(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025112066
(43)【公開日】2025-07-31
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20250724BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20250724BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250724BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20250724BHJP
【FI】
A47G9/10 T
A47G9/10 A
F21V33/00
F21Y115:10
F21Y115:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006136
(22)【出願日】2024-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】澤木 玲香
【テーマコード(参考)】
3B102
3K014
【Fターム(参考)】
3B102AA02
3B102AB07
3B102AC01
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】使い勝手がよい枕を提供する。
【解決手段】枕10は、発泡体層を有する枕本体12と、枕本体12の下面又は内部に形成された設置部14と、設置部14から枕本体12の上面及び/又は側面に貫通する第1通孔16及び第2通孔18と、設置部14に配置され、第1通孔16及び第2通孔18に向けて光を照射する照明部20とを備えている。枕10において、照明部20から照射した光が第1通孔16及び第2通孔18から漏れ出る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体層を有する枕本体と、
前記枕本体の下面又は内部に形成された設置部と、
前記設置部から前記枕本体の上面及び/又は側面に貫通する通孔と、
前記設置部に配置され、前記通孔に向けて光を照射する照明部と、を備える、枕。
【請求項2】
前記通孔として、長孔形状の第1通孔を有する請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記通孔として、前記第1通孔の長手方向に並べて配置され、前記第1通孔よりも長手方向の開口寸法が小さい第2通孔を有する請求項2に記載の枕。
【請求項4】
前記通孔は、前記枕本体の上面に開口し、
前記第1通孔の長手方向が、枕の横方向と交差する方向に延びる請求項2に記載の枕。
【請求項5】
前記通孔は、前記枕本体の上面において、枕の横方向中央から外れた位置に開口する請求項1に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寝た姿勢で読書を行うため、内側に照明灯を配置した枕が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の枕は、中空部分を有する箱状枕と、箱状枕の横に設けた蓋と、中空部分に配置された照明灯とを有している。特許文献1の枕は、横向きで読書するときは、蓋を開いて、照明灯からの直射光で本を照らして読み、上向きで読書するときは、蓋の内側に取り付けられた反射鏡に照明灯の光を反射させて本を読むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の枕は、光で照らす際に箱状枕の横側の蓋を開く必要があることから、使い勝手が悪い。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、使い勝手のよい枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る枕の第1態様は、
発泡体層を有する枕本体と、
前記枕本体の下面又は内部に形成された設置部と、
前記設置部から前記枕本体の上面及び/又は側面に貫通する通孔と、
前記設置部に配置され、前記通孔に向けて光を照射する照明部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る枕の第2態様は、前記第1態様において、
前記通孔として、長孔形状の第1通孔を有していてもよい。
【0008】
本発明に係る枕の第3態様は、前記第2態様において、
前記通孔として、前記第1通孔の長手方向に並べて配置され、前記第1通孔よりも長手方向の開口寸法が小さい第2通孔を有していてもよい。
【0009】
本発明に係る枕の第4態様は、前記第1態様、前記第2態様及び前記第3態様の何れか1つにおいて、
前記通孔は、前記枕本体の上面に開口し、
前記第1通孔の長手方向が、枕の横方向と交差する方向に延びていてもよい。
【0010】
本発明に係る枕の第5態様は、前記第1態様、前記第2態様、前記第3態様及び前記第4態様の何れか1つにおいて、
前記通孔は、前記枕本体の上面において、枕の横方向中央から外れた位置に開口していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る枕によれば、使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る枕を示す平面図である。
【
図8】変更例の枕の一部を分解して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る枕につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【実施例0014】
図1に示すように、実施例に係る枕10は、発泡体層を有する枕本体12と、枕本体12の下面に形成された設置部14と、設置部14から枕本体12の上面に貫通する通孔16,18と、設置部14に配置され、通孔16,18に向けて光を照射する照明部20とを備えている。また、実施例の枕10は、枕本体12の下面に配置されたシート26を備えている。実施例の枕10は、使用者の頭を載せるものであり、特に断りがない場合、人が使用する際に身長の方向になる向きを縦方向といい、人が使用する際に肩幅の方向になる向きを横方向という。また、枕10の使用時に上下方向になる向きを厚み方向という。
【0015】
枕本体12の形状は、枕10として機能する形状であればよく、特に限定されない。なお、実施例の枕本体12は、使用者の頭を載せるために適した形に形成されている。
図2及び
図3に示すように、枕本体12は、横方向の両縁部で高く(厚く)、頭が載置される横方向中央部で低く(薄く)形成されている。
図4に示すように、枕本体12は、縦方向の両縁部で高く(厚く)、頭が載置される縦方向中央部で低く(薄く)形成されている。
【0016】
枕本体12は、発泡体層のみ、又は、発泡体層と繊維など発泡体以外の材料とを組み合わせて形成される。実施例の枕本体12は、全体が発泡体層で形成されている。発泡体層としては、ポリウレタンフォームで形成すると、軽量で物性を制御し易いことから望ましいが、これに限らず、ポリエチレンなどのオレフィンフォームやゴムの発泡体であってもよい。また、発泡体としては、特に限定するものではないが、反発弾性率が20%以下(JIS K 6400準拠)の所謂低反発のものが好ましい。低反発発泡体としては、より好ましくは、反発弾性率が0より大きく20%以下で、硬さが20N~100N、密度が30kg/m3~100kg/m3、圧縮残留歪が1%~10%(物性値は何れもJIS K 6400準拠)のポリウレタンスラブ発泡体又はモールド発泡体が挙げられる。
【0017】
図5に示すように、設置部14は、枕本体12の下面に凹状に形成されている。設置部14は、枕本体12の下面において、枕本体12の横方向中央から外れた位置に配置されている。実施例において、2つの設置部14が、枕本体12の横方向中央を挟んで左右に別れて形成されている。また、設置部14は、照明部20の外形に合わせた形状で形成されている。具体的には、実施例の設置部14は、平面視にて縦長の長方形状の照明部20の外形に合わせて、縦長の長方形状に形成されている(
図1参照)。
【0018】
図1に示すように、枕本体12は、照明及び通気用の通孔として、第1通孔16と、第1通孔16よりも開口面積が小さい第2通孔18とを有している。これらの通孔16,18は、枕本体12の上面において、枕本体12の横方向中央から外れた位置に開口している。実施例の枕10は、枕本体12の横方向中央から右側に離して配置された右側の通気孔16,18と、枕本体12の横方向中央から左側に離して配置された左側の通気孔16,18とを有している。また、横方向中央が底になる凹形状になっている枕本体12の上面において、通気孔16,18は、凹形状の底から左右にずれた位置に配置されている。
【0019】
図1に示すように、第1通孔16は、長孔形状である。ここで、長孔形状としては、実施例のように直線によって接続された2つの円弧で構成される開口形状が挙げられるが、これに限らず、例えば長方形や楕円など、一方がこの一方と直交する他方よりも長い開口形状であってもよい。実施例において、複数の第1通孔16が、枕本体12の上面における左右の側部のそれぞれに配置されており、第1通孔16が枕本体12の横方向中央部に設けられていない。第1通孔16は、枕本体12の上面において、横方向中央から外れた位置に開口している。また、第1通孔16は、枕本体12の厚み方向へ直線状に延びて、枕本体12の下面に凹状に形成された設置部14の上面(天井面)に開口している(
図2~
図4参照)。
【0020】
第1通孔16の長手方向が、枕10の横方向と交差する方向に延びている。より具体的には、第1通孔16において枕本体12の表面側にあく開口形状の長手方向が、枕本体12の横方向中央部側から横方向外側に向かうにつれて縦方向(使用者の頭頂方向(実施例)又は首方向)に傾くように延びている。
【0021】
図2~
図4に示すように、第1通孔16の開口面積は、実施例のように枕本体12の厚み方向において同じであってもよいが、これに限らない。例えば、第1通孔16は、枕本体12の下側(設置部14側)から上側(設置部14と反対側)に向かうにつれて開口面積を大きくすることで、設置部14側の開口面積よりも枕本体12の表面側の開口面積を大きくしてもよい。また、第1通孔16は、枕本体12の下側(設置部14側)から上側(設置部14と反対側)に向かうにつれて開口面積を小さくすることで、設置部14側の開口面積よりも枕本体12の表面側の開口面積を小さくしてもよい。
【0022】
図1に示すように、枕本体12は、第1通孔16の長手方向に並べて配置された第2通孔18を有している。第2通孔18は、第1通孔16よりも長手方向の開口寸法が小さく形成されており、実施例の第2通孔18は、縦横の開口寸法が同じである。具体的には、実施例の第2通孔18は、丸孔形状である。また、実施例において、複数の第2通孔18が、枕本体12の上面における左右の側部のそれぞれに配置されており、第2通孔18が枕本体12の横方向中央部に設けられていない。第2通孔18は、枕本体12の上面において、横方向中央から外れた位置に開口している。また、第2通孔18は、枕本体12の厚み方向に沿って直線状に延びて、枕本体12の下面に凹状に形成された設置部14の上面(天井面)に開口している(
図2~
図5参照)。
【0023】
図2~
図4に示すように、第2通孔18の開口面積は、実施例のように枕本体12の厚み方向において同じであってもよいが、これに限らない。例えば、第2通孔18は、枕本体12の下側(設置部14側)から上側(設置部14と反対側)に向かうにつれて開口面積を大きくすることで、設置部14側の開口面積よりも枕本体12の表面側の開口面積を大きくしてもよい。また、第2通孔18は、枕本体12の下側(設置部14側)から上側(設置部14と反対側)に向かうにつれて開口面積を小さくすることで、設置部14側の開口面積よりも枕本体12の表面側の開口面積を小さくしてもよい。
【0024】
特に限定するものではないが、通孔16,18の最も短い開口寸法を、4mm以上にすることが好ましく、このようにすることで、枕10の使用時に圧縮により通孔16,18が塞がり難くなり、光透過性及び放熱のための通気性を確保できると共に、通孔16,18を簡単に形成できる。
【0025】
図1に示すように、枕本体12は、前述した通孔16,18とは別に、枕本体12を厚み方向に貫通する第1通気孔22と、枕本体12を横方向に貫通する第2通気孔24とを有している。実施例において、複数の第1通気孔22が、枕本体12の横方向中央部に配置されている。そのため、複数の第1通気孔22が、枕本体12の上面において、横方向中央から外れた位置に配置された複数の通孔16,18の間に開口している。換言すると、通孔16,18は、第1通気孔22が設けられた枕本体12の中央部よりも左側又は右側に配置されている。第2通気孔24は、水平方向に延びており、枕本体12の左右の側面に開口している。第2通気孔24は、横方向の途中において重なる一部の第1通孔16、第2通孔18及び第1通気孔22に繋がっている(
図2及び
図4参照)。
【0026】
照明部20としては、有機EL(有機エレクトロ・ルミネッセンス(Electro Luminescence))、LED(Light Emitting Diode)、電球、蛍光灯などの光源を有する公知の照明器具が挙げられ、この中でも、ブルーライトなどの睡眠に悪影響を与える光が少ない有機ELを光源とする照明部20が好ましい。また、有機ELは、光を照射した際に発生する熱を面状に放熱できる利点もある。
【0027】
図2~
図4に示すように、照明部20は、設置部14における通孔16,18が開口する上面に当接させた状態で配置されている。また、照明部20は、設置部14に嵌め込まれて取り付けられている。前述したように、設置部14が照明部20の外形に合わせて形成されているので、設置部14に配置した照明部20と設置部14とが当接している。
図1に示すように、照明部20は、コード28を介して電源30に接続され、使用者が操作部32を操作することで、点灯、調光又は消灯するように制御可能である。
【0028】
図2~
図4に示すように、シート26は、設置部14に配置した照明部20を位置決めするため、枕本体12の下面に配置されている。シート26としては、通気性を有するものが用いられ、例えば織布や不織布などの布地が挙げられる。
【0029】
前述した枕10は、袋状などのカバー(図示せず)で外面を覆うようにしてもよい。カバーとしては、通気性及び光透過性を有するものが好ましく、例えば織布などの布地が挙げられる。
【0030】
前述した枕10は、操作部32をON操作して枕本体12の設置部14に配置した照明部20を点灯すると、照明部20から照射された光が、設置部14から枕本体12の上面に貫通する通孔16,18を通って枕本体12の上面に漏れる。これにより、枕本体12の上面において、通孔16,18及び通孔16,18の周辺が発光するので、枕10自体をナイトライトやベッドサイドライトなどのように用いることができる。前述した枕10によれば、照明部20の光を通孔16,18に通して枕本体12の上面(表面)を発光させることができることから、照明として用いる場合であっても枕10として用いる場合であっても、照明用の開口を開閉するなどの特段の手間がかからず、使い勝手がよい。ここで、枕10において、通孔16,18が枕本体12の上面における横方向中央から外れた位置に開口しているので、頭を載せた場合であっても、通孔16,18が頭から外れる。
【0031】
枕10は、枕本体12が発泡体層を有しているので、発泡体特有の断熱性によって、照明部20が発する熱を、使用者に伝え難くすることができる。また、枕本体12が発泡体層を有していても、通孔16,18が設置部14から枕本体12の上面に貫通しているので、設置部14に配置された照明部20が発する熱を通孔16,18から枕10の外に逃がすことができる。実施例の枕10は、一部の通孔16,18が、枕本体12の側面に開口する第2通気孔24に繋がっているので、通孔16,18だけでなく第2通気孔24からも、設置部14に配置された照明部20が発する熱を枕10の外に逃がすことができる。
【0032】
枕10は、長孔形状の第1通孔16を枕本体12に有しているので、第1通孔16の一方の長尺な幅によって照明部20の光及び熱を通過し易くできる開口面積を確保できる。一方で、第1通孔16は、他方の幅が狭くなっているので、使用者に第1通孔16の存在を判り難くすることができる。
【0033】
枕10は、第1通孔16の長手方向に並べて配置され、第1通孔16よりも長手方向の開口寸法が小さい第2通孔18を有していることで、複数の第1通孔16が長手方向に並ぶ場合よりも枕本体12の強度低下を抑えることができる。また、枕10は、第1通孔16と、第1通孔16よりも開口面積が小さい第2通孔18とを有していることで、例えばナイトライトなどとして眩しくない適度な光をバランスよく通過させることができる。
【0034】
枕本体12の上面に開口する第1通孔16の長手方向が、枕10の横方向と交差する方向に延びていると、使用者が寝返りなど、姿勢を変えた場合であっても、長孔形状の第1通孔16を潰れ難くすることができる。
【0035】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施形態及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)実施例の設置部は枕本体の下面に形成したが、これに限らず、
図6~
図8に示すように枕本体12の内部に設置部14を形成してもよい。
(2)実施例の通孔は設置部から枕本体の上面に貫通するように形成したが、これに限らず、
図6~
図8に示すように通孔16,18を設置部14から枕本体12の側面に貫通するように形成してもよい。また、設置部から枕本体の上面及び側面に貫通する通孔を備えていてもよく、設置部から枕本体の上面に貫通する通孔と設置部から枕本体の側面に貫通する通孔とを備えていてもよい。
(3)枕本体における通孔の配置範囲は、実施例に限らず、適宜変更可能である。
(4)実施例では長孔形状の第1通孔と第1通孔よりも開口面積が小さい第2通孔とを有しているが、これに限らず、第1通孔のみ又は第2通孔のみであってもよい。
(5)実施例では、使用者の頭を載せる枕を例示したが、これに限らず、例えば、抱き枕や、頭以外を載せる足枕などであってもよい。