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2025-113636印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム
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  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図1
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図2
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図3
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図4A
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図4B
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図5
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図6A
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図6B
  • -印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025113636
(43)【公開日】2025-08-04
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20250728BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20250728BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250728BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20250728BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250728BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/38 204
B41J21/00 Z
G03G21/00 370
G06F3/12 305
G06F3/12 332
G06F3/12 355
G06F3/12 353
G06F3/12 385
H04N1/00 567M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007899
(22)【出願日】2024-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】堀越 高志
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061AS06
2C061HJ06
2C061HJ07
2C061HK07
2C061HN04
2C061HN15
2C061HN22
2C061HQ20
2C187AC06
2C187AC08
2C187AG01
2C187AG05
2C187BF11
2C187CC03
2C187DB27
2H270LC02
2H270LC06
2H270NB22
2H270NB23
2H270PA07
2H270PA10
2H270PA14
2H270QB04
2H270QB14
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB09
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB40
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC15
5C062AC24
5C062AC67
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】ロール紙に印刷を行う際に、当該ロール紙の幅の大小に関わらず、ロール紙上での画像欠損を抑制することができる印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】印刷装置200は、印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷手段(印刷部211)と、印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ印刷手段に供給可能に選択される給紙手段(給紙部215)と、印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、給紙手段で選択されているロール紙の幅よりも大きい場合に、印刷ジョブの実行と、印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択手段(第1確認ダイアログ601)とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、
前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷手段に供給可能に選択される給紙手段と、
前記印刷用紙を前記給紙手段から前記印刷手段に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記選択手段で前記印刷ジョブの実行が選択された場合に、前記画像を縮小して、該画像を前記給紙手段で選択されている前記ロール紙に印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷手段は、前記画像を縮小する際、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅と、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅との比率分だけ、前記画像の縮小を行うことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅に関する第1用紙情報と、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅に関する第2用紙情報とを取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得された前記第1用紙情報および前記第2用紙情報に基づいて、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きいか否かを判断する判断手段とを、備え、
前記選択手段は、前記判断手段での判断の結果、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きいと判断された場合に、前記選択操作を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
画面を表示する表示手段を備え、
前記選択手段は、前記表示手段に表示され、前記選択操作が可能な操作画面で構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記操作画面には、前記印刷ジョブの実行を決定するボタンと、前記印刷ジョブの実行停止を決定するボタンとが含まれていることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記操作画面には、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい旨のメッセージが含まれていることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記給紙手段は、幅が異なる複数種の前記カット紙が供給可能に選択されるものであり、
前記選択手段は、前記給紙手段で前記ロール紙が選択されているにも関わらず、該ロール紙が前記給紙手段に設置されていない場合には、前記印刷ジョブの実行停止と、前記カット紙に変更した前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
印刷装置と、該印刷装置と通信可能に接続された情報処理装置と、を備える印刷システムであって、
前記印刷装置は、
印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、
前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷手段に供給可能に選択される給紙手段と、
前記印刷用紙を前記給紙手段から前記印刷手段に搬送する搬送手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記搬送手段による前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択手段を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
印刷装置を制御する方法であって、
印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷工程と、
前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷工程に供給可能に選択される給紙工程と、
前記印刷用紙を前記給紙工程から前記印刷工程に搬送する搬送工程と、
前記搬送工程での前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙工程で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択工程と、を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1に記載の印刷装置の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置から印刷装置に対して印刷ジョブを送信する際には、印刷装置の製造元等であるベンダから提供される専用プリンタドライバを介さずに、情報処理装置のOSに内蔵された汎用の印刷プロトコルが用いられている。この印刷プロトコル(標準規格プロトコル)の一例としては、IPP(Internet Printing Protocol)が知られている。情報処理装置と印刷装置との間では、IPPに従った通信によって印刷処理が実行される。また、印刷装置の能力応答としては、例えば、用紙種類、用紙サイズ、給紙トレイ等の各種の情報が含まれる用紙情報を構築して、IPPを介して用紙情報が取得される。また、特許文献1には、ロール紙を印刷用紙として使用可能な印刷装置が記載されている。特許文献1に記載の印刷装置では、印刷ジョブの実行で使用されるべき用紙の幅が印刷装置に給紙されているロール紙の幅よりも大きい場合、そのまま印刷ジョブの実行が可能であれば、用紙に対する印字位置を調整する印字位置調整画面を表示する。また、特許文献1に記載の印刷装置では、そのままの印刷ジョブの実行が可能ではないならば、印刷ジョブの実行を中止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-170792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置の機種やOSの種類によっては、印刷設定が行われる際に、印刷装置が対応している全カット紙の用紙サイズを画面に表示するものがある。印刷装置に例えばA3ロール紙(幅が297mmのロール紙)が設置された場合でも、ユーザは、印刷設定画面上で、A3ロール紙よりも幅が大きいA2サイズのカット紙や幅が420mmのロール紙を選択することができる。そして、A2サイズのカット紙が選択された状態で印刷が実行された際には、画像はA2サイズのカット紙に適した大きさで印刷されるため、A3ロール紙上では、ユーザが意図しないクリッピングによる画像欠損が生じるという問題があった。また、印刷装置に対するロール紙の交換作業は、例えばA3サイズの用紙(カット紙)をA2サイズの用紙に交換する作業よりも容易ではない。前述したように、特許文献1に記載の印刷装置では、印刷ジョブの実行で使用されるべき用紙の幅が印刷装置に給紙されているロール紙の幅よりも大きい場合、そのまま印刷ジョブの実行が可能であれば、印字位置調整画面を表示することができる。しかしながら、印字位置調整画面を操作しても、画像欠損が印刷物に生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、ロール紙に印刷を行う際に、当該ロール紙の幅の大小に関わらず、ロール紙上での画像欠損を抑制することができる印刷装置を提供することを目的とする。同様に、本発明は、ロール紙に印刷を行う際に、当該ロール紙の幅の大小に関わらず、ロール紙上での画像欠損を抑制することができる印刷システム、印刷装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の印刷装置は、印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷手段に供給可能に選択される給紙手段と、前記印刷用紙を前記給紙手段から前記印刷手段に搬送する搬送手段と、前記搬送手段による前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロール紙に印刷を行う際に、当該ロール紙の幅の大小に関わらず、ロール紙上での画像欠損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4A】印刷対象画像と印刷対象画像の印刷結果とを一例を示す図である。
図4B】ユーザ、印刷アプリケーション、OS標準印刷プログラム、印刷装置との間で実行される処理を示すシーケンス図である。
図5】印刷装置で実行される処理(用紙判断処理)を示すフローチャートである。
図6A】印刷装置に表示される第1確認ダイアログの一例を示す図である。
図6B】印刷装置に表示される第2確認ダイアログの一例を示す図である。
図7】印刷装置で実行される処理(第1確認ダイアログおよび第2確認ダイアログの処理)を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図9】ユーザ、印刷アプリケーション、ステータスモニタ、OS標準印刷プログラム、印刷装置との間で実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。例えば、本発明を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせることもできる。
【0010】
<<第1実施形態>>
以下、図1図7を参照して、第1実施形態について説明する。
【0011】
<印刷システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、印刷システム1000は、コンピュータ100、印刷装置200、外部記憶装置300を有する。コンピュータ100は、OS110がインストールされている。OS110には、OS標準印刷プログラム120、印刷アプリケーション(以下「印刷アプリ」と言う)121が含まれている。OS標準印刷プログラム120は、印刷装置200を制御するためのソフトウェアである。OS標準印刷プログラム120は、コンピュータ100のOS110により提供される汎用の印刷プログラムである。OS標準印刷プログラム120は、複数のプリンタベンダ(manufacturer)のプリンタ200で印刷することのできる印刷データを生成するプログラムである。OS標準印刷プログラム120により生成された印刷データはInternetPrintingProtocol(IPP)等のプロトコルに従って、プリンタ200へ送信される。印刷アプリ121は、ユーザからの印刷設定の指示を受け付け、OS標準印刷プログラム120を介して印刷装置200に印刷実行を指示する。コンピュータ100としては、特に限定されず、例えば、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置を用いることができる。印刷装置200は、インタフェース130を介して、コンピュータ100と通信可能に接続されている。外部記憶装置300は、インタフェース131を介して、コンピュータ100と通信可能に接続されている。外部記憶装置300としては、特に限定されず、例えば、コンピュータ100に内蔵される補助記憶装置やRAM(Random Access Memory)であってもよいし、印刷装置200に内蔵されるRAM等であってもよい。また、外部記憶装置300としては、ネットワーク上のサーバ(不図示)に内蔵される補助記憶装置やRAMであってもよい。サーバは、印刷装置200のメーカが印刷装置200に関する情報を管理するサーバでもよい。また、インタフェース130およびインタフェース131は、それぞれ、ネットワークインタフェースであってもよいし、USBインタフェースであってもよい。
【0012】
<コンピュータの構成>
図2は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM103、補助記憶装置104を有する。また、コンピュータ100は、表示部105、表示部インタフェース(I/F)106、入力部107、入力部I/F108、ネットワークI/F109を有する。そして、CPU101~ネットワークI/F109は、バス110を介して、互いにデータを送受信可能に接続されている。CPU101は、コンピュータ100全体の動作制御を行う。このCPU101は、ROM102または補助記憶装置104に格納されているプログラムやデータ等を用いて各種の処理を実行することができる。ROM102には、コンピュータ100の制御に用いられるBIOS等の基本ソフトウェアや変更不要の設定データ等が格納されている。RAM103は、補助記憶装置104やROM102からロードされたプログラムやデータ、また、ネットワークI/F109を介して外部から受信された種々のプログラムやデータを格納するためのエリアを有するメモリである。また、RAM103は、CPU101が各種の処理を実行する際に用いられるワークエリアも有する。
【0013】
補助記憶装置104は、例えばハードディスクドライブ装置等の大容量情報記憶装置である。補助記憶装置104には、例えば、OS、ドライバソフトウェア、各種のアプリケーションソフトウェア等が格納されている。通常、各種のアプリケーションソフトウェアは、外部記憶装置300を制御することによって、補助記憶装置104にインストールされる。ドライバソフトウェアには、例えば、表示部105での表示を表示部I/F106で制御するための表示制御ドライバソフトウェアが含まれる。また、ドライバソフトウェアには、入力部107が有するキーボードを入力部I/F108で制御するためのキーボードドライバソフトウェアが含まれる。また、ドライバソフトウェアには、入力部107が有するポインティングデバイスを入力部I/F108で制御するためのポインティングデバイスドライバソフトウェアが含まれる。また、ドライバソフトウェアは、ネットワークI/F109による通信を制御するためのネットワークドライバが含まれる。また、ドライバソフトウェアには、印刷装置200を制御するためのドライバソフトウェアが含まれる。そして、本実施形態では、印刷装置200を制御するためのソフトウェアとして、OS標準印刷プログラム120が初期インストールされている。
【0014】
表示部105には、例えばCPU101による処理結果が画像や文字等で表示される。表示部105としては、特に限定されず、例えば、CRTや液晶画面、その他に投影装置(プロジェクタ装置)等を用いることができる。また、表示部105としては、表示機能およびユーザーインタフェース機能を有するタッチパネル画面を用いることもできる。入力部107は、コンピュータ100の操作者(ユーザ)が各種の情報が入力されて、当該情報に従った指示をCPU101に対して行うことができる。入力部107としては、特に限定されず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等を用いることができる。ネットワークI/F109は、外部機器との間でのデータ通信を行うインタフェースである。例えば、ネットワークI/F109は、通信ネットワークを介したインターネットプロバイダへの接続や、インタフェース130を介した印刷装置200との間でのデータ通信を行う。印刷装置200との間でのデータ通信としては、特に限定されず、例えば、印刷装置200への印刷ジョブの送信等が挙げられる。なお、通信ネットワークへの接続やセキュリティに関しては、mDNS,HTTP、IPP、TLS等公知の方法を使用するのが好ましい。ネットワークI/F109としては、特に限定されず、例えば、ネットワークボード等を用いることができる。
【0015】
<印刷装置の構成>
図3は、印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、印刷装置200は、CPU201、ROM202、RAM203、データ変換部204、操作表示部(表示手段)205、ネットワークI/F209を有する。また、印刷装置200は、印刷部(印刷手段)211、ロール紙給紙部212、カット紙給紙部213、搬送部(搬送手段)214を有する。そして、印刷装置200が有するこれらのものは、バス210を介して、互いにデータを送受信可能に接続されている。CPU201は、印刷装置200の動作制御を行うコンピュータである。ROM202には、各種のプログラムやデータ等が格納されている。プログラムには、例えば、印刷装置200の各部や各手段(印刷装置の制御方法)をCPU201に実行させるためのプログラム等が含まれている。RAM203は、ROM202からロードされたプログラムやデータ、また、ネットワークI/F209を介して外部から受信された種々のプログラムやデータを格納するためのエリアを有するメモリである。また、RAM203は、CPU201が各種の処理を実行する際に用いられるワークエリアも有する。
【0016】
データ変換部204は、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)等の解析や、CG(Computer Graphics)展開等のような画像データの変換を行う。データ変換部204が対応するPDLは、例えばPWG-Rasterである。操作表示部205には、例えばCPU201による処理結果が画像や文字等で表示される。また、操作表示部205には、例えばメニュー画面等の各種の画面が表示される。操作表示部205としては、特に限定されず、例えば液晶画面等を用いることができるが、表示機能およびユーザーインタフェース機能を有するタッチパネル画面を用いるのが好ましい。これにより、操作表示部205は、印刷装置200の操作者(ユーザ)が各種の情報が入力されて、当該情報に従った指示をCPU201に対して行うことができる。ネットワークI/F209は、外部機器との間でのデータ通信を行うインタフェースである。例えば、ネットワークI/F209は、インタフェース130を介したコンピュータ100との間でのデータ通信を行う。コンピュータ100との間でのデータ通信としては、特に限定されず、例えば、コンピュータ100からの印刷ジョブの受信等が挙げられる。
【0017】
印刷部211は、ネットワークI/F209で受信したコンピュータ100から印刷ジョブを実行することにより、印刷ジョブに含まれる画像を印刷用紙に印刷する(印刷工程)。印刷部211での印刷方法としては、特に限定されず、例えば、インクによる印刷方法、トナーによる印刷方法等を用いることができる。印刷用紙は、ロール紙給紙部212またはカット紙給紙部213から印刷部211に搬送される(搬送工程)。この搬送を搬送部214が担う。搬送部214は、例えば、印刷用紙の搬送方向に沿って配置された複数のローラを有する。各ローラが回転することにより、印刷用紙が搬送される。本実施形態では、搬送部214による印刷用紙の搬送方向と直交する方向を印刷用紙の幅方向とする。
【0018】
ロール紙給紙部212は、印刷用紙としてのロール紙が設置されて、当該ロール紙を印刷部211に供給する(給紙工程)。「ロール紙」とは、印刷前の状態でロール状に巻回され、印刷時には展開されて、すなわち、引き伸ばされて使用される用紙のことである。本実施形態では、ロール紙給紙部212は、例えば、幅が10インチ~44インチのロール紙の供給が可能である。また、本実施形態のロール紙給紙部212は、幅が異なる複数種のロール紙のうちの1種類のロール紙の設置が可能であるが、幅が異なる複数種のロール紙の一括した設置は不可能となっている。ロール紙給紙部212は、ロール紙給紙部212にロール紙が設置されているか否かを検知するロール紙給紙検知センサ(不図示)と、ロール紙給紙部212に設置されたロール紙の幅を検知するロール紙幅センサ(不図示)とを有するのが好ましい。カット紙給紙部213は、印刷用紙としてのカット紙が設置されて、当該カット紙を印刷部211に供給する(給紙工程)。「カット紙」とは、1枚ずつ裁断されている用紙のことである。本実施形態では、カット紙給紙部213は、例えば、A判およびB判のうちの少なくとも一方のカット紙の供給が可能である。また、本実施形態のカット紙給紙部213は、幅が異なる複数種のカット紙を一括して設置可能となっている。カット紙給紙部213は、カット紙給紙部213にカット紙が設置されているか否かを検知するカット紙給紙検知センサ(不図示)と、カット紙給紙部213に設置されたカット紙の幅を検知するカット紙幅センサ(不図示)とを有するのが好ましい。このように印刷装置200では、ロール紙給紙部212およびカット紙給紙部213は、カット紙およびロール紙をそれぞれ印刷部211に供給可能な給紙部(給紙手段)215となっている。そして、印刷時には、ロール紙給紙部212に設置されているロール紙、カット紙給紙部213に設置されているカット紙のいずれかが選択される。この選択は、操作表示部205に表示される操作画面(不図示)上で行われる。前述したように本実施形態では、ロール紙給紙部212は、幅が異なる複数種のロール紙の一括した設置は不可能となっているが、これに限定されず、例えば、幅が異なる複数種のロール紙の一括した設置が可能となっていてもよい。この場合、印刷時にはこれら複数種のロール紙の中から1つのロール紙が選択される。
【0019】
<印刷システムの動作>
図4Aは、印刷対象画像と印刷対象画像の印刷結果とを一例を示す図である。本実施形態では、印刷ジョブでは、当該印刷ジョブの実行で使用されるべき(使用した方が好ましい)、すなわち、印刷ジョブの実行に適した印刷用紙として、カット紙が設定されていることとする。前述したようにロール紙給紙部212は、幅が異なる複数種のロール紙のうちの1種類のロール紙の設置が可能である。一方、カット紙給紙部213は、幅が異なる複数種のカット紙を設置可能となっている。そして、印刷ジョブの実行時、すなわち、印刷時には、ロール紙給紙部212に設置されているロール紙、カット紙給紙部213に設置されているカット紙のいずれかを選択することができる。ここでは、ロール紙給紙部212に設置されているロール紙を選択したとする。この場合、印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、ロール紙給紙部212で選択されているロール紙の幅よりも大きくなることがある。例えば図4A(a)に示すように、コンピュータ100の表示部105に、印刷対象となる画像400が表示されている。また、画像400を印刷装置200で印刷するのに際して、印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙401の幅W401が、ロール紙給紙部212で選択されているロール紙402の幅W402よりも大きかったとする。このような大小関係のまま印刷を行った場合には、画像400はカット紙401に適した大きさで印刷されるため、ロール紙402上では、ユーザが意図しないクリッピングによる画像欠損が生じるおそれがある。
【0020】
そこで、印刷装置200では、このような画像欠損が生じるのを抑制可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。図4Bは、ユーザ、印刷アプリケーション、OS標準印刷プログラム、印刷装置との間で実行される処理を示すシーケンス図である。
【0021】
ステップS41では、ユーザは、印刷アプリ121の印刷機能を用いて、印刷装置200に対する印刷実行を選択する。
【0022】
ステップS42では、印刷アプリ121は、ステップS41での印刷実行の指示を受け付けて、印刷画面を表示部105に表示する。印刷アプリ121は、この印刷画面上で、印刷設定開始の指示、印刷設定確定の指示、印刷実行指示を受け付けることができる。
【0023】
ステップS43では、ユーザは、ステップS42で表示部105に表示されている印刷画面上で印刷設定開始の指示を行う。
【0024】
ステップS44では、印刷アプリ121は、ステップS43での印刷設定開始の指示を受け付けて、当該印刷設定開始の指示をOS標準印刷プログラム120に対して行う。
【0025】
ステップS45では、OS標準印刷プログラム120は、ステップS44での印刷設定の開始指示を受け付けて、印刷設定画面を表示部105に表示する。
【0026】
ステップS46では、OS標準印刷プログラム120は、インタフェース130を介して、印刷装置200に対して能力情報を要求する。能力情報には、例えば、印刷装置200で対応可能な全用紙のサイズに関する情報と、現在印刷装置200に設置されている用紙のサイズが含まれる。用紙サイズの情報は、用紙幅と用紙高さとを示す数値等からなり、ロール紙の場合、用紙高さは、最小高と最大高との値の組み合わせからなる。また、能力情報には、印刷装置200で対応可能な全給紙方法に関する情報と、現在印刷装置200で対応可能な給紙方法、印刷装置200で対応可能な印刷解像度の情報等も含まれる。なお、OS標準印刷プログラム120と印刷装置200との間の通信は、IPP等のOS110の通信規約に応じた通信で行われる。
【0027】
ステップS47では、印刷装置200は、ステップS46での能力情報の取得要求を受信して、RAM203から能力情報を読み出す。これにより、OS標準印刷プログラム120に対する能力情報の応答の準備が完了する。なお、能力情報は、RAM203から読み出されるのに限定されない。例えば、前述したカット紙給紙検知センサおよびカット紙幅センサでの検知結果に基づいて、能力情報に含まれる第2用紙情報が取得されてもよい。第2用紙情報は、ロール紙給紙部212で選択されているロール紙402の幅W402に関する情報である。幅W402に関する情報は、カット紙幅センサでの検知結果に基づいて取得される。そして、第2用紙情報の取得元がRAM203の場合であっても、カット紙幅センサ場合であっても、第2用紙情報は、印刷装置200のCPU201を取得先として取得される。このように本実施形態では、CPU201は、第2用紙情報を取得する取得手段としても機能する。ステップS47において、CPU201は印刷装置にセットされているロール紙の幅と、印刷装置200で印刷に利用することのできるカット紙のサイズを能力情報として読み出す。なお、印刷装置200で利用することのできるカット紙のサイズは、印刷装置200の給紙部215に現在給紙されている用紙の用紙サイズに関わらない。
【0028】
ステップS48では、印刷装置200は、ステップS47で読み出された能力情報をOS標準印刷プログラム120に対して応答する。
【0029】
ステップS49では、OS標準印刷プログラム120は、ステップS48で応答された能力情報を取得する。能力情報は、例えばRAM103に記憶される。OS標準印刷プログラム120は、取得した能力情報に基づき印刷設定画面を更新する。これにより、印刷設定画面では、印刷装置200で利用することのできるカット紙のサイズと、印刷装置にセットされているロール紙の幅が用紙サイズとして選択できるようになる。
【0030】
ステップS50では、ユーザは、印刷画面上で印刷設定確定の指示を行う。これにより、OS標準印刷プログラム120は、印刷設定確定の指示を受け付ける。その後、OS標準印刷プログラム120は、ステップS45で表示した印刷設定画面を閉じて、印刷アプリ121に対して終了通知を渡す。
【0031】
ステップS51では、ユーザは、印刷画面上で印刷実行指示(印刷ジョブの実行)を行う。このときの印刷実行指示では、印刷用紙として、ロール紙給紙部212に設置されているロール紙402が選択されたとする。
【0032】
ステップS52では、印刷アプリ121は、ステップS51での印刷実行指示を受け付けて、当該印刷実行指示をOS標準印刷プログラム120に通知する。印刷実行指示には、印刷対象となる画像データ情報と、印刷設定の情報とが含まれている。また、印刷設定の情報には、印刷実行で使用されるべきカット紙401の幅W401に関する第1用紙情報が含まれている。
【0033】
ステップS53では、OS標準印刷プログラム120は、ステップS52で通知された印刷実行指示に基づいて、印刷ジョブを生成する。
【0034】
ステップS54では、OS標準印刷プログラム120は、ステップS53で生成された印刷ジョブを、印刷装置200に対して送信する。印刷ジョブには、特に第1用紙情報が含まれている。
【0035】
ステップS55では、印刷装置200は、ステップS54で送信された印刷ジョブを取得する。この取得は、ネットワークI/F209で行われる。このように本実施形態では、ネットワークI/F209は、印刷ジョブ(特に印刷ジョブに含まれる第1用紙情報)を取得する情報取得手段として機能する。そして、印刷装置200は、ネットワークI/F209で取得された第1用紙情報と、能力情報に含まれる第2用紙情報とに基づいて、カット紙401の幅W401がロール紙402の幅W40よりも大きいか否かを判断する。この判断は、CPU201で行われる。このように本実施形態では、CPU201は、幅W401が幅W40よりも大きいか否かを判断する判断手段として機能する。なお、印刷装置200では、判断手段として機能する部分がCPU201とは別に設けられていてもよい。また、印刷装置200は、判断手段での判断結果に基づいて、印刷実行するかまたは印刷中止するかをユーザに対して問う確認ダイアログ(図6A図6B参照)を表示するか否かと、ダイアログの種類(図6A図6B参照)とを決定する。
【0036】
ステップS56では、印刷装置200は、ステップS55での結果に基づいた確認ダイアログを操作表示部205に表示する。
【0037】
ステップS57では、ユーザは、ステップS56で操作表示部205に表示された確認ダイアログから印刷実行または印刷中止を選択する。
【0038】
ステップS57で印刷実行が選択された場合、ステップS58では、印刷装置200は、印刷部211によって、印刷ジョブの画像400を縮小して、当該画像400をロール紙402に印刷する。この縮小は、カット紙401の幅W401とロール紙402の幅W402との比率(W402/W401)分だけ行われる。これにより、図4A(b)に示す印刷物403を得ることができる。印刷物403では、クリッピングによる画像欠損が抑制されており、画像400全体がロール紙402に納まっている。このように印刷装置200では、ロール紙402に印刷を行う際に、当該ロール紙402の幅W402の大小に関わらず、またロール紙402を交換せずとも、ロール紙402上での画像欠損を抑制することができる。これにより、画像欠損が生じる印刷の無駄を省くことができる。
【0039】
一方、ステップS57で印刷中止が選択された場合、ステップS59では、印刷装置200は、ステップS55で取得した印刷ジョブを削除して、処理は終了する。
【0040】
<用紙判断の処理>
図5は、印刷装置で実行される処理(用紙判断処理)を示すフローチャートである。図6Aは、印刷装置に表示される第1確認ダイアログの一例を示す図である。図6Bは、印刷装置に表示される第2確認ダイアログの一例を示す図である。図5に示すように、ステップS11では、印刷装置200のCPU201は、ネットワークI/F109を制御して、ステップS54(図4B参照)でコンピュータ100から送信された印刷ジョブを受信する。前述したように、印刷ジョブには、当該印刷ジョブの実行(印刷実行)で使用されるべきカット紙401の幅W401に関する第1用紙情報が含まれている。
【0041】
ステップS12では、CPU201は、印刷ジョブから第1用紙情報を読み出す。
【0042】
ステップS13では、CPU201は、給紙部215で現在選択されている印刷用紙の大きさ(特に幅)に関する情報、すなわち、ロール紙給紙部212のロール紙、または、カット紙給紙部213のカット紙の大きさに関する用紙情報を取得する。
【0043】
ステップS14では、CPU201は、ステップS12で読み出された第1用紙情報と、ステップS13で取得された用紙情報とに基づいて、双方の用紙の大きさが一致するか否かを判断する。ステップS14での判断の結果、双方の用紙の大きさが一致すると判断された場合には、処理はステップS15に進む。一方、ステップS14での判断の結果、双方の用紙の大きさが一致しないと判断された場合には、処理はステップS16に進む。
【0044】
ステップS15では、CPU201は、印刷部211および搬送部214等を制御して、給紙部215で現在選択されている印刷用紙に対して印刷を行う。
【0045】
ステップS16では、CPU201は、給紙部215で現在選択されている印刷用紙がロール紙であり、当該ロール紙がロール紙給紙部212に設置されている(給紙されている)か否かを判断する。ステップS16での判断の結果、ロール紙がロール紙給紙部212に設置されていると判断された場合には、処理はステップS17に進む。一方、ステップS16での判断の結果、ロール紙がロール紙給紙部212に設置されていないと判断された場合には、処理はステップS19に進む。
【0046】
ステップS17では、CPU201は、第2用紙情報を取得する。CPU201は、ステップS12で読み出された第1用紙情報と、この第2用紙情報とに基づいて、印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙401の幅W401が、給紙部215で現在選択されているロール紙402の幅W402よりも大きいか否かを判断する。ステップS17での判断の結果、幅W401が幅W402よりも大きいと判断された場合には、処理はステップS18に進む。一方、ステップS17での判断の結果、幅W401が幅W402よりも大きくはないと判断された場合には、処理はステップS15に進む。
【0047】
ステップS18では、CPU201は、操作表示部205を制御して、図6Aに示す第1確認ダイアログ601を表示する。第1確認ダイアログ601は、印刷ジョブの実行と、印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な操作画面である(選択工程)。本実施形態では、第1確認ダイアログ601には、メッセージ603、ボタン604、ボタン605が含まれている。メッセージ603は、印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙401の幅W401が、給紙部215で現在選択されているロール紙402の幅W402よりも大きい旨のメッセージとなっている。ボタン604は、印刷ジョブの実行を決定するボタンである。操作表示部205上でボタン604を操作することにより、前述した縮小印刷がロール紙402に対して行われる。これにより、例えば、画像400全体がロール紙402に納まった状態の印刷物403(図4A(b)参照)を得ることができる。ボタン605は、印刷ジョブの実行停止を決定するボタンである。操作表示部205上でボタン605を操作することにより、印刷ジョブの実行を停止することができる。なお、本実施形態では、印刷ジョブの実行と、印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択手段として、操作表示部205に表示される第1確認ダイアログ601としているが、これに限定されない。例えば選択手段としては、機械式のボタンやキーボート等であってもよい。
【0048】
ステップS16実行後のステップS19では、CPU201は、操作表示部205を制御して、図6Bに示す第2確認ダイアログ602を表示する。第2確認ダイアログ602は、そのままの状態での印刷ジョブの実行と、印刷ジョブの実行停止と、カット紙に変更した印刷ジョブの実行とのうちの1つを選択させる選択操作が可能な操作画面である。本実施形態では、第2確認ダイアログ602には、メッセージ606、ボタン607、ボタン608、ボタン609が含まれている。メッセージ606は、給紙方法の選択を促すメッセージである。ボタン607は、そのまま状態、すなわち、現在選択されている用紙に対する印刷ジョブの実行を決定するボタンである。操作表示部205上でボタン607を操作することにより、現在選択されている用紙に対する印刷が行われそうになるが、ロール紙がロール紙給紙部212に設置されていないため、その旨がエラーとして操作表示部205に表示される。なお、この時にメッセージにおいてロール紙の設置を指示するメッセージを表示するとしてもよい。ボタン608は、カット紙に変更した印刷ジョブの実行を決定するボタンである。操作表示部205上でボタン608を操作することにより、所望のカット紙に変更して、当該カット紙に対する印刷が行われる。ボタン609は、印刷ジョブの実行停止を決定するボタンである。操作表示部205上でボタン609を操作することにより、印刷ジョブの実行を停止することができる。
【0049】
<確認ダイアログの処理>
図7は、印刷装置において図5に記載の処理の後に実行される処理である。図7に示すように、ステップS20では、CPU201は、第2確認ダイアログ602が表示部105に表示されているか否かを判断する。ステップS20での判断の結果、第2確認ダイアログ602が表示されていると判断された場合には、処理はステップS26に進む。一方、ステップS20での判断の結果、第2確認ダイアログ602が表示されていないと判断された場合には、処理はステップS21に進む。
【0050】
ステップS21では、CPU201は、第1確認ダイアログ601が表示部105に表示されているか否かを判断する。ステップS21での判断の結果、第1確認ダイアログ601が表示されていると判断された場合には、処理はステップS23に進む。一方、ステップS21での判断の結果、第1確認ダイアログ601が表示されていないと判断された場合には、処理は終了する。
【0051】
ステップS23では、CPU201は、第1確認ダイアログ601のボタン604が操作されたか否かを判断する。ステップS23での判断の結果、ボタン604が操作されたと判断された場合には、処理はステップS24に進む。一方、ステップS23での判断の結果、ボタン604が操作されていない、すなわち、ボタン605が操作されたと判断された場合には、処理はステップS25に進む。
【0052】
ステップS24では、CPU201は、印刷部211および搬送部214等を制御して、前述した縮小印刷を行う。
【0053】
ステップS25では、CPU201は、印刷ジョブをキャンセルして、印刷を中止する。
【0054】
ステップS26では、CPU201は、第2確認ダイアログ602のボタン607~ボタン609のうちのいずれかが選択されたかを判断する。ステップS26でボタン607が選択されたと判断された場合には、処理はステップS22に進む。ステップS26においてボタン609が選択されたと判断された場合には、処理ステップS25に進む。ステップS26でボタン608が選択されたと判断された場合には、処理はステップS27に進む。また、ステップS26でボタン608が選択されたと判断された場合には、CPU201は、使用するカット紙のサイズを選択する画面(不図示)を表示部105に表示させる。表示部105に表示された画面において、カット紙のサイズが選択されたことに従って、CPU201は、ステップS27の処理を実行する。
【0055】
ステップ22では、CPU201は、印刷部211および搬送部214等を制御して、給紙部215で現在選択されている印刷用紙に対して印刷を行う。
【0056】
ステップS27では、CPU201は、印刷部211および搬送部214等を制御して、今回の印刷で用いられることに変更されたカット紙に対する印刷を行う。
【0057】
第1実施形態では、印刷ジョブで指定されるカット紙の幅が印刷装置200にセットされているロール紙の幅よりも大きくなる場合にユーザに通知を行う。このようにすることで、画像が用紙からはみ出てしまう可能性があることをユーザに通知することができる。さらに、図6A図6Bに示す確認ダイアログを表示することで、ロール紙に合わせて印刷をおこなうための指示をユーザから受け付けることができる。
【0058】
<<第2実施形態>>
以下、図8および図9を参照して、第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。本実施形態は、第1確認ダイアログおよび第2確認ダイアログの表示がコンピュータで行われること以外は前記第1実施形態と同様である。図9は、ユーザ、印刷アプリケーション、ステータスモニタ、OS標準印刷プログラム、印刷装置との間で実行される処理を示すシーケンス図である。
【0059】
<印刷システムの構成>
図8は、第2実施形態に係る印刷システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、コンピュータ100は、OS標準印刷プログラム120、印刷アプリ121の他に、さらにステータスモニタ122を有する。ステータスモニタ122は、印刷装置200の状態を監視するプログラムである。ステータスモニタ122は、例えば印刷装置200に用紙無い旨等のエラーが発生した場合、当該エラーを検知して、表示部105上で通知する、すなわち、報知することができる。
【0060】
<印刷システムの動作>
図9は、ユーザ、印刷アプリケーション、ステータスモニタ、OS標準印刷プログラム、印刷装置との間で実行される処理を示すシーケンス図である。図9に示すように、ステップS60では、コンピュータ100のステータスモニタ122は、印刷装置200の状態を監視する。この監視状態は、少なくともステップS55が完了するまで維持される。
【0061】
ステップS61では、印刷装置200は、第1確認ダイアログ601および第2確認ダイアログ602のうちのどちらの確認ダイアログを表示するかについての情報を、ステータス応答としてステータスモニタ122に送信する。
【0062】
ステップS62では、ステータスモニタ122は、ステップS61で送信された情報に基づいて、第1確認ダイアログ601または第2確認ダイアログ602をコンピュータ100の表示部105に表示する。
【0063】
ステップS63では、ユーザは、ステップS62で表示部105に表示された確認ダイアログから印刷実行または印刷中止を選択する。
【0064】
ステップS63で印刷実行が選択された場合、ステップS64では、印刷装置200は、印刷部211によって、印刷ジョブの画像400を縮小して、当該画像400をロール紙402に印刷する。これにより、クリッピングによる画像欠損が抑制されて、画像400全体がロール紙402に納まった印刷物403(図4A(b)参照)を得ることができる。このように本実施形態でも、第1実施形態と同様に、ロール紙402に印刷を行う際に、当該ロール紙402の幅W402の大小に関わらず、またロール紙402を交換せずとも、ロール紙402上での画像欠損を抑制することができる。
【0065】
一方、ステップS63で印刷中止が選択された場合、ステップS65では、印刷装置200は、ステップS55で取得した印刷ジョブを削除して、処理は終了する。
【0066】
<用紙判断の処理>
第1実施形態では、図5に示すフローチャートのステップS11~ステップS19の処理は、全て印刷装置200で実行される。これに対し、第2実施形態では、図5に示すフローチャートのステップS11~ステップS17の処理は、印刷装置200で実行され、ステップS18およびステップS19の処理は、コンピュータ100で実行される。
【0067】
ステップS18では、ステータスモニタ122は、図6Aに示す第1確認ダイアログ601を表示部105に表示する。これにより、第1確認ダイアログ601のボタン604およびボタン605のうちの一方のボタンを操作することができる。
【0068】
ステップS19では、ステータスモニタ122は、図6Bに示す第2確認ダイアログ602を表示部105に表示する。これにより、第2確認ダイアログ602のボタン607、~ボタン609のうちの1つのボタンを操作することができる。
【0069】
<確認ダイアログの処理>
第1実施形態では、図7に示すフローチャートのステップS20~ステップS27の処理は、全て印刷装置200で実行される。これに対し、第2実施形態では、図7に示すフローチャートのステップS22、ステップS24、ステップS25、ステップS27の処理は、印刷装置200で実行される。また、ステップS20、ステップS21、ステップS23、ステップ26の処理は、コンピュータ100で実行される。ここでは、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0070】
ステップS20では、ステータスモニタ122は、第2確認ダイアログ602が表示部105に表示されているか否かを判断する。ステップS20での判断の結果、第2確認ダイアログ602が表示されていると判断された場合には、処理はステップS26に進む。一方、ステップS20での判断の結果、第2確認ダイアログ602が表示されていないと判断された場合には、処理はステップS21に進む。
【0071】
ステップS21では、ステータスモニタ122は、第1確認ダイアログ601が表示部105に表示されているか否かを判断する。ステップS21での判断の結果、第1確認ダイアログ601が表示されていると判断された場合には、処理はステップS23に進む。一方、ステップS21での判断の結果、第1確認ダイアログ601が表示されていないと判断された場合には、処理は終了する。
【0072】
ステップS23では、コンピュータ100のCPU101は、第1確認ダイアログ601のボタン604が操作されたか否かを判断する。ステップS23での判断の結果、ボタン604が操作されたと判断された場合には、処理はステップS24に進む。一方、ステップS23での判断の結果、ボタン604が操作されていない、すなわち、ボタン605が操作されたと判断された場合には、処理はステップS25に進む。
【0073】
ステップS26では、CPU101は、第2確認ダイアログ602のボタン607~ボタン609のうちのいずれかが選択されたかを判断する。ステップS26でボタン607が選択されたと判断された場合には、処理はステップS22に進む。ステップS26においてボタン609が選択されたと判断された場合には、処理ステップS25に進む。ステップS26でボタン608が選択されたと判断された場合には、処理はステップS27に進む。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0075】
各実施形態の開示は、以下の構成、方法およびプログラムを含む。
(構成1) 印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、
前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷手段に供給可能に選択される給紙手段と、
前記印刷用紙を前記給紙手段から前記印刷手段に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択手段と、を備えることを特徴とする印刷装置。
(構成2) 前記印刷手段は、前記選択手段で前記印刷ジョブの実行が選択された場合に、前記画像を縮小して、該画像を前記給紙手段で選択されている前記ロール紙に印刷することを特徴とする構成1に記載の印刷装置。
(構成3) 前記印刷手段は、前記画像を縮小する際、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅と、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅との比率分だけ、前記画像の縮小を行うことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
(構成4) 前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅に関する第1用紙情報と、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅に関する第2用紙情報とを取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得された前記第1用紙情報および前記第2用紙情報に基づいて、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きいか否かを判断する判断手段とを、備え、
前記選択手段は、前記判断手段での判断の結果、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きいと判断された場合に、前記選択操作を可能とすることを特徴とする構成1乃至3のいずれか1つに記載の印刷装置。
(構成5) 画面を表示する表示手段を備え、
前記選択手段は、前記表示手段に表示され、前記選択操作が可能な操作画面で構成されることを特徴とする構成1乃至4のいずれか1つに記載の印刷装置。
(構成6) 前記操作画面には、前記印刷ジョブの実行を決定するボタンと、前記印刷ジョブの実行停止を決定するボタンとが含まれていることを特徴とする構成5に記載の印刷装置。
(構成7) 前記操作画面には、前記印刷ジョブの実行で使用されるべきカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい旨のメッセージが含まれていることを特徴とする構成5または6に記載の印刷装置。
(構成8) 前記給紙手段は、幅が異なる複数種の前記カット紙が供給可能に選択されるものであり、
前記選択手段は、前記給紙手段で前記ロール紙が選択されているにも関わらず、該ロール紙が前記給紙手段に設置されていない場合には、前記印刷ジョブの実行停止と、前記カット紙に変更した前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能であることを特徴とする構成1乃至7のいずれか1つに記載の印刷装置。
(構成9) 印刷装置と、該印刷装置と通信可能に接続された情報処理装置と、を備える印刷システムであって、
前記印刷装置は、
印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷手段と、
前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷手段に供給可能に選択される給紙手段と、
前記印刷用紙を前記給紙手段から前記印刷手段に搬送する搬送手段と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記搬送手段による前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙手段で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択手段を備えることを特徴とする印刷システム。
(方法1) 印刷装置を制御する方法であって、
印刷ジョブを実行することにより、画像を印刷用紙に印刷する印刷工程と、
前記印刷用紙としてのカット紙とロール紙とがそれぞれ前記印刷工程に供給可能に選択される給紙工程と、
前記印刷用紙を前記給紙工程から前記印刷工程に搬送する搬送工程と、
前記搬送工程での前記印刷用紙の搬送方向と直交する方向を前記印刷用紙の幅方向としたとき、前記印刷ジョブの実行で使用されるべき印刷用紙としてのカット紙の幅が、前記給紙工程で選択されている前記ロール紙の幅よりも大きい場合に、前記印刷ジョブの実行と、前記印刷ジョブの実行停止とのうちの一方を選択させる選択操作が可能な選択工程と、を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
(プログラム1) 構成1乃至8のいずれか1つに記載の印刷装置の各手段をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0076】
120 OS標準印刷プログラム
200 印刷装置
211 印刷部
212 ロール紙給紙部
213 カット紙給紙部
214 搬送部
215 給紙部
601 第1確認ダイアログ
602 第2確認ダイアログ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9