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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001107
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】ドアの変形防止具
(51)【国際特許分類】
   E05B 3/00 20060101AFI20241225BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
E05B3/00 Z
E06B3/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100506
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016JA11
2E016RA01
(57)【要約】
【課題】内部スペースを有するドアに、ドアの外部から内部に向かって力が加わっている状態でドアの表面板材がドアの内部に沈み込むように変形することを防止できるドアの変形防止具を提供する。
【解決手段】
ドアの変形防止具は、ドア1の内部スペース3に配され、ドア1の変形を防止するものであり、筒状の本体部材10と、筒状の被操作部材20とを具備する。本体部材10は、第1ネジ部11を有し、一対の表面板材2の一方2Aと当接するようにドア1の厚み方向に沿って配設される。被操作部材20は、第1ネジ部11と螺合する第2ネジ部21を有し、一対の表面板材2の他方2Bと当接するようにドア1の厚み方向に沿って配置され、本体部材10に対し所定方向に回転操作されることによって、一対の表面板材2の他方2Bに向かって本体部材10に対し相対変位される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア(1)の内部スペース(3)に配され、前記ドア(1)の変形を防止するドアの変形防止具であって、
第1ネジ部(11)を有し、前記内部スペース(3)を間に挟む一対の表面板材(2)の一方(2A)と当接するように前記ドア(1)の厚み方向に沿って配置される筒状の本体部材(10)と、
前記第1ネジ部(11)と螺合する第2ネジ部(21)を有し、前記一対の表面板材(2)の他方(2B)と当接するように前記ドア(1)の厚み方向に沿って配置され、前記本体部材(10)に対し所定方向に回転操作されることによって、前記一対の表面板材(2)の前記他方(2B)に向かって前記本体部材(10)に対し相対変位される筒状の被操作部材(20)
とを具備する、ドアの変形防止具。
【請求項2】
前記本体部材(10)、及び前記被操作部材(20)は、前記一対の表面板材(2)の前記他方(2B)に設けられる挿入孔(4)を通して前記内部スペース(3)に挿入されるものであり、
前記被操作部材(20)は、前記挿入孔(4)を通して前記被操作部材(20)が前記内部スペース(3)に挿入されている状態で前記挿入孔(4)の周部と係合する爪部(22)、及び前記被操作部材(20)の径方向において変位可能に前記爪部(22)を弾性支持する弾性支持部(23)を有する、請求項1に記載のドアの変形防止具。
【請求項3】
前記第1ネジ部(11)、及び前記第2ネジ部(21)は、前記被操作部材(20)が前記本体部材(10)に対し右回りに回転操作されるとき、前記被操作部材(20)を前記一対の表面板材(2)の前記他方(2B)に向かって前記本体部材(10)に対し相対変位させる逆ネジに形成される、請求項1又は請求項2に記載のドアの変形防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの変形防止具に関し、特に、鋼製扉の表面板材がドアハンドルの取付け位置において変形するのを防止するドアの変形防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開き戸等のドアにドアハンドルを取付ける取付け構造として、特許文献1には、ドアの上端及び下端の位置でドアハンドルがドアに取付けられる取付け構造が記載されている。特許文献1に記載の取付け構造においては、ドアの室内側及び室外側の両方に配される一対のドアハンドルが、ドアの上端及び下端の位置でそれぞれ2本の長いボルトによって連結され、ドアに取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-196307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の取付け構造において、ドアが中空構造となっている場合には、ボルトが締付けられるとき、内部スペースを間に挟む一対の表面板材がドアの内部側に沈み込むように変形する。その結果、ドアの開閉を繰り返すうちに、ボルトが緩み、がたつきが生じやすくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部スペースを有するドアに、ドアの外部から内部に向かって力が加わっている状態でドアの表面板材がドアの内部に沈み込むように変形することを防止できるドアの変形防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示するドアの変形防止具は、ドア(1)の内部スペース(3)に配され、前記ドア(1)の変形を防止するものであり、筒状の本体部材(10)と、筒状の被操作部材(20)とを具備する。前記本体部材(10)は、第1ネジ部(11)を有し、前記内部スペース(3)を間に挟む一対の表面板材(2)の一方(2A)と当接するように前記ドア(1)の厚み方向に沿って配置される。前記被操作部材(20)は、前記第1ネジ部(11)と螺合する第2ネジ部(21)を有し、前記一対の表面板材(2)の他方(2B)と当接するように前記ドア(1)の厚み方向に沿って配置され、前記本体部材(10)に対し所定方向に回転操作されることによって、前記一対の表面板材(2)の他方(2B)に向かって前記本体部材(10)に対し相対変位される。
【0007】
本願に開示するドアの変形防止具において、前記本体部材(10)、及び前記被操作部材(20)は、前記一対の表面板材(2)の前記他方(2B)に設けられる挿入孔(4)を通して前記内部スペース(3)に挿入されるものである。そして、前記被操作部材(20)は、爪部(22)、及び弾性支持部(23)を有する。前記爪部(22)は、前記挿入孔(4)を通して前記被操作部材(20)が前記内部スペース(3)に挿入されている状態で前記挿入孔(4)の周部と係合する。前記弾性支持部(23)は、前記被操作部材(20)の径方向において変位可能に前記爪部(22)を弾性支持する。
【0008】
本願に開示するドアの変形防止具において、前記第1ネジ部(11)、及び前記第2ネジ部(21)は、逆ネジに形成される。前記逆ネジとは、前記被操作部材(20)が前記本体部材(10)に対し右回りに回転操作されるとき、前記一対の表面板材(2)の前記他方(2B)に向かって前記被操作部材(20)を前記本体部材(10)に対し相対変位させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るドアの変形防止具によれば、内部スペースを有するドアに、ドアの外部から内部に向かって力が加わっている状態でドアの表面板材がドアの内部に向かって沈み込むように変形することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るドアの変形防止具を示す断面図である。
図2】(a)実施形態の本体部材を示す正面図である。(b)実施形態の本体部材を示す上面図である。(c)図2(b)のA-A矢視断面図である。
図3】(a)実施形態の被操作部材を示す正面図である。(b)実施形態の本体部材を示す上面図である。(c)図3(b)のB-B矢視断面図である。(d)図3(b)のC-C矢視断面図である。
図4図3(d)の一部拡大図である。
図5】(a)実施形態の第1取付治具を示す正面図である。(b)実施形態の第1取付治具を示す上面図である。
図6】(a)実施形態の第2取付治具を示す正面図である。(b)実施形態の第2取付治具を示す上面図である。
図7A】本発明の実施形態に係るドアの変形防止具をドアに取付ける第1手順を示す断面図である。
図7B】本発明の実施形態に係るドアの変形防止具をドアに取付ける第2手順を示す断面図である。
図7C】本発明の実施形態に係るドアの変形防止具をドアに取付ける第3手順を示す断面図である。
図7D】本発明の実施形態に係るドアの変形防止具をドアに取付ける第4手順を示す断面図である。
図8】(a)本発明の他の実施形態の本体部材を示す正面図である。(b)本発明の他の実施形態の本体部材を示す上面図である。(c)図8(b)のD-D矢視断面図である。
図9】本発明の他の実施形態のドアに形成される嵌合孔を示す平面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係るドアの変形防止具をドアに取付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るドアの変形防止具を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0012】
〈第1実施形態〉
以下に、図1から図6を参照して、本発明の実施形態に係るドアの変形防止具を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るドアの変形防止具を示す断面図である。図2(a)は、実施形態の本体部材を示す正面図である。図2(b)は、実施形態の本体部材を示す上面図である。図2(c)は、図2(b)のA-A矢視断面図である。図3(a)は、実施形態の被操作部材を示す正面図である。図3(b)は、実施形態の被操作部材を示す上面図である。図3(c)は、図3(b)のB-B矢視断面図である。図3(d)は、図3(b)のC-C矢視断面図である。図4は、図3(d)の一部拡大図である。図5(a)は、実施形態の第1取付治具を示す正面図である。図5(b)は、実施形態の第1取付治具を示す上面図である。図6(a)は、実施形態の第2取付治具を示す正面図である。図6(b)は、実施形態の第2取付治具を示す上面図である。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係るドアの変形防止具は、鋼製扉であるドア1に使用されるものである。ドア1は、対向配置される平行な一対の表面板材2(第1板材2A、及び第2板材2B)と、一対の表面板材2の間の内部スペース3とを有する。
【0015】
実施形態のドアの変形防止具は、全体として筒状であり、ドア1の内部スペース3に配され、ドアハンドルをドア1に取付けるためのボルト等の軸状部材を中空部に挿通可能である。そして、実施形態のドアの変形防止具は、筒状の本体部材10と、筒状の被操作部材20とを具備し、ドア1の外部から内部に向かって印可される力に抗して、ドア1の一対の表面板材2が変形することを防止する。
【0016】
図2に示すように、本体部材10は、実施形態においては、円筒状であり、内周に雌ネジである第1ネジ部11を有し、一対の表面板材2の一方である第1板材2Aと当接するようにドア1の厚み方向に沿って内部スペース3に配置される。
【0017】
また、本体部材10は、実施形態においては、両端が開口しており、一端開口と隣接する位置に、第1被係合部12を有している。第1被係合部12は、本体部材10の回転を阻止するために、後述の第2取付治具40と係合される。実施形態においては、本体部材10の一端面に環状の突出部10aが形成されており、第1被係合部12は、一対の溝状部として突出部10aに形成される。
【0018】
図3に示すように、被操作部材20は、実施形態においては、円筒状であり、外周に雄ネジである第2ネジ部21を有し、一対の表面板材2の他方である第2板材2Bと当接するようにドア1の厚み方向に沿って内部スペース3に配置される。
【0019】
第2ネジ部21は、第1ネジ部11と螺合するものであり、第1ネジ部11と第2ネジ部21とが螺合した状態で被操作部材20が本体部材10に対し所定方向に回転操作されることによって、被操作部材20は、第1板材2Bに向かって本体部材10に対し相対変位される。被操作部材20が、第1板材2Bに向かって本体部材10に対し相対変位されることによって、変形防止具の全長は長くなる。
【0020】
反対に、被操作部材20が本体部材10に対し所定方向とは逆方向に回転操作されることによって、被操作部材20は、第1板材2Bから離れる方向に本体部材10に対し相対変位され、変形防止具の全長は短くなる。従って、実施形態のドアの変形防止具は、被操作部材20を本体部材10に対し回転操作することによって、全長を調節可能となっている。
【0021】
また、第1ネジ部11、及び第2ネジ部21は、逆ネジに形成される。逆ネジとは、被操作部材20が本体部材10に対し右回りに回転操作されるとき、被操作部材20を第2板材2Bに向かって本体部材10に対し相対変位させるものである。従って、実施形態のドアの変形防止具は、被操作部材20が本体部材10に対し右回りに回転操作されるとき、全長が長くなる。
【0022】
ドア1は、第2板材2Bに挿入孔4を有し、第1板材2Aに嵌合孔5を有する。挿入孔4は、変形防止具を内部スペース3に配置するときに、本体部材10、及び被操作部材20が挿入される孔であり、嵌合孔5は、変形防止具が内部スペース3に配置されている状態で本体部材10の突出部10aと嵌合される孔である。
【0023】
また、被操作部材20は、図3(a)に示すように、同軸心に設けられる大径部20a、及び小径部20bを有する。大径部20aは、爪部22、弾性支持部23、及び第2被係合部24を有し、小径部20bは、外周に第2ネジ部21を有する。
【0024】
爪部22は、挿入孔4を通して被操作部材20が内部スペース3に挿入された状態で挿入孔4の周部と係合する。弾性支持部23は、被操作部材20の径方向において変位可能に爪部22を弾性支持する。実施形態においては、弾性支持部23は、自然状態で、爪部22が適宜の突出高さだけ径方向外方に大径部20aの外周面から突出するように爪部22を弾性支持する。
【0025】
図3(b)に示すように、実施形態においては、大径部20aは、周方向に90度ごとの間隔で配置される4つの爪部22を有している。図3(d)、及び図4に示すように、周方向に180度隔てた位置にある2つの爪部22の突出方向先端部の間の距離R1は、図7Aに示す挿入孔4の内径R2よりも若干(例えば、0.6~1.0ミリメートル)大きくなっている。
【0026】
距離R1が挿入孔4の内径R2よりも若干大きく、弾性支持部23が被操作部材20の径方向において変位可能に爪部22を弾性支持することによって、爪部22は、被操作部材20が挿入孔4を通過するときに大径部20aの径方向内方に移動し、被操作部材20が挿入孔4を通過した後に挿入孔4の周部と係合する。爪部22が挿入孔4の周部と係合することによって、被操作部材20は第2板材2Bと当接している。
【0027】
また、爪部22は、図4に示すように、挿入孔4の周部と係合する端面が、挿入孔4に対する変形防止具のずれを防止するために、大径部20aの径方向外方にいくにつれて大径部20aの端面から退く方向に傾斜されるとともに、挿入孔4の周部と係合する端面自体の位置も大径部20aの端面から退いた位置に設定される。
【0028】
第2被係合部24は、図3に示すように、管状である大径部20aの端面に形成される一対の深い溝状部であり、被操作部材20を回転操作する際に、図5に示す第1取付治具30と係合される。
【0029】
次に、図5を参照して、第1取付治具30を説明する。第1取付治具30は、円形の把持部31、細い円柱状の装着部32、及び太い円柱状の基部33を有する。把持部31、装着部32、及び基部33は、同軸心に設けられる。
【0030】
把持部31は、被操作部材20を回転操作する際に把持される部分である。装着部32は、実施形態のドアの変形防止具が装着される部分であり、第1係合部32a、及び軸嵌挿孔32bを有する。基部33は、装着部32を把持部31に支持する部分である。
【0031】
第1係合部32aは、装着部32の外周面から径方向外方に突設される円柱状の凸部であり、被操作部材20を回転操作する際に、被操作部材20の第2被係合部24と係合される。
【0032】
基部33は、把持部31と装着部32との間に位置しており、所定の遊びで挿入孔4に挿入可能な径を有している。基部33が、所定の遊び(例えば、0.4ミリメートル程度の遊び)で挿入孔4に挿入可能であることによって、変形防止具をドア1に設置する際に適切に位置決めできる。
【0033】
次に、図6を参照して、第2取付治具40を説明する。第2取付治具40は、円形の把持部41、太い円柱状の基部42、及び細い円柱状の嵌挿軸部43を有する。把持部41、基部42、及び嵌挿軸部43は、同軸心に設けられる。
【0034】
把持部41は、本体部材10の回転を阻止する操作のために把持される部分である。基部42は、第1係合部42a、及び嵌挿軸部43を把持部41に支持する部分である。
【0035】
第1係合部42aは、基部42の外周面から径方向外方に突設される短い円柱状の突部であり、本体部材10の回転を阻止するために、本体部材10の第1被係合部12と係合される。
【0036】
嵌挿軸部43は、第1係合部42aを第1被係合部12と係合させる操作を容易とするように、第1取付治具30の軸嵌挿孔32bと嵌合される。
【0037】
以下、図7Aから図7Dを参照して、実施形態のドアの変形防止具をドア1に取付ける手順を説明する。
【0038】
(1)図7Aに示すように、本体部材10の第1ネジ部11に被操作部材20の第2ネジ部21が限界まで締め込まれている状態で、変形防止具の中空部に第1取付治具30の装着部32を差込むようにして、変形防止具を装着部32に装着する。
【0039】
(2)図7Bに示すように、本体部材10の突出部10aが嵌合孔5と嵌合する位置まで、挿入孔4を通して変形防止具をドア1の内部スペース3に挿入する。
【0040】
(3)図7Cに示すように、第2取付治具40の嵌挿軸部43を第1取付治具30の軸嵌挿孔32bに差込み、第2取付治具40の第2係合部42aを本体部材10の第1被係合部12と係合させる。
【0041】
(4)図7Dに示すように、被操作部材20が本体部材10に対し第2板材2Bに向かって相対変位するように、第1取付治具30の把持部31を右回りに回転操作する。回転操作は、被操作部材20の爪部22が挿入孔4の周部と当接し、回転操作の負荷が十分に大きくなるまで続けられる。
【0042】
以上、図1から図7Dを参照して説明したように、実施形態のドアの変形防止具によれば、第1ネジ部11を有する本体部材10が、第1板材2Aと当接するようにドア1の厚み方向に沿って内部スペース3に配置され、第2ネジ部21を有する被操作部材20が、第2板材2Bと当接するようにドア1の厚み方向に沿って内部スペース3に配置され、第1ネジ部11と第2ネジ部21とが螺合されている状態で、被操作部材20が、本体部材10に対し所定方向に回転操作されることによって、第2板材2Bに向かって本体部材10に対し相対変位される。
【0043】
従って、ドア1の外部から内部に向かって第1板材2A、及び第2板材2Bに力が加わるような箇所に実施形態のドアの変形防止具を設置することによって、つっかい棒のようにして、第1板材2A、及び第2板材2Bの変形を防止でき、内部スペース3を有するドア1に、ドア1の外部から内部に向かって力が加わっている状態でドア1の表面板材2(2A、2B)がドア1の内部に向かって沈み込むように変形することを防止できる。
【0044】
また、実施形態のドアの変形防止具は、被操作部材20の回転操作によって全長が調節可能である。従って、様々な厚みのドアに使用することが可能であり、1種類の変形防止具を用意することによって、様々な厚みのドアの変形を的確に防止できる。また、変形防止具の製造においても、様々なサイズの金型等を用意する必要がなく、製造コストを抑えることもできる。
【0045】
また、図1から図7Dを参照して説明したように、実施形態のドアの変形防止具は、挿入孔4を通して内部スペース3に挿入されるものであり、被操作部材20の爪部22が、弾性支持部23によって被操作部材20の径方向において変位可能に弾性支持され、爪部22が、内部スペース3に被操作部材20が挿入された状態で挿入孔4の周部と係合することによって、被操作部材20は第2板材2Bと当接する。
【0046】
従って、小さな遊びで被操作部材20を挿入できる径の挿入孔4をドア1に形成することによって、ドア1が製作された後に変形防止具をドア1の内部スペース3に設置でき、例えば建設現場で、必要に応じて臨機応変に、ドア1が外力によって変形しないように補強することも可能であり、高い利便性を得ることができる。
【0047】
また、図1から図7Dを参照して説明したように、実施形態のドアの変形防止具によれば、第1ネジ部11、及び第2ネジ部21が逆ネジに形成されており、被操作部材20は、本体部材10に対し右回りに回転操作されるとき、第2板材2Bに向かって本体部材10に対し相対変位される。
【0048】
従って、図7C図7Dに示すように、ドア1の内部スペース3に変形防止具が挿入された状態で第1取付治具30を回転操作するとき、ネジ回しをした経験のある者であれば、ほとんどの者が右回りに第1取付治具30を回転するように操作するので、ドアの変形防止具の全長を伸ばすための正しい回転操作を直感的に行うことができ、ドアの変形防止具の設置を容易とすることができる。
【0049】
〈第2実施形態〉
次に、図8から図10を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。
【0050】
図8(a)は、本発明の他の実施形態の本体部材を示す正面図である。図8(b)は、本発明の他の実施形態の本体部材を示す上面図である。図8(c)は、図8(b)のD-D矢視断面図である。図9は、本発明の他の実施形態のドアに形成される嵌合孔を示す平面図である。図10は、本発明の他の実施形態に係るドアの変形防止具をドアに取付けた状態を示す断面図である。
【0051】
上述した第1実施形態においては、図7Cに示すように、本体部材10の回転は、第2取付治具40を使用して阻止される。
【0052】
本実施形態においては、本体部材10Aは、図8に示すように、突起状の第3被係合部13を有する。第3被係合部13は、突出部10aの外周面から径方向外方に突出するように形成される。
【0053】
また、本実施形態においては、ドア1には、図9に示すように、嵌合孔5Aが形成される。嵌合孔5Aは、第3係合部6を有する。本体部材10Aの第3被係合部13が、嵌合孔5Aの第3係合部6と係合されることによって、本体部材10Aの回転が阻止され、図10に示す状態となるまで被操作部材20が回転操作される。以上のこと以外は、本実施形態は、上述した第1実施形態と同様である。
【0054】
本実施形態によれば、第3被係合部13が第3係合部6と係合し本体部材10Aの回転が阻止されることによって、第2取付治具40を使用することなく、変形防止具をドア1に取付けできる。
【0055】
以上、図面(図1図10)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…ドア
2…表面板材
2A…第1板材
2B…第2板材
3…内部スペース
4…挿入孔
10、10A…本体部材
11…第1ネジ部
20…被操作部材
21…第2ネジ部
22…爪部
23…弾性支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10