(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025113671
(43)【公開日】2025-08-04
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20250728BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250728BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20250728BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20250728BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J29/38 201
B41J29/38 350
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/165 209
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007941
(22)【出願日】2024-01-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 皓
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2C187
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EA25
2C056EB13
2C056EB46
2C056EB58
2C056EB59
2C056EC12
2C056EC28
2C056EC29
2C056EC54
2C056FA13
2C056HA58
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK07
2C061HN04
2C061HR01
2C187AC08
2C187BF20
2C187BF39
2C187BG03
2C187CC03
2C187CD09
2C187GC01
(57)【要約】
【課題】キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施する。
【解決手段】印刷装置は、ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置であって、入力された印刷ジョブを登録する登録手段と、前記登録手段により登録された複数の印刷ジョブの解析を行う解析手段と、前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する変更手段と、有し、前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置であって、
入力された印刷ジョブを登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された複数の印刷ジョブの解析を行う解析手段と、
前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する変更手段と、
を有し、
前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記解析手段は、前記解析を行うことにより、前記印刷メディアのサイズに関するサイズ情報と、前記印刷メディアの印刷枚数に関する印刷枚数情報と、を取得する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記解析手段は、前記解析を行うことにより、前記印刷メディアの搬送される向きに関する方向情報を取得する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記印刷メディアの前記幅方向サイズが、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避することが可能な任意の間隔で変化するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記任意の間隔は、前記印刷メディアの印刷枚数単位の間隔である、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記任意の間隔は、ユーザにより設定することが可能である、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記所定のキャリブレーション処理を実施する実施条件を取得する取得手段をさらに有し、
前記変更手段は、前記解析の結果、前記実施条件を満足することにより前記所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記変更手段は、前記複数の印刷ジョブのうち、優先的に完了させたい印刷ジョブが他の印刷ジョブよりも先に完了するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記変更手段は、前記複数の印刷ジョブが並列に実行されるように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記所定のキャリブレーション処理は、プリントヘッドが予備吐出を行う予備吐出処理と、前記印刷メディアを搬送する搬送部の温度を均一化する温度均一化処理と、を含む、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記印刷メディアはカット紙である、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記印刷装置は、インクジェット式の印刷装置である、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項13】
ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置の制御方法であって、
入力された印刷ジョブを登録するステップと、
登録した複数の印刷ジョブの解析を行うステップと、
前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更するステップと、
を有し、
前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項14】
ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置を制御するプログラムであって、
入力された印刷ジョブを登録するステップと、
登録した複数の印刷ジョブの解析を行うステップと、
前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更するステップと、
を有し、
前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置のキャリブレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式の印刷装置では、プリントヘッドに設けられた吐出ノズルから印刷メディアに向けてインクが吐出される。印刷メディアの一例として、カット紙である印刷用紙に画像を印刷する場合、例えばA4サイズの印刷用紙を縦で印刷するか横で印刷するかによってプリントヘッドが有する吐出ノズルの使用範囲が変化する。このため、長時間使用していなかった範囲の吐出ノズルについてはインクが適切に吐出されずに、印刷品質が低下する可能性がある。そこで、印刷品質が低下しないようにキャリブレーション処理が実施される。
【0003】
ここで、キャリブレーション処理には、プリントヘッドの予備吐出を行う予備吐出処理と、印刷用紙を搬送する搬送部の温度を均一化する温度均一化処理とがある。予備吐出処理では対象の吐出ノズルからインクを印刷用紙に対して実際に吐出するため、損紙が発生する。さらには、予備吐出処理に要する時間分のダウンタイムも発生する。このダウンタイムは、温度均一化処理を実施する場合も同様に発生する。このようなキャリブレーション処理の弊害を低減させる技術として、例えば特許文献1には、印刷用紙の搬送位置を変更して印刷を行うことでプリントヘッドの使用領域の偏りをなくす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、印刷用紙の搬送位置を変更するためのハードウェアと、当該ハードウェアを制御するためのソフトウェアが必要になる。
【0006】
本開示は、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一様態に係る印刷装置は、ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置であって、入力された印刷ジョブを登録する登録手段と、前記登録手段により登録された複数の印刷ジョブの解析を行う解析手段と、前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する変更手段と、有し、前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】印刷システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】キャリブレーション処理を説明する図である。
【
図6】複数の印刷ジョブが登録された場合の印刷順序の決定処理を示すフローチャートである。
【
図7】モード選択ダイアログの一例を示す模式図である。
【
図8】第1実施例におけるジョブ情報を示す表である。
【
図9】サイズ変化間隔の設定ダイアログの一例を示す模式図である。
【
図10】第1実施例におけるサイズ変化間隔について説明する模式図である。
【
図11】変更手段による変更後の印刷順序を示す表である。
【
図12】第3実施例におけるジョブ情報を示す表である。
【
図13】第3実施例におけるサイズ変化間隔について説明する模式図である。
【
図14】変更手段による変更後の印刷順序を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、同一の構成については同じ符号を付して説明する。
【0011】
<<実施形態1>>
<印刷システムの構成>
図1は、本実施形態に係る印刷装置(画像形成装置)を含む印刷システムの一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、印刷システム1は、クライアントコンピュータ11,12と、インクジェット式の印刷装置100とを備える。クライアントコンピュータ11,12と印刷装置100とは、LAN(Local Area Network)等のネットワーク20によって相互に接続されている。クライアントコンピュータ11,12は、汎用コンピュータに搭載される標準的な構成要素(CPU、メモリ、ネットワークインタフェース、キーボード等)を有している。クライアントコンピュータ11,12は、所定のアプリケーション(プリンタドライバ)にて、ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブを生成し、ネットワーク20を介して印刷装置100に送信する。尚、PDLデータは、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)を用いて記述されたデータである。印刷装置100は、クライアントコンピュータ11,12から受信した印刷ジョブに含まれるPDLデータを解釈・レンダリングして印刷データを生成し、印刷処理を行う。印刷処理では、インクジェット方式によって画像が印刷メディアに印刷された後、外部に出力される。
【0012】
尚、印刷システム1を構成するクライアントコンピュータ11,12および印刷装置100の数は、任意の数であってもよい。例えば、3つ以上のクライアントコンピュータがネットワーク20に接続されてもよく、2つ以上の印刷装置がネットワーク20に接続されてもよい。また、本実施形態の印刷装置100として、印刷機能のみを有する例を示すが、これに限定されない。印刷装置100は、例えば、原稿上の画像を読取る読取装置を更に備えて複写機としての機能を有してもよい。また、印刷装置100は、その他の機能を加えた複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)であってもよい。
【0013】
<印刷装置の構成>
本実施形態に係る印刷装置100は、
図1に示すように、給紙ユニット110と、印字定着ユニット120と、画像検査ユニット130と、排紙ユニット140とを備える。本実施形態では、印刷メディアの一例として、カット紙である印刷用紙に印刷を行う印刷装置100について説明する。尚、印刷メディアは、カット紙である印刷用紙に限られるものではない。例えば、印刷メディアは、ラベル用紙であってもよく、封筒用紙であってもよく、プラスチックシートであってもよい。プラスチックシートは、例えばOHPシートであってもよい。
【0014】
給紙ユニット110は、複数の給紙トレイ111を備える。給紙トレイ111は、複数枚(例えば、500枚程度)の印刷用紙を収容可能である。給紙トレイ111には、印刷処理が開始される前に、ユーザによって印刷用紙が装填される。印刷処理が開始された後、印刷ジョブに対応する印刷用紙が収容された給紙トレイ111が選択され、当該給紙トレイ111から印刷用紙が搬送路105に取り込まれる。搬送路105に取り込まれた印刷用紙は、搬送ベルト150等により搬送路105に沿って搬送される。本実施形態において、印刷用紙の搬送方向と印刷用紙の長辺とが直交するような印刷用紙の給紙方向をLEF(Long Edge Feed)と称する。印刷用紙の搬送方向と印刷用紙の短辺とが直交するような印刷用紙の給紙方向をSEF(Short Edge Feed)と称する。複数の給紙トレイ111は、例えば、給紙方向がSEFであるA4サイズの印刷用紙を収容する給紙トレイと、給紙方向がSEFであるA3サイズの印刷用紙を収容する給紙トレイとを含む。また、複数の給紙トレイ111は、給紙方向がLEFであるA4サイズの印刷用紙を収容する給紙トレイをさらに含んでもよい。複数の給紙トレイ111は、給紙方向がSEFであるB5サイズの印刷用紙を収容する給紙トレイを含んでもよく、給紙方向がSEFであるB4サイズの印刷用紙を収容する給紙トレイを含んでもよい。
【0015】
搬送ベルト150は、印字定着ユニット120および画像検査ユニット130の内部に、矩形環状に配置される。搬送ベルト150は、電気モータ等からなる駆動装置(不図示)により駆動されて、印字定着ユニット120および画像検査ユニット130の内部を循環移動するようになっている。尚、
図1における二点鎖線の矢印は、搬送ベルト150等による印刷用紙の搬送方向を示す。
図1における破線の矢印は、搬送ベルト150の移動方向を示す。
【0016】
印字定着ユニット120は、印刷処理の対象の印刷ジョブに基づき、印字定着モジュール121を用いて搬送路105上の印刷用紙に画像を形成して定着させる。尚、印刷用紙に形成される画像は、文字・図形等の有意の情報のみを有する画像とは限らない。印字定着モジュール121は、印刷用紙にインクを吐出する複数の吐出ノズル(図示せず)が設けられたプリントヘッド122を備える。プリントヘッド122は、印刷用紙の幅方向サイズに対応した長さを有するワンパスタイプのプリントヘッドである。プリントヘッド122の吐出ノズルは、プリントヘッド122における印刷用紙と対向する側の全体に亘って配列される。尚、印刷用紙の幅方向サイズは、印刷用紙が搬送される方向と交わる方向、例えば、印刷用紙が搬送される方向と直交する方向のサイズである。
【0017】
画像検査ユニット130は、撮像モジュール131を用いて搬送路105上の印刷用紙の表面を読み取り、電子的な画像データとして取得する。撮像モジュール131は、取得した画像データを、後述する画像検査装置205(
図2を参照)に出力する。
【0018】
排紙ユニット140は、搬送路105に沿って搬送された印刷用紙を排紙トレイ141に排出する。排紙ユニット140は、複数の排紙トレイ141を備える。排紙ユニット140は、複数の印刷ジョブが並行して実行された場合、各印刷ジョブに基づいて印刷された印刷用紙を別個の排紙トレイ141に分別して排出する。
【0019】
図2は、印刷装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の印刷装置100は、コントローラ200と、液晶ディスプレイ160とをさらに備える。コントローラ200は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、記憶装置204と、画像検査装置205と、汎用I/F(インタフェース)206と、ユーザI/F(インタフェース)207と、装置I/F(インタフェース)208とを備える。コントローラ200の各部は、メインバス209を介して接続される。
【0020】
CPU(Central Processing Unit)201は、印刷装置100の各部を統括的に制御するプロセッサである。CPU201は、ROM203に格納されたプログラム群および各種データに従って、RAM202をワークエリアとしながら印刷装置100全体の動作を制御する。RAM(Random Access Memory)202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM(Read Only Memory)203は、CPU201により実行されるプログラム群と、印刷装置100の動作に必要な各種データを記憶している。記憶装置204は、CPU201により実行されるアプリケーションソフトと、印刷ジョブに含まれる画像データおよび設定情報等を記憶する。
【0021】
画像検査装置205は、画像検査ユニット130の撮像モジュール131に印刷物(画像が印刷された印刷用紙)を撮像させる制御を行う。画像検査装置205は、撮像モジュール131から出力された画像データに基づく印刷物の検査を実施する。画像検査装置205は、印刷物の検査を実施する際、良品である印刷物の画像データまたはラスタイメージ等の基準画像と、撮像モジュール131から出力された印刷物の画像データとを比較することで、印刷物の画像が正常な良品画像であるか否かを判定する。
【0022】
汎用I/F206は、LAN等のネットワーク20を介してクライアントコンピュータ11,12から送信された印刷ジョブを受信する。これにより、汎用I/F206には、クライアントコンピュータ11,12を用いてユーザが設定した印刷ジョブが入力される。また、USB(Universal Serial Bus)メモリが汎用I/F206に接続された状態で、汎用I/F206が当該USBメモリに記憶された印刷ジョブを読み出してもよい。ユーザI/F207は、印刷装置100の状況や設定を液晶ディスプレイ160に表示してユーザに伝える。また、ユーザI/F207は、ハードキー、タッチパネル等の入力装置(図示せず)の操作によって入力された、印刷ジョブの印刷設定に関する指示と、画像検査装置205の検査設定に関する指示をユーザから受け取る。装置I/F208は、印刷装置100の各ハードウェア(給紙ユニット110、印字定着ユニット120、排紙ユニット140等)に対して処理を要求し、各ハードウェアの処理タイミングの同期を取る。
【0023】
図3は、印刷装置100におけるコントローラ200の機能構成を示すブロック図である。コントローラ200は、登録手段301と、解析手段302と、取得手段303と、判定手段304と、変更手段305とを有する。これらの機能は、コントローラ200のCPU201が、ROM203に記憶されたプログラム群を実行することにより実現される。このため、CPU201は、
図3に示すコントローラ200の各機能を有するといえるが、これらの機能のうち全ての機能を有する必要はない。例えば、コントローラ200は、コントローラ200の各機能のうち少なくとも1つの機能に相当する処理を行う専用の処理回路を備えてもよい。本実施形態において、コントローラ200の各機能のうち少なくとも1つの機能は、任意の方法によって他の機能と情報の受け渡しをしてもよい。例えば、コントローラ200の各機能のうち少なくとも1つの機能が、取得した情報または作成した情報をRAM202に保存することにより、他の機能がこれらの情報を取得可能な状態にしてもよい。つまり、本実施形態では、RAM202を介して、コントローラ200の各機能間の情報の受け渡しを行ってもよい。また、コントローラ200の各機能のうち少なくとも1つの機能は、取得した情報または作成した情報を、RAM202に保存することなく、他の機能に出力してもよい。
【0024】
登録手段301は、汎用I/F206に入力された印刷ジョブを登録する。登録手段301により登録される印刷ジョブは、RAM202に保存される。登録手段301は、1つの印刷ジョブに限らず、複数の印刷ジョブを登録することが可能である。印刷ジョブは、ユーザにより設定された、印刷に関する画像データと、印刷に関する設定情報とを含む。以降、印刷ジョブに含まれる設定情報等をジョブ情報と称する。
【0025】
解析手段302は、RAM202に保存されている全ての印刷ジョブに関するジョブ情報を取得する。また、解析手段302は、取得したジョブ情報の解析を行う。解析手段302は、ジョブ情報の解析を行うことにより、印刷用紙のサイズ情報と、印刷用紙の給紙方向情報と、印刷用紙の印刷枚数情報と、印刷スケジュール情報とを取得する。ここで、印刷用紙のサイズ情報は、印刷に使用される印刷用紙のサイズに関する情報である。印刷用紙の給紙方向情報は、印刷に使用される印刷用紙の搬送される向きに関する情報である。尚、印刷用紙の搬送される向きに関する情報は、印刷用紙の方向情報と称されてもよい。本実施形態において、印刷用紙の搬送される向きを給紙方向と称し、当該給紙方向を前述のLEFおよびSEFを用いて示す。印刷用紙の印刷枚数情報は、印刷に使用される印刷用紙の印刷枚数に関する情報である。印刷スケジュール情報は、印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序に関する情報である。例えば、印刷スケジュール情報は、印刷ジョブに従って印刷処理が実行されたときの印刷用紙単位の印刷順序を示す。印刷用紙に対する印刷方法として、片面印刷と両面印刷とがある。片面印刷の場合であっても両面印刷の場合であっても、印刷ジョブに従って印刷処理が実行されたときの印刷用紙単位の印刷順序は、印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を示している。
【0026】
図4は、解析手段302により解析されたジョブ情報の一例を示す表である。
図4に示す表において、「サイズ情報」の項目は、印刷に使用される印刷用紙のサイズを示す。「給紙方向情報」の項目は、印刷に使用される印刷用紙の給紙方向を示す。「印刷枚数情報」の項目は、印刷に使用される印刷用紙の印刷枚数を示す。「印刷スケジュール情報」の項目は、登録された印刷ジョブを実行したときの印刷用紙単位の印刷順序を示す。
図4に示す例の印刷ジョブでは、A4サイズの印刷用紙とA3サイズの印刷用紙が印刷に使用される。A4サイズの印刷用紙の給紙方向はLEFであり、A3サイズの印刷用紙の給紙方向もLEFである。A4サイズの印刷用紙は1000枚印刷され、A3サイズの印刷用紙は50枚印刷される。1枚目から1000枚目の印刷用紙はA4サイズの印刷用紙であり、1001枚目から1050枚目の印刷用紙はA3サイズの印刷用紙である。
【0027】
取得手段303は、印刷用紙の幅方向サイズの変化に伴う所定のキャリブレーション処理を実施する実施条件を取得する。取得手段303は、例えば、予めコントローラ200のROM203に記憶されているキャリブレーション処理の実施条件のデータを取得してもよい。取得手段303は、ユーザによりユーザI/F207を介して設定されたキャリブレーション処理の実施条件のデータを取得してもよい。以降、印刷用紙の幅方向サイズの変化に伴う所定のキャリブレーション処理を、単に「キャリブレーション処理」と称する。サイズが異なる印刷用紙が混在した印刷ジョブを実行するとき、印刷ジョブが切り替わるとき、同一のサイズの印刷用紙であっても給紙方向が変わるとき等に、キャリブレーション処理が必要となる印刷用紙の幅方向サイズの変化が生じる。
【0028】
キャリブレーション処理の実施条件を、ユーザが任意に設定することが可能である。例えば、キャリブレーション処理の実施条件は、或る印刷用紙を1000枚印刷した後に、よりサイズが大きい印刷用紙を印刷するときの印刷枚数(すなわち1000枚)に設定されてもよい。キャリブレーション処理の実施条件は、或る印刷用紙を2時間印刷した後に、よりサイズが大きい印刷用紙を印刷するときの印刷時間(すなわち2時間)に設定されてもよい。キャリブレーション処理の実施条件は、或るサイズの印刷用紙から、よりサイズが大きい印刷用紙に変化するまでの印刷枚数単位の間隔であるといえる。また、キャリブレーション処理の実施条件は、或るサイズの印刷用紙から、よりサイズが大きい印刷用紙に変化するまでの印刷時間単位の間隔であるともいえる。以降、前述の印刷枚数単位の間隔および印刷時間単位の間隔をまとめて、サイズ変化間隔と称することがある。本実施形態では、キャリブレーション処理の実施条件であるサイズ変化間隔が、印刷枚数単位の間隔である場合について説明する。
【0029】
図5は、キャリブレーション処理を説明する図である。
図5に示す説明図を参照して、キャリブレーション処理について説明する。キャリブレーション処理は、予備吐出処理と、温度均一化処理とを含む。まず、プリントヘッド122の予備吐出を行う予備吐出処理について説明する。
図5に示すように、第1の幅方向サイズの印刷用紙501を所定の印刷枚数だけ印刷した後に、第1の幅方向サイズの印刷用紙501よりも幅方向サイズが大きい第2の幅方向サイズの印刷用紙502を印刷する場合がある。例えば、
図4に示す例の印刷ジョブでは、給紙方向がLEFであるA4サイズの印刷用紙が第1の幅方向サイズの印刷用紙501であり、給紙方向がLEFであるA3サイズの印刷用紙が第2の幅方向サイズの印刷用紙502である。
【0030】
この場合、印字定着モジュール121のプリントヘッド122において吐出ノズルが長時間使用されていない領域が生じる。本実施形態では、プリントヘッド122において吐出ノズルが長時間使用されていない領域を、未使用領域125と称する。未使用領域125は、プリントヘッド122における端部側の領域に生じる。未使用領域125の吐出ノズルは、長時間使用されなかったことによる乾燥等の要因によって、インクを適切に吐出できないことがある。このため、未使用領域125の吐出ノズルが使用されると、印刷品質が低下する可能性がある。そこで、未使用領域125の吐出ノズルを第2の幅方向サイズの印刷用紙502の印刷処理で使用する前に、未使用領域125の吐出ノズルに微量のインクを吐出させることで、吐出ノズルの機能を回復させる処理を行う。このように、プリントヘッド122は、印刷処理を開始する前に、未使用領域125の吐出ノズルにインクを吐出させる予備吐出を行う。予備吐出処理を実施する際、搬送ベルト150を汚さないために、第2の幅方向サイズを有する予備吐出用の印刷用紙502Aが用いられる。このとき、未使用領域125の吐出ノズルは、予備吐出用の印刷用紙502における予備吐出領域503Aにインクを吐出する。予備吐出領域503Aは、予備吐出用の印刷用紙502における未使用領域125の吐出ノズルと対向する領域である。予備吐出処理を実施した後、予備吐出用の印刷用紙502Aは損紙として排紙される。このように、予備吐出処理を実施すると損紙が発生する。また、予備吐出処理を実施すると、予備吐出処理に要する時間分のダウンタイムも発生する。
【0031】
次に、印刷用紙を搬送する搬送部である搬送ベルト150の温度を均一化する温度均一化処理について説明する。印字定着ユニット120において、搬送ベルト150における印刷用紙を搬送していない領域は、搬送ベルト150における印刷後の印刷用紙を搬送している領域よりも高温になる。その後、よりサイズが大きい印刷用紙の一部が適切な温度よりも高温の領域に接触することで、印刷用紙の変形などが生じる可能性がある。このような現象を防ぐために、印字定着ユニット120は、搬送ベルト150の温度を均一にする温度均一化処理を実施する。温度均一化処理を実施する際、コントローラ200は、搬送ベルト150の作動を停止せずに、給紙ユニット110からの印刷用紙の供給を一定時間(例えば、1分程度)停止する制御を行う。温度均一化処理を実施する間、給紙ユニット110から印刷用紙が供給されないため、コントローラ200は印字処理を実行することができない。このように、温度均一化処理を実施すると、温度均一化処理に要する時間分のダウンタイムが発生する。
図5に示す例において、予備吐出用の印刷用紙502Aと第2の幅方向サイズの印刷用紙502との間に空いている間隔は、温度均一化処理の終了後に第2の幅方向サイズの印刷用紙502に対して印刷が開始されることを表している。
図5からわかるように、温度均一化処理は、予備吐出処理の後に実施されてもよい。
【0032】
判定手段304は、登録手段301により登録された印刷ジョブを実行する際、キャリブレーション処理を実施する必要があるか否かを判定する。判定手段304は、解析手段302による印刷ジョブの解析結果に基づいて、取得手段303により取得されたキャリブレーション処理の実施条件を満足する場合に、キャリブレーション処理を実施する必要があると判定する。例えば、印刷用紙のサイズ情報、印刷用紙の給紙方向情報、印刷用紙の印刷枚数情報等が、取得手段303により取得されたキャリブレーション処理の実施条件を満足する場合、キャリブレーション処理を実施する必要があると判定される。
【0033】
変更手段305は、判定手段304による判定の結果、キャリブレーション処理を行う必要がある場合、複数の印刷ジョブにおける印刷枚数単位の印刷順序、すなわち複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する。この場合、変更手段305は、解析手段302により取得された情報に基づいて、キャリブレーション処理の実施を回避するように、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する。解析手段302により取得された情報は、前述の印刷用紙のサイズ情報と、印刷用紙の給紙方向情報と、印刷用紙の印刷枚数情報と、印刷スケジュール情報とを含む。
【0034】
<印刷装置の制御方法>
次に、印刷装置100の制御方法について説明する。登録手段301により複数の印刷ジョブが登録されるか、もしくは、登録手段301により1つの印刷ジョブが登録されてから所定時間が経過すると、コントローラ200は印刷処理を開始する。本実施形態において、登録手段301により複数の印刷ジョブが登録された場合、コントローラ200は、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する処理を実行可能である。
【0035】
図6は、複数の印刷ジョブが登録された場合の印刷順序の決定処理を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートを参照して、複数の印刷ジョブが登録された場合の印刷順序の決定処理について説明する。尚、コントローラ200のROM203に記憶された制御プログラムをCPU201が実行することにより、
図6に示すフローチャートの各処理が実行される。
【0036】
ステップS101において、コントローラ200の登録手段301は、汎用I/F206に入力された印刷ジョブを登録する処理を行う。登録手段301により登録される印刷ジョブは、RAM202に保存される。このとき、ユーザは、汎用I/F206および登録手段301を介して、複数の印刷ジョブを登録することが可能である。
【0037】
ステップS102において、ユーザI/F207は、ユーザが印刷モードを選択するためのモード選択ダイアログを液晶ディスプレイ160に表示させる制御を行う。このとき、ユーザI/F207は、ユーザが前述の入力装置(図示せず)を用いて印刷モードを選択する操作を受け付ける。
【0038】
図7は、液晶ディスプレイ160に表示されるモード選択ダイアログ161の一例を示す模式図である。モード選択ダイアログ161の上部には、「印刷モードを選択してください」の文字列を示す画像162が表示される。モード選択ダイアログ161の中間部には、四角で囲まれた「通常印刷モード」の文字列を示す画像163が表示される。モード選択ダイアログ161の下部には、四角で囲まれた「印刷スケジュール変更モード」の文字列を示す画像164が表示される。
図7からわかるように、ユーザが選択可能な印刷モードとして、通常印刷モードと、印刷スケジュール変更モードとが設定されている。ユーザは、液晶ディスプレイ160に表示されるモード選択ダイアログ161を見ながら、通常印刷モードおよび印刷スケジュール変更モードのうち一方を選択する操作を行う。
【0039】
本実施形態では、ユーザにより印刷スケジュール変更モードが選択されると、複数の印刷ジョブが登録された場合の印刷順序の決定処理が続行される。コントローラ200は、ユーザI/F207で受け付けたユーザによる印刷モードの選択操作に基づいて、印刷スケジュール変更モードが選択されたか否かを判定する。印刷スケジュール変更モードが選択された場合、すなわちステップS102における判定がYESの場合、次のステップS103に進む。一方、通常印刷モードが選択された場合、すなわちステップS102における判定がNOの場合、処理を終了する。この場合、コントローラ200は、印刷順序が変更されていない、登録手段301により登録された複数の印刷ジョブに従って印刷処理を行う。
【0040】
ステップS103において、コントローラ200の取得手段303は、キャリブレーション処理を実施する実施条件を取得する処理を行う。前述したように、取得手段303は、予めコントローラ200のROM203に記憶されているキャリブレーション処理の実施条件のデータを取得してもよい。取得手段303は、ユーザによりユーザI/F207を介して設定されたキャリブレーション処理の実施条件のデータを取得してもよい。
【0041】
ステップS104において、コントローラ200の解析手段302は、RAM202に保存されている全ての印刷ジョブに関するジョブ情報を取得する処理を行う。また、解析手段302は、取得したジョブ情報の解析を行う。前述したように、解析手段302は、ジョブ情報の解析を行うことにより、印刷用紙のサイズ情報と、印刷用紙の給紙方向情報と、印刷用紙の印刷枚数情報と、印刷スケジュール情報とを取得する。
【0042】
ステップS105において、コントローラ200の判定手段304は、解析手段302による解析の結果、登録手段301により登録された複数の印刷ジョブに従って印刷処理を実行する際にキャリブレーション処理を行う必要があるか否かを判定する。判定手段304によりキャリブレーション処理が必要と判定された場合、すなわちステップS105における判定がYESの場合、次のステップS106に進む。判定手段304によりキャリブレーション処理が不要と判定された場合、すなわちステップS105における判定がNOの場合、処理を終了する。この場合、コントローラ200は、印刷順序が変更されていない、登録手段301により登録された複数の印刷ジョブに従って印刷処理を行う。
【0043】
ステップS106において、コントローラ200の変更手段305は、キャリブレーション処理の実施を回避するように、登録手段301により登録された複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する処理を行う。尚、変更手段305は、キャリブレーション処理の実施回数を最小化するように、登録手段301により登録された複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更してもよい。以降、変更手段305により印刷順序を変更する処理を印刷順序変更処理と称する。変更手段305は、変更した印刷順序に基づいて複数の印刷ジョブを並列に実行する印刷処理を要求し、処理を終了する。この場合、コントローラ200は、変更手段305により印刷順序が変更された複数の印刷ジョブに従って印刷処理を行う。
【0044】
本実施形態では、印刷ジョブの解析の結果、複数の印刷ジョブで指定された印刷用紙の幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、変更手段305は、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する。この場合、変更手段305は、キャリブレーション処理の実施を回避するように、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する。これにより、印刷用紙の搬送位置を変更するためのハードウェア等を設ける必要がなく、キャリブレーション処理の実施回数を低減させる効率的なページ単位の印刷順序を決定することができる。具体的には、変更手段305によりページ単位の印刷順序を変更した複数の印刷ジョブを並列に実行することで、キャリブレーション処理の実施回数を低減させることができる。従って、損紙やダウンタイムの発生を伴う、キャリブレーション処理の実施回数を必要最小限に抑えることができる。このように、本実施形態によれば、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することができる。
【0045】
また、解析手段302は、印刷ジョブに関するジョブ情報を解析することにより、印刷用紙のサイズ情報と、印刷用紙の給紙方向情報と、印刷用紙の印刷枚数情報と、印刷スケジュール情報とを取得する。解析手段302により取得された、印刷用紙のサイズ情報、印刷用紙の給紙方向情報、印刷用紙の印刷枚数情報等を用いて、キャリブレーション処理を実施する必要があるか否かを判定することができる。例えば、印刷用紙のサイズ情報、印刷用紙の給紙方向情報、印刷用紙の印刷枚数情報等が、取得手段303により取得されたキャリブレーション処理の実施条件を満足する場合、キャリブレーション処理を実施する必要があると判定される。
【0046】
また、変更手段305は、印刷用紙の幅方向サイズが、キャリブレーション処理の実施を回避することが可能な任意の間隔で変化するように、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する。キャリブレーション処理の実施を回避することが可能な任意の間隔は、例えば、或るサイズの印刷用紙から、よりサイズが大きい印刷用紙に変化するまでの印刷用紙の印刷枚数単位の間隔であり、ユーザにより設定することが可能である。これにより、複数の印刷ジョブのうち、優先的に完了させたい印刷ジョブを考慮して、キャリブレーション処理の実施を回避することが可能な印刷枚数単位の間隔(すなわち、前述のサイズ変化間隔)を設定することができる。従って、変更手段305は、複数の印刷ジョブのうち、優先的に完了させたい印刷ジョブが他の印刷ジョブよりも先に完了するように、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更することができる。
【0047】
<第1実施例>
次に、印刷順序変更処理の第1実施例について説明する。
図8(a)は、第1実施例における複数の印刷ジョブに関するジョブ情報を示す表である。
図8(a)に示すように、第1実施例では、登録手段301により2つの印刷ジョブが登録されていると仮定する。
図8(a)に示す表において、「印刷ジョブ」の項目は、印刷ジョブの名称を示す。「サイズ情報」の項目、「給紙方向情報」の項目、「印刷枚数情報」の項目、および「印刷スケジュール情報」の項目は、
図4に示す表の各項目と同様である。第1実施例の第1の印刷ジョブXでは、A4サイズの印刷用紙とA3サイズの印刷用紙が印刷に使用される。A4サイズの印刷用紙の給紙方向はLEFであり、A3サイズの印刷用紙の給紙方向もLEFである。A4サイズの印刷用紙は1000枚印刷され、A3サイズの印刷用紙は50枚印刷される。第1実施例の第2の印刷ジョブYでは、A3サイズの印刷用紙が印刷に使用される。A3サイズの印刷用紙の給紙方向はLEFである。A3サイズの印刷用紙は200枚印刷される。第1の印刷ジョブXおよび第2の印刷ジョブYにおいて、第1の印刷ジョブXに従って印刷される1枚目から1000枚目の印刷用紙は、A4サイズの印刷用紙である。第1の印刷ジョブXに従って印刷される1001枚目から1050枚目の印刷用紙は、A3サイズの印刷用紙である。第2の印刷ジョブYに従って印刷される1051枚目から1250枚目の印刷用紙は、A3サイズの印刷用紙である。
【0048】
また、第1実施例では、キャリブレーション処理の実施条件として、或るサイズの印刷用紙から、よりサイズが大きい印刷用紙に変化するまでの印刷枚数単位の間隔(サイズ変化間隔)が200枚に設定されていると仮定する。この場合、通常の印刷モードで印刷処理が実行されると、第1の印刷ジョブXにおける1001枚目の印刷の際に、キャリブレーション処理を実施する必要が生じる。
【0049】
変更手段305は、解析手段302により解析されたジョブ情報に基づいて、サイズ変化間隔が取り得る最小値を算出する。サイズ変化間隔が小さい程、印刷用紙に印刷された画像の画質に対する影響が小さくなることが期待される。サイズ変化間隔の値が最小になるとき、印刷用紙のサイズが、或るサイズから、より大きいサイズに変化する回数が最大となる。
図8(a)に示す例では、第1の印刷ジョブXのA4サイズの印刷用紙が全て(1000枚)印刷されるのと並行して、第2の印刷ジョブYのA3サイズの印刷用紙が全て(200枚)印刷されるとき、印刷用紙のサイズが変化する回数が最大となる。このときのサイズ変化間隔の最小値は、1000/200=5となる。
【0050】
図8(b)は、第1実施例の変形例における複数の印刷ジョブに関するジョブ情報を示す表である。
図8(b)に示す表の各項目は、
図8(a)に示す表の各項目と同様である。変形例の第1の印刷ジョブXは、第1実施例の第1の印刷ジョブXと同様である。変形例の第2の印刷ジョブYaでは、A3サイズの印刷用紙が印刷に使用される。A3サイズの印刷用紙の給紙方向はLEFである。A3サイズの印刷用紙は10枚印刷される。第1の印刷ジョブXおよび第2の印刷ジョブYaにおいて、第2の印刷ジョブYaに従って印刷される1051枚目から1060枚目の印刷用紙は、A3サイズの印刷用紙である。
図8(b)に示す例では、サイズ変化間隔の最小値は1000/10=100となる。
【0051】
また、ユーザは、ユーザI/F207を介してサイズ変化間隔の値を設定することが可能である。さらに、ユーザは、ユーザI/F207を介して優先的に完了させたい印刷ジョブを設定することも可能である。ユーザI/F207は、ユーザがサイズ変化間隔の値を設定するための設定ダイアログを液晶ディスプレイ160に表示させる制御を行う。このとき、ユーザI/F207は、ユーザが前述の入力装置(図示せず)を用いてサイズ変化間隔の値を設定する操作を受け付ける。また、ユーザI/F207は、ユーザが入力装置を用いて優先的に完了させたい印刷ジョブを設定する操作を受け付ける。
【0052】
図9は、液晶ディスプレイ160に表示されるサイズ変化間隔の設定ダイアログ171の一例を示す模式図である。設定ダイアログ171の上部には、「サイズ変化間隔を設定してください」の文字列を示す画像172が表示される。設定ダイアログ171の中間部上側には、サイズ変化間隔の最小値および最大値を示す画像173が表示される。第1実施例では、サイズ変化間隔の最小値として、変更手段305により算出されたサイズ変化間隔の最小値(=5)を示す画像が表示される。サイズ変化間隔の最大値として、キャリブレーション条件であるサイズ変化間隔(=200)から1を引いた値(=199)を示す画像が表示される。設定ダイアログ171の中間部下側には、「サイズ変化間隔」の文字列を示す画像174と、ユーザI/F207を介して設定されたサイズ変化間隔の値を示す画像175が表示される。設定ダイアログ171の下部には、「優先実行ジョブ」の文字列を示す画像176と、「なし」の文字列等を示す画像177と、四角で囲まれた「OK」の文字列を示す画像178が表示される。「なし」の文字列等を示す画像177は、ユーザI/F207を介して選択設定された、「なし」の文字列、または優先的に完了させたい印刷ジョブの名称(文字列)を示す。
【0053】
変更手段305は、ジョブ情報に基づいて算出したサイズ変化間隔、または、ユーザにより指定されたサイズ変化間隔に基づいて、キャリブレーション処理の実施を回避するように、2つの印刷ジョブX,Yにおけるページ単位の印刷順序を変更する。尚、変更手段305は、2つの印刷ジョブX,Yのうち、第1の印刷ジョブX以外の印刷ジョブを用いてもキャリブレーション処理の実施を回避できない場合、2つの印刷ジョブX,Yにおけるページ単位の印刷順序を変更しない。
【0054】
図10は、第1実施例におけるサイズ変化間隔について説明する模式図である。第1実施例では、ユーザにより指定されたサイズ変化間隔の値が9であると仮定する。また、ユーザにより優先的に完了させたい印刷ジョブが指定されていないと仮定する。この場合、10回の印刷のうち1回の頻度で印刷用紙のサイズが変更される。具体的には、
図10に示すように、10回の印刷のうち、第1の印刷ジョブXで指定された9枚の第1の幅方向サイズの印刷用紙501が印刷された後、第2の印刷ジョブYで指定された1枚の第2の幅方向サイズの印刷用紙502が印刷される。第1の幅方向サイズの印刷用紙501は、給紙方向がLEFであるA4サイズの印刷用紙である。第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFであるA3サイズの印刷用紙である。
【0055】
図11(a)は、第1実施例における、変更手段305による変更後の印刷順序を示す表である。
図11(a)に示す表において、「スケジュール」の項目は、変更手段305による変更後の印刷順序を示す。「ページ番号」の項目は、第1の印刷ジョブXまたは第2の印刷ジョブYにおける変更前の印刷順序を示す。「印刷ジョブ」の項目および「サイズ情報」の項目は、
図8(a)に示す表における「印刷ジョブ」の項目および「サイズ情報」の項目と同様である。
【0056】
図11(a)に示すように、1回目から9回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、1枚目から9枚目までのA4サイズの印刷用紙が印刷される。10回目の印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された、1枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。11回目から19回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、10枚目から18枚目までのA4サイズの印刷用紙が印刷される。20回目の印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された、2枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。以降、1回目から10回目までの印刷と同様にして、21回目の印刷から1110回目の印刷まで、第1の印刷ジョブXで指定された9枚のA4サイズの印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYで指定された1枚のA3サイズの印刷用紙が印刷される。
【0057】
1111回目の印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、1000枚目のA4サイズの印刷用紙が印刷される。1112回目から1119回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、1001枚目から1008枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。1120回目の印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された、112枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。1121回目から1129回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、1009枚目から1017枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。1130回目の印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された、113枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。以降、1131回目の印刷から1160回目の印刷まで、第1の印刷ジョブXで指定された9枚のA3サイズの印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYで指定された1枚のA3サイズの印刷用紙が印刷される。
【0058】
1161回目から1166回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、1045枚目から1050枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。そして、1167回目から1250回目までの印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された、117枚目から200枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。このように、1回目の印刷から1160回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された9枚の印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYで指定された1枚の印刷用紙が印刷される。1161回目から1166回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された印刷用紙が印刷される。1167回目から1250回目までの印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された印刷用紙が印刷される。また、1112回目以降の印刷では、印刷ジョブの種類に拘わらず、A3サイズの印刷用紙が印刷される。
【0059】
第1実施例によれば、変更手段305によりページ単位の印刷順序を変更した2つの印刷ジョブX,Yを並列に実行することで、キャリブレーション処理の実施回数を低減させることができる。従って、損紙やダウンタイムの発生を伴う、キャリブレーション処理の実施回数を必要最小限に抑えることができる。このため、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することができる。
【0060】
<第2実施例>
次に、印刷順序変更処理の第2実施例について説明する。第2実施例は、ユーザにより優先的に完了させたい印刷ジョブが指定されることを除いて、第1実施例と同様の設定である。第1実施例と同様の設定については、説明を省略する。第2実施例では、ユーザにより、優先的に完了させたい印刷ジョブとして第1の印刷ジョブXが指定されていると仮定する。
【0061】
図11(b)は、第2実施例における、変更手段305による変更後の印刷順序を示す表である。
図11(b)に示す表の各項目は、
図11(a)に示す表の各項目と同様である。
図11(a)に示すように、第2実施例における1回目から1111回目までの印刷は、第1実施例における1回目から1111回目までの印刷と同様である。1112回目から1162回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXで指定された、1001枚目から1050枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。そして、1163回目から1250回目までの印刷では、第2の印刷ジョブYで指定された、113枚目から200枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。このように、第2実施例では、第1の印刷ジョブXが第1実施例の場合よりも早く終了する。
【0062】
第2実施例によれば、変更手段305によりページ単位の印刷順序を変更した2つの印刷ジョブX,Yを並列に実行することで、キャリブレーション処理の実施回数を低減させることができる。従って、損紙やダウンタイムの発生を伴う、キャリブレーション処理の実施回数を必要最小限に抑えることができる。このため、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することができる。また、変更手段305は、優先的に完了させたい印刷ジョブを考慮して、2つの印刷ジョブX,Yにおけるページ単位の印刷順序を変更することができる。
【0063】
<第3実施例>
次に、印刷順序変更処理の第3実施例について説明する。第3実施例は、ジョブ情報が異なることを除いて、第1実施例と同様の設定である。第1実施例と同様の設定については、説明を省略する。
図12は、第3実施例における複数の印刷ジョブに関するジョブ情報を示す表である。
図12に示すように、第3実施例では、登録手段301により2つの印刷ジョブが登録されていると仮定する。
図12に示す表の各項目は、
図8(a)に示す表の各項目と同様である。第2実施例の第1の印刷ジョブXbでは、A4サイズの印刷用紙とA3サイズの印刷用紙が印刷に使用される。A4サイズの印刷用紙の給紙方向はLEFであり、A3サイズの印刷用紙の給紙方向もLEFである。A4サイズの印刷用紙は50枚印刷され、A3サイズの印刷用紙は50枚印刷される。第3実施例の第2の印刷ジョブYbでは、A3サイズの印刷用紙が印刷に使用される。A3サイズの印刷用紙の給紙方向はLEFである。A3サイズの印刷用紙は50枚印刷される。第1の印刷ジョブXbおよび第2の印刷ジョブYbにおいて、第1の印刷ジョブXbに従って印刷される1枚目から50枚目の印刷用紙は、A4サイズの印刷用紙である。第1の印刷ジョブXbに従って印刷される51枚目から100枚目の印刷用紙は、A3サイズの印刷用紙である。第2の印刷ジョブYbに従って印刷される101枚目から150枚目の印刷用紙は、A3サイズの印刷用紙である。
【0064】
また、第3実施例では、キャリブレーション処理の実施条件として、或るサイズの印刷用紙から、よりサイズが大きい印刷用紙に変化するまでの印刷枚数単位の間隔(サイズ変化間隔)が50枚に設定されていると仮定する。この場合、通常の印刷モードで印刷処理が実行されると、第1の印刷ジョブXbにおける51枚目の印刷の際に、キャリブレーション処理を実施する必要が生じる。
【0065】
変更手段305は、ジョブ情報に基づいて算出したサイズ変化間隔、または、ユーザにより指定されたサイズ変化間隔に基づいて、キャリブレーション処理の実施を回避するように、2つの印刷ジョブXb,Ybにおけるページ単位の印刷順序を変更する。尚、変更手段305は、2つの印刷ジョブXb,Ybのうち、第1の印刷ジョブXb以外の印刷ジョブを用いてもキャリブレーション処理の実施を回避できない場合、2つの印刷ジョブXb,Ybにおけるページ単位の印刷順序を変更しない。
【0066】
図13は、第3実施例におけるサイズ変化間隔について説明する模式図である。第3実施例では、ユーザにより指定されたサイズ変化間隔の値が1であると仮定する。また、ユーザにより優先的に完了させたい印刷ジョブが指定されていないと仮定する。この場合、2回の印刷のうち1回の頻度で印刷用紙のサイズが変更される。具体的には、
図13に示すように、2回の印刷のうち、第1の印刷ジョブXbで指定された1枚の第1の幅方向サイズの印刷用紙501が印刷された後、第2の印刷ジョブYbで指定された1枚の第2の幅方向サイズの印刷用紙502が印刷される。第1の幅方向サイズの印刷用紙501は、給紙方向がLEFであるA4サイズの印刷用紙である。第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFであるA3サイズの印刷用紙である。
【0067】
図14(a)は、第3実施例における、変更手段305による変更後の印刷順序を示す表である。
図14(a)に示す表の各項目は、
図11(a)に示す表の各項目と同様である。
図14(a)に示すように、1回目の印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、1枚目のA4サイズの印刷用紙が印刷される。2回目の印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、1枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。3回目の印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、2枚目のA4サイズの印刷用紙が印刷される。4回目の印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、2枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。以降、1回目から2回目までの印刷と同様にして、5回目の印刷から100回目の印刷まで、第1の印刷ジョブXbで指定された1枚のA4サイズの印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYbで指定された1枚のA3サイズの印刷用紙が印刷される。
【0068】
そして、101回目から150回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、51枚目から100枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。このように、1回目の印刷から100回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された1枚の印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYbで指定された1枚の印刷用紙が印刷される。101回目から150回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された印刷用紙が印刷される。このように、第3実施例では、第2の印刷ジョブYbが第1の印刷ジョブXbよりも早く終了する。
【0069】
第3実施例によれば、変更手段305によりページ単位の印刷順序を変更した2つの印刷ジョブXb,Ybを並列に実行することで、キャリブレーション処理の実施回数を低減させることができる。従って、損紙やダウンタイムの発生を伴う、キャリブレーション処理の実施回数を必要最小限に抑えることができる。このため、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することができる。
【0070】
<第4実施例>
次に、印刷順序変更処理の第4実施例について説明する。第4実施例は、サイズ変化間隔の値を除いて、第3実施例と同様の設定である。第3実施例と同様の設定については、説明を省略する。第4実施例では、ユーザにより指定されたサイズ変化間隔の値が4であると仮定する。
【0071】
図14(b)は、第4実施例における、変更手段305による変更後の印刷順序を示す表である。
図14(b)に示す表の各項目は、
図14(a)に示す表の各項目と同様である。
図14(a)に示すように、1回目から4回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、1枚目から4枚目までのA4サイズの印刷用紙が印刷される。5回目の印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、1枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。6回目から9回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、5枚目から8枚目までのA4サイズの印刷用紙が印刷される。10回目の印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、2枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。以降、1回目から5回目までの印刷と同様にして、11回目の印刷から60回目の印刷まで、第1の印刷ジョブXbで指定された4枚のA4サイズの印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYbで指定された1枚のA3サイズの印刷用紙が印刷される。
【0072】
61回目から62回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、49枚目から50枚目までのA4サイズの印刷用紙が印刷される。63回目から64回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、51枚目から52枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。65回目の印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、13枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。66回目から69回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された、53枚目から56枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。70回目の印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、14枚目のA3サイズの印刷用紙が印刷される。以降、66回目から70回目までの印刷と同様にして、71回目の印刷から125回目の印刷まで、第1の印刷ジョブXbで指定された4枚のA3サイズの印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYbで指定された1枚のA3サイズの印刷用紙が印刷される。
【0073】
そして、126回目から150回目までの印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された、26枚目から50枚目までのA3サイズの印刷用紙が印刷される。このように、1回目の印刷から125回目までの印刷では、第1の印刷ジョブXbで指定された4枚の印刷用紙が印刷された後、第2の印刷ジョブYbで指定された1枚の印刷用紙が印刷される。126回目から150回目までの印刷では、第2の印刷ジョブYbで指定された印刷用紙が印刷される。また、63回目以降の印刷では、印刷ジョブの種類に拘わらず、A3サイズの印刷用紙が印刷される。このように、第4実施例では、第1の印刷ジョブXbが第2の印刷ジョブYbよりも早く終了する。
【0074】
第4実施例によれば、変更手段305によりページ単位の印刷順序を変更した2つの印刷ジョブXb,Ybを並列に実行することで、キャリブレーション処理の実施回数を低減させることができる。従って、損紙やダウンタイムの発生を伴う、キャリブレーション処理の実施回数を必要最小限に抑えることができる。このため、キャリブレーション処理の弊害を低減しつつ効率的にキャリブレーション処理を実施することができる。
【0075】
上述の実施形態において、第1の幅方向サイズの印刷用紙501は、給紙方向がLEFであるA4サイズの印刷用紙であるが、これに限られるものではない。第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFであるA3サイズの印刷用紙であるが、これに限られるものではない。例えば、第1の幅方向サイズの印刷用紙501は、給紙方向がSEFであるA4サイズの印刷用紙であってもよく、給紙方向がLEFであるB5サイズの印刷用紙であってもよく、給紙方向がLEFであるB4サイズの印刷用紙であってもよい。
【0076】
第1の幅方向サイズの印刷用紙501が、給紙方向がLEFであるA4サイズの印刷用紙である場合、第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFであるB4サイズの印刷用紙であってもよい。第1の幅方向サイズの印刷用紙501が、給紙方向がSEFであるA4サイズの印刷用紙である場合、第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFまたはSEFであるA3サイズまたはB4サイズの印刷用紙であってもよい。第1の幅方向サイズの印刷用紙501が、給紙方向がLEFであるB5サイズの印刷用紙である場合、第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFまたはSEFであるA3サイズの印刷用紙であってもよい。第1の幅方向サイズの印刷用紙501が、給紙方向がLEFであるB5サイズの印刷用紙である場合、第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFであるA4サイズまたはB4サイズの印刷用紙であってもよい。第1の幅方向サイズの印刷用紙501が、給紙方向がLEFであるB4サイズの印刷用紙である場合、第2の幅方向サイズの印刷用紙502は、給紙方向がLEFであるA3サイズの印刷用紙であってもよい。
【0077】
上述の実施形態において、解析手段302は、ジョブ情報の解析を行うことにより、印刷用紙のサイズ情報と、印刷用紙の給紙方向情報と、印刷用紙の印刷枚数情報と、印刷スケジュール情報とを取得しているが、これに限られるものではない。例えば、印刷用紙の給紙方向がLEFもしくはSEFで一定となる場合、解析手段302は、印刷用紙の給紙方向情報を取得しなくてもよい。印刷用紙の給紙方向がLEFもしくはSEFで一定となる場合とは、例えば、封筒用紙を印刷する場合等がある。
【0078】
上述の実施形態において、登録手段301により2つの印刷ジョブが登録されているが、これに限られるものではない。例えば、登録手段301により3つ以上の印刷ジョブが登録されてもよい。
【0079】
上述の実施形態において、変更手段305は、複数の印刷ジョブが並列に実行されるように、当該複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更しているが、これに限られるものではない。例えば、変更手段305は、複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更することにより、当該複数の印刷ジョブを併合した1つの印刷ジョブを生成してもよい。
【0080】
<<その他の実施形態>>
各実施形態の開示は、以下の印刷装置例、印刷装置の制御方法例、およびプログラム例に代表される構成を含むものである。
【0081】
<構成1>
ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置であって、
入力された印刷ジョブを登録する登録手段と、
前記登録手段により登録された複数の印刷ジョブの解析を行う解析手段と、
前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する変更手段と、
を有し、
前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とする印刷装置。
【0082】
<構成2>
前記解析手段は、前記解析を行うことにより、前記印刷メディアのサイズに関するサイズ情報と、前記印刷メディアの印刷枚数に関する印刷枚数情報と、を取得する、構成1に記載の印刷装置。
【0083】
<構成3>
前記解析手段は、前記解析を行うことにより、前記印刷メディアの搬送される向きに関する方向情報を取得する、構成2に記載の印刷装置。
【0084】
<構成4>
前記変更手段は、前記印刷メディアの前記幅方向サイズが、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避することが可能な任意の間隔で変化するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、構成1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0085】
<構成5>
前記任意の間隔は、前記印刷メディアの印刷枚数単位の間隔である、構成4に記載の印刷装置。
【0086】
<構成6>
前記任意の間隔は、ユーザにより設定することが可能である、構成4または5に記載の印刷装置。
【0087】
<構成7>
前記所定のキャリブレーション処理を実施する実施条件を取得する取得手段をさらに有し、
前記変更手段は、前記解析の結果、前記実施条件を満足することにより前記所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、構成1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0088】
<構成8>
前記変更手段は、前記複数の印刷ジョブのうち、優先的に完了させたい印刷ジョブが他の印刷ジョブよりも先に完了するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、構成1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0089】
<構成9>
前記変更手段は、前記複数の印刷ジョブが並列に実行されるように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更する、構成1乃至8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0090】
<構成10>
前記所定のキャリブレーション処理は、プリントヘッドが予備吐出を行う予備吐出処理と、前記印刷メディアを搬送する搬送部の温度を均一化する温度均一化処理と、を含む、構成1乃至9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0091】
<構成11>
前記印刷メディアはカット紙である、構成1乃至10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0092】
<構成12>
前記印刷装置は、インクジェット式の印刷装置である、構成1乃至11のいずれか1項に記載の印刷装置。
【0093】
<構成13>
ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置の制御方法であって、
入力された印刷ジョブを登録するステップと、
登録した複数の印刷ジョブの解析を行うステップと、
前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更するステップと、
を有し、
前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とする印刷装置の制御方法。
【0094】
<構成14>
ページ単位で印刷内容を指定したPDLデータを含む印刷ジョブに従って印刷を行う印刷装置を制御するプログラムであって、
入力された印刷ジョブを登録するステップと、
登録した複数の印刷ジョブの解析を行うステップと、
前記解析の結果、前記複数の印刷ジョブで指定された印刷メディアの幅方向サイズが異なるために所定のキャリブレーション処理を実施する必要がある場合、前記所定のキャリブレーション処理の実施を回避するように、前記複数の印刷ジョブにおけるページ単位の印刷順序を変更するステップと、
を有し、
前記幅方向サイズは、前記印刷メディアが搬送される方向と交わる方向のサイズであることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0095】
301 登録手段
302 解析手段
303 取得手段
304 判定手段
305 変更手段