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特開2025-11068給水加熱器を用いた複合火力発電システム
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  • 特開-給水加熱器を用いた複合火力発電システム 図1
  • 特開-給水加熱器を用いた複合火力発電システム 図2
  • 特開-給水加熱器を用いた複合火力発電システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011068
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】給水加熱器を用いた複合火力発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20250116BHJP
   F01K 7/32 20060101ALI20250116BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20250116BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
F01K23/10 V
F01K7/32
F01K9/00 F
F02C6/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024111325
(22)【出願日】2024-07-10
(31)【優先権主張番号】10-2023-0089166
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514104335
【氏名又は名称】韓國電力技術株式會社
【氏名又は名称原語表記】KEPCO ENGINEERING & CONSTRUCTION COMPANY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミン ファ
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ス ヨン
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA01
3G081BA11
3G081BC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】超臨界及び超々臨界の主蒸気圧力が適用された複合火力発電所に給水加熱器を配置して再生サイクルを適用することにより、ボトミングサイクルの効率を増加させることができる複合火力発電システムを提供すること。
【解決手段】給水加熱器を用いた複合火力発電システムであって、空気と燃料を混合して燃焼させることにより電気エネルギーを生成するガスタービンと、前記ガスタービンから排出されるガスタービン排ガスを熱交換して生成される蒸気と水を排出する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラから排出された蒸気を供給されて電気を生成する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させる復水器と、前記蒸気タービンから発生した抽気を回収して熱交換することにより発生した凝縮水を前記復水器に送水することで熱効率を増大させる低圧給水加熱器と、を備える複合火力発電システムを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水加熱器を用いた複合火力発電システムであって、
空気と燃料を混合して燃焼させることにより電気エネルギーを生成するガスタービンと、
前記ガスタービンから排出されるガスタービン排ガスを熱交換して生成される蒸気と水を排出する排熱回収ボイラ(HRSG)と、
前記排熱回収ボイラから排出された蒸気を供給されて電気を生成する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させる復水器と、
前記蒸気タービンから発生した抽気(Extraction Steam)を回収して熱交換することにより発生した凝縮水を前記復水器に送水することで熱効率を増大させる低圧給水加熱器と、を備える
ことを特徴とする複合火力発電システム。
【請求項2】
前記複合火力発電システムは、
超臨界(Super critical)または超々臨界(Ultra-super critical)の主蒸気圧力が適用された複合火力発電所(Combined Cycle Power Plant)で使用される
請求項1に記載の複合火力発電システム。
【請求項3】
前記蒸気タービンは、
第1圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される高圧タービンと、
第2圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される中圧タービンと、
第3圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される低圧タービンと、を備え、
前記復水器は、前記低圧タービンと連結され、前記低圧タービンから排出される蒸気を供給される
請求項1に記載音複合火力発電システム。
【請求項4】
前記蒸気タービンから排出された蒸気を抽気し、前記抽気された蒸気と前記復水器から供給された水とを用いて熱交換することにより発生する凝縮水が、前記低圧給水加熱器側に伝達される中圧給水加熱器をさらに備える
請求項3に記載の複合火力発電システム。
【請求項5】
前記復水器から供給された水を前記中圧給水加熱器に給水する中圧給水ポンプをさらに備え、
前記中圧給水加熱器は、
前記高圧タービンから排出される蒸気と前記中圧給水ポンプから供給される水とを用いて熱交換する第2中圧給水加熱器と、
前記中圧タービンから排出される蒸気と前記中圧給水ポンプから供給される水とを用いて熱交換する第1中圧給水加熱器と、を備える
請求項4に記載の複合火力発電システム。
【請求項6】
前記第1中圧給水加熱器及び第2中圧給水加熱器において熱交換されることでそれぞれ排出される凝縮水は、前記低圧給水加熱器側に回収される
請求項5に記載の複合火力発電システム。
【請求項7】
前記復水器から排出される凝縮水は分岐されて、前記中圧給水加熱器及び前記排熱回収ボイラの復水予熱器側に送水される
請求項4に記載の複合火力発電システム。
【請求項8】
前記排熱回収ボイラは、
前記ガスタービンから排出されたガスタービン排ガスを熱交換して生成される第1圧力範囲の蒸気を前記蒸気タービンに放出する高圧過熱器と、
送水された水を熱交換して蒸気に変換し、変換された蒸気を前記高圧過熱器に送る高圧貫流型蒸発器と、
前記中圧給水加熱器と連結され、前記中圧給水加熱器から水を送水されて熱交換して第2圧力範囲の蒸気を発生させる中圧蒸発器と、
前記蒸気タービンと連結され、蒸気を前記蒸気タービンに放出する再熱器と、
前記ガスタービンの排ガスを熱交換して生成される第3圧力範囲の蒸気を前記蒸気タービンに放出する低圧過熱器と、
前記復水器において凝縮された水を加熱する復水予熱器と、
前記復水予熱器から供給された水を熱交換して蒸気に変換し、変換された蒸気を前記低圧過熱器に送る低圧蒸発器と、を備える
請求項4に記載の複合火力発電システム。
【請求項9】
前記復水予熱器は、
前記低圧給水加熱器と連結され、水を供給されて加熱駆動する
請求項8に記載の複合火力発電システム。
【請求項10】
前記低圧給水加熱器は、複数設けられている
請求項1に記載の複合火力発電システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合火力発電システムに関し、さらに詳しくは、給水加熱器を用いた複合火力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に複合火力発電は、ガスタービン発電機と蒸気タービン発電機とを組み合わせて発電するシステムである。複合火力発電は、燃料の燃焼熱をガスタービンにおいて1次的に利用し、それを排熱回収ボイラで再び利用することにより、エネルギーの利用効率を高めている。
【0003】
従来の複合火力発電システムは、圧縮機で空気を注入し、燃焼装置に燃料を注入して燃料を燃焼させる。燃料が燃焼して発生した高温の燃焼排ガスでガスタービンを回し、第1発電機により1次的に電気を生成する。その後、排出される排ガスに残った熱を利用するために、排ガスを排熱回収ボイラ(HRSG)に排ガスを注入し、排熱回収ボイラのボイラ熱交換器で水を加熱して高温高圧の蒸気を作る。高温高圧の蒸気で蒸気タービンを回転させ、第2発電機により2次的に電気を生成する。このとき、蒸気タービンを回転させた後の蒸気は復水器によって冷却及び凝縮され、凝縮された水は復水ポンプによって再び排熱回収ボイラに供給される。
【0004】
しかし、従来の複合火力発電システムでは、燃焼熱の利用効率を高めることができるが、蒸気を水に凝縮する過程で、復水器で発生する温排水廃熱及び排熱回収ボイラで発生する排ガスの余熱(残留熱)により、多量の熱損失が発生する。このような廃熱及び余熱を回収しないと、発電所全体の効率が低下し、冷却のために多量の冷却水が消費されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、超臨界及び超々臨界の主蒸気圧力が適用された複合火力発電所に給水加熱器を配置して再生サイクルを適用することにより、ボトミングサイクル(Bottoming Cycle)の効率を増加させ、増加された効率分だけ発電所の機材コストを低減することができる複合火力発電システムを提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を達成するために、本発明の一実施形態は、給水加熱器を用いた複合火力発電システムであって、空気と燃料を混合して燃焼させることにより電気エネルギーを生成するガスタービンと、前記ガスタービンから排出されるガスタービン排ガスを熱交換して生成される蒸気と水を排出する排熱回収ボイラ(HRSG)と、前記排熱回収ボイラから排出された蒸気を供給されて電気を生成する蒸気タービンと、前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させる復水器と、前記蒸気タービンから発生した抽気(Extraction Steam、抽気蒸気)を回収して熱交換することにより発生した凝縮水を前記復水器に送水することで熱効率を増大させる低圧給水加熱器と、を備える複合火力発電システムを提供する。
【0008】
本発明の実施形態において、前記複合火力発電システムは、超臨界(Super critical)または超々臨界(Ultra-super critical)の主蒸気圧力が適用された複合火力発電所(Combined Cycle Power Plant)で使用されてもよい。
【0009】
本発明の実施形態において、前記蒸気タービンは、第1圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される高圧タービンと、第2圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される中圧タービンと、第3圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される低圧タービンと、を備え、前記復水器は、前記低圧タービンと連結され、前記低圧タービンから排出される蒸気を供給されてもよい。
【0010】
本発明の実施形態において、前記複合火力発電システムは、前記蒸気タービンから排出された蒸気を抽気し、前記抽気された蒸気と前記復水器から供給された水とを用いて熱交換することにより発生する凝縮水が、前記低圧給水加熱器側に伝達される中圧給水加熱器をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の実施形態において、前記複合火力発電システムは、前記復水器から供給される水を前記中圧給水加熱器に給水する中圧給水ポンプをさらに備え、前記中圧給水加熱器は、前記高圧タービンから排出される蒸気と前記中圧給水ポンプから供給される水とを用いて熱交換する第2中圧給水加熱器と、前記中圧タービンから排出される蒸気と前記中圧給水ポンプから供給される水とを用いて熱交換する第1中圧給水加熱器と、を備えてもよい。
【0012】
本発明の実施形態において、前記第1中圧給水加熱器及び第2中圧給水加熱器において熱交換されることでそれぞれ排出される凝縮水は、前記低圧給水加熱器側に回収されてもよい。
【0013】
本発明の実施形態において、前記復水器から排出される凝縮水は分岐されて、前記中圧給水加熱器及び前記排熱回収ボイラの復水予熱器側に送水されてもよい。
【0014】
本発明の実施形態において、前記排熱回収ボイラは、前記ガスタービンから排出されたガスタービン排ガスを熱交換して生成される第1圧力範囲の蒸気を前記蒸気タービンに放出する高圧過熱器と、送水された水を熱交換して蒸気に変換し、変換された蒸気を前記高圧過熱器に送る高圧貫流型蒸発器と、前記中圧給水加熱器と連結され、前記中圧給水加熱器から水を送水されて熱交換して第2圧力範囲の蒸気を発生させる中圧蒸発器と、前記蒸気タービンと連結され、蒸気を前記蒸気タービンに放出する再熱器と、前記ガスタービンの排ガスを熱交換して生成される第3圧力範囲の蒸気を前記蒸気タービンに放出する低圧過熱器と、前記復水器において凝縮された水を加熱する復水予熱器と、前記復水予熱器から供給された水を熱交換して蒸気に変換し、変換された蒸気を前記低圧過熱器に送る低圧蒸発器と、を備えてもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、前記復水予熱器は、前記低圧給水加熱器と連結され、水を供給されて加熱駆動してもよい。
【0016】
本発明の実施形態において、前記低圧給水加熱器は、複数設けられてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態によれば、超臨界の主蒸気圧力や超々臨界の主蒸気圧力が適用された複合火力発電所に給水加熱器を配置して再生サイクルを適用することにより、ボトミングサイクル(Bottoming Cycle)の効率を増加させ、増加された効率分だけ発電所の機材コストを低減することができる。
【0018】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の複合火力発電所の動作方式を説明するために示す回路図である。
図2】本発明の一実施形態による給水加熱器を用いた複合火力発電システムの構成を概略的に示す回路図である。
図3】本発明の他の一実施形態による給水加熱器を用いた複合火力発電システムの構成を概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態に実現でき、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付けた。
【0021】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとしたとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、これらの間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。明細書の全般に亘って、ある部分がある構成要素を「備える(含む)」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えていてもよいということを意味する。
【0022】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階(ステップ)、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階(ステップ)、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解される。
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、従来の複合火力発電所の動作方式を説明するために示す回路図である。
【0025】
図1を参照して、従来の熱電併給プラントの動作方式を説明すると、まず、大気中の空気及び天然ガス(燃料)がガスタービンに流入し、流入した空気及び燃料がガスタービンで燃焼し、発電機を駆動して電気を生成する。
【0026】
前記流入した空気及び燃料がガスタービンで燃焼することで発生した排ガスが排出され、このように排出された排ガスは排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator、HRSG)に流入する。
【0027】
排ガスは、排熱回収ボイラに設けられた複数の熱交換器を通過しながら、各熱交換器に供給される。排熱回収ボイラは、各熱交換器により吸収された熱を用いて水の温度を上昇させ、蒸気を生成して蒸気の温度を上昇させる。温度と圧力が上昇した蒸気が蒸気タービンを駆動することで蒸気が生成され、蒸気タービンが駆動された後の蒸気は、蒸気タービンを駆動するエネルギーが不足するため、再生のために復水器に供給されて凝縮される。復水器において凝縮された復水は、再び排熱回収ボイラ(HRSG)に送水され、蒸気生成に使われる。
【0028】
上述したように、従来の複合火力発電システムでは、燃焼熱の利用効率を高めることができるが、蒸気を水で冷却する過程で、復水器で発生する温排水廃熱及び排熱回収ボイラで発生する排ガスの余熱により、多量の熱損失が発生する。このような廃熱及び余熱を回収しないと、発電所全体の効率が低下し、冷却のために多量の冷却水が消費されるという問題がある。
【0029】
本発明は、複合火力発電システムに関し、より詳細には、上述した従来技術の問題点を解決するための給水加熱器を用いた複合火力発電システムに関する。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態による給水加熱器を用いた複合火力発電システムの構成を概略的に示す回路図である。
【0031】
本発明の実施形態による複合火力発電システムは、超臨界(Super critical)220バー(bar)主蒸気圧力や超々臨界(Ultra-super critical)240バー(bar)主蒸気圧力が適用された複合火力発電所(Combined Cycle Power Plant)で使用されるシステムである。本発明による複合火力発電システムは、給水加熱器を用いた再生サイクルを適用することによりボトミングサイクル(Bottoming Cycle)の効率を増加させることができ、増加された効率分だけ発電所の機材のコストを低減ことができる。
【0032】
具体的には、超々臨界圧複合火力発電所への適用のための主蒸気圧力が高くなるにつれて、HRSGの高圧(HP)側の熱交換器チューブの厚さが厚くなり、近年、原材料費が高騰している。このような原材料費の高騰により、高効率の超臨界圧又は超々臨界圧の複合火力発電所の建設が困難なところが多くなっている。本発明は、これを解決するために、給水加熱器を適用することにより、再生サイクルによるボトミングサイクルの効率を増加させ、増加された効率分だけ機材コストを低減できるという利点を有する。ここで、ボトミングサイクルは、ボイラと蒸気タービンとからなる典型的なランキンサイクル(rankine cycle)である。
【0033】
図2を参照すると、空気と燃料が混合されてガスタービン100に供給されることにより、電気エネルギーが生産され、ガスタービン排ガスが排出される。
【0034】
ガスタービン100は、大気中の空気を圧縮し、燃焼器を用いて燃料と混合し、燃焼過程を経て燃焼ガスを発生させる。こうして発生した燃焼ガスは、ガスタービン100のブレード(blade)を駆動しながら膨張し、このとき、熱エネルギーが回転エネルギーに変換され、回転エネルギーが電気エネルギーに変換されることにより電気が生成される。
【0035】
排出されたガスタービン排ガスは排熱回収ボイラ300に流入し、排熱回収ボイラ300は流入したガスタービン排ガスを熱交換して蒸気を生産し、蒸気の温度を上昇させる。この過程で発生した蒸気は電気を生成するために使用され、この過程で発生した水は前記蒸気の温度を上昇させるために使用され得る。
【0036】
排熱回収ボイラ300は、ガスタービン100から流入した高温の排ガスを用いて水(復水)の温度を高め、蒸気を作り、蒸気に過熱度(温度上昇)を与えて蒸気タービン500に蒸気を供給する。
【0037】
本発明の実施形態による排熱回収ボイラ300は、図2に示すように、複数の過熱器、蒸発器及び節炭器を備えて構成され得る。
【0038】
本実施形態による排熱回収ボイラ300は、第2再熱器310、第2高圧過熱器320、第1再熱器330、第1高圧過熱器340、高圧貫流型蒸発器350、中圧過熱器360、第2高圧節炭器370、中圧蒸発器380、中圧ドラム390、第1バルブ400、低圧過熱器410、第1高圧節炭器420、低圧蒸発器430、低圧ドラム440、高圧給水ポンプ450、第2バルブ460、及び復水予熱器470を備え得る。
【0039】
第2高圧過熱器320は、ガスタービン100から排出されたガスタービン排ガスを用いて熱交換により生成される第1圧力範囲の高温蒸気を、主蒸気配管210を介して蒸気タービン500に送る。第1高圧過熱器340は、高圧貫流型蒸発器350から発生した蒸気の温度を上昇させ、その後、温度が上昇した蒸気は、第2高圧過熱器320を経て主蒸気配管210を介して高圧タービン510に供給される。
【0040】
高圧貫流型蒸発器350は、第2高圧節炭器370から送水された水を熱交換して蒸気に変換し、このように変換された蒸気は高圧過熱器340に送られる。
【0041】
第1高圧切炭機420は、低圧ドラム440から送水された水を加熱して第2高圧切炭機370に送る。
【0042】
中圧蒸発器380で発生した蒸気は、中圧過熱器360を経て温度が1次的に上昇し、このように温度が1次的に上昇した蒸気は、第1再熱器330を経て第2再熱器310に流入して温度が2次的に上昇した後、高温再熱蒸気配管220を介して中圧タービン530に供給される。
【0043】
中圧蒸発器380は中圧給水加熱器900と連結され、中圧給水加熱器900から水を送水されて熱交換することにより、第2圧力範囲の蒸気を発生させる。このとき、発生した蒸気は、中圧ドラム390を介して中圧過熱器360に送られる。
【0044】
低圧蒸発器430は、復水予熱器470から送水された水を第3圧力範囲の蒸気に変換し、低圧ドラム440を介して低圧過熱器410に送り、温度が上昇した蒸気は低圧蒸気配管240を介して低圧タービン550に供給される。
【0045】
そして、低圧ドラム440を介して送水された水は、高圧給水ポンプ450を介して第1高圧切炭機420に送られる。
【0046】
復水予熱器470は、復水器700において凝縮された水を受けて加熱する。例えば、本発明の実施形態による復水予熱器470は、復水器700において凝縮された20℃~30℃の水(凝縮水)を150℃に加熱することができる。本発明の復水予熱器は、低圧切炭機と実質的に同じ構成を有する。
【0047】
このとき、復水予熱器470は、低圧給水加熱器800と連結され、水を供給されて加熱駆動することができる。
【0048】
高圧給水ポンプ450は、復水予熱器470で温度が上昇した水を排熱回収ボイラ300の高圧貫流型蒸発器350に送水することができる。
【0049】
蒸気タービン500は、排熱回収ボイラ300から排出される蒸気を供給されて電気を生成することができる。蒸気タービン500は、原子炉、ボイラ、排熱回収ボイラ(HRSG)などの蒸気発生器で発生した高温高圧の蒸気がタービン内部のブレードを駆動して膨張過程が発生し、熱エネルギーが回転エネルギーに変わり、回転エネルギーは電気エネルギーに変換されて電気を生成する。
【0050】
本発明の実施形態による蒸気タービン500は、第1圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される高圧タービン510と、第2圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される中圧タービン530と、第3圧力範囲を有する蒸気を用いて駆動される低圧タービン550とを備えて構成されてもよい。
【0051】
より具体的には、発電機600は、前記回転エネルギーを用いて電気を生成するために、蒸気タービン500と連結されて設けられてもよい。
【0052】
復水器700は、蒸気タービン500から排出された蒸気を凝縮させ、凝縮過程で密度差による真空を形成させることにより、蒸気タービン500の出力及び効率を増大させる。
【0053】
本発明において、復水器700は、図2に示すように、低圧タービン550と連結されており、低圧タービン550から排出される低圧蒸気を供給され得る。
【0054】
低圧給水加熱器800は、低圧タービン550及び復水器700と連結されており、これにより、蒸気タービン500から発生した抽気(Extraction Steam、抽気蒸気)を回収して熱交換することにより発生した凝縮水を復水器700に送水して熱効率を増大させることができる。
【0055】
従来の復水器では、全エネルギーの50%が廃熱として失われていたが、本発明による低圧給水加熱器では、エネルギーの一部を回収して使用することができるので、復水器から発電所外部に廃棄される熱の割合を十分に低減することができる。
【0056】
復水ポンプ710は、復水器700において凝縮された水を排熱回収ボイラ300に送水する役割を果たす。
【0057】
中圧給水加熱器900は、蒸気タービン500から抽気される蒸気が供給され、抽気された蒸気と復水器700から供給される水とを用いて熱交換することにより、中圧給水加熱器900で発生した凝縮水を低圧給水加熱器800に回収することができる。本実施形態による中圧給水加熱器900は、高圧タービン510及び中圧タービン530のそれぞれから蒸気を抽気することができる。
【0058】
中圧給水加熱器900は、図2に示すように、復水系統から中圧蒸発器380側に向かう配管上に配置されてもよい。
【0059】
中圧給水ポンプ950は、復水器700から供給される水を中圧給水加熱器900に給水することができる。
【0060】
本発明の実施形態による中圧給水加熱器900は、第2中圧給水加熱器910と、第1中圧給水加熱器930とを備えて構成されてもよい。
【0061】
第2中圧給水加熱器910は、高圧タービン510から高圧蒸気を抽気し、中圧給水ポンプ950から供給された水を用いて熱交換する。
【0062】
第1中圧給水加熱器930は、中圧タービン530から中圧蒸気を抽気し、中圧給水ポンプ950から供給された水を用いて熱交換する。
【0063】
復水器700から排出される凝縮水は分岐され、中圧給水加熱器910、930側と、排熱回収ボイラ300の復水予熱器470側とに送水される。
【0064】
図3は、本発明の他の実施形態による給水加熱器を用いた複合火力発電システムの構成を概略的に示す回路図である。本実施形態による複合火力発電システムは、低圧給水加熱器800が、第2低圧給水加熱器810と、第1低圧給水加熱器830とを含んで構成されてもよい。
【0065】
第2低圧給水加熱器810と第1低圧給水加熱器830は、それぞれ低圧タービン550に連結されており、低圧タービン550から発生する抽気を回収して熱交換することができる。
【0066】
上述したように、本発明の複合火力発電システムは、ガスタービン2台、排熱回収ボイラ2台、蒸気タービン1台の組み合わせ(2:2:1の組み合わせ)で構成され、低圧給水加熱器800、第1中圧給水加熱器930及び第2中圧給水加熱器910を複合火力発電システム上に配置すると、以下の利点が得られる。
【0067】
第一に、既存の復水予熱器の熱交換面積を低減できるため、経済的である。
【0068】
第二に、前記給水加熱器を設けることで、従来の排熱回収ボイラに構成されていた中圧節炭機(IP Economizer、IPエコノマイザ)を別途使用する必要がなくなり、価格面でHRSGの構成コストを低減することができる。
【0069】
第三に、排熱回収ボイラ(HRSG)の熱交換器は、それぞれのHRSGの上部に設置されるが、本発明の給水加熱器は、蒸気タービンが設置される建屋にそれぞれ1台100%容量で設置することができ、設置コストを低減することができる。
【0070】
第四に、本発明の複合火力発電システムは、給水加熱器を配置することにより、再生サイクルを形成することができるので、従来の発電システムに比べて凝縮水(復水)が減少し、それに伴って復水器の熱交換面積と配管の物量が低減できる。
【0071】
第五に、排熱回収ボイラ(HRSG)の排ガス側出口温度の上昇による復水予熱器の腐食を防止することができ、従来の複合火力発電所に設けられていた排熱回収ボイラのバイパスポンプと再循環ポンプを省略することができる。
【0072】
第六に、本発明によれば、中圧給水の場合、すぐに排熱回収ボイラの中圧熱交換器に送水されるため、低圧ドラムの水量を減らすことができるという利点がある。
【0073】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解できる。したがって、以上で記述した実施形態等は、すべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解せねばならない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は、分散されて実施されてもよく、同様に、分散されたものと説明されている構成要素も、通常の技術者が理解する範囲内で結合された形態で実施されてもよい。
【0074】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲並びにその均等の概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
100 ガスタービン
300 排熱回収ボイラ
450 高圧給水ポンプ
470 復水予熱器
500 蒸気タービン
600 発電機
700 復水器
800 低圧給水加熱器
900 中圧給水加熱器
950 中圧給水ポンプ

図1
図2
図3
【外国語明細書】