン12Bとセットピン16は、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dに連動して上下に移動する。
【0037】
リフターピン12Aは、その先端部を基板SB1の裏面に接触させることによって、基板SB1を支持し、リフターピン12Bは、その先端部を基板SB2の裏面に接触させることによって、基板SB2を支持する。リフターピン12A,12Bは、基板SB1,SB2とキャビティプレート11Aとの距離を調節可能に構成されており、基板SB1,SB2とキャビティプレート11Aとを接離する。
【0038】
具体的には、リフターピン12A,12Bは、キャビティプレート11Aから上型20に対して進退可能に構成されている。リフターピン12A,12Bが下型10と上型20との間の空間に進出しているとき(型開き時)、リフターピン12A,12Bに支持されたワークW1,W2はキャビティプレート11Aから離間する。リフターピン12A,12Bが下型10と上型20との間の空間から退出しているとき(型閉じ時)、ワークW1,W2はキャビティプレート11Aに接触して支持される。
【0039】
エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dがキャビティプレート11Aに近付く(上動する)とき、リフターピン12A,12Bの先端部は、キャビティプレート11Aから突出する。すなわち、リフターピン12A,12Bが下型10と上型20との間の空間に進出している。
【0040】
エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dがキャビティプレート11Aから離れる(下動する)とき、リフターピン12A,12Bの先端部は、キャビティプレート11Aの内部に収納される。すなわち、リフターピン12A,12Bが下型10と上型20との間の空間から退出している。リフターピン12A,12Bは、「保持部」の一例に相当する。なお、保持部は、リフターピンに限定されるものではない。保持部は、ワークの端部を保持する細長い板状の部材であってもよい。
【0041】
セットピン16は、サイドブロック18、下型チェイス11B及びエジェクタピンプレート11Cを貫通する貫通孔に挿通されている。セットピン16は、上型20側を先端部、下型ベース11F側を基端部とする。セットピン16の基端部は、エジェクタピンプレート11Cとリテーナプレート11Dに挟まれている。セットピン16の先端部は、上型20のサイドブロック28に対向している。
【0042】
下型10及び上型20が型閉じされるとき、セットピン16は、サイドブロック28に押圧されて、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dを押し下げる。エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dを押し下げることにより、リフターピン12Bが連動して押し下げられる事でリフターピン12B上の基板SB1、SB2が下動する。また、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dを平行に押し下げるためには、セットピン16は4本程度ワークの四隅に配置されることが好ましい。
【0043】
上型20には、主に、上型ベース21E、上サポートプレート21D、下サポートプレート21C、上型チェイス21B、調圧機構9等が含まれる。上サポートプレート21D及び下サポートプレート21Cは、上型ベース21Eに固定されている。上型チェイス21Bは、上サポートプレート21D及び下サポートプレート21Cを介して上型ベース21Eに固定されている。
【0044】
上型チェイス21Bには、キャビティプレート21Aをはじめとした各種の部品が固定されている。図示した例では、上型チェイス21Bに、キャビティプレート21Aと、キャビティプレート21Aを固定するサイドブロック28と、キャビティプレート21Aの上面及び側面を囲繞するように配置された断熱部材25と、調圧機構9の一部とが設けられている。
【0045】
キャビティプレート21Aは、下型10に最も近い位置に設けられている。キャビティプレート21Aの内部には、ヒータ24が設けられている。ヒータ24は、キャビティプレート21Aを介して、後述する可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbを加熱する。下型10及び上型20が型閉じされたとき、ヒータ24は、可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Db及びフィルムFを介して電子部品CH11,CH12,CH21,CH22を加熱する。これにより、接合材SN11,SN12,SN21,SN22が加熱される。
【0046】
サイドブロック28は、上型チェイス21Bの下型10に対向する側に設けられている。上型20から平面視したとき、サイドブロック28は、キャビティプレート21Aの外側に設けられている。サイドブロック28は、下型10及び上型20が型閉じされるときに、上型20における下型10に当接する部分である。つまり、下型10及び上型20が型閉じされるとき、サイドブロック28は、セットピン16に当接する。
【0047】
断熱部材25は、キャビティプレート21Aと上型チェイス21Bとの間に設けられ、キャビティプレート21Aとサイドブロック28との間に設けられている。断熱部材25は、キャビティプレート21Aから上型チェイス21Bへの直接の熱伝導を抑制し、キャビティプレート21Aから上型チェイス21Bへのサイドブロック28を介した熱伝導を抑制する。
【0048】
断熱部材25は、ヒータ24と上型チェイス21Bとを区画することで、後述するスプリング23A,23B,23C,23Dの熱劣化を抑制する。つまり、断熱部材25は、加熱対象をキャビティプレート21Aに限定することによって、ヒータ24による昇温を速めるとともに、他の部材が熱の影響を受け難くしている。
【0049】
実装処理を行うとき、キャビティプレート21Aの下型10に対向する面には、フィルムFが張設される。キャビティプレート下面にはフィルムFを吸引する吸引孔(不図示)が設けられ、フィルムFを吸着する。吸引孔は外部の真空吸引ポンプに繋がれ吸着オン、オフ制御している。
【0050】
フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、フッ素含浸ガラスクロス、PP(ポリプロピレン)、PVDC(ポリ塩化ビニリジン)等が好適に用いられる。
【0051】
フィルムFは、接合材SN11,SN12,SN21,SN22から発生した粉末やガスによる上型20の隙間への侵入を阻害し、上型20の動作不良を抑制する。また、フィルムFは、可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbと電子部品CH11,CH12,CH21,CH22との間で緩衝材として機能し、加圧の際に電子部品CH11,CH12,CH21,CH22への損傷を抑える効果がある。
【0052】
調圧機構9は、基板SB1,SB2の厚さの差異、電子部品CH11、CH12,CH21,CH22の高さの差異、接合材SN11,SN12,SN21,SN22の厚さの差異を吸収し、接合材SN11,SN12,SN21,SN22を略均等な圧力で加圧する。調圧機構9は、可動機構22A,22B,22C,22D及びスプリング23A,23B,23C,23Dを有している。
【0053】
可動機構22Bは、可動機構22Aの最も近くに設けられている。可動機構22Dは、可動機構22Cの最も近くに設けられている。同様に、スプリング23Bは、スプリング23Aの最も近くに設けられている。スプリング23Dは、スプリング23Cの最も近くに設けられている。
【0054】
可動機構22Aはスプリング23Aに接続され上下動可能に構成されている。同様に、可動機構22Bはスプリング23Bに接続され上下動可能に構成され、可動機構22Cはスプリング23Cに接続され上下動可能に構成され、可動機構22Dはスプリング23Dに接続され上下動可能に構成されている。
【0055】
上型20における可動機構22A,22B,22C,22Dなどの棒状部材について、上型ベース21E側を基端部とし、下型10側を先端部とする。可動機構22Aの基端部は、スプリング23Aの弾性力を受圧し、可動機構22Aの先端部は、スプリング23Aの弾性力に基づいて電子部品CH11を加圧する。その結果、接合材SN11は、電子部品CH11を介して可動機構22Aによって加圧される。同様に、可動機構22Bは、スプリング23Bの弾性力に基づいて電子部品CH12を加圧し、接合材SN12は電子部品CH12を介して可動機構22Bによって加圧される。可動機構22Cは、スプリング23Cの弾性力に基づいて電子部品CH21を加圧し、接合材SN21は電子部品CH21を介して可動機構22Cによって加圧される。可動機構22Dは、スプリング23Dの弾性力によって電子部品CH22を加圧し、接合材SN22は電子部品CH22を介して可動機構22Dによって加圧される。
【0056】
可動機構22Aは、ロッド22Aa及び可動駒22Abを有している。可動機構22Bは、ロッド22Ba及び可動駒22Bbを有している。可動機構22Cは、ロッド22Ca及び可動駒22Cbを有している。可動機構22Dは、ロッド22Da及び可動駒22Dbを有している。
【0057】
ロッド22Aaは、可動機構22Aの基端部に設けられている。ロッド22Aaは、キャビティプレート21A、上型チェイス21B、断熱部材25及び下サポートプレート21Cに対して摺動可能に設けられている。ロッド22Aaの基端部は、下サポートプレート21Cの上型チェイス21B側に開口する凹部の内部に配置されており、ロッド22Aaの先端部よりも拡径となった釘頭状に設けられている。ロッド22Aaの基端部は、下サポートプレート21Cに対して摺動可能に構成され、上型チェイス21Bによって下動の限界を規定される。ロッド22Aaの先端部は、キャビティプレート21A、上型チェイス21B及び断熱部材25を貫通する貫通孔の内部に配置されており、ロッド22Aaの先端部の最先端は砲弾状に丸くなっている。ロッド22Aaは、基端部の最基端がスプリング23Aに接続し、先端部の最先端が可動駒22Abに点接触している。ロッド22Aaは、可動駒22Abの上下動をスプリング23Aに伝達し、スプリング23Aにおいて生成された弾性力を可動駒22Abに伝達する。
【0058】
可動駒22Abは、可動機構22Aの先端部に設けられている。可動駒22Abはキャビティプレート21Aに対して摺動可能に設けられている。可動駒22Abの先端部は、キャビティプレート21Aから突出している。可動駒22Abの基端部は、キャビティプレート21Aの内部に位置し、ロッド22Aaの先端部に接続している。可動駒22Abは、上下動する落下止めされた可動式の入れ子である。下型10及び上型20が型閉じされたとき、可動駒22Abの先端部は電子部品CH11の上面にフィルムを介して接触し、ロッド22Aaを介して伝達されたスプリング23Aの圧力を電子部品CH11に印加する。
【0059】
ロッド22Baは、可動機構22Bの基端部に設けられている。ロッド22Baは、キャビティプレート21A、上型チェイス21B、断熱部材25、下サポートプレート21C及び上サポートプレート21Dに対して摺動可能に設けられている。ロッド22Baの基端部は、上サポートプレート21Dの下サポートプレート21C側に開口する凹部の内部に配置されており、ロッド22Baの先端部よりも拡径となった釘頭状に設けられている。ロッド22Baの基端部は、上サポートプレート21Dに対して摺動可能に構成され、下サポートプレート21Cによって下動の限界を規定される。ロッド22Baの先端部は、キャビティプレート21A、上型チェイス21B、断熱部材25及び下サポートプレート21Cを貫通する貫通孔の内部に配置されており、ロッド22Baの先端部の最先端は砲弾状に丸くなっている。ロッド22Baは、基端部の最基端がスプリング23Bに接続し、先端部の最先端が可動駒22Bbに点接触している。ロッド22Baは、可動駒22Abの上下動をスプリング23Bに伝達し、スプリング23Bにおいて生成された弾性力を可動駒22Abに伝達する。
【0060】
ロッド22Caの構造及び機能は、ロッド22Aaの構造及び機能と同様である。ロッドDaの構造及び機能は、ロッド22Baの構造及び機能と同様である。可動駒22Bb,22Cb,22Dbの構造及び機能は、可動駒22Abと同様である。このため、ロッド22Ca,22Da及び可動駒22Bb,22Cb,22Dbの説明は省略する。
【0061】
実装処理を行うとき、可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbの電子部品CH11,CH12,CH21,CH22に接触する側は、連続したフィルムFによって覆われる。フィルムFは、接合材SN11,SN12,SN21,SN22等から発生した粉塵が上型20に付着して汚染することを防いでいると共に、チップCH11、CH12、CH21、CH22のダメージを緩和している。
【0062】
フィルムFを介して電子部品CH11に接触した可動駒22Abは、基板SB1、接合材SN11及び電子部品CH11の厚さに基づいて押し上げられる。押し上げられた可動駒22Abは、ロッド22Aaを押し上げ、スプリング23Aを圧縮して弾性力を発生させる。スプリング23Aで発生した弾性力は、ロッド22Aaによって伝達され、可動駒22Abによって電子部品CH11に印加される。同様に、可動駒22Bbは、基板SB1、接合材SN12及び電子部品CH12の厚さに基づいて押し上げられ、スプリング23Bで発生した弾性力を電子部品CH12に印加する。可動駒22Cbは、基板SB2、接合材SN21及び電子部品CH21の厚さに基づいて押し上げられ、スプリング23Cで発生した弾性力を電子部品CH21に印加する。可動駒22Dbは、基板SB2、接合材SN22及び電子部品CH22の厚さに基づいて押し上げられ、スプリング23Dで発生した弾性力を電子部品CH22に印加する。
【0063】
スプリング23A,23B,23C,23Dは互いに独立して作用する。したがって、電子部品CH11に印加される圧力は、スプリング23B,23C,23Dの影響を受けず、スプリング23Aの弾性力によってのみ決まる。電子部品CH12に印加される圧力は、スプリング23A,23C,23Dの影響を受けず、スプリング23Bの弾性力によってのみ決まる。電子部品CH21に印加される圧力は、スプリング23A,23B,23Dの影響を受けず、スプリング23Cの弾性力によってのみ決まる。電子部品CH22に印加される圧力は、スプリング23A,23B,23Cの影響を受けず、スプリング23Dの弾性力によってのみ決まる。基板SB1,SB2の厚さの差異、電子部品CH11、CH12,CH21,CH22の高さの差異、及び、接合材SN11,SN12,SN21,SN22の厚さの差異は、スプリング23A,23B,23C,23Dによって吸収され、接合材SN11,SN12,SN21,SN22は、略均等な圧力で加圧される。
【0064】
スプリング23A,23B,23C,23Dは、上下方向に圧縮されることによって、可動機構22A,22B,22C,22Dを押し下げる方向の弾性力を発生させる。スプリング23A,23B,23C,23Dは、金属材料を用いて形成されたコイルスプリングである。スプリング23A,23Cは、下サポートプレート21Cの上型チェイス21B側に開口する凹部の内部に設けられている。スプリング23B,23Dは、上サポートプレート21Dの下サポートプレート21C側に開口する凹部の内部に設けられている。下型10及び上型20の開閉方向において、スプリング23Aとスプリング23Bとの間には間隔が存在している。また、下型10及び上型20の開閉方向において、スプリング23Cとスプリング23Dの間には間隔が存在している。つまり、スプリング23A,23Cの基端部は、スプリング23B,23Dの先端部よりも下型10側に設けられている。下型10から平面視したとき、スプリング23A,23Bの互いの一部は重なっており、スプリング23C,23Cの互いの一部は間隔を空けて重なっている。スプリング23A,23B,23C,23Dは、弾性力に基づいて、可動機構22A,22B,22C,22Dを可動させる。スプリング23A,23B,23C,23Dは、「弾性要素」の一例である。
【0065】
なお、弾性要素は、可動機構22A,22B,22C,22Dを押し下げる方向の弾性力を発生させることが可能であれば、コイルスプリングに限定されるものではない。弾性要素は、例えば、ゴムやリーフスプリングなどであってもよい。
【0066】
脱気チャンバ31,32は、下型10及び上型20を囲む開閉可能な真空チャンバである。脱気チャンバ31は下型10の下型ベース11Fに接続されている。上型20から平面視したとき、脱気チャンバ31は、サイドブロック18の外側に設けられている。脱気チャンバ31と、下型チェイス11B、エジェクタピンプレート11C、リテーナプレート11D、サポートピラー11E及びサイドブロック18との間には、脱気ガスが通過する脱気経路33が設けられている。脱気チャンバ32は、上型20の上型ベース21Eに接続されている。下型10から平面視したとき、脱気チャンバ32は、サイドブロック28の外側に設けられている。脱気チャンバ32と、上型チェイス21B、下サポートプレート21C、上サポートプレート21D及びサイドブロック28との間には、脱気ガスが通過する脱気経路34が設けられている。脱気経路34は、上型ベース21Eに設けられた脱気経路27に接続されている。脱気経路27は上型ベース21Eに設けられた脱気口29に接続している。脱気口29は金型外の真空ポンプに繋がれている。脱気口29によって、脱気チャンバ31,32内の下型10及び上型20の雰囲気は脱気される。
【0067】
<実装方法>
次に、図2図9を参照しつつ、本実施形態に係る実装装置1を用いた実装方法について説明する。図2及び図3は、本発明の一実施形態に係る実装方法の一部を示すフローチャートである。図4は、本発明の一実施形態に係る実装方法の温度プロファイルを示すグラフである。図5図9は、実装方法の一ステップにおける実装装置を示す図である。図4のグラフにおいて、横軸は時間、縦軸はワークの温度を示す。
【0068】
まず、下型10及び上型20を用意し(S11)、下型10及び上型の予熱を開始する(S12)。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、室温(R.T.)である。
【0069】
次に、リフターピン12A,12Bの上に、ワークW1,W2を設置する(S13)。ワークW1において、電子部品CH11,CH12は、基板SB1の上に載置されている。ワークW2において、電子部品CH21,CH22は、基板SB2の上に載置されている。次に脱気チャンバ31,32を閉じて脱気を開始し(S14)、窒素ガスの供給を開始する(S15)。接合材SN11,SN12,SN21,SN22をシンタリング処理温度に昇温する前に脱気し、接合材SN11,SN12,SN21,SN22の周囲を窒素ガス雰囲気とすることによって、接合材SN11,SN12,SN21,SN22の酸化を抑制する。図5に示すように、脱気チャンバ31,32を閉じたとき、セットピン16の先端部は、上型20のサイドブロック28に当接する。下型10及び上型20のサイドブロック18,28は互いに離間し、ワークW1,W2はキャビティプレート11Aから離間している。基板SB1,SB2は下型10のキャビティプレート11Aからの熱輻射によって加熱され、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22は上型20の可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbからの熱輻射によって加熱される。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、100℃~150℃程度となる。
【0070】
次に、金型が更に少し閉じ、リフターピン12A,12Bを降下させ、基板SB1,SB2を上型20のキャビティプレート11Aに接触させる(S16)。図6に示すように、下型10及び上型20が互いに接近することで、セットピン16が上型20のサイドブロック28によって押し下げられる。押し下げられたセットピン16は、セットピン16の基端部に接続されたエジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dを押し下げる。押し下げられたエジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dは、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dに基端部が接続されたリフターピン12A,12Bを押し下げる。この結果、ワークW1,W2がキャビティプレート11Aに接触する。基板SB1,SB2は下型10のキャビティプレート11Aからの熱伝導によって加熱され、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22は上型20の可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbからの熱輻射によって加熱される。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、予熱温度である100℃~150℃から、シンタリング処理温度である250℃~300℃に昇温される。
【0071】
次に、下型10及び上型20が更に型閉じされて、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22に可動機構22A,22B,22C,22DがフィルムFを介して当接する(S21)。図7に示すように、下型10及び上型20のサイドブロック18,28同士が当接し、型閉じが完了すると、セットピン16は、最大まで押し下げられる。電子部品CH11に可動機構22Aの可動駒22AbがフィルムFを介して当接し、可動機構22Aのロッド22Aaが押し上げられた分だけスプリング23Aが圧縮される。電子部品CH12に可動機構22Bの可動駒22BbがフィルムFを介して当接し、可動機構22Bのロッド22Baが押し上げられた分だけスプリング23Bが圧縮される。電子部品CH21に可動機構22Cの可動駒22CbがフィルムFを介して当接し、可動機構22Cのロッド22Caが押し上げられた分だけスプリング23Cが圧縮される。電子部品CH22に可動機構22Dの可動駒22DbがフィルムFを介して当接し、可動機構22Dのロッド22Daが押し上げられ多分だけスプリング23Dが圧縮される。
【0072】
スプリング23A,23B,23C,23Dは互いに独立しているため、スプリング23Aの圧縮量は、基板SB1、接合材SN11及び電子部品CH11の厚さによって決定され、基板SB2、接合材SN12,SN21,SN22及び電子部品CH12,CH21,CH22の厚さの影響は略受けない。つまり、基板SB2、接合材SN12,SN21,SN22及び電子部品CH12,CH21,CH22の厚さの影響による、電子部品CH11への圧力不足又は圧力過多は抑制される。同様に、スプリング23Bの圧縮量は、基板SB1、接合材SN12及び電子部品CH12の厚さによって決定され、基板SB2、接合材SN11,SN21,SN22及び電子部品CH11,CH21,CH22の厚さの影響は略受けない。基板SB2、接合材SN11,SN21,SN22及び電子部品CH11,CH21,CH22の厚さの影響による、電子部品CH12への圧力不足又は圧力過多は抑制される。スプリング23Cの圧縮量は、基板SB2、接合材SN21及び電子部品CH21の厚さによって決定され、基板SB1、接合材SN11,SN12,SN22及び電子部品CH11,CH12,CH22の厚さの影響は略受けない。基板SB1、接合材SN11,SN12,SN22及び電子部品CH11,CH12,CH22の厚さの影響による、電子部品CH21への圧力不足又は圧力過多は抑制される。スプリング23Dの圧縮量は、基板SB2、接合材SN22及び電子部品CH22の厚さによって決定され、基板SB1、接合材SN11,SN12,SN21及び電子部品CH11,CH12,CH21の厚さの影響は略受けない。基板SB1、接合材SN11,SN12,SN21及び電子部品CH11,CH12,CH21の厚さの影響による、電子部品CH22への圧力不足又は圧力過多は抑制される。接合材SN11,SN12,SN21,SN22は、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22を介して、適切な圧力で同時に加圧される。なお、搭載される電子部品によっては圧力に強いもの、弱いものがあり、また、接合材も搭載される電子部品によっては変更することができるため、圧力が強く必要なもの、弱くてもよいものがあり、スプリング23A、23B、23C、23Dごとにスプリング圧を変更する事も可能である。
【0073】
電子部品CH11,CH12,CH21,CH22に可動機構22A,22B,22C,22DがフィルムFを介して当接することによって、下型10のキャビティプレート11Aと基板SB1,SB2との密着性が向上する。このため、基板SB1,SB2がキャビティプレート11Aに載置されていたステップS16に比べて、下型10から基板SB1,SB2への熱伝導の効率が向上し、下型10による接合材SN11,SN12,SN21,SN22の加熱効率が向上する。また、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22は、上型20の可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbからの熱伝導によって加熱される。このため、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22が熱輻射によって加熱されていたステップS13~S16に比べて、上型20による接合材SN11,SN12,SN21,SN22の加熱効率が向上する。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、予熱温度である100℃~150℃から、シンタリング処理温度である250℃~300℃に昇温される。
【0074】
接合材SN11,SN12,SN21,SN22は、加熱加圧によって焼結される。焼結された接合材SN11は電子部品CH11と基板SB1とを接合し且つ電気的に接続し、焼結された接合材SN12は電子部品CH12と基板SB1とを接合し且つ電気的に接続し、焼結された接合材SN21は電子部品CH21と基板SB2とを接合し且つ電気的に接続し、焼結された接合材SN22は電子部品CH22と基板SB2とを接合し且つ電気的に接続する。つまり、電子部品CH11,CH12が基板SB1に実装され、電子部品CH21,CH22が基板SB2に実装される。
【0075】
次に、型開きを行うことによって、リフターピン12A,12Bを上昇させ、基板SB1,SB2を下型10のキャビティプレート11Aから離間させる(S22)。図8に示すように、上型20のサイドブロック28を下型10のサイドブロック18から離間させる。スプリング17Bがスプリングスリーブ17Aの基端部(段付きボルトのネジによる螺合側、上側)が螺合された下型チェイス11Bに対して、エジェクタピンプレート11Cを接近させる方向の弾性力を作用させる。下型チェイス11Bはサポートピラー11Eにより位置が固定されているため、エジェクタピンプレート11Cと、エジェクタピンプレート11Cに接続されたリテーナプレート11Dとが上に押し上げられる。これにより、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dが引き上げられ、エジェクタピンプレート11Cとリテーナプレート11Dによって基端部が挟まれたリフターピン12A,12Bも引き上げられる。リフターピン12A,12Bの先端部はキャビティプレート11Aから突出して基板SB1,SB2の裏面に当接し、ワークW1,W2はキャビティプレート11Aから離間する。ガス供給口13は、ワークW1,W2に向けて窒素ガスの供給を行っている。ワークW1,W2が熱源であるキャビティプレート11Aから離間し、窒素ガスの供給を受けることによって、ワークW1,W2の冷却が開始される。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、シンタリング処理温度である250℃~300℃程度である。
【0076】
次に、窒素ガスの供給を停止し、脱気を停止する(S23)。図4に示すようにワークW1,W2が100℃~150℃程度に冷却された段階で、ガス供給口13からの窒素ガスの供給を停止し、その後、脱気口29からの脱気を停止する。これにより、ワークW1,W2の実装装置1内での冷却は終了する。
【0077】
最後に、更に型開きすることによって、脱気チャンバ31,32を開き、ワークW1,W2を取り出す(S24)。図9に示すように、脱気チャンバ31と脱気チャンバ32とを離間させ、ワークW1,W2を開放する。ワークW1,W2はリフターピン12A,12Bの上から回収される。
【0078】
なお、本実施形態においては、1つの電子部品を1つの可動機構で加圧し、1つの可動機構を1つの弾性要素で可動する構成を例に挙げて説明したが、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではない。
【0079】
例えば、複数の電子部品を1つの可動機構によって加圧してもよい。このような構成において、複数の電子部品の高さが異なるときには、可動駒の先端面に複数の電子部品の高さに応じた凹凸を設けてもよい。これによれば、高さの異なる複数の電子部品を1つの可動機構によって略均等な圧力で加圧することができる。また、1つの電子部品を複数の可動機構によって加圧してもよい。これによれば、1つの電子部品の中に高さの異なる部位が含まれる場合であっても、部位毎に異なる可動機構によって加圧することによって、1つの電子部品の全体を略均等な圧力で加圧することができる。また、例えば、1つの可動機構を複数の弾性要素によって可動してもよく、複数の可動機構を1つの弾性要素によって可動してもよい。複数の可動機構は、例えば図面の紙面上に並んで配置されているが、紙面奥行方向に並んで配置されてもよい。複数の可動機構は、基板に対してマトリクス状に配置された複数の電子部品のそれぞれを加圧するように、マトリクス状に配置されてもよい。
【0080】
また、本実施形態においては、上型が2つのサポートプレート(下サポートプレート及び上サポートプレート)を有し、最接近する2つの弾性要素が互いに異なるサポートプレートに設けられている構成を例に挙げて説明したが、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではない。
【0081】
最接近する2つの弾性要素を1つのサポートプレートに設けることができるのであれば、上型が有するサポートプレートは1つだけであってもよい。このとき、最接近する2つの弾性要素は、下型及び上型の開閉方向と交差する方向において並んで設けられてもよく、下型及び上型の開閉方向において互いの一部が重なるように設けられてもよい。例えば、1つのサポートプレートの上面に開口する上面凹部及び下面に開口する下面凹部を設け、上面凹部及び下面凹部は上下方向において互いの一部が重なり、上面凹部及び下面凹部のそれぞれの内部に弾性要素を配置してもよい。また、上型が3つ以上のサポートプレートを有し、それぞれのサポートプレートに弾性要素を設けられてもよい。これによれば、上型に設けられたサポートプレートの数が2つである構成に比べて、弾性要素及び可動機構をさらに密に設けることができるため、さらに密に配置された電子部品のそれぞれを適切な圧力で同時に且つ個別に加圧することができる。
【0082】
以下に、本発明の実施形態の一部又は全部を付記する。なお、本発明は以下の付記に限定されるものではない。
【0083】
[付記1]
少なくとも1つの基板に1つ以上の電子部品を実装するための実装装置であって、電子部品が載置された基板を保持するように構成された第1金型と、第1金型に対向して配置された第2金型と、第1金型と第2金型との間の空間に不活性ガスを供給するガス供給機構とを備え、第2金型は、可動機構及び弾性要素を有し、第1金型及び第2金型が型閉じされた状態において、可動機構によって弾性要素の弾性力に応じて電子部品が加圧される、実装装置。
【0084】
この態様によれば、電子部品及び基板の高さに応じた可動機構の上動により、弾性要素において弾性力が生じ、当該弾性力によって電子部品が加圧される。つまり、電子部品を加圧するのに適した弾性力が、金型内で自ずと生成される。このため、第2金型の外部から供給した流体を介して電子部品を加圧する実装装置に比べて、小型化を図ることができる。また、ガス供給機構は、電子部品及び基板の周囲から酸化性ガスを排除し、電子部品及び基板の周囲を不活性ガス雰囲気とする。これにより、電子部品を基板に接合する接合材の酸化による接合不良を抑制し、高温での接合処理を行うことができる。また、接合処理の後に電子部品及び基板を冷却するときには、電子部品及び基板を不活性ガスによってガス冷却することができる。
【0085】
[付記2]
第2金型は、複数の可動機構と、複数の弾性要素とを有し、複数の可動機構のそれぞれは、互いに異なる弾性要素によって独立して可動する、[付記1]に記載の実装装置。
【0086】
この態様によれば、1つの弾性要素の弾性力は1つの電子部品の厚さおよび求める圧力に基づいて決定され、他の電子部品の厚さや求める圧力の影響を略受けない。したがって、当該他の電子部品の厚さや求める圧力の影響による、当該1つの電子部品への圧力不足又は圧力過多が抑制される。つまり、複数の電子部品のそれぞれを適切な圧力で同時に且つ個別に加圧することができる。
【0087】
[付記3]
第2金型は、複数のサポートプレートを有し、複数の弾性要素の少なくとも2つは、互いに異なるサポートプレートに設けられている、[付記2]に記載の実装装置。
【0088】
この態様によれば、2つの弾性要素の互いの一部が第1金型及び第2金型の開閉方向において間隔を空けて重なるように、当該2つの弾性要素を配置することができる。つまり、複数の弾性要素を密に配置することができる。したがって、複数の電子部品が密に配置された場合であっても、複数の電子部品のそれぞれを適切な圧力で同時に且つ個別に加圧することができる。
【0089】
[付記4]
ガス供給機構は、第1金型及び第2金型の少なくとも一方に設けられたガス供給口であって、電子部品及び基板に向けて不活性ガスを供給するガス供給口を有する、[付記1]から[付記3]のいずれか一つに記載の実装装置。
【0090】
この態様によれば、電子部品及び基板を向いたガス供給口から、電子部品及び基板に対して直接不活性ガスを吹き付けることができる。電子部品及び基板を加熱することきには、電子部品及び基板の周囲を効率的に不活性ガス雰囲気とすることができる。したがって、接合材の酸化による接合不良を抑制することができる。また、電子部品及び基板を冷却するときには、電子部品及び基板に不活性ガスを当てることで、電子部品及び基板の周囲を効率的にガス冷却することができる。実装品の冷却速度が向上するため、実装装置からの実装品の取り出しに要する時間が短縮され、生産効率を向上させることができる。
【0091】
[付記5]
第1金型及び第2金型を囲む開閉可能な脱気チャンバをさらに備える、[付記1]から[付記4]のいずれか一つに記載の実装装置。
【0092】
この態様によれば、電子部品及び基板の周囲を真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気とすることができるため、酸化を抑制することができる。したがって、複数の電子部品及び少なくとも1つの基板を高温に加熱することができる。
【0093】
[付記6]
可動機構は、弾性要素から伝達された弾性力を電子部品に印加する可動駒を有し、第2金型は、可動駒を加熱するヒータと、ヒータと弾性要素を区画する断熱部材とをさらに有する、[付記1]から[付記5]のいずれか一つに記載の実装装置。
【0094】
この態様によれば、ヒータが可動駒を加熱するときに、弾性要素の温度上昇を抑制することができる。したがって、弾性要素の熱による特性変化や損傷を抑制することができる。
【0095】
[付記7]
弾性要素は、金属材料を用いて形成されたコイルスプリングである、[付記1]から[付記6]のいずれか一つに記載の実装装置。
【0096】
[付記8]
実装装置はシンタリング装置である、[付記1]から[付記7]のいずれか一つに記載の実装装置。
【0097】
[付記9]
少なくとも1つの基板に1つ以上の電子部品を実装するための実装装置を用いた実装方法であって、電子部品が載置された基板を保持するように構成された第1金型を用意することと、第1金型に対向して配置された第2金型を用意することとを含み、第2金型は、可動機構及び弾性要素を有し、実装方法は、第1金型と第2金型との間の空間に不活性ガスを供給することと、第1金型及び第2金型を型閉じすることと、第1金型及び第2金型が型閉じされた状態において、可動機構によって弾性要素の弾性力に応じて電子部品を加圧することとをさらに含む、実装方法。
【0098】
この態様によれば、電子部品及び基板の高さに応じた可動機構の上動により、弾性要素において弾性力が生じ、当該弾性力によって電子部品が加圧される。つまり、電子部品を加圧するのに適した弾性力が、金型内で自ずと生成される。このため、第2金型の外部から供給した流体を介して電子部品を加圧する実装装置に比べて、小型化を図ることができる。また、ガス供給機構は、電子部品及び基板の周囲から酸化性ガスを排除し、電子部品及び基板の周囲を不活性ガス雰囲気とする。これにより、電子部品を基板に接合する接合材の酸化による接合不良を抑制し、高温での接合処理を行うことができる。また、接合処理の後に電子部品及び基板を冷却するときには、電子部品及び基板を不活性ガスによってガス冷却することができる。
【0099】
以上説明したように、実装不良の発生を抑制可能であってコンパクトな実装装置及びそれを用いた実装方法を提供することができる。
【0100】
以上説明した実施形態は、本願発明の理解を容易にするためのものであり、本願発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1…実装装置
10…下型
11A…キャビティプレート
11B…下型チェイス
11C…エジェクタピンプレート
11D…リテーナプレート
11E…サポートピラー
11F…下型ベース
12A,12B…リフターピン
13…ガス供給口
14…ヒータ
15…断熱部材
16…セットピン
17A…スプリングスリーブ
17B…スプリング
18…サイドブロック
20…上型
21A…キャビティプレート
21B…上型チェイス
21C…下サポートプレート
21D…上サポートプレート
21E…上型ベース
22A,22B,22C,22D…可動機構
22Aa,22Ba,22Ca,22Da…ロッド
22Ab,22Bb,22Cb,22Db…可動駒
23A,23B,23C,23D…スプリング
24…ヒータ
25…断熱部材
27…脱気経路
28…サイドブロック
29…脱気口
31,32…脱気チャンバ
33,34…脱気経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
電子部品CH11,CH12,CH21,CH22に可動機構22A,22B,22C,22DがフィルムFを介して当接することによって、下型10のキャビティプレート11Aと基板SB1,SB2との密着性が向上する。このため、基板SB1,SB2がキャビティプレート11Aに載置されていたステップS16に比べて、下型10から基板SB1,SB2への熱伝導の効率が向上し、下型10による接合材SN11,SN12,SN21,SN22の加熱効率が向上する。また、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22は、上型20の可動駒22Ab,22Bb,22Cb,22Dbからの熱伝導によって加熱される。このため、電子部品CH11,CH12,CH21,CH22が熱輻射によって加熱されていたステップS13~S16に比べて、上型20による接合材SN11,SN12,SN21,SN22の加熱効率が向上する。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、予熱温度である100℃~150℃から、シンタリング処理温度である250℃~300℃に昇温される(S22)
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
接合材SN11,SN12,SN21,SN22は、加熱加圧によって焼結される。焼結された接合材SN11は電子部品CH11と基板SB1とを接合し且つ電気的に接続し、焼結された接合材SN12は電子部品CH12と基板SB1とを接合し且つ電気的に接続し、焼結された接合材SN21は電子部品CH21と基板SB2とを接合し且つ電気的に接続し、焼結された接合材SN22は電子部品CH22と基板SB2とを接合し且つ電気的に接続する。つまり、電子部品CH11,CH12が基板SB1に実装され、電子部品CH21,CH22が基板SB2に実装される(S23)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
次に、型開きを行うことによって、リフターピン12A,12Bを上昇させ、基板SB1,SB2を下型10のキャビティプレート11Aから離間させる(S2)。図8に示すように、上型20のサイドブロック28を下型10のサイドブロック18から離間させる。スプリング17Bがスプリングスリーブ17Aの基端部(段付きボルトのネジによる螺合側、上側)が螺合された下型チェイス11Bに対して、エジェクタピンプレート11Cを接近させる方向の弾性力を作用させる。下型チェイス11Bはサポートピラー11Eにより位置が固定されているため、エジェクタピンプレート11Cと、エジェクタピンプレート11Cに接続されたリテーナプレート11Dとが上に押し上げられる。これにより、エジェクタピンプレート11C及びリテーナプレート11Dが引き上げられ、エジェクタピンプレート11Cとリテーナプレート11Dによって基端部が挟まれたリフターピン12A,12Bも引き上げられる。リフターピン12A,12Bの先端部はキャビティプレート11Aから突出して基板SB1,SB2の裏面に当接し、ワークW1,W2はキャビティプレート11Aから離間する。ガス供給口13は、ワークW1,W2に向けて窒素ガスの供給を行っている。ワークW1,W2が熱源であるキャビティプレート11Aから離間し、窒素ガスの供給を受けることによって、ワークW1,W2の冷却が開始される。図4に示すように、このときのワークW1,W2の温度は、シンタリング処理温度である250℃~300℃程度である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
次に、窒素ガスの供給を停止し、脱気を停止する(S2)。図4に示すようにワークW1,W2が100℃~150℃程度に冷却された段階で、ガス供給口13からの窒素ガスの供給を停止し、その後、脱気口29からの脱気を停止する。これにより、ワークW1,W2の実装装置1内での冷却は終了する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
最後に、更に型開きすることによって、脱気チャンバ31,32を開き、ワークW1,W2を取り出す(S2)。図9に示すように、脱気チャンバ31と脱気チャンバ32とを離間させ、ワークW1,W2を開放する。ワークW1,W2はリフターピン12A,12Bの上から回収される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3