(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011239
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】セリアック病をモニタリングするためのtTG-DGPバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20250116BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20250116BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20250116BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20250116BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20250116BHJP
C07K 5/08 20060101ALI20250116BHJP
C07K 5/10 20060101ALI20250116BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20250116BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20250116BHJP
C07K 14/415 20060101ALI20250116BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20250116BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20250116BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20250116BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/543 501A
G01N33/543 575
C12M1/00 A ZNA
C07K7/08
C07K7/06
C07K5/08
C07K5/10
C12M1/34 F
C12Q1/06
C07K14/415
C12N9/10
A61P37/06
A61K38/10
A61P43/00 111
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024178942
(22)【出願日】2024-10-11
(62)【分割の表示】P 2021544111の分割
【原出願日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】62/742,863
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】514199799
【氏名又は名称】ヴィブラント ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チョン ロク セオン
(72)【発明者】
【氏名】マリエッタ エリック ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン ヴァサンス
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ カールティク
(72)【発明者】
【氏名】マレー ジョセフ エイ.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB15
4B029BB16
4B029CC02
4B029CC03
4B029FA15
4B063QA01
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR82
4B063QR90
4B063QS33
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX02
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA23
4C084NA14
4C084ZB08
4C084ZC41
4H045AA11
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA10
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA50
4H045CA32
4H045CA40
4H045DA86
4H045DA89
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA10
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】セリアック病(CeD)のバイオマーカーの同定の分野に関する。より具体的には、本発明は、CeDの診断のため、及び、CeDと診断された患者の治癒状態を判定するためのバイオマーカーとしての、tTG-DGP複合体に由来するネオエピトープの同定の分野に関する。tTG-DGP複合体の同定したネオエピトープは、臨床的に利用可能な血清学的検査と同等以上の診断精度でCeDを識別する。さらに、これらのネオペプチドは、現在の血清学的検査よりもはるかに高い感度と特異性で、治療されたCeD患者の治癒状態を同定する。
【効果】したがって、これらのネオエピトープは、治療されたCeD患者の持続的な粘膜損傷の指標として使用することができ、それにより、費用負担が大きくかつ侵襲的な腸生検を回避することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ表面と少なくとも2つのペプチドプローブとを含むアレイであって、前記少なくとも2つのペプチドプローブのそれぞれが、配列番号1~172からなる群から選択される結合モチーフを含み、かつ、前記少なくとも2つのペプチドプローブが、前記アレイ表面から延びている、前記アレイ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのペプチドプローブが、セリアック病に関連する抗体に対して結合することができる、請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
前記アレイ表面が固体表面である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項4】
前記固体表面が微粒子である、請求項3に記載のアレイ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのペプチドプローブが標識をさらに含む、請求項1に記載のアレイ。
【請求項6】
位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素のアレイであって、前記特徴要素が、セリアック病に罹患している対象において免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列と、セリアック病に罹患している前記対象の抗体に対して結合するタンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープ配列とを含む少なくとも1つの操作したポリペプチド鎖を含む、前記アレイ。
【請求項7】
前記生物活性ポリペプチドが、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、オメガグリアジン、及び、他の小麦関連タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、請求項6に記載のアレイ。
【請求項8】
セリアック病に罹患している前記対象の抗体に対して結合する前記タンパク質が組織トランスグルタミナーゼを含む、請求項6に記載のアレイ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのポリペプチド鎖が、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列をさらに含む、請求項6に記載のアレイ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの操作したポリペプチド鎖が、配列番号1~172からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100個の配列を含む、請求項6に記載のアレイ。
【請求項11】
前記特徴要素が6~15アミノ酸長である、請求項6に記載のアレイ。
【請求項12】
前記特徴要素が12アミノ酸長である、請求項6に記載のアレイ。
【請求項13】
前記アレイの表面に付着している前記特徴要素が、セリアック病に罹患している疑いのある対象に由来する試料を前記特徴要素と接触させた後のセリアック病の検出に関して少なくとも90%の感度と90%の特異性とを有するように構成されている、請求項6に記載のアレイ。
【請求項14】
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが3個のアミノ酸からなる、請求項6に記載のアレイ。
【請求項15】
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11個のアミノ酸からなる、請求項6に記載のアレイ。
【請求項16】
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが、3個のアミノ酸からなり、セリアック陽性試料中の抗体に対する結合に関して少なくとも20%の感度を有し、前記ペプチド鎖が12アミノ酸長である、請求項6に記載のアレイ。
【請求項17】
少なくとも10,000個の特徴要素をさらに含み、それぞれの特徴要素が、異なる位置的に画定された箇所において前記アレイの表面に付着しており、それぞれの特徴要素の前記位置的に画定された箇所が、ピラーの位置的に画定された箇所に対応しており、それぞれのピラーの上面が少なくとも1μm2の大きさである、請求項6に記載のアレイ。
【請求項18】
それぞれの特徴要素が、他の特徴要素と比較して異なる操作したペプチド鎖を含み、それぞれの特徴要素が、少なくとも500個の同一の完全長ペプチド鎖を含み、かつ、それぞれの同一の完全長ペプチド鎖が、少なくとも7アミノ酸長である操作した完全長を有しており、かつ、完全長の操作したペプチド鎖の割合に関するそれぞれの特徴要素の純度が、それぞれの特徴要素の前記完全長の操作したペプチド鎖の割合Fであり、前記完全長の操作したペプチド鎖が操作した配列と操作した完全長の配列長Nとを有し、前記割合FがF=10(N+1)・log(E/100%)を特徴とし、平均カップリング効率Eが、前記操作した配列の各アミノ酸のカップリングに関しては少なくとも98.5%であり、かつ、配列長Nが少なくとも7アミノ酸長であり、完全長に満たない操作したペプチド鎖の割合が(1-F)に等しい、請求項17に記載のアレイ。
【請求項19】
前記表面が基板を含み、前記基板が、上面と下面とを有する平面層、及び、前記位置的に画定された箇所において前記層に対して動作可能にカップリングした複数のピラーを含み、かつ、それぞれのピラーが、前記層から延びている平面を有しており、それぞれのピラーの表面と前記層の上面との間の距離が、1,000~5,000オングストロームの間であり、かつ、前記複数のピラーが、10,000/cm2を超える密度で存在する、請求項17に記載のアレイ。
【請求項20】
以下を含む、セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出する方法:
前記対象から試料を得ることであって、対象試料が対象抗体を部分的に含む、前記得ること;
合成ポリペプチドのアレイを前記対象試料と接触させることであって、それぞれの合成ポリペプチドが、セリアック病に罹患している対象において免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列と、前記対象抗体に対して結合するタンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープ配列とを含む、前記接触させること;
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定すること;及び
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドのそれぞれについての同定した抗体結合強度値に基づいて、前記対象の治癒状態を判定すること。
【請求項21】
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列の内の少なくとも1つが、脱アミド化したポリペプチド配列を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象抗体に対して結合する前記タンパク質が組織トランスグルタミナーゼである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記対象抗体がIgAまたはIgG抗体である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記生物活性ポリペプチドが、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、及び、オメガグリアジンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列が、前記生物活性ポリペプチドにおいて不連続である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが3アミノ酸長である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
それぞれの合成ポリペプチドが、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記合成ポリペプチドが12アミノ酸長である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記アレイの前記合成ポリペプチドが、マイクロアレイを前記対象試料と接触させた後のセリアック病の検出に関して少なくとも90%の感度と90%の特異性と有するように構成されている、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記アレイが蛍光アレイを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定することが、
前記アレイを前記対象試料と接触させた後に、前記アレイを画像化すること;
前記合成ポリペプチドのそれぞれについての蛍光発光値を同定すること;及び
同定した蛍光発光値に基づいて、前記合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定すること
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドが、配列番号1~172からなる群から選択される配列の内の1つ以上を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記対象がIgA欠損である、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が無グルテン食を遵守している、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記アレイの前記合成ポリペプチドが、セリアック病に罹患しておりかつ無グルテン食を遵守している対象における治癒状態の検出に関して少なくとも80%の感度と90%の特異性とを有するように構成されている、請求項20に記載の方法。
【請求項36】
以下のステップの内の1つ以上を含む、セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するための合成ポリペプチドを同定する方法:
合成tTG-DGPネオエピトープのアレイの抗体結合強度を推定するステップであって、抗体結合強度値が、対応するペプチド配列と関連付けられている、前記ステップ;
期待値最大化アルゴリズムによって実行されるバックグラウンド正規化モデリングを使用して、バックグラウンドノイズを除去するステップ;
ベクトルマシンモデリングをペプチドのトレーニングセットに対して適用して、超平面を構築しかつ2つのクラス(セリアック病と非セリアック病)の間のトレーニングデータの差を最大化するステップであって、tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列のセットを決定する、前記ステップ;
前記tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列として同定したそれぞれのペプチドの感度と特異性を決定するステップ;ならびに
前記セットの前記ペプチドに関連するセリアック病の感度、特異性、及び、予測可能性に基づいて、前記tTG-DGP複合体の免疫原性エピトープのさらなるセットを同定するステップ。
【請求項37】
セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するためのアレイであって、前記アレイが合成ポリペプチドを含み、前記合成ポリペプチドが、請求項36に記載の方法によって同定される、前記アレイ。
【請求項38】
セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するためのアレイであって、配列番号1~172からなる群から選択される配列の内の1つ以上を含む、前記アレイ。
【請求項39】
位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素のアレイであって、前記特徴要素が、請求項36の方法によって同定された少なくとも1つの合成ポリペプチドを含む、前記アレイ。
【請求項40】
以下を含む、対象における自己免疫性障害を同定する方法:
前記対象に由来する試料を、請求項1~19及び37~39のいずれか1項に記載のアレイと接触させること;ならびに
前記アレイ上の特徴要素に対する前記試料中の抗体の結合を分析して、前記対象が前記自己免疫性疾患を有するかどうか判定すること。
【請求項41】
前記自己免疫性障害がセリアック病である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記自己免疫性障害についての、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の検出感度を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記自己免疫性障害についての、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の検出特異性を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
配列番号1~172からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしく変異体を含む、実質的に精製したペプチド及び/または組換えペプチド。
【請求項45】
患者におけるセリアック障害またはセリアック関連障害を治療する方法であって、配列番号1~127からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む製剤を、前記患者に対して投与することを含む、前記方法。
【請求項46】
患者におけるセリアック障害またはセリアック関連障害の程度を判定するための方法であって、配列番号1~172からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む製剤を接触させた前記患者の血清試料の反応性を測定することを含む、前記方法。
【請求項47】
セリアック抗体のポリペプチドエピトープを含むセリアック病のバイオマーカーであって、前記ポリペプチドエピトープが、配列番号1~172からなる群から選択されるか、またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体である、前記バイオマーカー。
【請求項48】
請求項47に記載の1つ以上のペプチドを含む作用物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月8日に出願した米国特許仮出願第62/742,863号の利益を主張するものであり、その全内容を、参照により、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
セリアック病(CeD)には、無グルテン食(GFD)を摂ると正常に戻る自己抗原組織トランスグルタミナーゼ(tTG)に対する抗体レベルの上昇など、自己免疫性疾患の特徴がある。1GFDは、CeDの効果的な治療法ではあるが、CeDの患者は、GFDを遵守することが難しい場合が多く、その結果、腸の損傷の進行を招いている。幾つかの研究は、治療を終えたCeD粘膜を有する患者における持続的な粘膜損傷が、リンパ増殖性悪性腫瘍、骨疾患、34,35そして、おそらくは超過死亡率36,37などという幾つかの重篤な合併症と関連している、ことを示している。その他の慢性疾患と同様に、治療を終えたCeD粘膜を有する患者の疾患モニタリングが必要である。
【0003】
CeDの血清学的検査は、広範に実施されており、そして、CeDの診断とモニタリングにおける効果的な最初のステップと考えられている。5,21-25現在のところ、CeDの主要な血清学的マーカーは、tTGと、tTGで脱アミド化したグリアジンペプチド(GP)に対する抗体である。4,5最近のヨーロッパのガイドラインは、tTG-IgAや筋内膜抗体に関する検査など、CeDに関して十分かつ強度に陽性の血清学的検査が、CeDを確認する上で十分であることを示唆しており;したがって、このサブグループでのCeDを診断するために、小腸の生検は不必要となり得る。26しかしながら、血清学的検査の結果は、設定や集団によって大きく変化し、5,23,25また、CeDの治療を受けた患者の腸粘膜の治癒状態との相関はあまり認められていない。40,41特に、CeDの有病率が低いため、CeD血清学的検査の陽性予測値は比較的小さい。加えて、tTG-IgA試験は、一般的な集団よりもCeDとの関連性が大きい選択的IgA欠損症の患者のCeDを診断する上では効果的ではない。最近のメタ分析は、tTG-IgAと筋内膜抗体に関する検査など、CeDの血清学的検査が、GFDを遵守しているCeD患者における持続性絨毛萎縮を検出するためのフォローアップ生検と比較して、感度が小さい(50%未満)、との報告をしている。tTG-IgAと比較して、脱アミド化グリアジンペプチド(DGP)-IgAは、治療を受けたCeD患者の治癒状態を首尾良く同定することを示しているが、DGP-IgAの感度と特異性は至適ではない。CeD血清学でのこの変動性が故に、小腸の生検は、CeDを診断し、そして、腸の治癒を検証する上で最も信頼できる方法である、と今もなお考えられている。14しかしながら、生検は、侵襲的であり、また、費用負担が大きい。したがって、CeDをモニタリングするためのより正確な非侵襲的マーカーが待望されている。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明は、CeDのバイオマーカーの同定の分野に関する。より具体的には、本発明は、CeDの診断のため、及び、CeDと診断された患者の治癒状態を判定するためのバイオマーカーとしての、tTG-DGP複合体に由来するネオエピトープの同定の分野に関する。tTG-DGP複合体の同定したネオエピトープは、臨床的に利用可能な血清学的検査と同等以上の診断精度でCeDを識別する。さらに、これらのネオペプチドは、現在の血清学的検査よりもはるかに高い感度と特異性で、治療されたCeD患者の治癒状態を同定する。したがって、これらのネオエピトープは、治療されたCeD患者の持続的な粘膜損傷の指標として使用することができ、それにより、費用負担が大きくかつ侵襲的な腸生検を回避することができる。
【0005】
ある態様では、本発明は、アレイ表面と少なくとも2つのペプチドプローブとを含むアレイを提供する。少なくとも2つのペプチドプローブのそれぞれは、配列番号1~172からなる群から選択される結合モチーフを含む。ペプチドプローブは、アレイ表面から延びている。
【0006】
アレイ表面は、あらゆるタイプの表面を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、アレイ表面は、固体表面であることができる。そのような実施形態では、固体表面は、微粒子であることができる。
【0007】
特定の実施形態では、少なくとも2つのペプチドプローブは、セリアック病に関連する抗体に対して結合することができる。一部の実施形態では、少なくとも2つのペプチドプローブは、標識をさらに含むことができる。
【0008】
別の態様では、本発明は、位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素のアレイを提供する。特徴要素は、少なくとも1つの操作したポリペプチド鎖を含む。操作したポリペプチド鎖は、生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列、及び、タンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープ配列を含む。生物活性ポリペプチドは、セリアック病に罹患している対象において免疫応答を生じさせる。このタンパク質は、セリアック病に罹患している対象の抗体に対して結合する。
【0009】
生物活性ポリペプチドは、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、オメガグリアジン、及び、他の小麦関連タンパク質またはペプチドからなる群から選択されることができる。セリアック病に罹患している対象の抗体に対して結合するタンパク質は、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)であることができる。特定の実施形態では、操作したポリペプチド鎖は、配列番号1~172からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100個の配列を含むことができる。さらなる実施形態では、操作したポリペプチド鎖は、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列をさらに含むことができる。
【0010】
位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素は、あらゆる長さのアミノ酸であることができる。特定の実施形態では、位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素は、6~15アミノ酸長であることができる。さらに特定の実施形態では、位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素は、12アミノ酸長であることができる。
【0011】
同様に、表面に付着している特徴要素を含むエピトープ配列は、あらゆる長さのアミノ酸であることができる。例えば、一部の実施形態では、生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれは、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11個のアミノ酸からなることができる。さらに特定の実施形態では、生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれは、3個のアミノ酸からなることができる。
【0012】
特定の実施形態では、表面に付着している特徴要素は、セリアック病に罹患している疑いのある対象に由来する試料と特徴要素を接触させた後のセリアック病の検出に関して少なくとも90%の感度と90%の特異性とを有するように構成されることができる。少なくとも1つの操作したポリペプチド鎖が12アミノ酸長であり、かつ、ポリペプチド鎖を含む生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが、3個のアミノ酸からなる、さらなる実施形態では、生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが、セリアック病陽性試料中の抗体に対する結合に関して少なくとも20%の感度を有することができる。
【0013】
特定の実施形態では、特徴要素のアレイは、少なくとも10,000個の特徴要素を含むことができる。そのような実施形態では、それぞれの特徴要素は、位置的に画定された異なる箇所においてアレイの表面に付着しており、同箇所は、ピラーの位置的に画定された箇所に対応しており、それぞれのピラーの上面は、少なくとも1μm2の大きさを有している。そのような実施形態では、アレイの各特徴要素が、その他のアレイの特徴要素と比較して異なる操作したペプチド鎖をさらに含むことができる。さらに、それぞれの特徴要素が、少なくとも500個の同一の完全長ペプチド鎖を含み、それぞれの同一の完全長ペプチド鎖が、少なくとも7アミノ酸長である操作した完全長を有している。そのような実施形態では、完全長の操作したペプチド鎖の割合に関するそれぞれの特徴要素の純度は、それぞれの特徴要素の完全長の操作したペプチド鎖の割合Fであることができ、完全長の操作したペプチド鎖が操作した配列と操作した完全長の配列長Nとを有し、割合FがF=10(N+1)・log(E/100%)を特徴とし、平均カップリング効率Eが、操作した配列の各アミノ酸のカップリングに関しては少なくとも98.5%であり、かつ、配列長Nが、少なくとも7アミノ酸長であり、完全長に満たない操作したペプチド鎖の割合が(1-F)に等しい。なおも別の実施形態では、アレイの表面は、基板であることができ、かつ、基板は、上面と下面とを有する平面層を含むことができる。基板は、位置的に画定された箇所において、層に対して動作可能にカップリングした複数のピラーを有することもできる。それぞれのピラーは、それぞれのピラーから延びた平面を有することができ、その結果、それぞれのピラーの表面と、層の上面との間が、1,000~5,000オングストロームの間の距離となり、そして、複数のピラーが、l0,000/cm2を超える密度で存在するようになる。
【0014】
なおも別の態様では、本発明は、セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出する方法を提供する。この方法は、対象抗体を部分的に含む、対象に由来する試料を得ること、合成ポリペプチドのアレイを対象試料と接触させること、アレイにおけるそれぞれの合成ポリペプチドについての抗体結合強度値を同定すること、及び、アレイにおけるそれぞれの合成ポリペプチドについての同定した抗体結合強度値に基づいて、対象における治癒状態を判定することを含む。そのような実施形態では、アレイにおけるそれぞれの合成ポリペプチドは、セリアック病に罹患している対象において免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列と、対象抗体に対して結合するタンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープ配列とを含む。
【0015】
生物活性ポリペプチドは、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、及び、オメガグリアジンからなる群から選択されることができる。さらに、生物活性ポリペプチドに由来する2つのエピトープ配列の内の少なくとも1つは、脱アミド化したポリペプチド配列を含むことができる。加えて、生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列は、生物活性ポリペプチドにおいて不連続であることができる。特定の実施形態では、生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれは、3アミノ酸長であることができる。
【0016】
対象抗体に対して結合するタンパク質は、特定の実施形態では、組織トランスグルタミナーゼを含むことができる。対象抗体は、IgA、及び/または、IgG抗体であることができる。あるいは、一部の実施形態では、対象は、IgA欠損症であることができる。対象は、特定の実施形態では、無グルテン食を遵守することができる。
【0017】
アレイにおける合成ポリペプチドは、配列番号1~172からなる群から選択される配列の内の1つ以上を含むことができる。一部の実施形態では、それぞれの合成ポリペプチドは、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列をさらに含むことができる。さらに、それぞれの合成ポリペプチドは、12アミノ酸長であることができる。特定の実施形態では、アレイの合成ポリペプチドは、マイクロアレイと対象試料を接触させた後のセリアック病の検出に関して少なくとも90%の感度と90%の特異性と有するように構成されることができる。別の実施形態では、アレイの合成ポリペプチドは、セリアック病に罹患しておりかつ無グルテン食を遵守している対象における治癒状態の検出に関して少なくとも80%の感度と90%の特異性とを有するように構成されることができる。合成ポリペプチドのアレイは蛍光アレイであることができる。
【0018】
特定の実施形態では、アレイにおける合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定するために、アレイを対象試料と接触させた後に、アレイを画像化することができる。加えて、それぞれの合成ポリペプチドについての蛍光発光値を同定することができる。次に、同定した蛍光発光値に基づいて、それぞれの合成ポリペプチドについての抗体結合強度値を同定することができる。
【0019】
なおも別の態様では、本発明は、セリアック病に罹患している対象の治癒状態を検出するための合成ポリペプチドを同定するための方法を提供する。この方法は、対応するペプチド配列に抗体結合強度値が関連付けられるような、合成したtTG-DGPネオエピトープのアレイの抗体結合強度を推定することを含む。この方法は、期待値最大化アルゴリズムによって実行されるバックグラウンド正規化モデリングを使用して、バックグラウンドノイズを除去することをさらに含む。この方法は、tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列のセットを決定するように、ベクターマシンモデリングをペプチドのトレーニングセットに適用して超平面を構築しかつ2つのクラス(セリアック病と非セリアック病)の間のトレーニングデータの差を最大化することをさらに含む。次いで、この方法は、tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列として同定したそれぞれのペプチドの感度と特異性とを決定すること、及び、前記セットのペプチドに関連しているセリアック病の感度、特異性、及び、予測可能性に基づいて、tTG-DGP複合体の免疫原性エピトープのさらなるセットを同定することを含む。
【0020】
なおも別の態様では、本発明は、セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するためのアレイを提供する。一部の実施形態では、アレイは、上記した合成ポリペプチドを同定するための方法に従って同定した合成ポリペプチドを含む。別の実施形態では、アレイは、配列番号1~172からなる群から選択される1つ以上の配列を含む。
【0021】
なおも別の態様では、本発明は、位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素のアレイを提供する。そのような実施形態では、アレイは、上記した合成ポリペプチドを同定するための方法に従って同定した合成ポリペプチドを含むことができる。別の実施形態では、アレイは、配列番号1~172からなる群から選択される1つ以上の配列を含むことができる。
【0022】
なおも別の態様では、本発明は、対象における自己免疫性障害を同定する方法を提供する。この方法は、対象に由来する試料を、先に開示したアレイのいずれかと接触させること、及び、アレイ上の特徴要素に対する試料中の抗体の結合を分析して、対象が自己免疫性障害を有するかどうか判定することを含む。
【0023】
一部の実施形態では、自己免疫性疾患はセリアック病であることができる。この方法は、一部の実施形態では、自己免疫性障害についての、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の検出感度を提供することができる。加えて、この方法は、一部の実施形態では、自己免疫性疾患についての、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の検出特異性を提供することができる。
【0024】
なおも別の態様では、本発明は、配列番号1~172からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む、実質的に精製したペプチド及び/または組換えペプチドを提供する。
【0025】
なおも別の態様では、本発明は、患者におけるセリアック障害またはセリアック関連障害を治療する方法を提供する。そのような態様では、当該方法は、配列番号1~127からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む製剤を患者に対して投与することを含む。
【0026】
なおも別の態様では、本発明は、患者におけるセリアック障害またはセリアック関連障害の程度を判定するための方法を提供する。そのような態様では、当該方法は、配列番号1~172からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む製剤を接触させた患者の血清試料の反応性を測定することを含む。
【0027】
なおも別の態様では、本発明は、セリアック抗体のポリペプチドエピトープを含む、セリアック病のバイオマーカーを提供する。ポリペプチドエピトープは、配列番号1~172からなる群から選択されるか、またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体である。
【0028】
なおも別の態様では、本発明は、上記したセリアック病のバイオマーカーの内の1つ以上を含む作用物質を提供する。
[本発明1001]
アレイ表面と少なくとも2つのペプチドプローブとを含むアレイであって、前記少なくとも2つのペプチドプローブのそれぞれが、配列番号1~172からなる群から選択される結合モチーフを含み、かつ、前記少なくとも2つのペプチドプローブが、前記アレイ表面から延びている、前記アレイ。
[本発明1002]
前記少なくとも2つのペプチドプローブが、セリアック病に関連する抗体に対して結合することができる、本発明1001のアレイ。
[本発明1003]
前記アレイ表面が固体表面である、本発明1001のアレイ。
[本発明1004]
前記固体表面が微粒子である、本発明1003のアレイ。
[本発明1005]
前記少なくとも2つのペプチドプローブが標識をさらに含む、本発明1001のアレイ。
[本発明1006]
位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素のアレイであって、前記特徴要素が、セリアック病に罹患している対象において免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列と、セリアック病に罹患している前記対象の抗体に対して結合するタンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープ配列とを含む少なくとも1つの操作したポリペプチド鎖を含む、前記アレイ。
[本発明1007]
前記生物活性ポリペプチドが、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、オメガグリアジン、及び、他の小麦関連タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、本発明1006のアレイ。
[本発明1008]
セリアック病に罹患している前記対象の抗体に対して結合する前記タンパク質が組織トランスグルタミナーゼを含む、本発明1006のアレイ。
[本発明1009]
前記少なくとも1つのポリペプチド鎖が、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列をさらに含む、本発明1006のアレイ。
[本発明1010]
前記少なくとも1つの操作したポリペプチド鎖が、配列番号1~172からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100個の配列を含む、本発明1006のアレイ。
[本発明1011]
前記特徴要素が6~15アミノ酸長である、本発明1006のアレイ。
[本発明1012]
前記特徴要素が12アミノ酸長である、本発明1006のアレイ。
[本発明1013]
前記アレイの表面に付着している前記特徴要素が、セリアック病に罹患している疑いのある対象に由来する試料を前記特徴要素と接触させた後のセリアック病の検出に関して少なくとも90%の感度と90%の特異性とを有するように構成されている、本発明1006のアレイ。
[本発明1014]
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが3個のアミノ酸からなる、本発明1006のアレイ。
[本発明1015]
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが、3、4、5、6、7、8、9、10、または、11個のアミノ酸からなる、本発明1006のアレイ。
[本発明1016]
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが、3個のアミノ酸からなり、セリアック陽性試料中の抗体に対する結合に関して少なくとも20%の感度を有し、前記ペプチド鎖が12アミノ酸長である、本発明1006のアレイ。
[本発明1017]
少なくとも10,000個の特徴要素をさらに含み、それぞれの特徴要素が、異なる位置的に画定された箇所において前記アレイの表面に付着しており、それぞれの特徴要素の前記位置的に画定された箇所が、ピラーの位置的に画定された箇所に対応しており、それぞれのピラーの上面が少なくとも1μm2の大きさである、本発明1006のアレイ。
[本発明1018]
それぞれの特徴要素が、他の特徴要素と比較して異なる操作したペプチド鎖を含み、それぞれの特徴要素が、少なくとも500個の同一の完全長ペプチド鎖を含み、かつ、それぞれの同一の完全長ペプチド鎖が、少なくとも7アミノ酸長である操作した完全長を有しており、かつ、完全長の操作したペプチド鎖の割合に関するそれぞれの特徴要素の純度が、それぞれの特徴要素の前記完全長の操作したペプチド鎖の割合Fであり、前記完全長の操作したペプチド鎖が操作した配列と操作した完全長の配列長Nとを有し、前記割合FがF=10(N+1)・log(E/100%)を特徴とし、平均カップリング効率Eが、前記操作した配列の各アミノ酸のカップリングに関しては少なくとも98.5%であり、かつ、配列長Nが少なくとも7アミノ酸長であり、完全長に満たない操作したペプチド鎖の割合が(1-F)に等しい、本発明1017のアレイ。
[本発明1019]
前記表面が基板を含み、前記基板が、上面と下面とを有する平面層、及び、前記位置的に画定された箇所において前記層に対して動作可能にカップリングした複数のピラーを含み、かつ、それぞれのピラーが、前記層から延びている平面を有しており、それぞれのピラーの表面と前記層の上面との間の距離が、1,000~5,000オングストロームの間であり、かつ、前記複数のピラーが、10,000/cm2を超える密度で存在する、本発明1017のアレイ。
[本発明1020]
以下を含む、セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出する方法:
前記対象から試料を得ることであって、対象試料が対象抗体を部分的に含む、前記得ること;
合成ポリペプチドのアレイを前記対象試料と接触させることであって、それぞれの合成ポリペプチドが、セリアック病に罹患している対象において免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドに由来する少なくとも2つのエピトープ配列と、前記対象抗体に対して結合するタンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープ配列とを含む、前記接触させること;
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定すること;及び
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドのそれぞれについての同定した抗体結合強度値に基づいて、前記対象の治癒状態を判定すること。
[本発明1021]
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列の内の少なくとも1つが、脱アミド化したポリペプチド配列を含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記対象抗体に対して結合する前記タンパク質が組織トランスグルタミナーゼである、本発明1020の方法。
[本発明1023]
前記対象抗体がIgAまたはIgG抗体である、本発明1020の方法。
[本発明1024]
前記生物活性ポリペプチドが、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、及び、オメガグリアジンからなる群から選択される、本発明1020の方法。
[本発明1025]
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列が、前記生物活性ポリペプチドにおいて不連続である、本発明1020の方法。
[本発明1026]
前記生物活性ポリペプチドに由来する前記少なくとも2つのエピトープ配列のそれぞれが3アミノ酸長である、本発明1020の方法。
[本発明1027]
それぞれの合成ポリペプチドが、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1028]
前記合成ポリペプチドが12アミノ酸長である、本発明1020の方法。
[本発明1029]
前記アレイの前記合成ポリペプチドが、マイクロアレイを前記対象試料と接触させた後のセリアック病の検出に関して少なくとも90%の感度と90%の特異性と有するように構成されている、本発明1020の方法。
[本発明1030]
前記アレイが蛍光アレイを含む、本発明1020の方法。
[本発明1031]
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定することが、
前記アレイを前記対象試料と接触させた後に、前記アレイを画像化すること;
前記合成ポリペプチドのそれぞれについての蛍光発光値を同定すること;及び
同定した蛍光発光値に基づいて、前記合成ポリペプチドのそれぞれについての抗体結合強度値を同定すること
を含む、本発明1020の方法。
[本発明1032]
前記アレイにおける前記合成ポリペプチドが、配列番号1~172からなる群から選択される配列の内の1つ以上を含む、本発明1020の方法。
[本発明1033]
前記対象がIgA欠損である、本発明1020の方法。
[本発明1034]
前記対象が無グルテン食を遵守している、本発明1020の方法。
[本発明1035]
前記アレイの前記合成ポリペプチドが、セリアック病に罹患しておりかつ無グルテン食を遵守している対象における治癒状態の検出に関して少なくとも80%の感度と90%の特異性とを有するように構成されている、本発明1020の方法。
[本発明1036]
以下のステップの内の1つ以上を含む、セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するための合成ポリペプチドを同定する方法:
合成tTG-DGPネオエピトープのアレイの抗体結合強度を推定するステップであって、抗体結合強度値が、対応するペプチド配列と関連付けられている、前記ステップ;
期待値最大化アルゴリズムによって実行されるバックグラウンド正規化モデリングを使用して、バックグラウンドノイズを除去するステップ;
ベクトルマシンモデリングをペプチドのトレーニングセットに対して適用して、超平面を構築しかつ2つのクラス(セリアック病と非セリアック病)の間のトレーニングデータの差を最大化するステップであって、tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列のセットを決定する、前記ステップ;
前記tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列として同定したそれぞれのペプチドの感度と特異性を決定するステップ;ならびに
前記セットの前記ペプチドに関連するセリアック病の感度、特異性、及び、予測可能性に基づいて、前記tTG-DGP複合体の免疫原性エピトープのさらなるセットを同定するステップ。
[本発明1037]
セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するためのアレイであって、前記アレイが合成ポリペプチドを含み、前記合成ポリペプチドが、本発明1036の方法によって同定される、前記アレイ。
[本発明1038]
セリアック病に罹患している対象における治癒状態を検出するためのアレイであって、配列番号1~172からなる群から選択される配列の内の1つ以上を含む、前記アレイ。
[本発明1039]
位置的に画定された箇所において表面に付着している特徴要素のアレイであって、前記特徴要素が、本発明1036の方法によって同定された少なくとも1つの合成ポリペプチドを含む、前記アレイ。
[本発明1040]
以下を含む、対象における自己免疫性障害を同定する方法:
前記対象に由来する試料を、本発明1001~1019及び1037~1039のいずれかのアレイと接触させること;ならびに
前記アレイ上の特徴要素に対する前記試料中の抗体の結合を分析して、前記対象が前記自己免疫性疾患を有するかどうか判定すること。
[本発明1041]
前記自己免疫性障害がセリアック病である、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記自己免疫性障害についての、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の検出感度を含む、本発明1040の方法。
[本発明1043]
前記自己免疫性障害についての、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%の検出特異性を含む、本発明1040の方法。
[本発明1044]
配列番号1~172からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしく変異体を含む、実質的に精製したペプチド及び/または組換えペプチド。
[本発明1045]
患者におけるセリアック障害またはセリアック関連障害を治療する方法であって、配列番号1~127からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む製剤を、前記患者に対して投与することを含む、前記方法。
[本発明1046]
患者におけるセリアック障害またはセリアック関連障害の程度を判定するための方法であって、配列番号1~172からなる群から選択されるアミノ酸配列またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体を含む製剤を接触させた前記患者の血清試料の反応性を測定することを含む、前記方法。
[本発明1047]
セリアック抗体のポリペプチドエピトープを含むセリアック病のバイオマーカーであって、前記ポリペプチドエピトープが、配列番号1~172からなる群から選択されるか、またはそれらの任意の1つ以上の生物学的に活性なフラグメントもしくは変異体である、前記バイオマーカー。
[本発明1048]
本発明1047の1つ以上のペプチドを含む作用物質。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本出願は、添付した図面を突き合せて読むことで、理解がさらに深まる。発明の要旨を説明する目的で、発明の要旨の例示的な実施形態を図面に示しているが;しかしながら、本明細書で開示した発明の要旨は、開示した特定の方法、デバイス、及び、システムに限定されない。加えて、図面は必ずしも正確な比率で描かれておらず;構成要素の大きさと相対的大きさは、理解を容易ならしめるために拡大表記し得る。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指している。
【
図1】実施形態に従った、バイオマーカー選択、トレーニングセット分析、及び、検証セット分析のためのフローチャートである。
【
図2A】実施形態に従った、アレイ上でのペプチド合成のために提案したスキームである(それぞれ記載順に配列番号176~187)。
【
図2B】実施形態に従った、12merGPの脱アミド化を例示している。
図2Bは、それぞれ記載順に配列番号184、188、185、189、190、185、及び191を開示している。
【
図3A】実施形態に従った、ウェーハ基板の調製を例示している。
【
図3B】実施形態に従った、基板のピラーを例示している。
【
図3C】実施形態に従った、基板の、AFMで測定した粗さと、密度の計算値を例示している。
【
図4】実施形態に従った、ペプチドアレイ合成を例示している。
【
図5】実施形態に従った、tTG-DGP複合体の組み合わせたエピトープの例を示す(それぞれ記載順に配列番号192~194)。
【
図6】
図6Aは、実施形態に従った、tTGペプチドに対する免疫反応性を示す。
図6Bは、実施形態に従った、tTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性を示す。
【
図7】
図7Aは、実施形態に従った、未治療のCeD、治療されたが治癒していないCeD、及び、治療され治癒したCeD患者、ならびに、健常なコントロール患者におけるtTG-DGP複合体のエピトープに対する免疫反応性を示す。
図7Bは、実施形態に従った、tTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性の主成分分析を示す。
【
図8】実施形態に従った、治療されたが治癒していないCeD患者におけるtTG-免疫グロブリンA複合体の抗体結合レベルと、tTG-DGP複合体の抗体結合レベルとの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
当業者であれば、以下の記載から、本明細書に記載した本発明の原理から逸脱せずとも、本明細書に例示した構造、及び、方法の別の実施形態を使用できる、ことを容易に認識する。
【0031】
詳細な説明
定義
特許請求の範囲、及び、明細書で使用する用語は、特に断りの無い限り、以下に記載したように定義する。
【0032】
本明細書で使用する用語「ウェーハ」とは、集積回路の製造において一般的に使用されているシリコン結晶、または、ゲルマニウム結晶などの半導体材料の薄片のことを指す。ウェーハは、一方向に沿った寸法が例えば、25.4mm(1インチ)~300mm(11.8インチ)であり、厚さが例えば275μm~775μmである、種々の大きさであることができる。
【0033】
本明細書で使用する用語「フォトレジスト」または「レジスト」または「光活性化材料」とは、紫外線または深紫外線の照射に曝された時に、溶液において、その溶解性が変化する感光性材料のことを指す。フォトレジストは、有機化合物または無機化合物であり、ポジティブレジスト、及び、ネガティブレジストという2つの種類に分けられる。ポジティブレジストとは、露光を受けたフォトレジストの部分がフォトレジスト現像剤に対して可溶性になるフォトレジストの一種である。フォトレジストの露光を受けなかった部分は、フォトレジスト現像剤に対して不溶性のままである。ネガティブレジストとは、露光を受けたフォトレジストの部分がフォトレジスト現像剤に対して不溶性になるフォトレジストの一種である。フォトレジストの露光を受けなかった部分は、フォトレジスト現像剤によって溶解される。
【0034】
本明細書で使用する用語「フォトマスク」または「レチクル」または「マスク」とは、光の通過が可能な透明なパターンまたは穴を有する不透明なプレートのことを指す。一般的な露光プロセスでは、フォトマスクでのパターンが、フォトレジストに転写される。
【0035】
本明細書で使用する用語「カップリング分子」または「モノマー分子」とは、そのアミノ基が、フルオレニルメトキシカルボニル基、または、t-ブトキシカルボニル基で保護されている、あらゆる天然アミノ酸、または、人工的に合成したアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、任意に、それらの側鎖を保護し得る。カップリング分子の例として、Boc-Gly-Oh、Fmoc-Trp-Ohなどがある。その他の例については、後述する。
【0036】
本明細書で使用する用語「カップリング」または「カップリングプロセス」または「カップリングステップ」とは、連結分子、または、カップリング分子などの2つ以上の分子の間に結合を形成するプロセスのことを指す。結合は、ペプチド結合などの共有結合であることができる。一方のカップリング分子のカルボキシル基が、他方のカップリング分子のアミノ基と反応して、水(H2O)の分子を放出する時に、ペプチド結合は、2つの分子の間に形成される化学結合であることができる。これは、脱水合成反応(別名、縮合反応)であり、通常は、アミノ酸の間に生じる。結果として得られたCO-NH結合は、ペプチド結合と称されており、得られる分子はアミドである。
【0037】
本明細書で使用する用語「生体分子」、「ポリペプチド、」「ペプチド」、または「タンパク質」とは、結合によって互いに連結したアミノ酸の鎖または重合体を説明するために互換的に使用する。したがって、本明細書で使用する用語「ペプチド」は、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、及び、ポリペプチドを含む。用語「ペプチド」は、いかなる特定の個数のアミノ酸にも限定されない。一部の実施形態では、ペプチドは、約2~約50個のアミノ酸、約5~約40個のアミノ酸、約5~約20個のアミノ酸、または、約7~約15個のアミノ酸を含む。酵素を含むタンパク質またはポリペプチドなどの分子は、それが自然界に天然に存在することを意味する「ネイティブな」分子、もしくは「野生型」分子であることができるか;または、それがネイティブな分子から、または、突然変異体などの別の分子から作り出される、修飾される、導き出される、または、何らかの様式で異なる、または、変化していることを意味する「突然変異体」、「変異体」、「誘導体」、または、「修飾物」であり得る。
【0038】
本明細書で使用する用語「リンカー分子」または「スペーサー分子」とは、結果として生じるペプチドに何も機能を付け加えないが、ペプチドを支持体から隔てると共に、そこから延びており、それにより、基板表面と伸長するペプチドとの間の距離を大きくするあらゆる分子を含む。一般的に、これは、ペプチドが関係する反応(単分子フォールディング反応、及び、多分子結合反応を含む)に関する基板との立体障害を抑制し、それにより、ペプチド機能の1つ以上の実施形態を測定するためのアッセイの性能を改善する。
【0039】
本明細書で使用する用語「現像剤」とは、露光を受けた材料、または、露光を受けていない材料のいずれかを選択的に溶解させる溶液のことを指す。一般的には、現像剤は、微量の塩基が添加されている、水をベースとする溶液である。その例として、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む、水をベースとした現像剤がある。現像剤は、市販のフォトレジストを用いて初期パターンを規定するために使用する。以下の実施例1は、現像剤の使用について説明している。
【0040】
本明細書で使用する用語「保護基」として、その後の化学反応において化学選択性を得る目的で、官能基の化学修飾によって分子に導入される基がある。化学選択性とは、化学反応を、別のものと比較して所望の経路に沿って導いて、予め選択した生成物を得ることを指す。例えば、保護基としてtbocを用いると、光マスク及び光酸発生剤を使用した保護基の選択的な除去が可能になり、そして、光マスクが規定した箇所に、予め決定したペプチドカップリング反応の発生を導くペプチド合成のための化学選択性を実現する。
【0041】
本明細書で使用する用語「マイクロアレイ」とは、タンパク質または特定のDNA結合性配列の種々のプローブ分子を、規則正しく別個の箇所に固定して、それにより、微細なアレイを形成している基板のことを指す。
【0042】
本明細書で使用する用語「マイクロアレイシステム」とは、通常は、ガラス、プラスチック、または、シリコンチップなどの固体平面に所定の形式に従って並べられた生体分子プローブ、そして、試料を扱うために必要とされる機器(自動ロボット装置)、レポーター分子を読み取るために必要とされる機器(スキャナー)、及び、データを解析するために必要とされる機器(バイオインフォマティクス用ツール)から構成されるシステムのことを指す。
【0043】
本明細書で使用する用語「パターン化領域」または「パターン」または「箇所」とは、異なる特徴要素が成長する基板上での領域のことを指す。これらのパターンは、フォトマスクを用いて規定することができる。
【0044】
本明細書で使用する用語「誘導体化」とは、生体分子の合成に適するように表面を化学修飾するプロセスのことを指す。一般的には、誘導体化は次のステップ:基板を親水性にするステップ、アミノシラン基を付加するステップ、及び、リンカー分子を付着させるステップ、を含む。
【0045】
本明細書で使用する用語「キャッピング」または「キャッピングプロセス」または「キャッピングステップ」とは、付着している分子のさらなる反応を妨げる分子を付加する、ことを指す。例えば、ペプチド結合のさらなる形成を妨げるために、アミノ基は、一般的には、無水酢酸分子でキャッピングする。
【0046】
本明細書で使用する用語「拡散」とは、化学物質が、ランダム運動を通じて、高濃度の領域から、低濃度の領域へと広がることを指す。
【0047】
本明細書で使用する用語「色素分子」とは、一般的には、基板と結合することができる着色物質である色素のことを指す。色素分子は、アレイ上の特徴要素と目的の分子との間の結合を検出する上で有用である。
【0048】
本明細書で使用する用語「免疫学的結合」及び「免疫学的結合特性」とは、免疫グロブリン分子(または、その変異体、例えば、scFvなど)と、免疫グロブリンが特異的であるその抗原との間で生じるタイプの非共有結合性相互作用のことを指す。
【0049】
本明細書で使用する用語「生体試料」とは、目的の分析物(複数可)に関してアッセイすることができる、生体組織または生体液に由来する試料のことを指す。そのような試料として、喀痰、羊水、血液、血液細胞(例えば、白血球)、組織生検または細針生検試料、尿、腹腔液、及び、胸水、または、それらに由来する細胞があるが、これらに限定されない。生体試料として、組織の切片、例えば、組織学的目的で採取した凍結切片なども含み得る。試料は、一般的には、ヒト患者から得るが、アッセイは、あらゆる生物(例えば、哺乳動物、細菌、ウイルス、藻類、または、酵母)、または、哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、及び、ブタに由来する試料中の目的の分析物(複数可)を検出するために使用することができる。試料を、必要に応じて、適切な緩衝液で希釈し得る、または、必要であれば、濃縮し得る。
【0050】
本明細書で使用する用語「アッセイ」とは、物質の複合的な混合物を含有しうる溶液における目的の物質の存在または濃度を測定する、一種の生化学的試験のことを指す。
【0051】
用語「対象」として、対象が、ヒトであるか、または、哺乳動物種、さらには、鳥類種をも含む非ヒト動物であるかに関係なく、特に、個体、患者、標的、宿主、または、レシピエントがある。したがって、用語「対象」として、ヒト、非ヒト霊長動物(例えば、ゴリラ、マーモセット、アフリカミドリザル)、家畜(例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ)、実験試験動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ)、捕獲した野生動物(例えば、キツネ、シカ、狩猟動物)、及び、家禽鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ)を含む鳥類種がある。しかしながら、好ましい対象は、ヒトである。
【0052】
本明細書で使用する用語「抗原」とは、対象の免疫系による免疫応答、例えば、免疫系による抗体の生産、及び/または、免疫系の細胞性免疫側の活性化(例えば、抗原に反応して様々なサイトカインの放出を伴う、貪食細胞、ナチュラルキラー細胞、及び、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球の活性化)を誘発する分子のことを指す。抗原は、外因性抗原、内因性抗原、または、自己抗原であることができる。外因性抗原は、吸入、摂取、または、注射によって外部から身体内に侵入したものである。内因性抗原は、従前は正常であった細胞内で正常な細胞代謝の結果として生成したもの、または、ウイルスもしくは細胞内細菌感染に起因して生成したものである。自己抗原は、宿主の体内に存在する正常なタンパク質またはタンパク質複合体であるが、免疫応答を刺激することができる。
【0053】
本明細書で使用する用語「エピトープ」または「免疫活性領域」とは、適応免疫系の構成要素、例えば、抗体またはT細胞受容体に結合することができる抗原の分子表面に特有の特徴要素のことを指す。抗原性分子は、特異的抗体との相互作用点として作用しうる幾つかの表面特徴要素を提示することができる。そのようなあらゆる分子に特有の特徴要素が、エピトープを構成することができる。それ故に、抗原は、そのそれぞれが特定のエピトープに対して特異的な幾つかの特有の抗体に結合できる能力を有する。
【0054】
本明細書で使用する用語「抗体」または「免疫グロブリン分子」とは、免疫系の特定の種類の細胞:B細胞が天然に分泌する分子のことを指す。抗体には、5種類の異なる天然のアイソタイプ、すなわち:IgA、IgM、IgG、IgD、及び、IgEが存在する。
【0055】
本明細書で使用する用語「免疫関連分子」とは、免疫応答の活性化または調節に関与する生体分子のことを指す。これらには、例えば、抗体、T細胞受容体、または、MHC複合体(例えば、ヒト白血球抗原)が含まれる。
【0056】
本明細書で使用する用語「炎症応答分子」とは、炎症応答のシグナル伝達を行う分子、または、炎症応答を媒介する分子、例えば、インターロイキン、及び、腫瘍壊死因子などのサイトカインのことを指す。炎症応答分子として、例えば、炎症誘発性分子がある。
【0057】
本明細書で使用する用語「自己免疫性障害」とは、対象の免疫系が、対象自身の組織を損傷するという免疫系の異常機能を特徴とする大規模な疾患群のいずれかのことを指す。セリアック障害、エリテマトーデス、及び、関節リウマチは、自己免疫性障害の例である。自己免疫性障害は、環境因子によって誘導され得る。
【0058】
2つ以上の核酸、または、ポリペプチド配列に関連する用語「パーセント同一性」または「パーセント配列同一性」とは、以下に説明する配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP、及び、BLASTN、または、当業者が利用可能なその他のアルゴリズム)の内の1つを使用するか、または、目視評価による測定で、最大の対応関係が得られるように比較、及び、アラインメントを行った場合に、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基を指定されたパーセンテージで有する、2つ以上の配列または部分配列のことを指す。用途に応じて、パーセント「同一性」は、比較する配列のある領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在することができ、あるいは、代わりに、比較しようとする2つの配列の完全長にわたって存在することができる。
【0059】
配列比較のために、一般的には、1つの配列を、試験配列と比較するためのリファレンス配列として利用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合には、試験配列、及び、リファレンス配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。続いて、配列比較アルゴリズムが、指定したプログラムのパラメーターに基づいて、リファレンス配列を基準とする試験配列(複数可)の配列同一性を計算する。
【0060】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所的相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータ インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.でのGAP、BESTFIT、FASTA、及び、TFASTA)、または、目視検査(一般的には、前掲のAusubel et al.,を参照されたい)によって、行うことができる。
【0061】
パーセント配列同一性、及び、配列類似性の決定に適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information websiteを通じて公開されている。パーセント同一性スコアは、本出願の優先日の時点で、National Center for Biotechnology Information websiteで入手可能な、このプログラムのデフォルト値を用いて計算することができる。
【0062】
本明細書で使用する用語「生物学的活性フラグメント」、または、その変異体は、グルテンに対して感受性を有する対象において、その由来となるポリペプチド(例えば、GPまたはtTG)と比較して、実質的に同等以上のT細胞応答を招くことのできるポリペプチドのことを指す。別の実施形態では、生物学的活性フラグメントは、グルテンに対して感受性を有する対象において、その由来となるペプチドと比較して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%のT細胞応答を招くことができる。ある実施形態では、生物学的活性フラグメントは、14、13、12、11、10、9、8アミノ酸長であり、かつ7アミノ酸長未満ではない。特に、あらゆるペプチドのいずれかの末端での欠失、及び/または、付加も意図している。本明細書で開示する生物学的活性フラグメントの例として、配列番号1~127がある。
【0063】
本明細書で使用する用語、「セリアック病」、別名「CeD」は、小腸の慢性炎症性疾患のことを指す。この疾患は、様々な度合いのグルテン感受性を特徴とする、平坦な小腸粘膜(過形成性絨毛萎縮)を特徴とする重症型、ならびに、疲労、慢性下痢、栄養素の吸収障害、体重減少、腹部膨満、貧血を含むより軽度の症状、ならびに、骨粗鬆症、及び、腸悪性腫瘍(リンパ腫、及び、癌腫)の発症リスクの実質的な高まりを特徴とするその他の型を含む、ある範囲に及び病状を範囲に含む。
【0064】
用語「グルテンに対する感受性がある」とは、セリアック病の症状の任意の1つ以上、または、グルテン、あるいは、そのペプチドフラグメントに曝露された対象が不適切なT細胞応答を呈する状態のことを指す。グルテンに対する感受性が認められない対象では、グルテンの摂取によって引き起こされるT細胞応答は僅かであり、または、皆無である。対照的に、グルテンに対する感受性が認められる対象では、摂取の後に、グルテンに由来するペプチドに対する不適切なCD4+ T細胞媒介性免疫応答が認められる。
【0065】
用語「免疫寛容」、「免疫学的寛容」、「寛容」、または、「脱感作する」とは、本明細書では、グルテンに対する対象の免疫学的反応性を抑制することで、感作した対象または感受性の強い対象を、グルテンに対して感受性を抑制させる、感受性を解消させる、または、非反応性にする、と定義する。免疫寛容は、例えば、本明細書で定義したようなグルテンの寛容誘導性抗原フラグメントを粘膜表面に曝露すると生じ得る。抗原の粘膜投与は、高用量及び低用量のいずれでも、免疫寛容を招き得るものであり、その後の抗原の全身投与に対する免疫応答を抑制する。免疫寛容には、少なくとも2つの機序が存在し得る。高用量の抗原に対する寛容は、Th1細胞及びTh2細胞の不活性化またはクローン除去によって起こると考えられる。対照的に、低用量の抗原に対する寛容は、Treg細胞の刺激によって媒介されるバイスタンダー免疫抑制を招いて、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-10(IL-10)、及び、TGFβなどの抑制性サイトカインを生産させる。
【0066】
本明細書で使用する用語「免疫寛容を誘導する」とは、グルテンに対して感受性を有する対象において、グルテンに対する免疫寛容をもたらす、生じさせる、または、引き起こすことを指す。
【0067】
用語「過敏症」とは、本明細書では、グルテンに対して生理的に異常に感受性が高いこと、と定義する。
【0068】
用語「アネルギー」とは、T細胞(または、B細胞)の抗原に対する可逆的な不応答性または低応答性の状態のことを指す。
【0069】
本明細書で使用する「Treg」とは、免疫反応の間のT細胞媒介性免疫を終結させること、及び、胸腺における負の選択を免れた自己反応性T細胞を抑制することを主たる役割とする、T細胞のサブクラスのことを指す。本明細書で使用する用語「Treg応答」とは、フォークヘッドファミリー転写因子FOXP3(フォークヘッドボックスp3)、及び/または、MHCクラスII関連タンパク質LAG-3を発現する、及び/または、IL-2受容体アルファ鎖(CD25)を高レベルに発現する、CD4+またはCD8+ Treg細胞の集団の分化及び増殖を特徴とする。また、MHCクラスI拘束性CD8+ FOXP3を発現するTreg細胞という集団も、少ない割合ながらも存在する。末梢循環、または、脾臓におけるTreg細胞の存在は、CD4+/CD25+発現の分析で判定し得る。このことは、フローサイトメトリーを用いて達成することが好都合である。加えて、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、末梢血由来または脾臓由来の単核細胞でのFOXP3 mRNAのレベルを決定してTreg細胞を定量し得る。加えて、インビボでのTreg応答の誘導を、末梢血またはリンパ節に由来する単核リンパ球がもたらすTreg関連サイトカインを測定して評価し得る。Treg細胞は、一般的には、IL-10、及び、TGFβなどの抗炎症サイトカインのさらに高レベルでの発現を示し、そして、これらのメディエーターの存在は、当該技術分野において公知の方法、例えば、フローサイトメトリー、免疫組織化学染色、または、ELISAなどで判定し得る。
【0070】
用語「T細胞刺激ペプチド」または「刺激ペプチド」とは、T細胞を活性化することができるペプチドまたはエピトープのことを指す。
【0071】
T細胞に関連する用語「活性化する」または「活性化すること」または「活性化」とは、T細胞による共刺激分子の結合を伴って、1つの細胞でのMHC分子が、第2の(T)細胞での適切なT細胞受容体に対するエピトープを提示して、それにより、「T細胞応答」を誘発する、ことを指す。
【0072】
本明細書で使用する用語「毒性ペプチド」とは、対象においてT細胞活性化を刺激するペプチドのことを指す。
【0073】
本明細書で使用する用語「増大(expansion)」とは、T細胞を活性化した後のT細胞集団の増殖及び増幅のことを指す。
【0074】
用語「免疫優性」とは、免疫系によって最も容易に認識され、したがって、誘導した免疫応答、例えば、T細胞応答などの特異性に最も影響を及ぼすペプチドのサブユニット(エピトープ)のことを指す。「免疫優性」は、本明細書において「優性」と互換的に使用し得る。
【0075】
本明細書で使用する用語「T細胞応答を調節する」とは、グルテンに対して感受性を有する対象におけるT細胞応答を調節または調整し、その結果、グルテンに対するT細胞応答を抑制または減少させる、ことを指す。
【0076】
本明細書で使用する用語「サイトカイン分泌を改変する」とは、グルテンに対して感受性を有する対象によるサイトカインの分泌を、ある程度、変化させるかまたは変更して、その結果、対象におけるグルテン感受性を抑制または減少させる、ことを指す。この用語は、ある特定のサイトカイン、または、複数のサイトカインの組み合わせの分泌の増加と、ある特定のサイトカイン、または、複数のサイトカインの組み合わせの分泌の抑制の両方を範囲に含む。
【0077】
本明細書で使用する用語「エピトープ」は、免疫系、例えば、T細胞受容体、または、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII、抗体、B細胞受容体が認識する、抗原またはペプチドの部分であって、高親和性の結合に十分である、部分のことを指す。一般的に、認識のための線状エピトープは、少なくとも約3アミノ酸長であり、かつ、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15アミノ酸長、または、それを超えるアミノ酸長であり得る。
【0078】
用語「ポリエピトープ」とは、単一のポリペプチド鎖に2つ以上のエピトープ(ペプチド)が連結されて存在している、ことを指す。
【0079】
本明細書で使用する用語「抗原」及び「免疫原」ならびにそれらの変形物は、一般的に互換可能に使用しており、免疫系が認識するエピトープ含有構造のことを指す。
【0080】
用語「グルテン」または「グルテンタンパク質」とは、コムギにおけるアルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)、及び、オメガ(ω)グリアジン、及び、低分子量及び高分子量(LMW、及び、HMW)グルテニン、オオムギにおけるB、C、及び、Dホルデイン、ライムギにおけるβ、γ、及び、ωセカリン、及び、任意に、カラスムギにおけるアベニンを範囲に含む。「グルテンペプチド」とは、1つ以上のグルテンタンパク質に由来する、または、その範囲内にあるペプチドのことである。
【0081】
本明細書で使用する用語「グリアジン」、別名、「GP」とは、特に、コムギに由来するグルテン、例えばトリチカム・エスチバム(Triticum aestivum)に由来するグルテンであるが、これに限定されないに由来するグルテンの水性アルコール溶解性画分のことを指す。
【0082】
用語「グルテニン」とは、グルテンの水性アルコール不溶性画分のことを指しており、特に、コムギ、例えば、トリチカム・エスチバムに由来するものがあるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書で使用する「ホルデイン」または「オオムギホルデイン」とは、オオムギ、ホルデウム・ウルガレ(Hordein vulgare)に由来するグルテンのことを指す。
【0084】
本明細書で使用する「セカリン」または「ライセカリン」とは、ライムギ、セカレ・ケレアレ(Secale cerale)に由来するグルテンのことを指す。
【0085】
本明細書で使用する用語「アベジン」または「カラスムギアベジン」とは、カラスムギ、アベナ・サティバ(Avena sativa)に由来するグルテンのことを指す。用語「ヒト白血球抗原」及び「HLA」とは、本明細書では、身体の免疫系が外来生物に反応することを活性化させるという重要な役割を果たすタンパク質で構成されている、ヒト白血球、及び、血小板での遺伝子フィンガープリントとして定義する。ヒト、及び、その他の動物では、HLAは「主要組織適合性複合体」(MHC)とも称する。
【0086】
本明細書で使用する「組織トランスグルタミナーゼ」、別名、「tTG」は、グルテン特異的T細胞応答を促すので、セリアック病の重要な因子である。tTGは、グルテンの選択的脱アミド化を引き起こし、このことが、ひいては、HLA-DQ2分子、または、HLA-DQ8分子と高い親和性で結合する一連のグルテンペプチドの生成を引き起こす。結果として生じるHLA-DQ2(DQ8)-グルテンペプチドの相互作用は、炎症誘発性CD4 T細胞応答を引き起こす。したがって、用語「脱アミド化」とは、グルタミンをグルタミン酸へと変換すること、または、アスパラギンをアスパラギン酸へと変換することを指す。本明細書で使用する用語である脱アミド化は、特に、グルテンペプチドがT細胞を活性化する傾向を強めるプロセスである、グルテンでのグルタミンからグルタミン酸への変換のことを指す。
【0087】
本明細書で使用する用語「作用物質」とは、ペプチド、及び/または、ポリヌクレオチドの寄せ集めのことを指す。ペプチド、及び/または、ポリヌクレオチドは、同じ組成物(ワクチンなど)、異なる組成物、または、それらの組み合わせ(例えば、一方の組成物に本明細書で定義した第1及び第2のペプチドを含み、また、別の組成物に第3のペプチドを含む)であり得る。異なる組成物における場合、それらは、好ましくは、例えば、キットの場合のようにして近接させる。したがって、本発明の方法は、本発明の作用物質の個々の構成要素ペプチド、及び/または、ポリヌクレオチドを、単一の組成物(ワクチン)で、または、異なる組成物を連続して、または、それらを組み合わせて提供すること(例えば、対象に投与すること)を意図している。
【0088】
開示した実施形態を、さらに詳細に説明する前に、本開示が、当然のことながら、記載をした特定の実施形態に限定されるものではないため、多様であることを理解されたい。本開示の範囲は、添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明だけを目的としており、限定することは意図していない、ことも理解されたい。
【0089】
数値範囲を提供している場合、本開示は、その範囲内の各数値、明確な断りをしていない限りは、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限の間にある数値、そして、その範囲内で言及したその他の数値、または、その範囲内にある数値を含む。これらのさらに小さな範囲の上限と下限は、独立して、さらに小さな範囲に含めることができ、そして、それらも、そこに記載された範囲で具体的に排除する端部を伴い、本開示に含まれる。記載した範囲が、一方または両方の端部を含む場合、それら端部のいずれか、または、両方を除外した範囲も、本開示に含まれる。
【0090】
特定の範囲は、本明細書では、数値の前に用語「約」を付けて提示することができる。本明細書で使用する用語「約」は、その用語を付けた正確な数、ならびに、その用語を付けた数に近似している、または、その前後にある数に対する文字通りのサポートを提供するために使用する。ある数が、具体的に列挙した数に近似している、または、その前後にあるか否かを判定する際に、近似している、または、その前後で引用されていない数は、それを提示している文脈において、具体的に引用した数と実質的に同等のものを提供する数であることができる。
【0091】
特に定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、これらの開示した実施形態が属する当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または同等のあらゆる方法及び材料も、開示した実施形態の実施または試験に使用することもできるが、本明細書では、代表的な例示的方法と材料について説明している。列挙したあらゆる方法は、列挙したイベントの順序で、または、論理的に可能なその他のあらゆる順序で実行することができる。
【0092】
本明細書で引用するすべての刊行物及び特許を、参照により、援用することで、個々の刊行物または特許を、参照により、具体的かつ個別に援用し、かつ、刊行物を引用していることに関連して、参照により、方法及び/または材料を開示及び説明しているかのごとく援用する。
【0093】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び、「その(the)」は、文脈が明確に他のことを明示していない限り、複数形の対象も含む。
【0094】
ペプチド
本開示は、以下のペプチド、及び、その修飾に関する。一部の実施形態は、CeDの治療及び診断のための作用物質またはワクチンである、新規かつ選択的なポリエピトープを含有するペプチドを含む。一部の実施形態では、ポリエピトープ含有ペプチドは、グルテンに対する感受性を有する、または、CeDを有する対象のT細胞応答を調節する抗原である。これらのポリエピトープを含有するペプチド、及び、セリアック活性ペプチドの例を、表1に示す。
【0095】
(表1)CeDに対する免疫原性特異性を有するtTG-DGP複合体ペプチド配列
【0096】
本明細書では、新規のポリエピトープ含有ペプチドを同定する方法、及び、それら新規のポリエピトープ含有ペプチドの使用を開示している。新規のポリエピトープ含有ペプチドは、自己免疫性疾患を有する対象において抗体生産を刺激するタンパク質のエピトープ配列、及び、自己免疫性疾患を有する対象において免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドのエピトープ配列を含むことができる。自己免疫性疾患を有する対象において抗体生産を刺激するタンパク質は、自己抗原を含むことができる。例えば、タンパク質は、tTGを含むことができる。自己免疫性疾患がCeDである実施形態では、免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドは、アルファグリアジン、ベータグリアジン、ガンマグリアジン、または、オメガグリアジンなどのGP、または、別の小麦関連タンパク質またはペプチドを含むことができる。さらなる実施形態では、免疫応答を生じさせる生物活性ポリペプチドは、DGPを含むことができる。したがって、特定の実施形態では、新規のポリエピトープ含有ペプチドは、tTG-DGP複合体のエピトープを含むことができる。本明細書で開示する新規のポリエピトープ含有ペプチドを含むアレイまたは製剤の用途に、研究応用、治療目的、医療診断、及び/または、1例以上の患者、または、対象の層別化を含めることができる。
【0097】
新規のポリエピトープ含有ペプチド、及び/または、その成分は、生物学的に活性な変異体も含むことができる。生物学的に活性な変異体として、所定のペプチドとは1つ以上のアミノ酸が異なるペプチドがあり、これは、当該術分野で相同体として公知である。例えば、変異体は、1つ以上のペプチドのいずれかにおいて、1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。本明細書で使用する用語「置換した」または「置換」は、アミノ酸残基(複数可)の置換、交換、付加、挿入、省略、及び/または、欠失(そのため、変異体もフラグメントであり得る)を含む。特に、これは、本発明の方法での使用を不可能にする、あるいは、著しく困難にしない保存的置換を有するペプチドのことを指す。好ましくは、生物学的に活性な変異体は、グルテンに対する感受性を有する対象において、その由来となるペプチドと比較して、実質的に同等以上のT細胞応答を生じさせることができる。別の実施形態では、生物学的に活性な変異体は、グルテンに対する感受性を有する対象において、その由来となるペプチドと比較して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%のT細胞応答を生じさせることができる。
【0098】
ペプチドの生物学的に活性な変異体は、それぞれのペプチドの配列を改変し、次いで、得られたペプチドを、免疫応答、例えば、T細胞の生産を刺激する能力に関してアッセイをして同定し得る。
【0099】
ある実施形態では、本明細書で定義するペプチド配列と比較して、所定のペプチドにおいて、5つ未満、より好ましくは4つ未満、より好ましくは3つ未満、より好ましくは2つ未満、さらにより好ましくは1つのアミノ酸だけが(置換、欠失、または、付加によって)異なる。
【0100】
別の実施形態では、特定の配列(変異体)とリファレンス配列(本明細書で定義するペプチド)とのパーセンテージ同一性は、少なくとも約60%、または、少なくとも約70%、または、少なくとも約80%、または、少なくとも約90%、または、少なくとも約95%以上、例えば、少なくとも約96%、97%、98%、99%以上である。パーセンテージ同一性は、容易に入手することができるソフトウェアパッケージ、例えば、BLAST(www.ncbi.nlm.nih.gov/)、及び、GAPを使用して決定することができる。天然アミノ酸として、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、バリン(V)、ヒドロキシプロリン(O及び/またはHyp)、イソジチロシン(IDT)、及び、ジ-イソジチロシン(di-IDT)がある。ヒドロキシプロリン、イソジチロシン、及び、ジ-イソジチロシンは、翻訳の後に形成される。天然アミノ酸、特に、遺伝的にコードされる20種のアミノ酸の使用を、特に意図している。
【0101】
置換は、置換したアミノ酸が、リファレンス配列での対応するアミノ酸と類似の構造的または化学的特性を有する、保存的アミノ酸置換であり得る。あるいは、置換は、所望の活性が維持される限りは、非保存的アミノ酸置換であり得る。
【0102】
保存的アミノ酸置換の例として、脂肪族または疎水性のアミノ酸、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、及び、イソロイシンを、別のものに置換すること;ヒドロキシル含有アミノ酸、例えば、セリン、及び、トレオニンを、別のものに置換すること;酸性残基、例えば、グルタミン酸、または、アスパラギン酸を、別のものに置換すること;アミド含有残基、例えば、アスパラギン、及び、グルタミンを、別のものに交換すること;芳香族残基、例えば、フェニルアラニン、及び、チロシンを、別のものに交換すること;塩基性残基、例えば、リジン、アルギニン、及び、ヒスチジンを、別のものに交換すること;ならびに、小アミノ酸、例えば、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、及び、グリシンを、別のものに交換すること、がある。
【0103】
ペプチド変異体は、突然変異誘発、または、その他の化学的方法によって生成し得る。アラニンスキャンは、重要なアミノ酸を同定するための有用な手法である。この手法では、アミノ酸残基をAlaで交換し、そして、ペプチドの活性に関する効果を判定する。例えば、システイン残基を置換して、ジスルフィド結合を介した二量体形成を最小限にし得る。この方法で、ペプチドのアミノ酸残基のそれぞれを分析して、ペプチドの重要な領域を決定する。そのようなペプチドを調製するための手段は、当該技術分野において十分に理解されている。
【0104】
天然に存在するアミノ酸に加えて、天然に存在しないアミノ酸、または、修飾アミノ酸も意図しており、本発明の範囲内にある。実際のところ、本明細書で使用する「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、及び、アミノ酸類似体、ならびに、それぞれのD立体異性体、または、L立体異性体のことを指す。
【0105】
本明細書で使用する句「保護基(protecting group)」及び「保護基(blocking group)」とは、ペプチドを、特に、インビボにおいて望ましくない化学反応から保護する、ペプチドに対する修飾のことを指す。そのような保護基の例として、カルボン酸及びボロン酸のエステル、アルコール及びアセタールのエーテル、ならびに、アルデヒド及びケトンのケタールがある。適切な基の例として、アシル保護基、例えば、フロイル、ホルミル、アジピル、アゼライル、スベリル、ダンシル、アセチル、テイル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニル、及び、メトキシスクシニルなど;芳香族ウレタン保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)など;脂肪族ウレタン保護基、例えば、t-ブトキシカルボニル(Boc)、または、9-フルオレニルメトキシ-カルボニル(FMOC)など;ピログルタミン酸、及び、アミド化などがある。効力の増強、活性の持続、精製の容易さ、及び/または、半減期の延長をもたらすその他の数多くの修飾は、当業者に公知である。
【0106】
ある実施形態では、1つ以上のペプチドの1つ以上のグルタミン酸残基を、ペプチドに関するtTG活性で生成し得る。別の実施形態では、この反応は、投与した後にインビボで起こる。
【0107】
ペプチドは、1つ以上の修飾を含み得るものであり、それは、天然の翻訳後修飾、または、人工的な修飾であり得る。修飾は、例えば、アミノ、アセチル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシ、もしくは、ハロゲン(例えば、フッ素)基、または、炭水化物基などの化学部分を(一般的には、例えば、C-H結合の水素の置換で)提供し得る。一般的には、修飾は、N末端またはC末端に存在する。さらに、1つ以上のペプチドは、PEG化し得るものであり、PEG(ポリエチレンオキシ基)は、血流での寿命を延ばす。また、1つ以上のペプチドを、融合タンパク質、または、キメラタンパク質として、その他のタンパク質または特定の結合剤と組み合わせて、標的細胞の特定部分に対して標的化し得る。
【0108】
ペプチド変異体は、ペプチドが、アミノ酸側鎖、アミノ酸キラリティー、及び/または、ペプチド主鎖のレベルで化学的に修飾を受けた状態で取得し得る。
【0109】
本明細書に記載した特定のペプチドは、特に、幾何異性体または立体異性体の形態で存在し得る。本発明は、シス-(Z)、及び、トランス-(E)異性体、R-鏡像異性体及びS-鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物、及び、それらのその他の混合物など、そのようなすべての形態が、本発明の範囲内に属する、ことを意図している。さらなる不斉炭素原子が、置換基、例えば、アルキル基などに存在し得る。そのようなすべての異性体、ならびに、それらの混合物が、本発明の範囲内に属する、ことを意図している。
【0110】
別の例では、ペプチダーゼによる切断を防ぐために、1つ以上のペプチドのいずれかは、より安定したペプチドを得るために、特に感受性の高いペプチド結合の代わりに、開裂不可能なペプチド結合を含み得る。そのような開裂不可能なペプチド結合は、ベータアミノ酸を含み得る。
【0111】
特定の実施形態では、1つ以上のペプチドのいずれかは、例えば、解離しやすいペプチド結合の代わりに、官能基を含む場合があり、この官能基は、必要に応じて、セリン型、システイン型、または、アスパラギン酸型プロテアーゼの阻害を促す。例えば、本発明は、ペプチジルジケトン、または、ペプチジルケトエステル、ペプチドハロアルキルケトン、ペプチドフッ化スルホニル、ボロン酸ペプチジル、ペプチドエポキシド、ペプチジルジアゾメタン、ホスホン酸ペプチジル、イソクマリン、ベンゾオキサジン-4-オン、カルバメート、イソシアネート、イサト酸無水物などを含む。そのような官能基は、その他のペプチド分子に与えられており、それらの合成のための一般的な経路は公知である。
【0112】
変異体は、模倣体であり得る。用語「模倣体」とは、それが模倣する分子に対してある程度の化学的類似性を有し、かつ、目的とする特定の活性(例えば、寛容を誘導すること)を維持している物質を指す、ことを意図している。ペプチド模倣体の使用の根底にある理論的な根拠は、タンパク質のペプチド主鎖が、アミノ酸側鎖を主として、分子相互作用、例えば、T細胞とMHCペプチド、抗体と抗原、酵素と基質またはスカフォールドタンパク質との間の作用などを促すような方法で配向させるために存在している、ことにある。ペプチド模倣体は、天然の分子と同様の分子相互作用を可能にするようにデザインする。模倣体として、オレフィン、ホスホネート、アザ-アミノ酸類似体などがある。当業者であれば、ペプチドの模倣体をデザインするための方法を容易に理解するものと考えられ、そして、本明細書で定義したペプチドの模倣体をデザインするために、それらを利用することができる。
【0113】
ペプチドは、親水性分析で分析し得るものであり、それを使用することで、ペプチドの疎水性領域、及び、親水性領域を同定し、それにより、結合実験、抗体合成などにおける実験操作のためのペプチドのデザインの補助を行うことができる。特定の構造モチーフを示すペプチドの領域を同定するために、二次構造的分析も行い得る。操作、翻訳、二次構造の予測、親水性のプロファイル及び疎水性のプロファイル、オープンリーディングフレームの予測及びプロッティング、ならびに、配列相同性の決定は、当該技術分野で利用可能なコンピューターソフトウェアプログラムを用いて実現することができる。その他の構造分析の方法も使用し得るものであり、X線結晶解析、質量分析、及び、ガスクロマトグラフィー、コンピューターモデリング、旋光分散(ORD)、または、円偏光二色性(CD)があるが、これらの方法に限定されない。
【0114】
ペプチド、フラグメント、または、変異体は、塩の形態、好ましくは、医薬として許容可能な塩の形態であり得る。「医薬として許容可能な塩の形態」として、ペプチドの従来の非毒性塩、または、四級アンモニウム塩、例えば、非毒性の有機酸または無機酸に由来するものがある。従来の非毒性塩として、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩;及び、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製する塩がある。
【0115】
ペプチドは、別個のペプチドとして、または、例えば、ポリエピトープ構造内で連結した状態で、作用物質またはワクチンで提供することができる。ある実施形態では、ペプチドは、単一のポリペプチド鎖(ポリエピトープストリング)に、すなわち、直線状または環状の配置で提示し得る。別の実施形態では、ペプチドは、特に、ポリリジンなどのデンドリマー主鎖をベースとした複数の抗原提示系で提示することができる。ポリリジン主鎖は、エピトープの非直線状の分枝状配置を提供する。この系は、ペプチドが互いに干渉しない、または、開裂して潜在性エピトープになりにくいので、完全なT細胞応答を誘導することができるなど、ポリエピトープストリングよりも有利な利点がある。
【0116】
コンジュゲート
1つ以上のペプチドを、標準的な方法を使用して、化合物とコンジュゲートさせ得る。ペプチドをコンジュゲートさせることができる化合物の例として、放射性同位体、蛍光性標識、化学発光性化合物、酵素標識、フリーラジカル、アビジン-ビオチン標識、バクテリオファージ標識、対象においてペプチドの半減期を延長させる化合物、アジュバント、MHC分子またはそのフラグメントがあるが、これらに限定されない。
【0117】
化合物は、コンジュゲートしたペプチドの検出、及び/または、単離を容易にし得る、または、その免疫原性を高め得る。
【0118】
本明細書で使用する「コンジュゲートした」とは、共有結合性または非共有結合性の結合を介してカップリングする、ことを意味する。共有結合が好ましいが、化合物は、共有結合を伴わない複合体化を介して、例えば、水素結合または静電相互作用、疎水性相互作用などの相互作用を介して、ペプチドと連結し得る。
【0119】
一般的な放射性同位体として、3H、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe、75Se、及び、152Euがある。
【0120】
一般的な蛍光標識として、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、及び、フルオレサミンがある。
【0121】
一般的な化学発光性化合物として、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、及び、シュウ酸塩エステルがある。一般的な生物発光化合物として、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、及び、エクオリンがある。
【0122】
一般的な酵素標識として、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、及び、ペルオキシダーゼがある。
【0123】
ある実施形態では、非特異的リンカーを、化合物と、コンジュゲートするペプチドとの間に使用する。そのようなリンカーは、ペプチドの活性に関与しない。むしろ、リンカーは、ペプチドと機能部分との間のスペーサーとして機能し得る。リンカーの用途として、精製または検出の支援などの目的のためのペプチドの固定化がある。あるいは、リンカーは、空間的または時間的に、特定の標的、例えば、細胞または組織に対するペプチドの特異的送達を可能にする、ペプチドに対する化合物の付着を可能にし得る。ワクチンとして使用する場合、1つ以上のペプチドを、ペプチドと免疫原性担体との間のスペーサーとして機能するリンカーとカップリングし得る、または、ペプチドと免疫原性担体との改善した結合を可能にして、潜在性エピトープの形成を妨げるリンカーとカップリングさせ得る。
【0124】
ある実施形態では、1つ以上のペプチドを、当該技術分野で公知の幾つかのコンジュゲーション化学のいずれかを使用して、ジフテリアトキソイド(DT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイド(TT)、または、インフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)などのアジュバント(免疫原性担体タンパク質)と共有結合的にカップリングさせて、それらの免疫原性を高める。非特異的リンカーは、ペプチドと免疫原性担体との間に存在することができ、そして、好ましくは、免疫原性担体に対するカップリングを容易にするために、及び/または、ペプチドと免疫原性担体との間のスペーサーとして機能させるために、ペプチドと連結する、または、共合成する。
【0125】
診断薬として使用する場合、1つ以上のペプチドを、好ましくは、それまでにワクチン接種のために使用されていない免疫原性担体とコンジュゲートする。ワクチン接種の成功に関するモニタリングを行う場合、これは、診断薬が、ワクチンの担体画分に対して形成した抗体と反応してしまうことを防ぐ。
【0126】
ある実施形態では、化合物は、MHCクラスII分子、または、そのペプチド結合性フラグメントである。MHCクラスII分子は、生体試料から精製し得る。あるいは、MHCクラスII分子は、組換え生産もし得る。MHCクラスII分子のペプチド結合性フラグメントを、例えば、精製した分子、または、組換えインタクト分子を酵素開裂して得ることもできる。あるいは、ペプチド結合性フラグメントを、組換え生産し得る。好ましい実施形態では、化合物は、組換え2ドメインMHCクラスII分子である。
【0127】
その最も基本的な形態において、2ドメインMHCクラスII分子は、哺乳動物MHCクラスII分子のα1ドメインとβ1ドメインとを含み、α1ドメインのアミノ末端は、β1ドメインのカルボキシ末端と共有結合で連結しており、かつ、ポリペプチドは、α2ドメインと、β2ドメインのいずれも含まない。2ドメインMHCクラスII分子は、本明細書で定義したペプチドと、共有結合的または非共有結合的な相互作用で会合している。特定の実施形態では、ペプチドは、クラスII分子のβ1ドメインのアミノ末端と共有結合的に連結している。また、2ドメインMHCクラスII分子は、蛍光性標識または毒素などの検出可能な標識を含み得る。検出可能な標識または毒素を、指定された様式(すなわち、ランダムに付着させるのではなく)でMHC分子と共有結合的に連結させる場合には、一般的に、それは、アミノ末端に連結したペプチド抗原との干渉が最小限になるように、分子のカルボキシ末端に連結させる。
【0128】
T細胞を検出して定量し、かつT細胞機能を調節するために、2ドメインMHCクラスII分子をインビトロで使用し得る。すなわち、選択したペプチドを負荷したそのような分子を使用して、そのペプチドに対して特異的であるT細胞の集団を検出、モニタリング、及び、定量し得る。また、2ドメインMHCクラスII分子/ペプチド結合体を、グルテン特異的T細胞のアネルギーを誘導して、CeDに関連する症状を軽減するために使用し得る。あるいは、そのような分子を、疾患の原因となるT細胞を、より直接的に死滅させるために、毒素とコンジュゲートさせ得る。適切な毒素として、タンパク質毒素(例えば、リシン、ジフテリア、及び、シュードモナス(Pseudomonas)毒素)、化学療法薬(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、サイトトキシン、及び、アンチセンスRNA)、細胞傷害性T細胞表面分子に対する抗体、リパーゼ、及び、「ハードな」放射線、例えば、ベータ線を放射する放射性同位体がある。
【0129】
抗原提示細胞
本明細書で定義した作用物質及び/またはペプチドは、例えば、第1、第2、及び、第3のペプチド、それらの1つ以上の生物学的活性フラグメントまたは変異体、及び/または、それらの1つ以上をコードするポリヌクレオチドを、APCに担持させて送達し得る。
【0130】
好ましくは、APCは、対象と共通のMHC表現型を有するMHCクラスII分子を発現する、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、及び、肝類洞内皮細胞からなる群から選択される。例えば、APCは、HLA-DQ2(例えば、HLA DQA1*05、及び、HLA DQB1*02)、及び/または、HLA DQ8を発現し得る。この目的に使用するAPCは、担持をさせた後に、それらを投与する対象から単離し得る、または、アロタイプが一致する対象から入手し得る。
【0131】
APCに「担持させる」とは、APCを、ペプチド、それらの1つ以上の生物学的活性フラグメントまたは変異体、または、それらの1つ以上をコードするポリヌクレオチドと共にインキュベーションする、または、それらでトランスフェクトする、ことを意味する。APCへの担持は、脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、及び、リン酸カルシウムトランスフェクションなどの従来の核酸トランスフェクション法を使用して達成することができる。
【0132】
ペプチド生産
ペプチドは、あらゆる適切な方法で調製することができる。例えば、ペプチドは、組換え、及び/または、合成で生産することができる。
【0133】
ペプチドは、市販のペプチド合成装置を使用する自動化した手順による合成など、標準的な化学手法で合成し得る。一般的に、ペプチド類似体は、固相ペプチド合成法で調製しており、この方法は、保護したそれぞれのアミノ酸残基を、ジシクロヘキシルカルボジイミドによる活性化によって、樹脂、好ましくは、4-メチルベンズヒドリルアミン樹脂の支持体にカップリングさせて、C末端アミドを有するペプチドを得ることを含み得る。あるいは、クロロメチル樹脂(メリフィールド樹脂)を使用して、C末端に遊離カルボン酸を有するペプチドを得ることもできる。最後の残基を付着させた後に、保護したペプチド-樹脂をフッ化水素で処理して、ペプチドを樹脂から開裂させ、そして、側鎖官能基を脱保護する。粗産物を、ゲル濾過、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、分配クロマトグラフィー、または、イオン交換クロマトグラフィーによって、さらに精製することができる。
【0134】
必要に応じて、そして、先に概説したように、作用物質のペプチドに対して、合成の間、または、発現の間に、その他の分子または表面との連結を可能にする様々な基を導入し得る。例えば、チオエステルを作り出すためのシステイン、金属イオン錯体と連結させるためのヒスチジン、アミドまたはエステルを形成するためのカルボキシル基、アミドを形成するためのアミノ基など、を使用することなどができる。
【0135】
また、ペプチドを、無細胞翻訳系を用いて生産し得る。網状赤血球溶解液、及び、コムギ胚芽抽出物などの標準的な翻訳系は、RNAをテンプレートとして使用する;一方で、「カップリングした」及び「連結した」系は、DNAのテンプレートを用いて開始し、これが、RNAに転写され、続いて、翻訳される。
【0136】
あるいは、1つ以上のペプチドをコードするポリヌクレオチド(複数可)を含む発現ベクターで、宿主細胞をトランスフェクトさせて、ペプチドを生産し得る。
【0137】
組換え生産の場合、1つ以上のペプチドをコードする配列を含む組換え構築物を、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストリン媒介性トランスフェクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング、衝撃導入、または、感染などの従来の方法によって、宿主細胞内に導入する。
【0138】
1つ以上のペプチドを、例えば、哺乳動物細胞(例えば、COS、CHO、BHK、293 HEK、VERO、HeLa、HepG2、MDCK、W138、または、NIH 3T3細胞)、酵母(例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)、または、ピキア(Pichia))、細菌(例えば、大腸菌(E. coli)、P. パストリス(P. pastoris)、または、B. スブチリス(B. subtilis))、昆虫細胞(例えば、Sf9細胞でのバキュロウイルス)、または、その他の細胞などの適切な宿主細胞において、適切なプロモーターの制御下で、従来の技術を使用して発現させ得る。適切な宿主株のトランスフェクション、及び、宿主株を適切な細胞密度にまで増殖させた後に、細胞を遠心分離して回収し、物理的または化学的手段で破壊し、そして、結果的に得た粗抽出物を、ペプチドまたはその変異体のさらなる精製のために保持しておく。
【0139】
適切な発現ベクターとして、例えば、染色体、非染色体、及び、合成ポリヌクレオチド、例えば、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAとの組み合わせに由来するベクター、ウイルスDNA、例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、カナリアポックスウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病、バキュロウイルス、ヘルペスウイルス、及び、レトロウイルスがある。ポリヌクレオチドは、当該技術分野で公知の従来の手順によって、発現ベクターへ導入し得る。
【0140】
1つ以上のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現制御配列、すなわち、mRNA合成を指示するプロモーターに作動可能に連結し得る。そのようなプロモーターの代表的な例として、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌lacまたはtrp、ファージラムダPLプロモーター、及び、原核細胞または真核細胞、または、ウイルスにおいて遺伝子の発現を制御することが公知のその他のプロモーターがある。また、発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、及び、転写終結因子を含み得る。
【0141】
また、発現ベクターは、複製起点、及び、形質転換細胞、すなわち、異種ポリヌクレオチドを発現する細胞の選択を可能にする大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子などの選択マーカーを含み得る。1つ以上のペプチドをコードする核酸分子を、翻訳開始配列、及び、終結配列と、インフレームでベクターに組み込み得る。
【0142】
硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオン、または、カチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、及び、HPLCなどの周知の方法によって、組換え細胞培養物から(すなわち、細胞、または、培養培地から)1つ以上のペプチドを、回収して精製することができる。単離、及び/または、精製の間にペプチドが変性する場合には、活性のある立体配置を再生させるために、タンパク質をリフォールディングするための周知の技術を使用し得る。
【0143】
グリコシル化したペプチドを生成するために、組換え技術を使用することが好ましい。グリコシル化したペプチドを生成するために、COS-7細胞、及び、Hep-G2細胞などの哺乳動物細胞を組換え手法で使用することが好ましい。
【0144】
また、ペプチドを、さらに長いペプチドの開裂によって、特に、食品抽出物から調製することもできる。
【0145】
医薬として許容可能なペプチドの塩は、塩基部分または酸部分を含むペプチドから、従来の化学的方法によって合成することができる。一般的に、塩は、遊離塩基または遊離酸を、化学量論的な量または過剰な量の所望の塩を形成する無機酸または無機塩基、あるいは有機酸または有機塩基と、適切な溶媒において反応させて調製する。
【0146】
ペプチド配列を同定する方法
本明細書では、新規の発見と生成の方法によって生成された新規の合成ポリエピトープ含有ペプチド配列を開示している。本明細書では、新規のエピトープの発見と生成の方法によって生成された新規のエピトープ配列も開示している。ある実施形態では、新規の合成ペプチド配列を生成する方法は、自己免疫性疾患を有する対象において、抗体に対して結合する、または、免疫応答を誘発することができるポリペプチド、及び、自己免疫性疾患を有する対象において抗体生産を刺激するポリペプチドでの新規エピトープ配列の発見が関与している。エピトープ配列が発見されれば、それらを、発見したその他のエピトープ配列、または、ランダムな配列と組み換えて、自己免疫性障害に関連する抗体に対する結合に関する感度及び特異性が、ネイティブなエピトープだけの場合よりも優れている新規の合成ポリペプチド配列を生成する。好ましい実施形態では、配列を生成、及び、スクリーニングするプロセスを、試料と接触するように構成されたペプチドアレイにおいて行う。
【0147】
一部の実施形態では、
図1に例示したように、新規のエピトープを同定する方法は、次のステップ:1)ネイティブな活性タンパク質またはポリペプチドの部分をそれぞれが含んでいる、第1の複数の重複ポリペプチドフラグメントを生成するステップ;2)ポリペプチドフラグメントを含むアレイを、自己免疫性障害を有する対象に由来する試料と接触させることによって、それぞれのポリペプチドフラグメントに対する自己免疫性障害と相関する抗体の特異性及び感度を決定するステップ;3)結合の感度及び/もしくは特異性に関する所定の閾値を超えているポリペプチドフラグメント、または、ポリペプチドフラグメントの集合の感度及び/もしくは特異性の最大値を有するポリペプチドフラグメントを選択するステップ;4)ステップ3で同定したポリペプチドフラグメントから、ポリペプチドフラグメント内部でのエピトープ配列の出現を同定するステップ;5)ステップ4での少なくとも2つのエピトープ配列をそれぞれが含んでおり、かつ、任意に、少なくとも1つのランダムなポリペプチド配列を含む、第2の複数の合成ポリペプチドを生成するステップ;6)ステップ5で生成された合成ポリペプチドのそれぞれに関して、合成ポリペプチドフラグメントを含むアレイを、免疫障害を有する対象に由来する試料と接触させることによって、特異性及び感度を決定するステップ;ならびに、7)特異性及び感度の閾値を超えている、ステップ6で得た合成ポリペプチドを、自己免疫性障害に関するバイオマーカーとして使用するために選択するステップを含む。任意に、自己免疫性障害と関連する抗体の結合に関する合成ポリペプチドの感度及び/または特異性をさらに高めるために、ステップ5~ステップ7は反復し得る。この方法により、自己免疫性障害(例えば、CeD)の診断、及び、治療に有用な複数の新規の合成ポリペプチドが生成される。
【0148】
ある実施形態では、自己免疫性障害は、CeDである。ある実施形態では、新規の合成ポリペプチドを生成するタンパク質は、GP、及び、tTGである。ある実施形態では、GPは、α-グリアジン、β-グリアジン、γ-グリアジン、または、ω-グリアジンである。
【0149】
抗原のエピトープの同定
本明細書に開示したように、GP及びtTGなどのタンパク質のエピトープを同定する方法を提供しており、自己免疫性疾患の診断及び治療に使用するための新規の合成ポリペプチド配列の生成のために使用する。ある実施形態では、完全長のポリペプチド配列を、ある個別の長さの重複ポリペプチドフラグメントに分ける。ある実施形態では、それぞれのポリペプチドフラグメントは、6~15アミノ酸長である。ある実施形態では、それぞれのポリペプチドフラグメントは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15アミノ酸長である。好ましい実施形態では、それぞれのポリペプチドフラグメントは、12アミノ酸長である。完全長のポリペプチドのポリペプチドフラグメントの間の重複量は、ポリペプチドフラグメントの刻み幅で決めることができ、これは、完全長のポリペプチドが決定するそれぞれのポリペプチドフラグメントのそれぞれのN末端またはC末端アミノ酸の間の距離を指している。刻み幅が2アミノ酸である実施形態の図を、
図2Aに示しており、そこでのポリペプチドフラグメントの長さは、12個のアミノ酸である。その結果、隣接するポリペプチドフラグメントの間の重複は、10個のアミノ酸となる。この重複により、ポリペプチド配列での活性エピトープ配列のさらに正確な決定が可能になる。一部の実施形態では、刻み幅は、異なっていてもよく、例えば、刻み幅は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または、12個のアミノ酸であり得る。好ましい実施形態では、刻み幅は、2個のアミノ酸である。さらに多くのフラグメントポリペプチドの生成が必要となるが、精度を向上させるために、1個のアミノ酸の刻み幅も使用し得る。
【0150】
前出のポリペプチドフラグメントの生成スキームに基づいて、自己免疫性障害と相関する抗体を有する試料に対するスクリーニングのために、アレイにてフラグメントポリペプチドを合成する。アレイ上のフラグメントポリペプチドに対する抗体の結合は、二次抗体を介して検出されるが、当業者に公知であるその他の検出方法でも十分である、と考えられる。それぞれのポリペプチドフラグメントと、自己免疫性障害を有するまたは有さないとして同定された対象に由来する試料中の抗体との結合に関する情報を比較して、それぞれのペプチドの感度及び特異性を決定する。重複領域によって、エピトープ配列の同定が可能になる。ある実施形態では、同定したエピトープは、3~11アミノ酸長である。ある実施形態では、同定したそれぞれのエピトープは、3、4、5、6、7、8、9、10、または11アミノ酸長である。ある好ましい実施形態では、それぞれのエピトープは、3アミノ酸長に限定されている。
【0151】
一部の実施形態では、例えば、ポリペプチドが、GPなどの生物活性ポリペプチドを含む実施形態では、ポリペプチドフラグメントにおいて、自己免疫陽性試料に対する結合の特異性、及び/または、感度の閾値を超えるエピトープペアを同定する。次いで、後述するように、これらのエピトープのペアを用いて、新規の生物活性配列を生成することができる。
【0152】
新規生物活性配列の生成
上記したネイティブな生物活性ポリペプチドから同定したエピトープを使用して、さらなるスクリーニングのために、アレイにて新規の合成生物活性ポリペプチド配列の生成と合成を行う。ある実施形態では、それぞれの新規の合成生物活性ポリペプチドは、本明細書に開示した方法によって同定された、少なくとも1つのエピトープを含む。別の実施形態では、それぞれの新規の合成生物活性ポリペプチドは、本明細書で開示した方法によって同定された、少なくとも2つのエピトープを含む。一部の実施形態では、それぞれの新規の合成生物活性ポリペプチドは、本明細書に記載した方法によって同定された、2つ、3つ、4つ、または、5つのエピトープを含む。一部の実施形態では、それぞれの新規の合成生物活性ポリペプチドは、少なくとも1つまたは少なくとも2つのエピトープ配列に加えて、ランダムに生成されたポリペプチド配列を含む。一部の実施形態では、ランダムに生成された配列は、3、6、9、または、12アミノ酸長である。好ましい実施形態では、それぞれの新規の合成生物活性ポリペプチド配列は、本明細書で開示した方法によって同定された3個のアミノ酸エピトープ配列を2つ、そして、少なくとも1つのランダムに生成されたポリペプチド配列を含んでおり、12個のアミノ酸の新規の合成生物活性ポリペプチド配列を生成する。ある実施形態では、新規の合成生物活性ポリペプチド配列は配列番号1~172から選択される。ある実施形態では、自己免疫性障害を有する試料の検出に関するそれぞれの新規の合成生物活性ポリペプチド配列の感度及び特異性を決定するための試料との接触のために、複数の新規の合成生物活性ポリペプチド配列をアレイ上で合成する。ある実施形態では、自己免疫性障害の検出に関して高い感度及び/または特異性を有する新規の合成生物活性ポリペプチドは、別のポリペプチドアレイ上でのスクリーニングのために、そこに含まれているエピトープ周辺のランダムなポリペプチド配列のさらなる修飾のために選択される。本明細書に記載した方法は、高い感度、及び/または、特異性を有する自己免疫性疾患と関連する抗体に対する結合のためのエピトープとして作用する生物活性ポリペプチド配列の生成を招く。
【0153】
ある実施形態では、本明細書で提供した複数の合成生物活性ポリペプチド配列を有するポリペプチドアレイを生成する。ある実施形態では、アレイは、本明細書で開示した方法によって生成された少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100個の新規の合成生物活性ポリペプチド配列を有する。ある実施形態では、アレイは、配列番号1~172からなる群より選択される配列を有する、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または、100個のポリペプチドを有する。ある実施形態では、ポリペプチドアレイは、自己免疫性障害を有する疑いのある対象において、自己免疫性障害について、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%を超える検出感度を示す。ある実施形態では、ポリペプチドアレイは、自己免疫性障害を有する疑いのある対象において、自己免疫性障害について、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または、99%を超える検出特異性を示す。
【0154】
ペプチド配列、及び、使用の方法
アレイ
基板、製剤、及び/または、アレイを使用する方法も、本明細書で開示する。本明細書で開示するアレイの用途として、研究用途、治療目的、医療診断、及び/または、1例以上の患者の層別化がある。
【0155】
本明細書に記載したいずれのアレイも、研究ツールとして、または、研究用途に使用することができる。ある態様では、アレイは、ハイスループットスクリーニングアッセイのために使用することができる。例えば、酵素基質(すなわち、本明細書に記載したペプチドアレイ上のペプチド)は、アレイに酵素を供して、アレイ上の酵素基質(複数可)の有無を、例えば、アレイの特徴要素の中で少なくとも1つの変化を検出して同定することによって試験することができる。
【0156】
アレイを、基質特異性を決定するためのリガンド結合のスクリーニングアッセイ、または、タンパク質を阻害または活性化するペプチドを同定するためのスクリーニングアッセイにも使用することもできる。これらの方法を実施する上で有用な標識手法、プロテアーゼアッセイ、ならびに、結合アッセイは、一般的に、当業者に周知である。
【0157】
一部の実施形態では、アレイを、公知のタンパク質配列を重複ペプチドの配列として提示するために使用することができる。例えば、公知のタンパク質のアミノ酸配列を、あらゆる長さ、及び、あらゆる適切な重複フレームの重複配列セグメントに分け、それぞれの配列セグメントに対応するペプチドを、本明細書で開示したようにして、インサイチュで合成させる。このようにして合成した個々のペプチドセグメントを、公知のタンパク質のアミノ末端から開始して配置することができる。
【0158】
一部の実施形態では、アレイの抗原提示が、少なくとも1つの領域、すなわち、エピトープスライディングを介して、公知のタンパク質の抗原配列全体に行き渡る領域を含み;抗原の免疫活性領域を、アレイ上または複数の異なるアレイ上の1つ以上の臨床試料を接触させることによって決定し、公知のタンパク質抗原を提示する上で必要なペプチド配列のセットを減らす、方法においてアレイを使用する。
【0159】
一部の実施形態では、試料を、複数のランダムペプチドを有するアレイに適用する。ランダムペプチドを、スクリーニング、及び、BLAST検索して、所定の抗原配列に対して例えば90%以上の同一性を有する相同ドメインを決定することができる。次いで、一部の態様では、抗原配列全体を、合成、及び、使用して、目的の疾患の潜在的なマーカー、及び/または、原因を同定することができる。
【0160】
一部の実施形態では、アレイを、1つ以上の遺伝因子のハイスループットスクリーニングで使用する。遺伝子に関連するタンパク質は、潜在的な抗原となることがあり、これらのタンパク質に対する抗体を使用して、遺伝子と疾患との関係を推定することができる。
【0161】
別の例では、アレイを使用して、1つ以上のバイオマーカーを同定することができる。バイオマーカーは、疾患の診断、予後予測、治療、及び、管理に使用することができる。バイオマーカーは、疾患状態、疾患の病期、及び、疾患治療に対する反応に応じて、個体において発現し、非存在であり、異なるレベルであり得る。バイオマーカーは、例えば、DNA、RNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、糖類、塩、脂肪、脂質、または、イオンであることができる。
【0162】
アレイを、治療目的、例えば、1つ以上の生物活性剤の同定のために使用することもできる。生物活性剤を同定するための方法は、複数の試験化合物をアレイに適用すること、及び、生物活性剤として少なくとも1つの試験化合物を同定することを含むことができる。試験化合物は、小分子、アプタマー、オリゴヌクレオチド、化学物質、天然抽出物、ペプチド、タンパク質、抗体のフラグメント、抗体様分子、または、抗体であることができる。生物活性剤は、治療薬、または、治療標的の修飾物質であることができる。治療標的は、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、シグナル伝達分子、転写因子、タンパク質輸送体、タンパク質ソーター、細胞表面受容体、分泌因子、及び、細胞骨格タンパク質を含むことができる。
【0163】
別の態様では、アレイを、治療的使用のための薬物候補を同定するために使用することができる。例えば、特異的抗体に対する1つ以上のエピトープを、アッセイ(例えば、ELISAなどの結合アッセイ)で決定した場合に、それらのエピトープは、疾患における標的抗体に対する薬物(例えば、モノクローナル中和抗体)を開発するために使用することができる。
【0164】
ある態様では、医療診断で使用するためのアレイも提供する。アレイは、薬物またはワクチンの投与に対する反応を判定するために使用することができる。例えば、ワクチンに対する個体の反応は、誘導した免疫応答によって生成される抗体が認識するエピトープを提示するペプチドを有するアレイを使用して、個体の抗体レベルを検出することによって判定することができる。別の診断用途は、バイオマーカーの存在について個体を試験することであり、対象から試料を採取し、そして、1つ以上のバイオマーカーの存在について試料を試験する。
【0165】
アレイを使用して、対象が治療的処置に反応する可能性を示すバイオマーカーの存在または非存在に基づいて、患者集団を層別化することもできる。アレイは、公知のバイオマーカーを同定して、適切な治療群を決定するために使用することができる。例えば、ある病状を有する対象に由来する試料をアレイに適用することができる。アレイに対する結合は、その病状に関するバイオマーカーの存在を示し得る。従前の研究は、バイオマーカーは、治療後の正の結果と関連するのに対して、バイオマーカーの欠如は、治療後の負または中立の結果に関連することを示し得る。患者がバイオマーカーを有するので、医療専門家は、その患者を、処置を受ける群に層別化し得る。
【0166】
一部の実施形態では、試料中の目的のタンパク質(例えば、抗体)の有無を検出する方法は、本明細書で開示したアレイを得て、目的のタンパク質を含み得る試料と接触させること;及び、アレイの1つ以上の特徴要素に対する結合の有無を検出することによって、試料中に目的のタンパク質が存在するかどうか判定することを含むことができる。一部の実施形態では、目的のタンパク質は、体液、例えば、羊水、房水、硝子体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、内リンパ、外リンパ、糞便、女性の膣液、胃酸、胃液、リンパ、粘液、腹水、胸膜液、膿、唾液、皮脂、精液、汗、滑液、涙、腟分泌物、嘔吐物、または、尿から得ることができる。
【0167】
一部の実施形態では、ワクチン候補を同定する方法は、ワクチン候補を事前に投与した対象に由来する試料と接触させた、本明細書で開示したアレイを得ることであって、試料が複数の抗体を含む、得ること;及び、アレイの1つ以上の特徴要素に対する複数の抗体の結合特異性を決定することを含むことができる。一部の実施形態では、特徴要素は、公知の配列を有する供給源タンパク質に由来する部分配列を含む、複数の別個の入れ子状の重複ペプチド鎖を含む。
【0168】
本明細書では、アレイを製造するための方法も開示する。一部の実施形態では、本明細書で開示したアレイは、表面上で、例えば、本明細書で開示した基板上でインサイチュ合成することができる。一部の事例では、フォトリソグラフィーを使用してアレイを作り出す。例えば、マスクを使用して、保護基を有するリンカー分子が、準備された表面での特定の箇所に対する照射または露光を制御することができる。露光した箇所では、保護基が除去され、リンカーに1つ以上の反応性部分が新たに露出する。次いで、表面を、カップリング分子を含む溶液と接触させる。カップリング分子は、リンカーで新たに露出した反応性部分と反応する少なくとも1つの部位、及び、1つ以上の保護基によって保護されている少なくとも1つの第2の反応性部位を有することができる。次いで、所望のカップリング分子を、保護されていないリンカー分子とカップリングする。このプロセスを、表面上の特定の箇所、または、位置的に画定された箇所に多数の特徴要素を合成するために反復することができる(例えば、Pirrung et al.,の米国特許第5,143,854号、米国特許出願公開第2007/0154946号(2005年12月29日出願)、同第2007/0122841号(2005年11月30日出願)、同第2007/0122842号(2006年3月30日出願)、同第2008/0108149号(2006年10月23日出願)、及び、同第2010/0093554号(2008年6月2日出願)を参照されたい。これらの各々を、参照により、本明細書の一部を構成するものとして援用する)。本明細書に記載した融合ペプチドを含む、アレイ上で特徴要素を合成する上で有用なその他の好ましい方法及び組成物は、参照により、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、2016年3月17日に公開されたPCT公開第WO2016/040703号、“Peptide Microarrays and Novel Biomarkers For Celiac Disease”で開示されている。
【0169】
ワクチン及び投与
本発明は、合成ポリペプチド含有ペプチド、それらの生物学的活性フラグメントまたは変異体、及び/または、それらの1つ以上をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンも提供する。また、本発明のペプチド、及び/または、本発明のポリヌクレオチドを含むワクチンも提供する。ワクチンとワクチン投与の幾つかの実施形態は、参照により、本明細書の一部を構成するものとしてその全内容を援用する、2016年3月17日に公開されたPCT公開第WO2016/040703号“Peptide Microarrays and Novel Biomarkers For Celiac Diseases”に認めることができる。
【実施例0170】
以下の実施例は、セリアック病に関するバイオマーカーを同定する方法を例示している。バイオマーカーは、アルファ、ベータ、ガンマ、及びオメガグリアジン、それらの脱アミド化修飾物、及びtTGを含むがこれらに限定されない、セリアック病において公知の抗原から得たペプチドのセットを含む。本方法は、これらの公知のセリアック抗原に基づいて、12merのペプチドのペプチドライブラリーを合成することを含む。一部の実施形態では、12merのペプチドの配列は、公知のセリアック抗原のアミノ酸配列を、一度に、2つのアミノ酸、または、3つのアミノ酸のいずれかだけ移動させて同定した。
図2Aは、アルファ/ベータグリアジン配列に沿って、2つのアミノ酸だけの移動に基づいた、12merの配列の同定を例示している。tTGの12merの配列の同定は、グリアジンペプチドの場合と同様の手法で行うことができるが、本明細書では明示していない。
図2Bは、12merのGPにおいて、一度に、1つまたは2つのグルタミンを脱アミノ化して、ペプチドライブラリーのDGP部分を大きくすることを例示している。次いで、以下に詳述するように、ペプチドライブラリーをマイクロアレイ上で合成した。アレイ上でのペプチド合成の間のカップリング収率を、ペプチド収率、純度、そして、配列忠実度について、蛍光、質量分析、及び、モノクローナル抗体結合基質アッセイを使用して、連続的にモニタリングした。tTG及びDGPのB細胞エピトープに基づいたバイオマーカーを同定するために、それぞれのペプチドの三重反復物を含む、tTG及びDGPのペプチドライブラリーに由来する210万個の異なるペプチドを含むペプチドマイクロアレイを合成し、取り出し、そして、96個のピラーを含むプレートに置いた。
【0171】
実施例1:ウェーハ基板調製
p型ホウ素、(1,0,0)の配向、1~5オーム/cm、及び、725μmの厚さを有する最高級グレードの300mmシリコンウェーハを、Process Specialtiesから入手した。純酸素雰囲気下の炉内で、1000℃で、2時間の乾式酸化によって、ウェーハに、1000Å熱酸化物を沈着させた。ウェーハに対して、市販のフォトレジストP5107を、Sokudo RF3S Coat/Develop Trackを使用して、2000rpmで、40秒間かけてスピンコーティングした。ウェーハを、Nikon NSR S205 KrF Scannerを使用して、逆ゼロ層マスクを使用して、波長248nmで曝露させた。この後に、110℃で、90秒の露光後ベーキングを行い、続いて、現像剤NMD-3を、2.38%(TOK America)で使用して現像した。酸化物エッチングでは、40重量%のフッ化アンモニウム(Sigma)5部に対して、49重量%のフッ化水素酸(Sigma)1部を、1分間混合して調製した緩衝化フッ化水素酸を使用する、ウェーハの湿潤酸化物エッチングを行った。次いで、ウェーハを、Nanostrip(CyanTek)によって、24時間かけて剥離し、最後にDI水で洗浄し、そして、DI水において10分間の超音波処理をして洗浄した。
図3Aに図示したこのプロセスにより、熱酸化物を含み、高さが1000Åと測定された特徴要素の部分と、シリコンを含む非特徴要素の部分とを有する基板を得た。
【0172】
基板の粗さの測定と、密度の計算には、DI 5000 AFMシステムを使用した。
図3Bは、上記したプロセスの後に形成した、
図3Aに例示しているピラーと、それらの寸法を示している。
図3Cは、基板の二乗平均平方根(RMS)粗さを例示している。基板の密度は、約100~150pMと計算された。
【0173】
実施例2:ウェーハ表面誘導体化
ウェーハを、DI水で、5分間入念に洗浄し、そして、1.25%(v/v)の3-アミノプロピルトリエトキシシラン[APTES](Sigma Aldrich)を含むN-メチル-ピロリドン[NMP](BDH)の溶液でスピンコーティングを行い、次いで、室温で、15分間置いた。ウェーハの硬化は、N2雰囲気下で、120℃で、60分間行った。次いで、ウェーハを、2重量%のFmoc-Gly-OH(Anaspec)、2重量%のHOBt(Anaspec)、及び、2重量%のN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC](Sigma Aldrich)を含むNMPのカップリング溶液を用いてスピンコーティングし、そして、60℃で、5分間ベーキングした。これにより、Fmoc-グリシンと、APTESに存在する遊離アミンとのカップリングが可能になった。次いで、ウェーハを、NMPで濯ぎ、そして、カップリングしていない残余の遊離アミンをキャッピングするために、50%(v/v)の無水酢酸を、50%のNMPと混合したものでキャッピングした。ウェーハを、アセトン(BDH)、及び、イソプロピルアルコール[IPA](BDH)で剥離した。グリシンのFmoc保護は、5%(v/v)のピペリジン(Sigma Aldrich)を含むNMPでウェーハをスピンコーティングして除去し、そして、80℃で、ベーキングを300秒間行った。次いで、2重量%のリンカー、2重量%のHOBt(Anaspec)、及び、2重量%のN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]を含むNMPを含有するカップリング溶液で、リンカーであるFmoc-(PEG)4-COOH(Anaspec)をウェーハ表面にカップリングし、そして、90℃で、120秒間のベーキングを行った。次いで、ウェーハを、NMPで濯ぎ、そして、カップリングしていない残余の遊離アミンをキャッピングするために、50%(v/v)の無水酢酸を、50%のNMPと混合したものでキャッピングした。表面誘導体化プロセスを完了させるために、ウェーハを、アセトン、及び、IPAで剥離した。
【0174】
実施例3:ペプチドアレイ合成
アレイにてペプチドを合成するために行ったステップを
図4に例示しており、そして、これは、すでに詳細に説明している。
【0175】
活性化溶液
アミノ酸活性化溶液を、次のようにして調製した:1重量%のポリ(メチルメタクリレート)[PMMA](Polysciences)を、10分間の超音波処理によって、N-メチルピロリドンに溶解させた。次いで、2重量%のFmoc-アミノ酸(Anaspec)を溶液に添加し、そして、2重量%のHOBt(Anaspec)を加えた。最後に、1重量%のテトラゾールチオンを、溶液に加えた。次いで、この溶液を、0.05μm濾過装置を使用して濾過した。
【0176】
カルボジイミド形成メカニズム
光活性化したカルボジイミドのカップリングを、以下のように行った。
【0177】
248nmで露光すると開環機序を起動させ、そして、カルボジイミドを放出して、ウェーハにカップリングしたアミノ酸のカルボン酸基を活性化する、テトラゾールチオンを使用した。HOBtまたはHOAtを加えると、-OBtまたは-OAtのエステルが形成された。したがって、248nmでのテトラゾールチオンを、アミノ酸を光活性化するために使用して、効率的なカップリングのための安定的なエステルを形成させた。
【0178】
アミノ酸カップリング
NMPに溶解した1重量%のポリマーと、3重量%のピペリジンを含有する基本レジスト溶液を、ウェーハに対して、3000rpmで、30秒間スピンコーティングし、そして、ホットプレートにて、65℃、1分間のソフトベーキングを行った。ここで、ウェーハを、80℃で、300秒間ベーキングした。すべての特徴要素からFmoc保護を除去し、保護していないアミン基を残した。投入するアミノ酸活性化溶液を、ウェーハに対して、3000rpmで、30秒間スピンコーティングし、そして、ホットプレートにて、65℃、1分間のソフトベーキングを行った。ここで、ウェーハを、投入アミノ酸を、曝露量120mJ/cm2でカップリングさせる必要のある所望の特徴要素を露出させるレチクルを使用して曝露させ、次いで、ホットプレートにて、85℃、90秒間のソフトベーキングを行った。上記したように、テトラゾールチオンは、露光されるとカルボジイミドを放出し、そして、露出した特徴要素ではアミノ酸の選択的活性化が達成される。それ故に、活性化溶液に存在する投入したFmoc保護アミノ酸は、アミノ酸の1つの層のカップリングが完了するのと同じステップにおいて活性化され、そして、ウェーハに存在する保護していないアミンにカップリングされる。それぞれのカップリング層は、カップリングさせようとするそれぞれの投入Fmocアミノ酸に対するレチクルを含んでおり、それらは、同じ層に関して使用するその他のレチクルとは無関係に特徴要素を露出させる。ある特定の層のすべてのアミノ酸をカップリングした後に、続いて、ウェーハを、この特定の層に関して、アミノ酸をカップリングしていないウェーハの残余の保護していないアミンをキャッピングするために、50重量%のNMPと、50重量%の無水酢酸の溶液と共にスピンコーティングする。それぞれのステップの後に表面上に存在する基材レジストを除去するために、ウェーハを、アセトン及びIPAで剥離させる。この全体のプロセスを、カップリングするようデザインされているアミノ酸の個々の各カップリング層に対して反復して、アレイ表面に付着させたペプチド鎖の合成を完了させた。
【0179】
側鎖保護除去
ペプチド合成を完了した後に、ペプチドの生物活性を実現するために、カップリングしたあらゆるアミノ酸に存在する残余の側鎖保護を除去した。側鎖保護除去溶液は、95重量%のトリフルオロ酢酸[TFA](Sigma Aldrich)と、5重量%のDI水を混合して調製した。ウェーハを、側鎖保護除去溶液と90分間反応させた。このステップに続いて、TFA(5分間)、IPA(5分間)、NMP(5分間)によるウェーハの連続的な洗浄、5重量%のDIEA(Alfa Aesar)を含むNMPによる中和(5分間)、そして、その後に、NMP(5分間)、及び、IPA(5分間)によるウェーハの連続的な洗浄を行った。
【0180】
実施例4:CeD診断のための、tTG-DGP複合体の組み合わせからの新規の合成CeDバイオマーカーの生成
CeDの新規バイオマーカーを同定するために、生検で証明されたCeDを有する90名の患者の探索的コホートと、79名の健常なコントロール患者から血清試料を得た。3探索的コホートの臨床的特徴を、以下の表2Aに示す。
【0181】
【0182】
血清試料を、CeDと診断した82名の患者と、217名のコントロール患者の検証コホートからも得た。検証コホートの臨床的特徴を、以下の表2Bに示す。検証コホートは、探索的コホートで発見したバイオマーカーの診断的有用性を検証するために使用した。検証コホートでCeDと診断した82名の患者には、IgA欠損症の4名の患者を含んでいた。
【0183】
【0184】
固相ペプチド合成では、高さが100nmであり、熱酸化物でコーティングした特徴要素の部分と、非特徴要素の部分とを有する、シリコンをベースとしたウェーハ(直径300mm)を、フォトリソグラフィーと、誘導カップリングしたプラズマディープエッチング技術を使用して作り出した。調製したシリコンベースのウェーハの表面は、ペプチド付着部位を提供するアミノシランの単層を含んでおり、ペプチド合成は、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学を使用して実行した。Fmoc保護を除去した後に、保護していないアミンを、投入するアミノ酸をカップリングする必要がある所望の部位だけを活性化する特定のレチクルを使用して、投入する所望のFmocアミノ酸とカップリングさせた。このプロセスを、アミノ酸の個々の各層に対して反復して、それぞれの特徴要素の部分に所望のペプチド配列を生成させた。
【0185】
グリアジンのα、β、γ、及び、Ω画分での2つのアミノ酸を横方向にシフトさせた配列を有する、約66,000の12merのペプチドのセットを、シリコンをベースとしたウェーハ上で合成した。加えて、これらの合成GPでは、それぞれのグルタミン酸が、グルタミンの位置で交換されており、GP(DGP)の脱アミド化を模倣した。ペプチドマイクロアレイイムノアッセイを使用して、ネイティブペプチド、DGP、及び、CeDに関連する大きな抗体結合強度を有する主要な3merのGP配列を評価した。
3重複する12merのペプチドと、様々な長さのtTGも、GPに関するスキームと同様のスキームに従って合成した。加えて、主要な3merのGP配列と、tTGサブ配列との組み合わせである新規の組み合わせ配列を、シリコンをベースとしたウェーハ上で合成した。例えば、新規の組み合わせ配列
(配列番号173)では、YGDGVS(配列番号174)は、tTG(位置245~250)に由来しており、また、
は、主要な3merのGP配列である。新規の組み合わせtTG-DGP配列を選択するための方法を、
図5に示している。
【0186】
図5には、実施形態に従ったtTG-DGP複合体の組み合わせエピトープの例を示している。具体的には、
図5は、tTG及びGPセグメントを組み合わせる3つの異なる方法の例を示している。YGDGVS(配列番号174)は、tTGペプチドの245~250の位置にあり、そして、PEQとPEPは、GPの2つの重要な3merのアミノ酸である。上段1、YGDGVS(配列番号174)の後に、PEQとPEPが続く。中段、YGDGVS(配列番号174)は、PEQとPEPの間にある。下段、PEQとPEQP(配列番号175)の後に、YGDGVS(配列番号174)が続く。Eは、グルタミン酸を示す;tTG、tTG;Q、グルタミン;Y、チロシン;D、アスパラギン酸;G、グリシン;V、バリン;P、プロリン;F、フェニルアラニン;S、セリン。
【0187】
蛍光ペプチドマイクロアレイプラットフォームを使用して、それぞれの新規の合成tTG-DGPネオエピトープの抗体結合強度を推定した。目的のステッチングプログラムの領域を、JAVAを使用して、ペプチドマイクロアレイチップのスキャンから得た画像ファイルを、中央値のフォアグラウンド強度を使用して計算した個々の抗体結合強度値に変換し、次いで、バイナリログ変換を適用して分散を安定させた。それぞれの抗体結合強度値は、対応するペプチド配列に関連付けられている。
【0188】
ランダムフォレストモデルを使用して、tTG-DGP複合体の信頼性の低いペプチド配列を削除した。16ランダムフォレスト分類子は、(rapmad[Robust Analysis of Peptide MicroArray Data]R-パッケージを使用して実行した)多角的アッセイの単一の線形回帰分析の95%線形回帰信頼帯域内に認められない数値を有するペプチド配列の部分を検出するようにトレーニングした。17さらに、バックグラウンド正規化モデリングも適用した。このモデリングは、空白スポットを配置する(R-パッケージを使用して実行した)期待値最大化アルゴリズムを使用して実行されたが、配列は合成されなかった。
【0189】
バックグラウンドノイズと、信頼性の低いペプチド配列を排除した後に、サポートベクターマシンモデリング18を、約55,000のトレーニングセットに対して適用して、超平面を構築し、2つのクラス(CeDと非CeD)の間のトレーニングデータの差を最大化して(Pythonパッケージを使用して実行した)、tTG-DGP複合体の疾患関連ペプチド配列を同定することを目的とした。次いで、サポートベクターマシントレーニングの結果に基づいて、同定した疾患関連ペプチド配列を、未知の試料で試験して、予測の精度、感度、及び、特異性を計算した。さらに、受信者動作特性(ROC)曲線分析を実行して、それぞれのペプチドの感度と特異性を決定した。それぞれのペプチドのROC曲線の閾値を、最高の感度と特異性を有する数値を選択して決定した。さらに、主成分分析、ヒートマップを使用した階層的クラスター分析、及び、ランダムフォレスト多変量分析を、R-またはPythonパッケージを使用して実行した。19
【0190】
実施例5:新規の合成CeDバイオマーカーの免疫反応性とCeD重篤度との間の相関
合成したtTGペプチドフラグメントを、探索コホートに由来する血清試料で試験を行って、tTGフラグメントに対する免疫反応性を決定した。
図6A~
図6Bは、実施形態に従って、tTG、及び、tTG-DGP複合体に対する免疫反応性を示すヒートマップを示している。具体的には、
図6Aは、実施形態に従って、tTGペプチドに対する免疫反応性を示している。CeD患者に由来する血清試料と、コントロール患者に由来する血清試料との間で、免疫反応性には有意差は認められなかった。
【0191】
tTGに由来する12merの合成ネオエピトープ、及び、ネイティブペプチド、または、DGPの主要な3merのモチーフも探索コホートの血清試料で試験して、>0.7のROC曲線下面積値を有するあらゆる配列として定義した、免疫原性エピトープの同定をした。tTG-DGP複合体の合計で172個の免疫原性エピトープを同定した。同定したtTG-DGP複合体の172個の免疫原性エピトープのそれぞれについての配列を、前掲の表1に示している。前述したように、表1でのそれぞれのエピトープは、健常なコントロール患者のCeDの診断において、高い感度と特異性を実証しており、>0.7のROC曲線下面積を有している。
【0192】
図6Bは、実施形態に従った、tTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性を示す。
図6Bに示したように、tTG-DGP複合体のネオエピトープの抗体結合強度は、CeD患者の血清試料では有意に高まっていたが、免疫反応性は、コントロールでは、最低限、または、ほぼ0であった。
【0193】
探索的コホートでは、tTG-DGP複合体に由来する同定したネオエピトープのセットは、CeDの診断において、非常に高い感度(99%)と、特異性(100%)を示した。このtTG-DGP複合体セットの識別力を検証するために、CeDの82名の患者と、217名のコントロール患者の検証コホートに由来する血清試料を、盲検試験で分析した。このtTG-DGP複合体セットは、CeD症例を、コントロールから高精度で識別しており、99%の感度と、100%の特異性を達成した。とりわけ、tTG-IgA、及び、DGP-IgAなどのCeDに関する現在の血清学的検査(特に、tTG-IgA、及び、DGP-IgA ELISA検査)と比較して、これらのネオエピトープを使用してCeD症例をコントロールと区別する場合には、高い感度と特異性が認められた。以下の表3は、CeDの診断において、tTG-DGP複合体のネオエピトープの感度、特異度、全体的な精度、陽性予測値(PPV)、及び、陰性予測値(NPV)を、tTG-IgA、及び、DGP-IgA ELISA試験などを、CeDの現在の血清学的検査と比較している。全体として、tTG-DGP複合体のネオエピトープは、臨床的に利用可能な血清学的検査よりも、CeDの識別について同等以上の診断精度を示した。
【0194】
(表3)CeD診断のための現在の血清診断検査に対するtTG-DGP複合体の予測値
【0195】
DGP、tTG、及び、tTG-DGP複合体のエピトープに対する免疫反応性を比較するために、我々は、10名の自己免疫性腸疾患の患者、6名の腸疾患を伴うCVIDの患者、及び、11名の薬物誘発性腸疾患の患者から構成された、CeDが認められず、絨毛萎縮を有している選択した疾患コントロールの血清試料を試験した。我々は、これらの疾患コントロールでのtTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性が、CeDの患者よりも有意に低く、かつ、その他のコントロール患者と同様であることを認めた。さらに、4名の完全IgA欠損症の患者が、検証セットのCeD患者に含まれていた。これらの患者はすべてtTG-IgAに対して陰性であったが、これらのIgA欠損患者におけるtTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性、特に、IgG免疫反応性が増加した。さらに、腸絨毛萎縮は認められたが、CeDではなかった患者では、tTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性は認められなかった。
【0196】
実施例6:GFDを遵守しているCeD患者における治癒状態を判定するための新規の合成CeDバイオマーカーの評価
CeDの治療を受けた患者の粘膜治癒状態を同定するための同定したバイオマーカーを評価するために、治療を受けて治癒したCeD患者の粘膜(n=85)、治療を受けたが治癒していないCeD患者の粘膜(n=8l)、CeDの治療を受けていない患者の粘膜(n=82)、疾患コントロール患者(n=27)、及び、健常なコントロール患者(n=217)から血清試料を回収した。粘膜の治癒状態は、GFDまたは組織学的回復(絨毛萎縮なし)を順守している下での持続性の絨毛萎縮で定義した。治癒していないCeD患者、及び、難治性CeDの患者は、この研究に参加していない。小腸での粘膜治癒状態は、病理学的報告に基づいて分類した;部分的または全体的な絨毛萎縮を有する治療を受けたCeD患者は、治療を終えたが治癒していないCeDグループに分類した。疾患コントロール患者は、CeDを伴わない絨毛萎縮で定義した。27名の疾患コントロール患者は、10名の自己免疫性腸疾患の患者、6名の一般的な可変免疫不全関連腸疾患の患者、及び、11名の薬物誘発性腸疾患の患者から構成されていた。
【0197】
表4は、粘膜の治癒状態に応じた、CeDの治療を受けた患者の特徴を示している。治療を受けて治癒したCeD粘膜を有する患者は、平均して、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者よりも若かったが、性別間では同様であった(それぞれ、患者の73%と72%は女性であった)。治療を受けたが治癒していないCeD粘膜を有し、治療を受けて治癒したCeD患者よりもGFDに対して長く遵守した、患者は、統計的には有意ではなかった(P=.16)。治療を受けて治癒したCeD粘膜を有する患者の7%が、tTG-IgAに対して陽性であったのに対して、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者の27%は、tTG-IgAに対して陽性であり、そして、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者の約4分の3は陰性であった。加えて、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者の48%が、DGP-IgAに対して陽性であったが、治療を終えたが治癒したCeD粘膜を有する患者の9%が、DGP-IgAに対して陽性であった。
【0198】
(表4)CeDの治療を受けた治癒患者と非治癒患者の特徴
【0199】
図7A~
図7Bは、実施形態に従って、抗体結合強度に基づいたtTG-DGP複合体のエピトープに対する免疫反応性を示す。具体的には、
図7A~
図7Bは、治癒状態に従って治療されたCeD患者におけるtTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性を示す。
図7Aは、実施形態に従って、未治療のCeD、治療されたが治癒していないCeD、及び、治療され治癒したCeD患者、ならびに、健常なコントロール患者におけるtTG-DGP複合体のエピトープに対する免疫反応性を示す。
図7Aに示すように、未治療のCeD、及び、治療されたが治癒していないCeD患者は、健常なコントロール患者、治療され治癒したCeD患者、及び、自己免疫性腸疾患、一般的な可変免疫不全関連腸疾患、または、薬物誘発性腸疾患に起因する絨毛萎縮を有する疾患コントロール患者と比較して、大きな抗体結合強度を示す。
【0200】
図7Bは、実施形態に従って、tTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性の主成分分析を示す。具体的には、
図7Bは、tTG-DGP複合体に対する免疫反応性のレベルとCeD表現型との間の相関関係を示している。治療を受けて治癒したCeDの患者と、健常なコントロール患者は、PCAプロットでは一緒に表示されている。
【0201】
全体として、
図7Aに示すように、DGP-tTG複合体のネオエピトープに対する免疫反応性は、治療を受けて治癒したCeD粘膜を有する患者、及び、コントロール患者よりも、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者の方が強かった。tTG-DGP複合体に由来するネオエピトープの平均抗体結合強度は、5つのグループの間で有意に相違していた(P<.001)。免疫反応性は、腸粘膜損傷状態に応じて段階的に減少しており、治療をしていないCeD粘膜を有する患者(32.5[16.4])で最大の平均(SD)反応性を示し、そして、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者(15.1[7.5])、治療を受けて治癒したCeD粘膜(5.5[3.4])、コントロール患者(1.3[0.5])、及び、疾患コントロール(1.3[0.4])が続いた。さらに、
図7Bに示す主成分分析では、治療を受けて治癒したCeD粘膜を有する患者、及び、コントロール患者は、密集を形成したが、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者、及び、治療をしていないCeD粘膜を有する患者は同様に分布した。
【0202】
図8は、実施形態に従って、治療されたが治癒していないCeD患者におけるtTG-免疫グロブリンA複合体の抗体結合レベルと、tTG-DGP複合体の抗体結合レベルとの比較を示す。より具体的には、
図8は、tTG-DGP複合体のネオエピトープが、tTG-IgA酵結合免疫吸着アッセイ(ELISA)試験と比較して、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を診断できることを示している。治療を終えたが治癒していないCeDの患者の約75%が、tTG-IgAに対して陰性であったが、これらの患者のほとんどは、tTG-DGP複合体のネオエピトープに対する免疫反応性の高まりを示した。以下の表5は、治療されたが治癒していないCeD患者の治癒状態の同定において、tTG-DGP複合体のネオエピトープの感度、特異度、全体的な精度、陽性予測値(PPV)、及び、陰性予測値(NPV)を、tTG-IgA、及び、DGP-IgA ELISA試験などのCeDに関する現在の血清学的検査と比較している。tTG-IgA ELISA試験(特に、tTG-IgA、及び、DGP-IgA ELISA試験)と比較して、tTG-DGP複合体のネオエピトープは、治療を終えたが治癒していないCeD粘膜を有する患者の治癒状態の同定に関して、高い感度(84%)と特異性(95%)を示しており、また、陽性予測値は、0.94であり、かつ、陰性予測値は、0.86であった。
【0203】
(表5)治療されたCeD治癒状態を同定するための現在の血清診断検査に対するtTG-DGP複合体の予測値
【0204】
本明細書に提示した超高密度ペプチドマイクロアレイを高効率で大量製造するプラットフォームを介したバイオマーカーの発見は、抗原のマッピング、及び、免疫強化配列との組み合わせを通じて、新規エピトープを決定するための効率的な方法を提供する。有益なペプチドを同定する能力を最大にする免疫原性タンパク質を極めて高密度にカバーする、それぞれが3つのアミノ酸または6つのアミノ酸ずつ重複している210万個の9mer~15merのペプチドをベースとしたペプチドマイクロアレイを使用して、未知ではあるが、自己免疫性疾患の患者が認識している新規なエピトープを同定するという、この技術の有効性と、有用性を示した。この方法の利点として、セリアック病を含む自己免疫性疾患の検査パネルに組み込むことができる、より正確な診断検査の開発がある。さらに、1つのアミノ酸を横方向に移動させてペプチドのマイクロアレイをデザインすることで、抗体結合に対する抗原の個々のアミノ酸の寄与を評価し、そして、標的抗原に関するより高いマッピング分解能を達成した。
【0205】
フォトリソグラフィーをベースとした従前のすべてのマイクロアレイインサイチュ合成方法5、22-24は、個別にアドレス指定可能な脱保護ステップと、その後の選択的に脱保護した部位に対するモノマーのカップリングに基づいている。本明細書に記載した方法は、一般化した脱保護と、その後の選択的活性化を含んでおり、これにより、2つの利点:1)非常に高い忠実度でのペプチド合成、及び、2)それぞれのステップで必要とする時間の大幅な短縮、をもたらす。これにより、ペプチドマイクロアレイの合成において、400もの非常に多くのステップが可能となり、収率低下も極めて小さくする。一部の実施形態では、高い忠実度と、短い反応時間との組み合わせが、はるかに高い収率と、大量のチップ生産能力を実現する。その他の利点として、診断検査に必要とされる高い忠実度に起因するコスト削減がある。本明細書に記載の方法では、最先端の248nm半導体リソグラフィー半導体ツールを、実績のある300mmシリコンウェーハプラットフォームで利用している。一部の実施形態では、マイクロアレイの非常に大きな密度は、バイオマーカー探索のために求められる分子多様性のみならず、大規模なバイオマーカー検証をも可能にする。この方法は、チップサイズを、96ウェル、384ウェル、1396ウェルなどのあらゆる診断用ウェルプレート形式に適合する0.5×0.5mm2の大きさにまで縮小し得るので、ルーチン診断用検査の大量製造に最適である。これにより、サイズがさらに小さな試料でも、ルーチン診断用検査への使用が可能になる。
【0206】
本明細書に開示する方法は、開示したペプチドマイクロアレイを使用することによって、ルーチン医療検査の目的に最適であり、かつ、バイオマーカー探索のための強力な新規のツールとなる、非侵襲性で、広範囲に利用可能で、低コストで、しかも、多用途である、方法である。
【0207】
本発明を、好ましい実施形態、及び、様々な代替の実施形態を参照しながら詳細に示し、記載してきたが、当業者であれな、本発明の技術思想及び範囲から逸脱せずとも、形態及び詳細に様々な改変を加え得ることを理解する。
【0208】
本明細書の本文で引用したすべての参考文献、発行済み特許、及び、特許出願は、その目的を問わず、参照により、それらの全内容を、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0209】
最後に、本明細書で用いた文言は、主として読みやすさ、及び、教示を目的として選んだものであり、本発明の主題を正確に描写すること、または、制限することを目的として選択していない、ことに留意されたい。したがって、本発明の開示は、発明の範囲を例示することを意図しており、限定を意図するものではない。
【0210】
【0211】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> VIBRANT HOLDINGS, LLC
MAYO FOUNDATION FOR MEDICAL EDUCATION AND RESEARCH
<120> TTG-DGP BIOMARKERS FOR MONITORING CELIAC DISEASE
<150> US 62/742,863
<151> 2018-10-08
<160> 194
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 1
Phe Glu Asp Gly Ile Leu Glu Gln Pro Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 2
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 2
Pro Phe Pro Gln Lys Thr Val Glu Ile Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 3
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 3
Phe Pro Leu Arg Asp Ala Pro Glu Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 4
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 4
Phe Pro Gln Gln Pro Phe Trp Leu Thr Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 5
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 5
Phe Asp Val Phe Ala His Pro Phe Pro Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 6
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 6
Ala Trp Cys Pro Ala Asp Phe Pro Glu Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 7
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 7
Phe Pro Glu Pro Ala Pro Ser Gln Glu Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 8
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 8
Ala Glu Val Ser Leu Gln Glu Gln Pro Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 9
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 9
Glu Met Ile Trp Asn Phe Pro Phe Pro Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 10
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 10
Glu Gln Pro Pro Glu Gln Ala Glu Val Ser Leu Gln
1 5 10
<210> 11
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 11
Phe Pro Glu Gln Pro Glu Tyr Gly Asp Gly Val Ser
1 5 10
<210> 12
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 12
Pro Phe Pro Pro Glu Gln Ala Leu Leu Val Glu Pro
1 5 10
<210> 13
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 13
His Asp Gln Asn Ser Asn Gln Pro Phe Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 14
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 14
Pro Phe Pro Ser Val Asp Ile Leu Arg Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 15
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 15
Glu Gln Pro Leu Thr Gln Gln Gly Phe Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 16
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 16
Phe Pro Glu Phe Pro Glu Val Val Asn Phe Glu Ser
1 5 10
<210> 17
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 17
Gln Pro Phe Gln Pro Glu Tyr Asn Ser Ala His Asp
1 5 10
<210> 18
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 18
Asp Leu Cys Arg Glu Lys Pro Glu Gln Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 19
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 19
Glu Lys Leu Val Val Arg Pro Glu Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 20
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 20
Phe Pro Gln Pro Gly Tyr Glu Gly Trp Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 21
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 21
Gln Pro Glu Gln Pro Glu Tyr Gln Gly Ser Ser Phe
1 5 10
<210> 22
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 22
Pro Phe Pro Asn Arg Ser Leu Ile Val Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 23
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 23
Asp Cys Thr Leu Ser Leu Pro Glu Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 24
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 24
Pro Phe Pro Ser Val Asp Ser Leu Thr Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 25
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 25
Asp Ala Val Glu Glu Gly Gln Pro Glu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 26
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 26
Ala Ser Thr Gly Tyr Gln Gln Pro Glu Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 27
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 27
Phe Glu Gly Arg Asn Tyr Phe Pro Glu Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 28
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 28
Glu Gln Pro Leu Gln Asn Pro Leu Pro Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 29
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 29
Gly Trp Gln Ala Leu Asp Phe Pro Gln Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 30
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 30
Pro Glu Gln Arg Lys Leu Val Ala Glu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 31
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 31
Gln Pro Glu Pro Val Pro Val Arg Ala Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 32
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 32
Pro Phe Pro Gln Pro Phe Val Phe Ala Glu Val Asn
1 5 10
<210> 33
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 33
Gln Pro Phe Leu Ala Glu Arg Asp Leu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 34
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 34
Pro Glu Gln Pro Glu Gln Val Asp Gln Gln Asp Cys
1 5 10
<210> 35
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 35
Glu Gln Pro Ser Gly Met Val Asn Cys Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 36
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 36
Phe Pro Glu Leu Cys Ala Arg Thr Val Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 37
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 37
Pro Phe Pro Leu Leu Phe Asn Ala Trp Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 38
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 38
His Leu Asn Lys Leu Ala Pro Glu Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 39
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 39
Glu Gln Pro Asn Ala Pro Ile Gly Leu Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 40
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 40
Phe Pro Glu Arg Glu Ala Phe Thr Arg Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 41
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 41
Phe Pro Gln Pro Phe Pro Ala Ala Val Ala Cys Thr
1 5 10
<210> 42
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 42
Gln Pro Phe Pro Glu Gln Tyr Cys Cys Gly Pro Val
1 5 10
<210> 43
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 43
Glu Gln Pro Gln Ser Met Asn Met Gly Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 44
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 44
Cys Arg Leu Leu Leu Cys Pro Glu Gln Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 45
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 45
Ile Pro Thr Arg Val Val Phe Pro Glu Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 46
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 46
Gln Pro Phe Leu His Met Gly Leu His Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 47
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 47
Pro Phe Pro Leu Ser Leu Glu Ala Ser Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 48
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 48
Phe Pro Gln Asn Gly Arg Asp His His Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 49
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 49
Gln Pro Glu Asn Asn Thr Ala Glu Glu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 50
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 50
Pro Phe Pro Leu Asp Pro Thr Pro Gln Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 51
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 51
Ala His Ile Thr Asn Asn Glu Gln Pro Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 52
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 52
Phe Pro Gln Lys Val Arg Met Asp Leu Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 53
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 53
Phe Pro Glu Met Gly Ser Asp Phe Asp Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 54
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 54
Pro Glu Gln Lys Ser Val Gly Arg Asp Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 55
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 55
Ile Lys Val Arg Ala Leu Pro Phe Pro Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 56
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 56
Phe Pro Glu Asn Phe His Cys Trp Val Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 57
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 57
Gly Arg Val Val Ser Gly Phe Pro Gln Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 58
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 58
Gln Pro Glu Pro Phe Pro Ala Ser Thr Gly Tyr Gln
1 5 10
<210> 59
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 59
Ala Ala Val Ala Cys Thr Phe Pro Gln Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 60
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 60
Pro Phe Pro Pro Glu Gln Trp Met Thr Arg Pro Asp
1 5 10
<210> 61
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 61
Pro Glu Gln Glu Gln Pro Trp Val Glu Ser Trp Met
1 5 10
<210> 62
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 62
Gln Pro Glu Pro Val Tyr Val Gly Arg Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 63
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 63
Pro Glu Gln Asn Tyr Glu Ala Ser Val Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 64
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 64
Glu Gln Pro Gln Pro Phe Val Val Asp Trp Ile Gln
1 5 10
<210> 65
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 65
Gln Pro Glu Gln Pro Glu Tyr Pro Glu Gly Ser Ser
1 5 10
<210> 66
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 66
Pro Phe Pro Pro Lys Gln Lys Arg Lys Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 67
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 67
Gln Pro Phe Asn Phe Gly Gln Phe Glu Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 68
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 68
Gln Pro Glu Gln Pro Phe Val Asn Ala Asp Val Val
1 5 10
<210> 69
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 69
Ala Leu Leu Val Glu Pro Pro Phe Pro Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 70
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 70
Glu Gly Asp Leu Ser Thr Gln Pro Phe Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 71
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 71
Pro Glu Gln Asn Cys Asn Asp Asp Gln Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 72
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 72
Pro Phe Pro Thr Arg Ala Asn His Leu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 73
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 73
Asp Gln Gly Val Leu Leu Pro Glu Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 74
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 74
Gly Pro Glu Cys Gly Thr Phe Pro Gln Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 75
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 75
Phe Pro Gln Leu Val Leu Glu Arg Cys Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 76
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 76
Gln Pro Phe Glu Gln Pro Val Val Thr Asn Tyr Asn
1 5 10
<210> 77
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 77
Gly Leu Tyr Arg Leu Ser Gln Pro Phe Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 78
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 78
Ala Asp Ala Val Tyr Leu Pro Glu Gln Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 79
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 79
Phe Pro Gln Ser Glu Gly Thr Tyr Cys Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 80
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 80
Phe Pro Gln Ser Asn Leu Leu Ile Glu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 81
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 81
Glu Asn Pro Glu Ile Lys Phe Pro Gln Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 82
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 82
Gln Pro Phe Gln Glu Tyr Val Leu Thr Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 83
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 83
Gln Pro Phe Ser Trp Ile Gly Ser Val Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 84
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 84
Glu Asp Ile Thr His Thr Glu Gln Pro Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 85
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 85
Cys Gln Arg Val Lys Tyr Gln Pro Glu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 86
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 86
Glu Ile Pro Asp Pro Val Phe Pro Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 87
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 87
Glu Gly Ala Gly Leu Thr Gln Pro Glu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 88
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 88
Gln Pro Glu Ser Phe Val Leu Gly His Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 89
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 89
Pro Glu Gln Lys Asn His Gly Cys Gln Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 90
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 90
Pro Phe Pro Pro Gln Glu Lys Ser Glu Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 91
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 91
Gln Pro Phe Pro Val Glu Ala Gly Glu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 92
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 92
Glu Gln Pro Met Ala Glu Glu Leu Val Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 93
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 93
Ile Lys Ile Arg Ile Leu Pro Phe Pro Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 94
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 94
Ile Leu Asp Ile Cys Leu Pro Phe Pro Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 95
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 95
Phe Pro Glu Leu Thr Leu His Phe Glu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 96
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 96
Asp Leu Tyr Leu Glu Asn Gln Pro Phe Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 97
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 97
His Thr Tyr Lys Tyr Pro Pro Phe Pro Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 98
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 98
Glu Gln Pro Phe Pro Glu Val Ile Ile Gly Pro Ala
1 5 10
<210> 99
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 99
Asp Gly Ser Val His Lys Phe Pro Glu Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 100
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 100
Phe Pro Gln Leu Glu Gly Cys Thr Phe Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 101
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 101
Gln Pro Glu Arg Cys Asp Leu Glu Leu Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 102
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 102
Gln Pro Glu Thr Lys Ala Arg Phe Pro Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 103
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 103
Phe Pro Gln Arg Asn Glu Phe Gly Glu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 104
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 104
Cys Trp Val Phe Ala Ala Phe Pro Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 105
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 105
Phe Pro Glu Leu Ala Glu Lys Glu Glu Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 106
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 106
Gln Pro Phe Pro Phe Pro Trp Asp Asn Asn Tyr Gly
1 5 10
<210> 107
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 107
Phe Pro Gln Arg Arg Ser Ser Pro Val Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 108
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 108
Glu Ser Asn Leu Ile Lys Pro Glu Gln Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 109
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 109
Asp Leu Leu Pro Leu His Glu Gln Pro Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 110
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 110
Asp Cys Leu Thr Glu Ser Gln Pro Phe Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 111
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 111
Gly His Phe Ile Leu Leu Pro Glu Gln Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 112
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 112
Phe Ser Glu Lys Ser Val Phe Pro Glu Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 113
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 113
Gln Pro Glu Glu Gln Pro Thr Val Ser Tyr Asn Gly
1 5 10
<210> 114
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 114
Gly Glu Glu Val Lys Val Pro Glu Gln Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 115
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 115
Glu Pro Val Ile Asn Ser Gln Pro Glu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 116
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 116
Glu Glu Glu Arg Gln Glu Glu Gln Pro Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 117
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 117
His His Thr Ala Asp Leu Gln Pro Glu Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 118
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 118
Gly Thr Lys Tyr Leu Leu Pro Phe Pro Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 119
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 119
Glu Gln Pro Thr Phe Thr Val Glu Gly Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 120
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 120
Gly Glu Ile Gln Gly Asp Gln Pro Glu Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 121
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 121
Pro Phe Pro Leu Pro Val Ala Leu Glu Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 122
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 122
Cys Ile Leu Tyr Glu Lys Glu Gln Pro Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 123
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 123
Gln Pro Phe Pro Lys Phe Leu Lys Asn Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 124
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 124
Phe Pro Gln Leu Thr Phe Ser Val Val Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 125
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 125
Pro Phe Pro Glu Gln Pro Val Val Thr Gly Pro Ala
1 5 10
<210> 126
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 126
Glu Lys Tyr Arg Asp Cys Phe Pro Glu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 127
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 127
Pro Phe Pro Thr Ala Thr Val Val Asp Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 128
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 128
Pro Phe Pro Leu Asp Val Asn Pro Lys Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 129
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 129
Phe Pro Gln Gln Gly Ser Ala Lys Phe Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 130
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 130
Pro Phe Pro Arg Asp Glu Arg Glu Asp Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 131
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 131
Glu Gln Pro Glu Gln Pro Val Arg Arg Gly Gln Pro
1 5 10
<210> 132
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 132
Pro Phe Pro Ser Val Pro Leu Cys Ile Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 133
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 133
Ile Leu Gly Glu Pro Lys Gln Pro Phe Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 134
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 134
Phe Pro Gln Pro Phe Pro Val Ser Pro Met Ser Trp
1 5 10
<210> 135
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 135
Gln Pro Glu Leu His Lys Leu Val Val Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 136
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 136
Gly Phe Ile Tyr Gln Gly Phe Pro Gln Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 137
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 137
Glu Gln Pro Glu Gln Pro Ala His Ile Thr Asn Asn
1 5 10
<210> 138
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 138
Glu Glu Tyr Val Cys Arg Phe Pro Glu Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 139
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 139
Pro Glu Gln Pro Asp Leu Gln Pro Gly Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 140
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 140
Gln Pro Phe Phe Pro Gln Thr Thr Pro Ala Asn Ala
1 5 10
<210> 141
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 141
Glu Gln Pro Leu Thr Glu Glu Gln Lys Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 142
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 142
Glu Ser Asp Lys Leu Lys Gln Pro Phe Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 143
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 143
Glu Gln Pro Asn Gly Ile Leu Gly Pro Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 144
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 144
Pro Phe Pro Gln Glu Ala Gly Thr Lys Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 145
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 145
Glu Glu Thr Gly Met Ala Pro Phe Pro Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 146
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 146
Pro Phe Pro Met Ala Met Arg Ile Arg Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 147
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 147
Gln Pro Glu Leu Leu Gly Arg Trp Asp Gln Pro Glu
1 5 10
<210> 148
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 148
Asp Ala Pro Phe Val Phe Gln Pro Phe Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 149
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 149
Ile Glu Tyr Phe Arg Asn Glu Gln Pro Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 150
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 150
Gln Pro Glu Ser Thr Lys Tyr Asp Ala Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 151
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 151
Cys Leu Ile Leu Leu Asp Gln Pro Glu Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 152
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 152
Phe Pro Glu Arg Cys Leu Gly Ile Pro Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 153
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 153
Glu Gln Pro Asn Ile Pro Trp Asn Phe Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 154
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 154
Gly Asp Lys Ser Glu Met Pro Glu Gln Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 155
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 155
Pro Phe Pro Phe Pro Gln Tyr Leu Asp Ser Glu Glu
1 5 10
<210> 156
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 156
Phe Pro Glu Asn Ser Tyr Leu Leu Ala Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 157
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 157
Glu Gln Pro Arg Ala Ile Lys Glu Gly Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 158
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 158
Cys Thr Val Leu Arg Cys Phe Pro Gln Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 159
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 159
Pro Glu Gln Lys Tyr Gly Gln Cys Trp Phe Pro Gln
1 5 10
<210> 160
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 160
Glu Gly Asp Trp Thr Ala Pro Glu Gln Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 161
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 161
Pro Glu Gln Gln Pro Phe Ala Asp Ala Val Tyr Leu
1 5 10
<210> 162
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 162
Pro Phe Pro Leu Lys Ala Val Lys Gly Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 163
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 163
Glu Gln Pro Ser Ser Glu Glu Arg Glu Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 164
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 164
Glu Gln Pro Arg Asp Cys Ser Arg Arg Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 165
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 165
Glu Gln Pro Asn Val Ile Ile Gly Pro Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 166
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 166
Pro Glu Gln Leu Leu Asn Leu Asn Leu Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 167
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 167
Glu Gln Pro Ser Leu Gln Leu Thr Thr Phe Pro Glu
1 5 10
<210> 168
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 168
Pro Glu Gln Asn Leu Glu Pro Phe Ser Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 169
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 169
His Lys Ser Ile Asn Arg Phe Pro Glu Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 170
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 170
Glu Gln Pro Leu Arg Arg Trp Lys Asn Pro Glu Gln
1 5 10
<210> 171
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 171
Pro Phe Pro Lys Asn Ala Gly Arg Asp Glu Gln Pro
1 5 10
<210> 172
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 172
Glu Leu Glu Thr Asn Gly Pro Phe Pro Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 173
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 173
Tyr Gly Asp Gly Val Ser Gln Pro Glu Gln Pro Phe
1 5 10
<210> 174
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 174
Tyr Gly Asp Gly Val Ser
1 5
<210> 175
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 175
Pro Glu Gln Pro
1
<210> 176
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 176
Met Lys Thr Phe Leu Ile Leu Val Leu Leu Ala Thr
1 5 10
<210> 177
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 177
Thr Phe Leu Ile Leu Val Leu Leu Ala Thr Ile Val
1 5 10
<210> 178
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 178
Leu Ile Leu Val Leu Leu Ala Thr Ile Val Ala Thr
1 5 10
<210> 179
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 179
Leu Val Leu Leu Ala Thr Ile Val Ala Thr Ala Thr
1 5 10
<210> 180
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 180
Leu Leu Ala Thr Ile Val Ala Thr Ala Thr Thr Ala
1 5 10
<210> 181
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 181
Ala Thr Ile Val Ala Thr Ala Thr Thr Ala Val Arg
1 5 10
<210> 182
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 182
Ile Val Ala Thr Ala Thr Thr Ala Val Arg Phe Pro
1 5 10
<210> 183
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 183
Ala Thr Ala Thr Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro
1 5 10
<210> 184
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 184
Ala Thr Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro Gln Leu
1 5 10
<210> 185
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 185
Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro Gln Leu Gln Pro
1 5 10
<210> 186
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 186
Val Arg Phe Pro Val Pro Gln Leu Gln Pro Gln Asn
1 5 10
<210> 187
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 187
Cys Thr Ile Ala Pro Phe Gly Ile Phe Gly Thr Asn
1 5 10
<210> 188
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 188
Ala Thr Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro Glu Leu
1 5 10
<210> 189
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 189
Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro Glu Leu Gln Pro
1 5 10
<210> 190
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 190
Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro Gln Leu Glu Pro
1 5 10
<210> 191
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 191
Thr Ala Val Arg Phe Pro Val Pro Glu Leu Glu Pro
1 5 10
<210> 192
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 192
Tyr Gly Asp Gly Val Ser Pro Glu Gln Pro Phe Pro
1 5 10
<210> 193
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 193
Pro Glu Gln Tyr Gly Asp Gly Val Ser Pro Glu Pro
1 5 10
<210> 194
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 194
Pro Glu Gln Pro Glu Pro Tyr Gly Asp Gly Val Ser
1 5 10
アレイ表面と少なくとも2つのペプチドプローブとを含むアレイであって、前記少なくとも2つのペプチドプローブのそれぞれが、配列番号1~172からなる群から選択される結合モチーフを含み、かつ、前記少なくとも2つのペプチドプローブが、前記アレイ表面から延びている、前記アレイ。