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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011065
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】電磁式燃料インジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20250116BHJP
   F02M 61/10 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
F02M51/06 A
F02M61/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110658
(22)【出願日】2024-07-10
(31)【優先権主張番号】102023000014409
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102024000004939
(32)【優先日】2024-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】523058504
【氏名又は名称】マレッリ ヨーロッパ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ シニョレッリ
(72)【発明者】
【氏名】ミケーレ ペトローネ
(72)【発明者】
【氏名】ステーファノ ペトレッキア
(72)【発明者】
【氏名】マルティーナ ラ マルファ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ マッティオーリ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ ザンポッリ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ムンド
(72)【発明者】
【氏名】ルカ マンチーニ
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB05
3G066BA22
3G066BA43
3G066BA49
3G066CC05U
3G066CC51
3G066CE22
3G066DA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】騒音レベルが低くかつ劣化(摩耗)が小さく、製造が容易である、電磁式燃料インジェクタを提供する。
【解決手段】燃料の電磁式インジェクタ1は、管形状の支持体4と、支持体4の端に配置された噴射ノズルと、噴射ノズルに結合された噴射弁と、噴射弁の閉開位置の間で可動であるプランジャー8と、少なくとも1つの主電磁石11及び少なくとも1つの二次電磁石12を備えた電磁アクチュエータ6と、プランジャー8を噴射弁の閉位置に向かって付勢する閉鎖ばねと、を有している。二次電磁石12は、二次コイル17と二次可動アーマチュア18とを有しており、二次可動アーマチュア18は支持体4の内部に配置されており、プランジャー8に統合されており、かつ二次コイル17に磁気的に結合されている。二次電磁石12は支持体4の内部に配置されており、二次可動アーマチュア18に磁気的に結合されている、二次固定アーマチュアを有してはいない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の電磁式インジェクタ(1)であって、前記電磁式インジェクタ(1)は、
管形状の支持体(4)と、
前記支持体(4)の端に配置された噴射ノズル(3)と、
前記噴射ノズル(3)に結合された噴射弁(7)と、
プランジャー(8)であって、前記噴射ノズル(3)を通る燃料流を調節するために、前記噴射弁(7)の閉位置と開位置の間で可動である、プランジャー(8)と、
電磁アクチュエータ(6)であって、前記電磁アクチュエータ(6)は、少なくとも1つの主電磁石(11)を備えており、前記主電磁石(11)は、アクティベートされているときに、前記プランジャー(8)を前記噴射弁(7)の前記開位置に向かって押す力を、前記プランジャー(8)に適用するように構成されており、かつ、前記電磁アクチュエータ(6)は、少なくとも1つの二次電磁石(12)を備えている、電磁アクチュエータ(6)と、
前記プランジャー(8)を前記噴射弁(7)の前記閉位置に向かって押すように構成されている、閉鎖ばね(10)と、を備えており、
前記主電磁石(11)は、前記支持体(4)に統合されておりかつ前記支持体(4)の内部に配置されている主固定アーマチュア(14)と、前記主固定アーマチュア(14)の領域に配置された主コイル(13)と、主可動アーマチュア(16)であって、前記支持体(4)の内側に配置されており、可動であり、前記主固定アーマチュア(14)によって磁気的に引き付けられるように前記主固定アーマチュア(14)に結合されており、前記プランジャー(8)に統合されており、かつ前記主コイル(13)に磁気的に結合されている、主可動アーマチュア(16)と、を備えており、
前記二次電磁石(12)は、二次コイル(17)と、二次可動アーマチュア(18)と、を備えており、前記二次可動アーマチュア(18)は、前記支持体(4)の内部に配置されており、可動であり、前記プランジャー(8)に統合されており、かつ前記二次コイル(17)に磁気的に結合されている、電磁式インジェクタ(1)において、
前記二次電磁石(12)は、二次固定アーマチュアであって、前記支持体(4)に統合されており、前記支持体(4)の内部に配置されており、かつ前記二次可動アーマチュア(18)を磁気的に引き付けるために前記二次可動アーマチュア(18)に磁気的に結合されている、二次固定アーマチュアを有してはいない、ことを特徴とする、電磁式インジェクタ(1)。
【請求項2】
前記二次電磁石(12)は、アクティベートされているときに、前記閉位置から前記開位置までの前記プランジャー(8)のストローク全体に沿って、前記プランジャー(8)を前記噴射弁(7)の前記開位置に向かって押す力を、前記二次可動アーマチュア(18)に適用するように構成されている、請求項1に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項3】
前記二次電磁石(12)は、アクティベートされているときに、前記閉位置から前記開位置までの前記プランジャー(8)のストロークの最初の部分に沿って、前記プランジャー(8)を前記噴射弁(7)の前記開位置に向かって押す、第1の力を、前記二次可動アーマチュア(18)に適用するように、かつ、前記閉位置から前記開位置までの前記プランジャー(8)の前記ストロークの最後の部分に沿って、前記第1の力と反対方向でありかつ前記プランジャー(8)を前記噴射弁(7)の前記閉位置に向かって押す、第2の力を、前記二次可動アーマチュア(18)に適用するように、構成されている、請求項1に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項4】
前記二次電磁石(12)は、アクティベートされているときに、前記閉位置から前記開位置までの前記プランジャー(8)のストローク全体に沿って、前記プランジャー(8)を前記噴射弁(7)の前記閉位置に向かって押す力を、前記二次可動アーマチュア(18)に適用するように構成されている、請求項1に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項5】
前記二次電磁石(12)は、アクティベートされているときに、前記プランジャー(8)が前記閉位置にあるときにはゼロ力を前記二次可動アーマチュア(18)に適用するように構成されている、請求項4に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項6】
前記2つの電磁石(11、12)の前記2つのコイル(13、17)は、互いに直列に接続されており、従って同じ電流(i)がそれらを流れている、請求項1に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項7】
前記二次電磁石(12)は、前記二次コイル(17)に対する磁気抵抗が最小である位置に向かって前記二次可動アーマチュア(18)を引き付ける力により、前記プランジャー(8)を押す磁力を生成するように構成されている、請求項1に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項8】
制御ユニット(19)が設けられ、前記制御ユニット(19)は、前記プランジャー(8)が前記開位置から前記閉位置まで移動するときに、前記電磁石(11、12)が、前記閉位置に向かう前記プランジャー(8)の移動を、それを停止させることなく減速させる磁力を生成するように、前記電磁石(11、12)をアクティベートするように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項9】
前記制御ユニット(19)は、前記可動アーマチュア(19)が前記閉位置に到達する前に前記電磁石(11、12)をディアクティベートするように構成されている、請求項8に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項10】
前記制御ユニット(19)は、前記プランジャー(8)が前記開位置から前記閉位置まで移動するときに、最初にピーク実効値(I)を有しかつその後前記ピーク実効値(I)よりも小さいホールド実効値(I)を有する、電流(i)を、前記電磁石(11、12)を通るように循環させるように構成されている、請求項8に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項11】
制御ユニット(19)が設けられ、前記制御ユニット(19)は、
前記プランジャー(8)の前記閉位置から前記開位置までの変位を達成するための開放実効値を有する、電流(i)を、前記電磁石(11、12)を通るように循環させるように、
前記プランジャー(8)の前記開位置から前記閉位置までの変位を達成するための閉鎖実効値を有する、電流(i)を、前記電磁石(11、12)を通るように循環させるように、かつ、
前記プランジャー(8)の前記開位置から前記閉位置までの前記変位を、それを停止させることなく減速させるための、前記閉鎖実効値よりも大きな減速実効値を有する、電流(i)を、前記電磁石(11、12)を通るように循環させるように、構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項12】
前記減速実効値は、前記開放実効値に等しい、請求項11に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項13】
前記減速実効値は、前記開放実効値が循環させられる時間よりも短い時間の間だけ循環させられる、請求項11に記載の電磁式インジェクタ(1)。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電磁式インジェクタ(1)を制御するための制御方法であって、前記プランジャー(8)が前記開位置から前記閉位置まで移動するときに、前記電磁石(11、12)が、前記閉位置に向かう前記プランジャー(8)の移動を、それを停止させることなく減速させる磁力を生成するように、前記電磁石(11、12)をアクティベートするステップを含んでいる、制御方法。
【請求項15】
前記電磁石(11、12)は、前記可動アーマチュア(19)が前記閉位置に到達する前にディアクティベートされる、請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記プランジャー(8)が前記開位置から前記閉位置まで移動するときに、最初にピーク実効値(I)を有しかつその後前記ピーク実効値(I)よりも小さいホールド実効値(I)を有する、電流(i)が、前記電磁石(11、12)を通るように循環させられる、請求項14に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本特許出願は、2023年7月10日に出願されたイタリア国特許出願第102023000014409号と、2024年3月6日に出願されたイタリア国特許出願第102024000004939号と、に対する優先権を主張する。該出願の開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電磁式燃料インジェクタに関する。
【0003】
本発明は、電磁式水素インジェクタにおいて有利な適用例を見出す。以下の議論は、電磁式水素インジェクタに対する明示的な言及を行うが、一般性は失われない。
【背景技術】
【0004】
概して、電磁式燃料インジェクタ(例えば、特許文献1に記載のもの)は、中央供給チャネルを有する円筒管状支持体を備えている。この円筒管状支持体は、燃料ダクトとしてはたらき、かつ、電磁アクチュエータによって制御される噴射弁によって調節される噴射ノズルで終わる。噴射弁はプランジャーを備えており、このプランジャーが、電磁アクチュエータの作用によって、プランジャーを閉位置に向かって押す閉鎖ばねの作用に抗して、噴射ノズルの閉位置と開位置の間で移動させられる。このプランジャーは、噴射弁のバルブシートに対してきつく着座するように設計された、シャッターヘッドで終わる。
【0005】
この電磁式アクチュエータは、上記支持体の外側であり上記支持体の周囲である固定位置に配置された、(少なくとも1つの)コイルと、プランジャーに堅固に接続されており、かつ支持体の内部で可動であるように取付けられている、強磁性体材料で作製された可動アーマチュアと、支持体の内側でコイルの領域に配置されておりかつコイルが励磁されたときには該可動アーマチュアを磁気的に引き付けるように設計されている、強磁性体材料で作製された固定アーマチュア(又は底部部材)と、を備えている。
【0006】
液体燃料が噴射されるとき、支持体内部における液体燃料の存在が、可動アーマチュアの移動に対する重要な障害を構成するのであり、事実上、可動アーマチュアの移動速度を制限する水圧ダンパーを形成する。さらに、液体燃料は(気体燃料とは反対に)、使用時に互いに接触する様々なコンポーネントの摩耗を減少させる潤滑化効果を有しており、使用時に互いに接触する様々なコンポーネントによって発生させられる騒音を制限する。その代わりに、気体燃料が噴射されるときには(特に、極めて軽い気体である水素が噴射されるときには)、支持体内部における気体燃料の存在が可動アーマチュアの移動に対する重要な障害を構成することはなく、従って可動アーマチュアは高速で移動し、開放移動の最後には、固定アーマチュアに対して激しく衝突する。開放移動の最後における固定アーマチュアに対する可動アーマチュアの激しい衝突は、高い騒音レベル及び劣化(摩耗)の加速の両方を引き起こす。さらに、開放移動の最後における固定アーマチュアに対する可動アーマチュアの激しい衝突は、噴射される燃料の量に一定のランダム性を導入する、重要な跳ね返り現象も引き起こす。
【0007】
この点で、水素は密度が低い(水素は、2つの水素原子のみから成る非常に単純な分子を有しているため)ので、従って、十分な量(質量)の水素を燃焼室に噴射するためには、対応する大量の水素が噴射されなければならず、このことは、特に噴射弁を通る水素の大きい通過領域を必要とすることに(即ち、水素インジェクタを出るために水素が通過しなければならない開口は、大きくなければならないことに)注意することが、重要である。噴射弁を通る水素の大きな通過領域を有するためには、プランジャーが(従って可動アーマチュアが)閉位置と開位置の間で長いストロークを有することが必要であり、このことは、開放移動の最後における固定アーマチュアに対する可動アーマチュアの衝突速度のさらなる増加を引き起こす。
【0008】
開放移動の最後における固定アーマチュアに対する可動アーマチュアの衝突速度を制限するために、電磁アクチュエータのコイルを通過する特定の電流プロファイルが現在使用されており、これは、可動アーマチュアが固定アーマチュアに近いときには、可動アーマチュアを固定アーマチュアに向かって引き付ける磁力が減少させられることを可能にすべきである。しかしながら、可動アーマチュアが固定アーマチュアに近いときに可動アーマチュアを固定アーマチュアに向かって引き付ける磁力を制御することは、極めて複雑でありかつかなり不正確である。というのも、この位置において、可動アーマチュアを固定アーマチュアに向かって引き付ける磁力は、強い非線形性を有している(即ち、それは、可動アーマチュアと固定アーマチュアの間の空隙が非常に小さくなるときには、指数関数的に増加する)からである。
【0009】
特許文献2及び3は、電磁式燃料インジェクタであって、その電磁アクチュエータは別個かつ独立した2つの電磁石を備えており、その各々が、コイルと、強磁性体材料で作製されておりかつ該コイルに磁気的に結合されている可動アーマチュアと、強磁性体材料で作製されておりかつコイル及び可動アーマチュアに磁気的に結合されている固定アーマチュア(又は底部部材)と、を備えている、即ち、両方の電磁石がプランジャーに統合されたそれぞれの可動アーマチュアを備えている、電磁式燃料インジェクタを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1619384号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3091219号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2975256号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上記の欠点を持たない電磁式燃料インジェクタを提供することであり、即ち、騒音レベルが低くかつ劣化(摩耗)が小さく、同時に、製造が容易かつ安価である、電磁式燃料インジェクタを提供することである。
【0012】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲において特許請求されているとおりの電磁式燃料インジェクタが提供される。
【0013】
添付の特許請求の範囲は、本明細書の不可欠な部分を構成する、本発明の好ましい実施形態を例示している。
【0014】
以下、本発明は、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照しつつ、記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に従って作製された燃料インジェクタの一部の長手方向の断面図である。
図2図1の細部の拡大スケールでの図である。
図3図1の燃料インジェクタの電磁アクチュエータを通る電流の時間変化及び図1の燃料インジェクタの可動プランジャーの位置の時間変化を示している。
図4】一実施形態による、電磁アクチュエータを通る電流及び電磁アクチュエータに印加される電圧の時間変化を示している。
図5】一実施形態による、電磁アクチュエータを通る電流及び電磁アクチュエータに印加される電圧の時間変化を示している。
図6】一実施形態による、電磁アクチュエータを通る電流及び電磁アクチュエータに印加される電圧の時間変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1では、参照符号1が、全体として、気体燃料の(特に、水素の)電磁式インジェクタを示しており、これは、長手方向軸2を中心とした円筒対称性を有しており、かつ、水素を噴射ノズル3を通じて噴射するために制御され得る。噴射ノズル3は、内燃機関のシリンダの燃焼室(図示されてはいない)内へと直接入って終わっている。
【0017】
電磁式インジェクタ1は、支持体4を備えており、支持体4は、断面が長手方向軸2に沿って変化する円筒管形状を有しており、かつ、加圧された水素を噴射ノズル3に向けて供給するための、支持体4の長さ全体に沿って延びる供給チャネル5を有している。
【0018】
支持体4は、電磁アクチュエータ6及び噴射弁7を格納している。使用時には、噴射弁7は、電磁アクチュエータ6によって、噴射弁7の領域で得られる噴射ノズル3を通る水素の流れを調整するように、アクチュエートされる。
【0019】
電磁アクチュエータ6は、シャッター9で終わるプランジャー8を備える可動ユニットを、軸方向に(即ち、長手方向軸2に沿って)移動させるように、構成されている。シャッター9は、噴射ノズル3を通る水素の流れを調整するために、噴射弁7のバルブシートと協働する。換言すれば、支持体4は、(少なくとも1つの)貫通孔であって、そこでバルブシートが定められかつシャッター9によって係合される、貫通孔で終わる。特に、電磁アクチュエータ6は、シャッター9を、噴射弁7の閉位置と開位置の間で移動させるように、構成されている。さらに、電磁アクチュエータ6は、電磁式インジェクタ1を通常は閉鎖されているように維持する閉鎖ばね10に結合されている。閉鎖ばね10は、即ち、シャッター9を噴射弁7の閉位置に向かって押している。換言すれば、通常、噴射弁7は、プランジャー8を閉位置に向かって押す閉鎖ばね10の効果によって閉鎖されており、閉位置においては、プランジャー8のシャッター9は、噴射弁7のバルブシートに対して押し付けられているのである。
【0020】
添付の図面に示された実施形態では、噴射弁7は、軸方向内側に向かって開放され、好ましくは、シャッター9は、球形状を有している。図示されていない異なる実施形態によれば、噴射弁7は、軸方向外側に向かって開放され、この実施形態では、シャッター9は、例えば円錐台形状を有し得る。
【0021】
図2によりよく示されているように、電磁アクチュエータ6は、一緒に制御される(即ち、同じ電流制御の)、主(マスター)電磁石11と、二次(スレイブ)電磁石12とを備えている。主電磁石11は、(アクティベートされているときに)噴射弁7を開放する(従って、閉鎖ばね10によって生成された弾性力と反対方向の)力をプランジャー8に適用するように構成されている。同様にして、二次電磁石12は、(アクティベートされているときに)噴射弁7を開放する(従って、閉鎖ばね10によって生成された弾性力と反対方向の)力をプランジャー8に適用するように構成されている。換言すれば、2つの電磁石11及び12は、相互調和的な力をプランジャー8に適用し、プランジャー8を噴射弁7の開位置に向かって押すように構成されている。
【0022】
主電磁石11は、支持体4の外側に格納された主コイル13と、強磁性体材料から作製された主固定アーマチュア14(磁極又は底部部材又は磁極片)とを備えている。主固定アーマチュア14は、支持体4の内側で、主コイル13の領域の固定位置に格納されており、燃料が噴射ノズル3に向かって流れることができるようにする(少なくとも1つの)中央ホール15を有している(代替的には、ホール15は、中央位置には配置されない場合もある)。即ち、この主固定アーマチュア14は、支持体4の内側に挿入され、支持体4に統合されている(一般的には、それは支持体4に溶着されている)。さらに、主電磁石11は、主可動アーマチュア16を備えており、主可動アーマチュア16は、支持体4の内側に配置され、プランジャー8に統合され(即ち、それは可動ユニットの一部であり)従って軸方向に可動であり、主固定アーマチュア14に近接して配置されており、即ち、それは主固定アーマチュア14に磁気的に結合されており(従ってそれに近接するようにそれに面しており)、かつ、(コイル13が励磁されたときに)主固定アーマチュア14によって磁気的に引き付けられ、即ち、主可動アーマチュア16は、主コイル13によって生成された磁気フラックスによって通過されるので、主コイル13に磁気的に結合されている。換言すれば、主電磁石11は、(主可動アーマチュア16に統合された)プランジャー8を開位置に向かって押す磁力を生成するように構成されており、これは、本質的には、主可動アーマチュア16と主固定アーマチュア14の間で生成される磁気引力による。
【0023】
二次電磁石12は、支持体4の外側に格納された二次コイル17を備えているが、強磁性体材料から作製され、支持体4の内側で、二次コイル16の領域の固定位置に格納されている二次固定アーマチュア(磁極又は底部部材又は磁気拡張部)を備えてはいない。さらに、二次電磁石12は、二次可動アーマチュア18を備えており、二次可動アーマチュア18は、プランジャー8に統合され(即ち、それは可動ユニットの一部であり)従って軸方向に可動であり、二次コイル17の領域に配置されており、(二次コイル17が励磁されたときに)二次コイル17に対する磁気抵抗が最小である位置に向かって磁気的に引き付けられ、即ち、二次可動アーマチュア18は、二次コイル17によって生成された磁気フラックスによって通過されるので、二次コイル17に磁気的に結合されている。換言すれば、二次電磁石12は、(主可動アーマチュア16に統合された)プランジャー8を開位置に向かって押す磁力を生成するように構成されており、これは、本質的には、二次可動アーマチュア18を二次コイル17に対する磁気抵抗が最小である位置に向かって引き付ける力による。
【0024】
要約すると、二次電磁石12は、二次可動アーマチュア18に磁気的に結合された(従って、それに対して近接するようにそれに面している)、自身の二次固定アーマチュアを有していない。
【0025】
好ましい実施形態によれば、二次可動アーマチュア18は、(プランジャー8に統合されておりかつ可動ユニットの一部である)二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストローク全体を通じて、二次電磁石12が、噴射弁7の開位置に向かってプランジャー8を押す力のみを常に生成するように、構成(即ち、形状決め及び位置決め)される。換言すれば、この実施形態では、二次電磁石12によって生成される磁力は、二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストローク全体を通じて、同じ方向を有している。
【0026】
異なる実施形態によれば、二次可動アーマチュア18は、(プランジャー8に統合されておりかつ可動ユニットの一部である)二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストロークの最初の部分に沿って、二次電磁石12が、噴射弁7の開位置に向かってプランジャー8を押す力を生成し、一方では、(プランジャー8に統合されておりかつ可動ユニットの一部である)二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストロークの最後の部分に沿って、二次電磁石12が、噴射弁7の閉位置に向かってプランジャー8を押す力を生成するように、構成(即ち、形状決め及び位置決め)される。換言すれば、この実施形態では、二次電磁石12によって生成される磁力は、二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストロークに沿ったその方向を逆転させる。最初は(二次可動アーマチュア18が閉位置に近いときには)、二次電磁石12によって生成される磁力は開位置に向かって押すものであり、一方では、最後には(二次可動アーマチュア18が開位置に近いときには)、二次電磁石12によって生成される磁力は閉位置に向かって押すものである。しかしながら、(二次電磁石12によって生成される磁力が、閉位置から開位置までのプランジャー8のストロークに沿って逆転する)この実施形態は、一般的には避けられる。というのも、それは、プランジャー8の位置を制御することを不安定にし、従って正確に行うことを非常に困難にするからである。
【0027】
さらなる実施形態によれば、二次可動アーマチュア18は、(プランジャー8に統合されておりかつ可動ユニットの一部である)二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストローク全体を通じて、二次電磁石12が、噴射弁7の閉位置に向かってプランジャー8を押す力のみを常に生成し、従って、ばね10によって生成される閉鎖力に対して常に追加を行い、主電磁石11によって生成される力に抗するように、構成(即ち、形状決め及び位置決め)される。換言すれば、この実施形態では、二次電磁石12によって生成される磁力は、二次可動アーマチュア18によって行われる、噴射弁7の閉位置と開位置の間でのストローク全体を通じて、同じ方向を有しており、この方向は、ばね10によって生成された閉鎖力とは調和的であるが、主電磁石11によって生成される磁力とは非調和的である。好ましくは、この実施形態では、二次電磁石12によって生成された磁力は、噴射弁8が(即ち、プランジャー8が)閉位置にあるときにはゼロであり、噴射弁8が(即ち、プランジャー8が)閉位置から開位置まで移動するときには(ゼロからはじまって)増加する。
【0028】
電磁式インジェクタ1は、制御ユニット19(図1において概略的に示されている)を備えている(それに接続されている)。制御ユニット19は、直列な2つのコイル13及び17に対して、電流i(t)の循環を発生させる電圧v(t)を印加することにより、2つの電磁石11及び12の2つのコイル13及び17の両方に給電する。特に、2つの電磁石11及び12の2つのコイル13及び17は、互いに対して直列に接続されており、従って同じ電流がそれらを流れる。換言すれば、電磁石11及び12は、同じ電流によって制御される。
【0029】
使用時には、電磁石11及び12が除勢されているときには、主可動アーマチュア16は、磁気起源を有するいかなる力も受けず、従って、閉鎖ばね10によって生成された、主可動アーマチュア16をプランジャー8と一緒に閉位置に向かって(即ち、下方向に)押す弾性力のみを受ける。この状況では、噴射弁7は閉鎖される。閉位置の「エンドストップ」が、噴射弁7のバルブシートに対するシャッター9の接触によって、確立される(又は、より一般的には、支持体4に統合された一固定要素に対する可動ユニットの一要素の接触によって、確立される。即ち、閉位置の「エンドストップ」は、噴射弁7のバルブシートに対するシャッター9の接触とは独立に確立される場合もある)。
【0030】
使用時には、噴射弁7を開放するために、主電磁石11と12の両方が、閉鎖ばね10の弾性力に打ち勝ってプランジャー8を(即ち、2つの可動アーマチュア16及び18を)開位置に向かって押す磁力を生成するように、主電磁石11と12の両方がアクティベートされる(即ち、コイル13と17の両方が励磁される)。結果として、プランジャー8は(即ち、2つの可動アーマチュア16及び18は)、開位置に向かって移動し、噴射弁7の漸進的な開放を引き起こす。噴射弁7の(完全な)開位置は、主可動アーマチュア16が主固定アーマチュア14に対して着座したときに到達される。というのも、開位置の「エンドストップ」は、主固定アーマチュア14に対する主可動アーマチュア16の接触によって(又は、より一般的には、支持体4に統合された一固定要素に対する可動ユニットの一要素の接触によって)確立されるからである。即ち、開放するステップの最後に、主可動アーマチュア16は、主固定アーマチュア14に対してそのストロークを終える。
【0031】
概して、主可動アーマチュア16が主固定アーマチュア14に接触すると、噴射弁7を開放状態に維持するために、低強度の電流i(t)が電磁石11及び12のコイル13及び17に供給される。というのも、開位置を維持するためには、減少された磁力で十分であるからである。
【0032】
使用時には、噴射弁7を閉鎖するために、電磁石11及び12はオフにされ、プランジャー8はもはや磁気起源のいかなる力も受けず、閉鎖ばね10によって生成された弾性力によって閉位置に向かって(即ち、下向きに)押される。
【0033】
可能な実施形態によれば、電磁石11及び12は、閉鎖するステップを通じてオフにされたままである。
【0034】
代替的な実施形態によれば、(閉鎖するステップの最後に)シャッター9が噴射弁7のバルブシートの近傍にあるときに、電磁石11及び12は少しの間だけアクティベート(再アクティベート)され(即ち、コイル13及び17が励磁され)、電磁石11及び12は、プランジャー8を開位置に向かって押す磁力を生成し、それによって閉位置に向かうプランジャー8の移動が減速される。閉鎖するステップの最後に電磁石11及び12によって生成された磁力は、閉位置に向かうプランジャー8の移動を停止又は反転させることはできず(即ち、それに足るほど強くはなく)、閉位置に向かうプランジャー8の移動を減速させる(ブレーキをかける)効果のみを有することに注意することが、重要である。従って、閉鎖するステップの最後には、シャッター9が噴射弁7のバルブシートに衝突したときに、主可動アーマチュア16はそのストロークを終了し(閉位置の「エンドストップ」は、噴射弁7のバルブシートに対するシャッター9の接触によって確立される)、シャッター9は、電磁石11及び12によって及ぼされる減速(ブレーキ)作用の結果として、噴射弁7のバルブシートに対してかなり小さな速度で衝突する。
【0035】
好ましい実施形態によれば、電磁石11及び12は、電気慣性、磁気慣性、及び機械慣性を形成するように、プランジャー8が閉位置に到達する前にディアクティベートされる(即ち、電磁石11及び12によって生成される磁力は、電磁石11及び12がディアクティベートされたときにただちにゼロになるわけではない)。
【0036】
図3は、閉位置からはじまる燃料インジェクタ1を開閉するサイクルの一例を示している。時刻Tでは、正の電圧v(t)が印加され、電磁石11及び12に電流i(t)が循環させられる。電流i(t)は、ゼロ値からピーク実効値(peak effective value)Iまで急速に増加し、ピーク実効値Iは、時刻Tに到達された後に、電磁石11及び12に印加された電圧v(t)を正の値とゼロ値の間で周期的に変化させ、電流i(t)がピーク実効値Iを中心とした範囲内に維持されることによって、時刻Tまで維持される。
【0037】
時刻Tでは、電磁石11及び12を通る電流i(t)は、ゼロ又は負の電圧v(t)を電磁石11及び12に印加することによって、時刻Tにホールド実効値(holding effective value)I(即ち、ピーク実効値Iよりも小さい値)に到達されるまで減少させられる。ホールド実効値Iは、電磁石11及び12に印加される電圧v(t)を周期的に変化させることによって、時刻Tまで維持される。
【0038】
時刻Tでは、電磁石11及び12を通る電流i(t)は、ゼロ又は負の電圧v(t)を電磁石11及び12に印加することによって、時刻Tにホールド実効値I(即ち、ホールド実効値Iよりも小さい値)に到達されるまで減少させられる。ホールド実効値Iは、電磁石11及び12に印加される電圧v(t)を周期的に変化させることによって、時刻Tまで維持される。
【0039】
電磁石11及び12を循環する電流i(t)は、ばね10によって生成される弾性力に打ち勝ってプランジャー8を開位置に向かって引き付ける磁力を生成する。その際、時刻Tと時刻Tの間で、プランジャー8は、閉位置から開位置まで移動する。プランジャー8が移動を開始した後では、プランジャー8の移動を継続させるためには、特にプランジャー8を開位置に維持するためにはより小さな力で十分であり、従って、電流i(t)は当初のピーク実効値Iからホールド実効値I及びIまで減少させられ得る。
【0040】
時刻Tでは、電磁石11及び12に対してゼロ又は負の電圧v(t)を印加することによって、電流i(t)は徐々にゼロにされる。特に、ゼロ電流i(t)は時刻Tに到達され、TからTまで維持される。
【0041】
時刻Tでは、正の電圧v(t)が印加され、電磁石11及び12に電流i(t)が循環させられる。電流i(t)は、ゼロ値からピーク実効値Iまで急速に増加し、ピーク実効値Iは、時刻Tに到達された後に、電磁石11及び12に適用された電圧v(t)を周期的に変化させることによって、時刻T10まで維持される。
【0042】
時刻T10では、電磁石11及び12を通る電流i(t)は、ゼロ又は負の電圧v(t)を電磁石11及び12に印加することによって、時刻T11にホールド実効値Iに到達されるまで減少させられる。ホールド実効値Iは、電磁石11及び12に印加される電圧v(t)を周期的に変化させることによって、時刻T12まで維持される。
【0043】
時刻T12では、電磁石11及び12に対してゼロ又は負の電圧v(t)を印加することによって、電流i(t)は徐々にゼロにされる。特に、ゼロ電流i(t)は時刻T13に到達される。
【0044】
時刻Tで電流i(t)をゼロにすることによって、プランジャー8は、ばね10によって生成された弾性力下で(この弾性力がプランジャー8に作用する唯一の力として残っている)、開位置から閉位置まで移動させられる。プランジャー8が閉位置に近い(近接している)ときには、時刻TとT13の間での電磁石11及び12の再アクティベーションによって、閉位置に向かうプランジャー8の移動を減速させる(ただし、停止はさせない)力が生成される。結果として、プランジャー8は比較的小さな速度(運動エネルギー)で閉位置に到達する(従って、閉位置に到達した際の衝突の激しさは小さくなっている)。
【0045】
好ましくは、噴射弁7を開放するため及びプランジャー8を減速させるための電圧v(t)及び電流i(t)のパターンは、実装の単純さの観点から類似しており(即ち、制御ユニット19が格納する必要がある制御プロファイルは1つのみである)、異なる時間の間だけ維持される同じ実効値I、I、及びIを提供する(明らかであるが、初期フェーズにおいてはより多くのエネルギーがプランジャー8に対して供給されなければならず、一方、閉鎖する直前にプランジャー8を減速させるために必要なエネルギーはより少なく、実効値I及びIは到達されない場合さえもある)。
【0046】
換言すれば、制御ユニット19は、プランジャー8が開位置から閉位置まで移動するときには、最初にピーク実効値Iを有しその後そのピーク実効値Iよりも小さいホールド実効値Iを有する、電流i(t)を、電磁石11及び12を通るように循環させるように、構成されている。
【0047】
従って、制御ユニット19は、プランジャー8の閉位置から開位置までの変位を達成するための開放実効値を有する、電流i(t)を、電磁石11及び12を通るように循環させるように、プランジャー8の開位置から閉位置までの変位を達成するための(もっとも、好ましくは、必ずしもゼロではない)閉鎖実効値を有する、電流i(t)を、電磁石11及び12を通るように循環させるように、かつ、プランジャー8の開位置から閉位置までの変位を、それを停止させることなく減速させるための、上記の閉鎖実効値よりも大きな減速実効値を有する、電流i(t)を、電磁石11及び12を通るように循環させるように、構成されている。好ましくは、減速実効値は、開放実効値に等しく、さらに、減速実効値は、開放実効値が循環させられる時間よりも短い時間の間だけ循環させられる。
【0048】
換言すれば、制御ユニット19は、プランジャー8が開位置から閉位置まで移動するときに、電磁石11及び12が閉位置に向かうプランジャー8の移動を、それを停止させることなく減速させる磁力を生成するように、電磁石11及び12をアクティベートする。好ましくは、電磁石11及び12は、可動アーマチュア19が閉位置に到達する前にディアクティベートされる。さらに、プランジャー8が開位置から閉位置まで移動するときには、最初にピーク実効値Iを有しその後そのピーク実効値Iよりも小さいホールド実効値Iを有する(実施形態によっては、実効値Iを通る場合も通らない場合もある)電流i(t)が、電磁石11及び12を通るように循環させられる。
【0049】
図4、5、及び6は、電磁石11及び12に印加される電圧v(t)の3つの異なるパターンと、電磁石11及び12を循環する電流i(t)の3つの対応するパターンとを示している。
【0050】
好ましい実施形態によれば、電磁石11及び12は、事前決定された電流i(t)パターン(プロファイル)をそれぞれのコイル13及び17に循環させることにより、開ループモードで制御される。噴射弁7の実際の開放及び/又は閉鎖の時刻を推定する自己較正ロジックが設けられる場合があり、それらは、噴射弁7の実際の開放及び/又は閉鎖の時刻に基づいて、事前決定された電流パターン(プロファイル)に対する修正を(必要に応じて)行うことができる。
【0051】
好ましい実施形態によれば、2つのコイル13及び16は、それらは異なる強度の磁力を異なる条件で生成する必要があるという点で、互いに異なっている。従って、2つのコイル13及び17は、巻き数ひいては形状及び/又はサイズの点で、互いに異なっている。同様にして、可動アーマチュア16及び18は、一般的には、それらは異なる強度の磁力を異なる条件で生成する必要があるという点で、互いに異なっている。従って、2つの可動アーマチュア16及び18は、一般的には、形状及び/又はサイズの点で、互いに異なっている。
【0052】
添付の図面に示された実施形態では、電磁アクチュエータ6は、単一の主電磁石11(管状体4の内側に配置されておりかつその主可動アーマチュア16に結合されている主固定アーマチュア14を備えている)と、単一の二次電磁石(管状体4の内側に配置されておりかつその二次可動アーマチュア18に結合されている二次固定アーマチュアを備えてはいない)と、を備えている。図示されていない他の実施形態によれば、電磁アクチュエータ6は、単一の電磁石11と、2つ以上の二次電磁石12(4つ又は5つまでの二次電磁石12を備えている場合もあれば、5つよりもさらに多くの二次電磁石12を備えている場合もある)と、を備えている。図示されていないさらなる実施形態によれば、電磁アクチュエータ6は、2つの(又はそれより多くの)主電磁石11と、1つの、2つの、又はそれより多くの二次電磁石12と、を備えている。
【0053】
複数の二次電磁石12が提供されているときには、各種二次電磁石12は異なる特徴を有し得る。例えば、少なくとも1つの二次電磁石12は、常に正である磁力を生成し(即ち、その磁力は常にシャッター9を噴射弁7の開位置に向かって押し)、少なくとも1つの二次電磁石12は、常に負である磁力を生成し(即ち、その磁力は常にシャッター9を噴射弁7の閉位置に向かって押し)、少なくとも1つの二次電磁石12は、最初は正でありその後負になる磁力を生成し、かつ/又は、少なくとも1つの二次電磁石12は、最初は負でありその後正になる磁力を生成する。
【0054】
上記の好ましい実施形態では、電磁式インジェクタ1は、水素を噴射するように構成されているが、代替的には、電磁式インジェクタ1は、任意の他のタイプの気体燃料を、例えばメタンを噴射するように構成されてよいし、又は、(一般的には、特にプランジャー8の長いストロークを必要とする、高い噴射流量が必要であるときに)液体燃料又は水を噴射するようにも構成され得る。
【0055】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の保護範囲を逸脱することなく、互いに組み合わせられ得る。
【0056】
上記の電磁式燃料インジェクタ1は、多くの有利な点を有する。
【0057】
第一に、上記の電磁式燃料インジェクタ1は、可動ユニットの(即ち、シャッター9と、可動アーマチュア16及び18とを搬送するプランジャー8の)力学が十分な正確性をもって制御され得るという事実により、騒音レベルが低くかつ劣化(摩耗)が小さい。特に、このようにすることで、噴射される燃料の量に一定のランダム性を導入する跳ね返り現象が減少させられる。
【0058】
これは、二次電磁石12の(より正確には、少なくとも1つの二次電磁石12の)存在によって達成される。というのも、主電磁石11によって生成される磁力は、(主可動アーマチュア16の主固定アーマチュア14への接近により、ひいては空隙を徐々にゼロにすることにより)特に開放することの最後において強い非線形を有している一方、二次電磁石12によって生成される磁力は線形性がはるかに強く(二次固定アーマチュア即ち二次底部部材の不在によって、磁気回路に「不連続」(discontinuity)が導入されることが防止される)、従って、プランジャー8に作用する磁力全体(2つの電磁石11及び12によって生成された磁力の合計によって与えられる)は、かなり線形であり(より正確には、二次電磁石12を有さない状況よりも線形性がはるかに強く)、ひいては、可動ユニットの力学を十分に正確に制御可能にするからである。
【0059】
さらに、上述の電磁式燃料インジェクタ1は、類似の既知の電磁式インジェクタと比較して、簡単に製造できる設計上の相違点がほとんどないので、製造が簡単かつ安価である。
【符号の説明】
【0060】
1 燃料インジェクタ
2 長手方向軸
3 噴射ノズル
4 支持体
5 供給チャネル
6 電磁アクチュエータ
7 噴射弁
8 プランジャー
9 シャッター
10 閉鎖ばね
11 電磁石
12 電磁石
13 主コイル
14 主固定アーマチュア
15 中央ホール
16 主可動アーマチュア
17 二次コイル
18 二次可動アーマチュア
19 制御ユニット
(t) 電流
(t) 電圧
T 時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】