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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025112345
(43)【公開日】2025-08-01
(54)【発明の名称】療養指導支援装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20250725BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006503
(22)【出願日】2024-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伴 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大崎 高伸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】野山 駿介
(72)【発明者】
【氏名】荒川 正之
(72)【発明者】
【氏名】古川 大地
(72)【発明者】
【氏名】田浦 善弘
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】
複数の医療機関から依頼される患者に対する療養指導をより効率的に管理することを課題とする。
【解決手段】
複数の医療機関3により利用される複数の医療機関端末30から、該当の医療機関3が依頼する療養指導の内容を示す複数の指示箋情報を取得する入力部15と、前記複数の指示箋情報を突き合せて、患者2への前記複数の医療機関からの療養指導に対する調整の必要性を判定し、前記調整が必要と判定された場合、当該複数の指示箋情報を用いて、療養指導案を作成する指導内容調整部11と、前記患者に対する前記療養指導案を含む確認要求を出力する出力部16を有し、前記入力部15は、前記確認要求に対する患者の回答である確認結果を受け付け、前記出力部16は、前記回答に応じて、前記確認結果を、前記複数の医療機関端末30の少なくともいずれかに送信する療養指導支援装置10。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療機関および複数の患者における療養指導を行う療養指導機関での療養指導を支援する療養指導支援装置において、
前記複数の医療機関により利用される複数の医療機関装置から、該当の医療機関が依頼する療養指導の内容を示す複数の指示箋情報を取する入力部と、
前記複数の指示箋情報を突き合せて、前記患者への前記複数の医療機関からの療養指導に対する調整の必要性を判定し、前記調整が必要と判定された場合、当該複数の指示箋情報を用いて、療養指導案を作成する指導内容調整部と、
前記患者に対する前記療養指導案を含む確認要求を出力する出力部を有し、
前記入力部は、前記確認要求に対する患者の回答である確認結果を受け付け、
前記出力部は、前記回答に応じて、前記確認結果を、前記複数の医療機関装置の少なくともいずれかに送信する療養指導支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の療養指導支援装置において、
前記出力部は、前記患者が利用する患者端末に、前記確認要求を送信し、
前記入力部は、前記患者端末から前記確認結果を受け付ける療養指導支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の療養指導支援装置において、
前記指導内容調整部は、前記複数の医療機関が依頼する療養指導の重複を判定する療養指導支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の療養指導支援装置において、
前記指導内容調整部は、重複する療養指導を依頼した医療機関から、前記患者に対する療養指導についての主たる医療機関を特定する療養指導支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の療養指導支援装置において、
さらに、前記主たる医療機関に対する費用請求処理を行う費用請求調整部を有する療養指導支援装置。
【請求項6】
請求項2に記載の療養指導支援装置において、
前記指導内容調整部は、前記療養指導案として、第1の療養指導案および第2の療養指導案を作成し、
前記出力部は、前記患者端末に、前記第1の療養指導案および前記第2の療養指導案を送信し、
前記入力部は、前記患者端末から、前記第1の療養指導案および前記第2の療養指導案の選択結果を受信する療養指導支援装置。
【請求項7】
複数の医療機関および複数の患者における療養指導を行う療養指導機関での療養指導を支援する療養指導支援装置による療養指導支援方法において、
入力部が、前記複数の医療機関により利用される複数の医療機関装置から、該当の医療機関が依頼する療養指導の内容を示す複数の指示箋情報を取得し、
指導内容調整部が、前記複数の指示箋情報を突き合せて、前記患者への前記複数の医療機関からの療養指導に対する調整の必要性を判定し、前記調整が必要と判定された場合、当該複数の指示箋情報を用いて、療養指導案を作成し、
出力部が、前記患者に対する前記療養指導案を含む確認要求を出力し、
前記入力部が、前記確認要求に対する前記患者の回答である確認結果を受け付け、
前記出力部が、前記回答に応じて、前記確認結果を、前記複数の医療機関装置の少なくともいずれかに送信する療養指導支援方法。
【請求項8】
請求項7に記載の療養指導支援方法において、
前記出力部が、前記患者が利用する患者端末に、前記確認要求を送信し、
前記入力部が、前記患者端末から前記確認結果を受け付ける療養指導支援方法。
【請求項9】
請求項7に記載の療養指導支援方法において、
前記指導内容調整部が、前記複数の医療機関が依頼する療養指導の重複を判定する療養指導支援方法。
【請求項10】
請求項9に記載の療養指導支援方法において、
前記指導内容調整部が、重複する療養指導を依頼した医療機関から、前記患者に対する療養指導についての主たる医療機関を特定する療養指導支援方法。
【請求項11】
請求項10に記載の療養指導支援方法において、
さらに、費用請求調整部が、前記主たる医療機関に対する費用請求処理を行う療養指導支援方法。
【請求項12】
請求項8に記載の療養指導支援方法において、
前記指導内容調整部が、前記療養指導案として、第1の療養指導案および第2の療養指導案を作成し、
前記出力部が、前記患者端末に、前記第1の療養指導案および前記第2の療養指導案を送信し、
前記入力部が、前記患者端末から、前記第1の療養指導案および前記第2の療養指導案の選択結果を受信する療養指導支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に対する療養指導を実施、支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、患者が医療機関等で診断や診察の他、療養指導を受診することが行われている。例えば、糖尿病の患者(含む予備群)に対し、疾患の説明、在宅での治療方法や生活習慣など各種療養についての指導が行われている。
【0003】
このような療養指導そのものについては、非特許文献1に開示されている。非特許文献1には、患者が医療機関を受診する際、医師からの診察や治療に加えて、疾患の説明や在宅での治療方法などを看護師などの医師以外の医療従事者から説明を受ける療養指導について記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、栄養療法や健康療法を支援するためIT技術として、双方向健康管理システムに記載されている。具体的には、特許文献1では、「双方向の医療情報配信とサポートにより、栄養療法・運動療法を行っている個人に対し「気付き」を触発する刺激を与えて栄養療法・運動療法を継続させる」ことを課題としている。この課題を解決するために、特許文献1には、「栄養管理・運動管理・簡単な介護ケア管理を行なうための健康管理プログラムを作成して患者の情報端末装置1に配信し、前記健康管理プログラムに基づいて、患者は、毎食の食事メニューを選択メニューの中から選択し、選択が困難なものについては料理をデジタルカメラで写すことで栄養管理を行い、運動量測定モニターを常時携帯し記録することで運動管理を行い、データ管理センターは、データ管理センターのサーバ4から患者が栄養管理・運動管理を行っている期間中に患者に自己管理の継続を触発する刺激を与える」双方向健康管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「糖尿病受診中断対策包括ガイド」作成ワーキンググループ、「糖尿病受診中断対策マニュアル」 平成28年5月https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/07/dm_jushinchudan_manual_e.pdf
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-222266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、療養指導はそれなりの時間と労力を必要とし、医療従事者の数も限られているため、全ての患者にきめ細かく実施することは困難である。この困難性の例として、以下の課題が存在する。
【0008】
例えば、患者が複数の医療機関を受診している場合、各々の医療機関で療養指導を行うと、他の医療機関での治療状況を直接把握することは非常に困難である。このため、指導内容との整合性を取ることが難しく、患者に対して適切な指導実施が困難である。
【0009】
また、例えば、健康保険事業における保険者にとって指導内容が重複している医療費支払いは本来不必要なものである。このため、保険者は、実施された療養指導に対する費用請求や支払い先を判断する必要が生じる。あるいは、保険者にとって指導内容が重複している医療費支払い請求は不必要な支払いであり、査定を含む費用請求処理が必要となる。
【0010】
またさらに、例えば、帰宅後の患者の在宅での治療中の状態を把握することは重要であるが、療養指導の実施者の時間や労力が課題となり、多くの患者への指導が困難である。
【0011】
以上のように、非特許文献1や特許文献1によれば、きめ細やかな療養指導を効率的に実現することが困難であった
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明では、複数の医療機関および複数の患者における療養を管理する療養指導機関での療養指導を支援する。療養指導の支援においては、各医療機関で依頼する療養指導の内容を把握し、把握した内容に応じて、療養指導を調整する。
【0013】
より具体的には、複数の医療機関および複数の患者における療養指導を行う療養指導機関での療養指導を支援する療養指導支援装置において、前記複数の医療機関により利用される複数の医療機関装置から、該当の医療機関が依頼する療養指導の内容を示す複数の指示箋情報を取得する入力部と、前記複数の指示箋情報を突き合せて、前記患者への前記複数の医療機関からの療養指導に対する調整の必要性を判定し、前記調整が必要と判定された場合、当該複数の指示箋情報を用いて、療養指導案を作成する指導内容調整部と、前記患者に対する前記療養指導案を含む確認要求を出力する出力部を有し、前記入力部は、前記確認要求に対する前記患者の回答である確認結果を受け付け、前記出力部は、前記回答に応じて、前記確認結果を、前記複数の医療機関装置の少なくともいずれかに送信する療養指導支援装置である。
【0014】
また、本発明には、療養指導支援装置による療養指導支援方法や療養指導支援装置をコンピュータとして機能させるためのプログラムやこれを格納した記憶媒体も含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の医療機関から依頼される患者に対する療養指導をより効率的に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における療養指導機関1を含む療養指導の概要を示す図である。
図2】実施例1における療養指導支援システム100のシステム構成図である。
図3】実施例1における療養指導支援装置10の実装例を示す構成図である。
図4】実施例1で用いられる療養指導サービスマスタ109を示すである。
図5】実施例1で用いられる医療機関・主治医マスタ110を示す図である。
図6】実施例1で用いられる患者マスタ111を示す図である。
図7】実施例1で用いられる指導者マスタ112を示す図である。
図8】実施例1で用いられる療養指導運用マスタ113を示す図である。
図9】実施例1で用いられる患者別療養指導運用テーブル114を示す図である。
図10】実施例1で用いられる指導者別療養指導運用テーブル115を示す図である。
図11】実施例1で用いられる中断対応管理マスタ116を示す図である。
図12】実施例1で用いられる指示箋テーブル117を示す図である。
図13】実施例1における処理の内容を示すシーケンス図である。
図14】実施例1における重複処理(ステップS11)の詳細処理フローを示すフローチャートである。
図15】実施例1において、療養指導の依頼元が変更された場合に更新された患者別療養指導運用テーブル114-3を示す図である。
図16】実施例1において、療養指導の依頼元が変更された場合に更新された指導者別療養指導運用テーブル115-3を示す図である。
図17】実施例1における結果通知処理および費用請求処理(ステップS16およびステップS17)の詳細処理フローを示すフローチャートである。
図18】実施例1で用いられる実施報告テーブル118を示す図である。
図19】実施例2における療養指導機関1を含む療養指導の概要を示す図である。
図20】実施例2における療養指導支援システム100のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態では、医療機関からの患者に対する療養指導の実施や管理を行う療養指導機関1を設けた。まず、療養指導機関1を含む療養指導に関与する関与者・組織やそのスキームについて説明する。図1は、本実施形態における療養指導機関1を含む療養指導の概要を示す図である。
【0018】
療養指導機関1は、医療機関(医療機関A3-a、医療機関B3-b、医療機関C3-c)からの依頼等に応じて、患者(患者A2a、患者B2b)に対して、療養指導に関する提案等を行う。以下、これらの具体的な内容を、図1を参照して説明する。まず、療養指導機関1は、医療機関A3-a、医療機関B3-bおよび医療機関C3-cのそれぞれから療養指導の指導依頼(指示箋)を受け付ける。
【0019】
これらを受け、療養指導機関1は、各患者に対する指示箋の内容に基づき、療養指導の内容を調整する。このために、療養指導機関1は、ある患者に対する複数の医療機関の指導内容もしくは療養指導の内容が重複、矛盾などが存在し、調整の必要性を判定する。この結果、調整が必要な場合、療養指導機関1は調整を行う。
【0020】
この調整においては、療養指導機関1は、対象の患者に、調整の必要性および調整された療養指導のうち少なくとも一方の確認要求を行い、これへの回答に応じて各種療養指導を行うことが望ましい。そして、療養指導機関1は、調整された療養指導を行う。以下、その内容を、図1を参照して例示する。まず、療養指導機関1は、患者A2aに対して、調整された療養指導として、受診勧奨、食事指導および患者教育を行う。ここで、受診勧奨とは、医療機関への受診を勧奨することを示す。また、食事指導とは、糖尿病等生活習慣病の患者に対する食事の指導を示す。また、患者教育とは、患者に対する疾患の発症や重症化、食事や運動などの生活習慣や治療内容など、疾患に関わる教育を示す。
【0021】
また、図1において、療養指導機関1は、患者B2-bに対し、受診勧奨や地域事業者6を介した運動指導を実現する。ここで、地域事業者6とは、療養指導を実施可能な個人、組織であり、かかりつけ医などの医療機関、訪問介護ステーション、自治体などが含まれる。ここで、地域事業者6は、療養指導機関1からの調整された指導依頼を受け付け、これに応じて患者B2-bに対して、運動指導を行う。そして、地域事業者6は、患者B2-bに対する運動指導に対する報告を行う。これを受け、療養指導機関1は、地域事業者6に対し、運動指導に対する報酬の支払いを行う。
【0022】
以上のように、各患者に対する療養指導が実施されると、療養指導機関1は、各医療機関に対して、療養指導についての報告および報酬の請求を行う。これを受けて、各医療機関は、国保連合会といった審査支払機関4に、療養指導についての報告および報酬の請求を行う。
【0023】
そして、審査支払機関4は、国保、共済組合等の健康保険の経営主体である保険者5に対して、療養指導についての報告および報酬の請求を行う。これを受けて、保険者5は、これらに対する審査を行い、各医療機関への支払いを行う。審査支払機関4から保険者5への報告および報酬の請求は、療養指導に関連する各医療機関で実施された治療、診察等の医療行為に対する物を含めてもよい。
【0024】
また、各医療機関は、保険者5からの報酬の支払いを受けて、療養指導機関1に、療養指導に対する報酬の支払いを行う。さらに、療養指導機関1は、地域事業者に対して、患者B2-bに対する運動指導についての報酬を支払う。以上で、本実施形態におけるスキームの説明を終わるが、本実施形態では、患者に対して、複数の医療機関の指導内容もしくは療養指導の内容に調整の必要性を判定し、この結果に応じて調整を行うことで、より適切な療養指導を実現する。なお、本実施形態での患者は、療養指導の対象者であり投薬治療前であってもよい。以上で、本実施形態を実現するための具体例である各実施例について説明する。
【実施例0025】
まず、実施例1について説明する。図2は、実施例1における療養指導支援システム100のシステム構成図である。図2において、療養指導支援システム100は、療養指導支援装置10が、各医療機関端末30-a~30-cや各患者端末20-aおよび患者端末20-bなどの各種装置と接続されている。
【0026】
ここで、療養指導支援装置10の構成について説明する。療養指導支援装置10は、指導内容調整部11、費用請求調整部12、療養指導管理部13、中断対応管理部14、入力部15、出力部16および記憶部17を有する。
【0027】
まず、指導内容調整部11は、医療機関端末30-a~30-cからの指示箋情報を突き合せて、複数の患者それぞれへの療養指導に対する調整を実行する。このために、指導内容調整部11は、調整の必要性を判定する。この調整の必要性を判定するために、指導内容調整部11は、指示箋情報における療養指導の重複や矛盾などの有無を判定する。そして、指導内容調整部11は、調整の必要性がある場合、調整を実行する。なお、指導内容調整部11は、該当の患者が利用する患者端末からの調整に対する確認要求への回答を条件に、調整処理を実行してもよい。この結果、図1で説明したように、療養指導機関1が、患者A2-aや患者B2-bに対する受診勧奨などを実現できる。
【0028】
またさらに、指導内容調整部11は、複数の医療機関端末30-a~30-cのうち、調整が必要な療養指導を依頼している医療機関から主たる医療機関を特定する。例えば、療養指導を依頼する医療機関が一つの場合、当該医療機関が主たる医療機関である。同時に複数の医療機関から療養指導の依頼を受ける場合、あるいはある医療機関の依頼で療養指導を実施している患者に、当該医療機関とは異なる他の医療機関から新たな療養指導の依頼を受ける場合、指導内容の調整と主たる医療機関の特定を行う。
【0029】
例えば、重複ないし矛盾する療養指導を依頼している医療機関から主たる医療機関を特定する。例えば、指導内容調整部11は、依頼された療養指導の内容に応じて主たる医療機関を特定してもよいし、医療機関の属性に応じて主たる医療機関をしてもよい。
【0030】
ここで、療養指導に応じて主たる医療機関を特定する場合、例えば、療養指導が重複する場合、該当の療養指導についての医療行為が最も進捗している医療機関、最も遅く患者が受診した医療機関を主たる医療機関として特定できる。また、療養指導が矛盾する場合、対象の患者の病状から最適と推定できる療養指導を依頼している医療機関を特定できる。また、医療機関の属性に応じて主たる医療機関を特定する場合、医療機関の規模、医療従事者の人数、専門分野などに応じて特定できる。さらに、指導内容調整部11は、確認要求に対する該当の患者が利用する患者端末からの回答に応じて、主たる医療機関を特定してもよい。また、指導内容調整部11の調整処理には、療養指導の中断や中止することも含まれる。
【0031】
なお、主たる医療機関とは、以降に対象の患者に対する管理、医療行為を行う医療機関を示す。この中には、該当の患者についての療養指導の依頼、つまり、指示箋情報の発行を行うことも含まれる。
【0032】
また、費用請求調整部12は、調整された療養指導に対する報酬の請求を調整する。この調整には、報酬の算出や請求先の特定が含まれる。また、例えば、費用請求調整部12は、特定された主たる医療機関に対して限定的に報酬の請求処理を行う。また、療養指導管理部13は、調整された療養指導を管理する。この管理には、療養指導の調整の結果、変更される各種情報、テーブルの更新が含まれる。
【0033】
また、中断対応管理部14は、療養指導の中断に関する管理処理を行う。例えば、中断対応管理部14は、中断された診察や療養指導を再開したり、中止したりする。このために、中断対応管理部14は、中断された診察や療養指導の患者の治療などの各種状況を把握する。また、医療機関、療養指導機関やこれらの関係者(医療従事者や指導者)の都合などの状況で、診察や療養指導が中断された場合、中断対応管理部14は、その原因となった状況を把握する。なお、療養指導が医療機関での診察とリンクしているため、ここでは、診察と療養指導の双方を中断対応管理部14の対象としてもよいし、いずれか一方を対象としてもよい。また、診察以外の各種医療行為を対象としてもよい。
【0034】
また、入力部15は、上述の指導内容調整部11~中断対応管理部14で用いる情報(例えば、中断の原因となった状況)を受け付けたり、取得したりする。この取得等は、他の装置からの情報の受信や利用者からの入力に基づく取得が含まれる。
また、出力部16は、上述の指導内容調整部11~中断対応管理部14での処理結果を出力する。この出力には、他の装置への送信や利用者に対する表示が含まれる。
【0035】
さらに、記憶部17は、各種マスタや各種テーブルといった情報を記憶する。これらは、指導内容調整部11~中断対応管理部14での処理に用いられたり、その結果として作成、更新されたりする。
【0036】
なお、療養指導支援装置10は、指導者端末10aと接続する。そして、指導者端末10aは、療養指導を実施する指導者により利用される。そして、指導者は、指導者端末10aを介して、療養指導支援装置10の機能を利用できる。例えば、指示箋情報を確認したり、療養指導の結果の報告を入力したりできる。また、指導者端末10aは、PC、タブレット、スマートフォンなどのコンピュータで実現される。なお、指導者端末10aと療養指導支援装置10は1つのコンピュータで実現してもよい。
【0037】
また、医療機関端末30-a~30-cは、それぞれ医療機関A3-a~医療機関C3-cにより利用される医療機関装置の一例である。そして、これらは各利用者(医療従事者)からの入力を受け付けたり、出力したりする機能を有し、PC、タブレット、スマートフォンなどのコンピュータで実現される。また、医療機関端末30-cは、医療機関C3-cの院内システム300-cを介して、療養指導支援装置10と接続する。また、院内システム300-cは、医療機関C3-cでの医療業務を管理するために用いられる情報処理システムであり、サーバやネットワークなどで実現できる。なお、各医療機関での医療機関端末は複数台であってもよい。
【0038】
また、患者端末20-aおよび患者端末20-bは、各患者A2-aおよび患者B2-bにより利用される。そして、これらはそれぞれ、各利用者(患者)からの入力を受け付けたり、出力したりする機能を有し、PC、タブレットなどのコンピュータで実現される。
【0039】
また、地域事業者システム60は、地域事業者6で用いられる情報処理システムであり、単体のコンピュータもしくは複数台のコンピュータやネットワークで実現できる。なお、これら療養指導支援システム100の各装置は、インターネットのような広域ネットワークを含む各種ネットワークを介して互いに接続される。以上で、療養指導支援システム100の説明を終わり、療養指導支援装置10の実装例について説明する。
【0040】
図3は、実施例1における療養指導支援装置10の実装例を示す構成図である。実施例1では、療養指導支援装置10をプログラムに従って処理を実行するサーバで実現する。このため、療養指導支援装置10は、処理装置101、通信装置102、主記憶装置103および副記憶装置104を有し、これらが互いに通信路を介して接続されている。
【0041】
ここで、処理装置101は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する各種プログラムに従って演算を実行する。通信装置102は、ネットワーク70と接続するインタフェース機能を有し、図2の入力部15および出力部16に該当する。なお、ネットワーク70は、図2の医療機関端末、患者端末、院内システム300-cや地域事業者システム60と接続しており、この結果、療養指導支援装置10はこれら各装置と通信可能となる。
【0042】
また、主記憶装置103は、いわゆるメモリで実現可能であり、処理装置101での演算のためにプログラムやこのプログラムでの処理で用いられる情報が展開される。また、副記憶装置104は、ハードディスクドライブ等のストレージで実現でき、プログラムや各種情報(マスタ、テーブル)を記憶する。このように、副記憶装置104は、図2の記憶部17に相当する。
【0043】
ここで、主記憶装置103は、プログラムとして、指導内容調整プログラム105、費用請求調整プログラム106、療養指導管理プログラム107および中断対応管理プログラム108を記憶する。
【0044】
なお、上述の各プログラムは、図2の各部と以下の対応関係を有する。
指導内容調整プログラム105:指導内容調整部11
費用請求調整プログラム106:費用請求調整部12
療養指導管理プログラム107:療養指導管理部13
中断対応管理プログラム108:中断対応管理部14
つまり、処理装置101は、指導内容調整プログラム105、費用請求調整プログラム106、療養指導管理プログラム107および中断対応管理プログラム108に従って、指導内容調整部11、費用請求調整部12、療養指導管理部13および中断対応管理部14の処理を実行する。
【0045】
また、各プログラムは、ネットワーク70を介して配信されたり、記憶媒体に記憶されたりして、療養指導支援装置10にインストールされる。また、各プログラムはそれぞれが独立したプログラムでなく、それぞれで1つのプログラムを構成モジュールで実現できる。
【0046】
また、主記憶装置103は、実施例1で用いられる情報であるマスタおよびテーブルとして、療養指導サービスマスタ109、医療機関・主治医マスタ110、患者マスタ111、指導者マスタ112、療養指導運用マスタ113、患者別療養指導運用テーブル114、指導者別療養指導運用テーブル115、中断対応管理マスタ116、指示箋テーブル117および実施報告テーブル118を記憶する。
【0047】
以下、これら各情報について、説明する。図4は、実施例1で用いられる療養指導サービスマスタ109を示すである。療養指導サービスマスタ109は、療養指導の内容を示し基礎となるデータであり、ある。実施例1の療養指導サービスマスタ109は、図4に示すように、SID、種別ID、重複管理方法、保険対象、サービス名、サービス事業者、サービス概要、所在地、電話番号、リモート対応、登録日および廃止日の各項目を有する。
【0048】
まず、SIDは、療養指導を識別する項目である。種別IDは、療養指導の種別を識別する項目であり、例えば図4に示すような種別を用いることができる。つまり、種別として、栄養食事指導、運動指導、服薬指導、疾患別リハビリ指導、酸素療法指導、受診勧奨(通院サポート)およびその他の各項目を用いることができる。
【0049】
また、重複管理方法は、複数の医療機関からの指示箋情報の療養指導に重複確認が必要かを判定するための項目である。本項目が0の場合、重複確認は不要であり、1の場合、重複確認は必要であることを示す。なお、重複管理方法は、療養指導の調整の必要性を判定するための項目の一例であり、他に矛盾の確認が必要かを判定するための項目を用いてもよい。なお、療養指導の調整の必要性を判定するための項目については、重複および矛盾といったように複数の項目を設けてもよい。
【0050】
また、保険対象は、健康保険の対象であるかを判定するための項目であり、本項目が0の場合、対象外であり、1の場合、対象であることを示す。また、サービス名は、療養指導の名称を示す項目である。また、サービス概要は、該当の療養指導の内容(概要)を示す項目である。また、サービス事業者は、療養指導を行う主体者を示す。図4の例では、自社実施の他、A社およびB社が示される。ここで、自社とは、図1に示す療養指導機関1を示す。また、所在地および電話番号はそれぞれ、サービス事業者の所在地および電話を示す項目である。
【0051】
また、リモート対応は、該当の療養指導について、リモート対応が可能かを示す項目であり、本項目において0が不可を、1がリモート(遠隔実施)のみ可、2がリモートおよび対面対応のいずれもが可能であることを示す。また、登録日は、該当の療養指導が開始する日時や該当レコードが登録された日時を示す項目である。さらに、廃止日は、該当の療養指導のサービス自身が廃止された日時を示す項目である。
【0052】
次に、図5は、実施例1で用いられる医療機関・主治医マスタ110を示す図である。医療機関・主治医マスタ110は、各医療機関およびこれに勤務し患者の主治医もしくは主治医になり得る医師(以下、単に主治医)を管理するためのマスタデータである。実施例1では、図5に示すように医療機関・主治医マスタ110は、医療機関マスタ110-1および主治医マスタ110-2で構成されるが、これらは一体で構成してもよい。以下、医療機関マスタ110-1および主治医マスタ110-2のそれぞれについて説明する。
【0053】
まず、医療機関マスタ110-1は、医療機関(実施例1では医療機関A3-a~C3-cそれぞれ)についての情報である。実施例1では、医療機関マスタ110-1は、HID、医療機関名、診察科名1~診察科名8、所在地、電話番号、登録日および廃止日の各項目を有する。まず、HIDは、該当の医療機関を識別する項目である。また、医療機関名は、該当の医療機関の名称を示す項目である。また、診察科名1~診察科名8は、それぞれ該当の医療機関が有する診察科の名称を示す。該当の医療機関において設置される診察科が8未満の場合、該当の項目にはNULLが示される。
【0054】
また、所在地および電話番号はそれぞれ、該当の医療機関の所在地および電話を示す項目である。また、登録日は、該当の医療機関、つまり、該当レコードが登録された日時を示す項目である。さらに、廃止日は、該当の医療機関自身が廃業ないし実施例1における療養指導のサービスが廃止された日時を示す項目である。なお、登録日や廃止日は、診察科ごとに設定するようにしてもよい。
【0055】
次に、主治医マスタ110-2は、主治医についての情報である。なお、実施例1では医師を対象としているが、医療従事者に範囲を広げることができる。実施例1では、主治医マスタ110-2は、DID、氏名、所属HID1~4、登録日1~4および廃止日1~4の各項目を有する。
【0056】
まず、DIDは、該当の主治医を識別する項目である。氏名は、該当の主治医の氏名を示す項目である。また、所属HID1~4は、それぞれ該当の主治医が勤務する医療機関を示す項目である。なお、所属HIDを複数用意した理由は、医師は複数の医療機関に勤務することが有るためである。このため、該当の主治医が勤務する医療機関が4未満の場合、該当の項目にはNULLが示される。
【0057】
また、登録日1~4はそれぞれ、該当の主治医が療養指導に関わることになった日時、例えば、該当医療機関に勤務(登録)された日時や該当医療機関が本システムに登録された日時を示す項目である。さらに、廃止日1~4はそれぞれ、該当の主治医が該当医療機関を辞めた日時ないし該当医療機関が廃止された日時を示す項目である。
【0058】
次に、図6は、実施例1で用いられる患者マスタ111を示す図である。患者マスタ111は、療養指導の対象者である患者に関するマスタデータである。患者マスタ111は、実施例1では図6に示すように、PID、患者名、性別、生年月日、住所、電話番号、リモート対応、登録日および廃止日の各項目を有する。まず、PIDは、該当の患者を識別する項目である。患者名は、該当の患者の氏名を示す項目である。
【0059】
また、性別、生年月日、住所および電話番号はそれぞれ患者の属性の例示である。ここで、性別において1は男性を示し、0は女性を示す。なお、住所は勤務先の所属地などであってもよく、また他の属性(血液型等)を含めてもよい。さらに、属性として、メールアドレスといった患者の利用する患者端末20を特定する患者端末情報を設けることが望ましい。患者端末情報として、患者端末20にインストールされた療養指導アプリ(プログラム)、患者端末20や本アプリでの患者の識別情報を用いてもよい。
【0060】
また、リモート対応は、該当の患者がリモートで療養指導を受けることが可能かを示す項目である。このため、本項目において0がリモートは不可、1がリモートは可であることを示す。また、登録日は、該当の患者が療養指導に関わることになった日時、例えば、療養指導を開始する日時を示す項目である。また、廃止日は、該当の患者が療養指導に関わりがなくなった日時、例えば、療養指導を終了する日時を示す項目である。
【0061】
次に、図7は、実施例1で用いられる指導者マスタ112を示す図である。指導者マスタ112は、療養指導を行う指導者に関するマスタデータである。指導者マスタ112は、実施例1では図7に示すように、NID、指導者名、性別、生年月日、住所、電話番号、リモート対応、登録日および廃止日の各項目を有する。まず、NIDは、該当の指導者を識別する項目である。指導者名は、該当の指導者の氏名を示す項目である。
【0062】
また、性別、生年月日、所属地および電話番号はそれぞれ指導者の属性の例示である。ここで、性別において1は男性を示し、0は女性を示す。また、所属地は、所属ないし勤務する療養指導機関1等の所属地である。なお、所属地は該当の指導者の住所であってもよく、また他の属性(血液型等)を含めてもよい。
【0063】
また、リモート対応は、該当の指導者がリモートで療養指導を行うことが可能かを示す項目である。このため、本項目において0がリモートは不可、1がリモートは可であることを示す。また、登録日は、該当の指導者が療養指導に関わることになった日時、例えば、指導者として勤務を開始した日時を示す項目である。また、廃止日は、該当の指導者が療養指導に関わりがなくなった日時、例えば、該当の指導者が退職する日時を示す項目である。
【0064】
次に、図8は、実施例1で用いられる療養指導運用マスタ113を示す図である。療養指導運用マスタ113は、療養指導の実施・運用を管理するためのマスタデータである。療養指導運用マスタ113は、実施例1では、療養指導運用マスタ113を、SIDごと、つまり、療養指導ごとに設けている。図8において、113-1はSIDが1、つまり、療養指導がオンライン栄養指導(リモードでの栄養指導)である例を示し、113-2はSIDが4、つまり、療養指導が通院サポートである例を示す。
【0065】
また、実施例1での療養指導運用マスタ113は、図8に示すように、業務ID、業務名、所要時間、業務実施形態、医療機関IDフラグ、医師IDフラグ、医師IDフラグ、患者IDフラグおよび指導者IDフラグの各項目を有する。まず、業務IDは、該当の療養指導(113-1:オンライン栄養指導、113-2:通院サポート)を構成する業務を識別する項目である。また、業務名は、該当の業務の名称を示す項目である。なお、業務とは、療養指導を構成する単位を示す。
【0066】
また、所要時間は、該当の業務での所要時間を示す項目である。また、業務実施形態は、該当の業務を実施する形態を示す項目で、例えば、0が対面を、1がオンライン(リモートでの実施)を、3が自動処理を示す。なお、自動処理とは、療養指導支援システム100側で実行されることを示す。また、医療機関IDフラグおよび医師IDフラグは、それぞれ該当の業務の実施に当たり、業務に関与する医療機関の医療機関ID(HID)および医師(主治医)の医師ID(DID)の登録の要否を示す項目である。
【0067】
また、患者IDフラグは、該当の業務の実施に当たり、この業務に関与、つまり、療養指導を受ける患者の患者ID(PID)の登録の要否を示す項目である。また、指導者IDフラグは、該当の業務の実施に当たり、この業務に関与、つまり、療養指導を実施する指導者の指導者ID(NID)の登録の要否を示す項目である。
【0068】
以上の医療機関IDフラグ~指導者IDフラグでは、0であれば該当のIDが登録不要を示し、1であれば登録要であることを示す。また、医療機関IDフラグ~指導者IDフラグの登録とは、後述の患者別療養指導運用テーブル114や指導者別療養指導運用テーブル115への登録を意味する。
【0069】
次に、図9は、実施例1で用いられる患者別療養指導運用テーブル114を示す図である。患者別療養指導運用テーブル114は、療養指導の実施・実施の際に利用される患者ごと(PIDごと)に設けられたデータテーブルである。つまり、図9の114-1は、PIDが1の患者に対する療養指導の患者対応業務である例を示し、114-2はPIDが2の患者に対する療養指導の患者対応業務である例を示す。
【0070】
また、実施例1での患者別療養指導運用テーブル114は、図9に示すように、業務ID、業務名、業務開始時間、業務終了時間、業務実施形態、HID、DID、PID、NIDおよび付帯情報の各項目を有する。まず、業務IDは、該当の患者(PIDが1や2)に対して実施すべき療養指導を構成する業務を識別する項目である。また、業務名は、該当の業務の名称を示す項目である。
【0071】
また、業務開始時間および業務終了時間はそれぞれ、該当の業務を開始した時間および終了した時間を示す。また、業務実施形態は、図8のそれと同様の項目である。また、HID、DID、PIDおよびNIDは、それぞれ該当の業務に関与する医療機関、主治医、患者および指導者を識別する項目である。ここで、図9の114-1に示す例では、患者(PID:1)が通常は医療機関A3-aに通院していたが、医療機関を医療機関C3-cに変更していることを示している。なお、HID、DID、PIDおよびNIDのそれぞれについては、療養指導運用マスタ113の医療機関IDフラグ、医師IDフラグ、患者IDフラグおよび指導者IDフラグが1の場合に限定的に記録するようにしてもよい。また、医療機関IDフラグ、医師IDフラグ、患者IDフラグおよび指導者IDフラグを省略し、HID、DID、PIDおよびNIDを通常記録するようにしてもよい。
【0072】
さらに、114-2では、患者(PID:2)が医療機関C3-cに通院していることを示している。またさらに、図9の114-1に示す例では、患者(PID:1)の主治医がDID:1の医者であること示し、114-2の例では、患者(PID:2)の主治医がDID:2の医者であること示している。そして、これらの主治医は変更されていない。またさらに、図9の114-1に示す例では、患者(PID:1)の指導者がNID:2の指導者からNID:2の指導者に、通院先に医療機関と同じタイミングで変更していることを示している。また、114-2の例では、患者(PID:2)の指導者がNID:1の指導者で一貫していること示している。なお、図9の例では、PIDの項目を設けたが、本項目は省略できる。また、PIDの項目を設けた場合、テーブルを複数の患者分を一体で構成できる。
【0073】
さらに、付帯情報は、該当の業務に関連する各種情報を示す項目である。図9の例では、付帯情報として、ISIDおよびPRIDを用いている。ISIDは、該当の業務に関連する指示箋ないし指示箋情報を識別する情報である。また、PRIDは、該当の業務に関連する実施報告を識別する情報である。このように、ISIDを付帯情報として用いることで、該当の業務を実施する際などに指示箋の内容、つまり、医療機関からの療養指導の要望を確認できる。また、PRIDを付帯情報として用いることで、実際の指導、指導開始報告、実施報告の業務の際に、適切な報告に対し追記や参照を行うことが可能となる。
【0074】
次に、図10は、実施例1で用いられる指導者別療養指導運用テーブル115を示す図である。指導者別療養指導運用テーブル115は、療養指導の実施・実施の際に利用される指導者ごと(NIDごと)に設けられたデータテーブルである。つまり、図10の115-1は、NIDが1の指導者向け業務である例を示し、115-2はNIDが2の指導者向け業務である例を示す。このように、指導者別療養指導運用テーブル115は指導者向けの情報であり、指導者が療養指導を行う際に利用することがより適切である。これに対して、患者別療養指導運用テーブル114は、患者との切り口で療養指導の業務を整理したものである。
【0075】
また、実施例1での指導者別療養指導運用テーブル115は、図10に示すように、業務ID、業務名、業務開始時間、業務終了時間、業務実施形態、HID、DID、PID、NIDおよび付帯情報の各項目を有する。まず、業務IDは、該当の指導者(NID:1、2)が実施すべき療養指導を構成する業務を識別する項目である。また、業務名は、該当の業務の名称を示す項目である。
【0076】
また、業務開始時間および業務終了時間はそれぞれ、該当の業務を開始した時間および終了した時間を示す。また、業務実施形態は、図8図9のそれと同様の項目である。また、HID、DID、PIDおよびNIDは、それぞれ該当の業務に関与する医療機関、主治医、患者および指導者を識別する項目である。ここで、図10の115-1に示す例では、該当の指導者は2名の患者(PID:1、2)を担当していることを示している。なお、HID、DID、PIDおよびNIDのそれぞれについては、療養指導運用マスタ113の医療機関IDフラグ、医師IDフラグ、患者IDフラグおよび指導者IDフラグが1の場合に限定的に記録するようにしてもよい。また、医療機関IDフラグ、医師IDフラグ、患者IDフラグおよび指導者IDフラグを省略し、HID、DID、PIDおよびNIDを通常記録するようにしてもよい。
【0077】
さらに、115-2では、該当の指導者が1名の患者(PID:1)を担当していることを示している。なお、図10の例では、NIDの項目を設けたが、本項目は省略できる。また、NIDの項目を設けた場合、テーブルを複数の資料者分を一体で構成できる。さらに、付帯情報は、該当の業務に関連する各種情報を示す項目であり、患者別療養指導運用テーブル114と同様の項目である。なお、患者別療養指導運用テーブル114およびや指導者別療養指導運用テーブル115は、一体化したテーブルで構成してもよい。
【0078】
次に、図11は、実施例1で用いられる中断対応管理マスタ116を示す図である。中断対応管理マスタ116は、中断対応管理部14での中断に関する管理処理を実行するために用いられ、実施例1では中断の要因を分類しているマスタデータである。そして、この管理処理として、中断対応管理部14は、中断対応管理マスタ116を用いて、中断した療養指導を再開等の対応案を特定する。このために、図11に示すように実施例1では、中断対応管理マスタ116は、要因分類ID、要因分類名、要因ID、補足、対応1~3の各項目を有する。なお、再開には、中断した療養指導の続きを行うこと、この療養指導を改めて行うこと、別の療養指導を新たに行うことも含まれる。
【0079】
まず、要因分類IDは、中断の要因の分類である要因分類を識別する項目である。また、要因分類名は、中断の要因の分類である要因分類の名称を示す項目である。また、要因IDは、中断の要因を識別する項目である。また、要因名は、中断の要因の名称を示す項目である。ここで、要因分類とは、要因をグループ化したものである。
【0080】
また、補足は、中断の要因の内容を示し、要因名をより具体化した項目である。また、対応1~3は、それぞれ中断に対する対応案を示す項目であり、これらの数1以上であればよくは3に限定されない。この対応案は、療養指導の1つとして扱ってもよい。このような中断対応管理マスタ116を用いることで、中断対応管理部14は、入力部15を受け付けた要因名や要因分類IDなどに応じて、対応案を特定することになる。そして、出力部16は、特定された対応案を出力する。この結果、指導者は、その対応案を確認でき、療養指導の一環として患者に対するアドバイス等を実行できる。
【0081】
次に、図12は、実施例1で用いられる指示箋テーブル117を示す図である。指示箋テーブル117は、医療機関端末30-a~30-cから送信される指示箋情報を記録したデータテーブルである。図12では、指示箋情報の各項目を示しており、指示箋テーブル117には複数の指示箋情報が記録されることになる。この指示箋情報は、医療機関からの療養指導の指導依頼を示す情報であり、(1)医療機関情報、(2)患者基本情報、(3)患者疾患情報、(4)患者検査情報、(5)生活・運動の指示状況、(6)栄養指導指示および(7)特記事項の各項目を有する。以下、これらの各項目を説明する。
【0082】
(1)医療機関情報は、該当の指示箋情報を発行した医療機関に関する情報である。医療機関情報の具体的な項目は、図示したとおりである。ここで、この医療機関情報は、医療機関・主治医マスタ110から取得することもできる。つまり、医療機関端末30-a~30-cからHIDおよびDIDを含む指示箋情報を受信し、指導内容調整部11はHIDおよびDIDをキーに、医療機関・主治医マスタ110を検索し、医療機関名などを特定することができる。また逆に、医療機関名や主治医名を、送付される指示箋情報に含め、指導内容調整部11これらを用いてHID、DIDや他の情報を医療機関・主治医マスタ110から特定してもよい。
【0083】
また、(2)患者基本情報は、療養指導の対象者である患者に関する情報である。この患者基本情報の具体的な項目は、図示したとおりである。ここで、この患者基本情報は、患者マスタ111から取得から取得することもできる。つまり、医療機関端末30-a~30-cからPIDを含む指示箋情報を受信し、指導内容調整部11はPIDをキーに、患者マスタ111を検索し、患者名等の属性などを特定することができる。また逆に、患者名を送付される指示箋情報に含め、指導内容調整部11これらを用いてPIDや他の情報を患者マスタ111から特定してもよい。
【0084】
また、(3)患者疾患情報は、療養指導の対象者である患者の疾患、特に、療養指導に関する疾患に関する情報である。この患者疾患情報の具体的な項目は、図示したとおりである。この患者疾患情報は、医療機関端末30-a~30-cから、主治医の手入力やカルテ情報などから取得される。
【0085】
また、(4)患者検査情報は、療養指導の対象者である患者に対する検査に関する情報である。この患者検査患情報の具体的な項目は、図示したとおりである。この患者検査情報は、医療機関端末30-a~30-cから、主治医の手入力やカルテ情報などから取得される。
【0086】
また、(5)生活・運動の指示状況は、主治医から対象の患者に対する生活習慣や運動に関する指示を示す情報である。この生活・運動の指示状況の具体的な項目は、図示したとおりであるが、それぞれ可/不可の何れか等、その指示内容が特定されるようになっている(便宜上、図中では可/不可などその双方を記載した)。なお、生活・運動の指示状況は、上述の種別IDが2に相当する。このため、生活・運動の指示状況のヘッダとして、種別ID:2を記述してもよい。この生活・運動の指示状況も、医療機関端末30-a~30-cから、主治医の手入力やカルテ情報などから取得される。
【0087】
また、(6)栄養指導指示は、主治医から対象の患者に対する栄養指導(含む食事指導)に関する指示を示す情報である。この栄養指導指示の具体的な項目は、図示したとおりである。なお、栄養指導指示は、上述の種別IDが1に相当する。このため、栄養指導指示のヘッダとして、種別ID:1を記述してもよい。この栄養指導指示も、医療機関端末30-a~30-cから、主治医の手入力やカルテ情報などから取得される。
【0088】
また、(7)特記事項は、その他、主治医が希望する療養指導に関する情報である。特記事項の具体的な項目は、図示したとおりである。この特記事項も、医療機関端末30-a~30-cにより、主治医の手入力やカルテ情報などから取得される。また、この特記事項も、医療機関端末30-a~30-cから、主治医の手入力やカルテ情報などから取得される。
【0089】
以上で、実施例1で用いられる情報の説明を終わり、続いて実施例1で実行される処理の内容について説明する。図13は、実施例1における処理の内容を示すシーケンス図である。
【0090】
まず、ステップS1において、医療機関端末30-aが、主治医の操作に従って、療養指導支援装置10に、図12で説明したような指示箋情報を送信する。つまり、主治医からの指導依頼を示す指示箋情報が送信される。これを、療養指導支援装置10の入力部15が受け付ける。これを受けて、指導内容調整部11は、受け付けられた指示箋情報に基づき、療養指導の内容、つまり、療養指導サービスマスタ109を構成するレコードのいずれに相当するか特定する。
【0091】
このために、以下の方法が想定される。まず、第1の方法は、医療機関端末30-aにおいて、指示箋情報にSIDないし種別IDを含めておき、指導内容調整部11がSIDないし種別IDをキーに療養指導サービスマスタ109を検索する。また、第2の方法は、指導者端末10aによる指定を受け付ける。このために、指導内容調整部11は、出力部16を介して指導者端末10aに、受け付けられた指示箋情報を出力する。そして、指導者端末10aは指導者から指示箋情報に対するSIDといった療養指導の内容を特定する入力を受け付ける。この結果、指導内容調整部11は、療養指導の内容を特定する入力に応じて、療養指導の内容を療養指導サービスマスタ109から特定する。この結果、以下ではSIDが1のオンライン栄養指導が、療養指導として特定されたものとする。なお、このように療養指導が特定されると、以降、各ステップにおいて、特定された療養指導が療養指導運用マスタ113に従って実行されることになる。なお、本明細書では、出力部16を介した出力や送信とは、物理的に出力部16が出力や送信することを意味する。
【0092】
また、ステップS2において、指導内容調整部11が、出力部16を介して対象の患者が利用する患者端末20に、指示箋情報の示す療養指導を行うための日程調整依頼を送信する。これに応じた患者端末20からの回答に応じて、指導内容調整部11が、療養指導を行う日程を特定する。
【0093】
また、ステップS3において、療養指導支援装置10の指導内容調整部11が、療養指導運用マスタ113-1(SID:1、オンライン栄養指導)を参照し、まず業務ID1-1の状況確認・指導処理を実行する。このために、指導内容調整部11は、出力部16を介して患者端末20に、指示箋情報に応じて、患者に状況確認依頼やこれに対する回答に応じた指導内容を送信する。
【0094】
また、ステップS4において、指導内容調整部11が、出力部16を介して、指示箋情報を送信した医療機関端末30-aに、指導を開始したとの結果通知を送信する。つまり、療養指導運用マスタ113-1の業務ID1-3が実行される。またさらに、ステップS5において、療養指導運用マスタ113-1の業務ID1-2が実行される。すなわち、指導内容調整部11が、出力部16を介して患者端末20に、継続指導の内容を送信する。そして、指導内容調整部11は、出力部16を介して、患者端末20から継続指導に対する回答を受け付ける。このような継続指導が継続的に実行される。つまり、ステップS5のやり取りが複数回実行されることもある。この結果、ステップS1における指導依頼に関する療養指導が終了する。
【0095】
この結果、ステップS6において、療養指導運用マスタ113-1の業務ID1-3が実行される。すなわち、指導内容調整部11が、出力部16を介して医療機関端末30-aに、療養指導の結果通知、つまり、実施報告を送信する。またさらに、ステップS7において、費用請求調整部12が、出力部16を介して医療機関端末30-aに、依頼されたオンライン栄養指導との療養指導の終了確認および費用請求を送信する。なお、図8には、ステップS7に該当する業務IDは含まれないが、これはステップS7の終了確認および費用請求処理は各療養指導で共通業務であるため省略しているためである。但し、ステップS7に相当する業務を、療養指導運用マスタ113に含めてもよい。
【0096】
ステップS7を受けて、ステップS8において、費用請求調整部12が、入力部15を介して医療機関端末30-aから費用支払通知を受け付ける。費用支払通知としては、例えば、図1における医療機関A3-aから療養指導機関1への支払いの報告を意味する。
【0097】
以上、ステップS1~ステップS8が療養指導の実施単位期間となるが、この実施単位期間は図示したように保険請求単位期間(例えば、1ヶ月)とすることが望ましい。このため、療養指導運用マスタ113を保険請求単位期間で構成すること望ましい。但し、この実施単位期間は一例であり、他の単位期間を用いてもよい。
【0098】
また、さらに、ステップS9において、ステップS1と同様に、医療機関端末30-aから療養指導支援装置10に、指示箋情報が送信される。この場合、以降、ステップS2~ステップS8と同様の処理が実行される。この場合、療養指導は、オンライン栄養指導(SID:1)でなくともよい。
【0099】
また、ステップS10において、ステップS1と同様に、医療機関端末30-bから療養指導支援装置10に、指示箋情報が送信される。つまり、ステップS1やステップS8とは別の医療機関端末から指示箋情報が送信される。このように、複数の指導依頼が同時期に継続している場合、ステップS10が実行される。ここでの複数の指導依頼とは、ステップS9とステップS10での指導依頼であって、これらはそれぞれ終了確認されていない指導依頼である。また、複数の指導依頼が同時期に継続しているとは、複数の療養指導もしくは療養指導とその依頼が同時期に継続していることを意味する。
【0100】
そして、ステップS11において、指導内容調整部11が、他の装置と連携して、同時期に継続している複数の指導依頼について、調整処理を行う。この調整処理には、指示箋情報を突き合せて行う調整の必要性の判定およびこの結果に応じた処理が含まれる。実施例1では、調整処理の一例として、指導依頼の重複処理を行う。つまり、ステップS9とステップS10での指導依頼に対しての重複確認を行い、重複がある場合これを解消する処理を行う。このために、指導内容調整部11は、医療機関端末30-aから送信された指示箋情報と医療機関端末30-bから送信された指示箋情報を突き合せ重複確認の必要性を判定する。そして、指導内容調整部11は、この結果に応じて患者別療養指導運用テーブル114および指導者別療養指導運用テーブル115を更新する。
【0101】
以下、このステップS11の詳細を、図14を用いて説明する。なお、ここでは、医療機関端末30-aから送信された指示箋情報を第1の指示箋情報、医療機関端末30-bから送信された指示箋情報を第2の指示箋情報と称する。図14は、実施例1における重複処理(ステップS11)の詳細処理フローを示すフローチャートである。まず、ステップS111において、指導内容調整部11が、ステップS9とステップS10での指導依頼についての重複の解消処理が必要かを確認する。このために、指導内容調整部11は、例えば、以下のとおり処理する。
【0102】
まず、指導内容調整部11は、第1の指示箋情報と第2の指示箋情報を突き合せ、これらにおける(2)患者基本情報同士、望ましくはこれに含まれるPID同士を比較する。この結果、一致する場合、指導内容調整部11は、第1の指示箋情報と第2の指示箋情報の(1)医療機関情報同士、望ましくはHID同士およびDID同士を比較する。そして、HID同士およびDID同士のうち、少なくとも一方、より望ましくはその双方が不一致の場合、指導内容調整部11は、(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示のうち少なくとも一方同士を比較する。これらの各情報のうち、少なくともその一部が一致する場合、指導内容調整部11は、第1の指示箋情報と第2の指示箋情報についての重複の解消処理が必要であると判定する。
【0103】
ここで、(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示のうち少なくとも一方同士の比較は、以下のとおり行うことが望ましい。指導内容調整部11は、第1の指示箋情報および第2の指示箋情報のSIDおよび種別IDのうち少なくとも一方が一致するかを判定する。もしくは、指導内容調整部11は、SIDと種別IDを比較し、SIDが療養指導サービスマスタ109の種別IDに対応するものである場合、解消処理が必要であると判定する。また、指導内容調整部11は、(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示の内容をテキスト解析処理し、類似、一致する場合、解消処理が必要であると判定してもよい。
【0104】
以上の結果、重複の解消処理が必要である場合(Y)、ステップS112に遷移する。また、重複の解消処理が必要でない場合(N)、本処理フローを終了し、ステップS12以降の処理を実行する。
【0105】
また、ステップS112において、指導内容調整部11が、重複している第1の指示箋情報と第2の指示箋情報を用いて、重複の解消案情報を作成する。このために、指導内容調整部11は、第1の指示箋情報と第2の指示箋情報から(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示を抽出する。そして、指導内容調整部11は、(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示から重複を解消するための療養指導案を作成する。療養指導案は、図12に示す指示箋テーブル117であってもよいし、これらのうち、(1)(2)(5)~(7)を含むものとしてもよい。
【0106】
療養指導案の作成は、以下のように実行される。
(A)まず、指導内容調整部11は、第1の指示箋情報と第2の指示箋情報から所定条件を満たす(1)医療機関情報、望ましくはHIDおよびDIDを選択し、これを療養指導案の(1)医療機関情報とする。所定条件には、より新しい指示箋情報である第2の指示箋情報の(1)医療機関情報を選択することや(3)患者疾患情報や(4)患者検査情報の内容がより適した医療機関や主治医の(1)医療機関情報を選択することが含まれる。このより適した医療機関や主治医とは、医療機関・主治医マスタ110に含まれる診療科や(図5)に図示しない得意分野を用いて判定できる。
さらに、より進捗している(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示の指示箋情報の(1)医療機関情報を選択してもよい。
【0107】
(B)次に、指導内容調整部11は、(A)で選択された(1)医療機関情報を含む指示箋情報を、第1の指示箋情報および第2の指示箋情報から特定する。そして、指導内容調整部11は、特定された指示箋情報の(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示を特定する。
【0108】
(C)そして、指導内容調整部11は、(A)で選択された(1)医療機関情報および、(B)で選択された(5)生活・運動の指示状況および(6)栄養指導指示を含む療養指導案を作成する。
【0109】
また、ステップS113において、指導内容調整部11が、出力部16を介して対象の患者の患者端末20に、療養指導案を含む意思確認通知を送信する。この意思確認通知には、療養指導案に対して、患者が医療機関の変更を含む当該療養指導案を受け入れられるかの確認要求も含まれる。このため、患者端末20への意思確認通知とは少なくとも確認要求であればよい。ここで、医療機関の変更とは、第1の指示箋情報の医療機関Aから第2の指示箋情報の医療機関Bへの変更を意味する。そして、入力部15が、患者端末20から意思確認通知に対する確認結果を受信し、指導内容調整部11はこれを受け付ける。
【0110】
また、確認要求や意思確認通知の出力先は、患者端末20に限定されない。例えば、指導者端末10aに出力し、指導者がこれを口頭や電話で患者に伝えて確認してもよい。また、出力部16は、対象の患者の電話(例えば、患者端末20や固定電話)に音声でこれを出力してもよい。このように、出力部16は、患者に対する確認要求や意思確認通知を出力できればよい。さらに、出力部16は、患者端末20、指導者端末10aおよび医療機関端末30の少なくとも1つ(例えば、患者端末20および指導者端末10a)を出力先としてもよい。
【0111】
さらに、入力部15は、確認結果について、患者端末20、指導者端末10aおよび医療機関端末30の少なくとも1つ(例えば、患者端末20および指導者端末10a)から受け付けるようにしてもよい。より望ましくは、確認結果を、確認要求や意思確認通知の出力先から受け付ける。
【0112】
なお、ステップS112およびステップS113は、以下のように行ってもよい。まず、ステップS112において、指導内容調整部11が、第1の指示箋情報および第2の指示箋情報それぞれの内容を示す第1の療養指導案および第2の療養指導案を作成する。そして、ステップS113において、指導内容調整部11が、出力部16を介して患者端末20に、第1の療養指導案および第2の療養指導案を含む意思確認通知を送信する。そして、指導内容調整部11は、患者端末20から入力部15を介して、第1の療養指導案および第2の療養指導案に対する選択結果を受け付ける。以上の結果、指導内容調整部11は、患者から医療機関を、医療機関Aから医療機関Bないし主治医を変更するかを確認することになる。つまり、主たる医療機関を医療機関Aもしくは医療機関Bであるかを確認することになる。
【0113】
そして、ステップS114において、指導内容調整部11が、ステップS113での確認結果を用いて、医療機関を医療機関Aから医療機関Bに変更するかを判定する。この結果、変更が不要な場合(N)、ステップS115に遷移する。ここで、変更が不要の場合、指導内容調整部11は、主たる医療機関を医療機関Aとして特定することになる。また、変更が必要な場合(Y)、ステップS116に遷移する。ここで、変更が必要な場合、指導内容調整部11は、主たる医療機関を医療機関Bとして特定することになる。
【0114】
また、ステップS115において、指導内容調整部11が、出力部16を介して医療機関端末30-bに、ステップS113における意思確認通知に対する確認結果を送信する。すなわち、対象の患者に対する療養指導を、主たる医療機関が医療機関Aであることが通知される。
【0115】
また、ステップS116において、指導内容調整部11が、出力部16を介して医療機関端末30-aおよび医療機関端末30-bに、ステップS113における意思確認通知に対する確認結果を送信する。つまり、主たる医療機関が医療機関Bに変更されることが通知される。
【0116】
また、ステップS117において、療養指導管理部13が、作成された療養指導案に従って、患者別療養指導運用テーブル114および指導者別療養指導運用テーブル115を更新する。より具体的には、患者別療養指導運用テーブル114および指導者別療養指導運用テーブル115のHIDおよびDIDを、療養指導案のHIDおよびDIDに更新する。この結果、以降の療養指導が、医療機関Bが依頼する第2の指示箋情報に従って実施されることになる。
【0117】
ここで、ステップS117の更新の具体例を、患者別療養指導運用テーブル114-3および指導者別療養指導運用テーブル115-3を参照して説明する。まず、図15は、実施例1において、療養指導の依頼元が変更された場合に更新された患者別療養指導運用テーブル114-3を示す図である。図15において、業務ID1-1および業務ID1-2のHIDが2、DIDが2である。
【0118】
これに対して、更新前の患者別療養指導運用テーブル114-1(図9)ではHIDが1、DIDが3である。つまり、ステップS117において、療養指導管理部13が、業務ID1-1および業務ID1-2のHIDを1から2へ、DIDを3から2へそれぞれ更新している。つまり、療養指導の依頼元については、医療機関がHID:1の医療機関A3-aからHID:2の医療機関B3-bに更新されている。さらに、療養指導の依頼元の主治医については、DID:3の主治医からDID:2の主治医に更新されている。
【0119】
また、図16は、実施例1において、療養指導の依頼元が変更された場合に更新された指導者別療養指導運用テーブル115-3を示す図である。図16において、業務ID1-1~業務ID1-4のHIDが2、DIDが2である。
【0120】
これに対して、更新前の指導者別療養指導運用テーブル115-2(図10)ではHIDが1、DIDが3である。つまり、ステップS117において、療養指導管理部13が、業務ID1-1および業務ID1-2のHIDを1から2へ、DIDを3から2へそれぞれ更新している。つまり、図15で説明したように、療養指導の依頼元については、医療機関がHID:1の医療機関A3-aからHID:2の医療機関B3-bに更新されている。さらに、療養指導の依頼元の主治医については、DID:3の主治医からDID:2の主治医に更新されている。なお、図15図16の業務開始時間、業務終了時間は、図9図10の約1ヶ月後と設定された例を示している。以上で、図14の詳細処理フローの説明を終わり、図13の説明に戻る。
【0121】
図13のステップS12において、指導内容調整部11が、出力部16を介して対象の患者が利用する患者端末20に、第1指示箋情報ないし第2の指示箋情報の示す療養指導を行うための日程調整依頼を送信する。第1指示箋情報ないし第2の指示箋情報のいずれに従うかは、図14のステップS114の判定結果に応じて定められるが、図13では医療機関B3-bに変更され、第2の指示箋情報に従って処理する場合を示している。そして、以降、ステップS13~18において、ステップS3~ステップS8と同様の処理が実行される。この際、医療機関端末は、医療機関端末30-bが用いられる。この結果、療養指導は医療機関Bの依頼に応じて実施されることになる。
【0122】
ここで、ステップS16およびステップS17の費用請求処理および支払処理について説明する。図17は、実施例1における結果通知処理~費用支払処理(ステップS16およびステップS17)の詳細処理フローを示すフローチャートである。
【0123】
まず、結果通知処理として、ステップS161において、指導内容調整部11が、出力部16を介して医療機関端末30-bに、療養指導の実施報告を送信する。これは、ステップS6と送信先が異なるが、その内容は同様の処理である。また、指導内容調整部11は、送信された実施報告を、記憶部17に、実施報告テーブル118に記録する。
【0124】
ここで、実施報告の具体例について説明する。図18は、実施例1で用いられる実施報告テーブル118を示す図である。実施報告テーブル118は、ステップS6やステップS16で送信される実施報告を記録したデータテーブルである。図18では、実施報告の各項目を示しており、実施報告テーブル118には複数の実施報告が記録されることになる。この実施報告は、療養指導機関1からの療養指導の指導内容を示す情報であり、(1)指導機関情報、(2)患者基本情報、(3)指導内容、(4)継続指導、(5)生活・運動の指示状況および(6)特記事項の各項目を有する。以下、これらの各項目を説明する。
【0125】
(1)指導機関情報、該当の療養指導を行った療養指導機関1に関する情報である。指導機関情報の具体的な項目は、図示したとおりである。この指導機関情報は、指導者端末10aから、指導者の手入力や予め記憶部17に記憶された内容などから取得される。
【0126】
また、(2)患者基本情報は、療養指導の対象者である患者に関する情報である。この患者基本情報の具体的な項目は、図示したとおりであり、指示箋テーブル117の(2)患者基本情報に加え、ISIDが記録されている。ここで、この患者基本情報も、患者マスタ111から取得から取得することもできる。つまり、医療機関端末30-a~30-cからPIDを含む指示箋情報を受信し、指導内容調整部11はPIDをキーに、患者マスタ111を検索し、患者名等の属性などを特定することができる。また逆に、患者名を送付される指示箋情報に含め、指導内容調整部11これらを用いてPIDや他の情報を患者マスタ111から特定してもよい。
【0127】
また、(3)指導内容は、療養指導の対象者である患者に対して実施された療養指導の内容を示す情報である。この指導内容の具体的な項目は、図示したとおりである。この指導内容は、指導者端末10aから、指導者の手入力などから取得される。
【0128】
また、(4)継続指導は、療養指導の対象者である患者に対して、指導者が必要と判断した継続指導の内容を示す情報である。この継続指導の具体的な項目は、図示したとおりであり、であるが、それぞれ可/不可の何れか等、その指示内容が特定されるようになっている(便宜上、図中では可/不可などその双方を記載した)。
【0129】
さらに、(6)特記事項は、その他、療養指導に関し、指導者が依頼元の医療機関や主治医に連絡を希望する連絡事項を示す。この特記事項も、指導者端末10aから、指導者の手入力から取得される。以上で、図18の説明を終わる。
【0130】
また、ステップS162において、指導内容調整部11が、該当の療養指導が開始してからその実施単位期間である1ヶ月が経過し、本期間で実施予定の療養指導の業務が完了したかを判定する。この結果、業務が完了した場合(Y)、ステップS171に遷移する。また、完了していない場合(N)、本処理フローを終了する。
【0131】
また、ステップS171において、費用請求調整部12が、医療機関B3-bに対する、実施単位期間(1ヶ月)で実施された業務についての費用請求額を算出する。このために、例えば、費用請求調整部12は、療養指導運用マスタ113に記録した業務ごとの単価を用いて算出できる。
【0132】
また、ステップS172において、費用請求調整部12が、出力部16を介して医療機関端末30-bに、算出された費用を含む費用請求および実施された療養指導の終了確認および費用請求を送信する。つまり、主たる医療機関である医療機関Bに対して費用請求や終了確認がなされる。そして、ステップS173において、費用請求調整部12が、ステップS171から所定期間が経過後に、医療機関端末30-bから費用支払通知を受け付けたか、つまり、請求額の受領を完了したかを判定する。この結果、ステップS18における費用支払通知を受け付けた場合(Y)、本処理フローを終了する。また、おける費用支払通知を受け付けていない場合(N)、ステップS174に遷移する。
【0133】
そして、ステップS174において、費用請求調整部12が、ステップS172と同様の処理により、医療機関B3-bに対する再請求処理を実行する。以上で、実施例1の説明を終わが、実施例1によれば、療養指導の依頼元が変更された場合でも、対象の患者の確認を取りながら適切に療養指導やこれに基づき費用の清算といった付帯業務を実施できる。
【実施例0134】
実施例1では、審査支払機関2を前提としているが、実施例2では審査支払機関2を省略している。以下、実施例2の療養指導に関与する関与者・組織やそのスキームについて説明する。図19は、実施例2における療養指導機関1を含む療養指導の概要を示す図である。
【0135】
図19において、療養指導機関1が、医療機関(医療機関A3-a、医療機関B3-b、医療機関C3-c)からの依頼等に応じて、患者(患者A2a、患者B2b)に対して、療養指導に関する提案等を行うことは、図1と共通している。但し、図1のスキームでは各医療機関が審査支払機関4を経由して、保険者に報告・請求しているのに対し、実施例2では療養指導機関1が保険者5に対し、直接的に報告・請求し、支払いを受けている。以下では、これら相違を実現するための構成と処理を中心に説明する。
【0136】
図20は、実施例2における療養指導支援システム100のシステム構成図である。図20は、実施例1における図2に比較して保険者システム80が追加されている。保険者システム80は、保険者5で用いられる情報処理システムであり、単体のコンピュータもしくは複数台のコンピュータやネットワークで実現できる。また、保険者システム80は、療養指導支援装置10とネットワークを介して接続されている。
【0137】
また、実施例1のステップS6~ステップS8やステップS16~ステップS18において、療養指導支援装置10と医療機関端末30の間で、実施報告、終了確認および費用請求を送信や費用支払通知の受付処理を行っている。これに比較して、実施例2ではさらに、療養指導支援装置10と保険者システム80との間でも実施報告、終了確認および費用請求を送信や費用支払通知の受付処理を行っている。以下、この内容について説明する。
【0138】
まず、ステップS6と同様に、指導内容調整部11が、出力部16を介して保険者システム80に、療養指導の結果通知、つまり、実施報告を送信する。実施報告の内容は、実施例1と同様である。
【0139】
また、ステップS7と同様に、費用請求調整部12が、出力部16を介して保険者システム80に、医療機関から依頼された療養指導の終了確認および費用請求を送信する。そして、ステップS8と同様に、費用請求調整部12が、入力部15を介して保険者システム80から費用支払通知を受け付ける。なお、実施例2おいても、費用請求調整部12が費用請求額を算出するが、実施例1と同様に実施単位期間ごとに、業務ごとの単価を用いて算出できる。但し、実施例2では、調整処理の後に療養指導を実施した全医療機関分の費用請求額を算出することになる。
【0140】
以上で、実施例2の説明を終わるが、実施例2によれば審査支払機関4を省略してより簡便なスキームで、適切な療養指導やこれに基づく費用の清算といった付帯業務を実施できる。また、本発明は、上述の各実施例に限定されず、様々な変形例、応用例も含まれる。また、実施例1と2を組合せ、一部の医療機関は審査支払機関4を利用し、他は利用しない構成も本発明に含まれる。また、療養指導機関1が、時期や費用に応じて、審査支払機関4の利用の有無を動的に変更してもよい。また、療養指導機関1およびこれら用いる療養指導支援装置10を複数用いてもよい。さらに、複数の保険者5および複数の療養指導機関1を用意してもよい。
【符号の説明】
【0141】
1…療養指導機関、2…患者、3…医療機関、4…審査支払機関、5…保険者、6…地域事業者、10…療養指導支援装置、10a…指導者端末、11…指導内容調整部、12…費用請求調整部、13…療養指導管理部、14…中断対応管理部、15…入力部、16…出力部、17…記憶部、20…患者端末、30…医療機関端末、80…保険者システム、100…療養指導支援システム、300-c…院内システム
図1
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