(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025109432
(43)【公開日】2025-07-25
(54)【発明の名称】サーバ装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/131 20220101AFI20250717BHJP
【FI】
H04L67/131
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003313
(22)【出願日】2024-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 春菜
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想空間上で実施されるグループ活動を円滑に進捗させるサーバ装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】複数のユーザ端末及び複数のユーザ端末とネットワーク30を介して通信接続されるサーバ装置を有しグループ活動管理処理を実施する情報処理システムにおいて、サーバ装置は、仮想空間上のグループ活動におけるユーザのステータスを管理するステータス管理部と、前記グループ活動のシナリオ情報を管理するシナリオ管理部と、前記グループ活動からユーザが離脱したことが検知されると、前記シナリオ情報に基づいて離脱したユーザに対する代替処理を起動する代替処理部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間上のグループ活動におけるユーザのステータスを管理するステータス管理部と、
前記グループ活動のシナリオ情報を管理するシナリオ管理部と、
前記グループ活動からユーザが離脱したことが検知されると、前記シナリオ情報に基づいて前記離脱したユーザに対する代替処理を起動する代替処理部と、
を有する、サーバ装置。
【請求項2】
前記代替処理部は、前記仮想空間上で代替オブジェクトによって前記離脱したユーザを表示する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記代替処理部は、前記シナリオ情報に基づいて、前記グループ活動における前記離脱したユーザの役割を代替する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記ステータス管理部は、前記グループ活動におけるユーザの離脱及び復帰を検知する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記グループ活動に前記離脱したユーザが復帰したことが検知されると、前記代替処理部は、前記代替処理を終了する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項6】
仮想空間上のグループ活動におけるユーザのステータスを管理することと、
前記グループ活動のシナリオ情報を管理することと、
前記グループ活動からユーザが離脱したことが検知されると、前記シナリオ情報に基づいて前記離脱したユーザに対する代替処理を起動することと、
をコンピュータが実行する、情報処理方法。
【請求項7】
仮想空間上のグループ活動におけるユーザのステータスを管理することと、
前記グループ活動のシナリオ情報を管理することと、
前記グループ活動からユーザが離脱したことが検知されると、前記シナリオ情報に基づいて前記離脱したユーザに対する代替処理を起動することと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の進化によって、ネットワーク接続されたユーザ端末を介しユーザが仮想空間やメタバース上で相互にやりとりすることが可能になってきている。例えば、各ユーザは自らのアバターなどを用いて仮想空間やメタバース上で他のユーザのアバターとやりとりすることができる。
【0003】
このような仮想空間やメタバースにおいて、複数のユーザがグループ活動を行うことが可能である。従来、研修やグループ学習は、複数の参加者が施設等に集合し、当該施設内でロールプレイなどを一緒に行うことによって実施されていた。一方、このような研修やグループ学習についてもまた、仮想空間やメタバース上で実現可能にするための技術が提案されている。提案された技術では、各参加者は、自らのユーザ端末を介し研修やグループ学習に参加することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-165741号公報
【特許文献2】特許第7335517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなリモートによる研修やグループ学習では、参加者が研修やグループ学習の実施中に、通信障害などによってグループ活動に参加できなくなることがある。研修やグループ学習でロールプレイなどの作業が行われる場合、ある参加者の離脱によって研修やグループ学習全体の進捗が途中で停止するおそれがある。
【0006】
上記問題点を鑑み、本開示の課題は、仮想空間上で実施されるグループ活動を円滑に進捗させるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、仮想空間上のグループ活動におけるユーザのステータスを管理するステータス管理部と、前記グループ活動のシナリオ情報を管理するシナリオ管理部と、前記グループ活動からユーザが離脱したことが検知されると、前記シナリオ情報に基づいて前記離脱したユーザに対する代替処理を起動する代替処理部と、を有する、サーバ装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、仮想空間上で実施されるグループ活動を円滑に進捗させるための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施例による情報処理システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施例によるグループ活動管理処理を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施例によるサーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施例によるサーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施例によるグループ活動管理処理を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施例によるロールプレイシナリオを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施例によるグループ活動画面を示す遷移図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施例によるグループ活動画面を示す遷移図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施例によるグループ活動画面を示す遷移図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施例によるグループ活動管理処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。
【0011】
以下の実施例では、複数の参加者が各自のユーザ端末を介し仮想空間上で参加するグループ活動を管理する情報処理システムが開示される。
【0012】
[情報処理システム]
まず、本開示の一実施例による情報処理システムを説明する。
図1は、本開示の一実施例による情報処理システム10を示す概略図である。
【0013】
図1に示されるように、情報処理システム10は、ユーザ端末20_1~20_3(以降、ユーザ端末20と総称されてもよい)と、ネットワーク30を介しユーザ端末20_1~20_3と通信接続されるサーバ装置100とを有する。図示された実施例では、3つのユーザ端末20_1~20_3しか示されていないが、本開示はこれに限定されず、2つ以上の任意数のユーザ端末20_i(i=1,・・・,N)が情報処理システム10に含まれてもよい。
【0014】
ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの何れかの形態の情報処理装置であってもよい。例えば、ユーザ端末20は、有線接続又は無線接続によってインターネットなどのネットワーク30を介しサーバ装置100との間でデータをやりとりしうる。以下において、ユーザ端末20とユーザ20とを同一の符号によって同義的に説明することもある。
【0015】
サーバ装置100は、例えば、クラウドサーバ、クラウドマシーンなどの何れかの形態の情報処理装置であってもよい。サーバ装置100は、ネットワーク30を介しユーザ端末20と通信接続し、後述される各種サービスを提供する。
【0016】
このように、情報処理システム10は、クライアント・サーバタイプのシステムであり、サーバ装置100は、ユーザ端末20に各種サービスを提供する。しかしながら、本開示による情報処理システム10は、必ずしもサーバ装置100が各種サービスを提供するクライアント・サーバタイプのシステムに限定されず、例えば、ユーザ端末20の1つ以上がサーバ装置100によって提供される機能及び処理の一部又は全てを自ら実行する分散処理システムであってもよい。
【0017】
図2は、本開示の一実施例による情報処理システム10におけるグループ活動管理処理を示す概略図である。
図2に示される実施例では、3人のユーザがユーザ端末20_1~20_3を利用してサーバ装置100によって運営・管理されるグループ活動に参加し、サーバ装置100が当該グループ活動を運営・管理している。ここでのグループ活動は、各ユーザが指定された役割を演じるロールプレイによるグループ活動であり、ロールプレイのシナリオに対応して適切な区切りによって分割されたチャプタ1~3から構成される。チャプタ間では休憩が設けられている。しかしながら、本開示によるグループ活動は、必ずしもロールプレイによるグループ活動に限定されず、仮想空間上に設けられた他の何れかの形態のグループ活動であってもよい。
【0018】
サーバ装置100は、ユーザ20_1~20_3のグループ活動への参加状況を管理している。図示された例では、ユーザ20_1は、チャプタ1~3全体でフルに参加しており、サーバ装置100は、チャプタ1~3にわたってユーザ20_1を表すアバター等のユーザオブジェクトを各ユーザ端末20_1~20_3に表示する。
【0019】
一方、ユーザ20_2は、チャプタ1の途中でグループ活動から離脱し、チャプタ2の開始前にグループ活動に復帰している。例えば、当該離脱は、通信障害等に依るものであるかもしれないし、あるいは、ユーザ20_2が自発的に一時離脱したことに依るものであるかもしれないし、他の何らかの理由によるものであるかもしれない。サーバ装置100は、グループ活動参加中はユーザ20_2を表すアバター等のユーザオブジェクトを各ユーザ端末20_1~20_3に表示し、グループ活動離脱中はユーザ20_2が離脱中であることを表す代替オブジェクトを各ユーザ端末20_1~20_3に表示するようにしてもよい。また、サーバ装置100は、ユーザ20_2の離脱中、チャプタ1のロールプレイにおけるユーザ20_2の役割を代替してもよい。そして、ユーザ20_2が復帰すると、サーバ装置100は、代替オブジェクトをユーザ20_2のユーザオブジェクトに置換して各ユーザ端末20_1~20_3に表示する。
【0020】
また、ユーザ20_3は、チャプタ1の途中でグループ活動から離脱し、チャプタ3の開始前にグループ活動に復帰している。すなわち、ユーザ20_3は、チャプタ2ではグループ活動に参加してない。例えば、当該離脱は、通信障害等に依るものであるかもしれないし、あるいは、ユーザ20_3が自発的に一時離脱したことに依るものであるかもしれないし、他の何らかの理由によるものであるかもしれない。サーバ装置100は、グループ活動参加中はユーザ20_3を表すアバター等のユーザオブジェクトを各ユーザ端末20_1~20_3に表示し、グループ活動離脱中はユーザ20_3が離脱中であることを表す代替オブジェクトを各ユーザ端末20_1~20_3に表示するようにしてもよい。また、サーバ装置100は、ユーザ20_3の離脱中、チャプタ1,2のロールプレイにおけるユーザ20_3の役割を代替してもよい。そして、ユーザ20_3が復帰すると、サーバ装置100は、代替オブジェクトをユーザ20_3のユーザオブジェクトに置換して各ユーザ端末20_1~20_3に表示する。
【0021】
このようにして、サーバ装置100は、グループ活動における各ユーザ20の参加状況を把握し、離脱中のユーザ20を検出すると、当該ユーザ20のユーザオブジェクトを代替オブジェクトに変更して各ユーザ端末20に表示させるとともに、離脱しているユーザ20のグループ活動における役割を代替する。そして、離脱したユーザ20がグループ活動に復帰したことを検出すると、サーバ装置100は、離脱中に表示している代替オブジェクトを当該ユーザ20のユーザオブジェクトに置換し、復帰したユーザ20がグループ活動に円滑に復帰できることを可能にする。
【0022】
ここで、サーバ装置100は、例えば、
図3に示されるようなハードウェア構成を有してもよい。すなわち、サーバ装置100は、バスBを介し相互接続されるストレージ装置101、メモリ装置102、プロセッサ103及び通信装置104を有する。
【0023】
サーバ装置100における各種機能及び処理を実現するプログラム及び/又はデータは、外部装置及び/又はネットワークから通信装置104を介しストレージ装置101又はメモリ装置102にダウンロードされる。
【0024】
ストレージ装置101は、不揮発性メモリなどによって実現され、インストール又はダウンロードされたプログラム又はデータ(例えば、ファイル等)を格納する。
【0025】
メモリ装置102は、ランダムアクセスメモリ、スタティックメモリ等によって実現され、プログラム又は指示が起動されると、ストレージ装置101からプログラム又は指示、データ等を読み出して格納する。ストレージ装置101、メモリ装置102及び着脱可能な記憶媒体は、非一時的な記憶媒体(non-transitory storage medium)として総称されてもよい。
【0026】
プロセッサ103は、1つ以上のプロセッサコアから構成されうる1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、処理回路(processing circuitry)等によって実現されてもよく、メモリ装置102に格納されたプログラム、指示、当該プログラム若しくは指示を実行するのに必要なパラメータなどのデータ等に従って、サーバ装置100の各種機能及び処理を実行する。
【0027】
通信装置104は、外部装置、インターネット、LAN(Local Area Network)、セルラーネットワーク等の通信ネットワークとの有線及び/又は無線通信処理を実行する各種通信回路により実現される。
【0028】
しかしながら、上述したハードウェア構成は単なる一例であり、本開示によるサーバ装置100は、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。
【0029】
[サーバ装置]
次に、本開示の一実施例によるサーバ装置100を説明する。
図4は、本開示の一実施例によるサーバ装置100の機能構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、サーバ装置100は、ステータス管理部110、シナリオ管理部120及び代替処理部130を有する。ステータス管理部110、シナリオ管理部120及び代替処理部130の各機能部は、サーバ装置100のプロセッサ103がメモリ装置102に格納されたプログラムを実行することによって実現されうる。
【0030】
ステータス管理部110は、仮想空間上のグループ活動におけるユーザのステータスを管理する。具体的には、ステータス管理部110は、仮想空間上で行われるグループ活動に参加する各ユーザ20の参加状況をモニタリングし、各ユーザ20の参加状況を把握する。
【0031】
例えば、ユーザ20がグループ活動に参加するためサーバ装置100にアクセスすると、ステータス管理部110は、当該ユーザ20がグループ活動に参加したと判定する。そして、ステータス管理部110は、グループ活動に参加中のユーザ20がグループ活動から離脱すると、当該ユーザ20のステータスが“離脱”中であると判定する。グループ活動からの離脱は、例えば、当該ユーザ端末20とサーバ装置100との通信切断を検出したこと、当該ユーザ端末20から離脱通知を受信したこと、進行中のグループ活動において当該ユーザ端末20によるアクションが一定時間以上検出できなかったこと、グループ活動においてユーザ端末20において撮像されたユーザ画像から一定時間以上当該ユーザ20を検出できなかったことなどであってもよい。
【0032】
そして、ステータス管理部110は、離脱中のユーザ20がグループ活動に復帰すると、当該ユーザ20のステータスが“参加”中になったと判定する。グループ活動への復帰は、例えば、当該ユーザ端末20とサーバ装置100との通信再開を検出したこと、当該ユーザ端末20から復帰通知を受信したこと、進行中のグループ活動において離脱中のユーザ端末20によるアクションを検出したこと、グループ活動において離脱中のユーザ端末20において撮像されたユーザ画像から当該ユーザ20を検出したことなどであってもよい。
【0033】
シナリオ管理部120は、グループ活動のシナリオ情報を管理する。例えば、グループ活動は複数のチャプタ1,2,・・・に分割され、各チャプタにおいて各ユーザ20に行われるべきシナリオが準備される。例えば、チャプタ1からスタートして、チャプタ2が次に実行され、以降、各チャプタが順次実行されることによって、グループ活動が進行する。シナリオ管理部120は、各チャプタにおいて各ユーザ20に行われるべきシナリオを管理し、グループ活動が進行するに従って、各チャプタのシナリオに基づいて各チャプタにおいて各ユーザが行うべき役割を把握する。
【0034】
代替処理部130は、グループ活動からユーザ20が離脱したことが検知されると、シナリオ情報に基づいて離脱したユーザ20に対する代替処理を起動する。具体的には、代替処理部130は、グループ活動に参加中のユーザ20を示すアバター等のユーザオブジェクトを代替オブジェクトに置換してもよい。代替オブジェクトは、例えば、ノンプレーヤーキャラクタ(Non-Player Character:NPC)であってもよい。すなわち、代替処理部130は、代替処理として仮想空間上で代替オブジェクトによって離脱したユーザ20を表示してもよい。
【0035】
また、代替処理部130は、シナリオ情報に基づいて、グループ活動における離脱したユーザ20の役割を代替してもよい。具体的には、あるチャプタにおいてユーザ20がグループ活動から離脱していることを検出すると、代替処理部130は、シナリオ管理部120に管理されているシナリオ情報を参照して、当該チャプタにおいて離脱しているユーザ20によって行われるべき役割が残っているか判定する。離脱しているユーザ20の役割が当該チャプタに残っている場合、代替処理部130は、シナリオ情報に基づいて離脱しているユーザ20の役割を代替する。他方、離脱しているユーザ20の役割が当該チャプタに残っていない場合、代替処理部130は、代替オブジェクトへの置換のみ行うようにしてもよい。
【0036】
グループ活動に離脱したユーザ20が復帰したことが検知されると、代替処理部130は、代替処理を終了してもよい。例えば、代替処理部130は、ユーザ20の離脱中に表示している代替オブジェクトを当該ユーザ20のユーザオブジェクトに戻してもよい。また、代替処理部130は、離脱中にユーザ20の役割を代替することを停止し、復帰したユーザ20にグループ活動におけるアクションを行わせるようにしてもよい。
【0037】
次に、本開示の一実施例によるサーバ装置100によって実現されるグループ活動管理処理の具体例を説明する。本例では、兄20_1、姉20_2及び弟20_3の3人のユーザがグループ活動に参加し、グループ目標として“お母さんが喜ぶカレーライスを作る”という課題が与えられている。
【0038】
ステータス管理部110は、兄20_1、姉20_2及び弟20_3のグループ活動の参加状況をモニタリングし、
図5に示されるような兄20_1、姉20_2及び弟20_3のステータスを特定する。すなわち、ステータス管理部110は、兄20_1がチャプタ1,2にわたって離脱することなく参加し続けていると判定している。また、ステータス管理部110は、姉20_2がチャプタ1において一時離脱し、チャプタ1において復帰し、その後は参加し続けていると判定している。さらに、ステータス管理部110は、弟20_3がチャプタ1の途中で離脱し、チャプタ2において復帰していると判定している。
【0039】
このような各ユーザ20の参加状況を検知すると、代替管理部130は、グループ活動に参加している間は当該ユーザ20のユーザオブジェクトを各ユーザ端末20上に表示し、グループ活動から離脱している間は当該ユーザ20を代替オブジェクトによって表示する。また、代替管理部130は、ユーザ20がグループ活動から離脱している間、離脱しているチャプタにおける当該ユーザ20の役割を代替する。
【0040】
図6に示されるように、シナリオ管理部120は、グループ目標“お母さんが喜ぶカレーライスを作る”とともに、状況説明“あなたたちは兄弟です。お母さんの誕生日にカレーを作ってあげることになりました。お兄ちゃんは買い物役、お姉ちゃんはカレーを作る役、弟はごはんを炊く役です。”を各ユーザ端末20_1~20_3に表示する。シナリオ管理部120はまず、グループ活動のチャプタ1として“カレーを作るための準備をする”というシナリオを各ユーザ20_1~20_3に設定する。
【0041】
また、シナリオ管理部110は、兄20_1に対してお母さんからの“スーパーで足りない材料を買いなさい”という指示とともに、“あなたは何を買って帰りますか?”という設問を提示する。さらに、各材料の価格が参考情報として表示される。
【0042】
また、シナリオ管理部110は、姉20_2に対してお母さんからの“家にあるものと同じものを買わないように。お兄ちゃんに2000円入った財布を渡しておいて”という指示とともに、“あなたは何のカレーを作ることにしますか?”という設問を提示する。さらに、各種カレーに必要な材料と、家にある材料とが参考情報として表示される。
【0043】
また、シナリオ管理部110は、弟20_3に対してお母さんからの“にんじんか牛肉を使ったカレーが食べたい”という指示とともに、“あなたはどのお米を炊きますか?”という設問を提示する。さらに、各種カレーに必要なお米と、家にあるお米とが参考情報として表示される。
【0044】
例えば、ステータス管理部110は、
図7に示されるようなチャプタ1のための画面を表示する。
図7に示される画面遷移図は、兄のユーザ端末20_1に表示されるものであり、同様の画面が姉及び弟のユーザ端末20_2,20_3にそれぞれ表示される。チャプタ1のスタート時には、チャプタ1の残り時間“15:00”とともに、姉及び弟のユーザオブジェクトが表示される。なお、各ユーザ20_1~20_3は、チャプタ1における設問に未回答であり、“回答前”が表示されている。
【0045】
その後、
図5に示されるように、ステータス管理部110は、姉20_2がグループ活動から離脱したこと(#1)を検出すると、代替処理部130は、
図7に示されるように、姉が“不在”になったことを通知するとともに、姉20_2のユーザオブジェクトを代替オブジェクトNPCに置換する。
【0046】
兄20_1は、設問に回答するために姉20_2からの情報を知りたいとき、姉20_2の代替オブジェクトNPCを選択し、姉20_2からの情報を取得することができる。姉20_2の代替オブジェクトNPCが選択されると、代替処理部130は、姉20_2を代替して、代替オブジェクトNPCによって姉20_2からの情報を提供する。
図7に示された例では、姉20_2の代替オブジェクトは、“お母さんから伝言があるんだった。「家にあるものと同じものを買わないように、お兄ちゃんに2000円入った財布を渡しておいて」って。あと、キッチンでじゃがいもと豚肉を見つけたよ。他に訊きたいことはある?”という情報を提供する。
【0047】
その後、姉20_2がグループ活動に復帰すると、ステータス管理部110は、姉20_2の代替オブジェクトNPCを姉20_2のユーザオブジェクトに戻す。その後、
図5に示されるように、兄20_1が設問に対して回答すると、ステータス管理部110は、
図8に示されるように、兄20_1のステータスを“回答前”から“回答済”に変更する。
【0048】
その後、
図5に示されるように、弟20_3が設問に回答した後、グループ活動から離脱する(#2)と、ステータス管理部110は、
図8に示されるように、弟20_3のユーザオブジェクトを代替オブジェクトNPCに置換する。
【0049】
そして、シナリオ管理部120は、
図8に示されるように、兄20_1の回答に対して結果を表示する。そして、グループ活動の全受講者が回答を済ませると、ステータス管理部110は、チャプタ1を終了する。
【0050】
図5に示されるように、チャプタ2のスタート時には、弟20_3はグループ活動に復帰しておらず、チャプタ2のスタート時には、ステータス管理部110は、
図9に示されるように、参加中の姉20_2をユーザオブジェクトによって、また、離脱中の弟20_3を代替オブジェクトNPCによって表示する。
【0051】
その後、弟20_3がチャプタ2に復帰する(#3)と、ステータス管理部110は、弟20_3の代替オブジェクトNPCをユーザオブジェクトに置換し、チャプタ2におけるステータスを“回答前”として表示する。
【0052】
このようにして、サーバ装置100は、ユーザの離脱によってグループ活動が停止しないように、グループ活動を運営・管理することができる。
【0053】
[グループ活動管理処理]
次に、本開示の一実施例によるグループ活動管理処理を説明する。当該グループ活動管理処理は、サーバ装置100によって、より詳細には、サーバ装置100のプロセッサ103がメモリ装置102に記憶されたプログラムを実行することによって実現されうる。
【0054】
図10に示されるように、ステップS101において、サーバ装置100は、グループ活動におけるユーザのステータスを管理する。例えば、
図5~9に示されたグループ活動の具体例では、サーバ装置100は、各ユーザ20のステータスを“回答前”、“回答済”、“不在”などとして管理する。
【0055】
ステップS102において、サーバ装置100は、グループ活動が終了したか判定する。例えば、グループ活動の全てのチャプタが終了した場合(S102:YES)、サーバ装置100は、グループ活動が終了したと判定し、当該グループ活動管理処理を終了してもよい。他方、グループ活動の全てのチャプタが終了していない場合(S102:NO)、サーバ装置100は、ステップS103に移行する。
【0056】
ステップS103において、サーバ装置100は、ユーザがグループ活動から離脱したか判定する。グループ活動からの離脱は、例えば、ユーザ端末20とサーバ装置100との通信切断を検出したこと、ユーザ端末20から離脱通知を受信したこと、進行中のグループ活動においてユーザ端末20によるアクションが一定時間以上検出できなかったこと、グループ活動においてユーザ端末20において撮像されたユーザ画像から一定時間以上ユーザ20を検出できなかったことなどであってもよい。ユーザがグループ活動から離脱していない場合(S103:NO)、サーバ装置100は、ステップS101に戻って、各ユーザのステータスを管理する。他方、ユーザがグループ活動から離脱している場合(S103:YES)、サーバ装置100は、ステップS104に移行する。
【0057】
ステップS104において、サーバ装置100は、シナリオ情報に基づいて離脱したユーザに対する代替処理を起動する。例えば、サーバ装置100は、離脱したユーザのユーザオブジェクトを代替オブジェクトに置換したり、離脱中の当該ユーザのグループ活動における役割を代替してもよい。
【0058】
ステップS105において、サーバ装置100は、離脱中のユーザが復帰したか判定する。グループ活動への復帰は、例えば、ユーザ端末20とサーバ装置100との通信再開を検出したこと、ユーザ端末20から復帰通知を受信したこと、進行中のグループ活動において離脱中のユーザ端末20によるアクションを検出したこと、グループ活動において離脱中のユーザ端末20において撮像されたユーザ画像からユーザ20を検出したことなどであってもよい。離脱中のユーザが復帰した場合(S105:YES)、サーバ装置100は、ステップS106に移行する。他方、離脱中のユーザが復帰していない場合(S105:NO)、サーバ装置100は、当該ユーザの復帰をモニタリングし続ける。
【0059】
ステップS106において、サーバ装置100は、復帰したユーザに対する代替処理を終了する。具体的には、サーバ装置100は、当該ユーザの代替オブジェクトをユーザオブジェクトに置換したり、設問に対する回答や他のユーザからの情報提供の要求を復帰したユーザに実行させる。その後、サーバ装置100は、ステップS101に戻って、上述した各ステップを実行する。
【0060】
上述したグループ活動管理処理によると、ユーザの離脱によってグループ活動が停止しないように、グループ活動を運営・管理することができる。
【0061】
なお、本開示によるグループ活動は、上述した実施例に限定されず、例えば、各種研修、演習、教育、体験型学習などに適用されてもよい。具体的には、本開示は、サイバーセキュリティ演習などの企業内外を問わないグループ研修、プロジェクト進行演習、SDGsやLGBT教育、マネジメント層教育などの企業内研修、教育分野における情報収集、謎解き等によるグループ活動を必要とする体験型学習などに適用されうる。
【0062】
以上、本開示の実施例について詳述したが、本開示は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 情報処理システム
20 ユーザ端末
30 ネットワーク
100 サーバ装置
110 ステータス管理部
120 シナリオ管理部
130 代替処理部