IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東都フォルダー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-布類ピックアップ装置 図1
  • 特開-布類ピックアップ装置 図2
  • 特開-布類ピックアップ装置 図3
  • 特開-布類ピックアップ装置 図4
  • 特開-布類ピックアップ装置 図5
  • 特開-布類ピックアップ装置 図6
  • 特開-布類ピックアップ装置 図7
  • 特開-布類ピックアップ装置 図8
  • 特開-布類ピックアップ装置 図9
  • 特開-布類ピックアップ装置 図10
  • 特開-布類ピックアップ装置 図11
  • 特開-布類ピックアップ装置 図12
  • 特開-布類ピックアップ装置 図13
  • 特開-布類ピックアップ装置 図14
  • 特開-布類ピックアップ装置 図15
  • 特開-布類ピックアップ装置 図16
  • 特開-布類ピックアップ装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011293
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】布類ピックアップ装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 95/00 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
D06F95/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024184232
(22)【出願日】2024-10-18
(62)【分割の表示】P 2022576300の分割
【原出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】597090907
【氏名又は名称】東都フォルダー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】小林 法行
(57)【要約】      (修正有)
【課題】絡みついた複数の布類から1の布類を取りだす布類ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】布類ピックアップ装置10は、布類Wを引き取る引き取りクランプ部100と、引き取りクランプ部100が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベア120と、を有し、布類搬出コンベア120は、第1搬出搬送部131と第2排出搬送部と、を有し、引き取りクランプ部100は、布類を第1搬出搬送部または、第2排出搬送部のいずれかにふりわける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類を引き取る引き取りクランプ部と、
前記引き取りクランプ部が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベアと、を有し、
前記布類搬出コンベアは、第1搬出搬送部と第2排出搬送部と、を有し、
前記引き取りクランプ部は、前記布類を前記第1搬出搬送部または、前記第2排出搬送部のいずれかにふりわける布類ピックアップ装置。
【請求項2】
搬送した布類をつかみ上げる布類つかみ装置と、
前記布類つかみ装置によって掴んだ布類を引き取る引き取りクランプ部と、
前記引き取りクランプ部が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベアと、を有し、
前記布類搬出コンベアは、布類を搬送する第1搬出搬送部と第2排出搬送部と、を有し、
前記引き取りクランプ部は、前記第1搬出搬送部または、前記第2排出搬送部のいずれかにふりわける布類ピックアップ装置。
【請求項3】
搬送した布類をつかみ上げる布類つかみ装置と、
前記布類つかみ装置によって掴んだ布類を引き取る引き取りクランプ部と、
前記引き取りクランプ部が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベアと、を有し、
前記布類搬出コンベアは、布類を搬送する第1搬出搬送部と第2排出搬送部と、を有し、
前記引き取りクランプ部は、前記布類つかみ装置がつかんだ布類を挟持するとともに後方に移動させ、その布類を前記第1搬出搬送部または、前記第2排出搬送部のいずれかにふりわける布類ピックアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類を次工程である布類投入装置に投入するために、複数の布類から、1の布類を作業者に供給する布類ピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるリネンサプライ業で扱う布類には、例えばシーツあるいは、タオルのようなリネン製品があり、それらのリネン製品等の布類は顧客先から回収されると、洗濯、アイロン掛けの上、折り畳む工程を経て顧客先に配達する作業が繰り返される。その際に、布類は、洗濯された複数の布類が塊となった状態から、一枚ずつその布類を作業者がつかみ上げ、その布類をさらに拡げて折りたたむための次工程に搬送する布類投入装置に投入する。
【0003】
しかしながら、塊となった複数の布類を、作業者が、解いて布類を1枚ずつ拾い上げることは、作業者の負担となる。具体的に説明すると、洗濯が終わった布類は、生乾きの状態で運ばれてくる。その際に複数の布類は、絡みあった塊の状態で搬送されてくる。作業者は、その絡み合った複数の布類の塊から、1の布類を探り出し、取り上げるという作業を行う。このような作業は、腰をかがめなくてはならずその作業負担は大である。
【0004】
このような作業を補助するものとして、特開平7-112100号公報が開示されている。上記公報に開示されている布類をピックアップする装置としての布類取り出し装置は、布類の任意部分を掴持し得る掴持装置を、上下動装置により下方の布類掴持位置と上方の布類吊上げ位置との間で上下動せしめて、山積みされた布類群の中から1枚の布類を吊下げ状態で取出せるようにした布類取出し装置において、掴持装置は、左右一対のチャック片を有し且つ該各チャック片の外方側端部をそれぞれ軸で各リンクに枢着して該各チャック片の内方側がそれぞれ上下に揺動し得る如くしたチャックと、各リンクをそれぞれ操作することによって各チャック片を相互に近接・離間方向に開閉するチャック開閉装置と、チャック閉塞状態において各チャック片の先端掴持部が各チャック片の各軸を結ぶ線より下側で接合する位置から該各軸を結ぶ線を越えて上側で接合する位置まで変位する如く各チャック片を上方に揺動せしめるチャック片揺動装置とを備えたことを特徴としているというものである。
【0005】
しかしながら、上記装置における掴持装置は、布類をつかむ位置は同一の位置であるために、その位置に布類が配置されていない場合は、布類をつかむことはできない。また、布類がその位置に配置されている場合であっても複数の布類の塊の下方に位置した布類を引きずり出す場合があり、その場合は布類の絡みつきを作業者がほぐして1の布類を取り出さなくてはならず、作業者の負担を軽減することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平7-112100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、絡みついた複数の布類から1の布類を取りだす布類ピックアップ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、第1観点の布類ピックアップ装置は、布類を引き取る引き取りクランプ部と、引き取りクランプ部が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベアと、を有し、布類搬出コンベアは、第1搬出搬送部と第2排出搬送部と、を有し、引き取りクランプ部は、布類を第1搬出搬送部または、第2排出搬送部のいずれかにふりわけるというものである。
【0009】
また、第2観点の布類ピックアップ装置は、搬送した布類をつかみ上げる布類つかみ装置と、布類つかみ装置によって掴んだ布類を引き取る引き取りクランプ部と、引き取りクランプ部が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベアと、を有し、布類搬出コンベアは、布類を搬送する第1搬出搬送部と第2排出搬送部と、を有し、引き取りクランプ部は、第1搬出搬送部または、第2排出搬送部のいずれかにふりわけるというものである。
【0010】
また、第3観点の布類ピックアップ装置は、搬送した布類をつかみ上げる布類つかみ装置と、布類つかみ装置によって掴んだ布類を引き取る引き取りクランプ部と、引き取りクランプ部が引き取った布類を搬送する布類搬出コンベアと、を有し、布類搬出コンベアは、布類を搬送する第1搬出搬送部と第2排出搬送部と、を有し、引き取りクランプ部は、前記布類つかみ装置がつかんだ布類を挟持するとともに後方に移動させ、その布類を第1搬出搬送部または、第2排出搬送部のいずれかにふりわけるというものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、絡みついた複数の布類から1の布類を取りだす布類ピックアップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】布類ピックアップ装置と布類供給コンベアの側面図である。
図2】布類ピックアップ装置と布類供給コンベアの平面図である。
図3】Aは、布類ピックアップ装置の正面図である。Bは、布類ピックアップ装置の背面図である。
図4】布類ピックアップ装置における布類つかみ装置の正面図である。
図5】布類ピックアップ装置における布類つかみ装置の側面図である。
図6】布類ピックアップ装置における布類つかみ装置の平面図である。
図7】Aは、図4のVIIA-VIIA線断面図である。Bは、図5のVIIB-VIIB線断面図である。
図8】Aは、布類つかみ装置が布類の頂点部分の位置を特定する前の状態を説明する図である。Bは、布類つかみ装置が布類の頂点部分の位置を特定した状態を説明する図である。
図9】Aは、布類つかみ装置が布類の頂点部分をつかむ状態を示す図である。Bは、布類つかみ装置が布類の頂点部分をつかんで持ち上げた状態を示す図である。
図10】布類つかみ装置が頂点部分をつかんで持ち上げた状態の布類を、布類を挟持する引き取りクランプ部に受け渡した状態の図である。
図11】Aは、引き取りクランプ部が布類を後方に移動させようとする状態を示した側面概念図である。Bは、Aの状態の平面概念図である。
図12】Aは、引き取りクランプ部が布類搬出コンベアにおける、第1搬出搬送部に、その掴んだ布類を配置する状態を示した側面概念図である。Bは、Aの平面概念図である。
図13】Aは、引き取りクランプ部が布類搬出コンベアにおける、第2搬出搬送部に、その掴んだ布類を配置する状態を示した側面概念図である。Bは、Aの平面概念図である。
図14】Aは、第1搬出搬送部で搬送した布類を、その第1搬出搬送部における第2搬出ロール部と、第1挟みコンベアにその布類が挟まれた示した側面概念図である。Bは、Aの平面概念図である。
図15】第2実施例の布類ピックアップ装置と布類供給コンベアの側面図である。
図16】第2実施例の布類ピックアップ装置と布類供給コンベアの平面図である。
図17】Aは、第2実施例の布類ピックアップ装置の正面図である。Bは、第2実施例の布類ピックアップ装置の背面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図示の実施形態を参照して、布類ピックアップ装置10について説明する。布類ピックアップ装置10は、その布類ピックアップ装置10の外郭を構成する本体部15と、搬送部20と、センサー部30とを有する。本体部15は、上述の搬送部20とセンサー部30を配置するための筐体となるものである。また、布類ピックアップ装置10は、布類供給コンベア250から複数の布類Wの供給を受けることができる。
【0014】
また、搬送部20は、複数の布類Wを搬送するためのものであり、センサー部30は、搬送部20に配置された複数の布類Wのうちその1の布類W1の頂点部分Wtを検知するものである。また、布類ピックアップ装置10は、そのセンサー部30によって検出された1の布類W1の頂点部分Wtをつかみ上げる布類つかみ装置40と、を有する。ここで、複数の布類Wのうちその1の布類W1の頂点部分Wtとは、複数の布類Wのうち最も高い位置に存在する1の布類W1の頂点部分Wtをいう。この頂点部分Wtをつかみあげることで比較的複数の布類Wの絡みつきが少ないことを見出したからである。
【0015】
ここで、搬送部20は、円筒状のローラーである搬送第1ロール部21と、円筒状のローラーである搬送第2ロール部22と、それらに帯状のベルトである、搬送第1ベルト部23が掛け回されている。また、本実施例の搬送部20は、ほぼ水平に配置されている。
【0016】
また、本体部15には、搬送部20上の布類Wの存在を検出する搬送確認センサー18aと搬送確認センサー18bが前方から後方Zにかけて順に配置されている。また、布類つかみ装置40の直下に搬送された布類Wを検知する位置確認センサー18cと、布類Wが位置Aを通過したことを検知する位置オーバーラン確認センサー18dを有する。
【0017】
複数の布類Wは、搬送確認センサー18aと搬送確認センサー18bの順に検知され、位置確認センサー18cに検知されると搬送部20は、布類Wの搬送を停止する。なお、後述するように布類つかみ装置40が、その直下に配置された複数の布類Wのつかみ残しが発生することで、その布類Wがさらに前方から後方Zに搬送される場合がある。その場合に、位置オーバーラン確認センサー18dがその布類を検知すると、搬送部20は逆方向(前方に)その布類Wを搬送する。
【0018】
また、センサー部30は、上記の通り複数の布類Wの頂点部分Wtを検出するというものであり、また、センサー部30は、布類ピックアップ装置10の本体15における任意の位置Aの幅方向Xと高さ方向YからなるXY平面上を検索することができるものである。
【0019】
ここで、幅方向Xとは、文字通り布類ピックアップ装置10における本体15の幅方向をいい、高さ方向Yとは、文字通り、布類ピックアップ装置10における本体15の高さ方向をいう。すなわち、センサー部30は、布類ピックアップ装置10における前方から後方Zの任意の位置Aにおける幅方向Xと高さ方向YからなるXY平面上を検索することができるいわば2次元のセンサーである。センサー部30は、この任意のXY平面上で複数の布類Wの断面を高精度で計測できるものが好ましい。このようにいわゆる2次元センサーを使用することで、3次元センサーを使用することなくコストを軽減することができる。
【0020】
また、センサー部30は、位置AのXY平面上を検索することで、その位置Aに配置された複数の布類Wのうち最も高い位置に配置された1の布類W1の頂点部分Wtを検出する。
【0021】
布類ピックアップ装置10における任意の位置Aとは、搬送部20における前方から後方Zへ至るほぼ4分の3の位置が好ましい。しかしながらこの位置に限られることはない。
【0022】
布類つかみ装置40は、センサー部30によって、複数の布類Wのうち最も高い位置に配置された1の布類W1の頂点部分Wtを検出し、その頂点部分Wtを掴むというものである。すなわち、センサー部30によって、その1の布類W1の頂点部分Wtが、XY平面上のどの位置に配置されているかを検出し、そのXY平面上の2次元の位置情報を、図示しないPLC(Programmable Logic Controller)が内蔵されている制御部80に送信し、その位置情報をもとにした指令を制御部80が、布類つかみ装置40に送信し、あらかじめ定められたプログラムによって、その1の布類W1の頂点部分Wtを掴むというものである。
【0023】
布類つかみ装置40は、上下に移動する第1駆動部41と、上下に移動する第2駆動部51と、その第1駆動部41と第1接続部43を介して接続された第1リンク部42と、その第2駆動部51と第2接続部53を介して接続された第2リンク部52と、第1リンク部42と第2リンク部52と接続されたに取り付けた布類Wをつかむつかみ部60とを有する(特に図3A図4、5、6参照)。
【0024】
第1駆動部41は、上下に移動するための駆動力となる昇降用サーボモーター411と、その回転を減速する減速機412と、駆動側のタイミングプーリー413と従動側のタイミングプーリー414と、それらを回転可能に掛け回されているタイミングベルト415を有する。また、減速機412と駆動側のタイミングプーリー413とのジョイントとしての駆動ジョイント416を有する。また、第1駆動部41は、タイミングベルト415に接続され上下動する板状のブラケット417を有し、そのブラケット417が、第1接続部43の先端部を介して第1リンク部42に接続され、上下に移動する。さらに後述するように第1リンク部42を、第1接続部43を介して後方Zに旋回させるための旋回用サーボモーター420とその回転を減速する減速機422とジョイントとしてのカップリング430とを有する(特に図3A図4、5、6参照)。
【0025】
また同様に、第2駆動部51は、上下に移動するための駆動力となる昇降用サーボモーター511と、その回転を減速する減速機512と、駆動側のタイミングプーリー513と従動側のタイミングプーリー514と、それらを回転可能に掛け回されているタイミングベルト515を有する(特に図6参照)。
【0026】
また、減速機512と駆動側のタイミングプーリー513とのジョイントとしての駆動ジョイント516を有する。また、第2駆動部51は、タイミングベルト515に接続され上下動する板状のブラケット517を有し、そのブラケット517が、第2接続部53の先端部を介して第2リンク部52に接続され、上下に移動する。
【0027】
また、さらに後述するように第2リンク部52を、第2接続部53を介して後方Zに旋回させるための旋回用サーボモーター520とその回転を減速する減速機522とジョイントとしてのカップリング530とを有する。
【0028】
つかみ部60は文字通り布類Wをつかむためのものであり、ブラケット部61とクランプ部62と、布類Wの存在を検出する布類検出センサー63、63とを有する。
【0029】
また、布類つかみ装置40は、第3リンク部65をさらに有するものである。第3リンク部65は、第2接続部53の先端部を介して、第2リンク部52とともに接続されている。また、第3リンク部65は、布類つかみ装置40におけるつかみ部60の中央に配置した中央部61と、第2接続部53と第2リンク部52とを接続する右第1接続部52aから水平に延長した位置65aに配置する。この場合、第3リンク部65は、第2リンク部52と平行になるように配置する。これにより、つかみ部60が上昇した場合あるいは下降した場合であっても、第3リンク部65によって、つかみ部60が床面対し平行が保たれるというものである。このように、第3リンク部65によって、つかみ部60の平行が保たれることで、つかみ部60が1の布類W1の頂点部分Wtを確実につかむことができる。
【0030】
図8A、Bにおいて、布類つかみ装置40が、XY平面上に配置した布類Wの頂点Wtに到達する方法について簡単に説明する。1例として、第1リンク部42と、第2リンク部52との長さはともに550ミリメートルである。第1リンク部42と第1接続部43の先端部との接続部である左第1接続部42aと、第1リンク部42とつかみ部60との接続部である左第2接続部42bとの距離を幅方向X1に投影したときの長さは、170ミリメートルと設定する。
【0031】
また、同様に第2リンク部52と、第2接続部53の先端部との接続部である右第1接続部52aと、第2リンク部52とつかみ部60との接続部である第2接続部42Bの幅方向X2に投影した長さは、170ミリメートルと設定する。
【0032】
このような場合において、中心線Cから右に100ミリメートルずれた位置X3に1の布類W1の頂点WTが配置されている場合について説明する。上記制御部80が、例えば三平方の定理から、傾いて配置された第1リンク部42の高さ方向Yに投影した長さY1は、550ミリメートルの2乗から、170ミリメートルと100ミリメートルとの和(270ミリメートル)の2乗を引き、その差の平方根を求めることで示される。その場合、第1リンク部42における左第1接続部42aと、左第2接続部42bとの距離を高さ方向Yに投影したときの長さY1は479ミリメートルとなる。
【0033】
上記制御部80が、例えば三平方の定理から、傾いて配置された第2リンク部52の高さ方向Yに投影した長さY2は、550ミリメートルの2乗から、170ミリメートルと100ミリメートルとの差(70ミリメートル)の2乗を引き、その差の平方根を求めることで示される。その場合、第2リンク部52における右第1接続部52aと、右第2接続部52Bとの距離を高さ方向Yに投影したときの長さY2は545ミリメートルとなる。
【0034】
第1駆動部41における昇降用サーボモーター411により、第1リンク部42を、545-479=66ミリメートル第2リンク部52より下げた位置に移動することで、つかみ部60を、幅方向Xの中心部より100ミリメートルずれた布類W1の頂点Wtの直上に配置することができる。後はそのまま、布類W1の頂点Wtに到達するまで第1リンク部42と第2リンク部52をともに下降することで、その布類W1の頂点Wtをつかみ部60が掴むことができる。
【0035】
このように、センサー部30に、任意の位置AにおけるXY平面上を検索することができる2次元センサーを使用することで、複雑な計算を用いることなくXY平面上のいずれの位置にも到達することができる布類つかみ装置40によって、布類Wをつかむことができる。よって、布類ピックアップ装置10は、コストをいたずらに増大させることはないというものである。また、リネン工場においては布類Wから埃が発生するが、上記の通り比較的簡単な構成であるので、その埃で布類ピックアップ装置10が故障する恐れを可及的に軽減することができる。
【0036】
また、布類ピックアップ装置10は、複数の布類Wを搬送する第2搬送部70を有する。第2搬送部70は、搬送部20における搬送第2ロール部22付近に配置され、水平に配置された搬送部20に対し傾斜するように配置されている。第2搬送部70は、搬送部20に対し70度から80度が好ましく、また75度が好ましい。
【0037】
第2搬送部70は、円筒状のローラーである搬送第3ロール部71と、円筒状のローラーである搬送第4ロール部72と、それらに帯状のベルトである、搬送第2ベルト部75が掛け回されている。また、ある搬送第3ロール部71は、搬送部20における搬送第2ロール部22付近に配置されている。
【0038】
第2搬送部70は、搬送部20によって搬送された複数の布類Wがさらに搬送されると傾斜した状態の第2搬送部70に突き当たる。この第2搬送部70は布類Wを上昇させる方向に搬送するが、その途中で、自重によりその複数の布類Wが、再び搬送部20上に落下することで、その複数の布類Wが攪拌されたようになり、絡みついた複数の布類Wが解かれる効果が期待できるというものである。また、第2搬送部70から落下した布類Wが再び搬送部20に布類Wが載置されることで、異なる布類Wの頂点部分を出現させることができる。
【0039】
また、布類ピックアップ装置10は、布類Wを引き取る引き取りクランプ部100と、第1搬出搬送部131と第2排出搬送部141との2レーンに分けて搬送する布類搬出コンベア120と、第1挟み込み135と第2挟み込みコンベア145を有する。また、第1搬出搬送部131に布類Wの存在を検出する複数の第1布類センサー132を複数有する。また、第2排出搬送部141も同様に布類Wの存在を検出する複数の第2布類センサー142を複数有する(図13A参照)。
【0040】
布類Wを引き取る引き取りクランプ部100は、布類つかみ装置40におけるつかみ部60がつかんだ布類Wを、挟持するとともに後方Zに移動させ、さらに、布類搬出コンベア120における、第1搬出搬送部131と第2排出搬送部141との2レーンのうち、いずれかに振り分けることができる。このように、第1搬出搬送部131と第2排出搬送部141との各排出先S1、S2に各作業者を配置することで、2人の作業者が、1台の布類ピックアップ装置10で布類Wを受け取ることができる。
【0041】
また、上述の第1搬出搬送部131は布類Wを搬送するコンベアであり、第1搬出搬送部131は、円筒状のローラーである第1搬出ロール部131aと、円筒状のローラーである第2搬出ロール部131bと、それらに帯状のベルトである、第1搬出ベルト部131cが掛け回されている。また、第2搬出ロール部131bに接するように第1挟みコンベア135を配置している。また、第1挟みコンベア135は、第1搬出搬送部131に対し、側面視ほぼ直角であって、下降するように配置している。
【0042】
第1挟みコンベア135は、円筒状のローラーである第1はさみロール部135aと、円筒状のローラーである第2はさみロール部135bと、円筒状のローラーである第3はさみロール部135cとを有し、それらに帯状のベルトである、第1はさみベルト部135dが掛け回されている。また、第1はさみセンサー137を有する。第1はさみセンサー137は後述するように、第1搬出搬送部131における第2搬出ロール部131bと、第1挟みコンベア135とにおいて、布類Wが挟まれた状態を検出するためのものである。
【0043】
第2挟みコンベア145は、円筒状のローラーである第4はさみロール部145aと、円筒状のローラーである第5はさみロール部145bと、円筒状のローラーである第6はさみロール部145Cとを有し、それらに帯状のベルトである、第2はさみベルト部145dが掛け回されている。また、第2はさみセンサー147を有する。第2はさみセンサー147は後述するように、第2搬出搬送部141と、第2挟みコンベア145とにおいて、布類Wが挟まれた状態を検出するためのものである。
【0044】
布類Wを引き取るとともにその布類Wを挟持する引き取りクランプ部100は、布類Wを挟持するチャック101と、チャック101を左右に旋回にさせるためのチャック旋回アクチュエータ102と、を有する。布類Wを引き取る引き取りクランプ部100は、上述の第1布類センサー132あるいは第2布類センサー142が布類Wを検知しない場合に、その布類Wを検知しない、第1搬出搬送部131または第2排出搬送部141に、布類Wを配置する。なお、第1搬出搬送部131および第2排出搬送部141の双方に布類Wが存在しない場合は、第1搬出搬送部131に布類Wを配置することが好ましい。
【0045】
次に、布類ピックアップ装置10が、布類Wをピックアップする動作について説明する。布類Wを供給するための布類供給コンベア250から複数の布類Wを、搬送部20に供給する。側面視において前方から後方Zにその布類Wが搬送され、搬送確認センサー18aと搬送確認センサー18bによって順にその布類Wが検知される。布類Wが、位置確認センサー18cに検知されると前方から後方ZにおけるA地点にその複数の布類Wが到達する(図1参照)。
【0046】
上述のA地点において、センサー部30は、位置Aにおける幅方向Xと高さ方向YからなるXY平面上を検索し、複数の布類Wにおける1の布類W1の頂点部分Wtを検出する。上記の通り、中心線Cから右に100ミリメートルずれた位置に布類W1の頂点WTが配置されている場合において(図8B参照)、上記の通り、センサー部30がその位置情報を制御部80に送信し、制御部80がその位置情報に基づいて、その1の布類W1の頂点部分Wtの位置を指示し、布類つかみ装置40は、その指示に基づいてその1の布類W1の頂点部分Wtをつかむ(図9A参照)。
【0047】
その後、布類つかみ装置40はその1の布類W1の頂点部分Wtをつかんだまま上昇し、中心線Cに配置する(図9B参照)。布類つかみ装置40を後方Zに旋回させるために、第1リンク部42をジョイントとしてのカップリング430を介して旋回用サーボモーター420に接続する。
【0048】
すなわち、第1リンク部42は、旋回用サーボモーター420によって、後方Zに振り子のように回動する。また同時に第2リンク部52をジョイントとしてのカップリング530を介して旋回用サーボモーター520に接続する。第2リンク部52は、旋回用サーボモーター520によって、後方Zに振り子のように回動する(図10参照)。
【0049】
このように第1リンク部42と第2リンク部52の接続されたつかみ部60は後方Zに振り子のように回動し、布類W1を引き取る引き取りクランプ部100における布類W1を挟持するチャック101に受け渡される(図11A、B参照)。
【0050】
布類W1を引き取る引き取りクランプ部100は、布類搬出コンベア120における第1搬出搬送部131と第2排出搬送部141との2レーンのうち、いずれかに振り分けることができる。例えば、複数の第1布類センサー132と、複数の第2布類センサー142において、布類W1が存在しない搬送部に布類W1を振り分ける。具体的には、第1搬出搬送部131に布類W1が存在しない場合にチャック旋回アクチュエータ102でチャック101を旋回させ、布類W1をその第1搬出搬送部131に載置する(図12A、B参照)。
【0051】
また、第2搬出搬送部141に布類W1が存在しない場合にチャック旋回アクチュエータ102が布類W1を挟持するチャック101を旋回させ、布類W1をその第2搬出搬送部141に載置する(図13A、B参照)。このように、引き取りクランプ部100は、第1搬出搬送部131と第2搬出搬送部141との2レーンに分けて布類W1を搬送することができる。
【0052】
その後、例えば、第1搬出搬送部131に布類W1が搬送された場合においては、第1搬出搬送部131における第2搬出ロール部131bと、第1挟みコンベア135にその布類W1が挟まれた状態となり、図示しない作業者はその布類W1を取り出すことができる(図14A、B参照)。
【0053】
図示しない作業者はその布類Wを取り出し、第1はさみセンサー137が、その布類Wの存在を検出しない状態をなったら、次の布類Wを、第1搬出搬送部131における第2搬出ロール部131bと、第1挟みコンベア135にその布類Wが挟まれた状態とし、上述の工程を繰り返す。また、第2搬出搬送部141も同様であり、他の図示しない作業者が布類Wを取り出すことができる。
【0054】
このように、布類ピックアップ装置10は、複数の布類Wから1の布類Wをピックアップし、さらに2人の作業者のその布類W供給することができるというものである。また、布類Wを供給するために、第1搬出搬送部131と第2搬出部141の2か所の供給口を設けているために2人の作業者に対し1台の布類ピックアップ装置10で足りるために、2台分の専有面積が必要なく、その布類ピックアップ装置10の設置面積に対する作業効率の改善を図ることができる。
【0055】
次に第2実施例の布類ピックアップ装置500について説明する(図15、16、17参照)。布類ピックアップ装置10と第2実施例の布類ピックアップ装置500との相違は、センサー部30に替えて第2センサー部530を有する点である、他の構成は、第1実施例と同様であるので同一の符号を付しその説明を省略する。
【0056】
第2センサー部530は、複数の布類Wから1の布類の頂点部分Wtを検出する点では同様であるがその構成が異なるものである。第2センサー部530は、センサー本体531とそのセンサー本体531を、幅方向Xに移動させるセンサー駆動部540を有する。センサー駆動部540によって幅方向Xにセンサー本体531を移動させることによって、布類W1の頂点部分Wtを、検出し、そのXY平面上の位置情報を制御部80に送信する。その後の工程は第1実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【符号の説明】
【0057】
10 布類ピックアップ装置
15 本体部
20 搬送部
30 センサー部
40 布類つかみ装置
41 第1駆動部
42 第1リンク部
51 第2駆動部
52 第2リンク部
60 つかみ部
65 第3リンク部
70 第2搬送部
80 制御部
100 引き取りクランプ部
120 布類搬出コンベア
131 第1搬出搬送部
132 第1布類センサー
135 第1挟みコンベア
141 第2排出搬送部
142 第2布類センサー
145 第2挟みコンベア
250 布類供給コンベア
500 第2実施例の布類ピックアップ装置
530 第2センサー部
A 位置
W 布類
W1 1の布類
Wt 頂点部分
X 幅方向
Y 高さ方向
Z 後方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17