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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025112850
(43)【公開日】2025-08-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20250725BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250725BHJP
   B41J 35/36 20060101ALI20250725BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20250725BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250725BHJP
【FI】
B41J29/38 204
G03G21/00 388
B41J35/36
H04L9/32 200B
H04L9/32 200F
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007359
(22)【出願日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 侑紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅一
(72)【発明者】
【氏名】大石 禎利
【テーマコード(参考)】
2C061
2C068
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK11
2C061HV14
2C061HV32
2C061HV44
2C068AA06
2H270KA01
2H270KA59
2H270KA60
2H270NB01
2H270NB06
2H270NB09
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB33
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC68
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
(57)【要約】
【課題】純正品ではない消耗品の使用を抑制する画像形成装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る画像形成装置は、読取部と、検証部と、取得部と、管理部と、を備える。読取部は、インクリボンのICタグから、固有IDと、固有IDまたは固有ID以外の情報に基づくデジタル証明書と、リボンの長さを示すリボン長情報とを読み取る。検証部は、固有IDに基づいて前記デジタル証明書を検証する。取得部は、固有IDに対応するインクリボンのインクリボン使用量の累計を累計リボン使用量として取得する。管理部は、デジタル証明書が正しくないと検証された場合または累計リボン使用量がリボン長情報以上になった場合に、印刷を禁止する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンのICタグから、固有IDと、前記固有IDまたは前記固有ID以外の情報に基づくデジタル証明書と、リボンの長さを示すリボン長情報とを読み取る読取部と、
前記固有IDに基づいて前記デジタル証明書を検証する検証部と、
前記固有IDに対応する前記インクリボンのインクリボン使用量の累計を累計リボン使用量として取得する取得部と、
前記デジタル証明書が正しくないと検証された場合または前記累計リボン使用量が前記リボン長情報以上になった場合に、印刷を禁止する管理部と、
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記累計リボン使用量を前記固有IDと紐付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記取得部は、前記記憶部から前記累計リボン使用量を取得する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
外部と通信する通信部をさらに備え、
前記取得部は、前記通信部を介して外部のサーバに前記固有IDを含む情報を送信し、前記通信部を介して前期外部のサーバから前期累計リボン使用量を受信する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前期取得部は、前期ICタグから前期累計リボン使用量を取得する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検証部は、前記固有IDを含む第1情報をハッシュ化して得られる第2情報と、前記デジタル証明書を復号化して得られる第3情報とを比較する、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
補給された消耗品が純正品であるか否かを判定する画像形成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-93693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、純正品ではない消耗品の使用を抑制する画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る画像形成装置は、読取部と、検証部と、取得部と、管理部と、を備える。読取部は、インクリボンのICタグから、固有IDと、固有IDまたは固有ID以外の情報に基づくデジタル証明書と、リボンの長さを示すリボン長情報とを読み取る。検証部は、固有IDに基づいて前記デジタル証明書を検証する。取得部は、固有IDに対応するインクリボンのインクリボン使用量の累計を累計リボン使用量として取得する。管理部は、デジタル証明書が正しくないと検証された場合または累計リボン使用量がリボン長情報以上になった場合に、印刷を禁止する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る印刷システムの構成例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る記録装置の構成例を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る画像形成装置の構成例を示すブロック図
図5】第1実施形態に係る記録装置の記録処理の一例を示すフローチャート。
図6】第1実施形態に係る画像形成装置の動作の一例を示すフローチャート。
図7】第1実施形態に係る画像形成装置の印刷処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。説明に際し、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。また、以下に示す実施形態は、技術的思想を例示するものである。実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0008】
<第1実施形態>
<構成>
図1は、第1実施形態に係る印刷システムの構成例を示すブロック図である。印刷システム1は、印刷に際して使用されるインクリボンが純正品であるかを確認し、純正品でない場合に印刷を禁止するシステムである。印刷システム1は、サーバ2、記録装置3、インクリボン4、及び画像形成装置5を含む。
【0009】
インクリボン4は、画像形成装置5が印刷を行う際に用いられる消耗品である。インクリボン4は、印刷に用いられるリボンと、ICタグ41とを含む。ICタグ41は、例えば、RFIDタグなどの、近距離無線通信を行うことができ、かつデータを不揮発に記憶することができる素子である。また、ICタグ41は、それぞれの個体ごとに固有の情報である固有IDを記憶している。固有IDは書き換えることができないように記憶されている。
【0010】
サーバ2は、記録装置3及び画像形成装置5それぞれと接続される。サーバ2は、記録装置3及び画像形成装置5それぞれに情報を送信する。具体的には、例えば、サーバ2は記録装置3に、暗号化に用いる秘密鍵を送信する。例えば、サーバ2は画像形成装置5に、記録装置3に送信された秘密鍵と対となる、復号化に用いる公開鍵を送信する。
【0011】
記録装置3は、ICタグ41にデータを記憶させる。記録装置3は、インクリボン4の製造工程において用いられる。記録装置3がデータを記憶させたICタグ41が組み込まれて、インクリボン4が構成される。記録装置3がICタグ41に記憶させるデータは、少なくとも、純正品であることを証明するデジタル証明書と、インクリボン4に含まれるリボンの長さを示すリボン長情報とを含む。デジタル証明書の詳細は後述する。
【0012】
画像形成装置5は、インクリボン4を収容し、収容したインクリボン4に基づいて印刷を行う。画像形成装置5は、収容したインクリボン4に含まれるICタグ41と通信を行い、デジタル証明書を検証する。検証の詳細は後述する。画像形成装置5は、デジタル証明書が正しい場合に印刷を行い、デジタル証明書が正しくない場合は印刷を行わない。
【0013】
図2は、第1実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。サーバ2は、プロセッサ21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、通信部25、及びシステムバス26を含む。システムバス26は、アドレスバス、データバス、及び制御信号線等を含む。システムバス26は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、ストレージ24、及び通信部25それぞれを相互に接続する。プロセッサ21、ROM22、RAM23、及びストレージ24がシステムバス26で接続されることにより、サーバ2のコンピュータが形成される。
【0014】
プロセッサ21は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ21は、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラムに従って、サーバ2としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0015】
ROM22は、不揮発性の記憶装置である。ROM22は、予め設定されるオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム、及び制御データ等を記憶する。
【0016】
RAM23は、揮発性の記憶装置である。RAM23は、プロセッサ21によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用される。また、RAM23は、一時的にデータを記憶するバッファメモリとしても使用される。
【0017】
ストレージ24は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。ストレージ24は、プロセッサ21が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ21での処理によって作成されたデータ等を保存する。ストレージ24は、上記のアプリケーションプログラムを保存する場合もある。ストレージ24は、例えば、EEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0018】
通信部25は、サーバ2の外部と通信を行う。
【0019】
図3は、第1実施形態に係る記録装置の構成例を示すブロック図である。記録装置3は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、ストレージ34、通信部35、リーダライタ36、ユーザインタフェース37、及びシステムバス38を含む。システムバス38は、アドレスバス、データバス、及び制御信号線等を含む。システムバス38は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、ストレージ34、通信部35、リーダライタ36、及びユーザインタフェース37それぞれを相互に接続する。プロセッサ31、ROM32、RAM33、及びストレージ34がシステムバス38で接続されることにより、記録装置3のコンピュータが形成される。
【0020】
プロセッサ31は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラムに従って、記録装置3としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ31は、例えばCPUである。
【0021】
ROM32は、不揮発性の記憶装置である。ROM32は、予め設定されるオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム、及び制御データ等を記憶する。
【0022】
RAM33は、揮発性の記憶装置である。RAM33は、プロセッサ31によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用される。また、RAM33は、一時的にデータを記憶するバッファメモリとしても使用される。
【0023】
ストレージ34は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。ストレージ34は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ31での処理によって作成されたデータ等を保存する。ストレージ34は、上記のアプリケーションプログラムを保存する場合もある。ストレージ34は、例えば、EEPROM(登録商標)、HDD、SSD等である。
【0024】
通信部35は、記録装置3の外部と通信を行う。
【0025】
リーダライタ36は、記録装置3の外部のICタグ41と通信を行う。リーダライタ36は、ICタグ41からデータを読み出すことと、ICタグ41にデータを書き込むこと(データの削除を含む)とができる。
【0026】
ユーザインタフェース37は、例えばタッチパネルである。ユーザインタフェース37は、記録装置3を操作するユーザに各種情報を報知するとともに、ユーザからの入力を受け付ける。
【0027】
図4は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成例を示すブロック図である。画像形成装置5は、プロセッサ51、ROM52、RAM53、ストレージ54、通信部55、収容部56、リーダライタ57、印刷部58、ユーザインタフェース59、及びシステムバス501を含む。システムバス501は、アドレスバス、データバス、及び制御信号線等を含む。システムバス501は、プロセッサ51、ROM52、RAM53、ストレージ54、通信部55、収容部56、リーダライタ57、印刷部58、及びユーザインタフェース59それぞれを相互に接続する。プロセッサ51、ROM52、RAM53、ストレージ54がシステムバス501で接続されることにより、画像形成装置5のコンピュータが形成される。
【0028】
プロセッサ51は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ51は、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラムに従って、画像形成装置5としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPUである。
【0029】
ROM52は、不揮発性の記憶装置である。ROM52は、予め設定されるオペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラム、及び制御データ等を記憶する。
【0030】
RAM53は、揮発性の記憶装置である。RAM53は、プロセッサ51によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用される。また、RAM53は、一時的にデータを記憶するバッファメモリとしても使用される。
【0031】
ストレージ54は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。ストレージ54は、プロセッサ51が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ51での処理によって作成されたデータ等を保存する。ストレージ54は、上記のアプリケーションプログラムを保存する場合もある。ストレージ54は、例えば、EEPROM(登録商標)、HDD、SSD等である。ストレージ54には、固有IDと紐付けられた累計リボン使用量が記憶される。累計リボン使用量は、インクリボン4のリボンがどれだけ使われたかを示す情報である。累計リボン使用量は、固有IDと紐付けて記憶される。
【0032】
ROM52またはストレージ54に記憶されるアプリケーションプログラムには、画像形成装置5で実行される情報処理に関して記述した処理プログラムが含まれる。処理プログラムをROM52またはストレージ54にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に処理プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により処理プログラムを配信して、ROM52またはストレージ54にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM、メモリーカード等のようにプログラムを記録でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0033】
通信部55は、画像形成装置5の外部と通信を行う。
【0034】
収容部56は、インクリボン4を収容する。
【0035】
リーダライタ57は、収容部56に収容されたインクリボン4に含まれるICタグ41と通信を行う。リーダライタ57は、ICタグ41からデータを読み出すことと、ICタグ41にデータを書き込むこと(データの削除を含む)とができる。
【0036】
印刷部58は、収容部56に収容されたインクリボン4を用いて印刷を行う。
【0037】
ユーザインタフェース59は、例えばタッチパネルである。ユーザインタフェース59は、画像形成装置5を操作するユーザに各種情報を報知するとともに、ユーザからの入力を受け付ける。
【0038】
<動作>
印刷システム1の各部の動作について説明する。印刷システム1では、秘密鍵と公開鍵とを用いた、暗号化及び復号化が行われる。秘密鍵と公開鍵との組は、サーバ2において生成される。秘密鍵は、サーバ2から記録装置3へ送信され、記録装置3のストレージ34に記憶される。公開鍵は、サーバ2から画像形成装置5へ送信され、画像形成装置5のストレージ54に記憶される。以下では、このように秘密鍵が記録装置3のストレージ34に記憶され、公開鍵が画像形成装置5のストレージ54に記憶されていることを前提に説明する。
【0039】
インクリボン4の製造工程における記録装置3の動作について説明する。図5は、第1実施形態に係る記録装置の記録処理の一例を示すフローチャートである。記録処理は、インクリボン4に組み込まれるICタグ41に、デジタル証明書を記録する処理である。
【0040】
記録処理が開始されると(開始)、記録装置3のプロセッサ31は、ICタグ41から固有IDを読み出す(ACT1)。詳細には、プロセッサ31は、リーダライタ36を制御して、ICタグ41から固有IDを読み出す。
【0041】
プロセッサ31は、固有IDをハッシュ化する(ACT2)。詳細には、プロセッサ31は、固有IDをあるハッシュ関数を用いてハッシュ化する。
【0042】
プロセッサ31は、ハッシュ化の結果を秘密鍵で暗号化しデジタル証明書を作成する(ACT3)。詳細には、プロセッサ31はストレージ34に記憶された秘密鍵を用いて、ACT2で実行されたハッシュ化の結果を暗号化して、デジタル証明書を作成する。
【0043】
プロセッサ31は、デジタル証明書とリボン長情報とをICタグ41に書き込む(ACT4)。詳細には、プロセッサ31は、リーダライタ36を制御して、ACT3において作成したデジタル証明書と、ICタグ41が組み込まれるインクリボン4に対応するリボン長情報とをICタグ41に書き込む。そして、図5に示す一連の処理は終了する(終了)。
【0044】
このようにして、固有IDに基づくデジタル証明書が、ICタグ41に書き込まれる。その後、デジタル証明書が書き込まれたICタグ41は、インクリボン4に組み込まれる。
【0045】
続いて、インクリボン4を収容した画像形成装置5の動作について説明する。図6は、第1実施形態に係る画像形成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0046】
電源が投入され、画像形成装置5が動作を開始すると(開始)、画像形成装置のプロセッサ51は、ICタグ41から固有ID、デジタル証明書、及びリボン長情報を読み取る(ACT11)。詳細には、プロセッサ51は、リーダライタ57を制御して、収容部56に収容されたインクリボン4のICタグ41から、固有IDとデジタル証明書とリボン長情報とを読み出す。
【0047】
プロセッサ51は、公開鍵と固有IDとに基づいてデジタル証明書を検証する(ACT12)。詳細には、プロセッサ51は、ストレージ54に記憶された公開鍵を用いて、ACT11で読み出したデジタル証明書を復号化する。さらに、プロセッサ51は、ACT11で読み出した固有IDを、図5を参照して説明したACT2と同じハッシュ関数を用いてハッシュ化する。そして、プロセッサ51は、デジタル証明書を復号化した結果と、固有IDをハッシュ化した結果とが一致するか確認する。
【0048】
プロセッサ51は、固有IDに対応する累計リボン使用量を取得する(ACT13)。詳細には、プロセッサ51は、ストレージ54に記憶された複数の累計リボン使用量の中から、ACT11で読み取った固有IDに対応する累計リボン使用量を読み出す。なお、プロセッサ51は、例えば、固有IDに対応する累計リボン使用量がストレージ54に記憶されていなかった場合、未使用のインクリボン4が収容されていると見なして、当該固有IDに対応する累計リボン使用量を“0”に設定する。
【0049】
プロセッサ51は、デジタル証明書が正しいか判定する(ACT14)。詳細には、プロセッサ51は、デジタル証明書を復号化した結果と、固有IDをハッシュ化した結果とが一致した場合、デジタル証明書が正しいと判定し(ACT14,Yes)、累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さいか判定する(ACT15)。累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さい場合(ACT15,Yes)、プロセッサ51は、印刷を許可する(ACT16)。印刷を許可すると、プロセッサ51は、印刷処理を実行する(ACT17)。印刷処理の詳細は後述する。
【0050】
一方、プロセッサ51は、デジタル証明書を復号化した結果と、固有IDをハッシュ化した結果とが一致しない場合、デジタル証明書が正しくないと判定し(ACT14,No)、印刷を禁止する(ACT18)。また、プロセッサ51は、累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さくない場合(ACT15,No)にも、印刷を禁止する(ACT18)。詳細には、プロセッサ51は、印刷部58の動作を禁止する。印刷を禁止すると、プロセッサ51は、印刷禁止を報知する(ACT19)。詳細には、プロセッサ51は、ユーザインタフェース59を制御して、ユーザに印刷が禁止されたことを報知する。
【0051】
ACT17またはACT19の処理が完了すると、図6に示す一連の処理は終了する(終了)。
【0052】
画像形成装置5の印刷処理の詳細について説明する。図7は、第1実施形態に係る画像形成装置の印刷処理の一例を示すフローチャートである。印刷処理が開始されると(開始)、画像形成装置5のプロセッサ51は、印刷命令を受信したか判定する(ACT21)。詳細には、プロセッサ51は、例えば通信部55やユーザインタフェース59を介して、印刷命令を受信したか判定する。印刷命令を受信した場合(ACT21,Yes)、プロセッサ51は、印刷を実行する(ACT22)。詳細には、プロセッサ51は、印刷部58を制御して印刷を実行する。
【0053】
印刷の実行が完了すると、プロセッサ51は、累計リボン使用量を更新する(ACT23)。詳細には、プロセッサ51は、ストレージ54に記憶している累計リボン使用量を、ACT22で実行した印刷の内容に基づいて増加させ、上書きする。
【0054】
累計リボン使用量の更新が完了すると、プロセッサ51は、累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さいか判定する(ACT24)。累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さい場合(ACT24,Yes)、及び、ACT21において印刷命令を受信しなかった場合(ACT21,No)、プロセッサ51は、シャットダウン命令を受信したか判定する(ACT25)。シャットダウン命令を受信しなかった場合(ACT25,No)、プロセッサ51は、ACT21を実行する。
【0055】
ACT24において、累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さくなかった場合(ACT24,No)、プロセッサ51は、印刷を禁止する(ACT26)。詳細には、プロセッサ51は、印刷部58の動作を禁止する。印刷を禁止すると、プロセッサ51は、印刷禁止を報知する(ACT27)。詳細には、プロセッサ51は、ユーザインタフェース59を制御して、ユーザに印刷が禁止されたことを報知する。
【0056】
ACT25において、シャットダウン命令を受信した場合(ACT25,Yes)、及び、ACT27の処理が完了した場合、図7に示す一連の処理は終了する(終了)。
【0057】
<効果>
このように第1実施形態によれば、印刷システム1において純正品のインクリボン4には、記録装置3によって、固有IDと、固有IDに基づくデジタル証明書とが記憶される。そして、印刷システム1においてインクリボン4は、画像形成装置5によって、デジタル証明書が固有IDに基づいているか検証される。これにより、画像形成装置5は、収容部56に収容したインクリボン4が、純正品であるか否かを判定することができる。
【0058】
詳細には、純正品のインクリボン4に記憶されるデジタル証明書は、ICタグ41それぞれに固有である固有IDに基づいて作成された情報を、秘密鍵で暗号化した情報である。このため、秘密鍵を持たない非純正品の製造者は、正しいデジタル証明書を作成することができない。また、純正品のインクリボン4のICタグ41からデジタル証明書をコピーし、非純正品のインクリボン4のICタグ41にコピーした場合にも、ICタグ41の固有IDが異なるため正しいデジタル証明書とはならない。よって、実施形態に係る画像形成装置5は、純正品であることを示す情報として一定の情報を暗号化して用いる場合に比べて、高いセキュリティを実現することができる。
【0059】
また、第1実施形態によれば、画像形成装置5はインクリボン4の累計リボン使用量を、固有IDと紐付けてストレージ54に記憶している。そして、画像形成装置5は、累計リボン使用量がリボン長情報よりも小さくない場合、すなわち累計リボン使用量がリボン長情報以上の場合に、印刷を禁止する。これにより、第1実施形態に係る画像形成装置5は、ひとつの固有IDに対応するインクリボン4に対して、リボン長情報以上の長さのリボンが消費されることを抑制することができる。例えば、使用済みの純正品のインクリボン4からICタグ41をはぎ取って、非純正品のインクリボンに転用することが考えられる。しかし、第1実施形態に係る画像形成装置5では、固有IDと紐付けて累計リボン使用量を、ストレージ54に記憶している。このため、第1実施形態に係る画像形成装置5は、非純正品のインクリボンが使用済みの純正品から転用されたICタグ41を含む場合であっても、純正品本来のリボン長までは印刷を許可し、それ以降は印刷を禁止することで、非純正品の使用を抑制することができる。
【0060】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る印刷システム1について説明する。第2実施形態に係る印刷システム1は、第1実施形態に係る印刷システム1に対して、累計リボン使用量がサーバ2のストレージ24に記憶され、画像形成装置5のストレージ54に記憶されない点が異なる。以下に、第2実施形態に係る印刷システム1について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0061】
<構成>
第2実施形態に係る印刷システム1では、サーバ2のストレージ24には、累計リボン使用量が固有IDと紐付けられて記憶される。また、画像形成装置5のストレージ54には、累計リボン使用量は記憶されない。第2実施形態に係る印刷システム1のその他の構成は、第1実施形態に係る印刷システム1と同様である。
【0062】
<動作>
第2実施形態に係る印刷システム1の動作について説明する。第2実施形態に係る印刷システム1において、記録装置3の動作は、第1実施形態と同様である。第2実施形態に係る印刷システム1では、サーバ2と画像形成装置5とが累計リボン使用量をやりとりする点が、第1実施形態と異なる。
【0063】
第2実施形態に係る画像形成装置5の動作は、図6及び図7を参照して説明した第1実施形態に係る画像形成装置5の動作と多くが共通しているが、ACT13及びACT23の動作の詳細が異なる。
【0064】
ACT13において、画像形成装置5のプロセッサ51は、固有IDに対応する累計リボン使用量を取得する(ACT13)。詳細には、プロセッサ51は、通信部55を制御して、サーバ2へ固有IDを送信して累計リボン使用量を要求する。サーバ2のプロセッサ21は、画像形成装置5から固有IDを受信し、ストレージ24から当該固有IDと紐付けられた累計リボン使用量を読み出して、画像形成装置5へ送信する。画像形成装置5は、サーバ2から累計リボン使用量を受信する。画像形成装置5のプロセッサ51は、受信した累計リボン使用量を、例えばRAM53に保持する。なお、サーバ2のプロセッサ21は、例えば、固有IDに対応する累計リボン使用量がストレージ24に記憶されていなかった場合、未使用のインクリボン4に関する問い合わせがなされたと見なして、当該固有IDに対応する累計リボン使用量を“0”に設定する。
【0065】
ACT23において、画像形成装置5のプロセッサ51は、累計リボン使用量を更新する(ACT23)。詳細には、プロセッサ51は、RAM53に保持している累計リボン使用量を、ACT22で実行した印刷の内容に基づいて増加させ、上書きする。そして、プロセッサ51は、通信部55を制御して、上書きした累計リボン使用量と固有IDとを、サーバ2へ送信する。サーバ2のプロセッサ21は、累計リボン使用量と固有IDとを受信し、ストレージ24に記憶された当該固有IDに紐付けられた累計リボン使用量を、受信した累計リボン使用量に更新する。
【0066】
その他の動作は、図6及び図7を参照して説明した第1実施形態に係る画像形成装置5の動作と同様である。
【0067】
<効果>
このように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、非純正品の使用を抑制することができる。また、第2実施形態によれば、累計リボン使用量は固有IDに紐付けられて、サーバ2のストレージ24に記憶される。これにより、印刷システム1に複数の画像形成装置5が含まれる場合に、ある画像形成装置5で用いられたインクリボン4のICタグ41について、他の画像形成装置5で読み取られた場合においても累計リボン使用量を考慮することができ、非純正品の使用を抑制することができる。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る印刷システム1について説明する。第3実施形態に係る印刷システム1は、第1実施形態に係る印刷システム1に対して、累計リボン使用量がインクリボン4のICタグ41に記憶され、画像形成装置5のストレージ54に記憶されない点が異なる。以下に、第3実施形態に係る印刷システム1について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0069】
<構成>
第3実施形態に係る印刷システム1では、画像形成装置5に収容されたインクリボン4のICタグ41には、累計リボン使用量が記憶される。また、画像形成装置5のストレージ54には、累計リボン使用量は記憶されない。第3実施形態に係る印刷システム1のその他の構成は、第1実施形態に係る印刷システム1と同様である。
【0070】
<動作>
第3実施形態に係る印刷システム1の動作について説明する。第3実施形態に係る印刷システム1において、記録装置3の動作は、第1実施形態と同様である。第3実施形態に係る印刷システム1では、画像形成装置5がインクリボン4のICタグ41と累計リボン使用量をやりとりする点が、第1実施形態と異なる。
【0071】
第3実施形態に係る画像形成装置5の動作は、図6及び図7を参照して説明した第1実施形態に係る画像形成装置5の動作と多くが共通しているが、ACT13及びACT23の動作の詳細が異なる。
【0072】
ACT13において、画像形成装置5のプロセッサ51は、固有IDに対応する累計リボン使用量を取得する(ACT13)。詳細には、プロセッサ51は、リーダライタ57を制御して、ICタグ41から累計リボン使用量を読み出す。プロセッサ51は、読み出した累計リボン使用量を、例えばRAM53に保持する。なお、プロセッサ51は、例えば、ICタグ41に累計リボン使用量が記憶されていなかった場合、未使用のインクリボン4を検出したと見なして、累計リボン使用量を“0”に設定する。
【0073】
ACT23において、プロセッサ51は、累計リボン使用量を更新する(ACT23)。詳細には、プロセッサ51は、RAM53に保持している累計リボン使用量を、ACT22で実行した印刷の内容に基づいて増加させ、上書きする。そして、プロセッサ51は、リーダライタ57を制御して、上書きした累計リボン使用量をICタグ41に記憶させる。なお、プロセッサ51は、累計リボン使用量をICタグ41に記憶させる際に、累計リボン使用量を暗号化してもよい。
【0074】
その他の動作は、図6及び図7を参照して説明した第1実施形態に係る画像形成装置5の動作と同様である。
【0075】
<効果>
このように第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、非純正品の使用を抑制することができる。また、第3実施形態によれば、累計リボン使用量がインクリボン4のICタグ41に記憶される。これにより、印刷システム1に複数の画像形成装置が含まれる場合に、ある画像形成装置5において用いられたインクリボン4のICタグ41について、他の画像形成装置5において読み取られた場合も累計リボン使用量を考慮することができ、非純正品の使用を抑制することができる。
【0076】
<その他変形例等>
上記実施形態では、画像形成装置5のプロセッサ51が累計リボン使用量を管理する場合を例に説明したが、例えばリボン残量を管理してもよい。具体的には、例えば、画像形成装置5のプロセッサ51は、未使用のインクリボンを検出した際に、リボン長情報をリボン残量の初期値として設定し、印刷が実行されるたびにリボン残量を減算し、リボン残量が0以下となった場合に印刷を禁止するように管理してもよい。
【0077】
上記実施形態では、画像形成装置5がICタグ41を含むインクリボン4に基づいて印刷を行う場合を例に説明した。画像形成装置5は、ICタグ41を含む消耗品に基づいて印刷を行えばよく、例えばICタグ41を含むインクカートリッジや、ICタグ41を含むトナーカートリッジに基づいて印刷を行ってもよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1…印刷システム、2…サーバ、3…記録装置、4…インクリボン、5…画像形成装置、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…ストレージ、25…通信部、26…システムバス、31…プロセッサ、32…ROM、33…RAM、34…ストレージ、35…通信部、36…リーダライタ、37…ユーザインタフェース、38…システムバス、41…ICタグ、51…プロセッサ、52…ROM、53…RAM、54…ストレージ、55…通信部、56…収容部、57…リーダライタ、58…印刷部、59…ユーザインタフェース、501…システムバス。
図1
図2
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図4
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図6
図7