(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025112530
(43)【公開日】2025-08-01
(54)【発明の名称】出力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20250725BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20250725BHJP
B41J 3/46 20060101ALI20250725BHJP
【FI】
G06F3/12 353
G06F3/12 308
G06F3/12 378
B41J3/36
B41J3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006806
(22)【出願日】2024-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直哉
【テーマコード(参考)】
2C055
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC05
(57)【要約】
【課題】大きなディスプレイがなくてもネットワークの全体図を出力することができる出力装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態の出力装置は、第1ノード及び複数の第2ノードで構成されるネットワークにおける第1ノードとしての出力装置である。出力装置は、パケットの送信元ノードに対応する第1頂点、送信元ノードのパケット送信先である送信先ノードに対応する第2頂点、及び第1頂点を始点とし、かつ第2頂点を終点とする辺を含む有向グラフの出力指示を受け付ける受付部と、出力指示に応じて、第1ノードを送信元ノードに対応付けた第1有向グラフを出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノード及び複数の第2ノードで構成されるネットワークにおける前記第1ノードとしての出力装置であって、
パケットの送信元ノードに対応する第1頂点、前記送信元ノードのパケット送信先である送信先ノードに対応する第2頂点、及び前記第1頂点を始点とし、かつ前記第2頂点を終点とする辺を含む有向グラフの出力指示を受け付ける受付部と、
前記出力指示に応じて、前記第1ノードを前記送信元ノードに対応付けた第1有向グラフを出力する出力部と、
を備えた、出力装置。
【請求項2】
前記出力装置は、プリンタであり、
前記出力部は、前記第1有向グラフを紙出力する、
請求項1記載の出力装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記出力指示に応じて、前記複数の第2ノードの各々を前記送信元ノードに対応付けた複数の第2有向グラフを更に出力し、
前記出力部は、前記第1有向グラフ、及び前記複数の第2有向グラフの各々を、個別に紙出力する、
請求項2記載の出力装置。
【請求項4】
前記出力装置は、モバイルプリンタである、
請求項2記載の出力装置。
【請求項5】
前記出力装置は、電子値札又は電卓であり、
前記出力部は、前記第1有向グラフを画面出力する、
請求項1記載の出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュネットワークを構成するプリンタ等の出力装置がある。これらのプリンタが構成するメッシュネットワークの全体図をユーザに出力するための手法として、全体図をディスプレイに表示する手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の手法では、大きなディスプレイがなければ、ネットワークの全体図を表示することができない。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、大きなディスプレイがなくてもネットワークの全体図を出力することができる出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、出力装置は、第1ノード及び複数の第2ノードで構成されるネットワークにおける上記第1ノードとしての出力装置である。上記出力装置は、パケットの送信元ノードに対応する第1頂点、上記送信元ノードのパケット送信先である送信先ノードに対応する第2頂点、及び上記第1頂点を始点とし、かつ上記第2頂点を終点とする辺を含む有向グラフの出力指示を受け付ける受付部と、上記出力指示に応じて、上記第1ノードを上記送信元ノードに対応付けた第1有向グラフを出力する出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る出力装置が構成するメッシュネットワークの一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る出力装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る出力装置がオペレーションパネルに表示する画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る出力装置が記憶するルーティングテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る出力装置における出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る出力装置における出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る出力装置における出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る出力装置における出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る出力装置における出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る出力装置における出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る出力装置における出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る出力装置における出力処理に基づく、メッシュネットワークの全体図に対応する全体有向グラフの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、変形例に係る代表出力装置が記憶するルーティングテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例に係る代表出力装置における出力処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る出力装置について、図面を用いて説明する。
1. 構成
まず、実施形態に係る出力装置の構成について説明する。
【0009】
1.1 メッシュネットワーク
図1は、実施形態に係る出力装置が構成するメッシュネットワークの構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
メッシュネットワーク1は、構成要素として複数のノードによって構成される。メッシュネットワーク1は、対象ノードが外部のネットワークと通信する際に、他のノードを介してデータを通信するネットワークである。
【0011】
図1に示すように、メッシュネットワーク1は、ノードとして、複数の出力装置11、12、13、及び14、並びに無線ルータ15を含む。無線ルータ15は、メッシュネットワーク1内の複数の出力装置11~14と、外部のネットワークとを接続する機器である。
【0012】
複数の出力装置11~14は、互いに同等の構成を有する。例えば、複数の出力装置11~14は、プリンタ、電子値札、及び電卓等のIoT(internet of things)機器である。複数の出力装置11~14に適用されるプリンタの例としては、モバイルPOS(point of sale)に付属するレシートプリンタやバーコードプリンタ等が挙げられるが、これらに限らずMFP(multifunction peripheral)等、任意のプリンタが適用可能である。また、複数の出力装置11~14に適用されるプリンタは、サーマルプリンタであってもインクジェットプリンタであってもよい。
【0013】
図1の例では、出力装置11は、データの送信先として出力装置12に接続している。出力装置12は、データの送信先として出力装置14に接続している。出力装置13は、データの送信先として出力装置14に接続している。出力装置14は、データの送信先として無線ルータ15に接続している。
【0014】
また、
図1の例では、出力装置11のIPアドレスは、“2001::200::ff::fe00:1”であるものとする。出力装置12のIPアドレスは、“2001::200::ff::fe00:2”であるものとする。出力装置13のIPアドレスは、“2001::200::ff::fe00:3”であるものとする。出力装置14のIPアドレスは、“2001::200::ff::fe00:4”であるものとする。無線ルータ15のIPアドレスは、“2002::200::ff::fe00:1”であるものとする。なお、
図1の例では、IPv6(internet protocol version 6)に基づくIPアドレスが割り当てられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、IPアドレスは、IPv4に基づいていてもよい。
【0015】
1.2 ハードウェア構成
図2は、実施形態に係る出力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2は、出力装置11のハードウェア構成を示す。なお、出力装置12~14についても、出力装置11と同等のハードウェア構成を有する。
【0016】
図2に示すように、出力装置11は、制御回路21、ストレージ22、通信モジュール23、入力機器24、出力機器25、ドライブ26、及び記憶媒体27を備える。
【0017】
制御回路21は、出力装置11の各構成要素を全体的に制御する回路である。制御回路21は、CPU(central processing unit)、RAM(random access memory)、及びROM(read only memory)等を含む。制御回路21のROMは、出力装置11が各種処理で使用するプログラム等を記憶する。制御回路21のCPUは、制御回路21のROMが記憶するプログラムにしたがって、出力装置11の全体を制御する。制御回路21のRAMは、制御回路21のCPUの作業領域を有する。作業領域は、後述する出力処理で出力される情報を描画する描画領域を含む。
【0018】
ストレージ22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含む。ストレージ22は、出力装置11における各種処理で使用される情報を記憶する。
【0019】
通信モジュール23は、出力装置11とメッシュネットワーク1を構成するノード(例えば、出力装置12)との間のデータの送受信に使用される回路である。
【0020】
入力機器24は、ユーザからの入力の受付を司る機器である。入力機器24は、例えば、オペレーションパネルを含む。オペレーションパネルは、ソフトウェアキーとして機能するボタンを表示するタッチパネルであり得る。
【0021】
出力機器25は、ユーザへの出力を司る機器である。出力装置11がプリンタの場合、出力機器25は、例えば、紙出力用の機器群を含む。より具体的には、出力装置11がサーマルプリンタの場合、出力機器25は、プラテンローラ、サーマルヘッド、及びカッター等を含む。また、出力装置11が電子値札又は電卓の場合、出力機器25は、例えば、画像出力用のディスプレイを含む。画像出力用のディスプレイは、タッチパネルとの共用であり得る。なお、出力機器25が出力する紙又は画像のサイズは、例えば、レシート程度の大きさであり得る。より具体的には、例えば、出力機器25が出力する紙又は画像のサイズは、5cm×10cm程度の大きさであり得る。
【0022】
ドライブ26は、記憶媒体27に記憶されたソフトウェアを読み込むための機器である。ドライブ26は、例えば、CD(Compact Disk)ドライブ又はDVD(Digital Versatile Disk)ドライブを含む。
【0023】
記憶媒体27は、ソフトウェアを、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって記憶する媒体である。記憶媒体27は、出力装置11における各種処理を実行するためのプログラムを記憶してもよい。
【0024】
1.3 機能構成
図3は、実施形態に係る出力装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3は、出力装置11の機能構成を示す。なお、出力装置12~14についても、出力装置11と同等の機能構成を有する。
【0025】
図3に示すように、制御回路21のCPUは、制御回路21のROM又は記憶媒体27が記憶するプログラムを制御回路21のRAMに展開する。そして、制御回路21のCPUは、制御回路21のRAMに展開したプログラムを解釈及び実行する。これにより、出力装置11は、入力受付部31、出力情報生成部32、及び出力部33を備えるコンピュータとして機能する。また、出力装置11のストレージ22は、ルーティングテーブル34を記憶する。
【0026】
入力受付部31は、ユーザからの入力を受け付ける機能ブロックである。入力受付部31は、ユーザから出力処理を開始する旨の入力を受け付けると、出力処理の開始を出力情報生成部32に通知する。
【0027】
図4は、実施形態に係る出力装置がオペレーションパネルに表示する画面の一例を示す図である。
図4に示すように、入力受付部31は、オペレーションパネルOP上に、ボタンSKa、SKb、及びSKcを表示する。
【0028】
ボタンSKaは、オペレーションパネルOP上において文字列“Print Network Topology”を囲む枠内の領域に対応し、出力処理を開始する旨の入力を受け付けるソフトウェアキーである。ユーザがボタンSKaを押すことにより、入力受付部31は、出力処理の開始を出力情報生成部32に通知する。
【0029】
ボタンSKbは、オペレーションパネルOP上において文字列“Home”を囲む枠内の領域に対応し、ホーム画面へ遷移する旨の入力を受け付けるソフトウェアキーである。ユーザがボタンSKbを押すことにより、入力受付部31は、オペレーションパネルOP上の表示をホーム画面に変更する。
【0030】
ボタンSKcは、オペレーションパネルOP上において文字列“Back”を囲む枠内の領域に対応し、オペレーションパネルOPが直前に表示していた画面へ遷移する旨の入力を受け付けるソフトウェアキーである。ユーザがボタンSKcを押すことにより、入力受付部31は、オペレーションパネルOP上の表示を、直前の表示画面に戻す。
【0031】
再び
図3に戻って、出力装置11の機能構成について説明する。
【0032】
出力情報生成部32は、入力受付部31から出力処理の開始の通知を受けると、出力処理の結果としてユーザに出力する情報(出力情報)を生成する機能ブロックである。具体的には、出力情報生成部32は、制御回路21のRAM上に描画領域を生成する。そして、出力情報生成部32は、ルーティングテーブル34を参照することにより、描画領域に所定の情報を描画する。出力情報生成部32は、描画領域に描画された情報を生成情報として、出力部33に送出する。
【0033】
図5は、実施形態に係る出力装置が記憶するルーティングテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すように、ルーティングテーブル34は、自身の出力装置がデータを送信する際の、送信元ノードのIPアドレス及び送信先ノードのIPアドレスの組を、メッシュネットワーク1におけるルーティング情報として記憶する。
【0034】
すなわち、送信元ノードとして記憶される情報は、自身の出力装置のIPアドレスに対応する。送信先ノードとして記憶される情報は、自身の出力装置がデータを送信する出力装置のIPアドレスに対応する。
図5の例では、送信元ノードとして記憶される情報は、出力装置11のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:1”である。また、送信先ノードとして記憶される情報は、出力装置12のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:2”である。
【0035】
なお、
図5では説明を省略するが、出力装置12が記憶するルーティングテーブル34では、送信元ノードとして記憶される情報は、出力装置12のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:2”である。また、送信先ノードとして記憶される情報は、出力装置14のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:4”である。
【0036】
出力装置13が記憶するルーティングテーブル34では、送信元ノードとして記憶される情報は、出力装置13のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:3”である。また、送信先ノードとして記憶される情報は、出力装置14のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:4”である。
【0037】
出力装置14が記憶するルーティングテーブル34では、送信元ノードとして記憶される情報は、出力装置14のIPアドレス“2001::200::ff::fe00:4”である。また、送信先ノードとして記憶される情報は、無線ルータ15のIPアドレス“2002::200::ff::fe00:1”である。
【0038】
再び
図3に戻って、出力装置11の機能構成について説明する。
【0039】
出力部33は、出力情報生成部32から出力情報を受けると、当該出力情報をユーザに出力する機能ブロックである。具体的には、出力機器25が紙出力用の機器群によって構成される場合、出力部33は、出力情報を紙出力する。また、出力機器25が画像出力用の機器群によって構成される場合、出力部33は、出力情報を画像として出力する。出力情報の詳細については、後述する。
【0040】
2. 動作
次に、実施形態に係る出力装置における動作について説明する。
【0041】
2.1 出力処理
図6は、実施形態に係る出力装置における出力処理の一例を示すフローチャートである。
図7~
図12は、実施形態に係る出力処理で描画領域に描画する情報の一例を示す図である。
図7~
図12はそれぞれ、出力装置11が実行する出力処理における、
図6に示すACT12~ACT17の処理の際の描画領域に対応する。
【0042】
図6に示すように、ユーザがオペレーションパネルOP上のボタンSKaを入力すると(開始)、入力受付部31は、出力処理を開始する旨の入力を受け付ける(ACT11)。
【0043】
出力処理を開始する旨の入力を受け付けると、出力情報生成部32は、
図7に示すように、制御回路21のRAM上に描画領域IRを生成する(ACT12)。
【0044】
描画領域IRは、出力情報を出力する媒体(プリンタから出力される紙、又は電子値札及び電卓に表示される画面)に対応する形状を有する。
図7の例では、描画領域IRは、横長の矩形状を有している。また、描画領域IRは、横方向に並ぶ3個のサブ領域IRa、IRb、及びIRcを有する。サブ領域IRaは、描画領域IRの左端に位置し、送信元ノードに関する情報が描画される領域である。サブ領域IRbは、描画領域IRの右端に位置し、送信先ノードに関する情報が描画される領域である。サブ領域IRcは、サブ領域IRa及びIRbの間(すなわち、描画領域IRの中央部)に位置し、データの送信方向に関する情報が描画される領域である。
【0045】
出力情報生成部32は、
図8に示すように、ACT12の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRaに、送信元ノードに対応する図形Oaを描画する(ACT13)。図形Oaは、例えば、実線の円形状を有する。
【0046】
出力情報生成部32は、
図9に示すように、ACT12の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRbに、送信先ノードに対応する図形Obを描画する(ACT14)。図形Obは、例えば、破線の円形状を有する。
【0047】
出力情報生成部32は、
図10に示すように、ACT12の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRcに、図形Ocを描画する(ACT15)。図形Ocは、送信元ノードを表す図形Oaから送信先ノードを表す図形Obへ向かう方向(すなわち、描画領域IRの左から右に向かう方法)を向く矢印の形状を有する。
【0048】
出力情報生成部32は、
図11に示すように、ルーティングテーブル34を参照し、ACT12の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRaに、送信元ノードのIPアドレスを示すテキストTaを描画する(ACT16)。
図11の例では、テキストTaは、出力装置11のIPアドレス“2002::200::ff::fe00:1”であり、図形Oaの下方に位置する。
【0049】
出力情報生成部32は、
図12に示すように、ルーティングテーブル34を参照し、ACT12の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRbに、送信先ノードのIPアドレスを示すテキストTbを描画する(ACT17)。
図12の例では、テキストTbは、出力装置12のIPアドレス“2002::200::ff::fe00:2”であり、図形Obの下方に位置する。
【0050】
ACT13~ACT17の処理によって、出力情報生成部32は、描画領域IRに有向グラフG=(V,E)(|V|=2、|E|=1)を描画する。ここで、Vは頂点集合であり、送信元ノード(自身の出力装置)に対応する図形Oa、及び送信先ノードに対応する図形Obを要素として含む。Eは辺集合であり、頂点集合Vの要素である図形Oa及びOb間を結ぶ、方向を有する図形Ocを要素として含む。
【0051】
出力部33は、ACT13~ACT17の処理の後に、描画領域IRに描画された有向グラフGを、出力媒体OUTを介してユーザに出力する(ACT18)。すなわち、出力装置11がプリンタの場合には、出力部33は、有向グラフGが印刷された紙をユーザに出力する。出力装置11が電子値札又は電卓の場合には、出力部33は、有向グラフGが表示された画面をユーザに出力する。
【0052】
ACT18の処理が終了すると、出力処理は終了となる(終了)。
【0053】
2.2 メッシュネットワークの全体図の表示
ユーザは、メッシュネットワーク1を構成する複数の出力装置11~14の各々に対して、出力処理の実行を指示する。複数の出力装置11~14の各々は、ユーザからの入力に応じて、出力処理を実行する。これにより、ユーザは、有向グラフGを印字又は表示する出力媒体OUTを、出力装置11~14から1個ずつ取得する。
【0054】
そして、ユーザは、複数の出力媒体OUTを、同一のノードを示す図形同士が重なるように配置する。これにより、ユーザは、メッシュネットワーク1の全体図に対応する全体有向グラフGtを得ることができる。
【0055】
図13は、実施形態に係る出力装置における出力処理に基づく、メッシュネットワークの全体図に対応する全体有向グラフの一例を示す図である。
【0056】
図13に示すように、全体有向グラフGtは、出力媒体OUTa、OUTb、OUTc、及びOUTdを含む。出力媒体OUTa、OUTb、OUTc、及びOUTdはそれぞれ、出力装置11、12、13、及び14の出力処理から得られる出力媒体である。
【0057】
図13の例では、出力媒体OUTaの送信先ノードのテキストと、出力媒体OUTbの送信元ノードのテキストとが、IPアドレス“2002::200::ff::fe00:2”で一致する。このため、ユーザは、出力媒体OUTaの送信先ノードの図形と、出力媒体OUTbの送信元ノードの図形とが重なるように、出力媒体OUTa及びOUTbを配置する。
【0058】
また、出力媒体OUTb及びOUTcの送信先ノードのテキストと、出力媒体OUTdの送信元ノードのテキストとが、IPアドレス“2002::200::ff::fe00:4”で一致する。このため、ユーザは、出力媒体OUTb及びOUTcの送信先ノードの図形と、出力媒体OUTdの送信元ノードの図形とが重なるように、出力媒体OUTb、OUTc、及びOUTdを配置する。
【0059】
以上により、ユーザは、メッシュネットワーク1が、全体有向グラフGt=(Vt,Et)(|Vt|=5、|Et|=4)と等価であることを認識できる。
【0060】
なお、ユーザは、全体有向グラフGtを、出力媒体OUT同士を重ねて生成する。このため、出力媒体OUTが紙の場合、出力媒体OUTは、重なって後方に位置する出力媒体OUTが透けて見える素材であることが好ましい。
【0061】
3. 実施形態に係る効果
実施形態によれば、入力受付部31は、出力処理を開始する旨の出力指示を受け付ける。出力情報生成部32は、出力指示に応じて、描画領域に有向グラフGを描画する。有向グラフGは、自身の出力装置を送信元ノードとする場合の、送信元ノードに対応する第1頂点、送信先ノードに対応する第2頂点、及び第1頂点を始点としかつ第2頂点を終点とする辺を含む。出力部33は、出力指示に応じて、有向グラフGを出力する。これにより、複数の出力装置11~14の各々は、ユーザからの出力指示に応じて、自身の出力装置を送信元ノードとする場合の頂点数2個、辺数1個の有向グラフを1個ずつ出力する。このため、ユーザは、複数の出力装置11~14のそれぞれに対応する複数の有向グラフGを結合して、全体有向グラフGtを生成することができる。このように、全体有向グラフGtを、個別に出力される複数の有向グラフGからなる。したがって、ユーザは、大きなディスプレイが無くても、メッシュネットワーク1の全体図を得ることができる。
【0062】
また、複数の出力装置11~14は、プリンタの形態を取り得る。複数の出力装置11~14がプリンタの場合には、出力部33は、有向グラフGを紙出力する。特に、複数の出力装置11~14がモバイルプリンタの場合には、出力する紙がレシート程度の大きさとなるため、全体有向グラフGtを一度にまとめて出力することはできない。しかしながら、本実施形態によれば、複数の出力装置11~14の各々は、頂点数2、辺数1の有向グラフGを1個ずつ出力する。これにより、ユーザは、大きなディスプレイが無くても、複数の有向グラフGを組み合わせることにより、メッシュネットワーク1の全体図を得ることができる。
【0063】
また、複数の出力装置11~14は、電子値札又は電卓等の形態を取り得る。複数の出力装置11~14が電子値札又は電卓の場合には、出力部33は、有向グラフGを画面出力する。複数の出力装置11~14が電子値札又は電卓の場合には、表示する画面がレシート程度の大きさとなるため、全体有向グラフGtを一度にまとめて出力することはできない。しかしながら、本実施形態によれば、複数の出力装置11~14の各々は、頂点数2、辺数1の有向グラフGを1個ずつ出力する。これにより、ユーザは、大きなディスプレイが無くても、複数の有向グラフGを組み合わせることにより、メッシュネットワーク1の全体図を得ることができる。
【0064】
4. 変形例等
上述の実施形態には、種々の変形を適用することができる。
【0065】
上述の実施形態では、ユーザは、メッシュネットワーク1の全体有向グラフGtを得るために、複数の出力装置11~14の数だけ出力処理を指示する場合について説明した。しかしながら、全体有向グラフGtを構成する複数の出力媒体OUTは、1個の出力装置からまとめて出力してもよい。すなわち、ユーザは、全体有向グラフGtを得るために、出力処理をある出力装置に対して1回だけ指示すればよい構成であってもよい。以下では、実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。実施形態と同等の構成及び動作については、説明を適宜省略する。
【0066】
変形例に係るメッシュネットワーク1では、複数の出力装置11~14の各々は、プリンタである。そして、変形例に係る複数の出力装置11~14のいずれか1個の出力装置が、全ての出力装置のルーティング情報を集約して記憶する。以下では、全ての出力装置のルーティング情報を集約して記憶する出力装置を、代表出力装置と呼ぶ。代表出力装置は、複数の出力装置11~14のいずれの出力装置であってもよい。以下では、説明の便宜上、出力装置11が代表出力装置であるものとする。
【0067】
図14は、変形例に係る代表出力装置が記憶するルーティングテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図14に示すように、代表出力装置が記憶するルーティングテーブル34は、メッシュネットワーク1を構成するノード毎に、送信元ノードのIPアドレス及び送信先ノードのIPアドレスの組を記憶する。
【0068】
図14の例では、ルーティングテーブル34は、4個の対象ノードに関するルーティング情報を記憶する。1個目のルーティング情報は、IPアドレスが“2001::200::ff::fe00:1”の対象ノード(すなわち、出力装置11)のルーティング情報である。2個目のルーティング情報は、IPアドレスが“2001::200::ff::fe00:2”の対象ノード(すなわち、出力装置12)のルーティング情報である。3個目のルーティング情報は、IPアドレスが“2001::200::ff::fe00:3”の対象ノード(すなわち、出力装置13)のルーティング情報である。4個目のルーティング情報は、IPアドレスが“2001::200::ff::fe00:4”の対象ノード(すなわち、出力装置14)のルーティング情報である。
【0069】
代表出力装置は、メッシュネットワーク1が構築された際に、各ノードからルーティング情報を収集してもよい。また、各ノードからルーティング情報を収集する処理は、図示せぬサーバが行ってもよい。この場合、代表出力装置は、サーバから各ノードのルーティング情報を受け取ることにより、その集約情報をルーティングテーブル34として記憶する。
【0070】
図15は、変形例に係る代表出力装置における出力処理の一例を示すフローチャートである。
図15は、実施形態における
図6に対応する。
【0071】
図15に示すように、ユーザが代表出力装置のオペレーションパネルOP上のボタンSKaを入力すると(開始)、入力受付部31は、出力処理を開始する旨の入力を受け付ける(ACT21)。
【0072】
出力処理を開始する旨の入力を受け付けると、出力情報生成部32は、ルーティングテーブル34を参照し、対象ノードを選択する(ACT22)。
【0073】
出力情報生成部32は、制御回路21のRAM上に、ACT22の処理で選択した対象ノードに対応する描画領域IRを生成する(ACT23)。
【0074】
出力情報生成部32は、ACT23の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRaに、送信元ノードに対応する図形Oaを描画する(ACT24)。
【0075】
出力情報生成部32は、ACT23の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRbに、送信先ノードに対応する図形Obを描画する(ACT25)。
【0076】
出力情報生成部32は、ACT23の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRcに、図形Ocを描画する(ACT26)。
【0077】
出力情報生成部32は、ルーティングテーブル34のうち、ACT22の処理で選択した対象ノードのルーティング情報を参照する。そして、出力情報生成部32は、ACT23の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRaに、送信元ノードのIPアドレスを示すテキストTaを描画する(ACT27)。
【0078】
出力情報生成部32は、ルーティングテーブル34のうち、ACT22の処理で選択した対象ノードのルーティング情報を参照する。そして、出力情報生成部32は、ACT23の処理で生成した描画領域IRのサブ領域IRbに、送信先ノードのIPアドレスを示すテキストTbを描画する(ACT28)。
【0079】
ACT23~ACT28の処理によって、出力情報生成部32は、描画領域IRに、ACT22の処理で選択した対象ノードに関する有向グラフG=(V,E)(|V|=2、|E|=1)を描画する。
【0080】
出力部33は、描画領域IRに描画された対象ノードに関する有向グラフGを、出力媒体OUTを介してユーザに出力する(ACT29)。
【0081】
ACT29の処理の後、出力情報生成部32は、ルーティングテーブル34内の全ての対象ノードを選択したか否かを判定する(ACT30)。
【0082】
未選択の対象ノードがある場合(ACT30;no)、出力情報生成部32は、ルーティングテーブル34を参照し、未選択の対象ノードを選択する(ACT22)。そして、選択した対象ノードについて、後続するACT23~ACT30の処理を実行する。このように、全ての対象ノードが選択されるまで、代表出力装置は、ACT22~ACT30の処理を繰り返し実行する。
【0083】
全ての対象ノードが選択済みの場合(ACT30;yes)、出力処理は終了となる(終了)。
【0084】
変形例によれば、代表出力装置の出力部33は、出力指示に応じて、自身の出力装置を送信元ノードとする有向グラフGに加えて、他の出力装置を送信元ノードとする有向グラフGも出力する。すなわち、代表出力装置の出力部33は、複数の有向グラフGを、1個ずつ出力する。これにより、ユーザは、全ての出力装置11~14に対して個別に出力指示を行うことなく、複数の有向グラフGを代表出力装置から得ることができる。このため、ユーザが出力指示を入力する回数を減らすことができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…メッシュネットワーク、11,12,13,14…出力装置、15…無線ルータ、21…制御回路、22…ストレージ、23…通信モジュール、24…入力機器、25…出力機器、26…ドライブ、27…記憶媒体、31…入力受付部、32…出力情報生成部、33…出力部、34…ルーティングテーブル。