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特開2025-11313粒子を含有する香味吸引物品フィルター用シートおよびその製造方法
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  • 特開-粒子を含有する香味吸引物品フィルター用シートおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011313
(43)【公開日】2025-01-23
(54)【発明の名称】粒子を含有する香味吸引物品フィルター用シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20250116BHJP
   A24D 3/16 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/16
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024185736
(22)【出願日】2024-10-22
(62)【分割の表示】P 2022556856の分割
【原出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】野田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】唐来 博之
(72)【発明者】
【氏名】四分一 弘
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB11
4B045BA01
4B045BC02
4B045BC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い強度を有する、粒子含有香味吸引物品フィルター用シートを提供する。
【解決手段】繊維と、20~200メッシュの粒径を有する粒子と、接着剤と、を含む喫煙物品フィルター用シートであって、厚さ方向の中心から一方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CA、厚さ方向の中心から他方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBとするとき、CA>CBである、喫煙物品フィルター用シート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維と、20~200メッシュの粒径を有する粒子と、接着剤とを含む香味吸引物品フィルター用シートであって、
厚さ方向の中心から一方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CA、
厚さ方向の中心から他方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBとするとき、
CA>CBであり、かつCA:CB=70~90:10~30である、
香味吸引物品フィルター用シート。
【請求項2】
前記シートの単位面積あたりに含まれる前記粒子重量が7~80g/mである、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記CAが60~100であり、前記CBが0~40である、請求項1または2に記載のシート。
【請求項4】
一方の表面から厚さ方向に5%の領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CAs、
他方の表面から厚さ方向に5%の領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBsとするとき、
CAsが0~10、CBsが0~5である、
請求項1~3のいずれかに記載のシート。
【請求項5】
前記粒子が、
吸着剤または成分放出剤を含む、
請求項1~4のいずれかに記載のシート。
【請求項6】
前記繊維が木材パルプ繊維である請求項1~5のいずれかに記載のシート。
【請求項7】
前記シートの単位面積当たりに含まれる前記木材パルプ繊維の重量が25~50g/mである、請求項6に記載のシート。
【請求項8】
前記接着剤がポリビニルアルコール、酢酸ビニルアクリルコポリマー、またはこれらの混合物である請求項1~7のいずれかに記載のシート。
【請求項9】
前記シートの単位面積当たりに含まれる前記接着剤の重量が4~40g/mである、請求項1~8のいずれかに記載のシート。
【請求項10】
以下の工程:
工程1:裏面から吸引されているメッシュ上に、繊維を載置してシートを形成する
工程2:前記シートの一方の面Aに接着剤を添加する
工程3:工程2で得たシートを反転する
工程4:前記シートの他の面Bに前記粒子および接着剤を同時に添加するか、前記粒子を添加した後に接着剤を添加する、
を備える、請求項1~9のいずれかに記載のシートの製造方法。
【請求項11】
工程1が、気体を媒体として前記繊維を前記メッシュ上に吹き付けることを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
工程2と工程3の間に、前記シートの面Aを乾燥する工程をさらに含む、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1~9のいずれかに記載のシートを含む、香味吸引物品フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒子を含有する香味吸引物品フィルター用シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙物品フィルターに活性炭を含ませて、たばこ煙中の揮発性成分を選択的に除去して味や香りをマイルドにする技術が知られている。例えば特許文献1には、空気中で離解した木材パルプ繊維に粉末活性炭を混合し、空気中で分散捕集してウェブとし、さらに当該ウェブに接着剤を噴霧後乾燥して得た喫煙物品フィルター用の濾過材が開示されている。また、活性炭以外の吸着剤や、香料を担持した粒子等をフィルター内に配置する技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48-85874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで生産効率向上のために香味吸引物品フィルター用シートは、通常、それ自体が高速で製造される、また、そのシートを香味吸引物品フィルターに加工する際も高速で取り扱われるので、当該シートには高い引張強度が求められる。しかし、シートに活性炭のような機能性粒子を添加するとシートの引張強度は低下する。かかる事情を鑑み、本発明は、高い強度を有する、粒子含有香味吸引物品フィルター用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは厚さ方向に粒子が偏在するシートによって前記課題を解決できることを見出した。すなわち、前記課題は以下の本発明によって解決される。
(1)繊維と、20~200メッシュの粒径を有する粒子と、接着剤とを含む香味吸引物品フィルター用シートであって、
厚さ方向の中心から一方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CA、
厚さ方向の中心から他方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBとするとき、
CA>CBである、
香味吸引物品フィルター用シート。
(2)前記シートの単位面積あたりに含まれる前記粒子重量が7~80g/mである、(1)に記載のシート。
(3)前記CAが60~100であり、前記CBが0~40である、(1)または(2)に記載のシート。
(4)一方の表面から厚さ方向に5%の領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CAs、
他方の表面から厚さ方向に5%の領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBsとするとき、
CAsが0~10、CBsが0~5である、(1)~(3)のいずれかに記載のシート。
(5)前記粒子が、
吸着剤または成分放出剤を含む、(1)~(4)のいずれかに記載のシート。
(6)前記繊維が木材パルプ繊維である(1)~(5)のいずれかに記載のシート。
(7)前記シートの単位面積当たりに含まれる前記木材パルプ繊維の重量が25~50g/mである、(6)に記載のシート。
(8)前記接着剤がポリビニルアルコール、酢酸ビニルアクリルコポリマー、またはこれらの混合物である(1)~(7)に記載のシート。
(9)前記シートの単位面積当たりに含まれる前記接着剤の重量が4~40g/mである、(1)~(8)のいずれかに記載のシート。
(10)以下の工程:
工程1:裏面から吸引されているメッシュ上に、繊維を載置してシートを形成する
工程2:前記シートの一方の面Aに接着剤を添加する
工程3:工程2で得たシートを反転する
工程4:前記シートの他の面Bに前記粒子および接着剤を同時に添加するか、前記粒子を添加した後に接着剤を添加する、
を備える、(1)~(9)のいずれかに記載のシートの製造方法。
(11)工程1が、気体を媒体として前記繊維を前記メッシュ上に吹き付けることを含む、(10)に記載の製造方法。
(12)工程2と工程3の間に、前記シートの面Aを乾燥する工程をさらに含む、(10)または(11)に記載の製造方法。
(13)前記(1)~(9)のいずれかに記載のシートを含む、香味吸引物品フィルター。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、高い強度を有する、粒子含有香味吸引物品フィルター用シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】香味吸引物品フィルター用シートの断面図
図2】香味吸引物品フィルター用シートの製造方法を示す図
図3】香味吸引物品フィルターの概念図
図4】燃焼型たばこ香味吸引物品の一態様を示す図
図5】非燃焼型たばこ香味吸引物品の一態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
本発明において、「香味吸引物品」とは使用者が香味を吸引するための物品をいう。香味吸引物品のうち、たばこまたはそのたばこに由来する成分を有するものを「たばこ香味吸引物品」という。たばこ香味吸引物品は、燃焼によって香味を発生させる「燃焼型たばこ香味吸引物品」(単に「喫煙物品」ともいう)、燃焼させずに香味を発生させる「非燃焼型たばこ香味吸引物品」に大別される。さらに、非燃焼型たばこ香味吸引物品は、加熱によって香味を発生させる「非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品」と、加熱せずに香味を発生させる「非燃焼非加熱型たばこ香味吸引物品」に大別される。
【0009】
1.香味吸引物品フィルター用シート
香味吸引物品フィルター用シートは、繊維と20~200メッシュの粒径を有する粒子と接着剤とを含み、厚さ方向において当該粒子が偏在している。
(1)粒子
香味吸引物品フィルター用シートに含まれる粒子は20~200メッシュの粒径を有する。粒径が過度に小さいと取り扱いが困難となる。また粒径が過度に大きいと当該シートの内部に粒子がとどまりにくく、シート表面に粒子の多くが存在することになる。その結果、当該シートを用いてフィルター製造する際にシート表面に存在する粒子と装置表面とが高速で接触し、装置表面傷つけてしまうことや、シートから粒子が脱落する等によってシートの機械的特性が低下することが懸念される。この観点から、前記数値範囲の下限値は、好ましくは28メッシュ以上であり、より好ましくは70メッシュ以上である。前記数値範囲の上限値は、好ましくは150メッシュ以下である。28メッシュ以上の粒子は、喫煙物品フィルター用シート内部に埋没しやすいので好ましい。
【0010】
粒子としては香味吸引物品の分野で使用されるものであれば限定されないが、好ましくは吸着剤または成分放出剤である。吸着剤とは香味吸引物品から発生する吸引するための成分の一部を吸着する材料であり、例えば活性炭やゼオライト等の多孔質材料、セルロース等の極性基含有材料が挙げられる。成分放出剤とは、ある物質と当該物質を放出可能であるように担持する担体とを含む材料、またはそれ自体が物質を放出する材料である。前者において物質とはメンソール等の香料が挙げられ、担体としてはシクロデキストリン等の包摂化合物や、炭酸カルシウムやアルミナ等の多孔性材料が挙げられる。後者の例としては、ミント葉を粉砕して得たミント葉粒子やたばこ植物を粉砕して得たたばこ粒子等が挙げられる。ミント葉粒子はメントール等を放出し、たばこ粒子は香味を放出する。全粒子が吸着剤または成分放出剤で構成されてもよいし、全粒子の一部が吸着剤または成分放出剤で構成されてもよい。後者において、全粒子中の吸着剤および成分放出剤の合計量の下限は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。また、その上限は好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下である。
【0011】
(2)繊維
繊維は香味吸引物品フィルター用シートのマトリックスを形成できるものであれば限定されない。例えばセルロースアセテート、PP、PE、PET、ポリ乳酸等を原料とする合成繊維または半合成繊維を挙げることができる。また、セルロース等を原料とする植物繊維等の天然繊維を挙げることができるが、環境負荷低減の観点からは天然繊維であることが好ましい。繊維の長さは特に限定されないが、シートのマトリックスを形成するためには比較的短い繊維が好ましく、その繊維長は5mm以下であることが好ましい。当該繊維の繊度は特に限定されないが、合成繊維または半合成繊維の場合の単繊度は、好ましくは1~30(デニール/フィラメント)であり、より好ましくは1~10(デニール/フィラメント)である。天然繊維の場合は、太さと長さを表す指標として粗度を用いることができる。吸引に適した通気抵抗をより容易に達成できる観点から、当該粗度は、0.15~0.25mg/mであることが好ましく、0.16~0.24mg/mであることがより好ましく、0.18~0.22mg/mであることがさらに好ましい。当該粗度はJIS P 8120:1998に準拠して測定される。
【0012】
合成繊維または半合成繊維を使用する際の繊維の断面形状は限定されないが、R形状またはY形状が好ましく、コストの観点からはY形状がより好ましい。また、シート成型時に繊維と繊維との接触点を接着してシート強度を向上するために、可塑剤やバインダーを用いることができる。セルロース等の天然繊維を使用する際は、でんぷん、修飾でんぷん、修飾セルロース、PVA、またはPVAc等の水溶性バインダーを単独もしくは複数種類混合して用いることができ、あるいはラテックス等を用いることもできる。繊維としてアセテート繊維を用いる場合は、前記天然繊維用のバインダーを用いることができ、酢酸セルロースを溶解する能力を有する可塑剤(トリアセチン)を使うこともできる。
【0013】
中でも、合成繊維や半合成繊維と比較して環境負荷が小さいことから天然繊維が好ましく、特に耐熱性に優れるという観点から、木材パルプ繊維が好ましい。この場合、シートをフィルターに加工する際の製造適性や、フィルター加工後のロッド硬さの観点から、シートの単位面積当たりに含まれる木材パルプ繊維の重量は25~50g/mであることが好ましい。
【0014】
(3)接着剤
接着剤としては、公知のものを使用できる。中でも香味吸引物品の味香への影響が比較的少なく、かつ耐熱性に優れるという観点から、接着剤は、好ましくは、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルアクリルコポリマーまたはこれらの混合物から選択される。接着剤重量(固形分重量)は、シートの単位面積当たり4~40g/mであることが好ましい。接着剤の量が過度に多いと経済的に不利となり、また香味への影響が懸念される。また当該量が過度に少ないと繊維間の接着点が少なく、繊維がばらける、シート引張強度が保てない等の不具合が生じうる。
【0015】
(4)粒子の分配率
粒子は以下の分配率を以て香味吸引物品フィルター用シート中に分布している。分配率について図1を参照して説明する。図1は香味吸引物品フィルター用シートの断面を示す。図中、1は香味吸引物品フィルター用シート、13は粒子、15は繊維、Aは一方の面、aは厚さ方向の中心から一方の面までの領域、Bは他方の面、bは厚さ方向の中心から他方の面までの領域である。分配率CA、CBは以下のとおりに定義される。
CA=領域aに存在する粒子重量/全粒子重量
CB=領域bに存在する粒子重量/全粒子重量
シート中に粒子は、CA>CBを満たすように分布している。CA:CBは好ましくは60~100:0~40であり、より好ましくは70~90:10~30である。
【0016】
粒子の総重量は、香味吸引物品フィルター用シートの単位面積あたり好ましくは7~80g/mであり、より好ましくは10~40g/mである。粒子の重量が下限値未満であると粒子の機能を十分に発現できず、上限値を超えると経済的に不利となる。
【0017】
香味吸引物品フィルター用シートの表層近傍における粒子の分配率は低いことが好ましい。香味吸引物品フィルター用シートの表層近傍に粒子が多く存在すると、製造時に製造装置を損傷するおそれがあるからである。かかる観点から、以下のとおりに定義される、粒子の表層近傍における分配率CAsは好ましくは0~10、より好ましくは0~5、さらに好ましくは0~3であり、分配率CBsは好ましくは0~5、より好ましくは0~3、さらに好ましくは0~1である。製造装置を保護する観点からCAsとCBsはともに0であることがさらに好ましく、CAsとCBsがともに0でない場合、粒子が香味吸引物品フィルター用シート内に埋没していることが好ましい。
CAs=一方の表面(面A)から厚さ方向に5%の領域に存在する粒子重量/全粒子重量
CBs=他方の表面(面B)から厚さ方向に5%の領域に存在する粒子重量/全粒子重量
【0018】
これらの分配率は、香味吸引物品フィルター用シートの断面を画像解析して求めることもできるし、あるいは香味吸引物品フィルター用シートを厚み方向の中心または表面から5%の部分において主面と平行な面で分割し、粒子とシートの重量を測定して求めることもできる。簡便であるという観点から、前者の方法が好ましい。香味吸引物品フィルター用シートにおける分配率は面方向において均一であるので、当該方法においては香味吸引物品フィルター用シートの一つの断面を画像解析することでシート全体の分配率としてよい。
【0019】
(5)香味吸引物品フィルター用シートの形状等
形状は用途に応じて適宜調製される。例えば、直径24mm、高さ27mmの円筒状の香味吸引物品フィルターとする場合であれば、香味吸引物品フィルター用シートの形状は、長さ27mm、幅50~150mm、厚さ0.8~2.0mm程度である。厚さはシート断面に対して画像解析等の光学的な測定を行なうことで測定できる。また、JISP8118:2014で示されている紙および板紙の厚さ測定法を用いて測定することもできる。香味吸引物品フィルター用シートのみかけ密度も限定されないが、一態様において30~200g/mである。ここで言うみかけ密度は、シート構成要素である、繊維、接着剤、および粒子のすべてを含むシートの坪量をシートの体積で割ることで算出できる。
【0020】
2.製造方法
香味吸引物品フィルター用シートは任意の方法で製造されうるが、以下の工程を備える方法で製造されることが好ましい。
工程1:裏面から吸引されているメッシュ上に、繊維を載置してシートを形成する
工程2:前記シートの一方の面Aに接着剤を添加する
工程3:工程2で得たシートを反転する
工程4:前記シートの他の面Bに前記粒子および接着剤を同時に添加するか、前記粒子を添加した後に接着剤を添加する。
【0021】
図2は当該製造方法の一態様を示す。図中、3はメッシュ、5および7はシート搬送機、10は粒子を含まないシート、1は香味吸引物品フィルター用シート、31は繊維供給機、33は接着剤供給機、37は吸引器、55は乾燥機、71は粒子供給機、73は接着剤供給機、75は乾燥機である。理解しやすいように複数のシート10が図示されているが、メッシュ3上のシート10からシート1までは連続していてもよい。
【0022】
(1)工程1
本工程では、裏面から吸引されているメッシュ上に、繊維を載置してシート10を形成する。メッシュとしては不織布の製造において使用されるものであれば限定されず、例えばワイヤーメッシュ等が挙げられる。メッシュが裏面から吸引されていることによって、載置された繊維が固定される。本工程は、気体を媒体として繊維を前記メッシュ上に吹き付けて実施することが好ましい。気体として、空気を使用することができる。
【0023】
(2)工程2
本工程では、シート10の一方の面Aに接着剤を添加する。接着剤は前述のとおりであり、その量も適宜調整されるが、他方の面Bに添加される接着剤の量を考慮して、最終的にシートの単位面積あたりに含まれる量が接着剤固形分の重量で4~40g/m程度となるように調整される。例えば面Aに接着剤を2~20g/m程度添加して、工程4において面Bに接着剤を2~20g/m程度添加することができる。接着剤供給機33はスプレーであり、接着剤は噴霧されることが好ましい。接着剤が添加されたシート10は、シート搬送機5に受け渡され、好ましくは乾燥される。乾燥は乾燥機55を用いて実施されてもよいし、風乾によって実施されてもよい。シート搬送機としては、例えばベルトコンベアーを用いることができる。本工程によって面Aに接着剤が付与され繊維同士が固着される。
【0024】
(3)工程3
本工程では工程2で得たシート10を反転する。具体的には、シート10がシート搬送機5からシート搬送機7に受け渡されることによって、面Bが紙面上方向を向くように反転される。
【0025】
(4)工程4
本工程ではシート10の他の面Bに、前記粒子および接着剤を同時に添加するか、あるいは前記粒子を添加した後に接着剤を添加する。図2には、シート10の面Bに、粒子供給機71から粒子を供給し、次いで接着剤供給機73から接着剤を噴霧する態様を示す。接着剤と粒子を同時に供給してもよい。接着剤供給機73は前述のとおりスプレーであることが好ましい。本工程で添加される接着剤の量は、前述のとおり最終的に接着剤固形分の重量が4~40g/m程度となるように調整される。粒子の量は所望の量を達成できるように適宜調整される。このように製造された喫煙物品フィルター用シート1は面A側に粒子が多く存在する。
【0026】
(5)乾燥工程
本製造方法では、任意の位置において乾燥工程を設けることができる。図2には、工程2と3の間、および工程4の後に前記シートを乾燥する乾燥工程を設けた態様を示す。本態様は水溶性接着剤を用いる場合に好適である。乾燥は風乾によって実施されてもよい。また接着剤としてラッテクスを用いる場合は、乾燥機を用いた乾燥工程を設けずに風乾するか、または乾燥工程を設けなくてもよい。
【0027】
3.香味吸引物品
香味吸引物品フィルター用シートから香味吸引物品フィルターが調製される。当該調製方法は限定されず公知の方法で実施できるが、例えば裁断された香味吸引物品フィルター用シートを巻いて円筒状に形成することや、図3に示すように複数の裁断された香味吸引物品フィルター用シート1を重ねてシート断面がS字型を描くように折り曲げてラッパー内に充填して円筒状に形成し、フィルターセグメント100とすることができる。図3の方法は例えば特公昭44-3727に記載のとおりに実施できる。当該フィルターセグメントと香味発生セグメント等の他のセグメントとを組み合わせて、燃焼型たばこ香味吸引物品、または非燃焼型たばこ香味吸引物品特に非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品とすることができる。
【0028】
(1)燃焼型たばこ香味吸引物品
燃焼型たばこ香味吸引物品の一例を図4に示す。図4に示されるように、燃焼型たばこ香味吸引物品240は、たばこロッド部250と、これに隣接して設けられた第2フィルターセグメントF2と第1フィルターセグメントF1(これらを合わせて「フィルター部」ともいう)とを含む。図4には、第2フィルターセグメントF2が本発明のフィルターセグメント100で構成される態様を示すが、第1フィルターセグメントF1が本発明のフィルターセグメント100で構成されていてもよい。たばこロッド部250は、たばこ刻み260(刻み葉、煙草)と、その周囲を巻いた巻紙270とを含む。たばこロッド部250と第1フィルターセグメントF1と第2フィルターセグメントF2とは、チップペーパー部材280によって連結されている。チップペーパー部材280は、その外周の一部に通気孔を有していてもよい。通気孔の数は1つでも複数でもよく、例えば10~40個形成されていることができる。通気孔の数が複数の場合、通気孔は例えばチップペーパー部材280の外周部に一列に並んで環状に配置されることができる。複数の通気孔は、略一定の間隔で配置されることができる。通気孔を設けることによって、吸引時に通気孔からフィルター部内に空気が取り込まれる。主流煙を通気孔からの外気によって薄めることで、所望のタール値の製品設計を行うことができる。F2が本発明のフィルターセグメントである場合は、F1は、酢酸セルロース長繊維束に可塑剤であるトリアセチンを添加した後にフィルターラッパーで円筒状に巻装した通常のアセテートフィルターや、本発明のフィルターから粒状物を除いた、繊維と接着剤とを含む不織布シートをフィルターラッパーで円筒状に巻装した不織布フィルター、または紙をクレープ加工およびギャザー加工してフィルターラッパーで円筒状に巻装したペーパーフィルターであってよい。
【0029】
燃焼型たばこ香味吸引物品においては、F2のセグメント長さは10~15mm程度であることができる。その場合は、F2セグメント内に粒状物を20~100mg程度充填することができる。粒状物として活性炭を用いる場合、燃焼型たばこ香味吸引物品使用時の香味品質の観点からはF2セグメント内に20~50mg程度を充填することが望ましく、主流煙中の揮発性成分を除去する観点からはF2セグメント内に50~100mg程度充填することが望ましい。
【0030】
使用者は、たばこロッド部250の先端に着火して、第1フィルターセグメントF1の吸口端を口でくわえて吸引することで、たばこの香味を楽しむことができる。フィルターセグメント100中の粒子13を適宜選択することで、燃焼型たばこ香味吸引物品240に種々の機能を付与することができる。
【0031】
(2)非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品
非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品の一例を図5に示す。図中、300は非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品であり、たばこロット部310と、マウスピースセグメント320とを備える。マウスピースセグメント320は、冷却セグメント330と、センターホールセグメント340と第1フィルターセグメントF1と第2フィルターセグメントF2とを備える。第1フィルターセグメントF1と第2フィルターセグメントF2を合わせて「フィルター部」ともいう。図5は、第2フィルターセグメントF2が本発明のフィルターセグメント100で構成されている態様を示す。しかし、第1フィルターセグメントF1が本発明のフィルターセグメント100で構成されていてもよく、この場合、第2フィルターセグメントF2を省略することもできる。吸引時、たばこロット部310が加熱され、第1フィルターセグメントF1の端部より吸引が行われる。
【0032】
たばこロット部310は、たばこと、エアロゾル生成基材と、を含むたばこ充填物350と、たばこ充填物350を覆う筒状のラッパー360とを有する。たばこ充填物350は、さらに揮発性香料成分、水を含んでもよい。充填物として用いるたばこの大きさやその調製法は限定されない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。前記幅に刻んだ場合、刻の長さは、おおよそ、5~20mm程度となる。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。前記幅に刻んだ場合、刻の長さは、おおよそ、5~20mm程度となる。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物として用いてもよい。また、円筒状に成型した複数のシートを同心円状に配置してもよい。乾燥したたばこ葉を刻んで使用する場合であっても、粉砕して均一化したシートとして用いる場合でも、たばこ充填物に含まれるたばこの種類は、様々なものを用いることができる。黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、および、その他のニコチアナ・タバカム系品種やニコチアナ・ルスチカ系品種を、目的とする味となるように適宜ブレンドして用いることができる。前記たばこの品種の詳細は、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。
【0033】
たばこを粉砕して均一化シートに加工する方法として複数の方法が知られている。1つは抄紙プロセスを用いて作られる抄造シートであり、2つは水等の適切な溶媒を混ぜて均一化したのちに金属製板もしくは金属製板ベルトの上に均一化物を薄くキャスティングし、乾燥させて作られるキャストシートであり、3つは水等の適切な溶媒を混ぜて均一化したものをシート状に押し出し成型した圧延シートがある。前記均一化シートの種類については、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に詳細が開示されている。
【0034】
たばこ充填物350の充填密度は、特に限定されないが、非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品300の性能を担保し、良好な香味の付与の観点から、通常250mg/cm以上であり、好ましくは320mg/cm以上であり、また、通常520mg/cm以下であり、好ましくは420mg/cm以下である。具体的には、円周22mm、長さ20mmのたばこロット部310の場合、たばこ充填物350の含有量の範囲は、たばこロット部310あたり200~450mgを挙げることができ、好ましくは280~400mgである。
【0035】
エアロゾル生成基材は加熱によりエアロゾルを生成し得る材料であり、特に限定されないが、例えばグリセリン、プロピレングリコール(PG)、トリエチルシトレート(TEC)、トリアセチン、1,3-ブタンジオール等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0036】
揮発性香料成分の種類は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、アセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス-アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、2,3-ブタンジオン、2-ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β-カロテン、ニンジンジュース、L-カルボン、β-カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミル油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、DL-シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ-デカラクトン、γ-デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、3,4-ジメチル-1,2-シクロペンタンジオン、4,5-ジメチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジヒドロフラン-2-オン、3,7-ジメチル-6-オクテン酸、2,3-ジメチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、2-メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、2-エチル-3,(5または6)-ジメチルピラジン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、2-エチル-3-メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ-ヘプタラクトン、γ-ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス-3-ヘキセン-1-オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、4-ヒドロキシ-3-ペンテン酸ラクトン、4-ヒドロキシ-4-(3-ヒドロキシ-1-ブテニル)-3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、4-(パラ-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β-イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、メンソール、メントン、酢酸L-メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル-2-ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、4’-メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、3-メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ-ノナラクトン、ナツメグ油、δ-オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω-ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、3-プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α-テルピネオール、酢酸テルピニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリン、1,5,5,9-テトラメチル-13-オキサシクロ(8.3.0.0(4.9))トリデカン、2,3,5,6-テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、2-トリデカノン、クエン酸トリエチル、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)2-ブテン-4-オン、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1,4-ジオン、4-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエニル)2-ブテン-4-オン、2,3,5-トリメチルピラジン、γ-ウンデカラクトン、γ-バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュート、たばこ植物(たばこ葉、たばこ茎、たばこ花、たばこ根、およびたばこ種)の抽出物が挙げられ、特に好ましくはメンソールである。また、これらの揮発性香料成分は1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。
【0037】
たばこ充填物350中のエアロゾル生成基材の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを生成させるとともに、良好な香味の付与の観点から、通常5~50重量%であり、好ましくは10~20重量%である。たばこ充填物350が揮発性香料成分を含む場合、たばこ充填物中の揮発性香料成分の含有量は、特に限定されず、良好な香味の付与の観点から、通常たばこ充填物重量に対して100ppm以上であり、好ましくは10000ppm以上であり、より好ましくは25000ppm以上であり、また、通常100000ppm以下であり、好ましくは50000ppm以下であり、より好ましくは33000ppm以下である。
【0038】
たばこ充填物350をラッパー360内に充填する方法は特に限定されないが、例えばたばこ充填物350をラッパー360で包んでもよく、筒状のラッパー360にたばこ充填物350を充填してもよい。たばこの形状が矩形状のように長手方向を有する場合、たばこは該長手方向がラッパー360内でそれぞれ不特定の方向となるように充填されていてもよく、たばこロット部310の軸方向または軸方向に対して垂直な方向となるように整列させて充填されていてもよい。たばこロット部310が加熱されることにより、たばこ充填物350に含まれるたばこ成分、エアロゾル生成基材および水が気化し、吸引によりこれらはマウスピースセグメント320へ移行する。
【0039】
冷却セグメント330は筒状部材370で構成される。筒状部材370は例えば厚紙を円筒状に加工した紙管であることができる。筒状部材370および後述するマウスピースライニングペーパー420には、両者を貫通する穿孔380が設けられている。穿孔380の存在により、吸引時に外気が冷却セグメント330内に導入される。これにより、たばこロット部310が加熱されることで生成したエアロゾル気化成分が外気と接触し、その温度が低下するため液化し、エアロゾルが形成される。穿孔380の径(差し渡し長さ)は特に限定されないが、例えば0.5~1.5mmであることができる。穿孔380の数は特に限定されず、1つでも2つ以上でもよい。例えば穿孔380は冷却セグメント330の周上に複数設けられていてもよい。
【0040】
センターホールセグメント340は、中空部を有する充填層390と、充填層390を覆うインナープラグラッパー400とで構成される。センターホールセグメント340は、マウスピースセグメント320の強度を高める機能を有する。充填層390は、例えば酢酸セルロース繊維が高密度で充填され、トリアセチンを含む可塑剤が酢酸セルロース重量に対して6~20重量%添加されて硬化された、内径φ5.0~φ1.0mmのロッドであることができる。充填層390は繊維の充填密度が高いため、吸引時は空気やエアロゾルは中空部のみを流れることになり、充填層390内はほとんど流れない。フィルター部でのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときに、フィルター部の長さを短くし、センターホールセグメント340で置き換えることは、エアロゾル成分のデリバリー量を増大させるために有効である。センターホールセグメント340内部の充填層390は繊維充填層であることから、使用時の外側からの触り心地は良好である。
【0041】
センターホールセグメント340と、フィルター部とはアウタープラグラッパー410で接続されている。アウタープラグラッパー410は、例えば円筒状の紙であることができる。また、たばこロット部310と、冷却セグメント330と、接続済みのセンターホールセグメント340およびフィルター部とは、マウスピースライニングペーパー420により接続されている。これらの接続は、例えばマウスピースライニングペーパー420の内側面に酢酸ビニル系糊等の糊を塗り、前記3つのセグメントを入れて巻くことで接続することができる。
【0042】
非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品の軸方向、すなわち図5における水平方向の長さは特に限定されないが、40~90mmであることが好ましく、50~75mmであることがより好ましく、50~60mmであることがさらに好ましい。また、非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品の周の長さは16~25mmであることが好ましく、20~24mmであることがより好ましく、21~23mmであることがさらに好ましい。例えば、たばこロット部310の長さは20mm、冷却セグメント330の長さは20mm、センターホールセグメント340の長さは6mm、第1フィルターセグメントF1と第2フィルターセグメントF2の部の長さは、それぞれ7.0mmである態様を挙げることができる。これら個々のセグメント長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。その際は、第2フィルターセグメントF2に含まれる粒状物の重量は15~50mgである態様を上げることができる。さらに、センターホールセグメント340を用いずに、冷却セグメント330の下流側にフィルター部のみを配置してもよい。フィルターセグメント100中の粒子13を適宜選択することで、燃焼型たばこ香味吸引物品240に種々の機能を付与することができる。
【0043】
(3)非燃焼加熱型たばこ香味吸引システム
非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品は、当該物品を加熱するデバイスと組合せて使用されることが好ましい。この組合せを非燃焼加熱型たばこ香味吸引システムともいう。デバイスとしては公知のものを用いることができ、例えば、電気抵抗によるヒーターを備えることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 喫煙物品フィルター用シート
10 粒子を含まないシート
13 粒子
15 繊維

3 メッシュ
31 繊維供給機
33 接着剤供給機
37 吸引器

5 シート搬送機
55 乾燥機

7 粒子供給領域
71 粒子供給機
73 接着剤供給機
75 乾燥機

100 フィルターセグメント

240 燃焼型たばこ香味吸引物品
250 たばこロッド部
F1 第1フィルターセグメント
F2 第2フィルターセグメント
260 たばこ刻み
270 巻紙
280 チップペーパー部材

300 非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品
310 たばこロット部
320 マウスピースセグメント
330 冷却セグメント
340 センターホールセグメント
350 たばこ充填物
360 ラッパー
370 筒状部材
380 穿孔
390 充填層
400 インナープラグラッパー
410 アウタープラグラッパー
420 マウスピースライニングペーパー
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-11-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維と、20~200メッシュの粒径を有する粒子と、接着剤とを含む香味吸引物品フィルター用シートであって、
厚さ方向の中心から一方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CA、
厚さ方向の中心から他方の面までの領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBとするとき、
CA>CBであり、かつCA:CB=60~90:10~40である、
香味吸引物品フィルター用シート。
【請求項2】
前記シートの単位面積あたりに含まれる前記粒子重量が7~80g/mである、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
一方の表面から厚さ方向に5%の領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CAs、
他方の表面から厚さ方向に5%の領域に存在する前記粒子重量/全粒子重量を分配率CBsとするとき、
CAsが0~10、CBsが0~5である、
請求項1または2に記載のシート。
【請求項4】
前記粒子が、
吸着剤または成分放出剤を含む、
請求項1~のいずれかに記載のシート。
【請求項5】
前記繊維が木材パルプ繊維である請求項1~のいずれかに記載のシート。
【請求項6】
前記シートの単位面積当たりに含まれる前記木材パルプ繊維の重量が25~50g/mである、請求項に記載のシート。
【請求項7】
前記接着剤がポリビニルアルコール、酢酸ビニルアクリルコポリマー、またはこれらの混合物である請求項1~のいずれかに記載のシート。
【請求項8】
前記シートの単位面積当たりに含まれる前記接着剤の重量が4~40g/mである、請求項1~8のいずれかに記載のシート。
【請求項9】
以下の工程:
工程1:裏面から吸引されているメッシュ上に、繊維を載置してシートを形成する
工程2:前記シートの一方の面Aに接着剤を添加する
工程3:工程2で得たシートを反転する
工程4:前記シートの他の面Bに前記粒子および接着剤を同時に添加するか、前記粒子を添加した後に接着剤を添加する、
を備える、請求項1~のいずれかに記載のシートの製造方法。
【請求項10】
工程1が、気体を媒体として前記繊維を前記メッシュ上に吹き付けることを含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
工程2と工程3の間に、前記シートの面Aを乾燥する工程をさらに含む、請求項または10に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項1~のいずれかに記載のシートを含む、香味吸引物品フィルター。