(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010895
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ノズルおよび塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20250116BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113192
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】須原 伸久
(72)【発明者】
【氏名】西山 慎吾
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA01
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA22
4F041BA35
4F041BA38
4F041CA03
4F041CA17
4F041CA18
4F042AA01
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB11
4F042CB19
(57)【要約】
【課題】十分な塗布品質を確保する。
【解決手段】ノズル110は、流動物Pを吐出する吐出口111aを有する吐出部材111と、吐出部材111に近接して配置され、吐出口111aを開放する第1位置と、吐出口111aを閉塞する第2位置との間で回動可能な板状の切断部材112と、吐出口111aから吐出された流動物Pを切断するように第1位置および前記第2位置との間で切断部材112を回動させる回動装置とを備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動物を吐出する吐出口を有する吐出部材と、
前記吐出部材に近接して配置され、前記吐出口を開放する第1位置と、前記吐出口を閉塞する第2位置との間で回動可能な板状の切断部材と、
前記吐出口から吐出された前記流動物を切断するように前記第1位置および前記第2位置との間で前記切断部材を回動させる回動装置と
を備える、ノズル。
【請求項2】
前記切断部材は、前記流動物を切断する切断縁を有し、
前記切断縁は、前記吐出部材に押し当てられるように前記吐出部材へ向けて付勢されており、前記第1位置と前記第2位置との間で前記吐出部材に対して摺動するように構成されている、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記切断部材は、前記回動装置の回動方向に合わせた曲げ形状を有している、請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記切断部材は、前記回動装置の回動方向に沿った円弧形状を有している、請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記吐出部材の外面は、前記切断部材と同じ円弧形状である、請求項4に記載のノズル。
【請求項6】
前記回動装置は、サーボモータまたはステッピングモータを有している、請求項1に記載のノズル。
【請求項7】
前記吐出口は、前記流動物を扁平な帯状に吐出可能な幅広のスリット形状であり、
前記切断部材は、前記流動物の厚み方向に動いて前記流動物を切断するように構成されている、請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の前記ノズルと、
前記ノズルを通過するように前記流動物を流動させる流動装置と、
前記流動物を塗布する塗布対象物および前記ノズルを相対移動させる移動装置と、
前記回動装置、前記流動装置、および前記移動装置を制御する制御装置と
を備える、塗布装置。
【請求項9】
前記流動装置は、前記ノズルから前記流動物を吸い込むように、前記ノズルから前記流動物を吐出する向きとは反対向きに前記流動物を流動させることが可能に構成され、
前記制御装置は、前記吸い込みのタイミングで前記切断部材を前記第1位置から前記第2位置に回動させるように前記回動装置を制御する、請求項8に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記切断部材が前記第1位置から前記第2位置に移動する向きは、前記移動装置が前記塗布対象物に対して前記ノズルを相対移動させる向きとは反対向きである、請求項8に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルおよび塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動物をノズルから塗布対象物に吐出する塗装装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。当該ノズル内には、流動物が流動する流路が設けられ、当該流路には補助開閉弁が設けられている。そして、補助開閉弁を揺動アクチュエータによって旋回させることで当該流路を開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記塗装装置では、補助開閉弁を閉じても補助開閉弁より外側(下流側)のノズル内部に流動物が残存する。そのため、残存した流動物がノズルから糸を引くように垂れて塗布対象物に余分に付着し、塗布品質を悪化させるおそれがある。このような糸引きは、例えば自動車車体鋼板等を補強するための鋼板補強材のような高粘度液を流動物として塗布する場合に顕著に見られる。
【0005】
本発明は、ノズルおよび塗布装置において、十分な塗布品質を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、
流動物を吐出する吐出口を有する吐出部材と、
前記吐出部材に近接して配置され、前記吐出口を開放する第1位置と、前記吐出口を閉塞する第2位置との間で回動可能な板状の切断部材と、
前記吐出口から吐出された前記流動物を切断するように前記第1位置および前記第2位置との間で前記切断部材を回動させる回動装置と
を備える、ノズルを提供する。
【0007】
この構成によれば、切断部材が第1位置から第2位置に回動することによって吐出口から吐出された流動物を切断するとともに吐出口を閉塞できる。このとき、吐出口の外側にて流動物が切断され、吐出口が外側から閉塞されるため、吐出部材内部の流動物が糸を引くような塗布品質の悪化を抑制できる。当該ノズルは、特に高粘度の流動物を間欠的に塗布する場合に有効に利用でき、十分な塗布品質を確保できる。
【0008】
前記切断部材は、前記流動物を切断する切断縁を有してもよく、
前記切断縁は、前記吐出部材に押し当てられるように前記吐出部材へ向けて付勢されており、前記第1位置と前記第2位置との間で前記吐出部材に対して摺動するように構成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、切断部材と吐出口との間に実質的に隙間がない状態で流動物を切断できるため、流動物をきれいに剪断できる。仮に、切断部材と吐出口との間に隙間があると、流動物が当該隙間で撚れて変形し、流動物の切断端が不揃いとなるおそれや、流動物が隙間に詰まって、切断動作に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0010】
前記切断部材は、前記回動装置の回動方向に合わせた曲げ形状を有していてもよい。また、前記切断部材は、前記回動装置の回動方向に沿った円弧形状を有していてもよい。前記吐出部材の外面は、前記切断部材と同じ円弧形状であってもよい。
【0011】
これらの構成によれば、切断部材から回動時の回動半径よりも外側に凸となる部分を低減し切断直後の流動物が切断部材に接触および付着して塗布が乱れる可能性を低減できる。また、切断部材を吐出部材に対して回動(摺動)させる構成を省スペースで効率的に実現できる。ここで、「同じ円弧形状」は、曲率が実質的に同じ円弧であることをいう。
【0012】
前記回動装置は、サーボモータまたはステッピングモータを有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、高トルクおよび高切断速度での切断部材の回動を実現でき、流動物をきれいに切断できる。特に、流動物を間欠的に塗布する場合には、切断部材の第2位置への回動と第1位置への復帰を高速に繰り返すことが可能となる。
【0014】
前記吐出口は、前記流動物を扁平な帯状に吐出可能な幅広のスリット形状であってもよく、前記切断部材は、前記流動物の厚み方向に動いて前記流動物を切断するように構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、糸引きを誘発しやすい扁平な帯状の流動物に対しても糸引きを抑制でき、十分な塗布品質を確保できる。
【0016】
本発明の第2の態様は、
前記ノズルと、
前記ノズルを通過するように前記流動物を流動させる流動装置と、
前記流動物を塗布する塗布対象物および前記ノズルを相対移動させる移動装置と、
前記回動装置、前記流動装置、および前記移動装置を制御する制御装置と
を備える、塗布装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、上記ノズルを使用した塗布装置によって、十分な塗布品質を確保しつつ塗布対象物に対して所望の位置および量で流動物を塗布できる。
【0018】
前記流動装置は、前記ノズルから前記流動物を吸い込むように、前記ノズルから前記流動物を吐出する向きとは反対向きに前記流動物を流動させることが可能に構成されてもよく、
前記制御装置は、前記吸い込みのタイミングで前記切断部材を前記第1位置から前記第2位置に回動させるように前記回動装置を制御してもよい。
【0019】
この構成によれば、流動物を吸い込むことにより吐出口付近の流動物の吐出流量を減少ないしゼロにすることができ、流動物の吐出流量が減少ないしゼロの状態で切断部材を回動させることで流動物を容易に切断できる。ここで、吸い込みのタイミングとは、流動物の吸い込み中および吸い込み直後を含む。
【0020】
前記切断部材が前記第1位置から前記第2位置に移動する向きは、前記移動装置が前記塗布対象物に対して前記ノズルを相対移動させる向きとは反対向きであってもよい。
【0021】
この構成によれば、切断部材が切断後に第2位置から第1位置に戻ったときに塗布前側(未塗布位置)に位置するため、切断部材に切断直後の流動物が接触して付着することを回避できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ノズルおよび塗布装置において、十分な塗布品質を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る塗布装置の概略構成図。
【
図6】切断部材が第1位置にあるときのノズルの断面図。
【
図7】切断部材が第2位置にあるときのノズルの断面図。
【
図8】流動物の間欠塗布の第1工程を示すノズルの断面図。
【
図9】流動物の間欠塗布の第2工程を示すノズルの断面図。
【
図10】流動物の間欠塗布の第3工程を示すノズルの断面図。
【
図11】流動物の間欠塗布の第4工程を示すノズルの断面図。
【
図12】塗布装置により塗布対象物に対して流動物を塗布した状態を示す平面図。
【
図14】切断部材の他の変形例を示すノズルの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0025】
図1を参照して、塗布装置1は、流動物を塗布対象物Wに対して塗布するために利用できる。流動物の例としては、例えば、鋼板補強材、放熱ゲルもしくはシリコーン材等の工業製品の製造過程において用いられる材料、または、グミ、チューイングキャンディ、マヨネーズ、もしくはチーズ等の食品材料等、多岐に亘る。特に、塗布装置1は、流動物として高粘度液も取り扱うことができる。
【0026】
本実施形態では、塗布装置1は、貯留容器10、ポンプ20、ロボットアーム(移動装置)30、およびノズル110を有する吐出装置100を有している。塗布装置1は、塗布システムとも称される。
【0027】
貯留容器10は、流動物を貯留するタンクである。貯留容器10は、供給管11を介して吐出装置100に流体的に接続されており、流動物の供給源となっている。なお、貯留容器10の材質、形状、および大きさは、任意に設定され得る。
【0028】
ポンプ20は、貯留容器10に取り付けられている。ポンプ20は、貯留容器10から供給管11を介して吐出装置100に流動物を供給するための動力源となっている。ポンプ20の種類は特に限定されず、公知の任意のものを使用できる。
【0029】
ロボットアーム30は、台32上に固定された塗布対象物Wに対して吐出装置100を任意の方向および速度で移動させる。ロボットアーム30は、例えば多関節の6軸可動ロボットであり、ブラケット31を介して吐出装置100を保持している。なお、ロボットアーム30に代えて、吐出装置100の位置を固定するとともにベルトコンベアに塗布対象物Wを載せるなどして、これらの間の相対移動を実現してもよい。即ち、移動装置としては、塗布対象物Wおよびノズル110を相対移動させるものであればよい。
【0030】
図2を参照して、吐出装置100は、流動物を吐出するノズル110と、ノズル110を通過するように流動物を流動させる流動装置120とを有している。
【0031】
図3~7を参照して、ノズル110は、流動物を吐出する吐出口111aを有する吐出部材111と、吐出部材111に近接して配置された板状の切断部材112と、切断部材112を回動させる回動装置113とを有している。
【0032】
吐出部材111は、吐出装置100の先端に設けられている。吐出部材111には、底側において開口した吐出口111aが形成されている。吐出部材111内には、吐出口111aへ向けて徐々に狭くなる流路Fが形成されている。流路Fは、流動装置120と連通し、流動物が通過するように構成されている。また、吐出部材111は、吐出装置100から着脱自在に構成され、様々な流路径の流動装置120に対応した流路Fを持つ複数種の吐出部材111を付け替え可能な構成としてもよい。
【0033】
本実施形態では、吐出口111aは、流動物を扁平な帯状に吐出可能な幅広のスリット形状である。即ち、吐出口111aは、
図3において奥行方向(短手方向)の長さに対して、
図3において左右方向(長手方向)の長さ(幅)が大幅に大きいスリット状の開口である。ただし、吐出口111aの形状は、スリット状に限定されず、円形やその他の任意の形状であってもよい。
【0034】
本実施形態では、切断部材112は、例えば金属材で弾性がある板状の部材であり、回動装置113の回動方向に合わせた曲げ形状を有している。具体的には、切断部材112は、後述する回動軸部材113cの延びる方向から見て回動方向に沿った円弧形状を有している。また、吐出部材111の外面は、切断部材112と同じ円弧形状である。ここで、「同じ円弧形状」は、曲率が実質的に同じ円弧であることをいう。図示の例では、切断部材112の円弧形状の中心および吐出部材111の円弧形状の中心は、実質的に一致するように配置されている。
【0035】
切断部材112は、吐出口111aを開放する第1位置(
図6参照)と、吐出口111aを閉塞する第2位置(
図7参照)との間で回動可能に構成されている。切断部材112は、流動物を切断する切断縁112aを有する。切断縁112aは、流動物の切断のために鋭利に形成されている。切断縁112aは、吐出部材111に押し当てられるように吐出部材111へ向けて付勢されており、第1位置(
図6参照)と第2位置(
図7参照)との間で吐出部材111に対して摺動する。当該付勢は、ねじ112bで切断部材112を押さえて吐出部材111と切断縁112aの接触で切断部材112の円弧形状がわずかに押し広げられる状態で固定し板バネのように機能させることで達成される。ただし、付勢構造は特に限定されず、任意の構造が採用され得る。
【0036】
回動装置113は、吐出口111aから吐出された流動物を切断するように第1位置(
図6参照)および第2位置(
図7参照)との間で往復するように切断部材112を回動させる。回動装置113は、切断部材112を回動させる駆動源となるモータ113aを有している。本実施形態では、モータ113aは、サーボモータまたはステッピングモータである。ただし、モータ113aとして他種類のものが採用されてもよい。
【0037】
図3を参照して、回動装置113は、モータ113aの駆動力を切断部材112に伝えるギア群113bおよび回動軸部材113cを有している。回動軸部材113cは、水平方向に延び、回動の中心軸を構成している。即ち、切断部材112は、当該中心軸周りに回動される。回動軸部材113cは、軸受113dによって軸支されており、切断部材112を保持する保持部材113eとねじ113fによって留められている。保持部材113eは、吐出部材111に近接して配置され、切断部材112とともに第1位置(
図6参照)と第2位置(
図7参照)との間で回動する。回動量は、例えば10°から45°程度であってもよい。
【0038】
本実施形態では、上記回動によって、切断部材112は、流動物の厚み方向に動いて流動物Pを切断するように構成されている。即ち、切断部材112は、幅広の吐出口111aの厚み方向に動いて吐出口111aを閉塞可能に構成されている(
図6,7参照)。
【0039】
図3を参照して、流動装置120は、ノズル110を通過するように流動物を流動させる。流動装置120は、ノズル110の上方に配置され、ノズル110に対して流体的に接続されている。本実施形態では、流動装置120は、いわゆる一軸偏心ねじポンプである。一軸偏心ねじポンプは、動力を受けて偏心回転する雄ねじ型のロータ121、および内周面が雌ねじ型に形成されたステータ122を有している。
【0040】
本実施形態では、流動装置120は、ノズル110から流動物を吐出するだけでなくノズル110から流動物を吸い込むこともできる。具体的には、流動装置120は、ノズル110から流動物を吐出する向き(
図3において下向き)と、当該向きとは反対向き(
図3において上向き)に流動物を流動させることが可能に構成されている。これは、一軸偏心ねじポンプのロータ121を正回転および逆回転させることにより達成される。一軸偏心ねじポンプのほか、流動物を吐出及び吸い込みが可能なピストンポンプやチューブポンプなどの容積式ポンプを用いてもよいし、各種のポンプと閉鎖時の吸い込み機能を備えたバルブとの組合せにより構成されていてもよい。
【0041】
図1を参照して、塗布装置1は、各種制御を実行する制御装置40を有している。本実施形態では、制御装置40は、ポンプ20、回動装置113、流動装置120、およびロボットアーム30を制御する。図示の例では、1つの制御装置40が模式的に示されているが、ポンプ20、回動装置113、流動装置120、およびロボットアーム30のそれぞれに対して制御装置40が別個に設けられてもよい。
【0042】
制御装置40は、例えば、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御装置40は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路または再構成可能な電子回路等のハードウェア回路で構成されてもよいし、種々の半導体集積回路で構成されてもよい。種々の半導体集積回路としては、例えば、CPU、MPUの他に、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が挙げられる。また、制御装置40は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等の記憶装置を含んでもよい。具体的には、制御装置40は、例えば、専用の制御盤、PLC(Programmable Logic Controller)、外部軸制御が可能なロボットコントローラー、デスクトップパソコン、ノートパソコン、ワークステーション、もしくはタブレット端末のような情報処理装置、または同等の機能を有するプリント基板等で構成され得る。
【0043】
制御装置40は、格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。制御装置40によって実行されるプログラムは、所定の通信規格にしたがい通信を行う通信部等を利用して外部から提供されてもよいし、可搬性を有する記録媒体に格納されていてもよい。
【0044】
図1,8~11を参照して、流動物Pを塗布対象物Wに塗布する流れを説明する。
【0045】
図1,8を参照して、通常時には、制御装置40によってポンプ20が制御され、貯留容器10から吐出装置100に流動物Pが送られる。吐出装置100では、制御装置40によって流動装置120が正回転駆動され、流動物Pが吐出口111aから吐出される。このとき、切断部材112は、吐出口111aを開放する第1位置に位置している。そして、制御装置40によってロボットアーム30が制御され、ノズル110は塗布方向前向き(矢印A1参照)に移動され、帯状の流動物Pが塗布対象物Wに塗布される。当該ロボットアーム30による移動は、
図9~11においても同様に行われる。
【0046】
図1,9を参照して、切断開始時には制御装置40によって流動装置120が逆回転駆動され、流動物Pが吐出口111aから吸い込まれる(矢印A2参照)。そして、この吸い込みのタイミングで制御装置40によって回動装置113が制御され、切断部材112が第1位置から第2位置に回動される(矢印A3参照)。ここで、吸い込みのタイミングとは、流動物Pの吸い込み中および吸い込み直後を含む。なお、
図9では、切断部材112が第1位置にあるときが示されている。
【0047】
図1,10を参照して、切断部材112が第2位置に位置すると、吐出口111aが閉塞されるとともに流動物Pが切断される。切断部材112が第1位置から第2位置に移動する向きは、ロボットアーム30が塗布対象物Wに対してノズル110を相対移動させる向き(矢印A1参照)とは反対向き(図における右向きであって矢印A1と反対向き)である。なお、
図10では、切断部材112が第2位置にあるときが示されている。
【0048】
図11を参照して、切断後には制御装置40によって切断部材112が第1位置に戻され(矢印A4参照)、再び制御装置40によって流動装置120が正回転駆動され、流動物Pが吐出口111aから吐出される。なお、
図11では、切断部材112が第1位置にあるときが示されている。
【0049】
図12を参照して、本実施形態では上記のようにして吐出口111aから扁平な帯状の流動物Pを間欠的に塗布する。このような間欠的な塗布は、回動装置、流動装置120、およびロボットアーム30を制御装置40によって制御することにより実行される。
【0050】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0051】
切断部材112が第1位置(
図8,9参照)から第2位置(
図10参照)に回動することによって吐出口111aから吐出された流動物Pを切断するとともに吐出口111aを閉塞できる。このとき、吐出口111aの外側にて流動物Pが切断され、吐出口111aが外側から閉塞されるため、吐出部材111の内部の流動物Pが糸を引くような塗布品質の悪化を抑制できる。ノズル110は、特に高粘度の流動物Pを間欠的に塗布する場合に有効に利用でき、十分な塗布品質を確保できる。
【0052】
また、切断部材112の切断縁112aが吐出部材111に押し当てられるように吐出部材111へ向けて付勢されているため、切断部材112と吐出口111a(即ち吐出部材111)との間に実質的に隙間がない状態で流動物を切断でき、流動物Pをきれいに剪断できる。仮に、切断部材112と吐出口111a(即ち吐出部材111)との間に隙間があると、流動物Pが当該隙間で撚れて変形し、流動物Pの切断端が不揃いとなるおそれや、流動物が隙間に詰まって、切断動作に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0053】
また、切断部材112および吐出部材111がともに円弧形状であるため、切断部材112から回動時の回動半径よりも外側に凸となる部分を低減し切断直後の流動物Pが切断部材112に接触および付着して塗布が乱れる可能性を低減できる。また、切断部材112を吐出部材111に対して回動(摺動)させる構成を省スペースで効率的に実現できる。
【0054】
また、回動装置113がサーボモータまたはステッピングモータを有しているため、高トルクおよび高切断速度での切断部材112の回動を実現でき、流動物Pをきれいに切断できる。特に、流動物Pを間欠的に塗布する場合には、切断部材112の第2位置への回動と第1位置への復帰を高速に繰り返すことが可能となる。
【0055】
また、切断部材112は、扁平な帯状の流動物Pの厚み方向に動いて流動物Pを切断するように構成されているため、糸引きを誘発しやすい扁平な帯状の流動物Pに対しても糸引きを抑制でき、十分な塗布品質を確保できる。
【0056】
また、ノズル110を使用した塗布装置1によって、十分な塗布品質を確保しつつ塗布対象物Wに対して所望の位置および量で流動物Pを塗布できる。例えば、流動物Pの間欠塗布を容易に実現できる。
【0057】
また、流動物Pを吸い込むタイミングで切断部材112を回動させるので、流動物Pを容易に切断できる。
【0058】
また、切断部材112が切断後に第2位置(
図10参照)から第1位置(
図11参照)に戻ったときに塗布前側(未塗布位置)に位置するため、切断部材112に切断直後の流動物Pが接触して付着することを回避できる。具体的には、
図11では、切断部材112の下方に塗布された流動物Pが位置しておらず、接触の危険性がないことが確認できる。
【0059】
図13を参照して、切断部材112の形状は、円弧形状に代えて屈曲形状を有していてもよい。当該屈曲形状は、回動装置113の回動方向に合わせた曲げ形状を構成している。図示の例では、切断部材112は、2つの屈曲部112c,112dを有する概略L字形の形状を有している。
図13では、切断部材112が第2位置にあるときを示しており、切断部材112が矢印A5の方向に回動して第1位置に移動可能となっている。
【0060】
図14を参照して、切断部材112には、切断用の孔Hが設けられていてもよい。当該孔Hを画定する孔縁112eが切断縁として機能する。
図14では、切断部材112が第1位置にあるときを示しており、切断部材112が矢印A6の方向に回動して第2位置に移動可能となっている。
【0061】
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 塗布装置
10 貯留容器
11 供給管
20 ポンプ
30 ロボットアーム(移動装置)
31 ブラケット
32 台
40 制御装置
100 吐出装置
110 ノズル
111 吐出部材
111a 吐出口
112 切断部材
112a 切断縁
112b ねじ
112c,112d 屈曲部
112e 孔縁(切断縁)
113 回動装置
113a モータ
113b ギア群
113c 回動軸部材
113d 軸受
113e 保持部材
113f ねじ
120 流動装置
121 ロータ
122 ステータ