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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011362
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】車両用ステップ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B60R3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113414
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 象斌
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AC01
3D022AD10
3D022AE07
(57)【要約】
【課題】車両の乗降時において清潔なステップ板を提供可能とする。
【解決手段】ウォッシャノズル40は、収納位置にあるステップ板12の踏面12Aに噴射口42が向けられる。制御部であるステップECU80は、洗浄液の噴射要否を判定する。この判定は、ワイパーの動作設定、及び車載カメラ66に基づく路面状況の少なくとも一方に基づく。さらにステップECU80は、洗浄液の噴射が必要であると判定されたとき、かつ、車両のシフトポジションとしてパーキングポジションが選択されたときに、収納位置にあるステップ板12の踏面12Aに向けて、ウォッシャノズル40から洗浄液を噴射させる。ステップECU80は、閉止状態の車両ドアが開放されると、アクチュエータ30を駆動させて、ステップ板12を収納位置から展開位置に移動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ板と、
前記ステップ板を、車両ドア下の収納位置と、前記車両ドアよりも車幅方向外側に張り出す展開位置とに移動可能な、アクチュエータと、
洗浄液タンクに接続され、前記収納位置にある前記ステップ板の踏面に噴射口が向けられた、ウォッシャノズルと、
前記アクチュエータ及び前記ウォッシャノズルを制御する、制御部と、
を備え、
前記制御部は、ワイパーの動作設定、及び車載カメラに基づく路面状況の少なくとも一方に基づいて、洗浄液の噴射要否を判定し、
さらに前記制御部は、前記洗浄液の噴射が必要であると判定されたとき、かつ、車両のシフトポジションとしてパーキングポジションが選択されたときに、前記収納位置にある前記ステップ板の前記踏面に向けて、前記ウォッシャノズルから前記洗浄液を噴射させ、
前記制御部は、閉止状態の前記車両ドアが開放されると、前記アクチュエータを駆動させて、前記ステップ板を前記収納位置から前記展開位置に移動させる、
車両用ステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車両用ステップ装置が開示される。
【背景技術】
【0002】
車両の乗降性を向上させるために、車両ドアの下方にステップ板が設けられる場合がある。例えば特許文献1では、スライド式のステップ装置が開示される。この装置では、ステップ板が、車両の車幅方向外側に張り出す展開状態と、車両の床下に格納される格納状態とに変位可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005―119525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステップ板は車外に配置される。加えてステップ板は路面に近い場所に配置される。つまりステップ板は、路面から跳ね上がった水や雪等が付着しやすい環境に置かれる。車両の乗降時にステップ板が汚れていると、ユーザが不快感を催すおそれがある。
【0005】
そこで本明細書では、車両の乗降時において清潔なステップ板を提供可能な、車両用ステップ装置が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、車両用ステップ装置が開示される。この装置は、ステップ板、アクチュエータ、ウォッシャノズル、及び制御部を備える。アクチュエータは、ステップ板を、収納位置と展開位置とに移動可能である。収納位置は車両ドア下である。展開位置は車両ドアよりも車幅方向外側に張り出す位置である。ウォッシャノズルは、洗浄液タンクに接続される。またウォッシャノズルは、収納位置にあるステップ板の踏面に噴射口が向けられる。制御部は、アクチュエータ及びウォッシャノズルを制御する。制御部は、洗浄液の噴射要否を判定する。この判定は、ワイパーの動作設定、及び車載カメラに基づく路面状況の少なくとも一方に基づく。さらに制御部は、洗浄液の噴射が必要であると判定されたとき、かつ、車両のシフトポジションとしてパーキングポジションが選択されたときに、収納位置にあるステップ板の踏面に向けて、ウォッシャノズルから洗浄液を噴射させる。制御部は、閉止状態の車両ドアが開放されると、アクチュエータを駆動させて、ステップ板を収納位置から展開位置に移動させる。
【0007】
上記構成によれば、ワイパーの動作設定及び車載カメラにより、車両周辺の路面状況が取得される。さらに取得した路面状況に応じて、ステップ板の洗浄要否が判定される。洗浄要と判定されると、パーキングポジションがセットされたときに、ステップ板の踏面が洗浄される。その後車両ドアが開かれたときに、清潔な踏面が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本明細書で開示される、車両用ステップ装置は、車両の乗降時において清潔なステップ板を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る、車両用ステップ装置が搭載された、車両下部を例示する斜視図である。
図2】車両用ステップ装置の構造を例示する斜視図である。
図3】車両用ステップ装置の制御システムを例示する図である。
図4】ステップ板に対する洗浄フラグの設定フローを例示する図である。
図5】ステップ板に対する洗浄フローを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態に係る、車両用ステップ装置が図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、車両用ステップ装置の仕様に応じて適宜変更することができる。また以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0011】
また図1図3では、各構成の位置や方向を表すために、FR軸、RW軸、及びUP軸からなる直交座標系が用いられる。FR軸は車両前方を正方向とする車両前後方向軸である。RWは車両右側を正方向とする車幅方向軸である。UP軸は上方を正方向とする車両上下方向軸である。
【0012】
図1には、車両50の下部が例示される。前輪60と後輪62の間に、本実施形態に係るステップ装置10が設けられる。見方を変えると、車両ドアである、フロントドア52とリアドア54の下方に、ステップ装置10が設けられる。言い換えると、車両ドア下に、ステップ装置10が設けられる。なお、図1図2では、車両右側のみが図示されているが、車両左側にも、本実施形態に係るステップ装置10が設けられる。
【0013】
ステップ装置10は収納型であり、ステップ板12が収納位置(図2の実線で示される)と展開位置(図2の破線で示される)との間を移動可能となっている。後述されるように、本実施形態に係るステップ装置10は、電動ステップ機構とステップ板洗浄機構を備える。またステップ装置10は、両機構を制御する制御部として、ステップECU80(図3参照)を備える。
【0014】
<電動ステップ機構>
図2には、本実施形態に係るステップ装置10が例示される。この図では、車幅方向内側の面が主面として示される。ステップ装置10は、電動ステップ機構として、ステップ板12、ブラケット20、アクチュエータ30、ホルダ31、及びアーム34,35,36を備える。またステップ装置10は、ステップ制御部80C(図3参照)により駆動制御される。
【0015】
ステップ板12は、その上面が踏面12Aとなる。図1を参照して、ステップ板12は、フロントドア52及びリアドア54の下端部52A,54Aの、全長に亘って延伸する。またステップ板12の幅W1は、例えば10cm以上40cm以下に定められる。ステップ板12の踏面12Aには、例えば滑り止め用の溝が形成される。また踏面12Aは樹脂コーティングで覆われる。
【0016】
図2を参照して、ステップ板12の車幅方向内側端部から、アーム36が延伸する。アーム36は車幅方向内側に延伸する。また、アーム36の車幅方向外側端部は、ステップ板12に固定される。
【0017】
アーム36に、アーム34,35が接続される。アーム34,35は長尺板状であって、車幅方向に配列される。アーム34,35の一端はアーム36に枢止される。アーム34,35の他端はロータプレート33に枢止される。
【0018】
ロータプレート33はアクチュエータ30により回転させられる。アクチュエータ30は例えばサーボモータであってよい。アクチュエータ30は車両前後方向軸を回転軸とする。つまりロータプレート33は車両前後軸周りに回転させられる。
【0019】
ステップ板12は、収納位置(実線で示される)と展開位置(破線で示される)との間を移動可能となっている。ステップ板12が収納位置にいるときに、アーム34,35,36は折り畳まれた状態になる。
【0020】
アクチュエータ30が回転駆動すると、ロータプレート33が回転させられる。ロータプレート33の回転に応じてアーム34,35が展開する。アーム34,35の展開に応じてアーム36が車幅方向外側に移動する。さらにアーム36に接続されたステップ板12も車幅方向外側に移動する。これによりステップ板12が展開位置に移動する。
【0021】
図1には、ステップ装置10に3本のアーム36が取り付けられている。このうち1本のアーム36に、アクチュエータ30が設けられていてよい。他の2本のアーム36は、アクチュエータ30の回動に従動する、アイドルアームであってよい。
【0022】
アクチュエータ30の車幅方向外側にはホルダ31が設けられる。このホルダ31がブラケット20に固定される。ブラケット20の車両前後方向長さは、例えばステップ板12と同様の長さに定められる。ブラケット20は、車両の骨格部品であるロッカ(図示せず)に締結される。ブラケットの内面21には、ボルトが挿入されるボルト孔23Aが複数設けられる。ボルト孔23Aの周辺は、ボルト頭部を収容する凹部23となっている。このボルトにより、ブラケット20がロッカの側面に締結される。また、ブラケット外面22には、外装部品であるロッカパネル56が取り付けられる。
【0023】
ブラケット20の内面21から、リブ24が張り出す。リブ24の車両前後方向長さは、ステップ板12と同様の長さに定められる。リブ24は車幅方向内側に延伸する。リブ24は、厚さ方向(上下方向)にボルト孔24Aが穿孔される。ボルト孔24Aは車両前後方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。ボルト孔24Aからボルトが挿入される。このボルトにより、リブ24がロッカの下面に締結される。
【0024】
また、リブ24にホルダ31の溝32が差し込まれる。さらにボルト等の締結部品によりホルダ31がリブ24に固定される。つまり、ブラケット20を介して、ステップ板12がロッカに支持される。
【0025】
閉止状態の車両ドア(フロントドア52又はリアドア54)が開放されると、ドアセンサ(図示せず)から開放信号がステップ制御部80C(図3参照)に送信される。これに応じてステップ制御部80Cは、アクチュエータ30を駆動させる。この駆動により、ステップ板12は収納位置から開放位置に移動させられる。
【0026】
さらに開放状態の車両ドア(フロントドア52又はリアドア54)が閉止されると、ドアセンサ(図示せず)から閉止信号がステップ制御部80Cに送信される。複数のドアセンサからいずれも閉止信号を受信すると、ステップ制御部80Cは、アクチュエータ30を逆回転駆動させる。この駆動により、ステップ板12は開放位置から収納位置に移動させられる。
【0027】
<ステップ板洗浄機構>
ステップ板洗浄機構は、ウォッシャノズル40及び洗浄液タンク44(図3参照)を備える。洗浄液タンク44は、ウォッシャノズル40に流体接続される。洗浄液タンク44は、ウインドウォッシャタンクであってよい。つまり、ウインドシールドガラス64を洗浄するための洗浄液が、ステップ板12の洗浄液としても使われる。
【0028】
図2を参照して、ウォッシャノズル40はリブ24の下面に配置される。ウォッシャノズル40は、リブ24の長手方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。ウォッシャノズル40の噴射口42は、収納位置にあるステップ板12の踏面12Aに向けられる。例えば収納位置にあるステップ板12の上方に、ウォッシャノズル40が配置される。そして噴射口42が下方に向けられる。
【0029】
ウォッシャノズル40の噴霧範囲が、破線円で例示される。ウォッシャノズル40の配置間隔は、噴霧範囲に基づいて定められる。例えば隣り合うウォッシャノズル40の噴霧範囲が僅かに重複するようにして、配置間隔が定められる。
【0030】
<制御システム>
図3を参照して、電動ステップ機構及びステップ板洗浄機構の動作は、ステップECU80に制御される。また後述されるように、制御部であるステップECU80は、ワイパーの動作設定と、車載カメラ66に基づく路面状況の少なくとも一方に基づいて、ウォッシャノズル40による洗浄液の噴射要否を判定する。
【0031】
ステップECU80は例えばコンピュータから構成される。例えばステップECU80は、入出力コントローラ、CPU、RAM、ROM、及びストレージ等のハードウェア機器を備える。これらの機器は、内部バスにより相互に通信可能となっている。
【0032】
ステップECU80のストレージまたはROMに記憶された制御プログラムをCPUが実行することで、ステップECU80には、機能ブロックが構築される。この機能ブロックが、図3に例示される。すなわちステップECU80は、洗浄ボタン判定部80A、シフトポジション判定部80B、ステップ制御部80C、ワイパー判定部80D、路面状況推定部80E、ウォッシャノズル制御部80F、及び洗浄フラグ記憶部80Gを備える。
【0033】
洗浄ボタン判定部80Aは、ステップ洗浄ボタン76から、ボタンの操作信号を受信する。つまり洗浄ボタン判定部80Aは、ステップ洗浄ボタン76のオン/オフ状態を判定する。ステップ洗浄ボタン76は、例えばインストルメントパネルに設けられる。例えばステップ洗浄ボタン76は、ステアリングホイール70の前方に配置され、運転者による操作が可能となっている。
【0034】
例えば、ステップ洗浄ボタン76は、押下げられた状態がオン状態である。オン状態である時には、ステップ板12の汚れ状況に関わらず、ステップ板12が洗浄される。ステップ洗浄ボタン76が引き上げられたオフ状態では、図4における洗浄フラグ設定フローにおいて、ステップ板12が汚れていると判定されたときに、ステップ板12が洗浄される。
【0035】
またインストルメントパネルには、ステップ洗浄ボタン76に隣接して、ステップボタン74が設けられる。例えばステップボタン74は、押下げられた状態がオン状態である。オン状態である時には、アクチュエータ30によるステップ板12の移動が許可される。ステップボタン74が引き上げられたオフ状態では、ステップ板12の移動が禁止される。例えばステップ板12は収納位置に維持される。ステップ制御部80Cは、ステップボタン74からの操作信号を受信し、当該ボタンのオン/オフ状態を判定する。またステップ制御部80Cは、上述したように、アクチュエータ30の動作を制御する。
【0036】
ワイパー判定部80Dは、ワイパースイッチ72から操作信号を受信する。例えばワイパースイッチ72は、OFF、INT、LO、HIの4段階の切り替えが可能となっている。ワイパースイッチ72がセットされたポジション、つまりワイパーの動作設定が、ワイパー判定部80Dに送信される。
【0037】
また、車両にいわゆるオートワイパー機能が設けられている場合には、ワイパー判定部80Dは、レインセンサ68からの信号を受信する。レインセンサ68は発光素子68A及び受光素子68Bを備える。発光素子68A及び受光素子68Bはウインドシールドガラス64の車室側の面に貼着される。
【0038】
発光素子68Aから赤外線が照射されると、ウインドシールドガラス64の車外側の面で赤外線が反射して受光素子68Bに受光される。ウインドシールドガラス64上に雨滴が付着すると、赤外線は雨滴を透過することから、受光素子68Bにおける受光量が減少する。ワイパー判定部80Dは、受光素子68Bからの受光量に基づいて、ワイパーの運転設定を行う。
【0039】
例えばワイパーの運転設定としてOFF、INT、LO、HIの4段階が定められている場合、それぞれの運転設定に対応する受光量の閾値が設定される。ワイパー判定部80Dは、受光素子68Bから取得した受光量が、これらの閾値で区切られる領域のいずれに該当するかを判定する。さらに判定された領域に基づいて、ワイパー判定部80Dは、ワイパーに対する動作設定を判定する。
【0040】
シフトポジション判定部80Bは、シフトパネル78から現在選択されているシフトポジションの信号を受信する。
【0041】
路面状況推定部80Eは、車載カメラ66と通信可能となっている。例えばカメラ66はウインドシールドガラス64の車室側の面に配置される。カメラ66は車両前方を撮像する。路面状況推定部80Eは、カメラ66の撮像画像を取得する。
【0042】
濡れた路面を車両50が走行していると、前輪60によって路上の水が跳ね上げられ、ステップ板12が汚れるおそれがある。路面状況推定部80Eは、撮像画像に基づいて、路面が濡れているか否かを判定する。例えば路面状況推定部80Eには、画像認識用のニューラルネットワークが実装される。このニューラルネットワークは、乾いた路面の画像と、濡れた路面の画像を教師データとして学習済みである。カメラ66から取得した撮像画像をニューラルネットワークに入力することで、車両前方の路面が乾いているか濡れているかが判定される。
【0043】
さらに路面状況推定部80Eは、路面に水溜まりがあるか否かを判定する。例えば乾いた路面に一部陥没箇所があり、そこに水溜まりが有るような場合に、路面が乾いていると判定される場合がある。しかしながら車両50が水溜まりを通過すると、ステップ板12が汚れるおそれがある。そこで、路面の乾燥状態及び濡れ状態を判定するプロセスとは独立して、路面の水溜まりの有無が判定される。
【0044】
路面状況推定部80Eには、水溜まりの有無を判定するための、画像認識用ニューラルネットワークが実装される。例えばこのニューラルネットワークは、水溜まりのある路面の画像を教師データとして学習済みである。さらに例えばこのニューラルネットワークは、出力ノードを一つのみ有する。この出力ノードから、水溜まり有りとの判定に対する確度が出力される。この確度が所定の閾値以上である場合に、路面状況推定部80Eは、車両前方に水溜まり有りと判定する。
【0045】
洗浄フラグ記憶部80Gは、図4に例示される洗浄フラグ設定フローにて設定されるステップ洗浄フラグの値を記憶する。このフローの詳細は後述される。
【0046】
ウォッシャノズル制御部80Fは、図5に例示されるステップ洗浄フローを実行する。さらにウォッシャノズル制御部80Fは、ステップ洗浄フローの実行結果に基づいて、ウォッシャノズル40の噴射制御を行う。ステップ洗浄フローの詳細は後述される。
【0047】
<洗浄フラグ設定フロー>
図4には、洗浄フラグ設定フローが例示される。このフローでは、ステップ板12の洗浄要否が判定される。ステップ板12は車外に露出される。またステップ板12は、路面に近い場所に設置される。したがって路面が濡れているときには、ステップ板12に汚れが付着するおそれがある。そこで洗浄フラグ設定フローでは、路面状況を直接的または間接的に判定することで、ステップ板12の洗浄要否が判定される。
【0048】
洗浄フラグ設定フローは、例えば車両50がイグニッション-オンの状態であるときに、繰り返し実行される。イグニッション-オンとは、例えば車両50のパワースイッチが押され、車両の駆動系が走行可能な状態になっているときを指す。
【0049】
ステップ洗浄フラグは、0と1の2値を取るバイナリカウンタである。ステップ板12の洗浄が不要と判定されると、ステップ洗浄フラグが0に設定される。ステップ板12の洗浄が必要であると判定されると、ステップ洗浄フラグが1に設定される。
【0050】
洗浄フラグ設定フローの各ステップは、ステップECU80の機能ブロックによって実行される。まず洗浄ボタン判定部80Aは、ステップ洗浄ボタン76がオン状態であるか否かを判定する(S10)。ステップ洗浄ボタン76がオン状態(押下げ状態)であるときには、洗浄ボタン判定部80Aはステップ洗浄フラグを1に設定する(S18)。
【0051】
ステップ洗浄ボタン76がオフ状態である時には、ワイパー判定部80Dは、ワイパーの動作設定を判定する。すなわちワイパー判定部80Dは、ワイパースイッチ72がHIに設定されているか否かを判定する(S12)。つまりこのステップでは、車外が大雨であるか否かが判定される。なお上述のように、ワイパースイッチ72の設定を確認する代わりに、レインセンサ68の受光素子68Bによる受光量に基づいて、ワイパーの動作設定が判定されてもよい。ワイパースイッチ72がHIに設定されている場合、又は、受光素子68Bの受光量が、所定の大雨閾値未満である場合、ワイパー判定部80Dはステップ洗浄フラグを1に設定する(S18)。
【0052】
ステップS12において、ワイパースイッチ72がHIとは異なるポジションに設定されている場合、又は、受光素子68Bの受光量が、所定の大雨閾値以上である場合、路面状況推定部80Eは、路面が濡れているか否かを判定する(S14)。この判定に当たり、路面状況推定部80Eは、カメラ66から車両前方の路面の画像を取得する。画像認識により、路面が濡れていると判定された場合には、路面状況推定部80Eは、ステップ洗浄フラグを1に設定する(S18)。
【0053】
ステップS14において、路面が濡れてない(乾いている)と判定された場合には、路面状況推定部80Eは、車両50が水たまりを通過したか否かを判定する(S16)。上述のように路面状況推定部80Eには、水溜まりの有無を判定するニューラルネットワークが実装される。このニューラルネットワークに、カメラ66による撮像画像が入力される。さらにニューラルネットワークの出力ノードから出力された確度に基づいて、水溜まりの有無が判定される。
【0054】
路面状況推定部80Eは、水溜まり有りと判定した後の画像認識において、水溜まりが無いと判定したときに、車両50が水たまりを通過したと判定する。この場合、路面状況推定部80Eは、ステップ洗浄フラグを1に設定する(S18)。
【0055】
水溜まりが無いとの判定が継続される場合や、水溜まりが有ると判定された後に、水溜まりが無いと判定される連続判定が無い場合には、路面状況推定部80Eは、車両50は水溜まりを通過していないと判定する。さらに一定の待機時間をおいて、フローがS10から開始される。
【0056】
<ステップ洗浄フロー>
図5には、ステップ洗浄フローが例示される。このフローは、車両50のシフトレバーがPポジション以外のポジションから、Pポジションに設定されたときに開始される。つまり、車両のシフトポジションとして、パーキングポジションが他のポジションから切り替えられて選択された時点で、フローが開示される。
【0057】
また、このフローは、ステップECU80の機能ブロックによって実行される。ステップ制御部80Cは、ステップボタン74がオフに設定されているか否かを判定する(S20)。ステップボタン74がオフ設定されている場合、ステップ板12が使用されないことから、ステップ板12の汚れ状況に関わらず、洗浄は行われない。
【0058】
ステップボタン74がオン状態である場合、ウォッシャノズル制御部80Fは、洗浄フラグ記憶部80Gから、ステップ洗浄フラグの設定値を参照する。さらにウォッシャノズル制御部80Fは、ステップ洗浄フラグが1に設定されているか否かを判定する(S22)。
【0059】
ステップ洗浄フラグが0に設定されている場合は、図5のフローは終了する。一方、ステップ洗浄フラグが1に設定されている場合、つまり、洗浄液の噴射が必要であると判定されたとき、ウォッシャノズル制御部80Fは、ウォッシャノズル40からステップ板12の踏面12Aに向かって、洗浄液を噴射させる(S24)。例えば所定の噴射時間(例えば5秒間)、ウォッシャノズル制御部80Fは、ウォッシャノズル40から洗浄液を噴射させる。
【0060】
洗浄液の噴射後に、ウォッシャノズル制御部80Fは、ステップ洗浄フラグを0に設定する(S26)。この値は洗浄フラグ記憶部80Gに記憶される。その後、フローが終了する。
【0061】
フロー終了後、閉止状態のフロントドア52又はリアドア54が開放される。この開放に対応して、ステップ制御部80Cはアクチュエータ30を駆動制御する。これにより、収納位置にいたステップ板12が展開位置まで移動させられる。
【0062】
このように、ステップ板12の洗浄プロセスは、シフトポジションがパーキングシフトに切り替えられた時点で行われる。つまり、フロントドア52及びリアドア54が開放される直前に、ステップ板12が洗浄される。したがって、清浄なステップ板12が、車両50の降車時に提供可能となる。
【0063】
また、車両50の停車中は、前輪60が路上の水を跳ね上げたりすることが無いため、ステップ板12は、降車時における清潔な状態が保たれる。したがって車両50の乗車時にも、清潔なステップ板12が提供可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10 ステップ装置、12 ステップ板、12A 踏面、20 ブラケット、30 アクチュエータ、34,35,36 アーム、40 ウォッシャノズル、42 噴射口、44 洗浄液タンク、50 車両、52 フロントドア、54 リアドア、66 車載カメラ、68 レインセンサ、72 ワイパースイッチ、74 ステップボタン、76 ステップ洗浄ボタン、78 シフトパネル、80 ステップECU(制御部)、80A 洗浄ボタン判定部、80B シフトポジション判定部、80C ステップ制御部、80D ワイパー判定部、80E 路面状況推定部、80F ウォッシャノズル制御部、80G 洗浄フラグ記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5