(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025113649
(43)【公開日】2025-08-04
(54)【発明の名称】酸化ハフニウム膜改質方法、及び不揮発性メモリ装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20250728BHJP
【FI】
H01L21/316 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007913
(22)【出願日】2024-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】今村 博亮
(72)【発明者】
【氏名】神 好人
【テーマコード(参考)】
5F058
【Fターム(参考)】
5F058BF02
5F058BF07
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF37
5F058BH17
(57)【要約】
【課題】強誘電性のo相(orthorhombic phase)主体の酸化ハフニウム(膜)に結晶化(改質)することができる酸化ハフニウム膜改質方法等を提供する。
【解決手段】酸化ハフニウム膜改質方法であって、シリコン基板上に非晶質の酸化ハフニウム膜を成膜する成膜工程S11と、前記非晶質の酸化ハフニウム膜がo相主体の酸化ハフニウム膜に改質され、かつ、当該o相主体の酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないように、前記非晶質の酸化ハフニウム膜に紫外域の波長のパルスレーザー光を照射する結晶化工程S12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板上に非晶質の酸化ハフニウム膜を成膜する成膜工程と、
前記非晶質の酸化ハフニウム膜がo相主体の酸化ハフニウム膜に改質され、かつ、当該o相主体の酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないように、前記非晶質の酸化ハフニウム膜に紫外域の波長のパルスレーザー光を照射する結晶化工程と、を備える酸化ハフニウム膜改質方法。
【請求項2】
前記非晶質の酸化ハフニウム膜は、Thermal ALD法により成膜され、
前記パルスレーザー光のエネルギー密度は、400mJ/cm2以上である請求項1に記載の酸化ハフニウム膜改質方法。
【請求項3】
前記パルスレーザー光の波長は248nm、パルス間隔は10ms、パルス幅は数十nsである請求項2に記載の酸化ハフニウム膜改質方法。
【請求項4】
前記パルスレーザー光は、KrF光源のパルスレーザー照射装置から出射する請求項3に記載の酸化ハフニウム膜改質方法。
【請求項5】
前記結晶化工程により改質された前記酸化ハフニウム膜のX線回折装置によるX線回折パターンは、2θ=30.35°付近にピークを有し、
前記結晶化工程により改質された前記酸化ハフニウム膜の走査電子顕微鏡によるSEM画像は、酸化ハフニウム膜の凝集と評価される相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含まない請求項1に記載の酸化ハフニウム膜改質方法。
【請求項6】
シリコン基板と、前記シリコン基板に形成された酸化ハフニウム膜と、を備えた不揮発性メモリ装置であって、
前記酸化ハフニウム膜は、
前記シリコン基板上に非晶質の酸化ハフニウム膜を成膜する成膜工程と、
前記非晶質の酸化ハフニウム膜がo相主体の酸化ハフニウム膜に改質され、かつ、当該o相主体の酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないように、前記非晶質の酸化ハフニウム膜に紫外域の波長のパルスレーザー光を照射する結晶化工程と、を実施することにより形成されたo相主体の酸化ハフニウム膜である不揮発性メモリ装置。
【請求項7】
前記シリコン基板の一面側に当該一面から露出した状態で形成されたソース領域と、
前記シリコン基板の一面側かつ前記ソース領域から離れた箇所に当該一面から露出した状態で形成されたドレイン領域と、
前記酸化ハフニウム膜上に形成されたゲート電極と、
前記酸化ハフニウム膜に前記ソース領域に対応して形成された第1コンタクトホールを介して前記ソース領域に電気的に接続されたソース電極と、
前記酸化ハフニウム膜に前記ドレイン領域に対応して形成された第2コンタクトホールを介して前記ドレイン領域に電気的に接続されたドレイン電極と、を備え、
前記成膜工程は、前記シリコン基板の一面側に前記ソース領域及び前記ドレイン領域を覆った状態で非晶質の酸化ハフニウム膜を成膜し、
前記結晶化工程は、前記非晶質の酸化ハフニウム膜がo相主体の酸化ハフニウム膜に改質され、かつ、当該o相主体の酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないように、前記非晶質の酸化ハフニウム膜に紫外域の波長のパルスレーザー光を照射する請求項6に記載の不揮発性メモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酸化ハフニウム膜改質方法、及び不揮発性メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ハフニウム膜付きのシリコン基板をアニール処理する結晶化処理が行われている。通常の抵抗加熱の他、RTA(Rapid Thermal Annealing)等もある。アニール処理する例は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の結晶相があり得る酸化ハフニウムは常誘電性のm相(monoclinic phase)が最安定な結晶相であるため、上記結晶化処理により、最安定のm相を抑制し、強誘電性のo相(orthorhombic phase)主体の酸化ハフニウム(膜)に結晶化(改質)することが難しいという課題がある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る酸化ハフニウム膜改質方法は、シリコン基板上に非晶質の酸化ハフニウム膜を成膜する成膜工程と、前記非晶質の酸化ハフニウム膜がo相主体の酸化ハフニウム膜に改質され、かつ、当該o相主体の酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないように、前記非晶質の酸化ハフニウム膜に紫外域の波長のパルスレーザー光を照射する結晶化工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施の形態によれば、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム(膜)に結晶化(改質)することができる酸化ハフニウム膜改質方法、及び不揮発性メモリ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の酸化ハフニウム膜改質方法のフローチャートである。
【
図2】(a)1T1C(キャパシタ型)、(b)1T(トランジスタ型)の概略構成図である。
【
図3】シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20を成膜している様子を表す模式図である。
【
図4】シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20を結晶化(改質)している様子を表す模式図である。
【
図5】(a)X線回折パターン(実験1の実験結果)を示すグラフ、(b)X線回折パターン(実験2の実験結果)を示すグラフである。
【
図6】シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20を結晶化(改質)している様子を表す模式図である。
【
図7】(a)X線回折パターン(実験3の実験結果)を示すグラフ、(b)X線回折パターン(実験4の実験結果)を示すグラフである。
【
図8】SEMにより撮像した酸化ハフニウム膜のSEM画像である。
【
図9】(a)X線回折パターン(実験5の実験結果)を示すグラフ、(b)X線回折パターン(実験6の実験結果)を示すグラフである。
【
図10】SEMにより撮像した酸化ハフニウム膜のSEM画像である。
【
図11】(a)比較例、(b)実施形態を表す図である。
【
図12】実施形態の酸化ハフニウム膜改質方法により改質された酸化ハフニウム膜20
T+Kを適用した不揮発性メモリ装置Mの概略構成図である。
【
図13】不揮発性メモリ装置Mの製造工程のフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0010】
<酸化ハフニウム膜改質方法の概略>
まず、本開示の酸化ハフニウム膜改質方法の概略について説明する。
【0011】
図1は、本開示の酸化ハフニウム膜改質方法のフローチャートである。
【0012】
図1に示すように、本開示の酸化ハフニウム膜改質方法は、シリコン基板10を用意し(ステップS10)、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20を成膜する成膜工程(ステップS11)と、非晶質の酸化ハフニウム膜20に紫外域の波長のパルスレーザー光を照射(酸化ハフニウム膜を結晶化)する結晶化工程(ステップS12)と、を含む。結晶化工程においては、非晶質の酸化ハフニウム膜20がo相主体の酸化ハフニウム膜に改質され、かつ、当該o相(orthorhombic phase)主体の酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないように、パルスレーザー光のエネルギー密度、波長、パルス間隔、パルス幅が選定される。
【0013】
本開示の酸化ハフニウム膜改質方法によれば、シリコン基板10上に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20を、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができる。
【0014】
最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)されたことは、X線回折装置を用い、ステップS12で結晶化された酸化ハフニウム膜(結晶相)を評価することにより確認できる(ステップS13)。なお、
図1中「a-HfO
2」は、非晶質の酸化ハフニウム膜20を表す。
図1中「x-HfO
2」は、結晶化された酸化ハフニウム膜20を表す。
図1中「(o)-HfO
2」は、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜を表す。
【0015】
本開示の酸化ハフニウム膜改質方法により結晶化(改質)された最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜は、不揮発性メモリ装置に適用することができる。
【0016】
<酸化ハフニウム膜改質方法に至った背景>
次に、本開示の酸化ハフニウム膜改質方法に至った背景について説明する。
【0017】
従来、不揮発性メモリ装置の分野においては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、SBT(タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム)等が強誘電体材料としてあり、1T1C(キャパシタ型)で商業化されている。
図2(a)は、1T1C(キャパシタ型)の概略構成図である。
【0018】
一方、本発明者らは、高密度化を目的として、上記従来の強誘電体材料を1T(トランジスタ型)に適用すると共に、上記従来の強誘電体材料の薄膜化を検討した。
図2(b)は、1T(トランジスタ型)の概略構成図である。
【0019】
しかしながら、上記従来の強誘電体材料は、1T(トランジスタ型)に適用する場合、薄膜化に限界があること、また、シリコン基板との親和性に課題があること、が知られていた。
【0020】
そこで、本発明者らは、1T(トランジスタ型)の強誘電体材料として、極薄膜で強誘電性を示し、かつ、シリコン基板上に直接形成可能な酸化ハフニウム(HfO2)を用いることを検討した。
【0021】
しかしながら、複数の結晶相があり得る酸化ハフニウムは常誘電性のm相(monoclinic phase)が最安定な結晶相であるため、本発明者らは、最安定相のm相を抑制した酸化ハフニウムの結晶化方法について検討した。本発明者らは、この検討の過程で複数の実験を行った。
【0022】
その結果、本発明者らは、シリコン基板上に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜を、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)する方法(本開示の酸化ハフニウム膜改質方法)を見出した。
【0023】
以下、本開示の酸化ハフニウム膜改質方法を導くために本発明者らが実施した実験1~6について説明する。
【0024】
<実験1>
実験1は、次の表1に記載の条件で実施した。
【0025】
【0026】
<実験1の成膜>
図3は、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20を成膜している様子を表す模式図である。
【0027】
実験1では、成膜装置(JSWアフティ社製ALD装置(デモ機))を用い、thermal-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20を成膜した。ALDは、Atomic Layer Depositionの略で、原子層堆積とも呼ばれる。以下、thermal-ALD法によりシリコン基板10上に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20を酸化ハフニウム膜20Tと記載する。
【0028】
具体的には、
図3に示すように流動する原料ガス、酸化剤及び不活性ガスにヒーターにより120度に加熱されたシリコン基板10の一面側を接触させることにより、シリコン基板10上に膜厚10nmの極薄の酸化ハフニウム膜20
Tを成膜した。なお、原料ガスとしてTEMAH(Tetrakis(EthylMethylAmido)Hafnium)を用い、酸化剤としてO
3を用い、不活性ガスとしてN
2を用いた。
【0029】
<実験1の結晶化(改質)>
図4は、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20を結晶化(改質)している様子を表す模式図である。
【0030】
実験1では、XeCl光源(波長308nm)のパルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Tに紫外域の波長のパルスレーザー光30Xを照射した。パルスレーザー光30Xの波長308nm、パルス間隔10ms(100Hz)、パルス幅(FWHM)数十ns、照射回数(shot数)200回(200shot)である。実験1では、パルスレーザー光30Xのエネルギー密度を170mJ/cm2、220mJ/cm2、270mJ/cm2、400mJ/cm2に変えて、それぞれ、照射回数200回(200shot)照射した。
【0031】
具体的には、
図4に示すように、図示しない搬送機構により矢印AR1の方向に搬送されるシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
T)に窒素雰囲気下でパルスレーザー光30
Xを照射した。パルスレーザー光30
Xの幅(搬送方向の幅)は、400μm程度である(
図4参照)。その際、シリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
T)の搬送に伴い、互いに隣接するパルスレーザー光30
Xの照射済み領域がオーバーラップするようにシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
T)の搬送速度は速度0.2mm/sとした。以下、thermal-ALD法によりシリコン基板10上に成膜され、パルスレーザー光30
Xが照射された酸化ハフニウム膜20
Tを酸化ハフニウム膜20
T+Xと記載する。なお、
図4中符号A1は、パルスレーザー光照射済み領域を表し、A2はパルスレーザー光未照射領域を表す。
【0032】
<実験1の実験結果>
次に、実験1の実験結果(評価結果)について説明する。
【0033】
<X線回折装置による評価>
図5(a)は、X線回折パターン(実験1の実験結果)を示すグラフである。
図5(a)中符号G
XT(170)は、エネルギー密度170mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
XT(220)は、エネルギー密度220mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
XT(270)は、エネルギー密度270mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
XT(400)は、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合のグラフを表す。
【0034】
X線回折装置による評価は、X線回折装置(リガク社製X線回折装置)を用い、上記のようにパルスレーザー光30Xを照射した酸化ハフニウム膜20T+X(結晶相)を評価した。X線回折装置は、XRD(X-ray diffraction)とも呼ばれる。X線回折装置には、様々な測定手法があり、薄膜の評価に適した非対称反射測定の2θスキャンを実施した。微小な入射角で薄膜を評価するため、薄膜法測定、GI-XRD(Grazing Incidence XRD)とも呼ばれる。X線回折装置の測定条件は、入射角ω=0.4 degである。
【0035】
前提として、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜の結晶化が進行した場合、すなわち、シリコン基板10に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜(常誘電性を示す)がo相主体の酸化ハフニウム膜(強誘電性を示す)に改質された場合、当該改質された酸化ハフニウム膜のX線回折装置によるX線回折パターンは、2θ=30.35°付近にピークを有する。
【0036】
図5(a)を参照すると、実験1においては、グラフG
XT(170)、G
XT(220)、G
XT(270)、G
XT(400)のいずれにおいても2θ=30.35°付近にピークを有さないことが分かる。
【0037】
すなわち、実験1においては、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Tを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができないことが分かる。
【0038】
<実験2>
実験2は、次の表2に記載の条件で実施した。
【0039】
【0040】
<実験2の成膜>
実験2では、成膜装置(JSWアフティ社製ALD装置(デモ機))を用い、plasma-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20を成膜した。以下、plasma-ALD法によりシリコン基板10上に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20を酸化ハフニウム膜20Pと記載する。
【0041】
具体的には、実験1と同様(
図3参照)、流動する原料ガス、酸化剤及び不活性ガスにヒーターにより120度に加熱されたシリコン基板10の一面側を接触させることにより、シリコン基板10(一面側)に膜厚10nmの極薄の酸化ハフニウム膜20
Pを成膜した。なお、原料ガスとしてTEMAH(Tetrakis(EthylMethylAmido)Hafnium)を用い、酸化剤としてO
2プラズマを用い、不活性ガスとしてN
2を用いた。
【0042】
<実験2の結晶化(改質)>
実験2では、実験1と同様(
図4参照)、XeCl光源(波長308nm)のパルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20
Pに紫外域の波長のパルスレーザー光30
Xを照射した。パルスレーザー光30
Xの波長308nm、パルス間隔10ms(100Hz)、パルス幅(FWHM)数十ns、照射回数200回(200shot)である。実験2では、パルスレーザー光30
Xのエネルギー密度を170mJ/cm
2、220mJ/cm
2、270mJ/cm
2、400mJ/cm
2に変えて、それぞれ、照射回数200回(200shot)照射した。
【0043】
具体的には、実験1と同様(
図4参照)、図示しない搬送機構により矢印AR1の方向に搬送されるシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
P)に窒素雰囲気下でパルスレーザー光30
Xを照射した。パルスレーザー光30
Xの幅(搬送方向の幅)は、400μm程度である(
図4参照)。その際、シリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
P)の搬送に伴い、互いに隣接するパルスレーザー光30
Xの照射済み領域がオーバーラップするようにシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
P)の搬送速度は速度0.2mm/sとした。以下、plasma-ALD法によりシリコン基板10上に成膜され、パルスレーザー光30
Xが照射された酸化ハフニウム膜20
Pを酸化ハフニウム膜20
P+Xと記載する。
【0044】
<実験2の実験結果>
次に、実験2の実験結果(評価結果)について説明する。
【0045】
<X線回折装置による評価>
図5(b)は、X線回折パターン(実験2の実験結果)を示すグラフである。
図5(b)中符号G
XP(170)は、エネルギー密度170mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
XP(220)は、エネルギー密度220mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
XP(270)は、エネルギー密度270mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
XP(400)は、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合のグラフを表す。
【0046】
X線回折装置による評価は、実験1と同様、X線回折装置(リガク社製X線回折装置)を用い、上記のようにパルスレーザー光30Xを照射した酸化ハフニウム膜20P+X(結晶相)を評価した。X線回折装置の測定条件は、入射角ω=0.4 degである。
【0047】
図5(b)を参照すると、実験2においては、グラフG
XP(170)、G
XP(220)、G
XP(270)、G
XP(400)のいずれにおいても2θ=30.35°付近にピークを有さないことが分かる。
【0048】
すなわち、実験2においては、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Pを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができないことが分かる。
【0049】
<実験1、2の考察>
上記のとおり、実験1、2のいずれにおいても、2θ=30.35°付近にピークは現れなかった(
図5(a)、
図5(b)参照)。これは、非晶質の酸化ハフニウム膜の結晶化を進行させるための格子振動が不足しているためと考えられる。そこで、格子振動の不足を補うため、XeCl光源よりフォトンの運動エネルギーが大きいKrF光源のパルスレーザー照射装置を用いた実験3~6を実施した。
【0050】
<実験3>
実験3は、次の表3に記載の条件で実施した。
【0051】
【0052】
<実験3の成膜>
実験3では、実験1と同様、成膜装置(JSWアフティ社製ALD装置(デモ機))を用い、thermal-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを成膜した。
【0053】
具体的には、実験1と同様(
図3参照)、流動する原料ガス、酸化剤及び不活性ガスにヒーターにより120度に加熱されたシリコン基板10の一面側を接触させることにより、シリコン基板10上に膜厚10nmの極薄の酸化ハフニウム膜20
Tを成膜した。なお、原料ガスとしてTEMAH(Tetrakis(EthylMethylAmido)Hafnium)を用い、酸化剤としてO
3を用い、不活性ガスとしてN
2を用いた。
【0054】
<実験3の結晶化(改質)>
図6は、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20
Tを結晶化(改質)している様子を表す模式図である。
【0055】
実験3では、KrF光源(波長248nm)のパルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Tに紫外域の波長のパルスレーザー光30Kを照射した。パルスレーザー光30Kの波長248nm、パルス間隔10ms(100Hz)、パルス幅(FWHM)数十ns、照射回数1回(1shot)である。実験3では、パルスレーザー光30Kのエネルギー密度を300mJ/cm2、350mJ/cm2、400mJ/cm2、450mJ/cm2に変えて、それぞれ、照射回数1回(1shot)照射した。
【0056】
具体的には、パルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、
図6に示すように、搬送機構40によりX(+X、-X)方向及びY(+Y、-Y)方向(
図6中紙面に直交する方向)に移動されるチャンバー41内に配置されたシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
T)にチャンバー41内に供給される窒素雰囲気下で無水石英42を介してパルスレーザー光30
Kを照射した。
図6に示すように、チャンバー41は、複数のチャンバー構成部品41a、41b、41c等を組み合わせることにより構成されており、シール材43、44、及び緩衝材45により密閉されている。緩衝材45は、無水石英42とチャンバー構成部品41a(ステンレス製)とが直接干渉するのを防止するために設けられるテフロン(登録商標)製の緩衝材である。
図5中符号47は窒素供給管46に設けられたバルブを表し、符号49は窒素排出管48に設けられたバルブを表す。窒素は、窒素供給管46を介してチャンバー41内に供給され、窒素排出管48を介してチャンバー41外部に排出される。
【0057】
パルスレーザー光30Kのサイズ(断面サイズ)は、3mm×3mmである。そして、パルスレーザー光30Kを1回(1shot)照射するごとに、互いに隣接するパルスレーザー光30の照射済み領域がオーバーラップしないようにチャンバー41を移動させた。以下、thermal-ALD法によりシリコン基板10上に成膜され、パルスレーザー光30Kが照射された酸化ハフニウム膜20Tを酸化ハフニウム膜20T+Kと記載する。
【0058】
<実験3の実験結果>
次に、実験3の実験結果(評価結果)について説明する。
【0059】
<X線回折装置による評価>
図7(a)は、X線回折パターン(実験3の実験結果)を示すグラフである。
図7(a)中符号G
KT(300)は、エネルギー密度300mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
KT(350)は、エネルギー密度350mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
KT(400)は、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
KT(450)は、エネルギー密度450mJ/cm
2の場合のグラフを表す。
【0060】
X線回折装置による評価は、実験1と同様、X線回折装置(リガク社製X線回折装置)を用い、上記のようにパルスレーザー光30Kを照射した酸化ハフニウム膜20T+K(結晶相)を評価した。X線回折装置の測定条件は、入射角ω=0.4 degである。
【0061】
図7(a)を参照すると、実験3においては、グラフG
KT(400)、G
KT(450)において2θ=30.35°付近にピークを有することが分かる。
【0062】
すなわち、X線回折装置による評価に基づけば、thermal-ALD法により成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Tの場合、パルスレーザー光30Kの波長248nm、エネルギー密度400mJ/cm2以上を選定することにより、酸化ハフニウム膜20Tを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができることが分かる。
【0063】
<SEMによる評価>
図8中上段は、SEMにより撮像した酸化ハフニウム膜20
T+KのSEM画像である。SEMは、Scanning Electron Microscopeの略で、走査電子顕微鏡とも呼ばれる。
【0064】
SEM(日立ハイテク社製走査電子顕微鏡)を用いて、酸化ハフニウム膜20T+K(表面形状)を評価した。各SEM画像内の相対的に明るい箇所は凝集部分(酸化ハフニウムの凝集部分)を表し、相対的に暗い箇所は酸化ハフニウム膜が薄い箇所を表す。明るい箇所の元素同定から、凝集が進行していたことが分かった。なお、撮像ごとに明るさを統一できているわけではなく、SEM画像内のコントラストの評価となる。
【0065】
したがって、SEM画像が、相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含む場合、酸化ハフニウム膜20T+Kが凝集していると評価できる。一方、SEM画像が、相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含まない場合(例えば、いずれか一方の箇所のみを含む場合)、酸化ハフニウム膜20T+Kが凝集していないと評価できる。
【0066】
図8中上段を参照すると、エネルギー密度450mJ/cm
2の場合、エネルギー密度450mJ/cm
2のSEM画像は相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含む(両箇所が混在している)。そのため、エネルギー密度450mJ/cm
2の場合、酸化ハフニウム膜20
T+Kが凝集していると評価できる。このように凝集した酸化ハフニウム膜20
T+Kは、酸化ハフニウム膜の形状(主に、成膜完了時の酸化ハフニウム膜20
Tの表面形状)が維持されていないため、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として不適である。
【0067】
一方、エネルギー密度400mJ/cm2の場合、エネルギー密度400mJ/cm2のSEM画像は相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含まない。そのため、エネルギー密度400mJ/cm2の場合、酸化ハフニウム膜20T+Kが凝集していないと評価できる。このように凝集しない酸化ハフニウム膜20T+Kは、酸化ハフニウム膜の形状(主に、成膜完了時の酸化ハフニウム膜20Tの表面形状)が維持されているため、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として好適である。
【0068】
以上のように、実験3によれば、thermal-ALD法により成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Tの場合、パルスレーザー光30Kの波長248nm、エネルギー密度400mJ/cm2を選定することにより、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Tを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができ、しかも、酸化ハフニウム膜の凝集が起こらないことが分かる。
【0069】
<実験4>
実験4は、次の表4に記載の条件で実施した。
【0070】
【0071】
<実験4の成膜>
実験4では、実験2と同様、成膜装置(JSWアフティ社製ALD装置(デモ機))を用い、plasma-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20Pを成膜した。
【0072】
具体的には、実験1と同様(
図3参照)、流動する原料ガス、酸化剤及び不活性ガスにヒーターにより120度に加熱されたシリコン基板10の一面側を接触させることにより、シリコン基板10(一面側)に膜厚10nmの極薄の酸化ハフニウム膜20
Pを成膜した。なお、原料ガスとしてTEMAH(Tetrakis(EthylMethylAmido)Hafnium)を用い、酸化剤としてO
2プラズマを用い、不活性ガスとしてN
2を用いた。
【0073】
<実験4の結晶化(改質)>
実験4では、実験3と同様、KrF光源(波長248nm)のパルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Pに紫外域の波長のパルスレーザー光30Kを照射した。パルスレーザー光30Kの波長248nm、パルス間隔10ms(100Hz)、パルス幅(FWHM)数十ns、照射回数1回(1shot)である。実験4では、パルスレーザー光30Kのエネルギー密度を300mJ/cm2、350mJ/cm2、400mJ/cm2、450mJ/cm2に変えて、それぞれ、照射回数1回(1shot)照射した。
【0074】
具体的には、パルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、実験3と同様(
図6参照)、搬送機構40によりX(+X、-X)方向及びY(+Y、-Y)方向(
図6中紙面に直交する方向)に移動されるチャンバー41内に配置されたシリコン基板10(非晶質の酸化ハフニウム膜20)にチャンバー41内に供給される窒素雰囲気下で無水石英42を介してパルスレーザー光30
Kを照射した。
【0075】
パルスレーザー光30Kのサイズ(断面サイズ)は、3mm×3mmである。そして、パルスレーザー光30Kを1回(1shot)照射するごとに、互いに隣接するパルスレーザー光30の照射済み領域がオーバーラップしないようにチャンバー41を移動させた。以下、plasma-ALD法によりシリコン基板10上に成膜され、パルスレーザー光30Kが照射された酸化ハフニウム膜20Pを酸化ハフニウム膜20P+Kと記載する。
【0076】
<実験4の実験結果>
次に、実験4の実験結果(評価結果)について説明する。
【0077】
<X線回折装置による評価>
図7(b)は、X線回折パターン(実験4の実験結果)を示すグラフである。
図7(b)中符号G
KP(300)は、エネルギー密度300mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
KP(350)は、エネルギー密度350mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
KP(400)は、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合のグラフを表す。符号G
KP(450)は、エネルギー密度450mJ/cm
2の場合のグラフを表す。
【0078】
X線回折装置による評価は、実験1と同様、X線回折装置(リガク社製X線回折装置)を用い、上記のようにパルスレーザー光30Kを照射した酸化ハフニウム膜20P+K(結晶相)を評価した。X線回折装置の測定条件は、入射角ω=0.4 degである。
【0079】
図7(b)を参照すると、実験4においては、グラフG
KP(350)、G
KP(400)、G
KP(450)において2θ=30.35°付近にピークを有することが分かる。
【0080】
すなわち、X線回折装置による評価に基づけば、plasma-ALD法により成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Pの場合、パルスレーザー光30Kの波長248nm、エネルギー密度350mJ/cm2以上を選定することにより、酸化ハフニウム膜20Pを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができることが分かる。
【0081】
<SEMによる評価>
図8中下段は、SEMにより撮像した酸化ハフニウム膜20
P+KのSEM画像である。
【0082】
実験3と同様、SEM(日立ハイテク社製走査電子顕微鏡)を用いて、酸化ハフニウム膜20P+K(表面形状)を評価した。
【0083】
図8中下段を参照すると、エネルギー密度300mJ/cm
2、350mJ/cm
2、400mJ/cm
2、450mJ/cm
2の場合、各SEM画像は相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含む(両箇所が混在している)。そのため、エネルギー密度300mJ/cm
2、350mJ/cm
2、400mJ/cm
2、450mJ/cm
2の場合、酸化ハフニウム膜20
P+Kが凝集していると評価できる。このように凝集した酸化ハフニウム膜20
P+Kは、酸化ハフニウム膜の形状(主に、成膜完了時の酸化ハフニウム膜20
Pの表面形状)が維持されていないため、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として不適である。
【0084】
以上のように、実験4によれば、plasma-ALD法により成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Pの場合、パルスレーザー光30Kの波長248nm、エネルギー密度400mJ/cm2を選定することにより、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Pを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができるものの、酸化ハフニウム膜の凝集が起こることが分かる。
【0085】
<実験3、4の考察>
実験3、4はいずれも、KrF光源のパルスレーザー照射装置を用い、照射回数を1回(1shot)に固定し、エネルギー密度を変えたパルスレーザー光30
Kを照射した例であり、2θ=30.35°付近にピークを有する(
図7(a)、
図7(b)参照)。
【0086】
thermal-ALD(実験3)ではm相が完全に抑制されているのに対し、plasma-ALD(実験4)ではm相がわずかに結晶化が進んでいる(
図7(a)、
図7(b)参照)。この成膜手法の差異は、膜の密度の違いと予想される。密度は、thermal-ALDよりplasma-ALDの方が高い傾向がある。密度が高いことは、格子振動が伝搬しやすいことを意味する。
【0087】
thermal-ALDにおいては、相対的に密度が低く、格子振動が伝搬しにくいため、対称性の低いm相まで構造が変位しなかった推察される。逆に、plasma-ALDにおいては、相対的に密度が高く、格子振動が伝搬しやすいため、対称性の低いm相まで構造が変位したと推察される。
【0088】
また、thermal-ALD(実験3)では結晶化させるために400mJ/cm2以上のエネルギー密度が必要であったのに対し、plasma-ALD(実験4)では結晶化させるために350mJ/cm2以上のエネルギー密度が必要であった。これも、密度の差異が影響したと考えられる。
【0089】
thermal-ALD(実験3)においては、400 mJ/cm2以上で結晶化が進行し、かつ、m相が抑制できていたが、SEMによる評価の結果、450 mJ/cm2で凝集が起こり始めていた。一方、plasma-ALD(実験4)においては、結晶化が進行するのは、350 mJ/cm2以上であったが、300 mJ/cm2で既に凝集が起こっていた。
【0090】
以上を考慮すると、凝集が起こらない、すなわち、酸化ハフニウム膜の形状(主に、成膜完了時の酸化ハフニウム膜の表面形状)を維持したまま、m相を抑制させる結晶化が可能であるプロセスは、thermal-ALDによる成膜手法で、紫外域の波長248nm(KrF光源)のパルスレーザーを400 mJ/cm2で照射する必要があることが分かる。
【0091】
<実験5>
実験5は、次の表5に記載の条件で実施した。
【0092】
【0093】
<実験5の成膜>
実験5では、実験1と同様、成膜装置(JSWアフティ社製ALD装置(デモ機))を用い、thermal-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを成膜した。
【0094】
具体的には、実験1と同様(
図3参照)、流動する原料ガス、酸化剤及び不活性ガスにヒーターにより120度に加熱されたシリコン基板10の一面側を接触させることにより、シリコン基板10上に膜厚10nmの極薄の酸化ハフニウム膜20
Tを成膜した。なお、原料ガスとしてTEMAH(Tetrakis(EthylMethylAmido)Hafnium)を用い、酸化剤としてO
3を用い、不活性ガスとしてN
2を用いた。
【0095】
<実験5の結晶化(改質)>
実験5では、実験3と同様、KrF光源(波長248nm)のパルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Tに紫外域の波長のパルスレーザー光を照射した。パルスレーザー光30Kの波長248nm、パルス間隔10ms(100Hz)、パルス幅(FWHM)数十ns、エネルギー密度400mJ/cm2である。実験5では、パルスレーザー光30Kの照射回数を0回(as-deposition)、1回(1shot)、2回(2shot)、20回(20shot)、200回(200shot)に変えて、それぞれの照射回数照射した。
【0096】
具体的には、パルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、実験3と同様(
図6参照)、搬送機構40によりX(+X、-X)方向及びY(+Y、-Y)方向(
図6中紙面に直交する方向)に移動されるチャンバー41内に配置されたシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
T)にチャンバー41内に供給される窒素雰囲気下で無水石英42を介してパルスレーザー光30
Kを照射した。
【0097】
パルスレーザー光30Kのサイズ(断面サイズ)は、3mm×3mmである。そして、パルスレーザー光30Kを所定照射回数照射するごとに、互いに隣接するパルスレーザー光30Kの照射済み領域がオーバーラップしないようにチャンバー41を移動させた。以下、thermal-ALD法によりシリコン基板10上に成膜され、パルスレーザー光30Kが照射された酸化ハフニウム膜20Tを酸化ハフニウム膜20T+Kと記載する。
【0098】
<実験5の実験結果>
次に、実験5の実験結果(評価結果)について説明する。
【0099】
<X線回折装置による評価>
図9(a)は、X線回折パターン(実験5の実験結果)を示すグラフである。
図9(a)中符号G
KT(0shot)は、照射回数(shot数)が0の場合のグラフを表す。符号G
KT(1shot)は、照射回数(shot数)が1の場合のグラフを表す。符号G
KT(2shot)は、照射回数(shot数)が2の場合のグラフを表す。符号G
KT(20shot)は、照射回数(shot数)が20の場合のグラフを表す。符号G
KT(200shot)は、照射回数(shot数)が200の場合のグラフを表す。
【0100】
X線回折装置による評価は、実験1と同様、X線回折装置(リガク社製X線回折装置)を用い、上記のようにパルスレーザー光30Kを照射した酸化ハフニウム膜20T+K(結晶相)を評価した。X線回折装置の測定条件は、入射角ω=0.4 degである。
【0101】
図9(a)を参照すると、実験5においては、グラフG
KT(1shot)、G
KT(2shot)、グラフG
KT(20shot)、G
KT(200shot)において2θ=30.35°付近にピークを有することが分かる。
【0102】
すなわち、X線回折装置による評価に基づけば、thermal-ALD法により成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Tの場合、パルスレーザー光30Kの波長248nm、エネルギー密度400mJ/cm2、照射回数1以上を選定することにより、酸化ハフニウム膜20Tを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができることが分かる。
【0103】
<SEMによる評価>
図10中上段は、SEMにより撮像した酸化ハフニウム膜20
T+KのSEM画像である。
【0104】
実験3と同様、SEM(日立ハイテク社製走査電子顕微鏡)を用いて、酸化ハフニウム膜20T+K(表面形状)を評価した。
【0105】
図10中上段を参照すると、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合、1shot,2shot,20shot,200shotそれぞれのSEM画像は相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含まない。そのため、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合、照射回数200まで打っていても、酸化ハフニウム膜20
T+Kが凝集していないと評価できる。このように凝集しない酸化ハフニウム膜20
T+Kは、酸化ハフニウム膜の形状(主に、成膜完了時の酸化ハフニウム膜20
Tの表面形状)が維持されているため、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として好適である。
【0106】
<実験6>
実験6は、次の表6に記載の条件で実施した。
【0107】
【0108】
<実験6の成膜>
実験6では、実験2と同様、成膜装置(JSWアフティ社製ALD装置(デモ機))を用い、plasma-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20Pを成膜した。
【0109】
具体的には、実験1と同様(
図3参照)、流動する原料ガス、酸化剤及び不活性ガスにヒーターにより120度に加熱されたシリコン基板10の一面側を接触させることにより、シリコン基板10上に膜厚10nmの極薄の酸化ハフニウム膜20
Pを成膜した。なお、原料ガスとしてTEMAH(Tetrakis(EthylMethylAmido)Hafnium)を用い、酸化剤としてO
2プラズマを用い、不活性ガスとしてN
2を用いた。
【0110】
<実験6の結晶化(改質)>
実験6では、実験5と同様、KrF光源(波長248nm)のパルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、シリコン基板10上に成膜された酸化ハフニウム膜20Pに紫外域の波長のパルスレーザー光を照射した。パルスレーザー光の波長248nm、パルス間隔10ms(100Hz)、パルス幅(FWHM)数十ns、エネルギー密度400mJ/cm2である。実験6では、パルスレーザー光30Kの照射回数を0回(as-deposition)、1回(1shot)、2回(2shot)、20回(20shot)、200回(200shot)に変えて、それぞれの照射回数照射した。
【0111】
具体的には、パルスレーザー照射装置(JSWアクティナシステム社製エキシマレーザー照射装置(デモ機))を用い、実験5と同様(
図6参照)、搬送機構40によりX(+X、-X)方向及びY(+Y、-Y)方向(
図6中紙面に直交する方向)に移動されるチャンバー41内に配置されたシリコン基板10(酸化ハフニウム膜20
P)にチャンバー41内に供給される窒素雰囲気下で無水石英42を介してパルスレーザー光30
Kを照射した。
【0112】
パルスレーザー光30Kのサイズ(断面サイズ)は、3mm×3mmである。そして、パルスレーザー光30Kを所定照射回数照射するごとに、互いに隣接するパルスレーザー光30Kの照射済み領域がオーバーラップしないようにチャンバー41を移動させた。以下、plasma-ALD法によりシリコン基板10上に成膜され、パルスレーザー光30Kが照射された酸化ハフニウム膜20Pを酸化ハフニウム膜20P+Kと記載する。
【0113】
<実験6の実験結果>
次に、実験6の実験結果(評価結果)について説明する。
【0114】
<X線回折装置による評価>
図9(b)は、X線回折パターン(実験6の実験結果)を示すグラフである。
図9(b)中符号G
KP(0shot)は、照射回数(shot数)が0の場合のグラフを表す。符号G
KP(1shot)は、照射回数(shot数)が1の場合のグラフを表す。符号G
KP(2shot)は、照射回数(shot数)が2の場合のグラフを表す。符号G
KP(20shot)は、照射回数(shot数)が20の場合のグラフを表す。符号G
KP(200shot)は、照射回数(shot数)が200の場合のグラフを表す。
【0115】
X線回折装置による評価は、実験3と同様、X線回折装置(リガク社製X線回折装置)を用い、上記のようにパルスレーザー光30Kを照射した酸化ハフニウム膜20P+K(結晶相)を評価した。X線回折装置の測定条件は、入射角ω=0.4 degである。
【0116】
図9(b)を参照すると、実験6においては、グラフG
KP(1shot)、G
KP(2shot)、グラフG
KP(20shot)において2θ=30.35°付近にピークを有することが分かる。
【0117】
すなわち、X線回折装置による評価に基づけば、plasma-ALD法により成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Pの場合、パルスレーザー光30Kの波長248nm、エネルギー密度400mJ/cm2、照射回数1~20を選定することにより、シリコン基板10上に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20を、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜20P、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜に結晶化(改質)することができることが分かる。
【0118】
<SEMによる評価>
図10中下段は、SEMにより撮像した酸化ハフニウム膜20
P+KのSEM画像である。
【0119】
実験3と同様、SEM(日立ハイテク社製走査電子顕微鏡)を用いて、実験5の実験結果である上記パルスレーザー光を照射した酸化ハフニウム膜20P+K(表面形状)を評価した。
【0120】
図10中下段を参照すると、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合、1shot,2shot,20shot,200shotそれぞれのSEM画像は相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含む。そのため、エネルギー密度400mJ/cm
2の場合、照射回数1shotからすでに、酸化ハフニウム膜20
P+Kが凝集していると評価できる。このように凝集した酸化ハフニウム膜20
P+Kは、酸化ハフニウム膜の形状(主に、成膜完了時の酸化ハフニウム膜20
Pの表面形状)が維持されていないため、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として不適である。
【0121】
<実験5、6の考察>
実験5、6はいずれも、KrF光源のパルスレーザー照射装置を用い、エネルギー密度を400mJ/cm
2に固定し、照射回数(shot数)を変えたパルスレーザー光30
Kを照射した例であり、2θ=30.35°付近にピークを有する(
図9(a)、
図9(b)参照)。
【0122】
as-depositionの場合、thermal-ALD(実験5)及びplasma-ALD(実験6)のいずれにおいても、結晶化していない(非晶質)。
【0123】
1shotの場合、thermal-ALD(実験5)及びplasma-ALD(実験6)のいずれにおいても、結晶化が進み、o相が主相(o相主体)のスペクトルとなった。なお、1shotの場合、plasma-ALD(実験6)において、僅かにm相のピークが観られる。
【0124】
thermal-ALD(実験5)においては、2shot以上に照射回数を増やしても、o相を維持したままであった。
【0125】
一方、plasma-ALD(実験6)においては、2shot以上に照射回数を増やした場合、照射回数の増加に伴い、o相のピークが減じ、代わりにm相が主相(m相主体)となった。このように、plasma-ALDにおいて照射回数の依存性があることは、アモルファス(非晶質)の酸化ハフニウム膜にフォトンを投入することと、o相主相の1shotの酸化ハフニウム膜にフォトンを投入することでは、プロセスが異なるということを意味する。アモルファスの酸化ハフニウム膜から格子振動を発生させても、m相まで構造を変位させることはできず、o相主相で留まったが、o相の酸化ハフニウム膜から格子振動を発生させるとm相まで構造の変位が起こるため、o相がm相に置き換わると推察される。o相が消滅し、m相が発生するのではないと考えられる。
【0126】
なお、thermal-ALD(実験5)においてm相の結晶化が進行しないことは、plasma-ALD(実験6)と比べて密度が低いことが格子振動を進行させにくくさせていると予想される。
【0127】
照射回数と表面形状の確認に関しては、plasma-ALDは、1shotで既に凝集(酸化ハフニウムの凝集)が起こっていたため、照射回数を増やしても凝集している。一方、thermal-ALDは、照射回数を増加させても凝集が進行しなかった。
【0128】
<改質の条件>
以上の実験1~6を考慮すると、シリコン基板10に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜(常誘電性を示す)をo相主体の酸化ハフニウム膜(強誘電性を示す)に改質する条件は、次のとおりである。
【0129】
(条件1)
Thermal ALD法により、シリコン基板上に非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを成膜すること。なお、酸化ハフニウム膜20Tの膜厚は、求められる高密度化の程度に応じて適宜の膜厚としてよい。
【0130】
(条件2)
上記条件1に従って成膜された酸化ハフニウム膜20Tに紫外域の波長のパルスレーザー光を照射すること。その際、非晶質の酸化ハフニウム膜20Tがo相主体の酸化ハフニウム膜20T+Kに改質され、かつ、当該酸化ハフニウム膜20T+Kの凝集が起こらないように、パルスレーザー光のエネルギー密度、波長、パルス間隔、パルス幅を選定すること。このパルスレーザー光のエネルギー密度、波長、パルス間隔、パルス幅としては、エネルギー密度は400mJ/cm2、波長は248nm(例えば、KrF光源)、パルス間隔は10ms、パルス幅は数十nsを例示できるが、これ以外であってもよい。なお、パルスレーザー光に代えてCWレーザー光を用いると、o相主体とならないと考えられるため、パルスレーザー光を用いることが必須である。
【0131】
パルスレーザー光のエネルギー密度、波長、パルス間隔、パルス幅を選定する指針としては、酸化ハフニウム膜20T+KのX線回折装置によるX線回折パターンが2θ=30.35°付近にピークを有し、かつ酸化ハフニウム膜20T+Kの走査電子顕微鏡によるSEM画像が酸化ハフニウム膜20T+Kの凝集と評価される相対的に明るい箇所と相対的に暗い箇所を含まなくなるように、パルスレーザー光30Kのエネルギー密度、波長、パルス間隔、パルス幅を選定するのが望ましい。
【0132】
<比較例と比較しての効果>
次に、実施形態の効果について、比較例と比較して説明する。
【0133】
図11(a)は比較例、
図11(b)は実施形態を表す図である。
【0134】
比較例1においては、酸化ハフニウム膜が成膜されたシリコン基板全体を連続的にアニール処理する。酸化ハフニウム膜が成膜されたシリコン基板全体を連続的にアニール処理した場合、
図11(a)に示すように、酸化ハフニウム膜はm相、o相を含む多数の結晶相に変化する。
図11(a)中の「o,m,etc.」はこのことを表している。このように多数の結晶相が混在する酸化ハフニウム膜は、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として不適である。
【0135】
一方、実施形態の酸化ハフニウム膜改質方法(上記条件1、2等参照)によれば、シリコン基板10上に成膜された非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを、最安定相のm相が抑制された酸化ハフニウム膜20T+K、すなわち、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム膜20T+Kに結晶化(改質)することができる(しかも、酸化ハフニウム膜20T+Kの凝集が起こらない)。この酸化ハフニウム膜20T+Kは、不揮発性メモリ装置の強誘電体材料として好適である。
【0136】
<不揮発性メモリ装置>
次に、上記実施形態の酸化ハフニウム膜改質方法により改質された酸化ハフニウム膜20T+Kを適用した不揮発性メモリ装置の一例について説明する。
【0137】
図12は、実施形態の酸化ハフニウム膜改質方法により改質された酸化ハフニウム膜20
T+Kを適用した不揮発性メモリ装置Mの概略構成図である。
【0138】
図12に示すように、不揮発性メモリ装置Mは、シリコン基板10、シリコン基板に形成された少なくとも1つの強誘電体ゲートトランジスタ50を備える。
【0139】
強誘電体ゲートトランジスタ50は、シリコン基板10の一面側に当該一面から露出した状態で形成されたソース領域51、シリコン基板10の一面側かつソース領域51から離れた箇所に当該一面から露出した状態で形成されたドレイン領域52、シリコン基板10の一面側にソース領域51及びドレイン領域52を覆った状態で形成されたo相主体の酸化ハフニウム膜53(酸化ハフニウム膜20T+K)、酸化ハフニウム膜53上に形成されたゲート電極54、酸化ハフニウム膜53にソース領域51に対応して形成された第1コンタクトホールH1を介してソース領域51に電気的に接続されたソース電極55、酸化ハフニウム膜53にドレイン領域52に対応して形成された第2コンタクトホールH2に挿入されドレイン領域52に電気的に接続されたドレイン電極56を備える。
【0140】
次に、上記構成の不揮発性メモリ装置Mの製造工程例について説明する。
【0141】
図13は、不揮発性メモリ装置Mの製造工程のフローチャート例である。
【0142】
まず、シリコン基板10を用意し(ステップS10)、クリーニングする(ステップS11)。シリコン基板10は、例えば、面指数が(100)のp型シリコン基板を用いてよい。
【0143】
次に、シリコン基板10にソース領域51及びドレイン領域52を形成する(ステップS12)。ソース領域51及びドレイン領域52は、例えば、nドープすることにより、シリコン基板10の一面側に当該一面から露出した状態で形成される。なお、この段階でアニール処理を実施してもよいが、アニール処理は省略してもよい。
【0144】
次に、成膜装置を用い、thermal-ALD法により、シリコン基板10上に非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを形成する(ステップS13)。具体的には、シリコン基板10の一面側にソース領域51及びドレイン領域52を覆った状態で非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを形成する。非晶質の酸化ハフニウム膜20Tの膜厚は例えば10nmである。
【0145】
次に、紫外光源(例えば、KrF光源)のパルスレーザー照射装置を用い、非晶質の酸化ハフニウム膜20Tを結晶化する(ステップS14)。これにより、非晶質の酸化ハフニウム膜20Tがo相主体の酸化ハフニウム膜53(酸化ハフニウム膜20T+K)に改質される。
【0146】
次に、o相主体の酸化ハフニウム膜53にコンタクトホールH1、H2を形成する(ステップS15)。
【0147】
以後、o相主体の酸化ハフニウム膜53上に電極材料を積層し(ステップS16)、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を形成する(ステップS17)。
【0148】
以上のようにして、上記実施形態の酸化ハフニウム膜改質方法により改質された酸化ハフニウム膜20T+Kを適用した不揮発性メモリ装置を製造することができる。なお、上記実施形態の酸化ハフニウム膜改質方法は、上記不揮発性メモリ装置Mに限らず、酸化ハフニウム膜を含む他の構成の不揮発性メモリ装置に適用してもよい。
【0149】
以上説明したように、本実施形態によれば、強誘電性のo相主体の酸化ハフニウム(膜)に結晶化(改質)することができる。
【0150】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0151】
10…シリコン基板
20…酸化ハフニウム膜
30…パルスレーザー光
40…搬送機構
41…チャンバー
42…無水石英
50…強誘電体ゲートトランジスタ
51…ソース領域
52…ドレイン領域
53…酸化ハフニウム膜
54…ゲート電極
55…ソース電極
56…ドレイン電極
A1…パルスレーザー光照射済み領域
A2…パルスレーザー光未照射領域
H1…第1コンタクトホール
H2…第2コンタクトホール
M…不揮発性メモリ装置