(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010960
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】電動車
(51)【国際特許分類】
H02P 27/08 20060101AFI20250116BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
H02P27/08
B60L9/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113285
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 鉄隆
【テーマコード(参考)】
5H125
5H505
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB02
5H125EE08
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD08
5H505EE08
5H505EE41
5H505EE49
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL41
(57)【要約】
【課題】高調波の重畳の許容回転数領域を狭くすることを抑制しつつ、モータの回転数の急増時に高調波の重畳をより適切に禁止する。
【解決手段】モータの回転数が所定回転数未満で且つモータの回転数の単位時間当たりの変化量である回転数変化率が所定変化率未満のときには、高調波を重畳せずにd軸、q軸の電圧指令を設定し、モータの回転数が所定回転数以上のときおよびモータの回転数変化率が所定変化率以上のときには、高調波を重畳してd軸、q軸の電圧指令を設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪に連結されたモータと、複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、前記モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、前記d軸、q軸の電圧指令に基づいて前記インバータを制御する制御装置と、を備える電動車であって、
前記制御装置は、前記モータの回転数が所定回転数未満で且つ前記モータの回転数の単位時間当たりの変化量である回転数変化率が所定変化率未満のときには、高調波を重畳せずに前記d軸、q軸の電圧指令を設定し、前記モータの回転数が前記所定回転数以上のときおよび前記モータの前記回転数変化率が所定変化率以上のときには、前記高調波を重畳して前記d軸、q軸の電圧指令を設定する、
電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動車としては、駆動輪に連結されたモータと、複数のスイッチング素子のスイッチングによりモータを駆動するインバータと、モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、設定したd軸、q軸の電圧指令に基づいてインバータを制御する制御装置と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電動車では、複数のスイッチング素子のスイッチングにおけるデッドタイム中のモータの電圧変動を打ち消すためのデッドタイム対応項と、モータの磁束・リラクタンスに依存する磁束・リラクタンス項と、モータの抵抗値に依存する抵抗項と、を含んでフィードフォワード項を設定し、設定したフィードフォワード項を用いてd軸,q軸の電圧指令を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータをパルス幅変調制御(PWM制御)により制御する際に、高調波を重畳してd軸,q軸の電圧指令を設定してインバータを制御することが行なわれている。高調波を重畳するためにはPWM制御でキャリア周波数を高くする必要があり、モータの回転数が所定回転数を超えると、制御性の確保のために高調波の重畳を禁止する必要がある。モータの回転数が急増する(例えば駆動輪がスリップする)シーンでは、モータの回転数の検出値と実値との乖離により、モータの回転数が所定回転数を超えたことの判定が遅れ、高調波の重畳の禁止が遅れる場合がある。これを踏まえて所定回転数を低くすると、モータの回転数が急増しないシーンでの高調波の重畳の許容回転数領域を狭くしてしまう。
【0005】
本開示の電動車は、高調波の重畳の許容回転数領域を狭くすることを抑制しつつ、モータの回転数の急増時に高調波の重畳をより適切に禁止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。本開示の電動車は、駆動輪に連結されたモータと、複数のスイッチング素子のスイッチングにより前記モータを駆動するインバータと、前記モータのトルク指令に基づいてd軸,q軸の電圧指令を設定し、前記d軸、q軸の電圧指令に基づいて前記インバータを制御する制御装置と、を備える電動車であって、前記制御装置は、前記モータの回転数が所定回転数未満で且つ前記モータの回転数の単位時間当たりの変化量である回転数変化率が所定変化率未満のときには、高調波を重畳せずに前記d軸、q軸の電圧指令を設定し、前記モータの回転数が前記所定回転数以上のときおよび前記モータの前記回転数変化率が所定変化率以上のときには、前記高調波を重畳して前記d軸、q軸の電圧指令を設定することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態の電気自動車20の概略構成図である。
【
図2】インバータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図3】インバータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の実施形態の電気自動車20の概略構成図である。図示するように、実施形態の電気自動車20は、モータ32と、インバータ34と、バッテリ36と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50とを備える。
【0009】
モータ32は、三相交流電動機として構成されており、回転子コアに永久磁石が埋め込まれた回転子と、固定子コアに三相コイルが巻回された固定子とを備える。モータ32の回転子は、駆動輪22a,22bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸26に接続されている。インバータ34は、モータ32の駆動に用いられると共にバッテリ36と共に電力ライン38に接続されている。インバータ34は、6つのスイッチング素子としてのトランジスタT11~T16と、6つのトランジスタT11~T16にそれぞれ並列に接続された6つのダイオードD11~D16とを備える。トランジスタT11~T16は、それぞれ、電力ライン38の正極側ラインと負極側ラインとに対してソース側とシンク側になるように2個ずつペアで配置されている。トランジスタT11~T16の対となるトランジスタの接続点の各々は、モータ32の三相(U相、V相、W相)コイルの各々に接続されている。したがって、インバータ34に電圧が作用しているときに、ECU50によって、対となるトランジスタT11~T16のオン時間の割合が調節されることにより、三相コイルに回転磁界が形成され、モータ32が回転駆動される。電力ライン38には、平滑用のコンデンサ39が取り付けられている。バッテリ36は、例えば定格電圧が数百V程度のリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、インバータ34と共に電力ライン38に接続されている。
【0010】
ECU50は、マイクロコンピュータを備えており、マイクロコンピュータは、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有する。ECU50は、各種センサからの信号を入力ポートを介して入力している。例えば、ECU50は、モータ32の回転子の回転位置を検出する回転位置センサ(例えば、レゾルバ)32aからの回転位置θmや、モータ32のV相、W相の電流を検出する電流センサ32v,32wからの相電流Iv,Iwを入力している。バッテリ36の端子間に取り付けられた電圧センサ36aからの電圧Vbや、バッテリ36の出力端子に取り付けられた電流センサ36bからの電流Ib、コンデンサ39の端子間に取り付けられた電圧センサ39aからのコンデンサ39の電圧(電力ライン38の電圧)VHも入力している。スタートスイッチ60からのスタート信号や、シフトレバー61の操作位置を検出するシフトセンサ62からのシフトポジションSP、アクセルペダル63の踏込量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル65の踏込量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ67からの車速Vも入力している。ECU50は、インバータ34のトランジスタT11~T16への制御信号などの各種制御信号を出力ポートを介して出力している。ECU50は、回転位置センサ32aからのモータ32の回転子の回転位置θmに基づいてモータ32の電気角θeや回転数Nmを演算したり、回転数Nmに基づいて回転数Nmの単位時間当たりの変化量である回転数変化率ΔNmを演算したりしている。
【0011】
こうして構成された実施形態の電気自動車20では、ECU50は、アクセル開度Accおよび車速Vに基づいて駆動軸26に要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*をモータ32のトルク指令Tm*に設定し、モータ32がトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ34のトランジスタT11~T16のスイッチング制御を行なう。インバータ34は、基本的に、パルス幅変調制御により制御される。
【0012】
次に、実施形態の電気自動車20の動作、特に、インバータ34の制御について説明する。
図2は、ECU50により繰り返し実行されるインバータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンが実行されると、ECU50は、モータ32の電気角θeやV相、W相の相電流Iv,Iw、回転数Nm、回転数変化率ΔNm、トルク指令Tm*を入力し(ステップS100)、モータ32の各相の相電流の総和が値0であるとして電気角θeを用いてV相、W相の相電流Iv,Iwをd軸、q軸の電流Id,Iqに座標変換(3相-2相変換)する(ステップS110)。
【0013】
続いて、回転数Nmが閾値Nmref以下であるか否かを判定すると共に(ステップS120)、回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmref以下であるか否かを判定する(ステップS130)。ここで、閾値Nmrefは、モータ32の回転数が比較的大きくなったか否かを判定するのに用いられる閾値である。閾値ΔNmrefは、モータ32の回転数が急増した(例えば駆動輪22a,22bがスリップした)シーンであるか否かを判定するのに用いられる閾値である。ステップS120,S130の処理は、高調波重畳制御の許否を判定する処理である。
【0014】
ステップS120で回転数Nmが閾値Nmref以下であると判定し且つステップS130で回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmref以下であると判定したときには、高調波重畳制御を許可する(ステップS140)。この場合、トルク指令Tm*とd軸、q軸の基本電流指令Idbs,Iqbsとの関係として実験や解析、機械学習などにより予め定められた基本電流指令マップにトルク指令Tm*を適用してd軸、q軸の基本電流指令Idbs,Iqbsを設定する(ステップS150)。続いて、トルク指令Tm*と電気角θeと回転数Nmとd軸、q軸の高調波重畳電流指令Idh,iqhとの関係として実験や解析、機械学習などにより予め定められた高調波重畳電流指令マップにトルク指令Tm*と電気角θeと回転数Nmとを適用してd軸、q軸の高調波重畳電流指令Idh,iqhを設定する(ステップS152)。d軸、q軸の高調波重畳電流指令Idh,iqhは、高調波を含むものとなる。そして、d軸、q軸の基本電流指令Idbs,Iqbsとd軸、q軸の高調波重畳電流指令Idh,iqhとの和をd軸、q軸の電流指令Id*,Iq*として演算する(ステップS154)。d軸、q軸の電流指令Id*,Iq*は、高調波を含むものとなる。
【0015】
こうしてd軸、q軸の電流指令Id*,Iq*を演算すると、d軸、q軸の電流指令Id*,Iq*とd軸、q軸の電流id,Iqとの差分ΔId,ΔIqに基づく電流フィードバック制御によりd軸、q軸の電圧指令FB(フィードバック)項Vdfb,Vqfbを演算する(ステップS160)。続いて、トルク指令Tm*と電気角θeと回転数Nmとd軸、q軸の電圧指令FF(フィードフォワード)項Vdff,Vqffとの関係として実験や解析、機械学習などにより予め定められた高調波重畳電圧指令FF項マップにトルク指令Tm*と電気角θeと回転数Nmとを適用してd軸、q軸の電圧指令FF項Vdff,Vqffを設定する(ステップS162)。d軸、q軸の電圧指令FF項Vdff,Vqffは、高調波を含むものとなる。そして、d軸、q軸の電圧指令FB項Vdfb,Vqfbとd軸、q軸の電圧指令FF項Vdff,Vqffとの和をd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*として演算する(ステップS164)。d軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*は、高調波を含むものとなる。
【0016】
こうしてd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*を演算すると、電気角θeを用いてd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*をU相、V相、W相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に座標変換(2相-3相変換)し(ステップS230)、この電圧指令Vu*,Vv*,Vwを用いてインバータ34のトランジスタT11~T16のスイッチング制御を行なって(ステップS210)、本ルーチンを終了する。ステップS210の処理では、電圧指令Vu*,Vv*,Vwとキャリア周波数fcの搬送波(三角波)との比較によりトランジスタT11~T16のPWM信号を生成し、生成したトランジスタT11~T16のPWM信号を用いてトランジスタT11~T16のスイッチング制御を行なう。キャリア周波数fcは、適宜設定される。d軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*が高調波を含むものであるため、モータ32のトルクも、高調波を含むものとなる。
【0017】
ステップS120で回転数Nmが閾値Nmrefよりも大きいと判定したときや、ステップS130で回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmrefよりも大きいと判定したときには、高調波重畳制御を禁止する(ステップS170)。この場合、上述のステップS150の処理と同様にd軸、q軸の基本電流指令Idbs,Iqbsを設定し(ステップS180)、設定したd軸、q軸の基本電流指令Idbs,Iqbsをd軸、q軸の電流指令Id、Iq*を設定する(ステップS184)。この場合、d軸、q軸の電流指令Id*,Iq*は、高調波を含まないものとなる。こうしてd軸、q軸の電流指令Id*,Iq*を設定すると、ステップS160の処理と同様にd軸、q軸の電圧指令FB項Vdfb,Vqfbを設定する(ステップS190)。続いて、トルク指令Tm*とd軸、q軸の電圧指令FF項Vdff,Vqffとの関係として実験や解析、機械学習などにより予め定められた通常電圧指令FF項マップにトルク指令Tm*を適用してd軸、q軸の電圧指令FF項Vdff,Vqffを設定する(ステップS192)。そして、d軸、q軸の電圧指令FB項Vdfb,Vqfbとd軸、q軸の電圧指令FF項Vdff,Vqffとの和をd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*として演算する(ステップS194)。この場合、d軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*は、高調波を含まないものとなる。続いて、ステップS200,S210の処理を実行して、本ルーチンを終了する。
【0018】
実施形態では、このようにして、回転数変化率ΔNmと閾値ΔNmrefとの比較により、モータ32の回転数の急増時(例えば、駆動輪22a,22bのスリップ時)に高調波の重畳をより適切に禁止することができる。これにより、回転数Nmとの比較に用いる閾値Nmrefをある程度大きくすることができるから、モータの回転数が急増していないときに、高調波の重畳の許容回転数領域が狭くなるのを抑制することができる。これらの結果、高調波の重畳の許容回転数領域を狭くすることを抑制しつつ、モータ32の回転数の急増時に高調波の重畳をより適切に禁止することができる。
【0019】
以上説明した実施形態の電気自動車20では、モータ32の回転数Nmが閾値Nmref以下で且つモータ32の回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmref以下のときには、高調波を重畳せずにd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定してインバータ34を制御し、モータ32の回転数Nmが閾値Nmrefよりも大きいときやモータ32の回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmrefよりも大きいときには、高調波を重畳してd軸、q軸の電圧指令Vd*,Vq*を設定してインバータ34を制御する。これにより、高調波の重畳の許容回転数領域を狭くすることを抑制しつつ、モータ32の回転数の急増時(例えば、駆動輪22a,22bのスリップ時)に高調波の重畳をより適切に禁止することができる。
【0020】
上述した実施形態では、ECU50は、
図2のインバータ制御ルーチンを実行したが、
図3のインバータ制御ルーチンを実行してもよい。
図3のルーチンは、ステップS100,S120,S130の処理がステップS300~S330の処理に置き換えられた点で、
図2のルーチンとは異なる。したがって、
図3のルーチンのうち
図2のルーチンと同一の処理については、同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0021】
図3のルーチンでは、ECU50は、ステップS100の処理と同様にモータ32の電気角θeやV相、W相の相電流Iv,Iw、回転数Nm、回転数変化率ΔNm、トルク指令Tm*を入力するのに加えてモータ32の予測回転数Nmprを入力する(ステップS300)。ここで、予測回転数Nmprは、本ルーチンの所定回数前(例えば1~3回程度前)の回転数Nmと回転数変化率ΔNmとに基づいて予測される回転数である。
【0022】
ステップS110の処理後に、回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmref2以下であるか否かを判定する(ステップS310)。ここで、閾値ΔNmref2は、モータ32の実回転数が急変した(回転数Nmと実回転数との乖離が大きくなった可能性がある)か否かを判定するのに用いられる閾値である。回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmref2以下であると判定したときには、モータ32の実回転数が急変していないと判断し、ステップS120の処理と同様に回転数Nmが閾値Nmref以下であるか否かを判定する(ステップS320)。そして、回転数Nmが閾値Nmref以下であると判定したときにはステップS140以降の処理を実行し、回転数Nmが閾値Nmrefよりも大きいと判定したときにはステップS170以降の処理を実行する。
【0023】
ステップS310で回転数変化率ΔNmが閾値ΔNmref2よりも大きいと判定したときには、モータ32の実回転数が急変したと判断し、予測回転数Nmprが閾値Nmref以下であるか否かを判定する(ステップS330)。そして、予測回転数Nmprが閾値Nmref以下であると判定したときにはステップS140以降の処理を実行し、予測回転数Nmprが閾値Nmrefよりも大きいと判定したときにはステップS170以降の処理を実行する。このように、回転数Nmに代えて、予測回転数Nmprを用いることにより、モータ32の実回転数が急変したときでも、高調波重畳制御の許否をより適切に判定することができる。
【0024】
上述した実施形態では、モータ32およびインバータ34を備える電気自動車20の形態とした。しかし、モータ32およびインバータ34に加えてエンジンを備えるハイブリッド車の形態としてもよいし、モータ32およびインバータ34に加えて燃料電池を備える燃料電池車の形態としてもよい。
【0025】
以上、本開示を実施するための実施形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本開示は、電動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0027】
20 電気自動車、22a,22b 駆動輪、32 モータ、34 インバータ、50 ECU、T11~T16 トランジスタ。