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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025109654
(43)【公開日】2025-07-25
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20250717BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20250717BHJP
【FI】
B60N2/90
B60R16/02 623D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107024
(22)【出願日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】63/620,220
(32)【優先日】2024-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】田中 真
(72)【発明者】
【氏名】栗原 彬光
(72)【発明者】
【氏名】島崎 隼人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大貴
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB03
3B087DB05
3B087DE09
(57)【要約】
【解決手段】保持装置10は、乗物用シート100に取り付けられる可撓性を有する線条部材12を保持するために用いられる。保持装置10は、ベース部材14と、ベース部材14に対して着脱可能であり、線条部材12を保持する複数の保持部材16とを備える。複数の保持部材16は、ベース部材14に対する取り付け位置を変更可能に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートに取り付けられる可撓性を有する線条部材を保持するための保持装置であって、
ベース部材と、
前記ベース部材に対して着脱可能であり、前記線条部材を保持する複数の保持部材と、
を備え、
複数の前記保持部材は、前記ベース部材に対する取り付け位置を変更可能である、保持装置。
【請求項2】
請求項1記載の保持装置において、
前記ベース部材は、複数の前記保持部材を取り付けるための複数の取付孔を有し、
複数の前記保持部材の各々は、前記ベース部材に係合可能な係合部を有する、保持装置。
【請求項3】
請求項2記載の保持装置において、
前記取付孔の軸方向に対して直交する断面において、前記取付孔の断面形状及び前記取付孔に挿入される前記保持部材の断面形状がそれぞれ多角形状である、保持装置。
【請求項4】
請求項1記載の保持装置において、
複数の前記保持部材の各々は、前記線条部材を仮保持する仮保持部を含む、保持装置。
【請求項5】
請求項1記載の保持装置において、
前記ベース部材は、互いに着脱可能な複数のベース片を有する、保持装置。
【請求項6】
請求項1記載の保持装置において、
前記保持装置は、前記線条部材を備え、
前記線条部材は、
線条部材本体と、
前記線条部材本体の外周部に取り付けられ、組付用ロボットが把持するための把持部を備える、保持装置。
【請求項7】
請求項6記載の保持装置において、
前記ベース部材において、複数の前記保持部材によって前記線条部材が保持されたときに前記把持部に向かい合う領域には、前記ベース部材を厚み方向に貫通する孔部が形成される、保持装置。
【請求項8】
請求項1記載の保持装置において、
複数の前記保持部材の各々は、複数の保持部を有し、
複数の前記保持部は、前記線条部材に係合可能であり前記ベース部材から突出した複数の突出部をそれぞれ有し、
複数の前記突出部の前記ベース部材からの突出方向は同じである、保持装置。
【請求項9】
請求項8記載の保持装置において、
複数の前記突出部のうち、複数の前記保持部材によって前記線条部材が保持されたときに前記線条部材を間にして互いに反対側に位置する突出部同士の、前記線条部材に直交する方向の間隔は、前記線条部材の直径よりも小さい、保持装置。
【請求項10】
請求項1記載の保持装置において、
前記保持装置は、前記乗物用シートのシートクッションに設けられたパンフレームに取り付けられ、
前記パンフレームの厚み方向から見て、前記保持装置は、前記パンフレームに装着されたエアバッグと重ならない位置に配置される、保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可撓性を有する線条部材の保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2023-16228号公報は、乗物用シートに対してケーブル等の線条部材を取り付けるための保持装置を開示している。保持装置は、線条部材を保持する本体部と、本体部に設けられフロントパイプを保持する第1保持部と、本体部に設けられリアパイプを保持する第2保持部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-16228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような保持装置では、線条部材を本体部に仮保持した状態で、乗物用シートの形状又は線条部材の接続先(用途)に合わせて、第1保持部及び第2保持部を介して本体部を適切な位置へ調整する必要がある。このため、保持装置の調整作業が煩雑であるという問題がある。保持装置の本体部に対して線条部材を取り付ける際の作業性が悪いという問題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、乗物用シートに取り付けられる可撓性を有する線条部材を保持するための保持装置であって、ベース部材と、前記ベース部材に対して着脱可能であり、前記線条部材を保持する複数の保持部材と、を備え、複数の前記保持部材は、前記ベース部材に対する取り付け位置を変更可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の保持装置によれば、ベース部材に対して保持部材を適宜着脱することで、乗物用シートの形状に応じて保持部材の位置を変えて線条部材を所望の形状で効果的に保持できるため汎用性に優れる。また、線条部材を保持部材に保持させた後に、保持部材をベース部に取り付けることで、線条部材の保持の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る保持装置の外観斜視図である。
図2図2は、図1に示す保持装置の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す保持装置の平面図である。
図4図4Aは、図3のIVA-IVA線に沿った断面図である。図4Bは、保持装置における取付部近傍の拡大平面図である。
図5図5は、保持装置が取り付けられる乗物用シートの外観斜視図である。
図6図6は、乗物用シートのパンフレームの平面図である。
図7図7Aは、図6のVIIA-VIIA線に沿った断面図である。図7Bは、図6のVIIB-VIIB線に沿った断面図である。
図8図8は、本開示の第2実施形態に係る保持装置の外観斜視図である。
図9図9は、図8に示す保持装置の平面図である。
図10図10は、図8に示す保持装置の一部省略拡大平面図である。
図11図11Aは、図10のXIA-XIA線に沿った断面図である。図11Bは、図10のXIB-XIB線に沿った断面図である。
図12図12Aは、組付用ロボットによって線条部材を保持装置に組み付ける場合の第1説明図である。図12Bは、線条部材を保持装置に組み付ける場合の第2説明図である。
図13図13は、第1変形例に係る保持装置の平面図である。
図14図14は、第2変形例に係る保持装置の平面図である。
図15図15は、図14に示す保持装置の断面図である。
図16図16A図16Cは、保持装置を、電装ユニット及び保持ユニットと積層配置した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示されるように、第1実施形態に係る保持装置10は、乗物用シート100(図5参照)に取り付けられる線条部材12を保持するために用いられる。線条部材12は、可撓性を有する。線条部材12は、例えば、ケーブル、ハーネス、ワイヤ等である。以下、線条部材12としてケーブルが用いられる場合について説明する。ケーブルは、例えば、乗物用シート100に取り付けられる電装部品と図示しない電源(バッテリ)とを電気的に接続する。
【0010】
保持装置10は、ベース部材14と、複数の保持部材16とを備える。
【0011】
ベース部材14は、樹脂材料から形成される。なお、ベース部材14は、樹脂材料から形成される場合に限定されない。例えば、ベース部材14が、金属材料から形成されてもよい。
【0012】
ベース部材14は、板状に形成され線条部材12に向かい合う第1面141と、第1面141とは反対側の第2面142とを有する。第1面141及び第2面142の各々は、ベース部材14の厚み方向に直交する平面である。以下、ベース部材14の厚み方向に直交する方向を「ベース部材14の面方向」と呼称する。
【0013】
図2に示すように、ベース部材14は、互いに着脱可能な複数のベース片18を有する。以下、ベース部材14が、4つのベース片18から構成される場合について説明する。なお、ベース部材14は、4つのベース片18から構成される場合に限定されない。例えば、ベース部材14を、3つ以下のベース片18から構成してもよいし、5つ以上のベース片18から構成してもよい。複数のベース片18は、略同一形状である。複数のベース片18の各々は、互いに連結可能な連結部20を有する。図3に示すように、複数のベース片18が互いに連結されることで、1つのベース部材14を構成する。
【0014】
連結部20は、各ベース片18の縁部に設けられる。各連結部20は、複数の連結突起201を有する。複数の連結突起201の各々は、ベース片18の縁部から、ベース部材14の面方向に突出する。複数の連結突起201の各々は、ベース片18の縁部に沿って互いに離間する。
【0015】
隣接して配置される2つのベース片18において、一方のベース片18の各連結突起201と、他方のベース片18の各連結突起201とが、ベース片18の縁部に沿って互いにずれて配置される。一方のベース片18の各連結突起201の間に、他方のベース片18の各連結突起201が挿入されることで、2つのベース片18が互いに連結される。互いに連結された2つのベース片18は、平坦に形成される。
【0016】
ベース部材14は、複数の保持部材16を取り付けるための複数の取付部22を有する。複数の取付部22は、ベース部材14の面方向に沿って互いに離間して配置される。ここで、ベース部材14の厚み方向に直交する一方向を長さ方向(矢印A方向)と定義し、ベース部材14の厚み方向に直交し且つ長さ方向に直交する方向を幅方向(矢印B方向)と定義する。取付部22は、長さ方向に間隔をおいて複数配置され、且つ、幅方向に間隔をおいて複数配置される。複数の取付部22は、各ベース片18にそれぞれ設けられる。複数の取付部22は、ベース部材14(ベース片18)において第1面141に沿って互いに離間して配置される。複数の取付部22の各々は、互いに等間隔離間して配置される。なお、複数の取付部22の各々は、互いに等間隔離間して配置される場合に限定されない。例えば、複数の取付部22の各々は、互いに不等間隔で離間して配置されてもよい。図3に示すように、第1実施形態においては、各ベース片18は12個の取付部22をそれぞれ備えている。
【0017】
複数の取付部22の各々は、取付孔24を有する。各取付孔24は、第1面141に開口してベース部材14を厚さ方向に貫通する(図4A参照)。図4Bに示すように、取付孔24の軸方向に対して直交する断面(ベース部材14の厚み方向に沿った断面)において、複数の取付孔24の各々の断面形状は多角形状である。以下、各取付孔24の断面形状が六角形状である場合について説明する。なお、各取付孔24の断面形状が六角形状である場合に限定されない。例えば、各取付孔24の断面形状が、三角形状、矩形状、五角形状であってもよい。
【0018】
図4Aに示すように、取付部22はさらに凹部26を有する。凹部26は、ベース部材14の第2面142からベース部材14の厚さ方向に窪む。凹部26の中心に取付孔24が設けられる。図4Bに示すように、ベース部材14の厚さ方向から見たとき、凹部26は、取付孔24を囲むように、取付孔24よりも大きく形成される。凹部26の断面形状は、取付孔24に対応した多角形状である。なお、凹部26の断面形状は多角形状に形成される場合に限定されない。例えば、凹部26の断面形状は、円形状又は矩形状でもよい。
【0019】
図3に示すように、ベース部材14は、さらに複数の締結孔28を有する。複数の締結孔28は、ベース部材14の角部に設けられる。すなわち、4つのベース片18の各々に締結孔28が設けられる。ベース部材14が乗物用シート100に取り付けられるとき、締結孔28に固定具30が挿入されて乗物用シート100と締結される(図7A及び図7B参照)。
【0020】
図1に示すように、複数の保持部材16は、ベース部材14に対して着脱可能であり線条部材12を保持する。複数の保持部材16は、ベース部材14に対する取り付け位置を変更可能である。各保持部材16は、ベース部材14の各取付部22に対して着脱可能である。
【0021】
各保持部材16は、樹脂材料から形成される。図2に示すように、各保持部材16は、本体部32と、線条部材12を保持可能な保持部34と、取付部22に取付可能な挿入部36とを備える。
【0022】
図4Aに示すように、本体部32の基端部は、保持部材16がベース部材14に取り付けられたとき第1面141に当接する。保持部34は、本体部32の先端部に設けられる。保持部34は、本体部32の側面からベース部材14の面方向に沿って延出する。保持部34は、本体部32から最も離間した先端を有し、先端には爪部38を備える。爪部38は、保持部34の先端から保持部34の延在方向と交差する方向に突出する。保持部34の延出方向において、爪部38と本体部32とが向かい合う。
【0023】
挿入部36は、本体部32の基端部から突出する。挿入部36は、ベース部材14の取付孔24に挿入される。図4Bに示すように、挿入部36の軸方向に対して直交する断面において、挿入部36の断面形状が多角形状である。挿入部36の断面形状は、取付孔24の断面形状と同じに形成される。以下、挿入部36の断面形状が、各取付孔24の断面形状と同じ六角形状である場合について説明する。なお、挿入部36の断面形状が六角形状である場合に限定されない。取付孔24の断面形状と同じであれば、例えば、挿入部36の断面形状が、三角形状、矩形状、五角形状であってもよい。
【0024】
各取付孔24に挿入部36が挿入されたとき、取付孔24に対する挿入部36の相対回転が阻止される。図3に示すように、ベース部材14の厚さ方向から見た平面視において、取付孔24に対して挿入部36を周方向に所定角度で位置決めした状態で、ベース部材14に保持部材16を取り付け可能である。各取付孔24及び挿入部36の断面形状が六角形状であるため、ベース部材14の取付孔24に対して挿入部36を中心として30°毎に保持部材16を回転方向に位置決め可能である。換言すれば、ベース部材14の取付孔24に対して保持部材16を30°毎に回転させて位置を調整可能である。
【0025】
図4Aに示すように、各取付孔24に挿入部36が挿入されたとき、挿入部36の先端部は、取付孔24から突出して凹部26内に収容される。挿入部36の最先端は、第2面142から突出しない。
【0026】
複数の保持部材16の各々は、さらにベース部材14に係合可能な係合部40を有する。係合部40は、各保持部材16の挿入部36に設けられる。係合部40は、挿入部36の先端部の外周面に設けられる。係合部40は、挿入部36の外周面から径方向外方に突出する。図4Bに示すように、係合部40は一対設けられる。一対の係合部40は、挿入部36の周方向に沿って互いに離間する。一対の係合部40は、挿入部36の中心軸を挟んで互いに反対側に配置される。
【0027】
挿入部36がベース部材14の取付孔24に挿入されるとき、一対の係合部40が取付孔24の内周面に接触することで径方向内方に弾性変形可能である。図4Aに示すように、ベース部材14の取付部22に保持部材16が取り付けられるとき、一対の係合部40は、取付孔24を通じて凹部26内に露出して収容される。一対の係合部40は、第2面142と平行な凹部26の内壁に接触することで、ベース部材14に対する第1面141の方向への脱抜が防止された状態で固定される。
【0028】
ベース部材14の取付部22に保持部材16が取り付けられた状態で、線条部材12は、ベース部材14の第1面141と、保持部材16の保持部34との間に保持される。また、線条部材12は、保持部材16の本体部32と爪部38との間に保持される。
【0029】
なお、係合部40は、挿入部36の外周面に一対設けられる場合に限定されない。例えば、係合部40が1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、係合部40が、挿入部36の外周面に沿って環状に形成されてもよい。
【0030】
なお、保持部材16が凸状の挿入部36を有し、ベース部材14が、挿入部36が挿入される凹状の取付孔24を備える場合に限定されない。例えば、挿入部36が、ベース部材14の第1面141から突出するようにベース部材14に形成され、取付孔24が、保持部材16に設けられてもよい。
【0031】
次に、図5に示すように、保持装置10が取り付けられる乗物用シート100について説明する。
【0032】
乗物用シート100は、車両、船舶、飛行体等の乗物に設置される。乗物用シート100は、シートクッション102と、シートクッション102の後部に連結されるシートバック104とを有し、図示しない乗員がシートクッション102に着座する。シートクッション102は、シートクッションフレーム106を有する。シートバック104は、シートバックフレーム108を有する。シートクッションフレーム106とシートバックフレーム108とによりシートフレーム109が構成される。
【0033】
シートクッションフレーム106は、スライドレール110を介して図示しない乗物の床面101に設置される。シートクッションフレーム106は、左右一対のクッションサイドフレーム106Aと、フロントパイプ114と、リアパイプ116と、パンフレーム118とを備える。
【0034】
フロントパイプ114は、一対のクッションサイドフレーム106Aの前部に連結される。フロントパイプ114は、乗物用シート100の左右方向に延在する。リアパイプ116は、一対のクッションサイドフレーム106Aの後部に連結される。リアパイプ116は、乗物用シート100の左右方向に延在する。フロントパイプ114とリアパイプ116とが略平行に配置される。パンフレーム118は板状に形成され、乗物用シート100の前後方向に延在する。シートクッション102は、不図示のクッションパッドを有する。フロントパイプ114、リアパイプ116及びパンフレーム118は、いずれもシートクッション102のクッションパッドの下方に配置される。
【0035】
パンフレーム118は、フロントパイプ114とリアパイプ116とを繋ぐ。パンフレーム118の上面は、シートクッションパッドに向かい合う。パンフレーム118の下面は、床面101に向かい合う。パンフレーム118は、前端部118Fと、後端部118Rと、前端部118Fと後端部118Rとの間の中間部118Mとを備える。図6に示すように、前端部118Fは、フロントパイプ114の上部に固定部材120によって固定される。前端部118Fの上面には、エアバッグABが設けられる。乗物の衝突時に衝撃が付与された際、エアバッグABは、乗物用シート100に着座している乗員の脚部近傍で展開して膨張する。後端部118Rは、リアパイプ116の上部に固定部材120によって固定される。固定部材120は、例えば、ボルト又はクリップである。
【0036】
中間部118Mは、フロントパイプ114とリアパイプ116との間に配置される。中間部118Mには、固定具30によって保持装置10が固定される。図7Aに示すように、保持装置10は、中間部118Mの下面に取り付けられる。図6に示すように、パンフレーム118の厚み方向から見て、保持装置10は、パンフレーム118に装着されたエアバッグABと重ならない位置に配置される。すなわち、パンフレーム118において、エアバッグABと保持装置10とが乗物用シート100の前後方向に離間して配置される。なお、保持装置10は、中間部118Mの上面に取り付けられてもよい。
【0037】
図7Aに示すように、パンフレーム118は、さらにフレーム把持部124を備える。フレーム把持部124は、パンフレーム118の左右方向の両端にそれぞれ設けられる。一組のフレーム把持部124は、パンフレーム118から下方に向けてそれぞれ突出する。シートフレーム109に対してパンフレーム118を組み付けるとき、図示しないシート組立用ロボットによってフレーム把持部124を把持して自動でシートフレーム109に組み付けることができる。
【0038】
次に、保持装置10を用いて線条部材12を乗物用シート100に取り付ける場合について説明する。
【0039】
まず、図1に示すように、複数のベース片18を互いに連結させてベース部材14を準備する。ベース部材14は、乗物用シート100に応じた線条部材12の形状や長さ等を含む配索レイアウトに応じた大きさとなるように、複数のベース片18を互いに連結させて1つのベース部材14を形成する。ここでは、4つのベース片18から略正方形状のベース部材14を構成する場合について説明する。また、2つの保持部材16を用いる場合について説明する。
【0040】
次に、ベース部材14の第1面141に線条部材12を配置し、線条部材12を所望の配索レイアウトとなるように屈曲させる。ここでは、図3に示すように、線条部材12の第1線部121及び第2線部122の間の中央部に屈曲部123を有する配索レイアウトで保持装置10に保持する場合について説明する。以下、ベース部材14において、線条部材12の第1線部121が配置されるベース片18を「第1ベース片181」といい、線条部材12の第2線部122が配置されるベース片18を「第2ベース片182」という。乗物用シート100に保持装置10を取り付ける際、第1ベース片181が前方、第2ベース片182が後方となるように取り付けられる(図6参照)。第1ベース片181の設けられる方向を保持装置10の前方、第2ベース片182の設けられる方向を保持装置10の後方という。第1ベース片181と第2ベース片182とが、保持装置10の前後方向、且つ前後方向と直交する幅方向にオフセットして配置される。
【0041】
図3に示すように、第1ベース片181の第1面141には、線条部材12の第1線部121が保持される近傍に、第1線部121が接続される接続先が表記された第1マーク部M1を備える。第2ベース片182の第1面141には、線条部材12の第2線部122が保持される近傍に、第2線部122が接続される接続先が表記された第2マーク部M2を備える。第1マーク部M1及び第2マーク部M2は、線条部材12をベース部材14に保持する前に予め形成してもよいし、線条部材12をベース部材14に保持した後に形成してもよい。第1マーク部M1及び第2マーク部M2の記載は、例えば、名前又はマークである。保持装置10を介して取付けられた線条部材12を電装部品等に接続するとき、第1マーク部M1及び第2マーク部M2を確認することで、線条部材12の第1線部121及び第2線部122を所望の電装部品に対してそれぞれ接続可能である。
【0042】
以下、2つの保持部材16について、一方を「第1保持部材161」と呼称し、他方を「第2保持部材162」と呼称する。第1保持部材161の保持部34が線条部材12の第1線部121を覆うように、第1ベース片181の取付孔24に第1保持部材161の挿入部36を挿入する。このとき、ユーザは、第1ベース片181における複数の取付孔24から、線条部材12の第1線部121を保持するのに最適な第1保持部材161の取り付け位置を選んで第1保持部材161を取り付けることが可能である。図4Aに示すように、第1保持部材161の挿入部36を複数の取付孔24のうち1つの取付孔24に挿入することで、係合部40が凹部26に係合されることによってベース部材14からの第1保持部材161の抜け止めがなされる。挿入部36が取付孔24に挿入されることで、図4Bに示すように、ベース部材14に対する第1保持部材161の回り止めがなされた状態で第1保持部材161が固定される。図4Aに示すように、第1保持部材161の保持部34とベース部材14の第1面141との間で線条部材12の第1線部121が保持される。
【0043】
図3に示すように、第2保持部材162の保持部34が線条部材12の第2線部122を覆うように、第2ベース片182の取付孔24に第2保持部材162の挿入部36を挿入する。このとき、ユーザは、第2ベース片182における複数の取付孔24から、線条部材12の第2線部122を保持するのに最適な第2保持部材162の取り付け位置を選んで第2保持部材162を取り付けることが可能である。第2保持部材162の挿入部36を複数の取付孔24のうち1つの取付孔24に挿入することで、ベース部材14からの第2保持部材162の抜け止めがなされ、且つ取付孔24に対する第2保持部材162の回り止めがなされた状態で第2保持部材162が固定される。第2保持部材162の保持部34とベース部材14の第1面141との間で線条部材12の第2線部122が保持される。この結果、線条部材12の第1線部121と第2線部122との間の中間部に屈曲部123を有した状態で、ベース部材14の第1面141に線条部材12が保持される。
【0044】
図3に示すベース部材14の平面視において、線条部材12の第1線部121は、第1保持部材161の保持部34の延在方向と略直交するように保持される。線条部材12の第1線部121は、第1保持部材161の本体部32と爪部38との間に保持される。これにより、保持部34の延在方向への線条部材12の第1線部121の移動が抑制される。線条部材12の第2線部122は、第2保持部材162の保持部34の延在方向と略直交するように保持される。このとき、線条部材12の第2線部122は、第2保持部材162の本体部32と爪部38との間に保持される。これにより、保持部34の延在方向への線条部材12の第2線部122の移動が抑制される。
【0045】
次に、線条部材12が保持された保持装置10を乗物用シート100に取り付ける。図7Aに示すように、保持装置10のベース部材14の第2面142をパンフレーム118の中間部118Mに向かい合わせた状態で、ベース部材14の締結孔28(図3参照)に、パンフレーム118の中間部118Mに挿入された固定具30を締結する。これにより、パンフレーム118の下面に保持装置10が固定される。また、線条部材12が、パンフレーム118とは反対側に向かい合う。これにより、保持装置10によって、図5に示すように、乗物用シート100のシートクッション102の下部に線条部材12が所望の形状(配索レイアウト)で取り付けられる。線条部材12の第1線部121及び第2線部122は、第1マーク部M1及び第2マーク部M2を参照しながら図示しない電源又は電装部品等に電気的に接続される。
【0046】
なお、保持装置10は、線条部材12と共に乗物用シート100に取り付ける場合に限定されない。例えば、保持装置10に保持された線条部材12をベース部材14から取り外してパンフレーム118に取り付けてもよい。この場合、保持装置10の複数の保持部材16は、仮保持部42(図1参照)を備える。
【0047】
仮保持部42は、本体部32の先端部から延出し、弾性変形可能に形成される。仮保持部42によって線条部材12がベース部材14に保持された状態で、乗物用シート100に取り付けて線条部材12を仮保持部42を弾性変形させることで、仮保持部42から線条部材12を離脱させて線条部材12のみを乗物用シート100に取り付けることが可能である。
【0048】
第1実施形態は、以下の効果を奏する。
【0049】
図1に示すように、保持装置10は、乗物用シート100に取り付けられる可撓性を有する線条部材12を保持する。保持装置10は、ベース部材14と、ベース部材14に対して着脱可能であり線条部材12を保持する複数の保持部材16とを備える。複数の保持部材16(第1保持部材161、第2保持部材162)は、ベース部材14に対する取り付け位置を変更可能に設けられる。
【0050】
この保持装置10によれば、ベース部材14に対して保持部材16を適宜着脱することで、乗物用シート100の形状に応じて保持部材16の位置を変えて線条部材12を所望の形状で効果的に保持できるため汎用性に優れる。また、線条部材12を保持部材16に保持させた後に、保持部材16をベース部材14に取り付けることで、線条部材12の保持の作業性が向上する。
【0051】
図2に示すように、ベース部材14は、複数の保持部材16を取り付けるための複数の取付孔24を有する。複数の保持部材16の各々は、ベース部材14に係合可能な係合部40を有する(図4A参照)。
【0052】
この構成によれば、保持部材16の係合部40がベース部材14に係合されることで、保持部材16をベース部材14に効果的に取り付けることができる。
【0053】
図4Bに示すように、取付孔24の軸方向に対して直交する断面において、取付孔24の断面形状及び取付孔24に挿入される保持部材16の断面形状がそれぞれ多角形状である。この構成によれば、ベース部材14に対する保持部材16の回転を効果的に防止することができる。
【0054】
図1に示すように、複数の保持部材16の各々は、線条部材12を仮保持する仮保持部42を含む。この構成によれば、仮保持部42によって線条部材12がベース部材14に保持された状態で、保持装置10を乗物用シート100に取り付けて線条部材12を仮保持部42から取り外すことができる。
【0055】
図2に示すように、ベース部材14は、互いに着脱可能な複数のベース片18を有する。この構成によれば、乗物用シート100の形状に応じてベース部材14の形状を変更することができる。
【0056】
図6に示すように、パンフレーム118の厚み方向から見て、保持装置10は、パンフレーム118に装着されたエアバッグABと重ならない位置に配置される。
【0057】
この構成によれば、エアバッグABが作動して展開したとき、エアバッグABと保持装置10との接触が効果的に抑制される。
【0058】
図8に示すように、第2実施形態に係る保持装置10Aは、ベース部材14Aと、複数の保持部材16Aとを備える。
【0059】
図9に示すように、ベース部材14Aは、互いに着脱可能な複数のベース片18Aを有する。複数のベース片18Aが互いに連結されることで、1つのベース部材14Aを構成する。ベース部材14Aは、複数の保持部材16Aを取り付けるための複数の取付部22Aを有する。複数の取付部22Aは、各ベース片18Aにそれぞれ設けられる。複数の取付部22Aは、ベース部材14Aの面方向に沿って互いに離間して配置される。
【0060】
複数の取付部22Aは、ベース部材14Aの長さ方向(矢印A方向)に沿って互いに離間して配置される。複数の取付部22Aは、第1取付部200と、第2取付部202とを備える。第1取付部200及び第2取付部202は、複数の保持部材16Aによって線条部材12Aが保持されたときに線条部材12Aを間にして互いに向かい合う。
【0061】
第1取付部200は、線条部材12Aに対して一方側に配置される。第1取付部200は、ベース部材14Aの幅方向(矢印B方向)において、各ベース片18Aの一端よりも内側に配置される。第1取付部200は、互いに等間隔離間して配置された複数の第1装着溝204を有する。複数の第1装着溝204は、ベース部材14Aの第1面141に沿って幅方向一方に向けて窪む。
【0062】
第2取付部202は、線条部材12Aに対して他方側に配置される。第2取付部202は、ベース部材14Aの幅方向において、各ベース片18Aの他端よりも内側に配置される。各ベース片18Aにおいて、第1取付部200と第2取付部202とは幅方向に並列する。第2取付部202は、互いに等間隔離間して配置された複数の第2装着溝206を有する。複数の第2装着溝206は、ベース部材14Aの第1面141に沿って幅方向他方に向けて窪む。複数の第1装着溝204の各々と、複数の第2装着溝206の各々とが、ベース部材14Aの前後方向においてオフセットして配置される。すなわち、ベース部材14Aの前後方向において、複数の第1装着溝204の各々と複数の第2装着溝206の各々とが互い違いに配置される。複数の第1装着溝204の各々と、複数の第2装着溝206の各々とが、ベース部材14Aの前後方向において同じ位置に配置されてもよい。
【0063】
なお、第1取付部200及び第2取付部202は、ベース部材14A(ベース片18A)の幅方向に並列する場合に限定されない。例えば、第1取付部200及び第2取付部202が、ベース部材14A(ベース片18A)の前後方向に並列してもよい。以下、第1取付部200が4つの第1装着溝204を備え、第2取付部202が4つの第2装着溝206を備える場合について説明する。
【0064】
複数の保持部材16Aは、複数の取付部22Aに着脱可能である。複数の保持部材16Aは、線条部材12Aを保持する。複数の保持部材16Aは、第1取付部200及び第2取付部202にそれぞれ取付けられる。複数の保持部材16Aは、複数の第1取付部200に取付けられる複数の第1保持部材211と、複数の第2取付部202に取付けられる複数の第2保持部材212とを備える。複数の第1保持部材211及び第2保持部材212の各々は、例えば、金属材料の線材を屈曲することで形成される。
【0065】
複数の第1保持部材211の各々は、複数の第1装着溝204の各々に取付けられる。各第1保持部材211は、線条部材12Aが係合可能に形成される。図11Aに示すように、各第1保持部材211は、第1本体部214と、第1保持部216とをそれぞれ備える。複数の第1保持部材211の各々は、ベース部材14Aの第1装着溝204に対する取り付け位置を変更可能である(図10参照)。
【0066】
第1本体部214の基端部は、直線状に形成され第1装着溝204にそれぞれ装着される。図10に示すように、複数の第1装着溝204の各々に複数の第1保持部材211の各々が取り付けられることで、複数の第1保持部材211が互いに等間隔離間して配置される。
【0067】
図11Aに示すように、第1保持部216は、第1本体部214の先端部に設けられる。第1保持部216は、第1取付部200から第2取付部202の方向に突出して配置される。第1保持部216は、ベース部材14Aから突出した第1突出部218をそれぞれ有する。
【0068】
第1突出部218は、第1本体部214の先端から第1本体部214の延在方向に対して略直交方向に突出する。第1突出部218は、ベース部材14Aの第1面141から離間する方向に突出する。第1突出部218は、第1本体部214の先端に対して弾性変形可能である。第1突出部218は、第1部位220A、第2部位220B及び第3部位220Cを有する。第1部位220Aは、第1本体部214の先端から第1本体部214の先端方向に向けて斜めに延出する。第1本体部214の延在方向に対する第1部位220Aの傾斜角度θ1は、約30°~60°である。第2部位220Bは、第1部位220Aの先端から第1面141より離間する方向に延出する。第2部位220Bの延在方向は、ベース部材14Aの厚み方向と略平行である。第1本体部214の延在方向に対する第2部位220Bの傾斜角度θ2は、約80°~100°である。第3部位220Cは、第2部位220Bの端部から第1本体部214の基端方向に向けて斜めに延出する。第2部位220Bの延在方向に対する第3部位220Cの傾斜角度θ3は、約30°~60°である。
【0069】
ベース部材14Aの第1面141に対する複数の第1突出部218の突出方向は同じである。第1面141に対する各第1突出部218の突出高さは同じである。
【0070】
図10に示すように、複数の第2保持部材212の各々は、複数の第2装着溝206の各々に取付けられる。各第2保持部材212は、線条部材12Aが係合可能に形成される。図11Aに示すように、各第2保持部材212は、第2本体部224と、第2保持部226とをそれぞれ備える。複数の第2保持部材212の各々は、ベース部材14Aの第2装着溝206に対する取付け位置を変更可能である(図10参照)。複数の第2保持部材212の各々は、複数の第1保持部材211の各々と同じ形状で形成される。なお、複数の第2保持部材212の各々と複数の第1保持部材211の各々とが異なる形状でもよい。
【0071】
第2本体部224の基端部は、直線状に形成され第2装着溝206にそれぞれ装着される。複数の第2装着溝206の各々に複数の第2保持部材212の各々が取付けられることで、図10に示すように、複数の第2保持部材212が互いに等間隔離間して配置される。複数の第2保持部材212の各々と、複数の第1保持部材211の各々とが、ベース部材14Aの前後方向(矢印A方向)にオフセットして配置される。すなわち、ベース部材14Aの前後方向において、複数の第1保持部材211の各々と複数の第2保持部材212の各々とが互い違いに配置される。なお、複数の第2保持部材212の各々と、複数の第1保持部材211の各々とが、ベース部材14Aの前後方向にオフセットして配置される場合に限定されない。例えば、複数の第2保持部材212の各々と、複数の第1保持部材211の各々とが、ベース部材14Aの前後方向で同じ位置に配置されてもよい。
【0072】
第2保持部226は、第2本体部224の先端部に設けられる。第2保持部226は、第2取付部202から第1取付部200の方向に突出して配置される。第2保持部226は、ベース部材14Aから突出した第2突出部228をそれぞれ有する。
【0073】
図11Aに示すように、第2突出部228は、第2本体部224の先端から第2本体部224の延在方向に対して略直交方向に突出する。第2突出部228は、ベース部材14Aの第1面141から離間する方向に突出する。第2突出部228は、第2本体部224の先端に対して弾性変形可能である。第2突出部228は、第1部位220A、第2部位220B及び第3部位220Cを有する。第2突出部228の第1部位220A、第2部位220B及び第3部位220Cは、第1突出部218の第1部位220A、第2部位220B及び第3部位220Cと同じ形状であり、且つ対称に配置されたものであるため、同じ符号を付すと共に詳細な説明については省略する。
【0074】
ベース部材14Aの第1面141に対する複数の第2突出部228の突出方向は同じである。第1面141に対する各第2突出部228の突出高さは同じである。
【0075】
各第1保持部材211の第1突出部218と各第2保持部材212の第2突出部228とが互いに向かい合う。ベース部材14Aの第1面141からの各第1突出部218の高さと、第1面141からの各第2突出部228の高さとが略同じである。複数の第1保持部材211の第1突出部218(第1保持部216)と複数の第2保持部材212の第2突出部228(第2保持部226)との間に線条部材12Aが保持される。第1突出部218と第2突出部228とが互いに離間する方向に弾性変形可能である。図12Aに示すように、第1突出部218と第2突出部228との間に線条部材12Aを挿入することで、線条部材12Aによって第1突出部218と第2突出部228とが互いに離間する方向に押されて弾性変形する(二点鎖線形状参照)。図11Aに示すように、第1突出部218の第1部位220A及び第2突出部228の第1部位220Aに向かい合う位置に線条部材12Aが保持される。
【0076】
複数の第1保持部材211と複数の第2保持部材212との間に線条部材12Aが保持されたときに、線条部材12Aと直交する方向における第1突出部218と第2突出部228との間の間隔Cは、線条部材12Aの直径D(外径)よりも小さい。間隔Cは、第1突出部218の第2部位220Bと第2突出部228の第2部位220Bとの間の最小の間隔である。すなわち、第1突出部218の第2部位220Bと第2突出部228の第2部位220Bとの間を介して線条部材12Aが第3部位220Cの方向に移動することが抑制される。
【0077】
図11Bに示すように、線条部材12Aは、線条部材本体230と、組付用ロボットR(図12A参照)が把持するための把持部232とを備える、線条部材本体230は、可撓性を有する。線条部材本体230は、図示しない導電部材を内部に備える。図12Aに示すように、組付用ロボットRは、ロボット本体R1と、ロボット本体R1の下方に設けられ開閉可能な一対のアーム部R2とを備える。
【0078】
図11Bに示すように、把持部232は、線条部材本体230の外周部に取り付けられる。把持部232は、線条部材本体230の外周面から径方向外方に突出する。
【0079】
把持部232は、線条部材本体230の外周部を覆う。把持部232は、線条部材本体230の延在方向における所定位置に設けられる(図9参照)。把持部232は、外側部材23Aと、外側部材23Aの内部に設けられる内側部材23Bとを備える。外側部材23Aは、金属材料から筒状に形成される。線条部材本体230の軸方向と垂直な断面において、外側部材23Aの断面形状は六角形状である。図12Aに示すように、把持部232の外側部材23Aは、組付用ロボットRの一対のアーム部R2によって把持される。なお、外側部材23Aの断面形状は六角形状に限定されない。例えば、外側部材23Aの断面形状は、組付用ロボットRのアーム部R2で把持可能な多角形状であればよい。図11Bに示すように、内側部材23Bは、樹脂材料から形成され外側部材23Aと線条部材本体230の外周部との間に設けられる。
【0080】
図10に示すように、ベース部材14Aは、さらに孔部234を備える。
【0081】
孔部234は、取付部22Aに隣接して設けられる。孔部234は、ベース部材14Aを厚み方向に貫通する。複数の保持部材16Aによって線条部材12Aが保持されたとき、孔部234は、線条部材12Aの把持部232に向かい合う領域Fに設けられる。孔部234は、ベース部材14Aの前後方向における中央部に設けられる。孔部234によって、取付部22Aの中央部が前後方向に分離される。組付用ロボットRによって保持装置10Aに線条部材12Aを取付ける際、把持部232を把持した一対のアーム部R2が孔部234に挿入される。
【0082】
次に、線条部材12Aを保持装置10Aに保持する場合について説明する。
【0083】
まず、図9に示すように、複数のベース片18Aを互いに連結させてベース部材14Aを準備する。ここでは、4つのベース片18Aから略正方形状のベース部材14Aを構成すると共に、線条部材12Aの第1線部121を第1ベース片181Aに保持し、線条部材12Aの第2線部122を第2ベース片182Aに保持する場合について説明する。
【0084】
図12Aに示すように、組付用ロボットRのアーム部R2が、線条部材12Aの第1線部121に設けられた第1把持部232Aを把持し、線条部材12Aの第1線部121を第1ベース片181Aまで移送する。アーム部R2をベース部材14Aの孔部234に向けて移動させ、第1把持部232Aを把持した状態のままアーム部R2を孔部234に挿入する(図12B参照)。
【0085】
線条部材12Aの第1把持部232Aが第1ベース片181Aの孔部234に収容されると共に、線条部材本体230が、複数の第1突出部218及び第2突出部228の第3部位220Cに接触した後、線条部材12Aが第3部位220Cに沿ってベース部材14Aに向けて移動することで、第1突出部218の第3部位220Cと第2突出部228の第3部位220Cとが互いに離間する方向に押し広げられて弾性変形する(図12A中、二点鎖線形状参照)。互いに離間した第1突出部218の第2部位220Bと第2突出部228の第2部位220Bとの間を通じて、線条部材12Aがベース部材14Aに向けて移動して第2部位220Bの間の抜けた後に、第1突出部218の第1部位220Aと第2突出部228の第1部位220Aとの間に保持される。複数の第1保持部材211の第1突出部218と複数の第2保持部材212の第2突出部228とによって、線条部材12Aの線条部材本体230がベース部材14Aに保持される。複数の第1保持部材211及び第2保持部材212によって、線条部材12Aは、ベース部材14Aの第1面141から離間する方向への移動が阻止される。ベース部材14Aの前後方向において、線条部材12Aの第1線部121は、ベース部材14Aの第1面141に接触する。線条部材12Aの第1線部121は、第1ベース片181Aに取り付けられた第1保持部材211及び第2保持部材212と、第1ベース片181Aの第1面141とによって、ベース部材14Aの第1面141に沿って保持される。第1ベース片181Aの取付部22Aの延在方向に沿って、線条部材12Aの第1線部121が第1ベース片181A(ベース部材14A)に保持される。
【0086】
組付用ロボットRのアーム部R2によって、図9に示すように、線条部材12Aの第2線部122に設けられた第2把持部232Bを把持し、第2把持部232Bを把持した状態のままアーム部R2を第2ベース片182Aの孔部234に挿入する。
【0087】
線条部材12Aの第2把持部232Bが第2ベース片182Aの孔部234に収容され、線条部材本体230が、複数の第1突出部218及び第2突出部228に接触することで第1突出部218と第2突出部228とが互いに離間する方向に弾性変形する。第1突出部218と第2突出部228との間を通じて、線条部材12Aがベース部材14Aに向けて移動した後、第2ベース片182Aにおける複数の第1保持部材211と複数の第2保持部材212との間に、線条部材12Aの線条部材本体230が保持される。線条部材12Aの第2線部122は、第2ベース片182Aに取り付けられた第1保持部材211及び第2保持部材212と、第2ベース片182Aの第1面141とによって、ベース部材14Aから離間する方向への移動が規制されて保持される。第2ベース片182Aの取付部22Aの延在方向に沿って、線条部材12Aの第2線部122が第2ベース片182A(ベース部材14)に保持される。
【0088】
これにより、線条部材12Aの第1線部121及び第2線部122の間の中央部に屈曲部123を有した配索レイアウトで、線条部材12Aが保持装置10Aのベース部材14Aに保持される。線条部材12Aが保持された保持装置10Aを乗物用シート100に取付ける方法については、上述した第1実施形態の保持装置10の場合と同じであるため説明は省略する。
【0089】
第2実施形態は、以下の効果を奏する。
【0090】
図9に示すように、保持装置10Aは、線条部材12Aを備え、線条部材12Aは、線条部材本体230と、線条部材本体230の外周部に取り付けられ、組付用ロボットRが把持するための把持部232を備える。
【0091】
この構成によれば、組付用ロボットRが把持部232を把持することで、保持装置10Aに対する線条部材12Aの取付けを自動化することができる。
【0092】
図10に示すように、ベース部材14Aにおいて、複数の保持部材16Aによって線条部材12Aが保持されたときに把持部232に向かい合う領域Fには、ベース部材14Aを厚み方向に貫通する孔部234が形成される。
【0093】
この構成によれば、ベース部材14Aが孔部234を備えることで、把持部232を把持した組付用ロボットRとベース部材14Aとの接触が効果的に回避される。
【0094】
図11Aに示すように、複数の保持部材16A(第1保持部材211、第2保持部材212)の各々は、複数の第1保持部216、第2保持部226を有する。複数の第1保持部216及び第2保持部226は、線条部材12Aに係合可能でありベース部材14Aから突出した複数の突出部(第1突出部218、第2突出部228)をそれぞれ有する。複数の第1突出部218及び複数の第2突出部228の各々のベース部材14Aからの突出方向が同じである。
【0095】
この構成によれば、第1突出部218及び複数の第2突出部228によって線条部材12Aの移動を効果的に抑制できる。
【0096】
線条部材12Aを間にして互いに向かい合う第1突出部218と第2突出部228との間の間隔Cが、線条部材12Aの直径Dよりも小さい。
【0097】
この構成によれば、第1突出部218と第2突出部228との間から線条部材12Aが脱抜することが抑制され、線条部材12Aの移動を効果的に抑制できる。
【0098】
図13に示すように、第1変形例に係る保持装置10Bは、ベース部材14Bと、線条部材12Bを保持する複数の保持部材16Bとを備える。
【0099】
ベース部材14Bは、複数の保持部材16Bを取り付けるための複数の取付部22を有する。複数の取付部22は、第1取付部200及び第2取付部202とを備える。第1取付部200及び第2取付部202は、複数の保持部材16Bによって線条部材12Bが保持されたときに線条部材12Bを間にして互いに向かい合う。
【0100】
複数の保持部材16Bは、複数の取付部22に着脱可能に設けられる。複数の保持部材16Bは、第1取付部200及び第2取付部202にそれぞれ取付けられる。複数の保持部材16Bの各々は、複数の保持部34を有する。複数の保持部材16Bは、複数の第1取付部200に取付けられる複数の第1保持部材211Bと、複数の第2取付部202に取付けられる複数の第2保持部材212Bとを備える。
【0101】
複数の第1保持部材211Bは、それぞれ長さの異なる第1本体部214a~214dを備える。第1本体部214aが最も短く、第1本体部214b、第1本体部214c、第1本体部214dの順番で長く形成される。複数の第1保持部材211Bはさらに、第1本体部214a~214dの先端に設けられる第1突出部218を有する。第2保持部材212Bは、それぞれ長さの異なる第2本体部224a~224dを備える。第2本体部224aが最も長く、第2本体部224b、第2本体部224c、第2本体部224dの順番で短く形成される。複数の第2保持部材212Bはさらに、第2本体部224a~224dの先端に設けられる第2突出部228を有する。
【0102】
次に、線条部材12Bを保持装置10Bに保持する場合について説明する。ここでは、線条部材12Bの第1線部121を、ベース部材14Bの幅方向一端側に保持し、線条部材12Bの第2線部122をベース部材14Bの幅方向他端側に保持する。また、線条部材12Bの中央部に屈曲部123を有した形状(配索レイアウト)で保持する。
【0103】
まず、線条部材12Bを取付けるための保持装置10Bを準備する。
【0104】
複数の保持部材211Bにおいて、最も長さの短い第1本体部214aを有した保持部材211B(以下、第1保持部材211Bという)を、複数の第1取付部200のうち、ベース部材14Bにおいて最も前端14F寄りの第1取付部200に取り付ける。第1保持部材211Bの第1突出部218は、ベース部材14Bの幅方向中央に対して幅方向一端寄りに配置される。複数の第1保持部材211Bは、ベース部材14Bの前端14Fから後端14Rに向けて第1本体部214b、第1本体部214c、第1本体部214dの順番となるように、第1取付部200にそれぞれ取付けられる。すなわち、複数の第1保持部材211Bのうち、最もベース部材14Bの後端14R寄りに配置される第1保持部材211Bの長さが最も長い。
【0105】
ベース部材14Bの厚さ方向から見た平面視において、複数の第1保持部216の各第1保持部216の位置が、線条部材12Bの配索レイアウトに沿うように配置される。
【0106】
複数の保持部材212Bにおいて、最も長さの長い第2本体部224aを有した保持部材212B(以下、第2保持部材212Bという)を、複数の第2取付部202のうち、ベース部材14Bにおいて最も前端14F寄りの第2取付部202に取り付ける。第2保持部材212Bの第2突出部228は、ベース部材14Bの幅方向中央に対して幅方向一端寄りに配置される。複数の第2保持部材212Bは、ベース部材14Bの前端14Fから後端14Rに向けて第2本体部224b、第2本体部224c、第2本体部224dの順番となるように、第2取付部202にそれぞれ取付けられる。すなわち、複数の第2保持部材212Bのうち、最もベース部材14Bの後端14R寄りに配置される第2保持部材212Bの長さが最も短い。
【0107】
ベース部材14Bの厚さ方向から見た平面視において、複数の第2保持部226の各第2保持部226の位置が、線条部材12Bの配索レイアウトに沿うように配置される。
【0108】
組付用ロボットR(図12A参照)によって、保持装置10Bに線条部材12Bを取り付ける際、複数の第1保持部材211Bと複数の第2保持部材212Bのとの間に線条部材12Bが挿入されることで、複数の第1保持部材211Bの第1突出部218と複数の第2保持部材212Bの第2突出部228とによって線条部材12Bの線条部材本体230が保持される。ベース部材14の前端14F寄りで、線条部材12Bの第1線部121が保持され、ベース部材14の後端14R寄りで、線条部材12Bの第2線部122が保持される。
【0109】
第1変形例は、以下の効果を奏する。
【0110】
線条部材12Bの配索レイアウトに応じて、形状の異なる複数の第1保持部材211B及び第2保持部材212Bの各々を適宜ベース部材14Bに取り付けることができる。これにより、線条部材12Bの配索レイアウトをより効果的に設定することができる。
【0111】
図14に示すように、第2変形例に係る保持装置10Cは、ベース部材14Cと、複数の保持部材16Cとを備える。ベース部材14Cは、線条部材12Cが取り付けられる第1取付領域F1と、電装部品Eが取り付けられる第2取付領域F2とを備える。第1取付領域F1と第2取付領域F2とは隣接する。ベース部材14Cは、第1取付領域F1と第2取付領域F2との間に壁部300を有する。壁部300は、ベース部材14Cの第1面141に設けられベース部材14Cと略直交する。
【0112】
第1取付領域F1は、複数の取付部22Cと、複数の保持部材16Cとを備える。複数の保持部材16Cの各々は、線条部材12Cの各々を収容して保持可能な収容部302を有する。各収容部302は、線条部材12Cの断面形状に対応し、且つ一部が開口した略環状である。開口を通じて収容部302に線条部材12Cが挿入されることで、線条部材12Cが保持部材16Cに保持される。線条部材12Cは、第1線条部材12C1と、第2線条部材12C2と、第3線条部材12C3とを備える。
【0113】
複数の取付部22Cの各々は取付孔である。複数の保持部材16Cは、第1線条部材12C1を保持する第1保持部材211Cと、第2線条部材12C2を保持する第2保持部材212Cと、第3線条部材12C3を保持する第3保持部材213Cとを備える。
【0114】
第1保持部材211C、第2保持部材212C及び第3保持部材213Cの各々は、ベース部材14Cの第1取付領域F1における複数の取付部22Cに着脱可能に取付けられる。
【0115】
図15に示すように、複数の保持部材16Cは、さらに壁部300に取付けられる第4保持部材214Cを備える。第4保持部材214Cは、壁部300に設けられる複数の取付部22Cに着脱可能に取付けられる。第4保持部材214Cは、壁部300から第1取付領域F1に向けて突出して配置される。第4保持部材214Cは、第1線条部材12C1を保持する第1保持部216Cと、第2線条部材12C2を保持する第2保持部226Cとを備える。第1保持部216Cと第2保持部226Cとが壁部300に沿って並列する。ベース部材14Cの厚み方向において、第1保持部216Cと第2保持部226Cとが互いに向かい合う。このため、ベース部材14Cの厚み方向から見て、第1保持部216Cと第2保持部226Cとが重なる。第1保持部216Cの収容部302に第1線条部材12C1の第2線部122が収容され保持される。第2保持部226Cの収容部302に第2線条部材12C2の第2線部122が収容され保持される(図14参照)。
【0116】
図14に示すように、第2取付領域F2には、乗物用シート100に用いられる電装部品Eが取付けられる。電装部品Eは、乗物用シート100に送風を行う送風機304である。なお、電装部品Eは、送風機304に限定されない。第2取付領域F2には、ベース部材14Cを厚さ方向に貫通する開口部306を有する(図15参照)。開口部306には、送風機304の送風ダクト308が挿入される。開口部306は、取付孔24よりも大きく形成される。送風ダクト308は、ベース部材14Cの開口部306を介して図示しない送風配管に接続される。開口部306を介して送風ダクト308を効率よく挿入させることができる。
【0117】
壁部300は、線条部材12Cが保持される第1取付領域F1と、送風機304が配置される第2取付領域F2とを分離する。
【0118】
第2変形例は、以下の効果を奏する。
【0119】
図15に示すように、ベース部材14Cに設けられた壁部300を利用し、線条部材12Cを保持するための第4保持部材214Cを取付けることができる。ベース部材14Cの厚み方向において、第1保持部216Cと第2保持部226Cが互いに向かい合うように配置されることで、保持装置10Cにおけるスペースを有効活用できる。これにより、保持装置10Cが取付けられる乗物用シート100の下部スペースを有効活用できる。さらに、ベース部材14Cの第1面141に設けられた第1保持部材211C、第2保持部材212C及び第3保持部材213Cとは異なる位置に第4保持部材214Cを配置できるため、線条部材12Cをより効果的に保持することができる。壁部300によって、線条部材12Cを効果的に保護できる。
【0120】
図16Aに示すように、第3変形例に係る保持装置10Dは、ベース部材14Dと、複数の保持部材16Dとを備える。ベース部材14Dは、複数の保持部材16Dが着脱可能に設けられるベース部400と、ベース部400の外縁部から立設した周壁部402とを備える。ベース部400の外縁部が周壁部402によって囲まれる。ベース部材14Dの上部は開口する。周壁部402の上端部は、係合突起404を有する。係合突起404は、周壁部402の上端部より突出する。周壁部402の下端部は、被係合部406を有する。被係合部406は、周壁部402の下端から窪む。複数の保持部材16Dによって、ベース部400に線条部材12Dが取付けられ保持される。
【0121】
保持装置10Dは、電装部品Eが収容される電装ユニット408と、ハーネス等の別の線条部材12Hが保持される保持ユニット410と組み合わされ乗物用シート100に取付けられる。
【0122】
電装ユニット408は、第1ハウジング4081と、第1ハウジング4081の内部に収容される電装部品Eとを備える。第1ハウジング4081は、ベース部4082と、ベース部4082の外縁部から立設した周壁部4083とを備え、保持装置10Dのベース部材14Dと同じ形状である。電装部品Eは、例えば、乗物用シート100に用いられる電装部品である。電装部品Eは、乗物用シート100に送風を行う送風機304である。なお、電装部品Eは、送風機304に限定されない。電装部品Eは、ベース部4082に固定される。
【0123】
保持ユニット410は、第2ハウジング4101と、第2ハウジング4101の内部に収容され保持される線条部材12Hとを備える。第2ハウジング4101は、ベース部4102と、ベース部4102の外縁部から立設した周壁部4103とを備え、保持装置10Dのベース部材14D及び電装ユニット408の第1ハウジング4081と同じ形状である。線条部材12Hは、例えば、乗物用シート100の電装部品Eに電気信号を供給するためのハーネスである。なお、線条部材12Hは、ハーネスに限定されない。線条部材12Hは、複数の保持部材16Dによってベース部4102に固定される。
【0124】
図16Aに示すように、保持装置10D、電装ユニット408及び保持ユニット410は、互いに上下方向に積層可能である。保持装置10Dの上部に電装ユニット408を積層し、保持装置10Dの係合突起404を電装ユニット408の被係合部406に係合する。電装ユニット408の上部に保持ユニット410を積層し、電装ユニット408の第1ハウジング4081の係合突起404を保持ユニット410の第2ハウジング4101の被係合部406に係合する。なお、保持装置10D、電装ユニット408及び保持ユニット410の積層順は、下方から上方に向けて保持装置10D、電装ユニット408及び保持ユニット410の順番に限定されない。例えば、図16Bに示すように、下方から上方に向けて、電装ユニット408、保持装置10D及び保持ユニット410の順番で積層してもよいし、図16Cに示すように、下方から上方に向けて、保持ユニット410、保持装置10D及び電装ユニット408の順番で積層してもよい。
【0125】
第3変形例は、以下の効果を奏する。
【0126】
図16Aに示すように、電装ユニット408及び保持ユニット410と共に保持装置10Dを上下方向に積層することで、レイアウトの自由度を効果的に向上させることができる。乗物用シート100に組み付ける前に、保持装置10Dを効率的に収容場所に収容できるため省スペース化が可能となる。
【0127】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0128】
(付記1)
保持装置(10、10A、10B、10C、10D)は、乗物用シート(100)に取り付けられる可撓性を有する線条部材(12、12A、12B、12C、12D)を保持する。保持装置は、ベース部材(14、14A、14B、14C、14D)と、前記ベース部材に対して着脱可能であり、前記線条部材を保持する複数の保持部材(16、16A、16B、16C、16D)と、を備え、複数の前記保持部材は、前記ベース部材に対する取り付け位置を変更可能である。
【0129】
このような構成によれば、ベース部材に対して保持部材を適宜着脱することで、乗物用シートの形状に応じて保持部材の位置を変えて線条部材を所望の形状で効果的に保持できるため汎用性に優れる。また、線条部材を保持部材に保持させた後に、保持部材をベース部に取り付けることで、線条部材の保持の作業性を向上できる。
【0130】
(付記2)
付記1に記載の保持装置において、前記ベース部材は、複数の前記保持部材を取り付けるための複数の取付孔(24)を有し、複数の前記保持部材の各々は、前記ベース部材に係合可能な係合部(40)を有してもよい。
【0131】
このような構成によれば、係合部がベース部に係合されることで、保持部材をベース部材に効果的に取り付けることができる。
【0132】
(付記3)
付記2に記載の保持装置において、前記取付孔の軸方向に対して直交する断面において、前記取付孔の断面形状及び前記取付孔に挿入される前記保持部材の断面形状がそれぞれ多角形状であってもよい。
【0133】
このような構成によれば、ベース部材に対する保持部材の回転を効果的に防止することができる。
【0134】
(付記4)
付記1に記載の保持装置において、複数の前記保持部材の各々は、前記線条部材を仮保持する仮保持部(42)を含んでもよい。
【0135】
このような構成によれば、仮保持部によって線条部材がベース部材に保持された状態で、乗物用シートに取り付けて線条部材を仮保持部から取り外すことができる。
【0136】
(付記5)
付記1に記載の保持装置において、前記ベース部材は、互いに着脱可能な複数のベース片(18、18A)を有してもよい。
【0137】
このような構成によれば、乗物用シートの形状に応じてベース部材の形状を変更することができる。
【0138】
(付記6)
付記1に記載の保持装置において、前記保持装置は、前記線条部材を備え、前記線条部材は、線条部材本体(230)と、前記線条部材本体の外周部に取り付けられ、組付用ロボット(R)が把持するための把持部(232)を備えてもよい。
【0139】
このような構成によれば、組付用ロボットが把持部を把持することで、保持装置に対する線条部材の取付けを自動化することができる。
【0140】
(付記7)
付記6に記載の保持装置において、前記ベース部材において、複数の前記保持部材によって前記線条部材が保持されたときに前記把持部に向かい合う領域(F)には、前記ベース部材14を厚み方向に貫通する孔部(234)が形成されてもよい。
【0141】
このような構成によれば、ベース部材が孔部を備えることで、把持部を把持した組付用ロボットとベース部材との接触が効果的に回避される。
【0142】
(付記8)
付記1に記載の保持装置において、複数の前記保持部材の各々は、複数の保持部(34)を有し、複数の前記保持部は、前記線条部材に係合可能であり前記ベース部材から突出した複数の突出部(218、228)をそれぞれ有し、複数の前記突出部の前記ベース部材からの突出方向は同じでもよい。
【0143】
このような構成によれば、突出部によって線条部材の移動を効果的に抑制できる。
【0144】
(付記9)
付記8に記載の保持装置において、複数の前記突出部のうち、複数の前記保持部材によって前記線条部材が保持されたときに前記線条部材を間にして互いに反対側に位置する突出部同士の、前記線条部材に直交する方向の間隔(C)は、前記線条部材の直径(D)よりも小さくてもよい。
【0145】
このような構成によれば、突出部の間から線条部材が脱抜することが抑制され、線条部材の移動を効果的に抑制できる。
【0146】
(付記10)
付記1に記載の保持装置において、前記保持装置は、前記乗物用シートのシートクッション(102)に設けられたパンフレーム(118)に取り付けられ、前記パンフレームの厚み方向から見て、前記保持装置は、前記パンフレームに装着されたエアバッグ(AB)と重ならない位置に配置されてもよい。
【0147】
このような構成によれば、エアバッグが作動して展開したとき、エアバッグと保持装置との接触が効果的に抑制される。
【0148】
なお、本開示は、上述した開示に限らず、本開示の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0149】
10、10A、10B、10C、10D…保持装置
12、12A、12B、12C、12D、12H…線条部材
14、14A、14B、14C、14D…ベース部材
16、16A、16B、16C、16D…保持部材
100…乗物用シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16