(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025112675
(43)【公開日】2025-08-01
(54)【発明の名称】樹脂発泡体シート
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20250725BHJP
C08L 23/02 20250101ALI20250725BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20250725BHJP
C08L 57/02 20060101ALI20250725BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
C08J9/04 CFH
C08L23/02
C08L83/04
C08L57/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007057
(22)【出願日】2024-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(74)【代理人】
【識別番号】100201710
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 佑佳
(72)【発明者】
【氏名】三輪 孟男
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勇史
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA18
4F074AA19
4F074AA20
4F074AA21
4F074AA22
4F074AA24
4F074AA26
4F074AA90
4F074AA98
4F074AD08
4F074BA13
4F074BA16
4F074BB02
4F074CA29
4F074CC03Z
4F074CC04Y
4F074CC06Y
4F074CC22X
4F074CC32Y
4F074CD01
4F074CD08
4F074DA02
4F074DA24
4F074DA39
4F074DA47
4J002BA013
4J002BB061
4J002CP032
4J002FD320
4J002GJ02
(57)【要約】
【課題】撥水性に優れる樹脂発泡体シートを提供すること。
【解決手段】本技術では、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーンと、を含む組成物を発泡させた樹脂発泡体シートであって、前記樹脂発泡体シートと水との接触角が120°以上である、樹脂発泡体シートを提供する。前記樹脂発泡体シートは、50%圧縮応力歪みが40kPa以下であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂と、
シリコーンと、
を含む組成物を発泡させた樹脂発泡体シートであって、
前記樹脂発泡体シートと水との接触角が120°以上である、樹脂発泡体シート。
【請求項2】
50%圧縮応力歪みが40kPa以下である、請求項1に記載の樹脂発泡体シート。
【請求項3】
前記組成物は、石油系樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂発泡体シート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の樹脂発泡体シートを備えるシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、樹脂発泡体シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂発泡体シートは、緩衝性、断熱性、撥水性、防湿性等に優れることから、様々な用途で使用されている。ここで、近年では、樹脂発泡体シートがスマートフォン、ウェアラブル端末等の高い撥水性能が要求される機器にも用いられることから、特に、撥水性能が求められているという実情がある。
【0003】
これに対し、例えば、特許文献1では、少なくとも一方の面の光沢度(但し、該光沢度はJIS K7105に記載の方法に従って測定された光沢度である。)が10以下であり、且つ水の接触角が85度以上であることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シートが提案されている。また、例えば、特許文献2では、管本体と、前記管本体の外表面側に配置された表面層とを備え、前記表面層に対する水の接触角が、120°以上であり、温度25℃及び湿度90%の環境下において、温度10℃のドレン水が15分流れるまで、前記表面層の外表面に結露が発生しない、発泡樹脂管が提案されている。更に、例えば、特許文献3では、平均気泡径が40~200μmであり、圧縮開始後3時間経過後の50%圧縮強度Bが25~800kPaである発泡シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-121024号公報
【特許文献2】特開2018-91561号公報
【特許文献3】特開2020-139075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、撥水性能を高めた樹脂発泡体シートに関する技術が開発されてはいるものの、シール材として満足のいく樹脂発泡体シートはなく、上述した技術の開発は十分ではないという実情がある。
【0006】
そこで、本技術では、撥水性に優れる樹脂発泡体シートを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術では、
ポリオレフィン系樹脂と、
シリコーンと、
を含む組成物を発泡させた樹脂発泡体シートであって、
前記樹脂発泡体シートと水との接触角が120°以上である、樹脂発泡体シートを提供する。
本技術に係る樹脂発泡体シートは、50%圧縮応力歪みが40kPa以下であってよい。
前記組成物は、石油系樹脂を含んでいてよい。
また、本技術では、前記樹脂発泡体シートを備えるシール材も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】U字止水試験における寸法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。
以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0010】
1.樹脂発泡体シート
本技術に係る樹脂発泡体シートは、樹脂組成物を発泡してなるものである。樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーンと、を含む。また、樹脂組成物は、発泡剤、架橋剤等を含んでいてもよい。更に、本技術に係る樹脂発泡体シートと水との接触角は、120°以上であることを特徴とする。
【0011】
通常、樹脂発泡体シートをシール材として使用する場合、柔軟性と連通化が背反関係にある。すなわち、柔軟化させることで、被接着物への追従性を向上させる必要があるが、追従性が不足していれば、樹脂発泡体シートと被接着物の界面から水漏れが生じる。一方で、柔軟化の手法の一つに、セルを連通化させる手法がある。しかしながら、セルを連通化させると樹脂発泡体シート内部で水が伝搬しやすくなり、内部の水漏れが生じてしまう。また、撥水性能を高めるためには、水との接触角(撥水性)を向上させる必要がある。セルを微細化して連通化するのみでは、接触角が100°程度で所定の撥水性能は満足しない。セルを微細化して接触角の向上できるが、硬くなってしまい、セルを破泡させる工程(破泡工程)の工数が行いにくく、均一な破泡も難しい。
【0012】
これに対し、本技術に係る樹脂発泡体シートでは、上記の構成を採用したことで、優れた撥水性を有する。
以下、各成分について、詳細に説明する。
【0013】
(1)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とする樹脂である。オレフィン成分単位を主成分とする樹脂とは、オレフィン成分単位が50質量%以上含まれる樹脂である。本技術において、樹脂中のオレフィン成分単位の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、樹脂成分がポリオレフィン系樹脂のみから構成されていることが特に好ましい。
【0014】
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも称する。)及び/又はポリエチレンを含んでいることが好ましい。本技術におけるポリオレフィン系樹脂は、良好な発泡体を得るための架橋度・溶融粘度の調整、耐熱性の付与、及び破泡後のへたりを防止する観点から、EVAとポリエチレンを共に含むことが特に好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂は、EVA及びポリエチレン以外の樹脂成分を含んでいてもよい。
【0015】
[EVA]
EVAにおける酢酸ビニルの含有量は、特に限定されない。酢酸ビニルの含有量は、柔軟性向上の観点から、JIS K 6924-1に準拠して測定される値として、EVAの質量を100質量%とした場合に、下限値は、好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。また、上限値は、過剰な架橋を防止する観点から、好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
【0016】
これらの観点から、酢酸ビニルの含有量は、好ましくは5質量%~40質量%、特に好ましくは10質量%~30質量%である。
【0017】
EVAのメルトフローレート(MFR)は、特に限定されない。EVAのMFRは、成形性の観点から、JIS K6924-1に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した値として、下限値は、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、更に好ましくは0.5g/10分以上である。また、上限値は、好ましくは20g/10分以下、より好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5.0g/10分以下である。
【0018】
これらの観点から、EVAのMFRは、成形性の観点から、JIS K6924-1に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した値として、好ましくは0.1g/10分~20g/10分、より好ましくは0.3g/10分~10g/10分、特に好ましくは0.5g/10分~5.0g/10分である。
【0019】
EVAの含有量は、破泡工程における柔軟性の観点から、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、例えば0質量部超、好ましくは10質量部以上、特に好ましくは30質量部以上である。また、EVAの含有量は、過剰な架橋を防止する観点から、上限値は、例えば100質量部未満、好ましくは70質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。
【0020】
これらの観点から、EVAの含有量は、例えば0質量部を超えて100質量部未満、好ましくは10質量部~70質量部であり、特に好ましくは30質量部~50質量部である。
【0021】
[ポリエチレン]
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を挙げることができる。これらのポリエチレンは、一種を単独で用いてもよく、また、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0022】
LDPEは、通常、エチレンの繰り返し単位をランダムに分岐結合してなるポリエチレンである。MDPEは、低密度ポリエチレンよりも分岐の結合が少ないポリエチレンである。HDPEは、繰り返し単位のエチレンが分岐をほとんど持たず直鎖状に結合してなるポリエチレンである。LLDPEは、長鎖分岐を持たないエチレンとα-オレフィンとを共重合させたポリエチレンである。α-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等を挙げることができる。
【0023】
本技術では、これらポリエチレンの中でも、柔軟性、緩衝性、加工性、生産性、軽量化等の観点から、LDPEを用いることが特に好ましい。
【0024】
ポリエチレンのMFRは、成形性の観点から、JIS K7210-1に準拠し、190℃、2.16kgfで測定した値として、下限値は、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上、特に好ましくは0.5g/10分以上である。また、上限値は、好ましくは20g/10分以下、より好ましくは10g/10分以下、特に好ましくは5.0g/10分以下である。
【0025】
これらの観点から、ポリエチレンのMFRは、JIS K7210-1に準拠し、190℃、2.16kgfで測定した値として、好ましくは0.1g/10分~20g/10分、より好ましくは0.3g/10分~10g/10分、特に好ましくは0.5g/10分~5.0g/10分である。
【0026】
ポリエチレンの含有量は、柔軟性及び軽量化の観点から、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、例えば0質量部超、好ましくは30質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。また、上限値は、例えば100質量部以下、好ましくは90質量部以下、特に好ましくは70質量部以下である。
【0027】
これらの観点から、ポリエチレンの含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、例えば0質量部を超えて100質量部以下、好ましくは30質量部~90質量部、特に好ましくは50質量部~70質量部である。
【0028】
[その他のポリオレフィン系樹脂]
上記EVA及び上記ポリエチレン以外のポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、ポリプロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-(4-メチル-1-ペンテン)共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体等を挙げることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は、一種を単独で用いてもよく、また、上記EVA及び上記ポリエチレンを含む、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0029】
上記のポリオレフィン系樹脂としては、耐熱性、加工性等の観点から、ポリエチレン系樹脂を含んでいることが好ましいが、ポリプロピレン系樹脂を含んでいてもよい。ポリプロピレン系樹脂とは、1分子中にプロピレンに由来する構造単位を含む重合体であって、例えば、ポリプロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体等を挙げることができる。これらのポリプロピレン系樹脂は、一種を単独で用いてもよく、また、EVA及びポリエチレンを含む、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0030】
[石油系樹脂]
本技術では、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーンと、を含む組成物に、石油系樹脂が含まれていることが好ましい。石油系樹脂とは、石油ナフサ等の熱分解により副生する不飽和炭化水素モノマーを含む留分を重合して得られるものである。
【0031】
石油系樹脂としては、脂肪族系石油系樹脂(C5系石油系樹脂)、芳香族系石油系樹脂(C9系石油系樹脂)、脂肪族/芳香族系石油系樹脂(C5/C9系石油系樹脂)、脂環族系石油系樹脂(水添系石油系樹脂)等を挙げることができる。脂肪族系石油系樹脂(C5系石油系樹脂)は、石油ナフサ分解油のC5留分の精製成分を重合して得られる合成樹脂である。芳香族系石油系樹脂(C9系石油系樹脂)は、石油ナフサ分解油のC9留分の精製成分を重合して得られた合成樹脂である。脂肪族/芳香族系石油系樹脂(C5/C9系石油系樹脂)は、上記C5留分とC9留分をブレンドした原料を共重合して得られる合成樹脂である。
【0032】
石油系樹脂は、本技術に係る樹脂発泡体シートの破泡性の観点から、C9系水添石油系樹脂であることが特に好ましい。
【0033】
石油系樹脂は、臭気、色相、熱安定性、耐候性、及びポリオレフィン系樹脂との相溶性の観点から、水添石油系樹脂であることが好ましい。水添石油系樹脂とは、石油系樹脂中に存在する不飽和二重結合に対して、水素を付加させた樹脂である。水添系石油系樹脂としては、水添率90%以上の完全水添型の水添石油系樹脂と、水添率90%未満の部分水添型の水添石油系樹脂のいずれも用いることができる。
【0034】
石油系樹脂の含有量は、破泡性の向上の観点から、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、好ましくは2.0質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、特に好ましくは4.0質量部以上である。また、上限値は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部未満である。
【0035】
これらの観点から、石油系樹脂の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは2.0質量部~20質量部、より好ましくは3.0質量部~15質量部、特に好ましくは4.0質量部以上10質量部未満である。
【0036】
[その他の成分]
なお、本技術に係る樹脂発泡体シートには、ポリオレフィン系樹脂の他に、本技術の目的や作用効果を損なわない範囲で、他の樹脂や、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー等が含まれていてもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱硬化性エラストマーとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等の合成ゴムや天然ゴムが挙げられる。
【0037】
(2)シリコーン
本技術に係る樹脂発泡体シートは、シリコーンを含む。シリコーンとしては、例えば、ポリオルガノシロキサンなどを好適に用いることができる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、たとえば、メチル基、ビニル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンの具体例としては、ジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン等が挙げられる。
【0038】
シリコーンは、シリコーンガム、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、シリコーンレジンの形態で用いることができる。これらの中でも、ブルームが起こりにくくなるという観点から、シリコーンガムの形態で用いることが好ましい。
【0039】
なお、本技術において、シリコーンは、上述した樹脂成分にシリコーンを分散させたマスターバッチとして用いることが好ましい。マスターバッチを用いることで、樹脂成分中への分散性を向上させることができる。本技術では、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)と、ジメチルポリシロキサンからなるシリコーンガムとを任意の割合でマスターバッチとしたものを用いることができる。
【0040】
シリコーンの含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.07質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上である。また、上限値は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下、より更に好ましくは4.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以下、より特に好ましくは2.5質量部以下である。
【0041】
これらの観点から、シリコーンの含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、0.05質量部~10質量部であり、より好ましくは0.07質量部~7.0質量部であり、特に好ましくは0.1質量部~5.0質量部である。
【0042】
(3)発泡剤
発泡剤としては、特に限定されないが、熱により分解してガスを発生する熱分解型発泡剤であることが好ましい。熱分解型発泡剤としては、有機系発泡剤又は無機系発泡剤を用いることができる。
【0043】
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4、4'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルセミカルバジド等を挙げることができる。無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等を挙げることができる。発泡剤は、一種を単独で用いてもよく、また、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0044】
本技術では、上記発泡剤の中でも、ガス量が多く高発泡倍率の発泡体を得る観点から、ADCA、バリウムアゾジカルボキシレート、AIBN等のアゾ化合物、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物を用いることが好ましく、ADCAを用いることが特に好ましい。
【0045】
発泡剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、好ましくは5.0質量部以上、より好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上である。また、上限値は、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。
【0046】
発泡剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは5.0質量部~35質量部、より好ましくは10質量部~30質量部、特に好ましくは15質量部~25質量部である。
【0047】
(4)架橋剤
架橋剤は、本技術に係る樹脂発泡体シートに任意の架橋構造を付与するために用いられる。架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、2,5-ジメチル-2,5-ビス-ターシャリーブチルパーオキシヘキサン、1,3-ビス-ターシャリーブチルパーオキシ-イソプロピルベンゼン等の有機過酸化物を挙げることができる。
【0048】
本技術に係る樹脂発泡体シートは、上記架橋剤を配合した化学架橋構造の他、電子線架橋によって形成される電子線架橋構造を採ってもよい。ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋構造としては、発泡時の連続気泡化の起こり易さの観点から、化学架橋構造を採ることが特に好ましい。
【0049】
架橋剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1.0質量部以上である。また、上限値は、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。
【0050】
これらの観点から、架橋剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~3.0質量部、より好ましくは0.5質量部~2.0質量部、特に好ましくは1.0質量部~1.5質量部である。
【0051】
(5)その他の添加剤
上記組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を添加することができる。この任意の添加剤としては、特に限定されないが、発泡助剤、滑剤、内滑剤、気泡核形成剤、気泡核形成補助剤、耐候剤、酸化防止剤、収縮防止剤、結晶造核剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填剤、着色剤(顔料、染料等)、液化ガスを内包する粒子、界面活性剤、加硫剤、表面処理剤等を挙げることができる。上記任意の添加剤は、一種を単独で用いてもよく、また、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0052】
その他の添加剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、下限値は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上である。また、上限値は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部である。
【0053】
これらの観点から、その他の添加剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~10質量部、より好ましくは0.3質量部~5.0質量部、特に好ましくは0.5質量部~3.0質量部である。
【0054】
2.樹脂発泡体シートの製造方法
本技術に係る樹脂発泡体シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂及びシリコーンに発泡剤を加え、更に必要に応じて、架橋剤やその他の添加剤を任意に加えて混合し、その後、発泡成形する方法を採用することができる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、以下の二段ブロック発泡法、一段ブロック発泡法、化学架橋を用いた長尺発泡法、電子線架橋を用いた長尺発泡法のいずれであってもよい。
【0055】
本技術では、これらの中でも、発泡時の連続気泡化の起こり易さの観点から、化学架橋を用いた長尺発泡法が特に好ましい。
以下、各製造方法について、詳細に説明する。
【0056】
[化学架橋を用いた長尺発泡法]
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、石油系樹脂、架橋剤、発泡剤、シリコーン、及び必要であれば任意の添加剤を、単軸押出機、二軸押出機などで混練するとともにシート状に押出してシート等の所定形状の発泡性樹脂組成物(以下、「母板」という。)を押出す。混練及び押出しは押出機により一括して行うことができる。均一な混練を行うためには、予め各成分を混合した後に押出しを行うのが好ましい。
【0057】
(2)発泡工程
混練工程で得られた母板を、オーブン等の加熱装置中に運搬しながら、120℃~250℃(発泡剤及び架橋剤の分解開始温度以上)にて5分~20分間加熱して発泡させることにより樹脂発泡体を得る。なお、オーブン等の加熱装置と運搬装置とが一体となった装置を用いると、当該母板を連続して処理することができる。
【0058】
(3)成形工程
発泡工程で得られた樹脂発泡シートは、そのまま後述する破泡工程に供することもできるが、必要に応じてスライス等で所望の形態に成形する成形工程を行った後に、後述する破泡工程に供することも可能である。
【0059】
(4)破泡工程
発泡工程、及び必要に応じて成形工程を経て得られた樹脂発泡体シートを、異方向へ回転する2本のロールの間に通過させる圧縮処理を行い、連続気泡発泡体を得る。本工程は、異方向へ回転する2本のロールの間に樹脂発泡体を通過させる圧縮処理を行うことにより、独立気泡(セル)を破裂させてポリオレフィン系樹脂発泡体の独立気泡を連続気泡化(連通化)させる工程である。ここで、各圧縮処理時における圧縮条件(圧縮率、ロールの周速比)は、連続気泡化の程度に応じて適宜設定可能である。
【0060】
[電子線架橋を用いた長尺発泡法]
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、石油系樹脂、架橋剤、発泡剤、シリコーン、及び必要であれば任意の添加剤を、単軸押出機、二軸押出機などで混練するとともに、シート状等の所定形状の樹脂組成物(母板)を押出す。混練及び押出しは押出機により一括して行うことができる。均一な混練を行うためには、予め各成分を混合した後に押出しを行うのが好ましい。
【0061】
(2)架橋工程
混練工程で得られた母板を架橋する。架橋方法としては、電子線、γ線等の電離放射線を架橋する方法を用いることができる。架橋方法としては、電子線照射による架橋(電子線架橋)が好ましい。電子線架橋によれば、発泡体に形成されるセルの微細化を実現でき、セル径を所定の範囲に制御できるからである。電子線架橋は、電子線照射機を用いて行うことができる。なお、必要に応じて、前述した有機過酸化物等の架橋剤を配合して化学架橋を併用してもよい。
【0062】
電子線の照射線量は、1.0Mrad~10.0Mrad(10kGy~100kGy)が好ましい。照射線量が1.0Mrad未満であると、後述する発泡工程において良好に発泡しないことがある。照射線量が10.0Mradを超えると、架橋が強く、樹脂が硬くなるため、発泡時に割れが発生する懸念がある。電子線の加速電圧は、当該母板の厚み等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されない。
【0063】
(3)発泡工程
架橋工程で得られた架橋済みの母板を、オーブン等の加熱装置中に運搬しながら、120℃~250℃(発泡剤及び架橋剤の分解温度以上)にて5~20分間加熱して発泡させることにより樹脂発泡シートを得る。なお、オーブン等の加熱装置と運搬装置とが一体となった装置を用いると、当該母板を連続して処理することができる。
【0064】
(4)成形工程
発泡工程で得られた樹脂発泡シートは、そのまま後述する破泡工程に供することもできるが、必要に応じてスライス等で所望の形態に成形する成形工程を行った後に、後述する破泡工程に供することも可能である。
【0065】
(5)破泡工程
発泡工程、及び必要に応じて成形工程を経て得られた樹脂発泡体シートを、異方向へ回転する2本のロールの間に通過させる圧縮処理を行い、連続気泡発泡体を得る。本工程の詳細は、前述した化学架橋を用いた長尺発泡法における破泡工程と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0066】
[一段ブロック発泡法]
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、石油系樹脂、架橋剤、発泡剤、シリコーン、及び必要であれば任意の添加剤を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの混練装置によって発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0067】
(2)発泡工程
混練工程で得られた発泡性樹脂組成物を、金型内に充填して密封し、加圧した状態で所定時間加熱(発泡剤及び架橋剤の分解温度以上の温度で加熱)することにより、架橋剤の架橋及び発泡剤の分解を進行させ、その後、金型を開いて除圧することにより樹脂発泡体を得る。
【0068】
(3)成形工程
発泡工程で得られた樹脂発泡体を、必要に応じて、耳切り、スライス等を行い所望の形態に成形しての樹脂発泡シートを得る。
【0069】
(4)破泡工程
発泡工程、及び必要に応じて成形工程を経て得られた樹脂発泡体シートを、異方向へ回転する2本のロールの間に通過させる圧縮処理を行い、連続気泡発泡体を得る。本工程の詳細は、前述した化学架橋を用いた長尺発泡法における破泡工程と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0070】
[二段ブロック発泡法]
(1)混練工程
ポリオレフィン系樹脂、石油系樹脂、架橋剤、発泡剤、シリコーン、及び必要であれば任意の添加剤を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの混練装置によって発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0071】
(2)一次発泡工程
混練工程で得られた発泡性樹脂組成物を、一次金型の成形空間に充填し、加圧下で加熱する。これにより架橋剤の一部、又は架橋剤及び発泡剤の一部を分解させる。その後除圧し、発泡性樹脂組成物中間体を取り出す。加熱温度は、通常120~160℃、加熱時間は通常10~60分の範囲で決定される。
【0072】
(3)二次発泡工程
一次発泡工程で得られた発泡性樹脂組成物中間体を、二次金型の成形空間に配置し、常圧下で加熱して二次発泡させた後、二次金型から樹脂発泡体を取り出す。
【0073】
(4)成形工程
発泡工程で得られた樹脂発泡体を、必要に応じて、耳切り、スライス等を行い所望の形態に成形しての樹脂発泡シートを得る。
【0074】
(5)破泡工程
発泡工程、及び必要に応じて成形工程を経て得られた樹脂発泡体シートを、異方向へ回転する2本のロールの間に通過させる圧縮処理を行い、連続気泡発泡体を得る。本工程の詳細は、前述した化学架橋を用いた長尺発泡法における破泡工程と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
【0075】
3.樹脂発泡体シートの物性
以下、本技術に係る樹脂発泡体シートの物性について、詳細に説明する。
【0076】
(1)接触角
本技術に係る樹脂発泡体シートと水の接触角は、必要な止水性を得る観点から、120°以上であり、好ましくは123°以上、より好ましくは125°以上、更に好ましくは126°以上、より更に好ましくは129°以上、特に好ましくは130°以上である。
【0077】
(2)セル数
本技術に係る樹脂発泡体シートのセル数は、好ましくは20個/25mm以上であり、より好ましくは25個/25mm以上であり、特に好ましくは27個/25mm以上である。
【0078】
本技術において、セル数は、25mm当たりのセルの個数をカウントしている(n=5平均値)。上記セル数の上限値は、特に限定されないが、例えば、100個/25mm以下である。止水性の観点から、上記のセル数は、20個/25mm~100個/25mmであることが好ましい。なお、「セル」とは、発泡体中の空孔部分を意味し、「気泡」と同義である。
【0079】
(3)密度
本技術に係る樹脂発泡体シートの密度は、下限値は、好ましくは20kg/m3以上、より好ましくは25kg/m3以上、特に好ましくは30kg/m3以上である。また、上限値は、好ましくは100kg/m3以下、より好ましくは70kg/m3以下、特に好ましくは50kg/m3未満である。
【0080】
これらの観点から、密度は、好ましくは20kg/m3~100kg/m3であり、より好ましくは25kg/m3~70kg/m3であり、更に好ましくは30kg/m3以上50kg/m3未満である。密度を上記範囲とすることにより、ポリオレフィン系樹脂発泡体を軽量化できる。
【0081】
(4)圧縮応力歪み
本技術に係る樹脂発泡体シートの圧縮応力は、必要な反発力を得る観点から、50%圧縮時に好ましくは40kPa以下であり、より好ましくは30kPa以下であり、更に好ましくは20kPa以下であり、特に好ましくは10kPa以下である。50%圧縮時の圧縮応力を40kPa以下とすることで、より撥水性に優れる樹脂発泡体シートが得られる。
【0082】
また、25%圧縮時に好ましくは18kPa以下であり、より好ましくは13kPa以下であり、更に好ましくは10kPa以下であり、特に好ましくは8kPa以下である。更に、10%圧縮時に好ましくは15kPa以下であり、より好ましくは13kPa以下であり、更に好ましくは10kPa以下であり、特に好ましくは6kPa以下である。本技術に係る樹脂発泡体シートの圧縮応力の下限は特に限定されないが、いずれの圧縮時においても、通常、0.1kPa以上である。
【0083】
(5)接着性
本技術に係る樹脂発泡体シートの接着性は、必要な接着力を得る観点から、好ましくは5N以上であり、より好ましくは10N以上であり、特に好ましくは13N以上である。本技術に係る樹脂発泡体シートの接着性の上限値は特に限定されないが、例えば、30N以下である。
【0084】
(6)止水性
本技術に係る樹脂発泡体シートは、シール材(止水材)として用いることができる。シール材として用いられる場合、本技術に係る樹脂発泡体シートは、例えば、打ち抜き等によって用途に応じた厚み及び形状(例えば紐状)に成形される。本技術に係る樹脂発泡体シートは、100mmAq水圧の保持時間の値として、好ましくは30分以上であり、より好ましくは9時間以上であり、特に好ましくは24時間以上である。
【0085】
4.樹脂発泡体シートの用途
本技術に係る樹脂発泡体シートは、その品質の高さを利用して、あらゆる分野であらゆる用途に用いることができる。具体的には、例えば、シール材、衝撃吸収材、緩衝材、吸音材、断熱材、保温材等を挙げることができる。
【実施例0086】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。
なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0087】
<実験例>
本実験例では、各樹脂発泡剤シートを作製し、それらの物性について検討した。
【0088】
(1)原料
・ポリオレフィン樹脂1:エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)(酢酸ビニル含有量19質量%、密度941kg/m3、MFR2.5g/10分)
・ポリオレフィン樹脂2:低密度ポリエチレン(LDPE)(密度924kg/m3、MFR3.0g/10分)
・石油系樹脂:C9系水添石油系樹脂(部分水添型、軟化点90℃)
・発泡剤:アゾジカルボンアミド(ADCA)
・架橋剤:ジクミルパーオキサイド(DCP)
・シリコーンマスターバッチ:ジメチルポリシロキサンからなるシリコーンガムとLDPEとの50:50のマスターバッチ(信越化学工業社製、品名:X-22-2125H)
【0089】
(2)樹脂発泡体シートの製造
下記表1に記載した配合割合で原料を混合し、化学架橋を用いた長尺発泡法により樹脂発泡体を得た。破泡工程では、異方向へ回転する2本のロールの間に成形体を通過させる圧縮処理を行った。得られた樹脂発泡体を5mmにスライスして、各物性を測定評価した。
【0090】
(3)評価
製造した各発泡体について、以下の方法を用いて各評価を行った。
【0091】
[接触角]
接触角は、JIS R 3257 6.静置法に準拠して、純水を注射筒より樹脂発泡体シートに少量滴下し(約0.01g)、30秒後に角度を測定した。
【0092】
[セル数]
セル数は、JIS K6767:1999 附属書A(規定)セルの計数手順に記載されている手順に準拠して計測した。
【0093】
[密度]
密度は、JIS K6767:1999に準じて測定した。
【0094】
[発泡倍率]
発泡倍率は、測定した密度及び以下の式に基づいて算出した。
発泡倍率(倍)=1000/密度(kg/m3)
【0095】
[圧縮応力歪み]
圧縮応力歪みは、JIS K6767:1999に準拠して測定した。
【0096】
[接着性]
接着性は、以下に記載する剥離試験を行って評価した。
SUS板上に架橋ポリオレフィン発泡体シート(幅25mm×長さ150mm×厚さ5mm)を両面テープ(日東電工社製、No.516)で接着した。このとき、架橋ポリオレフィン発泡体シート及び両面テープの間の剥離開始位置にPETフィルムを挟んで接着した。架橋ポリオレフィン発泡体シートを剥離開始位置から引っ張り速度300mm/minで引きはがし、剥離強度を測定した。架橋ポリオレフィン発泡体シートが、セル面およびスキン面が接着した場合それぞれについて評価した。剥離強度は、3回の測定結果の平均値とした。
【0097】
[止水性]
以下に記載するU字止水試験を行って評価した。
5mmの厚みのシール材を
図1に示す寸法でU字型に打抜いて作成した止水性測定のサンプル(各樹脂発泡体シート)を、
図2に示すように、2枚のアクリル樹脂板20,20間に圧縮率50%で挟み、その状態でU字型のサンプル10内に100mAq水圧となるように水を注入し、100mmAq水圧を保持している時間を測定し、保持時間が24時間以上を「合格:〇」とし、24時間未満を「不合格:×」とした。
【0098】
(4)結果
結果を下記表1に示す。
【0099】
【0100】
(5)考察
上記表1に示す通り、実施例1~実施例4は、接触角が120°以上であって、止水性に優れ、その他の物性も問題がなかった。一方で、シリコーンを含まず、接触角が120°以下である比較例1は、実施例1~実施例4と比較して止水性が劣っていた。
【0101】
したがって、ポリオレフィン系樹脂と、シリコーンと、を含む組成物を発泡させた樹脂発泡体シートであって、前記樹脂発泡体シートと水との接触角が120°以上である、樹脂発泡体シートは、止水性に優れることが分かった。