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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025110824
(43)【公開日】2025-07-29
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250722BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20250722BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20250722BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L53/14
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004889
(22)【出願日】2024-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】深水 章裕
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF12
(57)【要約】
【課題】車両が配置される環境に耐えるための対策等を充電装置に対して講じることなく安定的に使用可能でありつつ、シンプルな構成の充電システムの提供を目的とした。
【解決手段】充電システム10は、車両100を配置可能な複数の部屋20と、部屋20の外部に配置され、車両100に電力を供給する充電装置30と、部屋20のそれぞれに設けられ、充電装置30から直接的あるいは間接的に供給された電力の供給口となるコネクタ40と、充電装置30から電力供給を受けるコネクタ40を切り替える切替装置50と、を有し、部屋20に配置された車両100、及び当該車両100が配置された部屋20に設けられたコネクタ40が充電ケーブル70を介して接続されることを条件として、充電装置30から充電ケーブル70が接続された車両100に対する電力供給が許可されること、を特徴とするものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池を充電する充電システムであって、
前記車両を配置可能な複数の部屋と、
前記部屋の外部に配置され、前記車両に電力を供給する充電装置と、
前記部屋のそれぞれに設けられ、前記充電装置から直接的あるいは間接的に供給された電力の供給口となるコネクタと、
前記充電装置から電力供給を受ける前記コネクタを切り替える切替装置と、
を有し、
前記部屋に配置された車両、及び当該車両が配置された前記部屋に設けられた前記コネクタが充電ケーブルを介して接続されることを条件として、前記充電装置から前記充電ケーブルが接続された前記車両に対する電力供給が許可されること、を特徴とする充電システム。
【請求項2】
複数の前記コネクタのうち、二以上の前記コネクタのそれぞれに対し、前記充電ケーブルを介して前記車両が接続されている場合において、二以上の前記コネクタのうちの一つに対する電力供給が許可され、他の前記コネクタに対する電力供給が禁止されること、を特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された電池を充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているような充電システムが提供されている。この充電システムは、充電器群を構成する複数の充電器を備えている。この充電システムにおいては、一の充電器の制御部が充電器の充電口に接続された電動車からの充電要求が充電部の出力可能電力を超えると、通信手段を介して事前に受信しておいた他の充電器に関する情報に基づき、他の充電器に対して電力共有ケーブルへの補助電力の出力に関する要求が送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-118768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般的に、車両の評価試験は、マイナス数十℃といった極めて低温の試験環境下や、40℃を越えるような高温の試験環境下において行われる。そのため、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等のような二次電池を搭載した車両についても、前述のような低温の試験環境下、及び高温の試験環境下において評価試験が行われる。
【0005】
その一方で、車両に搭載された二次電池を充電するための充電装置は、上述した低温の試験環境温度や高温の試験環境温度での使用が保証されたものでないことが多く、車両の試験環境下にそのまま配置すると破損したり、安定的に使用できなかったりする等の懸念がある。そのため、従来技術においては、充電装置を保温したり冷却したりするために、別途保温ケースや冷却装置等を設ける等の対策を講じる必要があった。これにより、従来技術の充電システムは、装置構成が複雑であるといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、車両が配置される環境に耐えるための対策等を充電装置に対して講じることなく安定的に使用可能でありつつ、シンプルな構成の充電システムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の充電システムは、車両に搭載された電池を充電するものであって、前記車両を配置可能な複数の部屋と、前記部屋の外部に配置され、前記車両に電力を供給する充電装置と、前記部屋のそれぞれに設けられ、前記充電装置から直接的あるいは間接的に供給された電力の供給口となるコネクタと、前記充電装置から電力供給を受ける前記コネクタを切り替える切替装置と、を有し、前記部屋に配置された車両、及び当該車両が配置された前記部屋に設けられた前記コネクタが充電ケーブルを介して接続されることを条件として、前記充電装置から前記充電ケーブルが接続された前記車両に対する電力供給が許可されること、を特徴とするものである。
【0008】
本発明の充電システムにおいては、充電装置が、車両が配置される部屋の外部に配置される。また、本発明の充電システムは、それぞれの部屋に充電装置から電力供給を受けるコネクタが設けられている。これにより、本発明の充電システムは、いずれの部屋に車両が配置された場合であっても、車両が配置された部屋に設けられたコネクタに対して充電ケーブルを介して車両を接続することにより、充電装置から車両に対して電力供給を行える。従って、本発明の充電システムは、車両が配置される環境に耐えるための対策等を充電装置に対して講じることなく安定的に使用可能でありつつ、シンプルな構成とすることができる。
【0009】
さらに、本発明の充電システムは、コネクタが充電ケーブルを介して車両に接続されることを条件として、充電装置から充電ケーブルが接続された車両に対する電力供給が許可されるものとされている。これにより、本発明の充電システムは、コネクタに対するコネクタの接続がない状態において電力が供給されるのを抑制可能な、安全性の高いものすることができる。
【0010】
(2)本発明の充電システムは、複数の前記部屋として、少なくとも部屋R1、及び部屋R2が設けられており、前記コネクタとして、少なくとも前記部屋R1に設けられるコネクタC1、及び前記部屋R2に設けられるコネクタC2を備えており、前記コネクタC1が前記部屋R1に配置された車両V1に接続されるとともに、前記コネクタC2が前記部屋R2に配置された車両V2に接続された状態において、前記充電装置から前記車両V1に対する電力供給が許可されることを条件として、前記車両V2に対する電力供給が禁止されるものであると良い。
【0011】
本発明の充電システムは、上記(2)に係る構成とすることにより、仮に部屋R1に配置された車両V1への電力供給中に、切替装置によりコネクタC1からコネクタC2に電力供給するコネクタを切り替える操作が行われたとしても、電力の供給先は車両V2には切り替わらない。そのため、本発明の充電システムは、車両V1への電力供給中に、切替装置が誤操作等されたとしても、車両V2への電力供給が行われない。従って、本発明の充電システムは、上記(2)に係る構成を採用することにより、より一層安全性の向上を図ることができる。
【0012】
(3)本発明の充電システムは、複数の前記コネクタのうち、二以上の前記コネクタのそれぞれに対し、前記充電ケーブルを介して前記車両が接続されている場合において、二以上の前記コネクタのうちの一つに対する電力供給が許可され、他の前記コネクタに対する電力供給が禁止されるものであると良い。
【0013】
本発明の充電システムは、上記(3)のような構成とすることにより、同時に複数の車両に対して電力供給が行われるのを抑制できる。従って、本発明の充電システムは、上記(3)に係る構成を採用することにより、同時に複数の車両に対する電力供給が許可される構成とした場合に比べて、電力供給状態の安定性、均一性、及び再現性を高めることができる。従って、本発明の充電システムは、上記(3)に係る構成とすることにより、車両の評価試験等において好適に利用できる。
【0014】
(4)本発明の充電システムは、前記コネクタに対して接続された前記充電ケーブルを抜去不能にロックするロック部を有し、前記ロック部により前記充電ケーブルがロックされることを、電力供給の許可条件として含むものであると良い。
【0015】
本発明の充電システムは、上記(4)に係る構成とすることより、ロック部によって充電ケーブルがロックされていない状態において車両に対する電力供給が行われるのを抑制できる。従って、本発明の充電システムによれば、車両に対して電力供給を行う際の安全性をより一層向上させることができる。
【0016】
(5)本発明の充電システムは、前記コネクタに対して接続された前記充電ケーブルを抜去不能にロックするロック部を有し、前記車両が、前記ロック部による前記充電ケーブルのロック状態を検出するロック状態検出機能を備えた制御装置を具備したものであり、前記切替装置が、前記制御装置との通信により、前記ロック状態検出機能をオフ状態に切り替えることができるものであると良い。
【0017】
本発明の充電システムは、上記(5)に係る構成とすることにより、例えば車両に対する電力供給中に充電ケーブルが車両から外れた場合を想定した試験等を行う場合において、好適に利用できる。すなわち、本発明の充電システムは、上記(5)に係る構成を採用することにより、例えば充電ケーブル等に設けられたロック状態検出用の信号が流れる配線を切断する等の作業を行う等することなく、前述のような試験を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上述した課題を解決した充電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る充電システムを模式的に示した説明図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1の充電システムに用いられるコネクタの一例を示した正面図である。
図4図1の充電システムに用いられる切替装置に係る操作部の一例を示した正面図である。
図5図1に係る充電システム使用手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る充電システム10について、図面を参照しつつ詳細を説明する。以下の説明においては、先ず充電システム10の構成を説明したうえ、充電システム10の使用手順について説明する。なお、各図は、理解が容易なように模式的に表したものであり、実際の形状・サイズや構成部品の配置とは異なる場合があることに留意されたい。
【0021】
≪充電システム10の構成≫
充電システム10は、バッテリー電気自動車(BEV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の電池120を搭載した車両100について、電池120を充電するものである。本実施形態の充電システム10は、車両100について、マイナス数十℃といった極めて低温の試験環境下や、40℃を越えるような高温の試験環境下において評価試験を行う際に用いられるものである。図1に示すように、充電システム10は、部屋20、充電装置30、コネクタ40、及び切替装置50を備えている。
【0022】
充電システム10は、部屋20を複数備えている。図示例では、充電システム10は、第一部屋22、第二部屋24、及び第三部屋26を含む複数の部屋20を備えたものとされている。部屋20は、車両100を収容可能な大きさを有するものである。本実施形態では、部屋20は、温度条件等の環境条件を車両100の評価試験に適した条件に調整可能なものとされている。
【0023】
図1に示すように、充電装置30は、車両100に対して電力を供給することにより、車両100が備える電池120を充電するための装置である。充電装置30は、上述したそれぞれの部屋20の外部に配置される。本実施形態では、充電装置30は、部屋20とは別に設けられた管理室80に配置されている。充電装置30は、部屋20の室外に設けられているため、部屋20の室内環境に晒されることなく配置される。本実施形態では、充電装置30は、管理室80に配置されることから、管理室80の室内環境を調整することにより、充電装置30の動作等に適した環境下に配置することができる。
【0024】
図1に示すように、コネクタ40は、複数設けられた部屋20のそれぞれに設けられている。本実施形態の充電システム10では、第一部屋22に設けられた第一コネクタ42、第二部屋24に設けられた第二コネクタ44、第三部屋26に設けられた第三コネクタ46を含む複数のコネクタ40が設けられている。
【0025】
コネクタ40は、充電装置30から直接的あるいは間接的に供給された電力の供給口となるものである。本実施形態では、コネクタ40は、後に詳述する切替装置50を介して充電装置30から供給された電力の供給口となる。また、図3に示すように、コネクタ40は、電力用のコネクタ側電力端子40aに加えて、通信用のコネクタ側通信端子40bとを備えたものとされている。コネクタ側電力端子40a及びコネクタ側通信端子40bは、それぞれ充電装置30側(本実施形態では切替装置50)に対して電気的に接続されている。これにより、コネクタ40は、コネクタ側電力端子40aを介して電力供給を行えるとともに、コネクタ側通信端子40bを介して充電装置30側(本実施形態では切替装置50)との間で情報通信を行えるものとされている。図1図2に示すように、コネクタ40は、コネクタ側電力端子40a、及びコネクタ側通信端子40bに適合した端子を備えた充電ケーブル70を介して、車両100に対して電気的に接続できる。
【0026】
ここで、図2に示すように、車両100に設けられた車両側コネクタ110は、上述したコネクタ40と同様に、電力用の車両側電力端子110aと、情報通信用の車両側通信端子110bとを有する。そのため、車両側電力端子110a及び車両側通信端子110bに適合した端子を備えた充電ケーブル70を車両側コネクタ110に対して接続することにより、充電ケーブル70を介してコネクタ側電力端子40a及び車両側電力端子110aの間で通電させるとともに、コネクタ側通信端子40b及び車両側通信端子110bの間で情報通信を行うことができる。
【0027】
コネクタ40は、コネクタ側電力端子40a及びコネクタ側通信端子40bに加えて、ロック部40c、及びロック状態検出部40dを備えている。ロック部40cは、コネクタ40のコネクタ側電力端子40aに対して接続された充電ケーブル70を抜去不能にロックするものである。本実施形態では、ロック部40cは、レバー式のものとされている。また、ロック状態検出部40dは、ロック部40cにより充電ケーブル70がロックされた状態であるのか否かを検出するためのものである。本実施形態では、ロック状態検出部40dは、ロック部40cがロック状態である場合にロック部40cをなすレバーが存在する場所に当該レバーが存在しているか否かを検出可能なものによって構成されている。ロック状態検出部40dは、例えば非接触型のレーザ変位計等の光学式センサ、その他各種のセンサ、スイッチ等によって構成できる。
【0028】
切替装置50は、充電装置30から電力供給を受けるコネクタ40を切り替える装置である。切替装置50は、電力供給先となるコネクタ40の切り替えを行える箇所であれば適宜の箇所に設置できる。本実施形態では、切替装置50は、充電装置30と、複数のコネクタ40との間に設けられている。また、切替装置50は、部屋20の室外に設けられている。そのため、切替装置50は、部屋20の室内環境に晒されることなく配置される。本実施形態では、切替装置50は、充電装置30と同様に管理室80に配置されている。そのため、切替装置50は、管理室80の室内環境を調整することにより、切替装置50の動作等に適した環境下に配置することができる。切替装置50は、受電部52、給電部54、操作部56、状態表示部58、及び制御部60を備えている。
【0029】
受電部52は、充電装置30に対して電気的に接続されることにより、充電装置30から電力が供給される部分である。受電部52は、充電装置30と切替装置50とを電気的に接続する第一接続ケーブル72が接続されている。
【0030】
給電部54は、受電部52において充電装置30から供給を受けた電力を出力する部分である。給電部54には、第二接続ケーブル74が接続されている。第二接続ケーブル74は、中途において分岐され、複数のコネクタ40のそれぞれに接続されている。
【0031】
操作部56は、充電システム10の使用者により、複数のコネクタ40から車両100への電力供給(充電)を行うものを選択する操作を受け付ける部分である。操作部56は、例えば各種のスイッチ、ボタン、レバー等からなる物理的なものや、タッチパネル式のもの等とすることができる。本実施形態では、図4に示すように、操作部56は、プッシュ式のボタンによって操作可能なものとされている。操作部56は、複数の部屋20(複数のコネクタ40)に対応して、複数のボタンを備えたものとされている。具体的には、操作部56は、第一部屋22(第一コネクタ42)に対応する第一ボタン56a、第二部屋24(第二コネクタ44)に対応する第二ボタン56b、及び第三部屋26(第三コネクタ46)に対応する第三ボタン56cを備えたものとされている。
【0032】
状態表示部58は、切替装置50及びこれに接続された複数のコネクタ40等の状態を表示するものである。状態表示部58は、発光ダイオードやセグメントディスプレイ、液晶パネル等によって構成したり、タッチパネルによって構成することにより上述した操作部56と兼用のものとしたりすることができる。本実施形態では、状態表示部58は、発光ダイオードによって構成されている。
【0033】
状態表示部58は、電源表示部58a、充電表示部58b、選択状態表示部58c、コネクタロック状態表示部58dを有する。電源表示部58aは、切替装置50の電源がオン状態であるか否かを表示するものである。充電表示部58bは、充電システム10による車両100への充電が行われているか否かを表示するものである。選択状態表示部58cは、操作部56によるコネクタ40の選択状態を表示するものである。コネクタロック状態表示部58dは、各コネクタ40においてロック部40cがロック状態であるか否かを表示するものである。
【0034】
制御部60は、充電システム10の動作制御を行うものである。制御部60は、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等によって構成される。制御部60は、充電装置30から供給される電力の供給先となるコネクタ40を選択し、電力を供給するための制御(電力供給制御)を行う。具体的には、制御部60は、部屋20に配置された車両100、及び車両100が配置された部屋20に設けられたコネクタ40が充電ケーブル70を介して接続されることを条件として、このコネクタ40及び充電ケーブル70を介して車両100に対する電力供給(充電)を許可する。また、本実施形態の制御部60においては、ロック部40cにより充電ケーブル70がロックされることが、車両100に対する電力供給(充電)を許可するための許可条件の一つとされている。そのため、制御部60は、操作部56の操作により選択されたコネクタ40に対して車両100が接続されること、及びロック部40cにより充電ケーブル70がロックされることを、電力供給(充電)の許可条件として電力供給制御を行う。
【0035】
ここで、充電システム10においては、二以上のコネクタ40のそれぞれにおいて車両100が接続された状態となる場合が想定される。制御部60は、このような場合において、二以上のコネクタ40から選ばれる一のコネクタ40においてのみ車両100に対する電力供給(充電)を許可し、他のコネクタ40においては充電ケーブル70を介して車両100が接続されていても電力供給(充電)を禁止する制御を行う。具体的には、例えば、第一コネクタ42が第一部屋22に配置された車両100(第一車両102)に接続されるとともに、第二コネクタ44が第二部屋24に配置された車両100(第二車両104)に接続された状態において、充電装置30から第一車両102に対する電力供給が許可されることを条件として、第二車両104に対する電力供給が禁止される。また、車両100が接続されていない他のコネクタ40についても電力供給が禁止される。図示例においては、第三部屋26に配置された車両(第三車両106)については、第三コネクタ46と接続されていないため、第三コネクタ46への電力供給が禁止される。
【0036】
≪充電システム10の使用手順≫
続いて、上述した充電システム10の使用手順について、図5に係るフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
【0037】
(ステップ1)
充電システム10を使用する場合には、先ずステップ1において充電装置30及び切替装置50が起動される。切替装置50が起動されると、制御部60がオン状態となる。これにより、制御部60による制御の下、充電装置30から車両100への電力供給に係る制御(電力供給制御)を行えるようになる。
【0038】
(ステップ2)
上述したステップ1において充電装置30及び切替装置50が起動された後、ステップ2において、第一接続ケーブル72を介して充電装置30と切替装置50とを電気的に接続する。これにより、充電装置30から切替装置50に向けて電力供給可能な状態とされる。
【0039】
(ステップ3)
その後、ステップ3において、充電対象である車両100が配置された部屋20において、車両100に接続された充電ケーブル70をコネクタ40に対して接続する。これにより、充電ケーブル70が、コネクタ40のコネクタ側電力端子40a及びコネクタ側通信端子40bに対して接続された状態になる。また、充電ケーブル70の接続に際し、ロック部40cにより充電ケーブル70をロックする。これにより、充電ケーブル70がコネクタ40に対して挿抜不能に接続された状態になる。
【0040】
ロック部40cによる充電ケーブル70のロックが完了すると、ロック状態検出部40dによりロック状態になったことが検出され、その旨を示す信号(ロック検知信号)が発信される。ロック検知信号は、コネクタ40のコネクタ側通信端子40bを介して切替装置50に送信される。これに伴い、制御部60において、複数のコネクタ40のうち、いずれのコネクタ40に対して充電ケーブル70が接続されたのかが認識される。また、充電ケーブル70が接続され、ロック状態とされたコネクタ40は、車両100の充電用として選択可能なものとして制御部60により認識される。
【0041】
(ステップ4)
上述したようにしてコネクタ40に対して充電ケーブル70が接続された後、ステップ4において操作部56の操作により、充電を行うために使用するコネクタ40を選択する操作を行う。本実施形態では、操作部56に設けられた第一ボタン56a~第三ボタン56cのうち、複数のコネクタ40のうち、充電を行いた車両100が配された部屋20にあるコネクタ40に対応付けて設けられたボタンを選択して操作する。具体的には、例えば、第一部屋22に充電対象である車両100(第一車両102)が配置されている場合、第一部屋22に設けられた第一コネクタ42に対応付けて設けられた第一ボタン56aを選択して操作する。
【0042】
(ステップ5)
ステップ5において、制御部60は、ステップ4で選択されたコネクタ40が、充電のために電力供給を行って良いものであるのか否かの判定を行う。具体的には、制御部60は、操作部56の操作により選択されたコネクタ40が、充電ケーブル70を介して車両100に接続されたものであること、充電ケーブル70がロックされていることといった電力供給の開始条件を満足しているか否かを確認する。複数のコネクタ40のうち単一のコネクタ40にのみ充電ケーブル70が接続されている場合には、前述の開始条件を満足していることを条件として電力供給を許可する判定を行う。
【0043】
また、二以上のコネクタ40において車両100が接続されるとともに、各充電ケーブル70がロック状態である状態である場合には、第一ボタン56a~第三ボタン56cのうち操作されたボタンが、いずれのコネクタ40に対応するものであるのかを確認する。第一ボタン56a~第三ボタン56cのうち操作されたボタン(以下、「被操作ボタン56x」とも称す)に対応するコネクタ40(以下、「選択コネクタ40x」とも称す)について、上述した開始条件を満足している場合には、選択コネクタ40xへの電力供給を許可し、他のコネクタ40への電力供給を禁止する判定を行う。また、選択コネクタ40xについて、上述した開始条件を満足していない場合には、いずれのコネクタ40においても電力供給を禁止する判定を行う。このようにして、選択コネクタ40xへの電力供給の許可判定が行われた結果、選択コネクタ40xへの電力供給が許可された場合には、フローが後述のステップ6に進められる。一方、選択コネクタ40xへの電力供給を禁止する判定が行われた場合には、フローがステップ3に戻される。
【0044】
(ステップ6)
上述したステップ5において選択コネクタ40xへの電力供給が許可された場合、制御部60は、充電装置30から切替装置50に供給された電力を、選択コネクタ40xに供給できるようにする。具体的には、制御部60は、切替装置50に設けられたリレーを接続する等して、受電部52と給電部54とを導通させる。これにより、制御部60は、充電装置30から供給された電力を選択コネクタ40xに向けて供給できる状態とする。
【0045】
(ステップ7)
上述したようにして、選択コネクタ40x及びこれに接続された充電ケーブル70が充電装置30と導通した状態になると、ステップ7において充電ケーブル70を車両100の車両側コネクタ110に接続する。この状態において、充電装置30に設けられた充電開始ボタン32をオン状態とすると、充電装置30から車両100への電力供給が開始される。これにより、車両100の電池120への充電が開始される。
【0046】
≪作用効果≫
上述した実施形態に係る充電システム10は、以下の(a)~(d)に示すような特徴的構成を有し、これにより本発明に特有の効果が得られる。
【0047】
(a)上述した本発明の一実施形態に係る充電システム10は、車両100に搭載された電池120を充電するものであって、車両100を配置可能な複数の部屋20と、部屋20の外部に配置され、車両100に電力を供給する充電装置30と、部屋20のそれぞれに設けられ、充電装置30から直接的あるいは間接的に供給された電力の供給口となるコネクタ40と、充電装置30から電力供給を受けるコネクタ40を切り替える切替装置50と、を有し、部屋20に配置された車両100、及び当該車両100が配置された部屋20に設けられたコネクタ40が充電ケーブル70を介して接続されることを条件として、充電装置30から充電ケーブル70が接続された車両100に対する電力供給が許可されること、を特徴とするものである。
【0048】
充電システム10においては、充電装置30が、車両100が配置される部屋20の外部に配置される。また、充電システム10は、それぞれの部屋20に充電装置30から電力供給を受けるコネクタ40が設けられている。これにより、充電システム10は、いずれの部屋20に車両100が配置された場合であっても、車両100が配置された部屋20に設けられたコネクタ40に対して充電ケーブル70を介して車両100を接続することにより、充電装置30から車両100に対して電力供給を行える。従って、充電システム10は、車両100が配置される環境に耐えるための対策等を充電装置30に対して講じることなく安定的に使用可能でありつつ、シンプルな構成とすることができる。
【0049】
さらに、充電システム10は、コネクタ40が充電ケーブル70を介して車両100に接続されることを条件として、充電装置30から充電ケーブル70が接続された車両100に対する電力供給が許可されるものとされている。これにより、充電システム10は、コネクタ40に対するコネクタ40の接続がない状態において電力が供給されるのを抑制可能な、安全性の高いものすることができる。
【0050】
(b)上述したように、充電システム10は、複数の部屋20として、少なくとも部屋R1、及び部屋R2が設けられており、コネクタ40として、少なくとも部屋R1に設けられるコネクタC1、及び部屋R2に設けられるコネクタC2を備えており、コネクタC1が部屋R1に配置された車両V1に接続されるとともに、コネクタC2が部屋R2に配置された車両V2に接続された状態において、充電装置30から車両V1に対する電力供給が許可されることを条件として、車両V2に対する電力供給が禁止されるものであると良い。
【0051】
充電システム10は、上記(b)に係る構成とすることにより、仮に部屋R1に配置された車両V1への電力供給中に、切替装置50によりコネクタC1からコネクタC2へと電力供給するコネクタ40を切り替える操作が行われたとしても、電力の供給先は車両V1で維持され、車両V2には切り替わらない。具体的には、例えば部屋R1が第一部屋22、部屋R2が第二部屋24とした場合、コネクタC1,C2は第一コネクタ42及び第二コネクタ44であり、車両V1,V2は第一車両102及び第二車両104となる。この場合において、第一部屋22に配置された第一車両102への電力供給中に、切替装置50により第一コネクタ42から第二コネクタ44へと電力供給するコネクタ40を切り替える操作が行われたとしても、電力の供給先は第一車両102で維持され、第二車両104には切り替わらない。そのため、充電システム10は、車両V1への電力供給中に、切替装置50が誤操作等されたとしても、車両V2への電力供給が行われない。従って、充電システム10は、上記(b)に係る構成を採用することにより、より一層安全性の向上を図ることができる。
【0052】
(c)上述したように、充電システム10は、複数のコネクタ40のうち、二以上のコネクタ40のそれぞれに対し、充電ケーブル70を介して車両100が接続されている場合において、二以上のコネクタ40のうちの一つに対する電力供給が許可され、他のコネクタ40に対する電力供給が禁止されるものであると良い。
【0053】
充電システム10は、上記(c)のような構成とすることにより、同時に複数の車両100に対して電力供給が行われるのを抑制できる。従って、充電システム10は、上記(c)に係る構成を採用することにより、同時に複数の車両100に対する電力供給が許可される構成とした場合に比べて、電力供給状態の安定性、均一性、及び再現性を高めることができる。従って、充電システム10は、上記(c)に係る構成とすることにより、車両100の評価試験等において好適に利用できる。
【0054】
(d)上述したように、充電システム10は、コネクタ40に対して接続された充電ケーブル70を抜去不能にロックするロック部40cを有し、ロック部40cにより充電ケーブル70がロックされることを、電力供給の許可条件として含むものであると良い。
【0055】
充電システム10は、上記(d)に係る構成とすることより、ロック部40cによって充電ケーブル70がロックされていない状態において車両100に対する電力供給が行われるのを抑制できる。従って、充電システム10によれば、車両100に対して電力供給を行う際の安全性をより一層向上させることができる。
【0056】
≪変形例≫
上述した充電システム10は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成の変更や省略、追加等を行うことができる。具体的には、上述した充電システム10は、上述した(b)~(d)に係る構成の一部又は全部を備えていないものとしたり、(b)~(d)に係る構成に代えて、あるいは加えて他の構成を備えたものとしたりすることが可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態においては、充電装置30からコネクタ40に対し、切替装置50を介して間接的に電力供給可能とした構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記(a)に記載のとおり、充電装置30からコネクタ40に対して直接的に電力供給可能とした構成とすることも可能である。この場合、充電システム10は、充電装置30とコネクタ40との間以外の場所に切替装置50を設け、当該切替装置50によって電力の供給先となるコネクタ40を切り替え可能にすると良い。また、充電システム10は、充電装置30に切替装置50を内蔵させた構成とすることで、充電装置30とコネクタ40とを直接的に接続した構成とすることも可能である。
【0058】
また、充電システム10は、必ずしも上記(b)のように充電装置30から車両V1に対する電力供給が許可されることを条件として、車両V2に対する電力供給が禁止されるものである必要はない。例えば、充電システム10は、車両V1への電力供給と同時に、車両V2への電力供給を行えるものとすることが可能である。なお、このような構成とする場合には、切替装置50の誤操作等によって使用者の意図に反して車両V1,V2に対して同時に電力供給がなされないよう、別途誤操作を検出するための構成を設ける等して、誤操作である場合に電力供給を禁止できるようにすると良い。
【0059】
充電システム10は、必ずしも上記(c)のように二以上のコネクタ40のうちの一つに対する電力供給が許可し、他のコネクタ40に対する電力供給を禁止するものである必要はない。例えば、充電システム10は、電力供給を行っても電力供給状態の安定性、均一性、及び再現性の変動を許容範囲内に抑制できる場合や、電力供給状態の安定性等を考慮する必要がない場合等において、同時に複数の車両100に対して電力供給可能なものとすることができる。なお、充電システム10を同時に複数の車両100に対して電力供給可能なものとする場合には、電力供給状態の安定性等を補償できる他の構成を設けたり、制御部60等による電力供給制御を行うことにより電力供給状態の安定性等を許容範囲内に維持できるようにすると良い。
【0060】
充電システム10は、必ずしも上記(d)のようにロック部40cにより充電ケーブル70がロックされることを、電力供給の許可条件として含むものとする必要はない。例えば、充電システム10は、充電ケーブル70が確実に接続されたことを検知する他のセンサを設けた構成、充電ケーブル70の接続に伴って同時に押下されるボタンやスイッチを設けた構成、充電ケーブル70を接続したことを制御部60に通知するために操作可能な操作部を設けた構成等とすることにより、充電ケーブル70が確実にコネクタ40に接続されたことを制御部60において把握可能な構成とすると良い。このような構成とすることにより、上記(d)のような構成とした場合と同様に、充電ケーブル70が確実に接続されていない状態において車両100に対する電力供給が行われるのを抑制できる。
【0061】
また、上述した充電システム10は、例えば車両100に対する電力供給中に充電ケーブル70が車両100から外れた場合を想定した試験等を行う場合を想定して、コネクタ40に対して接続された充電ケーブル70を抜去不能にロックするロック部40cを有し、車両100が、ロック部40cによる充電ケーブル70のロック状態を検出するロック状態検出機能を備えた制御装置を具備したものであり、切替装置50が、制御装置との通信により、ロック状態検出機能をオフ状態に切り替えることができるものとすることができる。
【0062】
充電システム10は、上述した構成とすることにより、例えば車両100に対する電力供給中に充電ケーブル70が車両100から外れた場合を想定した試験等を行う場合において、好適に利用できる。すなわち、充電システム10は、上述した構成を採用することにより、例えば充電ケーブル70等に設けられたロック状態検出用の信号が流れる配線を切断する等の作業を行う等することなく、前述のような試験を行うことができる。
【0063】
本願発明は、上述した実施の形態等に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願、変更出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、車両に搭載された電池を充電する充電システム全般において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 :充電システム
20 :部屋
22 :第一部屋
24 :第二部屋
30 :充電装置
40 :コネクタ
40c :ロック部
42 :第一コネクタ
44 :第二コネクタ
50 :切替装置
60 :制御部
70 :充電ケーブル
100 :車両
102 :第一車両
104 :第二車両
120 :電池
C1 :コネクタ
C2 :コネクタ
R1 :部屋
R2 :部屋
V1 :車両
V2 :車両
図1
図2
図3
図4
図5