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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010989
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】破袋装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20250116BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
B65B69/00 101
B26F3/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113343
(22)【出願日】2023-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂之井 遼太
(72)【発明者】
【氏名】三村 健志朗
(72)【発明者】
【氏名】木戸 順規
(72)【発明者】
【氏名】横谷 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅司
【テーマコード(参考)】
3C060
3E058
【Fターム(参考)】
3C060AA04
3C060CA07
3C060CE07
3C060CE14
3C060CE30
3E058AA04
3E058BA20
3E058CA10
3E058DA01
3E058EA01
3E058GA02
(57)【要約】
【課題】袋の内容物へのダメージを抑えながら袋を破ることを安定的に行うことが可能な破袋装置を得る。
【解決手段】コンプレッサ52が空気を圧縮する。コンプレッサ52から供給された圧縮空気の圧力をレギュレータ56が調整する。ここで、コントローラ48の圧力制御部48Aは、圧縮空気の圧力が目標圧力になるようにレギュレータ56を制御する。また、温度調整部46は、コイル45への通電によって発熱し、コンプレッサ52からレギュレータ56等を介して供給された圧縮空気の温度を調整する。ここで、コントローラ48の温度制御部48Bは、圧縮空気の温度が目標温度になるように温度調整部46を制御する。レギュレータ56によって圧力が調整されかつ温度調整部46によって温度が調整された圧縮空気はノズル部44から破袋対象物100に対して噴射される(矢印A参照)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサから供給された圧縮空気の圧力を調整する圧力調整部と、
圧縮空気の圧力が目標圧力になるように前記圧力調整部を制御する圧力制御部と、
通電により発熱するように構成され、前記コンプレッサから供給された圧縮空気の温度を調整する温度調整部と、
圧縮空気の温度が目標温度になるように前記温度調整部を制御する温度制御部と、
前記圧力調整部によって圧力が調整されかつ前記温度調整部によって温度が調整された圧縮空気を破袋対象物に対して噴射する噴射部と、
を有する破袋装置。
【請求項2】
前記噴射部の噴射口と前記破袋対象物の加工点との距離を調整する距離調整機構を有する請求項1に記載の破袋装置。
【請求項3】
前記破袋対象物を搬送するコンベアと、
前記距離調整機構の一部を構成して前記噴射部と一体的に上下動可能に設けられ、前記コンベアに載せられて搬送される前記破袋対象物の上面を回転しながら当該上面の形状に追従して変位するように配置されたローラと、
を有する請求項2に記載の破袋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破袋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、容器包装分離装置が開示されている。簡単に説明すると、この装置では、ごみの入った袋に向かって高温流体を噴射することで袋を溶断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-7663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この先行技術では、袋の内容物へのダメージを抑えながら袋を破ることを安定的に行うという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、袋の内容物へのダメージを抑えながら袋を破ることを安定的に行うことが可能な破袋装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る破袋装置は、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサから供給された圧縮空気の圧力を調整する圧力調整部と、圧縮空気の圧力が目標圧力になるように前記圧力調整部を制御する圧力制御部と、通電により発熱するように構成され、前記コンプレッサから供給された圧縮空気の温度を調整する温度調整部と、圧縮空気の温度が目標温度になるように前記温度調整部を制御する温度制御部と、前記圧力調整部によって圧力が調整されかつ前記温度調整部によって温度が調整された圧縮空気を破袋対象物に対して噴射する噴射部と、を有する。
【0007】
第1の態様に係る破袋装置によれば、コンプレッサが空気を圧縮する。コンプレッサから供給された圧縮空気の圧力を圧力調整部が調整し、圧力制御部は、圧縮空気の圧力が目標圧力になるように圧力調整部を制御する。また、温度調整部は、通電により発熱するように構成され、コンプレッサから供給された圧縮空気の温度を調整し、温度制御部は、圧縮空気の温度が目標温度になるように温度調整部を制御する。そして、圧力調整部によって圧力が調整されかつ温度調整部によって温度が調整された圧縮空気を噴射部が破袋対象物に対して噴射する。このため、破袋対象物の内容物へのダメージを抑えつつ破袋対象物を破れるような速度及び温度の圧縮空気を破袋対象物に対して噴射することが可能になる。
【0008】
第2の態様に係る破袋装置は、第1の態様に係る破袋装置において、前記噴射部の噴射口と前記破袋対象物の加工点との距離を調整する距離調整機構を有する。
【0009】
第2の態様に係る破袋装置によれば、噴射部の噴射口と破袋対象物の加工点との距離が距離調整機構によって調整される。このため、破袋対象物に到達する時点の圧縮空気の速度及び温度のばらつきを抑えることが可能になる。
【0010】
第3の態様に係る破袋装置は、第2の態様に係る破袋装置において、前記破袋対象物を搬送するコンベアと、前記距離調整機構の一部を構成して前記噴射部と一体的に上下動可能に設けられ、前記コンベアに載せられて搬送される前記破袋対象物の上面を回転しながら当該上面の形状に追従して変位するように配置されたローラと、を有する。
【0011】
第3の態様に係る破袋装置によれば、破袋対象物はコンベアによって搬送される。噴射部と一体的に上下動可能に設けられたローラは、コンベアに載せられて搬送される破袋対象物の上面を回転しながら当該上面の形状に追従して変位するように配置されている。このため、搬送によって破袋対象物の位置が変わっても、噴射部の噴射口と破袋対象物の加工点との距離のばらつきが抑えられる。よって、破袋対象物をコンベアに載せるだけで、破袋対象物に対して適切な位置から噴射部が圧縮空気を噴射することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、袋の内容物へのダメージを抑えながら袋を破ることを安定的に行うことが可能になるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る破袋装置を示す斜視図である。
図2図1の破袋装置を装置側方側から見た状態で示す側面図である。
図3】ヒートガンの基本構成を簡略化して示す概略構成図である。
図4】ヒートガン本体及び距離調整機構の一部を簡略化して示す概略構成図である。
図5】或る破袋対象物に対してヒートガンから所定の速度で圧縮空気を噴射する場合に所望の効果を得られる範囲を説明するためのグラフである。
図6】第2の実施形態に係る破袋装置のヒートガン本体及び距離調整機構の一部を簡略化して示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る破袋装置について図1図5を用いて説明する。図1には、本実施形態に係る破袋装置10が斜視図で示され、図2には、破袋装置10が側面図で示されている。
【0015】
図1及び図2に示される破袋装置10は、廃棄物の中間処理場に配置される。なお、廃棄物の中間処理場には、事業者等が排出した廃棄物が袋(例えばガラ袋、土嚢袋等)に入った状態で持ち込まれる。また、廃棄物の中間処理場では、廃棄物が入った袋を破って袋の内容物(中身)の廃棄物を取り出す作業がなされ、取り出された廃棄物は、最終処理施設(リサイクル業者の施設又は焼却・埋立場)に運ばれる。以下の説明においては、廃棄物が入った袋を破袋対象物100という。
【0016】
図1に示されるように、破袋装置10は、破袋対象物100を搬送するコンベア12を有する。コンベア12は、一例として、駆動ローラ14、従動ローラ15及び無端ベルト16を含んで構成されたローラコンベアとされている。駆動ローラ14の軸部にはモータ18が接続されている。モータ18は、駆動ローラ14を回転させることで無端ベルト16を回転させる。図中では、コンベア12の搬送方向を矢印Xで示す。
【0017】
破袋装置10は、装置フレーム20を有する。装置フレーム20は、コンベア12に対して搬送方向中間部の下方側に設けられる下側フレーム22と、コンベア12の一方の側方側に設けられるサイドフレーム24と、を備える。サイドフレーム24の下部は、下側フレーム22に固定されている。サイドフレーム24は、コンベア12の搬送方向に沿って並ぶ第一柱部材24A及び第二柱部材24Bと、第一柱部材24Aの上部と第二柱部材24Bの上部とを連結する連結部材24Cと、複数の補強部材24Dと、を含んで構成されている。第一柱部材24Aは、第二柱部材24Bよりも、コンベア12の搬送方向上流側に配置されている。
【0018】
また、第一柱部材24Aの上部には、コンベア12の上方側に配置される第一水平部材26Aが固定され、第二柱部材24Bの上部には、コンベア12の上方側に配置される第二水平部材26Bが固定されている。第一水平部材26A及び第二水平部材26Bは、いずれもコンベア12の搬送幅方向に沿って延在されている。
【0019】
第一水平部材26Aには、コンベア12の搬送幅方向と平行な方向に並ぶ一対の取付ブラケット28を介して、回動アーム30の基端部が取り付けられている。回動アーム30は、コンベア12の搬送幅方向と平行な方向の軸線回りに回動可能(図2の矢印R参照)に一対の取付ブラケット28に取り付けられている。
【0020】
回動アーム30の先端部には、コンベア12の搬送幅方向と平行な方向に並ぶ一対の取付ブラケット32を介して、ヒートガン40の本体を構成するヒートガン本体40Hが固定されている。ヒートガン本体40Hは、破袋対象物100に対して圧縮空気を噴射するように配置される。
【0021】
図3には、ヒートガン40の基本構成が簡略化されて示されている。図3に示されるように、ヒートガン40におけるヒートガン本体40Hは、筒状部42と、筒状部42の中に大部分が配置されると共に先端部が筒状部42の先端から突出した金属製の噴射部としてのノズル部44と、筒状部42の中でノズル部44の外周に巻かれたコイル(誘導加熱コイル」ともいう)45と、を備える。なお、図3では、ヒートガン本体40Hの構成を分かり易く示すために、筒状部42の一部を切り欠いて筒状部42の内部を図示している。ノズル部44の先端部には噴射口44Aが形成されている。噴射口44Aからの噴射方向は、直線状のノズル部44の噴射口44A側からの延長方向に沿って設定されている(矢印A参照)。
【0022】
本実施形態では、コイル45とノズル部44とを含んで温度調整部46が構成されている。コイル45には、コントローラ48が接続され、コントローラ48には、交流電源PSが接続されている。交流電源PSは、コントローラ48へ電力を供給するようになっている。コントローラ48は、図2に示される下側フレーム22に支持板23(図1参照)を介して支持されている。コントローラ48は、入力画面48Sを備え、ユーザが破袋対象物100に応じた所定情報(例えば、後述する圧縮空気の圧力値、電圧値の情報等)を任意に入力することができるようになっている。コントローラ48は、ユーザの操作に応じて、ユーザが入力した電圧値の交流電圧を図3に示されるコイル45へ印加するように構成されている。温度調整部46は、電磁誘導を利用した加熱が可能な構成部であり、コイル45への通電により発熱するように構成されている。
【0023】
また、ノズル部44には、圧縮空気供給部50が接続されている。圧縮空気供給部50は、空気を圧縮するコンプレッサ52と、コンプレッサ52とノズル部44とを接続するための配管54と、配管54の途中に設けられてコンプレッサ52から供給された圧縮空気の圧力を調整する圧力調整部としてのレギュレータ56と、を備えている。なお、配管54の一部は、回動アーム30(図1参照)の中を通っている。レギュレータ56は、コントローラ48に接続されている。
【0024】
コントローラ48は、ユーザが入力した圧縮空気の圧力値をレギュレータ56に出力し、レギュレータ56によって、コンプレッサ52から供給された圧縮空気が前記圧力値に調整されてノズル部44に供給されるようにしている。また、前述した温度調整部46は、コンプレッサ52からレギュレータ56等を介してノズル部44に供給された圧縮空気の温度を調整することが可能になっており、温度調整部46による温度調整は、コントローラ48によって制御される。
【0025】
すなわち、コントローラ48は、機能構成として、圧縮空気の圧力が目標圧力(ユーザによって入力された圧縮空気の圧力値)になるようにレギュレータ56を制御する圧力制御部48Aと、圧縮空気の温度が目標温度(ユーザによって入力された電圧値に対応する温度)になるように温度調整部46を制御する温度制御部48Bと、を備える。また、前述したノズル部44は、レギュレータ56によって圧力が調整されかつ温度調整部46によって温度が調整された圧縮空気を破袋対象物100に対して噴射するように構成されている。
【0026】
図2に示されるように、破袋装置10は、ヒートガン本体40Hの位置を調整するために、距離調整機構60を有する。図4には、ヒートガン本体40H及び距離調整機構60の一部が簡略化された概略構成図で示されている。図4に示される距離調整機構60は、ヒートガン本体40Hのノズル部44の噴射口44Aと破袋対象物100の加工点100Xとの距離Lを調整する機構である。なお、破袋対象物100の加工点100Xは、破袋対象物100の一部であってノズル部44からの圧縮空気の噴射によって破ろうとする箇所である。
【0027】
距離調整機構60は、回動アーム30を含んで構成され、回動アーム30の先端側にローラブラケット61を介して取り付けられたローラ62を備えている。ローラ62は、回動アーム30の先端部下方側に位置するように設けられ、回動アーム30との相対位置を保つ状態で配置され、コンベア12(図2参照)の搬送幅方向と平行な方向の軸線回りに回転可能とされている。すなわち、ローラ62は、ヒートガン本体40Hのノズル部44と一体的に上下動可能に設けられ、コンベア12(図2参照)に載せられて搬送される破袋対象物100の上面100Aを回転しながら当該上面100Aの形状に追従して変位するように配置されている。
【0028】
図1に示されるように、ローラ62に対して、コンベア12の搬送方向上流側には、破袋対象物100の上面100Aの凹凸を均すための均し部34が設けられている。均し部34は、スカート部と称することもできる要素であり、回動アーム30の下端辺部に取り付けられ、回動アーム30の長手方向に沿った方向に見て、一例として略横U字状に形成されている。均し部34における回動アーム30からの突出量は、回動アーム30の先端側へ向かうに従って大きくなっている。均し部34が設けられることによって、例えば、破袋対象物100の上面100Aの一部が大きく盛り上がっている場合(図示省略)等に、コンベア12に搬送される破袋対象物100の位置が変わったときのローラ62の上下動が抑えられるようになっており、更に、ヒートガン40から圧縮空気を受ける破袋対象物100の加工点の上下方向位置が急激に変化するのを抑えることが可能になっている。
【0029】
また、ローラ62に対して、コンベア12の搬送方向下流側には、破られた破袋対象物100の中身を滑らかに通過させるための小ローラ36が設けられている。小ローラ36は、取付ブラケット32にローラブラケット35を介して取り付けられ、コンベア12の搬送幅方向と平行な方向の軸線回りに回転可能とされている。この小ローラ36は、ローラ62よりも小径とされ、破られた破袋対象物100の中身の上面位置が高い場合に当該上面に接するようになっている。
【0030】
一方、回動アーム30の先端部は、その上方側に配置されたバランサ38に接続されている。バランサ38は、取付部材29を介して第二水平部材26Bに固定され、回動アーム30が低荷重で回動するように回動アーム30を補助している。バランサ38は、取付部材29に固定される本体部38Aと、本体部38Aから垂れ下がる垂下部38Bと、を備えている。垂下部38Bの下端部は回動アーム30の先端部に取り付けられている。また、本体部38A内には、垂下部38Bの一部を構成するワイヤ38Wを常時巻取方向に付勢するワイヤ巻取器(図示省略)が設けられている。なお、バランサ38には公知構成のものを適用することができる。
【0031】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0032】
本実施形態では、図3に示されるコンプレッサ52が空気を圧縮する。コンプレッサ52から供給された圧縮空気の圧力をレギュレータ56が調整する。ここで、コントローラ48の圧力制御部48Aは、圧縮空気の圧力が目標圧力(ユーザがコントローラ48に入力した圧縮空気の圧力値)になるようにレギュレータ56を制御する。また、温度調整部46は、コイル45への通電によって発熱し、コンプレッサ52からレギュレータ56等を介して供給された圧縮空気の温度を調整する。ここで、コントローラ48の温度制御部48Bは、圧縮空気の温度が目標温度(ユーザがコントローラ48に入力した電圧値に対応する温度)になるように温度調整部46を制御する。
【0033】
レギュレータ56によって圧力が調整されかつ温度調整部46によって温度が調整された圧縮空気はノズル部44から破袋対象物100に対して噴射される(矢印A参照)。このため、破袋対象物100の内容物へのダメージを抑えつつ破袋対象物100を破れるような速度及び温度の圧縮空気を破袋対象物100に対して噴射することが可能になる。なお、破袋対象物100が例えばビニール袋のように破れやすいものの場合には、圧縮空気の圧力を高くすれば(言い換えると圧縮空気を高速で噴射すれば)圧縮空気の温度は比較的低くても袋を破ることが可能である。圧縮空気の温度が比較的低い場合は、安全性及び作業性の点で有利になる。
【0034】
また、本実施形態では、図4に示されるように、ヒートガン本体40Hのノズル部44の噴射口44Aと破袋対象物100の加工点100Xとの距離Lが距離調整機構60によって調整される。このため、破袋対象物100に到達する時点の圧縮空気の速度及び温度のばらつきを抑えることが可能になる。
【0035】
さらに、本実施形態では、破袋対象物100はコンベア12(図1等参照)によって搬送される。距離調整機構60の一部を構成してノズル部44と一体的に上下動可能に設けられたローラ62は、コンベア12(図1等参照)に載せられて搬送される破袋対象物100の上面100Aを回転しながら当該上面100Aの形状に追従して変位するように配置されている。このため、搬送によって破袋対象物100の位置が変わっても、ノズル部44の噴射口44Aと破袋対象物100の加工点100Xとの距離Lのばらつきが抑えられる。よって、破袋対象物100をコンベア12(図1等参照)に載せるだけで、破袋対象物100に対して適切な位置からヒートガン40が圧縮空気を噴射することが可能になる。これにより、破袋対象物100を破るための作業時間を従来と比べて短縮することができる。なお、図1において、符号Bは、破袋対象物100においてヒートガン40から噴射された圧縮空気で破られた部分の一例を簡略化して示したものである。
【0036】
ここで、ヒートガン40から噴射する圧縮空気の温度設定と、図4に示されるヒートガン本体40Hのノズル部44の噴射口44Aと破袋対象物100の加工点100Xとの距離Lと、ヒートガン40からの圧縮空気の噴射による効果との関係の一例について、図5を参照しながら、補足説明する。図5は、或る破袋対象物に対してヒートガン40から所定の速度で圧縮空気を噴射する場合に所望の効果を得られる範囲を説明するためのグラフである。横軸は、噴射する圧縮空気の設定温度を示し、縦軸は、ヒートガン本体40Hの噴射口44Aと破袋対象物100の加工点100Xとの距離Lを示す。
【0037】
図5において、破袋対象物の中の内容物に所定以上のダメージを与えないでかつ破袋対象物100を破ることができるのは、帯状の領域Mに限られる。図5において、帯状の領域Mに対して上側の領域では、破袋対象物を破ることができず、矢印Z1方向へ行くほど破袋対象物への作用が小さい。また、図5において、帯状の領域Mに対して下側の領域では、破袋対象物を破ることができるが破袋対象物の中の内容物に所定以上のダメージを与えてしまい、矢印Z2方向へ行くほど破袋対象物の中の内容物へのダメージが大きい。このため、図4に示されるヒートガン本体40Hのノズル部44の噴射口44Aと破袋対象物100の加工点100Xとの距離Lの調整と、ヒートガン40から噴射する圧縮空気の温度制御は、良好に行う必要があるが、本実施形態では、それらを良好に行うことが可能になっている。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、袋の内容物へのダメージを抑えながら袋を破ることを安定的に行うことが可能になる。
【0039】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る破袋装置70について、図6を用いて説明する。図6には、第2の実施形態に係る破袋装置70のヒートガン本体72H(ヒートガン72の本体)及び距離調整機構60の一部が簡略化された概略構成図で示されている。図6に示されるように、第2の実施形態に係る破袋装置70は、第1の実施形態のノズル部44(図3及び図4参照)に代えて、噴射部としてのノズル部74を備える点で、第1の実施形態に係る破袋装置10(図1図4参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態と同様の構成となっている。よって、第2の実施形態において第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
ヒートガン本体72Hのノズル部74は、破袋対象物100に対して圧縮空気を噴射するものであり、圧縮空気の噴射口として、コンベア12の搬送方向上流側の斜め下方側を向く第一噴射口74Aと、コンベア12の搬送方向下流側の斜め下方側を向く第二噴射口74Bと、を備える。ノズル部74は、先端側の部分の構成を除いて、第1の実施形態のノズル部44(図3及び図4参照)と実質的に同様の構成になっている。なお、コンベア12の搬送幅方向から見て、第一噴射口74Aからの噴射方向は、ヒートガン本体72Hの長手方向と同じ方向に沿っており、第一噴射口74Aからの噴射方向と、第二噴射口74Bからの噴射方向とのなす角度は、一例として、90°に設定されている。
【0041】
第2の実施形態に係る破袋装置70によれば、ノズル部74は、第一噴射口74Aからコンベア12の搬送方向上流側の斜め下方側へ圧縮空気を噴射し(二点鎖線の矢印A1参照)、第二噴射口74Bからコンベア12の搬送方向下流側の斜め下方側へ圧縮空気を噴射する(二点鎖線の矢印A2参照)。このため、例えば、破袋対象物100をコンベア12に間隔をおいて載せれば、破袋対象物100の上面100Aをノズル部74から噴射される圧縮空気によって破ることができるだけでなく、ローラ62が破袋対象物100の上面100Aの搬送方向下流側から落ちることによって、破袋対象物100における搬送方向下流側の側面(後面)100Bを第二噴射口74Bから噴射される圧縮空気によって破ることができる。
【0042】
[実施形態の補足説明]
なお、図1図6に示される上記第1、第2の実施形態の破袋装置10、70は、破袋対象物100を搬送するコンベア12を有しており、このような構成が好ましいが、破袋装置がコンベアを有さないような構成も採り得る。
【0043】
また、上記第1、第2の実施形態の破袋装置10、70は、距離調整機構60を有しており、このような構成が好ましいが、破袋装置が距離調整機構を有さないような構成も採り得る。
【0044】
また、上記第1、第2の実施形態の破袋装置10、70では、距離調整機構60がローラ62を含んで構成されているが、変形例として、例えば、破袋対象物の加工点の位置を検出する検出部が設けられると共に、距離調整機構は、ローラを備えずにノズル部(噴射部)の噴射口の位置を調整可能な機構を備え、前記検出部の検出結果に基づいてノズル部(噴射部)の噴射口と破袋対象物の加工点との距離を調整する、という構成も採り得る。
【0045】
また、上記第1、第2の実施形態の破袋装置10、70では、温度調整部46がコイル45を備えた構成となっているが、上記実施形態の変形例として、温度調整部は、例えば、コイルを備えないで通電により発熱するセラミックヒータを備えた構成等のように、コイルを備えずに通電により発熱するように構成されたものでもよい。
【0046】
また、上記第1、第2の実施形態の破袋装置10、70では、コントローラ48の入力画面48Sに圧縮空気の圧力値、電圧値の情報等を入力できるようになっているが、例えば、電圧値の情報に代えて電流値の情報を入力できるようにし、温度制御部(48B)は、圧縮空気の温度が、ユーザによって入力された電流値に対応する温度(目標温度)になるように温度調整部(46)を制御する、という構成も採り得る。
【0047】
なお、上記第1、第2の実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0048】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10 破袋装置
12 コンベア
44 ノズル部(噴射部)
44A 噴射口
46 温度調整部
48A 圧力制御部
48B 温度制御部
52 コンプレッサ
56 レギュレータ(圧力調整部)
60 距離調整機構
62 ローラ
70 破袋装置
74 ノズル部(噴射部)
74A 第一噴射口(噴射口)
74B 第二噴射口(噴射口)
100 破袋対象物
100A 破袋対象物の上面
100X 加工点
L ノズル部の噴射口と破袋対象物の加工点との距離(噴射部の噴射口と破袋対象物の加工点との距離)
図1
図2
図3
図4
図5
図6