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特開2025-1105乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム
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  • 特開-乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム 図1
  • 特開-乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム 図2
  • 特開-乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001105
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム
(51)【国際特許分類】
   F23J 3/02 20060101AFI20241225BHJP
   F23J 1/06 20060101ALI20241225BHJP
   F23J 1/00 20060101ALI20241225BHJP
   F23G 5/027 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
F23J3/02 A
F23J1/06
F23J1/00 D
F23G5/027 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100504
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】391060281
【氏名又は名称】株式会社キンセイ産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金子 正元
【テーマコード(参考)】
3K161
3K261
【Fターム(参考)】
3K161AA05
3K161DB23
3K161EA45
3K161HA33
3K261HA04
3K261HB04
(57)【要約】
【課題】底扉に乾溜炉の底部に対応する突条が形成されていても、突条の内側への灰化物の残留を防止することができる乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムを提供する。
【解決手段】灰出しシステム51は、乾溜炉2aと、可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉4とを備える乾溜ガス化焼却処理装置1に用いられる。乾溜炉2aの底部に備えられる底扉7aと、底扉7aを昇降させる底扉昇降手段53と、灰化物Bを払い出す灰化物払い出し手段62と、払い出された灰化物Bを収容する灰化物収容手段66と、底扉7a上に残存する灰化物Bを清掃する清掃手段63とを備える。清掃手段63は、底扉上に形成された突条54cに沿って移動して、突条54cの内側に残留する灰化物Bを掻き取る掻き取り手段64を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納された廃棄物の一部を燃焼させつつ燃焼熱により廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉から導入される可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉とを備える乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムであって、
前記乾溜炉の底部を開閉自在に閉塞する底扉と、
前記乾溜炉の底部に対して前記底扉を昇降させる底扉昇降手段と、
前記底扉昇降手段により前記乾溜炉の底部から下降された前記底扉の一方の側から他方の側に移動して前記底扉上に堆積する前記灰化物を前記底扉上から払い出す灰化物払い出し手段と、
前記底扉の下方に配設されて前記底扉上から払い出された前記灰化物を収容する灰化物収容手段と、
前記灰化物払い出し手段により前記灰化物が払い出された前記底扉の一方の側から他方の側に移動して前記底扉上に残存する前記灰化物を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段は、前記乾溜炉の底部の輪郭に沿って前記底扉上に形成された突条に沿って移動して、前記突条の内側に残留する前記灰化物を掻き取る掻き取り手段を備えることを特徴とする乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム。
【請求項2】
前記掻き取り手段は、前記灰化物払い出し手段の移動方向に沿った第1の移動方向への移動と、該第1の移動方向に直交する第2の移動方向への移動とを組み合わせることにより、前記突条をなぞるように移動させるトレース機構を備えることを特徴とする請求項1記載の乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾溜炉と、燃焼炉とを備え、該乾溜炉で生成した可燃性ガスを該燃焼炉に導いて完全燃焼させる乾溜ガス化焼却処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記乾溜ガス化焼却処理装置では、前記乾溜炉内に収納した廃タイヤ等の廃棄物の一部を燃焼させ、その燃焼熱により該廃棄物の残部を乾溜(熱分解)して、可燃性ガスを生成させる乾溜ガス化を行い、該乾溜ガス化により生成する可燃性ガスを該乾溜炉から前記燃焼炉に導入して燃焼させる。前記乾溜炉内に収納した廃棄物は、乾溜により可燃性ガスを生成できる部分が無くなると、該乾溜炉内で灰化され灰化物となる。
【0004】
前記乾溜ガス化焼却処理装置はバッチ式(回分式)であるので、前記乾溜炉に収容された前記廃棄物が灰化されて灰化物となったならば、次回の廃棄物の処理の準備を行うために、該灰化物を該乾溜炉外に取り出す必要がある。尚、本願では、前記灰化物を前記乾溜炉外に取り出す操作を「灰出し」と記載する。
【0005】
前記乾溜炉の底部には、該底部を開閉自在とする底扉が備えられており、前記灰出しは該底扉を下降させ、該底扉上に堆積した前記灰化物を人力により払い出すことにより行われている。
【0006】
しかし、乾溜炉の底扉を下降させると微細な灰化物が飛散し、作業員は劣悪な環境で作業を行うことになるため、人力による灰出し作業は極めて煩わしい。
【0007】
更に、前述のように前記乾溜ガス化焼却処理装置はバッチ式であるので、例えば2基の乾溜炉を交互に運転することにより、連続運転することが検討されている。この場合には、一方の乾溜炉で廃棄物の乾溜ガス化が行われている間に、他方の乾溜炉で灰出しを行い、次回の乾溜ガス化に用いられる廃棄物を投入し、更に該廃棄物の一部に点火して火床を形成し、次回の乾溜ガス化の準備を行う必要がある。
【0008】
そこで、本出願人は、乾溜炉の底扉を下降させる際に灰化物を飛散させることなく、また人力に頼らずに自動で短時間のうちに灰出しを行うことができる乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムを提案した(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015-143615号公報
【特許文献2】特許第6889904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、底扉は、乾溜炉の底部を閉塞する際に乾溜炉の気密性を確保するため、乾溜炉の底部に対応する環状の突条を備えている。このため、底扉の突条の内側にも灰化物が付着する。そして、底扉上の灰化物は、上記従来の灰出しシステムにより除去できるが、突条の内側に付着した灰化物は残留してしまう。
【0011】
突条の内側に灰等が残留していると、灰出扉を閉めた時に、噛んだ状態になり隙間ができるため、気密性を保てなくなり、乾溜炉への空気供給量を調整できず、異常燃焼の原因となる。
【0012】
そのため、人の作業によりほうきで掃く、エアーガンで吹く、或いは、放水して洗浄するといったことが行われ、手間がかかる不都合があった。
【0013】
上記の点に鑑み、本発明は、底扉に乾溜炉の底部に対応する突条の内側に付着する灰化物を自動で除去することができる乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するために、本発明は、収納された廃棄物の一部を燃焼させつつ燃焼熱により廃棄物の残部を乾溜して可燃性ガスを発生させる乾溜炉と、該乾溜炉から導入される可燃性ガスを燃焼させる燃焼炉とを備える乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムであって、前記乾溜炉の底部を開閉自在に閉塞する底扉と、前記乾溜炉の底部に対して前記底扉を昇降させる底扉昇降手段と、前記底扉昇降手段により前記乾溜炉の底部から下降された前記底扉の一方の側から他方の側に移動して前記底扉上に堆積する前記灰化物を前記底扉上から払い出す灰化物払い出し手段と、前記底扉の下方に配設されて前記底扉上から払い出された前記灰化物を収容する灰化物収容手段と、前記灰化物払い出し手段により前記灰化物が払い出された前記底扉の一方の側から他方の側に移動して前記底扉上に残存する前記灰化物を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記乾溜炉の底部の輪郭に沿って前記底扉上に形成された突条に沿って移動して、前記突条の内側に残留する前記灰化物を掻き取る掻き取り手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、底扉が突条を備えているために突条の内側近傍に灰化物が残留していても、掻き取り手段が突条に沿って移動しつつ突条の内側に残留する前記灰化物を掻き取るので、底扉上への灰化物の残留を防止することができる。
【0016】
また、本発明において、前記掻き取り手段は、前記灰化物払い出し手段の移動方向に沿った第1の移動方向への移動と、該第1の移動方向に直交する第2の移動方向への移動とを組み合わせることにより、前記突条をなぞるように移動させるトレース機構を備えることを特徴とする。
【0017】
トレース機構は、灰化物払い出し手段の移動方向に沿った第1の移動方向への移動と、第1の移動方向に直交する第2の移動方向への移動とを組み合わせて突条に沿った移動を実現させる。即ち、トレース機構は、第1の移動方向への掻き取り手段の移動量に応じて、掻き取り手段を第2の移動方向へ移動させることで、掻き取り手段が移動する軌道を突条の形状に対応させることができる。これにより、掻き取り手段は、突条をなぞるように精度よく移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に用いる乾溜ガス化焼却処理装置の構成を示すシステム構成図。
図2】本発明の乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムの構成を示す説明的断面図。
図3】本発明の乾溜ガス化焼却処理装置の灰出しシステムにおける廃棄物払い出し手段及び清掃手段の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の灰出しシステムは、例えば、図1に示す構成を備える乾溜ガス化焼却処理装置1において好適に採用することができる。
【0020】
先ず、乾溜ガス化焼却処理装置1の構成について説明する。乾溜ガス化焼却処理装置1は、廃タイヤ等の廃棄物Aを収納し、その乾留ガス化及び灰化を行う2基の乾溜炉2a,2bと、乾溜炉2a,2bにガス通路3a,3bを介して接続される燃焼炉4とを備えている。
【0021】
乾溜炉2a,2bの上面部には、それぞれ開閉自在な投入扉5a,5bが設けられた投入口6a,6bが形成されている。廃棄物Aは、投入口6a,6bから乾溜炉2a,2b内へ投入される。
【0022】
乾溜炉2a,2bの下部には、開閉自在の底扉7a,7bが設けられている。乾溜炉2a,2bは、投入扉5a,5b及び底扉7a,7bを閉じた状態で、その内部が実質的に外部と遮断されるようになっている。
【0023】
底扉7a,7bの下部には乾溜炉2a,2bの内部と隔離された空室8a,8bが形成されており、空室8a,8bは、底扉7a,7bに設けられた複数の給気ノズル9a,9bを介して、乾溜炉2a,2bの内部に連通している。
【0024】
乾溜炉2a,2bの下部の空室8a,8bには、それぞれ乾溜酸素供給路10a,10bが接続されており、乾溜酸素供給路10a,10bは、酸素供給路11を介して押込ファン等により構成された酸素供給源12に接続されている。
【0025】
乾溜酸素供給路10a,10bにはそれぞれ制御弁13a,13bが設けられ、制御弁13a,13bは弁駆動器14a,14bによりその開度が制御されるようになっている。この場合、弁駆動器14a,14bは、CPU等を含む電子回路により構成された制御装置15により制御される。
【0026】
更に、乾溜炉2a,2bの下部には、それぞれ乾溜炉2a,2bに収容された廃棄物Aに着火するための着火装置16a,16bが取り付けられている。着火装置16a,16bは点火バーナ等により構成され、燃料供給装置17a,17bから燃料供給路18a,18bを介して供給される燃料を燃焼させることにより、廃棄物Aに燃焼炎を供給する。
【0027】
燃焼炉4は、廃棄物Aの乾溜により生じる可燃性ガスとその完全燃焼に必要な酸素(空気)とを混合するバーナ部19と、酸素(空気)と混合された可燃性ガスを燃焼させる燃焼部20とからなり、燃焼部20はバーナ部19の下流側でバーナ部19に連通している。バーナ部19の上流側には、ガス通路3a,3bがそれぞれダンパ21a,21bを介して接続され、乾溜炉2a,2bにおける廃棄物Aの乾溜により生じた可燃性ガスがガス通路3a,3bを介してバーナ部19に導入される。
【0028】
バーナ部19の外周部には、その内部と隔離された空室(図示せず)が形成され、該空室はバーナ部19の内周部に穿設された複数のノズル孔(図示せず)を介してバーナ部19の内部に連通している。前記空室には、酸素供給路11から分岐する燃焼酸素供給路22が接続されている。
【0029】
燃焼酸素供給路22には制御弁23が設けられ、制御弁23は弁駆動器24によりその開度が制御されるようになっている。この場合、弁駆動器24は、制御装置15により制御される。
【0030】
バーナ部19の上流側には、燃焼装置25が取り付けられている。燃焼装置25は点火バーナ等により構成され、燃料供給装置26から燃料供給路27を介して供給される燃料を燃焼させることにより、バーナ部19に導入された可燃性ガスに着火し、或いは燃焼炉4を加熱する。
【0031】
燃焼部20の下流側には、燃焼炉4内で燃焼された燃焼排気により加熱される温水ボイラ28が取り付けられている。温水ボイラ28の出口側には、温水ボイラ28で冷却された燃焼排気を排出するダクト29aが設けられており、ダクト29aは開閉弁30を介して空冷式熱交換器31の上端部に接続されている。空冷式熱交換器31で冷却された燃焼排気は、空冷式熱交換器31の下部に開閉弁32を介して接続されたダクト29bにより取出される。
【0032】
一方、ダクト29aからは、開閉弁30の上流側でダクト29cが分岐しており、ダクト29cは開閉弁33を介して急冷塔34の上端部に接続されている。急冷塔34は、ダクト29cから導入される燃焼排気に散水して冷却するスプレー35を備えており、スプレー35は冷却水を供給する給水装置(図示せず)及び空気圧縮機(図示せず)に接続されている。
【0033】
急冷塔34で冷却された燃焼排気は、急冷塔34の下部に開閉弁36を介して接続されたダクト29dにより取出される。ダクト29dは開閉弁32,36の下流側でダクト29bに合流する。
【0034】
ダクト29bはバグフィルタ37の一方の端部に接続されており、ダクト29bからバグフィルタ37に導入される燃焼排気には薬剤サイロ38から供給される消石灰及び活性炭が混合され、脱硫及び脱臭が行われる。
【0035】
バグフィルタ37の他方の端部には、ダクト29eが接続されている。ダクト29eは、燃焼炉4内の燃焼排気を誘引する誘引ファン39を介して煙突40に接続されている。この結果、ダクト29eに流通される燃焼排気は、煙突40から大気中に放出される。
【0036】
また、燃焼炉4の下流側には、温水ボイラ28を用いない場合に燃焼排気を排出するダクト29fが設けられており、ダクト29fは開閉弁41を介してダクト29aに接続されている。
【0037】
乾溜ガス化焼却処理装置1において、廃棄物Aを焼却処理する際には、まず、底扉7aが閉じた状態で乾溜炉2aの投入扉5aを開き、投入口6aから廃タイヤ等の廃棄物Aを乾溜炉2a内に投入する。
【0038】
次に、制御装置15により乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入が完了し、乾溜炉2aに廃棄物Aが収容されていることが検知されると、投入扉5aを閉じて乾溜炉2a内を密封状態としたのち、燃焼炉4の燃焼装置25を作動させることにより、燃焼炉4の予熱が開始される。
【0039】
続いて、燃焼炉4内の温度が次第に上昇し、例えば760℃に達すると、制御装置15により弁駆動器14aが駆動されて制御弁13aの開度Vaが所定の開度、例えば25%とされ、乾溜炉2aに酸素(空気)の供給が開始される。
【0040】
更に、制御装置15により、乾溜炉2aに対する廃棄物Aの投入の完了と、乾溜炉2aに廃棄物Aが収容されていること、ダンパ21aが開かれていることとが検知されると、乾溜炉2aの着火装置16aが作動されて廃棄物Aに着火され、廃棄物Aの部分的燃焼が開始される。
【0041】
続いて、乾溜炉2aでは、制御装置15により弁駆動器14aが制御されて、制御弁13aの開度Vaが段階的に増大される。これに伴って、乾溜炉2aにおける廃棄物Aの部分的燃焼は、次第に拡大して安定化し、廃棄物Aの底部に火床が形成される。前記火床が形成されると着火装置16aは停止され、廃棄物Aの部分的燃焼の熱により廃棄物Aの他の部分の乾溜が開始され、可燃性ガスの生成が始まり、該可燃性ガスはガス通路3aを介してバーナ部19に導入される。
【0042】
バーナ部19では、制御装置15により弁駆動器24が駆動されて制御弁23の開度が所定の開度とされ、酸素供給源12から酸素供給路11、燃焼酸素供給路22を介して酸素(空気)が供給されている。そこで、前記可燃性ガスは、燃焼酸素供給路22を介して供給される酸素(空気)と混合され、燃焼装置25から供給される燃焼炎により着火されて、燃焼部20における燃焼が開始される。
【0043】
乾溜炉2aにおける可燃性ガスの発生が活発になり、該可燃性ガスが燃焼炉4において自然燃焼を開始すると、燃焼炉4内の温度は次第に上昇し、予め設定された第1の温度(以下、第1の設定温度という)、例えば930℃に達する。
【0044】
前記可燃性ガスの燃焼により燃焼炉4内の温度が前記第1の設定温度に達すると、燃焼装置25が停止され、制御装置15は、前記可燃性ガスの燃焼により、燃焼炉4内の温度が該第1の設定温度に維持されるように制御弁13aの開度Vaを調整し、乾溜炉2aにおける該可燃性ガスの生成をフィードバック制御する。
【0045】
燃焼部20における前記可燃性ガスの燃焼により発生する燃焼排気は、温水ボイラ28で冷却されてダクト29aに排出され、又は、温水ボイラ28を経由することなく、ダクト29fを介してダクト29aに排出される。
【0046】
ダクト29aに排出された前記燃焼排気は、温水ボイラ28を経由した場合には、ダクト29aから空冷式熱交換器31に導入されて更に冷却され、ダクト29bに排出される。また、温水ボイラ28を経由しなかった場合には、ダクト29cから急冷塔34に導入されて冷却され、ダクト29dを介してダクト29bに排出される。
【0047】
続いて、ダクト29bに排出された前記燃焼排気は、薬剤サイロ38から供給される消石灰及び活性炭と混合されて脱硫及び脱臭され、バグフィルタ37に導入されて灰や塵埃等が除去された後、ダクト29eに排出され、更に煙突40から大気中に放出される。
【0048】
乾溜炉2aにおける乾溜ガス化が進行し、乾溜炉2a内において可燃性ガスを生成させることができる廃棄物Aは殆ど失われると、第2の乾溜炉2bで生成した可燃性ガスが燃焼炉4に導入され、第2の乾溜炉2bで生成した可燃性ガスが燃焼炉4内で燃焼されるようになる。
【0049】
その後、乾溜炉2a内において乾溜により可燃性ガスを生成させることができる廃棄物Aは全く失われると、制御装置15は弁駆動器14aを介して制御弁13aの開度を所定の開度、例えば70%に維持し、乾溜炉2a内の廃棄物Aを灰化させる。そして、廃棄物Aが灰化した後は、制御装置15は弁駆動器14aを介して、制御弁13aが閉弁されるまでその開度を所定の割合で減少させる。
【0050】
乾溜炉2aでは、廃棄物Aの灰化が終了し、制御弁13aが閉弁されたならば、底扉7aを下降させて灰化物の払い出し(灰出し)を行ったのち、底扉7aを元の位置に復帰させる。そして、投入扉5aを開き、投入口6aから廃タイヤ等の廃棄物Aを乾溜炉2a内に投入して、次回の処理を準備する。
【0051】
次に、本発明の要旨に係る灰出しシステム51について、図2及び図3を参照して説明する。尚、図2及び図3では乾溜炉2a側のみを示して説明しているが、乾溜炉2も乾溜炉2aの場合と全く同一の構成を備え、全く同一に作動するようになっている。
【0052】
本実施形態の灰出しシステム51は、乾溜炉2aの底部に備えられた底扉7aと、底扉7aを昇降させる底扉昇降手段としてのシリンダ53とを備えている。
【0053】
底扉7aは、シリンダ53により下降されたときに周囲に灰化物Bが落下することを防止するために、その外縁から外方に延出された四角形の受け皿54を備えている。受け皿54は、底扉7aの上面(乾溜炉2aの底部となる面)と面一となるように備えられ、四角形の対辺に1対の側壁部材54a,54bを備えている。
【0054】
なお、側壁部材54a,54bは、底扉7aが乾溜炉2aの底部を閉鎖したときに、乾溜炉2aと干渉しないように乾溜炉2aの外方となる位置に設けられている。
【0055】
また、底扉7aには、その輪郭(底扉7aと受け皿54との境界線)に沿って円環状に突出する環状突条54cが設けられている。環状突条54cは、底扉7aが乾溜炉2aの底部に当接したときに、底扉7aと乾溜炉2aとの隙間を封止するためのパッキンとして作用する。
【0056】
シリンダ53は、例えば油圧シリンダであり、底扉7aを複数箇所で支持できるように例えば4基のシリンダ53が基台53a上に配設されている。尚、灰出しシステム51は、底扉昇降手段としてシリンダ53に代えてパンタグラフジャッキ等を備えるものであってもよい。
【0057】
また、本実施形態の灰出しシステム51は、底扉7aがシリンダ53により所定の灰出し位置(以下、灰出しステージという)に下降されたときに、底扉7aの両側の上方に各1本配設された1対の第1のレール部材55,56と、第1のレール部材55,56に沿って底扉7aの一方の側から他方の側に移動可能に備えられた枠体57とを備えている。
【0058】
前記灰出しステージにおいて、底扉7aは受け皿54の側壁部材54a,54bが第1のレール部材55,56の内側に収容され、第1のレール部材55,56と平行になるようにされる。
【0059】
第1のレール部材55,56は、図2に第1のレール部材55を例として示すように、上板部材55aと底板部材55bとが柱部材55cにより接続されたエッチ鋼形状を備えており、底板部材55bの下面にはラック58が備えられている。
【0060】
一方、枠体57は、第1のレール部材55,56に沿って摺動する摺動部材57a,57bと、摺動部材57a,57bをその下方で接続する接続部材57cと、摺動部材57a又は摺動部材57bから接続部材57cに斜めに設けられた補強部材57dとを備えている。
【0061】
摺動部材57a,57bは、図2及び図3に摺動部材57aを例として示すように、ラック58に噛合するピニオンギア59と、底板部材55bの上面に転動自在に当接されるローラー60とを備え、ピニオンギア59とローラー60とにより底板部材55bを挟持して保持するように構成されている。
【0062】
ローラー60は、摺動部材57a,57bの前部及び後部に配置されている。また、ピニオンギア59の回転軸には、枠体57の移動量を測定するためのロータリーエンコーダ(図示しない)が接続されている。なお、図示しないが、ロータリーエンコーダ以外に、レーザ測距装置によって枠体57の移動量を測定してもよく、ロータリーエンコーダとレーザ測距装置とを併用してもよい。
【0063】
また、枠体57は、底扉7a上に堆積する灰化物Bを払い出す灰化物払い出し手段としての排土板62が取り付けられている。
【0064】
更に、枠体57は、排土板62の後方に、排土板62により灰化物Bが払い出された後に底扉7a上に残存する灰化物Bを清掃する清掃手段63を備えている。清掃手段63は、図3に示すように、掻き取り手段として、回転ブラシ等の掻き取り部材64と、環状突条54cをなぞるように掻き取り部材64を移動させるトレース機構65とを備えている。
【0065】
掻き取り部材64は、回転ブラシに限るものではなく、圧縮エアを噴出させるノズル等でもよく、これらをアタッチメントとして、必要に応じて交換自在としてもよい。或いは、吸引式の所謂掃除機を採用してもよい。
【0066】
トレース機構65は、枠体57及び排土板62の移動方向(本発明における第1の移動方向に相当する。以下、X方向という)に直交する方向(本発明における第2の移動方向に相当する。以下、Y方向という)に延設された第2のレール部材66,67と、第2のレール部材66,67に沿って移動する移動フレーム68とを備えている。第2のレール部材66には、ラック69が設けられており、移動フレーム68には、ラック69に噛合するピニオンギア70が支持されている。ピニオンギア70は、図示しないサーボモータにより回転駆動され、ピニオンギア70の回転により移動フレーム68がY方向に移動する。移動フレーム68には、掻き取り部材64が支持されている。
【0067】
ピニオンギア70を回転駆動するサーボモータは、図示しない掻き取り動作制御手段により制御される。掻き取り動作制御手段は、枠体57のロータリーエンコーダが出力したX方向の移動距離を示す値と、予め設定された環状突条54cの平面視形状(本実施形態においては円形)に関するデータとに基づいて算出したY方向の移動量を示す指示値を用いてピニオンギア70のサーボモータを制御する。
【0068】
これにより、枠体57のX方向の移動量に応じて、移動フレーム68がY方向に移動し、それに伴って、掻き取り部材64は、環状突条54cの内側に沿って移動する。そして、環状突条54cの内側に沿って移動する掻き取り部材64により、環状突条54cの内側に残留する灰化物Bが掻き取られる。
【0069】
なお、本実施形態においては、図3に示すように、掻き取り部材64は、枠体57のX方向の前進時に、環状突条54cの一方側の半円弧部分に沿って移動し、枠体57のX方向の後退時に、環状突条54cの他方側の半円弧部分に沿って移動する。これにより、単一の掻き取り部材64を用いて環状突条54cの全周を掃除することが可能となり、比較的安価に構成することができる。一方、本発明はこれに限らず、図示しないが、2つの掻き取り部材64を設けてもよい。
【0070】
この場合には、掻き取り動作制御手段71は、枠体57のX方向の前進時に、環状突条54cの一方側の半円弧に沿っての一方の掻き取り部材64を移動させ、同時に、環状突条54cの他方側の半円弧に沿っての他方の掻き取り部材64を移動させる。これにより、比較的短時間で掻き取り動作を行うことができる。
【0071】
また、X方向の移動量に対し、Y方向の移動量が大きいときがあるが、Xのある値範囲は、X方向の移動速度を低速とする。
【0072】
また、X位置に対し、Y位置となる計算式を用いるが、実機にはX範囲によって係数を微調整することで、正しい位置に導くことができる。
【0073】
また、本実施形態の灰出しシステム51は、シリンダ53により下降された底扉7aの下方に配設され、底扉7a上から払い出された灰化物Bを収容する灰化物収容手段としてのコンテナ71と、灰化物Bをコンテナ71に案内するホッパー71aとを備えている。
【0074】
以上のように、本実施形態における灰出しシステム51は、上記構成の清掃手段63を設けたことにより、自動的に底扉7a上の灰出しを行うことができるだけでなく、清掃手段63によって環状突条54cの内側に付着する灰化物を自動で除去することができ、底扉7a上の灰化物の残留を防止することができる。
【0075】
なお、本実施形態の構成においては、ラック58とピニオンギア59を採用したことにより、ロータリーエンコーダとモータ、サーボモータのみ等を選択的に組み合わせることで、環状突条に沿わせることができる。
【符号の説明】
【0076】
1…乾溜ガス化焼却処理装置、2a,2b…乾溜炉、4…燃焼炉、7a,7b…底扉、53…シリンダ(底扉昇降手段)、54c…環状突条(突条)、62…排土板(灰化物払い出し手段)、63…清掃手段、64…掻き取り部材(掻き取り手段)、65…トレース機構、72…コンテナ(灰化物収容手段)。
図1
図2
図3