IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイワン バイオ-マニュファクチュアリング コーポレーションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011060
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】脂質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/12 20060101AFI20250116BHJP
   A61K 9/127 20250101ALI20250116BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20250116BHJP
   C07D 211/46 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250116BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20250116BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20250116BHJP
【FI】
C07D207/12 CSP
A61K9/127 ZNA
A61K9/107
A61K9/14
A61K9/10
A61K47/24
A61K47/28
A61K47/34
C07D211/46
A61K47/22
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K48/00
C12N15/88 Z
A61K9/127
C07D207/12 ZNA
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024109968
(22)【出願日】2024-07-09
(31)【優先権主張番号】63/512,852
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】524262654
【氏名又は名称】タイワン バイオ-マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオ-ジェン ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジアオ-レン フアン
(72)【発明者】
【氏名】キング ラム
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-ユー ルー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA17
4C076AA19
4C076AA29
4C076AA95
4C076CC00
4C076DD60
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE23
4C076FF31
4C076FF32
4C076FF34
4C076FF43
4C076FF63
4C076FF67
4C076FF68
4C084AA13
4C084AA19
4C084AA20
4C084AA24
4C084MA22
4C084MA24
4C084MA43
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA11
4C084NA12
4C084NA13
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA24
4C086MA43
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA11
4C086NA12
4C086NA13
(57)【要約】
【課題】イオン化可能なアミン含有脂質を提供すること。
【解決手段】イオン化可能なアミン含有脂質は、核酸を送達することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体
【化1】
[式中、
nは1又は2であり、
R1は、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジル又はモルホリニルであり、
R2及びR3はそれぞれ独立して5~30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、
L1は2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3はそれぞれ独立して2~9個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である]。
【請求項2】
nが1であり、
R1がヒドロキシであり、
R2及びR3がそれぞれ独立して-CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)又は-(CH2)mCH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)であり、ここで、mは1~3の整数であり、p及びqはそれぞれ独立して1~12の整数であり、
L1が2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3がそれぞれ独立して2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYがそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である、あるいは
nが1であり、
R1がヒドロキシであり、
R2及びR3がそれぞれ独立して-CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)又は-CH2CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)であり、ここで、p及びqはそれぞれ独立して3~9の整数であり、
L1が2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3がそれぞれ独立して2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYがそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である、
請求項1に記載の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体。
【請求項3】
脂質が、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-(((3R,4S)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))プロピオネート、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、
(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
(((3S,4R)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-(((3R,4S)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート、
(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ブタン-4,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
(((3S,4R)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
(((3S,4R)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート、
ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート、
(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(ヘキシルデカノエート)、
(((3S,4R)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
(((3S,4R)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、
ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、
ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、
ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、
ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、
ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、及び
ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
からなる群から選択される、請求項1に記載の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体。
【請求項4】
脂質のプロトン化形のpKaが約5.0~約9.0である、請求項1に記載の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体を含む活性剤送達ビヒクル。
【請求項6】
リポソーム、単一エマルジョン、ミセル、ナノエマルジョン、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノ構造脂質担体(NLC)、及び自己乳化薬物送達システム(SEDDS)からなる群から選択される、請求項5に記載の活性剤送達ビヒクル。
【請求項7】
中性脂質、ステロイド脂質、及びPEG化脂質からなる群から選択される1つ以上の脂質をさらに含む、請求項5に記載の活性剤送達ビヒクル。
【請求項8】
中性脂質が、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(18:0 ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-O-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストレオイルホスホエタノールアミン(DMPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ステアロイルエタノールアミン(SOPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(SOPC)、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、及びリゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の活性剤送達ビヒクル。
【請求項9】
ステロイド脂質が、コレステロール、コプロスタノール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラッシカステロールトマチジン、ウルソール酸、及びα-トコフェロール、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の活性剤送達ビヒクル。
【請求項10】
PEG化脂質が、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-コレステロール、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、及びPEG-ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の活性剤送達ビヒクル。
【請求項11】
請求項5に記載の活性剤送達ビヒクル及び活性剤を含む組成物。
【請求項12】
活性剤が核酸を含み、核酸が、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミド、干渉核酸、アプタマー、マイクロRNA(miRNA)、Dicer基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、ガイドRNA(gRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミル)、及びリボザイム、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
疾患又は障害を治療又は予防するための請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
核酸を標的細胞内に導入するか又は標的細胞に核酸をトランスフェクトする方法であって、請求項11に記載の組成物を標的細胞と接触させるステップを含む方法。
【請求項15】
細胞における標的遺伝子の発現を調節する方法であって、細胞に請求項11に記載の組成物を供給するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権情報
本出願は、2023年7月10日に出願された米国特許仮出願第63/512,852号に基づく優先権及び利益を主張するものであり、当該仮出願の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、配列表を含み、その配列表は、.xmlフォーマットで電子提出されたものであり、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。2024年7月4日に作製された.xmlのコピーは、「JP1239_SeqListing.xml」と題されたものであり、4キロバイトの大きさである。
【0003】
本開示の分野
本開示は、脂質、及び活性剤送達のためのそのような脂質の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
イオン化可能なアミン含有脂質からなる脂質ナノ粒子(LNP)の利用は、生物学的に活性な作用剤、特にヌクレオチド、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、siRNA、miRNA、mRNA及びガイドRNA(gRNA)を細胞内に送達するのに有望な戦略として登場した。イオン化可能なアミン含有脂質を取り込むこれらのLNPは、オリゴヌクレオチド剤の細胞膜を介した効果的な輸送を促進する上でその重要な役割を明示した。その上、それらは、遺伝子編集成分及び組成物を生細胞内に導入するために有用な手法をもたらし、それによって遺伝子操作の分野が前方へ推進する。
【0005】
生物学的活性物質、例えばタンパク質、核酸ベースの薬物及びそれらの誘導体の細胞取り込みの成功を達成することは、かなり難題を提示する。この困難は、mRNAのようなかなり大きなオリゴヌクレオチドを含有する薬物に特に顕著である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、細胞への有望な遺伝子編集技術の送達、例えばCRISPR/Cas9システムの構成要素の送達を増強するイオン化可能なアミン含有脂質/組成物を提供する。例示的な1つのイオン化可能なアミン含有脂質/組成物としては、効果的な送達を達成する手段として、その対応するガイドRNAと結合しているヌクレアーゼをコードするmRNAの取り込みが挙げられる。
【0007】
本開示は、生物学的活性物質を効果的に送達するためのイオン化可能なアミン含有脂質及びそれらの(薬学的に許容される塩を含めて)塩の利用を明示する。これらのイオン化可能なアミン含有脂質及び塩は、そのような活性剤を細胞内に送達するために有用であり、人工細胞の作製を促進する。その上、開示されたイオン化可能なアミン含有脂質は、脂質ナノ粒子をベースにした組成物の開発においてイオン化可能性を有する脂質としてそれらの有用性を明示した。
【0008】
一態様において、本開示は、式(I)の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体を提供する
【化1】
[式中、
nは1又は2であり、
R1は、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジル又はモルホリニルであり、
R2及びR3はそれぞれ独立して5~30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、いくつかの実施形態では、R2及びR3は同じであるか異なり、別の実施形態では、アルキル、アルケニル又はアルキニルは、直鎖状であっても、分枝状であってもよく、
L1は2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3はそれぞれ独立して2~9個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である]。
【0009】
いくつかの実施形態では、
nは1であり、
R1はヒドロキシであり、
R2及びR3はそれぞれ独立して-CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)又は-(CH2)mCH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)であり、ここで、mは1~3の整数であり、p及びqはそれぞれ独立して1~12の整数であり、
L1は2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3はそれぞれ独立して2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である。
【0010】
いくつかの実施形態では、
nは1であり、
R1はヒドロキシであり、
R2及びR3はそれぞれ独立して-CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)又は-CH2CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)であり、ここで、p及びqはそれぞれ独立して3~9の整数であり、
L1は2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3はそれぞれ独立して2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である。
【0011】
脂質の例としては、ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-(((3R,4S)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート、ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))プロピオネート、ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、(((3S,4R)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-(((3R,4S)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート、(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ブタン-4,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、(((3S,4R)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、(((3S,4R)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート、ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート、ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート、(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(ヘキシルデカノエート)、(((3S,4R)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、(((3S,4R)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート、及びビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
いくつかの実施形態では、脂質のプロトン化形のpKaは約5.0~約9.0である。
【0013】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体を含む活性剤送達ビヒクルを提供する。
【0014】
活性剤送達ビヒクルの例としては、リポソーム、単一エマルジョン、ミセル、ナノエマルジョン、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノ構造脂質担体(NLC)、及び自己乳化薬物送達システム(SEDDS)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、活性剤送達ビヒクルは1つ以上の脂質をさらに含む。脂質の例としては、中性脂質、ステロイド脂質、及びPEG化脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
中性脂質の例としては、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(18:0 ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-O-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストレオイルホスホエタノールアミン(DMPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ステアロイルエタノールアミン(SOPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(SOPC)、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、及びリゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
ステロイド脂質の例としては、コレステロール、コプロスタノール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラッシカステロールトマチジン、ウルソール酸、及びα-トコフェロール、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
PEG化脂質の例としては、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-コレステロール、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、及びPEG-ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示される活性剤送達ビヒクル及び活性剤を含む組成物を提供する。本開示のいくつかの実施形態では、組成物は医薬組成物である。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態では、活性剤は、活性剤送達ビヒクルの中にカプセル化される。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態では、活性剤は核酸を含む。核酸の例としては、アンチセンスオリゴヌクレオチド、プラスミド、干渉核酸、アプタマー、マイクロRNA(miRNA)、Dicer基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、ガイドRNA(gRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミル)、及びリボザイム、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、mRNAは、酵素、抗原、抗体又は抗原結合フラグメントをコードする。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又はアジュバントをさらに含む。
【0024】
別の態様では、本開示は、疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に開示される組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0025】
別の態様では、本開示は、核酸を標的細胞内に導入するか、又は標的細胞に核酸をトランスフェクトする方法であって、本明細書に開示される組成物を標的細胞と接触させるステップを含む方法を提供する。
【0026】
別の態様では、本開示は、細胞における標的遺伝子の発現を調節する方法であって、細胞に本明細書に開示される組成物を供給するステップを含む方法を提供する。
【0027】
本発明は、以下のセクションに詳細に記載されている。本発明の他の特性、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲に見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本開示は、本開示のさまざまな実施形態の以下の詳細な説明、実施例、並びに化学図面及び表をそれらの適切な説明と共に参照することにより、より容易に理解され得る。特許請求の範囲によって別段の具体的な指示がない限り、本開示は、具体的な調製方法、担体若しくは製剤にも、本開示の抽出物を局所、経口若しくは非経口投与向けの生成物若しくは組成物に製剤する特定の様式にも限定されないが、そのような因子は、関連技術における当業者がよく認識しているように当然変わり得るからであることを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定するものではないことも理解すべきである。
【0029】
本開示に従って利用されているように、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0030】
範囲は、本明細書で「約」ある特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までと表現されることが多い。そのような範囲が表現される場合、実施形態は、一方の特定の値から及び/又は他方の特定の値までの範囲を含む。同様に、値が「約」という単語の使用により近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を成すことが理解されるであろう。範囲のそれぞれの終点は、互いに関係して、及び互いに独立しての両方で重要であることがさらに理解されるであろう。
【0031】
「オプションの」又は「場合により」は、その後に記載される事象又は状況が生じることもあれば生じないこともあること、及び記載には前記事象又は状況が生じる場合及び生じない場合が含まれることを意味する。例えば、「作用剤を場合により含む」という語句は、作用剤が存在することもあれば存在しないこともあるということを意味する。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数の指示物を包含することに留意しなければならない。したがって、文脈によってそうでないことが必要とされない限り、単数形の用語は複数形を包含するものとし、複数形の用語は単数形を包含するものとする。
【0033】
本明細書で使用される場合「対象」という用語は、任意の動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを表す。対象の例としては、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、雌牛、ウマ、イヌ及びネコが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される場合「治療する」又は「治療」という用語は、そのような用語が当てはまる障害、疾患若しくは状態、又はそのような障害、疾患若しくは状態の1つ以上の症状の進行を逆行、軽減、阻害すること、あるいはそのような障害、疾患若しくは状態、又はそのような障害、疾患若しくは状態の1つ以上の症状を改善することを表す。
【0035】
「予防する」又は「予防」という用語は当技術分野において認識されており、状態に関係して使用される場合、作用剤を受けない対象に比べて、対象における病的状態の症状の頻度若しくは重症度を低減するか、又はそのような病的状態の症状の発生を遅延させる作用剤を、状態の発生前に投与することを包含する。
【0036】
「医薬組成物」という用語は、1つ以上の疾患又は障害の治療及び/又は予防を必要とする対象においてそれらの疾患又は障害を治療及び/又は予防するための薬物及び/又はワクチンを指す。医薬組成物は、全身的に又は局所的に作用することができる。この目的のために、それらは、適切な経路、例えば注射(例えば、点滴を含めて静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、又は筋肉内注射)及び経皮送達により投与することができ、経口、バッカル、経鼻、経粘膜若しくは局所経路によって、又は眼科用製剤の形で、又は吸入により投与することもできる。これらの投与経路に関して、本発明の医薬組成物は、好適な剤形で投与され得る。前記剤形としては、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、硬質糖剤、散剤、噴霧剤、クリーム剤、軟膏剤、坐剤、ゲル剤、ペースト剤、ローション剤、軟膏剤、水性懸濁液、注射剤、エリキシル剤、及びシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されない。「ワクチン」という用語は、少なくとも1つの抗原又は抗原的機能をもたらす予防的又は治療的材料を指す。抗原又は抗原的機能は、身体の適応免疫系を刺激して、適応免疫応答を提供することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合「賦形剤」という用語は、それ自体治療剤ではなく、その取扱い若しくは貯蔵特性を改善するか、又は組成物の投与単位の別個の物品、例えば経口投与に適しているカプセル剤若しくは錠剤への形成を可能にし、若しくは容易にするために製剤に添加される任意の物質を指す。好適な賦形剤は、医薬製剤又は食品を製造する当業者に周知である。賦形剤としては、限定ではなく例示として緩衝液、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、流動化剤、及び不愉快な味又はにおいをマスク又は相殺するために添加される物質、フレーバー、染料、フレグランス、並びに組成物の外観を改善するために添加される物質を挙げることができる。許容される賦形剤としては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、炭酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、デキストリン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料(例えば、アルカン酸のセルロースエステル及びセルロースアルキルエステル)、低融点ワックスカカオバター、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩化ナトリウム又は他の塩、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、グリセロール又は散剤、ポリマー(例えば、ポリビニル-ピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコール)、並びに他の薬学的に許容される材料が挙げられる。
【0038】
「アジュバント」又は「アジュバント成分」という用語は、典型的に他の作用剤(例えば、薬物又はワクチン)の有効性を改変(例えば、増強)し得る(例えば、薬理学的又は免疫学的)作用剤又は組成物である。慣例的に、その用語は本発明の文脈において、免疫原及び/又は他の薬学的に活性な化合物の補助物質として役立つ化合物又は組成物を指す。それは、広い意味で解釈されるべきであり、当該のアジュバントに組み込まれるか、又は当該のアジュバントと共投与される抗原の免疫原性を増大させることができる広い範囲の物質を指す。本発明の文脈において、アジュバントは、本発明の活性剤の特異的な免疫原性効果を増強することが好ましい。典型的に、「アジュバント」又は「アジュバント成分」は、同じ意味を有し、相互に使用することができる。アジュバントは、例えば免疫増強剤、抗原送達システム又はさらにそれらの組合せに分けられ得る。
【0039】
「送達」という用語は、実在物を標的に送達すること、例えば活性剤、薬物、治療剤及び/又は予防剤を、ヒト及び/又は他の動物の組織及び/又は細胞である対象に送達することを指す。
【0040】
「送達ビヒクル」という用語は、1つ以上の作用剤を細胞、組織、又は対象、特にヒト対象に投与又は送達するために、送達するべき作用剤と一緒に又は送達するべき作用剤なしで使用され得る物質を指す。送達ビヒクルは、作用剤を特定のサブセット又は特定の種類の細胞に優先的に送達し得る。送達ビヒクルによって達成される選択的又は優先的送達は、ビヒクルの特性によって、又は送達ビヒクルにコンジュゲートされているか、結合しているか、若しくは含まれている部分によって達成することができ、前記部分は、特定のサブセットの細胞に特異的又は優先的に結合する。送達ビヒクルは、送達するべき作用剤のin vivo半減期、送達ビヒクルを使用しない送達と比べた作用剤を送達する効率、及び/又は送達するべき作用剤のバイオアベイラビリティを増加することもできる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、任意のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含むことを意味する。最大で20個のヌクレオチドを含む断片は、一般にオリゴヌクレオチドと称され、より長い断片はポリヌクレオチドと呼ばれる。特定の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、20~50個のヌクレオチドの長さである。
【0042】
本開示の文脈の中で、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然塩基、糖及び糖間(主鎖)結合からなるヌクレオチド又はヌクレオシドモノマーのポリマー又はオリゴマーを指す。「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、非天然起源のモノマーを含むポリマー若しくはオリゴマー、又は同様に機能するそれらの一部分も包含する。そのような修飾又は置換オリゴヌクレオチドは、例えばヌクレアーゼの存在下における細胞取り込みの増強や安定性の増大などの特性のため、未変性形より好ましいことが多い。
【0043】
オリゴヌクレオチドは、デオキシリボオリゴヌクレオチド又はリボオリゴヌクレオチドと分類される。デオキシリボオリゴヌクレオチドは、ホスフェートにこの糖の5'及び3'位の炭素で共有結合して、交互非分枝ポリマーを形成する、デオキシリボースと呼ばれる5炭糖からなる。リボオリゴヌクレオチドは、5炭糖がリボースである同様の反復構造からなる。
【0044】
本開示による脂質-核酸粒子中に存在する核酸は、公知の核酸のいずれの形も含む。本明細書で使用される核酸は、一本鎖DNA若しくはRNA、又は二重鎖DNA若しくはRNA、又はDNA-RNAハイブリッドとすることができる。二重鎖DNAの例としては、構造遺伝子、制御及び終端領域を含む遺伝子、並びに自己複製系、例えばウイルス又はプラスミドDNAが挙げられる。二本鎖RNAの例としては、siRNA及び他のRNA干渉試薬が挙げられる。一本鎖核酸としては、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、及び三重鎖形成性オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0045】
「RNA」という用語は、天然起源であっても、非天然起源であってもよいリボ核酸を指す。例えば、RNAは、修飾及び/又は非天然起源の成分、例えば1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド及びリンカーを含んでもよい。RNAは、キャップ構造、連鎖停止ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、及び/又はポリアデニル化シグナルを含んでもよい。RNAは、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有してもよい。例えば、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)であってもよい。特定のポリペプチドをコードするmRNAの翻訳、例えば哺乳類細胞内部のmRNAのin vivo翻訳により、コード化ポリペプチドが産生され得る。RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Dicer基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(cas9 mRNAを含めて、mRNA)、ガイドRNA(シングルガイドRNA(sgRNA)とも呼ばれるgRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミル)、リボザイム、及びそれらの混合物からなる非限定的な群から選択してもよい。アンチセンス核酸及びsiRNAは、in vitro又はin vivoにおける標的遺伝子及び標的タンパク質の発現を阻害することができる。
【0046】
「標的遺伝子の発現を調節する」という用語は、核酸が標的遺伝子の発現を停止、低減又は阻害する能力を指す。遺伝子発現停止の程度を試験するために、試験試料(例えば、標的遺伝子を発現する培養中の細胞の試料)を、標的遺伝子の発現を阻害する核酸と接触させる。試験試料又は試験動物における標的遺伝子の発現は、核酸と接触もしていないし、核酸を投与されてもいない対照試料(例えば、標的遺伝子を発現する培養中の細胞の試料)における標的遺伝子の発現と比較される。対照試料における標的遺伝子の発現には、100%の値を割り当て得る。特定の実施形態では、標的遺伝子の発現を調節することは、対照試料又は対照哺乳類における標的遺伝子発現のレベルに対する試験試料又は試験哺乳類における標的遺伝子発現のレベルが約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、又は0%である場合に達成される。
【0047】
「トランスフェクトする」又は「トランスフェクション」という用語は、細胞内への種(例えば、RNA)の導入を指す。トランスフェクションは、例えばin vitroで、ex vivoで、又はin vivoで起こり得る。
【0048】
「ペグ化」という用語は、ポリエチレングリコール(PEG、薬学分野でマクロゴールと呼ばれる)ポリマー鎖の、分子及びマクロ構造、例えば薬物、治療用タンパク質又はベシクルへの共有結合と非共有結合の両方又はアマルガム化の方法であり、これはこのとき「PEG化された」と呼ばれる。
【0049】
本開示は、脂質ナノ粒子(LNP)組成物を製剤化するために極めて有用であるアミン含有脂質を提示する。これらのLNP組成物は、核酸カーゴ、例えばCRISPR/Cas遺伝子編集成分を細胞内に効率的に送達するのに有利な特性を与える。
【0050】
本開示は、式(I)の脂質
【化2】
又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体を提供する
[式中、
nは1又は2であり、
R1は、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジル又はモルホリニルであり、
R2及びR3はそれぞれ独立して5~30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、
L1は2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、
L2及びL3はそれぞれ独立して2~9個の炭素原子を有するアルキルであり、
X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である]。
【0051】
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、互いに同じでも、異なってもよい。アルキル、アルケニル及びアルキニルはすべて、直鎖状でも、分枝状でもよく、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個の炭素原子を有してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、L1は、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキルであってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、L2及びL3は、互いに同じでも、異なってもよい。アルキルは、直鎖状でも、分枝状でもよく、2、3、4、5、6、7、8又は9個の炭素原子を有してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、X及びYは、互いに同じでも、異なってもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、nは1であり、R1はヒドロキシであり、R2及びR3はそれぞれ独立して-CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)又は-(CH2)mCH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)であり、ここで、mは、1、2又は3であり、p及びqはそれぞれ独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12であり、L1は、2~4個の炭素原子を有するアルキルであり、L2及びL3はそれぞれ独立して3~6個の炭素原子を有するアルキルであり、X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である。
【0056】
いくつかの実施形態では、nは1であり、R1はヒドロキシであり、R2及びR3はそれぞれ独立して-CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)又は-CH2CH((CH2)pCH3)((CH2)qCH3)であり、ここで、p及びqはそれぞれ独立して3、4、5、6、7、8又は9であり、L1は2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、L2及びL3はそれぞれ独立して2~6個の炭素原子を有するアルキルであり、X及びYはそれぞれ独立して-C(O)-O-又は-O-C(O)-である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体は、活性剤をカプセル化するための脂質膜構造の構成脂質として使用されてもよい。例えば、本開示の脂質は、核酸カプセル化及び送達のためのリポソーム又は脂質ナノ粒子(LNP)において使用されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、本開示の脂質はイオン化可能なものであり得る。いくつかの実施形態では、本開示の脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり、低いpHでは正に帯電し(したがって、核酸、例えばRNAを結合し)、生理学的pHでは中性になり、LNP-RNA複合体の毒性をin vivoで低減する助けとなる。脂質は、LNPへの核酸カプセル化を促進すること、及びエンドソーム膜破壊を媒介して、サイトゾルへの核酸放出を可能にすることを含めて主要な2つの機能を果たし得る。いくつかの実施形態では、脂質は、その正電荷と負に帯電した細胞膜との間の相互作用により、又は細胞取り込みを支援する血漿タンパク質への結合により、直接にエンドソーム取り込みを可能にし得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、脂質は、中性条件下で脱プロトン化されていてもよく、その酸解離定数(pKa)未満のpH状態で正に帯電していてもよい。pKa値は、低いpHで脂質が正に帯電し、負に帯電したRNA分子との結合及びLNPの形成を可能にするほど十分に高いと思われる。したがって、低いエンドソームpHで、イオン化可能なアミン含有脂質の正電荷は、内因性アニオン性脂質との相互作用を可能にし、それによって、エンドソーム構造の破壊及び細胞質へのLNPカーゴの放出につながる。同時に、イオン化可能なアミン含有脂質のpKa値は、生理学的pHで、LNPの表面電荷が比較的に中性のままであるように十分に低くあるべきである。これにより、得られたLNPの毒性及び免疫原性の調節並びにそれらの循環時間の増加が可能になる。いくつかの実施形態では、脂質のプロトン化形のpKaは、約5.0~約9.0、例えば約5.5、約6.0、約6.5、約7.0以上、又は約8.5、約8.0、約7.5、約7.0以下である。脂質のpKa値は、効率的なLNP送達及びトランスフェクション能にとって重大であり得る。
【0060】
本開示は、脂質、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、多形体、互変異性体、立体異性体若しくは同位体濃縮誘導体を含む活性剤送達ビヒクルをさらに提供する。
【0061】
いくつかの実施形態では、活性剤送達ビヒクルは、薬物送達システム、例えばリポソーム、単一エマルジョン、ミセル、ナノエマルジョン、脂質ナノ粒子(LNP)、ナノ構造脂質担体(NLC)、及び自己乳化薬物送達システム(SEDDS)であり得る。いくつかの実施形態では、活性剤送達ビヒクルは、脂質のpKa値より低い酸性pH(約4又は5)で調製され、次に緩衝液/pH交換ステップが行われ得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、活性剤送達ビヒクルは、1つ以上の中性脂質、ステロイド脂質、及び/又はPEG化脂質をさらに含む。いくつかの実施形態では、活性剤送達ビヒクルは、少なくとも1つの中性脂質、少なくとも1つのステロイド脂質、及び少なくとも1つのPEG化脂質を含む。これらの構成要素は、単分散ナノ粒子形成を促進し、ナノ粒子安定性を改善し、効率的な核酸カプセル化を可能にし、細胞取り込みを助け、核酸カーゴのエンドソーム脱出を促進し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、中性脂質は、ヘルパー脂質又は構造脂質とも呼ばれる。中性脂質は、選択されたpHで荷電されていないか、又は中性双性イオンの形で存在するいずれの脂質物質であってもよい。いくつかの実施形態では、中性脂質は、リン脂質、例えば1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(18:0 ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-O-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストレオイルホスホエタノールアミン(DMPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ステアロイルエタノールアミン(SOPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルコリン(SOPC)、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、及びそれらの組合せであってもよい。中性脂質は、合成のものでも、天然のものでもよい。いくつかの実施形態では、LNPに好ましいリン脂質はDSPC及びDOPEである。
【0064】
ステロイド脂質は、送達ビヒクルの中にカプセル化された活性剤の細胞侵入を改善し得る。ステロイド脂質の例としては、コレステロール、コプロスタノール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラッシカステロールトマチジン、ウルソール酸、α-トコフェロール、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
いくつかの実施形態では、PEG化脂質は、脂質とPEG部分とを両方含む分子であり、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質コンジュゲートとも呼ばれる。PEG化脂質は、血清タンパク質結合を防ぐことによって送達ビヒクルの安定性及び循環時間を改善し得る。いくつかの実施形態では、PEG化脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-コレステロール、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(PEG-DAA)、及びそれらの組合せであり得る。具体的には、PEG化脂質は、PEG500-ジパルミトイルホスファチジルコリン、PEG2000-ジパルミトイルホスファチジルコリン、PEG500-ステアリルホスファチジルエタノールアミン、PEG2000-ジステアリルホスファチジルエタノールアミン、PEG500-1,2-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、PEG2000-1,2-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、PEG2000-2,3-ジステアロイルグリセロール(PEG-DMG)、及び1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(DMG-PEG2000)の1つ以上であり得る。
【0066】
本開示は、活性剤送達ビヒクル及び活性剤送達ビヒクルによってカプセル化された活性剤を含む組成物も提供する。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、任意の疾患(例えば、がん及び悪性腫瘍)の治療薬、抗感染症剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、及びワクチンとして使用され得る医薬組成物である。
【0068】
いくつかの実施形態では、活性剤は、活性剤送達ビヒクルの中にカプセル化されている。いくつかの実施形態では、活性剤としては、1つ以上の核酸を含む。核酸の例としては、DNA、RNA、アンチセンス核酸、プラスミド、干渉核酸、アプタマー、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Dicer基質RNA(dsRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、ガイドRNA(gRNA)、miRNA阻害剤(アンタゴミル)、リボザイム、及びそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、mRNAは、酵素、抗原、抗体又は抗原結合断片をコードする。
【0069】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又はアジュバントをさらに含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、脱イオン水、超純水、リン酸緩衝液又は生理食塩水、より好ましくはリン酸緩衝液又は生理食塩水を含み得る。
【0070】
本開示は、疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、医薬組成物をそれを必要とする対象に投与するステップを含む方法をさらに提供する。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示による医薬組成物は、筋肉内、皮内、静脈内、皮下、腹腔内、鼻腔内、経口、粘膜又は外部経路を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知である任意の方法で局所又は全身投与される。適切な経路、製剤及び投与計画は、当業者が決定することができる。本開示では、医薬組成物は、対応する投与経路に応じて、さまざまな方式、例えば液体溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、散剤、顆粒、アンプル、注射剤、注入剤、キット、軟膏剤、ローション剤、リニメント剤、クリーム剤又はそれらの組合せで製剤化され得る。必要なら、それは滅菌されるか、又は任意の薬学的に許容される賦形剤と混合されてもよく、それらの多くは、当業者に公知である。
【0072】
本明細書で使用される場合、外部経路は、局所投与としても知られ、吹送及び吸入による投与が挙げられるが、これらに限定されない。さまざまなタイプの局所投与用製剤の例としては、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、経皮パッチによる送達のための製剤、散剤、噴霧剤、エアロゾル、カプセル、又は吸入器若しくは吹送器における使用のためのカートリッジ、又はドロップ剤(例えば、点眼剤又は点鼻剤)、噴霧化用の溶液/懸濁液、坐剤、膣坐剤、停留浣腸、及び咀嚼可能若しくは吸引可能な錠剤若しくはペレット、又はリポソーム若しくはマイクロカプセル化製剤が挙げられる。
【0073】
本開示は、核酸を標的細胞内に導入するか、又は標的細胞に核酸をトランスフェクトする方法であって、組成物を標的細胞と接触させるステップを含む方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、核酸をカプセル化する活性剤送達ビヒクルは、核酸導入ビヒクルが対象の標的細胞と接触することができるほど対象に投与され得る。
【0074】
別の態様では、本開示は、細胞における標的遺伝子の発現を調節する方法であって、細胞に本明細書に開示される組成物を供給するステップを含む方法を提供する。
【0075】
以下の実施例は、例示の目的で記載されているにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例0076】
合成の実施例
イオン化可能なアミン含有脂質の合成の一般手順
【0077】
【化3】
【0078】
スキーム1
tert-ブチル(3S,4R)-3,4-ジヒドロキシピロリジン-1-カルボキシレート(A-1)の合成
【0079】
【化4】
【0080】
NMO(2188mg;18.68mmol、1.1当量)、四酸化オスミウム(水中4%)(25mg、0.004mmol)及び水(30mL)の混合物に、25℃未満の温度を維持しながら、tert-ブチル2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(2875mg;16.98mmol)のアセトン(30mL)溶液を滴下して加えた。次いで、反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。アセトンを蒸発させ、有機相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水及び飽和食塩水で順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空下で蒸発させ、残渣は、褐色油に見える粗生成物(A-1)(2865mg、収率:83%)であり、さらに精製することなく次の反応で利用した。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.30 - 4.21 (m, 2H), 3.60 (ddt, J = 15.8, 11.4, 5.3 Hz, 2H), 3.36 (ddd, J = 27.5, 11.6, 4.0 Hz, 2H), 2.77 (b, 1H), 1.67 (b, 1H),1.47 (d, J = 2.1 Hz, 9H).
【0081】
ジエチル3,3'-(((3S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))(2E,2'E)-ジアクリレート(A-2)の合成
【0082】
【化5】
【0083】
粗生成物(A-1)(2070mg、10.08mmol)及びDABCO(340mg、3.02mmol、0.3当量)を20mLの乾燥DCMに溶解した。次いで、この溶液を、窒素雰囲気下、氷/水浴中で25mLの乾燥DCM中のプロピオル酸エチル(5936mg、60.51mmol、6.0当量)の混合物に一滴ずつゆっくりと添加した。反応が完了した後、NH4Cl(水性)/EAを添加して、抽出し、有機層を取り出し、乾燥したMgSO4を使用して乾燥し、濃縮し、ポンプで乾固させた。乾燥した生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーでヘキサン/EtOAc(3/2→2/3)のグラジエントを使用して精製し、次いで真空中で濃縮して、淡黄色油性生成物(A-2)(1757mg、収率:43%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.51 (d, J = 12.5 Hz, 2H), 5.33 (d, J = 12.6 Hz, 2H), 4.61 (h, J = 3.3, 2.8 Hz, 2H), 4.22 - 4.17 (m, 4H), 3.76 (dq, J = 11.6, 6.8, 5.9 Hz, 2H), 3.58 (dd, J = 11.8, 4.3 Hz, 1H), 3.53 - 3.48 (m, 1H), 1.48 (dd, J = 3.3, 1.4 Hz, 9H), 1.31 - 1.28 (m, 6H); LCMS(ESI) :m/z C19H29NO8 + H]+の計算値399.44, 実測値399.9.
【0084】
3,3'-(((3S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオン酸(A-3)の合成
【0085】
【化6】
【0086】
酢酸エチルとメタノールの体積比5:1の溶媒混合物中の(A-2)(1700mg、4.25mmol)及び10%Pd-C(170mg)の溶液を水素条件下で丸底ビンに添加し、室温で4時間反応させた。生成物をセライトで濾過し、有機層を取り出し、濃縮乾固して、無色油性生成物を得た。
【0087】
上記の粗生成物のMeOH/H2O(1/1、40mL)溶液及び2M NaOH(6mL)を丸底ビンに添加し、室温で16時間反応させた。反応が完了した後、溶媒の一部分を排出し、残留している溶液を氷浴中で冷却し、次いで2N HClでpH4に調整した。得られた溶液をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥した(MgSO4)。乾燥した生成物を濾過し、真空中で濃縮して、粗製物(A-3)を粘性無色油性生成物(1123mg、収率:76%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.20 - 4.11 (m, 1H), 3.99 (dd, J = 22.2, 4.3 Hz, 2H), 3.82 (ddd, J = 13.9, 7.7, 3.2 Hz, 4H), 3.57 - 3.46 (m, 2H), 3.38 - 3.30 (m, 1H), 2.75 - 2.55 (m, 4H), 1.49 - 1.46 (m, 9H). LCMS(ESI):m/z C19H33NO8 +H]+の計算値403.47; 実測値404.0 [M+H]+.
【0088】
tert-ブチル(3S,4R)-3,4-ビス(4-シアノブトキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(A-4)の合成
【0089】
【化7】
【0090】
丸底ビンにおいて、(A-1)の粗生成物(1900mg、9.35mmol)、5-ブロモペンタンニトリル(6057mg、37.39mmol、4.0当量)、及びTBAB(605mg、1.87mmol、0.2当量)を40重量%NaOH(6mL)中で混合した。混合物を65℃に温め、反応のために24時間撹拌した。混合物を氷水浴中で冷却し、水(20mL)で希釈し、次いで12N HClでpH=5~6に調整した。得られた溶液をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥した(MgSO4)。乾燥した生成物を濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、CombiFlash MPLCによってヘキサン/EtOAc(EtOAc=28~31%)のグラジエントを使用して精製し、次いで真空中で濃縮して、無色油性生成物(A-4)(1776mg、収率:52%)を得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.92 (q, J = 4.8, 4.2 Hz, 2H), 3.63 - 3.46 (m, 6H), 3.44 (dd, J = 11.5, 3.8 Hz, 1H), 3.32 (dd, J = 10.8, 5.2 Hz, 1H), 2.51 - 2.35 (m, 4H), 1.78 (tq, J = 10.3, 6.0 Hz, 8H), 1.48 (d, J = 0.7 Hz, 9H); LCMS(ESI):m/z C19H31N3O+H]+の計算値365.47, 実測値366.3 [M+H]+.
【0091】
5,5'-(((3S,4R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタン酸(A-5)の合成
【0092】
【化8】
【0093】
丸底ビンにおいて、生成物(A-4)(1300mg、3.55mmol)及びKOH(1944mg、35.54mmol、10当量)をEtOH/H2O(1/1、20mL)中で混合した。混合物を110℃に温め、反応のために32時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、EtOHを蒸発させた。得られた混合物を氷水浴中で冷却し、水(10mL)で希釈し、次いで36N HClでpH4~5に調整した。得られた溶液をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥した(MgSO4)。乾燥した生成物を濾過し、真空中で濃縮して、粘性無色生成物(A-5)(1219mg、収率:85%)として得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.96 - 3.86 (m, 2H), 3.64 - 3.43 (m, 7H), 3.34 (dd, J = 11.0, 5.5 Hz, 1H), 2.41 (dq, J = 7.4, 4.1, 3.0 Hz, 4H), 1.76 (d, J = 15.0 Hz, 4H), 1.68 (dq, J = 12.5, 6.3 Hz, 4H), 1.47 (s, 9H). LCMS(ESI):m/z C19H33NO8 +H]+の計算値403.47, 実測値404.1 [M+H]+ .
【0094】
tert-ブチル(3S,4S)-3,4-ビス((5-ヒドロキシペンチル)オキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(A-6)の合成
【0095】
【化9】
【0096】
窒素下で氷水浴中で冷却した(A-5)(600mg、1.49mmol)の乾燥THF(10mL)の溶液に、ジメチルスルフィドボラン(THF中2M)(2.9mL、4.0当量)を5分かけて添加した。混合物を65℃に温め、次いで3時間撹拌した。次いで、混合物を窒素下で氷水浴中で冷却し、MeOH(10mL)を混合物中に注意深く、ゆっくり5分かけて添加した。混合物を再び65℃に温め、次いで15分間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機層を乾燥した(MgSO4)。乾燥した生成物を濾過し、真空中で濃縮して、粘性無色生成物(A-6)(497mg、収率:89%)として得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.85 (ddt, J = 4.8, 3.1, 1.8 Hz, 2H), 3.67 (tt, J = 6.7, 2.6 Hz, 4H), 3.56 - 3.42 (m, 7H), 3.38 - 3.31 (m, 1H), 1.60 (td, J = 7.1, 6.7, 2.9 Hz, 8H), 1.48 (s, 9H), 1.46 - 1.40 (m, 4H); LCMS(ESI):m/z C19H37NO6 +H]+の計算値375.51, 実測値376.0 [M+H]+.
【0097】
ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート(A-7)の合成
【0098】
【化10】
【0099】
(A-5)(730mg、1.81mmol)の乾燥DCM(10mL)懸濁液に、EDC-HCl(1038mg、5.43mmol、3.0当量)、9-ヘプタデカノール(925mg、3.62mmol、2.0当量)、DIPEA(1403mg、10.86mmol、6.0当量)、及びDMAP(88mg、0.72mmol、0.4当量)を順次添加した。混合物を窒素下で室温で終夜撹拌し、次いで水中に投入し、DCMで2回抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄し、MgSO4を使用して乾燥した。乾燥した生成物を濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、CombiFlash MPLCによってヘキサン/EtOAc(EtOAc=8~13%)のグラジエントを使用して精製し、次いで真空中で濃縮して、無色油性生成物を得た。粗生成物(1140mg、1.29mmol)の乾燥ジクロロメタン(15mL)溶液に、TFA(1.8mL)を添加した。混合物を窒素下で室温で1.5時間撹拌した。混合物を氷水浴中で冷却し、DCM(10mL)で希釈し、次いでNaHCO3(水性)でpH8に調整した。得られた溶液をDCMで抽出し、合わせた有機層を乾燥した(MgSO4)。乾燥した生成物を濾過し、真空中で濃縮して、無色油性生成物(A-7)(776mg、収率:55%)として得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.88 (p, J = 6.3 Hz, 2H), 4.07 (q, J = 3.9, 3.3 Hz, 2H), 3.61 (dt, J = 9.0, 6.1 Hz, 2H), 3.56 - 3.51 (m, 2H), 3.44 (dd, J = 11.6, 5.0 Hz, 2H), 3.31 (dd, J = 11.8, 4.7 Hz, 2H), 2.37 - 2.30 (m, 4H), 1.75 - 1.69 (m, 4H), 1.67 - 1.61 (m, 4H), 1.52 (d, J = 6.3 Hz, 8H), 1.33 - 1.24 (m, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H); LCMS(ESI):m/z C48H93NO6 +H]+の計算値780.27, 実測値781.0 [M+H]+ .
【0100】
(((3S,4R)-ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(A-8)の合成
【0101】
【化11】
【0102】
合成ステップは、(A-7)に記載されているものと同じである。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.09 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 4.01 (q, J = 4.0 Hz, 2H), 3.58 (dt, J = 9.1, 6.5 Hz, 2H), 3.51 (dt, J = 9.0, 6.5 Hz, 2H), 3.33 (dd, J = 11.7, 5.0 Hz, 2H), 3.23 (dd, J = 11.8, 4.5 Hz, 2H), 2.33 (tt, J = 8.9, 5.3 Hz, 2H), 1.63 (ddd, J = 15.9, 10.6, 7.2 Hz, 12H), 1.49 - 1.41 (m, 8H), 1.33 - 1.23 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.0, 1.6 Hz, 12H); LCMS(ESI):m/z C46H89NO6 +H]+の計算値752.22, 実測値753.0 [M+H]+.
【0103】
[実施例1]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-(((3R,4S)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート
【0104】
【化12】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.94 - 4.85 (m, 2H), 3.97 (ddt, J = 7.8, 5.5, 2.8 Hz, 2H), 3.87 - 3.74 (m, 4H), 3.61 (dd, J = 6.2, 4.4 Hz, 2H), 3.07 - 3.00 (m, 2H), 2.72 - 2.67 (m, 2H), 2.66 - 2.56 (m, 6H), 1.57 - 1.48 (m, 8H), 1.36 - 1.22 (m, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H); LCMS (ESI): 768.6[M+H]+ .
【0105】
[実施例2]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))プロピオネート
【0106】
【化13】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.96 - 4.83 (m, 2H), 3.93 (ddt, J = 8.0, 5.5, 2.8 Hz, 2H), 3.86 - 3.70 (m, 6H), 3.18 (dd, J = 10.0, 5.4 Hz, 2H), 2.77 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.65 - 2.50 (m, 6H), 1.75 - 1.62 (m, 2H), 1.53 (dd, J = 10.4, 5.1 Hz, 8H), 1.36 - 1.21 (m, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H). LCMS (ESI): 783.4 [M+H]+.
【0107】
[実施例3]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0108】
【化14】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.88 (p, J = 6.2 Hz, 2H), 3.88 (t, J = 4.3 Hz, 2H), 3.83 - 3.78 (m, 2H), 3.56 (dt, J = 9.2, 6.3 Hz, 2H), 3.47 (dt, J = 9.2, 6.3 Hz, 2H), 3.20 (s, 2H), 2.81 (s, 2H), 2.61 - 2.51 (m, 2H), 2.33 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.72 (ddd, J = 9.0, 6.7, 4.5 Hz, 6H), 1.64 (dd, J = 8.5, 5.7 Hz, 4H), 1.52 (d, J = 6.0 Hz, 8H), 1.35 - 1.22 (m, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H); LCMS(ESI): 838.9 [M+H]+ .
【0109】
[実施例4]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)5,5'-(((3S,4R)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0110】
【化15】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.88 (p, J = 6.3 Hz, 2H), 3.87 - 3.79 (m, 2H), 3.63 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.47 (ddt, J = 26.6, 9.1, 6.3 Hz, 4H), 2.93 (dd, J = 9.9, 6.0 Hz, 2H), 2.68 (dt, J = 12.3, 5.5 Hz, 1H), 2.60 (ddd, J = 10.0, 8.9, 4.6 Hz, 3H), 2.33 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.71 (dtd, J = 9.1, 7.9, 7.2, 5.9 Hz, 4H), 1.66 - 1.58 (m, 4H), 1.52 (d, J = 5.9 Hz, 8H), 1.36 - 1.22 (m, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H); LCMS (ESI): 825.1 [M+H]+ .
【0111】
[実施例5]
(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0112】
【化16】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.08 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.87 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 3.82 - 3.77 (m, 2H), 3.54 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 3.46 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 3.26 - 3.13 (m, 2H), 2.79 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 2.54 (dd, J = 10.4, 4.7 Hz, 2H), 2.32 (ddd, J = 8.9, 6.0, 2.8 Hz, 2H), 1.72 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 1.64 (ddq, J = 26.2, 14.4, 7.6 Hz, 12H), 1.44 (d, J = 8.8 Hz, 8H), 1.27 (s, 40H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H); LCMS (ESI): 810.9 [M+H]+ .
【0113】
[実施例6]
(((3S,4R)-1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0114】
【化17】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.09 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.91 (t, J = 4.3 Hz, 2H), 3.62 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.55 (dt, J = 9.3, 6.6 Hz, 2H), 3.47 (dt, J = 9.2, 6.7 Hz, 2H), 3.08 (dd, J = 9.7, 5.3 Hz, 2H), 2.71 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 2.64 (dd, J = 9.7, 4.6 Hz, 2H), 2.32 (td, J = 9.1, 4.6 Hz, 2H), 1.68 - 1.63 (m, 12H), 1.49 - 1.39 (m, 8H), 1.34 - 1.22 (m, 40H), 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 12H); LCMS (ESI): 796.4 [M+H]+ .
【0115】
[実施例7]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)3,3'-(((3R,4S)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート
【0116】
【化18】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.90 (p, J = 6.3 Hz, 2H), 3.99 (s, 2H), 3.86 - 3.81 (m, 2H), 3.80 - 3.74 (m, 2H), 3.59 (s, 2H), 3.20 (s, 2H), 2.66 - 2.56 (m, 6H), 1.67 (s, 4H), 1.52 (t, J = 6.4 Hz, 8H), 1.35 - 1.23 (m, 50H), 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 12H). LCMS (ESI): 796.9 [M+H]+ .
【0117】
[実施例8]
(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ブタン-4,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0118】
【化19】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.11 (t, J = 6.5 Hz, 4H), 3.92 (t, J = 4.6 Hz, 2H), 3.83 - 3.78 (m, 2H), 3.59 (dt, J = 9.1, 6.2 Hz, 2H), 3.50 (dt, J = 9.1, 6.2 Hz, 2H), 3.29 (s, 2H), 2.87 (s, 2H), 2.63 (s, 2H), 2.33 (tt, J = 8.9, 5.4 Hz, 2H), 1.79 - 1.64 (m, 12H), 1.64 - 1.55 (m, 6H), 1.35 - 1.21 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.0, 1.8 Hz, 12H). LCMS (ESI): 782.8 [M+H] + .
【0119】
[実施例9]
(((3S,4R)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0120】
【化20】
1H NM(600 MHz, CDCl3) δ 4.09 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.67 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.60 (s, 2H), 3.49 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.33 (tt, J = 9.0, 5.3 Hz, 2H), 1.69 - 1.58 (m, 24H), 1.44 (dt, J = 17.7, 6.7 Hz, 10H), 1.35 - 1.20 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.0, 1.5 Hz, 12H). LCMS (ESI): 839.0 [M+H]+ .
【0121】
[実施例10]
(((3S,4R)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ペンタン-5,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0122】
【化21】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.08 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.93 (s, 2H), 3.66 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.61 - 3.52 (m, 2H), 3.47 (dt, J = 9.3, 6.7 Hz, 2H), 2.33 (tt, J = 8.9, 5.3 Hz, 2H), 1.71 - 1.55 (m, 20H), 1.48 - 1.36 (m, 12H), 1.34 - 1.22 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.1, 1.6 Hz, 12H). LCMS (ESI): 853.2 [M+H]+ .
【0123】
[実施例11]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート
【0124】
【化22】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.88 (p, J = 6.2 Hz, 2H), 3.89 (q, J = 4.9, 4.4 Hz, 2H), 3.85 - 3.75 (m, 2H), 3.54 (qd, J = 6.8, 3.3 Hz, 2H), 3.45 (td, J = 8.5, 7.9, 6.0 Hz, 2H), 3.33 - 3.15 (m, 2H), 2.83 (s, 2H), 2.64 - 2.48 (m, 2H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.73 (p, J = 5.5 Hz, 2H), 1.64 (ddd, J = 20.2, 14.7, 7.3 Hz, 8H), 1.52 (q, J = 6.6, 6.0 Hz, 8H), 1.40 (tt, J = 9.9, 6.3 Hz, 4H), 1.33 - 1.24 (m, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H). LCMS (ESI): 867.1 [M+H]+ .
【0125】
[実施例12]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート
【0126】
【化23】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.88 (p, J = 6.3 Hz, 2H), 3.97 (s, 2H), 3.67 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.57 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.47 (dt, J = 9.0, 6.6 Hz, 2H), 2.31 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.71 - 1.58 (m, 19H), 1.54-1.51(dd , 8H), 1.44 - 1.36 (m, 4H), 1.28 (d, J = 9.8 Hz, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H). LCMS (ESI): 895.1 [M+H]+ .
【0127】
[実施例13]
ジ(ヘプタデカン-9-イル)6,6'-(((3R,4S)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジヘキサノエート
【0128】
【化24】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.93 - 4.82 (m, 2H), 3.96 - 3.85 (m, 2H), 3.58 (t, J = 4.7 Hz, 2H), 3.54 (dt, J = 9.4, 6.6 Hz, 2H), 3.45 (dt, J = 9.2, 6.7 Hz, 2H), 3.22 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 2.66 - 2.58 (m, 2H), 2.53 (dd, J = 10.1, 4.9 Hz, 2H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.72 - 1.59 (m, 12H), 1.52 (d, J = 6.3 Hz, 8H), 1.44 - 1.36 (m, 4H), 1.28 (d, J = 9.6 Hz, 48H), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 12H). LCMS (ESI): 881.2 [M+H]+ .
【0129】
[実施例14]
(((3S,4R)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(ヘキシルデカノエート)
【0130】
【化25】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.08 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.90 (q, J = 4.9, 4.4 Hz, 2H), 3.81 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.54 (dt, J = 9.0, 6.6 Hz, 2H), 3.46 (dt, J = 9.1, 6.6 Hz, 2H), 3.28 (s, 2H), 2.86 (s, 2H), 2.65 - 2.55 (m, 2H), 2.33 (tt, J = 9.0, 5.3 Hz, 2H), 1.75 (p, J = 5.5 Hz, 2H), 1.61 (dddd, J = 16.6, 12.9, 10.0, 7.1 Hz, 12H), 1.48 - 1.41 (m, 4H), 1.39 (p, J = 3.7 Hz, 8H), 1.33 - 1.23 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.0, 1.8 Hz, 12H). LCMS (ESI): 839.0 [M+H]+ .
【0131】
[実施例15]
(((3S,4R)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0132】
【化26】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.08 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.96 (s, 2H), 3.67 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.57 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.47 (dt, J = 9.1, 6.6 Hz, 2H), 2.33 (tt, J = 9.0, 5.3 Hz, 2H), 1.66 - 1.59 (m, 22H), 1.48 - 1.41 (m, 6H), 1.39 (p, J = 3.5 Hz, 8H), 1.33 - 1.22 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.0, 1.8 Hz, 12H). LCMS (ESI): 867.0 [M+H]+ .
【0133】
[実施例16]
(((3S,4R)-1-(4-ヒドロキシブチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)
【0134】
【化27】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.08 (t, J = 6.7 Hz, 4H), 3.92 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 3.59 (d, J = 5.1 Hz, 2H), 3.54 (dt, J = 9.2, 6.6 Hz, 2H), 3.46 (dt, J = 9.1, 6.6 Hz, 2H), 3.26 (s, 2H), 2.63 (s, 2H), 2.59 - 2.48 (m, 2H), 2.33 (tt, J = 9.0, 5.3 Hz, 2H), 1.72 - 1.55 (m, 16H), 1.45 (dddt, J = 11.5, 9.8, 6.0, 3.0 Hz, 4H), 1.39 (q, J = 3.7 Hz, 8H), 1.32 - 1.22 (m, 40H), 0.90 (td, J = 7.0, 1.8 Hz, 12H). LCMS (ESI): 853.2 [M+H]+ .
【0135】
[実施例17]
ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0136】
【化28】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.99 (d, J = 5.8 Hz, 4H), 3.90 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 3.85 - 3.73 (m, 2H), 3.57 (dt, J = 9.2, 6.3 Hz, 2H), 3.48 (dt, J = 9.2, 6.3 Hz, 2H), 3.27 (s, 2H), 2.85 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 2.60 (dd, J = 9.8, 4.9 Hz, 2H), 2.36 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.78 - 1.68 (m, 6H), 1.65 (dt, J = 9.4, 6.3 Hz, 6H), 1.29 (d, J = 7.9 Hz, 64H), 0.91 (t, J = 7.0 Hz, 12H). LCMS (ESI): 923.2 [M+H]+ .
【0137】
[実施例18]
【0138】
ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0139】
【化29】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.99 (d, J = 5.8 Hz, 4H), 3.68 (td, J = 6.4, 1.8 Hz, 2H), 3.59 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.50 (ddt, J = 11.8, 8.5, 3.9 Hz, 2H), 2.36 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.72 (dq, J = 11.9, 7.3 Hz, 4H), 1.67 - 1.58 (m, 20H), 1.46 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 1.36 - 1.23 (m, 62H), 0.91 (t, J = 6.9 Hz, 12H). LCMS (ESI): 951.2 [M+H]+ .
【0140】
[実施例19]
ビス(2-オクチルドデシル)5,5'-(((3R,4S)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0141】
【化30】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.98 (d, J = 5.8 Hz, 4H), 3.67 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.54 - 3.41 (m, 2H), 2.35 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.71 (p, J = 7.2 Hz, 4H), 1.62 (d, J = 18.8 Hz, 22H), 1.40 (s, 4H), 1.29 (d, J = 8.6 Hz, 60H), 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 12H). LCMS (ESI): 965.4 [M+H]+ .
【0142】
[実施例20]
ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(3-ヒドロキシプロピル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0143】
【化31】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.98 (d, J = 5.8 Hz, 4H), 3.67 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.60 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.54 - 3.41 (m, 2H), 2.35 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.71 (p, J = 7.2 Hz, 4H), 1.62 (d, J = 18.8 Hz, 22H), 1.40 (s, 4H), 1.29 (d, J = 8.6 Hz, 60H), 0.90 (t, J = 6.9 Hz, 12H); LCMS (ESI): 698.8 [M+H]+ .
【0144】
[実施例21]
ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(5-ヒドロキシペンチル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0145】
【化32】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.99 (d, J = 5.8 Hz, 6H), 3.66 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.59 (dt, J = 9.0, 6.4 Hz, 2H), 3.49 (dt, J = 9.1, 6.3 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.76 - 1.68 (m, 6H), 1.67 - 1.57 (m, 14H), 1.44 (p, J = 8.0 Hz, 2H), 1.35 - 1.25 (m, 32H), 0.91 (td, J = 6.7, 5.1 Hz, 12H); LCMS (ESI): 726.7 [M+H]+ .
【0146】
[実施例22]
ビス(2-ブチルオクチル)5,5'-(((3R,4S)-1-(6-ヒドロキシヘキシル)ピロリジン-3,4-ジイル)ビス(オキシ))ジペンタノエート
【0147】
【化33】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 3.99 (d, J = 5.8 Hz, 4H), 3.66 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.59 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 3.49 (dt, J = 9.2, 6.2 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.75 - 1.68 (m, 4H), 1.61 (tq, J = 21.1, 6.3 Hz, 20H), 1.39 (d, J = 14.3 Hz, 4H), 1.34 - 1.25 (m, 30H), 0.91 (td, J = 6.7, 5.1 Hz, 12H); LCMS (ESI): 740.9 [M+H]+ .
【0148】
脂質ナノ粒子(LNP)調製
ホタルルシフェラーゼ(FLuc)レポーターmRNA積載脂質ナノ粒子(LNP)を、NANOASSEMBLER(登録商標)IGNITE(商標)によって製剤化した。簡潔に言えば、脂質、コレステロール、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000(DMG-PEG2000)、及び1,2-ステアロイル-sn-グリセロール-3-ホスホコリン(DSPC)の混合物を50:38.5:10:1.5のモル%比でエタノール性溶液として調製した。3単位のFLuc mRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH5.0)緩衝液に溶解し、1単位の脂質混合物をミクロ流体混合カートリッジ中、アミンとホスフェートとの(N/P)比定数6及び12mL/分に設定された計器流速で急速に組み合わせた。mRNA-LNPは、カルシウム及びマグネシウム不含リン酸緩衝食塩水(PBS)の40倍希釈を行って、pH中性に到達した。次いで、Amicon(登録商標)Ultra-15 Centrifugal Filter Unitを使用して、LNPを濃縮した。
【0149】
mRNA(配列番号1)は、TRILINK BIOTECHNOLOGIES(登録商標), LLCから購入することができる。
【0150】
特徴付け
mRNA-LNPを、ZETASIZER(商標) PRO BLUE(MALVERN PANALYTICAL(登録商標))によって流体力学的サイズ(z-平均直径)、ゼータ電位、及び多分散指数の観点から特徴付けした。QUANT-IT(商標) RIBOGREENアッセイキット(THERMOFISHER(登録商標))を実施して、mRNA濃度及びカプセル化効率を同定した。要するに、mRNA-LNPを、等容積のTris/EDTA(TE)緩衝液又はTE緩衝液中2%Triton X-100に希釈した。その後、RIBOGREEN試薬を各試料に添加し、光の非存在下で37℃で15分間インキュベートした。蛍光強度(Ex/Em 480/520nm)をTECAN(商標) Microplateリーダーで検出した。カプセル化効率(E.E)は次式によって計算することができる。
E.E(%)=(全mRNA濃度-非カプセル化mRNA濃度)/(全mRNA濃度)×100%
【0151】
さらに、6-(p-トルイジノ)-2-ナフタレンスルホニルクロリド(TNS)結合アッセイを使用して、mRNA-LNPの酸解離定数(pKa)を決定した。いくつかのpH範囲の緩衝液(20mM クエン酸緩衝液は、pH3.0~5.5の範囲であり;20mM リン酸ナトリウム緩衝液は、pH6.0~8.0の範囲であり;20mM トリス緩衝液は、pH8.5~10.0の範囲である)を調製した。LNP(0.5mM 全脂質)を上記の緩衝液及びTNS試薬と混合して、総容積0.2mLでTNS試薬の最終濃度6μMを実現し、次いで10分間インキュベートした。蛍光強度値は、Infinite M200 PRO(Ex/Em 321/447nm)によって記録した。
【0152】
【表1】
【0153】
HEPG2細胞株におけるトランスフェクション効率及び細胞毒性
新規脂質から作製されたmRNA-LNPの潜在能力及び細胞毒性を調査するために、FLuc mRNA(TRILINK(登録商標))をLNP内にカプセル化し、細胞株にトランスフェクトした。HEPG2細胞を、37℃、5%CO2下にて10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM培地中で維持した。細胞を4×104細胞/ウェルで播種し、細胞が70%コンフルエントに到達する間にFLuc mRNA-LNPで18時間で処理した。トランスフェクション効率を探究するために、HEPG2細胞をD-ルシフェリンで処理し、徹底的に混合し、37℃でさらに5分インキュベートした。M200 Microplate Reader(TECAN(登録商標))を使用して、発光強度を記録した。細胞生存率をCell Counting Kit-8 (SIGMA-ALDRICH(登録商標))によって評価し、吸光度を450nmで測定した。結果を表2に示す。
【0154】
【表2】
【0155】
化合物11及び14の毒性は10%未満である。
【0156】
本開示を、その具体的な実施形態を参照しながら記載及び例示してきたが、これらの記載及び例示は限定するものではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が加えられてもよく、等価物で置換されてもよいことが理解されるはずである。例示は、必ずしも一定の縮尺で描かれなくてもよい。本開示における美術的解釈と実際の装置との間の差異が、製造方法及び公差のために存在し得る。具体的には例示されていない本開示の他の実施形態が存在し得る。本明細書及び図面は、拘束するものではなくむしろ例示するものとみなされるべきである。特定の状況、材料、組成物、方法、又はプロセスを本開示の目的、趣旨及び範囲に適応させるように修正が行われ得る。このような修正はすべて、本明細書に添付した特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書に開示される方法を、特定の順序で行われた特定の操作を参照しながら記載してきたが、これらの操作を組み合わせるか、細分するか、又は並び替えて、本開示の教示から逸脱することなく、等価の方法を形成してもよいことが理解されるであろう。したがって、本明細書で具体的に指示がない限り、操作の順序及びグループ分けは、本開示を限定するものではない。
【配列表】
2025011060000001.xml
【外国語明細書】