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特開2025-11343健康管理を支援するための情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011343
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】健康管理を支援するための情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20250117BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20250117BHJP
【FI】
G16H50/30
G16H10/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109587
(22)【出願日】2023-07-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】502265688
【氏名又は名称】株式会社JMDC
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智美
(72)【発明者】
【氏名】浜田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】金澤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 睦月
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】客観的なデータを用いて選択した行動目標をユーザに提供することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示に係る情報処理装置は、健康管理を支援する情報処理装置であって、複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得手段と、複数のユーザの行動目標に対する実施状況を示すデータと、健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出手段と、算出された有効性の指標に応じて選択した行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供手段と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康管理を支援する情報処理装置であって、
複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得手段と、
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータと、前記評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出手段と、
算出された前記有効性の指標に応じて選択した行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段は、ユーザの健康状態の評価結果を示すデータを更に取得し、
前記算出手段は、前記ユーザの前記評価結果の評価項目に対する効果が期待される行動目標について前記有効性の指標を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、ユーザの健康状態の評価結果を示すデータを更に取得し、
前記算出手段は、前記ユーザの前記評価結果において改善を要する評価項目が存在する場合、当該評価項目に対する効果が期待される行動目標について前記有効性の指標を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータは、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標と、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標とを含み、
前記算出手段は、前記有効性の指標を算出するときに、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標と、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標とを用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記行動目標を実施したユーザ数の指標を示すデータは、所定の健康状態の評価項目の数値レベルに応じてグループ分けされたユーザのグループごとに設定される、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記行動目標を実施したユーザ数の指標を示すデータは、肥満度合いに応じてグループ分けされたユーザのグループごとに設定される、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数のユーザの通信装置から受信した、各ユーザに提供された行動目標に対する行動履歴を示すデータを用いて、複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータを生成し、前記データベースに格納する格納手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記有効性の指標に応じて選択した行動目標について、当該行動目標に予め設定されている行動目標の強度を、当該行動目標が対象とする健康状態の評価項目の数値を所定量だけ改善するための強度に低下させる調整手段を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提供手段は、選択した行動目標と、選択した行動目標が提示される理由とを前記提示情報に含める、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
選択した行動目標が提示される理由は、提示される行動目標を実施したユーザ数の指標によるものであること、提示される行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標によるものであること、及び、行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果によるものであること、のいずれかを示す、ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
各工程が情報処理装置で実行される、健康管理を支援する情報処理方法であって、
複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得工程と、
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータと、前記評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出工程と、
算出された前記有効性の指標に応じて選択した行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供工程と、ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から10のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理を支援するための情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病の予防や治療の重要性が高まっている。生活習慣病を予防又は治療するために、食行動や運動、飲酒など長期間にわたって形成された生活習慣を変え、なおかつ継続することは一般的に困難である。
【0003】
このような課題に対し、対象者によって入力された性格問診項目の回答と生活習慣問診項目の回答とに基づいて、生活習慣病を予防改善するための行動目標を抽出する技術が提案されている(特許文献1)。このような技術により、対象者の性格と生活習慣を考慮し、継続して実行し易い行動目標を対象者に提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6719788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案される技術では、対象者(すなわちユーザ)の主観的な観点が反映される問診項目に対する回答を用いて行動目標を抽出する技術を提案している。このため、特許文献1では、客観的なデータを用いて行動目標を抽出することは考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、客観的なデータを用いて選択した行動目標をユーザに提供することが可能な技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、例えば本発明の情報処理装置は、
健康管理を支援する情報処理装置であって、
複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得手段と、
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータと、前記評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出手段と、
算出された前記有効性の指標に応じて選択した行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、客観的なデータを用いて選択した行動目標をユーザに提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る健康管理支援システムの一例を示す図
図2】実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示すブロック図
図3】実施形態に係る通信装置の機能構成例を示すブロック図
図4】実施形態に係る行動目標提供処理の概要を説明する図
図5】実施形態に係る提示情報の一例を示す図
図6】実施形態に係るデータベースに記憶されるデータの一例を示す図
図7】実施形態に係る行動目標提供処理の一連の動作を示すフローチャート
図8】行動目標ごとに実施率の高いユーザグループが異なることを模式的に説明する図
図9】健康診断のデータと食事に関する行動目標の実施との関連性の一例を模式的に示す図
図10】健康診断のデータと運動に関する行動目標の実施との関連性の一例を模式的に示す図
図11】実施形態に係る、行動目標の調整を含む行動目標提供処理について説明する図
図12】実施形態に係る、行動目標の調整を含む行動目標提供処理の一連の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(健康管理支援システムの構成)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る健康管理支援システムの構成について説明する。健康管理支援システム10は、例えば、ユーザが使用する通信装置110と、情報処理装置100と、別のユーザが使用する通信装置111とを含む。
【0012】
通信装置110は、ユーザの健康診断の結果及びユーザの属性等を含むユーザ情報120を情報処理装置100に送信する。情報処理装置100は、後述する行動目標提供処理によりユーザに適した行動目標を選択し、選択した行動目標を含む提示情報121をユーザの通信装置110に送信する。行動目標は、生活習慣病を予防する又は治療するための、或いは、健康を増進するための、例えば、食、運動、飲食、喫煙、睡眠、及び歯磨きなどに関するユーザの行動の目標を含む。行動目標は、一例として、「1日8000歩以上歩く」、「朝食を食べる」、「アルコールを飲まない」、「1日7時間以上の睡眠時間をとる」などが含まれる。なお、本実施形態では、ユーザの健康状態の評価結果として、ユーザの健康診断の結果を用いる場合を例に説明する。しかし、ユーザの健康状態の評価結果は、ユーザの健康診断の結果に限らず、病院や保険機関におけるユーザの身体に関わる測定や検査の結果、或いは、ユーザが利用する各種デバイス及び検査用品で計測、収集、分析の少なくともいずれかがなされたユーザの身体に関わる測定や検査の結果を含んでよい。
【0013】
情報処理装置100は、通信装置111を用いるユーザに対しても不図示の(行動目標を含む)提示情報121を提示することができる。通信装置111は、通信装置111のユーザに関する、行動目標に対する行動履歴130を情報処理装置100に送信することができる。行動目標に対する行動履歴130は、例えば「1日8000歩以上歩く」などの行動目標を達成したことを示す情報を含む。例えば、ユーザは、通信装置111において、行動目標を達成したことを示す情報を入力することができる。或いは、通信装置111が、ユーザが装着するウェアラブルデバイス(不図示)から、例えば、1日に歩いた歩数の情報を取得して、ユーザによる入力無しに、行動目標を達成したことを示す情報を生成する。そして、行動目標を達成したことを示す情報を、行動目標に対する行動履歴として情報処理装置100に送信してもよい。また、通信装置111が、ユーザが装着するウェアラブルデバイスから、1日に歩いた歩数の情報を取得して、当該情報を行動目標に対する行動履歴130として情報処理装置100に送信してもよい。この場合、情報処理装置100が行動目標を達成したことを示す情報を生成すればよい。通信装置111は、所定の頻度で(例えば1日に一度の頻度で)、行動目標に対する行動履歴130を情報処理装置100に送信することができる。
【0014】
情報処理装置100は、複数のユーザによる行動目標に対する行動履歴を収集することができる。情報処理装置100は、収集した行動履歴の情報に基づいて、行動目標のそれぞれに対する実施率や継続率を算出することができる。
【0015】
詳細は後述するが、本実施形態では、情報処理装置100が行動目標のそれぞれに対する実施率や継続率といったデータに基づいて、各ユーザに対して行動目標を提供する。このため、情報処理装置100は、各行動目標に対する実施率や継続率といった客観的なデータに基づいて行動目標を提供することが可能になる。
【0016】
また、本実施形態では、通信装置110及び通信装置111が例えばスマートフォンである場合を例に説明する。しかし、通信装置110及び通信装置111は、スマートフォンに限らず、他の情報端末、例えばデスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット型端末などであってよい。また、通信装置110及び通信装置111は、ユーザのバイタルデータを収集可能なウェアラブルデバイスであってもよい。ウェアラブルデバイスは例えばスマートウォッチを含み、バイタルデータは、例えばユーザが1日に歩いた歩数、ユーザの睡眠時間等に関する情報を含む。
【0017】
(情報処理装置の構成)
次に、情報処理装置100の機能構成例について、図2を参照して説明する。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0018】
通信部201は、ネットワークを介して様々な通信装置(例えば通信装置110、通信装置111)と通信する通信回路を含む。通信部201は、制御部204が処理する情報を通信相手の装置(例えば、通信装置110等)から受信したり、制御部204によって処理された情報を通信相手の装置(例えば、通信装置110等)に送信したりする。電源部202は、情報処理装置100の動作に必要となる電力を提供する電源である。
【0019】
記憶部203は、例えばハードディスクや半導体メモリなどの不揮発性の記憶媒体を含み、情報処理装置100の制御部204によって実行される各種プログラム、制御部204によって使用される各種データ、及びDB230を含む。各種プログラムには、本実施形態に係る行動目標提供処理を実行するためのプログラムのほか、オペレーティングシステム、フレームワーク、ライブラリなどを含んでよい。各種データは、例えば、情報処理装置100の設定値や、学習モデルの学習後のパラメータ値などが含まれる。また、記憶部203のDB230は、例えば、ユーザの健康診断の結果やユーザの属性の情報を含むユーザ情報、行動目標ごとの実施率、行動目標ごとの継続率、各行動目標を実施した場合に期待される健康診断項目に対する効果を示すデータなどを格納する。なお、本実施形態の説明では、各行動目標を実施した場合に期待される「健康状態の評価項目に対する効果」の一例として、各行動目標を実施した場合に期待される「健康診断項目に対する効果」を用いる場合を例に説明する。しかし、各行動目標を実施した場合に期待される「健康状態の評価項目に対する効果」は、期待される健康診断項目に対する効果のほか、各行動目標を実施した場合に、疾患の罹患が無いこと或いは疾患の悪化が無いこと(すなわち予防)を含んでよく、更に、各行動目標を実施した場合に期待される、診断等を評価して得られるユーザの状態の変化(アウトカムともいわれる)を含み得る。
【0020】
ユーザ情報の一部又は全ては、ユーザの通信装置から取得されてもよいし、他のサーバから取得されてもよい。例えば、情報処理装置100は、外部の医療保険情報データベースから、ユーザの健康診断の情報を取得してもよい。医療保険情報データベースは、例えば、医療保険情報を収集及び管理する公的なデータベースであってよく、ユーザの日々の健診や診療に関する情報が医療機関等から収集され、蓄積されている。
【0021】
制御部204は、1つ以上のプロセッサであるCPU210と、RAM211とを含む。CPU210が記憶部203に記憶されたプログラムをRAM211に展開し、実行することにより、制御部204内部の各部の動作を制御したり、情報処理装置100の各部の動作を制御したりする。また、制御部204は、後述する行動目標提供処理を実行する。
【0022】
RAM211は、例えばDRAM等の揮発性の記憶媒体を含み、CPU210がプログラムを実行するためのパラメータや処理結果等を一時的に記憶する。
【0023】
実施状況取得部220は、複数のユーザの、行動目標に対する実施状況を示すデータをDB230から取得する。なお、実施状況取得部220は、行動目標に対する実施状況を示すデータを情報処理装置100の外部のデータベースから取得してもよい。行動目標に対する実施状況を示すデータは、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標(すなわち実施率)と、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標(すなわち継続率)とを含む。
【0024】
実施効果取得部221は、各行動目標を実施した場合に期待される健康診断項目に対する効果を示すデータをDB230から取得する。健康診断項目に対する効果を示すデータは、例えば、予め管理者等によって定められてDB230に登録される。なお、実施効果取得部221は、健康診断項目に対する効果を示すデータを情報処理装置100の外部のデータベースから取得してもよい。
【0025】
有効性算出部222は、複数のユーザの行動目標に対する実施状況を示すデータと、健康診断項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標(単に有効性スコアともいう)を行動目標ごとに算出する。当該有効性の指標の算出については後述する。なお、有効性算出部222は、有効性の指標を算出する場合に、実施率と継続率の両方を加味することができるが、いずれか一方のみを用いてもよい。有効性の指標(有効性スコア)を算出することにより、有効性の指標が所定の閾値より高い行動目標を、ユーザのための行動目標として選択することができる。
【0026】
提示情報提供部224は、有効性算出部222によって算出された有効性の指標に応じて選択した行動目標を含む提示情報を生成し、生成した提示情報をユーザの通信装置に提供(送信)する。提示情報提供部224は、例えば、有効性の指標が所定の閾値より高い行動目標をユーザに適した行動目標として選択したり、有効性の指標が高い順に所定数の行動目標を選択したりすることができる。なお、提示情報提供部224は、有効性の指標が高い行動目標に加えて、実施率及び継続率の少なくともいずれかが所定値より高い行動目標を含む提示情報を生成してもよい。このようにすれば、有効性の高い行動目標に加えて、極めて実施し易い、或いは極めて継続し易い行動目標を合わせて提供することができる。
【0027】
提示情報の詳細は後述するが、提示情報提供部224は、例えば、提示情報に、選択した行動目標と、選択した行動目標が提示される理由とを含めることができる。選択した行動目標が提示される理由とは、例えば、行動目標が選択された理由に対応する。提示情報提供部224は、選択された行動目標が、有効性の指標が高いことによって選択された場合には、提示情報において、例えば「効果大」と表示することができる。また、提示情報提供部224は、選択された行動目標が、継続性が高いことによって選択された場合には、提示情報において、例えば「継続し易い」などと表示することができる。
【0028】
行動目標調整部223は、特定の行動目標について、当該行動目標に予め設定されている行動目標の強度を調整する。なお、行動目標の強度の調整については後述する。特定の行動目標は、任意の行動目標であってよいが、例えば、有効性算出部222によって算出された有効性の指標(有効性スコア)が所定の閾値より高い行動目標であってよい。このとき、提示情報提供部224は、行動目標調整部223によって行動目標の強度が調整された行動目標を含む提示情報を生成することができる。
【0029】
行動履歴取得部225は、例えば通信装置111から、行動目標に対する行動履歴130を取得してDB230に格納する。
【0030】
データ格納部226は、DB230に格納された行動履歴を用いて、行動目標に対する実施状況を示すデータを生成し、DB230に格納する。データ格納部226は、DB230に格納された行動履歴を用いて、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標(すなわち各行動目標の実施率)を算出し、DB230に格納する。また、データ格納部226は、DB230に格納された行動履歴を用いて、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標(すなわち各行動目標の継続率)を算出し、DB230に格納する。
【0031】
ユーザ情報取得部227は、ユーザの健康診断の結果やユーザの属性の情報を含むユーザ情報を、例えば通信装置110から取得して、取得したユーザ情報をDB230に格納する。上述のように、ユーザ情報取得部227は、ユーザの健康診断結果の情報を、外部のデータベースから取得してもよい。
【0032】
(通信装置の構成)
更に、通信装置の構成例について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の通信装置110及び通信装置111の機能構成例を示している。なお、説明する機能ブロックの各々は、統合されまたは分離されてもよく、また説明する機能が別のブロックで実現されてもよい。また、ハードウェアとして説明するものがソフトウェアで実現されてもよく、その逆であってもよい。
【0033】
通信部301は、例えば通信用回路等を含み、例えばLTE等の移動体通信を介して情報処理装置100と通信したり、或いは無線LAN等の無線通信を介して情報処理装置100と通信したりして必要なデータの送受信を行う。
【0034】
操作部303は、通信装置の備えるボタンやタッチパネルを含み、表示部305に表示されるGUIに対する操作を受け付ける。表示部305は、例えばLCDやOLED等の表示パネルを含み、各種操作用のGUIを表示する。
【0035】
記憶部306は、例えば半導体メモリ等の不揮発性メモリを含み、設定されたユーザ情報、制御部302が実行するプログラム等を記憶する。
【0036】
制御部302は、1つ以上のプロセッサであるCPU310と、RAM311とを含む。例えば記憶部306に記録されたプログラムをCPU310が実行することにより、制御部302が通信装置110内の各部の動作を制御する。
【0037】
(行動目標提供処理の概要)
図4を参照して、行動目標提供処理の概要について説明する。行動目標提供処理は、当該処理の結果として、提示情報を生成して通信装置に提供する。提示情報は、図5に示すように、例えば通信装置110において表示され、ユーザの健康診断結果における改善項目501(例えば血糖)と、当該改善項目に対して効果を有し得る行動目標502を含む。提示情報は、1つ以上の行動目標を含んでおり、行動目標は、例えば「1日8000歩以上歩く」、「砂糖の入った飲み物を飲まない」など、ユーザがとる行動の目標を示す。提示情報には、更に、行動目標のそれぞれが提示情報に提示される理由503、504が示される。理由503は、例えば行動目標「1日8000歩以上歩く」がユーザに対する有効性の高さによって提示されていることを表す。理由504は、例えば行動目標「砂糖の入った飲み物を飲まない」が継続率の高さによって提示されていることを示す。他の理由として、提示された目標行動が実施率の高さによって提示されていることを示してもよい。このような提示情報をユーザに提供することにより、ユーザは、例えば自身の血糖値の数値を改善するために、提示された目標行動を実施、継続すれば良いことを容易に把握することができる。
【0038】
行動目標提供処理では、上述の提示情報を提供するために、まず、(健康診断の結果やユーザの属性などの)ユーザ情報120が用いられる。また、行動目標提供処理は、複数のユーザの行動目標に対する実施状況を示すデータと 健康診断項目に対する効果(すなわち健康状態の評価項目に対する効果)を示すデータ(データ401)を用いる。
【0039】
図6には、データ401の一例を示している。図6(a)は、行動目標に対する実施状況を示すデータ600の一例を示している。データ600は、例えば、行動目標の識別情報(ID)601と、行動目標602と、行動目標の実施率603、行動目標の継続率604とを含む。行動目標の実施率603は、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標に対応する。また、行動目標の継続率604は、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標に対応する。なお、実施率603及び継続率604の数値は、単に模式的に数値を示したものであり例示である。
【0040】
また、図6(b)は、各行動目標を実施した場合に期待される健康診断項目に対する効果を示すデータ610の一例を示している。データ610は、行動目標の識別情報(ID)601と、行動目標602と、行動目標を実施した場合に改善が期待される健康診断項目(改善項目)605と、行動目標を実施した場合に期待される健康診断項目に対する効果(改善効果)606とを含む。例えば、行動目標「1日8000歩以上歩く」は、実施した際に、健康診断の血糖値を改善することが期待され、その効果は-14であることを示す。なお、本実施形態で説明する改善項目605及び改善効果606は、上述したユーザの健康状態の評価結果として、健康診断の結果を用いる例に対応するものである。すなわち、改善項目605は、ユーザの健康状態の評価項目の一例であり、健康診断項目以外の評価項目を含み得る。改善効果606は、上述した、ユーザの健康状態の評価項目に対する効果の一例であり、健康診断項目以外に対する効果や疾患の罹患や悪化が無いこと等を含み得る。改善項目605及び改善効果606の数値は、単に模式的に数値を示したものであり例示である。
【0041】
制御部204の有効性算出部222は、例えば、ユーザ情報のうちの健康診断等の結果に基づいて、所定の基準値を超えているまたは超える可能性がある、健康診断項目を改善項目として特定する。そして、特定した改善項目605に合致する行動目標をデータ610から抽出することができる。なお、所定の基準値を超える可能性がある項目は、所定の基準値よりも特定量だけ小さい第2の基準値を超える数値を有する項目であってよい。或いは、所定の基準値を超える可能性がある項目は、経時的な変化に従えば所定期間後に所定の基準値を超える項目であってもよい。また、有効性算出部222は、抽出した行動目標について、更に、データ600から実施率603、継続率604、データ610から改善効果606をそれぞれ取得することができる。
【0042】
有効性算出部222は、それぞれの行動目標に対して実施率603と、継続率604と、改善効果606とを掛け合わせて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標(有効性スコア)を算出する。このような有効性スコアを用いることにより、ユーザが実施できる可能性が高く、且つ、ユーザが実施を継続できる可能性が高く、且つ、改善効果を見込むことができる行動目標を抽出することが可能になる。
【0043】
なお、図6(a)に示した実施率603の例では、1つの行動目標602に対して1つの実施率603を関連付けている例を示した。しかし、1つの行動目標602に対して、複数の実施率が関連付けられてよい。例えば、実施率は、ユーザの属性やユーザが属するグループに応じて異なってよい。例えば、実施率は、所定の健康診断項目の数値レベルに応じてグループ分けされたユーザのグループごとに異なってもよい。
【0044】
図8は、行動目標ごとに実施率の高いグループが異なることを示している。図8の例では、ユーザの健康診断結果における肥満度合い(BMI)の数値レベル800でユーザをグループ分けした場合の実施率の例を示している。図8に示す例では、各行動目標において、実施率の高いグループの実施率をハッチングで示している。すなわち、ストレッチをする801、筋トレをする802などの運動を伴う行動目標では、BMIが相対的に低いグループに属すユーザでは実施率が高く、BMIが相対的に高いグループに属すユーザでは実施率が低い。一方、間食をやめる803、砂糖入り飲料を飲まない804などの行動目標では、前述の行動目標とは異なるグループに属すユーザの実施率が高くなっていることを示している。
【0045】
このように、ユーザの実施率は、対象のユーザがどのユーザグループに属するかに応じて異なり得る。このため、有効性算出部222は、ユーザ情報のうちの健康診断の結果を用いてユーザの属するグループを特定し、特定したグループに関連付けられている実施率を用いて有効性スコアを算出することができる。このようにすれば、ユーザに対して、ユーザがより実施し易い行動目標を提供することができる。
【0046】
ユーザをグループ分けするための健康診断項目は、肥満度合い(BMI)に限らず、様々な項目を用いることができる。例えば、図9は、健康診断項目のデータと、食事に関する行動目標の実施との関連を模式的に示している。例えば、行動目標「ごはんを普通盛にする・おかわりしない」について、年齢経過に伴う大幅な体重増加の有無に応じてグループ分けを行った場合、各グループの実施率が異なっている。更に、同じ行動目標について、HbA1cの数値レベルでグループ分けを行った場合にも、各グループの実施率が異なる。
【0047】
なお、1つの行動目標に対して、ユーザが複数のグループに属す(すなわち「20歳時の体重から10kg以上増加」と「HbA1c 6.5以上」に属す)場合、有効性算出部222は、例えば、所属する両方のグループの実施率のうち高い実施率を採用することができる。このようにすれば、ユーザを様々な観点から(すなわちグループ分けで)評価して、ユーザが実施する可能性が高い観点を見つけ出し、実施の可能性が高い行動目標を抽出することができる。
【0048】
同様に、図10は、健康診断項目のデータと、運動に関する行動目標の実施との関連を模式的に示している。例えば、行動目標「筋トレをする」について、拡張期血圧に応じてグループ分けを行った場合、各グループの実施率が異なっている。同じ行動目標について、中性脂肪の数値レベルでグループ分けを行った場合にも、各グループの実施率が異なる。
【0049】
このように、有効性算出部222は、健康診断の結果に基づいてユーザをグループ分けし、グループに関連付けられている実施率を用いて有効性スコアを算出することで、ユーザのより客観的な傾向に基づいて行動目標を提供することができる。なお、ユーザのグループ分けは、この例に限らず、上述したユーザの健康状態の評価結果に基づいて行うことができる。
【0050】
提示情報提供部224は、例えば、有効性スコアの高い行動目標を所定数だけ抽出することにより、図5を参照して上述した提示情報の行動目標を設定することができる。
【0051】
(情報処理装置における行動目標提供処理の一連の動作)
次に、情報処理装置における行動目標提供処理の一連の動作について、図7を参照して説明する。なお、本一連の動作で説明する各動作は、制御部204のCPU210が記憶部203に記憶されるプログラムをRAM211に展開、実行することにより、上述の制御部204の各部を機能させて実現される。
【0052】
S701において、行動履歴取得部225は、(既に行動目標を提供したユーザの)複数の通信装置から、行動目標に対する行動履歴を取得してDB230に格納する。そして、データ格納部226は、DB230に格納された行動履歴を用いて、行動目標に対する実施状況を示すデータを生成してDB230に格納する。例えば、(上述のように)行動目標に対する行動履歴130は、例えば「1日8000歩以上歩く」などの行動目標を達成したことを示す情報を含む。行動履歴取得部225は、複数の通信装置から、所定の頻度で(例えば1日に一度)行動目標に対する行動履歴130を取得する。そして、行動目標を提供した後の例えば日付ごとに、ユーザが行動目標を達成したか否かを判定することができる。データ格納部226は、複数のユーザの行動履歴を参照し、例えば、ある特定の行動目標を提供したユーザのうちの当該行動目標を達成したユーザの数を求めることにより当該行動目標の実施率を算出することができる。なお、データ格納部226は、上述のように、所定の健康診断項目(例えばBMI)の数値レベルに応じてユーザをグループ分けしたうえで、グループごとに実施率を算出することもできる。データ格納部226は、(行動目標に対する実施状況を示すデータとして)算出した実施率をDB230に格納する。
【0053】
また、データ格納部226は、複数のユーザの行動履歴を参照し、例えば、ある特定の行動目標を提供したユーザのうちの当該行動目標を所定期間に渡って継続して実施したユーザの数を求めることにより当該行動目標の継続率を算出することができる。なお、データ格納部226は、行動目標に対する継続率についても、所定の健康診断項目(例えばBMI)の数値レベルに応じてユーザをグループ分けしたうえで、継続率を算出することもできる。データ格納部226は、(行動目標に対する実施状況を示すデータとして)算出した継続率をDB230に格納する。
【0054】
S702において、実施状況取得部220は、DB230から、行動目標に対する実施状況を示すデータ600を取得すると共に、実施効果取得部221は、DB230から、各行動目標を実施した場合に期待される健康診断項目に対する効果を示すデータ610を取得する。すなわち、実施状況取得部220及び実施効果取得部221により、複数の行動目標のそれぞれの実施率、継続率、行動目標による改善項目とその改善効果を得ることができる。なお、実施状況取得部220及び実施効果取得部221は、ユーザの健康診断結果の所定の健康診断項目(例えばBMI)を参照して、ユーザが属すグループを特定してもよい。この場合、ユーザが属すグループに応じた、各行動目標の実施率及び/又は継続率を取得してもよい。
【0055】
S703において、有効性算出部222は、行動目標ごとに有効性スコア(すなわち行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標)を算出する。有効性算出部222は、上述のように、行動目標ごとの実施率、継続率、改善効果を例えば掛け合わせることにより有効性スコアを算出する。なお、ユーザの健康診断結果が更に取得されている場合、有効性算出部222は、当該健康診断結果の健康診断項目に対する効果が期待される行動目標について、有効性スコアを算出することができる。また、有効性算出部222は、ユーザの健康診断結果において改善を要する健康診断項目が存在する場合に、当該健康診断項目に対する効果が期待される行動目標について、有効性スコアを算出することもできる。このようにすれば、ユーザの健康状態などの特性に応じて、行動目標を提供することができる。
【0056】
S704において、提示情報提供部224は、行動目標ごとの有効性スコアに応じて、行動目標を選択する。提示情報提供部224は、例えば、有効性の指標が所定の閾値より高い行動目標をユーザに適した行動目標として選択することができる。なお、有効性スコアに基づいて行動目標を選択すれば、他の方法によって行動目標を選択してもよい。提示情報提供部224は、例えば、有効性の指標が高い順に所定数の行動目標を選択することができる。なお、上述のように、提示情報提供部224は、有効性スコアが高い行動目標に加えて、実施率及び継続率の少なくともいずれかが所定値より高い行動目標を含むように行動目標を選択してもよい。
【0057】
S705において、提示情報提供部224は、選択した行動目標を含む提示情報を生成して、通信装置に提示情報を提供(送信)する。提示情報提供部224は、例えば図5に示した提示情報を生成することができ、選択した行動目標が提示される理由などの他の情報を更に提示情報に含めることができる。制御部204は、その後、行動目標提供処理の一連の動作を終了する。
【0058】
(行動目標の個人化)
次に、行動目標の個人化について説明する。上述した実施形態では、行動目標に設定されている強度(例えば「1日8000歩以上歩く」における「8000歩」)は予め定められており、固定値である場合を例に説明した。行動目標に設定される強度が広くユーザ全般に推奨される強度である場合、ユーザの健康状態や属性によっては、当該行動目標を達成することが困難である場合がある。そこで、以下の説明では、ユーザが行動目標を実施し易くなるように、行動目標の強度をユーザに合わせて調整(低下)する処理について説明する。
【0059】
なお、以下の説明では、有効性スコアに応じて選択された行動目標について、行動目標の強度を調整する場合を例に説明する。しかし、行動目標の個人化は、有効性スコアに応じて選択された行動目標に適用される場合に限定されない。情報処理装置100は、例えば、ユーザが任意の方法で指定した行動目標(例えば「1日8000歩以上歩く」)を受け付けて、受け付けた行動目標の強度を調整するようにしてよい。或いは、情報処理装置100は、例えば、実施率、継続率及び改善効果の少なくともいずれかが閾値を超える行動目標を選択し、選択した行動目標の強度を調整するようにしてもよい。
【0060】
また、以下の説明では、所定の健康診断項目である、例えばBMIの数値を改善するための行動目標として、行動目標「1日8000歩以上歩く」が選択された場合を例として説明する。しかし、本実施形態は、他の健康診断項目の数値を改善するために選択された行動目標について、その強度を調整する際にも適用可能である。
【0061】
図11には、行動目標の強度を調整する処理の概要を一例として示している。図11において、有効性算出部222によって各行動目標の有効性スコアが算出される点は、図4と同様である。また、図11では、図を簡略化するために明示していないが、行動目標1101は、提示情報提供部224などにより、例えば有効性スコアに応じて選択された行動目標であってよい。
【0062】
行動目標調整部223は、行動目標1101(例えば「1日8000歩以上歩く」)を受け付けると、当該行動目標に予め設定されている行動目標の強度(例えば8000歩)を、後述する学習済みモデルを用いて調整する。提示情報提供部224は、行動目標調整部223によって強度の調整された行動目標を含む提示情報を生成して、通信装置に提供(送信)する。
【0063】
(行動目標の個人化を含む行動目標提供処理の一連の動作)
次に、図12を参照して、行動目標の個人化を含む行動目標提供処理の一連の動作について説明する。なお、S701からS704までの処理は図7を参照して説明した行動目標提供処理の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
S1201において、行動目標調整部223は、S705で選択された行動目標に設定されている行動目標の強度を、学習モデルを用いて調整する。なお、学習モデルについては、例えば、複数のユーザのバイタルデータ(例えば1日の平均歩数)と、所定期間(例えば2か月)でのBMIの変化率を示すデータを収集して、バイタルデータとBMIの改善傾向を学習モデルに学習させておくことができる。勿論、学習モデルは、単なる一例であり、1日の平均歩数及び1日の平均睡眠時間と、BMIの改善傾向を学習モデルに学習させ、睡眠時間を用いて、所定のBMI改善率を得るための歩数を予測させるようにしてもよい。
【0065】
行動目標調整部223は、ユーザの現在のBMI値に基づいて、例えばBMIを1下げるためのBMI変化率を算出する。そして、行動目標調整部223は、当該BMI変化率を学習モデルに入力して、BMI変化率に対応する歩数を予測させる。行動目標調整部223は、予測された歩数を用いることにより、行動目標に設定されている行動目標の強度を調整する。
【0066】
本ステップの処理を換言すれば、複数のユーザのバイタルデータ(例えば歩数)による健康診断項目(例えばBMI)の改善傾向をモデル化した学習モデルを用いて、健康診断項目を所定量だけ改善するための強度(歩数)を予測する。そして、行動目標に予め設定されている(すなわち万人向けの)行動目標の強度を、健康診断項目(例えばBMI)を所定量だけ(例えば1だけ)改善するための強度に低下させるように調整する。
【0067】
なお、行動目標調整部223は、ユーザの健康診断項目としてBMIを用いる場合、ユーザのBMI値が、(例えば1日8000歩を歩行する可能性が低くなる)予め定めた閾値を超えているユーザに対して、上述の行動目標の強度の調整を行うようにしてもよい。或いは、ユーザから収集されたバイタルデータにおいて、1日の歩数が予め定めた歩数より少ない場合(つまり日常的に歩く歩数が少ないユーザ)に、上述の行動目標の強度の調整を行うようにしてもよい。このようにすることで、行動目標「1日8000歩以上歩く」を提示されたユーザに対して、ユーザの状況に応じて、ユーザがより行動目標に取り組むことが容易になるように行動目標を個人化することができる。
【0068】
S1202において、提示情報提供部224は、調整された行動目標の強度を含む提示情報を生成して、生成した提示情報を通信装置に提供(送信)する。提示情報は、例えば、行動目標「1日8000歩以上歩く」に対して、「BMIを1下げるために、まずは1日5000歩、2か月続けてみましょう」などの表示を含む。制御部204は、その後、本一連の動作を終了する。
【0069】
以上説明したように、上述の実施形態では、情報処理装置100において、行動目標に対する実施率及び継続率と、各行動目標を実施した場合に期待される健康診断項目に対する改善効果(すなわち健康状態の評価項目に対する効果)とを取得するようにした。また、実施率及び継続率と当該効果とに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性スコアを行動目標ごとに算出し、有効性スコアに応じて選択した行動目標を(提示情報に含めて)ユーザの通信装置に提供するようにした。
【0070】
このようにすることで、他のユーザの実施傾向を踏まえた客観的なデータを用いて行動目標を選択し、ユーザに提供することができる。また、ユーザが実施できる可能性が高い、ユーザが実施を継続できる可能性が高い、及び/又は、効果を見込むことができる行動目標を抽出することが可能になる。
【0071】
また、上述の実施形態では、ユーザの健康診断結果(すなわち健康状態の評価結果)において改善を要する評価項目が存在する場合、当該項目に対する効果が期待される行動目標について、有効性スコアを算出するようにした。このようにすることで、ユーザの特性に応じた行動目標を提供することができる。
【0072】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
100…情報処理装置、110、111…通信装置、220…実施状況取得部、221…実施効果取得部、222…有効性算出部、223…提示情報取得部、224…提示情報提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康管理を支援する情報処理装置であって、
複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得手段と、
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータと、前記評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出手段と、
算出された前記有効性の指標が所定の閾値より高い行動目標又は前記有効性の指標が高い順に所定数の行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供手段と、を備え
前記取得手段は、ユーザの健康状態の評価結果を示すデータを更に取得し、
前記算出手段は、前記ユーザの前記評価結果において改善を要する評価項目が存在する場合、当該評価項目に対する効果が期待される行動目標について前記有効性の指標を算出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータは、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標と、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標とを含み、
前記算出手段は、前記有効性の指標を算出するときに、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を実施したユーザ数の指標と、行動目標を提供されたユーザのうち当該行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標とを用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記行動目標を実施したユーザ数の指標を示すデータは、所定の健康状態の評価項目の数値レベルに応じてグループ分けされたユーザのグループごとに設定される、ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記行動目標を実施したユーザ数の指標を示すデータは、肥満度合いに応じてグループ分けされたユーザのグループごとに設定される、ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数のユーザの通信装置から受信した、各ユーザに提供された行動目標に対する行動履歴を示すデータを用いて、複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータを生成し、前記データベースに格納する格納手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記有効性の指標に応じて選択した行動目標について、当該行動目標に予め設定されている行動目標の強度を、当該行動目標が対象とする健康状態の評価項目の数値を所定量だけ改善するための強度に低下させる調整手段を更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提供手段は、選択した行動目標と、選択した行動目標が提示される理由とを前記提示情報に含める、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
選択した行動目標が提示される理由は、提示される行動目標を実施したユーザ数の指標によるものであること、提示される行動目標を所定期間に渡って継続したユーザ数の指標によるものであること、及び、行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果によるものであること、のいずれかを示す、ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
各工程が情報処理装置で実行される、健康管理を支援する情報処理方法であって、
複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得工程と、
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータと、前記評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出工程と、
算出された前記有効性の指標が所定の閾値より高い行動目標又は前記有効性の指標が高い順に所定数の行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供工程と、を備え、
前記取得工程では、ユーザの健康状態の評価結果を示すデータを更に取得し、
前記算出工程では、前記ユーザの前記評価結果において改善を要する評価項目が存在する場合、当該評価項目に対する効果が期待される行動目標について前記有効性の指標を算出することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この課題を解決するため、例えば本発明の情報処理装置は、
健康管理を支援する情報処理装置であって、
複数のユーザの、各ユーザに提供された行動目標に対する実施状況を示すデータと、各行動目標を実施した場合に期待される健康状態の評価項目に対する効果を示すデータとをデータベースから取得する取得手段と、
複数のユーザの前記行動目標に対する実施状況を示すデータと、前記評価項目に対する効果を示すデータとに基づいて、各行動目標をユーザに提供した場合の有効性の指標を行動目標ごとに算出する算出手段と、
算出された前記有効性の指標に応じて選択した行動目標を含む提示情報を、ユーザの通信装置に提供する提供手段と、を備え
前記取得手段は、ユーザの健康状態の評価結果を示すデータを更に取得し、
前記算出手段は、前記ユーザの前記評価結果において改善を要する評価項目が存在する場合、当該評価項目に対する効果が期待される行動目標について前記有効性の指標を算出することを特徴とする。