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  • 特開-ペット用玩具 図1
  • 特開-ペット用玩具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010840
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ペット用玩具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
A01K15/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113098
(22)【出願日】2023-07-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】523262400
【氏名又は名称】府川 貴美子
(74)【代理人】
【識別番号】100165124
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 一秀
(72)【発明者】
【氏名】小千川 敏邦
(57)【要約】
【課題】ペットの接触(例えば噛みつき)を動力としたペット用玩具の逃避行動によりペットの狩猟本能を覚醒させ、ペットの運動不足やストレスを解消させることができるペット用玩具を提供すること。
【解決手段】フレーム10と、フレームを支持すると共にフレームに回転可能に軸支された車輪3と、を備え、フレームは、ペットの口内に挿入可能な先細りしたテーパー形状の凸条12が車輪の進行方向と平行する方向に突設されており、凸条の表面は、ペットの歯に対し滑動する滑動面が形成されており、凸条をペットが噛むと、ペットの歯が滑動面を滑動することで、凸条がペットの口外に排出される。凸条が犬の口外に排出されることにより、フレームへの押力に変換され、ペット用玩具1が犬から離れる動作(逃避行動)をする。ペットは、狩猟本能を覚醒させ、追尾してペット用玩具に追いつき(追尾行動)、再度凸条に噛みつく。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
上記フレームに回転可能に軸支された車輪と、を備え、
上記フレームは、ペットの口内に挿入可能な先細りしたテーパー形状の凸部が形成されており、
上記凸部の表面は、ペットの歯に対し滑動する滑動面が形成されており、
上記凸部をペットが噛むと、ペットの歯が滑動面を滑動することで、上記凸部がペットの口外に排出される、
ことを特徴とするペット用玩具。
【請求項2】
請求項1記載のペット用玩具において、
上記フレームにベアリングを介して回転可能に支持された軸を備え、
上記車輪は、上記軸の両端に固定される、
ことを特徴とするペット用玩具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種のペット例えば犬を室内飼育する家庭は多い。しかし、特に高齢者の家庭で飼育されている犬は、飼い主の高齢化による足腰の衰えにより十分に散歩をすることができず、運動不足から来る肥満やストレス等により各種の病気に罹患し易いという問題がある。そこで、犬等のペットを遊ばせて運動させるためのペット用玩具が種々提案されている。
【0003】
ペット用玩具の一例を挙げると、収容体の内部に被収容物を収容するペット用玩具であって、収容体が、少なくとも一部に通気性を有するものであり、被収容物が、飼い主の匂いが付着したものである構成とするものが知られている(特許文献1)。犬に喜びと共に安心感を与える飼い主の匂いが付着した被収容物を、少なくとも一部に通気性を有する収容体の内部に収容することにより、犬が該収容体の匂いを嗅ぐと、喜びと共に安心感も与えられて、興味を失うことなく長期間に亘って遊ばせることができる。
【0004】
また、支持台内に回転軸が配置されると共に、ゼンマイをまくことで作動する駆動装置が設けられ、回転軸の上端部に可撓性線材の基部が連結されて、可撓性線材が支持台の上部から上方に向けて突出されたペット用玩具であって、誘惑体の回転軸廻りの回転に伴って支持台が逆方向に回転可能になると共に倒伏揺動可能になるように支持台の底面が球面状に形成され、支持台は倒伏揺動しても起き上がるようにその重心が下部に設定されているものが知られている(特許文献2)。回転軸の回転に伴って支持台が動くと共に、誘惑体の動きが複雑になるようにして、猫等のペットを直ぐに飽きることなく十分にじゃらすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-221030号公報
【特許文献2】特開2017-85942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、ペット用玩具自体が動作するものではないので、ペットの興味を長時間引き付けておくことは困難である。ペットの興味を長時間引き付けておくのに必要なのは、逃避する獲物とこれを狩る動物というような自然界では日常的に行われている逃避・捕獲行動を再現させ、ペットの狩猟本能を覚醒させるようなペット用玩具である。
【0007】
一方、特許文献2に記載のものは、ペット用玩具自体がゼンマイ仕掛けで動作するものであり、ペット用玩具自体が逃避する獲物を再現できる。しかし、飼い主がゼンマイを巻かねばならないので、ペットが自発的に遊べるものではない。
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、ペットの接触(例えば噛みつき)を動力としたペット用玩具の逃避行動によりペットの狩猟本能を覚醒させ、ペットの運動不足やストレスを解消させることができるペット用玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るペット用玩具は、フレームと、上記フレームに回転可能に軸支された車輪と、を備え、上記フレームは、ペットの口内に挿入可能な先細りしたテーパー形状の凸部が形成されており、上記凸部の表面は、ペットの歯に対し滑動する滑動面が形成されており、上記凸部をペットが噛むと、ペットの歯が滑動面を滑動することで、上記凸部がペットの口外に排出される、ことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように構成することで、ペットは本発明に係るペット用玩具を用いて以下のフローで遊ぶことができる。
【0011】
(A)ペットがフレームの凸部を噛む(噛みつき行動)。
【0012】
(B)ペットがフレームの凸部を噛むと、凸部の形状は先細りしたテーパー形状であると共に凸部の表面がペットの歯に対し滑動する滑動面であるので、ペットの歯が滑動面を滑動することで凸部がペットの口外に排出される。この結果、凸部をペットが噛む力はフレームへの押力に変換される。ペット用玩具は、車輪を備えており、フレームへの押力により移動をする。すなわち、噛みつき行動を契機として、ペット用玩具がペットから離れる動作(逃避行動)をする。
【0013】
(C)ペットは、噛みつき行動を契機としたペット用玩具の逃避行動により、狩猟本能を覚醒させ、ペット用玩具を追尾してペット用玩具に追いつき(追尾行動)、再度フレームの凸部に噛みつく((A)に戻る)。
【0014】
(A)→(B)→(C)→(A)…の行動は、逃避する獲物とこれを狩る動物というような自然界では日常的に行われている逃避・捕獲行動を再現しており、ペットの興味を長時間引き付けておくことができる。したがって、ペットが(A)→(B)→(C)→(A)…の行動を飽きることなく繰り返し行うことができるで、ペットの運動不足やストレスを解消させることができる。
【0015】
また、上記フレームにベアリングを介して回転可能に支持された軸を備え、上記車輪は、上記軸の両端に固定されてもよい(請求項2)。
【0016】
このように構成することによって、フレームと軸との間の生じる摩擦によるエネルギー損失を減少することができるので、ペット用玩具の逃避行動の勢い及び移動距離を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のペット用玩具によれば、上記のように構成されており、ペットの接触(例えば噛みつき)を動力としたペット用玩具の逃避行動によりペットの狩猟本能を覚醒させ、ペットの運動不足やストレスを解消させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明に係るペット用玩具を示す斜視図である。
図2】ペット用玩具を構成するフレームを示す斜視図(a),フレームの左方向から見た図(b)である。
図3】フレームの凸部に犬が噛みついた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るペット用玩具1について説明する。
【0020】
(ペット用玩具1の説明)
図1,3を参照して、ペット用玩具1について説明する。図1には、ペット用玩具の斜視図が示されている。図3には、ペット用玩具1の左方向から見た図が示されている。ペット用玩具1は、ペット(例えば犬)の接触(例えば噛みつき)を動力としたペット用玩具の逃避行動により犬の狩猟本能を覚醒させ、犬の運動不足やストレスを解消させることができる。ペット用玩具1は、フレーム10と、フレーム10に回転可能に支持された軸2と、軸2の両端に固定した一対の車輪3と、を主に備えている。なお、ペット用玩具1を説明するための方向について説明すると、図1に示すように、軸2方向を左右方向、軸2と直交する方向を前後方向と定義する。
【0021】
図1,2を参照して、フレーム10について説明する。図1,2(a)には、フレーム10の斜視図が示されている。図2(b)には、フレーム10の左方向から見た図が示されている。フレーム10は、複数の樹脂材例えばポリカーボネート樹脂材を接着することにより形成されている中空部材である。フレーム10は、左右方向に面を配置する円柱体であるフレーム本体11と、フレーム本体11の前後方向の外側から全長にわたって突設される一対の凸条12と、を主に備えている。
【0022】
フレーム本体11は、左右方向に面を配置する円柱体であり、フレーム本体11の全長方向の外周は、対象となる犬が噛むことができない大きさの曲線で形成されている。フレーム本体11には、左右の円面中心に円状の孔部13が貫通して形成されている。孔部13には、後述する軸2が挿入される。
【0023】
凸条12は、フレーム本体11の前後方向の外側から全長にわたって突設されており、左右方向から観察すると、先端に向けて先細るテーパー形状であり、本実施形態においては砲弾型をしている。凸条12の厚さは、対象となる犬が噛むことができる厚さ、換言すると犬の口内に挿入可能な厚さで形成されている。上述したように、フレーム10は、複数の樹脂材例えばポリカーボネート樹脂材を接着することにより形成されている中空部材である。凸条12の表面は、ポリカーボネート樹脂を採用することにより、犬が噛みつくと歯が滑動する滑動面となる。凸条12は、先端に向けて先細るテーパー形状であり、かつ、犬が噛みつくと歯が滑動する滑動面が配置されることで、犬が凸条12を噛むと、犬の歯が滑動面を滑動することで、凸条12が犬の口外に排出される。
【0024】
図1には、軸2と車輪3とベアリング7が図示されている。軸2は、アルミ材の丸棒により形成されている。車輪3は、ゴム製であり、対象となる犬が噛むことができない大きさの球体形状に形成されている。フレーム本体11の孔部13の左右方向の中央付近には、ベアリング7が配設されている。ベアリング7は、内輪および外輪と、ボールとを備えたラジアルボールベアリングからなる。軸2は、ベアリング7を介してフレーム10に回転可能に支持されている。このように構成することにより、フレーム10と軸2との間の生じる摩擦によるエネルギー損失を減少することができるので、ペット用玩具1の逃避行動の勢い及び移動距離を大きくすることができる。
【0025】
上述した部材によるペット用玩具1の組み立てについて説明する。使用者は、軸2の一端をフレーム本体11の孔部13に挿入し、ベアリング7の内輪を通過させ、孔部13の出口まで到達させる。この状態で、軸2の両端を、車輪3の穴部に接着固定する。以上でペット用玩具1の組み立ては完了である。
【0026】
(ペット用玩具1を利用したペットの遊び方の説明)
図3を参照して、ペット用玩具1を利用した犬の遊び方について説明する。図3には、フレーム11の凸条12に犬が噛みついた状態を示す説明図が示されている。
【0027】
まず、図3に示すように、(A)犬がフレーム10の凸条12を噛む(噛みつき行動)。犬が凸条12を噛まない場合は、例えば犬が好むフレーバやパウダーをフレーム10の凸条12に塗布すればよい。
【0028】
次いで、(B)犬がフレーム10の凸条12を噛むと、凸条12の形状は先細りしたテーパー形状であると共に凸条12の表面が犬の歯に対し滑動する滑動面であるので、犬の歯が滑動面を滑動することで凸条12が犬の口外に排出される。この結果、凸条12を犬が噛む力はフレーム10への押力に変換される。ペット用玩具1は、車輪3を備えており、フレーム10への押力により移動をする。すなわち、噛みつき行動を契機として、ペット用玩具1が犬から離れる動作(逃避行動)をする。
【0029】
次いで、(C)犬は、噛みつき行動を契機としたペット用玩具1の逃避行動により、狩猟本能を覚醒させ、ペット用玩具1を追尾してペット用玩具1に追いつき(追尾行動)、再度フレーム10の凸条12に噛みつく((A)に戻る)。
【0030】
(A)→(B)→(C)→(A)…の行動は、逃避する獲物とこれを狩る動物というような自然界では日常的に行われている逃避・捕獲行動を再現しており、犬の興味を長時間引き付けておくことができる。したがって、犬が(A)→(B)→(C)→(A)…の行動を飽きることなく繰り返し行うことができるで、犬の運動不足やストレスを解消させることができる。
【0031】
このように本発明のペット用玩具1によれば、ペットの接触(例えば噛みつき)を動力としたペット用玩具1の逃避行動によりペットの狩猟本能を覚醒させ、ペットの運動不足やストレスを解消させることができる。
(他の実施形態の説明)
【0032】
上述した実施形態では、図1で示すように、車輪3は軸2の両端に固定され、軸2はベアリング7を介してフレーム10に回転可能に支持される構成であったが、車輪3がフレーム10に回転可能に軸支されていればよい。例えばフレームの左右の面中心に突起(図示せず)を形成し、車輪が該突起に回転可能に軸支される構成であってもよい。
【0033】
本発明は上記の実施形態及び実施例の例示に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 ペット用玩具
2 軸
3 車輪
7 ベアリング
10 フレーム
12 凸条(凸部)
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
上記フレームを支持すると共に、上記フレームに回転可能に軸支された車輪と、を備え、
上記フレームは、ペットの口内に挿入可能な先細りしたテーパー形状の凸部が、上記車輪の進行方向と平行する方向に突設されており、
上記凸部の表面は、ペットの歯に対し滑動する滑動面が形成されており、
上記凸部をペットが噛むと、ペットの歯が滑動面を滑動することで、上記凸部がペットの口外に排出される、
ことを特徴とするペット用玩具。
【請求項2】
請求項1記載のペット用玩具において、
上記フレームにベアリングを介して回転可能に支持された軸を備え、
上記車輪は、上記軸の両端に固定される、
ことを特徴とするペット用玩具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るペット用玩具は、フレームと、上記フレームを支持すると共に、上記フレームに回転可能に軸支された車輪と、を備え、上記フレームは、ペットの口内に挿入可能な先細りしたテーパー形状の凸部が、上記車輪の進行方向と平行する方向に突設されており、上記凸部の表面は、ペットの歯に対し滑動する滑動面が形成されており、上記凸部をペットが噛むと、ペットの歯が滑動面を滑動することで、上記凸部がペットの口外に排出される、ことを特徴とする(請求項1)。