(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025111167
(43)【公開日】2025-07-30
(54)【発明の名称】支援システム、並びに、その情報処理装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250723BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005403
(22)【出願日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雄実
(57)【要約】
【課題】サポータの出資を原資とする支援の実効性を高めることが可能な支援システムを提供する。
【解決手段】複数のユーザ3を含むユーザ群GUを支援の単位としてサポータ2から出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資としてユーザ3の活動を支援するための交換価値をユーザ3に分配する一方で、出資への対価として各ユーザ3から提供されたリターンに関する特典をサポータ2に提供する支援システム1において、ユーザ3が提供したリターンの価値を定量化した個別評価値を算出し、所定の対象期間に提供されたリターンに関して算出された個別評価値に基づいて、対象期間に提供されたリターンの個別評価値を代表する値を代表評価値として算出し、算出された代表評価値を各ユーザ3にリターンの目安として提示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サポータが出資した金銭的価値の価値量を、複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位として出資された金銭的価値の価値量として計上する出資制御手段と、
前記金銭的価値の出資への対価としてのリターンを、前記ユーザ群の各ユーザから取得する対価制御手段と、
取得された前記リターンに関する特典を各サポータに提供する特典制御手段と、
計上された前記金銭的価値の価値量の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する分配制御手段と、を備え、
前記対価制御手段は、
各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段と、
所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段と、
算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段と、
を含んでいる支援システム。
【請求項2】
前記分配制御手段は、
前記対象期間に対応する集計期間に計上された前記金銭的価値の価値量のうち前記支援の原資となる前記金銭的価値の価値量と、前記対象期間における前記リターンの提供の実績とに基づいて、各ユーザに分配すべき前記交換価値の価値量の標準的な値を標準分配量として算出する標準分配量算出手段と、
算出された前記標準分配量に基づいて、前記ユーザに前記交換価値を分配する分配実行手段と、
を含んでいる、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記標準分配量算出手段は、前記支援の原資となる前記金銭的価値の価値量を、前記対象期間に前記リターンを提供したユーザの数で除した値を前記標準分配量として算出する請求項2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記分配実行手段は、前記対象期間に前記リターンを提供したユーザに対して前記標準分配量を分配する請求項2に記載の支援システム。
【請求項5】
前記リターンは、デジタルコンテンツとして流通可能な制作物を含み、前記特典は前記リターンの利用に関連付けて設定されている請求項1に記載の支援システム。
【請求項6】
前記個別評価手段は、前記リターンの制作に関与した制作者の属性と、前記リターンの制作段階とに基づいて前記個別評価値を算出する請求項5に記載の支援システム。
【請求項7】
前記代表評価手段は、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値に関する平均値を前記代表評価値として算出する請求項1に記載の支援システム。
【請求項8】
前記分配制御手段は、前記対象期間に前記リターンを提供したユーザ間で均等になるように前記交換価値を分配する請求項1に記載の支援システム。
【請求項9】
前記出資制御手段は、前記ユーザ群を支援の単位として出資された前記金銭的価値とは区別して、前記ユーザ群の一部の特定ユーザを追加支援の対象に指定して前記サポータが出資した追加的金銭的価値の価値量を前記追加支援の価値量として計上し、
前記分配制御手段は、前記特定ユーザに対応する前記追加支援の価値量に基づいて、前記追加支援としての前記交換価値を前記特定ユーザに分配する、請求項1に記載の支援システム。
【請求項10】
前記ユーザに分配される前記交換価値が、前記ユーザの健康の支援に資する商品又はサービスと交換可能である請求項1~9のいずれか一項に記載の支援システム。
【請求項11】
複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位としてサポータから出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する一方で、前記金銭的価値の出資への対価として前記ユーザ群の各ユーザから提供されたリターンに関する特典を各サポータに提供する支援システムに適用される情報処理装置であって、
各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段と、
所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段と、
算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段と、
を含んでいる情報処理装置。
【請求項12】
複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位としてサポータから出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する一方で、前記金銭的価値の出資への対価として前記ユーザ群の各ユーザから提供されたリターンに関する特典を各サポータに提供する支援システムに適用されるコンピュータプログラムであって、
前記支援システムに含まれるコンピュータを、
各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段、
所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段、及び、
算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段、
として機能させるように構成されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポータの出資を活用してユーザ群の活動を支援するための支援システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
クリエイタ等を支援対象者としてのユーザに設定し、そのユーザの活動を支援するためのシステムとして、クラウドファンディング等の寄付行為を通じて活動資金を援助することを意図したシステムが提案されている。例えば、複数のクリエイタが関与して制作されたコンテンツに関し、サポータが出資した寄付金をサポータやクリエイタが指定した分配比率に従って分配するシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。クリエイタやそのクリエイタが提供したコンテンツを所定の評価基準に従って評価し、評価結果に応じてコンテンツの販売収益や寄付金等を分配するシステムも提案されている(例えば特許文献2及び3参照)。e-sportsのプレイヤ等のユーザが投稿した動画に対するネットワーク上の反応に基づいて、栄養ドリンクやサプリメント等のサポート食品を手配するサービスをユーザに提供するシステムも提案されている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-49751号公報
【特許文献2】特許第6941973号公報
【特許文献3】特表2020-514847号公報
【特許文献4】特開2022-90627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシステムは、クリエイタ、あるいはコンテンツを単位として資金を集めることが前提とされている。例えば、特許文献1のシステムでは、複数のクリエイタ間で寄付金が分配されるが、寄付の単位はあくまで共同制作されたコンテンツそのものである。特許文献2のシステムでも、クリエイタごとに、又はコンテンツごとに評価がなされて資金が分配されている。このようなシステムでは、例えば知名度が高いクリエイタやそのコンテンツに出資が偏る傾向が生じ得る。したがって、一部の限られた支援対象者しかシステムを利用するメリットを享受することができず、支援の実効性を十分に高めることができないおそれがある。例えば、知名度が低いといった理由で寄付が見込めないと考えているクリエイタがシステムの利用に興味を示さない、あるいはシステムを実際に利用しても十分な支援が得られないことから、利用を中止するクリエイタが生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、サポータの出資を原資とする支援の実効性を高めることが可能な支援システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る支援システムは、サポータが出資した金銭的価値の価値量を、複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位として出資された金銭的価値の価値量として計上する出資制御手段と、前記金銭的価値の出資への対価としてのリターンを、前記ユーザ群の各ユーザから取得する対価制御手段と、取得された前記リターンに関する特典を各サポータに提供する特典制御手段と、計上された前記金銭的価値の価値量の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する分配制御手段と、を備え、前記対価制御手段は、各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段と、所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段と、算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段と、を含んでいるものである。
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位としてサポータから出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する一方で、前記金銭的価値の出資への対価として前記ユーザ群の各ユーザから提供されたリターンに関する特典を各サポータに提供する支援システムに適用される情報処理装置であって、各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段と、所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段と、算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段と、を含んでいるものである。
【0008】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位としてサポータから出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する一方で、前記金銭的価値の出資への対価として前記ユーザ群の各ユーザから提供されたリターンに関する特典を各サポータに提供する支援システムに適用されるコンピュータプログラムであって、前記支援システムに含まれるコンピュータを、各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段、所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段、及び算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段、として機能させるように構成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本形態に係る支援システム1の仕組みを示す概念図。
【
図2】ユーザに提示する目安リターンウェイト及びユーザに付与するポイント数の算出手順の一例を示す図。
【
図3】個々のリターンを評価するために用いる評価マトリクスの一例を示す図。
【
図4】
図1の仕組みを実現するための支援システムの全体構成を示す図。
【
図5】ECシステム及びコンテンツ管理システムのそれぞれのサーバの論理的構成の一例を示すブロック図。
【
図6】ECシステムのサーバが実行する売上記録処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図7】ECシステムのサーバが実行する特典処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図8】コンテンツ管理システムのサーバが実行するリターンウェイト算出処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図9】コンテンツ管理システムのサーバが実行する目安リターンウェイト設定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図10】ユーザにポイントを付与するために、ECシステム及びコンテンツ管理システムのそれぞれのサーバが連携して実行する処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図11】ECシステムのサーバが実行する発注処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図12】ECシステムのサーバが実行する追加支援処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の一形態に係る支援システムを説明する。
図1は、本形態に係る支援システム1の仕組みを示す概念図である。支援システム1はECシステム10及びコンテンツ管理システム20を含む。ECシステム10は、複数のサポータ2のそれぞれに対応付けられた所定の処理、及びユーザ3に対応付けられた所定の処理を担当する。サポータ2は支援の原資となる出資金を出資する者、ユーザ3は支援システム1による支援の対象となる者である。出資金は、サポータ2が出資する金銭的価値の一例である。出資金は、例えば、現金通貨によって出資される。その場合、出資金の金額が、金銭的価値の価値量に相当する。ただし、代替通貨その他の各種の金銭的価値を有する各種の媒体を介して金銭的価値が出資されてよい。サポータ2による出資は、複数のユーザ3を含んだユーザ群GUを単位として行われる。つまり、ユーザ群GU内における特定のユーザ3を支援の対象として出資が行われるのではなく、ユーザ群GUの全体を支援の対象として出資が行われる。ユーザ群GU内の特定のユーザ3を支援の対象に指定して出資することはできない。サポータ2及びユーザ3の具体例は後述する。
【0011】
ECシステム10は、サポータ2に対応付けられた処理として、例えば、サポータ2からの出資を受け付ける処理(A1)、出資金を決済システム30と連携して決済する処理(A2)、及び、出資の対価としての特典をサポータ2に提供する処理(A3)を担当する。サポータ2による出資は、ECシステム10に対する会員登録を必須の要件として行われてもよい。この場合、サポータ2が支払う出資金は、例えば会費として徴収されてもよい。会費には、金額が異なる複数のランク、クラスといった区分が設定されてもよい。決済システム30には、サポータ2からの出資金を決済することが可能な限り、例えば金融機関のシステム、クレジット会社のシステム等の適宜のシステムが用いられてよい。
【0012】
ECシステム10は、ユーザ3に対応付けられた処理として、例えば、ユーザ3に対してポイントを付与する処理(B1)、及びポイントの消費と引き換えにユーザ3から商品又はサービス(以下、商品等と呼ぶことがある。)の発注を受ける処理(B2)、ユーザ3から発注された商品等を物流システム40に対して発注し、その商品等の料金を支払う処理(B3)を担当する。ユーザ3に付与されるポイントは、ユーザ3の活動を支援するための交換価値の一例である。より具体的には、ポイントはユーザ3の活動の支援に資する商品又はサービスと交換可能な価値を持つ交換価値の一例である。物流システム40には、商品等を提供するメーカ、サービス事業者、サプライヤ、ベンダ等のシステム、及び商品の配送を担当する物流会社のシステム等が適宜に含まれてよい。ECシステム10から発注された商品等が物流システム40を介してユーザ3に納品される(B4)。納品は、物理的な商品の配送に限定されず、例えば電子的情報としての商品の提供、サービスの提供を含む概念である。ユーザ3の活動の支援に資する商品又はサービスは適宜に選択されてよい。一例として、ユーザ3の健康をサポートする食品、飲料、サプリメント等の商品、ユーザ3の健康を増進したり管理したりするサービスの利用権、その種のサービスの利用が可能なクーポン等が商品等として提供されてよい。これらの商品等は、ユーザ3の活動を健康状態の維持又は向上の側面から支援するに適した商品等である。
【0013】
コンテンツ管理システム20は、ユーザ3に対してリターンの提供を依頼する処理(C1)、ユーザ3からリターンの納品を受ける処理(C2)、及び納品されたリターンをECシステム10に提供する処理(C3)を実行する。また、コンテンツ管理システム20は、ECシステム10と連携して、ユーザ3に付与すべきポイントを決定する処理(C4)を担当する。ここでいうリターンは、支援システム1による支援の対価としてユーザ3が提供する物品又は情報である。リターンは有体物、無体物のいずれも含み得る。ECシステム10からサポータ2に提供される特典は、ユーザ3から提供されるリターンと関連付けられている。
【0014】
コンテンツ管理システム20は、リターンの提供を依頼する処理(C1)の一部として、各ユーザ3から提供されたリターンの価値を評価し、その評価結果に基づいて、提供すべきリターンの価値に関する目安を各ユーザ3に提示する。また、各ユーザ3に対して付与すべきポイントは、所定の集計期間における出資金の合計値(合計額)と、集計期間に対応する対象期間におけるユーザ3からのリターンの提供の実績とに基づいて決定される。それらの処理については後述する。
【0015】
ユーザ群GUは、所定の共通性を持つユーザ3の集合として設定することができる。一例として、ユーザ3を、デジタルコンテンツとして流通可能な動画、アニメーション、画像、音楽、文章等の制作物の制作者(例えば、クリエイタと称される者)として設定し、それらのユーザ3の集合をユーザ群GUとして設定することができる。この場合、制作物の制作に関わる各種の活動がユーザ3の活動の一例に相当する。また、ユーザ3が制作するデジタルコンテンツがリターンの一例に相当する。以下では、デジタルコンテンツがリターンとして提供されるものとして説明を続ける。ユーザ3は自然人であってもよいし、法人その他の集団組織であってもよい。自然人、又は法人等の集団組織のいずれであるかを問わず、一人のユーザ3は創作物の一つの提供元を意味する。
【0016】
一方、サポータ2は、ユーザ群GUのユーザ3の活動を金銭的価値の出資によって支援する支援者である。サポータ2もユーザ3と同様に自然人であってもよいし、法人その他の集団組織であってもよい。自然人、又は法人等の集団組織のいずれであるかを問わず、一人のサポータ2は一つの出資元を意味する。サポータ2に提供される特典は、ユーザ3から提供されるリターンと関連付けられる。デジタルコンテンツがリターンとして提供される場合、サポータ2に対する特典は、例えばデジタルコンテンツの利用権、閲覧権といった権利として与えられてよい。あるいは、デジタルコンテンツと関連付けられた物理的なグッズ、キャラクタ等の特別な画像等が特典として提供されてもよい。サポータ2に提供される特典はサポータ2の出資額と関連付けて差別化されてもよい。例えば、サポータ2の出資額が大きいほど、リターンとしてのデジタルコンテンツを利用可能な期間や範囲が拡大するように特典が差別化されてもよい。
【0017】
次に、
図2を参照して、ユーザ3に提示するリターンの目安と、ユーザ3への付与ポイント数とを算出する処理の概要を説明する。支援システム1では、ユーザ3が提供するリターンの価値が、リターンウェイトとして定量化される。リターンウェイトは、リターンの価値を定量化した個別評価値の一例である。
図2では、リターンウェイトをRWと表記している。他の図でも同様にRWと表記することがある。
図2では、目安リターンウェイト及び付与ポイント数を一月単位で算出する例を示している。前月のリターン実績として、ユーザaがデジタルコンテンツ(各図ではコンテンツと略記する。)X1、X2を提供し、ユーザbがデジタルコンテンツX3を提供し、ユーザcがデジタルコンテンツX4を提供し、ユーザnがデジタルコンテンツXp、Xqを提供したといったように、n人のユーザが前月内にリターンを提供した例を示している。デジタルコンテンツのリターンウェイトの大小は各デジタルコンテンツの左右方向の長短で例示されている。
【0018】
各デジタルコンテンツのリターンウェイトは、デジタルコンテンツの制作に関与した制作者の属性と、デジタルコンテンツの制作段階とに基づいて算出される。一例として、
図3に示すように、制作者のポジションと、デジタルコンテンツのステータスとによって評価マトリクスが設定される。制作者のポジションは、制作者をその職位又は役職の高低で区分する概念であって、制作者の属性の一例に相当する。
図3の例では、制作者のポジションがP1~P3の3段階に区分されている。例えば、ポジションP1はスタッフ、ポジションP2はキースタッフ、ポジションP3はマネージャといったように、職位又は役職の高低に応じて制作者のポジションが区分される。
【0019】
一方、デジタルコンテンツのステータスは、デジタルコンテンツをその制作段階に応じて区分する概念である。
図3の例では、ステータスがST1~ST3の3段階に区分されている。例えば、スタータスST1はラフ案、あるいは、没又は保留段階のデジタルコンテンツ、スタータスST2は制作途中の段階のデジタルコンテンツ、スタータスST3は完成段階のデジタルコンテンツといったように、デジタルコンテンツがその完成に至るまでのどのような段階にあるかに応じてステータスが区分される。
【0020】
評価マトリクス上の各領域には、リターンウェイトの基礎点が割り振られる。ポジションが高いほど、又はステータスが高いほど高い基礎点が割り振られる。
図3の例では、ポジションP1でかつステータスST1のデジタルコンテンツに対して最も小さい基礎点「1」が割り当てられ、ポジションP3でかつステータスST3のデジタルコンテンツに対して最も大きい基礎点「3」が割り当てられている。他の領域にはポジション及びステータスが高いほど基礎点が大きくなるように「1.2」~「2.5」の間で基礎点が割り振られている。なお、ポジション及びステータスのそれぞれは必ずしも3段階に区分されることを要しない。2段階、あるいは4段階以上の区分が設定されてもよい。
【0021】
デジタルコンテンツのリターンウェイトを算出する場合には、まず
図3の評価マトリクスに従ってデジタルコンテンツの基礎点が判定される。さらに、デジタルコンテンツの分量、画像の解像度といったポジション及びステータス以外の属性情報を利用して基礎点を補正することにより、デジタルコンテンツのリターンウェイトが決定される。以上の算出方法は一例であって、リターンウェイトは、リターンの価値の大小を定量的に表現できる限りにおいて適宜の方法で算出されてよい。サポータの出資を呼び込む誘因効果が高いと見込まれるデジタルコンテンツほどリターンウェイトが高くなるようにして、リターンウェイトが算出されてよい。以上のようにリターンウェイトを算出する場合には、制作者の属性と制作段階に応じてデジタルコンテンツの価値を二元的に評価することができる。そのような評価は、デジタルコンテンツの閲覧等を希望するサポータから見たときのデジタルコンテンツの価値の捉え方と近似する。したがって、個別評価値としてのリターンウェイトが大きければサポータにとっても価値が高いといった相関性を担保し、リターンウェイトの増加を通じて出資規模の増加を図ることが期待できる。
【0022】
図2に戻って説明を続ける。個々のデジタルコンテンツに対して算出されたリターンウェイトは、所定の対象期間を範囲として集計される。一例として、一か月を対象期間として、前月内に提供された全てのデジタルコンテンツのリターンウェイトが前月合計リターンウェイトとして集計される。
図2の例において、デジタルコンテンツX1、X2…XqのそれぞれのリターンウェイトをRW1、RW2…RWqとすれば、それらの総和が前月合計リターンウェイトとして集計される。次に、前月合計リターンウェイトを、リターンを提供したユーザ数で除算することにより、前月の平均リターンウェイトが算出される。さらに、算出された平均リターンウェイトが当月(つまり次の対象期間)における目安リターンウェイトとしてユーザに提示される。目安リターンウェイトの提示は
図1のリターン提供依頼C1と同時に行われてもよいし、他の時期に行われてもよい。
【0023】
上述した平均リターンウェイトは、対象期間にリターンを提供した一ユーザ当たりのリターンウェイトの平均値であって、対象期間に提供されたリターンの個別評価値を代表する値の一例である。平均リターンウェイトに代えて対象期間に提供されたリターンについてのリターンウェイトの中央値、最頻値といったように、リターンウェイトを統計的に代表することが可能な各種の値が代表評価値として求められてもよい。
【0024】
前月分の合計リターンウェイトは、付与ポイントの算出にも利用される。付与ポイントの算出では、所定の集計期間に計上された出資金の合計額が売上総額として取得される。集計期間も、一例として一か月に設定される。また、集計期間は、合計リターンウェイトを算出するための対象期間と対応付けられる。
図2の例では、前月分の売上総額と、前月分の合計リターンウェイトとが付与ポイントの算出に用いられる。したがって、集計期間と対象期間は一致する。ただし、対象期間と集計期間とは対応関係が生じるように設定されていればよく、両期間が同一期間に設定されることは必ずしも必要ではない。例えば、リターンが出資額の増加に貢献するまでのタイムラグを考慮し、合計リターンウェイト等を算出する対象期間に対して、売上総額の集計期間を幾らか遅く設定するといったように両期間に時間差を生じさせてもよい。
【0025】
付与ポイント数の算出では、前月分の売上総額の少なくとも一部を支援原資として、その支援原資を前月分の合計リターンウェイトで除算することにより、リターンウェイトレートが算出される。支援原資は、前月分の売上総額と同値であってもよいし、売上総額から支援システム1の運営に必要な諸経費、例えば決済システム30に対する手数料やECシステム10及びコンテンツ管理システム20の運営に要する経費等を控除した額であってもよい。
【0026】
さらに、前月分の平均リターンウェイトとリターンウェイトレートとが乗算されることにより付与ポイント数が算出される。平均リターンウェイトは合計リターンウェイトを、リターンを提供したユーザ数で除算した値であり、リターンウェイトレートは支援原資を合計リターンウェイトで除算した値である。したがって、付与ポイントは、要するに、前月分の支援原資を、リターンを提供したユーザ数で除算した値と同値である。つまり、ポイントは、前月分の支援原資を、前月にリターンを提供したユーザ数で割った額に相当する。算出された付与ポイント数は、各ユーザに分配すべき交換価値の価値量の標準的な値である標準分配量の一例に相当する。算出された付与ポイント数を、前月にリターンを提供したユーザに限って分配することにより、前月にサポータが出資した出資金の少なくとも一部である支援原資を1対1の比率でポイントに換算した交換価値を、リターンを提供したユーザに対して均等に分配することができる。
【0027】
以上の仕組みによれば、サポータが支援する対象は、個々のユーザ3でも個々のリターンでもなく、複数のユーザ3を含んだユーザ群GUである。したがって、特定のユーザ3やそのコンテンツに出資が偏るおそれがない。一方、ユーザ3に付与されるポイントは、ユーザ群GUの全体を対象として出資された出資金の少なくとも一部を原資として各ユーザに分配される。したがって、売上総額や支援原資を増加させることができれば、各ユーザがより多くのポイントを獲得することができる。売上総額等を増加させるためには、サポータ2に対して出資の動機付けを与えられるように、リターンとしてのデジタルコンテンツの量を増加させ、あるいはデジタルコンテンツの質を高めることが有効である。言い換えれば、より大きいリターンウェイトが得られるようにデジタルコンテンツの魅力を高めることが有効である。そのようなデジタルコンテンツの制作を促す指針として、前月分の平均リターンウェイトが目安リターンウェイトとして各ユーザに提示される。そのため、目安リターンウェイトを指針としてより価値の高いデジタルコンテンツをリターンとして提供するように各ユーザを動機付けることができる。これらの作用が相まって、サポータ2からの出資を原資とした支援の実効性を高めることが可能である。さらに、各ユーザ3に対して等しくポイントを付与するようにしたため、ユーザ3間におけるポイント付与の偏りも発生しない。そのため、各ユーザに対してリターンの価値を高めてポイントの分配量を増加させることを働きかけて、ユーザ群GUの全体に共助の意識を生じさせることができる。
【0028】
上記の例では、標準分配量として算出された付与ポイント数を、リターンを提供したユーザに対して等しく分配したが、標準分配量に対して所定の補正を適用してユーザ間でポイントの分配量が差別化されてもよい。例えば、ユーザごとのリターンウェイトの平均値を算出し、平均値が高いユーザには、低いユーザよりも多くのポイントが分配されるといった差別化が適用されてもよい。あるいは、ユーザごとのリターンの提供数に応じてポイントが差別化されてもよい。そのような差別化を適用した場合でも、リターンウェイトが相対的に高いデジタルコンテンツの提供によってユーザ群GUの全体に対するサポータ2の出資を促すことができる。また、リターンの価値を高めて付与ポイントを増加させる動機付けをユーザ群GUの全体に与えて共助の意識を生じさせ得る。そのため、ユーザ単位又はコンテンツ単位で出資を募る場合と比較して、より多くのユーザ3を支援し、支援の実効性を高めることが可能である。ポイント数の差別化の範囲を適度に制限すれば、リターンの提供実績に応じて付与ポイント数に顕著な偏りが生じることを防止することもできる。
【0029】
上記の例では、交換価値の一例としてのポイントをユーザに付与し、そのポイントの消費と引き換えにユーザが活動の支援に資する商品又はサービスを取得可能なものとしたが、交換価値はポイント等の無体物としてユーザに付与されることを必ずしも要しない。例えば、ユーザが活動の支援のために使用可能な商品又はサービスそれ自体が交換価値としてユーザに付与されてもよい。その場合でも、商品又はサービスの価格等を指標として交換価値の価値量を特定することが可能である。あるいは、現金通貨のような金銭的価値それ自体が、上記のポイントの算出手順に従ってユーザに分配すべき交換価値として算出されてもよい。
【0030】
上記の例では、前月におけるリターンの提供の実績を示す指標値として、前月分の合計リターンウェイトを利用したが、これに代えて、又は加えて、リターンの総数等がリターンの提供の実績を示す指標値として利用されてもよい。また、リターンの提供の実績は全ユーザ又はリターンを提供した全てのユーザに対して一義的に判別されることを必ずしも要しない。例えば、ユーザごとに区別してリターンの実績が評価され、ユーザごとの評価結果に基づいて、各ユーザへの付与ポイント数がユーザごとに独立して算出されてもよい。
【0031】
さらに、ポイントと商品又はサービスとの交換は適宜のレート及び手順で実現されてよい。予めユーザが商品又はサービスの希望を登録し、ポイントの付与に代えて、登録された商品又はサービスが自動的に発注されてユーザに提供されてもよい。
【0032】
次に、上述した支援システム1の仕組みを実現するためのシステム構成の一例を説明する。
図4は支援システム1の全体構成の一例を示す。上述したように、支援システム1は、ECシステム10及びコンテンツ管理システム20を基幹的なシステムとして含み、決済システム30及び物流システム40を外部連携用のシステムとして利用するように構成される。ECシステム10及びコンテンツ管理システム20のそれぞれはサーバ11、21を含む。各システム10、20にはサーバ11、21に対するクライアントとしての端末装置がさらに含まれてよい。各サーバ11、21は単一の物理的なサーバ装置によって構成されてもよいし、複数のコンピュータ装置を組み合わせたクラウドサーバとして構成されてもよい。
【0033】
ECシステム10及びコンテンツ管理システム20のそれぞれは、ネットワークNTを介して相互に通信可能に接続される。ECシステム10及びコンテンツ管理システム20は、ネットワークNTを介して決済システム30及び物流システム40とも接続される。決済システム30、及び物流システム40もサーバ31、41を含み、さらにはサーバ31、41に対するクライアントとしての端末装置を含んでもよい。各サーバ31、41は単一の物理的なサーバ装置によって構成されてもよいし、複数のコンピュータ装置を組み合わせたクラウドサーバとして構成されてもよい。なお、システム10~40間の接続は、それらのサーバ同士がネットワークNTを介して通信可能に接続される形態であることを必ずしも要しない。システム10~40に含まれる端末装置が他のシステムのサーバとネットワークNTを介して接続される形態であってもよい。
【0034】
ECシステム10のサーバ11は、ネットワークNTを介してサポータの端末装置50及びユーザの端末装置60と接続可能である。また、コンテンツ管理システム20のサーバ21は、ネットワークNTを介してユーザの端末装置60と接続可能である。端末装置50、60のそれぞれは、一例として、PC(パーソナルコンピュータの略、以下同様。)51、61、スマートフォン52、62、タブレット端末53、63等の各種の情報通信端末装置であってよい。
【0035】
図5は、ECシステム10及びコンテンツ管理システム20のそれぞれのサーバ11、21の論理的構成の一例を示している。ECシステム10のサーバ11には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとしてのコンピュータプログラムPG1とが協働して実現される論理的装置として、売上管理部12、サポータ管理部13、ユーザ管理部14、及び発注処理部15が設けられる。さらに、サーバ11は、売上関連データベースDB11、サポータ関連データベースDB12、及びユーザ関連データベースDB13にアクセス可能である。各データベースDB11~DB13へのアクセスは、サーバ11と通信可能に接続されたデータベースサーバを介して行われてもよい。
【0036】
売上管理部12は、サポータが出資した出資金を支援システム1の売上として売上関連データベースDB11に記録するといった処理を実行することにより、決済システム30と連携して支援システム1における売上を管理する。サポータ管理部13は、サポータの管理に必要な各種の処理を実行する。例えば、サポータ管理部13は、サポータの会員情報、出資の履歴、リターンに関する閲覧権限等をサポータ関連データベースDB12にサポータの識別情報と対応付けて記録することによりサポータを管理する。ユーザ管理部14は、ユーザの管理に必要な各種の処理を実行する。例えば、ユーザ管理部14は、ユーザの会員情報、ユーザに対するポイント付与の履歴、ユーザが保持するポイント数、ユーザからの商品等の発注の履歴等をユーザ関連データベースDB13にユーザの識別情報と対応付けて記録し、ポイントの付与に応じてユーザのポイント数を加算し、又は商品等の発注に応じてユーザのポイント数を減算(消費)する、といった処理を実行することによりユーザを管理する。発注処理部15は、ユーザからの商品等の発注に対応して物流システム40に対する商品等の発注、支払といった商品等の手配に必要な各種の処理を発注処理として実行する。
【0037】
コンテンツ管理システム20のサーバ21には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとしてのコンピュータプログラムPG2とが協働して実現される論理的装置として、リターンウェイト管理部22及びコンテンツ管理部23が設けられる。さらに、サーバ21は、リターンウェイト関連データベースDB21、及びコンテンツデータベースDB22にアクセス可能である。各データベースDB21、DB22へのアクセスは、サーバ21と通信可能に接続されたデータベースサーバを介して行われてもよい。
【0038】
リターンウェイト管理部22は、
図2に示したリターンウェイトに関連する各種の値、すなわちリターンごとのリターンウェイト、合計リターンウェイト、平均リターンウェイト、リターンウェイトレート、及びユーザに付与すべきポイント数を算出し、算出結果をリターンウェイト関連データベースDB21に記録する処理を担当する。また、リターンウェイト管理部22は、ユーザに対して目安リターンウェイトを提示する処理も担当する。コンテンツ管理部23は、ユーザに対するリターンの提供を依頼し、提供されたリターンをコンテンツデータベースDB22に記録し、ECシステム10からの要求に応じてリターンとしてのデジタルコンテンツをコンテンツデータベースDB22から読み出して提供する処理を担当する。
【0039】
次に、
図6~
図12を参照して、支援システム1がユーザの支援を実現するために実行する各種の処理手順の一例を説明する。
図6は、サポータからの出資を支援システム1の売上として計上するためにECシステム10のサーバ11が実行する売上記録処理の手順の一例を示す。サポータが決済システム30を通じて出資金を支払うと、その支払いが決済システム30からECシステム10に通知され、その通知をトリガとしてサーバ11は
図6の処理を実行する。売上記録処理が開始されると、まずサーバ11の売上管理部12は決済システム30からサポータの出資内容を記述した出資情報を取得し(ステップS101)、得られた出資情報に対応した出資額を支援システム1の売上額として計上して売上関連データベースDB11に記録する(ステップS102)。この場合、売上総額を判別するために必要な情報として、支払の日時等が売上関連データベースDB11に記録されてよい。売上が計上されると、サポータ管理部13に処理が引き継がれる。サポータ管理部13は、サポータ関連データベースDB12に記録されているサポータの情報を今回の出資内容に応じて適宜に更新する(ステップS103)。例えば、サポータ管理部13は、サポータ関連データベースDB12に記録されているサポータの出資の履歴を更新し、あるいは、リターンとしてのデジタルコンテンツの利用に関する権限を今回の支払に応じて更新することにより、出資情報に対応してサポータ情報を更新する。ステップS103の処理が完了すると
図6の処理は終了する。
【0040】
図7は、ユーザが提供したリターンの閲覧等の特典をサポータに提供するためにECシステム10のサーバ11が実行する特典処理の手順の一例を示す。サポータが、サポータ端末装置50を介してデジタルコンテンツの閲覧を要求すると、その要求をトリガとしてサーバ11は
図7の処理を実行する。特典処理が開始されると、まずサーバ11のサポータ管理部13はサポータからの要求内容を判別し(ステップS111)、その要求に対応した権限をサポータが有していることをサポータ関連データベースDB12の情報から確認する(ステップS112)。権限を有していない場合はサポータの要求がキャンセルされてよい。権限を有している場合、サポータ管理部13はサポータが要求したデジタルコンテンツをコンテンツ管理システム20から取得して、サポータの閲覧用のデジタルコンテンツとして提供することにより、サポータに特典を提供する(ステップS113)。その提供はいわゆるストリーミング方式であってもよいし、ダウンロード方式であってもよい。ステップS113の処理が完了すると
図7の処理は終了する。
【0041】
図8は、ユーザが提供したデジタルコンテンツのリターンウェイトを算出するためにコンテンツ管理システム20のサーバ21が実行するリターンウェイト算出処理の手順の一例を示す。ユーザからデジタルコンテンツがリターンとして提供されると、その提供に対応してサーバ21は
図8の処理を開始する。なお、デジタルコンテンツの提供は、例えばユーザ端末装置60からサーバ21にアクセスしてオンラインで提供されてもよいし、記憶媒体に格納してオフラインで提供されてもよい。デジタルコンテンツがオンラインで提供される場合、
図8の処理はユーザ端末装置60からのデジタルコンテンツの送信をトリガとして開始されてよい。一方、デジタルコンテンツがオフラインで提供される場合、
図8の処理は、コンテンツ管理システム20の端末装置のオペレータがその端末装置を介してサーバ21にデジタルコンテンツを送信することをトリガとして開始されてよい。なお、
図8の処理は個々のコンテンツごとに行われる処理である。
【0042】
図8のリターンウェイト算出処理が開始されると、まずサーバ21のコンテンツ管理部23は、提供されたデジタルコンテンツを取得し、コンテンツデータベースDB22に保存する(ステップS121)。この場合、デジタルコンテンツを識別するためのコンテンツ識別情報、デジタルコンテンツを提供したユーザの識別情報、デジタルコンテンツの制作者、制作日時、提供日時、ジャンル、概要等を記述した付帯情報がデジタルコンテンツと対応付けてコンテンツデータベースDB22に記録されてよい。リターンとしてのデジタルコンテンツが取得されると、リターンウェイト管理部22へと処理が引き継がれる。リターンウェイト管理部22は、提供されたデジタルコンテンツの制作者のポジション、及びステータスを順次判別し(ステップS122、S123)、判別結果に基づいてリターンウェイトを決定する(ステップS124)。リターンウェイトの決定は、
図2及び
図3にて説明したように、評価マトリクスに従って基礎点を決定し、得られた基礎点を分量等の補正情報に基づいて補正する手順で行われる。リターンウェイトが決定されると、リターンウェイト管理部22はステップS124の処理結果をリターンウェイト関連データベースDB21に保存する(ステップS125)。この場合、いずれのデジタルコンテンツに対して算出されたリターンウェイトであるかを判別できるよう、コンテンツ識別情報とリターンウェイトとが対応付けて記録されてよい。ステップS125の処理が完了すると
図8の処理は終了する。なお、ステップS122~S124の処理において、コンテンツ管理システム20の端末装置のオペレータの指示が適宜に参照されてもよい。例えば、ポジション及びステータスを判別するために必要な情報の少なくとも一部がオペレータからサーバ21に提供されてもよい。
【0043】
図9は、目安リターンウェイトをユーザに提示するためにコンテンツ管理システム20のサーバ21が実行する目安リターンウェイト設定処理の手順の一例を示す。
図9の処理は、平均リターンウェイト等を算出するための対象期間が経過した後の適宜のタイミングで実行される。対象期間が1カ月で設定されていれば
図9の処理は月次処理として、対象期間の経過後のタイミングで定期的に実行される。
図9の目安リターンウェイト設定処理が開始されると、まずサーバ21のリターンウェイト管理部22は、前回の対象期間、つまり
図9の処理を実行する直前の対象期間内に提供された全てのデジタルコンテンツに関して算出されたリターンウェイトをリターンウェイト関連データベースDB21から取得し、それらのリターンウェイトを合計した合計リターンウェイトを算出する(ステップS131)。次いで、リターンウェイト管理部22は、ステップS131で算出した合計リターンウェイトを、対象期間内にリターンを提供したユーザ数で除算することにより、平均リターンウェイトを算出する(ステップS132)。ユーザ数は、コンテンツデータベースDB22に記録されたデジタルコンテンツの付帯情報から、対象期間内に提供されたデジタルコンテンツ及びその提供者としてのユーザを判別することにより特定されてよい。
【0044】
次いで、リターンウェイト管理部22は、ステップS131及びS132の算出結果をリターンウェイト関連データベースDB21に保存する(ステップS123)。この場合、いずれの対象期間に関する算出結果であるかを特定できるように、対象期間を識別する情報と対応付けて算出結果が保存される。続いて、リターンウェイト管理部22は、ステップS132で算出した平均リターンウェイトを、次の対象期間における目安リターンウェイトとしてユーザに提示する(ステップS134)。その提示は、電子メール等を用いたいわゆるプッシュ型の情報伝達手段によって実現されてもよい。あるいは、ユーザ端末装置60からアクセス可能なウェブページ等に目安リターンウェイトを開示することにより、いわゆるプル型の情報伝達手段によって実現されてもよい。ステップS134の提示に併せて、各ユーザに対してリターンの提供依頼(
図1のC1)がなされてもよい。ただし、リターンの提供依頼と、目安リターンウェイトの提示とは同時に実行されることを必ずしも要しない。目安リターンウェイトの提示を対象期間ごとに定期的に実行する一方、リターンの提供依頼は対象期間ごとであることを必要とせず、適宜のタイミングで行われてよい。ステップS134の処理が完了すると
図9の処理は終了する。
【0045】
図10は、売上総額とリターンの提供実績とに基づいてユーザにポイントを付与するためにコンテンツ管理システム20のサーバ21が実行するリターンウェイト設定処理、及びECシステム10のサーバ11が実行する売上集計処理及びポイント付与処理のそれぞれの手順の一例を示す。
図10の各処理は、
図9の対象期間が経過し、かつその対象期間に対応する売上総額の集計期間が経過した後の適宜のタイミングで実行される。対象期間及び集計期間が1カ月で設定されていれば、
図10の処理は月次処理として、対象期間及び対応する集計期間の経過後のタイミングで定期的に実行される。
【0046】
まず、集計期間が経過すると、ECシステム10のサーバ11の売上管理部12は、集計期間に計上された売上の記録を売上関連データベースDB11から取得し、それらの売上を集計して集計期間の売上総額を算出する(ステップS141)。次いで、売上管理部12は、算出された売上総額から支援原資を算出する(ステップS142)。売上総額が支援原資としてそのまま算出されてもよいし、売上総額に対して諸経費を控除した額が支援原資として算出されてもよい。ステップS142の処理が完了すると、
図10の売上集計処理は終了する。算出された支援原資の額は、所定の手法でコンテンツ管理システム20のサーバ21に提供される。サーバ11からサーバ21にオンラインで支援原資の額が送信されてもよいし、ECシステム10の端末装置からサーバ21に支援原資の額が送信されてもよい。あるいは、オフラインで支援原資の額がコンテンツ管理システム20に提供され、コンテンツ管理システム20の端末装置からサーバ21に支援原資の額が送信されてもよい。
【0047】
コンテンツ管理システム20のサーバ21は、支援原資の額が提供されると
図10のリターンウェイトレート設定処理を開始する。この処理では、まず、リターンウェイト管理部22が支援原資の額を取得する(ステップS151)。次いで、リターンウェイト管理部22は、ステップS151で取得した支援原資の額を
図9のステップS131で算出した合計リターンウェイトで除算することにより、前回の対象期間におけるリターンウェイトレートを算出する(ステップS152)。その後、リターンウェイト管理部22は、
図9のステップS132で算出した平均リターンウェイトと、
図10のステップS152で算出したリターンウェイトレートとを乗算して、一ユーザ当たりの付与ポイント数を標準分配量として算出する(ステップS153)。次いで、リターンウェイト管理部22は、今回のステップS152及びS153の算出結果をリターンウェイト関連データベースDB21に保存する(ステップS154)。さらに、リターンウェイト管理部22は、ステップS153で算出した付与ポイント数と、今回の対象期間にデジタルコンテンツを提供した付与対象のユーザの識別情報とを含むようにしてポイント付与情報を生成し、これを所定の出力先に出力する(ステップS155)。ステップS155の処理が完了すると、リターンウェイト管理部22は今回のリターンウェイトレート算出処理を終える。
【0048】
付与ポイント数の出力先は、ポイント付与情報をECシステム10のサーバ11に提供できる限りにおいて適宜に設定することができる。例えば、サーバ11、21が接続されている場合にはサーバ11を出力先として設定することができる。サーバ11、21が接続されていない場合には、例えばコンテンツ管理システム20の端末装置が出力先として設定されてもよい。その場合、コンテンツ管理システム20の端末装置からサーバ11にアクセスしてポイント付与情報をECシステム10に提供してもよい。あるいは、コンテンツ管理システム20の端末装置からECシステム10の端末装置に電子メールでポイント付与情報が送信されてもよい。コンテンツ管理システム20の端末装置から記録媒体にポイント付与情報を出力し、その記録媒体をECシステム10のオペレータに提供し、そのECシステム10の端末装置からサーバ11にポイント付与情報が送信されてもよい。
【0049】
ECシステム10のサーバ11は、ポイント付与情報を取得すると
図10のポイント付与処理を開始し、取得されたポイント付与情報に付与対象として特定されているユーザのポイント数がポイント付与情報で特定されているポイント数だけ増加するようにユーザ関連データベースDB13のユーザごとのポイント数を更新する(ステップS161)。それにより、付与対象のユーザに、前回の集計期間の売上実績と、前回の対象期間のリターンの提供実績とに応じたポイントが付与される。
【0050】
図11は、ポイントの消費と引き換えに商品等をユーザに提供するためにECシステム10のサーバ11が実行する発注処理の手順の一例を示す。ユーザが端末装置50を利用してサーバ11に商品等の提供を要求すると、サーバ11の発注処理部15は
図11の発注処理を開始する。その処理において、発注処理部15は、まずユーザからの発注を受注してその内容を判別する(ステップS171)。この処理では、例えばユーザが要求する商品等の種類、数量等が判別され、さらには商品等と引き換えに消費されるべきポイント数も判別される。消費すべきポイント数は、商品等を購入する場合に必要な料金と同数とされてもよいし、商品等の料金に対して一定の交換比率を乗じた値とされてもよい。
【0051】
次に、発注処理部15は、ユーザ関連データベースDB13にアクセスし、商品等を要求したユーザのポイント数をステップS171で判別したポイント数だけ減少させることによりポイントを消費する(ステップS172)。なお、ポイントが不足する場合には、商品等の種類、数量等をユーザに求めてもよいし、エラーとして処理を一旦終了させてもよい。ポイントの消費後、発注処理部15は、ユーザからの受注内容に従って物流システム40に商品等を手配する(ステップS173)。併せて、商品等の代金を物流システム40に対して支払う決済処理が実行されてよい。ステップS163の手配が完了すると、発注処理部15は
図11の発注処理を終える。
【0052】
以上の形態において、ECシステム10におけるサーバ11の売上管理部12は、
図6のステップS102の処理を実行することにより出資制御手段の一例として機能し、コンテンツ管理システム20におけるサーバ21のリターンウェイト管理部22及びコンテンツ管理部23は、
図8のステップS121~S125の処理、及び
図9のステップS131~S134の処理を実行することにより対価制御手段の一例として機能し、サーバ11のサポータ管理部13は、
図7のステップS111~S113の処理を実行することにより特典制御手段の一例として機能し、サーバ11のユーザ管理部14及びサーバ21のリターンウェイト管理部22は、
図10のステップS141、S142、S151~S155及びS161の処理を連携して実行することにより分配制御手段の一例として機能する。また、サーバ21のリターンウェイト管理部22は、
図8のステップS122~S125の処理を実行することにより個別評価手段の一例として機能し、
図9のステップS131~S133の処理を実行することにより代表評価手段の一例として機能し、
図9のステップS134の処理を実行することにより目安提示手段の一例として機能する。さらに、サーバ21のリターンウェイト管理部22は、
図10のステップS151~S153の処理を実行することにより、標準分配量算出手段の一例として機能し、サーバ11のサポータ管理部13は、
図10のステップS161の処理を実行することにより分配実行手段の一例として機能する。また、コンテンツ管理システム20におけるサーバ21は、
図8のステップS121~S125の処理、及び
図9のステップS131~S134の処理を実行することにより、本発明に係る情報処理装置の一例として機能し、サーバ21に実装されるコンピュータプログラムPG2は本発明に係るコンピュータプログラムの一例に相当する。
【0053】
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、付与ポイント数を算出するために
図9のステップS132で平均リターンウェイトを、
図10のステップS152でリターンウェイトレートをそれぞれ算出し、同図のステップS153で平均リターンウェイトとリターンウェイトレートを乗算している。しかしながら、
図2で例示したように、付与ポイント数は支援原資を、リターンを提供したユーザ数で除算した値と同値となる。したがって、
図10のステップS152、S153の処理に代えて、ステップS151で取得した支援原資を、
図9のステップS132の処理で判別したユーザ数で除算して付与ポイント数を算出してもよい。あるいは、
図9のステップS132で算出した平均リターンウェイト及びステップS152で算出したリターンウェイトレートをポイント付与情報としてECシステム10のサーバ11に提供し、サーバ11の例えばサポータ管理部13により付与ポイント数を算出してもよい。あるいは、リターンを提供したユーザ数をポイント付与情報としてコンテンツ管理システム20からECシステム10のサーバ11に提供し、サーバ11の例えばサポータ管理部13により、支援原資をユーザ数で除算して付与ポイント数を算出してもよい。その場合、コンテンツ管理システム20では支援原資の額を知る必要がなく、
図10のステップS151は省略されてよい。
【0054】
上記の形態では、対象期間内にリターンを提供したユーザを対象として、交換価値の一例のポイントを付与したが、対象期間内にリターンを提供しなかったユーザに対してもポイントその他の交換価値が付与されてもよい。例えば、リターンの提供の有無に関わりなく一定の基礎量を各ユーザに付与し、その基礎量の分配に必要な金銭的価値の価値量を売上総額から控除した額を支援原資として、リターンを提供したユーザに上記の手順で算出されたポイントが加算されてもよい。
【0055】
上記の形態では、サポータが出資した金銭的価値を、ユーザ群の全体を支援の単位として出資された金銭的価値として処理したが、その出資とは区別して、ユーザ群の一部の特定ユーザを追加支援の対象として指定した出資を受け付けるようにしてもよい。その場合、出資制御手段は、ユーザ群を支援の単位として出資された金銭的価値とは区別して、特定ユーザを対象としてサポータが出資した追加的金銭的価値の価値量を追加支援の価値量として計上し、分配制御手段は、その特定ユーザに対応する追加支援の価値量に基づいて、ポイント等の追加支援の交換価値を特定ユーザにさらに分配するようにしてもよい。そのような追加支援の機能を付加する場合の処理の一例を
図12に示す。
【0056】
図12の例において、ECシステム10のサーバ11の売上管理部12は、サポータからのユーザを指定した追加支援の申し出に対応して追加支援計上処理を実行し、サポータが指定したユーザを対象ユーザとして判別する(ステップS201)。対象ユーザは追加支援の対象となる特定ユーザに相当する。続いて、売上管理部12は、サポータが出資した追加支援の出資額をステップS201で判別した対象ユーザに対する追加支援の出資額として、ユーザの識別情報と対応付けて売上管理データベースDB11に記録する(ステップS202)。次いで、サーバ11のユーザ管理部14は、所定の集計期間における追加支援の出資額を集計し(ステップS203)、集計された出資額に基づいて対象ユーザに追加支援として付与すべき追加ポイント数を算出する(ステップS204)。この場合、出資額の全体を追加支援の原資としてもよいし、一定の経費等を控除した額を追加支援の原資としてもよい。集計期間は、
図10の処理に適用された集計期間と一致させてもよいし、異なってもよい。追加ポイント数が算出されると、ユーザ管理部14は、ステップS201で判別した対象ユーザに対応付けてユーザ管理データベースDB13に記録されているポイント数に、ステップS204で算出したポイント数を加算する(ステップS205)。ポイント数の加算が完了するとサーバ11は
図12の追加支援処理を終える。
【0057】
図12の追加支援処理においては、対象ユーザの処理期間におけるリターンの実績が追加ポイント数の算出において考慮されてもよい。例えば、リターンの実績を評価し、その評価が高いほど追加ポイント数が増加するように追加ポイント数が算出されてもよい。その場合、サーバ21のリターンウェイト管理部22が対象ユーザに関して算出する個別リターンウェイトの処理期間における合計値、その個別リターンウェイトを代表する平均値等の代表値、処理期間に対象ユーザが提供したリターンの個数等に基づいて対象ユーザのリターンの実績が評価されてもよい。なお、追加支援が行われた場合、サポータにはその追加支援の出資額に対応したさらなる特典が付与されてよい。例えば、追加支援の対象とした特定ユーザが提供したリターン、あるいは全ユーザが提供したリターンに関する閲覧期間を追加し、特別のアイテムを提供するといった追加的な特典がサポータに付与されてもよい。
【0058】
上記のように追加支援を可能とした場合には、追加支援を呼び込むべく、より価値の高いリターンを提供する動機付けを各ユーザに与えることができる。したがって、ユーザ群の全体を支援の対象とした支援機能の作用効果に加えて、リターンの価値をさらに向上させてサポータからの出資を原資とした支援の実効性を一層高めることが可能である。
【0059】
上記の形態では、コンテンツ管理システム20のサーバ21を本発明に係る支援システムの対価制御手段、及び情報処理装置の一例として機能させたが、それらの手段及び装置として機能するコンピュータは、サーバであることを必ずしも要しない。単独のPC又は複数のPCを組み合わせて対価制御手段、及び情報処理装置を実現することも可能である。
【0060】
上記の形態では、ポイントと交換可能な商品又はサービスを健康支援に関連するものに設定して、ユーザの活動を健康の側面から支援するように支援システムを構成したが、本発明に係る支援システムは、健康支援を目的とする例に限定されない。ユーザ群の活動を種々の観点から支援する場合に本発明の支援システムが適用されてよい。ユーザ群は一つに限らず、複数設定されてよい。その場合、支援対象とするユーザ群をサポータが選択できるようにしてもよい。ユーザ群間で交換価値の内容が差別化されてもよい。
【0061】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0062】
本発明の一形態に係る支援システム(1)は、サポータ(2)が出資した金銭的価値の価値量を、複数のユーザ(3)を含むユーザ群(GU)を支援の単位として出資された金銭的価値の価値量として計上する出資制御手段(12、S102)と、前記金銭的価値の出資への対価としてのリターンを、前記ユーザ群の各ユーザから取得する対価制御手段(12、13、S121~125、S131~S134)と、取得された前記リターンに関する特典を各サポータに提供する特典制御手段(13、S111~S113)と、計上された前記金銭的価値の価値量の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する分配制御手段(14、22、S141、S142、S151~S156、S161)と、を備え、前記対価制御手段は、各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段(22、S122~S125)と、所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段(22、S131~S133)と、算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段(22、S134)と、を含んでいるものである。
【0063】
上記態様によれば、サポータが支援する対象が、個々のユーザでも個々のリターンでもなく、複数のユーザを含んだユーザ群に設定されるため、特定のユーザやそのコンテンツに出資が偏るおそれがない。一方、ユーザに付与される交換価値は、ユーザ群の全体を対象として出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として各ユーザに分配される。したがって、出資される金銭的価値の価値量を増加させることができれば、各ユーザがより多くの交換価値を獲得することが可能であって、その価値量を増加させるためには、サポータに対して出資の動機付けを与えられるように、リターンの価値を高め、リターンと関連付けてサポータに与えられる特典の魅力を高めることが有効である。言い換えれば、より大きい個別評価値が得られるようにリターンの魅力を高めることが有効である。そのようなリターンの提供を促す指針として、対象期間に提供されたリターンの個別評価値を代表する代表評価値が目安として各ユーザに提示される。そのため、代表評価値を指針としてより価値の高いリターンを提供する動機付けを各ユーザに与えることができる。これらの作用の相乗効果により、サポータからの出資を原資とした支援の実効性を高めることが可能である。
【0064】
本発明の一態様に係る情報処理装置(21)は、複数のユーザ(3)を含むユーザ群(GU)を支援の単位としてサポータから出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する一方で、前記金銭的価値の出資への対価として前記ユーザ群の各ユーザから提供されたリターンに関する特典を各サポータに提供する支援システム(1)に適用される情報処理装置であって、各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段(22、S122~S125)と、所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段(22、S131~S133)と、算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段(22、S134)と、を含んでいるものである。
【0065】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラム(PG2)は、複数のユーザ(3)を含むユーザ群(GU)を支援の単位としてサポータから出資された金銭的価値の少なくとも一部を原資として、前記ユーザ群の各ユーザの活動を支援するための交換価値を前記ユーザに分配する一方で、前記金銭的価値の出資への対価として前記ユーザ群の各ユーザから提供されたリターンに関する特典を各サポータに提供する支援システム(1)に適用されるコンピュータプログラムであって、前記支援システムに含まれるコンピュータ(21)を、各ユーザが提供した前記リターンの価値を定量化した個別評価値を算出する個別評価手段(22、S122~S125)、所定の対象期間に提供された前記リターンに関して算出された前記個別評価値に基づいて、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値を代表する値を代表評価値として算出する代表評価手段(22、S131~S133)、及び、算出された前記代表評価値を前記ユーザ群の各ユーザに前記リターンの目安として提示する目安提示手段(22、S134)、として機能させるように構成されたものである。
【0066】
上記態様に係る情報処理装置及びコンピュータプログラムによれば、上記態様に係る支援システムの対価制御手段を実現することができる。
【0067】
なお、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0068】
上記態様においては、以下の事項をさらに付加することが可能である。なお、以下の各種の事項は、相互に矛盾が生じない限りにおいて適宜に組み合わせて適用されてよい。
【0069】
前記分配制御手段は、前記対象期間に対応する集計期間に計上された前記金銭的価値の価値量のうち前記支援の原資となる前記金銭的価値の価値量と、前記対象期間における前記リターンの提供の実績とに基づいて、各ユーザに分配すべき前記交換価値の価値量の標準的な値を標準分配量として算出する標準分配量算出手段(22、S151~S154)と、算出された前記標準分配量に基づいて、前記ユーザに前記交換価値を分配する分配実行手段(13、S161)と、を含んでもよい。これによれば、各ユーザに分配すべき交換価値の価値量の標準的な値として標準分配量を算出し、それに基づいて交換価値を分配することにより、リターンの価値を高めて標準分配量を増加させるように各ユーザに働きかけて、ユーザ群GUの全体に共助の意識を生じさせることができる。
【0070】
前記標準分配量算出手段は、前記支援の原資となる前記金銭的価値の価値量を、前記対象期間に前記リターンを提供したユーザの数で除した値を前記標準分配量として算出してもよい。これによれば、支援の原資となる金銭的価値の価値量と、リターンを提供したユーザの数とに応じて標準分配量を増減させることができる。原資が増加すれば標準分配量も増加する関係が生じ、リターンの価値を高めてより多くの出資を呼び込む動機付けを各ユーザに与えることができる。
【0071】
前記分配実行手段は、前記対象期間に前記リターンを提供したユーザに対して前記標準分配量を分配してもよい。これによれば、リターンを提供すれば、標準分配量に基づく価値量の交換価値をユーザが獲得できるので、リターンを提供する動機付けを確実に与えることができる。
【0072】
前記リターンは、デジタルコンテンツとして流通可能な制作物を含み、前記特典は前記リターンの利用に関連付けて設定されてもよい。これによれば、デジタルコンテンツを制作するユーザの活動を、サポータからの出資を原資として支援することができる。
【0073】
前記個別評価手段は、前記リターンの制作に関与した制作者の属性と、前記リターンの制作段階とに基づいて前記個別評価値を算出してもよい。これによれば、リターンの価値を制作者の属性と制作段階とに応じて二元的に評価できるので、個別評価値の評価を、サポータにおけるリターンの価値の捉え方に近付けて支援の実効性のさらなる向上を図り得る。
【0074】
前記代表評価手段は、前記対象期間に提供された前記リターンの前記個別評価値に関する平均値を前記代表評価値として算出してもよい。これによれば、所定期間におけるリターンの個別評価値を代表評価値によって適切に代表することが可能である。
【0075】
前記分配制御手段は、前記対象期間に前記リターンを提供したユーザ間で均等になるように前記交換価値を分配してもよい。これによれば、ユーザ群の全体に共助の意識をより確実に生じさせることが可能である。
【0076】
前記出資制御手段は、前記ユーザ群を支援の単位として出資された前記金銭的価値とは区別して、前記ユーザ群の一部の特定ユーザを追加支援の対象に指定して前記サポータが出資した追加的金銭的価値の価値量を前記追加支援の価値量として計上し、前記分配制御手段は、前記特定ユーザに対応する前記追加支援の価値量に基づいて、前記追加支援としての前記交換価値を前記特定ユーザに分配してもよい。これによれば、追加支援を呼び込むべく、より価値の高いリターンを提供する動機付けを各ユーザに与えることができる。
【0077】
前記ユーザに分配される前記交換価値は、前記ユーザの健康の支援に資する商品又はサービスと交換可能であってもよい。これによれば、ユーザの活動を、その健康の側面から支援するように支援システムを機能させることができる。
【0078】
上述した実施形態及び変形例からは、サポータの出資を活用してユーザの活動を健康の側面から支援する発明の態様を導き出すことも可能である。その一態様に係る支援システムは、サポータが出資した金銭的価値の価値量を、複数のユーザを含むユーザ群を支援の単位として出資された金銭的価値の価値量として計上する出資制御手段と、前記金銭的価値の出資への対価としてのリターンを、前記ユーザ群の各ユーザから取得する対価制御手段と、取得された前記リターンに関する特典を各サポータに提供する特典制御手段と、計上された前記金銭的価値の価値量の少なくとも一部を原資として、前記ユーザにおける健康の支援に資する商品又はサービスを支援価値として各ユーザに分配する分配制御手段と、を備え、前記分配制御手段は、所定の集計期間に計上された前記金銭的価値の価値量のうち前記支援の原資となる前記金銭的価値の価値量と、前記集計期間に対応する対象期間における前記リターンの提供の実績とに基づいて、各ユーザに分配すべき前記支援価値の価値量を制御するものである。この場合、分配制御手段は、各ユーザに分配すべき前記支援価値の価値量の標準的な値を標準分配量として算出する標準分配量算出手段と、算出された前記標準分配量に基づいて、前記ユーザに前記支援価値を分配する分配実行手段とをさらに含んでもよい。標準分配量はリターンを提供したユーザ間で均等になるように設定されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 支援システム
2 サポータ
3 ユーザ
10 ECシステム
11 サーバ
12 売上管理部
13 サポータ管理部
14 ユーザ管理部
15 発注処理部
20コンテンツ管理システム
21 サーバ
22 リターンウェイト管理部
23 コンテンツ管理部
30 決済システム
40 物流システム
50 サポータの端末装置
60 ユーザの端末装置