(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001075
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】異常検知システムおよび異常検知方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/04 20060101AFI20241225BHJP
H03M 7/30 20060101ALI20241225BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20241225BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20241225BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20241225BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241225BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20241225BHJP
G01M 3/24 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
G01N29/04
H03M7/30 Z
G08C15/00 D
G08C17/00 Z
G08C15/06 J
H04Q9/00 311J
G01M99/00 Z
G01M3/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100440
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】一條 浩一
【テーマコード(参考)】
2F073
2G024
2G047
2G067
5J064
5K048
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA11
2F073AA28
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC08
2F073CD11
2F073DD07
2F073EF08
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG07
2G024AD03
2G024AD14
2G024AD18
2G024AD25
2G024AD33
2G024BA21
2G024BA27
2G024CA13
2G047AA05
2G047AB01
2G047AC09
2G047AC10
2G047BC07
2G047GF24
2G047GG09
2G067AA11
2G067BB26
2G067CC04
2G067DD13
2G067EE13
5J064BB13
5J064BC02
5J064BC18
5K048BA34
5K048DA02
5K048DB06
5K048EB10
5K048GB05
(57)【要約】
【課題】通信コストを削減可能な異常検知システムおよび異常検知方法を提供する。
【解決手段】帯域変換回路21は、超音波信号UWSを一定時間毎に区切りながら、一定時間をn個の時間帯に分割し、n個の時間帯に含まれるn個の分割後超音波信号を、それぞれ並行してn個の可聴信号に変換する。n個のエンコーダ22[1]-22[n]は、n個の可聴信号からn個のエンコーダ出力信号を生成し、n個の送信回路23[1]-23[n]は、n個のエンコーダ出力信号を送信する。受信側信号処理装置40は、n個のエンコーダ出力信号をそれぞれ受信するn個の受信回路43[1]-43[n]と、n個のエンコーダ出力信号からn個のデコーダ出力信号を生成するn個のデコーダ44[1]-44[n]と、n個のデコーダ出力信号を結合することで超音波信号を復元する結合回路45と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物から放出された超音波信号を検知する超音波センサと、
前記超音波センサに接続され、前記超音波センサによって検知された前記超音波信号を処理する第1の信号処理装置と、
前記第1の信号処理装置に通信ネットワークを介して接続される第2の信号処理装置と、
を有する異常検知システムであって、
前記第1の信号処理装置は、
nを2以上の整数として、前記超音波信号を一定時間毎に区切りながら、前記一定時間をn個の時間帯に分割し、前記n個の時間帯にそれぞれ含まれるn個の分割後超音波信号を、それぞれ並行して、可聴域の周波数帯を有するn個の可聴信号に変換する帯域変換回路と、
前記n個の可聴信号をそれぞれエンコードすることで、n個のエンコーダ出力信号を生成するn個のエンコーダと、
前記n個のエンコーダ出力信号をそれぞれ前記第2の信号処理装置へ送信するn個の送信回路と、
を備え、
前記第2の信号処理装置は、
前記n個のエンコーダ出力信号をそれぞれ受信するn個の受信回路と、
前記n個の受信回路で受信した前記n個のエンコーダ出力信号をそれぞれデコードすることで、n個のデコーダ出力信号を生成するn個のデコーダと、
前記n個のデコーダ出力信号を結合することで前記超音波信号を復元する結合回路と、
を備える、
異常検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の異常検知システムにおいて、
前記n個のエンコーダおよび前記n個の送信回路と、前記n個の受信回路および前記n個のデコーダは、Bluetooth規格に基づいて動作する回路である、
異常検知システム。
【請求項3】
請求項1に記載の異常検知システムにおいて、
さらに、前記結合回路で復元された前記超音波信号を解析することで、前記監視対象物で生じた異常を検知する解析装置を備える、
異常検知システム。
【請求項4】
請求項3に記載の異常検知システムにおいて、
前記解析装置は、互いに種類が異なる複数の前記監視対象物で生じた異常を、異常の発生元である前記監視対象物の種類を含めて検知する、
異常検知システム。
【請求項5】
請求項3に記載の異常検知システムにおいて、
前記監視対象物は、配管、搬送レール、モータの中の少なくとも一つを含む、
異常検知システム。
【請求項6】
請求項1に記載の異常検知システムにおいて、
前記帯域変換回路は、
前記超音波信号をディジタルデータであるセンシングデータに変換するアナログディジタル変換器と、
前記センシングデータが書き込まれ、書き込みクロックの周波数と読み出しクロックの周波数とを任意に設定可能なFIFOバッファと、
前記FIFOバッファに対する書き込みおよび読み出しを制御するシーケンサと、
を備える、
異常検知システム。
【請求項7】
請求項1に記載の異常検知システムにおいて、
前記結合回路は、
前記n個のデコーダ出力信号が書き込まれ、書き込みクロックの周波数と読み出しクロックの周波数とを任意に設定可能なFIFOバッファと、
前記FIFOバッファに対する書き込みおよび読み出しを制御するシーケンサと、
を備える、
異常検知システム。
【請求項8】
監視対象物から放出された超音波信号を検知する超音波センサを用いた異常検知方法であって、
nを2以上の整数として、前記超音波信号を一定時間毎に区切りながら、前記一定時間をn個の時間帯に分割し、前記n個の時間帯にそれぞれ含まれるn個の分割後超音波信号を、それぞれ並行して、可聴域の周波数帯を有するn個の可聴信号に変換し、
前記n個の可聴信号をそれぞれエンコードすることで、n個のエンコーダ出力信号を生成し、
前記n個のエンコーダ出力信号をそれぞれ送信し、
送信された前記n個のエンコーダ出力信号をそれぞれ受信し、
受信した前記n個のエンコーダ出力信号をそれぞれデコードすることで、n個のデコーダ出力信号を生成し、
前記n個のデコーダ出力信号を結合することで前記超音波信号を復元する、
異常検知方法。
【請求項9】
請求項8に記載の異常検知方法において、
さらに、復元された前記超音波信号を解析することで、前記監視対象物で生じた異常を検知する、
異常検知方法。
【請求項10】
請求項9に記載の異常検知方法において、
前記監視対象物で生じた異常を検知する際に、互いに種類が異なる複数の前記監視対象物で生じた異常を、異常の発生元である前記監視対象物の種類を含めて検知する、
異常検知方法。
【請求項11】
請求項9に記載の異常検知方法において、
前記監視対象物は、配管、搬送レール、モータの中の少なくとも一つを含む、
異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検知システムおよび異常検知方法に関し、例えば、超音波センサを用いた異常検知システムおよび異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサから情報を収集する際の通信量や処理コストの増大を抑制する通信装置が示される。当該通信装置は、センサ装置から測定データを取得し、測定データをフォーマット変換し、変換後の測定データを用いて異常の発生を検知し、異常の発生を検知した場合、ネットワークを介してユーザ装置に通知する。フォーマット変換では、0-200Hzといった振動データに対して、周波数分解や音声データへの変換等が行われる。また、当該通信装置は、測定データを圧縮してクラウドサーバ等へ送信する。
【0003】
特許文献2には、センサ装置から送信するデータ量を削減するセンサネットワークが示される。当該センサ装置は、センサ素子からの時系列データに対してフィルタ処理を行うことで特定の周波数成分の時系列データを抽出し、抽出された時系列データと閾値とを比較することで1または複数の有意区間を決定し、決定した有意区間におけるデータを無線送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-152662号公報
【特許文献2】特開2017-122976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、設備等に設けられる監視対象物の異常を早期に検知するため、異常が生じた監視対象物から放出される超音波信号を、超音波センサで検知する方式が用いられることがある。超音波信号は、例えば、20kHz-80kHzの周波数帯域を有する。このため、超音波信号をディジタルのセンシングデータとして取得するためには、少なくとも、200ksps程度のサンプリングレートが必要とされる。このため、例えば、下位装置でサンプリングによって取得したセンシングデータを、通信ネットワークを介して上位装置へ送信する際に、通信量、ひいては通信コストが増大し得る。
【0006】
一方、通信量を削減するため、例えば、特許文献1または特許文献2に示されるように、下位装置側でセンシングデータに対する解析または異常の検知を行い、その結果を反映したデータを上位装置へ送信するような方式が考えられる。ただし、特に、監視対象物が多種であるような場合、異常発生時にセンシングデータに生じる現象は、監視対象物の種類毎に異なり得る。このため、下位装置が有する限られた計算資源の中で、様々な現象を全て網羅するような解析等を行うことは、容易でない。
【0007】
したがって、異常の検知漏れを確実に防止するためには、下位装置側で、上位装置へ送信するデータを選定するような方式ではなく、取得したセンシングデータ自体を、上位装置へ送信する方式を用いることが望ましい。さらに、その前提のもとで、通信量を削減することが望ましい。なお、特許文献1には、測定データを圧縮して上位装置へ送信することが記載される。しかしながら、超音波信号に基づく大量のセンシングデータを単純に圧縮しただけでは、通信量を十分に削減できるとは限らない。さらに、特に、早期に異常を検知するため、センシングデータをリアルタイムで上位装置へ送信する場合、大量のセンシングデータに伴い高い通信速度も必要とされる。
【0008】
本発明は、このようなことに鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、通信コストを削減可能な異常検知システムおよび異常検知方法を提供することにある。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される実施の形態のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による異常検知システムは、監視対象物から放出された超音波信号を検知する超音波センサと、超音波センサに接続され、超音波センサによって検知された超音波信号を処理する第1の信号処理装置と、第1の信号処理装置に通信ネットワークを介して接続される第2の信号処理装置と、を有する。第1の信号処理装置は、帯域変換回路と、n個のエンコーダと、n個の送信回路とを備える。帯域変換回路は、超音波信号を一定時間毎に区切りながら、一定時間をn個の時間帯に分割し、n個の時間帯に含まれるn個の分割後超音波信号を、それぞれ並行してn個の可聴信号に変換する。n個のエンコーダは、n個の可聴信号からn個のエンコーダ出力信号を生成し、n個の送信回路は、n個のエンコーダ出力信号を第2の信号処理装置へ送信する。第2の信号処理装置は、n個のエンコーダ出力信号をそれぞれ受信するn個の受信回路と、n個のエンコーダ出力信号からn個のデコーダ出力信号を生成するn個のデコーダと、n個のデコーダ出力信号を結合することで超音波信号を復元する結合回路と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、通信コストを削減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施の形態による異常検知システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】
図1において、モータの軸受部に損傷が生じた場合の現象の一例について説明する図である。
【
図3】
図1における送信側信号処理装置および受信側信号処理装置の主要部の概略構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図3における送信側信号処理装置および受信側信号処理装置の概略的な動作例を示す模式図である。
【
図5】
図3における帯域変換回路の構成例を示す回路ブロック図である。
【
図6】
図5に示される帯域変換回路の具体的な動作例を示すタイムチャートである。
【
図7】
図3における結合回路の構成例を示す回路ブロック図である。
【
図8】
図7に示される結合回路の具体的な動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0015】
<異常検知システムの概略>
図1は、一実施の形態による異常検知システムの構成例を示す概略図である。
図1に示される異常検知システムは、工場等の設備10内に設けられる超音波センサ15および送信側信号処理装置(第1の信号処理装置)20と、送信側信号処理装置20に通信ネットワーク30を介して接続される受信側信号処理装置(第2の信号処理装置)40と、受信側信号処理装置40に接続される解析装置41とを備える。設備10内には、例えば、結合部材を含む配管11aや、モータ11bや、搬送レール11c等といった様々な監視対象物11が設けられる。
【0016】
ここで、例えば、配管11aにおいて、亀裂や、結合部材の緩み等によって気体が漏洩した場合、異常の程度が進行する前の早期の段階において、気体の漏洩箇所から超音波信号が放出される。詳細には、例えば、20kHz-80kHzの周波数帯において、異常が無い場合と比べて十分に高い強度の周波数スペクトルを有する超音波信号が放出される。この際に、20Hz-20kHzといった可聴域での周波数スペクトルには、異常が有る場合と無い場合とで、十分な強度差が生じないことがある。なお、異常の程度が進行すると、可聴域でも十分な強度差が生じ得る。
【0017】
また、搬送レール11cにおいても、例えば、摩耗や傷が生じた場合に、早期の段階から、超音波信号が放出され得る。さらに、モータ11bにおいては、例えば、軸受部に損傷が生じた場合や、ロータにアンバランスが生じた場合や、絶縁不良が生じた場合等で、早期の段階から、超音波信号が放出され得る。
図2は、
図1において、モータ11bの軸受部に損傷が生じた場合の現象の一例について説明する図である。
【0018】
図2に示される軸受部は、軸周りに複数の転動体が配置されたボールベアリングの構造を有する。例えば、ある転動体に微小な傷等が生じると、
図2に示されるように、モータ11bの回転周期毎に、ある程度大きい振幅を有する超音波信号60が生じ得る。超音波信号60の振幅の大きさは、異常の程度に応じて変化し得る。また、傷の大きさが大きい場合には、回転周期毎に、可聴域での可聴信号も生じ得る。なお、異常が無い場合には、このような超音波信号60は発生せず、理想的には、常時ゼロ振幅の信号が得られる。
【0019】
図1における超音波センサ15は、このような監視対象物11から放出された超音波信号を検知する。送信側信号処理装置20は、超音波センサ15に接続され、超音波センサ15によって検知された超音波信号を処理する。この際に、送信側信号処理装置20は、超音波信号をサンプリングすることで、超音波信号のディジタルデータであるセンシングデータを生成する。そして、送信側信号処理装置20は、生成したセンシングデータを、通信ネットワーク30を介して受信側信号処理装置40へ送信する。なお、送信側信号処理装置20の詳細に関しては後述する。
【0020】
通信ネットワーク30は、例えば、イーサネット(登録商標)ケーブル等を用いた有線ネットワークであっても、無線LAN、Bluetooth(登録商標)規格等に基づく無線ネットワークであってもよい。受信側信号処理装置40は、送信側信号処理装置20からのセンシングデータを受信し、解析装置41へ出力する。この際に、受信側信号処理装置40は、詳細は後述するが、解析装置41に正しい解析を行わせるために、受信したセンシングデータを処理する。
【0021】
解析装置41は、受信側信号処理装置40からのセンシングデータ、ひいては超音波信号を解析することで異常を検知する。解析装置41は、例えば、プロセッサおよびメモリを有するサーバ等であり、プロセッサがメモリに格納された解析プログラム等を実行することで、解析処理を実行する。なお、受信側信号処理装置40と解析装置41は、一体であってもよい。また、受信側信号処理装置40および解析装置41は、送信側信号処理装置20を下位装置とした場合、上位装置に相当する。
【0022】
このような異常検知システムにおいて、様々な監視対象物11で生じた異常を確実に検知し、さらには、異常の発生元となる監視対象物11を識別できるようにするためには、十分な計算資源を容易に有し得る解析装置41に解析を行わせることが望ましい。解析装置41を用いると、例えばAI(Artificial Intelligence)等を用いた高度な解析処理を実行できる。さらに、この際には、解析装置41によって異常が早期に検知されることが望ましい。
【0023】
そのためには、送信側信号処理装置20は、受信側信号処理装置40に、センシングデータ自体をリアルタイムに送信する必要がある。しかしながら、特に、超音波信号のセンシングデータは、データ量が大きくなり得る。このため、通信量が増大する。さらに、高い通信速度を実現可能な送信側信号処理装置20を設ける必要がある。これらの結果、通信コストが増大し得る。そこで、以下に説明するような実施の形態の方式を用いることが有益となる。
【0024】
<送信側信号処理装置および受信側信号処理装置の詳細>
図3は、
図1における送信側信号処理装置20および受信側信号処理装置40の主要部の概略構成例を示すブロック図である。
図4は、
図3における送信側信号処理装置20および受信側信号処理装置40の概略的な動作例を示す模式図である。
図3において、送信側信号処理装置(第1の信号処理装置)20は、帯域変換回路21と、nを2以上の整数として、n個のエンコーダ22[1]-22[n]と、n個の送信回路23[1]-23[n]とを備える。
【0025】
この例では、送信側信号処理装置20は、超音波センサ15からの検知信号を、フィルタ16を介して入力するか、またはスルーパスを介して入力する。フィルタ16は、例えば、20kHz~80kHzの超音波信号UWSを通過させるバンドパスフィルタである。また、送信側信号処理装置20は、例えば、可聴域の検知信号を対象に処理を行うような場合、超音波センサ15からの検知信号を、スルーパスを介して入力する。なお、実施の形態では、スルーパスは、必ずしも設けられる必要はない。
【0026】
帯域変換回路21は、超音波センサ15からの超音波信号UWSを一定時間毎に区切りながら、当該一定時間をn個の時間帯に分割する。そして、帯域変換回路21は、n個の時間帯にそれぞれ含まれるn個の分割後超音波信号を、それぞれ並行して、可聴域の周波数帯を有するn個の可聴信号に変換し、n個のエンコーダ入力信号ESi[1]-ESi[n]として出力する。例えば、超音波信号UWSの周波数帯は、20kHz-80kHzであり、可聴信号であるエンコーダ入力信号ESi[1]-ESi[n]の周波数帯は、20Hz-20kHzである。
【0027】
図4に示される例では、帯域変換回路21は、超音波信号UWSを一定時間Tm毎に区切り、当該一定時間Tmをn個の時間帯Td[1]-Td[n]に分割している。そして、帯域変換回路21は、各時間帯Td[1]-Td[n]に含まれる分割後超音波信号をそれぞれ可聴信号に変換している。この例では、帯域変換回路21は、超音波信号UWSの周波数をfとして、各分割後超音波信号を、例えば、f/nの周波数を有する可聴信号に変換している。
【0028】
図3において、n個のエンコーダ22[1]-22[n]は、帯域変換回路21からのn個の可聴信号、すなわちエンコーダ入力信号ESi[1]-ESi[n]をそれぞれエンコードすることで、n個のエンコーダ出力信号ESo[1]-ESo[n]を生成する。n個の送信回路23[1]-23[n]は、n個のエンコーダ出力信号ESo[1]-ESo[n]を、それぞれ、通信ネットワーク30を介して受信側信号処理装置40へ送信する。
【0029】
エンコーダ22[1]-22[n]は、例えば、Bluetooth規格におけるaptX(登録商標)、aptX HD、LC3(Low Complexity Communications Codec)等のコーデック方式に基づいてエンコードを実行する。例えば、このようなコーデック方式を用いることで、高音質、ひいてはコーデック前後における信号の高い同一性と、高圧縮率とを実現できる。
【0030】
その結果、超音波信号UWSを、高品質で受信側信号処理装置40へ送信できるため、信号の品質が変わることによる異常の検知漏れ等を防止できる。さらに、高圧縮率によって、通信量を削減できる。なお、コーデック方式は、前述した方式に特に限定されない。すなわち、可聴信号においては、高音質かつ高圧縮率を実現できる様々なコーデック方式が知られており、これらの方式を用いることができる。
【0031】
送信回路23[1]-23[n]は、
図4からも分かるように、それぞれ、分割された時間帯Td[1]-Td[n]に含まれる分割後超音波信号のデータ、詳細には、可聴信号に変換されたのちにエンコードされたデータを送信する。このため、例えば、ある時間内に1個の通信回路で超音波信号UWSのデータを送信する場合と比較して、各送信回路23[1]-23[n]は、同じ時間内に1/nのデータ量を送信すればよい。その結果、高い通信速度は求められず、これに伴い、通信コストが低減され得る。
【0032】
送信回路23[1]-23[n]は、例えば、Bluetooth規格に基づく無線インタフェース回路である。これに限らず、送信回路23[1]-23[n]は、無線LANに基づくインタフェース回路や、有線LANに基づくインタフェース回路等であってもよい。ただし、例えば、Bluetooth LE Audio対応のICチップ等のように、エンコーダおよび送信回路が組み込まれたICチップが一般的に知られている。したがって、実装の容易性等の観点からは、エンコーダ22[1]-22[n]および送信回路23[1]-23[n]は、Bluetooth規格に基づいて動作する回路であるとよい。
【0033】
受信側信号処理装置(第2の信号処理装置)40は、n個の受信回路43[1]-43[n]と、n個のデコーダ44[1]-44[n]と、結合回路45と、を備える。n個の受信回路43[1]-43[n]は、送信回路23[1]-23[n]からの送信信号に含まれるn個のエンコーダ出力信号ESo[1]-ESo[n]をそれぞれ受信し、n個のデコーダ入力信号DSi[1]-DSi[n]として出力する。n個のデコーダ44[1]-44[n]は、受信回路43[1]-43[n]からのn個のデコーダ入力信号DSi[1]-DSi[n]をそれぞれデコードすることで、n個のデコーダ出力信号DSo[1]-DSo[n]を生成する。
【0034】
n個の受信回路43[1]-43[n]は、n個の送信回路23[1]-23[n]と同じ通信プロトコルに基づいて動作する。同様に、デコーダ44[1]-44[n]も、エンコーダ22[1]-22[n]と同じコーデック方式に基づいて動作する。受信回路43[1]-43[n]およびデコーダ44[1]-44[n]も、エンコーダ22[1]-22[n]および送信回路23[1]-23[n]と同様に、Bluetooth規格に基づいて動作する回路であるとよい。
【0035】
結合回路45は、デコーダ44[1]-44[n]からのn個のデコーダ出力信号DSo[1]-DSo[n]を結合することで元の超音波信号UWSを復元する。具体的には、結合回路45は、
図4に示されるように、分割されたn個の時間帯Td[1]-Td[n]に含まれる分割後超音波信号、実際には可聴信号を、周波数を元に戻しながら順に結合することで、一定時間Tm内の超音波信号UWSを復元する。
【0036】
図3における解析装置41は、結合回路45によって復元された超音波信号UWSを解析することで、
図1に示したような、互いに種類が異なる複数の監視対象物11で生じた異常を検知する。具体的には、解析装置41は、例えば、予め、AI等を用いて、超音波信号UWS、詳細にはそのセンシングデータに生じる異常の特徴を監視対象物11の種類毎に学習し、学習済みのAIモデルを作成しておく。そして、解析装置41は、学習済みのAIモデルに、結合回路45からの超音波信号UWS、詳細にはそのセンシングデータを入力することで、複数の監視対象物11で生じた異常を、異常の発生元である監視対象物11の種類を含めて検知する。
【0037】
このように、解析装置41は、高精度に復元された超音波信号UWSに基づいて異常を検知する。この際に、上位に設置される解析装置41は、通常、大きい計算資源を用いた高度な解析を容易に実現できる。これらの結果、異常の検知漏れ等を防止できる。なお、解析装置41は、例えば、プロセッサによってAIプログラム等を実行可能なサーバ等によって実現される。この際に、例えば、n個のBluetooth ICチップ等を搭載したサーバであれば、解析装置41の一部として、受信側信号処理装置40を搭載することも可能である。
【0038】
<帯域変換回路の詳細>
図5は、
図3における帯域変換回路21の構成例を示す回路ブロック図である。
図5に示される帯域変換回路21は、アナログディジタル変換器(ADC)25と、n個のFIFO(First in First out)バッファ26[1]-26[n]と、シーケンサ27とを備える。アナログディジタル変換器25は、超音波センサ15からの超音波信号UWSを、サンプリングクロックSCKに応じて、ディジタルデータであるセンシングデータDsenに変換する。センシングデータDsenは、例えば、16ビット等のビット幅(k)を有する。
【0039】
センシングデータDsenは、書き込みクロックWCKe[1]-WCKe[n]に応じて、n個のFIFOバッファ26[1]-26[n]に、それぞれ、ライトデータWDe[1]-WDe[n]として書き込まれる。この例では、n個のFIFOバッファ26[1]-26[n]には、それぞれ、
図4に示したようなn個の時間帯Td[1]-Td[n]に分割されたnセットのセンシングデータDsenが書き込まれる。
【0040】
また、n個のFIFOバッファ26[1]-26[n]からは、それぞれ、読み出しクロックRCKe[1]-RCKe[n]に応じて、リードデータRDe[1]-RDe[n]が読み出される。この際に、各FIFOバッファにおいて、リードデータRDe[1]-RDe[n]は、書き込まれ順に読み出される。なお、リードデータRDe[1]-RDe[n]は、それぞれ、エンコーダ入力信号ESi[1]-ESi[n]でもある。
【0041】
FIFOバッファ26[1]-26[n]では、書き込みクロックWCKeの周波数と読み出しクロックRCKeの周波数とを任意に設定可能である。具体例として、読み出しクロックRCKeの周波数(f)は、エンコーダ22[1]-22[n]の仕様に基づいて設定され、例えば、48kHz等に設定される。一方、書き込みクロックWCKeの周波数は、読み出しクロックRCKeの周波数(f)のn倍等に設定され、例えば、f=48kHzかつn=5の場合、240kHzに設定される。サンプリングクロックSCKによるサンプリング周波数も、書き込みクロックWCKeの周波数と同じ値に設定される。
【0042】
シーケンサ27は、FIFOバッファ26[1]-26[n]に対する書き込みおよび読み出しを制御する。この例では、シーケンサ27は、n個の書き込みクロックWCKe[1]-WCKe[n]のぞれぞれと、n個の読み出しクロックRCKe[1]-RCKe[n]のそれぞれとを個別に制御する。
【0043】
帯域変換回路21は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または、ADC搭載のFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現され得る。あるいは、帯域変換回路21は、例えば、プロセッサ、メモリ、ADCを搭載したマイクロコントローラ等によっても実現され得る。この場合、FIFOバッファ26[1]-26[n]およびシーケンサ27の機能は、プロセッサによるプログラム処理で実現される。
【0044】
図6は、
図5に示される帯域変換回路21の具体的な動作例を示すタイムチャートである。この例では、
図4における一定時間Tmは、1sに設定され、時分割数nは、5に設定される。これに伴い、分割された時間帯Tdは、0.2sとなる。また、サンプリング周波数および書き込みクロックWCKeの周波数は、240kHzに設定され、読み出しクロックRCKeの周波数は、48kHzに設定される。
【0045】
図6において、センシングデータDsenは、一定時間Tmの間に240k個入力され、時間帯Tdの間に48k個入力される。一定時間Tm[1]内の1番目の時間帯Td[1]において、シーケンサ27は、書き込みクロックWCKe[1]を出力することで、FIFOバッファ26[1]に、48k個のセンシングデータDsenをライトデータWDe[1]として順次書き込む。2番目の時間帯Td[2]において、シーケンサ27は、書き込みクロックWCKe[2]を出力することで、FIFOバッファ26[2]に、48k個のセンシングデータDsenをライトデータWDe[2]として順次書き込む。
【0046】
以降同様にして、5番目の時間帯Td[5]において、シーケンサ27は、書き込みクロックWCKe[5]を出力することで、FIFOバッファ26[5]に、48k個のセンシングデータDsenをライトデータWDe[5]として順次書き込む。その後の一定時間Tm[2],Tm[3],…においても、一定時間Tm[1]の場合と同様の処理が繰り返し実行される。
【0047】
一方、一定時間Tm[1]で入力される240k個のセンシングデータDsenは、当該一定時間Tm[1]内の5番目の時間帯Td[5]を経た時点で、5個のFIFOバッファ26[1]-26[5]に全て書き込まれる。シーケンサ27は、この例では、次の一定時間Tm[2]において、FIFOバッファ26[1]-26[5]に、書き込み時の1/5の周波数となる読み出しクロックRCKe[1]-RCKe[5]を出力する。これに伴い、一定時間Tm[2]において、FIFOバッファ26[1]-26[5]のそれぞれから48k個のセンシングデータDsenが読み出され、合計で240k個のセンシングデータDsenが読み出される。
【0048】
なお、
図5および
図6では、センシングデータDsenをn個のFIFOバッファ26[1]-26[5]に振り分ける構成例を示した。ただし、その代わりに、例えば、センシングデータDsenを1個のFIFOバッファに書き込み、それを読み出しクロックRCKeで読み出す際に、読み出し先をn個に振り分けるような構成であってもよい。
【0049】
また、一定時間Tmの値や時分割数nの値は、適宜変更可能である。例えば、
図6において、一定時間Tmを2sに変更した場合、一定時間Tm内に、480k個のセンシングデータDsenが含まれ、分割された時間帯Td内に、96k個のセンシングデータDsenが含まれるような動作となる。また、
図6において、時分割数nの値を10に変更した場合、10個のFIFOバッファ26[1]-26[10]が設けられ、サンプリング周波数および書き込みクロックWCKeの周波数は480kHzに変更され、分割された時間帯Td内に、24k個のセンシングデータDsenが含まれるような動作となる。
【0050】
さらに、サンプリング周波数および書き込みクロックWCKeの周波数は、必ずしも、読み出しクロックRCKeの周波数(f)のn倍に限定されない。すなわち、少なくとも、FIFOバッファが満杯になる状況、ひいては、センシングデータDsenを書き込めない状況が生じない条件であればよい。具体的には、例えば、読み出しクロックRCKeの周波数(f)に対して、サンプリング周波数および書き込みクロックWCKeの周波数は、n×fよりも小さい値であればよい。
【0051】
<結合回路の詳細>
図7は、
図3における結合回路45の構成例を示す回路ブロック図である。
図7に示される結合回路45は、n個のFIFOバッファ50[1]-50[n]と、メモリ51と、シーケンサ52とを備える。n個のFIFOバッファ50[1]-50[n]には、それぞれ、n個のデコーダ44[1]-44[n]からのデコーダ出力信号DSo[1]-DSo[n]が入力される。デコーダ出力信号DSo[1]-DSo[n]のそれぞれは、例えば、16ビット等のビット幅(k)を有する。
【0052】
デコーダ出力信号DSo[1]-DSo[n]は、書き込みクロックWCKd[1]-WCKd[n]に応じて、n個のFIFOバッファ50[1]-50[n]に、それぞれ、ライトデータWDd[1]-WDd[n]として書き込まれる。また、n個のFIFOバッファ50[1]-50[n]からは、それぞれ、読み出しクロックRCKd[1]-RCKd[n]に応じて、リードデータRDd[1]-RDd[n]が読み出される。
【0053】
読み出されたリードデータRDd[1]-RDd[n]は、kビットの共通バスに出力される。なお、各FIFOバッファにおいて、リードデータRDd[1]-RDd[n]は、書き込まれ順に読み出される。また、n個のFIFOバッファ50[1]-50[n]からの読み出し動作は、
図4に示した時間帯Td毎に、時分割で順に行われる。
【0054】
FIFOバッファ50[1]-50[n]でも、書き込みクロックWCKdの周波数と読み出しクロックRCKdの周波数とを任意に設定可能である。具体例として、書き込みクロックWCKdの周波数(f)は、デコーダ44[1]-44[n]の仕様に基づいて設定され、例えば、48kHz等に設定される。一方、読み出しクロックRCKdの周波数は、書き込みクロックWCKdの周波数(f)のn倍等に設定され、例えば、f=48kHzかつn=5の場合、240kHzに設定される。
【0055】
FIFOバッファ50[1]-50[n]からkビットの共通バスに出力されたリードデータRDd[1]-RDd[n]は、書き込みクロックWCKiに応じて、メモリ51にライトデータWDiとして書き込まれる。書き込みクロックWCKiの周波数は、読み出しクロックRCKdの周波数と同じ値に設定される。
【0056】
シーケンサ52は、FIFOバッファ50[1]-50[n]に対する書き込みおよび読み出しと、メモリ51に対する書き込みとを制御する。この例では、シーケンサ52は、FIFOバッファへのn個の書き込みクロックWCKd[1]-WCKd[n]およびn個の読み出しクロックRCKd[1]-RCKd[n]のそれぞれと、メモリ51への書き込みクロックWCKiとを個別に制御する。
【0057】
結合回路45は、例えば、ASICまたはFPGA等によって実現され得る。または、結合回路45は、プロセッサ、メモリを搭載したマイクロコントローラ等によっても実現され得る。あるいは、結合回路45は、プロセッサ、メモリを搭載した解析装置41によっても実現され得る。結合回路45をマイクロコントローラや解析装置41で実現する場合、FIFOバッファ50[1]-50[n]およびシーケンサ52の機能は、プロセッサによるプログラム処理で実現される。
【0058】
図8は、
図7に示される結合回路45の具体的な動作例を示すタイムチャートである。
図8では、
図6における条件を反映して、一定時間Tmは、1sに設定され、時分割数nは、5に設定される。これに伴い、分割された時間帯Tdは、0.2sとなる。また、
図6の場合とは反対に、書き込みクロックWCKdの周波数は、48kHzに設定され、読み出しクロックRCKdの周波数は、240kHzに設定される。なお、メモリ51への書き込みクロックWCKiの周波数も、240kHzに設定される。
【0059】
図8において、一定時間Tm[1]では、5個のデコーダ出力信号DSo[1]-DSo[5]によって、合計で240k個(=48k×5個)のセンシングデータが入力される。シーケンサ52は、一定時間Tm[1]内で、5個の書き込みクロックWCKd[1]-WCKd[5]を出力する。これにより、5個のFIFOバッファ50[1]-50[5]には、それぞれ、48k個のセンシングデータが、ライトデータWDd[1]-WDd[5]として書き込まれる。その後の一定時間Tm[2],Tm[3],…でも、同様の入力に応じて同様の書き込み動作が行われる。
【0060】
一方、一定時間Tm[2]内の1番目の時間帯Td[1]において、シーケンサ52は、書き込みクロックWCKdの5倍の周波数を有する読み出しクロックRCKd[1]を出力することで、FIFOバッファ50[1]から共通バスに、48k個のリードデータRDd[1]を順に読み出す。2番目の時間帯Td[2]では、シーケンサ52は、読み出しクロックRCKd[2]を出力することで、FIFOバッファ50[2]から共通バスに、48k個のリードデータRDd[2]を順に読み出す。以降同様にして、5番目の時間帯Td[5]では、シーケンサ52は、読み出しクロックRCKd[5]を出力することで、FIFOバッファ50[5]から共通バスに、48k個のリードデータRDd[5]を順に読み出す。
【0061】
一方、一定時間Tm[2]では、このような読み出し動作と並行して、シーケンサ52は、書き込みクロックWCKiを出力する。これにより、共通バスに順に読み出された合計で240k個(=48k×5個)のセンシングデータは、メモリ51に、ライトデータWDiとして書き込まれる。すなわち、メモリ51において、48k×5個のセンシングデータが順に結合されることで、240k個のセンシングデータが復元される。復元された240k個のセンシングデータは、
図6に示した一定時間Tm[1]内での240k個のセンシングデータDsenに相当する。その後の一定時間Tm[3],…でも、同様の復元動作が行われる。
【0062】
<実施の形態の主要な効果>
以上、実施の形態の方式は、検知した超音波信号を、複数の時間帯に分割し、複数の時間帯の処理を並列処理に転換して、可聴信号への変換、エンコードおよび送信、受信およびデコードを行ったのち、分割した時間帯を元通りに復元する方式となっている。超音波信号を可聴信号へ変換することで、高効率なコーデック方式を適用できるため、送受信に伴う通信量を削減できる。また、並列処理に転換することで、それぞれの送受信に伴う通信速度を下げられる。これらの結果、代表的には、通信コストを削減可能になる。
【0063】
また、下位装置は、超音波信号を解析することなく上位装置へ送信すればよい。このため、下位装置を、特定の監視対象物を対象とした専用品ではなく汎用品として用いることができる。この際には、下位装置に対して大きい計算資源も要求されない。そして、大きい計算資源を容易に有し得る上位装置に、復元した超音波信号のセンシングデータを解析させることで、様々な種類の監視対象物に対して、異常の検知漏れを防止できる。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
11…監視対象物、11a…配管、11b…モータ、11c…搬送レール、15…超音波センサ、20…送信側信号処理装置、21…帯域変換回路、22[1]-22[n]…エンコーダ、23[1]-23[n]…送信回路、25…アナログディジタル変換器、26[1]-26[n]…FIFOバッファ、27…シーケンサ、30…通信ネットワーク、40…受信側信号処理装置、41…解析装置、43[1]-43[n]…受信回路、44[1]-44[n]…デコーダ、45…結合回路、50[1]-50[n]…FIFOバッファ、52…シーケンサ、Td[1]-Td[n]…時間帯、Tm…一定時間、UWS…超音波信号