(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011051
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】プロセスパラメータの計算方法
(51)【国際特許分類】
G06N 5/04 20230101AFI20250116BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20250116BHJP
C12N 5/07 20100101ALN20250116BHJP
【FI】
G06N5/04
G06N20/00
C12N5/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024109313
(22)【出願日】2024-07-08
(31)【優先権主張番号】63/525,786
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524257993
【氏名又は名称】三顧股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】楊▲いん▼臻
(72)【発明者】
【氏名】孫子龍
(72)【発明者】
【氏名】林永松
(72)【発明者】
【氏名】陳宗基
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB40
4B065BC03
4B065BC07
4B065BC50
4B065CA44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所期のプロセス効果を達成するために、プロセスパラメータの計算方法を提供する。
【解決手段】プロセスパラメータの計算方法は、以下のステップを含む。即ち、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られる訓練済み予測モデルを提供する。データセットは複数のサンプルを含み、また、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含む。訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられ、また、目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定し、かつ、入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供する。そして、逆推論アルゴリズムによって、目標結果、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、入力パラメータのうちの少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練済み予測モデルを提供し、前記訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、前記データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各前記サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、前記訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、前記入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、
目標結果として、前記訓練済み予測モデルの前記予測結果を設定するとともに、前記入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供するステップと、
逆推論アルゴリズムによって、前記目標結果、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び前記データセット内の前記サンプルの前記サンプルパラメータを照合して、前記入力パラメータのうちの少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定するステップ、を含むプロセスパラメータの計算方法。
【請求項2】
前記データセットは、更に、プロセスデータセットを含み、前記プロセスデータセットは複数のプロセスサンプルを含み、各前記プロセスサンプルは複数のプロセスサンプルパラメータを含み、各前記プロセスサンプルパラメータは入手源パラメータ及び培養パラメータを含む請求項1に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項3】
各前記プロセスサンプルの前記入手源パラメータは、更に、各前記プロセスサンプルの入手源の属性データを含む請求項2に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項4】
各前記プロセスサンプルの前記培養パラメータは、更に、各前記プロセスサンプルにおけるヒト、機器、材料、方法、環境のパラメータを含む請求項2に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項5】
各前記サンプルパラメータは少なくとも1つの対応サンプルパラメータ及び少なくとも1つの未確認参照パラメータを含み、前記逆推論アルゴリズムによって、前記目標結果、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び前記データセット内の前記サンプルの前記サンプルパラメータを照合して、前記入力パラメータのうちの前記少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定するステップは、更に、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルを計算するステップと、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータに基づき、前記サンプルの前記サンプルパラメータから、対応する前記少なくとも1つの対応サンプルパラメータをそれぞれ取得するステップと、
前記少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算するステップと、
前記第1ベクトルと各前記サンプルの前記第2ベクトルを照合して、少なくとも1つの候補サンプルを選択するステップと、
前記少なくとも1つの候補サンプルの前記少なくとも1つの未確認参照パラメータと前記確認済み入力パラメータを組み合わせて前記訓練済み予測モデルに入力することで、前記サンプルから参照サンプルを取得し、前記参照サンプルの前記第2ベクトルは前記第1ベクトルと近似又は一致しており、且つ、前記参照サンプルの前記予測結果は前記目標結果と近似又は一致するステップと、
前記参照サンプルの前記サンプルパラメータにおける前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを前記少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含む請求項1に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項6】
前記第1ベクトルと各前記サンプルの前記第2ベクトルを照合して前記少なくとも1つの候補サンプルを選択するステップは、更に、
前記第1ベクトルと各前記サンプルの前記第2ベクトルとの間の夾角を計算し、前記第1ベクトルとの間に最も小さな前記夾角を有する前記第2ベクトルに対応する前記サンプルを前記候補サンプルとするステップ、を含む請求項5に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項7】
前記第1ベクトルと各前記サンプルの前記第2ベクトルを照合して前記少なくとも1つの候補サンプルを選択するステップは、更に、
距離関数により、前記第1ベクトルの先端点の座標と各前記サンプルの前記第2ベクトルの先端点の座標との距離を計算し、前記第1ベクトルとの間に最も小さな前記距離を有する前記第2ベクトルに対応する前記サンプルを前記候補サンプルとするステップ、を含む請求項5に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項8】
前記訓練済み予測モデルは、人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Networks,ANN)、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks,CNNs)、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Networks,RNNs)、決定木(Decision Trees)、サポートベクターマシン(Support Vector Machines,SVM)、ランダムフォレスト(Random Forests)、k近傍法(K-Nearest Neighbors,KNN)、k平均法(K-Means Clustering)、主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)、線形回帰(Linear Regression)、ロジスティック回帰(Logistic Regression)、勾配ブースティングマシン(Gradient Boosting Machines)、深層信念ネットワーク(Deep Belief Networks,DBN)、再帰型ニューラルネットワーク(Recursive Neural Networks,RecNN)、強化学習(Reinforcement Learning)、オートエンコーダ(Autoencoders)、ガウス過程(Gaussian Processes)及び複素ニューラルネットワーク(Complex Neural Networks)のうちのいずれかによって、前記データセットを機械学習することで得られる請求項1に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項9】
前記逆推論アルゴリズムによって、前記目標結果、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び前記データセット内の前記サンプルの前記サンプルパラメータを照合して、前記入力パラメータのうちの前記少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定するステップは、更に、
前記逆推論アルゴリズムによって、前記目標結果、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び前記データセット内の前記サンプルの前記サンプルパラメータを照合して、前記サンプルのうちの第1参照サンプルの前記サンプルパラメータを参照入力パラメータとして確認し、前記参照入力パラメータは少なくとも1つの未確認参照パラメータを含むステップと、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを前記訓練済み予測モデルに入力して参照予測結果を生成するステップと、
前記参照予測結果と前記目標結果を照合するステップと、
前記参照予測結果が前記目標結果と一致する場合には、前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを前記少なくとも1つの未確認入力パラメータと特定するステップ、を含む請求項1に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項10】
更に、
前記参照予測結果が前記目標結果と一致しない場合には、前記第1参照サンプルを排除して、再び前記逆推論アルゴリズムにより、前記目標結果、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び前記データセット内の前記サンプルの前記サンプルパラメータを照合して、前記サンプルのうちの第2参照サンプルの前記サンプルパラメータを前記参照入力パラメータとして取得するステップ、を含む請求項9に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項11】
更に、
前記データセット内の前記サンプルの前記少なくとも1つの対応サンプルパラメータを照合し、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び各前記サンプルに対応する前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを前記訓練済み予測モデルに入力することで、対応する前記参照予測結果を生成するステップと、
各前記サンプルに対応する前記参照予測結果と前記目標結果を照合することで、前記参照予測結果が前記目標結果と一致する前記参照サンプルを見つけるとともに、更に、参照サンプルセットを形成するステップ、を含む請求項10に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項12】
更に、
前記参照サンプルセット内の最初のK個のデータを線形結合し、最適化探索法により最適な未確認入力パラメータの組み合わせを見つけるステップ、を含む請求項11に記載のプロセスパラメータの計算方法。
【請求項13】
訓練済み予測モデルを提供し、前記訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、前記データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各前記サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、前記訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、前記入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、
目標結果として、前記訓練済み予測モデルの前記予測結果を設定するとともに、前記入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供し、各前記サンプルパラメータは、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータに対応する少なくとも1つの対応サンプルパラメータと、少なくとも1つの未確認参照パラメータを含むステップと、
少なくとも1つの前記サンプルの前記サンプルパラメータを前記訓練済み予測モデルに入力して少なくとも1つの候補サンプルを取得し、前記少なくとも1つの候補サンプルの前記予測結果は前記目標結果と近似又は一致するステップと、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルと、前記少なくとも1つの候補サンプルにおける前記少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算するステップと、
前記第1ベクトルと前記第2ベクトルを照合して参照サンプルを選択し、前記参照サンプルの前記第2ベクトルは前記第1ベクトルと近似又は一致しているステップと、
前記参照サンプルの前記サンプルパラメータにおける前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含むプロセスパラメータの計算方法。
【請求項14】
訓練済み予測モデルを提供し、前記訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、前記データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各前記サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、前記訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、前記入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、
目標結果として、前記訓練済み予測モデルの前記予測結果を設定するとともに、前記入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供し、各前記サンプルパラメータは、前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータに対応する少なくとも1つの対応サンプルパラメータと、少なくとも1つの未確認参照パラメータを含むステップと、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルを計算するステップと、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータに基づき、前記サンプルの前記サンプルパラメータから、対応する前記少なくとも1つの対応サンプルパラメータをそれぞれ取得するステップと、
前記少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算するステップと、
前記第1ベクトルと各前記サンプルの前記第2ベクトルを照合して少なくとも1つの候補サンプルを選択し、前記少なくとも1つの候補サンプルの前記第2ベクトルは前記第1ベクトルと近似又は一致しているステップと、
前記少なくとも1つの候補サンプルの前記サンプルパラメータを前記訓練済み予測モデルに入力して前記参照サンプルを取得し、前記参照サンプルの前記予測結果は前記目標結果と近似又は一致するステップと、
前記参照サンプルの前記サンプルパラメータにおける前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含むプロセスパラメータの計算方法。
【請求項15】
訓練済み予測モデルを提供し、前記訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、前記データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各前記サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、各前記サンプルパラメータは少なくとも1つの対応サンプルパラメータ及び少なくとも1つの未確認参照パラメータを含み、前記訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、前記入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、
目標結果として、前記訓練済み予測モデルの前記予測結果を設定するとともに、前記入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供するステップと、
前記少なくとも1つの確認済み入力パラメータと各前記サンプルパラメータの少なくとも1つの未確認参照パラメータを組み合わせて前記訓練済み予測モデルに入力することで、前記サンプルから参照サンプルを取得し、前記参照サンプルの前記予測結果は前記目標結果と近似又は一致するステップと、
前記参照サンプルの前記サンプルパラメータにおける前記少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含むプロセスパラメータの計算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスパラメータの計算方法に関し、特に、細胞培養プロセスに応用して、所望のプロセス効果に基づき対応するプロセスのステップを取得可能なプロセスパラメータの計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用工学技術の進歩に伴って、現在、疾病の臨床治療における再生医療の応用はますます多様化している。再生医療とは、主として、損傷した組織や器官を細胞の再生能力を利用して修復する医療技術であり、応用範囲が非常に広い。また、組織工学や分子生物学等の医療技術を組み合わせることで、例えば、糖尿病、神経疾患、心血管疾患及び癌等のかつては治療困難とされていた疾病の改善及び治療が可能になることが期待されている。現在、再生医療は、主に、器官の修復、免疫細胞治療及び幹細胞療法に応用されている。また、再生医療における細胞治療の研究及び応用は各界からますます注目を浴びている。細胞治療とは、人体の細胞を体外で培養又は加工する手順を経たあと、それらの細胞を個々の体内に移植して使用するものである。
【0003】
近年、多くの国の政府が細胞治療の応用を徐々に解禁していることから、国内外の多くの学者が相次いで細胞治療の研究に参入している。その結果、例えば、自家線維芽細胞による皮膚欠損の治療、自家軟骨細胞による膝関節軟骨欠損の治療、自家骨髄間葉系幹細胞による脊髄損傷の治療など、多くの疾病の治療において、細胞治療は著しい研究の進歩を遂げている。従来の研究によれば、個人の体内の細胞はいずれも独自の特徴を有しているため、疾病や症状の違いに応じて、事案ごとに適用される細胞製剤の種類も異なる。よって、個々の状況に応じて治療に適した細胞をカスタマイズする必要があることから、プロセス内での細胞の複雑度及び困難度が増してしまう。また、細胞治療の製品の品質は、治療の安全性及び有効性に直接的な影響を及ぼす。そのため、細胞培養プロセスでは、細胞の成長状態を厳格にコントロールするとともに、細胞成長の培養パラメータ及び環境パラメータを即時にモニタリングして、培養過程における細胞の汚染又は品質の悪化を回避する必要がある。しかしながら、異なる事案間で細胞の多様性(variability)は極めて高くなるため、異なる事案に適用される細胞製剤の最適な培養パラメータ及び環境パラメータは完全に同じとはならない。また、細胞製剤ごとに、プロセス内で各プロセスパラメータを調整して所期の結果を達成する必要があるため、固定のプロセスパラメータで各細胞製剤の生産を行うことはできない。従来技術では、機械学習によって大量のサンプルのデータセットについて訓練を行い、予測モデルを取得する。この予測モデルは、各種プロセスパラメータを入力して細胞培養の予測結果を生成することが可能なため、ユーザは、設計する細胞培養プロセスの効果を事前にシミュレーションできる。しかしながら、機械学習で訓練される上記の予測モデルでは、ユーザの所期の結果から細胞培養プロセスのプロセスパラメータを逆推定することはできない。換言すると、細胞培養プロセスを設計する際に、ユーザは、異なるプロセスパラメータを大量に試す必要があるため、細胞培養プロセスの設計及び改良に大量の労力と資源が費やされる。
【0004】
そこで、所期の結果に合致する細胞プロセスのプロセスパラメータを逆推定可能とすることで細胞プロセスを更に最適化する方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、以上で述べた従来の課題を解決するために、プロセスパラメータの計算方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、訓練済み予測モデルを提供し、訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供するステップと、逆推論アルゴリズムによって、目標結果、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、入力パラメータのうちの少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定するステップ、を含むプロセスパラメータの計算方法を提供する。
【0007】
データセットは、更に、プロセスデータセットを含む。プロセスデータセットは複数のプロセスサンプルを含む。各プロセスサンプルは複数のプロセスサンプルパラメータを含み、各プロセスサンプルパラメータは入手源パラメータ及び培養パラメータを含む。
【0008】
各プロセスサンプルの入手源パラメータは、更に、各プロセスサンプルの入手源の属性データを含む。
【0009】
各プロセスサンプルの培養パラメータは、更に、各プロセスサンプルにおけるヒト、機器、材料、方法、環境のパラメータを含む。
【0010】
各サンプルパラメータは少なくとも1つの対応サンプルパラメータ及び少なくとも1つの未確認参照パラメータを含む。また、逆推論アルゴリズムによって、目標結果、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、入力パラメータのうちの少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定するステップは、更に、少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルを計算するステップと、少なくとも1つの確認済み入力パラメータに基づき、サンプルのサンプルパラメータから、対応する少なくとも1つの対応サンプルパラメータをそれぞれ取得するステップと、少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算するステップと、第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合して、少なくとも1つの候補サンプルを選択するステップと、少なくとも1つの候補サンプルの少なくとも1つの未確認参照パラメータと確認済み入力パラメータを組み合わせて訓練済み予測モデルに入力することで、サンプルから参照サンプルを取得し、参照サンプルの第2ベクトルは第1ベクトルと近似又は一致しており、且つ、参照サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致するステップと、参照サンプルのサンプルパラメータにおける少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含む。
【0011】
本発明のプロセスパラメータの計算方法における第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合して少なくとも1つの候補サンプルを選択するステップは、更に、第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルとの間の夾角を計算し、第1ベクトルとの間に最も小さな夾角を有する第2ベクトルに対応するサンプルを候補サンプルとするステップ、を含む。
【0012】
本発明のプロセスパラメータの計算方法における第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合して少なくとも1つの候補サンプルを選択するステップは、更に、距離関数により、第1ベクトルの先端点の座標と各サンプルの第2ベクトルの先端点の座標との距離を計算し、第1ベクトルとの間に最も小さな距離を有する第2ベクトルに対応するサンプルを候補サンプルとするステップ、を含む。
【0013】
訓練済み予測モデルは、人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Networks,ANN)、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks,CNNs)、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Networks,RNNs)、決定木(Decision Trees)、サポートベクターマシン(Support Vector Machines,SVM)、ランダムフォレスト(Random Forests)、k近傍法(K-Nearest Neighbors,KNN)、k平均法(K-Means Clustering)、主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)、線形回帰(Linear Regression)、ロジスティック回帰(Logistic Regression)、勾配ブースティングマシン(Gradient Boosting Machines)、深層信念ネットワーク(Deep Belief Networks,DBN)、再帰型ニューラルネットワーク(Recursive Neural Networks,RecNN)、強化学習(Reinforcement Learning)、オートエンコーダ(Autoencoders)、ガウス過程(Gaussian Processes)及び複素ニューラルネットワーク(Complex Neural Networks)のうちのいずれかによって、データセットを機械学習することで得られる。
【0014】
本発明のプロセスパラメータの計算方法における逆推論アルゴリズムによって、目標結果、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、入力パラメータのうちの少なくとも1つの未確認入力パラメータを特定するステップは、更に、逆推論アルゴリズムによって、目標結果、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、サンプルのうちの第1参照サンプルのサンプルパラメータを参照入力パラメータとして確認し、参照入力パラメータは少なくとも1つの未確認参照パラメータを含むステップと、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び少なくとも1つの未確認参照パラメータを訓練済み予測モデルに入力して参照予測結果を生成するステップと、参照予測結果と目標結果を照合するステップと、参照予測結果が目標結果と一致する場合には、少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータと特定するステップ、を含む。
【0015】
本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、更に、参照予測結果が目標結果と一致しない場合には、第1参照サンプルを排除して、再び逆推論アルゴリズムにより、目標結果、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、サンプルのうちの第2参照サンプルのサンプルパラメータを参照入力パラメータとして取得するステップ、を含む。
【0016】
本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、更に、データセット内のサンプルの少なくとも1つの対応サンプルパラメータを照合し、少なくとも1つの確認済み入力パラメータ及び各サンプルに対応する少なくとも1つの未確認参照パラメータを訓練済み予測モデルに入力することで、対応する参照予測結果を生成するステップと、各サンプルに対応する参照予測結果と目標結果を照合することで、参照予測結果が目標結果と一致する参照サンプルを見つけるとともに、更に、参照サンプルセットを形成するステップ、を含む。
【0017】
本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、更に、参照サンプルセット内の最初のK個のデータを線形結合し、最適化探索法により最適な未確認入力パラメータの組み合わせを見つけるステップ、を含む。
【0018】
本発明は、訓練済み予測モデルを提供し、訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供し、各サンプルパラメータは、少なくとも1つの確認済み入力パラメータに対応する少なくとも1つの対応サンプルパラメータと、少なくとも1つの未確認参照パラメータを含むステップと、少なくとも1つのサンプルのサンプルパラメータを訓練済み予測モデルに入力して少なくとも1つの候補サンプルを取得し、少なくとも1つの候補サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致するステップと、少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルと、少なくとも1つの候補サンプルにおける少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算するステップと、第1ベクトルと第2ベクトルを照合して参照サンプルを選択し、参照サンプルの第2ベクトルは第1ベクトルと近似又は一致しているステップと、参照サンプルの少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含む別のプロセスパラメータの計算方法を提供する。
【0019】
本発明は、訓練済み予測モデルを提供し、訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供し、各サンプルパラメータは、少なくとも1つの確認済み入力パラメータに対応する少なくとも1つの対応サンプルパラメータと、少なくとも1つの未確認参照パラメータを含むステップと、少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルを計算するステップと、少なくとも1つの確認済み入力パラメータに基づき、サンプルのサンプルパラメータから、対応する少なくとも1つの対応サンプルパラメータをそれぞれ取得するステップと、少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算するステップと、第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合して少なくとも1つの候補サンプルを選択し、少なくとも1つの候補サンプルの第2ベクトルは第1ベクトルと近似又は一致しているステップと、少なくとも1つの候補サンプルのサンプルパラメータを訓練済み予測モデルに入力して参照サンプルを取得し、参照サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致するステップと、参照サンプルの少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含む別のプロセスパラメータの計算方法を提供する。
【0020】
本発明は、訓練済み予測モデルを提供し、訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られ、データセットは複数のサンプルを含み、且つ、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含み、各サンプルパラメータは少なくとも1つの対応サンプルパラメータ及び少なくとも1つの未確認参照パラメータを含み、訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられるステップと、目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの少なくとも1つの確認済み入力パラメータを提供するステップと、少なくとも1つの確認済み入力パラメータと各サンプルパラメータの少なくとも1つの未確認参照パラメータを組み合わせて訓練済み予測モデルに入力することで、サンプルから参照サンプルを取得し、参照サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致するステップと、参照サンプルのサンプルパラメータにおける少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとするステップ、を含む別のプロセスパラメータの計算方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
総括すると、本発明は、所期の目標結果及び確認済み入力パラメータを入力し、訓練済み予測モデルのデータセットを用いることで、未確認入力パラメータを逆推定するプロセスパラメータの計算方法を提供する。これにより、プロセスの方法を有効に最適化するとともに、プロセスの目標結果を達成する。また、本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、細胞プロセス分野への応用のほか、その他何らかの訓練済みの機械学習モデルに応用して、プロセスパラメータ及び未確認入力パラメータの逆推定に用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図2】
図2は、本発明の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法におけるデータセットとサンプルのブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図7】
図7は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法におけるデータセットとサンプルのブロック図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図9】
図9は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図10】
図10は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【
図11】
図11は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点、精神及び特徴をより容易且つ明確に理解可能となるよう、続いて、具体的実施例を用いるとともに、図面を参照して、詳述及び検討する。注意すべき点として、これらの具体的実施例は本発明の代表的な具体的実施例にすぎず、例示する特定の方法、装置、条件、材質等は本発明又は対応する具体的実施例を限定するものではない。且つ、図中の各構成要素は、それらの相対的位置を表すためにのみ用いられ、実際の比率に基づき記載されてもいない。また、本発明のステップ番号は異なるステップを区別するためのものにすぎず、ステップの順序を表してはいない。以上について予め説明しておく。
【0024】
図1及び
図2を参照する。
図1は、本発明の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。また、
図2は、本発明の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法におけるデータセットとサンプルのブロック図を示す。
図1に示すように、本具体的実施例において、プロセスパラメータの計算方法は、以下を含む。
【0025】
ステップS1:訓練済み予測モデルを提供する。訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られる。データセットは複数のサンプル(サンプル1~サンプルnを含む)を含む。また、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含む。訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられる。
【0026】
ステップS2:目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの確認済み入力パラメータ10を提供する。
【0027】
ステップS3:逆推論アルゴリズムによって、目標結果、確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、入力パラメータのうちの未確認入力パラメータ12を特定する。
【0028】
本具体的実施例におけるステップS1の訓練済み予測モデルは、オープンプラットフォームで得られる機械学習の訓練を完了したいずれかのモデルであってもよいし、ユーザ自身で機械学習の訓練を行ったモデルであってもよい。また、本具体的実施例におけるデータセットは、機械学習の訓練、テスト及び検証に使用可能な何らかのデータで形成される集合としてもよい。実際の応用において、本具体的実施例のプロセスパラメータの計算方法は、その他何らかの訓練済みの機械学習モデルに応用してもよく、確認済み入力パラメータを用いてデータベースのデータと照合し、確認済み入力パラメータを未確認参照パラメータと組み合わせることで、未確認入力パラメータを逆推定する。そのほか、本具体的実施例における訓練済み予測モデルは、人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Networks,ANN)、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks,CNNs)、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Networks,RNNs)、決定木(Decision Trees)、サポートベクターマシン(Support Vector Machines,SVM)、ランダムフォレスト(Random Forests)、k近傍法(K-Nearest Neighbors,KNN)、k平均法(K-Means Clustering)、主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)、線形回帰(Linear Regression)、ロジスティック回帰(Logistic Regression)、勾配ブースティングマシン(Gradient Boosting Machines)、深層信念ネットワーク(Deep Belief Networks,DBN)、再帰型ニューラルネットワーク(Recursive Neural Networks,RecNN)、強化学習(Reinforcement Learning)、オートエンコーダ(Autoencoders)、ガウス過程(Gaussian Processes)及び複素ニューラルネットワーク(Complex Neural Networks)、或いは、その他何らかの機械学習アルゴリズム又はニューラルネットワークアルゴリズムによって、データセットを機械学習することで得られる。機械学習又はニューラルネットワークアルゴリズムの選択は、ユーザのニーズに応じて行われる。
【0029】
本具体的実施例におけるデータセットは、更に、プロセスデータセットを含んでもよい。プロセスデータセットは複数のプロセスサンプルを含む。各プロセスサンプルは複数のプロセスサンプルパラメータを含み、各プロセスサンプルパラメータは入手源パラメータ(source parameter)及び培養パラメータを含む。本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法を細胞培養プロセスの分野に応用する場合、プロセスデータセットは細胞データセットであってもよい。実用において、細胞データセットは、オープンプラットフォームで得られるいずれかのデータであってもよいし、ユーザ自身で収集したデータであってもよい。そのほか、細胞サンプルの種類は、免疫細胞(例えば、樹状細胞(DC cells)、サイトカイン誘導キラー細胞(CIK)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラー細胞(NK cells)及びCAR-T細胞)、幹細胞(例えば、末梢血幹細胞、脂肪幹細胞、骨髄間葉系幹細胞)、軟骨細胞、線維芽細胞等としてもよいが、実際の応用ではこれに限らず、ユーザが実行したい細胞培養の種類に応じて決定すればよい。加えて、本具体的実施例において、各細胞サンプルの入手源パラメータは、更に、各細胞サンプルの入手源の属性データを含んでもよい。細胞データセット内の各細胞サンプルは、細胞に対応する細胞入手源及び入手源が有する属性データを含んでもよい。属性データは、入手源の生理学的データ、又は、例えば、入手源の性別、年齢、病歴、生活環境、居住地域等の入手源に関連するその他のデータであってもよい。ただし、実際の応用においてはこれらに限らず、細胞サンプルの入手源パラメータは、更に、細胞プロセスに影響を及ぼす可能性があり、且つ細胞入手源に関連するその他のパラメータを含んでもよい。
【0030】
また、本具体的実施例において、各細胞サンプルの培養パラメータは、更に、各細胞サンプルにおけるヒト、機器、材料、方法、環境のパラメータを含む。細胞培養過程は多くのステップを含み、各ステップはいずれも多くの培養パラメータに関連する。当該培養パラメータには、例えば、細胞入手源の性別及び年齢、細胞培養操作者の経験及び安定性、手術を実施する人員、場所、環境、輸送等の違いといったヒト関連のパラメータや、例えば、細胞操作プラットフォーム(cell operation platform)の種類及びグレード、細胞培養装置の温度制御及び湿度制御の安定性や精度といった機器関連のパラメータや、例えば、細胞培養シャーレの材質、細胞培養培地の成分及び比率・配合といった材料関連のパラメータや、例えば、細胞培養操作者の手法、細胞培養プロセスの方法といった方法関連のパラメータや、例えば、細胞培養の環境温度、湿度、二酸化炭素及び有機分子濃度といった環境関連のパラメータ、が含まれる。
【0031】
本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法は、逆推論アルゴリズムによって、訓練済み予測モデルを生成するためのデータセットと照合することで、確認待ちプロセスにおける未確認のプロセスパラメータを見つける。詳述すると、ユーザが使用する訓練済みモデルが優秀な予測効果を有している場合には、予測効果のみから、入力するプロセスパラメータを訓練済みモデルに基づいて逆推定することはできないが、当該訓練済みモデルはデータセットを機械学習することで得られるため、データセット内のプロセスパラメータデータをプロセスパラメータの逆推定のための根拠とすることは可能である。
【0032】
図1、
図2及び
図3を合わせて参照する。
図3は、本発明の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。以下では、
図3を用いて、本具体的実施例につき更に説明する。本具体的実施例において、各サンプルパラメータは少なくとも1つの対応サンプルパラメータ及び少なくとも1つの未確認参照パラメータを含む。
図3に示すように、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のステップS3は、更に、ステップS2のあとに順次実行されるステップS31、ステップS32、ステップS33、ステップS34、ステップS35及びステップS36を含む。
【0033】
ステップS31:確認済み入力パラメータ10の第1ベクトルを計算する。
【0034】
ステップS32:確認済み入力パラメータ10に基づき、各サンプルのサンプルパラメータから、対応する対応サンプルパラメータC1~Cnをそれぞれ取得する。
【0035】
ステップS33:各対応サンプルパラメータC1~Cnの第2ベクトルを計算する。
【0036】
ステップS34:第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合して、候補サンプルi(即ち、サンプルi)を選択する。
【0037】
ステップS35:候補サンプルiの未確認参照パラメータPiと前記確認済み入力パラメータ10を組み合わせて訓練済み予測モデルに入力することで、サンプルから参照サンプルiを取得する。参照サンプルiの第2ベクトルは第1ベクトルと近似又は一致しており、且つ、参照サンプルiの予測結果は目標結果と近似又は一致する。
【0038】
ステップS36:参照サンプルiのサンプルパラメータにおける未確認参照パラメータPiを未確認入力パラメータ12とする。
【0039】
図1、
図2及び
図3に示すように、確認待ちプロセスは、培養済み段階及び培養待ち段階(図示しない)を含み得る。また、培養済み段階及び培養待ち段階に対応して、確認待ちプロセスは、更に、培養済みのプロセスパラメータ(つまり、確認済み入力パラメータ10)及び培養待ちのプロセスパラメータ(つまり、未確認入力パラメータ12)を含む。本具体的実施例において、データセットは、未確認入力パラメータ12を逆推定するための根拠として、前記確認待ちプロセスと関連又は類似する培養時間及びフローを有するプロセスパラメータデータを含み得る。データセットには、サンプル1~サンプルnが含まれる。各サンプルはサンプルパラメータ(図示しない)を含み、サンプルパラメータは、更に、対応サンプルパラメータC1~Cn及び未確認参照パラメータP1~Pnを含む。例えば、ユーザが21日間のプロセスを実施しようとしており、すでに7日間のプロセスを実施済みである(つまり、ユーザはすでに確認済み入力パラメータ10を有している)が、その後の8~21日目のプロセスについて、実施やプロセスパラメータ(つまり、未確認入力パラメータ12)の調整をどのように行えば予め設定した21日目にユーザが求める目標結果を得られるのかを確認していない場合がある。
【0040】
本具体的実施例におけるステップS3の逆推論アルゴリズムでは、まず、ユーザが7日間実施した際の確認済み入力パラメータ10と、データセット内の全てのサンプル(即ち、サンプル1~サンプルn)のうちの最初の7日間の対応サンプルパラメータC1~Cnを照合して、データセットから候補サンプルを選択する。そして、当該候補サンプルの未確認参照パラメータと確認待ちプロセスの確認済み入力パラメータ10を組み合わせて参照サンプルとする。次に、参照サンプルを前記訓練済み予測モデルに入力して、当該参照サンプルが所期の目標結果に合致するか否かを確認する。そして、合致する場合には、この参照サンプルの未確認参照パラメータを確認待ちプロセスの未確認入力パラメータ12とすることができる。例えば、確認済み入力パラメータ10とサンプル1~サンプルnにおける全ての対応サンプルパラメータC1~Cnを照合して、サンプルiの対応サンプルパラメータCiが確認済み入力パラメータ10と最も近似又は一致していることが得られた場合には、サンプルiの未確認参照パラメータPiと確認済み入力パラメータ10により参照サンプルiを形成するとともに、参照サンプルiの全てのパラメータを訓練済み予測モデルに入力する。そして、予測結果が目標結果と等しいか、それよりも優れている場合には、未確認参照パラメータPiを確認待ちプロセスの未確認入力パラメータ12とすることができる。即ち、8~21日目のプロセスパラメータとすることができる。本具体的実施例において、候補サンプルの選択では、更に、第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルとの間の夾角を計算し、第1ベクトルとの間に最も小さな夾角を有する第2ベクトルに対応するサンプルを候補サンプルとしてもよい。また、実用において、確認待ちプロセスは、培養済み段階を有さずに培養待ち段階のみを有し、且つ、対応する培養待ちのプロセスパラメータ(つまり、未確認入力パラメータ12)のみを含むとともに、本実施例における第1ベクトルが空ベクトル(empty vector)であってもよい。
【0041】
上記の具体的実施例において、ステップS3では、確認済み入力パラメータとデータセットにおけるサンプルのサンプルパラメータを照合することで適合するサンプルを取得し、そのサンプルパラメータから8~21日目のプロセスパラメータ(未確認入力パラメータ12)を特定する。そのため、以下では、どのように確認済み入力パラメータを用いて適合するサンプルを照合により取得するのかについて説明する。ここで、
図2及び
図3を合わせて参照する。
図3に示すように、本具体的実施例では、確認待ちプロセスにおける確認済み入力パラメータ10の第1ベクトルを用いて、データセット内の全てのサンプル(サンプル1~サンプルn)のサンプルパラメータにおける対応サンプルパラメータC1~Cnの第2ベクトルと照合する。そして、サンプルiの第2ベクトルが確認待ちプロセスにおける確認済み入力パラメータ10の第1ベクトルと近似又は一致しており(つまり、2つのベクトルの夾角が0度と近似しているか0度であり)、且つ、サンプルiを訓練済み予測モデルに入力することで、目標結果と等しいか、それ以上の予測結果が得られた場合には、当該サンプルiを参照サンプルiとすることができる。続いて、ユーザは、この参照サンプルiにおける対応サンプルパラメータ以外のサンプルパラメータ(即ち、未確認参照パラメータPi)を未確認入力パラメータ12とすることができる。
【0042】
また、本具体的実施例において、ステップS34を実行して第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合したときに、サンプル1の第2ベクトルが確認待ちプロセスにおける確認済み入力パラメータ10の第1ベクトルと近似していないか一致していない(つまり、2つのベクトルの夾角が0度と近似していない)場合、或いは、サンプル1を訓練済み予測モデルに入力したあと、目標結果を満たさない予測結果が得られた場合には、サンプル1を排除する。そして、データセット内のその他のサンプルを取って、近似又は一致するサンプルが見つかるまで、ステップS32~ステップS35を再び実行する。これらのパラメータは、いずれも訓練済みモデルにおいて優秀な予測効果を有することが検証されているため、ユーザは、確認済みのプロセスのステップを実施し終えたあと、引き続き、上記の方法で取得した未確認入力パラメータを用いて後続のプロセスのステップを実施することで、最終的にユーザの目標結果を得ることを期待できる。実用において、ユーザは、状況やニーズの違いに応じて、近似及び一致の指標を調整及び設定してもよい。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0043】
また、上記の具体的実施例のほかに、本発明は、候補サンプルを選択するための別の方式も提供する。ここで、
図4を参照する。
図4は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。本具体的実施例は、更に、ステップS33のあとに順次実行されるステップS341を含んでもよい。
【0044】
ステップS341:距離関数により、第1ベクトルの先端点の座標と各サンプルの第2ベクトルの先端点の座標との距離を計算し、第1ベクトルとの間に最も小さな距離を有する第2ベクトルに対応するサンプルを候補サンプルとする。
【0045】
実際の応用において、機械学習分野に一般的に用いられる距離関数には、ユークリッド距離(Euclidean Distance)、マンハッタン距離(Manhattan Distance)、コサイン類似度(Cosine Similarity)、ジャッカード類似度(Jaccard Similarity)及びマハラノビス距離(Mahalanobis Distance)が含まれる。実用において、最小距離の計算方式及び最小距離の適用範囲は、ユーザのニーズに応じて設定してもよい。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0046】
上記の具体的実施例で示したように、データセット内のパラメータをベクトル化することで、訓練済み予測モデルを提供してより効率的な計算及び処理を実施可能となる。しかしながら、実際の応用において、データセット内のパラメータをベクトル化して参照サンプルを特定する際には、上記で提示した第1ベクトルと第2ベクトルとの間の夾角を計算する方法及び第1ベクトルと第2ベクトルとの距離を計算する方法のほかにも、ユーザのニーズや応用したい場面及びデータセットの種類に応じて、その他のベクトルの計算方法又はその他の照合方法を選択して参照サンプルを特定してもよい。
【0047】
上記の具体的実施例では、データセット内のパラメータをベクトル化し、パラメータ間の夾角及び距離を用いて、確認済み入力パラメータと一致又は適合する参照サンプルを照合により取得することで、未確認入力パラメータを特定する。しかしながら、パラメータ間の夾角及び距離からは、一致又は適合する参照サンプルを照合により取得できない場合、或いは、得られた夾角及び距離が予め設定されている最小夾角及び最小距離の適用範囲を超えている場合には、更に、その他の照合条件を用いることで、より適合する参照サンプルを取得してもよい。ここで、
図5を参照する。
図5は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
図5に示すように、本具体的実施例と上述した具体的実施例との違いは、以下の通りである。即ち、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法は、更に、ステップS2のあとに順次実行されるステップS31’、ステップS32’、ステップS33’ステップS341’及びステップS342’を含む。
【0048】
ステップS31’:逆推論アルゴリズムによって、目標結果、確認済み入力パラメータ10及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、サンプルのうちの第1参照サンプルのサンプルパラメータを参照入力パラメータとして確認する。参照入力パラメータは未確認参照パラメータを含む。
【0049】
ステップS32’:確認済み入力パラメータ10及び参照入力パラメータの未確認参照パラメータを訓練済み予測モデルに入力して、参照予測結果を生成する。
【0050】
ステップS33’:参照予測結果と目標結果を照合する。
【0051】
ステップS341’:参照予測結果が目標結果と一致する場合には、未確認参照パラメータP1を未確認入力パラメータ12と特定する。
【0052】
ステップS342’:参照予測結果が目標結果と一致しない場合には、第1参照サンプルを排除して、再び逆推論アルゴリズムにより、目標結果、確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合して、サンプルのうちの第2参照サンプルのサンプルパラメータを参照入力パラメータ12として取得する。
【0053】
本具体的実施例では、確認済み入力パラメータ10の第1ベクトルと各サンプル(サンプル1~サンプルn)の未確認参照パラメータP1~Pnとで形成される完全パラメータベクトルの参照予測結果を順に評価することで、より適切な参照サンプルを取得する。例えば、ユーザが21日間の培養プロセスを行う際に、最初の7日間のプロセス(つまり、確認済み入力パラメータ10)を完了したあと、その後の8~21日目のプロセスパラメータ(つまり、未確認入力パラメータ12)を確認することで、21日目に目標結果(95%の細胞生存率)を達成したいというような場合がある。しかしながら、ユーザが、所期の目標結果を達成可能な未確認入力パラメータ12を取得するために、パラメータ間の夾角及び距離からは、一致又は適合する参照サンプルを照合により取得できない場合には、更に、以下の方式で達成してもよい。即ち、実用においては、まず、逆推論アルゴリズムによって、目標結果、確認済み入力パラメータ及びデータセット内のサンプルのサンプルパラメータを照合し、第1ベクトルと2ベクトルが近似している順序にサンプルを並べる。続いて、確認済み入力パラメータ10と各サンプルの未確認参照パラメータを組み合わせて形成される完全パラメータを上記の順序に従って訓練済み予測モデルに入力することで、参照予測結果を生成するとともに、参照予測結果と目標結果を更に照合する。このとき、順序が1番目の第1参照サンプルの参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致する場合には、第1参照サンプルの未確認参照パラメータを未確認入力パラメータ12と特定することができる。また、第1参照サンプルの参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致しない場合には、第1参照サンプルを排除し、参照サンプル(即ち、第2参照サンプル)の参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致することが照合により得られるまで、その他のサンプルの未確認参照パラメータを確認済み入力パラメータ10に順に組み合わせて訓練済み予測モデルに入力する。
【0054】
また、実際の応用において、最終的に、細胞参照サンプルの参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致することを照合により得られなかった場合には、今回の照合プロセスを停止してもよい。実用において、ユーザは、更に、状況やニーズの違いに応じて、一致の指標を調整及び設定してもよい。つまり、逆推論アルゴリズムを用いて照合しても、細胞参照サンプルの参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致することを得られなかった場合には、今回の照合プロセスを停止する。或いは、目標結果を調整(例えば、元々の95%の細胞生存率を93%の細胞生存率に調整)してもよいし、参照予測結果が目標結果と最も近似するプロセス参照サンプルを照合により取得することに目標を変更してもよい。本具体的実施例では、逆推論アルゴリズムによって、データセット内のサンプルパラメータを自動的に照合することで、所期の目標結果を得るのに必要なプロセスパラメータを逆推定する。これにより、プロセスの方法を有効に最適化するとともに、プロセスの目標結果を達成する。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0055】
加えて、本発明は、プロセスデータセット内の全てのプロセスサンプルのサンプルパラメータを一度に大量に照合することで、参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致するプロセス参照サンプルを見つけて、プロセス参照サンプルセットを形成するとともに、更に、最適な未確認入力パラメータの組み合わせを選別してもよい。ここで、
図6及び
図7を合わせて参照する。
図6は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
図7は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法におけるデータセットとサンプルのブロック図を示す。
図6に示すように、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法と上述した具体的実施例との違いは、以下の通りである。即ち、本具体的実施例は、更に、ステップS31’のあとに順次実行されるステップS32’’~ステップS33’’を含んでもよい。
【0056】
ステップS32’’:データセット内の全てのサンプル(サンプル1~サンプルnを含む)の対応サンプルパラメータC1~Cnを照合し、確認済み入力パラメータ10及び各サンプルに対応する未確認参照パラメータ(P1~Pnを含む)を訓練済み予測モデルに入力することで、対応する参照予測結果を生成する。
【0057】
ステップS33’’:各サンプルに対応する参照予測結果と目標結果を照合することで、参照予測結果が目標結果と一致する参照サンプルを見つけるとともに、更に、参照サンプルセットを形成する。
【0058】
本具体的実施例では、プロセスデータセット内の全てのプロセスサンプルのサンプルパラメータを一度に照合することで、参照予測結果が目標結果(95%の細胞生存率)と一致する1つ又は複数のプロセス参照サンプルを取得するとともに、更に、細胞参照サンプルセットを形成することが可能である。また、ユーザが設定した条件及び制約に基づき、更に、プロセス参照サンプルセット内のプロセス参照サンプルについて未確認入力パラメータ12の選択を行う。実用において、ユーザは、自身が有する消耗品在庫やコストを考慮して条件及び制約を設定し、更に、参照サンプルセットから目標結果及びユーザのニーズに合致するプロセスパラメータを選択してもよい。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0059】
加えて、本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、前述の態様以外のその他の態様としてもよい。ここで、
図7及び
図8を参照する。
図8は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
図8に示すように、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法と上述した具体的実施例との違いは、以下の通りである。即ち、本具体的実施例は、更に、ステップS33’’のあとに実行されるステップS34’’を含んでもよい。
【0060】
ステップS34’’:参照サンプルセット内の最初のK個のデータを線形結合し、最適化探索法により最適な未確認入力パラメータの組み合わせを見つける。
【0061】
本具体的実施例において、ユーザは、プロセスデータセットを一度に照合して取得したプロセス参照サンプルセットを利用し、ユーザが設定した条件及び制約を用いて、更に、プロセス参照サンプルセット内のプロセス参照サンプルを並べてもよい。そして、プロセス参照サンプルセット内の最初のK個のデータを線形結合し、最適化探索法により最適な未確認入力パラメータの組み合わせを見つける。実用において、ユーザは、自身が有する消耗品在庫やコストを考慮して条件及び制約を設定するとともに、更に、プロセス参照サンプルセットを並べて、ユーザのニーズ及び目標結果に最も合致する参照サンプルを最適化探索法により選択してもよい。実際の応用では、最適化探索法として、差分法(Finite-Difference Method)、最急降下法(Gradient Descent)、ニュートン法(Newton’s Method)、ペナルティ関数法(Penalty Function Method)、バリア関数法(Barrier function method)、ラグランジュ未定乗数法(Lagrange Multiplier Method)を選択してもよいし、ユーザのニーズに基づいてその他の計算方法を選択してもよい。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0062】
本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、上記の態様以外のその他の態様としてもよい。以下に、更に説明する。ここで、
図9を参照する。
図9は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
図9に示すように、本具体的実施例において、プロセスパラメータの計算方法は、以下を含む。
【0063】
ステップS1’’’:訓練済み予測モデルを提供する。訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られる。データセットは複数のサンプルを含む。また、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含む。訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられる。
【0064】
ステップS2’’’:目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの確認済み入力パラメータを提供する。各サンプルパラメータは、確認済み入力パラメータに対応する対応サンプルパラメータと、未確認参照パラメータを含む。
【0065】
ステップS3’’’:少なくとも1つのサンプルのサンプルパラメータを訓練済み予測モデルに入力して少なくとも1つの候補サンプルを取得する。少なくとも1つの候補サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致する。
【0066】
ステップS4’’’:少なくとも1つの確認済み入力パラメータの第1ベクトルと、少なくとも1つの候補サンプルにおける少なくとも1つの対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算する。
【0067】
ステップS5’’’:第1ベクトルと第2ベクトルを照合して参照サンプルを選択する。参照サンプルの第2ベクトルは第1ベクトルと近似又は一致している。
【0068】
ステップS6’’’:参照サンプルの少なくとも1つの未確認参照パラメータを少なくとも1つの未確認入力パラメータとする。
【0069】
本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法と上述した具体的実施例との違いは、以下の通りである。即ち、本具体的実施例は、データセット内の各サンプルの対応サンプルパラメータと未確認参照パラメータとの組み合わせを訓練済み予測モデルに直接入力して予測結果を取得する。そして、データセット内のサンプルの予測結果が目標結果と一致する場合には、更に、当該サンプルを候補サンプルとみなすことができる。続いて、確認済み入力パラメータの第1ベクトルと候補サンプルにおける対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算して照合することで、候補サンプルから、第2ベクトルが第1ベクトルと近似又は一致するサンプルを見つけて参照サンプルとする。そして、それに対応する未確認参照パラメータを今回のプロセスの未確認入力パラメータとすることができる。実用において、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法は、サンプルデータセットのデータが膨大な場合のプロセスに適している。まず、サンプルデータセットから、予測結果が目標結果と近似又は一致し、且つ、第2ベクトルが第1ベクトルと一致又は近似する参照サンプルを見つける。この場合、確認済み入力パラメータを未確認参照パラメータと組み合わせて訓練済み予測モデルに入力するステップが不要となるため、有効且つ迅速にプロセスの未確認入力パラメータを得られる。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0070】
また、本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、更に、その他の態様としてもよい。ここで、
図10を参照する。
図10は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
図10に示すように、本具体的実施例において、プロセスパラメータの計算方法は、以下を含む。
【0071】
ステップS1’’’’:訓練済み予測モデルを提供する。訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られる。データセットは複数のサンプルを含む。また、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含む。訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられる。
【0072】
ステップS2’’’’:目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの確認済み入力パラメータを提供する。各サンプルパラメータは、確認済み入力パラメータに対応する対応サンプルパラメータと、未確認参照パラメータを含む。
【0073】
ステップS3’’’’:確認済み入力パラメータの第1ベクトルを計算する。
【0074】
ステップS4’’’’:確認済み入力パラメータに基づき、各サンプルのサンプルパラメータから、対応する対応サンプルパラメータをそれぞれ取得する。
【0075】
ステップS5’’’’:各対応サンプルパラメータの第2ベクトルを計算する。
【0076】
ステップS6’’’’:第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合して候補サンプルを選択する。候補サンプルの第2ベクトルは第1ベクトルと近似又は一致している。
【0077】
ステップS7’’’’:候補サンプルのサンプルパラメータを訓練済み予測モデルに入力して参照サンプルを取得する。参照サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致する。
【0078】
ステップS8’’’’:参照サンプルのサンプルパラメータにおける未確認参照パラメータを未確認入力パラメータとする。
【0079】
本具体的実施例と上述した具体的実施例との違いは、以下の通りである。即ち、まず、第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルを照合してから、予測結果と目標結果を照合する。この場合、上述した具体的実施例よりも正確にプロセスの未確認入力パラメータを得ることができる。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0080】
また、本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、更に、その他の態様としてもよい。ここで、
図11を参照する。
図11は、本発明の別の具体的実施例に基づくプロセスパラメータの計算方法のステップのフローチャートを示す。
図11に示すように、本具体的実施例において、プロセスパラメータの計算方法は、以下を含む。
【0081】
ステップS1’’’’’:訓練済み予測モデルを提供する。訓練済み予測モデルは、機械学習方法によってデータセットを機械学習することで得られる。データセットは複数のサンプルを含む。また、各サンプルは複数のサンプルパラメータを含む。訓練済み予測モデルは、複数の入力パラメータを入力して、入力パラメータに対応する予測結果を生成するために用いられる。
【0082】
ステップS2’’’’’:目標結果として、訓練済み予測モデルの予測結果を設定するとともに、入力パラメータのうちの確認済み入力パラメータを提供する。
【0083】
ステップS3’’’’’:確認済み入力パラメータと各サンプルパラメータの未確認参照パラメータを組み合わせて訓練済み予測モデルに入力することで、これらのサンプルから参照サンプルを取得する。参照サンプルの予測結果は目標結果と近似又は一致する。
【0084】
ステップS4’’’’’:参照サンプルのサンプルパラメータにおける未確認参照パラメータを未確認入力パラメータとする。
【0085】
本具体的実施例は、上述した具体的実施例と比較して、以下の点において異なっている。即ち、本具体的実施例では、第1ベクトルと各サンプルの第2ベクトルとの照合を必要とすることなく、確認済み入力パラメータと各サンプルパラメータの未確認参照パラメータを直接組み合わせて、訓練済み予測モデルに入力することで予測結果を取得する。そして、各サンプルに対応する予測結果が目標結果と近似又は一致するか否かに基づいて参照サンプルを取得する。上述した具体的実施例における2段階で参照サンプルを取得する場合と比較して、本具体的実施例では1段階で参照サンプルを取得可能である。これは、包括的な照合を遂行して最適解を見つけることを目的としている。注意すべき点として、本具体的実施例におけるプロセスパラメータの計算方法のその他のステップは、上述した具体的実施例における対応するステップとほぼ同じであるため、ここでは改めて詳述しない。
【0086】
総括すると、本発明は、所期の目標結果及び確認済み入力パラメータを入力し、訓練済み予測モデルのデータセットを用いることで、未確認入力パラメータを逆推定するプロセスパラメータの計算方法を提供する。これにより、プロセスの方法を有効に最適化するとともに、プロセスの目標結果を達成する。また、本発明におけるプロセスパラメータの計算方法は、細胞プロセス分野への応用のほか、その他何らかの訓練済みの機械学習モデルに応用して、プロセスパラメータ及び未確認入力パラメータの逆推定に用いることも可能である。
【0087】
以上の好ましい具体的実施例の詳細な記載は、本発明の特徴及び精神をより明瞭に記載可能とすることを意図しており、上記で開示した好ましい具体的実施例によって本発明の範囲を制限するものではない。むしろ、各種の変更及び均等性を有する構成が本発明で請求しようとする特許請求の範囲内に網羅されることを意図している。よって、本発明で請求しようとする特許請求の範囲は、全ての可能な変更及び均等性を有する構成を網羅すべく、上記の説明に基づき最も広く解釈すべきである。
【符号の説明】
【0088】
S1~S3,S31~S35,S341 ステップ
S31’~S33’,S341’,S342’ ステップ
S32’’~S34’’,S1’’’~S6’’’ ステップ
S1’’’’~S8’’’’,S1’’’’’~S4’’’’’ ステップ
10 確認済み入力パラメータ
12 未確認入力パラメータ
C1,C2,C3,Ci・・・Cn 対応サンプルパラメータ
P1,P2,P3,Pi・・・Pn 未確認参照パラメータ
【外国語明細書】