(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011020
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】観察システム、及び発光方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20250116BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20250116BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
A61B1/045 640
A61B1/045 622
A61B1/00 511
A61B1/045 618
A61B1/06 611
A61B1/06 613
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024070040
(22)【出願日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2023113310
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024032445
(32)【優先日】2024-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】萬 修太郎
(72)【発明者】
【氏名】田面木 貞之
(72)【発明者】
【氏名】後田 公
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF02
4C161JJ18
4C161LL01
4C161LL08
4C161NN01
4C161QQ02
4C161QQ04
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR03
4C161RR04
4C161WW02
4C161WW13
4C161WW17
4C161WW18
(57)【要約】
【課題】画像観察用照明装置で用いられる照明光と、オープンフィールド用照明装置で用いられる照明光が誤って選択されることが抑制される観察システム、及び発光方法が提供される。
【解決手段】本開示の一態様は、異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、制御装置は、照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部とを有し、制御部は、取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、第2ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が有効化されている、観察システムに関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、
前記制御装置は、
前記照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、
前記取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、前記照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、
前記第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記所定の発光に対応する機能が有効化されている、
観察システム。
【請求項2】
前記所定の発光とは、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光である、請求項1に記載の観察システム。
【請求項3】
前記所定の発光とは、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ65Hz未満の周波数で時間的に切り替える発光である、請求項1に記載の観察システム。
【請求項4】
前記所定の発光とは、少なくとも第1状態、及び前記第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、前記第2状態は7.7msより長い期間維持される、請求項1に記載の観察システム。
【請求項5】
前記無効化するソフトウェアキーと前記有効化するソフトウェアキーとは、前記表示部に表示する表示態様が異なる、請求項1に記載の観察システム。
【請求項6】
前記第1ソフトウェアキー、及び前記第2ソフトウェアキーは、明るさの制御に関連するソフトウェアキーであり、明るさの目標値が関連付けられている、請求項1に記載の観察システム。
【請求項7】
前記第1ソフトウェアキーで選択可能な明るさの範囲より、前記第2ソフトウェアキーで選択可能な明るさの範囲の方が広い、請求項6に記載の観察システム。
【請求項8】
記第1ソフトウェアキーと、前記第2ソフトウェアキーとでは、ユーザが選択可能な明るさの目標値の範囲が変わる、請求項7に記載の観察システム。
【請求項9】
前記第1ソフトウェアキー、及び前記第2ソフトウェアキーは、観察モードの選択機能が関連付けられている、請求項1に記載の観察システム。
【請求項10】
前記第1ソフトウェアキー、及び前記第2ソフトウェアキーは、蛍光波長又は励起波長の選択機能が関連付けられている、請求項1に記載の観察システム。
【請求項11】
前記第1ソフトウェアキーは、可視光の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記可視光の発光に対応する機能が有効化されている、請求項10に記載の観察システム。
【請求項12】
前記取得部は、前記光源装置に接続される導光部のタイプを前記照射環境情報として取得し、第1タイプの導光部を介して前記光源装置に接続される場合を、オープンフィールドを含むと判定し、
前記第1タイプと異なる第2タイプの導光部を介して前記光源装置に接続される場合を、前記オープンフィールドを含まないと判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項13】
前記取得部は、被写体からの光を撮像する撮像装置から出力される撮像画像を前記照射環境情報として取得しており、前記撮像画像に基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項14】
前記取得部は、前記撮像画像のカテゴリを認識する認識機能を有し、
前記取得部は、前記カテゴリに基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、請求項13に記載の観察システム。
【請求項15】
撮像装置に取り付けられた状態の画像観察用照明装置は、前記撮像装置に取り付けられた状態のオープンフィールド用照明装置とは異なる形態で被写体からの光の一部を遮光しつつ、当該光を前記撮像装置によって受光させ、
前記取得部は、前記撮像装置から出力される撮像画像に含まれる遮光部分の情報を前記照射環境情報として取得し、前記遮光部分の情報に基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項16】
前記取得部は、トロッカーを画像観察用照明装置の少なくとも一部が通過したか否かの情報を前記照射環境情報として取得しており、前記通過したか否かの情報に基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項17】
前記制御装置の起動時には、前記第1ソフトウェアキーを表示部に表示させる、請求項1に記載の観察システム。
【請求項18】
画像観察用照明装置及びオープンフィールド用照明装置に接続可能な前記光源装置と、
前記画像観察用照明装置及び前記オープンフィールド用照明装置に接続可能な撮像装置と、を更に備える、請求項1に記載の観察システム。
【請求項19】
前記制御装置は、
前記制御装置に接続される撮像装置が、白色光を受光する第1撮像素子と、励起光により発生する蛍光を受光する第2撮像素子と、を有する場合には、前記光源装置を、励起光と白色光とを所定の間隔で周期的に発光させ、白色光のうちの少なくとも一部の波長帯の光を前記励起光の発光期間においても発光させる制御を実行する蛍光撮影モードを有する、請求項1に記載の観察システム。
【請求項20】
異なる照射環境へ照射する照射光の発光方法であって、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報が含まれる情報信号を取得する取得工程と、
前記照射環境情報がオープンフィールドを含むか否かを前記情報信号により判定する判定工程と、
前記照射環境情報が前記オープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に制御信号により表示させ、前記照射環境情報が前記オープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に前記制御信号により表示させる表示工程と、を備え、
前記第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記所定の発光に対応する機能が有効化されている、
発光方法。
【請求項21】
異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、
前記制御装置は、
前記照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、
前記取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、前記照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、
前記第1ソフトウェアキーは、少なくとも第1状態、及び前記第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返させる機能に対応しており、前記第2状態が7.7msより長い期間を有する発光となる制限を有し、
前記第2ソフトウェアキーは、前記制限を有さない、
観察システム。
【請求項22】
前記所定の発光とは、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光である、請求項1に記載の観察システム。
【請求項23】
前記所定の発光とは、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ所定値であるXHz未満の周波数で時間的に切り替える発光であり、
前記XHzは、使用する地域に基づき定め得る周波数である、請求項1に記載の観察システム。
【請求項24】
前記所定の発光とは、少なくとも第1状態、及び前記第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、前記第2状態はYmsより長い期間維持され、
前記Ymsは、500を前記XHzで除算した値である、請求項23に記載の観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観察システム、及び発光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬性鏡などの内視鏡を介した光学像を撮像素子で撮像する際に電荷を蓄える時間を短縮化し、画像信号の転送レートをあげることが一般に知られている。このために、光源装置から内視鏡に供給される照明光には点滅光が用いられる場合がある。また、照明光に点滅光が用いられる場合に、点滅光が術者等の目に入る状況では、ちらつきを感じない周波数域に切り替えることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、硬性鏡などの画像観察用照明装置に用いられる光源装置は、他の医療用観察装置に対しても接続可能に設けられることがある。例えば開腹手術を行う際に、リングライトなどの医療用照明装置に光源装置が接続されることがある。この場合、画像観察用照明装置と医療用照明装置とで、光源装置の発光制御に共通のユーザインターフェースが使用されることがある。
【0005】
また、その用途の相違から、光源装置を画像観察用照明装置に接続する場合と、医療用照明装置に接続する場合とで、照明光の特性を変更する場合がある。しかしながら、光源装置は、画像観察用照明装置と、医療用照明装置との双方に接続可能であるため、選択する照明光がユーザインターフェース上で誤って選択されてしまう恐れがある。
【0006】
本開示では、画像観察用照明装置で用いられる照明光と、医療用照明装置で用いられる照明光が誤って選択されることが抑制される観察システム、及び発光方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、制御装置は、照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、制御部は、取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、第2ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が有効化されている、観察システムに関する。
【0008】
所定の発光とは、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光であってもよい。
【0009】
所定の発光とは、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ65Hz未満の周波数で時間的に切り替える発光であってもよい。
【0010】
所定の発光とは、少なくとも第1状態、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、第2状態は7.7msより長い期間であってもよい。
【0011】
無効化するソフトウェアキーと有効化するソフトウェアキーとは、表示部に表示する表示態様が異なってもよい。
【0012】
第1ソフトウェアキー、及び第2ソフトウェアキーは、明るさの制御に関連するソフトウェアキーであり、明るさの目標値が関連付けられていてもよい。
【0013】
第1ソフトウェアキーで選択可能な明るさの範囲より、第2ソフトウェアキーで選択可能な明るさの範囲が広くてもよい。
【0014】
第1ソフトウェアキーと、第2ソフトウェアキーとでは、ユーザが選択可能な明るさの目標値の範囲が変わってもよい。
【0015】
第1ソフトウェアキー、及び第2ソフトウェアキーは、観察モードの選択機能が関連付けられていてもよい。
【0016】
第1ソフトウェアキー、及び第2ソフトウェアキーは、蛍光波長or励起波長の選択機能であってもよい。
【0017】
第1ソフトウェアキーは、可視光の発光に対応する機能が無効化されており、第2ソフトウェアキーは、可視光の発光に対応する機能が有効化されていてもよい。
【0018】
取得部は、光源装置に接続される導光部のタイプを照射環境情報として取得しており、第1タイプの導光部を介して光源装置に接続される場合を、オープンフィールドを含むと判定し、
第1タイプと異なる第2タイプの導光部を介して光源装置に接続される場合を、オープンフィールドを含まないと判定してもよい。
【0019】
取得部は、被写体からの光を撮像する撮像装置から出力される撮像画像を照射環境情報として取得しており、撮像画像に基づき、オープンフィールドを含むか、否かを判定してもよい。
【0020】
取得部は、撮像画像のカテゴリを認識する認識機能を有し、
取得部は、カテゴリに基づき、オープンフィールドを含むか、否かを判定してもよい。
【0021】
撮像装置に取り付けられた状態の画像観察用照明装置は、撮像装置に取り付けられた状態のオープンフィールド用照明装置とは異なる形態で被写体からの光の一部を遮光しつつ、当該光を撮像装置によって受光させ、取得部は、撮像装置から出力される撮像画像中の遮光部分の情報を照射環境情報として取得しており、遮光部分の情報に基づき、オープンフィールドを含むか、否かを判定してもよい。
【0022】
取得部は、トロッカーを画像観察用照明装置が通過したか否かの情報を照射環境情報として取得しており、通過したか否かの情報に基づき、オープンフィールドを含むか、否かを判定してもよい。
【0023】
制御装置の起動時には、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させてもよい。
【0024】
画像観察用照明装置及びオープンフィールド用照明装置に接続可能な光源装置と、画像観察用照明装置及びオープンフィールド用照明装置に接続可能な撮像装置と、を更に備えてもよい。
【0025】
制御装置は、制御装置に接続される撮像装置が、白色光を受光する第1撮像素子と、励起光により発生する蛍光を受光する第2撮像素子と、を有する場合には、光源装置を、励起光と白色光とを所定の間隔で周期的に発光させ、白色光のうちの少なくとも一部の波長帯の光を励起光の発光期間においても発光させる制御を実行するモードを有してもよい。
【0026】
所定の発光とは、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光であってもよい。
【0027】
所定の発光とは、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ所定値であるXHz未満の周波数で時間的に切り替える発光であり、
XHzは、使用する地域に基づき定め得る周波数であってもよい。
【0028】
所定の発光とは、少なくとも第1状態、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、第2状態はYmsより長い期間維持され、
Ymsは、500をXHzで除算した値であってもよい。
【0029】
本開示の他の態様は、異なる照射環境へ照射する照射光の発光方法であって、照射光の照射の環境に関する照射環境情報が含まれる情報信号を取得する取得工程と、照射環境情報がオープンフィールドを含むか否かを情報信号により判定する判定工程と、照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に制御信号により表示させ、照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に制御信号により表示させる表示工程と、を備え、第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、第2ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が有効化されている、発光方法に関する。
【0030】
本開示の他の態様は、異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、制御装置は、照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、制御部は、取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、第1ソフトウェアキーは、少なくとも第1状態、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返させる機能に対応しており、第2状態が7.7msより長い期間を有する発光となる制限を有し、第2ソフトウェアキーは、制限を有さない、観察システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】医療用観察システムの一例を示す図であり、特に硬性鏡(内視鏡)を具備する内視鏡装置として医療用観察システムが構成される場合を示す図。
【
図2】内視鏡装置として構成される医療用観察システムの使用例(特に硬性鏡からの発光例)を示す概念図。
【
図3】光源装置にリングライト(医療用照明装置)が接続される術野照明観察装置として構成される医療用観察システムの使用例(特にリングライトからの発光例)を示す概念図。
【
図4】硬性鏡を具備する医療用観察システム(内視鏡装置)の機能構成例を示すブロック図。
【
図5】リングライトを具備する医療用観察システム(術野照明観察装置)の機能構成例を示すブロック図。
【
図7】リングライト用のソフトウェアキーの例を示す図。
【
図8】発光の目標光量が最大の場合から最小の場合にわたる発光調整例を示す図。
【
図9】第1の発光調整例のPWM制御を説明する図。
【
図10】取得部の判定により表示形態が遷移する様子を示す図。
【
図11】硬性鏡を介して撮像装置により取得される撮像画像の一例を示す図。
【
図12】リングライトを介して撮像装置により取得される撮像画像の一例を示す図。
【
図13】点滅発光を抑制する処理例を示すフローチャート。
【
図14】モード変更を含む処理例を示すフローチャート。
【
図15】ソフトウェアキーに関連付けられている明るさの目標値を示す表。
【
図17】目標光量が最大の場合から最小の場合にわたる第2の発光調整例を示す図。
【
図18】第2の発光調整例のPWM制御を説明する図。
【
図19】リングライト用のソフトウェアキーに関連付けられている明るさの目標値を示す表。
【
図20】本実施の形態にかかる撮像素子の感度について説明する図。
【
図21】硬性鏡を介して撮像装置により取得される撮像画像の一例を示す図。
【
図22】リングライトに光を供給する場合を示す図。
【
図23】取得部の判定が蛍光撮影で遷移する様子を示す図。
【
図24】撮像装置の撮像素子構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、観察システム10の一例を示す図であり、特に硬性鏡(内視鏡:生体観察のための画像観察用照明装置)18を具備する内視鏡装置として医療用観察システムが構成される場合を示す。
図2は、内視鏡装置として構成される観察システム10の使用例(特に硬性鏡18からの発光例)を示す概念図である。
図3は、光源装置13にリングライト(生体観察のためのオープンフィールド用照明装置)19が接続される術野照明観察装置として構成される観察システム10の使用例(特にリングライト19からの発光例)を示す概念図である。
【0034】
観察システム10は、患者などの被検体90の対象部位を、撮像画像を介して観察したり、肉眼により観察したりするのに利用される。
図1に示す観察システム10は、撮像装置11、制御装置12、光源装置13及び表示装置14を備える。
【0035】
光源装置13は、硬性鏡18(
図1及び
図2参照)及びリングライト19(
図3参照)に接続可能に設けられ、制御装置12の制御下で発光を行う。光源装置13は任意の波長域の光を発することが可能であり、例えば白色光及び/又は狭帯域光を発光可能な任意の装置構成を有することができる。
【0036】
ここで言う白色光は、様々な色の可視光成分を含む光であり、白色として知覚可能な光であれば、具体的なスペクトル特性(波長分布)は限定されない。一方、狭帯域光は、可視光波長域及び非可視光波長域のうちの特定の波長域の光を主たる光成分として含み、中心波長(ピーク波長)を基準とした任意のスペクトル特性を有する。光源装置13は、例えば観察対象の組織(細胞)の染色に用いられる蛍光染色試薬を励起して蛍光発光させるための励起光(例えば赤外光)を、狭帯域光として発してもよい。
【0037】
なお光源装置13は、観察対象に照射するための光だけではなく、他の任意の目的のための光(例えばライトガイド16と硬性鏡18との間の接続状態を確認するための光)も必要に応じて発光可能なように構成されてもよい。
【0038】
本例の硬性鏡18は、着脱型のライトガイド16(第1タイプの導光部)を介して光源装置13に接続される。すなわちライトガイド16の一端側の第1ライトガイド端部16aが光源装置13に対して着脱可能に取り付けられ、他端側の第2ライトガイド端部16bが硬性鏡18の光接続部22に対して着脱可能に接続される。
【0039】
一方、本例のリングライト19(
図3参照)は、ライトガイド32(第2タイプの導光部)をその一部として具備しており、当該ライトガイド32を介して光源装置13に接続される。すなわちライトガイド32の一方の端部が、リングライト19の本体部30と一体的に(すなわち本体部30から離脱できないように)設けられており、ライトガイド32の他方の端部が光源装置13に対して着脱可能に接続される。
【0040】
図1及び
図2に示す硬性鏡18は、挿入部20と、挿入部20の基端側に設けられる光接続部22及び撮像接続部23とを有する。基端側とは反対側に位置する挿入部20の挿入先端部21の端面には、光伝達部(ライトガイド)及び対物レンズが設けられる。光源装置13からライトガイド16を介して送られてくる光が、挿入部20の先端側端面の光伝達部から出射し、その反射光(観察光/撮影光)が対物レンズに入射して、挿入部20の内側を通って撮像接続部23に導かれる。
【0041】
撮像接続部23は、撮像装置11の接続部に対して着脱可能に接続される。対物レンズを介して送られてくる観察光は、撮像接続部23を通って撮像装置11に入射し、撮像装置11によって受光される。撮像接続部23は接眼部としても機能することができる。撮像装置11から撮像接続部23が取り外された状態で、操作者等のユーザが撮像接続部23を介して観察光を直接的に目視することも可能である。
【0042】
一方、
図3に示すリングライト19は、本体部30と、本体部30と一体的に設けられる発光部31、ライトガイド32及び撮像接続部33とを有する。光源装置13からライトガイド32を介して送られてくる光が発光部31から出射し、その反射光(観察光/撮影光)が、本体部30の内側に設けられる光学系(図示省略)を介して撮像接続部33に導かれる。
【0043】
撮像接続部33は、撮像装置11の接続部に対して着脱可能に接続され、光学系を介して送られてくる観察光は撮像接続部33を通って撮像装置11に入射し、撮像装置11によって受光される。撮像接続部33は接眼部としても機能することができる。撮像装置11から撮像接続部33が取り外された状態で、操作者等のユーザが撮像接続部33を介して観察光を直接的に目視することも可能である。
【0044】
撮像装置11は、硬性鏡18及びリングライト19に接続可能に設けられ、接続される硬性鏡18又はリングライト19を介して観察光を受光する。撮像装置11は信号伝送ケーブル15(
図1参照;
図2及び
図3では図示省略)を介して制御装置12に接続される。硬性鏡18又はリングライト19を介して受光される観察光に応じた撮像画像が、撮像装置11から信号伝送ケーブル15を介して制御装置12に送られる。
【0045】
制御装置12は、撮像装置11、光源装置13及び表示装置14に接続され、撮像装置11、光源装置13及び表示装置14を制御する。また制御装置12は、撮像装置11に接続される硬性鏡18又はリングライト19を、撮像装置11を介して制御することも可能である。制御装置12は、例えば、撮像装置11から送られてくる撮像画像を表示装置14に表示させたり、後述のように光源装置13の発光を制御したりする。
【0046】
上述の観察システム10において硬性鏡18が使われる場合(
図2参照)、例えば被検体90の腹膜91の内側の腹腔内(体内)に硬性鏡18の挿入先端部21が挿入され、腹腔内において挿入先端部21から光が放たれる。一方、リングライト19が使われる場合(
図3参照)、リングライト19は、被検体90(腹膜91)の外側において発光部31から光を放つ。
【0047】
次に、観察システム10の機能構成例について説明する。
【0048】
図4は、硬性鏡18を具備する医療用観察システム(内視鏡装置)10の機能構成例を示すブロック図である。
図5は、リングライト19を具備する医療用観察システム(術野照明観察装置)10の機能構成例を示すブロック図である。
【0049】
図4及び
図5に示す観察システム10(内視鏡装置及び術野照明観察装置)において、撮像装置11、制御装置12及び光源装置13は同じ構成を有する。すなわち観察システム10は、撮像装置11及び光源装置13に硬性鏡18を接続することで内視鏡装置(
図4参照)を構成し、撮像装置11及び光源装置13にリングライト19を接続することで術野照明観察装置(
図5参照)を構成する。
【0050】
図4及び
図5に示す光源装置13は、制御部40、記憶部41、第1の光源42、第2の光源43、レンズユニット44及びコネクタ45を有する。
【0051】
光源装置13の制御部40は、制御装置12(特に制御部60)の制御下で、第1の光源42、第2の光源43及びレンズユニット44を制御する。本例では、第1の光源42が白色光を発光し、第2の光源43が狭帯域光を発光する。第1の光源42及び第2の光源43によって発せられる光は、レンズユニット44を通って、コネクタ45に接続されるライトガイド16(
図4参照)/ライトガイド32(
図5参照)に向かって進行する。なお第1の光源42おける白色光の発光及び第2の光源43における狭帯域光の発光は、同時的に行われてもよいし、交互に行われてもよいし、いずれか一方のみが行われてもよい。また制御部40は、必要に応じて記憶部41にアクセスし、記憶部41から情報(データ及びプログラムを含みうる)を読み出したり、新たな情報を記憶部41に保存したりする。
【0052】
図4及び
図5に示す撮像装置11は、制御部50、レンズユニット51、撮像素子52、信号処理部53及び通信部54を有する。撮像装置11に入射する観察光(撮影光)L1は、レンズユニット51によって案内され、撮像素子52によって受光される。撮像素子52は、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサによって構成される。観察光L1を受光した撮像素子52から出力される撮像画像は、信号処理部53において画像処理(信号処理)を受けた後、通信部54を介して制御装置12に送られる。
【0053】
これらのレンズユニット51、撮像素子52、信号処理部53及び通信部54は、制御部50の制御下で駆動する。撮像装置11の制御部50は、制御装置12(特に制御部60)によって制御される。
【0054】
図4及び
図5に示す制御装置12は、制御部60、通信部61、画像生成部62、記憶部63、取得部64、及びタッチパネル65を有する。また、タッチパネル65は、入力部65a、及び出力部66bを有する。なお、本実施形態に係るタッチパネル65が表示部に対応する。
【0055】
信号伝送ケーブル15及び通信部61を介して撮像装置11の通信部54から受信した撮像画像は、画像生成部62において各種処理を受ける。例えば、撮像画像が白色光に基づく通常画像の場合、撮像画像は、画像生成部62の通常光処理部62aによって任意の画像処理を受けた後、表示制御部62cによって表示用画像に加工され、当該表示用画像が表示装置14、及び取得部64に出力される。また撮像画像が蛍光染色試薬の励起発光画像(蛍光画像)の場合、撮像画像は、画像生成部62の特殊光処理部62bによって任意の画像処理を受けた後、表示制御部62cによって表示用画像に加工され、当該表示用画像が表示装置14、及び取得部64に出力される。表示装置14は、画像生成部62から受信した表示用画像を表示する。画像生成部62(通常光処理部62a~表示制御部62cの各々)で使用されるデータ及び/又は生成されるデータは、必要に応じて制御部60に送られる。
【0056】
制御部60は、画像生成部62、記憶部63、取得部64、及びタッチパネル65を制御する。また制御部60は、必要に応じて記憶部63にアクセスし、記憶部63から情報(データ及びプログラムを含みうる)を読み出したり、新たな情報を記憶部63に保存したりする。取得部64は、照射の環境に関する照射環境情報が含まれる情報信号を取得する。すなわち、この取得部64は、照射環境情報がオープンフィールドを含むか否かを判定可能である。例えば取得部64は、光源装置13に接続される硬性鏡18、及びリングライト19のいずれかが照射する照射環境の情報である照射環境情報がオープンフィールドを含むか否かを判定する。これにより、取得部64は、光源装置13に接続される医療用照明装置に対して、少なくとも硬性鏡18及びリングライト19のいずれか一方の照射環境であるかを判定可能である。なお、本実施形態に係る取得部64は、判定処理機能を有するが、これに限定されない。例えば判定処理機能を制御部60が有するように、構成してもよい。また、取得部64の詳細は、後述する。
【0057】
図6は、本実施形態に係るタッチパネル65を、例えば液晶のタッチパネルで構成した例を示す図である。タッチパネル65は、入力部65aと、出力部65bを有する。例えば、ソフトウェアキー500、502が入力部65aに対応し、領域504が出力部65bに対応する。例えば、入力部65aを介してユーザにより入力された指示及び情報が制御部60に送られ、制御部60による制御に適宜用いられる。また出力部65bは、制御部60の制御下で駆動し、各種情報をユーザに提示するように視覚情報(ディスプレイ情報)を出力する。
【0058】
図6は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定した場合の硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502の例である。例えばソフトウェアキー500、502は、制御部60下で制御信号によりソフトウェア的にタッチパネル65の画面上に生成された入力装置(キー)である。タッチパネル65の画面上にソフトウェアキー500、502が示され、画面上のキーを指定することにより入力が行われる。例えば、ソフトウェアキー500、502は、明るさの制御に関連するソフトウェアキーであり、明るさの目標値が関連付けられている。上述のように、ソフトウェアキー500、502は、入力部65aとしての領域である。
【0059】
上述のように、領域504は、視覚情報(ディスプレイ情報)をユーザに提示する出力部65bとしての領域である。領域504内の数値504aには、明るさの目標値が関連付けられている。表示形態504bは、数値504aに対応する表示形態を表示する。例えば表示形態504bは、数値504aが増加するに従い、発光領域を増加させる。
【0060】
硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502では、インデックである数値を例えば1から17まで変更可能である。後述するように、例えばこのインデック1から8は、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光の範囲である。より詳細には、インデック1から8は、第1発光状態、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2発光状態を例えば周波数50~60HZで周期的に繰り返させる範囲である。なお、本実施形態に係る硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502が第2ソフトウェアキーに対応する。また、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光の範囲は、例えば明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ65Hz未満の周波数で時間的に切り替える発光である。また、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光の範囲は、少なくとも第1状態、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、第2状態は7.7msより長い期間である。すなわち、第2状態は7.7msより長い期間維持される。また、第1状態、及び第2状態は、白色光を発光している状態と消灯している状態を切り替えている場合、白色光の明るさを強くしている状態と弱くしている状態を切り替えている場合の双方を含むものである。また、第1状態、及び第2状態は、白色光を発光している状態と、その一部の波長が存在しないもしくは非常に低い出力になっている状態を切り替えている場合を含むものである。
【0061】
ソフトウェアキー500を指示すると、明るさの目標値が関連付けられている数値504aが例えば17まで増加する。一方で、ソフトウェアキー502を指示すると、明るさの目標値が関連付けられている数値504aが1まで減少する。このとき、表示形態504bも数値504aの増減に応じて、発光領域が変化する。このように、ソフトウェアキー500、502は、明るさの制御に関連するソフトウェアキーであり、明るさの目標値が関連付けられている。
【0062】
図7は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含むと判定した場合のリングライト19用のソフトウェアキー500、502の例を示す図である。リングライト19用のソフトウェアキー500、502では、インデックである数値を例えば9から17まで変更可能である。換言すると、リングライト19用のソフトウェアキー500、502では、インデックである数値1~8に対応する所定の発光に対応する機能が無効化されており、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502では、インデックである数値1~8に所定の発光に対応する機能が有効化されている。所定の発光に対応する機能は、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光の範囲である。なお、本実施形態に係るリングライト19用のソフトウェアキー500、502が第1ソフトウェアキーに対応する。このように、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502と、リングライト19用のソフトウェアキー500、502とでは、ユーザが選択可能な明るさの目標値の範囲が変わるものである。すなわち、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502で選択可能な明るさの範囲より、リングライト19用のソフトウェアキー500、502で選択可能な明るさの範囲が狭くなる。換言すると、リングライト19用のソフトウェアキー500、502で選択可能な明るさの範囲より、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502で選択可能な明るさの範囲が広くなる。
【0063】
また制御部60は、後述のように、ソフトウェアキー500、502を介した指示により、光源装置13(制御部40)を制御して、光源装置13の発光制御を行うことが可能である。さらに制御部60は、図示はされていないが、通信部61や他のデバイスを制御してもよい。
【0064】
図4に示す硬性鏡18は、上述の光接続部22及び撮像接続部23に加え、レンズユニット70及び光伝達部(ライトガイド)71を有する。ライトガイド16を介して光源装置13から送られてくる照明光L0(白色光及び/又は狭帯域光)は、光接続部22を通った後、光伝達部71により案内され、挿入部20の挿入先端部21(
図2参照)の端面から出射する。一方、観察対象からの反射光であって硬性鏡18に入射する観察光L1は、レンズユニット70により案内されて撮像接続部23を通り、その後、撮像装置11のレンズユニット51により案内されて撮像素子52により受光される。
【0065】
一方、
図5に示すリングライト19は、上述の発光部31、ライトガイド32及び撮像接続部33に加え、レンズユニット75及び光伝達部(ライトガイド)76を有する。ライトガイド32を介して光源装置13から送られてくる照明光L0(白色光及び/又は狭帯域光)は、光伝達部76により案内され、発光部31から出射する。一方、観察対象からの反射光であってリングライト19に入射する観察光L1は、レンズユニット75により案内されて撮像接続部33を通り、その後、撮像装置11のレンズユニット51により案内されて撮像素子52により受光される。
【0066】
[光源装置の発光制御]
上述のように制御装置12は、硬性鏡18及びリングライト19に接続可能な光源装置13の発光を制御する制御部60を備える。制御部60は、画像観察を行う画像観察モードの場合、第1のモード(クローズドフィールドモード)で光源装置13の発光を制御し、目視観察を行う目視観察モードの場合、第1のモードとは異なる第2のモードで光源装置13の発光を制御する。すなわち、第1のモードでは、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502が用いられ(
図6参照)、第2のモード(オープンフィールドモード)では、リングライト19用のソフトウェアキー500、502が用いられる(
図7参照)。
【0067】
再び
図2、及び
図3を参照すると、本実施形態では硬性鏡(硬性内視鏡)18が内視鏡として用いられているが、軟性鏡(軟性内視鏡)など、体内で光を出射する照明装置や、他の画像観察用の照明装置が代わりに用いられてもよい。ここで言う画像観察用の照明装置は、主として、観察対象である被検体90(被写体)からの光を撮像装置11で受光させて当該撮像装置11から被検体90の観察のための画像を出力させることが意図される。
【0068】
また上述の実施形態ではリングライト19が医療用照明装置として用いられているが、被検体90の体外で光を出射する他の任意の照明装置や、他のオープンフィールド用照明装置(例えば開腹用ライトや術野ライト、外視鏡用照明装置、顕微鏡用照明装置、オープンサージェリー照明装置など)が代わりに用いられてもよい。ここで言うオープンフィールド用照明装置は、例えば観察者(特に目)と被検体90(観察対象)との間に光の進行を遮るもののないオープンな(開かれた)環境下で所望の領域(視野)を照らすのに使用可な照明装置であってもよく、少なくとも、被検体90の観察を直視で行う際に使用可能な照明装置である。このようにオープンフィールド用照明装置は、少なくとも被検体90からの光を肉眼で見ることを伴う観察(直視による観察対象の観察)を行う際の照明装置として使用可能である。オープンフィールド用照明装置は、更に画像観察との併用も可能であり、被検体90からの光を撮像装置11で受光させて画像により観察対象(被写体)の観察を行う際の照明装置としても使用可能である。
【0069】
このように硬性鏡(内視鏡)18の撮像接続部23は、観察対象を撮像する撮像装置11が接続される接続部として機能するとともに、観察対象をユーザが肉眼で観察するアイピース(接眼部)としても機能する。したがって硬性鏡18は、撮像装置11が接続された場合には画像観察用照明装置として機能する一方で、撮像装置11が接続されない場合にはオープンフィールド用照明装置として機能しうる。
【0070】
このため制御部60は、光源装置13が画像観察のための硬性鏡18に接続されている場合、主として撮像画像による観察モードである第1のモードで光源装置13の発光を制御し、光源装置13がリングライト19に接続されている場合、主として直視による観察モードである第2のモードで光源装置13の発光を制御する。このように制御装置12の制御部60の制御下で行われる「光源装置13の発光を行う工程を含む発光方法」では、光源装置13が画像観察用照明装置(硬性鏡18)に接続されている場合、第1のモードで光源装置13の発光が行われる。一方、光源装置13が目視観察用照明装置(例えば、リングライト19が直視による観察に用いられる場合など)に接続されている場合、第2のモードで光源装置13の発光が行われる。
【0071】
より具体的には、光源装置13の発光を制御する制御装置12(特に制御部60)は、光源装置13からリングライト19に送られる照明光L0の光量調整の範囲を、光源装置13から硬性鏡18に送られる光量調整の範囲とは異ならせる。そのためリングライト19では、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる照明光L0を光源装置13から供給させることなく、硬性鏡18に最適化された周波数特性を有する照明光L0を光源装置13から硬性鏡18に供給可能である。なお、リングライト19などのオープンフィールド照明装置が、例えば照明光L0が術者等の目に直接的に入らない状況下で、撮像された画像による観察に用いられる場合もある。このような場合には、画像の観察目的に合わせて、光源装置13が発光する光の波長成分、及び周期などを第2のモードと異ならせることも可能である。
【0072】
光源装置13の発光調整の具体例については後述する(
図8、及び
図9参照)。
【0073】
[発光強さの調整]
光源装置13から硬性鏡18に送られる照明光L0(可視光(白色光))に関し、光源装置13における照明光L0の発光の強さ(発光量)は、ソフトウェアキー500、502を介して、操作者(ユーザ)によって手動的に調整されてもよいし、自動的に調整されてもよい。一方、光源装置13からリングライト19に送られる照明光L0に関し、光源装置13における照明光L0の発光の強さ(発光量)は、ソフトウェアキー500、502(
図6参照)を介して、操作者(ユーザ)によって手動的に調整されることが好ましい。
【0074】
体内(腹腔内)には基本的に外乱光が入射しない又は殆ど入射しない。したがって硬性鏡18を介して体内(腹腔内)の観察部位の撮像を行う場合、硬性鏡18から発せられた照明光L0(白色光)の反射光のみが実質的に撮像装置11によって受光されるため、撮像画像に基づいて自動調光を安定的且つ適切に行うことが可能である。
【0075】
一方、リングライト19を介して体外(露出観察部位)の撮像を行う場合、強さが一定ではない外乱光が不規則的に観察部位に照射されうるため、撮像画像に基づいて自動調光を安定的且つ適切に行うことが難しい。そのためリングライト19から照明光L0を出射させる場合、観察対象に適切な強さ(明るさ)の照明光L0を照射するには、光源装置13における照明光L0の発光の強さは、ソフトウェアキー500、502(
図7参照)を介して、手動的に調整されることが好ましい。
【0076】
このように制御装置12は、光源装置13から硬性鏡18に照明光L0を送る第1のモードは、硬性鏡18に接続される撮像装置11によって取得される撮像画像に基づき、光源装置13から発光される光の強さを自動的に調整してもよい。ただしこのような場合であっても、制御装置12は、光源装置13からリングライト19に光を送る第2のモードでは、光源装置13から発光される光の強さが手動的に調整されるように光源装置13の制御を行うことが好ましい。
【0077】
なお照明光L0が蛍光体(蛍光染色試薬)を励起させるための励起光(狭帯域光)である場合、光源装置13において発光させる光の強さは、ソフトウェアキー500、502(
図6参照)を介して、基本的に操作者(ユーザ)によって手動的に調整されることが好ましい。蛍光染色試薬により染色される特定の組織は、観察対象部位に必ずしも存在するとは限らず、またその状態に応じて蛍光発光量が必ずしも一定しない。そのため、撮像装置11によって取得される撮像画像(蛍光画像)に基づいて励起光(狭帯域光)の強さ(光量)を安定的且つ適切に調整することは難しく、手動的に調整することが望ましい。
【0078】
光源装置13からリングライト19に可視光が送られる場合、当該可視光は、白色光を含んでもよいし、可視光波長域に含まれる中心波長を有する狭帯域光を含んでもよい。すなわちリングライト19から出射させる照明光L0が、白色光及び狭帯域光(可視光)のいずれであっても、上述のように発光周波数を調整することでフリッカを低減できる。
【0079】
ここで、光源装置13の発光調整の具体例について説明する。以下に説明する発光調整例は、制御装置12(特に制御部60)が光源装置13(特に制御部40)を適宜制御することで実現される。
【0080】
[第1の発光調整例]
図8及び
図9は、光源装置13から硬性鏡18に光(例えば白色光)を供給する場合を示す。
図8は、光源装置13の発光の目標光量が最大の場合(INDEX17)から最小の場合(INDEX1)にわたる第1の発光調整例を示す図である。
図9は、第1の発光調整例のPWM制御(INDEX5)を説明する図である。
【0081】
図8及び
図9の(a)は、撮像素子52(
図4及び
図5参照)の露光状態を示し、縦軸が撮像素子52の水平ラインを示し、横軸が時間を示す。
図8及び
図9の(a)の最上段は最も上の水平ライン(すなわち第1ライン)を示し、最下段は最も下の水平ライン(すなわち最終ライン)を示す。符号「ts」で示されるライン(斜め線)は、各撮像画像に関する各水平ラインの画素データ読み出し開始タイミングを示す。
【0082】
図8及び
図9の(b)は、光源(第1の光源42及び/又は第2の光源43(
図4及び
図5参照))の発光のタイミング及び光量を示す。
図8及び
図9の(b)の縦軸は、光源の発光量(すなわち光源装置13から硬性鏡18又はリングライト19に送られる照明光L0の強さ)を示す。
図8及び
図9の(b)の横軸は時間を示し、継続的な発光時間(すなわち1回のパルス発光時間)を示し、ひいては光源に供給される電流の印加パルス(電流駆動パルス)を示す。
【0083】
なお「INDEX」の値m(ただし「m」は1~17の整数)」は光源装置13の発光の目標光量の程度を表し、「m」が大きいほど(「17」に近いほど)目標光量が大きく、「m」が小さいほど(「1」に近いほど)目標光量が小さい。
【0084】
また「TR」は撮像素子52の各水平ラインの露光周期を示し、「TL」は光源装置13の発光周期を示す。また「tw」は光源装置13の発光のパルス幅(すなわち光源装置13に供給される電流駆動パルスのパルス幅)を示す。また「tp」は、光源装置13の隣り合う発光パルス間の間隔(すなわち光源装置13に供給される電流の隣り合う駆動パルス間の時間間隔)を示す。パルス変調制御の発光周波数が50Hz又は60Hzの場合、人間の目にちらつきを感じさせる恐れがある。すなわち、「INDEX」の値mが1~8の場合には、肉眼で直接的、或いは間接的に光源装置13の発光を見た場合に、ちらつきを感じさせる恐れがある。
【0085】
<硬性鏡に関する発光制御>
光源装置13の発光目標光量が比較的大きい場合(例えばINDEX「17」~「9」の場合)、光源に供給される電流値(電流の大きさ)が調整されて、光源からの発光量が調整される。すなわち発光目標光量が比較的大きい間は、光源装置13の発光目標光量が下がるにつれ、光源からの発光量自体が、最大光量(Max)から最小光量(Min)に向けて徐々に小さくされる(
図8の(b)参照)。
【0086】
一方、光源装置13の発光目標光量が比較的小さい場合(例えばINDEX「8」~「1」の場合)、光源に供給される電流駆動パルスのパルス変調制御によって、光源からの発光量が調整される。具体的には、光源からの発光量が最小光量(Min)に維持された状態で、光源に供給される電流駆動パルスのパルス幅tw(ひいてはデューティ比)がPWM制御によって調整される(
図8の(b)参照)。また、ソフトウェアキー500、502(
図6参照)を介して、操作者(ユーザ)によって手動的に調整される場合には、例えばINDEX「17」~「1」の範囲で、光源からの発光量が調整される。
【0087】
硬性鏡18に送られる光の発光のPWM制御において、光源装置13の光源(第1の光源42及び/又は第2の光源43)の発光周期TLは、光源装置13の発光目標光量(すなわちINDEXの値)にかかわらず、一定である。すなわちPWM制御の電流駆動パルスのパルス幅twにかかわらず、光源装置13の発光周期TLは撮像装置11の各水平ラインの露光周期TRに一致し、撮像装置11(撮像素子52)における1回の垂直同期信号に対して光源装置13は1回のパルス発光を行う。
【0088】
<リングライトに関する発光制御>
次に、リングライト19に送られる光(例えば白色光などの可視光)の光源装置13の発光制御について、
図7を参照にしつつ
図10を用いて説明する。
図10は、取得部64の判定により表示形態が遷移する様子を示す図である。
図10の(a)、(c)は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定した例を示す図であり、
図10の(b)は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含むと判定した例を示す図である。
【0089】
上述のように、ソフトウェアキー500、502(
図7参照)を介して、操作者(ユーザ)によって手動的に調整される場合には、例えばINDEX「17」~「9」の範囲に限定される。これにより、人間の目にちらつきを感じさせる発光の範囲(INDEX「8」~「1」)が無効化されている。
【0090】
図10の(a)では、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定しているので、INDEX「1」が設定される場合がある。この状態で、光源装置13への接続を硬性鏡18からリングライト19に変更されると、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含むと判定する。これにより、制御部60(
図4、5参照)は、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)を、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)に変更する。この変更処理により、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)は、INDEX「9」を設定する。このように、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)がINDEX「1」~「8」を設定していた場合に、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)は、INDEX「9」を設定する。これにより、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)のINDEXが、人間の目にちらつきを感じさせる発光の範囲(INDEX「8」~「1」)に設定されていても、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)は、INDEX「9」を設定するので、人間の目にちらつきを感じさせる発光の範囲(INDEX「8」~「1」)は無効化されて、人間の目にちらつきを感じさせる機会が生じないように、構成される。
【0091】
また、制御部60(
図4、5参照)は、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEX「9」を設定する場合に、エラーコード506をタッチパネル65に表示させることも可能である。これにより、設定範囲が無効であることを把握可能となる。
【0092】
次に、
図10(c)に示すように、光源装置13への接続がリングライト19から硬性鏡18に変更されると、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEX、例えば「9」が、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)のINDEXに引き継がれる。このように、ソフトウェアキー500、502(
図7参照)を介して、操作者(ユーザ)によって手動的に調整される場合には、例えばINDEX「17」~「9」の範囲に限定される。これにより、人間の目にちらつきを感じさせる発光の範囲(INDEX「8」~「1」)が無効化されている。
【0093】
[焦点位置の調整]
撮像装置11に硬性鏡18が接続される場合、撮像装置11の制御部50によって撮像焦点位置の自動調整(オートフォーカス)が行われてもよいし、撮像焦点位置の手動調整(マニュアルフォーカス)が行われてもよい。
【0094】
一方、撮像装置11にリングライト19が接続される場合、撮像画像に基づいてオートフォーカスを安定的に精度良く行うことが難しいため、撮像装置11は、マニュアルフォーカスモードで撮像を行うことが好ましい。
【0095】
このように制御装置12は、第1のモードでは、硬性鏡18に接続される撮像装置11によって取得される撮像画像に基づいて、撮像装置11の焦点位置がオートフォーカスによって調整されるように、撮像装置11(制御部40)を制御することができる。ただしこのような場合であっても、制御装置12(制御部60)は、第2のモードでは、リングライト19に接続される撮像装置11の焦点位置が手動的に調整されるように、撮像装置11(制御部40)を制御することが好ましい。
【0096】
なお照明光L0が蛍光体(蛍光染色試薬)を励起させるための励起光(狭帯域光)である場合、明暗差(コントラスト)に基づくオートフォーカスを安定的に精度良く行うことは難しい。したがってこの場合、制御装置12(制御部60)は、マニュアルフォーカスモードで撮像が行われるように、撮像装置11(制御部40)を制御することが好ましい。
【0097】
<取得部の判断例1>
また取得部64は、ユーザ(操作者等)からの入力情報を取得し、光源装置13に接続される装置が硬性鏡18及びリングライト19のいずれなのかを判断してもよい。すなわち、取得部64は、取得したユーザ(操作者等)からの入力情報を照射環境情報として、オープンフィールドを含むか否かを判定する。
【0098】
この場合、制御装置12は、少なくとも、上述の第1のモード又は第2のモードのいずれかの照明モードの指示を受け付ける指示受付部を有する。具体的には、指示受付部は、光源装置13から硬性鏡18に光を送る第1のモードと、光源装置13からリングライト19に光を送る第2のモードとのうちのいずれの照明モードが選択されるかを示すユーザからの指示を受け付ける。そして取得部64は、指示受付部が受け付けたユーザからの指示が示す照明モードに基づき、光源装置13の発光を制御する。
【0099】
ここで言う「ユーザからの指示を受け付ける指示受付部」は、任意の形態をとりうる。例えば制御装置12が有するタッチパネルや入力ボタン等の入力部65が、ここで言う「指示受付部」として機能してもよい。この場合、ユーザは入力部65を操作して、照明モードを直接的又は間接的に示す情報(例えば実際に光源装置13に接続される装置)を手動的に入力する。
【0100】
或いは、硬性鏡18の操作部(図示省略)を介してユーザにより入力された情報が、制御装置12の通信部61(
図4参照)を介して制御部60に送られる場合、通信部61が制御装置12の「指示受付部」として機能する。
【0101】
或いは、上述の第1のモード又は第2のモードのいずれかの照明モードの指示は、光源装置13から制御装置12の指示受付部に送られてもよい。例えば光源装置13がユーザから入力される情報を受け付ける情報入力部(図示省略)を備える場合、当該情報入力部に入力される情報に、上述の第1のモード又は第2のモードのいずれかの照明モードの指示が含まれていてもよい。そのような場合、上述の第1のモード又は第2のモードのいずれかの照明モードの指示が、光源装置13の制御部40から制御装置12の制御部60に送られてもよい。この場合、制御部60が実質的に指示受付部として機能する。
【0102】
<取得部の判断例2>
制御装置12の取得部64は、光源装置13に接続される導光部(ライトガイド)のタイプに基づき、照明モードを決定してもよい。取得部64は、コネクタ45に接続され、コネクタ45に接続されるライトガイドのタイプを示す情報をコネクタ45から取得する。コネクタ45に接続されるライトガイドのタイプは、光源装置13に接続される装置(硬性鏡18(
図4参照)/リングライト19(
図5参照))に基づき定められ、光源装置13に接続される装置を示す。すなわち取得部64は、光源装置13のコネクタ45に接続される導光部(ライトガイド)のタイプを照射環境情報として、オープンフィールドを含むか否かを判定する。
【0103】
この場合、硬性鏡18は第1タイプの導光部(ライトガイド16;
図1、
図2及び
図4参照)を介して光源装置13に接続され、リングライト19は第2タイプの導光部(ライトガイド32;
図3及び
図5参照)を介して光源装置13に接続される。
【0104】
そのため光源装置13から硬性鏡18に光を送る第1のモードと、光源装置13からリングライト19に光を送る第2のモードとのうちのいずれの照明モードが選択されるかは、光源装置13に接続される導光部のタイプに基づき決められる。したがって制御装置12は、光源装置13に接続される導光部のタイプに基づき、光源装置13の発光を制御する。
【0105】
なお制御装置12が、光源装置13に接続される導光部のタイプを判断する手法は限定されない。例えば、光源装置13のコネクタ45に対する接続端子形状やコネクタ45における接続箇所が、第1タイプの導光部(ライトガイド16(
図4参照))と第2タイプの導光部(ライトガイド32(
図5参照))との間で異なっていてもよい。コネクタ45に接続される導光部のタイプを示す情報は、コネクタ45から光源装置13の制御部40に送られた後、この制御部40から制御装置12の制御部60に送られてもよい。
【0106】
<取得部の判断例3>
制御装置12の取得部64は、4被検体90(被写体)からの光を撮像する撮像装置11から出力される撮像画像に基づき、照明モードを決定してもよい。一例として、制御装置12(取得部64)は、撮像画像中のマスク領域に基づき、光源装置13に接続される装置が硬性鏡18及びリングライト19のいずれなのかを判断してもよい。
【0107】
この場合、撮像装置11に取り付けられた状態の硬性鏡18は、撮像装置11に取り付けられた状態のリングライト19とは異なる形態で被検体90からの観察光L1(撮影光)の一部を遮光しつつ、当該観察光L1を撮像装置11によって受光させる。制御装置12の制御部60は、撮像装置11から出力される撮像画像中の遮光部分に基づき、照明モードを決定する。このように、光源装置13から硬性鏡18に光を送る第1のモードと、光源装置13からリングライト19に光を送る第2のモードとのうちのいずれの照明モードが選択されるかは、撮像装置11から出力される撮像画像中の遮光部分に基づき決められる。したがって制御装置12は、撮像画像中の遮光部分に基づき、光源装置13の発光を制御する。
【0108】
図11は、硬性鏡18を介して撮像装置11により取得される撮像画像P(特に遮光部分P1)の一例を示す図である。
図12は、リングライト19を介して撮像装置11により取得される撮像画像P(特に遮光部分P1)の一例を示す図である。
【0109】
図11及び
図12に示すように、撮像画像Pは観察画像P0及び遮光部分P1を含む。観察画像P0は、撮像装置11の撮像素子52における実質的な観察光L1の受光部分に対応し、観察対象を表す画像である。遮光部分P1は、観察光L1のうち硬性鏡18又はリングライト19によって遮られ部分に対応し、撮像素子52のうち実質的に観察光L1を受光しない部分に対応する。
【0110】
硬性鏡18(例えば撮像接続部23)及びリングライト19(例えば撮像接続部33)の各々は、特有の形状を有する遮光部を有し、特有の形状を持つ遮光部分P1を撮像画像Pに対して与えることができる(
図10及び
図11参照)。制御装置12(例えば画像生成部62の通常光処理部62a又は特殊光処理部62b)は撮像画像Pを解析して遮光部分P1の形状などの特徴を抽出する。そして制御装置12は、抽出した遮光部分P1の特徴に基づき光源装置13に接続される装置を判別し、当該判別結果に基づいて光源装置13の発光を制御できる。すなわち取得部64は、遮光部分P1の特徴を照射環境情報として、オープンフィールドを含むか否かを判定する。
【0111】
<取得部の判断例4>
また、取得部64は、撮像画像が内視鏡画像であるか、術野画像であるかを判定し、光源装置13に接続される装置が硬性鏡18及びリングライト19のいずれなのかを判断してもよい。すなわち取得部64は、撮像画像のカテゴリを認識する認識機能を有し、カテゴリに基づき、オープンフィールドを含むか、否かを判定する。このカテゴリは、内視鏡画像、又は術野画像である。また、認識機能は、人工知能(AI)などで実現してもよい。このように、取得部64は、内視鏡画像であるか、術野画像であるかを物体認識可能なAIなどを用いて、判定することが可能である。或いは、取得部64は、例えば撮像画像の周波数分布の解析により、内視鏡画像であるか、術野画像であるかを判定してもよい。
【0112】
<取得部の判断例5>
また、取得部64は、例えば撮像画像内にトロッカーからの検知信号により、オープンフィールドを含むか否かを判定する。すなわち、取得部64は、トロッカーからの検知信号を照射環境情報として、オープンフィールドを含むか否かを判定する。より詳細には、取得部64は、トロッカーから内視鏡が挿入されたことを示す信号を取得した場合に、オープンフィールドを含まないと判定する。
【0113】
図13は、点滅発光を抑制する処理例を示すフローチャートである。
図13に示すように、取得部64は、照射環境情報を取得して、オープンフィールドを含むか否かを判定する(ステップS100)。取得部64が、オープンフィールドを含まないと判定する場合(ステップS100のN)、制御部60は、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)のINDEXを変更しない状態を維持し(ステップS102)、処理を終了する。
【0114】
一方で、取得部64が、オープンフィールドを含むと判定する場合(ステップS100のY)、制御部60は、更にソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEXが変更範囲か否かを判定する(ステップS104)。制御部60は、INDEXが変更範囲であると判定する場合(ステップS104のY)、制御部60は、INDEXの設定を変更し(ステップS106)、処理を終了する。一方で、制御部60は、INDEXが変更範囲でないと判定する場合(ステップS104のN)、制御部60は、INDEXの設定を維持し(ステップS106)、処理を終了する。
【0115】
図14は、モード変更を含む処理例を示すフローチャートである。
図14に示すように、取得部64は、照射環境情報を取得して、オープンフィールドを含むか否かを判定する(ステップS100)。取得部64が、オープンフィールドを含まないと判定する場合(ステップS100のN)、制御部60は、モードが体腔内観察モードか否かを判定する(ステップS202)。モードが体腔内観察モードでないと判定する場合(ステップS202のN)、制御部60は、体腔内観察モードに変更する。つまり硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)に変更する。一方で、モードが体腔内観察モードであると判定する場合(ステップS202のY)、体腔内観察モードを維持して、処理を終了する。
【0116】
一方で、得部64が、オープンフィールドを含むと判定する場合(ステップS100のY)、制御部60は、モードが体腔外観察モードか否かを判定する(ステップS206)。モードが体腔外観察モードでないと判定する場合(ステップS206のN)、制御部60は、体腔外観察モードに変更する。つまりリングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)に変更する。一方で、モードが体腔外観察モードであると判定する場合(ステップS206のY)、体腔内観察モードを維持する。
【0117】
次に、制御部60は、更にソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEXが変更範囲か否かを判定する(ステップS210)。制御部60は、INDEXが変更範囲であると判定する場合(ステップS210のY)、制御部60は、INDEXの設定を変更し(ステップS214)、処理を終了する。一方で、制御部60は、INDEXが変更範囲でないと判定する場合(ステップS210のN)、制御部60は、INDEXの設定を維持し(ステップS212)、処理を終了する。
【0118】
以上説明したように、本実施形態によれば、取得部64が、照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得し、制御部60は、取得部64が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、リングライト19用のソフトウェアキー500、502をタッチパネル65に表示させ、照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502をタッチパネル65に表示させ、リングライト19用のソフトウェアキー500、502は、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光に対応する機能が無効化されており、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502は、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光に対応する機能が有効化されている。これにより、リングライト19により照射される照射光は、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光が無効化され、術者等の目に入る状況では、ちらつきを生じさせないことができる。一方で、硬性鏡18により照射される照射光は、目的の周波数での照射が可能となる。
【0119】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1に係る観察システム10では、INDEXに関連付けられている明るさの目標値が、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図6参照)とリングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)とで相違する点で第1実施形態に係る観察システム10と相違する。以下では、第1実施形態に係る観察システム10と相違する点を説明する。
【0120】
図15は、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEXに関連付けられている明るさの目標値を示す表である。
図15に示すようにINDEX[1]から[8]には、INDEX[9]が関連づけられている。これにより、ソフトウェアキー500、502(
図6参照)で表示用のINDEX[1]から[8]に変更しても、INDEX[9]が設定される。これにより、人の目にちらつきを感じさせるINDEX[1]から[8]が無効化される。
【0121】
図16は、取得部64の判定が遷移する様子を示す図である。
図16の(a)は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定した例を示す図であり、
図16の(b)は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含むと判定した例を示す図である。
【0122】
図16の(a)では、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定しているので、領域504には表示用のINDEX「1」が数値504aとして表示され、設定用のINDEXも「1」が設定される。
【0123】
図16の(b)では、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含むと判定しているので、領域504には表示用のINDEX「9」が数値504aとして表示され、設定用のINDEXには「9」(
図15参照)が設定される。
【0124】
以上説明したように、本実施形態に係るソフトウェアキー500、502(
図6参照)では、表示用のINDEX[1]から[8]に変更しても、INDEX[9]が設定されるようにした。これにより、人の目にちらつきを感じさせるINDEX[1]から[8]が無効化される。
【0125】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る観察システム10では、リングライト19が光源装置13に接続される場合にも、人の目にちらつきを感じさせないパルス光を照射させる点で、第1実施形態に係る観察システム10と相違する。以下では、第1実施形態に係る観察システム10と相違する点を説明する。
【0126】
[リングライトに関する第2の発光調整例]
図17、及び
図18は第2の発光調整例を説明する図である。
図17及び
図18は、光源装置13からリングライト19に光(例えば白色光)を供給する場合を示す図である。
図17は、光源装置13の発光の目標光量が最大の場合(INDEX17)から最小の場合(INDEX1)にわたる第2の発光調整例を示す図である。
図18は、第2の発光調整例のPWM制御(INDEX5)を説明する図である。
【0127】
図17、及び
図18の(a)は、撮像素子52(
図4及び
図5参照)の露光状態を示し、縦軸が撮像素子52の水平ラインを示し、横軸が時間を示す。
図17、及び
図18の(a)の最上段は最も上の水平ライン(すなわち第1ライン)を示し、最下段は最も下の水平ライン(すなわち最終ライン)を示す。符号「ts」で示されるライン(斜め線)は、各撮像画像に関する各水平ラインの画素データ読み出し開始タイミングを示す。
【0128】
図17、及び
図18の(b)は、光源(第1の光源42及び/又は第2の光源43(
図4及び
図5参照))の発光のタイミング及び光量を示す。
図17、及び
図18の(b)の縦軸は、光源の発光量(すなわち光源装置13から硬性鏡18又はリングライト19に送られる照明光L0の強さ)を示す。
図17、及び
図18の(b)の横軸は時間を示し、継続的な発光時間(すなわち1回のパルス発光時間)を示し、ひいては光源に供給される電流の印加パルス(電流駆動パルス)を示す。
【0129】
なお「INDEX」の値m(ただし「m」は1~17の整数)」は光源装置13の発光の目標光量の程度を表し、「m」が大きいほど(「17」に近いほど)目標光量が大きく、「m」が小さいほど(「1」に近いほど)目標光量が小さい。
【0130】
また「TR」は撮像素子52の各水平ラインの露光周期を示し、「TL」は光源装置13の発光周期を示す。また「tw」は光源装置13の発光のパルス幅(すなわち光源装置13に供給される電流駆動パルスのパルス幅)を示す。また「tp」は、光源装置13の隣り合う発光パルス間の間隔(すなわち光源装置13に供給される電流の隣り合う駆動パルス間の時間間隔)を示す。
【0131】
光源装置13の発光目標光量が比較的大きい間(例えばINDEX「17」~「9」の場合)は、上述の硬性鏡18に関する発光制御と同様に、光源に供給される電流値が調整されて光源からの発光量自体が調整される(
図17(b)参照)。
【0132】
一方、光源装置13の発光目標光量が比較的小さい場合(例えばINDEX「8」~「1」の場合)、光源に供給される電流駆動パルスのパルス変調制御(PWM制御)に加え、発光周期(駆動パルスがオンの周期)が調整される。
【0133】
すなわちリングライト19に関する発光制御(パルス変調制御)が、発光(駆動パルス-オン)及び非発光(駆動パルス-オフ)を周期的に繰り返す点は、上述の硬性鏡18に関するPWM制御と同様である。ただしリングライト19に関する発光制御(パルス変調制御)では、上述の硬性鏡18に関するPWM制御と比べ、発光周期TLが1/2に設定され、発光周波数が2倍に設定される。すなわち光源装置13の発光周期TLは、撮像装置11の各水平ラインの露光周期TRの1/2に一致し、撮像装置11(撮像素子52)における1回の垂直同期信号に対して光源装置13は2回の発光を行う。
【0134】
また光源からの発光量が最小光量(Min)に維持された状態で、光源に供給される電流駆動パルスのパルス幅twが、硬性鏡18に関するPWM制御におけるパルス幅twの1/2に設定される。したがってリングライト19に関する発光制御におけるデューティ比(=パルス幅tw/発光周期TL)は、上述の硬性鏡18に関する発光制御におけるデューティ比と同じである。
【0135】
例えば硬性鏡18に関するパルス変調制御の発光周波数が50Hzの場合、リングライト19に関するパルス変調制御の発光周波数は100Hzに設定されてもよい。同様に、硬性鏡18に関するパルス変調制御の発光周波数が60Hzの場合、リングライト19に関するパルス変調制御の発光周波数は120Hzに設定されてもよい。
【0136】
なお
図8及び
図9に示す例では、硬性鏡18に関するパルス変調制御の発光周波数に対するリングライト19に関するパルス変調制御の発光周波数の比率は「2」に設定されているが、例えば「4」であってもよい。この場合、硬性鏡18に関するパルス変調制御の発光周波数が50Hz又は60Hzの場合、リングライト19に関するパルス変調制御の発光周波数は200Hz又は240Hzに設定される。
【0137】
図19は、第2の発光調整例でのリングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEXに関連付けられている明るさの目標値を示す表である。
図19に示すように表示用INDEX[1]~[17]には、設定用のINDEX[1]~[17]が関連づけられている。これにより、ソフトウェアキー500、502(
図7参照)で表示用の表示用INDEX[1]~[17]に変更すると、設定用のINDEX[1]~[17]が設定される。つまり、リングライト19用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEX[8]~[1]に関連付けられている周波数の範囲を、硬性鏡18用のソフトウェアキー500、502(
図7参照)のINDEX[8]~[1]に関連付けられている周波数の範囲と異ならせている。
【0138】
人間の認識出来る点滅の周波数は一般的に50~60Hzと言われている(ただし個人差や疲れ状態によっても変わり、例えば疲れている時などは30Hz程度でも点滅が認識できない場合もある)。これにより、設定用のINDEX[1]から[8]が設定されてもパルス変調制御の発光周波数は100Hzに設定されるために、人の目にちらつきを感じさせることは抑制される。なお、tpの期間に、twの期間よりも強度の低い白色光を発光させてもよい。この場合、tpの期間、twの期間の光度差が減少し、ちらつきが抑制される。
【0139】
また、映像コンテンツにおける規格としてISO9241-391では1秒間に3回以上、65回未満のフラッシュは避けることが規定されている。本実施形態では、リングライト19に関するパルス変調制御の発光周波数は100Hz以上に設定されるため、点滅は認識されず、ちらつきを感じさせることはないものである。なお、本実施形態では、パルス変調制御の発光周波数は100Hz又は120Hzの例で説明したが、これに限定されない。例えば、パルス変調制御の発光周波数が65Hz以上の周波数であればよい。パルス変調制御の発光周波数が65Hz以上であれば、点滅を認識されないためにわずらわしさの問題はないものである。
【0140】
一方で、パルス変調制御の発光周波数が所定値未満でも、点滅のわずらわしさは許容される。例えば、パルス変調制御の発光周波数が3Hz未満の周波数での点滅であれば点滅は認識されてもわずらわしさは許容されるものである。また0Hzつまり点滅しない状態もわずらわしさの問題はないものである。
【0141】
図18(b)に示すように、第1状態(tp期間)、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態(tw期間)を周期的に繰り返している場合に、第2状態のtw期間の長さも、人の目にちらつきを感じさせる要因となる。
【0142】
例えば、周波数65Hzの1周期の時間は約15.4msであり、半周期は約7.7msである。視覚心理実験では、第2状態のtw期間が7.7ms以下の時間であれば、その状態は認識されないためわずらわしさの問題はないものである。また、60Hzの1周期は約16.7msでDuty比50%では点滅は約8.3ms毎の切り替わりになり、ちらつきが認識されてしまう。一方で、60Hzの1周期は約16.7msでDuty比40%:60%であれば、第2状態のtw期間と第1状態(tp期間)とは、6.7ms:10msとなり6.7ms側は認識されない領域に入るため60Hzでも、人の目にちらつきを感じさせないものである。
【0143】
以上説明したように、本実施形態によれば、リングライト19用にパルス光を用いるパルス変調制御を用いる場合には、硬性鏡18用と同じINDEX[8]~[1]の範囲でも周波数の目標値が関連づけられる範囲を、人間の目で感知できるちらつきを生じさせない範囲とした。これにより、リングライト19により照射される照射光が、術者等の目に入る状況でもちらつきを生じさせないことができる。
【0144】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る観察システム10では、蛍光撮影光を更に照射可能とさせる点で、第1実施形態に係る観察システム10と相違する。以下では、第1実施形態に係る観察システム10と相違する点を説明する。
【0145】
図20は、本実施の形態にかかる撮像素子52(
図4、5参照)の感度について説明する図である。例えば、観察フィルタが光路L1上に設けられている。本実施の形態にかかる白色光は、青色の波長帯域の光(B光)、緑色の波長帯域の光(G光)、赤色の波長帯域の光(R光)が主たる成分である。一方で、励起光は近赤外の波長帯域の光である。
図20では、右側にいくにしたがって波長の大きな光となる。近赤外励起光として使用する光の波長帯域は、例えば700nm~800nmである。以下では、励起光と称する。蛍光の波長は、使用した近赤外光の波長より大きく、インドシアニングリーンによる蛍光や、光源由来の蛍光を含む。
【0146】
図21は、光源装置13から硬性鏡18に光(特に白色光及び励起光(狭帯域光))を供給する場合を示し、
図22は光源装置13からリングライト19に光(励起光(狭帯域光(例えば可視光)))を供給する場合を示す図である。
図21及び
図22は、光源装置13の発光制御の基準状態を示す。パルス幅を減じることにより、基準状態から光量を低減可能である。
【0147】
図21の(a)において「蛍光画像フレーム」は撮像画像として1つの蛍光画像を取得する範囲を示し、「白色光画像フレーム」は撮像画像として1つの白色光の反射光画像を取得する範囲を示す。
図21の(b)において「励起光は」励起光のパルスを示し、「白色光は」白色光のパルスを示す。
【0148】
<硬性鏡に関する発光制御>
まず光源装置13から硬性鏡18に送られる光の発光制御例について、
図21を参照して説明する。
【0149】
本例では、光源装置13において時分割発光される白色光及び励起光が硬性鏡18に送られる。すなわち制御装置12は、光源装置13から硬性鏡18に光を送る第1のモードにおいて、光源装置13により白色光及び励起光(狭帯域光)を時分割発光させるように、光源装置13の発光を制御する。
【0150】
光源装置13において白色光及び励起光を時間的に別々に発光させることによって、単一の撮像素子52によって、白色光の反射光画像及び励起光の蛍光画像の両方を生成取得できる。
【0151】
そして、制御装置12は、PWM制御によって光源装置13を制御することで、光源装置13における白色光及び励起光の発光光量を調整する。すなわち白色光の光源(第1の光源42(
図4参照))及び励起光の光源(第2の光源43(
図4参照))の各々に供給される電流駆動パルスのパルス幅(tw-w、tw-n)が調整されて、光源装置13における白色光及び励起光の発光光量が調整される。なお最小のパルス幅(tw-w、tw-n)は任意の値(例えば166μs(microsecond))に設定可能である。この場合も
図21(b)に示すように、第1状態(tw-w期間)、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態(tw-n期間)を周期的に繰り返している。これにより、誤って、このようなパルス光がリングライト19に送られる場合に、第2状態のtw期間の長さも、人の目にちらつきを感じさせる要因となる。
【0152】
このように、第1状態及び第2状態の切り替えには、白色光の発光状態と蛍光観察用の励起光の発光を切り替えている場合が含まれる。また、第1状態及び第2状態の切り替えには、蛍光観察用の励起光の発光状態と、それとは別の波長帯域の蛍光観察用の励起光の発光状態とを切り替えている場合などがある。さらに切り替える場合も、1つの波長帯域の発光状態と、別の波長帯域の発光状態とを排他的に切り替える場合や、1つの波長帯域の発光状態は継続したうえで、別の波長帯域の発光状態が切り替わる場合もある。
【0153】
このように制御装置12の制御部60は、光源装置13から硬性鏡18に光を送る第1のモードにおいて、光源装置13により白色光及び狭帯域光を時分割発光させるように、光源装置13の発光を制御する。また制御部60は、パルス幅変調方式に基づいて光源装置13の発光量を制御する。
【0154】
なお制御装置12は、上述の第1の発光調整例と同様に、発光目標光量が比較的大きい間は光源に供給される電流値を調整して発光量を調整してもよい。そして制御装置12は、光源に供給される電流値が最小光量(Min)に達した後、光源からの発光量を最小光量(Min)に維持した状態でPWM制御を行って、光源に供給される電流駆動パルスのパルス幅(tw-w、tw-n)を調整してもよい。
【0155】
<リングライトに関する発光制御>
次に、リングライト19に送られる光(特に励起光)の光源装置13の発光制御について、
図22を参照して説明する。
【0156】
本例では、光源装置13において継続的(連続的)に発光される励起光(狭帯域光;持続光)がリングライト19に送られる。すなわち制御装置12は、光源装置13からリングライト19に光を送る第2のモードにおいて、光源装置13により励起光(狭帯域光)を継続的に発光させるように、光源装置13の発光を制御する。なお、本実施形態では、白色光及び狭帯域光を時分割発光させる場合と、励起光(狭帯域光)を継続的に発光させる場合との選択を、蛍光波長又は励起波長の選択と称する場合がある。
【0157】
そして制御装置12は、撮像装置11の撮像素子52における電子シャッターのタイミングを制御することで、実質的な撮像素子52における受光量を調整する。
【0158】
図22に示す例では、撮像装置11の撮像素子52の水平ラインの画素データ読み出し開始タイミング(露光開始タイミング)tsを調整することで、電子シャッターのタイミングが制御される。すなわち各露光周期TRにおいて、画素データ読み出し開始タイミングtsを基準状態よりも遅らせることで、撮像素子52における実質的な露光量(蛍光画像フレーム)が低減する。このように撮像素子52における電子シャッターのタイミングを制御して、実質的な露光時間を調整することで、撮像素子52における観察光L1の受光量を調整できる。なお、撮像素子52の水平ラインの画素データ読み出し終了タイミング(露光終了タイミング)を調整することで、電子シャッターのタイミングが制御されてもよい。
【0159】
このように制御装置12は、光源装置13からリングライト19に光を送る第2のモードにおいて、以下のようにして撮像素子52における受光量を調整できる。
【0160】
図23は、取得部64の判定が蛍光撮影で遷移する様子を示す図である。
図23の(a)は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定した例を示す図であり、
図23の(b)は、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含むと判定した例を示す図である。ソフトウェアキー510、及びソフトウェアキー512は、観察モードの選択機能が関連付けられている。つまり、ソフトウェアキー510は、第1のモードを選択し、ソフトウェアキー512は、第2のモードを選択する。このように、ソフトウェアキー510、及び、ソフトウェアキー512は、蛍光波長又は励起波長の選択機能である。より具体的には、ソフトウェアキー510は、
図21に示すような、白色光及び狭帯域光を時分割発光させる照射制御を選択し、ソフトウェアキー512は、
図22に示すような、励起光(狭帯域光)を継続的に発光させる照射制御を選択する。
【0161】
このように、ソフトウェアキー512は、可視光の発光に対応する機能が無効化されており、ソフトウェアキー510は、可視光の発光に対応する機能が有効化されている。なお、本実施形態に係るソフトウェアキー510が第1ソフトウェアキーに対応し、ソフトウェアキー512が第2ソフトウェアキーに対応する。
【0162】
図23の(a)では、取得部64が、照射環境情報がオープンフィールドを含まないと判定しているので、制御部60は、第1のモードを選択するソフトウェアキー510を表示し、第2のモードを選択するソフトウェアキー512をグレイアウトし、選択できないようにする。ソフトウェアキー510を指示すると、硬性鏡に関する蛍光発光の制御が実施される。この場合、ソフトウェアキー512は、押せないだけでなく、タッチパネル65への表示のさせかたとして、色などを異ならせてもよい。例えば、ソフトウェアキー510を青色とし、ソフトウェアキー512を赤色としてもよい。或いは、ソフトウェアキー512を表示させないようにしてもよい。このように、表示形態を異ならせることにより、無効化させる側のソフトウェアキー512が操作不可である、或いは、設定不可であることがわかる。或いは、表示されていないことでその機能が使えないことがわかるものである。
【0163】
図23の(b)では、取得部64が、照射環境情報が、オープンフィールドを含むと判定しているので、制御部60は、第2のモードを選択するソフトウェアキー512を表示し、第1のモードを選択するソフトウェアキー512をグレイアウトし、選択できないようにする。ソフトウェアキー512を指示すると、リングライト19に関する蛍光発光の制御が実施される。この場合、ソフトウェアキー510は、押せないだけでなく、表示のさせかたとして、色などを異ならせてもよい。例えば、ソフトウェアキー512を青色とし、ソフトウェアキー510を赤色としてもよい。或いは、ソフトウェアキー510を表示させないようにしてもよい。上述のように、表示形態を異ならせることにより、無効化させる側のソフトウェアキー510が操作不可である、或いは、設定不可であることがわかる。或いは、表示されていないことでその機能が使えないことがわかるものである。
【0164】
以上説明したように、本実施形態では、取得部64が、オープンフィールドを含むと判定した場合に、第1のモードを選択するソフトウェアキー512をグレイアウトし、選択できないようにすることとした。これにより、白色光及び狭帯域光を時分割発光させる照射がリングライト19で行われることが防がれ、リングライト19により照射される照射光は、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光が無効化され、術者等の目に入る状況では、ちらつきを生じさせないことができる。
【0165】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る観察システム10では、第1撮像素子52a及び第2撮像素子52bを有する点で、第1実施形態に係る観察システム10と相違する。以下では、第1実施形態に係る観察システム10と相違する点を説明する。
【0166】
図24は、撮像装置11の撮像素子構成の一例を示すブロック図である。
図24に示す4(第1撮像素子52a及び第2撮像素子52b)と、第1撮像素子52a及び第2撮像素子52bに向けて観察光L1を出射する波長分離光学素子56とを、有する。波長分離光学素子56は、ダイクロイックミラーなどの任意の光学素子によって構成され、観察光L1のうちの特定の波長域の光を第1撮像素子52aに向けて出射しつつ、他の波長域の光を第2撮像素子52bに向けて出射する。
【0167】
例えば、観察光L1中の狭帯域光成分(例えば蛍光成分)が波長分離光学素子56により反射されて第1撮像素子52aにより受光されつつ、他の波長域の白色光成分が波長分離光学素子56を透過して第2撮像素子52bにより受光されてもよい。この場合、白色光及び狭帯域光の両方が光源装置13において同時的に発光されて観察対象に同時的に照射されても、撮像装置11は、白色光及び狭帯域光を同時的且つ分離して受光し、白色光に関する撮像画像及び狭帯域光に関する撮像画像を別々に出力できる。
【0168】
このように撮像装置11は、様々な撮像方式をとりうる。したがって制御装置12は、実際に接続される撮像装置11の撮像方式に基づき、光源装置13の発光制御を変えてもよい。
【0169】
図25は、光源装置13から硬性鏡18に光(特に白色光及び励起光(狭帯域光))を供給する場合を示す図である。
図25の(a)において「蛍光画像フレーム」は撮像画像として1つの蛍光画像を取得する範囲を示し、「白色光画像フレーム」は撮像画像として1つの白色光の反射光画像を取得する範囲を示す。
図25の(b)において「励起光」は励起光のパルスを示し、「白色光」は白色光のパルスを示す。
図25の(b)の場合には、「励起光」と共に例えばB、G光を照射する。このように、制御装置12は、励起光と白色光とを所定のパルス幅tw-n、tw-wで周期的に発光させ、例えば白色光のうちの少なくとも一部の波長帯の光、例えばG成分、B成分の光を励起光の発光期間においても発光させる制御を実行する蛍光撮影モードを有する。
【0170】
B、G光は、光学素子56を透過して第2撮像素子52bにより受光される。これにより、可視画像を連続的に撮像される。また、
図25で示す蛍光撮影用のパルス光が、誤ってリングライト19に送られても、人の目には、白色光が連続的に照射されているように見え、ちらつきが抑制される。なお、照明のカラーバランスを変えるには、光源装置13からレンズユニット44に至るいずれかの場所で物理的な光学フィルタを入れることで可能となる。或いは、もしくはRGB-LEDのように複数波長の光源の合波によって白色照明を実現する光源の場合は、一部の波長の光源の出力を変えることで可能となる。なお、励起光の発光期間においても発光させる白色光は、G成分、B成分には限定されない。上述のように、白色光と、狭帯域光成分(例えば蛍光成分)は波長分離光学素子56に分離されるので、観察光L1として定常的に白色光を照射し続けることも可能である。すなわち、パルス幅tw-nで照射される可視光の波長帯及び発光強度と、パルス幅tw-wで照射される可視光の波長帯及び発光強度との相違が、人の目にちらつきを感じさせない範囲とされればよい。
【0171】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る観察システム10では、第2のモードで起動する点で第1実施形態に係る観察システム10と相違する。以下では、第1実施形態に係る観察システム10と相違する点を説明する。
【0172】
図26は、起動時の処理例を示すフローチャートである。
図26に示すように、制御部60は、起動時であるか否かを判定する(ステップS300)。起動時である場合、制御部60は、第2のモードを選択し、起動する(ステップS302)。
【0173】
次に、制御部60は、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS304)。制御部60は、所定の時間が経過したと判定する場合(ステップS304のY)、第1のモードを受け付け、処理を終了する。一方で、制御部60は、所定の時間が経過していない判定する場合、制御部60は、ステップS304の処理を繰り返す。
【0174】
第2のモードの方が人間の目で感知できるちらつきを生じさせる光を発光しないため、常にその状態で起動する。そのうえで、制御部60は、取得部64が、オープンフィールドの情報を有さないと判定する場合に、第1のモードを選択するソフトウェアキー510を表示し、第2のモードを選択するソフトウェアキー512をグレイアウトし、選択できないようにする(
図23参照)。このように、第1のモードを有効にするために、例えば、起動から一定時間経過後、という条件を付けてもよい。体腔外用途は起動後すぐに蛍光観察を使用する場面が多いと想定されるためである。このように、体腔外用途の制御の方が人間の目で感知できるちらつきを生じさせる光を発光しないため、常にその状態で起動することにより、人間の目で感知できるちらつきを生じさせることを抑制できる。
【0175】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る観察システム10では、リングライト19が光源装置13に接続される場合に、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる照射をさせないことに加え、人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる照射をさせない点で、第1実施形態に係る観察システム10と相違する。以下では、第1実施形態に係る観察システム10と相違する点を説明する。
【0176】
LED光源を用いる照明器具が一般化している。LED光源は、点滅制御で用いられることが多くあるため、照明器具の点滅への基準が制定されている。第で6実施形態に係る観察システム10では、一般の照明器具の点滅への基準に準拠可能とする点で第1実施形態に係る観察システム10と相違する。
【0177】
このような、一般の照明器具の点滅の周波数の基準としては、国際規格(例えばIEEE1789)では、「1.2kHz~3kHz未満は低リスク、3kHz以上はリスク無し」と規定されている。また、日本の電気用品安全法(PSE法)では「500Hz以上」は、リスク無し、と規定されている。さらにまた、米国電機工業会(NEMA77(2017))では「400Hz以上」は、リスク無し、と規格されている。このように、一般の照明器具での点滅の周波数「X」Hzの基準は、地域、或いは、準拠させる規格などにより異なる。なお、これらの基準は一般の照明器具の基準であり、医療機器の基準とは異なるものである。
【0178】
本実施形態に係る観察システム10では、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ「X」Hz未満の周波数で切り替える発光を禁止する。すなわち、本実施形態に係る観察システム10では、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光をしないように光源装置13の発光周期(駆動パルスがオンの周期)が調整される。「X」Hzは、例えば、400Hz、500Hz、2kHz~3kHz、などであり、地域、或いは、準拠させる規格などにより異ならせることが可能である。
【0179】
すなわち、本実施形態に係る観察システム10では、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光を無効化することが可能である。例えば、本実施形態に係る観察システム10では、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ所定値である「X」Hz未満の周波数で時間的に切り替える発光を無効化することが可能である。「X」Hzは、使用する地域に基づき定め得る周波数である。
【0180】
[リングライトに関する第3の発光調整例]
光源装置13の発光目標光量が比較的大きい間(例えばINDEX「17」~「9」の場合)は、上述の硬性鏡18に関する発光制御と同様に、光源に供給される電流値が調整されて光源からの発光量自体が調整される(
図17参照)。
【0181】
一方、光源装置13の発光目標光量が比較的小さい場合(例えばINDEX「8」~「1」の場合)、光源に供給される電流駆動パルスのパルス変調制御(PWM制御)に加え、発光周期(駆動パルスがオンの周期)が調整される(
図17参照)。
【0182】
すなわちリングライト19に関する発光制御(パルス変調制御)が、発光(駆動パルス-オン)及び非発光(駆動パルス-オフ)を周期的に繰り返す点は、第2実施形態に係る硬性鏡18に関するPWM制御と同様である。ただしリングライト19に関する発光制御(パルス変調制御)では、上述の硬性鏡18に関するPWM制御と比べ、発光周波数が周波数「X」Hzに基づき設定される点で相違する。すなわち、光源装置13の発光周期TL(
図17(b)参照)は、周期TRを発光周期TLで除算して、周期TRの周波数を乗算した値が周波数「X」Hz以上になるように設定される。このように、発光周期TLは、TL<1/X(s)となるように設定される。
【0183】
再び、
図18(b)を参照すると、第1状態(tp期間)、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態(tw期間)を周期的に繰り返している場合に、繰り返し周期が3Hz以上、且つ「X」Hz未満の場合は、発光が無効化される。
【0184】
また、上述したように、第1状態(tp期間)、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態(tw期間)を周期的に繰り返している場合に、第2状態のtw期間の長さも、人の目にちらつきを感じさせる要因となる。例えば、上述したように、周波数65Hzの1周期の時間は約15.4msであり、半周期は約7.7msである。視覚心理実験では、第2状態のtw期間が7.7ms以下の時間であれば、その状態は認識されないためわずらわしさの問題はないものである。
【0185】
上述した第2状態のtw期間は約7.7ms(=(500/65)ms)である。そこで、本実施形態に係る観察システム10では、tw期間=(500/65)(ms)×(65(Hz)/X(Hz))=500/X(ms)未満となる様にtw期間を設定する。換言すると、tw期間≧500/X(ms)である場合に、発光を無効化する。
【0186】
例えば、60Hzのtw期間は、tw期間≧500/60(ms)は約8.3msである。このため、Duty比50%では、点滅は約8.3ms毎の切り替わりになり、ちらつきが認識されてしまう。このような発光は無効化される。一方で、60Hzの1周期は約16.7msでDuty比40%:60%であれば、第2状態のtw期間と第1状態(tp期間)とは、6.7ms:10msとなり6.7ms側は認識されない領域に入るため60Hzでも、人の目にちらつきを感じさせないものである。このような発光は無効化せずに使用可能となる。
【0187】
このように、光源装置13の発光目標光量が比較的小さい場合(例えばINDEX「8」~「1」の場合)、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光は、無効化される。すなわち、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ所定値である「XHz」未満の周波数で時間的に切り替える発光は、無効化される。この「X」Hzは、上述のように、使用する地域に基づき定め得る周波数である。また、第1状態(tp期間)、及び第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態(tw期間)を周期的に繰り返しており、第2状態(tw期間)はY(ms)より長い期間維持される場合に、発光は、無効化される。このときの、Y(ms)は、500を「X」Hzで除算した値である。
【0188】
発光を無効化する場合、例えば、ソフトウェアキー500、502(
図7参照)を介して、操作者(ユーザ)によって手動的に調整される場合には、INDEX「17」~「9」の範囲に限定される。これにより、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光範囲(INDEX「8」~「1」)が無効化される。
【0189】
以上説明したように、本実施形態によれば、リングライト19用にパルス光を用いるパルス変調制御を用いる場合には、硬性鏡18用と同じINDEX[8]~[1]の範囲でも周波数の目標値が関連づけられる範囲を、人間の目で感知できるちらつきを生じさせない範囲に加え、人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせない範囲とした。これにより、リングライト19により照射される照射光が、術者等の目に入る状況でもちらつきを生じさせないと共に、人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせないことが可能となる。
【0190】
本明細書で開示されている実施形態及び変形例は全ての点で例示に過ぎず限定的には解釈されないことに留意されるべきである。上述の実施形態及び変形例は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態での省略、置換及び変更が可能である。例えば上述の実施形態及び変形例が全体的に又は部分的に組み合わされてもよく、また上述以外の実施形態が上述の実施形態又は変形例と組み合わされてもよい。また、本明細書に記載された本開示の効果は例示に過ぎず、その他の効果がもたらされてもよい。
【0191】
上述の技術的思想を具現化する技術的カテゴリは限定されない。例えば上述の装置を製造する方法或いは使用する方法に含まれる1又は複数の手順(ステップ)をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムによって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。またそのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な非一時的(non-transitory)な記録媒体によって、上述の技術的思想が具現化されてもよい。
【0192】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
【0193】
(1)
異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、
前記制御装置は、
前記照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、
前記取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、前記照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、
前記第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記所定の発光に対応する機能が有効化されている、
観察システム。
【0194】
(2)
前記所定の発光とは、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光である、(1)に記載の観察システム。
【0195】
(3)
前記所定の発光とは、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ65Hz未満の周波数で時間的に切り替える発光である、(1)又は(2)に記載の観察システム。
【0196】
(4)
前記所定の発光とは、少なくとも第1状態、及び前記第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、前記第2状態は7.7msより長い期間である、(1)~(3)のいずれかに記載の観察システム。
【0197】
(5)
前記無効化するソフトウェアキーと前記有効化するソフトウェアキーとは、前記表示部に表示する表示態様が異なる、(1)~(4)のいずれかに記載の観察システム。
【0198】
(6)
前記第1ソフトウェアキー、及び前記第2ソフトウェアキーは、明るさの制御に関連するソフトウェアキーであり、明るさの目標値が関連付けられている、(1)~(5)のいずれかに記載の観察システム。
【0199】
(7)
前記第1ソフトウェアキーで選択可能な明るさの範囲より、前記第2ソフトウェアキーで選択可能な明るさの範囲が広い、(6)に記載の観察システム。
【0200】
(8)
記第1ソフトウェアキーと、前記第2ソフトウェアキーとでは、ユーザが選択可能な明るさの目標値の範囲が変わる、(7)に記載の観察システム。
【0201】
(9)
前記第1ソフトウェアキー、及び前記第2ソフトウェアキーは、観察モードの選択機能が関連付けられている、(1)に記載の観察システム。
【0202】
(10)
前記第1ソフトウェアキー、及び前記第2ソフトウェアキーは、蛍光波長or励起波長の選択機能である、(1)~(9)のいずれかに記載の観察システム。
【0203】
(11)
前記第1ソフトウェアキーは、可視光の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記可視光の発光に対応する機能が有効化されている、(10)に記載の観察システム。
【0204】
(12)
前記取得部は、前記光源装置に接続される導光部のタイプを照射環境情報として取得しており、第1タイプの導光部を介して前記光源装置に接続される場合を、オープンフィールドを含むと判定し、
前記第1タイプと異なる第2タイプの導光部を介して前記光源装置に接続される場合を、前記オープンフィールドを含まないと判定する、(1)~(11)のいずれかに記載の観察システム。
【0205】
(13)
前記取得部は、被写体からの光を撮像する撮像装置から出力される撮像画像を照射環境情報として取得しており、前記撮像画像に基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、(1)~(11)のいずれかに記載の観察システム。
【0206】
(14)
前記取得部は、撮像画像のカテゴリを認識する認識機能を有し、
前記取得部は、前記カテゴリに基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、(13)に記載の観察システム。
【0207】
(15)
撮像装置に取り付けられた状態の画像観察用照明装置は、前記撮像装置に取り付けられた状態のオープンフィールド用照明装置とは異なる形態で被写体からの光の一部を遮光しつつ、当該光を前記撮像装置によって受光させ、
前記取得部は、前記撮像装置から出力される撮像画像中の遮光部分の情報を照射環境情報として取得しており、前記遮光部分の情報に基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、(1)~(11)のいずれかに記載の観察システム。
【0208】
(16)
前記取得部は、トロッカーを画像観察用照明装置が通過したか否かの情報を照射環境情報として取得しており、前記通過したか否かの情報に基づき、前記オープンフィールドを含むか、否かを判定する、(1)~(11)のいずれかに記載の観察システム。
【0209】
(17)
前記制御装置の起動時には、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させる、(1)~(16)のいずれかに記載の観察システム。
【0210】
(18)
画像観察用照明装置及びオープンフィールド用照明装置に接続可能な前記光源装置と、
前記画像観察用照明装置及び前記オープンフィールド用照明装置に接続可能な撮像装置と、を更に備える、(1)~(17)のいずれかに記載の観察システム。
【0211】
(19)
前記制御装置は、
前記制御装置に接続される撮像装置が、白色光を受光する第1撮像素子と、励起光に対応する狭帯域光を受光する第2撮像素子と、を有する場合には、前記光源装置を、励起光と白色光とを所定の間隔で周期的に発光させ、白色光のうちの少なくとも一部の波長帯の光を前記励起光の発光期間においても発光させる制御を実行するモードを有する、(1)に記載の観察システム。
【0212】
(20)
異なる照射環境へ照射する照射光の発光方法であって、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報が含まれる情報信号を取得する取得工程と、
前記照射環境情報がオープンフィールドを含むか否かを前記情報信号により判定する判定工程と、
前記照射環境情報が前記オープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に制御信号により表示させ、前記照射環境情報が前記オープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に前記制御信号により表示させる表示工程と、を備え、
前記第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記所定の発光に対応する機能が有効化されている、
発光方法。
【0213】
(21)
異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置を備える観察システムであって、
前記制御装置は、
前記照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、
前記取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、前記照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、
前記第1ソフトウェアキーは、少なくとも第1状態、及び前記第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返させる機能を有しており、前記第2状態が7.7msより長い期間を有する発光に対する周波数の機能が制限を有し、
前記第2ソフトウェアキーは、前記周波数に対応する機能が制限を有さない、
観察システム。
【0214】
(22)
異なる照射環境へ照射する照射光を制御する制御装置であって、
前記制御装置は、
前記照射光を生成する光源装置を制御する制御部と、
前記照射光の照射の環境に関する照射環境情報を取得する取得部と、を有し、
前記制御部は、
前記取得部が取得した照射環境情報がオープンフィールドを含む場合、第1ソフトウェアキーを表示部に表示させ、前記照射環境情報がオープンフィールドを含まない場合、第2ソフトウェアキーを表示部に表示させ、
前記第1ソフトウェアキーは、所定の発光に対応する機能が無効化されており、前記第2ソフトウェアキーは、前記所定の発光に対応する機能が有効化されている、
制御装置。
【0215】
(23)
前記所定の発光とは、人間の目で感知できるちらつきを生じさせる発光、及び人間の目で感知できないが人間に影響を及ぼすちらつきを生じさせる発光の少なくとも一方である、(1)に記載の観察システム。
【0216】
(24)
前記所定の発光とは、明るさ、及び波長の少なくともいずれかが異なる複数の発光状態を3Hz以上、且つ所定値であるXHz未満の周波数で時間的に切り替える発光であり、
前記XHzは、使用する地域に基づき定め得る周波数である、(1)に記載の観察システム。
【0217】
(25)
前記所定の発光とは、少なくとも第1状態、及び前記第1状態よりも可視光の帯域の発光強度の高い第2状態を周期的に繰り返しており、前記第2状態はYmsより長い期間維持され、
前記Ymsは、500を前記XHzで除算した値である、(24)に記載の観察システム。
【符号の説明】
【0218】
10 観察システム
11 撮像装置
12 制御装置
13 光源装置
14 表示装置
16 ライトガイド
16a 第1ライトガイド端部
16b 第2ライトガイド端部
18 硬性鏡
19 リングライト
20 挿入部
21 挿入先端部
22 光接続部
23 撮像接続部
32 ライトガイド
33 撮像接続部
45 コネクタ
52 撮像素子
52a 第1撮像素子
52b 第2撮像素子
56 波長分離光学素子
60 制御部
61 通信部
62 画像生成部
64 取得部
65 タッチパネル
90 被検体
500 ソフトウェアキー
502 ソフトウェアキー
510 ソフトウェアキー
512 ソフトウェアキー
L1 観察光
TL 発光周期
TR 露光周期
tp パルス間間隔
tw パルス幅
P 撮像画像
P0 観察画像
P1 遮光部分