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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010908
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20250116BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/18 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113211
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 純
(72)【発明者】
【氏名】伊東 輝久
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 岳宏
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA04
2E239CA22
2E239CA27
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA35
2E239CA47
2E239CA52
2E239CA62
2E239CA67
(57)【要約】
【課題】火災時における樹脂製の連結部材の焼失に伴う二つの金属形材の離隔を、より簡素な構成によって抑制することが可能な建具を提供する。
【解決手段】金属部材250は、外方下金属成形体120Bと固定される。金属部材250の延部251は、室内外方向に延びて貫通孔122cを貫通する。引掛部252は、延部251から下内方見付け板部122の室内側で上方に突出する。当該構成によれば、ブリッジ材120Cが焼失し、外方下金属成形体120Bが内方下金属成形体120Aから室外側に離隔しようとした場合、引掛部252が、下内方見付け板部122の室内側に引っ掛かる。これにより、金属部材250および外方下金属成形体120Bは、それ以上室外側へ移動できなくなる。金属部材250の内方下金属成形体120Aとの固定が不要な分、外方下金属成形体120Bと内方下金属成形体120Aとの離隔を抑制する構成を、より簡素に実現できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦枠、上枠、下枠が四周組された枠体と、下枠の延在方向にスライドする状態で前記枠体に配設した障子と、を備え、
前記下枠は、室内側の第一金属形材と、室外側の第二金属形材と、前記第一金属形材と前記第二金属形材との間に位置し樹脂材料で作られ前記第一金属形材と前記第二金属形材とを連結する連結部材と、を有した建具であって、
前記第一金属形材は、内周側の見込み面と、当該見込み面から上方に突出するとともに前記延在方向に延び室内外方向に貫通した貫通孔が設けられた縦壁と、を有し、
前記下枠は、前記第二金属形材と固定される固定部と、室内外方向に延びて前記貫通孔を貫通する延部と、当該延部から前記縦壁の室内側の面に沿って上方に突出した引掛部と、を有した金属部材を備えた、建具。
【請求項2】
前記第二金属形材は、室内外方向および前記延在方向に延びた横壁と、前記横壁の下方で前記第二金属形材を補強する補強部材と、を有し、
前記固定部および前記延部は、前記横壁より上方に位置し、
前記金属部材は、前記横壁を貫通する結合具を介して前記補強部材と固定された、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記縦壁と前記引掛部との間に、当該縦壁および前記引掛部より熱伝導率が低い介在部材を備えた、請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記介在部材は、熱膨張性を有した、請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記障子は、前記枠体の開状態で互いに重なり合う室内側障子と室外側障子とを有し、
前記建具は、前記室内側障子と前記室外側障子との間の空間と面するように前記延部に取り付けられた熱膨張性部材を備えた、請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記障子は、前記枠体の開状態で互いに重なり合う室内側障子と室外側障子とを有し、
前記金属部材は、少なくとも、前記枠体の閉状態で前記室内側障子と前記室外側障子とが室内外方向に重なった召し合わせ框部の下方に位置した、請求項1~5のうちいずれか一つに記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
引き違い窓等のように枠体に対して障子がスライド可能に配設された建具として、枠体が、室内側の金属形材と、室外側の金属形材と、連結部材と、を有したものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1において、連結部材は、それら二つの金属形材の間に介在するとともに、当該二つの金属形材を連結している。また、連結部材は、金属材料より熱伝導性の低い樹脂材料によって作られている。このような構成により、枠体における断熱性や防露性の向上が図られている。
【0003】
この種の建具においては、火災時には、樹脂材料で作られた連結部材が焼失する虞があり、ひいては、室外側の金属形材が室内側の金属形材から室外側に離れてしまう虞がある。そこで、特許文献1では、二つの金属形材を、連結部材とは別の金属材料で作られた部材によって、連結している。これにより、火災時において連結部材が焼失した場合にあっても、二つの金属形材が離れるのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-154161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、当該別の部材は、二つの金属形材の双方に固定されている。これに伴って、二つの金属形材が離れるのを抑制するための構成は、形状が複雑化するとともに部品点数が多くなっており、製造の手間やコストが増大してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、火災時における樹脂製の連結部材の焼失に伴って二つの金属形材が離れるのを、より簡素な構成によって抑制できる建具を提供することを、目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建具は、左右の縦枠、上枠、下枠が四周組された枠体と、下枠の延在方向にスライドする状態で前記枠体に配設した障子と、を備え、前記下枠は、室内側の第一金属形材と、室外側の第二金属形材と、前記第一金属形材と前記第二金属形材との間に位置し樹脂材料で作られ前記第一金属形材と前記第二金属形材とを連結する連結部材と、を有した建具であって、前記第一金属形材は、内周側の見込み面と、当該見込み面から上方に突出するとともに前記延在方向に延び室内外方向に貫通した貫通孔が設けられた縦壁と、を有し、前記下枠は、前記第二金属形材と固定される固定部と、室内外方向に延びて前記貫通孔を貫通する延部と、当該延部から前記縦壁の室内側の面に沿って上方に突出した引掛部と、を有した金属部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、連結部材が焼失し、第二金属形材が第一金属形材から室外側に離隔しようとした場合にあっても、当該第二金属形材と固定された金属部材の引掛部が、第一金属形材の縦壁の室内側に引っ掛かり、それ以上室外側へ移動できなくなる。本発明によれば、金属部材を第一金属形材と固定することなく、火災時における第一金属形材と第二金属形材との離隔を抑制できる。よって、当該離隔を抑制する構造を、より簡素に実現でき、当該構造を有した下枠ひいては建具の製造の手間やコストを、抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た姿図である。
図2図1に示した建具の縦断面図である。
図3図1に示した建具の横断面図である。
図4図1に示した建具の障子を除く下部を拡大した縦断面図である。
図5図1に示した建具の障子および樹脂形材を除く下部を拡大した縦断面図であって、図4とは別の位置における縦断面図である。
図6図1に示した建具の障子および樹脂形材を除く下部を拡大した縦断面図であって、図4,5とは別の位置における縦断面図である。
図7図1に示した建具に含まれる金属部材の側面図である。
図8図1に示した建具に含まれる金属部材の平面図である。
図9図1に示した建具に含まれる金属部材の図7とは別の方向に見た側面図である。
図10図1に示した建具の一部の側面図であって、金属部材が挿入される貫通孔を示す図である。
図11図1に示した建具の障子および樹脂形材を除く下部を拡大した縦断面図であって、金属部材が建具に取り付けられる手順を示す図である。
図12図1に示した建具に含まれる下枠の樹脂形材を除く平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、建具の奥行きに沿った方向であって、室内外方向とも称されうる。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。上枠や下枠のように水平方向に沿って延在する部材について、見付け方向とは、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠のように上下方向に沿って延在する部材について、見付け方向とは、見込み方向に直交した水平に沿う方向である。また、見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0011】
図1図3は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10と、枠体10の室外側となる部分に配設した外障子20Aと、枠体10の室内側となる部分に配設した内障子20Bとを備えた引き違い窓と称されるものである。枠体10は、左右の縦枠11,12、上枠13、下枠14を四周組することによって四角形の枠形状に構成したものである。外障子20Aは、室外側障子の一例であり、内障子20Bは、室内側障子の一例である。
【0012】
外障子20Aは、四角形状を成す複層ガラス21Aと、複層ガラス21Aの四周に配設した縦框22A、上框23A、下框24A、縦框25Aとを備えて構成したものである。内障子20Bも同様に、四角形状を成す複層ガラス21Bと、複層ガラス21Bの四周に配設した縦框22B、上框23B、下框24B、縦框25Bとを備えて構成したものである。本実施の形態では、外障子20A及び内障子20Bが枠体10に対して上枠13及び下枠14の長手に沿って移動可能に配設してあり、室内側から見て枠体10の左側に外障子20Aを配置し、かつ右側に内障子20Bを配置した場合に、枠体10の開口を閉じることが可能である。枠体10の開口を閉じた状態においては、室内側から見て外障子20Aの右側に配置される縦框25Aと、内障子20Bの左側に配置される縦框25Aとが召し合わせとなって互いに見込み方向に並ぶ状態となる。他方、枠体10の開口を開いた状態においては、外障子20Aと内障子20Bとは、見込み方向に少なくとも部分的に重なった状態となる。以下、縦框25A,25Bは、召し合わせ框部25A,25Bと称する。
【0013】
障子20A,20Bを構成する縦框22A,22B、上框23A,23B、下框24A,24B、召し合わせ框部25A,25Bは、いずれも樹脂によって成形した押し出し形材であり、それぞれ長手に沿った全長にわたってほぼ一様となる断面形状を有するように構成してある。本実施の形態では、特に、縦框22A,22B、上框23A,23B、下框24A,24Bとして、同一の断面形状のものを適用して障子20A,20Bが構成してある。召し合わせ框部25A,25Bについては、異なる断面形状となるものを適用している。
【0014】
これに対して枠体10を構成する縦枠11,12、上枠13、下枠14は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材からなる金属形材と、樹脂によって成形した押し出し形材からなる樹脂形材とを備えて構成した複合型のものである。金属形材及び樹脂形材についても長手に沿った全長にわたってほぼ一様となる断面形状を有するように構成してある。
【0015】
また、図2,3等に示すように、縦枠11,12、上枠13、下枠14を構成する各部材は、取付ねじ400を介して、建物の躯体や当該躯体に固定された額縁に取り付けられている。
【0016】
以下、障子20A,20Bの框及び枠体10を構成する縦枠11,12、上枠13、下枠14の構成について説明するとともに、本願発明の特徴部分について説明する。なお、以下においては、便宜上、室内側から見て左方に位置する縦枠を左縦枠11と称し、右方に位置する縦枠を右縦枠12と称する。
【0017】
(縦框22A)
図3に示すように、縦框22Aは、框基部31、ガラス挟持片32、内方レールガイド33、外方レールガイド34を一体に成形したものである。框基部31は、断面が略四角形の中空状を成すものである。框基部31の内周側において室外側となる縁部には、押縁35が設けてある。押縁35は、ガラス挟持片32との間に複層ガラス21Aを挟持するものである。ガラス挟持片32は、框基部31の内周側において室内側となる縁部から内周側に突出したものである。内方レールガイド33は、框基部31の外周側において室内側となる縁部から外周側に突出したものであり、外方レールガイド34は、框基部31の外周側において室外側となる縁部から外周側に突出したものである。内方レールガイド33及び外方レールガイド34には、相互間に隙間が確保してあり、互いに対向する部分にタイト材36が設けてある。
【0018】
(縦框25A)
召し合わせ框部25A,25Bを構成する縦框25Aは、框基部31、ガラス挟持片32を一体に成形したものである。框基部31は、断面が略四角形の中空状を成すものである。框基部31の内周側において室外側となる縁部には、押縁35が設けてある。押縁35は、ガラス挟持片32との間に複層ガラス21Aを挟持するものである。ガラス挟持片32は、框基部31の内周側において室内側となる縁部から内周側に突出したものである。
【0019】
(左縦枠11)
図3に示すように、左縦枠11は、金属形材40と、樹脂形材51,52と、を有している。樹脂形材51は、金属形材40と複数の爪構造を介して係合されて一体化されている。また、樹脂形材52は、当該樹脂形材51と複数の爪構造を介して係合されて一体化されている。金属形材40および樹脂形材51,52は、それぞれ、異なる方向に延びる複数の板部を有した断面形状で、上下方向に延びている。樹脂形材51,52は、金属形材40の内周側の見込み面の一部を覆うように設けられている。
【0020】
(右縦枠12)
図3に示すように、右縦枠12は、金属形材60と、当該金属形材60と複数の爪構造を介して係合されて一体化された樹脂形材70と、を有している。金属形材60および樹脂形材70は、それぞれ、異なる方向に延びる複数の板部を有した断面形状で、上下方向に延びている。樹脂形材70は、金属形材60の内周側の見込み面の一部を覆うように設けられている。
【0021】
(上枠13)
図2に示すように、上枠13の金属形材80は、室内側の内方上金属成形体80A、室外側の外方上金属成形体80Bを備えて構成してある。これら内方上金属成形体80A及び外方上金属成形体80Bは、断熱材によって成形したブリッジ材80Cによって互いの間を連結したもので、相互に接触することがなく熱的に遮断してある。また、上枠13の樹脂形材90は、室内側の内方上樹脂成形体90A、室外側の外方上樹脂成形体90Bを備えて構成してある。金属形材80及び樹脂形材90は、それぞれが上枠13において左右の縦枠11,12の間に位置する部分の全長にわたる長さを有したものである。樹脂形材90は、金属形材80の内周側の見込み面の一部を覆うように設けられている。
【0022】
(下枠14)
図2,4に示すように、下枠14の金属形材120は、室内側の内方下金属成形体120Aと、室外側の外方下金属成形体120Bと、を備えて構成してある。内方下金属成形体120A及び外方下金属成形体120Bは、ブリッジ材120Cによって互いの間を連結したものである。ブリッジ材120Cは、例えばウレタンのような断熱性の樹脂材料で作られている。すなわち、内方下金属成形体120A及び外方下金属成形体120Bは、相互に接触することがなく熱的に遮断してある。内方下金属成形体120A、外方下金属成形体120B、およびブリッジ材120Cは、それぞれが下枠14において左右の縦枠11,12の間に位置する部分の全長にわたる長さを有したものである。内方下金属成形体120Aは、室内側の第一金属形材の一例であり、外方下金属成形体120Bは、室外側の第二金属形材の一例であり、ブリッジ材120Cは、連結部材の一例である。
【0023】
また、外方下金属成形体120Bの下部は、閉断面構造を有しており、その内部に、補強部材150を収容している。補強部材150には、熱膨張性部材303が設けられている。補強部材150および熱膨張性部材303については後述する。また、内方下金属成形体120Aや、外方下金属成形体120B、ブリッジ材120Cの内周側には、熱膨張性部材304が設けられている。これら熱膨張性部材303,304は、例えば黒鉛のような、加熱されると発泡して膨張する加熱発泡材である。
【0024】
図4に示すように、内方下金属成形体120Aは、下内方見込み板部121、下内方見付け板部122、下内方ポケット部123、下内端見付け板部124、下支持板部125を一体に成形したものである。下内方見込み板部121、下内方見付け板部122、下内方ポケット部123、下内端見付け板部124、および下支持板部125は、いずれも、延在方向E(図1,3等参照)に延びている。
【0025】
下内方見込み板部121は、見込み方向に沿って延在した板状を成すものである。下内方見付け板部122は、内障子20Bを案内するための内周側の下横レール14Bの金属レール部を構成するものである。下内方見付け板部122は、下内方見込み板部121の内周側の見込み面121bの室外側となる縁部から上方、すなわち内周側に向けて延在した後、室内側に向けて延在している。下内方見付け板部122において室内側に延在した延在縁部には、戸車ガイド部122a及び下方嵌合部122bが設けてある。戸車ガイド部122aは、内周側に突出した突状部分であり、戸車26Bを介して内障子20Bのスライドを案内するものである。下方嵌合部122bは、後述する樹脂形材140の下方嵌合部142aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、下内方見付け板部122の室内側に位置する延在縁部から外周側に向けて延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに内周側に向けて屈曲することによって下方嵌合部122bが構成してある。下内方ポケット部123は、ブリッジ材120Cを収容するための溝状の凹部であり、下内方見込み板部121の室外側となる縁部において室外に開口するように設けてある。下内端見付け板部124は、下内方見込み板部121の室内側となる縁部から見付け方向に沿って延在したものである。下内端見付け板部124の外周側に位置する部分には、室内に向けて漸次外周側となるように傾斜した下固定用見込み板部126が設けてある。下支持板部125は、下内方見込み板部121において下内方ポケット部123と下内端見付け板部124との中間部から外周側に向けて延在したものである。下内端見付け板部124、下固定用見込み板部126、下支持板部125は、それぞれの外周側となる縁部が見込み方向に沿ってほぼ水平となる同一の平面上に位置するように構成してある。
【0026】
この内方下金属成形体120Aには、下内方見込み板部121の内周側となる部分に複数の下係合受部121aが設けてある。下係合受部121aは、下内方見込み板部121の内周側に後述の樹脂形材140を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、下内端見付け板部124の室外に臨む見付け面、下内方見込み板部121の見込み面において下方嵌合部122bに対向する部分にそれぞれ下係合受部121aが設けてある。
【0027】
外方下金属成形体120Bは、下外方見込み板部127、下外方見付け板部128、下外方ポケット部129、下外方カバー板部130、外方側壁132、下端壁133、内方側壁134を一体に成形したものである。下外方見込み板部127、下外方見付け板部128、下外方ポケット部129、下外方カバー板部130、外方側壁132、下端壁133、および内方側壁134は、いずれも延在方向E(図1,3等参照)に延びている。
【0028】
下外方見込み板部127は、見込み方向に沿って延在した板状を成すものである。下外方見込み板部127は、室内外方向および延在方向Eに延びている。下外方見付け板部128は、外障子20Aを案内するための外方側の下横レール14Aの金属レール部を構成するもので、下外方見込み板部127の室外側となる縁部から内周側に向けて延在した後、室内側に向けて延在している。下外方見付け板部128において室内側に延在した延在縁部には、戸車ガイド部128a及び下方嵌合部128bが設けてある。戸車ガイド部128aは、内周側に突出した突状部分であり、戸車26Aを介して外障子20Aのスライドを案内するものである。下方嵌合部128bは、後述する樹脂形材140の下方嵌合部146aに嵌合することにより、相互に離反する見込み方向の移動を制限するためのものである。図示の例では、下外方見付け板部128の延在縁部から外周側に向けて延在した後、室内側に向けて屈曲し、さらに内周側に向けて屈曲することによって下方嵌合部128bが構成してある。下外方見付け板部128の内周側に位置する縁部は、下内方見付け板部122と上下方向における位置がほぼ同じとなるように構成してある。下外方ポケット部129は、ブリッジ材120Cを収容するための溝状の凹部であり、下外方見込み板部127の室内側となる縁部において室内に開口するように設けてある。下外方カバー板部130は、下外方見込み板部127の室外側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。
【0029】
この外方下金属成形体120Bには、下外方見込み板部127の内周側となる部分に複数の下係合受部127aが設けてある。下係合受部127aは、下外方見込み板部127の内周側に後述の樹脂形材140を装着した状態に維持するためのものである。図示の例では、下外方ポケット部129の室外に臨む部分、下外方見込み板部127の見込み面において下方嵌合部128bに対向する部分にそれぞれ下係合受部127aが設けてある。
【0030】
外方下金属成形体120Bにおいて、下外方見込み板部127の外周側となる部分には、中空部131が構成してある。下外方見込み板部127、外方側壁132、下端壁133、および内方側壁134は、閉断面を構成している。中空部131は、当該下外方見込み板部127、外方側壁132、下端壁133、および内方側壁134によって囲まれた空間である。外方側壁132は、下外方見込み板部127の室外側の端部近傍から下方に向けて見付け方向に突出している。内方側壁134は、下外方ポケット部129から下方に向けて見付け方向に突出している。下端壁133は、外方側壁132の下端と内方側壁134の下端との間で見込み方向に沿って延在している。下端壁133は、下外方見込み板部127に対して下方すなわち外周側に離れて位置し、外方側壁132は、内方側壁134に対して室外側に離れて位置している。
【0031】
なお、上述した下枠14の金属形材120には、内方下金属成形体120Aの下内方見付け板部122と外方下金属成形体120Bの下外方見付け板部128との間に下方風止め部材110B(図12参照)が取り付けてある。下方風止め部材110Bは、弾性を有した樹脂材によって成形したもので、下枠14の内周側となる見込み面において召し合わせ框部25A,25Bに対応する部分に配設することにより、室内外の空気の流通を制限するためのものである。
【0032】
下枠14の樹脂形材140は、室内側の内方下樹脂成形体140A、室外側の外方下樹脂成形体140Bを備えて構成してある。
【0033】
内方下樹脂成形体140Aは、下内カバー基部141、下内レール用カバー部142、下見付けカバー部143、下額縁カバー部144を一体に成形したものである。下内カバー基部141は、金属形材120の下内方見込み板部121の内周側の一部を覆う平板状を成すものである。下内レール用カバー部142は、内障子20Bに対応した下横レール14Bの樹脂レール部を構成するためのもので、下内カバー基部141から内周側に向けて延在している。下内レール用カバー部142の内周側となる縁部には、下方嵌合部142aが設けてある。下方嵌合部142aは、下内レール用カバー部142の延在縁部から室外側に向けて延在した後、外周側に向けて屈曲したものである。下内レール用カバー部142は、下方嵌合部142aを下内方見付け板部122の下方嵌合部122bに嵌合することにより下内方見付け板部122との間に空間部を確保した状態で下内方見付け板部122の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。下見付けカバー部143は、下内カバー基部141の室内側となる縁部から内周側に向けて延在することにより、下内端見付け板部124の室外に臨む見付け面の一部を覆うものである。下額縁カバー部144は、下見付けカバー部143の内周側となる縁部から室内側に向けて見込み方向に延在したものである。
【0034】
この内方下樹脂成形体140Aには、下内カバー基部141の外周側となる部分に複数の係合用突部141aが設けてある。係合用突部141aは、下内カバー基部141から外周側に向けて延在したもので、延在縁部に係合爪部141bが設けてある。係合爪部141bは、内方下金属成形体120Aに設けた下係合受部121aに係合することにより下内カバー基部141が下内方見込み板部121との間に空間部を確保した状態で下内方見込み板部121の内周側となる見込み面を覆った状態に維持するものである。
【0035】
外方下樹脂成形体140Bは、下外カバー基部145、下外レール用カバー部146を一体に成形したものである。下外カバー基部145は、金属形材120の下外方見込み板部127及びブリッジ材120Cを覆う平板状を成すものである。下外カバー基部145の室内側に位置する縁部と、下内方見付け板部122の室外に臨む見付け面との間には、僅かに隙間が確保してある。下外レール用カバー部146は、外障子20Aに対応した下横レール14Aの樹脂レール部を構成するためのもので、下外カバー基部145の室外側に位置する縁部から内周側に向けて延在している。下外レール用カバー部146の内周側となる縁部には、下方嵌合部146aが設けてある。下方嵌合部146aは、下外レール用カバー部146の延在縁部から室外側に向けて延在した後、外周側に向けて屈曲したものである。下外レール用カバー部146は、下方嵌合部146aを下外方見付け板部128の下方嵌合部128bに嵌合することにより下外方見付け板部128との間に空間部を確保した状態で下外方見付け板部128の室内に臨む見付け面を覆った状態となる。
【0036】
この外方下樹脂成形体140Bには、下外カバー基部145の外周側となる部分に複数の係合用突部145aが設けてある。係合用突部145aは、下外カバー基部145から外周側に向けて延在したもので、延在縁部に係合爪部145bが設けてある。係合爪部145bは、外方下金属成形体120Bに設けた下係合受部127aに係合することにより下外カバー基部145が下外方見込み板部127との間に空間部を確保した状態で下外方見込み板部127の内周側となる見込み面を覆った状態に維持するものである。
【0037】
また、図5,6に示すように、下枠14の金属形材120は、室外側の外方下金属成形体120Bを補強する補強部材150を備えている。補強部材150は、当該外方下金属成形体120Bの中空部131に収容されている。言い換えると、補強部材150は、下外方見込み板部127の下方に位置している。下外方見込み板部127は、横壁の一例である。なお、本実施の形態では、一例として、補強部材150は、枠体10の閉状態で室外側の障子20Aの下方となる位置で、延在方向E(図1,3等参照)に延びている。このため、図4のように、延在方向Eの位置によっては、補強部材150が存在しない。ただし、これには限定されず、補強部材150は、下枠14の延在方向Eの略全長に渡って設けられてもよい。
【0038】
補強部材150は、底壁151と、支持壁152と、頂壁153と、突壁154と、を有している。底壁151、支持壁152、頂壁153、および突壁154は、延在方向Eに延びている。底壁151は、下端壁133の内周側の見込み面に略沿って見込み方向に延びている。頂壁153は、下外方見込み板部127の外周側の見込み面に略沿って見込み方向に延びている。支持壁152は、底壁151の室外側の端部と頂壁153の室外側の端部との間でクランク状に屈曲しながら上下方向に延びている。支持壁152は、上下方向の途中において室外側に張り出した張出部152aを有している。図5に示すように、張出部152aは、延在方向に見た場合に室内側に開放された略U字状に形成されている。突壁154は、張出部152aの下壁が室内側に延長された形態で、支持壁152から中空部131の略中央部まで室内側に突出している。
【0039】
図5の断面において、下外方見込み板部127には、貫通孔127bが設けられている。当該貫通孔127bは、排水孔として機能するものである。頂壁153が貫通孔127bの下方を覆わないよう、頂壁153のうち貫通孔127bと重なる部位には、切欠153aが設けられている。また、張出部152aの下壁および突壁154上には、熱膨張性部材303が設けられている。このような構成により、火災時には熱膨張性部材303が膨張し、貫通孔127bを塞ぐことができ、ひいては、貫通孔127bを介した延焼を防止することができる。なお、頂壁153には、切欠153aに替えて、貫通孔が設けられてもよい。図5の例では、張出部152aの下壁および突壁154上に三つの熱膨張性部材303が積層されているが、熱膨張性部材303の数は3には限定されないし、熱膨張性部材303は積層されなくてもよい。
【0040】
(外方下金属成形体120Bの内方下金属成形体120Aからの離隔防止構造)
上述した構成の下枠14にあっては、火災時にブリッジ材120Cが焼失すると、ブリッジ材120Cによる内方下金属成形体120Aと外方下金属成形体120Bとの連結状態が解除されてしまう。これに伴って外方下金属成形体120Bが内方下金属成形体120Aから離隔すると、内方下金属成形体120Aと外方下金属成形体120Bとの間の隙間が広がって防火性が低下したり、外方下金属成形体120Bが下枠14から脱落したり、といった問題が生じる虞がある。
【0041】
そこで、本実施の形態では、下枠14は、図6に示すように、外方下金属成形体120Bの内方下金属成形体120Aからの離隔防止構造を有している。当該離隔防止構造は、金属部材250と、結合具260と、を有している。金属部材250は、結合具260を介して外方下金属成形体120Bと固定されている。また、金属部材250は、当該金属部材250が内方下金属成形体120Aから室外側に離れないように引っ掛ける引掛部252を有している。当該構成にあっては、ブリッジ材120Cが焼失した際、外方下金属成形体120Bは、室外側に移動しようとしても、引掛部252が内方下金属成形体120Aと引っ掛かった以降、室外側には移動できない。すなわち、本実施の形態では、離隔防止構造は、金属部材250が内方下金属成形体120Aと単に引っ掛かることにより外方下金属成形体120Bの移動を制限するものである。よって、金属部材250が内方下金属成形体120Aと固定された構造に比べて、離隔防止構造を、より簡素な構成によって実現することができる。
【0042】
以下、図6~11を参照しながら、金属部材250および結合具260の具体例について、詳細に説明する。なお、図7~9中には、金属部材250が下枠14に組み込まれた状態における方向を示している。
【0043】
金属部材250および結合具260は、例えば、鉄系材料や、アルミニウム系材料のような、金属材料で作られる。よって、火災時等にあっても、焼失せず、かつ高温環境下において熱変形しないため、金属部材250および結合具260による離隔防止の機能は損なわれない。
【0044】
金属部材250は、延部251と、引掛部252と、側壁253と、固定部254と、を有している。
【0045】
延部251は、図6,7に示すように、下外方見込み板部127より上方で、室内外方向に略沿って延びている。また、延部251は、図8に示すように、上枠13の延在方向Eに略沿って延びている。延部251は、略四角形状かつ板状の形状を有している。
【0046】
図6に示すように、下内方見付け板部122には、室内外方向に貫通する貫通孔122cが設けられている。延部251は、当該貫通孔122cを貫通している。下内方見付け板部122より室内側において、延部251は、ブリッジ材120Cおよび下内方見込み板部121より上方に位置している。下内方見付け板部122のうち、見込み面121bから上方に突出する部位は、縦壁の一例である。
【0047】
引掛部252は、図6,7に示すように、延部251の室内側の端部から上方に、下内方見付け板部122の室内側の面に略沿って、当該面と隙間をあけた状態で突出している。また、引掛部252は、図8に示されるように、下枠14の延在方向Eに略沿って延びている。引掛部252は、略四角形状かつ板状の形状を有している。
【0048】
側壁253は、図6~9に示すように、延部251の延在方向Eの両端部から、室内外方向における所定幅で、下方に向けて突出している。側壁253の室外側の部位253aは、側壁253の室内側の部位よりも、さらに下方に突出している。二つの側壁253は、いずれも板状の形状を有している。
【0049】
固定部254は、図8,9に示すように、二つの側壁253のうちの一方における室外側の部位253aの下端から、二つの側壁253のうちの他方から離れるように、延在方向Eに略沿って突出している。固定部254は、室内外方向にも延びている。固定部254は、略四角形状かつ板状の形状を有している。固定部254は、図6に示すように、下外方見込み板部127より上方に位置し、当該下外方見込み板部127の内周側の見込み面に略沿って延びており、当該内周側の見込み面と接している。固定部254は、略四角形状かつ板状の形状を有している。
【0050】
図6~9に示すように、固定部254には、結合具260が上下方向に貫通する貫通孔254aが設けられている。図6に示すように、下外方見込み板部127には、貫通孔254aと上下方向に重なる位置に、当該上下方向に貫通する貫通孔127cが設けられている。また、補強部材150の頂壁153には、貫通孔254aおよび貫通孔127cと上下方向に重なる位置に、当該上下方向に貫通する結合孔153bが設けられている。結合具260は、上側にヘッド260aを有したねじであり、結合孔153bは、例えば雌ねじ孔である。この場合、結合具260は、例えば、ドライバのような工具を用いて上側から結合孔153bに螺合される。これにより、ヘッド260aと頂壁153との間に固定部254および下外方見込み板部127が挟まれた状態で、結合具260、固定部254、下外方見込み板部127、および頂壁153が一体化される。すなわち、結合具260は、金属部材250、外方下金属成形体120B、および補強部材150を一体化している。
【0051】
なお、金属部材250は、延在方向Eにおいて、外方下樹脂成形体140Bと並んでいる。金属部材250が設けられる箇所で外方下樹脂成形体140Bが部分的に切り欠かれることにより、このような構成が実現されている。
【0052】
そして、図6~9に示すように、延部251には、当該延部251の上面、すなわち内周側の見込み面を覆うように、熱膨張性部材306が設けられている。熱膨張性部材306は、接着剤や両面テープ等を介して、延部251に取り付けられる。熱膨張性部材306は、上述した熱膨張性部材303,304と同様のものであり、例えば黒鉛のような、加熱されると発泡して膨張する加熱発泡材である。ここで、延部251の上面は、障子20Aと障子20Bとの間の空間と面している。すなわち、熱膨張性部材306は、障子20Aと障子20Bとの間の空間と面するように、延部251に取り付けられている。
【0053】
また、引掛部252には、下内方見付け板部122と面した外面、すなわち室外側の見付け面を覆うように、熱膨張性部材307が設けられている。熱膨張性部材307は、接着剤や両面テープ等を介して、引掛部252に取り付けられる。熱膨張性部材307も、熱膨張性部材303,304,306と同様のものであり、例えば黒鉛のような、加熱されると発泡して膨張する加熱発泡材である。熱膨張性部材307の熱伝導率は、金属材料で作られた下内方見付け板部122および引掛部252の熱伝導率より低い。熱膨張性部材307は、下内方見付け板部122と引掛部252との間に介在した介在部材の一例である。
【0054】
図10,6に示すように、延部251が貫通する貫通孔122cは、下内方見付け板部122の下側の根元部分、すなわち下部に設けられている。当該貫通孔122cは、下内方見付け板部122の室内側から室外側へ水を排出する排水孔として機能している。本実施の形態では、排水孔を、延部251が室内外方向に貫通する貫通孔122cとして共用している。これにより、排水孔と貫通孔122cとをそれぞれ別個に形成する場合に比べて、製造の手間を減らすことができる。なお、下内方見付け板部122には、延在方向Eに略一定の間隔で複数の排水孔が設けられている。
【0055】
図11は、金属部材250の、下枠14への取付手順を示す。まずは、金属部材250を、室外側の端部が上方に位置するとともに室内側の端部が下方に位置する姿勢に傾けた状態で、貫通孔122cに、引掛部252を、室外側から室内側へ通す(S1)。次に、引掛部252の根元部が貫通孔233cを貫通した状態で、固定部254が下外方見込み板部127に近付くように金属部材250を回転する(S2)。これにより、固定部254と下外方見込み板部127とが接触する。この状態で、貫通孔254aが、貫通孔127cおよび結合孔153bと上下方向に重なるよう、金属部材250を、下外方見込み板部127上でスライドして位置決めする。そして、貫通孔254a、貫通孔127c、および結合孔153bが上下方向に略重なった状態で、結合具260を上側から結合孔253bに螺合する(S3)。
【0056】
また、図12に示すように、金属部材250および熱膨張性部材306,307は、召し合わせ框部25A,25Bに対して下方に重なるよう、配置されている。また、下方風止め部材110Bは、第一金属部材210、第二金属部材220、および熱膨張性部材301と延在方向Eにおいて隣り合うとともに、召し合わせ框部25A,25Bに対して上方に重なるよう、配置されている。なお、下方風止め部材110Bと、金属部材250および熱膨張性部材306,307とは、延在方向Eにおいて、図12とは逆の順に配置されてもよい。
【0057】
さらに、図12に示すように、下枠14の延在方向Eの一部区間において、下外方見込み板部127には、貫通孔127bが設けられている。補強部材150の頂壁153には、複数の貫通孔127bと上下方向に重なり、当該複数の貫通孔127bを露出させるように、延在方向Eに延びた切欠153aが設けられている。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、室内側の内方下金属成形体120Aは、内周側の見込み面121bと、下内方見付け板部122と、を有する。下内方見付け板部122は、当該見込み面121bから上方に突出するとともに延在方向Eに延びる。下内方見付け板部122には、室内外方向に貫通した貫通孔122cが設けられる。金属部材250は、固定部254と、延部251と、引掛部252と、を有する。固定部254は、外方下金属成形体120Bと固定される。延部251は、室内外方向に延びて貫通孔122cを貫通する。引掛部252は、延部251から下内方見付け板部122の室内側の面に沿って上方に突出する。当該構成では、ブリッジ材120Cが焼失し、外方下金属成形体120Bが内方下金属成形体120Aから室外側に離隔しようとした場合、金属部材250の引掛部252が、下内方見付け板部122に引っ掛かる。これにより、金属部材250および外方下金属成形体120Bは、内方下金属成形体120Aから離隔できなくなる。本発明によれば、金属部材250を内方下金属成形体120Aと固定することなく、火災時における内方下金属成形体120Aと外方下金属成形体120Bとの離隔を、抑制できる。すなわち、内方下金属成形体120Aと外方下金属成形体120Bとの離隔抑制構造を、より簡素に実現でき、当該構造を有した下枠ひいては建具の製造の手間やコストを抑制できる。
【0059】
また、本実施の形態では、外方下金属成形体120Bは、室内外方向および延在方向に延びた下外方見込み板部127と、当該下外方見込み板部127の下方で外方下金属成形体120Bを補強する補強部材150と、を有する。固定部254および延部251は、下外方見込み板部127より上方に位置する。金属部材250は、下外方見込み板部127を貫通する結合具260を介して補強部材150と固定される。当該構成によれば、金属部材250は、外方下金属成形体120Bおよび補強部材150に固定される。よって、金属部材250を下枠14により強固に固定することができる。また、結合具260を、外方下金属成形体120Bと補強部材150との結合と、金属部材250の下枠14に対する結合と、に共用することができる。よって、これらの結合のためにそれぞれ別の結合具が設けられた場合に比べて、構成を簡素化でき、製造の手間やコストを抑制できるという効果が得られる。
【0060】
また、本実施の形態では、下内方見付け板部122と引掛部252との間に、当該下内方見付け板部122および引掛部252より熱伝導率が低い熱膨張性部材307を備える。当該構成によれば、熱膨張性部材307によって、外方下金属成形体120Bと熱的に接続される金属部材250の引掛部252と、内方下金属成形体120Aの下内方見付け板部122と、の間の熱伝導を、抑制することができる。よって、当該熱膨張性部材307が無い場合に比べて、下枠14における防熱性や防露性をより高めることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、下内方見付け板部122と引掛部252との間に、熱膨張性部材307が介在する。当該構成によれば、火災時に、熱膨張性部材307が熱膨張することにより、外障子20Aと内障子20Bと下枠14との間の空間の一部を塞ぐことができ、当該空間を介した火炎の伝播を抑制することができる。また、本実施の形態では、下内方見付け板部122および引掛部252より熱伝導率が低い部材と、熱膨張性部材307と、を共用していると言うことができる。当該構成によれば、熱伝導率が低い部材と熱膨張性部材307とを別個に設けた場合に比べて、構成を簡素化でき、製造の手間やコストを抑制できるという効果が得られる。
【0062】
また、本実施の形態では、熱膨張性部材306は、内障子20Bと外障子20Aとの間の空間と面するように延部251に取り付けられる。当該構成によれば、火災時に、熱膨張性部材306が熱膨張することにより、外障子20Aと内障子20Bと下枠14との間の空間の一部を塞ぐことができ、当該空間を介した火炎の伝播を抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、金属部材250は、少なくとも、召し合わせ框部25A,25Bの下方に位置する。当該構成によれば、下枠14の延在方向Eの略中央部に位置した金属部材250によって、内方下金属成形体120Aと外方下金属成形体120Bとの離隔を抑制できる。よって、より少ない数の金属部材250によって、内方下金属成形体120Aと外方下金属成形体120Bとの離隔を、より効率良く抑制できる。また、本実施の形態では、当該金属部材250に熱膨張性部材307が設けられている。当該構成によれば、火災時に、召し合わせ框部25A,25Bと下枠14との間の隙間を、膨張した熱膨張性部材307によって塞ぐことができる。この場合、当該熱膨張性部材307によって、当該隙間を介した火炎の伝播を防止することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態では、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bの双方がスライドする引き違い窓を例示しているが、一方の障子のみがスライドするように片引き窓として構成することも可能である。また、障子20A,20Bとして樹脂によって成形した框22A,22B、23A,23B、24A,24B,25A,25Bを備えるものを例示している。しかしながら、障子は、当該構成には限定されず、例えば室外側となる部分をアルミニウム合金等の金属によって成形し、室内側となる部分を樹脂によって成形した框を備えてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、金属部材250は、延在方向Eの中央部の1箇所だけに設けられたが、これには限定されず、延在方向Eにおける複数箇所に設けられてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、熱膨張性部材307は、引掛部252に設けられたが、これには限定されず、熱膨張性部材307は、下内方見付け板部122に設けられてもよい。また、引掛部252と下内方見付け板部122との間の隙間に、引掛部252および下内方見付け板部122のうち一方に設けられた複数の熱膨張性部材307が、設けられてもよい。また、当該隙間に、熱膨張性を有せずかつ引掛部252および下内方見付け板部122より熱伝導率が低い介在部材が、設けられてもよい。
【0067】
本発明の建具では、前記第二金属形材は、室内外方向および前記延在方向に延びた横壁と、前記横壁の下方で前記第二金属形材を補強する補強部材と、を有し、前記固定部および前記延部は、前記横壁より上方に位置し、前記金属部材は、前記横壁を貫通する結合具を介して前記補強部材と固定される。
本発明によれば、金属部材は、第二金属形材および補強部材に固定される。よって、金属部材を下枠により強固に固定することができる。また、結合具を、第二金属形材と補強部材との結合と、金属部材の下枠に対する結合と、に共用することができる。よって、これらの結合のためにそれぞれ別の結合具が設けられた場合に比べて、構成を簡素化でき、製造の手間やコストを抑制できるという効果が得られる。
【0068】
本発明の建具では、前記縦壁と前記引掛部との間に、当該縦壁および前記引掛部より熱伝導率が低い介在部材を備える。
本発明によれば、介在部材によって、第二金属形材と熱的に接続される引掛部(金属部材)と縦壁(第一金属形材)との間の熱伝導を抑制することができる分、当該介在部材が無い場合に比べて、下枠における防熱性や防露性をより高めることができる。
【0069】
本発明の建具では、介在部材は、熱膨張性を有する。
本発明によれば、火災時に、介在部材が熱膨張することにより、室内側の障子と室外側の障子と下枠との間の空間の一部を塞ぐことができ、当該空間を介した火炎の伝播を抑制することができる。また、介在部材と熱膨張性部材とがそれぞれ別個に設けられた場合に比べて、構成を簡素化でき、製造の手間やコストを抑制できるという効果が得られる。
【0070】
本発明の建具では、前記障子は、前記枠体の開状態で互いに重なり合う室内側障子と室外側障子とを有し、前記建具は、前記室内側障子と前記室外側障子との間の空間と面するように前記延部に取り付けられた熱膨張性部材を備える。
本発明によれば、火災時に、介在部材が熱膨張することにより、室内側の障子と室外側の障子と下枠との間の空間の一部を塞ぐことができ、当該空間を介した火炎の伝播を抑制することができる。
【0071】
本発明の建具では、前記障子は、前記枠体の開状態で互いに重なり合う室内側障子と室外側障子とを有し、前記金属部材は、少なくとも、前記枠体の閉状態で前記室内側障子と前記室外側障子とが室内外方向に重なった召し合わせ框部の下方に位置する。
本発明によれば、下枠の延在方向の略中央部にした金属部材によって、第一金属形材と第二金属形材との離隔を抑制できる。よって、より少ない数の金属部材によって、第一金属形材と第二金属形材との離隔をより効率良く抑制できる。また、当該金属部材に熱膨張性部材が設けられた場合にあっては、火災時に、召し合わせ框部と下枠との間の隙間を、膨張した熱膨張性部材によって塞ぐことができる。この場合、当該熱膨張性部材により、当該隙間を介した火炎の伝播を防止することができる。
【符号の説明】
【0072】
10 枠体、11 左縦枠(縦枠)、12 右縦枠(縦枠)、13 上枠、14 下枠、20A 外障子(障子)、20B 内障子(障子)、25A,25B 召し合わせ框部、120A 内方下金属成形体(第一金属形材)、120B 外方下金属成形体(第二金属形材)、120C ブリッジ材(連結部材)、121b 見込み面、122 下内方見付け板部(縦壁)、122c 貫通孔、127 下外方見込み板部(横壁)、150 補強部材、250 金属部材、251 延部、252 引掛部、254 固定部、260 結合具、306 熱膨張性部材、307 熱膨張性部材(介在部材)。
図1
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図12