(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025107624
(43)【公開日】2025-07-18
(54)【発明の名称】蓄電デバイス、外装フィルム、蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20250711BHJP
H01M 50/128 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/117 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20250711BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20250711BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20250711BHJP
H01G 9/10 20060101ALI20250711BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20250711BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20250711BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20250711BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20250711BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/128
H01M50/119
H01M50/117
H01M50/121
H01M50/131
H01M50/15
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/129
H01M50/566
H01M50/169
H01M50/178
H01G9/08 B
H01G9/10 C
H01G9/00 290L
H01G2/10 300
H01G11/78
H01G11/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025081754
(22)【出願日】2025-05-15
(62)【分割の表示】P 2025514655の分割
【原出願日】2024-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2023192637
(32)【優先日】2023-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】島田 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金澤 早陽子
(72)【発明者】
【氏名】宮代 香衣
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 裕代
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美帆
(57)【要約】
【課題】密封性を高めるとともに、積層フィルムと、蓋体または電極端子とを接合した場合であっても、正極と負極とが導通することを抑制できる蓄電デバイス、この蓄電デバイスに用いられる外装フィルム、および、蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】蓄電デバイスは、電極体と、電極体を封止するように電極体を包む外装フィルムと、電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備える。積層フィルムは、第1導電性バリア層と、第2導電性バリア層と、第1導電性バリア層と第2導電性バリア層とが導通しないように第1導電性バリア層および第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含む。第1導電性バリア層は、正極部材と直接的に接合される、または、絶縁層を介して正極部材と接合される。第2導電性バリア層は、負極部材と直接的に接合される、または、絶縁層を介して負極部材と接合される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を封止するように前記電極体を包む積層フィルムと、
前記電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備え、
前記積層フィルムは、
第1導電性バリア層と、
第2導電性バリア層と、
前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層とが導通しないように前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含み、
前記第1導電性バリア層は、前記正極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記正極部材と接合され、
前記第2導電性バリア層は、前記負極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記負極部材と接合される
蓄電デバイス。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記積層フィルムの積層方向において、前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層との間に積層される
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記積層フィルムは、平面視において、前記第1導電性バリア層、前記絶縁層、および、前記第2導電性バリア層が重なる部分を含む
請求項2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層との間に間隔が形成される
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層は、前記絶縁層の同一面上に積層される
請求項4に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記第1導電性バリア層と前記正極部材とが直接的に接合された部分である正極接合部を有し、
前記絶縁層は、前記正極接合部と隣接する
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
前記第2導電性バリア層と前記負極部材とが直接的に接合された部分である負極接合部を有し、
前記絶縁層は、前記負極接合部と隣接する
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項8】
前記絶縁層を構成する材料は、絶縁フィラーを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項9】
前記絶縁層を構成する材料は、ガスバリア性を有する
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項10】
前記正極部材および前記負極部材の少なくとも一方は、前記積層フィルムとともに前記電極体を封止する蓋体である
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項11】
前記正極部材および前記負極部材の少なくとも一方は、電極端子である
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項12】
前記積層フィルム、前記正極部材、および、前記負極部材を包む外袋をさらに有する
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項13】
蓄電デバイスの電極体を包む積層フィルムであって、
前記蓄電デバイスは、
前記電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備え、
前記積層フィルムは、
第1導電性バリア層と、
第2導電性バリア層と、
前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層とが導通しないように前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含み、
前記第1導電性バリア層は、前記正極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記正極部材と接合され、
前記第2導電性バリア層は、前記負極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記負極部材と接合される
積層フィルム。
【請求項14】
蓄電デバイスの製造方法であって、
前記蓄電デバイスは、
電極体と、
前記電極体を封止するように前記電極体を包む積層フィルムと、
前記電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備え、
前記積層フィルムは、
第1導電性バリア層と、
第2導電性バリア層と、
前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層とが導通しないように前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含み、
前記第1導電性バリア層は、前記正極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記正極部材と接合され、
前記第2導電性バリア層は、前記負極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記負極部材と接合され、
前記蓄電デバイスの製造方法は、
前記第1導電性バリア層と前記正極部材とを直接的または前記絶縁層を介して接合する工程と、
前記第2導電性バリア層と前記負極部材とを直接的または前記絶縁層を介して接合する工程と、を含む
蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス、外装フィルム、および、蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、蓄電デバイスの一例を開示している。この蓄電デバイスは、集電体を含む電極体と、電極体を封止する外装体と、集電体と接続される電極端子と、を備える。外装体は、電極体を包む積層フィルムと、積層フィルムと接合される蓋体と、を備える。電極端子は、蓋体に形成される貫通孔に挿入される。集電体の端部は、電極端子と接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記蓄電デバイスにおいて、蓋体を省略し、積層フィルムの熱融着性樹脂層と電極端子とを、例えば、接着性フィルムを介してヒートシールによって接合することが考えられる。しかし、積層フィルムの熱融着性樹脂層と電極端子とを接着性フィルムを介して接合する場合、接合に要する時間が長く、また、積層フィルムと電極端子との接合強度が低い。このため、蓄電デバイスの密封性が低い。一方、積層フィルムの導電性バリア層と電極端子とを溶接によって接合する場合、積層フィルムと電極端子とをヒートシールによって接合する場合よりも、接合に要する時間を短縮できる。しかし、電極体の正極と接続される電極端子と、負極と接続される電極端子とが、積層フィルムの導電性バリア層を介して導通し、電流を出力することができない。なお、このような課題は、上記蓄電デバイスにおいて、導電性材料を含んで構成される蓋体と積層フィルムとを接合する場合にも同様に生じる。
【0005】
本発明は、密封性を高めるとともに、積層フィルムと、蓋体または電極端子とを接合した場合であっても、正極と負極とが導通することを抑制できる蓄電デバイス、この蓄電デバイスに用いられる積層フィルム、および、この蓄電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る蓄電デバイスは、電極体と、前記電極体を封止するように前記電極体を包む積層フィルムと、前記電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備え、前記積層フィルムは、第1導電性バリア層と、第2導電性バリア層と、前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層とが導通しないように前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含み、前記第1導電性バリア層は、前記正極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記正極部材と接合され、前記第2導電性バリア層は、前記負極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記負極部材と接合される。
【0007】
本発明の第2観点に係る蓄電デバイスは、第1観点に係る蓄電デバイスであって、前記絶縁層は、前記積層フィルムの積層方向において、前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層との間に積層される。
【0008】
本発明の第3観点に係る蓄電デバイスは、第2観点に係る蓄電デバイスであって、前記積層フィルムは、平面視において、前記第1導電性バリア層、前記絶縁層、および、前記第2導電性バリア層が重なる部分を含む。
【0009】
本発明の第4観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第3観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層との間に間隔が形成される。
【0010】
本発明の第5観点に係る蓄電デバイスは、第4観点に係る蓄電デバイスであって、前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層は、前記絶縁層の同一面上に積層される。
【0011】
本発明の第6観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第5観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記第1導電性バリア層と前記正極部材とが直接的に接合された部分である正極接合部を有し、前記絶縁層は、前記正極接合部と隣接する。
【0012】
本発明の第7観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第6観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記第2導電性バリア層と前記負極部材とが直接的に接合された部分である負極接合部を有し、前記絶縁層は、前記負極接合部と隣接する。
【0013】
本発明の第8観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第7観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記絶縁層を構成する材料は、絶縁フィラーを含む。
【0014】
本発明の第9観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第8観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記絶縁層を構成する材料は、ガスバリア性を有する。
【0015】
本発明の第10観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第9観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記正極部材および前記負極部材の少なくとも一方は、前記積層フィルムとともに前記電極体を封止する蓋体である。
【0016】
本発明の第11観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第9観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記正極部材および前記負極部材の少なくとも一方は、電極端子である。
【0017】
本発明の第12観点に係る蓄電デバイスは、第1観点~第11観点のいずれか1つに係る蓄電デバイスであって、前記積層フィルム、前記正極部材、および、前記負極部材を包む外袋をさらに有する。
【0018】
本発明の第13観点に係る外装フィルムは、蓄電デバイスの電極体を包む積層フィルムであって、前記蓄電デバイスは、前記電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備え、前記積層フィルムは、第1導電性バリア層と、第2導電性バリア層と、前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層とが導通しないように前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含み、前記第1導電性バリア層は、前記正極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記正極部材と接合され、前記第2導電性バリア層は、前記負極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記負極部材と接合される。
【0019】
本発明の第14観点に係る蓄電デバイスの製造方法は、電極体と、前記電極体を封止するように前記電極体を包む積層フィルムと、前記電極体と接続され、導電性材料を含んで構成される正極部材および負極部材と、を備え、前記積層フィルムは、第1導電性バリア層と、第2導電性バリア層と、前記第1導電性バリア層と前記第2導電性バリア層とが導通しないように前記第1導電性バリア層および前記第2導電性バリア層に対して積層される絶縁層と、を含み、前記第1導電性バリア層は、前記正極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記正極部材と接合され、前記第2導電性バリア層は、前記負極部材と直接的に接合される、または、前記絶縁層を介して前記負極部材と接合される蓄電デバイスの製造方法である。前記蓄電デバイスの製造方法は、前記第1導電性バリア層と前記正極部材とを直接的または前記絶縁層を介して接合する工程と、前記第2導電性バリア層と前記負極部材とを直接的または前記絶縁層を介して接合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明に関する蓄電デバイス、外装フィルム、および、蓄電デバイスの製造方法によれば、密封性を高めるとともに、積層フィルムと、蓋体または電極端子とを接合した場合であっても、正極と負極とが導通することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1の蓄電デバイスが備える外装フィルムを広げた状態の図。
【
図5】
図1の蓄電デバイスの製造方法の一例を示すフローチャート。
【
図8B】第3変形例の別の例の蓄電デバイスの断面図。
【
図9B】第4変形例の別の例の蓄電デバイスの断面図。
【
図10B】第5変形例の別の例の蓄電デバイスの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る蓄電デバイスについて説明する。なお、本明細書において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
【0023】
[実施形態]
<1-1.蓄電デバイスの構成>
図1は、実施形態の蓄電デバイス10を模式的に示す平面図である。
図2は、
図1の蓄電デバイスが備える外装フィルムを広げた状態の図である。
図3は、
図1の蓄電デバイスが備える蓋体60の斜視図である。
図4は、
図1のD4-D4線に沿う断面図である。なお、
図1において、矢印UD方向は蓄電デバイス10の厚み方向を示し、矢印LR方向は蓄電デバイス10の幅方向を示し、矢印FB方向は、蓄電デバイス10の奥行方向を示す。矢印UDLRFBの各々が示す方向は、以後の各図においても共通である。
【0024】
蓄電デバイス10は、集電体30を含む電極体20と、外装体40と、を備える。電極体20は、例えば、リチウムイオン電池、キャパシタ、全固体電池、ナトリウムイオン電池、半固体電池、擬固体電池、ポリマー電池、全樹脂電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、または、コンデンサー等の蓄電部材を構成する電極(正極および負極)ならびに、セパレータ等を含む。本実施形態では、電極体20の形状は、略直方体である。なお、「略直方体」とは、完全な直方体の他に、例えば、外面の一部の形状を修正することによって直方体とみなせるような立体を含む。電極体20の形状は、例えば、円柱または多角柱であってもよい。
【0025】
外装体40は、電極体20を封止する。外装体40は、積層フィルム50および蓋体60を備える。積層フィルム50は、電極体20を包む。本実施形態では、積層フィルム50は、電極体20に巻き付けられる。蓋体60は、FB方向における電極体20の側方に配置される。別の例では、FB方向の両端部に開口部40Aが形成されるように筒状に構成された積層フィルム50の内部に電極体20を収容し、開口部40Aを蓋体60によって閉じてもよい。さらに別の例では、開口部40Aが形成されるように筒状に構成された積層フィルム50の内部に蓋体60と接続された状態の電極体20を収容し、開口部40Aを蓋体60によって閉じてもよい。
【0026】
外装体40は、積層フィルム50を電極体20に巻き付けることによって電極体20を封止しているため、電極体20の厚みに拘わらず容易に電極体20を封止することができる。なお、蓄電デバイス10の体積エネルギー密度を向上させるべく電極体20と積層フィルム50との間のデッドスペースを削減するためには、積層フィルム50が電極体20の外表面に接するように巻き付けられた状態が好ましい。また、全固体電池においては、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされている観点からも電極体20と積層フィルム50との間の空間を無くすことが必要とされるため、積層フィルム50が電極体20の外表面に接するように巻き付けられた状態が好ましい。
【0027】
図4に示されように、蓋体60は、積層フィルム50とともに電極体20を封止する。蓋体60の形状は、電極体20を封止できる形状であれば、任意に選択可能である。
図3に示される例では、蓋体60は、板状である。蓋体60は、正極に接続される正極蓋体60X、および、負極に接続される負極蓋体60Yを有する。正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yの主たる構成は、実質的に同じである。このため、以下では、正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yを特に区別しない場合、単に蓋体60と称する。なお、正極蓋体60Xは、正極部材に相当し、負極蓋体60Yは、負極部材に相当する。
【0028】
蓋体60は、導電性材料を含んで構成される。本実施形態において、「導電性材料を含んで構成される」とは、蓋体60を構成する材料の全体を100質量%としたときに、導電性材料の含有率が50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であることをいうものとする。すなわち、蓋体60を構成する材料は、導電性材料に加えて、導電性材料以外の材料を含有することができる。導電性材料を含んで構成される蓋体60は、耐腐食性皮膜を有していることが好ましい。耐腐食性皮膜とは、例えば、ベーマイト処理などの熱水変成処理、化成処理、陽極酸化処理、ニッケルやクロムなどのメッキ処理、コーティング剤を塗工する腐食防止処理を蓋体60の表面に行ない、蓋体60に耐腐食性(例えば、耐酸性、耐アルカリ性など)を備えさせる薄膜をいう。耐腐食性皮膜は、具体的には、蓋体60の耐酸性を向上させる皮膜(耐酸性皮膜)、蓋体60の耐アルカリ性を向上させる皮膜(耐アルカリ性皮膜)などを意味している。耐腐食性皮膜を形成する処理としては、1種類を行なってもよいし、2種類以上を組み合わせて行なってもよい。また、1層だけではなく多層化することもできる。さらに、これらの処理のうち、熱水変成処理および陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物を形成させる処理である。なお、これらの処理は、化成処理の定義に包含される場合もある。また、蓋体60が耐腐食性皮膜を備えている場合、耐腐食性皮膜を含めて蓋体60とする。
【0029】
蓋体60を構成する導電性材料は、例えば、金属材料である。蓋体60を構成する金属材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、銅、または、銅合金である。例えば、電極体20がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される正極蓋体60Xは、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって構成されることが好ましい。負極に接続される負極蓋体60Yは、ニッケル、銅、または、銅合金によって構成されることが好ましい。負極蓋体60Yを構成する材料は、銅にニッケルめっきを施したものとしてもよい。蓋体60を構成する材料は、金属材料のリサイクル材を含んでいてもよい。
【0030】
蓋体60は、第1面61、第2面62、および、フィルム接合部63を有する。第1面61は、電極体20と面する。第1面61は、集電体30(
図4参照)の一方の端部31と接続される。蓋体60と集電体30とを容易に接続するため、第1面61には、電極体20に向けて突出する凸部が形成されてもよい。第2面62は、第1面61と反対側の面である。外部機器と容易に接続するため、第2面62には、FB方向において外装体40の外部に突出する凸部が形成されてもよい。フィルム接合部63は、第1面61および第2面62と繋がり、後述する積層フィルム50の第1導電性バリア層51または第2導電性バリア層52と接合される。
【0031】
フィルム接合部63は、第1接合面63A、第2接合面63B、第3接合面63C、および、第4接合面63Dを含む。第1接合面63Aは、蓋体60の上面を構成する。第1接合面63Aは、蓋体60の正面視において、第1方向(本実施形態では、LR方向)に延びる。第2接合面63Bおよび第3接合面63Cは、第1接合面63Aと繋がり、蓋体60の側面を構成する。第2接合面63Bおよび第3接合面63Cは、蓋体60の正面視において、第1方向と交差する第2方向(本実施形態では、UD方向)に延びる。本実施形態では、蓋体60の正面視において、第1方向と第2方向とは、直交する。第1方向と第2方向とは、蓋体60の正面視において、直交していなくてもよい。第4接合面63Dは、蓋体60の下面を構成する。第4接合面63Dは、蓋体60の正面視において、第1方向(本実施形態では、LR方向)に延びる。
【0032】
蓋体60が板状である場合、蓄電デバイス10が重ねて配置された場合であっても、外装体40が変形することが抑制されるように、蓋体60は、FB方向において、ある程度の厚さを有していることが好ましい。別の観点では、蓋体60が板状である場合、後述する第2封止部80を形成する際に、蓋体60のフィルム接合部63と積層フィルム50とを好適に接合できるように、蓋体60のフィルム接合部63は、FB方向においてある程度の厚さを有していることが好ましい。蓋体60のFB方向における厚さの最小値は、例えば、1.0mmであり、3.0mmがより好ましく、4.0mmがさらに好ましい。蓋体60のFB方向における厚さの最大値は、例えば、20mmであり、15mmがより好ましく、10mmがさらに好ましい。蓋体60のFB方向における厚さの最大値は、20mm以上であってもよい。蓋体60のFB方向における厚さの好ましい範囲は、1.0mm~20mm、1.0mm~15mm、1.0mm~10mm、3.0mm~20mm、3.0mm~15mm、3.0mm~10mm、4.0mm~20mm、4.0mm~15mm、4.0mm~10mmである。なお、蓋体60の厚さは、蓋体60の部位によって異なっていてもよい。蓋体60の厚さが部位によって異なる場合、蓋体60の厚さは、最も厚い部分の厚さである。
【0033】
フィルム接合部63は、境界64、65、66、67をさらに含む。境界64は、第1接合面63Aと第2接合面63Bとの境界である。境界65は、第1接合面63Aと第3接合面63Cとの境界である。境界66は、第4接合面63Dと第2接合面63Bとの境界である。境界67は、第4接合面63Dと第3接合面63Cとの境界である。境界64~67の形状は、角であってもよく、R加工が施されることによって丸みを帯びていてもよい。本実施形態では、境界64~67は、角である。
【0034】
フィルム接合部63の一部は、積層フィルム50の第1導電性バリア層51または第2導電性バリア層52と接合されていなくてもよい。フィルム接合部63のうちの積層フィルム50の第1導電性バリア層51または第2導電性バリア層52と接合されない部分は、例えば、樹脂材料を含んで構成される被覆体によって被覆されてもよい。ここで、「樹脂材料を含んで構成される」とは、被覆体を構成する材料の全体を100質量%としたときに、樹脂材料の含有率が50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であることをいうものとする。すなわち、被覆体を構成する材料は、樹脂材料に加え、樹脂材料以外の材料を含有することができる。
【0035】
樹脂の具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、及びフェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、樹脂材料は、これらの樹脂の混合物であってもよいし、共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。樹脂材料は、これらの中でも、ポリエステル、ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂であることが好ましく、ポリオレフィンがより好ましい。樹脂材料が樹脂である場合、被覆体90は、どのような成形方法で成形されてもよい。
【0036】
被覆体を構成する材料に含まれる樹脂材料は、オレフィン系のランダム共重合体であることが好ましく、ポリオレフィン骨格を含む樹脂を主成分として含んでいることがさらに好ましく、ポリオレフィンを主成分として含んでいることがさらに好ましく、ポリプロピレンを主成分として含んでいることがさらに好ましい。ポリオレフィンは、酸変性ポリオレフィンであってもよい。被覆体を構成する材料に含まれる樹脂材料は、複数種類のアミド系滑剤が存在していることが好ましい。また、被覆体を構成する材料に含まれる樹脂材料は、飽和脂肪酸アミドに加えて、複数種類のアミド系滑剤が不飽和脂肪酸アミドをさらに含むことが好ましい。被覆体を構成する材料に含まれる樹脂材料は、融点が150℃より高いプロピレン系エラストマーを添加したポリオレフィン樹脂であってもよい。なお、主成分とは、構成要素に含まれる材料のうち最も質量%が高い成分であり、例えば、35質量%以上、50質量%以上、90質量%以上、または、95質量%以上を占める材料をいう。
【0037】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。樹脂材料は、これらの中でも、耐熱性及び耐圧性を高める観点から、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
【0038】
また、ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。樹脂材料は、これらの中でも、熱融着性および耐電解液性に優れることから、ポリプロピレンが好ましく、無水マレイン酸等の酸でクラフト変性させた酸変性のポリプロピレンが特に好ましい。
【0039】
上記樹脂材料としての樹脂は、必要に応じてフィラーを含有してもよい。フィラーの具体例としては、ガラスビーズ、グラファイト、ガラス繊維、及びカーボン繊維等が挙げられる。樹脂材料としての樹脂が上記フィラーを含有することにより、被覆体90の温度変化に対する変形耐性を向上させることができる。
【0040】
被覆体を構成する材料に含まれる樹脂材料のメルトマスフローレートは、1g/10min~100g/10minの範囲に含まれることが好ましく、5g/10min~80g/10minの範囲に含まれることがさらに好ましい。メルトマスフローレートは、JIS K7210-1:2014に基づいて測定される。メルトマスフローレートの測定温度は、230℃である。
【0041】
図4に示されるように、積層フィルム50は、第1導電性バリア層51、第2導電性バリア層52、および、絶縁層53を含むラミネートフィルムである。第1導電性バリア層51、第2導電性バリア層52、および、絶縁層53は、第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とが導通しないように積層される。本実施形態では、外装体40の外側から電極体20に向けて、第1導電性バリア層51、絶縁層53、および、第2導電性バリア層52の順に積層される。
【0042】
第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52は、導電性材料を含んで構成される。「導電性材料を含んで構成される」の定義は、蓋体60の場合と同様である。すなわち、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52を構成する材料は、導電性材料に加えて、導電性材料以外の材料を含有することができる。第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52を構成する導電性材料は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鋼(ステンレス鋼を含む)、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、マグネシウム、マグネシウム合金、ニオブ、鉄、アンチモンドープ酸化スズ、または、錫ドープ酸化インジウムである。
【0043】
第1導電性バリア層51は、正極蓋体60Xのフィルム接合部63と接合される。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとの接合強度を高める観点から、第1導電性バリア層51を構成する材料に含まれる導電性材料は、正極蓋体60Xを構成する材料に含まれる導電性材料と同じ導電性材料であることが好ましい。
【0044】
第2導電性バリア層52は、負極蓋体60Yのフィルム接合部63と接合される。第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとの接合強度を高める観点から、第2導電性バリア層52を構成する材料に含まれる導電性材料は、負極蓋体60Yを構成する材料に含まれる導電性材料と同じ導電性材料であることが好ましい。
【0045】
絶縁層53は、第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とが導通しないように第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とを絶縁する。絶縁層53を構成する材料は、第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とを絶縁できる材料であれば任意に選択可能である。絶縁層53を構成する材料は、例えば、樹脂またはセラミックである。セラミックは、例えば、酸化物、窒化物、炭酸塩、または、水酸化物である。絶縁層53を構成する材料は、複数の材料が組み合わせられてもよい。第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とを好適に絶縁する観点から、絶縁層53を構成する材料は、絶縁フィラーを含むことが好ましい。外装体40の内部に水分が侵入することを抑制する観点から、絶縁層53を構成する材料は、ガスバリア性を有することが好ましく、特に、水分バリア性を有することが好ましい。
【0046】
樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂等、フッ素樹脂、および、これらの樹脂の変性物等の熱可塑性樹脂である。水分バリア性の観点から、樹脂は、フッ素樹脂、および、フッ素樹脂の変性物等の熱可塑性樹脂が好ましい。
【0047】
酸化物は、例えば、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、または、酸化スズである。これらの酸化物は、水分バリア性を有する。
【0048】
窒化物は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、または、窒化ケイ素である。水分バリア性の観点から、窒化物は、窒化ケイ素が好ましい。
【0049】
炭酸塩は、例えば、炭酸マグネシウムである。水酸化物は、例えば、水酸化マグネシウムである。炭酸マグネシウムおよび水酸化マグネシウムは、水分バリア性を有する。
【0050】
積層フィルム50は、平面視において、第1導電性バリア層51、絶縁層53、および、第2導電性バリア層52が重なる部分である重畳部50Xを含むことが好ましい。積層フィルム50が重畳部50Xを含む場合、絶縁層53を構成する材料がガスバリア性を有さない場合であっても、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52によって、ガスバリア性が高められる。本実施形態では、重畳部50Xは、電極体20の上面および下面の概ね全体を覆うように形成される。
【0051】
第1導電性バリア層51は、FB方向において、第2導電性バリア層52および絶縁層53よりも正極蓋体60X側まで延びている。積層フィルム50のうちの第3縁50C(
図2参照)を含む部分の第1導電性バリア層51は、正極蓋体60Xのフィルム接合部63と例えば、溶接によって接合される。
【0052】
第2導電性バリア層52は、FB方向において、第1導電性バリア層51および絶縁層53よりも負極蓋体60Y側まで延びている。積層フィルム50のうちの第4縁50D(
図2参照)を含む部分の第2導電性バリア層52は、負極蓋体60Yのフィルム接合部63と例えば、溶接によって接合される。なお、第2導電性バリア層52と電極体20とが短絡することを抑制する観点から、第2導電性バリア層52のうちの絶縁層53が積層される面と反対の面には、別の絶縁層が積層されることが好ましい。
【0053】
第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とが導通することを好適に抑制する観点から、FB方向において、絶縁層53の正極蓋体60X側の端部53Xは、第2導電性バリア層52の正極蓋体60X側の端部52Xよりも正極蓋体60Xに近い位置に存在することが好ましい。
【0054】
第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52とが導通することを好適に抑制する観点から、FB方向において、絶縁層53の負極蓋体60Y側の端部53Yは、第1導電性バリア層51の負極蓋体60Y側の端部51Yよりも負極蓋体60Yに近い位置に存在することが好ましい。
【0055】
第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52の厚さは、任意に選択可能である。第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52の厚さは、好ましくは約200μm以下、より好ましくは約150μm以下、さらに好ましくは約120μm以下、特に好ましくは約80μm以下である。また、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52の厚さは、好ましくは約4μm以上、さらに好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上である。また、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52の厚さの好ましい範囲としては、4~200μm程度、4~150μm程度、4~120μm程度、4~80μm程度、10~200μm程度、10~150μm程度、10~120μm程度、10~80μm程度、15~200μm程度、15~150μm程度、15~120μm程度、15~80μm程度が挙げられる。第1導電性バリア層51の厚さと第2導電性バリア層52の厚さとは、異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0056】
絶縁層53の厚さは、任意に選択可能である。絶縁層53の厚さは、好ましくは約300μm以下、より好ましくは約200μm以下、さらに好ましくは約150μm以下、特に好ましくは約120μm以下である。また、絶縁層53の厚さは、好ましくは約5μm以上、さらに好ましくは約15μm以上、より好ましくは約30μm以上である。また、絶縁層53の厚さの好ましい範囲としては、5~300μm程度、5~200μm程度、5~150μm程度、5~120μm程度、15~300μm程度、15~200μm程度、15~150μm程度、15~120μm程度、30~300μm程度、30~200μm程度、30~150μm程度、30~120μm程度が挙げられる。
【0057】
本実施形態では、電極体20の周囲に積層フィルム50が巻き付けられた状態で、積層フィルム50の互いに向き合う面同士が接合されることによって、第1封止部70が形成される。本実施形態では、積層フィルム50のうちの第1縁50Aを含む所定部分、および、第2縁50Bを含む所定部分において、第2導電性バリア層52のうちの絶縁層53が積層される面と反対の面には、熱融着性樹脂層が積層される。別の例では、第1封止部70は、積層フィルム50の互いに向き合う面同士の絶縁層53同士が接合されることによって、形成されてもよい。なお、第1封止部70は、積層フィルム50の互いに向き合う面同士の第1導電性バリア層51または第2導電性バリア層52が例えば溶接によって接合されることによって形成されてもよい。
【0058】
熱融着性樹脂層は、例えば、第2導電性バリア層52と接合される。熱融着性樹脂層は、接着層を介して第2導電性バリア層52と接合されてもよい。積層フィルム50に含まれる熱融着性樹脂層は、積層フィルム50にヒートシールによる封止性を付与する層である。熱融着性樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、または、これらのポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。熱融着性樹脂層の厚さは、シール性および強度の点から、例えば20~300μmであることが好ましく、40~150μmであることがより好ましい。
【0059】
第1封止部70は、
図2に示される積層フィルム50の第1縁50Aを含む部分と第2縁50Bを含む部分とがヒートシールされることによって形成される。第1封止部70は、外装体40の長手方向(FB方向)に延びる。外装体40において、第1封止部70が形成される位置は、任意に選択可能である。本実施形態では、第1封止部70の根本70Xは、外装体40の第1面41と第2面42との境界の辺43上に位置することが好ましい。第1面41は、第2面42よりも面積が大きい。第1封止部70の根本70Xは、外装体40の任意の面上に位置していてもよい。本実施形態では、第1封止部70は、平面視において、電極体20よりも外側に張り出している。第1封止部70は、例えば、外装体40の第2面42に向けて折り畳まれていてもよく、第1面41に向けて折り畳まれていてもよい。
【0060】
本実施形態では、積層フィルム50の第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52と、蓋体60のフィルム接合部63とが接合されることによって、第2封止部80が形成される。
【0061】
<1-2.蓄電デバイスの製造方法>
図5は、蓄電デバイス10の製造方法の一例を示すフローチャートである。蓄電デバイス10の製造方法は、例えば、第1工程、第2工程、第3工程、および、第4工程を含む。第1工程~第4工程は、例えば、蓄電デバイス10の製造装置によって実施される。第1工程~第4工程の少なくとも一部は、作業者によって実施されてもよい。なお、第1工程~第4工程は、蓄電デバイス10の製造方法の各工程の名称を便宜的に規定したものであって、各工程の順序を必ずしも意味するものではない。第1工程~第4工程の順序は、技術的に矛盾しない限り、任意に変更可能である。
【0062】
ステップS11の第1工程では、製造装置は、FB方向における電極体20の一方に正極蓋体60Xを配置し、他方に負極蓋体60Yを配置する。製造装置は、集電体30と正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yとを接合する。
【0063】
ステップS12の第2工程は、第1工程よりも後に実施される。第2工程では、製造装置は、規制手段によって電極体20および蓋体60の移動を規制しつつ、積層フィルム50にテンションが作用した状態で積層フィルム50を電極体20および蓋体60に巻き付ける。規制手段は、例えば、電極体20および蓋体60が嵌め込まれる溝である。規制手段は、電極体20および蓋体60が移動しないように、電極体20および蓋体60に外力を作用させる装置であってもよい。規制手段は、積層フィルム50が引っ張られる方向と反対方向の力を電極体20および蓋体60に作用させる装置であってもよい。なお、規制手段は、積層フィルム50のしわを取り除くために、積層フィルム50が引っ張られている状態において、積層フィルム50上を走行するローラーを含んでいてもよい。なお、FB方向の両端部に開口部が形成されるように筒状に構成された積層フィルム50の内部に電極体20を収容し、集電体30と蓋体60とを接合した後、開口部を蓋体60によって閉じてもよい。さらに別の例では、FB方向の両端部に開口部が形成されるように筒状に構成された積層フィルム50の内部に蓋体60と接続された状態の電極体20を収容し、開口部を蓋体60によって閉じてもよい。
【0064】
ステップS13の第3工程は、第2工程よりも後に実施される。第2工程では、製造装置は、積層フィルム50の第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52と、蓋体60のフィルム接合部63とを溶接することによって、第2封止部80を形成する。
【0065】
ステップS14の第4工程は、第3工程よりも前または後に実施される。第4工程では、製造装置は、積層フィルム50の第1縁50Aを含む部分の熱融着性樹脂層と、第2縁50Bを含む部分の熱融着性樹脂層とを、電極体20および蓋体60の移動を規制しつつ、積層フィルム50にテンションが作用した状態でヒートシールすることによって、第1封止部70を形成する。別の例では、第1封止部70は、積層フィルム50の互いに向き合う面同士の絶縁層53同士が接合されることによって、形成されてもよい。なお、積層フィルム50が熱融着性樹脂層を有していない場合、第4工程では、積層フィルム50の互いに向き合う面同士の第1導電性バリア層51または第2導電性バリア層52が例えば溶接によって接合されることによって第1封止部70が形成される。
【0066】
<1-3.蓄電デバイスの作用および効果>
蓄電デバイス10は、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが、直接的に接合される。蓄電デバイス10は、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが、直接的に接合される。このため、第2封止部80の接合強度が高い。また、絶縁層53は、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52が互いに導通しないように第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52に対して積層される。このため、蓄電デバイス10は、密封性が高められるとともに、正極蓋体60Xと負極蓋体60Yとが導通することが抑制される。
【0067】
[2.変形例]
上記実施形態は本発明に関する蓄電デバイス、外装フィルム、および、蓄電デバイスの製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する蓄電デバイス、外装フィルム、および、蓄電デバイスの製造方法は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例は、技術的に矛盾しない限り互いに組み合わせることができる。
【0068】
<2-1.第1変形例>
上記実施形態において、積層フィルム50は、重畳部50Xを有していなくてもよい。
図6は、第1変形例の蓄電デバイス10の断面図である。第1変形例では、積層フィルム50の第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52の一方は、絶縁層53のうちの他方が積層されていない箇所に積層される。
図6に示される例では、絶縁層53は、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52のいずれも積層されていない部分を含む。
【0069】
<2-2.第2変形例>
上記実施形態において、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52は、絶縁層53の同一面上に積層されてもよい。
図7は、第2変形例の蓄電デバイス10の断面図である。第2変形例では、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52は、絶縁層53のうちの電極体20と面する面と反対の面上に積層される。第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52は、互いに導通しないように、FB方向において間隔が形成されるように絶縁層53に積層されることが好ましい。絶縁層53を構成する材料がガスバリア性を有さない場合、絶縁層53のうちの第1導電性バリア層51と第2導電性バリア層52との間には、ガスバリア性を有する材料を含んで構成される任意の層が積層されてもよい。なお、第2変形例では、第1導電性バリア層51および第2導電性バリア層52は、絶縁層53のうちの電極体20と面する面上に積層されてもよい。
【0070】
<2-3.第3変形例>
上記実施形態において、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52のうちの絶縁層53が積層される面と反対の面に積層される絶縁層54を有していてもよい。
図8Aは、第3変形例の蓄電デバイス10の断面図である。第3変形例では、絶縁層53は、第1導電性バリア層51のうちの正極蓋体60X側の端部51Xを含む部分まで積層されてもよい。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xのフィルム接合部63とを溶接する際に、絶縁層53の一部が溶ける。このため、絶縁層53は、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが接合された部分である正極接合部60XAに隣接する。第3変形例では、ヒートシールによって絶縁層53の一部が溶け、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが隣接し、その後の溶接によって第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが接合することもある。この場合でも、絶縁層53は正極接合部60XAに隣接する。
【0071】
同様に絶縁層54は、第2導電性バリア層52のうちの負極蓋体60Y側の端部52Yを含む部分まで積層されてもよい。第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yのフィルム接合部63とを溶接する際に、絶縁層54の一部が溶ける。このため、絶縁層54は、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが接合された部分である負極接合部60YAに隣接する。第3変形例では、ヒートシールによって絶縁層54の一部が溶け、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが隣接し、その後の溶接によって第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが接合することもある。この場合でも、絶縁層54は負極接合部60YAに隣接する。
【0072】
第3変形例において、溶接の態様によっては、絶縁層53および絶縁層54の少なくとも一方は、実質的に溶けない場合がある。
図8Bは、第3変形例の別の例の蓄電デバイス10の断面図である。
図8Bに示されるように、第3変形例の蓄電デバイス10において、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとは、絶縁層53を介して接合されてもよい。第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとは、絶縁層54を介して接合されてもよい。
図8Bに示される構成でも従来のヒートシールによって第2封止部を形成する蓄電デバイスよりも第2封止部80の接合強度は高められる。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yとが絶縁層53を介して接合される場合、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52を有さなくても、正極蓋体60Xと負極蓋体60Yとは導通しない。しかし、正極蓋体60Xまたは負極蓋体60Yと、第1導電性バリア層51とが短絡する可能性があるため、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52が設けられる。
【0073】
<2-4.第4変形例>
第1変形例において、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52のうちの絶縁層53が積層される面と反対の面に積層される絶縁層54を有していてもよい。
図9Aは、第4変形例の蓄電デバイス10の断面図である。第4変形例では、絶縁層53は、第1導電性バリア層51のうちの正極蓋体60X側の端部51Xを含む部分まで積層されてもよい。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xのフィルム接合部63とを溶接する際に、絶縁層53の一部が溶ける。このため、絶縁層53は、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが接合された部分である正極接合部60XAに隣接する。第4変形例では、ヒートシールによって絶縁層53の一部が溶け、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが隣接し、その後の溶接によって第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが接合することもある。この場合でも、絶縁層53は正極接合部60XAに隣接する。
【0074】
同様に絶縁層54は、第2導電性バリア層52のうちの負極蓋体60Y側の端部52Yを含む部分まで積層されてもよい。第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yのフィルム接合部63とを溶接する際に、絶縁層54の一部が溶ける。このため、絶縁層54は、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが接合された部分である負極接合部60YAに隣接する。第4変形例では、ヒートシールによって絶縁層54の一部が溶け、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが隣接し、その後の溶接によって第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが接合することもある。この場合でも、絶縁層54は負極接合部60YAに隣接する。
【0075】
第4変形例において、溶接の態様によっては、絶縁層53および絶縁層54の少なくとも一方は、実質的に溶けない場合がある。
図9Bは、第4変形例の別の例の蓄電デバイス10の断面図である。
図9Bに示されるように、第4変形例の蓄電デバイス10において、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとは、絶縁層53を介して接合されてもよい。第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとは、絶縁層54を介して接合されてもよい。
図9Bに示される構成でも従来のヒートシールによって第2封止部を形成する蓄電デバイスよりも第2封止部80の接合強度は高められる。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yとが絶縁層53を介して接合される場合、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52を有さなくても、正極蓋体60Xと負極蓋体60Yとは導通しない。しかし、正極蓋体60Xまたは負極蓋体60Yと、第1導電性バリア層51とが短絡する可能性があるため、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52が設けられる。
【0076】
<2-5.第5変形例>
第2変形例において、絶縁層53は、第1導電性バリア層51のうちの正極蓋体60X側の端部51Xを含む部分、および、第2導電性バリア層52のうちの負極蓋体60Y側の端部52Yを含む部分まで積層されてもよい。
図10Aは、第5変形例の蓄電デバイス10の断面図である。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xのフィルム接合部63とを溶接する際に、絶縁層53の一部が溶ける。このため、絶縁層53は、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが接合された部分である正極接合部60XAに隣接する。第5変形例では、ヒートシールによって絶縁層53の一部が溶け、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが隣接し、その後の溶接によって第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとが接合することもある。この場合でも、絶縁層53は正極接合部60XAに隣接する。
【0077】
第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yのフィルム接合部63とを溶接する際に、絶縁層53の一部が溶ける。このため、絶縁層53は、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが接合された部分である負極接合部60YAに隣接する。第5変形例では、ヒートシールによって絶縁層53の一部が溶け、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが隣接し、その後の溶接によって第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとが接合することもある。この場合でも、絶縁層53は負極接合部60YAに隣接する。
【0078】
第5変形例において、溶接の態様によっては、絶縁層53および絶縁層54の少なくとも一方は、実質的に溶けない場合がある。
図10Bは、第5変形例の別の例の蓄電デバイス10の断面図である。
図10Bに示されるように、第5変形例の蓄電デバイス10において、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとは、絶縁層53を介して接合されてもよい。第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとは、絶縁層54を介して接合されてもよい。
図10Bに示される構成でも従来のヒートシールによって第2封止部を形成する蓄電デバイスよりも第2封止部80の接合強度は高められる。第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yとが絶縁層53を介して接合される場合、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52を有さなくても、正極蓋体60Xと負極蓋体60Yとは導通しない。しかし、正極蓋体60Xまたは負極蓋体60Yと、第1導電性バリア層51とが短絡する可能性があるため、積層フィルム50は、第2導電性バリア層52が設けられる。
【0079】
<2-6.第6変形例>
上記実施形態において、積層フィルム50の層構成は、変更可能である。
図11は、第6変形例の蓄電デバイスが備える積層フィルム50の層構成の一例を示す断面図である。積層フィルム50は、絶縁層55および絶縁層56を有していてもよい。絶縁層55は、第1導電性バリア層51のうちの絶縁層53が積層される面と反対の面に積層される。絶縁層56は、第2導電性バリア層52のうちの絶縁層53が積層される面と反対の面に積層される。
【0080】
FB方向において、第1導電性バリア層51の正極蓋体60X側の端部51Xは、絶縁層55の正極蓋体60X側の端部55Xよりも正極蓋体60Xに近い位置に存在することが好ましい。第1導電性バリア層51の端部51Xが露出するため、第1導電性バリア層51と正極蓋体60Xとを容易に接合することができる。FB方向において、第2導電性バリア層52の負極蓋体60Y側の端部52Yは、絶縁層56の負極蓋体60Y側の端部56Yよりも負極蓋体60Yに近い位置に存在することが好ましい。第2導電性バリア層52の端部52Yが露出するため、第2導電性バリア層52と負極蓋体60Yとを容易に接合することができる。
【0081】
<2-7.第7変形例>
上記実施形態において、蓄電デバイス10は、積層フィルム50、正極蓋体60X、および、負極蓋体60Yと、外部とを絶縁させる外袋100をさらに備えていてもよい。
図12は、第7変形例の蓄電デバイス10の断面図である。外袋100は、少なくとも積層フィルム50、正極蓋体60X、および、負極蓋体60Yを包む。外袋100を構成する材料は、絶縁性を有する材料であれば任意に選択可能である。外袋100を構成する材料は、例えば、絶縁層53を構成する材料として例示した材料を用いることができる。外袋100のうちの蓋体60の第2面62と面する箇所には、外部機器と蓋体60とを接続するための配線等が通過可能な孔100Xが形成されることが好ましい。
【0082】
<2-8.第8変形例>
上記実施形態では、正極部材および負極部材の具体例として蓋体60が挙げられたが、正極部材および負極部材の具体例は、蓋体60に限られない。
図13は、第8変形例の蓄電デバイス10の断面図である。第8変形例では、正極部材および負極部材は、電極端子130A、130Bである。第1導電性バリア層51は、正極と接続される電極端子130Aと接合される。第2導電性バリア層52は、負極と接続される電極端子130Bと接続される。第8変形例では、積層フィルム50は、例えば、冷間成形によって電極体20を収容する収容部(窪み)が形成されてもよい。第8変形例は、第1変形例~第7変形例にも同様に適用することができる。
【0083】
<2-9.第9変形例>
上記実施形態において、積層フィルム50のうちの第3縁50C(
図2参照)を含む部分の第1導電性バリア層51は、負極蓋体60Yのフィルム接合部63と例えば、溶接によって接合されてもよい。積層フィルム50のうちの第4縁50D(
図2参照)を含む部分の第2導電性バリア層52は、正極蓋体60Xのフィルム接合部63と例えば、溶接によって接合されてもよい。第9変形例は、第1変形例~第8変形例にも同様に適用することができる。
【0084】
<2-10.第10変形例>
上記実施形態において、蓄電デバイス10の積層フィルム50は、FB方向において、正極蓋体60Xおよび負極蓋体60Yの少なくとも一方よりも外側に張り出していてもよい。積層フィルム50のうちの蓋体60よりも外側に張り出した部分が閉じられることによって、電極体20は封止される。積層フィルム50のうちの蓋体60よりも張り出した部分は、ゲーベルトップ型のパウチ、または、ブリック型のパウチのように折り畳まれてもよい。第10変形例においては、蓋体60の第2面62に外部機器と接続するための凸部が形成されることが好ましい。FB方向における凸部の長さは、積層フィルム50のうちの蓋体60よりも外側に張り出した部分から露出する程度の長さであることが好ましい。
【0085】
<2-11.第11変形例>
上記実施形態において、外装体40の外郭形状は、任意に変更可能である。外装体40の外郭形状は、円柱、角柱、または、立方体であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 :蓄電デバイス
20 :電極体
40 :外装体
50 :積層フィルム
51 :第1導電性バリア層
52 :第2導電性バリア層
53 :絶縁層
60:蓋体
60X:正極蓋体(正極部材)
60Y:負極蓋体(負極部材)
60XA:正極接合部
60YA:負極接合部
130A:電極端子(正極部材)
130B:電極端子(負極部材)