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特開2025-109495電気コネクタ、相手コネクタ、および接続体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025109495
(43)【公開日】2025-07-25
(54)【発明の名称】電気コネクタ、相手コネクタ、および接続体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/641 20060101AFI20250717BHJP
【FI】
H01R13/641
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003422
(22)【出願日】2024-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】TE Connectivity Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】武正 英一郎
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA08
5E021FC38
5E021JA05
5E021KA02
5E021KA06
(57)【要約】
【課題】装着が完了したことを目視により直接的に確認できる電気コネクタを提供すること。
【解決手段】本発明の電気コネクタは、相手コネクタと嵌合されるハウジングと、ハウジングに少なくとも一部が収容され、視覚特徴域33を有し、相手コネクタとの嵌合により嵌合方向に変位することで非表示位置から表示位置まで変位するインジケータ30と、を備え、インジケータ30は、相手コネクタとの嵌合が完全嵌合のときに、ハウジングの外側から視覚特徴域33が視覚可能となる表示位置に変位する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタと嵌合されるハウジングと、
前記ハウジングに少なくとも一部が収容され、視覚特徴域を有し、前記相手コネクタとの嵌合により嵌合方向に変位することで非表示位置から表示位置まで変位するインジケータと、を備え、
前記インジケータは、前記相手コネクタとの嵌合が完全嵌合のときに、前記ハウジングの外側から前記視覚特徴域が視覚可能となる前記表示位置に変位する、
電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記ハウジングの外側から内側を視覚できる窓を備え、
前記視覚特徴域は、前記窓を介して視覚可能となる、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記インジケータは、
前記相手コネクタとの嵌合により嵌合方向に変位する原動節と、
前記視覚特徴域を有し、前記原動節の変位により前記非表示位置から前記表示位置まで変位する従動節と、を備え、
前記従動節は、
前記相手コネクタとの嵌合が前記完全嵌合のときに、前記視覚特徴域が前記窓を介して視覚可能となる前記表示位置に変位する、
請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記相手コネクタとの嵌合が前記完全嵌合のときに、前記相手コネクタとの嵌合が前記完全嵌合の状態を示す、完全嵌合表示状態の前記視覚特徴域が前記窓を介して視覚可能となる前記表示位置に変位する、
請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記相手コネクタとの嵌合が不完全嵌合のときに、前記視覚特徴域が前記窓を介して視覚不能または前記視覚特徴域の領域以外の領域が前記窓を介して視覚可能となる前記非表示位置に留まる、
請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記視覚特徴域は、
前記ハウジングの色と異なる色を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記原動節は、前記嵌合方向に対して傾斜する原動側カム面を備え、
前記従動節は、前記原動側カム面と摺動する従動側カム面を備える、
請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは、
前記相手コネクタとの嵌合が不完全嵌合のときに、前記従動節が前記非表示位置に留まるように負荷を与える押圧部を備える、
請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記完全嵌合のときに、前記従動節が前記表示位置に留まるように、前記原動節に嵌合方向の負荷が与えられる、
請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
請求項1に記載の電気コネクタと嵌合されるハウジングと、
締結部材により導通部材と締結され、導通可能な締結部が設けられるコンタクト部と、を備える、
相手コネクタ。
【請求項11】
請求項1に記載の電気コネクタと、
請求項10に記載の相手コネクタとの、
接続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ、相手コネクタ、および接続体に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーシステムは、ケーブルおよびケーブルの両側に形成される接続部によって複数のバッテリー同士が接続されて構成される。バッテリーエネルギー貯蔵システム等においては、多数のバッテリーによって構成されるため、バッテリー同士を接続させるケーブルおよび締結部も併せて多数となる。
【0003】
特許文献1には、燃料電池に着脱可能なセルモニタリングコネクタが開示されている。このセルモニタリングコネクタは、一対の平行なレバー操作部を備える。この一対のレバー操作部は、燃料電池(セル)に装着される途中において互いに傾き、装着が完了するとその弾性により元の平行な姿勢に戻る。したがって、装着が途中であることをレバー操作部が互いに傾いていることで認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-77616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のコネクタにおいて、一対のレバー操作部の姿勢によりセルへの装着が不十分であることを確認できる。しかし、装着が完了すると一対のレバー操作部は元の平行な姿勢に戻るので、装着が完了したことを直接的に確認することができない。つまり、特許文献1おいて、一対のレバー操作部が互いに傾いている姿勢でなければ装着が完了しているものと看做しているだけであり、装着の完了が間接的に確認されるのにとどまる。
【0006】
以上より、本発明は、装着が完了したことを目視により直接的に確認できる電気コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気コネクタは、相手コネクタと嵌合されるハウジングと、ハウジングに少なくとも一部が収容され、視覚特徴域を有し、相手コネクタとの嵌合により嵌合方向に変位することで非表示位置から表示位置まで変位するインジケータと、を備え、インジケータは、相手コネクタとの嵌合が完全嵌合のときに、ハウジングの外側から視覚特徴域が視覚可能となる表示位置に変位する。
【0008】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、ハウジングは、ハウジングの外側から内側を視覚できる窓を備え、視覚特徴域は、窓を介して視覚可能となる。
【0009】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、インジケータは、相手コネクタとの嵌合により嵌合方向に変位する原動節と、視覚特徴域を有し、原動節の変位により非表示位置から表示位置まで変位する従動節と、を備え、従動節は、相手コネクタとの嵌合が完全嵌合のときに、視覚特徴域が窓を介して視覚可能となる表示位置に変位する。
【0010】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、相手コネクタとの嵌合が完全嵌合のときに、相手コネクタとの嵌合が完全嵌合の状態を示す、完全嵌合表示状態の視覚特徴域が窓を介して視覚可能となる表示位置に変位する。
【0011】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、相手コネクタとの嵌合が不完全嵌合のときに、視覚特徴域が窓を介して視覚不能または視覚特徴域の領域以外の領域が窓を介して視覚可能となる非表示位置に留まる。
【0012】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、視覚特徴域は、ハウジングの色と異なる色を有する。
【0013】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、原動節は、嵌合方向に対して傾斜する原動側カム面を備え、従動節は、原動側カム面と摺動する従動側カム面を備える。
【0014】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、ハウジングは、相手コネクタとの嵌合が不完全嵌合のときに、従動節が非表示位置に留まるように負荷を与える押圧部を備える。
【0015】
本発明の電気コネクタは、好ましくは、完全嵌合のときに、従動節が表示位置に留まるように、原動節に嵌合方向の負荷が与えられる。
【0016】
本発明の電気コネクタと嵌合される本発明の相手コネクタは、電気コネクタと嵌合されるハウジングと、締結部材により導通部材と締結され、導通可能な締結部が設けられるコンタクト部と、を備える。
【0017】
本発明の接続体は、本発明の電気コネクタと、本発明の相手コネクタとの、接続体。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、装着が完了したことを目視により直接的に確認できる電気コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るケーブル側コネクタおよびバッテリー側コネクタの接続体を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るケーブル側コネクタを示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るバッテリー側コネクタを示す斜視図である。
図4図1のIV-IV線断面図である。
図5図1のV-V線断面図である。
図6図1のVI-VI線断面図である。
図7図1のVII-VII線断面図である。
図8】本発明の実施形態に係るケーブル側コネクタおよびバッテリー側コネクタの接続体を示す側面図である。
図9図8のIX-IX線断面図である。
図10】本発明の実施形態に係るバッテリー側コネクタとの締結例を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係る完全嵌合表示状態の視覚特徴域の例を示す図である。
図12】本発明の実施形態に係るインジケータの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るケーブル側コネクタ1、バッテリー側コネクタ100、およびケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との接続体200について説明する。この接続とは、電気的な接続と機械的な接続とを伴うことを意味する。なお、説明の便宜上、各図面に示すように、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合方向を第3方向Zとし、第3方向Zと直交する第1方向Xとし、第1方向Xと直交する第2方向Yとする。また、第1方向Xの前方を(F)、後方を(B)とし、第2方向Yの右方向を(R)、左方向を(L)とし、第3方向Zの上方を(U)、下方を(D)とする。
[ケーブル側コネクタ1:図1図2図4図10 参照]
電気コネクタとしてのケーブル側コネクタ1は、バッテリー側コネクタ100と嵌合され、窓を有するハウジング10と、ハウジング10に少なくとも一部が収容され、窓22を介して視覚可能とされる視覚特徴域33を有するインジケータ30と、を備える。ハウジング10は、インジケータ30の少なくとも一部を収容するソケットハウジング11と、窓22を有するインジケータハウジング21と、を備える。
本実施形態においては、ケーブル側コネクタ1は、所謂雌コネクタであって、バッテリー側コネクタ100は、所謂雄コネクタである。ケーブル側コネクタ1およびバッテリー側コネクタ100は、電源用コネクタとして使用される。
【0021】
[ソケットハウジング11:図4図5図6図7図8図9 参照]
ソケットハウジング11は、その内部に、図示を省略するケーブルが接続され、バッテリー側コネクタ100と導通されるソケットコンタクト12と、ソケットコンタクト12の内周面とバッテリー側コネクタ100のコンタクト部121の外周面との間を導通させるクラウンコンタクト13と、ラッチ41の少なくとも一部を収容するラッチ収容部14と、バッテリー側コネクタ100のハウジング101と嵌合されるときに、ハウジング101のフランジ部102と係止されるラッチ41と、を備える。ソケットハウジング11は、インジケータ30の少なくとも一部を収容する。
【0022】
ソケットハウジング11およびソケットコンタクト12は、金属材料からなるソケットコンタクト12の周りへ樹脂材料からなるソケットハウジング11が充填されるインサート成形によって、一体化して形成される。
クラウンコンタクト13の第3方向Zの中央がソケットコンタクト12の外側から内側に向かって反っている板ばね形状をなしており、コンタクト部121がソケットコンタクト12へ挿入されるときに、クラウンコンタクト13が板ばねとして機能する。クラウンコンタクト13の複数の板ばねの上端をつなぐ上側連結部、および複数の板ばねの下端をつなぐ下側連結部は、ソケットコンタクト12の内周面を押圧し、複数の板ばねはコンタクト部121の外周面を押圧する。クラウンコンタクト13により、ソケットコンタクト12とバッテリー側コネクタ100のコンタクト部121との導通を確保することができる。
【0023】
ラッチ41は、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とが嵌合されるときに、フランジ部102と係止される。ラッチ41は、ソケットハウジング11のラッチ収容部14により少なくとも一部が収容され、フランジ部102と係止される係止部41Aが形成されている。ラッチ41は、ソケットハウジング11とラッチ41との間に配置される圧縮コイルばね42によってハウジング11の第2方向Yの右方向(R)から左方向(L)に向かって押圧されている。
【0024】
本実施形態においては、ラッチ41の係止部41Aのフランジ部102と対向する係止部41Aの下面に形成される面取り部が、フランジ部102に形成される面取り部に押圧されることで、図9(b)に示すように、係止部41Aは第2方向Yの右方向(R)へ変位する。フランジ部102の係止面102Aが係止部41Aの第3方向Zの上方(U)へ通過できるまで、係止部41Aの第2方向Yの右方向(R)への変位を維持する。係止面102Aが係止部41Aの第3方向Zの上方(U)へ通過すると、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とが完全嵌合される。このとき、ラッチ41は、圧縮コイルばね42の復元力によって、変位前の位置へ戻るとともに、フランジ部102と係止部41Aとの係止が完了する。
【0025】
フランジ部102の係止面102Aが係止部41Aの第3方向Zの上方(U)へ通過せず、係止が完了しないときは、圧縮コイルばね42の復元力によりラッチ41は第2方向Yの左方向(L)に押圧される。押圧されるラッチ41は、係止部41Aの面取り部からフランジ部102の面取り部に作用され、フランジ部102には第3方向Zの下方(D)に力が働く。フランジ部102が係止部41Aと係止されず、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とは不完全嵌合となる。
【0026】
完全嵌合されたバッテリー側コネクタ100からケーブル側コネクタ1を取り外すときは、図9(a)に示される係止状態を解除する。ラッチ41を第2方向Yの右方向(R)へ押圧し、フランジ部102と係止部41Aとの係止が解除されるまで、図9(b)に示される矢印P3の方向へラッチ41を変位させる。フランジ部102と係止部41Aとの係止が解除されると、バッテリー側コネクタ100からケーブル側コネクタ1を取り外すことができる。
【0027】
[インジケータハウジング21およびインジケータ30:図1図2図4図8図11 参照]
インジケータハウジング21は、ソケットハウジング11に係止される。インジケータハウジング21は、インジケータハウジング21の外側から内側を視覚できる窓22を備え、インジケータ30の視覚特徴域33は、窓22を介して視覚可能となる。
【0028】
インジケータ30は、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合により嵌合方向としての第3方向Zに変位する原動節31と、視覚特徴域33を有し、原動節31の変位により非表示位置から表示位置まで変位する従動節32と、嵌合開始前および不完全嵌合のときに、従動節32が非表示位置に留まるように負荷を与える押圧部としての圧縮コイルばね34と、を備える。
【0029】
原動節31には、ソケットハウジング11から第3方向Zの下方(D)に突出可能な突出部31Bの下方面に、押圧面31Cが設けられる。ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とを嵌合させるときに、押圧面31Cは、フランジ部102の上方(U)の押圧面102Bから嵌合方向の第3方向Zの上方(U)に押圧される。嵌合方向の第3方向Zに押圧されることで、原動節31は、第3方向Zの上方(U)へ変位し、ソケットハウジング11から突出された突出部31Bがソケットハウジング11に覆われる。また、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とが完全嵌合されるときに、従動節32が表示位置に留まるように、原動節31に嵌合方向としての第3方向Zの負荷が与えられる。本実施形態においては、原動節31に負荷を与えるのは、ハウジング101のフランジ部102の押圧面102Bである。
【0030】
原動節31は、従動節32の斜面32Aと摺動される斜面31Aを有し、原動節31が第3方向Zの上方(U)へ変位することで、斜面31Aに倣って斜面32Aが摺動するとともに、第1方向Xの後方(B)に従動節32を変位させる。なお、原動節31と従動節32とは、カムの関係を有する。原動節31は原動側カムであって、嵌合方向としての第3方向Zに対して傾斜する原動側カム面としての斜面31Aを備え、従動節32は、原動側カム面としての斜面31Aと摺動する従動側カム面としての斜面32Aと備える。本実施形態においては、従動側カム面としての斜面32Aは、嵌合方向としての第3方向Zに対して傾斜しているが、これに限らない。従動側カム面は、嵌合方向としての第3方向Zに対して平行であってもよい。また、原動側カム面と従動側カム面のどちらかの面が嵌合方向としての第3方向Zに対して傾斜していればよい。
【0031】
従動節32は、バッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合のときに、視覚特徴域33が窓22を介して視覚可能となる表示位置に変位する。本実施形態においては、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合開始前のときに窓22を介して視覚されるのは、従動節32自体の色であり、窓22の周囲のインジケータハウジング21の色と異なる色を有する。
【0032】
ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が開始されると、原動節31が嵌合方向の第3方向Zの上方(U)へ変位することにより、従動節32は第1方向Xの後方(B)へ変位する。従動節32が第1方向Xの後方(B)へ変位を開始すると、窓22を介して視覚特徴域33の一部が視覚可能となる。ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合に近づくにつれて、窓22から視覚可能な視覚特徴域33の領域が徐々に拡大する。
【0033】
ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合のときは、従動節32が第1方向の後方(B)へ、非表示位置から表示位置まで変位することにより、視覚特徴域33が窓22の全域で視覚可能となる。
つまり、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合のときに、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合の状態を示す、完全嵌合表示状態の視覚特徴域33が窓22を介して視覚可能となる。本実施形態においては、完全嵌合表示状態の視覚特徴域33とは、視覚特徴域33が窓22の全域で視覚可能となる状態である。
また、窓22を介して視覚可能となる視覚特徴域33は、窓22の周囲のインジケータハウジング21およびインジケータ30としての従動節32自体の色と異なる色を有する。視覚特徴域33は、例えば、従動節32の表面にインジケータハウジング21および従動節32自体の色と異なる色の塗料が塗られてもよいし、従動節32の表面にインジケータハウジング21および従動節32自体の色と異なる色が配色されたシールが貼られてもよいし、従動節32を形成するときに従動節32自体の色の材料およびインジケータハウジング21自体の色と異なる色の材料を用いられてもよい。なお、非表示位置とは、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合開始前および不完全嵌合のときに、視覚特徴域33が窓22を介して視覚不能または視覚特徴域33の領域以外の領域である従動節32自体の色が窓22を介して視覚可能となる従動節32の位置を指す。
【0034】
視覚特徴域33は、窓22の周囲のインジケータハウジング21の色と異なる色が配色されることに限らない。例えば、完全嵌合表示状態の視覚特徴域33を視覚可能であれば、視覚特徴域33に、凹凸などの性状が形成されてもよいし、従動節32が表示位置まで変位すると窓22に係止される係止構造を形成されてもよいし、従動節32が表示位置まで変位すると窓22からインジケータハウジング21の外側へ突出される突出構造を形成されてもよい。また、窓22の周辺の色と同色であっても、例えば、完全嵌合を通知するための「mating」、「complete」などを突起として、視覚特徴域33に形成されてもよい。
また、色とは、赤や青など色味の違いを表す「色相」、色の明るさを表す「明度」、色の鮮やかさを表す「彩度」の3要素があり、いずれかが窓22の周囲の色と異なっていればよい。最も好ましいのは、無彩色である白であるが、窓22の周囲の色相と色相環において点対称の位置およびその近傍の位置にある色相を採用してもよい。
【0035】
本実施形態においては、完全嵌合表示状態の視覚特徴域33とは、視覚特徴域33が窓22の全域で視覚可能となる状態であるが、これに限らない。図11(a)~(c)に示すように、例えば、完全嵌合表示状態の視覚特徴域33が窓22を介して視覚可能となる状態は、従動節32の変位方向である第1方向Xの後方(B)に従動節32が表示位置まで変位したときに、窓22の縁22Bに視覚特徴域33が到達しているものが挙げられる。非表示位置に従動節32が留まるときは、窓22の縁22Bに視覚特徴域33が到達していない状態が、窓22を介して視覚可能となる。
【0036】
また、図11(d)~(f)に示すように、例えば、第1方向Xの後方(B)に従動節32が表示位置まで変位したときに、窓22の縁22F,22R,22B,22Lと重ならない位置に種々の形状の視覚特徴域33が停止しているものが挙げられる。図11(d)~(f)に示す視覚特徴域33は、完全嵌合表示状態の視覚特徴域33を示す基準となる。非表示位置に従動節32が留まるときは、図11(d)~(f)のそれぞれに対応する位置ではない位置に種々の形状の視覚特徴域33が停止しているか、窓22の縁22Fと重なる位置に種々の形状の視覚特徴域33が停止しているか、または、窓22を介して視覚特徴域33が視覚不能である。
【0037】
また、図11(g)に示すように、例えば、第1方向Xの後方(B)に従動節32が表示位置まで変位したときに、窓22の縁22Rに頂点が一致するように形成されたハウジング基準としての三角形状に対応した位置に、インジケータ基準としての三角形状の視覚特徴域33が到達しているものが挙げられる。非表示位置に従動節32が留まるときは、図11(g)に対応する位置ではない位置に、インジケータ基準としての三角形状の視覚特徴域33が停止しているか、窓22の縁22Fと重なる位置に三角形状の視覚特徴域33が停止しているか、または、窓22を介して視覚特徴域33が視覚不能である。
なお、上述した完全嵌合表示状態の視覚特徴域33は例示であって、これに限定されない。
【0038】
[バッテリー側コネクタ100:図1図3図8図10 参照]
バッテリー側コネクタ100は、ケーブル側コネクタ1と嵌合される。電気コネクタとしてのケーブル側コネクタ1と、相手コネクタとしてのバッテリー側コネクタ100と、を嵌合させることで、電気コネクタの接続体200が得られる。バッテリー側コネクタ100は、ケーブル側コネクタ1と嵌合されるハウジング101と、ケーブル側コネクタ1と導通可能なコンタクト部121と、を備える。
【0039】
ハウジング101は、第3方向Zの上方(U)側に、ケーブル側コネクタ1の係止部41Aに係止されるフランジ部102が形成される。
コンタクト部121は、円筒状に形成され、円筒状の側面をケーブル側コネクタ1のクラウンコンタクト13に押圧されることで、ケーブル側コネクタ1と導通される。コンタクト部121は、第3方向Zの下方(D)に、図示を省略するバッテリーの端子部と導通する端子部123が接続される。また、コンタクト部121の第3方向Zの上方(U)の上面には、締結部としてのメネジ122が設けられている。コンタクト部121のメネジ122が設けられている面は、フランジ部102の上方(U)の押圧面102Bよりも、第3方向Zの上方(U)に配置されている。
【0040】
ハウジング101およびコンタクト部121に上述の構成を備えることにより、図10に示すように、ケーブル側コネクタ1と嵌合させる他に、例えば、導通部材としてのバスバー400を締結部材としての六角穴付ボルト300によって締結可能となる。バスバー400とバッテリー側コネクタ100とを締結させることで、接続体200が得られる。また、導通部材としての圧着端子500を締結部材としての六角穴付ボルト300によって締結可能となる。圧着端子500とバッテリー側コネクタ100とを締結させることで、接続体200が得られる。
これにより、バッテリー側コネクタ100は、ケーブル側が備え得る複数の接続方式に対応することができる。
【0041】
[ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合:図5図7図9 参照]
図5図8は、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合をさせるときの断面図である。また、図9は、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合をさせるときに、係止部41Aとフランジ部102とを係止させる係止部分を示す図である。
【0042】
図5に示すように、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とを嵌合させるときは、まず、バッテリー側コネクタ100のハウジング101とコンタクト部121との間に、ケーブル側コネクタ1のソケットハウジング11を挿入させる。ソケットハウジング11を挿入させると、原動節31の突出部31Bの押圧面31Cがフランジ部102の押圧面102Bに押圧される。
【0043】
図6に示すように、原動節31の突出部31Bの押圧面31Cがフランジ部102の押圧面102Bに押圧され、原動節31に第3方向Zの上方(U)の力P1が作用する。原動節31の嵌合方向の第3方向Zの上方(U)への変位が開始されると、非表示位置に留まっている従動節32は、第1方向Xの後方(B)へ変位を開始する。従動節32の第1方向Xの後方(B)へ変位するときに、圧縮コイルばね34に第1方向Xの後方(B)の力P2が作用する。従動節32が第1方向Xの後方(B)へ変位を開始すると、窓22を介して視覚特徴域33の一部が視覚可能となる。従動節32が非表示位置から表示位置まで変位を続ける間に、窓22を介して視覚可能となる視覚特徴域33の領域が徐々に拡大する。
また、係止部41Aの下面に形成される面取り部が、フランジ部102に形成される面取り部に押圧される。フランジ部102の係止面102Aが係止部41Aの第3方向Zの上方(U)へ通過できるまで、ケーブル側コネクタ1のソケットハウジング11の挿入を続ける。
【0044】
図7に示すように、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とが完全嵌合される。このとき、従動節32は第1方向Xの後方(B)へ変位し、非表示位置から表示位置までの変位が完了する。従動節32の表示位置までの変位が完了すると、視覚特徴域33が窓22の全域で視覚可能となる。
また、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とが完全嵌合されるときには、係止面102Aが係止部41Aの第3方向Zの上方(U)へ通過できる。
【0045】
図9(a)に示すように、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100とが完全嵌合されるときには、ラッチ41は、圧縮コイルばね42の復元力によって、変位前の位置へ戻るとともに、フランジ部102と係止部41Aとの係止が完了する。
【0046】
[実施形態が奏する効果]
[効果1]
ケーブル側コネクタ1において、バッテリー側コネクタ100と嵌合されるソケットハウジング11と、窓22を有するインジケータハウジング21と、ソケットハウジング11に少なくとも一部が収容され、窓22を介して視覚可能とされる視覚特徴域33を有するインジケータ30と、を備え、インジケータ30は、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合により嵌合方向としての第3方向Zに変位する原動節31と、視覚特徴域33を有し、原動節31の変位により視覚特徴域33を非表示位置から表示位置まで変位する従動節32と、を備え、従動節32は、バッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合のときに、視覚特徴域33が窓22を介して視覚可能となる表示位置に変位する。
これにより、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が完了したこと、すなわち電気コネクタの装着が完了したことを目視により直接的に確認できる。
【0047】
[効果2]
バッテリー側コネクタ100において、ケーブル側コネクタ1と嵌合されるハウジング101と、締結部材としての六角穴付ボルト300により導通部材としてのバスバー400,圧着端子500等と締結され、導通可能な締結部としてのメネジ122が設けられるコンタクト部121と、を備える。
これにより、ケーブル側が備え得る複数の接続方式に対応することができる。
【0048】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0049】
本実施形態においては、ケーブル側コネクタ1は、窓22を有するインジケータハウジング21と、ソケットハウジング11に少なくとも一部が収容され、視覚特徴域33を有し、原動節31の変位により視覚特徴域33を非表示位置から表示位置まで変位する従動節32を備える、インジケータ30と、を備える。そして、バッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合のときに、視覚特徴域33が窓22の全域で視覚可能となる表示位置に変位するが、これに限らない。
図12に示すように、ケーブル側コネクタ1は、相手コネクタとしてのバッテリー側コネクタ100と嵌合されるハウジング10と、ハウジング10に少なくとも一部が収容され、視覚特徴域33を有し、相手コネクタとの嵌合により嵌合方向としての第3方向Zの上方(U)へ変位することで非表示位置から表示位置まで変位するインジケータ30を備える。そして、インジケータ30は、バッテリー側コネクタ100との嵌合が完全嵌合のときに、ハウジング10の外側から視覚特徴域33が視覚可能となる表示位置に変位する。
このようなケーブル側コネクタ1においても、ケーブル側コネクタ1とバッテリー側コネクタ100との嵌合が完了したこと、すなわち電気コネクタの装着が完了したことを目視により直接的に確認できる。
なお、図12においては、インジケータ30は、インジケータハウジング21の窓22から、インジケータハウジング21の外側へ突出していることで、インジケータハウジング21およびソケットハウジング11の外側から視覚特徴域33が視覚可能となる。
【0050】
本実施形態においては、原動節31は、従動節32の斜面32Aと摺動される斜面31Aを有し、原動節31が第3方向Zの上方(U)へ変位することで、斜面31Aに倣って斜面32Aが摺動するとともに、第1方向Xの後方(B)に従動節32を変位させるが、これに限らない。例えば、運動方向を変えるために、原動節31と従動節32とをつなぐ回転中心を有するレバー部を設け、原動節31の第3方向Zの運動を、レバー部の回転運動へ変換したあと、さらにレバー部の回転運動を、従動節32の第1方向Xの運動へ変換してもよい。このような構成であっても、従動節32を非表示位置から表示位置まで変位させ、視覚特徴域33が窓22の全域で視覚可能となる。
【0051】
また、従動節32が非表示位置に留まるように負荷を与える押圧部として、圧縮コイルばね34を使用しているが、これに限らない。従動節32が非表示位置に留まるように負荷を与えることができれば、板ばね、ねじりばね等を使用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ケーブル側コネクタ
11 ソケットハウジング
12 ソケットコンタクト
13 クラウンコンタクト
14 ラッチ収容部
21 インジケータハウジング
22 窓
30 インジケータ
31 原動節
31A 斜面
31B 突出部
31C 押圧面
32 従動節
33 視覚特徴域
34 圧縮コイルばね
41 ラッチ
41A 係止部
42 圧縮コイルばね
100 バッテリー側コネクタ
101 ハウジング
102 フランジ部
102A 係止面
102B 押圧面
121 コンタクト部
122 メネジ
123 端子部
200 接続体
300 六角穴付ボルト
400 バスバー
500 圧着端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12