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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010854
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】アシストグリップ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/02 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
B60N3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113119
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】永田 昌之
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088DA06
3B088DB01
(57)【要約】
【課題】簡単な構造、少ない工数で、且つ簡単に取付作業を行うことができるアシストグリップを提供する。
【解決手段】このアシストグリップは、左右両端の基部に取付脚部2を突設したグリップ本体1と、1対の取付脚部2に設けられた固定取付手段8と、を備え、車体パネルに設けた方形の固定穴9に、取付脚部2の脚突出部2aを押し込んで、固定取付手段8により取付脚部2を車体パネルに固定して取り付ける。固定取付手段8には、取付脚部2内に設けた係止爪室4内に、係止爪5が傾動可能に軸支される。係止爪5には係止側に付勢するコイルばね7が設けられ、取付脚部2の内裏側に開口した開口部4aに、取付脚部2の係止爪室4を覆ってカバー3が嵌着される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両端の基部に取付脚部を突設したグリップ本体と、該1対の取付脚部に設けられた固定取付手段と、を備え、車体パネルに設けた方形の固定穴に、該取付脚部の脚突出部を押し込んで、該固定取付手段により該取付脚部を該車体パネルに固定して取り付けるアシストグリップにおいて、
該固定取付手段は、該取付脚部内に設けた係止爪室内に、傾動可能に軸支された係止爪と、該係止爪を係止側に付勢するばね弾性部材と、該取付脚部の内裏側に開口した開口部に、該取付脚部の該係止爪室を覆って取り付けられるカバーと、を具備し、
該取付脚部の該脚突出部を該固定穴に押し込んだとき、該係止爪が、該固定穴の縁部に接触して傾動し、所定位置まで進入したとき、該ばね弾性部材のばね力により、該係止爪が係止位置まで復動して該固定穴の縁部に係止され、該車体パネルに対し該取付脚部が固定されることを特徴とするアシストグリップ。
【請求項2】
前記係止爪室の開口部をカバーするカバーは、押込み摺動可能に該係止爪室に取り付けられ、該カバーの内側には係止解除用の押込み部が設けられ、該カバーを前記係止爪室内に押し込んだとき、該押込み部が前記係止爪を押して該係止爪の係止を解除させることを特徴とする請求項1記載のアシストグリップ。
【請求項3】
前記係止爪の基部に軸受部が設けられ、該軸受部内に、ばね収納室が設けられるとともに、軸が該軸受部の該ばね収納室を通り、該係止爪が傾動可能に軸支され、前記ばね弾性部材としてのコイルばねが、該係止爪を係止方向に付勢して該ばね収納室に収納されたことを特徴とする請求項1記載のアシストグリップ。
【請求項4】
前記カバーの内側に、摺動部が前記押込み部と同じ方向に突設され、該摺動部
には、摺動支持部と弾性摺動部が、間に摺動隙間を介在させて設けられ、該カバーの押込み操作時、該摺動支持部と該弾性摺動部が、前記係止爪室の側壁に設けた摺動溝部内を摺動し、該カバーが内側に摺動することを特徴とする請求項2記載のアシストグリップ。
【請求項5】
前記係止爪の前記軸受部の外周部に、ストッパが突設され、該係止爪が前記固定穴の縁部に係止されたとき、該ストッパが前記係止爪室内の凸部に当たり該係止爪が停止することを特徴とする請求項3記載のアシストグリップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に装着されるアシストグリップに関し、特に、車体側の取付穴に、脚部を押し込み、簡単に取付作業を行うことができるアシストグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
車室内には、乗員が必要時に把持して使用するアシストグリップが、各部位に取り付けられている。この種のアシストグリップとして、従来、例えば下記の特許文献1において、固定型のアシストグリップが提案されている。
【0003】
このアシストグリップは、グリップ本体の両端部に、取付ボルトをねじ込み可能に有した取付部が設けられ、この取付部に取付ボルトを挿通し、車室内の天井部或いは側壁部などに設けた車両パネルの取付孔にナットが固定され、ナットに取付ボルトをねじ込んで締付固定される。取付部の開口部にはカバーが設けられ、カバーは取付作業後に閉じられ、開口部はカバーされる。
【0004】
しかし、アシストグリップを取り付ける場合、先ず、アシストグリップの両側の取付部を、車両パネルの取付孔に当て、表側(グリップ本体側)からボルトを、ブッシュ、ワッシャとともに取付孔に差し込み、ボルトの先端をナットに差し込んだ状態で、ボルトを捻じ込む。そして、ボルト・ナットを締付固定し、アシストグリップが車室内の所定箇所に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6006882号公報
【特許文献2】特許第5492835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、アシストグリップの取り付け時には、小部品のブッシュ及びワッシャをボルトに挿通させるとともに、表側(グリップ本体側)からボルトを取付孔に差し込み、ボルト先端が裏側に突出した状態で、裏側からナットをボルト先端に捻じ込み、締付固定する必要がある。
【0007】
このように、作業者は、アシストグリップを車体パネルに取り付ける場合、グリップ本体とは別の小部品である、ブッシュ、ワッシャを、ボルトに挿入し、ボルトの先端部を、表側からパネル取付孔に差し込み、且つナットを裏側からボルト先端部に捻じ込むという、煩雑な取付作業を強いられ、作業効率が低下しやすいという課題があった。
【0008】
また、グリップ本体を両側の脚部に対し回動可能に設けた回動式のアシストグリップが、上記特許文献2などで知られている。この回動式のアシストグリップは、取付用の脚部に、金属等の弾性を有した取付クリップを装着させ、この脚部の取付クリップを、車体パネル側に設けた方形穴に押し込み、取付クリップの膨出部を弾性パネルの裏側縁部に係止させ、取付固定する。このため、取付作業時、ボルト・ナットの締付作業は不要であるものの、取付作業時に取付クリップの内側に、クリップ支持部を正確に押し込み、取付クリップの係止を確実にする正確な作業が必要となり、さらに、金属等の弾性を有した取付クリップを使用するため、取付クリップの製造のためのコストなど、製造コストが高くなる課題があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、簡単な構造、少ない工数で、且つ簡単に取付作業を行うことができるアシストグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアシストグリップは、左右両端の基部に取付脚部を突設したグリップ本体と、該1対の取付脚部に設けられた固定取付手段と、を備え、車体パネルに設けた方形の固定穴に、該取付脚部の脚突出部を押し込んで、該固定取付手段により該取付脚部を該車体パネルに固定して取り付けるアシストグリップにおいて、
該固定取付手段は、該取付脚部内に設けた係止爪室内に、傾動可能に軸支された係止爪と、該係止爪を係止側に付勢するばね弾性部材と、該取付脚部の内裏側に開口した開口部に、該取付脚部の該係止爪室を覆って取り付けられるカバーと、を具備し、
該取付脚部の該脚突出部を該固定穴に押し込んだとき、該係止爪が、該固定穴の縁部に接触して傾動し、所定位置まで進入したとき、該ばね弾性部材のばね力により、該係止爪が係止位置まで復動して該固定穴の縁部に係止され、該車体パネルに対し該取付脚部が固定されることを特徴とする。
【0011】
この発明のアシストグリップによれば、比較的簡単な構造で、製造コストを低減することができ、取付作業時、ボルト・ナットの締付作業は不要となり、車体パネルの固定穴に、取付脚部の脚突出部を押し込むのみの、簡単な作業で、車体パネルに対し取付脚部を固定することができ、非常に少ない作業工数でアシストグリップを取り付けることができる。
また、取付脚部の脚突出部を固定穴に押し込んだとき、係止爪が、固定穴の縁部に接触して傾動し、所定位置まで進入したとき、ばね弾性部材のばね力により、係止爪が係止位置まで復動して固定穴の縁部に係止されるため、がたつきなく確実にアシストグリップの取付脚部を取り付けることができる。
また、係止爪室を覆うカバーは取付脚部の内裏側に設けられるため、カバーの縁部の見切り線が見えにくく、アシストグリップの外観デザインを良好に保つことができる。
【0012】
ここで、上記開口部を覆うカバーは、押込み摺動可能に開口部に取り付けられ、カバーの内側には係止解除用の押込み部が設けられ、カバーを押し込んだとき、押込み部が係止爪を押して係止爪の係止を解除する方向に回動させる構成とすることが好ましい。
【0013】
これによれば、メインテナンスなどの際、アシストグリップを車体パネルから外す場合、グリップ本体の内裏側のカバーを押し込めば、カバーの押込み部が係止爪を押して傾動させ、その係止を解除させ、アシストグリップを外すことができる。
【0014】
またここで、上記係止爪の基部に軸受部が設けられ、軸受部内にばね収納室が設けられるとともに、軸が軸受部のばね収納室を通り、係止爪が傾動可能に軸支され、ばね弾性部材としてのコイルばねが、係止爪を係止方向に付勢してばね収納室に収納される構成とすることが好ましい。
【0015】
またここで、上記カバーの内側に、摺動部が押込み部と同じ方向に突設され、摺動部には、摺動支持部と弾性摺動部が、間に摺動隙間を介在させて設けられ、カバーの押込み操作時、摺動支持部と弾性摺動部が、係止爪室の側壁に設けた摺動溝部内を摺動し、カバーが内側に摺動する構成とすることが好ましい。これによれば、アシストグリップをメインテナンスなどのために、取り外す場合、カバーをスムーズに押し込み、係止爪を傾動させて、円滑にグリップを外すことができる。
【0016】
またここで、上記係止爪の軸受部の外周部に、ストッパが突設され、係止爪が固定穴の縁部に係止されたとき、ストッパが係止爪室内の凸部に当たり係止爪の傾動が停止する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明のアシストグリップによれば、取付脚部の脚突出部を車体パネルの固定穴に押し込むのみの簡単な操作で、少ない工数、簡単な取付作業により、アシストグリップを車体パネルに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態を示すアシストグリップの斜視図である。
図2】同アシストグリップの長手方向に沿った断面図である。
図3図2の部分拡大断面図である。
図4】取り外し操作時の断面図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6】表皮を外したアシストグリップの全コア部の斜視図である。
図7】同アシストグリップの全コア部の分解斜視図である。
図8】同アシストグリップの取付脚部に、カバーを組み付ける際の斜視図である。
図9】同アシストグリップの取付脚部の、見る角度を変えた斜視図である。
図10】表皮を含まないアシストグリップの、コア部のみの部分斜視図である。
図11】A、Bは、係止爪に軸及びコイルばねを付けた状態の、見る角度を変えた斜視図である。
図12】A、B、Cは、カバーにおける見る角度を変えた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1図2は車室内の車体パネルに設けた固定穴9に、両端部の取付脚部2を押し込んで取り付けられるアシストグリップを示し、図3図12は同アシストグリップの表皮1bを含まないコア部1aのみの状態及びその組付け部品を示している。
【0020】
このアシストグリップは、図7に示す如く、乗員が把持する部分となるグリップ本体1と、グリップ本体1の左右両端の基部に突設された取付脚部2と、1対の取付脚部2に設けられた固定取付手段8と、を備え、車体パネルBPに設けた方形の固定穴9に、取付脚部2の脚突出部2aを押し込んで、固定取付手段8により取付脚部2を車体パネルBPに固定し取り付けるように構成される。
【0021】
固定取付手段8は、取付脚部2内に設けた係止爪室4内に、傾動可能に軸支された係止爪5と、係止爪5を係止側に付勢するばね弾性部材としてのコイルばね7と、取付脚部2の内裏側に開口した開口部4aに、取付脚部2の係止爪室4を覆って取り付けられるカバー3と、を具備する。つまり、図2に示すように、グリップ本体1の左右両端部の取付脚部2内に、係止爪室4が設けられ、その係止爪室4内に、係止爪5が、その軸受部51と軸6を介して、傾動可能に軸支され、係止爪室4の開口部4aには、カバー3が嵌着され、開口部4aはカバーされる。
【0022】
また、図3に示すように、開口部4aとカバー3は、アシストグリップの表側ではなく、内裏側(アシストグリップのグリップ本体1を把持したとき、手の各指が位置する側)に設けられ、カバー3が開口部4aを覆ってそこに嵌着される。このため、アシストグリップを外側から見た場合、カバー3とその縁部の線(見切り線)が表側(意匠面側)にあると、見切り線が目立ちやすいが、開口部4aとカバー3は、グリップ本体1の内裏側にあるため、見えにくく、アシストグリップの見栄えを良好に保持することができる。
【0023】
取付脚部2の脚突出部2aは、図1図2図6に示すように、グリップ本体の両端部から突設され、脚突出部2aの内部空間は、係止爪室4内と連続し、その内部空間には、係止爪5の爪部50が位置する。脚突出部2aの内側側面は開口し、爪部50は、その開口から露出し、わずかに外側に突出する。これにより、アシストグリップの取付時、取付脚部2の脚突出部2aを車体パネルの固定穴9に押し込んだとき、係止爪5の爪部50は固定穴9の縁部に押されて内側に傾動し、その後、復動して係止爪5が固定穴9に係止される。
なお、脚突出部2aの外周面には、リブ2bが設けられ、脚突出部2aが固定穴9内に進入したとき、リブ2bは、位置決めされる機能、及び固定穴9の寸法のばらつきを吸収する機能を持つ。また、図3に示す如く、爪部50に設けた傾斜面50aは、固定穴9の縁部に接触したとき、良好に係止爪5を外側に傾動させ、また、爪部50の先端に設けた切欠き部50bは、係止解除時に、爪部50の先端が脚突出部2aの壁部への接触を回避する。
【0024】
さらに、図11に示すように、係止爪5の基部には、軸受部51が設けられ、軸受部51内には、ばね収納室52が設けられる。また、軸6が挿通される軸孔は、ばね収納室52に連通し、軸6はばね収納室52内を貫通して取り付けられる。また、図7に示すように、軸6は、組み付け時、グリップ本体1のコア部1aの取付脚部2に設けた軸孔を通してばね収納室52内に挿通され、係止爪5の軸受部51を貫通する。これにより、係止爪5は、係止爪室4内で、軸6により、傾動可能に軸支される。
ばね弾性部材として係止爪5を係止方向に付勢するコイルばね7は、ばね収納室52内に収納され、且つ軸6の外周部に外嵌される。そして、コイルばね7の一端は係止爪5の一部に掛けられ、他端が係止爪室4の側壁側に掛けられる。これにより、係止爪5は、コイルばね7により、常に固定穴9への係止方向に付勢される。このとき、図3に示すように、係止爪5の軸受部51の外周部に突設したストッパ53が、係止爪室4の一部に設けた凸部4bに当たり、係止爪5は、押込み時に、係止可能な状態で停止する。なお、ばね弾性部材としてコイルばね以外のばね部材を使用することもできる。
また、図3に示す如く、係止爪室4の奥壁部には、係止爪5の軸受部51の円筒曲面を、受けて回動可能に保持する円弧状の凹曲面4dが、ストッパ53の当たる凸部4bの付近に形成される。係止爪5の円筒状の軸受部51がこの凹曲面4dに接触し、係止爪5の軸受部51が円滑に回動可能に保持される。
【0025】
上記のように、アシストグリップの取付時、取付脚部2の脚突出部2aを固定穴9に押し込んだとき、係止爪5が、固定穴9の縁部に接触して傾動し、所定位置まで進入したとき、コイルばね7のばね力により、係止爪5が係止位置まで復動して固定穴9の縁部に係止され、車体パネルBPに対し取付脚部2が固定され取り付けられる構造となっている。
【0026】
一方、係止爪室4の開口部4aには、カバー3が嵌着され、開口部4aはカバー3によりカバーされる。このカバー3には、アシストグリップの取り外し時、係止爪5を係止解除方向に付勢する機能が付加されている。
【0027】
図12に示すように、カバー3の内側に、押込み部30が突設され、さらに摺動部31が押込み部30と同じ方向に突設される。摺動部31には、摺動支持部33と弾性摺動部32が、間に摺動隙間を介在させて設けられる。アシストグリップの取り外し時、カバー3を、図3の水平方向に、押込み操作すると、摺動支持部33と弾性摺動部32が、係止爪室4の側壁に設けた摺動溝部4c内を摺動し、押込み部30の押圧先端部34が係止爪5の中間部を押して、係止爪5を図3の時計方向の係止解除側に傾動させる。
【0028】
すなわち、図3に示すように、係止爪5は、軸6により傾動(回動)可能に軸支され、カバー3の押込み部30は、カバー3の押込み操作をしたとき、軸6を中心とする円Rの接線CL上を移動するように、摺動支持部33と弾性摺動部32は、係止爪室4の側壁に設けた摺動溝部4c内を摺動可能に保持される。
【0029】
また、弾性摺動部32の先端部には、小凸部32a(図12)が設けられ、カバー3を図8に示すように、開口部4aから係止爪室4内に挿入し、カバー3の表面位置が所定の閉鎖位置に達したとき、弾性摺動部32の先端部の小凸部32aが、係止爪室4内に設けた摺動溝部4c(図7)内の凹部4e(図8)に僅かに嵌り、カバー3が適正な装着位置で停止するようになっている。さらに、アシストグリップの取り外し時、カバー3が図3の水平方向左側に押し込まれたとき、押込み部30の押圧先端部34が係止爪5の中間部を押し、これを図3の左側に傾動させる構造である。
【0030】
次に、上記構成のアシストグリップを、車体パネルBPに取り付ける際の、取付作業について説明する。
車体パネルBPには、図2に示す如く、所定の位置に1対の固定穴9が設けられており、作業者は、アシストグリップの1対の取付脚部2の脚突出部2aを、固定穴9内に押し込む。このとき、まず、係止爪5の爪部50が、固定穴9の縁部に接触して、図3のように傾動し、その状態で脚突出部2aは、さらに固定穴9内に進入する。
そして、所定位置まで進入すると、傾動していた係止爪5がコイルばね7のばね力により復動し、図3に示すように爪部50が固定穴9の縁部に係止され、固定される。このとき、係止爪5はコイルばね7により係止側に強く付勢された状態となるため、アシストグリップの取付状態に、がたつきなどは発生せず、安定してアシストグリップを取り付けることができる。このように、取付脚部2の脚突出部2aを、固定穴9内に押し込むのみの、簡単な操作で、アシストグリップの取付作業を、確実に安定して行うことができる。
一方、アシストグリップを取り外す場合、図4のように、カバー3を押し込む。このとき、カバー3がその押込み部30により、係止爪5の中間部を係止解除方向に押し、係止爪5をコイルばね7のばね力に抗して傾動させる。これにより、係止爪5の爪部50が固定穴9の縁部から外れ、係止爪5による係止が解除され、アシストグリップのグリップ本体1を持って手前に引けば、容易にアシストグリップを車体パネルから外すことができる。
このように、上記アシストグリップによれば、比較的簡単な構造で、製造コストを低減することができ、取付作業時、ボルト・ナットの締付作業は不要となり、車体パネルBPの固定穴に、取付脚部2の脚突出部2aを押し込むのみの、簡単な作業で、車体パネルBPに対し取付脚部2を固定することができ、非常に少ない作業工数でアシストグリップを取り付けることができる。また、取付脚部2の脚突出部2aを固定穴9に押し込んだとき、係止爪5が、固定穴の縁部に接触して傾動し、所定位置まで進入したとき、ばね力により、係止爪5が係止位置まで復動して固定穴の縁部に係止されるため、がたつきなく確実にアシストグリップの取付脚部を取り付けることができる。さらに、係止爪室4を覆うカバー3は取付脚部2の内裏側に設けられるため、カバー3の縁部の見切り線が見えにくく、アシストグリップの外観デザインを良好に保つことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 グリップ本体
1a コア部
1b 表皮
2 取付脚部
2a 脚突出部
2b リブ
3 カバー
4 係止爪室
4a 開口部
4b 凸部
4c 摺動溝部
4d 凹曲面
4e 凹部
5 係止爪
6 軸
8 固定取付手段
9 固定穴
30 押込み部
31 摺動部
32 弾性摺動部
32a 小凸部
33 摺動支持部
34 押圧先端部
50 爪部
50a 傾斜面
50b 切欠き部
51 軸受部
52 収納室
53 ストッパ
BP 車体パネル

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12