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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010806
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】電力管理装置及び電力管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20250116BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20250116BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20250116BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20250116BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20250116BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J3/38 110
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113029
(22)【出願日】2023-07-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】500482511
【氏名又は名称】森田 裕行
(74)【代理人】
【識別番号】100142734
【弁理士】
【氏名又は名称】安 裕 希
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕行
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064DA03
5G066AA04
5G066HB06
5G066HB09
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】電力の需給バランスを安定的に維持することができる電力管理装置及び電力管理システムを提供する。
【解決手段】電力管理システムは、複数の電力管理装置と、該複数の電力管理装置に接続され、負荷、発電機又は蓄電器のいずれかとして機能する複数の機器とを備える。電力管理装置は、上記機器及び他の電力管理装置との間で配線を介して接続可能に構成された3つ以上の電力入出力ポートと、これらの電力入出力ポートのうち2つの電力入出力ポートを切替可能に接続し、互いに接続された2つの電力入出力ポート間で電力を伝送させるスイッチ部とを有する。電力管理装置は、当該電力管理装置に接続されている機器において必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率と、電力の購入又は販売に関して提示される価格情報とを含む需給情報を生成し、他の電力管理装置に所定の単位時間ごとに送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力管理システムにおいて、電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能する複数の機器の間における電力の伝送を中継する電力管理装置であって、
電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能する機器及び他の電力管理装置との間で配線を介して接続可能に構成された3つ以上の電力入出力ポートと、
前記3つ以上の電力入出力ポートのうち2つの電力入出力ポートを切替可能に接続し、互いに接続された2つの電力入出力ポートの間で電力を伝送させるように構成されたスイッチ部と、
当該電力管理装置に個別に付与されたデバイス識別情報を記憶するように構成された記憶部と、
当該電力管理装置と接続された他の電力管理装置との間で、少なくとも前記デバイス識別情報を互いに送受信するように構成された通信部と、
当該電力管理装置に接続されている前記機器における電力の需給情報であって、必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率と、電力の購入又は販売に関して提示される価格情報とを含む需給情報を生成し、該需給情報を、当該電力管理装置に接続された他の電力管理装置に所定の単位時間ごとに送信させるように構成された需給情報生成部と、
他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づいて、前記3つ以上の電力入出力ポートのうち、互いに接続させる2つの電力入出力ポートを前記所定の単位時間ごとに決定するように構成された選択部と、
を有する電力管理装置。
【請求項2】
互いに接続された2つの電力入出力ポートの間において伝送された電力の方向及び電力量を、前記所定の単位時間ごとに計測するように構成された電力計測部と、
前記電力計測部により計測された電力の方向及び電力量と、前記互いに接続された2つの電力入出力ポートのうちの一方に接続された他の電力管理装置との間で送信又は受信された前記需給情報に含まれる価格情報と、該他の電力管理装置のデバイス識別情報と、を含む電力情報を生成するように構成された電力情報生成部と、
をさらに有し、
前記記憶部は、当該電力管理装置のユーザごとに付与されたユーザ識別情報をさらに記憶し、
前記通信部は、前記電力情報生成部により生成された前記電力情報を、当該電力管理装置に付与されたユーザ識別情報と紐づけて通信ネットワークに送信するように構成されている、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
当該電力管理装置に負荷として機能する機器が接続されている場合、前記選択部は、他の電力管理送信から受信された前記需給情報に基づき、電力の余剰率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項4】
当該電力管理装置に発電機として機能する機器が接続されている場合、前記選択部は、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づき、電力の不足率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項5】
当該電力管理装置に蓄電器として機能する機器が接続されている場合、
該機器が蓄電モードにあるとき、前記選択部は、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づき、電力の余剰率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択し、
該機器が放電モードにあるとき、前記選択部は、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づき、電力の不足率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記選択部は、他の電力管理装置から前記需給情報を受信した場合、該需給情報に含まれる価格情報に基づいて、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択する、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記需給情報生成部は、必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率に応じて、前記価格情報を調整する、請求項6に記載の電力管理装置。
【請求項8】
前記需給情報生成部は、
当該電力管理装置に負荷として機能する機器が接続されている場合において、電力の不足率が所定期間変化しないとき、電力の購入価格を引き上げるように、前記価格情報を変更し、
当該電力管理装置に発電機として機能する機器が接続されている場合において、電力の余剰率が所定期間変化しないとき、電力の販売価格を引き下げるように、前記価格情報を変更する、
請求項7に記載の電力管理装置。
【請求項9】
前記需給情報は、電力線搬送通信により他の電力管理装置との間で送受信される、請求項1~8のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項10】
前記需給情報は、通信ネットワークを介して他の電力管理装置との間で送受信される、請求項1~8のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の複数の電力管理装置であって、配線を介して接続された複数の電力管理装置と、
電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能し、前記複数の電力管理装置に接続された複数の機器と、
を備える電力管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給及び消費を管理する電力需給管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市部で消費される電力は、山間部や沿岸部など、都市部から離れた地域に設けられた発電所で生成され、電圧変換され、送電線を通じて都市部に送られる。送電により発生する電力損失は、例えば山間部から都市部に送電する場合、かなりの割合に及ぶと言われている。
【0003】
他方、近年では、一般家庭や小規模事業者向けに、太陽光発電や小規模水力発電などの様々な発電装置が製品化されている。また、最近では、電力の小売りの自由化により、多く事業者が発電事業に参入している。このように、従来の大手電力会社から電力供給を受ける他にも、電力の調達手段の選択肢は広がっている。
【0004】
ところで、一般家庭や多くの事業所における電力の消費量は、各戸に設置される電力メータによりモニタされている。一般家庭や小規模事業者に対する電気料金は、通常、この電力メータによるモニタ値をもとに、所定期間(例えば1日)内における電力消費量のピーク値を基準として設定され、電力会社に請求されている。
【0005】
消費電力への課金に関する技術として、特許文献1には、機器の各々への電力の供給に対して課金する電力供給方法が開示されている。この電力供給方法においては、機器が電力供給要求を送信し、電力供給所が電力供給要求を受信し、電力供給要求を受信した電力供給所は、電力パケットの送電を開始する。電力供給所において電力パケットの送電が開始されると、機器は、電力パケットの受電を開始する。機器及び電力供給所は、それぞれ、電力ルーティングされる電力パケットを受電及び送電する。電力供給要求には、電力ルーティングにおける電力供給先アドレスが含まれており、電力供給所は、電力供給要求に含まれる電力供給先アドレスを電力パケットに付加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2012/81312号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した電力損失を考慮すると、送電距離をできるだけ短くするために、自家発電を行ったり、近隣の電力利用者間で、発電した電力を融通し合ったりすることが考えられる。この場合、近隣の電力利用者は、電力の供給者にもなり得るし、消費者にもなり得る。このように、お互いに電力を融通し合えるようなシステムを維持するためには、当該システムにおいて電力の需給バランスを安定的に維持することが重要となる。
【0008】
本発明は以上を鑑みてなされたものであり、電力の需給バランスを安定的に維持することができる電力管理装置及び電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様である電力管理装置は、電力管理システムにおいて、電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能する複数の機器の間における電力の伝送を中継する電力管理装置であって、電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能する機器及び他の電力管理装置との間で配線を介して接続可能に構成された3つ以上の電力入出力ポートと、前記3つ以上の電力入出力ポートのうち2つの電力入出力ポートを切替可能に接続し、互いに接続された2つの電力入出力ポートの間で電力を伝送させるように構成されたスイッチ部と、当該電力管理装置に個別に付与されたデバイス識別情報を記憶するように構成された記憶部と、当該電力管理装置と接続された他の電力管理装置との間で、少なくとも前記デバイス識別情報を互いに送受信するように構成された通信部と、当該電力管理装置に接続されている前記機器における電力の需給情報であって、必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率と、電力の購入又は販売に関して提示される価格情報とを含む需給情報を生成し、該需給情報を、当該電力管理装置に接続された他の電力管理装置に所定の単位時間ごとに送信させるように構成された需給情報生成部と、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づいて、前記3つ以上の電力入出力ポートのうち、互いに接続させる2つの電力入出力ポートを前記所定の単位時間ごとに決定するように構成された選択部と、を有する。
【0010】
上記電力管理装置は、互いに接続された2つの電力入出力ポートの間において伝送された電力の方向及び電力量を、前記所定の単位時間ごとに計測するように構成された電力計測部と、前記電力計測部により計測された電力の方向及び電力量と、前記互いに接続された2つの電力入出力ポートのうちの一方に接続された他の電力管理装置との間で送信又は受信された前記需給情報に含まれる価格情報と、該他の電力管理装置のデバイス識別情報と、を含む電力情報を生成するように構成された電力情報生成部と、をさらに有し、前記記憶部は、当該電力管理装置のユーザごとに付与されたユーザ識別情報をさらに記憶し、前記通信部は、前記電力情報生成部により生成された前記電力情報を、当該電力管理装置に付与されたユーザ識別情報と紐づけて通信ネットワークに送信するように構成されていても良い。
【0011】
上記電力管理装置において、当該電力管理装置に負荷として機能する機器が接続されている場合、前記選択部は、他の電力管理送信から受信された前記需給情報に基づき、電力の余剰率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択しても良い。
【0012】
上記電力管理装置において、当該電力管理装置に発電機として機能する機器が接続されている場合、前記選択部は、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づき、電力の不足率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択しても良い。
【0013】
上記電力管理装置において、当該電力管理装置に蓄電器として機能する機器が接続されている場合、該機器が蓄電モードにあるとき、前記選択部は、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づき、電力の余剰率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択し、該機器が放電モードにあるとき、前記選択部は、他の電力管理装置から受信された前記需給情報に基づき、電力の不足率が最も高い他の電力管理装置が接続された電力入出力ポートを、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択しても良い。
【0014】
上記電力管理装置において、前記選択部は、他の電力管理装置から前記需給情報を受信した場合、該需給情報に含まれる価格情報に基づいて、前記互いに接続させる2つの電力入出力ポートの一方の電力入出力ポートとして選択しても良い。
【0015】
上記電力管理装置において、前記需給情報生成部は、必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率に応じて、前記価格情報を調整しても良い。
【0016】
上記電力管理装置において、前記需給情報生成部は、当該電力管理装置に負荷として機能する機器が接続されている場合において、電力の不足率が所定期間変化しないとき、電力の購入価格を引き上げるように、前記価格情報を変更し、当該電力管理装置に発電機として機能する機器が接続されている場合において、電力の余剰率が所定期間変化しないとき、電力の販売価格を引き下げるように、前記価格情報を変更しても良い。
【0017】
上記電力管理装置において、前記需給情報は、電力線搬送通信により他の電力管理装置との間で送受信されても良い。
【0018】
上記電力管理装置において、前記需給情報は、通信ネットワークを介して他の電力管理装置との間で送受信されても良い。
【0019】
本発明の別の態様である電力管理システムは、上述した複数の電力管理装置であって、配線を介して接続された複数の電力管理装置と、電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能し、前記複数の電力管理装置に接続された複数の機器と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電力の需給バランスを安定的に維持することができる電力管理装置及び電力管理システムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る電力管理システムの構成例を示す図である。
図2図1に示す電力管理装置の概略構成を示すブロック図である。
図3A】ポート部の動作を説明するための模式図である。
図3B】ポート部の動作を説明するための模式図である。
図3C】ポート部の動作を説明するための模式図である。
図4】需給情報及び電力情報を例示する表である。
図5】電力管理システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る電力管理装置及び電力管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る電力管理システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施に係る電力管理システム1は、配線Wを介して接続された複数の電力管理装置10,10a,10b,10c,10d,…と、電力の負荷、発電機、又は、蓄電器のいずれかとして機能する複数の機器とを備える。図1には、発電機11a,11dと、蓄電器12a,12dと、負荷13a,13b,13cとが表示されている。以下において、電力管理装置10,10a,10b,10c,10d,…を総称して、電力管理装置10と記すこともある。また、発電機11a,11dを総称して発電機11、蓄電器12a,12dを総称して蓄電器12、負荷13a,13b,13cを総称して負荷13と記すこともある。発電機10は、例えば、太陽光発電システム、風力発電システム、海洋温度差発電システム、波力発電システム等である。また、蓄電器12としては、一般的な蓄電器の他、電気自動車を適用することも可能である。
【0024】
詳細には、ユーザAが使用する電力管理装置10aには、発電機11a、蓄電器12a、及び負荷13aが接続されている。ユーザBが使用する電力管理装置10bには、負荷13bが接続されている。ユーザCが使用する電力管理装置10cには、負荷13cが接続されている。ユーザDが使用する電力管理装置10dには、発電機11d及び蓄電器12dが接続されている。また、電力管理装置10a,10b,10cは相互に接続されており、電力管理装置10b,10dは相互に接続されている。
【0025】
このように、1つの電力管理装置10に接続可能な発電機11、蓄電器12、負荷13、及び他の電力管理装置10の数は、各電力管理装置10に設けられた電力入出力ポート(後述)の数以下であれば、限定されない。つまり、電力管理システム1においては、配線Wを介して電力管理装置10同士を接続することにより、任意の態様の電力伝送ネットワークを形成することができる。
【0026】
電力管理装置10は、発電機11、蓄電器12、及び、負荷13の間における電力の伝送を中継する機器である。後述するように、各電力管理装置10は、有線又は無線による通信機能を有しており、自身で生成した情報を、配線W又は通信ネットワークNを介して、他の電力管理装置10や端末20に送信することもできる。
【0027】
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、電気通信回線等、及びこれらの組み合わせのいずれであっても良く、有線、無線のいずれであっても良い。端末20は、例えば、コンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等によって構成することができる。また、通信ネットワークNに、ユーザ間における電力利用料の精算用サーバ装置を接続しても良い。
【0028】
図2は、電力管理装置10の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、電力管理装置10は、ポート部110と、通信部120と、コントローラ130とを有する。
【0029】
ポート部110は、3つ以上の電力入出力ポートP1,P2,…,P3,P4,P5と、スイッチ部111と、電力計測部112とを備える。各電力入出力ポートP1,P2,…,P3,P4,P5は、発電機11、蓄電器12、負荷13、及び、他の電力管理装置10との間で配線を介して接続可能に構成されている。
【0030】
スイッチ部111は、コントローラ130の制御の下で、3つ以上の電力入出力ポートP1,P2,…,P3,P4,P5のうち2つの電力入出力ポートを切替可能に接続し、互いに接続された2つの電力入出力ポートの間で電力を伝送させるように構成されている。
【0031】
電力計測部112は、互いに接続された2つの電力入出力ポートの間において伝送された電力の方向及び電力量を、所定の単位時間ごとに計測するように構成されている。ここで、所定の単位時間は、特に限定されず、例えば、30秒毎、1分毎、5分毎、30分毎、1時間毎など、適宜設定することができる。
【0032】
図3A図3Cは、ポート部110の動作を説明するための模式図であり、一例として、ユーザAの電力管理装置10aにおけるポート部110を示している。以下、電力入出力ポートのことを、単にポートとも記す。図3A図3Cに示すように、配線Wを介して、電力管理装置10aのポートP1にはユーザBの電力管理装置10bが接続され、ポートP2にはユーザCの電力管理装置10cが接続されている。また、ポートP3には発電機11a、ポートP4には蓄電器12a、ポートP5には負荷13aがそれぞれ接続されている。
【0033】
図3Aに示すように、スイッチ部111においてポートP1とポートP3が接続されたとき、発電機11aから、電力管理装置10bを介して負荷13bに電力が供給される。このとき、電力計測部112は、ポートP3からポートP1に向かう電力量及び方向を計測する。
【0034】
図3Bに示すように、スイッチ部111においてポートP2とポートP4が接続されたとき、蓄電器12aから、電力管理装置10cを介して負荷13cに電力が供給される。このとき、電力計測部112は、ポートP4からポートP2に向かう電力量及び方向を計測する。
【0035】
図3Cに示すように、スイッチ部111においてポートP3とポートP5が接続されたとき、発電機11aから負荷13aに電力が供給される。このとき、電力計測部112は、ポートP3からポートP5に向かう電力量及び方向を計測する。
【0036】
通信部120は、電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)により、配線Wを介して接続された他の電力管理装置10との間で情報を送受信する通信インタフェースである。或いは、通信部120は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他各種の通信技術を用いて、当該電力管理装置10を通信ネットワークNに接続し、通信ネットワークNに接続された機器(他の電力管理装置10や端末20)との間で情報を送受信しても良い。もちろん、通信部120は、PLCと他の通信技術とを組み合わせて、他の機器との間で通信を行っても良い。
【0037】
通信部120は、当該電力管理装置10と接続された他の電力管理装置10との間で、少なくとも各々に付与されたデバイス識別情報(後述)を互いに送受信するように構成されている。
【0038】
コントローラ130は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、記憶部140及び処理部150を有する。
【0039】
記憶部140は、例えばROMやRAM等の半導体メモリにより構成される記憶媒体であり、プログラム記憶部141と、識別情報記憶部142と、電力情報記憶部143とを含む。プログラム記憶部141は、処理部150に実行させるプログラムや該プログラムの実行中に使用される各種パラメータを記憶する。
【0040】
識別情報記憶部142は、電力管理装置10に個別に付与されたデバイス識別情報(以下、デバイスIDとも記す)と、当該電力管理装置10を使用するユーザごとに付与されたユーザ識別情報(以下、ユーザIDとも記す)とを記憶する。デバイスIDは原則として書き換えることができない。一方、ユーザIDは書き換えが可能である。
【0041】
電力情報記憶部143は、後述する電力情報生成部153により生成された電力情報を記憶する。
【0042】
処理部150は、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いて構成され、プログラム記憶部141に記憶されたプログラムを読み込むことにより、電力管理装置10の各部を統括的に制御し、当該電力管理装置10において生成された情報を他の電力管理装置10や端末20との間で送受信することにより、電力の需給を管理すると共に、電力使用料の精算に使用される情報を管理するための各種演算処理を実行する。処理部150により実現される機能部には、需給情報生成部151と、選択部152と、電力情報生成部153と、識別情報判定部154とが含まれる。
【0043】
需給情報生成部151は、当該電力管理装置10に接続されている機器における電力の需給情報を生成し、当該電力管理装置10に接続された他の電力管理装置10との間で需給情報を所定の単位時間ごとに送信する。需給情報は、当該電力管理装置10において、必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率と、電力の購入又は販売に関して提示される価格情報とを含む。また、需給情報は、当該電力管理装置10に付与されたデバイスIDを含んでもよい。
【0044】
例えば、ユーザAの電力管理装置10aにおいて生成される需給情報には、発電機11aにより供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率、負荷13aにおいて必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、蓄電器12aにより供給可能な電力の大きさ及び余剰率若しくは充電に必要な電力の大きさ及び不足率等が含まれ得る。
【0045】
ここで、発電機11aに関する需給情報は、発電機11aの定格出力の他、そのときの発電出力に応じて生成され得る。例えば、発電機11aが太陽光発電システムである場合、晴天のときには供給可能な電力が大きくなり、雨天のときには供給可能な電力が小さくなる。また、蓄電器12aに関する需給情報は、蓄電器12aにおける充電率に応じて生成されるようにしても良い。例えば、充電率が閾値以上である場合に、供給可能な電力の大きさ及び余剰率を含む需給情報が生成され、充電率が閾値未満である場合に、必要電力及び不足率を含む需給情報が生成されるようにしても良い。
【0046】
また、ユーザBが使用する電力管理装置10bにおいて生成される需給情報には、負荷13bにおいて必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率が含まれ得る。つまり、需給情報生成部151は、当該電力管理装置10に接続されている機器(発電機11、蓄電器12、負荷13)及びこれらの稼働状態(電源のオンオフや充電率等)に応じた需給情報を生成する。
【0047】
需給情報に含まれる価格情報は、他の電力管理装置10(に接続された機器)から電力供給を受ける際にオファーされる購入価格を表す情報、又は、他の電力管理装置10(に接続された機器)に電力を供給する際にオファーされる販売価格を表す情報である。価格情報は、金額そのものであっても良いし、所定の基準価格に対する倍率であっても良いし、ポイント数であっても良い。
【0048】
需給情報生成部151は、当該電力管理装置10に接続された機器において必要な消費電力の大きさ及び電力の不足率、又は、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率に応じて、提示する価格情報を調整しても良い。
【0049】
また、需給情報生成部151は、当該電力管理装置10に負荷13が接続されている場合において、電力の不足率が所定期間変化しないとき、電力の購入価格を引き上げるように価格情報を変更しても良い。反対に、需給情報生成部151は、当該電力管理装置10に発電機11が接続されている場合において、電力の余剰率が所定期間変化しないとき、電力の販売価格を引き下げるように価格情報を変更しても良い。
【0050】
また、需給情報生成部151は、需給情報に、識別情報記憶部142に記憶されたユーザIDを付加して送信することとしても良い。
【0051】
需給情報生成部151が需給情報を生成して他の電力管理装置10に送信する時間間隔は、原則として、上述した電力計測部112が電力を計測する単位時間と同期されることとしても良い。
【0052】
需給情報は、電力線搬送通信(PLC)により、配線Wを介して当該電力管理装置10に接続された他の電力管理装置10との間で送受信されても良いし、通信ネットワークNを介して他の電力管理装置10との間で送受信されても良い。
【0053】
選択部152は、当該電力管理装置10が他の電力管理装置10から需給情報を受信した場合に、受信された需給情報に基づいて、3つ以上のポートP1,P2,…のうち、互いに接続させる2つのポートを上記所定の単位時間ごとに決定するように構成されている。選択部152は、需給情報生成部151における需給情報の受信と同期して動作するように構成されても良い。
【0054】
詳細には、選択部152は、他の電力管理装置10から受信した需給情報に含まれる価格情報に基づいて、互いに接続させる2つのポートP1,P2,…の一方を選択することができる。
【0055】
一例として、ユーザAの発電機11aが稼働しており、ユーザAの電力管理装置10aが、ユーザBの電力管理装置10a及びユーザCの電力管理装置10cの両方から、電力を要求する旨の(即ち、必要電力及び不足率を含む)需給情報を受信した場合、電力管理装置10aは、これらの需給情報に含まれる価格情報を比較し、価格情報によって表される購入金額が高い方の電力管理装置10b,10cが接続されたポートと、発電機11aが接続されたポートとを接続し、発電機11aから電力を伝送する。
【0056】
別の例として、ユーザBの負荷13bが稼働しており、ユーザBの電力管理装置10bが、ユーザAの電力管理装置10a及びユーザDの電力管理装置10dの両方から電力を供給する旨の(即ち、供給電力及び余剰率を含む)需給情報を受信した場合、電力管理装置10bは、これらの需給情報に含まれる価格情報を比較し、価格情報によって表される販売価格が安い方の電力管理装置10a,10dが接続されたポートと、負荷13bが接続されたポートとを接続し、負荷13bに電力を伝送することができる。
【0057】
また、選択部152は、当該電力管理装置10に負荷13が接続されている場合に、他の電力管理送信10から受信された需給情報に基づき、電力の余剰率が最も高い他の電力管理装置10が接続されたポートP1,P2,…を、互いに接続させる2つのポートの一方として選択しても良い。例えば、ユーザBの電力管理装置10bが、ユーザAの電力管理装置10a及びユーザDの電力管理装置10dの両方から需給情報を受信した場合、電力管理装置10bは、需給情報に含まれる電力の余剰率が高い方の電力管理装置10a,10dが接続されたポートと、負荷13bが接続されたポートとを接続し、負荷13bに電力を伝送することができる。
【0058】
また、選択部152は、当該電力管理装置10に発電機11が接続されている場合、他の電力管理送信10から受信された需給情報に基づき、電力の不足率が最も高い他の電力管理装置10が接続されたポートP1,P2,…を、互いに接続させる2つのポートの一方として選択しても良い。例えば、ユーザAの電力管理装置10aが、ユーザBの電力管理装置10b及びユーザCの電力管理装置10cの両方から需給情報を受信した場合、電力管理装置10aは、需給情報に含まれる電力の不足率が高い方の電力管理装置10b,10cが接続されたポートと、発電機11が接続されたポートとを接続し、発電機11から電力を伝送することができる。
【0059】
また、選択部152は、当該電力管理装置10に蓄電器12が接続されている場合において、該蓄電器12が蓄電モードにあるとき、他の電力管理装置10から受信された需給情報に基づき、電力の余剰率が最も高い他の電力管理装置10が接続されたポートP1,P2,…を、互いに接続させる2つのポートの一方として選択しても良い。一方、選択部152は、該蓄電器12が放電モードにあるとき、他の電力管理送信10から受信された需給情報に基づき、電力の不足率が最も高い他の電力管理装置10が接続されたポートを、互いに接続させる2つのポートP1,P2,…の一方として選択しても良い。
【0060】
電力の余剰率や不足率に応じて価格情報を調整する際のパラメータは、各ユーザが、端末20を通じて電力管理装置10を操作することにより設定できることとしても良い。
【0061】
電力情報生成部153は、電力計測部112により計測された電力の方向及び電力量と、互いに接続された2つのポートのうちの一方に接続された他の電力管理装置10との間で送信又は受信された需給情報に含まれる価格情報と、該他の電力管理装置10のデバイスIDと、を含む電力情報を生成し、電力情報記憶部143に記録させるように構成されている。電力情報記憶部143に記憶された電力情報は、当該電力管理装置10に付与されたデバイスIDと紐づけられ、通信部120により通信ネットワークNに送信されるように構成されている。
【0062】
識別情報判定部154は、他の電力管理装置10から受信した需給情報にユーザIDが含まれている場合に、このユーザIDが、自身の識別情報記憶部142に記憶されたユーザIDと同一であるか否かを判定する。
【0063】
次に、電力管理システム1における各電力管理装置10の動作について詳しく説明する。図4は、需給情報及び電力情報を例示する表であり、ユーザBが使用する電力管理装置10bにより生成される需給情報及び電力情報の例を示している。図1に示すように、電力管理装置10bには負荷13bが接続されているため、負荷13bを使用する場合には、配線Wを通じて電力の供給を受ける必要がある。図4において、需給情報及び電力情報は、1分間毎に生成される。また、図4において、価格情報は、基準価格に対する倍率を示している。
【0064】
ここで、各電力管理装置10は、配線Wを介して互いに接続された際に、接続相手の電力管理装置10との間でデバイスIDを送受信する。これにより、各電力管理装置10は、需給情報の送信元又は送信先、並びに、電力の伝送先又は供給元の電力管理装置10を特定することができる。
【0065】
ユーザBが負荷13bの電源スイッチをオンにすると、電力管理装置10bは、負荷13bへの電力供給を受けるための需給情報を生成し、配線Wを介して接続された電力管理装置10a,10dに送信する。図4に示すように、スイッチをオンにした当初(時刻10:11:00)の需給情報において、必要電力は20W、不足率は100%、価格情報は1.0となっている。
【0066】
ユーザAの電力管理装置10a、ユーザCの電力管理装置10c、及びユーザDの電力管理装置10dは、ユーザBの電力管理装置10bから送信された需給情報を受信する。そして、このうちの電力供給可能な状態にある電力管理装置10が、供給可能な電力の大きさ及び電力の余剰率、並びに価格情報を含む需給情報を生成し、電力情報管理装置10bに送信する。ここでは、ユーザAの電力管理装置10aからユーザBの電力管理装置10bに需給情報が送信されたものとする。なお、電力管理装置10aから送信される需給情報に含まれる価格情報は、電力管理装置10bから送信された需給情報に含まれる価格情報と同じであっても良いし異なっていても良い。
【0067】
ユーザAの電力管理装置10aは、需給情報を電力管理装置10bに送信し、発電機11aが接続されたポートと、電力管理装置10bが接続されたポートとを接続する。電力管理装置10bは、電力管理装置10aから需給情報を受信すると、電力管理装置10aが接続されたポートと、負荷13bが接続されたポートとを接続する。これにより、負荷13bへの電力供給が開始される(時刻10:12:00~)。電力供給の開始後、負荷13bにおける電力の不足は解消され、電力管理装置10bが生成する需給情報においては不足率が0%となる。
【0068】
なお、電力管理装置10bが電力管理装置10aから受信した需給情報に含まれる価格情報が、電力管理装置10bが提示した価格情報と異なる場合、電力管理装置10bは、ポートを接続するか否かを判断することとしても良い。ポートを接続すると判断する価格情報の範囲(パラメータ)は、端末20を通じて当該電力管理装置10bに予め設定しておくことができる。
【0069】
電力管理装置10bの電力情報生成部153は、電力計測部112により計測された電力の量及び伝送方向を含む電力情報を生成する。この電力情報は、電力管理装置10bが電力管理装置10aに送信した需給情報における価格情報(時刻10:12:00の時点で1.0)と、ユーザAの電力管理装置10aのデバイスIDとを含んでいる。
【0070】
ユーザBが負荷13bのパワーを30Wに増加させると(時刻10:19:00)、電力管理装置10aからの電力供給が20Wのままでは、負荷13bにおいて電力が不足した状態となる。これに応じて、電力管理装置10bは、必要電力30W、不足率33%との情報を含む需給情報を生成し、配線Wを介して接続された電力管理装置10a,10c,10dに送信する。
【0071】
電力管理装置10a,10c,10dのいずれからも伝送される電力が増加されず、不足率が所定期間変化しないとき、電力管理装置10bは、電力の購入価格を引き上げるように価格情報を変更し、需給情報を送信する(時刻10:24:00)。これに応じて、電力管理装置10a,10c,10dのいずれか(例えば電力管理装置10a)から、供給電力を増加させた需給情報が送信されると、電力管理装置10bは、この需給情報に基づき、ポートの接続を行う。これにより、伝送される電力が増加し(電力情報における10:25:00参照)、需給情報における不足率は0%となる。また、これに合わせて、電力情報における価格情報も変更される。
【0072】
ユーザBが負荷13bのスイッチをオフにすると(時刻10:30:00)、需給情報における必要電力は0W、不足率も0%となる。なお、負荷13bのスイッチがオフにされた際、電力管理装置10bは、必要電力0W、不足率0%として需給情報を送信しても良いし、需給情報の送信を停止しても良い。また、電力管理装置10bは、ポートの接続を解除する。これにより、電力管理装置10aから電力管理装置10bへの電力の伝送も停止される。
【0073】
電力管理装置10bにおいて生成された電力情報は、ユーザBのユーザIDと紐づけられ、通信ネットワークNに送信される。電力情報は、通信ネットワークNに接続された複数の端末20において分散して保持する、所謂ブロックチェーンの仕組みを利用して保存し、必要に応じて、端末20を用いて、ユーザ間で電力の代金(或いはポイント)を精算することとしても良い。或いは、電力情報を精算用サーバ装置に蓄積し、このサーバ装置においてユーザ間の精算を行うこととしても良い。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によれば、配線Wを介して接続された電力管理装置10の間で需給情報を送受信し、該需給情報に基づいて、電力の供給先又は電力の供給元が決定される。そのため、このような動作を所定の時間間隔で行うことにより、システム全体として需給バランスが取れた状態に自然に近づくことになる。従って、電力管理システム1において、電力の需給バランスを安定的に維持することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態によれば、電力情報を通信ネットワークNに接続された端末20に送信することにより、各機器において供給又は消費された電力の利用料を精算することができる。また、本実施形態によれば、需給情報に含まれる価格情報に基づいて電力の供給先又は電力の供給元が決定されるので、電力の利用料も全体として安定することになる。
【0076】
また、本実施形態によれば、電力の需給状態により、需給情報において提示される価格情報が変動するので、価格が高いときに電力消費を抑制する、価格が低いときに電力を使用する、価格が低いときに蓄電して、価格が高いときに放電する、といったインセンティブが働くので、システム全体として電力の需給状態を最適化することが可能となる。
【0077】
ここで、上述した例においては、電力管理装置10bが送信した需給情報に応じて、電力管理装置10aが電力を供給することとした。しかしながら、電力管理装置10bに対し、電力管理装置10a,10dのいずれもが電力供給可能である場合、電力管理装置10bは、電力管理装置10a,10dから送信された需給情報に基づき、電力の余剰率が高い方、或いは、価格情報に基づく提示価格が安価な方から電力供給を受けるように判断(ポート部110におけるポートの切り替え)しても良い。このようなポートの切り替えは、所定の時間間隔ごとに行っても良い。
【0078】
また、上述した例においては、電力管理装置10bが電力供給を受ける場合を説明したが、例えば電力管理装置10aが電力を供給する場合にも、需給情報の送受信により、同様にして電力の供給先を決定することができる。即ち、電力管理装置10aは、電力管理装置10b,10cの両方から、電力が不足している旨の需給情報を受信したとき、電力の不足率が高い方、或いは、価格情報に基づく提示価格が高価な方に電力を供給するように判断しても良い。
【0079】
図5は、電力管理システムの変形例を示す図である。図5に示す電力管理システム2は、図1に示す電力管理システムに対し、ユーザAの電力管理装置10aの末端側に電力管理装置10a(1),10a(2),10a(3)が接続され、ユーザDの電力管理装置10dの末端側に電力管理装置10d(1),10d(2)が接続されている点が異なる。つまり、ユーザAの発電機11a、蓄電器12a、及び、負荷13aは、それぞれ、電力管理装置10a(1),10a(2),10a(3)を介して電力管理装置10aに接続されている。また、ユーザDの発電機11d、及び、蓄電器12dは、それぞれ、電力管理装置10d(1),10d(2)を介して電力管理装置10dに接続されている。
【0080】
このように、電力管理装置10a(1),10a(2),10a(3)を介して発電機11a、蓄電器12a、及び、負荷13aをそれぞれ接続することにより、ユーザAにおける電力の生成や消費を自動で管理することができる。例えば、発電機11aが稼働しているときに電力管理装置10a(1)において生成された需給情報と、負荷13aが稼働しているときに電力管理装置10a(3)において生成された需給情報とを、電力管理装置10aが受信した場合、電力管理装置10aは、発電機11aにおいて生成された電力を負荷13aにおいて消費するように判断(ポートの接続)をすることができる。また、電力管理装置10aは、電力管理装置10a(2)において生成された需給情報に基づき、蓄電器12aが充電モードにあるとき(充電率が所定値未満のとき)、発電機11aにおいて生成された電力を蓄電器12aに供給し、蓄電器12aが十分に充電されているとき(充電率が所定値以上のとき)、発電機11aにおいて生成された電力を他のユーザの機器に供給するように判断(ポートの接続)をすることができる。
【0081】
ここで、電力管理装置10a,10a(1),10a(2),10a(3)には、同じユーザAのユーザIDが付与されている。そこで、各電力管理装置10の需給情報生成部151は、生成した需給情報に自身のユーザIDを紐づけて他の電力管理装置10に送信し、識別情報判定部154は、他の電力管理装置10から受信した需給情報に紐づけられたユーザIDが、自身のユーザIDと同一であるかを判断することとしても良い。そして、電力管理装置10が複数の他の電力管理装置10から需給情報を受信した場合に、自身と同じユーザIDと紐づけられた需給情報を優先するようにしても良い。
【0082】
例えば、ユーザAの電力管理装置10aが、電力管理装置10a(3)及びユーザBの電力管理装置10bの両方から同時に需給情報を受信した場合、発電機11aにより生成された電力を、同一ユーザの電力管理装置10a(3)に優先的に伝送するようにしても良い。
【0083】
上記実施形態及び変形例においては、ポート部111において2つのポートを接続した。しかしながら、システムの構成によっては、互いに接続されるポートを3以上とすることもできる。この場合、例えば、1つの発電機から複数の負荷に電力を供給する、複数の発電機から1つの負荷に電力を供給する、或いは、1つの発電機から負荷に電力を供給しつつ、余剰分の電力を蓄電器に充電するといったことも可能である。
【0084】
本発明は、以上説明した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。例えば、実施形態及び変形例に示した全構成要素からいくつかの構成要素を除外して形成しても良いし、上記実施形態及び変形例に示した構成要素を適宜組み合わせて形成しても良い。
【符号の説明】
【0085】
1,2…電力管理システム、10,10a,10a(1),10a(2),10a(3),10b,10c,10d,10d(1),10d(2)…電力管理装置、11,11a,11d…発電機、12,12a,12d…蓄電器、13,13a,13b,13c…負荷、20…端末、110…ポート部、111…スイッチ部、112…電力計測部、120…通信部、130…コントローラ、140…記憶部、141…プログラム記憶部、142…識別情報記憶部、143…電力情報記憶部、150…処理部、151…需給情報生成部、152…選択部、153…電力情報生成部、154…識別情報判定部、P1,P2,…,P3,P4,P5…電力入出力ポート(ポート)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5