(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010744
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】赤色感光性組成物、膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20250116BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20250116BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20250116BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20250116BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20250116BHJP
C08F 265/00 20060101ALI20250116BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20250116BHJP
C08F 4/00 20060101ALI20250116BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20250116BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/031
G03F7/004 501
G03F7/033
G02B5/20 101
C09B67/20 F
C09B67/20 J
C08F265/00
C08F20/00 510
C08F4/00
C08F2/44 C
C08F2/44 B
C08F2/50
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112902
(22)【出願日】2023-07-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】小暮 健人
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛之
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J011
4J015
4J026
【Fターム(参考)】
2H148BE03
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4J026GA08
(57)【要約】
【課題】本発明は、保存安定性に優れ、低温加熱後に優れた耐性を有する膜が形成可能な赤色感光性組成物の提供を目的とする。
【解決手段】上記課題は、色材(A)、酸性基を有する樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む赤色感光性組成物であって、
前記色材(A)が、赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)を含み、
前記赤色色材(A1)が、C.I.ピグメントレッド179、及びC.I.ピグメントレッド264からなる群から選ばれる1種以上を含み、
前記黄色色材(A2)が、イソインドリン顔料を含み、
前記重合開始剤(D)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1)を含む赤色感光性組成物によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材(A)、酸性基を有する樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む赤色感光性組成物であって、
前記色材(A)が、赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)を含み、
前記赤色色材(A1)が、C.I.ピグメントレッド179、及びC.I.ピグメントレッド264からなる群から選ばれる1種以上を含み、
前記黄色色材(A2)が、イソインドリン顔料を含み、
前記重合開始剤(D)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1)を含む、赤色感光性組成物。
【請求項2】
前記酸性基を有する樹脂(B)が、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項3】
前記重合開始剤(D1)が、オキシムエステル基を2つ有する化合物を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項4】
更に、熱架橋性化合物(E)を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項5】
更に、紫外線吸収剤(F)を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項6】
更に、塩基性を有する顔料誘導体(G)を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項7】
前記酸性基を有する樹脂(B)が、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)、及び芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項8】
更に、前記色材(A)が、青色色材(A3)、及び紫色色材(A4)からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
【請求項9】
前記青色色材(A3)が、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントブルー16からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項8に記載の赤色感光性組成物。
【請求項10】
前記紫色色材(A4)が、キサンテン骨格を有する化合物を含む、請求項8に記載の赤色感光性組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の赤色感光性組成物から形成されてなる膜。
【請求項12】
請求項11に記載の膜を有するカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項12に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
【請求項14】
請求項12に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子、及び画像表示装置等に使用するカラーフィルタの形成に使用する赤色感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、一般的に、フォトリソグラフィー法でパターンを形成して作製される。フォトリソグラフィー法は、例えば、感光性組成物をガラス等の基板に塗布し、乾燥によって塗膜から溶剤を除去する工程、この塗膜を、所望するパターン形状を有するフォトマスクを介して放射線を照射・硬化(以下、露光という)する工程、次いで、この塗膜の未露光部を洗浄・除去(以下、現像という)する工程、その後、硬化膜を十分に硬化させるために加熱処理(以下、ポストベークという)する工程を経てパターンを作製する。そして、上記工程と同様の操作を複数回行うことによりカラーフィルタが完成する。
【0003】
カラーフィルタの製造に用いられる感光性組成物は、通常製造後、数週間から数ヵ月間保管したのちに使用される。そのため、保管中に感光性組成物に異物が発生する問題、感光性組成物が経時変化しパターン形成時に膜厚やパターン形状などにばらつきが生じる問題があった。
【0004】
また、画像表示装置や固体撮像素子の小型化、及び高画素化によって1画素あたりの面積が小さくなる傾向にあり、カラーフィルタは、薄膜化が要求されている。そのため、カラーフィルタの画素に含まれる色材の濃度が高くなり、相対的に色材以外の成分が少なくなる。その結果、現像性、パターン形成性が悪化するという問題があった。
【0005】
更に、近年、環境問題の観点から、上記ポストベーク工程で温度を下げることが求められている。その結果、ポストベークでの硬化が不十分となり、耐性が悪化するという問題があった。
【0006】
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1には、色材分散安定性に優れ、位相差値が低減されながら、コントラスト、色再現性が向上した着色層を形成可能なカラーフィルタ用色材分散液として、色材と、分散剤と、溶剤とを含有する色材分散液であって、前記色材が赤色色材及び黄色色材を含み、当該黄色色材が、特定のアゾ化合物及びそれらの互変異構造のアゾ化合物のアニオンと少なくとも2種の特定金属イオンと、特定化合物を含み、当該分散剤が、特定の構成単位を有する重合体を含むカラーフィルタ用着色樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、分散安定性の良いカラーフィルタ用有機顔料組成物として、ペリレン系有機顔料100部当たりスルホン基を含有する有機色素誘導体1~15部を含有し、顔料の一次粒子径が20~100nmであるカラーフィルタ用有機顔料組成物が開示されている。特許文献3には、分散安定性に優れ、高い着色力と高い輝度を有するカラーフィルタ用赤色顔料分散レジスト組成物として、C.I.ピグメントレッド264、ならびにC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177およびC.I.ピグメントレッド179から選ばれる1種以上と、特定構造の顔料分散助剤、塩基性基含有高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び有機溶剤を加え分散させて得られる顔料分散物、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び有機溶剤を含むカラーフィルタ用赤色顔料分散レジスト組成物が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、低温環境下で硬化可能な着色感光性組成物として、着色剤と、重合性化合物と、光重合開始剤を含有し、前記光重合開始剤が、前記光重合開始剤をアセトニトリルに0.001質量%溶解させた溶液の波長340nmにおける吸光度が0.45以上である着色感光性組成物が開示されている。特許文献5には、低温硬化性、赤色の色再現性に優れる着色樹脂組成物として、顔料、樹脂、重合性化合物、及び重合開始剤を含有する着色樹脂組成物であって、前記顔料がC.I.ピグメントバイオレット19、赤色顔料及び黄色顔料を含む着色樹脂組成物が開示されている。特許文献6には、ポストベーク工程の温度が200℃以下であっても、耐溶剤性や密着性に優れた硬化膜を形成することができる硬化性樹脂組成物として、α,β-不飽和カルボニル基を有する構成単位、活性メチレン基又は活性メチン基を有する構成単位、及び酸基を有する構成単位を有する樹脂を含む感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2018/124087号
【特許文献2】国際公開第2015/015962号
【特許文献3】特開2015-79161号公報
【特許文献4】国際公開第2017/038708号
【特許文献5】国際公開第2021/131834号
【特許文献6】特開2022-10246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1~6に記載の組成物は、保存安定性、現像性、パターン形成性、及び低温加熱後の膜耐性を全て一定水準で満たすことはできなかった。
【0010】
本発明は、保存安定性、現像性、パターン形成性に優れ、低温加熱後に優れた耐性を有する膜が形成可能な赤色感光性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、色材(A)、酸性基を有する樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む赤色感光性組成物であって、
前記色材(A)が、赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)を含み、
前記赤色色材(A1)が、C.I.ピグメントレッド179、及びC.I.ピグメントレッド264からなる群から選ばれる1種以上を含み、
前記黄色色材(A2)が、イソインドリン顔料を含み、
前記重合開始剤(D)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1)を含む赤色感光性組成物に関する。
【発明の効果】
【0012】
上記の本発明によれば、保存安定性、現像性、パターン形成性に優れ、低温加熱後に優れた耐性を有する膜が形成可能な赤色感光性組成物を提供できる。また、本発明は、膜、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び画像表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の赤色感光性組成物を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、課題を解決可能な範囲内で変形して実施できる。
【0014】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」とは、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を意味する。また、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 発行)を意味する。
本明細書において、重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合である。
本明細書において、単量体は、重合により樹脂を形成する化合物である。単量体は、未反応状態であり、単量体単位は、単量体が重合後に樹脂を形成している状態である。
本明細書において、分子量が特定できる低分子化合物は、計算により算出した値(式量)、若しくはESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定した分子量であり、分子量の分布を持つ化合物は、テトラヒドロフランを溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0015】
<赤色感光性組成物>
本発明の一実施形態である赤色感光性組成物は、色材(A)、酸性基を有する樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む赤色感光性組成物であって、
前記色材(A)が、赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)を含み、
前記赤色色材(A1)が、C.I.ピグメントレッド179、及びC.I.ピグメントレッド264からなる群から選ばれる1種以上を含み、
前記黄色色材(A2)が、イソインドリン顔料を含み、
前記重合開始剤(D)が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1)を含むことを特徴とする。
【0016】
上記構成の赤色感光性組成物が、本発明の課題を解決できるメカニズムは明らかではないが、以下のように推測している。
【0017】
赤色色材(A1)であるC.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド264は、分散安定性が悪い。そのため、これらの赤色色材(A1)を含む赤色感光性組成物を長期保存した場合、赤色色材(A1)同士の会合・凝集により異物が発生しやすい。しかし、イソインドリン顔料と酸性基を有する樹脂(B)を用いることにより、保存時の赤色色材(A1)の会合・凝集が抑制され保存安定性が向上すると推測する。また、塩基性基を有する樹脂を使用した場合と比較し、アルカリ水溶液への可溶性が向上する。そのため、現像時の残渣を抑制し、パターン形成性が向上すると推測する。そして、重合開始剤(D)として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1)を使用することで、光反応が進行しやすく低温加熱でも高温加熱と同等の膜の耐性が維持できると推測する。
【0018】
以下、本発明の赤色感光性組成物に含まれるか、又は含まれ得る成分を詳細に説明する。
【0019】
[色材(A)]
本発明の赤色感光性組成物は、色材(A)を含む。
【0020】
色材(A)は、特に限定されるものではなく、赤色色材、黄色色材、青色色材、紫色色材、緑色色材、オレンジ色色材等の有彩色色材、白色色材、黒色色材等の無彩色色材、近赤外線吸収色材、蛍光色材等が挙げられる。
なお、本明細書では、白色色材には純白色のみならず、白に近い明るい灰色(例えば、灰白色、薄灰色)色材も含まれる。
色材(A)は、顔料、染料のいずれでもよく、顔料と染料を併用してもよい。
顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよく、無機顔料と有機顔料を併用してもよい。また、顔料は、有機無機複合体も挙げられる。
【0021】
顔料は、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0022】
色材(A)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~60質量%が好ましく、1~50質量%がより好ましい。
【0023】
(赤色色材(A1))
本発明の赤色感光性組成物は、赤色色材(A1)を含み、赤色色材(A1)としてC.I.ピグメントレッド179、及びC.I.ピグメントレッド264からなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0024】
赤色色材(A1)は、耐光性の観点から、C.I.ピグメントレッド264を含むことが好ましい。
【0025】
C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド264の合計含有量は、赤色色材(A1)100質量%中、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。
【0026】
赤色色材(A1)は、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド264以外の赤色色材を含むことができる。
【0027】
C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド264以外の赤色色材は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296,297、特開2014-134712号公報に記載された顔料、特許第6368844号公報に記載された顔料等の赤色顔料が挙げられる。
また、C.I.アシッドレッド1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,150,151,158,176,183,198,211,251,216,217,249,252,257,260,266,274等の赤色染料、及びこれら赤色染料のレーキ化物、造塩化合物、多量体等が挙げられる。
【0028】
赤色色材(A1)の含有量は、色材(A)100質量%中、60~99質量%が好ましく、70~95質量%がより好ましい。
【0029】
(黄色色材(A2))
本発明の赤色感光性組成物は、黄色色材(A2)を含み、黄色色材(A2)としてイソインドリン顔料を含む。
【0030】
イソインドリン顔料は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、C.I.ピグメントイエロー109,110,137,139,173,177,179,185、特開2011-025194号公報、特開2022-025209号公報に記載された顔料が挙げられる。
これらの中でも、保存安定性の観点から、C.I.ピグメントイエロー139、185が好ましく、C.I.ピグメントイエロー139がより好ましい。
【0031】
イソインドリン顔料の含有量は、黄色色材(A2)100質量%中、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましい。
【0032】
黄色色材(A2)は、イソインドリン顔料以外の黄色色材を含むことができる。
【0033】
イソインドリン顔料以外の黄色色材は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,174,175,176,180,181,182,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、234,235,236、特開2012-226110号公報に記載された黄色顔料が挙げられる。
【0034】
また、黄色顔料として、下記一般式(1)で表されるアゾ化合物及びそれの互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選ばれる1種以上のアニオンと、Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnから選ばれる少なくとも2種の金属イオンと、下記一般式(2)で表される化合物を含む金属アゾ顔料が挙げられる。
【0035】
【0036】
一般式(1)中、2つのR1は、それぞれ独立して-OH、-NH2、-NH-CN、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表し、2つのR2は、それぞれ独立して-OH、又は-NH2を表す。
【0037】
【0038】
一般式(2)中、3つのR3は、それぞれ独立して水素原子、又はアルキル基を表す。
【0039】
前記金属アゾ顔料は、例えば、特開2014-12838号公報、特開2017-171912号公報、特開2017-171913号公報、特開2017-171914号公報、特開2017-171915号公報、特開2022-61494号公報等に記載された金属アゾ顔料が挙げられる。
【0040】
また、C.I.アシッドイエロー1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36、C.I.ソルベントイエロー4,14,15,23,24,38,62,63,68,79,82,94,98,99,162、特開2019-073695号公報、特開2019-073696号公報、特開2019-073697号公報、特開2019-073698号公報に記載されたメチン構造を有する黄色染料、及びこれら黄色染料のレーキ化物、造塩化合物、多量体等が挙げられる。
【0041】
黄色色材(A2)の含有量は、色材(A)100質量%中、1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
【0042】
本発明の赤色感光性組成物は、色材(A)として赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)以外の色材を含むことができる。
【0043】
赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)以外の色材は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、青色色材、紫色色材、緑色色材、オレンジ色色材等の有彩色色材、白色色材、黒色色材が挙げられる。
これらの中でも、赤色色材(A1)、及び黄色色材(A2)以外の色材は、分光特性の観点から、青色色材(A3)、及び紫色色材(A4)からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0044】
(青色色材(A3))
青色色材(A3)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79,80,87,88等の青色顔料が挙げられる。
また、C.I.アシッドブルー1,7,9,15,18,23,80,90、C.I.ソルベントブルー5,35,36,37,44,45,59,67等の青色染料、及びこれら青色染料のレーキ化物、造塩化合物、多量体等が挙げられる。
これらの中でも、耐光性の観点から、青色色材(A3)は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントブルー16からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0045】
青色色材(A3)の含有量は、色材(A)100質量%中、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0046】
(紫色色材(A4))
紫色色材(A4)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60,61等の紫色顔料が挙げられる。
また、C.I.ベーシックバイオレット1,3,14等のトリアリールメタン骨格を有する化合物、C.I.ベーシックバイオレット7,16等のシアニン骨格を有する化合物、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27,28,36等のアントラキノン骨格を有する化合物、C.I.アシッドバイオレット9,30,102、C.I.ベーシックバイオレット10,11,25、C.I.アシッドレッド51,52,87,92,94,289,388,463等のキサンテン骨格を有する化合物、及びこれら化合物のレーキ化物、造塩化合物、多量体等が挙げられる。
これらの中でも、輝度の観点から、紫色色材(A4)は、キサンテン骨格を有する化合物が好ましい。
【0047】
キサンテン骨格を有する化合物は、キサンテン骨格を有すれば、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、特開2012-013758号公報、特開2012-208452号公報、特開2013-033194号公報、国際公開第2016/031442号、国際公開第2016/121194号、特開2019-109490号公報、国際公開第2019/031292号等に記載の化合物が挙げられる。
キサンテン骨格を有する化合物は、保存安定性の観点から、C.I.アシッドレッド52,289,463から選ばれる1種以上の染料と、これら染料と塩を形成する樹脂との造塩化合物がより好ましい。
【0048】
紫色色材(A4)の含有量は、色材(A)100質量%中、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0049】
[酸性基を有する樹脂(B)]
本発明の赤色感光性組成物は、酸性基を有する樹脂(B)を含む。
【0050】
酸性基を有する樹脂(B)は、色材(A)を安定的に分散させる目的や膜の耐性を付与させるための目的で用いる。なお、主に色材(A)を分散させるために用いる酸性基を有する樹脂(B)を分散樹脂、主に膜に耐性を付与させるために用いる酸性基を有する樹脂(B)をバインダ樹脂ともいう。酸性基を有する樹脂(B)は、1種の樹脂で分散樹脂及びバインダ樹脂の両方の機能を有してもよい。ただし、酸性基を有する樹脂(B)のこのような用途は一例であって、それ以外の目的で使用することもできる。なお、本明細書では、酸性基を有する樹脂(B)とは、酸性基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。
【0051】
酸性基は、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、カルボキシル基、リン酸基であることが好ましい。
【0052】
酸性基を有する樹脂(B)の酸価は、30~250mgKOH/gが好ましく、40~200mgKOH/gがより好ましい。
【0053】
酸性基を有する樹脂(B)の重量平均分子量は、2,000~50,000が好ましく、4,000~40,000がより好ましい。
【0054】
酸性基を有する樹脂(B)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0055】
酸性基を有する樹脂(B)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~60質量%が好ましく、5~60質量%がより好ましい。
【0056】
(芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1))
酸性基を有する樹脂(B)は、保存安定性の観点から、分散樹脂として芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)を含むことが好ましい。C.I.ピグメントレッド179、及びC.I.ピグメントレッド264には芳香族環と類似構造を含んでおり、芳香族カルボキシル基と相互作用が強く働くため、保存中に芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)が色材(A)から遊離することなく、色材(A)の分散安定性が保たれると推測する。
なお、本明細書では、芳香族カルボキシル基は、芳香族環にカルボキシル基が1個以上結合した構造の基を表す。
【0057】
芳香族カルボキシル基は、樹脂の主鎖に含まれていてもよく、側鎖に含まれていてもよい。保存安定性の観点から、主鎖に含まれていることが好ましい。
【0058】
芳香族カルボキシル基の芳香族環に結合したカルボキシル基の数は、保存安定性の観点から、1~4個が好ましい。
【0059】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)は、保存安定性の観点から、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物、及び水酸基を2個以上有する化合物の反応生成部位であるエステル結合を有する芳香族カルボン酸エステル部位に基づく主鎖、並びにビニル重合体部位に基づく側鎖を有する樹脂を含むことが好ましい。
【0060】
主鎖の芳香族カルボン酸エステル部位は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応により得られ、エステル結合が生成すると同時に芳香族カルボキシル基が生成する。芳香族カルボキシル基は、色材(A)への吸着部位として作用する。
【0061】
側鎖のビニル重合体部位は、立体反発部位として作用し、色材(A)の会合・凝集を抑制する。側鎖のビニル重合体部位は、例えば、下記の2つの方法で得ることができる。
1つ目の方法は、水酸基を2つ以上有する化合物の存在下に、単量体を共重合する方法である。水酸基を2つ以上有する化合物は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物が好ましい。
2つ目の方法は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基との反応生成物の存在下に、単量体を共重合する方法である。
上記2つの方法は、単量体を共重合したビニル重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なる場合があるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じ化合物が合成できる。
【0062】
以下、主鎖、及び側鎖について詳細に説明する。
【0063】
〔主鎖〕
芳香族カルボン酸エステル部位は、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物の無水物基は、水酸基を2つ以上有する化合物との開環反応によって得られる。
【0064】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、例えば、下記一般式(3)、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【0066】
一般式(3)中、nは1又は2を表す。
一般式(4)中、Qは直接結合、-O-、-CO-、-COOCH2CH2OCO-、-SO2-、-C(CF3)2-、下記一般式(5)で表される基、又は下記一般式(6)で表される基を表す。
【0067】
【0068】
酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物は、具体的には、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4'-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。これらの中でも、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物がより好ましい。
【0069】
水酸基を2個以上有する化合物は、上記の通り、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物が好ましい。
【0070】
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物は、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0071】
芳香族カルボン酸エステル部位は、保存安定性の観点から、水酸基を2個以上有する化合物1モルに対して、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物0.9~1.5モルの反応生成部位であることが好ましい。より好ましくは、水酸基を2個以上有する化合物1モルに対して、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物1.0~1.3モルの反応生成部位である。色材(A)への吸着部位である芳香族カルボキシル基の割合が増えることで保存安定性が向上する。理論上、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物が1モルを超える場合、末端は酸無水物基となる。
【0072】
また、芳香族カルボン酸エステル部位の末端に存在する酸無水物基は、モノアルコールと反応させてもよい。すなわち、酸無水物基がモノアルコールで開環し、アルコールエステル及びカルボキシル基が生成する。これにより、現像液への溶解性が向上し、現像性が向上する。なお、モノアルコールに代えてモノアミンを使用できる。
【0073】
前記モノアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、イソノニルアルコール、1-ノニルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のモノアルコール;
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル基を有するモノアルコール;
乳酸メチル、乳酸エチル、ダイアセトンアルコール等のカルボニル基を有するモノアルコール等が挙げられる。
これらの中でも、現像性の観点から、エーテル基又はカルボニル基を有する化合物であることが好ましく、3-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコールがより好ましい。モノアルコールは、単独又は2種類以上を使用できる。
【0074】
酸無水物基に対するモノアルコールの使用量は、主鎖の酸無水物基1当量に対して1~30当量が好ましく、1.5~20当量がより好ましい。
【0075】
〔側鎖〕
ビニル重合体部位は、上述したように、水酸基を2つ以上有する化合物の存在下に、単量体を共重合する方法、酸無水物基を2つ以上有する芳香族化合物と、水酸基を2つ以上有する化合物の水酸基との反応生成物の存在下に、単量体を共重合する方法で合成できる。
【0076】
前記単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、又はメトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3-メチル-3-オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;
スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル;
スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等の酸性基含有単量体が挙げられる。
【0077】
ビニル重合体部位は、低温加熱後の膜耐性の観点から、熱架橋性基及び/又は重合性不飽和基を有することが好ましい。熱架橋性基は、例えば、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、及びブロックイソシアネート基等が挙げられる。
熱架橋性基を導入するには、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、及びブロックイソシアネート基等を有する単量体を使用することで導入できる。
重合性不飽和基を導入するには、例えば、ビニル重合体部位に存在する水酸基に、イソシアネート基を有する単量体のイソシアネート基を反応させることで導入できる。
【0078】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)の合成方法は、例えば、水酸基を2個以上有する化合物である片末端に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(a)の存在下、単量体をラジカル重合し、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体を生成させ、酸無水物基を2個以上有する芳香族化合物であるテトラカルボン酸二無水物(b)と反応させることが好ましい。更に、樹脂の末端が酸無水物基の場合、モノアルコールと反応させれば、モノアルコールに由来する封止部位を導入できる。
【0079】
【0080】
(c)中、Xは、テトラカルボン酸二無水物(b)が水酸基と反応した後の反応残基、Zは、2つの水酸基を持つ化合物が酸無水物基と反応した後の反応残基、Rは、モノアルコールの残基である。
【0081】
ビニル重合体部位の重合温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。40℃以上であれば重合が進行し易く、150℃以下であれば分子量の制御が容易になる。
【0082】
ビニル重合体部位の重合の際、単量体の全単量体質量を基準として、0.001~5質量%の重合開始剤を使用できる。重合開始剤は、アゾ系化合物及び有機過酸化物が挙げられる。
【0083】
アゾ系化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。重合開始剤は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0084】
ビニル重合体部位は、塊状重合又は溶液重合で合成することが好ましい。溶液重合の重合溶媒は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0085】
芳香族カルボン酸エステル部位の合成には、反応触媒を使用できる。反応触媒は、3級アミン系化合物が好ましい。3級アミン系化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、又は1,5-ジアザビシクロ-[4.3.0]-5-ノネン等が挙げられる。
【0086】
芳香族カルボン酸エステル部位の合成には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒を使用できる。
【0087】
芳香族カルボン酸エステル部位の合成温度は、50~180℃が好ましく、80~140℃がより好ましい。
【0088】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)の酸価は、20~250mgKOH/gが好ましく、30~200mgKOH/gがより好ましい。
【0089】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)の重量平均分子量は、2,000~40,000が好ましく、4,000~30,000がより好ましい。
【0090】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0091】
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)は、保存安定性の観点から、酸性基を有する樹脂(B)100質量%中、1~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。
【0092】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2))
酸性基を有する樹脂(B)は、低温加熱後の膜耐性の観点から、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)以外に、バインダ樹脂として芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)を含むことが好ましい。
【0093】
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)は、酸性基として芳香族カルボキシル基を有しない樹脂であれば特に制限がなく、公知の樹脂を使用できる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
【0094】
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)は、低温加熱後の膜耐性の観点から、熱架橋性基含有単量体単位と酸基性含有単量体単位(ただし、芳香族カルボキシル基を有する単量体単位を除く)を有する樹脂がより好ましい。熱架橋性基は、加熱により架橋反応を起こし架橋する基である。例えば、環状エーテル基、メチロール基、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、アセトアセトキシ基、アルコキシシリル基、3級アルキル基等が挙げられる。
熱架橋性基含有単量体単位と芳香族カルボキシル基以外の酸基性含有単量体単位を有する樹脂は、例えば、熱架橋性基含有単量体、芳香族カルボキシル基以外の酸基性含有単量体、及び任意に共重合可能な他の単量体とを共重合して合成する。
【0095】
熱架橋性基含有単量体単位は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、下記一般式(7)~(11)で表される単量体から形成されることが好ましい。
【0096】
【0097】
一般式(7)中、R1は、水素原子、又はメチル基を表す。
【0098】
一般式(7)中、R2及びR3は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0099】
一般式(7)中、L1は、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0100】
一般式(7)中、L2は、単結合、又は酸素原子を表す。
【0101】
一般式(7)中、L3及びL4は、それぞれ独立して単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0102】
一般式(7)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、特開平10-316643号公報、国際公開第2022/145298号等に記載の方法が挙げられる。
【0103】
以下、一般式(7)で表される単量体の具体例である式(7-1)~(7-10)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0104】
【0105】
一般式(7)で表される単量体は、低温加熱後の耐性の観点から、上記式(7-1)、式(7-2)、式(7-3)、式(7-4)、式(7-9)、及び式(7-10)の化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
【0106】
一般式(7)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0107】
【0108】
一般式(8)中、R1は、水素原子、又はメチル基を表す。
【0109】
一般式(8)中、R4~R6は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、R4及びR5は、水素原子であることが好ましく、R6は、メチル基、エチル基、n-プロピル基であることが好ましい。
【0110】
一般式(8)中、L1は、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0111】
一般式(8)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2022/145298号等に記載の方法が挙げられる。
【0112】
以下、一般式(8)で表される単量体の具体例である式(8-1)~(8-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0113】
【0114】
一般式(8)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0115】
【0116】
一般式(9)中、R1は、水素原子、又はメチル基を表す。
【0117】
一般式(9)中、R7は、炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0118】
一般式(9)中、L1は、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0119】
一般式(9)で表される単量体の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、Witzeman,J.S.、Dell Rector,F.J.著のCotaings Technology,Vol.62等に記載の方法が挙げられる。
【0120】
以下、一般式(9)で表される単量体の具体例である式(9-1)~(9-4)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0121】
【0122】
一般式(9)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0123】
【0124】
一般式(10)中、R1は、水素原子、又はメチル基を表す。
【0125】
一般式(10)中、R8~R10は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基を表す。ただし、R8~R10のうち少なくとも1つは炭素数1~6のアルコキシ基である。
炭素数1~6のアルキル基は、メチル基、エチル基、ブチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
炭素数1~6のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも、低温加熱後の耐性の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
低温加熱後の耐性の観点から、一般式(10)中、R8~R10のうち少なくとも2つは炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。
【0126】
一般式(10)中、L1は、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、又は炭素数1~20のアルキレン基の炭素-炭素結合間に-O-を有する基が挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0127】
以下、一般式(10)で表される単量体の具体例である式(10-1)~(10-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0128】
【0129】
一般式(10)で表される単量体の市販品は、例えば、信越シリコーン社のKBM-502,503,5103,5803、KBE-502,503等が挙げられる。
【0130】
一般式(10)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0131】
【0132】
一般式(11)中、R1は、水素原子、又はメチル基を表す。
【0133】
一般式(11)中、R11~R13は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を表す。
炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
【0134】
一般式(11)中、L1は、単結合、又は2価の有機基を表す。
2価の有機基は、炭素数1~20のアルキレン基、-NH-を有する基、又はこれらの組合せが挙げられる。
炭素数1~20のアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又はこれらの組合せのアルキレン基のいずれであってもよい。例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピル基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、イソプロピレン基、2-メチルプロピレン基、2-メチルへキシレン基、テトラメチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基が好ましい。
【0135】
以下、一般式(11)で表される単量体の具体例である式(11-1)~(11-6)の化合物を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【化15】
【0136】
一般式(11)で表される単量体は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0137】
熱架橋性基含有単量体単位は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、一般式(7)で表される単量体、及び一般式(8)で表される単量体のうち1種以上から形成されることがより好ましい。
【0138】
熱架橋性基含有単量体単位は、一般式(7)~(11)で表される単量体を単独又は2種類以上を併用して形成できる。
【0139】
熱架橋性基含有単量体単位は、一般式(7)~(11)で表される単量体で形成される単量体単位と、一般式(7)~(11)で表される単量体以外の単量体で形成される単量体単位を併用することができる。
【0140】
一般式(7)~(11)で表される単量体以外の単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イル(メタ)アクリレート、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2-[O-(1'-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0141】
熱架橋性基含有単量体単位の含有量は、保存安定性、低温加熱後の耐性の観点から、樹脂の全単量体単位中、1~80モル%が好ましく、5~70モル%がより好ましい。
【0142】
酸基性含有単量体(ただし、芳香族カルボキシル基を有する単量体を除く)は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、けい皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、無水マレイン酸、フマル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキシルヒドロフタル酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
酸性基含有単量体は、単独又は2種以上併用して使用できる。
【0143】
酸性基を導入する方法は、熱架橋性基含有単量体と酸性基含有単量体とを共重合する方法以外に、樹脂(前駆体)に含まれる水酸基に、酸無水物(変性化合物)を付加させる方法を用いてもよい。前記酸無水物は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0144】
酸性基含有単量体単位の含有量は、樹脂の全構成単位中、1~40モル%が好ましく、5~30モル%がより好ましい。
【0145】
熱架橋性基含有単量体単位、酸性基含有単量体単位以外の単量体単位(以下、その他単量体単位)を含有できる。
【0146】
その他単量体単位を形成する単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、ビニルナフタレン、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4'-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N'-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N'-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン、ジメチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(n-プロピル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が挙げられる。
【0147】
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)の酸価は、20~200mgKOH/gが好ましく、30~180mgKOH/gがより好ましい。
【0148】
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)の重量平均分子量は、3,000~50,000が好ましく、3,000~20,000がより好ましい。
【0149】
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0150】
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)の含有量は、低温加熱後の耐性の観点から、酸性基を有する樹脂(B)100質量%中、30~95質量%が好ましい。
【0151】
[重合性化合物(C)]
本発明の赤色感光性組成物は、重合性化合物(C)を含む。
【0152】
重合性化合物(C)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー等が挙げられる。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和二重結合のビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
【0153】
重合性化合物(C)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)、酸性基を有する重合性化合物(C4)、ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)、ラクトン変性された重合性化合物(C6)、その他重合性化合物(C7)が挙げられる。
【0154】
重合性化合物(C)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0155】
重合性化合物(C)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましい。
【0156】
(アミン構造を有する重合性化合物(C1))
アミン構造を有する重合性化合物(C1)が有するアミン構造は、1級アミン、2級アミン、3級アミンが挙げられる。これらの中でも2級アミン、3級アミンが好ましい。ただし、アミン構造を有する重合性化合物(C1)が有するアミン構造は、カルボニル基が窒素原子と直接結合しているアミド構造、イミド構造、及びウレタン構造は含まれない。
【0157】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、例えば、トリス(アクリロイルオキシエチル)アミン、トリス(メタアクリロイルオキシエチル)アミン、およびトリス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)アミン、ならびに(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物等が挙げられる。
【0158】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド変性トリ及びテトラ(メタ)アクリレート、ジペンエリスリトールアルキレンオキサイド変性テトラ、ペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド変性における、アルキレンオキサイド単位は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリレート化合物(X)としては、酸性基を有する(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
【0159】
(メタ)アクリレート化合物(X)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0160】
アミン化合物(Y)は、例えば、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ベンジルアミン、アミノカプロン酸、モノエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、o-アミノフェノール、m-アミノフェノール、p-アミノフェノール等の1級アミン;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、モルフォリン、ピペリジン、1-メチルピペラジン、プロリン、N-メリルエタノールアミン、N-アセチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アニリンフェノール、4-アニリンフェノール等の2級アミン等が挙げられる。
【0161】
アミン化合物(Y)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0162】
(メタ)アクリレート化合物(X)とアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、国際公開第2006/075754号、特表2008-545859号公報、特開2017-066347号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0163】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、酸性基又は/及び水酸基を有してもよい。酸性基又は/及び水酸基を導入する方法は、例えば、(メタ)アクリレート化合物(X)やアミン化合物(Y)に、酸性基又は/及び水酸基を有する化合物を使用する方法や、前記マイケル付加反応後に、酸無水物を付加させる方法等が挙げられる。
【0164】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)の市販品は、例えば、東亞合成社製のアロニックスMT-3041,3042、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL80,7100、アルケマ社製のCN371NS,372,374,383,386等が挙げられる。
【0165】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)は、更にウレタン結合を有することもできる。これにより、重合による化学架橋構造とともにウレタン結合同士やウレタン結合と基材の官能基間での分子間水素結合による物理的架橋構造を形成する。このウレタン結合部の分子間水素結合のもつ分子凝集エネルギーは、エーテル結合など他の有機構造がもつ凝集エネルギーに比べて大きい。そのため、膜は、ウレタン結合間の相互作用により柔軟で強固となり、耐性が向上すると推測する。
【0166】
ウレタン結合を導入する方法は、例えば、上述した(メタ)アクリレート化合物(X)と上述した水酸基を有するアミン化合物(Y)とのマイケル付加反応生成物(前駆体)と、ポリイソシアネート化合物(Z)とのウレタン反応により製造することができる。
【0167】
ポリイソシアネート化合物(Z)は、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族構造を有するポリイソシアネート化合物;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物;
1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビスクロロメチルジフェニルメタンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド、ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香族構造を有するポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、これら化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体等が挙げられる。
【0168】
ポリイソシアネート化合物(Z)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0169】
前記前駆体とポリイソシアネート化合物(Z)とのウレタン反応の方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、特表2018-517797号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0170】
(水酸基を有する重合性化合物(C2))
水酸基を有する重合性化合物(C2)は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル、エポキシ化合物のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0171】
水酸基を有する重合性化合物(C2)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD R-128H,R-167、東亞合成社製のアロニックスM-5700,M-920、新中村化学社製のNKエステル701A、共栄社化学社製のライトエステルHOP(N)、HOA(N),HOP-A(N),HOB(N),G-201P、エポキシエステルM-600A,40EM,70PA,200PA,80MFA,3002M(N),3002A(N),3000A、大阪ガスケミカル社製のOGSOL GA-5060P,GA-2800等が挙げられる。
【0172】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3))
デンドリマー構造を有する化合物は、コアを構成する化学構造(以下、コア部ともいう)から、その外側へ規則的に分岐を繰り返し、その末端に重合性不飽和基が結合した化学構造を有するものであり、球状の高度に制御された化学構造及び分子量を有している。ハイパーブランチ構造は、デンドリマー構造と類似の化学構造を有する。
【0173】
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)の市販品は、例えば、大阪有機化学工業社製のビスコート#1000LT(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数14)、SIRUS-501(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18)、Miwon Specialty Chemical社製のMiramer SP-1106(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数18),SP-1108(デンドリマー構造、平均アクリロイル基数13)、SARTOMER社製のCN2301(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数9),CN2302(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16),CN2303(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数6),CN2304(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数18)、Eternal Materials社製のEtercure6361-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数8),6362-100(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数12),6363(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数16),DR-E522(ハイパーブランチ構造、平均アクリロイル基数15)等が挙げられる。
【0174】
(酸性基を有する重合性化合物(C4))
酸性基を有する重合性化合物(C4)は、分子量100以上の化合物であり、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ジカルボン酸とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのエステル化物等が挙げられる。
【0175】
上記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0176】
上記ジカルボン酸は、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、フタル酸イタコン酸等が挙げられる。
【0177】
上記多価カルボン酸は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0178】
酸性基を有する重合性化合物(C4)の市販品は、東亞合成社製アロニックスM-5300,M-5400,M-510,M-520,M-521、ダイセル・オルネクス社製のβ-CEA等が挙げられる。
【0179】
(ウレタン結合を有する重合性化合物(C5))
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートや、多価アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0180】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド(EO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド(PO)変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0181】
上記多官能イソシアネートは、例えば、芳香族ジイソシアネートであるトリレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートであるトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるイソホロンジイソシアネートや、これらのビュレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられる。
【0182】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)は、酸性基を有してもよい。酸性基は、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を挙げられる。なかでも、カルボキシル基が好ましい。
【0183】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)に酸性基を導入する方法は、例えば、まず、上記水酸基含有(メタ)アクリレートと上記多官能イソシアネートとを反応させる。次いで、生成物にカルボキシル基を有するメルカプト化合物を付加させる方法で合成できる。
【0184】
上記カルボキシル基を有するメルカプト化合物は、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、o-メルカプト安息香酸、2-メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸等が挙げられる。
【0185】
ウレタン結合を有する重合性化合物(C5)の市販品は、例えば、共栄社化学社製のAH-600,UA-306H,UA-306T,UA-306I,UA-510H,UF-8001G、新中村化学社製のUA-1100H,U-6LPA,UA-33H,U-10HA,U-15HA、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL1290,KRM8452等が挙げられる。
【0186】
(ラクトン変性された重合性化合物(C6))
ラクトン変性された重合性化合物(C6)は、分子内にラクトンで変性された構造を有する化合物である。ラクトン変性された重合性化合物(C6)は、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエチスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメトロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε-カプロラクトンまたはその他のラクトン化合物をエステル化することにより得られる。
【0187】
ラクトン変性された重合性化合物(C6)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD DPCA-20,DPCA-30,DPCA-60,DPCA-120等が挙げられる。
【0188】
(その他重合性化合物(C7))
その他重合性化合物(C7)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO又はPO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールEO又はPO変性ヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0189】
その他重合性化合物(C7)の市販品は、例えば、日本化薬社製のKAYARAD NPGDA,PEG400DA,FM-400,HX-200,HX-620,R-551,R-712,R-604,R-684,GPOD-303,TMPTA,T-1420(T),RP-1040,DPEA-12,D-310、東亞合成社製のアロニックスM-101A,M-102,M-111,M-113,M-120,M-140,M-208,M-211B,M-220,M-225,M-270,M-240,M-309,M-310,M-321,M-350,M-360,M-408,M-460、大阪有機化学工業社製のビスコート#150,#155,#160,#192,#MTG,#200,#196,#195、#230、#260、#310、#700HV、#295、大阪ガスケミカル社製のOGSOL EA-0200,EA-0300、Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd社製のMiramer HR6060,6100,6200、新中村化学工業社製のNKエステルA-HD-N,A-NPG,A-200,A-400,APG-200,APG-400,A-DCP,ABE-300,A-BPE-4,A-BPE-10,A-TMPT,A-TMPT-9EO,A-GLY-3E,A-GLY-9E,A-TMMT,ATM-35E,AD-TMP等が挙げられる。
【0190】
また、水酸基及び酸性基を有する(メタ)アクリレート、水酸基及びウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有するラクトン変性された(メタ)アクリレート等も挙げられる。
【0191】
重合性化合物(C)は、低温加熱後の耐性の観点から、アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0192】
アミン構造を有する重合性化合物(C1)、水酸基を有する重合性化合物(C2)、及びデンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3)の合計含有量は、重合性化合物(C)100質量%中、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましい。
【0193】
[重合開始剤(D)]
本発明の赤色感光性組成物は、重合開始剤(D)を含む。
【0194】
重合開始剤(D)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、光又は熱の作用によってラジカルを発生させて、ラジカル重合反応を開始又は促進させる化合物が挙げられる。
光によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に光重合開始剤ともいう)は、紫外線から可視領域の光線に対してラジカルを発生させる化合物が好ましい。
熱によってラジカルを発生させる重合開始剤(以下、単に熱重合開始剤ともいう)は、熱及び光の作用によってラジカルを発生させる化合物であってもよい。
【0195】
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;
2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノーン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシム系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン系化合物;
9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物等が挙げられる。
【0196】
市販品では、アセトフェノン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad907,369E,379EG,127,184,1173,2959、アシルホスフィン系化合物として、IGM Resins社製のOmnirad819,TPO、オキシム系化合物として、BASFジャパン社製のIRGACURE OXE-01,02,03,04,05、ADEKA社製のアデカアークルズN-1919,NCI-730,831E,930、常州強力新材料社製のTRONLY TR-PBG-301,304,305,309,314,345,358,380,365,610,3054,3057、IGM Resins社製のOmnirad1312,1314,1316,サムヤンコーポレーション社製のSPI-02,03,04,05,06,07、ダイトーケミックス社製のDFI-020,306,EOX-01等が挙げられる。また、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報、国際公開第2015/036910号、特表2019-507108号公報、特表2019-528331号公報、国際公開第2021/175855号、特表2022-5115524号公報、国際公開第2023/085056号等に記載の化合物も挙げられる。
【0197】
熱重合開始剤は、例えば、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-tert-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン等のピナコール系化合物;
また既に説明したアゾ系化合物及び有機過酸化物も使用できる。
【0198】
重合開始剤(D)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0199】
重合開始剤(D)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
【0200】
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1))
本発明の赤色感光性組成物は、重合開始剤(D)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数が5.0×103L/mol・cm以上の重合開始剤(D1)(以下、単に重合開始剤(D1)ともいう)を含む。
【0201】
重合開始剤(D1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中での波長365nmの光の吸光係数は、5.0×103~5.0×104mL/gcmが好ましく、1.0×104~4.0×104L/mol・cmがより好ましい。
【0202】
重合開始剤(D1)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、国際公開第2008/078678号、特開2009-134289号公報、特許4600600号公報、特開2011-132215号公報、特表2014-500852号公報、特表2015-523318号公報、国際公開第2015/036910号、国際公開第2017/051680号、国際公開第2021/175855号、特表2022-515524号等に記載の化合物が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル基を1つ有する化合物が好ましく、オキシムエステル基を2つ有する化合物がより好ましい。オキシムエステル基を2つ有することで、ラジカル発生能が高く、酸素阻害を受け難い。そのため、光硬化が進み、低温加熱での耐性がより向上する。
【0203】
以下、重合開始剤(D1)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0204】
【0205】
【0206】
重合開始剤(D1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0207】
重合開始剤(D1)の含有量は、重合開始剤(D)100質量%中、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましい。
【0208】
[熱架橋性化合物(E)]
本発明の赤色感光性組成物は、低温加熱後の耐性の観点から、熱架橋性化合物(E)を含むことが好ましい。これにより、加熱で熱架橋性化合物(E)が架橋し、耐性が向上する。なお、本明細書では、熱架橋性化合物(E)は、酸性基および重合性不飽和基を有さないため酸性基を有する樹脂(B)、重合性化合物(C)とは異なる。
【0209】
熱架橋性化合物(E)は、熱架橋性基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、エポキシ基を有する化合物、ブロックイソシアネート基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物、メチロール基を有する化合物、フェノール基を有する化合物、アルコキシアルキル基を有する化合物等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基を有する化合物、及びブロックイソシアネート基を有する化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0210】
熱架橋性化合物(E)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0211】
熱架橋性化合物(E)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~40質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
【0212】
(エポキシ基を有する化合物(E1))
熱架橋性化合物(E)は、エポキシ基を有する化合物(E1)を含むことが好ましい。これにより、加熱でエポキシ基が架橋し、耐性がより向上する。
【0213】
エポキシ基とは、3員環の環状エーテル構造を有する基で、脂環式エポキシ基も含まれる。エポキシ基を有する化合物は、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル化合物;
1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化合物;
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、1-エポキシエチル-3,4-エポキシシクロヘキサン、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン等の分子内に2個以上の3,4-エポキシシクロヘキシル基を有する化合物;
2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
【0214】
エポキシ基を有する化合物(E1)の市販品は、例えば、油化シェルエポキシ社製のエピコート807,815,825,827,828,190P,191P、三井化学社製のTECHMORE VG3101L、日本化薬社製のEPPN-201,501H,502H、EOCN-102S,103S,104S,1020、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート1004,1256、JER1032H60,157S65,157S70,152,154、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、EHPE-3150、エポリードGT401、ナガセケムテックス社製のデナコールEX-211,212,252,313,314,321,411,421,512,521,611,612,614,614B,622,711,721、日産化学工業社製のTEPIC-L,H,S、DIC社製のEPICLON 830,840,850,860,1050,3050,4050,N-660、N-670,N-740,N-770,N865,HP-7200,HP-4700,HP-4770,HP-5000,HP-6000,HP-9500等が挙げられる。
【0215】
エポキシ基を有する化合物(E1)は、分子内に2~50個のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
【0216】
エポキシ基を有する化合物(E1)のエポキシ当量は、50~400g/eqが好ましく、100~200g/eqがより好ましい。なお、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量で定義される。
【0217】
エポキシ基を有する化合物(E1)は、低温加熱後の耐性の観点から、下記一般式(12)で表される化合物を含むことがより好ましい。
【0218】
【0219】
一般式(12)中、Rはm価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表し、mは1~6、nは1~30の整数を表す。
【0220】
Rは、m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基を表す。
m価のアルコールからm個の水酸基を除いた基は、炭素数2~20のアルキル基が好ましく、直鎖状、分岐状、もしくは環状、またはそれらが結合した基であってもよい。炭素数2~20のアルキル基は、例えば、エチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、3,3-ジメチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数3~12の分岐のアルキル基がより好ましい。
mは1~6、nは1~30の整数を表す。
mが2以上の場合、一般式(12)中のそれぞれのカッコ内の基におけるnは同一でもよく、異なっていてもよい。
【0221】
一般式(12)で表される化合物は、例えば、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。市販品は、ダイセル社製のEHPE-3150、EHPE-3150CE等が挙げられる。
【0222】
エポキシ基を有する化合物(E1)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0223】
エポキシ基を有する化合物(E1)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0224】
エポキシ基を有する化合物(E1)の含有量は、熱架橋性化合物(E)100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0225】
(ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2))
熱架橋性化合物(E)は、ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)を含むことが好ましい。
【0226】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)は、イソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基を、ブロック剤で保護した化合物である。前記ブロックイソシアネート基のブロック剤の脱離温度は、60~160℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~100℃が特に好ましい。
【0227】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)は、イソシアネート基を有する化合物とブロック剤を公知の方法で反応させて合成する。例えば、特開昭52-116420号公報、特開昭60-149572号公報、特開平7-31953号公報、特開平10-306136号公報、特開2012-012567号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0228】
ブロック剤は、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール化合物、及びイミド化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、オキシム化合物、フェノール化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物がより好ましく、低温加熱後の耐性の観点から、活性メチレン化合物が特に好ましい。活性メチレン化合物の脱離温度、又はエステル交換反応の温度は、80~110℃と低く、低温でも十分に反応し耐性が向上する。
【0229】
イソシアネート基を有する化合物は、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族構造を有する化合物;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメチルシクロヘキシルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式構造を有する化合物;
1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビスクロロメチルジフェニルメタンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライド、ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香族構造を有する化合物が挙げられる。また、これら化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体、及びこれら化合物とポリオールの反応物等が挙げられる。
【0230】
イソシアネート基を有する化合物は、脂肪族構造を有する化合物、又は脂環式構造を有する化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体、アロファネート体が好ましい。
【0231】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)は、例えば、以下の化合物が挙げられる。以下の構造式中、Xは、ブロックイソシアネート基を表す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0232】
【0233】
上記化合物のX(ブロックイソシアネート基)は、例えば、以下の(X-1)~(X-6)で示す構造が挙げられる。以下の構造中、*は結合部を表す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0234】
【0235】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)の市販品で脂肪族構造を有する化合物は、例えば、旭化成社製のデュラネートSBN-70D,SBB-70P,SBF-70E,TPA-B80E,17B-60P,MF-B60B,E402-B80B,MF-K60B,WM44-L70G、三井化学社製のタケネートB-882、Baxenden Chemical社製のBI7960,BI7961,BI7982,BI7991,BI7992等;
脂環式構造を有する化合物は、例えば、三井化学社製のタケネートB-846N、東ソー社製のコロネートBI-301,2507,2554、Baxenden Chemical社製のBI7950,BI7951,BI7990等;
芳香族構造を有する化合物は、例えば、三井化学社製のタケネートB-830,B-815N等が挙げられる。
【0236】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)のブロックイソシアネート基の数は、1~20個が好ましく、2~15個がより好ましい。
【0237】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)の重量平均分子量は、300~5,000が好ましく、500~3,000がより好ましい。
【0238】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0239】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0240】
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)の含有量は、熱架橋性化合物(E)100質量%中、0.5~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
【0241】
熱架橋性化合物(E)は、低温加熱後の耐性の観点から、エポキシ基を有する化合物(E1)、及びブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)を併用することがより好ましい。
エポキシ基を有する化合物(E1)とブロックイソシアネート基を有する化合物(E2)との質量比は、5:95~95:5が好ましく、10:90~90:10がより好ましい。
【0242】
[紫外線吸収剤(F)]
本発明の赤色感光性組成物は、パターン形成性の観点から、紫外線吸収剤(F)を含むことが好ましい。これにより、露光量変化、重合開始剤種や量の影響を抑制し、安定したパターン幅が得られる。
【0243】
紫外線吸収剤(F)は、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。例えば、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、共役ジエン化合物、メチルジベンゾイル化合物、クマリン化合物、アクリルニトリル化合物、ベンゾチアゾール化合物、サリシレート化合物等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物を含むことが好ましい。
【0244】
ベンゾフェノン化合物は、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸三水和物、2-ヒドロキシ-4-オクチロキシベンゾフェノン、4-ベンジロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のユビナールA,3049,3050、UVA-935LH、ADEKA社製のアデカスタブ1413等が挙げられる。
これらの中でも、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0245】
ベンゾトリアゾール化合物は、例えば、2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸及び3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ(C7-9側鎖及び直鎖アルキル)のエステル化合物、2-[5-クロロ-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のチヌビンPS,99-2,326,384-2,900,928,970,1130、UVA-903KT、ADEKA社製のアデカスタブLA-31RG,LA-31G等が挙げられる。
【0246】
トリアジン化合物は、例えば、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヒドロキシフェニルと[(C10-C16(主としてC12-C13)アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス-[{4-(4-エチルヘキシルオキシ)-4-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等が挙げられる。市販品は、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン400,405,406,477,479、ADEKA社製のアデカスタブLA-46,LA-F70等が挙げられる。
【0247】
共役ジエン化合物は、例えば、大東化学社製のUV503等が挙げられる。
【0248】
メチルジベンゾイル化合物は、例えば、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン、1,3-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン等が挙げられる。
【0249】
クマリン化合物は、例えば、4-ヒドロキシクマリン、7-ヒドロキシクマリン等が挙げられる。
【0250】
紫外線吸収剤(F)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0251】
紫外線吸収剤(F)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~5質量%が好ましい。
【0252】
[塩基性を有する顔料誘導体(G)]
本発明の赤色感光性組成物は、保存安定性の観点から、塩基性を有する顔料誘導体(G)を含むことが好ましい。塩基性を有する顔料誘導体(G)は、主に色材(A)の分散性向上を目的に使用される。これにより、色材(A)を安定的に分散できる。なお、塩基性を有する顔料誘導体(G)のこのような用途は一例であって、それ以外の目的で使用することもできる。
【0253】
塩基性を有する顔料誘導体(G)は、特に制限はなく、公知の化合物を使用できる。例えば、顔料構造を有する化合物の一部が、塩基性基で置換された構造を有する化合物が挙げられる。
【0254】
顔料構造を有する化合物は、例えば、ジケトピロロピロール化合物、フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チアジンインジゴ化合物、トリアジン化合物、ベンズイミダゾロン化合物、ベンゾイソインドール化合物、イソインドリン化合物、イソインドリノン化合物、キノフタロン化合物、ナフトール化合物、スクアリリウム化合物、スレン化合物、ナフタロシアニン化合物、アゾメチン化合物、ピロロピロール化合物、アゾ化合物、チオインジゴ化合物等が挙げられる。これらの中でも、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、ベンゾイソインドール化合物、イソインドリン化合物、キノフタロン化合物が好ましく、ベンゾイソインドール化合物、キノフタロン化合物がより好ましい。
【0255】
塩基性基は、例えば、アミノ基、ピリジニル基及びその塩、アンモニウム基の塩等が挙げられる。塩を形成する化合物は、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン等が挙げられる。
【0256】
塩基性を有する顔料誘導体(G)の添加タイミングは、色材(A)の微細化時、又は色材(A)の分散処理時が好ましい。塩基性を有する顔料誘導体(G)の平均一次粒子径は、5~200nmが好ましい。
【0257】
塩基性を有する顔料誘導体(G)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0258】
塩基性を有する顔料誘導体(G)の含有量は、色材(A)100質量部に対して、1~50質量部が好ましく、2~40質量部がより好ましい。
【0259】
塩基性を有する顔料誘導体(G)は、下記一般式(13)で表される化合物、又は下記一般式(14)で表される化合物が好ましく、これらを併用することがより好ましい。
【0260】
【0261】
一般式(13)中、R1は、下記一般式(15)で表される基を表す。
【0262】
一般式(13)中、R2は、水素原子、又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0263】
一般式(13)中、R3は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、-NR4R5(R4及びR5は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~3のアルキル基)で表される基を表す。
【0264】
【0265】
一般式(15)中、Xは、単結合、-SO2-、-CO-、-CH2-、-CH2NHCOCH2-、-CONHC6H4CO-、又は-CONHC6H4-を表す。
【0266】
一般式(15)中、R6及びR7は、それぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、又はR6及びR7で複素環を形成した基を表す。
炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組合せのアルキル基のいずれであってもよく、また、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換されたアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、アミル基、イソアミル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
炭素数6~30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。アリール基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基等で置換された基であってもよい。
【0267】
一般式(15)中、nは、0~20の整数を表す。
【0268】
【0269】
一般式(14)中、R8は、一般式(16)で表される基を表す。
【0270】
一般式(14)中、R9~R12は、それぞれ独立して水素原子、又はハロゲン原子を表す。
【0271】
【0272】
一般式(16)中、Y1は、単結合、-NR14SO2-、-SO2NR14-、-CONR14-、-NR14CO-、又は-CH2NR14COCH2NR14-を表す。
R14は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基を表す。
【0273】
一般式(16)中、Y2は、単結合、アリーレン基、又は芳香環を表し、これらは、-NR14-、-O-、-SO2-、又は-CO-から選ばれる2価の連結基で相互に結合されてもよい。
【0274】
一般式(16)中、Y3は、単結合、-NR14-、又は-O-を表す。
【0275】
一般式(16)中、R13は、一般式(15)で表される基を表す。
【0276】
以下、一般式(13)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0277】
【0278】
以下、一般式(14)で表される化合物の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0279】
【0280】
一般式(13)で表される化合物と一般式(14)で表される化合物を併用する場合、一般式(13)で表される化合物と一般式(14)で表される化合物の質量比は、95:5~5:95が好ましく、95:5~50:50がより好ましい。
【0281】
一般式(13)で表される化合物、一般式(14)で表される化合物の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法を使用できる。例えば、特開2006-291194号公報、特開2008-069343号公報に記載の方法が挙げられる。
【0282】
[チオール系連鎖移動剤(H)]
本発明の赤色感光性組成物は、チオール系連鎖移動剤(H)を含有できる。
【0283】
チオール系連鎖移動剤(H)は、例えば、チオフェノール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-ベンゾイミダゾール、ブタンチオール、オクタンチオール、1-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル等の単官能チオール化合物;
2-メルカプトエタノール、1-チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプト安息香酸、3-メルカプト安息香酸、4-メルカプトニコチン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプトブタン酸、チオグリコール酸オクチル、メルカプトこはく酸、11-メルカプトウンデカン酸、2-メルカプトエタンスルホン酸等の水酸基又は酸性基を有する単官能チオール化合物;
ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシア、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等の多官能チオール化合物が挙げられる。
【0284】
チオール系連鎖移動剤(H)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0285】
チオール系連鎖移動剤(H)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~10質量%が好ましい。
【0286】
[シランカップリング剤(I)]
本発明の赤色感光性組成物は、シランカップリング剤(I)を含有できる。
【0287】
シランカップリング剤(I)は、加水分解性基及びそれ以外の官能基を有する化合物である。前記加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかの反応によってシロキサン結合を生じる基である。前記加水分解性基は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、反応性の観点から、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
また、前記それ以外の官能基は、例えば、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基、オキセタニル基、スチリル基、ウレイド基等が挙げられる。
なお、本明細書では、シランカップリング剤(I)は、酸性基を有する樹脂(B)、重合性化合物(C)には含まれない。
【0288】
シランカップリング剤(I)は、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0289】
シランカップリング剤(I)の市販品は、例えば、信越シリコーン社製のKBM-302、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-4803、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-6803、KBM-1003、KBE-1003、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5803、X-12-1048、X-12-1050、KBE-9007N、KBM-9659、KBM-802、KBM-803、KBM-1043、KBE-585A、X-12-1048、X-12-50等が挙げられる。
【0290】
また、シランカップリング剤(I)は、ポリマータイプであってもよい。ポリマータイプは、ポリシロキサンタイプ、有機ポリマータイプが挙げられる。
【0291】
ポリシロキサンタイプは、主鎖にポリシロキサン骨格を有するポリマーに、前記加水分解性基及び前記それ以外の官能基が結合する化合物である。ポリシロキサンタイプの市販品は、信越シリコーン社製のKR-513、KR-516、KR-517、X-41-1805、X-41-1810等が挙げられる。
【0292】
有機ポリマータイプは、主鎖が有機構造である有機ポリマーに、前記加水分解性基及び前記それ以外の官能基が結合したシランカップリング剤(I)である。有機ポリマータイプの市販品は、信越シリコーン社製のX-12-9815、X-12-9845、X-12-1154、X-12-972F、X-12-1159L等が挙げられる。
【0293】
シランカップリング剤(I)は、下記一般式(17)で表される化合物を含むことが好ましい。一般式(17)で表される化合物は、ウレタン結合を有するため、ウレタン結合間や感光性組成物に含まれる他の成分の官能基と水素結合を形成し、強固な膜となる。また、ウレタン結合は柔軟性を有するため、強固でありながらも柔軟性を有する膜となると推測する。
【0294】
【0295】
一般式(17)中、3つのR1は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、R2は、炭素数1~8のアルキレン基を表し、Qは、下記一般式(Q-1)~(Q-4)のいずれかで表される基であり、nは、1~10の整数を表す。
【0296】
【0297】
一般式(Q-1)中、R3は、炭素数1~8のアルキレン基を表す。一般式(Q-1)~(Q-4)中、R4は、それぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表す。*は、酸素原子との結合手である。
【0298】
一般式(17)中、3つのR1は、メチル基が好ましい。
【0299】
一般式(17)中、Qは、一般式(Q-1)~(Q-3)が好ましい。
【0300】
シランカップリング剤(I)の分子量(式量)、又は重量平均分子量は、100~3,000が好ましく、150~1,500がより好ましい。
【0301】
シランカップリング剤(I)の酸価は、10mgKOH/g以下が好ましい。
【0302】
シランカップリング剤(I)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0303】
シランカップリング剤(I)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~10質量%が好ましい。
【0304】
[レベリング剤(J)]
本発明の赤色感光性組成物は、レベリング剤(J)を含有できる。これにより、塗工時の基板に対する濡れ性及び乾燥性が向上する。
【0305】
レベリング剤(J)は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0306】
シリコーン系界面活性剤は、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーや、側鎖にシロキサン構造を有するポリマー等が挙げられる。
【0307】
市販品は、例えば、ビックケミー社製のBYK-300,306,310,313,315N,320,322,323,330,331,333,342,345,346,347,348,349,370,377,378,3455,UV3510,3570、東レ・ダウコーニング社製のFZ-7002,2110,2122,2123,2191,5609、信越シリコーン社製のX-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
また、国際公開2019/078080号、国際公開2021/131726号、国際公開2022/050062号、国際公開2022/059492号、国際公開2022/130990号、国際公開2022/244586号に記載の重合体が挙げられる。
【0308】
フッ素系界面活性剤は、例えば、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレベリング剤が挙げられる。
【0309】
市販品は、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-242,243,420,611,651,386、DIC社製のメガファックF-253,477,551,552,555,558,560,570,575,576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製のFC-4430,4432、三菱マテリアル電子化成社製のEF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェントの602A等が挙げられる。
【0310】
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロ-ルモノステアレート、グリセロ-ルモノオレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0311】
市販品は、例えば、花王社製のエマルゲン103,104P,106,108,109P,120,123P,130K,147,150,210P,220,306P,320P,350,404,408,409PV,420,430,705,707,709,1108,1118S-70,1135S-70,1150S-60,2020G-HA,2025G,LS-106,LS-110,LS-114,MS-110,A-60,A-90,B-66,PP-290、ラテムルPD-420,PD-430,PD-430S,PD-450、レオドールSP-L10,SP-P10,SP-S10V,SP-S20,SP-S30V,SP-O10V,SP-O30V、スーパーSP-L10,AS-10V,AO-10V,AO-15V,TW-L120,TW-L106,TW-P120,TW-S120V,TW-S320V,TW-O120V,TW-O106V,TW-IS399C、スーパーTW-L120,430V,440V,460V,MS-50,MS-60,MO-60,MS-165V、エマノーン1112,3199V,3299V,3299RV,4110,CH-25,CH-40,CH-60(K),アミ-ト102,105,105A,302,320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製のアデカプルロニック(登録商標)L-23,31,44,61,62,64,71,72,101,121、TR-701,702,704,913R、共栄社化学社製の(メタ)アクリル酸共重合体ポリフロ-No.75,No.90,No.95等が挙げられる。
【0312】
カチオン性界面活性剤は、例えばアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0313】
市販品は、例えば、花王社製のアセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0314】
アニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0315】
市販品は、例えば、ネオス社製のフタージェント100,150、ADEKA社製のアデカホープYES-25、アデカコールTS-230E,PS-440E,EC-8600等が挙げられる。
【0316】
両性界面活性剤は、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0317】
市販品は、花王社製のアンヒトール20AB,20BS,24B,55AB,86B,20Y-B,20N等が挙げられる。
【0318】
レベリング剤(J)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0319】
レベリング剤(J)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましい。
[有機溶剤(K)]
本発明の赤色感光性組成物は、有機溶剤(K)を含有できる。
【0320】
有機溶剤(K)は、特に限定されるものではなく、公知の化合物を使用できる。例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、乳酸エチル、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1-ブタノール、2-ブタノール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、トルエン、o-クロロトルエン、ベンゼン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ-ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0321】
有機溶剤(K)は、保存安定性の観点から、水酸基を有する有機溶剤を含むことが好ましい。具体的には、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダイアセトンアルコール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-メチル-1-ブタノール、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、3-メトキシ-1-ブタノール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、2-ブタノール、フルフリルアルコール、1-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
水酸基を有する有機溶剤の含有量は、保存安定性の観点から、有機溶剤(K)100質量%中、0.1~20質量%が好ましい。
【0322】
有機溶剤(K)は、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0323】
有機溶剤(K)の含有量は、赤色感光性組成物の不揮発分が5~60質量%となる量が好ましい。
【0324】
[その他成分(L)]
本発明の赤色感光性組成物は、上記以外の成分(以下、その他成分(L)ともいう)を含有できる。その他成分(L)は、例えば、酸性基を有しない樹脂(例えば、塩基性基を有する樹脂など)、塩基性基を有しない顔料誘導体(例えば、酸性基を有する顔料誘導体など)、重合禁止剤、酸化防止剤、増感剤、酸発生剤、塩発生剤、硬化促進剤、硬化触媒、近赤外線吸収剤、半導体ナノ結晶、半導体材料、有機エレクトロルミネッセンス材料、絶縁性材料等が挙げられる。その他成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜設定することができる。
【0325】
[特定金属元素の含有量]
本発明の赤色感光性組成物は、赤色感光性組成物に含まれるLi、Na、K、Mg、Ca、Fe、及びCr(以下、特定金属元素ともいう)の合計含有量が、500質量ppm以下であることが好ましい。
【0326】
特定金属元素の合計量が、上記範囲内の赤色感光性組成物は、経時保存後でも分散安定性・感度に優れる。特定金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)で測定できる。
【0327】
[水の含有量]
本発明の赤色感光性組成物は、赤色感光性組成物に含まれる水の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。
【0328】
水の含有量が、上記範囲内の赤色感光性組成物は、経時保存後でも分散安定性・感度に優れる。水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法で測定できる。
【0329】
[赤色感光性組成物の製造方法]
本発明の赤色感光性組成物は、上述の各成分を混合して調整できる。調整に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を重合性化合物(C)や有機溶剤(K)に溶解や分散した後に逐次配合してもよい。
例えば、色材(A)、酸性基を有する樹脂(B)、及び有機溶剤(K)等を加えて分散処理を行うことで、分散体を製造する。その後、前記分散体に、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)等を配合・混合することで製造できる。なお、各材料を配合するタイミングは、任意である。また、分散工程を複数回行うこともできる。
【0330】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0331】
分散体中の粒子の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い赤色感光性組成物が得やすい。
【0332】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調整直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0333】
赤色感光性組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の赤色感光性組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0334】
本発明の赤色感光性組成物は、フォトリソグラフィー法でのパターン形成用として使用することが好ましい。なお、本発明はこれに限定されない。
【0335】
<膜>
本発明の膜は、上述した赤色感光性組成物から形成されてなる膜である。膜はパターンを形成した膜が好ましいが、パターン形成せずに平坦膜としても使用できる。
【0336】
[膜の製造方法]
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。本発明で膜の作製は、環境の観点から、全工程を通じて加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。また、加熱を150℃以下で行うことにより、画像表示装置の発光光源として有機EL素子を用いた場合や、イメージセンサの光電変換膜が有機素材の場合、プラスチックフィルム等の熱に弱い基材を用いた場合等に、これらの性能も維持することができる。なお、加熱温度は、50℃以上が好ましい。
【0337】
膜の製造は、まず、赤色感光性組成物を基材上に塗工する。基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等の基板が挙げられる。ガラスは、無色透明が好ましい。なお、用途によりブルーガラスのような着色ガラスを用いてもよい。基材は、有機発光層を有してもよい。また、基材は、CCD、CMOS等の撮像素子を有してもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0338】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0339】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0340】
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。これらの中でも、フォトリソグラフィー法が好ましい。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥や全面を露光する。
【0341】
以下、フォトリソグラフィー法でパターンを形成する方法について詳細に説明する。
フォトリソグラフィー法は、基板上に本発明の赤色感光性組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて150℃以下の温度で乾燥した後、マスクを介してパターン状に露光(露光工程)し、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、パターンを加熱処理(加熱工程)する。
【0342】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光は、例えば、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)等が挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
また、複数の活性エネルギー線の併用や複数回に分けて露光することもできる。
【0343】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像液で処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ現像液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0344】
〔加熱工程〕
現像後、加熱処理を行う。加熱により、膜の耐性が向上する。
加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。加熱時間は、2分間~2時間程度が好ましい。
【0345】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、上記膜を有する。本発明のカラーフィルタの製造は、上述の膜と同様の方法で製造できる。
【0346】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上記カラーフィルタを有する。
固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能すれば特に制限されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0347】
基材上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明のカラーフィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、光学フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(携帯電話、スマートフォン等)、車載カメラ、監視カメラ等様々な用途に使用できる。
【0348】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上記カラーフィルタを有する。画像表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が挙げられる。
画像表示装置に用いる形態は、画像表示装置として機能すればよく、特に制限されない。例えば、以下のような液晶ディスプレイの構成が挙げられる。
【0349】
液晶ディスプレイは、カラーフィルタと、TFTアレイ基板等を有する対向基板と、カラーフィルタと対向基板との間に形成された液晶層を備えている。液晶ディスプレイの駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等が挙げられる。対向基板は、駆動方式に応じて適宜選択して用いることができる。液晶層は、駆動方式に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0350】
具体的には、「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男著、(株)工業調査会、1994年発行)、「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」等に記載されている。
【実施例0351】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明において、不揮発分もしくは不揮発分濃度は、110℃のオーブンで3時間静置後の質量残分をいう。
【0352】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0353】
樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、酸価(mgKOH/g)、吸光係数(L/mol・cm)の測定は、以下の通りである。
【0354】
(分子量) 数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量は、ポリスチレン換算値である。
【0355】
(酸価)
サンプル溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、溶液の酸価と溶液の不揮発分濃度から、不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0356】
(吸光係数)
重合開始剤0.001gを0.01Lのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、0.1質量%の測定溶液を作製した。さらに、得られた0.1質量%の測定溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、0.01質量%、0.001質量%の測定溶液を作製した。分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U-3010」)を用いて、各濃度の測定溶液の波長365nmにおける吸光度を測定し、横軸をモル濃度、縦軸を吸光度としたときの傾きから、吸光係数(L/mol・cm)を算出した。
【0357】
<色材(A)の製造>
(紫色色材(A4-1))
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート34.0部、n-ブチルメタクリレート28.0部、2-エチルヘキシルメタクリレート28.0部、ジメチルアミノエチルメタクリレート10.0部、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)6.5部、およびメチルエチルケトン25.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、不揮発分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量が、6,830であることを確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、2時間反応させ樹脂1を得た。
次に、水2,000部に不揮発分換算で30部の樹脂1を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に、キサンテン骨格を有する化合物であるC.I.アシッドレッド52を10部溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂1溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分間攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたと判断した。攪拌しながら室温まで冷却した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、キサンテン骨格を有する化合物であるC.I.アシッドレッド52と樹脂1との造塩化合物である紫色色材(A4-1)を得た。このとき紫色色材(A4-1)中のC.I.アシッドレッド52に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0358】
(紫色色材(A4-2))
C.I.アシッドレッド52をC.I.アシッドレッド289に変えた以外は、紫色色材(A4-1)と同様にして、紫色色材(A4-2)を製造した。このとき紫色色材(A4-2)中のC.I.アシッドレッド289に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0359】
(紫色色材(A4-3))
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート18.2部、n-ブチルメタクリレート14.8部、2-エチルヘキシルメタクリレート14.8部、メタクリル酸10.0部、3-エチル-3-メタクリロキシメチルオキセタン15.0部、及びtert-ブチルメタクリレート15.0部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.1部、塩化第一銅1.9部、プロピレングリコールモノメチルエーテル62.3部を仕込み、窒素気流下で、100℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。次に、この反応装置に、プロピレングリコールモノメチルエーテル8.1部、第二ブロックモノマーとしてメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩12.2部を投入し、100℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し50℃へ冷却後、メタノールを加え樹脂2を得た。重量平均分子量は、7,700であった。
次に、水2,000部に不揮発分換算で30部の樹脂2を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱した。一方、90部の水に10部の下記化学式(18)で表される化合物を溶解させた水溶液を調製し、先ほどの樹脂2溶液に少しずつ滴下した。滴下後、60℃で120分間攪拌し、十分に反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。攪拌しながら室温まで冷却した後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、32部の化学式(18)で表される化合物と樹脂2との造塩化合物である紫色色材(A4-3)を得た。このとき紫色色材(A4-3)中の化学式(18)で表される化合物に由来する成分の含有量は25質量%であった。
【0360】
【0361】
(紫色色材(A4-4))
特開2015-57487号公報の段落0102~0104に従って、以下の紫色色材(A4-4)を合成した。繰り返し単位に併記される数値は質量比である。
【0362】
【0363】
<酸性基を有する樹脂(B)の製造>
(芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-1)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1-チオグリセロール108部、ピロメリット酸無水物174部、PGMAc650部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物を不揮発分換算で160部、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート200部、エチルアクリレート200部、tert-ブチルアクリレート150部、2-メトキシエチルアクリレート200部、メチルアクリレート200部、メタクリル酸50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)663部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。最後に、第二工程で得られた化合物の50%PGMAc溶液を500部、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)27.0部、ヒドロキノン0.1部を仕込み、IRにてイソシアネート基に基づく2,270cm-1のピークの消失を確認するまで反応を行った(第三工程)。冷却後、不揮発分が30質量%となるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-1)溶液を調製した。ピロメリット酸二無水物/3-メルカプト-1,2-プロパンジオール=0.8(モル比)、酸価68mgKOH/g、重量平均分子量13,000であった。
【0364】
(芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-2)溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、tert-ブチルアクリレート20.0部、メチルメタクリレート45.0部、エチルアクリレート30.0部、メタクリル酸5.0部、PGMAc25.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6.0部を添加した。90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc45.7部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
次に、ピロメリット酸二無水物14.5部、PGMAc38.0部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.2部を追加し、120℃で5時間反応させた。その後、3-メトキシブタノール12.1gを追加し、120℃で3時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。冷却後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-2)溶液を調製した。ピロメリット酸二無水物/3-メルカプト-1,2-プロパンジオール=1.2(モル比)、酸価105mgKOH/g、重量平均分子量9,500であった。
【0365】
(芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-3)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、PGMAc50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をPGMAc90部に加えた溶液を添加しながら10時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、PGMAc50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。冷却後、不揮発分が30質量%となるようPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-3)溶液を調製した。ピロメリット酸二無水物/3-メルカプト-1,2-プロパンジオール=0.78(モル比)、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8,500であった。
【0366】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-1)溶液)
国際公開第2016/103994号に従って、不揮発分が30質量%となるようにPGMAcを添加した以下の共重合体である芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-1)溶液を調製した。酸価51.7mgKOH/g、重量平均分子量13,000であった。主鎖の繰り返し単位に併記される数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し部位の繰り返し数である。
【0367】
【0368】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-2)溶液)
国際公開第2016/103994号に従って、不揮発分が30質量%となるようにPGMAcを添加した以下の共重合体である芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-2)溶液を調製した。酸価58.2mgKOH/g、重量平均分子量10,000であった。主鎖の繰り返し単位に併記される数値はモル比であり、側鎖の繰り返し単位に併記される数値は、繰り返し部位の繰り返し数である。
【0369】
【0370】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-3)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のプロピレングリコールモノメチルエーテルを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、カレンズMOI-DEM(昭和電工社製のマロン酸-2-[[[[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3-ジエチルエステル)25.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート31.2部、ジシクロペンタニルメタクリレート37.5部、メタクリル酸20.7部、及びメチルメタクリレート27.0部の混合物と、12.0部の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を50部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-3)溶液を調整した。酸価74mgKOH/g、重量平均分子量8,000であった。
【0371】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-4)溶液)
撹拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却器を備えた4つ口フラスコにリンゴ酸ジエチル190.2部、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール0.17部、ジラウリン酸ジブチル錫0.33部を加え撹拌し、15~20℃に冷却した。その後、温度を15~20℃に維持し、撹拌しながら2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート141.1部を滴下ロートから滴下した。滴下終了後、25℃で13時間撹拌し反応させ、化合物aを得た。
次に、攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、150部のプロピレングリコールモノメチルエーテルを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。化合物a148.8部、カレンズMOI-BP(昭和電工社製の2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート)24.7部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート25.5部、2-エチルヘキシルアクリレート8.6部と、17.4部の2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を混合し、滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌し反応させた後、0.2部の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7を投入し、更に78℃で30分間撹拌した。
次に、無水コハク酸9.9部、ナフテン酸リチウム(触媒)0.5部を投入し、78℃で1時間撹拌した。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-4)溶液を調整した。酸価44mgKOH/g、重量平均分子量12,500であった。
【0372】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-5)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のプロピレングリコールモノメチルエーテルを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート20.7部、メタクリル酸26.7部、ジシクロペンタニルメタクリレート52.6部の混合物と、5.0部の2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルを30部のPGMAcに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、90℃で6時間攪拌し反応させた。
その後、40℃まで冷却し、4-メトキシフェノール0.12部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート17.6部、トリフェニルホスフィン4.7部を投入し、110℃まで昇温させ、10時間撹拌し反応させた.
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-5)溶液を調整した。酸価103mgKOH/g、重量平均分子量14,300であった。
【0373】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-6)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、200部の3-メトキシ-1-ブタノールを加えた後、窒素置換しながら撹拌し、105℃まで昇温した。次に、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン106.9部、メタクリル酸40.8部、及びメチルメタクリレート125部の混合物と、27.3部の2,2'-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルを加えたものを、滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、105℃で撹拌しながら2時間反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを加え、芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-6)溶液を調整した。酸価99mgKOH/g、重量平均分子量7,100であった。
【0374】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-7)溶液)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、100部のプロピレングリコールモノメチルエーテルを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、90℃に昇温した。次に、tert-ブチルメタクリレート35部、2-(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート5部、N-ベンジルマレイミド10部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メタクリル酸17.1部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(重合開始剤)2部の混合物と、0.6部のn-ドデシルメルカプタンを20部のPGMAcに混合したものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、30分間90℃を保持した後、115℃まで昇温し、90分間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-7)溶液を調整した。酸価98mgKOH/g、重量平均分子量19,500であった。
【0375】
(芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-8)溶液)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル200部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりグリシジルメタクリレート56.86部、ジシクロペンタニルメタクリレート66.09部、及びスチレン31.25部の混合物と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル5.0部のPGMAcに溶解させたものを2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。 滴下終了後、120℃で更に2時間撹拌し反応させた。次に、フラスコ内を空気置換し、アクリル酸28.82部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間撹拌し反応させた。
更に、無水コハク酸32.0部、トリエチルアミン0.5部を投入し、120℃で4時間攪拌し反応させた。
その後、不揮発分が30質量%になるようにPGMAcを添加して、芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-8)溶液を調製した。なお、樹脂は、酸価77mgKOH/g、重量平均分子量10,000であった。
【0376】
<分散体の製造>
(分散体1)
下記の原料を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した後、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、分散体1を作製した。不揮発分は21.0質量%であった。
赤色色材(A1-1) :15.0部
芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1-1)溶液 :15.0部
塩基性基を有する顔料誘導体(G-1) : 1.5部
有機溶剤(K-1) :68.5部
【0377】
(分散体2~18)
表1-1、及び表1-2に記載した原料、量を変えた以外は、分散体1と同様にして分散体2~18を作製した。
【0378】
【0379】
【0380】
表1-1、及び表1-2に記載したそれぞれの成分は、以下の通りである。
【0381】
[色材(A)]
(赤色色材(A1))
A1-1:C.I.ピグメントレッド264
A1-2:C.I.ピグメントレッド179
A1-3:C.I.ピグメントレッド177
【0382】
(黄色色材(A2))
A2-1:C.I.ピグメントイエロー139
A2-2:C.I.ピグメントイエロー185
【0383】
(青色色材(A3))
A3-1:C.I.ピグメントブルー15:6
【0384】
赤色色材(A1)、黄色色材(A2)、及び青色色材(A3)は、いずれもソルトミリング処理による微細化を行い、上述した特定金属量となるように十分にイオン交換水で洗浄後、乾燥した上で使用した。
【0385】
【0386】
[有機溶剤(K)]
K-1:PGMAc
【0387】
[その他成分(L)]
L-1:LP-N21116(ビックケミー社製、塩基性基を有する樹脂)
L-2:下記構造を有する化合物(酸性基を有する顔料誘導体)
【0388】
【0389】
<赤色感光性組成物の製造>
[実施例1]
(赤色感光性組成物1)
以下の原料を混合、攪拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過して赤色感光性組成物1を得た。不揮発分は、15.0質量%であった。なお、表2-1では、分散体1及び2は構成成分に分解して記載し、分散体の有機溶剤(K-1)は有機溶剤(K)に含めて記載した。
分散体1 :22.50部
分散体8 : 2.50部
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-3)溶液 : 6.30部
芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2-8)溶液 : 6.30部
アミン構造を有する重合性化合物(C1-1) : 0.75部
水酸基を有する重合性化合物(C2-1) : 2.20部
デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3-1) : 0.50部
重合開始剤(D1-1) : 0.10部
重合開始剤(D1-3) : 0.10部
エポキシ基を有する化合物(E1-1) : 0.45部
ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2-1) : 1.75部
紫外線吸収剤(F-1) : 0.30部
チオール系連鎖移動剤(H) : 0.20部
シランカップリング剤(I) : 0.30部
レベリング剤(J) : 0.02部
有機溶剤(K) :55.73部
【0390】
[実施例2~43、及び比較例1]
(赤色感光性組成物2~44)
表2-1~表2~5に記載した原料、量になるように実施例1と同様にして赤色感光性組成物2~44を製造した。なお、表2-1~表2~5では、分散体1~18は構成成分に分解して記載し、分散体の有機溶剤(K-1)は有機溶剤(K)に含めて記載した。
【0391】
【0392】
【0393】
【0394】
【0395】
【0396】
表2-1~表2-5に記載したそれぞれの原料については、以下の通りである。
【0397】
[重合性化合物(C)]
(アミン構造を有する重合性化合物(C1))
C1-1:CN9906(アルケマ社製、アミン構造を有する多官能アクリレート)
C1-2:アロニックスMT-3041(東亞合成社製、アミン構造を有する多官能アクリレート)
【0398】
(水酸基を有する重合性化合物(C2))
C2-1:アロニックスM-306(東亞合成社製、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物)
C2-2:アロニックスM-402(東亞合成社製、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物)
【0399】
(デンドリマー構造又はハイパーブランチ構造を有する重合性化合物(C3))
C3-1:Miramer SP-1106(Miwon Specialty Chemical社製、平均アクリロイル基数18のデンドリマー構造を有する化合物)
C3-2:SIRIUS-501(大阪有機化学工業社製、平均アクリロイル基数18のデンドリマー構造を有する化合物、不揮発分50質量%)
【0400】
(その他重合性化合物(C7))
C7-1:KAYARAD DPEA-12(日本化薬社製、ジペンタエリスリトールEO変性ヘキサアクリレート)
【0401】
[重合開始剤(D)]
(重合開始剤(D1))
D1-1:上述の化合物(D1-1)(波長365nmの光の吸光係数が18,334L/mol・cm)
D1-2:上述の化合物(D1-2)(波長365nmの光の吸光係数が27,257L/mol・cm)
D1-3:上述の化合物(D1-3)(波長365nmの光の吸光係数が13,410L/mol・cm)
D1-4:上述の化合物(D1-4)(波長365nmの光の吸光係数が14,214L/mol・cm)
D1-5:上述の化合物(D1-5)(波長365nmの光の吸光係数が18,767L/mol・cm)
D1-6:上述の化合物(D1-6)(波長365nmの光の吸光係数が7,051L/mol・cm)
【0402】
(重合開始剤(D1)以外の重合開始剤(D2))
D2-1:イルガキュアOXE-02(波長365nmの光の吸光係数が2,401L/mol・cm)
【0403】
[熱架橋性化合物(E)]
(エポキシ基を有する化合物(E1))
E1-1:EHPE-3150(ダイセル社製、一般式(12)で表される化合物、エポキシ基数が平均15個、エポキシ当量が170~190g/eq)
【0404】
(ブロックイソシアネート基を有する化合物(E2))
E2-1:デュラネートMF-K60B(旭化成社製、活性メチレン化合物でブロックされた化合物、不揮発分60質量%)
【0405】
[紫外線吸収剤(F)]
F-1:4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンの質量比5:5の混合物
F-2:下記構造を有する化合物
【0406】
【0407】
[チオール系連鎖移動(H)]
メルカプトこはく酸とペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)の質量比5:5の混合物
【0408】
[シランカップリング剤(I)]
X-12-1048(信越シリコーン社製、一般式(17)で表される化合物)
【0409】
[レベリング剤(J)]
BYK-330(ビックケミー社製、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン)と下記構造を有するブロック共重合体(n:m=50:50(モル%))の質量比8:2の混合物
【0410】
【0411】
[有機溶剤(K)]
K-1:PGMAc
K-2:シクロヘキサノン
K-3:3-エトキシプロピオン酸エチル
以上、K-1、K-2、及びK-3を質量比8:1:1で混合し、有機溶剤(K)とした。
【0412】
<赤色感光性組成物の評価>
得られた赤色感光性組成物1~44について、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0413】
[保存安定性評価(1):異物]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、照度30mW/cm2、100mJ/cm2で露光し硬化膜を作製した。
作製した硬化膜上の異物の数を計測し、得られた赤色感光性組成物全てで10個未満であった。これを初期の異物の数とした。計測は、金属顕微鏡「BX60」(オリンパスシステム社製)を用いて、倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な異物の数を積算で計測した。
赤色感光性組成物を密閉した容器に入れ40℃10日保管し、初期の評価と同じ条件で保存後の異物の数を計測し、以下の基準で評価した。3以上が実用可能である。
5:保存後の異物の数が、初期の異物の数の110%未満
4:保存後の異物の数が、初期の異物の数の110%以上、120%未満の範囲
3:保存後の異物の数が、初期の異物の数の120%以上、140%未満の範囲
2:保存後の異物の数が、初期の異物の数の140%以上、150%未満の範囲
1:保存後の異物の数が、初期の異物の数の150%以上
【0414】
[保存安定性評価(2):膜厚]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、100mJ/cm2で露光した。この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、90℃60分間加熱後、パターンの膜厚を測定した。この膜厚を初期の膜厚とした。
赤色感光性組成物を密閉した容器に入れ40℃10日保管し、初期の膜厚と同じ条件で保管後の膜厚を測定し、この膜厚を保管後の膜厚とする。
2つの膜厚から下記式により膜厚変化率を算出した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。なお、膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて、任意の10箇所を測定した平均値である。
式:変化率(%)=|保管後の膜厚-初期の膜厚|/初期の膜厚×100
5:変化率が、3%未満
4:変化率が、3%以上、6%未満の範囲
3:変化率が、6%以上、10%未満の範囲
2:変化率が、10%以上、15%未満の範囲
1:変化率が、15%以上
【0415】
[現像性評価]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、100mJ/cm2で露光した。この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄、風乾した。光学顕微鏡で観察し、未露光部の残渣の有無を確認した。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能とする。
5:パターン形成可能な最短時間の現像で、未露光部分に残渣がなかった。
4:パターン形成可能な最短時間より5秒長い現像で未露光部分に残渣がなかった。
3:パターン形成可能な最短時間より10秒長い現像で未露光部分に残渣がなかった。
2:パターン形成可能な最短時間より15秒長い現像で未露光部分に残渣がなかった。
1:パターン形成可能な最短時間より20秒長い現像でも未露光部分に残渣があった。
【0416】
[パターン形成性評価(1):線幅]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、照度30mW/cm2、露光量50mJ/cm2及び100mJ/cm2の2水準で、100μm幅ストライプパターンのフォトマスクを介して露光した。この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%とを含む水系現像液を用いて、スプレー現像し、イオン交換水で洗浄、風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、90℃60分間加熱し評価用基板を得た。スプレー現像は、それぞれの赤色感光性組成物について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。
得られた評価用基板を、Nikon社製ECLIPSE LV100POL Model光学顕微鏡を用いて、露光量50mJ/cm2の線幅(CD50)及び100mJ/cm2の線幅(CD100)を測定し、下記式(1)より露光量の違いによる線幅の差(ΔCD)を求めた。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能とする。
式(1):ΔCD=CD100-CD50
5:ΔCDが、2μm未満
4:ΔCDが、2μm以上、3μm未満
3:ΔCDが、3μm以上、5μm未満
2:ΔCDが、5μm以上、6μm未満
1:ΔCDが、6μm以上
【0417】
[パターン形成性評価(2):直線性]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、100mJ/cm2で露光した。この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、90℃60分間加熱し評価基板を得た。スプレー現像は、それぞれの赤色感光性組成物について、現像残りなくパターン形成可能な最短時間で行った。
得られた基板を、Nikon社製ECLIPSE LV100POL Model光学顕微鏡を用いて、10箇所のストライプパターンの線幅の最大と最小部分を測定しその平均を求めることで評価を行った。評価基準は、以下の通りであり、3以上が実用可能である。
5:線幅の最大値と最小値の差が0.5μm未満
4:線幅の最大値と最小値の差が0.5μm以上、1.0μm未満
3:線幅の最大値と最小値の差が1.0μm以上、1.5μm未満
2:線幅の最大値と最小値の差が1.5μm以上、2.0μm未満
1:線幅の最大値と最小値の差が2.0μm以上
【0418】
[高温高湿耐性評価]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、照度30mW/cm2、100mJ/cm2で露光した。この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄して風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで、90℃60分間ポストベークし評価用基板を得た。
得られた基板を、温度85℃、湿度85%の条件下に200時間保管した。保管後、膜にカッターナイフで1mm四方の格子パターン(合計100マス)の切り傷を入れ、透明粘着テープ(ニチバン社製CT-24)を強く圧着させ、約180度方向に剥離した後、格子パターンの状態を観察し、剥がれた格子パターンの数を数えた。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:2個未満であった。
4:2個以上、5個未満であった。
3:5個以上、10個未満であった。
2:10個以上、15個未満であった。
1:15個以上であった。
【0419】
[耐溶剤性評価]
得られた赤色感光性組成物を、縦100mm×横100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製イーグル2000)に、スピンコーターを用いて乾燥後の膜厚が2.5μmとなるように塗工し、90℃2分間ホットプレートで乾燥した。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀灯を用い、100μm幅のストライプパターンのフォトマスクを介して照度30mW/cm2、100mJ/cm2で露光した。この基板を室温に冷却後、23℃の非イオン系界面活性剤0.12質量%と水酸化カリウム0.04質量%とを含む水系現像液を用いてスプレー現像し、イオン交換水で洗浄、風乾した。得られた基板をクリーンオーブンで90℃60分間加熱し評価用基板を得た。
得られた評価用基板を、室温で15分間PGMAcに浸漬後、イオン交換水で洗浄、風乾して、幅100μmのストライプパターン部分について光学顕微鏡を用いて観察した。評価基準は、以下の通りであり、3以上を実用可能とする。
5:外観、色に変化がない。
4:わずかにシワ等が発生するが、色に変化はない。
3:一部にシワ等が発生するが、色に変化はない。
2:全面にシワ等が発生し、少し退色する。
1:剥がれや退色が発生。
【0420】
前記酸性基を有する樹脂(B)が、芳香族カルボキシル基を有する樹脂(B1)、及び芳香族カルボキシル基を有しない樹脂(B2)を含む、請求項1に記載の赤色感光性組成物。
前記青色色材(A3)が、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントブルー16からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項8に記載の赤色感光性組成物。