(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011118
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】バックグラウンド減弱型微生物学栄養培地及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
C12N1/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024164902
(22)【出願日】2024-09-24
(62)【分割の表示】P 2022562262の分割
【原出願日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】63/010,337
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508087099
【氏名又は名称】ラピッド マイクロ バイオシステムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーラ,ジェシカ ツェ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス サンタナ,フアン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】グラバー,タミー ボハノン
(72)【発明者】
【氏名】リッペス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ノーブル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ,グウィリム
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA19X
4B065AA34X
4B065AA42X
4B065AA53X
4B065AA60X
4B065AA73X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB40
4B065CA46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バックグラウンドが低下した栄養培地を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの染料及び/又は色素を含む液体又は固体又は半固体の栄養培地であって、栄養培地が微生物の増殖を支持するものであり、少なくとも1つの染料及び/又は色素が培地のバックグラウンドを実質的に低下させるものであり、かつ固体又は半固体の栄養培地がゲル化剤を更に含む、栄養培地とする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの染料及び/又は色素を含む液体又は固体又は半固体の栄養培地であって、栄養培地が微生物の増殖を支持するものであり、少なくとも1つの染料及び/又は色素が培地のバックグラウンドを実質的に低下させるものであり、かつ固体又は半固体の栄養培地がゲル化剤を更に含む、栄養培地。
【請求項2】
容器内に配置された、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項3】
容器に対して突き出た、請求項2に記載の栄養培地。
【請求項4】
丸く盛り上がった、請求項3に記載の栄養培地。
【請求項5】
平らな部分を含む、請求項3に記載の栄養培地。
【請求項6】
傾斜した周辺部分を更に含む、請求項5に記載の栄養培地。
【請求項7】
少なくとも1つの染料及び/又は色素が培地を黒色にする、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項8】
少なくとも1つの染料及び/又は色素が、白色光への曝露により赤色のバックグラウンド、オレンジ色のバックグラウンド、黄色のバックグラウンド、緑色のバックグラウンド、青色のバックグラウンド、又は紫色のバックグラウンドを実質的に低下させる、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項9】
少なくとも1つの染料及び/又は色素が、青色光への曝露によりバックグラウンドを実質的に低下させる、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項10】
少なくとも1つの染料及び/又は色素が、0.004~6のピーク光学濃度を提供する、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項11】
培地が色素を含む、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項12】
色素がカーボン粒子又は酸化鉄粒子を含む、請求項11に記載の栄養培地。
【請求項13】
カーボン粒子が500nm未満の平均直径を有する、請求項12に記載の栄養培地。
【請求項14】
カーボン粒子が約100nm~約400nmの平均直径を有する、請求項12に記載の栄養培地。
【請求項15】
カーボン粒子がカーボンブラックを含む、請求項12に記載の栄養培地。
【請求項16】
培地が染料を含む、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項17】
染料がアゾ染料を含む、請求項16に記載の栄養培地。
【請求項18】
アゾ染料が、アシッドブラック71、アシッドブラック194、アシッドブラック2、リアクティブブラック5、ダイレクトブラック36、又はニアンザブラックである、請求項17に記載の栄養培地。
【請求項19】
少なくとも1つの染料及び/又は色素と結合するポリマーを更に含む、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項20】
ポリマーが、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリDADMAC)、スターチ、セルロース、キトサン、β-シクロデキストリン、カリックス[4]アレーンベースのポリマー、又はp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンベースのポリマーを含む、請求項19に記載の栄養培地。
【請求項21】
フリーラジカルスカベンジャーを更に含む、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項22】
フリーラジカルスカベンジャーが、N-アセチル-L-システイン、アスコルビン酸ナトリウム、チオウレア、ニコチンアミド、ピリドキシン、ピルビン酸ナトリウム、D-マンニトール、2-オキソ-4-チオメチル酪酸(OBTA)、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒド(メチオナール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、tert-ブチルアルコール、安息香酸塩、カタラーゼ、NADHペルオキシダーゼ、チオールペルオキシダーゼ、バクテリオフェリチン共移動性タンパク質(bacterioferritin comigratory protein)、アルキルヒドロペルオキシドレダクターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、及びルブレリスリン(rubrerythrin)からなる群から選択される、請求項21に記載の栄養培地。
【請求項23】
微生物が、細菌、真菌、原生生物、又は古細菌である、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項24】
微生物が、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バチルス属(Bacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、デルフチア属(Delftia)、デルマコッカス属(Dermacoccus)、大腸菌属(Escherichia)、エクセロヒルム属(Exserohilum)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、コクリア属(Kocuria)、レジオネラ属(Legionella)、リステリア属(Listeria)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、サルモネラ属(Salmonella)、セレノモナス属(Selenomonas)、セラチア属(Serratia)、シゲラ属(Shigella)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ビブリオ属(Vibrio)、及びエルシニア属(Yersinia)からなる群から選択される属に属する、請求項23に記載の栄養培地。
【請求項25】
ゲル化剤が、寒天、ジェラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アガロース、ポリアクリルアミド、及びリゾビウム種(Rhizobium sp.)(CNCM 番号:I-1809)により産生される多糖からなる群から選択される、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項26】
トリプチケースソイ培地(TSM)、液状チオグリコレート培地(FTM)、シェドラー(Schaedler)培地、リソゲニー/レノックス(lysogeny/Lennox)(LB)ブロス、マンニトール酵母エキストラクトペプトンブロス、テリフィックブロスII、カタボライト抑制因子を含むスーパーオプティマルブロス(SOC)培地、ソーントン(Thornton)培地、ローウェンスタイン・ジェンセン(Lowenstein-Jensen)培地、サブロー(Sabouraud)デキストロース培地、D/E中和性培地、レフラー(Loeffler)培地、ナリジクス酸及びコリマイシン(ANC)培地、及び人工海水培地からなる群から選択される栄養物を更に含む、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項27】
亜硫酸ビスマス寒天、チャップマン(Chapman)寒天、ミューラー・ヒントン(Mueller-Hinton)寒天(MHA)、血液寒天、マッコンキー(MacConkey)寒天、トリプチケースソイ寒天(TSA)、サブローデキストロース寒天(SDA)、リーズナー(Reasoner)の2A寒天(R2A)、ミューラー・ミラー(Mueller-Miller)亜テルル酸寒天、又はチンスダール(Tinsdale)亜テルル酸寒天に由来する栄養物を更に含む、請求項1に記載の栄養培地。
【請求項28】
栄養物が固体又は半固体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の栄養培地。
【請求項29】
液体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の栄養培地。
【請求項30】
多孔性マトリックス内に配置された、請求項29に記載の栄養培地。
【請求項31】
約pH3.0~約pH12.0のpH値を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の栄養培地。
【請求項32】
微生物の増殖を検出する方法であって、
(a)請求項28に記載の栄養培地の表面を、適切な条件下でサンプルと接触させること、及び
(b)微生物の何らかの増殖を判定するために、表面を光学的に検出すること
を含む方法。
【請求項33】
微生物が、アシネトバクター属、アスペルギルス属、バチルス属、バークホルデリア属、カンピロバクター属、カンジダ属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、デルフチア属、デルマコッカス属、大腸菌属、エクセロヒルム属、ヘリコバクター属、コクリア属、レジオネラ属、リステリア属、メチロバクテリウム属、ミクロコッカス属、マイコバクテリウム属、パエニバチルス属、ペニシリウム属、プロピオニバクテリウム属、シュードモナス属、ラルストニア属、サルモネラ属、セレノモナス属、セラチア属、シゲラ属、スタフィロコッカス属、ステノトロホモナス属、ストレプトコッカス属、ストレプトミセス属、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される属に属する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
光学的に検出することが、蛍光を検出することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ステップ(a)が、サンプルを含有する膜を表面と接触させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)が、外部表面を、表面と接触させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(a)が、空気を表面に接触させることを含む、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの産業、特に食品、飲料、ヘルスケア、電子、及び製薬産業では、微生物(例えば細菌、酵母、又は糸状菌等)による汚染の程度について、サンプルを迅速に分析することが不可欠である。特に、製薬会社や生物製剤会社は、栄養培地を使用し、何らかの微生物について培養を試みることによって、クリーンルームや滅菌製品を、微生物学的汚染物質の有無についてテストするように要求される。しかしながら、ほとんどの栄養培地は、光学的検出法を妨害するバックグラウンドを有する。したがって、バックグラウンドが低下した栄養培地が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
バックグラウンドが低下した栄養培地が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、バックグラウンドを低下させる微生物学的栄養培地(microbiological nutrient medium)、例えばサンプル中の微生物のより迅速な検出及び/又はより高い検出感度を可能にする染料及び/又は色素を含有する微生物学的栄養培地を特徴とする。本発明は、少なくとも1つの染料及び/又は色素を含有する液体、固体、又は半固体の栄養培地を特徴とする。固体又は半固体の培地はゲル化剤も含む。栄養培地は微生物の増殖を支持し、また少なくとも1つの染料及び/又は色素は培地のバックグラウンドを実質的に低下させる。
【0004】
1つの態様では、本発明は、少なくとも1つの染料及び/又は色素を含む液体、固体、又は半固体の栄養培地を特徴とし、栄養培地は、微生物の増殖を支持し、少なくとも1つの染料及び/又は色素は培地のバックグラウンドを実質的に低下させ、固体又は半固体の栄養培地はゲル化剤を更に含む。
【0005】
1つの実施形態では、栄養培地は、容器、例えば皿、プレート、又はスライド内に配置される。別の実施形態では、栄養培地は、容器に対して突き出ている(proud;盛り上がっている)。別の実施形態では、栄養培地は丸く盛り上がっている(rounded)。1つの実施形態では、栄養培地は平らな部分を含む。別の実施形態では、栄養培地は傾斜した周辺部分を更に含む。
【0006】
1つの実施形態では、少なくとも1つの染料及び/又は色素は培地を黒くする。別の実施形態では、少なくとも1つの染料及び/又は色素は、白色光への曝露に起因する、栄養培地内の赤色のバックグラウンド、オレンジ色のバックグラウンド、黄色のバックグラウンド、緑色のバックグラウンド、青色のバックグラウンド、又は紫色のバックグラウンドを実質的に低下させる。別の実施形態では、少なくとも1つの染料及び/又は色素は、青色光への曝露に起因する、栄養培地内のバックグラウンドを実質的に低下させる。1つの実施形態では、少なくとも1つの染料及び/又は色素は、少なくとも0.004、例えば少なくとも0.022、0.046、0.071、0.097、0.125、0.155、0.187、0.222、0.260、0.301、0.347、0.398、0.456、0.523、0.602、0.699、0.824、1、1.30、2、3、4、5、又は6の栄養培地内ピーク光学濃度を提供する。
【0007】
1つの実施形態では、栄養培地は色素を含む。別の実施形態では、色素はカーボン粒子又は酸化鉄粒子を含む。別の実施形態では、カーボン粒子は500nm未満の平均直径を有する。別の実施形態では、カーボン粒子は、約100nm~約400nmの平均直径を有する。1つの実施形態では、本発明は、カーボンブラックを含むカーボン粒子を提供する。
【0008】
別の実施形態では、栄養培地は染料を含む。別の実施形態では、染料はアゾ染料を含む。別の実施形態では、アゾ染料は、アシッドブラック71、アシッドブラック194、アシッドブラック2、リアクティブブラック5、ダイレクトブラック36、又はニアンザ(Nyanza)ブラックである。
【0009】
1つの実施形態では、栄養培地は、少なくとも1つの染料及び/又は色素と結合するポリマーを更に含む。別の実施形態では、ポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリDADMAC)、スターチ、セルロース、キトサン、β-シクロデキストリン、カリックス[4]アレーンベースのポリマー、又はp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンベースのポリマーを含む。
【0010】
1つの実施形態では、栄養培地は、例えば、N-アセチル-L-システイン、アスコルビン酸ナトリウム、チオウレア、ニコチンアミド、ピリドキシン、ピルビン酸ナトリウム、D-マンニトール、2-オキソ-4-チオメチル酪酸(OBTA)、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒド(メチオナール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、tert-ブチルアルコール、安息香酸塩、カタラーゼ、NADHペルオキシダーゼ、チオールペルオキシダーゼ、バクテリオフェリチン共移動性タンパク質(bacterioferritin comigratory protein)、アルキルヒドロペルオキシドレダクターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、及びルブレリスリン(rubrerythrin)からなる群から選択されるフリーラジカルスカベンジャーを更に含む。
【0011】
1つの実施形態では、微生物は、例えばアシネトバクター属(Acinetobacter)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バチルス属(Bacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、デルフチア属(Delftia)、デルマコッカス属(Dermacoccus)、大腸菌属(Escherichia)、エクセロヒルム属(Exserohilum)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、コクリア属(Kocuria)、レジオネラ属(Legionella)、リステリア属(Listeria)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、サルモネラ属(Salmonella)、セレノモナス属(Selenomonas)、セラチア属(Serratia)、シゲラ属(Shigella)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ビブリオ属(Vibrio)、及びエルシニア属(Yersinia)からなる群から選択される属に属する細菌、真菌、原生生物、又は古細菌である。
【0012】
1つの実施形態では、ゲル化剤は、寒天、ジェラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アガロース、ポリアクリルアミド、及びリゾビウム種(Rhizobium sp.)(CNCM番号:I-1809)により産生される多糖からなる群から選択される。
【0013】
別の実施形態では、栄養培地は、トリプチケースソイ培地(TSM)、液状チオグリコレート培地(FTM)、シェドラー(Schaedler)培地、リソゲニー/レノックス(lysogeny/Lennox)(LB)ブロス、マンニトール酵母エキストラクトペプトンブロス、テリフィックブロスII、カタボライト抑制培地を含むスーパーオプティマルブロス(SOC)、ソーントン(Thornton)培地、ローウェンスタイン・ジェンセン(Lowenstein-Jensen)培地、サブロー(Sabouraud)デキストロース培地、D/E中和性培地、レフラー(Loeffler)培地、ナリジクス酸及びコリマイシン(ANC)培地、並びに人工海水培地からなる群から選択される栄養物を含む。1つの実施形態では、栄養培地は、亜硫酸ビスマス寒天培地、チャップマン(Chapman)寒天培地、ミューラー・ヒントン(Mueller-Hinton)寒天培地(MHA)、血液寒天培地、マッコンキー(MacConkey)寒天培地、トリプチケースソイ寒天培地(TSA)、サブローデキストロース寒天培地(SDA)、リーズナー(Reasoner)の2A寒天培地(R2A)、ミューラー・ミラー(Mueller-Miller)亜テルル酸寒天培地、又はチンスダール(Tinsdale)亜テルル酸寒天培地に由来する栄養物を含む。
【0014】
別の実施形態では、栄養培地は固体又は半固体である。1つの実施形態では、栄養培地は液体である。別の実施形態では、栄養培地は多孔性マトリックス内に配置される。
【0015】
1つの実施形態では、栄養培地は、約pH3.0~約pH12.0のpH値を有する。
【0016】
1つの態様では、本発明は、栄養培地の表面を、適切な条件下でサンプルと接触させて微生物の増殖を可能にし、表面を光学的に検出して微生物の何らかの増殖を判定することにより、微生物の増殖を検出する方法を提供する。1つの実施形態では、接触させることは、サンプルを含有する膜を表面と接触させることを含む。別の実施形態では、接触させることは、別の表面を表面と接触させることを含む。別の実施形態では、接触させることは、空気が表面に接触するのを可能にすることを含む。
【0017】
1つの実施形態では、微生物は、アシネトバクター属、アスペルギルス属、バチルス属、バークホルデリア属、カンピロバクター属、カンジダ属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、デルフチア属、デルマコッカス属、大腸菌属、エクセロヒルム属、ヘリコバクター属、コクリア属、レジオネラ属、リステリア属、メチロバクテリウム属、ミクロコッカス属、マイコバクテリウム属、パエニバチルス属、ペニシリウム属、プロピオニバクテリウム属、シュードモナス属、ラルストニア属、サルモネラ属、セレノモナス属、セラチア属、シゲラ属、スタフィロコッカス属、ステノトロホモナス属、ストレプトコッカス属、ストレプトミセス属、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される属に属する。
【0018】
別の実施形態では、光学的に検出することは、蛍光を検出することを含む。
【0019】
定義
用語「約」とは、本明細書で使用される場合、記載された数値の±10%である数値を指す。
【0020】
用語「バックグラウンド」とは、本明細書で使用される場合、微生物が存在しない場合に、入射光に応答して増殖培地から散乱、反射、又は放出される光を指す。
【0021】
用語「染料」とは、本明細書で使用される場合、水に可溶性である着色物質を指す。
【0022】
用語「標識」とは、本明細書で使用される場合、光学的に検出可能である外因性物質を指す。
【0023】
用語「光学濃度」とは、本明細書で使用される場合、染料及び/又は色素が示す1cm当たりの光の減弱(Log(I0/I)を指す。「ピーク光学濃度」とは、本明細書で使用される場合、吸収極大における光学濃度を指す。
【0024】
用語「色素」(顔料)とは、本明細書で使用される場合、水に不溶性である着色物質を指す。
【0025】
用語「~を実質的に低下させる」とは、本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるように、染料及び/又は色素を含まない栄養培地に対して少なくとも50%のバックグラウンドの低下を指す。特に、バックグラウンドの低下は、少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、又は99%であり得る。低下は、1つ以上の波長、例えば、ある範囲の波長にわたり生じ得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】異なる増殖培地、すなわちRODACプレート(Becton Dickinson社)(左)、本発明の培地(中央)、及び黒い膜で覆われたTSA培地(Rapid Micro Biosystems, Inc.社(Lowell、MA)製のカセット)(右)上で増殖したコロニーの写真である。
図1Aは、D.ニシノミヤエンシス(D. nishinomiyaensis)を示し、
図1Bは、C.アルビカンス(C. albicans)を示し、
図1Cは、M.ルテウス(M.luteus)を示す。
【
図2】本発明の培地上で増殖した微生物コロニー(上段)、及び膜のあるTSA培地上で増殖したコロニー(下段)を示す一連の写真である。A.ブラシリエンシス(A. brasiliensis)、B.サブチリス(B. subtilis)、C.アルビカンス、緑膿菌(P. aeruginosa)、及び黄色ブドウ球菌(S. aureus)を培地上で増殖させた。
【
図3】Nanoshel(登録商標)カーボンブラック並びにレシチン及びポリソルベート80を含むTSA(TSA-LP80)のカセット(黒色培地)、並びに膜のある対照TSA-LP80カセット(対照培地)のバックグラウンド蛍光レベルを示すグラフである。培地のバックグラウンド蛍光レベルを、冷蔵室内又は室温において表示の期間保管した後に測定した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、微生物を光学的に検出するための栄養培地及びその使用方法を提供する。本発明の栄養培地は、培地のバックグラウンドを低下させる染料及び/又は色素を含み、例えば目視又は自動検出による光学的検出に役立つ。培地は、様々な保管温度下での保管寿命及び安定性を増加させ、及び/又はある特定の微生物を検出する時間を短縮し、及び/又は増殖スピードの低い微生物を検出し、及び/又は微生物学的モニタリングのために異なる表面からの回収率を増加させる際に有利である。
【0028】
本発明の栄養培地は、微生物を検出する際に、例えば微生物の増殖又は感度において有用である。染料及び/又は色素は、培地のバックグラウンドを実質的に低下させ、微生物を検出する能力を高める。
【0029】
微生物は、任意の適する光学的方法により、例えば目視、蛍光、リン光、発光、吸収、光散乱又は反射により検出され得る。検出は、微生物の先天的光学的特性、例えば自己蛍光、生物発光、比色、リン光、光散乱、吸収、若しくは反射の検出であり得る、又は標識、例えば蛍光標識若しくは化学発光標識に由来し得る。1つの実施形態では、検出は、例えばGrowthDirect(登録商標)自動検出システムにおいて採用されるような、青色光により誘発された自己蛍光の検出である。
【0030】
外部照明は、検出において採用される場合もあれば、またされない場合もある。ある特定のモダリティーでは、外部照明の特定波長又は波長範囲が、例えば蛍光又はリン光の検出のために必要とされ得る。その他のモダリティーでは、非特異的波長が、例えば反射を検出するために採用され得る。その他のモダリティーでは、外部照明は、例えば生物発光又は化学発光の検出にとって不要とされる。当業者は、検出法のために、適する光源(使用される場合)、例えば、LED光、レーザー、及びガス放電ランプを選択することができる。広域スペクトルランプも、適するスペクトルフィルターと共に採用され得る。微生物からのシグナルは、UV~NIR範囲にまたがる範囲、一般的に可視範囲内であり得る。
【0031】
採用される染料及び/又は色素の性質は、所望の光学的検出法に応じて異なる可能性がある。例えば、可視範囲を横断する幅広いスペクトル領域からのバックグラウンドを低下させる染料又は色素が採用され得る。或いは、染料及び/又は色素は、微生物からの特異的シグナル、又はシグナル及び入射光の組合せに対応するより狭いスペクトル領域からのバックグラウンドを低下させる可能性がある。例えば、染料及び/又は色素は、入射光を吸収し又は散乱させて栄養培地のコンポーネントの励起を阻止する可能性がある。或いは、染料及び/又は色素は、入射光に応答して栄養培地により放出された光を吸収し又は散乱させる可能性がある。そのような機構の組合せも、本発明によりやはり想定される。
【0032】
染料及び/若しくは色素、又はその組合せは、例えば可視範囲全域にわたり実質的に吸収し又は散乱させるために、黒色に見える。或いは、染料及び/若しくは色素、又はその組合せは、下記のスペクトル範囲:赤色のバックグラウンド(625~740nm)、オレンジ色のバックグラウンド(590~625nm)、黄色のバックグラウンド(565~590nm)、緑色のバックグラウンド(495~565nm)、青色のバックグラウンド(400~495nm)、又は紫色のバックグラウンド(380~400nm)のうちの1以上においてバックグラウンドを実質的に低下させる可能性がある。
【0033】
染料及び/又は色素は、所望のバックグラウンドを実質的に低下させるのに十分な量で存在する。一般的に、栄養培地内の染料及び/又は色素の光学濃度(OD)は、0.004~6、例えば少なくとも0.022、0.046、0.071、0.097、0.125、0.155、0.187、0.222、0.260、0.301、0.347、0.398、0.456、0.523、0.602、0.699、0.824、1、1.30、2、3、4、若しくは5、又は最大で6、5、4、3、2、1.3、若しくは1、例えば1~6等である。
【0034】
染料、色素、及び追加のコンポーネント
任意の適する染料、色素、又はその組合せが、栄養培地において採用され得る。染料及び/又は色素は、バックグラウンドを低下させると共に、検出対象とされる微生物の増殖を実質的に妨害しない。好ましくは、染料及び/又は色素は、テストされる表面に移動することもない。染料及び/又は色素は、任意の適する色、例えば、黒色、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、又は紫色のものであり得る。例えば、染料及び/又は色素は、培地を視覚的に黒色にし得る。色素の例として、ナノ粒子、例えばカーボンブラック由来のカーボンナノ粒子、及び酸化鉄が挙げられる。ナノ粒子の例示的なサイズは、500nm未満、例えば100~400nm、例えば約1nm、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約50nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95nm、約100nm、約105nm、約110nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、約170nm、約180nm、約190nm、約195nm、約200nm、約205nm、約210nm、約220nm、約230nm、約240nm、約250nm、約260nm、約270nm、約280nm、約290nm、約295nm、約300nm、約305nm、約310nm、約320nm、約330nm、約340nm、約350nm、約360nm、約370nm、約380nm、約390nm、約395nm、約400nm、約405nm、約410nm、約425nm、約450nm、約495nm、又は約499nmである。別の実施形態では、粒子は、約100nm~約400nm、例えば約100nm~約300nm、約100nm~約250nm、約100nm~約200nm、約100nm~約150nm、約100nm~約125nm、約150nm~約400nm、約150nm~約350nm、約150nm~約300nm、約150nm~約250nm、約150nm~約200nm、約150nm~約175nm、約200nm~約400nm、約200nm~約375nm、約200nm~約350nm、約200nm~約325nm、約200nm~約300nm、約200nm~約250nm、約300nm~約400nm、約300nm~約350nm、約350nm~約400nm、又は約375nm~約400nmの平均直径を有する。別の実施形態では、カーボン粒子として、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、黒鉛状カーボン、乱層カーボン、ブラックカーボン、煤煙、バイオ炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンナノファイバー、又はその他の光吸収性炭素性粒子が挙げられる。ナノ粒子の代表的な濃度は、約0.25%(w/v)~約2.5%(w/v)、例えば約0.25%(w/v)~約0.85%(w/v)、約0.25%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.30%(w/v)~約0.75%(w/v)、約0.30%(w/v)~約2%(w/v)、約0.35%(w/v)~約0.65%(w/v)、約0.35%(w/v)~約1.75%(w/v)、約0.40%(w/v)~約0.75%(w/v)、約0.40%(w/v)~約2%(w/v)、約0.45%(w/v)~約0.85%(w/v)、約0.45%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.50%(w/v)~約0.75%(w/v)、約0.50%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.50%(w/v)~約2%(w/v)、約0.55%(w/v)~約0.90%(w/v)、約0.55%(w/v)~約1.75%(w/v)、約0.60%(w/v)~約0.95%(w/v)、約0.60%(w/v)~約2%(w/v)、約0.65%(w/v)~約1%(w/v)、約0.65%(w/v)~約1.75%(w/v)、約0.70%(w/v)~約1%(w/v)、約0.70%(w/v)~約1.7%(w/v)、約0.75%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.75%(w/v)~約2%(w/v)、約0.80%(w/v)~約1.2%(w/v)、約0.80%(w/v)~約1.8%(w/v)、約0.85%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.85%(w/v)~約2%(w/v)、約0.90%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.90%(w/v)~約1.75%(w/v)、約0.95%(w/v)~約1.5%(w/v)、約0.95%(w/v)~約2%(w/v)、約1%(w/v)~約1.8%(w/v)、約1.5%(w/v)~約2%(w/v)、又は約1.75%(w/v)~約2%(w/v)である。
【0035】
適する染料として、アゾ染料、例えばアシッドブラック71、アシッドブラック194、リアクティブブラック5、ダイレクトブラック36、及びニアンザブラックが挙げられる。別の例はアシッドブラック2である。様々な染料及び色素の組合せも想定される。ある特定の実施形態では、染料及び/又は色素は、pHが変化しても変色しない。その他の実施形態では、染料及び/又は色素は、微生物酵素により消化されない。
【0036】
ある特定の染料又は色素は、本発明の栄養培地に接触した場合、表面に移動しやすいと考えられる。したがって、栄養培地は、染料及び/又は色素と結合して移動を低下させるか又は移動させないポリマーを含み得る。例示的なポリマーは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリDADMAC)である。その他のポリマーとして、糖ベースのポリマー(オリゴ多糖類)、例えばスターチ、セルロース、キトサン、β-シクロデキストリン、カリックス[4]アレーンベースのポリマー、及びp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンベースのポリマー等が挙げられる。
【0037】
栄養培地は、様々な方法、例えばオートクレーブ処理又はγ線照射によっても滅菌処理され得る。γ線照射は、培地内でフリーラジカルを誘発し得る。従って、本発明の栄養培地は、フリーラジカルスカベンジャーも含み得る。フリーラジカルスカベンジャーの例として、N-アセチル-L-システイン、アスコルビン酸ナトリウム、チオウレア、ニコチンアミド、ピリドキシン、ピルビン酸ナトリウム、D-マンニトール、2-オキソ-4-チオメチル酪酸(OBTA)、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒド(メチオナール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、tert-ブチルアルコール、安息香酸塩、及び酵素、例えばカタラーゼ、NADHペルオキシダーゼ、チオールペルオキシダーゼ等、バクテリオフェリチン共移動性タンパク質、アルキルヒドロペルオキシドレダクターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、及びルブレリスリンが挙げられる。
【0038】
ゲル化剤及びマトリックス
栄養培地はゲル化剤を含み得る。ゲル化剤の非限定的な例として、寒天、ジェラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アガロース、ポリアクリルアミド、Eladium(商標)(リゾビウム種(CNCM番号:I-1809)により産生される多糖)、凝固卵、凝固血清、及びその組合せが挙げられる。本発明の固体組成物内のゲル化剤の量は、ゲル化剤の種類に依存する。
【0039】
代替的又は付加的に、栄養培地は、マトリックス、例えば多孔性マトリックス、例えばフォームパッド、スポンジ、多孔性プラスチック、例えばPorex、又は紙等の内部で吸収され又はゲル化し得る。
【0040】
増殖培地組成物
任意の適する栄養物を、本発明の栄養培地に含めることができる。選択される栄養物は、検出対象とされる微生物の性質に依存する。栄養物の非限定的な例として、トリプチケースソイ培地(TSM)、液状チオグリコレート培地(FTM)、シェドラー培地、リソゲニー/レノックス(LB)ブロス、マンニトール酵母エキストラクトペプトンブロス、テリフィックブロスII、カタボライト抑制培地を含むスーパーオプティマルブロス(SOC)、ナリジクス酸及びコリマイシン(ANC)培地、ローウェンスタイン・ジェンセン培地、サブローデキストロース培地、D/E中和性培地、及びレフラー培地に含まれるものが挙げられる。また栄養物は、ソーントン培地、トリプチケースソイ寒天(TSA)、サブローデキストロース寒天(SDA)、リーズナーの2A寒天(R2A)、ミューラー・ヒントン寒天(MHA)、亜硫酸ビスマス寒天、チャップマン寒天、血液寒天、マッコンキー寒天、ミューラー・ミラー亜テルル酸寒天、及びチンスダール亜テルル酸寒天のうちのいずれか1つに由来する栄養物であってもよい。別の適する培地は、国際公開第2015/164827号に見出され得る。
【0041】
本発明の栄養培地は、酸性、アルカリ、又は中性のpHを含む任意のpH値を有し得る。栄養培地の例示的なpH値は、約pH3.0~約pH12.0、例えば約pH3.0~約pH11.0、約pH3.5~約pH10.0、約pH4.0~約pH9.5、約pH4.5~約pH9.0、約pH5.0~約pH8.5、約pH5.5~約pH8.0、約pH5.5~約pH7.5、約pH5.5~約pH6.5、約pH6.0~約pH7.0、約pH6.5~約pH7.5、約pH6.8~約pH7.3、約pH7.0~約pH8.0、約pH7.0~約pH8.5、約pH7.0~約pH9.0、約pH7.0~約pH9.5、約pH7.0~約pH10.0、約pH7.0~約pH11.0、約pH7.0~約pH12.0、約pH8.0~約pH9.0、約pH8.0~約pH10.0、約pH8.0~約pH11.0、約pH8.0~約pH12.0、約pH9.0~約pH10.0、約pH9.0~約pH11.0、約pH9.0~約pH12.0、約pH10.0~約pH11.0、約pH11.0~約pH12.0、約pH3.0~約pH4.0、約pH4.0~約pH5.0、又は約pH5.0~約pH6.0である。
【0042】
任意の添加剤を、本発明の栄養培地に含めることができる。そのような添加剤は、栄養培地の増殖特性に有意な悪影響を及ぼすことなく培地の物理化学特性を改善し得る。添加剤の非限定的な例として、バッファー(例えば、トリス及び/又はクエン酸)、キレート剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤、清浄剤、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)、乳化剤、殺菌性中和剤(例えば、レシチン、ポリソルベート80、ヒスチジン、チオサルフェート、ビサルファイト、グリシン、2価のカチオン(例えば、Mg2+又はCa2+)、及び/又はチオグリコール酸塩)、ミセル形成剤、ミセル阻害剤、及び/又はポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び/又はカルボキシメチルセルロースが挙げられる。培養培地は、例えば感受性又は耐性テストのため、又は耐性細胞を選択するための抗生物質を更に含み得る。
【0043】
栄養培地の形態
栄養培地は、任意の適する形態又は形状であり得る。特に、栄養培地は、ゲル又はブロスを形成するために液体、例えば水が添加される場合、乾燥形態で提供可能である。或いは、栄養培地はゲル形態で提供可能である。ゲル形態の場合、栄養培地は、容器、例えばプレート、皿、スライド、又は例えば底部及びフタを備えたその他の平らな表面の内部又は上部に一般的に収容される。栄養培地は、容器、例えばプレート又は皿に対して突き出しており、すなわち表面に接触可能なように底部(及び存在する任意の側壁)より上方に延在するか、又は底部内で凹部を有する(例えば、側壁の端部よりも下方に)。容器内部又は上部の固体又は半固体培地の例示的な厚さは、約100μm~約2cm、例えば約100μm~約1.5cm、約100μm~約1cm、約150μm~約1.5cm、約200μm~約1mm、約200μm~約9mm、約200μm~約2cm、約250μm~約1.5mm、約250μm~約7.5mm、約300μm~約1mm、約300μm~約1.5cm、約400μm~約2mm、約400μm~約5mm、約400μm~約2cm、約500μm~約1mm、約500μm~約7mm、約500μm~約1.5cm、約600μm~約9mm、約600μm~約2cm、約700μm~約1.5cm、約750μm~約7.5mm、約800μm~約2.5mm、約800μm~約1.75cm、約900μm~約9mm、約900μm~約2cm、約1mm~約5mm、約1mm~約7mm、約1mm~約1cm、約2mm~約6mm、約2mm~約1.5cm、約3mm~約9mm、約3mm~約1.75cm、約4mm~約1cm、約4mm~約1.5cm、約4mm~約2cm、約5mm~約1.2cm、約5mm~約1.8cm、約6mm~約1.5cm、約6mm~約2cm、約7mm~約1.2cm、約7mm~約1.9cm、約8mm~約1.4cm、約9mm~約1.75cm、約1cm~約1.4cm、約1cm~約1.8cm、約1.1cm~約1.6cm、約1.2cm~約1.7cm、約1.3cm~約1.9cm、約1.4cm~約2cm、約1.5cm~約2cm、又は約1.7cm~約2cmである。培地は、平らな若しくは丸く盛り上がった形状を有し得る、又は例えば直径1~15cmの平らな部分を含み得る。栄養培地が平らな部分を含む場合、平らな部分の端部は垂直、すなわち90度であり得るか、又は培地は平らな部分の周りに周辺部分を含み得るが、その場合、周辺部分は斜めに、すなわち90度未満、例えば最大85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、又は10度で傾斜している。培地の表面は凹面であっても、また凸面でもよい。凹面は他の表面との接触を容易し得る。培地は、例えば染料を含む場合、マトリックス中に負荷され得る、又は皿若しくは培養チューブにおいて採用され得る液体の形態であってもよい。
【0044】
染料及び/又は色素は栄養培地全体を通じて均一に混合され得るか、又は表層内に存在し得る。例えば、染料及び/又は色素を含有する栄養培地の層(例えば0.1~10mm)が、染料及び/又は色素を含有しない栄養培地の基層に適用され得る。
【0045】
微生物
微生物には、細菌、真菌、原生生物、及び古細菌が含まれる。本発明の栄養培地を使用して培養され得る微生物(例えば、細菌又は真菌)の属の非限定的な例として、アシネトバクター属(例えば、アシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwofii))、アスペルギルス属(例えば、アスペルギルス・ブラシリエンシス又はアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigates))、バチルス属(例えば、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・イドリエンシス(Bacillus idriensis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、又はバチルス・サブチリス)、バークホルデリア属(例えば、バークホルデリア・シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei))、カンピロバクター属(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni))、カンジダ属(例えば、カンジダ・アルビカンス)、クロストリジウム属(例えば、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)又はウェルシュ菌(Clostridium perfringens))、コリネバクテリウム属(例えば、コリネバクテリウム・ツベルクロステアリカム(Corynebacterium tuberculostearicum)又はコリネバクテリウム・ゼロシース(Corynebacterium xerosis))、デルフチア属(例えば、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans))、デルマコッカス属(例えば、デルマコッカス・ニシノミヤエンシス)、大腸菌属(例えば、大腸菌(Escherichia coli))、エクセロヒルム属(例えば、エクセロヒルム・ロストラツム(Exserohilum rostratum))、ヘリコバクター属(例えば、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))、コクリア属(例えば、コクリア・リゾフィラ(Kocuria rhizophila))、レジオネラ属(例えば、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila))、リステリア属(例えば、リステリア・イバノビイ(Listeria ivanovii)、リステリア・グレイ(Listeria grayi)、又はリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes))、メチロバクテリウム属(例えば、メチロバクテリウム・ラデイオトレランス(Methylobacterium radiotolerans))、ミクロコッカス属(例えば、ミクロコッカス・ルテウス)、マイコバクテリウム属(例えば、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、又はマイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium leprae))、パエニバチルス属(例えば、パエニバチルス・グルカノリティカス(Paenibacillus glucanolyticus))、ペニシリウム属(例えば、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)又はペニシリウム・ノタツム(Penicillium notatum))、プロピオニバクテリウム属(例えば、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes))、シュードモナス属(例えば、緑膿菌)、ラルストニア属(例えば、ラルストニア・ピッケティ(Ralstonia pickettii))、サルモネラ属(例えば、チフス菌(Salmonella enterica serotype Typhi))、セレノモナス属(例えば、セレノモナス・ノキシア(Selenomonas noxia))、セラチア属(例えば、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens))、シゲラ属(例えば、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri))、スタフィロコッカス属(例えば、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、又はスタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis))、ステノトロホモナス属(例えば、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia))、ストレプトコッカス属(例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes))、ストレプトミセス属(例えば、ストレプトミセス・ハルステディイ(Streptomyces halstedii))、ビブリオ属(例えば、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、又はビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus))、及びエルシニア属(例えば、腸炎エルシニア(Yersinia enterocolitica))が挙げられる。
【0046】
栄養培地は、細胞内ウイルス、例えば溶解性ウイルスを増殖させる(宿主生物の菌叢においてプラークが形成される)のにも使用され得る。
【0047】
使用
本発明の栄養培地が使用される例示的な分野として、一般的な細胞培養液及び検査液、空気、土壌、表面、工業的又は臨床的サンプル、医薬製品(滅菌又は非滅菌状態)、食品製品、飲料製品、化粧品、パーソナルケア製品、又は微生物バイオバーデン用の栄養補助製品が挙げられる。栄養培地は、その他のアッセイ、例えば血液又はその他の感染症のための臨床的アッセイ法及び抗生物質耐性に関するアッセイ法等においても採用され得る。本発明の栄養培地を使用してアッセイされ得るサンプルは限定されるものではないが、工業サンプル(例えば、食品、飲料、又は栄養補助食品の製造における原材料、中間材料、又は完成材料;医療用デバイス又は体外診断用デバイスの製造における原材料、中間材料、又は完成材料;化学製品;工業的表面;機器;又は機構)、医薬品の調製で使用される医薬品及び試薬(例えば、薬理学製品、化粧品、パーソナルケア、血液、又はヒト若しくは動物を対象として局所使用若しくは内部使用するためのその他製品の製造における原材料、中間材料、又は完成材料)、生体サンプル、環境サンプル(例えば、水サンプル(例えば、天然水域(例えば河川、湖、池、及び海等)、廃水、及び処理済みの水源(例えば、都市用水道水等))、空気サンプル(受動的又は能動的)、土壌サンプル、及び表面サンプル)が含まれる。テストされ得る表面には、物品(例えば、医薬品)の製造、包装、又は保管で使用される機器、材料、及び設備;研究で使用される機器、材料、及び設備;衣服、寝具、及びその他のファブリック(例えば、医療提供者用又は患者用);及び治療で使用される機器、材料、及び設備(例えば、病院、クリニック、及び医師のオフィス)が含まれる。
【0048】
サンプルは、任意の適する方法により栄養培地上に配置され得る。そのような方法は、例えば表面との直接接触、又は受動的若しくは能動的空気サンプリングを含む。更に、方法は、任意の適する装置、例えばループ、ニードル、又はスワブによる接触を含み得る。またサンプルは、液状形態でも栄養培地に添加され得る。サンプルが通過して濾過される膜も、本発明の栄養培地上(染料及び/又は色素が、膜の端部周辺部からの、又は膜を透過して検出可能なバックグラウンドを低下させる)に配置され得る。
【0049】
例えば、コロニー計測により微生物を検出する際に、本発明の栄養培地が採用され得る。本発明の栄養培地上での微生物の増殖は、バックグラウンドが低下していることから、例えば目視により又は自動的に光学検出するのがより容易である。栄養培地上での微生物増殖の光学的検出がより容易であれば、ある特定の微生物について、結果を得るまでの時間(TTR)が短縮する可能性がある(例えば、表1を参照)。栄養培地は、迅速な微生物学検出にとって、例えば微小コロニー検出において特に有用であり得る。例えば、本発明の栄養培地は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、又は750μm、例えば最大1mmの直径を有するコロニーの検出において採用され得る。
【0050】
【0051】
[実施例]
下記の実施例は、本発明を例証するように意図されており、本発明に制限を課すようにはいかなる場合においても意図されない。
【0052】
[実施例1]
本発明の栄養培地上での微生物増殖と、染料及び/又は色素を含まない培地上での増殖との比較
図1A~
図1Cは、
色素又は染料無添加のレシチン及びポリソルベート80を含むTSA(TSA-LP80)上にブラックフィルターのあるRapid Micro Biosystems社製カセット(右);
本発明の実施形態の栄養培地、すなわち1%のメソポーラスカーボンブラックナノ粉末色素(黒鉛化、500nm未満の粒子サイズ)(Sigma Aldrich社 #699624)を含むTSA-LP80(中央);及び
染料及び/又は色素無添加のBD RODAC(商標)栄養培地(左)
において、USP<1227>に従って培養された異なる微生物種について代表的なコロニーを示す。
【0053】
図1Aは、D.ニシノミヤエンシスの増殖を示す。
図1Bは、C.アルビカンスの増殖を示す。
図1Cは、M.ルテウスの増殖を示す。
【0054】
図2に、本発明の培地上で増殖した微生物コロニー(上段)、及び膜のあるTSA培地を含むRapid Micro Biosystems社製カセット上で増殖したコロニー(下段)の代表的な画像を示す。A.ブラシリエンシス、B.サブチリス、C.アルビカンス、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌を、両培地上で増殖させた。
【0055】
[実施例2]
本発明の栄養培地上での微生物増殖とRODAC(商標)栄養培地上での増殖との回収率の比較 表2は、その個々のコロニー形成単位(CFU)の数、並びにBD RODAC(商標)栄養培地と比較した本発明の実施形態から得られたCFUの回収率(%)を含む、培養された微生物のリストである。培養したすべての微生物について、BD RODAC(商標)栄養培地と比較して、本発明の栄養培地では70%を上回る回収率を実現した。各テストを6回繰り返し実施した。
【0056】
【0057】
[実施例3]
接触テストにおける栄養培地を使用する微生物増殖の回収率の比較
表3は、異なる表面タイプ(表面)上でサンプリングして得られたB.サブチリスの回収率を提示する。RODAC(商標)栄養培地(RODAC)、TSA-LP80を含むカセット、及び1% w/v Nanoshel(登録商標)カーボンメソポーラスナノ粉末(粒子サイズ100nm未満)を含む黒色培地カセット(本発明品)について、各表面タイプから得られたCFUの数を表示する。RODAC(商標)栄養培地に対するRMB標準カセットのCFU回収率(%)、及びRODAC(商標)栄養培地に対する黒色培地カセットの回収率(%)を示す。黒色培地カセットでは、テストしたすべての表面について、RODAC(商標)栄養培地と比較して85%を超える回収率が実証された。
【0058】
【0059】
[実施例4]
異なる温度で保管した後の黒色培地カセットと対照カセットとの間の蛍光バックグラウンドレベルの比較
黒色培地カセット(Nanoshel(登録商標)カーボンブラック、及びレシチンとポリソルベート80を含むTSA(TSA-LP80))、及び対照TSA-LP80カセットのバックグラウンド蛍光レベルを、表示の期間(すなわち、0週間~11ヶ月)、冷蔵室(4℃)又は室温保管した後に測定した(
図3)。室温で保管した対照培地は、1週間保管品と比較して、その後の時点(例えば、3、5、9、及び11ヶ月)においてより高いバックグラウンド蛍光を示した;本発明の培地は、室温で11ヶ月保管した後であっても、バックグラウンド蛍光の有意な増加を示さなかった。M
【手続補正書】
【提出日】2024-10-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの染料及び/又は色素を含む液体又は固体又は半固体の栄養培地であって、栄養培地が微生物の増殖を支持するものであり、少なくとも1つの染料及び/又は色素が培地のバックグラウンドを実質的に低下させるものであり、かつ固体又は半固体の栄養培地がゲル化剤を更に含む、栄養培地。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
用語「~を実質的に低下させる」とは、本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるように、染料及び/又は色素を含まない栄養培地に対して少なくとも50%のバックグラウンドの低下を指す。特に、バックグラウンドの低下は、少なくとも60、65、70、75、80、85、90、95、又は99%であり得る。低下は、1つ以上の波長、例えば、ある範囲の波長にわたり生じ得る。
本発明はまた、以下に関する。
[項目1]
少なくとも1つの染料及び/又は色素を含む液体又は固体又は半固体の栄養培地であって、栄養培地が微生物の増殖を支持するものであり、少なくとも1つの染料及び/又は色素が培地のバックグラウンドを実質的に低下させるものであり、かつ固体又は半固体の栄養培地がゲル化剤を更に含む、栄養培地。
[項目2]
容器内に配置された、項目1に記載の栄養培地。
[項目3]
容器に対して突き出た、項目2に記載の栄養培地。
[項目4]
丸く盛り上がった、項目3に記載の栄養培地。
[項目5]
平らな部分を含む、項目3に記載の栄養培地。
[項目6]
傾斜した周辺部分を更に含む、項目5に記載の栄養培地。
[項目7]
少なくとも1つの染料及び/又は色素が培地を黒色にする、項目1に記載の栄養培地。
[項目8]
少なくとも1つの染料及び/又は色素が、白色光への曝露により赤色のバックグラウンド、オレンジ色のバックグラウンド、黄色のバックグラウンド、緑色のバックグラウンド、青色のバックグラウンド、又は紫色のバックグラウンドを実質的に低下させる、項目1に記載の栄養培地。
[項目9]
少なくとも1つの染料及び/又は色素が、青色光への曝露によりバックグラウンドを実質的に低下させる、項目1に記載の栄養培地。
[項目10]
少なくとも1つの染料及び/又は色素が、0.004~6のピーク光学濃度を提供する、項目1に記載の栄養培地。
[項目11]
培地が色素を含む、項目1に記載の栄養培地。
[項目12]
色素がカーボン粒子又は酸化鉄粒子を含む、項目11に記載の栄養培地。
[項目13]
カーボン粒子が500nm未満の平均直径を有する、項目12に記載の栄養培地。
[項目14]
カーボン粒子が約100nm~約400nmの平均直径を有する、項目12に記載の栄養培地。
[項目15]
カーボン粒子がカーボンブラックを含む、項目12に記載の栄養培地。
[項目16]
培地が染料を含む、項目1に記載の栄養培地。
[項目17]
染料がアゾ染料を含む、項目16に記載の栄養培地。
[項目18]
アゾ染料が、アシッドブラック71、アシッドブラック194、アシッドブラック2、リアクティブブラック5、ダイレクトブラック36、又はニアンザブラックである、項目17に記載の栄養培地。
[項目19]
少なくとも1つの染料及び/又は色素と結合するポリマーを更に含む、項目1に記載の栄養培地。
[項目20]
ポリマーが、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリDADMAC)、スターチ、セルロース、キトサン、β-シクロデキストリン、カリックス[4]アレーンベースのポリマー、又はp-tert-ブチルカリックス[4]アレーンベースのポリマーを含む、項目19に記載の栄養培地。
[項目21]
フリーラジカルスカベンジャーを更に含む、項目1に記載の栄養培地。
[項目22]
フリーラジカルスカベンジャーが、N-アセチル-L-システイン、アスコルビン酸ナトリウム、チオウレア、ニコチンアミド、ピリドキシン、ピルビン酸ナトリウム、D-マンニトール、2-オキソ-4-チオメチル酪酸(OBTA)、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒド(メチオナール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、tert-ブチルアルコール、安息香酸塩、カタラーゼ、NADHペルオキシダーゼ、チオールペルオキシダーゼ、バクテリオフェリチン共移動性タンパク質(bacterioferritin comigratory protein)、アルキルヒドロペルオキシドレダクターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チトクロームcペルオキシダーゼ、及びルブレリスリン(rubrerythrin)からなる群から選択される、項目21に記載の栄養培地。
[項目23]
微生物が、細菌、真菌、原生生物、又は古細菌である、項目1に記載の栄養培地。
[項目24]
微生物が、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バチルス属(Bacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、カンピロバクター属(Campylobacter)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、デルフチア属(Delftia)、デルマコッカス属(Dermacoccus)、大腸菌属(Escherichia)、エクセロヒルム属(Exserohilum)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、コクリア属(Kocuria)、レジオネラ属(Legionella)、リステリア属(Listeria)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、サルモネラ属(Salmonella)、セレノモナス属(Selenomonas)、セラチア属(Serratia)、シゲラ属(Shigella)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、ビブリオ属(Vibrio)、及びエルシニア属(Yersinia)からなる群から選択される属に属する、項目23に記載の栄養培地。
[項目25]
ゲル化剤が、寒天、ジェラン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アガロース、ポリアクリルアミド、及びリゾビウム種(Rhizobium sp.)(CNCM 番号:I-1809)により産生される多糖からなる群から選択される、項目1に記載の栄養培地。
[項目26]
トリプチケースソイ培地(TSM)、液状チオグリコレート培地(FTM)、シェドラー(Schaedler)培地、リソゲニー/レノックス(lysogeny/Lennox)(LB)ブロス、マンニトール酵母エキストラクトペプトンブロス、テリフィックブロスII、カタボライト抑制因子を含むスーパーオプティマルブロス(SOC)培地、ソーントン(Thornton)培地、ローウェンスタイン・ジェンセン(Lowenstein-Jensen)培地、サブロー(Sabouraud)デキストロース培地、D/E中和性培地、レフラー(Loeffler)培地、ナリジクス酸及びコリマイシン(ANC)培地、及び人工海水培地からなる群から選択される栄養物を更に含む、項目1に記載の栄養培地。
[項目27]
亜硫酸ビスマス寒天、チャップマン(Chapman)寒天、ミューラー・ヒントン(Mueller-Hinton)寒天(MHA)、血液寒天、マッコンキー(MacConkey)寒天、トリプチケースソイ寒天(TSA)、サブローデキストロース寒天(SDA)、リーズナー(Reasoner)の2A寒天(R2A)、ミューラー・ミラー(Mueller-Miller)亜テルル酸寒天、又はチンスダール(Tinsdale)亜テルル酸寒天に由来する栄養物を更に含む、項目1に記載の栄養培地。
[項目28]
栄養物が固体又は半固体である、項目1~27のいずれか一項に記載の栄養培地。
[項目29]
液体である、項目1~27のいずれか一項に記載の栄養培地。
[項目30]
多孔性マトリックス内に配置された、項目29に記載の栄養培地。
[項目31]
約pH3.0~約pH12.0のpH値を有する、項目1~30のいずれか一項に記載の栄養培地。
[項目32]
微生物の増殖を検出する方法であって、
(a)項目28に記載の栄養培地の表面を、適切な条件下でサンプルと接触させること、及び
(b)微生物の何らかの増殖を判定するために、表面を光学的に検出すること
を含む方法。
[項目33]
微生物が、アシネトバクター属、アスペルギルス属、バチルス属、バークホルデリア属、カンピロバクター属、カンジダ属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、デルフチア属、デルマコッカス属、大腸菌属、エクセロヒルム属、ヘリコバクター属、コクリア属、レジオネラ属、リステリア属、メチロバクテリウム属、ミクロコッカス属、マイコバクテリウム属、パエニバチルス属、ペニシリウム属、プロピオニバクテリウム属、シュードモナス属、ラルストニア属、サルモネラ属、セレノモナス属、セラチア属、シゲラ属、スタフィロコッカス属、ステノトロホモナス属、ストレプトコッカス属、ストレプトミセス属、ビブリオ属、及びエルシニア属からなる群から選択される属に属する、項目32に記載の方法。
[項目34]
光学的に検出することが、蛍光を検出することを含む、項目32に記載の方法。
[項目35]
ステップ(a)が、サンプルを含有する膜を表面と接触させることを含む、項目32に記載の方法。
[項目36]
ステップ(a)が、外部表面を、表面と接触させることを含む、項目32に記載の方法。
[項目37]
ステップ(a)が、空気を表面に接触させることを含む、項目32に記載の方法。
【外国語明細書】