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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025112895
(43)【公開日】2025-08-01
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/115 20060101AFI20250725BHJP
【FI】
B60Q1/115
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007421
(22)【出願日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 呈
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA25
3K339CA01
3K339LA02
3K339MA01
3K339MA07
3K339MB05
3K339MC24
3K339MC44
3K339MC48
3K339MC49
3K339MC52
3K339MC65
3K339MC68
3K339MC69
(57)【要約】
【課題】車両の停車中に荷物を載せて車両が傾いた場合に、積載による車両姿勢角の傾きを検出して光軸を調整できる、車両用制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両用制御装置は、車両が自走によらずに位置変化したか否かを判断する判断部と、車両が停止した際に車両のヘッドランプの光軸補正に必要な補正情報を記憶する記憶部と、車両が停車中に車両が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行い、車両が停車中に車両が自走によらずに位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行わない、補正部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が自走によらずに位置変化したか否かを判断する判断部と、
前記車両が停止した際に前記車両のヘッドランプの光軸補正に必要な補正情報を記憶する記憶部と、
前記車両が停車中に前記車両が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、前記補正情報と、に基づいて、前記ヘッドランプの光軸補正を行い、前記車両が停車中に前記車両が自走によらずに位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、前記補正情報と、に基づいて、前記ヘッドランプの光軸補正を行わない、補正部と、
を備える車両用制御装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記車両の電源がオフされた際の前記補正情報を記憶し、
前記補正部は、前記電源がオンされた状態において、前記電源がオフされた際から前記車両が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、前記補正情報と、に基づいて、前記ヘッドランプの光軸補正を行い、前記電源がオンされた状態において、前記電源がオフされた際から前記車両が自走によらず位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、前記補正情報と、に基づいて、前記ヘッドランプの光軸補正を行わない、請求項1に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、R48法規対応として、ヘッドランプのレベリングシステムが設定されている。レベリングシステムは、車両のトランク等に重量物を積載した場合、車両が傾き、ヘッドランプが上向きとなり、対向車を幻惑してしまうことを防ぐため、ヘッドランプを下向きに調整できることが求められる。レベリングシステムは、2種類あり、ユーザがスイッチ操作で光軸制御するマニュアルレベリングと、自動で光軸調整を行うオートレベリングが存在する。
【0003】
特許文献1では、電源スイッチがオフされた場合に、路面角と車両姿勢角を記憶部に書き込み、電源スイッチがオンされた場合に、現在のGセンサの値と、記憶部に記憶される路面角および車両姿勢角と、を基に、ヘッドランプの光軸制御を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6049407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、車両が積車にてイグニッションオフ中に移動し、積車移動前と積車移動後の路面勾配に差があった場合、路面角の変化を車両姿勢角と誤認識して、車両に対する積載変化が無くても、光軸制御を行ってしまう。例えば、車両工場にて車両を製造した後、ディーラ等の顧客のもとに車両を届ける際には積車が多く用いられており、その際に光軸制御により光軸のずれが発生してしまう。
【0006】
このため、車両を走行させて光軸制御を行う走行補正制御を用いる場合、走行データが蓄積されるまで車両を走行させて光軸のずれを補正させることが考えられるが、一定距離の走行が必要である。しかし、光軸のずれの補正のために顧客の新車等の走行距離を延ばすことは望ましくない上、作業時間を要する。また、ディーラでの作業により光軸のずれを補正することも考えられるが、作業者が1台ずつ光軸のずれを補正する作業(リセット作業)を行う必要があり、作業時間を要する。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の停車中に荷物を載せて車両が傾いた場合に、積載による車両姿勢角の傾きを検出して光軸を調整できる、車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用制御装置は、車両が自走によらずに位置変化したか否かを判断する判断部と、車両が停止した際に車両のヘッドランプの光軸補正に必要な補正情報を記憶する記憶部と、車両が停車中に車両が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行い、車両が停車中に車両が自走によらずに位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行わない、補正部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、車両の停車中に荷物を載せて車両が傾いた場合に、積載による車両姿勢角の傾きを検出して光軸を調整できる。
【0010】
また、本発明に係る車両用制御装置は、記憶部は、車両の電源がオフされた際の補正情報を記憶し、補正部は、電源がオンされた状態において、電源がオフされた際から車両が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行い、電源がオンされた状態において、電源がオフされた際から車両が自走によらず位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行わない。
【0011】
この構成によれば、車両の停車中に荷物を載せて車両が傾いた場合に、イグニッションスイッチがオン後に積載による車両姿勢角度の傾きを検出してヘッドランプの光軸を調整できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる車両用制御装置は、車両の停車中に荷物を載せて車両が傾いた場合に、積載による車両姿勢角の傾きを検出して光軸を調整できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態にかかる車両の機能構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態にかかる制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態にかかる制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる車両用制御装置の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる車両の機能構成の一例を示す図である。本実施形態にかかる車両300は、制御ECU(Electronic Control Unit)100、ヘッドランプユニット210、イグニッションスイッチ326、バッテリ328、ライトスイッチ304、車速センサ312、GPS(Global Positioning System)センサ313等を有する。
【0016】
制御ECU100(車両用制御装置の一例)は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPU(Central Processing Unit)やメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。
【0017】
車両用灯具(ヘッドランプ等)の制御装置としての制御ECU100は、入力インターフェース102、CPU104、出力インターフェース106、記憶部108、スイッチ回路110、制御用電源回路112、およびIG監視部114を備える。制御ECU100は、例えば、車両300のダッシュボード付近に設置される。なお、制御ECU100の設置位置は特に限定されず、例えば、ヘッドランプユニット210内に設けられても良い。
【0018】
入力インターフェース102には、ライトスイッチ304や車速センサ312等が接続されている。ライトスイッチ304、車速センサ312、GPSセンサ313等から出力される信号は、入力インターフェース102を介して制御ECU100に入力される。入力された信号は、入力インターフェース102からCPU104に送信される。GPSセンサ313は、GPS衛星からのGPS信号に基づいて、車両300のGPS位置情報(例えば、車両300の緯度および経度のそれぞれの座標)を取得する。
【0019】
CPU104は、傾斜センサ(Gセンサまたは加速度センサともいう)116、受信部118、制御部120、送信部122、およびRAM124を備える。本実施形態では、傾斜センサ116は、CPU104内に設けられているが、CPU104の外、さらには制御ECU100の外に設けられても良い。
【0020】
受信部118は、入力インターフェース102を介して制御ECU100に入力された各種信号を受信する。また、受信部118は、IG監視部114、および傾斜センサ116から出力される信号を受信する。受信部118が受信した信号は、制御部120に送信される。制御部120は、傾斜センサ116の出力値を用いて車両用灯具の光軸を制御する。制御部120は、判断部1201、および補正部1202を有する。制御部120は、傾斜センサ116の出力値と必要に応じて記憶部108またはRAM124に保持している情報とを用いて車両300のピッチ角度情報を生成する。そして、制御部120は、得られたピッチ角度情報を用いて、ヘッドランプユニット10(ヘッドランプの一例)の光軸Oの調節を指示する光軸調節信号を生成する。また、制御部120は、ヘッドランプユニット10の点消灯を指示する制御信号や、スイッチ回路110の切り替えを指示する制御信号等を生成する。制御部120が備える各部の動作については後に詳細に説明する。
【0021】
RAM124は、制御部120が実施する制御に用いられる情報を一時的に記憶する揮発性メモリである。RAM124には、制御部120から送られてきた情報や、記憶部108から呼び出された情報が一時的に記憶される。制御部120は、RAM124を用いて、後述する路面角度基準値および車両姿勢角度基準値を揮発的に保持する。記憶部108は、路面角度基準値および車両姿勢角度基準値を含む各種情報を、不揮発的に記憶する不揮発性メモリである。
【0022】
送信部122は、制御部120から各種信号を受信すると、この信号を出力インターフェース106に送信する。また、送信部122は、スイッチ回路110の切り替えを指示する制御信号をスイッチ回路110に送信する。出力インターフェース106には、ヘッドランプユニット210の電源回路230およびレベリングアクチュエータ226が接続されている。
【0023】
制御部120により生成された光軸調節信号や点消灯指示信号は、出力インターフェース106を介してヘッドランプユニット210の電源回路230やレベリングアクチュエータ226に出力される。レベリングアクチュエータ226は、受信した光軸調節信号を受けて駆動し、これによりヘッドランプユニット210の光軸Oがピッチ角度方向について調整される。また、電源回路230は、受信した点消灯指示信号に基づいてヘッドランプ14の点消灯を行う。
【0024】
車両300には、バッテリ328と、イグニッションスイッチ326と、が搭載されている。イグニッションスイッチ326のオン、オフにより、バッテリ328から制御ECU100への電力の供給、非供給が切り替えられる。すなわち、イグニッションスイッチ326は、制御ECU100の電源のスイッチとして機能する。スイッチ回路110は、バッテリ328と制御用電源回路112とを接続している。スイッチ回路110は、スイッチ1102と、OR回路1104とを有する。スイッチ1102は、OR回路1104からHighレベルに設定されたスイッチ切り替え指示信号(以下では適宜、この信号をHighレベル信号と称する)を受信するとオンになり、Lowレベルに設定されたスイッチ切り替え指示信号(以下では適宜、この信号をLowレベル信号と称する)を受信するとオフになる。OR回路1104には、IG監視部114またはCPU104から信号が入力される。
【0025】
IG監視部114は、イグニッションスイッチ326のオン、オフの状態を監視し、イグニッションスイッチ326がオンの場合はHighレベル信号を受信部118およびOR回路1104に送信する。また、IG監視部114は、イグニッションスイッチ326がオフの場合はLowレベル信号を受信部118およびOR回路1104に送信する。IG監視部114は、例えば、イグニッションスイッチ326からオン状態あるいはオフ状態を示す信号を受信することで、イグニッションスイッチ326のオン、オフを監視することができる。あるいは、IG監視部114は、イグニッション電圧を監視することで、イグニッションスイッチ326のオン、オフを監視することもできる。この場合、IG監視部114は、例えば、イグニッション電圧が予め定められたしきい値を下回ったとき、あるいは0Vとなったとき、イグニッションスイッチ326がオフになったと判定する。
【0026】
イグニッションスイッチ326がオンの状態で、IG監視部114からOR回路1104を介してスイッチ1102にHighレベル信号が送信されると、スイッチ1102がオンになりバッテリ328と制御用電源回路112とが接続される。これにより、バッテリ328から制御用電源回路112に電力が供給される。若しくは、制御部120からOR回路1104を介してスイッチ1102にHighレベル信号が送信されると、同様にスイッチ1102がオンになり、バッテリ328から制御用電源回路112に電力が供給される。制御用電源回路112は、バッテリ328から供給された電力をCPU104に供給する。IG監視部114および制御部120からスイッチ1102にLowレベル信号が送信されると、スイッチ1102がオフになりバッテリ328と制御用電源回路112との接続が解除される。これにより、バッテリ328からCPU104への電力の供給が停止する。
【0027】
制御ECU100は、運転者によるライトスイッチ304の操作内容に応じて、ヘッドランプユニット210によって形成すべき配光パターンを決定する。また、制御ECU100は、ライトスイッチ304の操作によらず、各種センサで検出された車両の状態に最適な配光パターンを形成するように自動制御してもよい。この配光パターンの自動形成制御は、例えば、ライトスイッチ304によって配光パターンの自動形成制御が指示された場合に実行される。
【0028】
ここで、制御部120が備える各部の動作について説明する。本実施形態では、制御部120は、判断部1201、および補正部1202を有する。
【0029】
判断部1201は、車両300が自走によらずに位置変化したか否かを判断する判断部の一例である。本実施形態では、判断部1201は、イグニッションスイッチ326(電源の一例)がオン時に、車両300が自走によらずに位置変化したか否かを判断する。具体的には、判断部1201は、車両300が停車時のGPS位置情報と、車両300の現在のGPS位置情報と、を記憶して比較し、その差分が所定範囲以内の場合には、車両300が自走によらずに位置変化していないと判断し、当該差分が所定範囲外の場合には、車両300が自走によらずに位置変化したと判断する。ここで、所定範囲は、予め設定された範囲であり、車両300が自走によらずに位置変化していないと判断する上限値であっても良い。なお、位置変化は、積載車による積車移動、レッカー車によるレッカー移動などの車両300が運ばれることにより行われることが考えられる。また、位置変化したか否かの判断は、上述のようにGPS位置情報に基づいて行うものに限られず、車両300の周囲を認識する車載のカメラや各種レーダなどのセンサにより検出された地物位置の変化に基づいて行っても良い。この場合、停車時の地物位置と現在の地物位置とを記憶して比較し、地物位置の差分が所定内範囲外である場合には位置変化したと判断しても良い。また、停車時の走行距離の変化に基づいて行っても良い。この場合、停車時の走行距離と現在の走行距離とを記憶して比較し、走行距離の差分が所定範囲外である場合には位置変化したと判断しても良い。また、車両300で位置変化したことを直接判断することに限られず、車両300の外部から車両300が位置変化したことを受信するようにしても良い。この場合、車両300が外部に位置に関する情報を送信し、外部から車両300が位置変化したことを受信する通信手段が搭載されるようにしても良い。
【0030】
また、判断部1201は、イグニッションスイッチ326がオフされた際の、車両300のヘッドランプの光軸補正に必要な補正情報を記憶部108に記憶する。すなわち、記憶部108は、補正情報を記憶する記憶部の一例として機能する。なお、補正情報は、車両300が停車してから車両300のイグニッションスイッチ326がオフされた際までの期間の少なくともいずれかのタイミングにおいて記憶すれば良い。ここで、補正情報は、車両300の停車かつIGOFF時における、路面角度θr(路面角)である路面角度基準値および車両姿勢角度θv(車両姿勢角)である車両姿勢角度基準値等を含んでいても良い。路面角度θrは、水平面に対する路面の傾斜角度である。また、車両姿勢角度θvは、路面に対する車両300の傾斜角度である。
【0031】
本実施形態では、判断部1201は、傾斜センサ116によるGセンサ値(重力加速度の検出値)に基づいて、路面角度θrおよび車両姿勢角度θvを算出しても良い。具体的には、判断部1201は、Gセンサ値から得られる合計角度θから路面角度基準値を減算して、車両姿勢角度θvを算出する。また、判断部1201は、合計角度θから車両姿勢角度基準値を減算して、路面角度θrを算出する。
【0032】
補正部1202は、車両300の電源が今回オンされた状態(例えば、IGON時)において、車両300の電源が前に(前回)オフされた際から車両300が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、記憶部108に記憶される補正情報と、に基づいて、光軸Oの光軸補正(光軸制御)を行う補正部の一例である。また、補正部1202は、車両300の電源が今回オンされた状態(例えば、IGON時)において、車両300の電源が前に(前回)オフされた際から車両300が自走によらずに位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、記憶部108に記憶される補正情報と、に基づいて、光軸Oの光軸補正を行わない。
【0033】
これにより、車両300の停車中に荷物を載せて車両300が傾いた場合に、IGON後に積載による車両姿勢角度θvの傾きを検出してヘッドランプの光軸Оを調整できる。また、積車にてIGOFF中に移動し、積車移動前と積車移動後の路面勾配に差があった場合に、路面角度θrの変化を車両姿勢角度θvの変化と誤認識して、積載変化が無くても光軸制御が行われることを防止できる。なお、位置変化したか否かの判断や光軸制御は、電源がオンされた際に限られず、車両300の走行前などにおいて電源がオンされた状態の所定のタイミングで行なっても良い。ここで、所定のタイミングは、シフトレンジ操作などのユーザの走行開始意図に関する操作をトリガとしても良い。
【0034】
図2および図3は、第1実施形態にかかる制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。このフローは、イグニッションスイッチ326がオンにされてバッテリ328から電力が供給されると開始され、所定のタイミングで繰り返し実行されても良い。
【0035】
図2に示すように、まず、判断部1201は、イグニッションスイッチ326がオン状態に移行してからの所定時間内に車両300が発進したか判断する(ステップS101)。所定時間内に車両300が発進した場合(ステップS101:Yes)、判断部1201は、車両300が停車したか判断する(ステップS102)。車両300が停車していない場合(ステップS102:No)、判断部1201は、本ルーチンを終了する。
【0036】
車両300が停車した場合(ステップS102の:Yes)、判断部1201は、現在の合計角度θから、記憶部108から読み出した車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを求める(ステップS103)。そして、判断部1201は、得られた路面角度θrを新たな路面角度基準値として更新してRAM124に記憶する(ステップS104)。次いで、判断部1201は、ヘッドランプユニット10の光軸Оの角度である光軸角度θoを、例えば、初期設定位置に維持した状態で、図3に示す通常時制御に移行する。
【0037】
所定時間内に車両300が発進していない場合(ステップS101:No)、判断部1201は、車両300の現在のGPS位置情報と、IGOFF時のGPS位置情報と、の差が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS107)。車両300の現在のGPS位置情報と、IGOFF時のGPS位置情報と、の差が所定範囲内である場合(ステップS107:Yes)、判断部1201は、現在の合計角度θから、記憶部108から読み出した路面角度基準値を減算して、車両姿勢角度θvを算出する(ステップS105)。そして、判断部1201は、得られた車両姿勢角度θvを用いて光軸角度θoを調節するとともに、車両姿勢角度基準値を更新してRAM124に記憶する(ステップS106)。また、判断部12010は、記憶部108から読み出した路面角度基準値をRAM124に記憶する。一方、車両300の現在のGPS位置情報と、IGOFF時のGPS位置情報と、の差が所定範囲外の場合(ステップS107:No)、判断部1201は、ステップS103に示す処理に進む。
【0038】
続いて、図3に示すように通常時制御を実行する。まず、判断部1201は、車両300が走行中であるか否か判断する(ステップS201)。車両300が走行中である場合(ステップS201:Yes)、判断部1201は、本ルーチンを終了する。車両300が走行中でない場合(ステップS201:No)、判断部1201は、車両300が停止時であるか判断する(ステップS202)。車両300が停止時である場合(ステップS202:Yes)、判断部1201は、現在の合計角度θから、RAM124に保持している車両姿勢角度基準値を減算して路面角度θrを算出する(ステップS203)。そして、判断部1201は、路面角度基準値を算出された路面角度θrに更新し(ステップS204)、本ルーチンを終了する。
【0039】
車両300が停止時でない場合(ステップS202:No)、この場合は、車両300が停止中であることを意味するため、補正部1202は、現在の合計角度θから、RAM124に保持している路面角度基準値を減算して、車両姿勢角度θvを算出する(ステップS205)。そして、補正部1202は、得られた車両姿勢角度θvを用いて光軸角度θoを調節するとともに、車両姿勢角度基準値を得られた車両姿勢角度θvに更新してRAM124に記憶する(ステップS206)。
【0040】
続いて、判断部1201は、イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行したか判断する(ステップS207)。イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行していない場合(ステップS207:No)、判断部1201は、本ルーチンを終了する。イグニッションスイッチ326がオフ状態に移行した場合(ステップS207:Yes)、判断部1201は、バッテリ328からの電力供給を維持する(ステップS208)。そして、判断部1201は、RAM124に保持している路面角度基準値および車両姿勢角度基準値を記憶部108に書き込んだ後(ステップS209)、現在の車両300のGPS位置情報を記憶部108に書き込み(ステップS211)、バッテリ328からの電力供給を停止して(ステップS209)、本ルーチンを終了する。
【0041】
このように、第1実施形態にかかる車両300によれば、車両300の停車中に荷物を載せて車両300が傾いた場合に、IGON後に積載による車両姿勢角度θvの傾きを検出してヘッドランプの光軸を調整できる。また、積車にてIGOFF中に移動し、積車移動前と積車移動後の路面勾配に差があった場合に、路面角度θrの変化を車両姿勢角度θvの変化と誤認識して、積載変化が無くても光軸制御が行われることを防止できる。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態は、車両が停止した際の補正情報を記憶し、車両が停車中に車両が位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行い、車両が停車中に位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行わない例である。以下の説明では、上述の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、記憶部108は、車両300が停止した際の補正情報を記憶する。
【0044】
本実施形態では、判断部1201は、車両300が停車中に当該車両300が位置変化したか否かを判断する。
【0045】
本実施形態では、補正部1202は、車両300の電源がオン中(IGON中)でありかつ車両300が停車中に当該車両300が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行う。本実施形態では、補正部1202は、車両300の電源がオン中でありかつ車両300が停車中に当該車両300が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、ヘッドランプの光軸補正を行っているが、車両300の電源がオン中であるか否かに関わらず、車両300が停車中に当該車両300が自走によらずに位置変化したと判断されていない場合、ヘッドランプの光軸補正を行っても良い。一方、補正部1202は、車両300の電源がオン中(IGON中)でありかつ車両300が停車中に当該車両300が自走によらずに位置変化したと判断された場合、現在のGセンサ値と、補正情報と、に基づいて、ヘッドランプの光軸補正を行わない。本実施の形態では、補正部1202は、車両300の電源がオン中でありかつ車両300が停車中に当該車両300が自走によらずに位置変化したと判断された場合、ヘッドランプの光軸補正を行っていないが、車両300の電源がオン中であるか否かに関わらず、車両300が停車中に当該車両300が自走によらずに位置変化したと判断された場合、ヘッドランプの光軸補正を行わなくても良い。
【0046】
これにより、イグニッションスイッチ326がオンされたまま、車両300が積車移動等し、積車移動前と積車移動後の路面勾配に差があった場合にも、路面角度θrの変化を車両姿勢角度θvの変化と誤認識して、積載変化が無くても光軸制御が行われることを防止できる。
【0047】
図4は、第2実施形態にかかる制御ECUが実行するオートレベリング制御のフローチャートである。判断部1201は、イグニッションスイッチ326がオンされた後(車両300の電源が投入された後)、ヘッドランプの初回の光軸補正か否かを判断する(ステップS401)。ヘッドランプの初回の光軸補正である場合(ステップS401:Yes)、判断部1201は、車両300の停車時におけるGセンサ角(合計角度θ)、および車両300の停車時の光軸制御角を記憶部108から読み出す(ステップS402)。ここで、光軸制御角は、ヘッドランプの光軸補正に用いた角度であり、例えば、車両姿勢角度θvであっても良い。また、制御ECU100は、車両300の停車時のGPS位置情報を記憶部108から読み出す(ステップS403)。
【0048】
次に、判断部1201は、車両300が停車中であるか否かを判断する(ステップS404)。車両300が停車中でない場合(ステップS404:No)、判断部1201は、本ルーチンを終了する。一方、車両300が停車中である場合(ステップS404:Yes)、判断部1201は、車両300が走行状態から初めて停止状態になったか否かを判断する(ステップS405)。
【0049】
車両300が走行状態から初めて停止状態になった場合(ステップS405:Yes)、判断部1201は、車両300が停車時におけるGセンサ値および光軸制御角を記憶部108に記憶させる(ステップS406)。また、判断部1201は、車両300の停車時のGPS位置情報を記憶部108に記憶させる(ステップS407)。
【0050】
車両300が走行状態から停止状態になったのが2回目以降の場合(ステップS405:No)、判断部1201は、現在のGPS位置情報と、停止時のGPS位置情報(記憶部108に記憶されるGPS位置情報)と、の差分が所定範囲内であるか否かを判断する(ステップS408)。現在のGPS位置情報と、停止時のGPS位置情報と、の差分が所定範囲内である場合(ステップS408:Yes)、補正部1202は、光軸制御角の演算を行う(ステップS409)。具体的には、補正部1202は、現在のGセンサ値から得られる合計角度θから停車時のGセンサ値から得られる合計角度θを減算した値を、車両300が停車時の光軸制御角から減算した値を光軸制御角として算出する。そして、補正部1202は、算出した光軸制御角に基づいて光軸Oの光軸補正を行う(ステップS410)。
【0051】
一方、現在のGPS位置情報と、停止時のGPS位置情報と、の差分が所定範囲内でない場合(ステップS408:No)、判断部1201は、車両300が停車時におけるGセンサ値および光軸制御角を記憶部108に記憶させる(ステップS411)。また、判断部1201は、車両300の停車時のGPS位置情報を記憶部108に記憶させる(ステップS412)。
【0052】
このように、第2実施形態にかかる車両300によれば、イグニッションスイッチ326がオンされたまま、車両300が積車移動等し、積車移動前と積車移動後の路面勾配に差があった場合にも、路面角度θrの変化を車両姿勢角度θvの変化と誤認識して、積載変化が無くても光軸制御が行われることを防止できる。
【符号の説明】
【0053】
100 制御ECU
102 入力I/F
106 出力I/F
108 記憶部
110 スイッチ回路
112 制御用電源回路
114 IG監視部
116 傾斜センサ
118 受信部
120 制御部
122 送信部
124 RAM
313 GPSセンサ
1201 判断部
1202 補正部
図1
図2
図3
図4